JPWO2019116995A1 - 液晶硬化フィルムおよびその製造方法、偏光板、並びに有機エレクトロルミネッセンス表示装置 - Google Patents

液晶硬化フィルムおよびその製造方法、偏光板、並びに有機エレクトロルミネッセンス表示装置 Download PDF

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Abstract

逆波長分散性の複屈折を発現できる液晶性化合物を含む液晶組成物の硬化物で形成され、配向状態を固定されていてもよい前記液晶性化合物の分子を含む液晶硬化層を含む液晶硬化フィルムであって、前記液晶硬化層に含まれる前記液晶性化合物の少なくとも一部の分子が、前記液晶硬化層の層平面に対して傾斜しており、前記液晶硬化層が、第一硬化層と、前記第一硬化層に直接に接した第二硬化層とを含み、前記第二硬化層に含まれる前記液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角が、前記第一硬化層に含まれる前記液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角よりも大きい、液晶硬化フィルム。

Description

本発明は、液晶硬化フィルムおよびその製造方法、偏光板、並びに有機エレクトロルミネッセンス表示装置に関する。
光学フィルムの一つとして、液晶硬化フィルムが知られている。液晶硬化フィルムは、一般に、液晶性化合物を含む液晶組成物を配向させ、その配向状態を維持したままで硬化させた硬化物で形成された液晶硬化層を備える。このような液晶硬化フィルムとして、特許文献1に記載のものが提案されている。
特許第5363022号公報
液晶硬化フィルムが備える液晶硬化層には、通常、液晶性化合物が含まれる。この液晶性化合物の分子は、液晶硬化層の層平面に対して傾斜することがある。このように分子が傾斜した液晶性化合物を含む液晶硬化層を備えた液晶硬化フィルムを画像表示装置に設ける場合、視野角特性等の光学特性を調整するために、液晶性化合物の分子の傾斜角を適切に調整することが望ましい。
例えば、有機エレクトロルミネッセンス表示装置(以下、適宜「有機EL表示装置」ということがある。)には、その表示面に、外光の反射を抑制するための反射抑制フィルムとして、円偏光板及び楕円偏光板等の偏光板が設けられることがある。この偏光板は、通常、直線偏光子と位相差フィルムとを組み合わせて含む。表示面を傾斜方向から見た場合に反射を抑制して優れた視野角特性を得る観点から、位相差フィルムは、その厚み方向において複屈折を調整することが好ましい。そこで、厚み方向に適切な複屈折を有する位相差フィルムを実現するために、本発明者らは、液晶性化合物の分子の傾斜角が適切に調整された液晶硬化層を備える液晶硬化フィルムの開発を試みた。
また、広い波長範囲において所望の光学的機能を発揮させるためには、前記の位相差フィルムは、逆波長分散性の面内レターデーションを有することが望まれる。そのため、位相差フィルムとして液晶硬化層を用いる場合には、逆波長分散性の複屈折を発現できる液晶性化合物(以下、適宜「逆分散液晶性化合物」ということがある。)を用いることが望まれる。
ところが、従来の技術では、液晶硬化層に含まれる逆分散液晶性化合物の分子の傾斜角を大きくするためには、液晶硬化層とは別に配向膜を設ける必要があった。しかし、配向膜を用いて形成される従来の液晶硬化層は、配向欠陥が生じ易かったり、面状態が不良になり易かったりした。そこで、従来とは異なる方法によって逆分散液晶性化合物の分子の傾斜角を大きくできる新たな技術の開発が求められていた。
本発明は、前記の課題に鑑みて創案されたもので、逆分散液晶性化合物の分子の傾斜角を大きくすることができる新たな液晶硬化層を含む液晶硬化フィルム及びその製造方法;逆分散液晶性化合物の分子の傾斜角を大きくすることができる新たな液晶硬化層を含む偏光板;並びに、前記の偏光板を含む有機EL表示装置;を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記の課題を解決するべく鋭意検討した結果、液晶硬化層の製造方法を工夫することにより、前記の課題を解決した液晶硬化フィルムを実現できるとの知見を得た。具体的には、液晶硬化層の一部を形成した後で、当該一部上に液晶硬化層の残りの部分を形成することにより、残りの部分の逆分散液晶性化合物の分子の傾斜を大きくすることができるので、液晶硬化層に含まれる逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を大きくできる、との知見を得た。そして、この知見に基づき、本発明者らは、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、下記のものを含む。
〔1〕 逆波長分散性の複屈折を発現できる液晶性化合物を含む液晶組成物の硬化物で形成され、配向状態を固定されていてもよい前記液晶性化合物の分子を含む液晶硬化層を含む液晶硬化フィルムであって、
前記液晶硬化層に含まれる前記液晶性化合物の少なくとも一部の分子が、前記液晶硬化層の層平面に対して傾斜しており、
前記液晶硬化層が、第一硬化層と、前記第一硬化層に直接に接した第二硬化層とを含み、
前記第二硬化層に含まれる前記液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角が、前記第一硬化層に含まれる前記液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角よりも大きい、液晶硬化フィルム。
〔2〕 前記第一硬化層が、前記第二硬化層に含まれる前記液晶性化合物の分子の傾斜角を大きくする配向膜として機能できる、〔1〕に記載の液晶硬化フィルム。
〔3〕 前記液晶硬化層における前記液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角が、40°以上85°以下である、〔1〕又は〔2〕に記載の液晶硬化フィルム。
〔4〕 前記液晶硬化層が、前記第一硬化層、前記第二硬化層、及び、前記第二硬化層に直接に接した第三硬化層を、この順に含む、〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載の液晶硬化フィルム。
〔5〕 前記液晶硬化層の厚みが10μm以下である、〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載の液晶硬化フィルム。
〔6〕 前記液晶硬化層が、1/4波長板として機能できる、〔1〕〜〔5〕のいずれか一項に記載の液晶硬化フィルム。
〔7〕 〔1〕〜〔6〕のいずれか一項に記載の液晶硬化フィルムの製造方法であって、
支持面に、前記液晶性化合物を含む第一液晶組成物の層を形成する工程と、
前記第一液晶組成物の層に含まれる前記液晶性化合物を配向させる工程と、
前記第一液晶組成物の層を硬化させて、第一硬化層を形成する工程と、
前記第一硬化層上に、直接に、前記第一液晶組成物に含まれる前記液晶性化合物と同一または異なる液晶性化合物を含む第二液晶組成物の層を形成する工程と、
前記第二液晶組成物の層に含まれる前記液晶性化合物を配向させる工程と、
前記第二液晶組成物の層を硬化させて、第二硬化層を形成する工程と、を含む、液晶硬化フィルムの製造方法。
〔8〕 前記第二硬化層上に、直接に、前記第一液晶組成物に含まれる前記液晶性化合物及び前記第二液晶組成物に含まれる前記液晶性化合物と同一または異なる液晶性化合物を含む第三液晶組成物の層を形成する工程と、
前記第三液晶組成物の層に含まれる前記液晶性化合物を配向させる工程と、
前記第三液晶組成物の層を硬化させて、第三硬化層を形成する工程と、を含む、〔7〕に記載の液晶硬化フィルムの製造方法。
〔9〕 逆波長分散性の複屈折を発現できる液晶性化合物を含む液晶組成物の硬化物で形成され、配向状態を固定されていてもよい前記液晶性化合物の分子を含む液晶硬化層と、直線偏光子とを含み、
前記液晶硬化層に含まれる前記液晶性化合物の少なくとも一部の分子が、前記液晶硬化層の層平面に対して傾斜しており、
前記液晶硬化層が、第一硬化層と、前記第一硬化層に直接に接した第二硬化層とを含み、
前記第二硬化層に含まれる前記液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角が、前記第一硬化層に含まれる前記液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角よりも大きい、偏光板。
〔10〕 〔9〕記載の偏光板を含む、有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
本発明によれば、逆分散液晶性化合物の分子の傾斜角を大きくすることができる新たな液晶硬化層を含む液晶硬化フィルム及びその製造方法;逆分散液晶性化合物の分子の傾斜角を大きくすることができる新たな液晶硬化層を含む偏光板;並びに、前記の偏光板を含む有機EL表示装置;を提供できる。
図1は、ある例に係る液晶硬化層のレターデーション比R(θ)/R(0°)を、入射角θに対してプロットしたグラフである。 図2は、本発明の第一実施形態に係る液晶硬化フィルムが含む液晶硬化層の模式的な断面図である。 図3は、本発明の第二実施形態に係る液晶硬化フィルムが含む液晶硬化層の模式的な断面図である。 図4は、傾斜方向から液晶硬化層のレターデーションを測定する際の測定方向を説明するための斜視図である。
以下、例示物及び実施形態を示して本発明について詳細に説明する。ただし、本発明は以下に示す例示物及び実施形態に限定されるものではなく、本発明の請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。
以下の説明において、ある層の「面内方向」とは、別に断らない限り、層平面に平行な方向を表す。
以下の説明において、ある層の「厚み方向」とは、別に断らない限り、層平面に垂直な方向を表す。よって、別に断らない限り、ある層の面内方向と厚み方向とは、垂直である。
以下の説明において、ある面の「正面方向」とは、別に断らない限り、その面の法線方向を表し、具体的には前記面の極角0°の方向を指す。
以下の説明において、ある面の「傾斜方向」とは、別に断らない限り、その面に平行でも垂直でもない方向を表し、具体的には前記面の極角が5°以上85°以下の範囲の方向を指す。
以下の説明において、逆波長分散性の複屈折とは、別に断らない限り、波長450nmにおける複屈折Δn(450)及び波長550nmにおける複屈折Δn(550)が、下記式(N1)を満たす複屈折をいう。このような逆波長分散性の複屈折を発現できる液晶性化合物は、通常、測定波長が長いほど、大きい複屈折を発現できる。
Δn(450)<Δn(550) (N1)
以下の説明において、順波長分散性の複屈折とは、別に断らない限り、波長450nmにおける複屈折Δn(450)及び波長550nmにおける複屈折Δn(550)が、下記式(N2)を満たす複屈折をいう。このような順波長分散性の複屈折を発現できる液晶性化合物は、通常、測定波長が長いほど、小さい複屈折を発現できる。
Δn(450)>Δn(550) (N2)
以下の説明において、別に断らない限り、「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸」、「メタクリル酸」及びこれらの組み合わせを包含する用語である。
以下の説明において、ある層の面内レターデーションReは、別に断らない限り、Re=(nx−ny)×dで表される値である。ここで、nxは、層の厚み方向に垂直な方向(面内方向)であって最大の屈折率を与える方向の屈折率を表す。nyは、層の前記面内方向であってnxの方向に直交する方向の屈折率を表す。dは、層の厚みを表す。レターデーションの測定波長は、別に断らない限り、590nmである。面内レターデーションReは、位相差計(Axometrics社製「AxoScan」)を用いて測定できる。
以下の説明において、固有複屈折値が正の樹脂とは、延伸方向の屈折率がそれに直交する方向の屈折率よりも大きくなる樹脂を意味する。また、固有複屈折値が負の樹脂とは、延伸方向の屈折率がそれに直交する方向の屈折率よりも小さくなる樹脂を意味する。固有複屈折値は、誘電率分布から計算しうる。
以下の説明において、ある層の遅相軸の方向とは、別に断らない限り、面内方向の遅相軸の方向をいう。
以下の説明において、要素の方向が「平行」及び「垂直」とは、別に断らない限り、本発明の効果を損ねない範囲内、例えば±4°、好ましくは±3°、より好ましくは±1°の範囲内での誤差を含んでいてもよい。
以下の説明において、別に断らない限り、ある層に含まれる液晶性化合物の分子の「傾斜角」とは、その液晶性化合物の分子が層平面に対してなす角度を表し、「チルト角」とも呼ばれることがある。この傾斜角は、液晶性化合物の分子の屈折率楕円体において最大の屈折率の方向が層平面となす角度のうち、最大の角度に相当する。また、以下の説明においては、別に断らない限り、「傾斜角」とは、液晶硬化層の層平面に対する傾斜角を表す。層平面に対する傾斜角は、その層平面に平行な「面内方向に対する傾斜角」ということがある。
以下の説明において、置換基を有する基の炭素原子数には、別に断らない限り、前記置換基の炭素原子数を含めない。よって、例えば「置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基」との記載は、置換基の炭素原子数を含まないアルキル基自体の炭素原子数が1〜20であることを表す。
[1.液晶硬化フィルムの概要]
本発明の液晶硬化フィルムは、逆分散液晶性化合物(即ち、逆波長分散性の複屈折を発現できる液晶性化合物)を含む液晶組成物の硬化物で形成された液晶硬化層を含むフィルムである。
液晶組成物の硬化物で形成されているので、液晶硬化層は、逆分散液晶性化合物の分子を含む。液晶硬化層に含まれる逆分散液晶性化合物の分子は、配向状態を固定されていてもよい。用語「配向状態を固定された逆分散液晶性化合物」には、逆分散液晶性化合物の重合体が包含される。通常、重合によって逆分散液晶性化合物の液晶性は失われるが、本願においては、そのように重合した逆分散液晶性化合物も、用語「液晶硬化層に含まれる逆分散液晶性化合物」に含める。
前記の液晶硬化層に含まれる逆分散液晶性化合物の少なくとも一部の分子は、当該液晶硬化層の層平面に対して(即ち面内方向に対して)傾斜している。ある液晶性化合物の分子が層平面に対して(即ち面内方向に対して)「傾斜している」とは、その分子の層平面に対する(即ち面内方向に対する)傾斜角が5°以上85°以下の範囲にあることを表す。このように傾斜した液晶性化合物の分子は、通常、層平面に対して(即ち面内方向に対して)平行でも垂直でもない状態となっている。
前記の液晶硬化層において、逆分散液晶性化合物の分子のうち、一部が液晶硬化層の層平面に対して(即ち面内方向に対して)傾斜していてもよく、全部が液晶硬化層の層平面に対して(即ち面内方向に対して)傾斜していてもよい。よって、液晶硬化層の層平面に対して(即ち面内方向に対して)傾斜した逆分散液晶性化合物の分子を含む層を「傾斜配向層」と呼ぶ場合、液晶硬化層がその一部として傾斜配向層を含んでいてもよく、液晶硬化層の全体が傾斜配向層となっていてもよい。また、液晶硬化層において、傾斜配向層以外の層部分に含まれる逆分散液晶性化合物の分子は、通常、液晶硬化層の層平面に対して(即ち面内方向に対して)平行(傾斜角が0°)となっているか、又は、液晶硬化層の層平面に対して(即ち面内方向に対して)垂直(傾斜角が90°)になっている。
液晶硬化層に含まれる逆分散液晶性化合物の少なくとも一部の分子が当該液晶硬化層の層平面に対して(即ち面内方向に対して)傾斜していることは、十分な分解能を有する偏光顕微鏡で液晶硬化層の断面を観察することによって、確認できる。この観察は、逆分散液晶性化合物の分子の傾斜を視認し易くするために、必要に応じて、観察サンプルと偏光顕微鏡の対物レンズとの間に波長板を挿入して実施してもよい。
または、液晶硬化層に含まれる逆分散液晶性化合物の少なくとも一部の分子が当該液晶硬化層の層平面に対して(即ち面内方向に対して)傾斜していることは、下記のようにして確認できる。液晶硬化層の面内の進相軸方向に対して垂直な測定方向で、入射角θにおける液晶硬化層のレターデーションR(θ)を測定する。そして、入射角θでの液晶硬化層のレターデーションR(θ)を入射角0°での液晶硬化層のレターデーションR(0°)で割ったレターデーション比R(θ)/R(0°)を求める。こうして求めたレターデーション比R(θ)/R(0°)を縦軸、入射角θを横軸としたグラフを描いた場合に、得られたグラフがθ=0°に対して非対称であれば、液晶硬化層に含まれる逆分散液晶性化合物の少なくとも一部の分子が当該液晶硬化層の層平面に対して(即ち面内方向に対して)傾斜していることが確認できる。
以下、例を挙げてより具体的に説明する。図1は、ある例に係る液晶硬化層のレターデーション比R(θ)/R(0°)を、入射角θに対してプロットしたグラフである。液晶硬化層に含まれる逆分散液晶性化合物の全ての分子の傾斜角が0°又は90°であると、レターデーション比R(θ)/R(0°)は、図1で破線で示す例のように、θ=0°の直線(図1では、θ=0°を通る縦軸)に対して線対称となる。これに対して、液晶硬化層に含まれる逆分散液晶性化合物の少なくとも一部の分子が液晶硬化層の層平面に対して(即ち面内方向に対して)傾斜していると、レターデーション比R(θ)/R(0°)は、図1に実線で示す例のように、通常はθ=0°の直線に対して非対称となる。よって、レターデーション比R(θ)/R(0°)がθ=0°に対して非対称である場合には、液晶硬化層に含まれる逆分散液晶性化合物の少なくとも一部の分子が当該液晶硬化層の層平面に対して(即ち面内方向に対して)傾斜している、と判定できる。
さらに、液晶硬化層は、第一硬化層と、前記第一硬化層に直接に接した第二硬化層とを含む。ある2層が「直接に」接するとは、これら接する2層の間に他の層が無いことをいう。通常、第一硬化層に含まれる逆分散液晶性化合物の分子が液晶硬化層の層平面に対して(即ち面内方向に対して)傾斜しており、且つ、第二硬化層に含まれる逆分散液晶性化合物の分子が液晶硬化層の層平面に対して(即ち面内方向に対して)傾斜している。そして、第二硬化層に含まれる逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角は、第一硬化層に含まれる逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角よりも大きくなっている。
前記の「実質最大傾斜角」とは、層の一方の面での分子の傾斜角度が0°であり、且つ分子の傾斜角が厚み方向において一定比率で変化していると仮定した場合の、その層に含まれる液晶性化合物の分子の傾斜角の最大値をいう。通常、液晶性化合物の分子の傾斜角は、厚み方向において、層の一側に近いほど小さく前記一側から遠いほど大きい。前記の実質最大傾斜角は、このような厚み方向における傾斜角の変化の比率(即ち、一側に近いほど減少し、一側から遠いほど増加するという変化の比率)が一定であり、且つ、前記一側の最表面(即ち、一方の面)での分子の傾斜角が0°であると仮定して計算される、傾斜角の最大値を表す。この実質最大傾斜角は、液晶硬化層に含まれる液晶性化合物の分子の傾斜角の大きさを示す指標である。通常、実質最大傾斜角が大きい液晶硬化層ほど、その液晶硬化層に含まれる液晶性化合物の分子の全体として見た傾斜角が大きい傾向がある。よって、液晶硬化層に含まれる逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を大きくできれば、その液晶硬化層に含まれる逆分散液晶性化合物の分子の傾斜角を全体として大きくできる。そして、このように実質最大傾斜角が大きい液晶硬化層を用いれば、その液晶硬化層を反射抑制フィルムに設けた場合に、厚み方向における複屈折の調整を適切に行うことができるので、表示面の傾斜方向において反射を効果的に抑制することができる。
本発明では、第一硬化層が、第二硬化層に含まれる逆分散液晶性化合物の分子の傾斜角を大きくする配向膜として機能できる。そのため、第一硬化層の作用により、第二硬化層に含まれる逆分散液晶性化合物の分子の傾斜角を大きくできるので、第一硬化層及び第二硬化層を含む液晶硬化層全体としての逆分散液晶性化合物の分子の傾斜角を大きくすることができる。そして、このように第一硬化層の作用によって液晶硬化層全体としての逆分散液晶性化合物の分子の傾斜角が大きくできることが、第二硬化層に含まれる逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角が第一硬化層に含まれる逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角よりも大きいことに現れている。
ある層(液晶硬化層、第一硬化層、第二硬化層、第三硬化層等)における逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角は、後述する実施例に記載の測定方法で測定できる。後述する実施例に記載の測定方法によれば、その層が逆分散液晶性化合物以外の液晶性化合物を含んでいる場合でも、逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を測定することが可能である。
[2.逆分散液晶性化合物]
逆分散液晶性化合物は、液晶性を有する化合物であり、通常、当該逆分散液晶性化合物を配向させた場合に、液晶相を呈することができる化合物である。
また、逆分散液晶性化合物は、前記の通り、逆波長分散性の複屈折を発現できる液晶性化合物である。ここで、逆波長分散性の複屈折を発現できる液晶性化合物とは、当該液晶性化合物の層を形成し、その層において液晶性化合物を配向させた際に、逆波長分散性の複屈折を発現する液晶性化合物をいう。通常は、液晶性化合物をホモジニアス配向させた場合に、液晶性化合物の層が逆波長分散性の複屈折を示すかどうかを調べることで、その液晶性化合物が逆波長分散性の複屈折を発現するかどうかを確認できる。ここで、液晶性化合物をホモジニアス配向させる、とは、当該液晶性化合物を含む層を形成し、その層における液晶性化合物の分子のメソゲン骨格の長軸方向を、前記層の面に平行なある一の方向に配向させることをいう。液晶性化合物が配向方向の異なる複数種類のメソゲン骨格を含む場合は、それらのうち最も長い種類のメソゲンが配向する方向が、前記の配向方向となる。また、前記の層の複屈折は、「(層の面内レターデーション)÷(層の厚み)」から求められる。
逆分散液晶性化合物は、当該逆分散液晶性化合物の分子中に、主鎖メソゲンと、前記主鎖メソゲンに結合した側鎖メソゲンとを含む化合物でありうる。主鎖メソゲン及び側鎖メソゲンを含む前記の逆分散液晶性化合物は、当該逆分散液晶性化合物が配向した状態において、側鎖メソゲンが主鎖メソゲンと異なる方向に配向できる。そのため、このように配向した逆分散液晶性化合物の層においては、主鎖メソゲン及び側鎖メソゲンは、異なる方向に配向しうる。このような場合、その層の複屈折は主鎖メソゲンに対応する屈折率と側鎖メソゲンに対応する屈折率との差として発現するので、結果として、逆波長分散性の複屈折を発現できる。
逆分散液晶性化合物は、重合性を有することが好ましい。よって、逆分散液晶性化合物は、その分子が、アクリロイル基、メタクリロイル基、及びエポキシ基等の重合性基を含むことが好ましい。重合性を有する逆分散液晶性化合物は、液晶相を呈した状態で重合し、液晶相における分子の配向状態を維持したまま重合体となることができる。よって、液晶硬化層において逆分散液晶性化合物の配向状態を固定したり、液晶性化合物の重合度を高めて液晶硬化層の機械的強度を高めたりすることが可能である。
逆分散液晶性化合物の分子量は、好ましくは300以上、より好ましくは500以上、特に好ましくは800以上であり、好ましくは2000以下、より好ましくは1700以下、特に好ましくは1500以下である。このような範囲の分子量を有する逆分散液晶性化合物を用いることにより、液晶組成物の塗工性を特に良好にできる。
測定波長590nmにおける逆分散液晶性化合物の複屈折Δnは、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.03以上であり、好ましくは0.15以下、より好ましくは0.10以下である。このような範囲の複屈折Δnを有する逆分散液晶性化合物を用いることにより、逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角が大きい液晶硬化層を容易に得ることができる。さらに、通常は、このような範囲の複屈折Δnを有する逆分散液晶性化合物を用いることにより、配向欠陥の少ない液晶硬化層を得やすい。
液晶性化合物の複屈折は、例えば、下記の方法により測定できる。
液晶性化合物の膜を作成し、その膜に含まれる液晶性化合物をホモジニアス配向させる。その後、その膜の面内レターデーションを測定する。そして、「(膜の面内レターデーション)÷(膜の厚み)」から、液晶性化合物の複屈折を求めることができる。この際、面内レターデーション及び厚みの測定を容易にするために、ホモジニアス配向させた液晶性化合物の膜は、硬化させてもよい。
逆分散液晶性化合物は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
逆分散液晶性化合物の例としては、下記式(I)で表されるものが挙げられる。
Figure 2019116995
式(I)において、Arは、下記式(II−1)〜式(II−7)のいずれかで表される基を示す。式(II−1)〜式(II−7)において、*は、Z又はZとの結合位置を表す。
Figure 2019116995
前記の式(II−1)〜式(II−7)において、E及びEは、それぞれ独立して、−CR1112−、−S−、−NR11−、−CO−及び−O−からなる群より選ばれる基を表す。また、R11及びR12は、それぞれ独立して、水素原子、又は、炭素原子数1〜4のアルキル基を表す。中でも、E及びEは、それぞれ独立して、−S−であることが好ましい。
前記の式(II−1)〜式(II−7)において、D〜Dは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基、または、置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。D〜Dが表す基の炭素原子数(置換基の炭素原子数を含む。)は、それぞれ独立して、通常、2〜100である。
〜Dにおける芳香族炭化水素環基の炭素原子数は、6〜30が好ましい。D〜Dにおける炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。中でも、芳香族炭化水素環基としては、フェニル基がより好ましい。
〜Dにおける芳香族炭化水素環基が有しうる置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子等の、ハロゲン原子;シアノ基;メチル基、エチル基、プロピル基等の、炭素原子数1〜6のアルキル基;ビニル基、アリル基等の、炭素原子数2〜6のアルケニル基;トリフルオロメチル基等の、炭素原子数1〜6のハロゲン化アルキル基;ジメチルアミノ基等の、炭素原子数1〜12のN,N−ジアルキルアミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の、炭素原子数1〜6のアルコキシ基;ニトロ基;−OCF;−C(=O)−R;−O−C(=O)−R;−C(=O)−O−R;−SO;等が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
は、炭素原子数1〜6のアルキル基;並びに、炭素原子数1〜6のアルキル基若しくは炭素原子数1〜6のアルコキシ基を置換基として有していてもよい、炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素環基;からなる群より選ばれる基を表す。
は、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基;置換基を有していてもよい炭素原子数2〜20のアルケニル基;置換基を有していてもよい炭素原子数3〜12のシクロアルキル基;及び、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜12の芳香族炭化水素環基;からなる群より選ばれる基を表す。
における炭素原子数1〜20のアルキル基の炭素原子数は、好ましくは1〜12、より好ましくは4〜10である。Rにおける炭素原子数1〜20のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、1−メチルペンチル基、1−エチルペンチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−へキシル基、イソヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、およびn−イコシル基等が挙げられる。
における炭素原子数1〜20のアルキル基が有しうる置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子等の、ハロゲン原子;シアノ基;ジメチルアミノ基等の、炭素原子数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等の、炭素原子数1〜20のアルコキシ基;メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基等の、炭素原子数1〜12のアルコキシ基で置換された炭素原子数1〜12のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、ナフチル基等の、炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素環基;トリアゾリル基、ピロリル基、フラニル基、チエニル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾール−2−イルチオ基等の、炭素原子数2〜20の芳香族複素環基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の、炭素原子数3〜8のシクロアルキル基;シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等の、炭素原子数3〜8のシクロアルキルオキシ基;テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基、ジオキソラニル基、ジオキサニル基等の、炭素原子数2〜12の環状エーテル基;フェノキシ基、ナフトキシ基等の、炭素原子数6〜14のアリールオキシ基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、−CHCF等の、1個以上の水素原子がフッ素原子で置換された炭素原子数1〜12のフルオロアルキル基;ベンゾフリル基;ベンゾピラニル基;ベンゾジオキソリル基;及び、ベンゾジオキサニル基;等が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
における炭素原子数2〜20のアルケニル基の炭素原子数は、好ましくは2〜12である。Rにおける炭素原子数2〜20のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、ノナデセニル基、およびイコセニル基等が挙げられる。
における炭素原子数2〜20のアルケニル基が有しうる置換基としては、例えば、Rにおける炭素原子数1〜20のアルキル基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
における炭素原子数3〜12のシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、及びシクロオクチル基等が挙げられる。中でも、シクロアルキル基としては、シクロペンチル基、及びシクロヘキシル基が好ましい。
における炭素原子数3〜12のシクロアルキル基が有しうる置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子等の、ハロゲン原子;シアノ基;ジメチルアミノ基等の、炭素原子数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基;メチル基、エチル基、プロピル基等の、炭素原子数1〜6のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の、炭素原子数1〜6のアルコキシ基;ニトロ基;および、フェニル基、ナフチル基等の、炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素環基;等が挙げられる。中でも、シクロアルキル基の置換基としては、フッ素原子、塩素原子等の、ハロゲン原子;シアノ基;メチル基、エチル基、プロピル基等の、炭素原子数1〜6のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の、炭素原子数1〜6のアルコキシ基;ニトロ基;および、フェニル基、ナフチル基等の、炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素環基;が好ましい。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
における炭素原子数6〜12の芳香族炭化水素環基としては、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等が挙げられる。中でも、芳香族炭化水素環基としては、フェニル基が好ましい。
における炭素原子数6〜12の芳香族炭化水素環基が有しうる置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子等の、ハロゲン原子;シアノ基;ジメチルアミノ基等の、炭素原子数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等の、炭素原子数1〜20のアルコキシ基;メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基等の、炭素原子数1〜12のアルコキシ基で置換された炭素原子数1〜12のアルコキシ基;ニトロ基;トリアゾリル基、ピロリル基、フラニル基、チオフェニル基等の、炭素原子数2〜20の芳香族複素環基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の、炭素原子数3〜8のシクロアルキル基;シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等の、炭素原子数3〜8のシクロアルキルオキシ基;テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基、ジオキソラニル基、ジオキサニル基等の、炭素原子数2〜12の環状エーテル基;フェノキシ基、ナフトキシ基等の、炭素原子数6〜14のアリールオキシ基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、−CHCF等の、1個以上の水素原子がフッ素原子で置換された炭素原子数1〜12のフルオロアルキル基;−OCF;ベンゾフリル基;ベンゾピラニル基;ベンゾジオキソリル基;ベンゾジオキサニル基;等が挙げられる。中でも、芳香族炭化水素環基の置換基としては、フッ素原子、塩素原子等の、ハロゲン原子;シアノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等の、炭素原子数1〜20のアルコキシ基;ニトロ基;フラニル基、チオフェニル基等の、炭素原子数2〜20の芳香族複素環基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の、炭素原子数3〜8のシクロアルキル基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、−CHCF等の、1個以上の水素原子がフッ素原子で置換された炭素原子数1〜12のフルオロアルキル基;−OCF;が好ましい。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
〜Dにおける芳香族複素環基の炭素原子数は、2〜30が好ましい。D〜Dにおける炭素原子数2〜30の芳香族複素環基としては、例えば、1−ベンゾフラニル基、2−ベンゾフラニル基、イミダゾリル基、インドリニル基、フラザニル基、オキサゾリル基、キノリル基、チアジアゾリル基、チアゾリル基、チアゾロピラジニル基、チアゾロピリジル基、チアゾロピリダジニル基、チアゾロピリミジニル基、チエニル基、トリアジニル基、トリアゾリル基、ナフチリジニル基、ピラジニル基、ピラゾリル基、ピラニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピロリル基、フタラジニル基、フラニル基、ベンゾ[c]チエニル基、ベンゾ[b]チエニル基、ベンゾイソオキサゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサジアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアジアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾトリアジニル基、ベンゾトリアゾリル基、およびベンゾピラゾリル基等が挙げられる。中でも、芳香族複素環基としては、フラニル基、ピラニル基、チエニル基、オキサゾリル基、フラザニル基、チアゾリル基、及びチアジアゾリル基等の、単環の芳香族複素環基;並びに、ベンゾチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、キノリル基、1−ベンゾフラニル基、2−ベンゾフラニル基、フタルイミド基、ベンゾ[c]チエニル基、ベンゾ[b]チエニル基、チアゾロピリジル基、チアゾロピラジニル基、ベンゾイソオキサゾリル基、ベンゾオキサジアゾリル基、及びベンゾチアジアゾリル基等の、縮合環の芳香族複素環基;がより好ましい。
〜Dにおける芳香族複素環基が有しうる置換基としては、例えば、D〜Dにおける芳香族炭化水素環基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
前記の式(II−1)〜式(II−7)において、D〜Dは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい非環状基を表す。D及びDは、一緒になって環を形成していてもよい。D〜Dが表す基の炭素原子数(置換基の炭素原子数を含む。)は、それぞれ独立して、通常、1〜100である。
〜Dにおける非環状基の炭素原子数は、1〜13が好ましい。D〜Dにおける非環状基としては、例えば、炭素原子数1〜6のアルキル基;シアノ基;カルボキシル基;炭素原子数1〜6のフルオロアルキル基;炭素原子数1〜6のアルコキシ基;−C(=O)−CH;−C(=O)NHPh;−C(=O)−OR;が挙げられる。中でも、非環状基としては、シアノ基、カルボキシル基、−C(=O)−CH、−C(=O)NHPh、−C(=O)−OC、−C(=O)−OC、−C(=O)−OCH(CH、−C(=O)−OCHCHCH(CH)−OCH、−C(=O)−OCHCHC(CH−OH、及び−C(=O)−OCHCH(CHCH)−C、が好ましい。前記のPhは、フェニル基を表す。また、前記のRは、炭素原子数1〜12の有機基を表す。Rの具体例としては、炭素原子数1〜12のアルコキシ基、または、水酸基で置換されていてもよい炭素原子数1〜12のアルキル基が挙げられる。
〜Dにおける非環状基が有しうる置換基としては、例えば、D〜Dにおける芳香族炭化水素環基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
及びDが一緒になって環を形成している場合、前記のD及びDによって環を含む有機基が形成される。この有機基としては、例えば、下記式で表される基が挙げられる。下記式において、*は、各有機基が、D及びDが結合する炭素と結合する位置を表す。
Figure 2019116995
は、炭素原子数1〜3のアルキル基を表す。
**は、炭素原子数1〜3のアルキル基、及び、置換基を有していてもよいフェニル基からなる群より選ばれる基を表す。
***は、炭素原子数1〜3のアルキル基、及び、置換基を有していてもよいフェニル基からなる群より選ばれる基を表す。
****は、水素原子、炭素原子数1〜3のアルキル基、水酸基、及び、−COOR13からなる群より選ばれる基を表す。R13は、炭素原子数1〜3のアルキル基を表す。
フェニル基が有しうる置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、シアノ基及びアミノ基が挙げられる。中でも、置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、シアノ基及びアルコキシ基が好ましい。フェニル基が有する置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
前記の式(II−1)〜式(II−7)において、Dは、−C(R)=N−N(R)R、−C(R)=N−N=C(R)R、及び、−C(R)=N−N=Rからなる群より選ばれる基を表す。Dが表す基の炭素原子数(置換基の炭素原子数を含む。)は、通常、3〜100である。
は、水素原子;並びに、メチル基、エチル基、プロピル基、及びイソプロピル基等の、炭素原子数1〜6のアルキル基;からなる群より選ばれる基を表す。
は、水素原子;並びに、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜30の有機基;からなる群より選ばれる基を表す。
における置換基を有していてもよい炭素原子数1〜30の有機基としては、例えば、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基;炭素原子数1〜20のアルキル基に含まれる−CH−の少なくとも一つが、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、又は、−C(=O)−に置換された基(ただし、−O−または−S−がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く);置換基を有していてもよい炭素原子数2〜20のアルケニル基;置換基を有していてもよい炭素原子数2〜20のアルキニル基;置換基を有していてもよい炭素原子数3〜12のシクロアルキル基;置換基を有していてもよい炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環基;置換基を有していてもよい炭素原子数2〜30の芳香族複素環基;−SO;−C(=O)−R;−CS−NH−R;が挙げられる。R及びRの意味は、上述した通りである。
における炭素原子数1〜20のアルキル基の好ましい炭素原子数の範囲及び例示物は、Rにおける炭素原子数1〜20のアルキル基と同じである。
における炭素原子数1〜20のアルキル基が有しうる置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子等の、ハロゲン原子;シアノ基;ジメチルアミノ基等の、炭素原子数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等の、炭素原子数1〜20のアルコキシ基;メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基等の、炭素原子数1〜12のアルコキシ基で置換された炭素原子数1〜12のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、ナフチル基等の、炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素環基;トリアゾリル基、ピロリル基、フラニル基、チオフェニル基等の、炭素原子数2〜20の芳香族複素環基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の、炭素原子数3〜8のシクロアルキル基;シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等の、炭素原子数3〜8のシクロアルキルオキシ基;テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基、ジオキソラニル基、ジオキサニル基等の、炭素原子数2〜12の環状エーテル基;フェノキシ基、ナフトキシ基等の、炭素原子数6〜14のアリールオキシ基;1個以上の水素原子がフッ素原子で置換された炭素原子数1〜12のフルオロアキル基;ベンゾフリル基;ベンゾピラニル基;ベンゾジオキソリル基;ベンゾジオキサニル基;−SO;−SR;−SRで置換された炭素原子数1〜12のアルコキシ基;水酸基;等が挙げられる。R及びRの意味は、上述した通りである。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
における炭素原子数2〜20のアルケニル基の好ましい炭素原子数の範囲及び例示物は、Rにおける炭素原子数2〜20のアルケニル基と同じである。
における炭素原子数2〜20のアルケニル基が有しうる置換基としては、例えば、Rにおける炭素原子数1〜20のアルキル基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
における炭素原子数2〜20のアルキニル基としては、例えば、エチニル基、プロピニル基、2−プロピニル基(プロパルギル基)、ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、ペンチニル基、2−ペンチニル基、ヘキシニル基、5−ヘキシニル基、ヘプチニル基、オクチニル基、2−オクチニル基、ノナニル基、デカニル基、7−デカニル基等が挙げられる。
における炭素原子数2〜20のアルキニル基が有しうる置換基としては、例えば、Rにおける炭素原子数1〜20のアルキル基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
における炭素原子数3〜12のシクロアルキル基としては、例えば、Rにおける炭素原子数3〜12のシクロアルキル基と同じ例が挙げられる。
における炭素原子数3〜12のシクロアルキル基が有しうる置換基としては、例えば、Rにおける炭素原子数1〜20のアルキル基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
における炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環基としては、例えば、D〜Dにおける炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環基と同じ例が挙げられる。
における炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環基が有しうる置換基としては、例えば、D〜Dにおける芳香族炭化水素環基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
における炭素原子数2〜30の芳香族複素環基としては、例えば、D〜Dにおける炭素原子数2〜30の芳香族複素環基と同じ例が挙げられる。
における炭素原子数2〜30の芳香族複素環基が有しうる置換基としては、例えば、D〜Dにおける芳香族炭化水素環基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
上述したものの中でも、Rとしては、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基;炭素原子数1〜20のアルキル基に含まれる−CH−の少なくとも一つが、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、または、−C(=O)−に置換された基(ただし、−O−または−S−がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く);置換基を有していてもよい炭素原子数3〜12のシクロアルキル基;置換基を有していてもよい炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環基;並びに、置換基を有していてもよい炭素原子数2〜30の芳香族複素環基;が好ましい。その中でも、Rとしては、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基;並びに、炭素原子数1〜20のアルキル基に含まれる−CH−の少なくとも一つが、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、または、−C(=O)−に置換された基(ただし、−O−または−S−がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く);が特に好ましい。
は、炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環及び炭素原子数2〜30の芳香族複素環からなる群より選ばれる1以上の芳香環を有する、有機基を表す。
の好ましい例としては、(1)1以上の炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環を有する、炭素原子数6〜40の炭化水素環基、が挙げられる。この芳香族炭化水素環を有する炭化水素環基を、以下、適宜「(1)炭化水素環基」ということがある。(1)炭化水素環基の具体例としては、下記の基が挙げられる。
Figure 2019116995
(1)炭化水素環基は、置換基を有していてもよい。(1)炭化水素環基が有しうる置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子等の、ハロゲン原子;シアノ基;メチル基、エチル基、プロピル基等の、炭素原子数1〜6のアルキル基;ビニル基、アリル基等の、炭素原子数2〜6のアルケニル基;トリフルオロメチル基等の、炭素原子数1〜6のハロゲン化アルキル基;ジメチルアミノ基等の、炭素原子数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の、炭素原子数1〜6のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、ナフチル基等の、炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素環基;−OCF;−C(=O)−R;−O−C(=O)−R;−C(=O)−O−R;−SO;等が挙げられる。R及びRの意味は、上述した通りである。これらの中でも、ハロゲン原子、シアノ基、炭素原子数1〜6のアルキル基、および、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、が好ましい。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
の別の好ましい例としては、(2)炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環及び炭素原子数2〜30の芳香族複素環からなる群より選ばれる1以上の芳香環を有する、炭素原子数2〜40の複素環基が挙げられる。この芳香環を有する複素環基を、以下、適宜「(2)複素環基」ということがある。(2)複素環基の具体例としては、下記の基が挙げられる。Rは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1〜6のアルキル基を表す。
Figure 2019116995
Figure 2019116995
Figure 2019116995
Figure 2019116995
Figure 2019116995
Figure 2019116995
Figure 2019116995
Figure 2019116995
(2)複素環基は、置換基を有していてもよい。(2)複素環基が有しうる置換基としては、例えば、(1)炭化水素環基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
の更に別の好ましい例としては、(3)炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環基及び炭素原子数2〜30の芳香族複素環基からなる群より選ばれる1以上の基で置換された、炭素原子数1〜12のアルキル基が挙げられる。この置換されたアルキル基を、以下、適宜「(3)置換アルキル基」ということがある。
(3)置換アルキル基における「炭素原子数1〜12のアルキル基」としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基などが挙げられる。
(3)置換アルキル基における「炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環基」としては、例えば、D〜Dにおける炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環基と同じ例が挙げられる。
(3)置換アルキル基における「炭素原子数2〜30の芳香族複素環基」としては、例えば、D〜Dにおける炭素原子数2〜30の芳香族複素環基と同じ例が挙げられる。
(3)置換アルキル基は、更に置換基を有していてもよい。(3)置換アルキル基が有しうる置換基としては、例えば、(1)炭化水素環基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
の更に別の好ましい例としては、(4)炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環基及び炭素原子数2〜30の芳香族複素環基からなる群より選ばれる1以上の基で置換された、炭素原子数2〜12のアルケニル基が挙げられる。この置換されたアルケニル基を、以下、適宜「(4)置換アルケニル基」ということがある。
(4)置換アルケニル基における「炭素原子数2〜12のアルケニル基」としては、例えば、ビニル基、アリル基などが挙げられる。
(4)置換アルケニル基における「炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環基」としては、例えば、D〜Dにおける炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環基と同じ例が挙げられる。
(4)置換アルケニル基における「炭素原子数2〜30の芳香族複素環基」としては、例えば、D〜Dにおける炭素原子数2〜30の芳香族複素環基と同じ例が挙げられる。
(4)置換アルケニル基は、更に置換基を有していてもよい。(4)置換アルケニル基が有しうる置換基としては、例えば、(1)炭化水素環基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
の更に別の好ましい例としては、(5)炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環基及び炭素原子数2〜30の芳香族複素環基からなる群より選ばれる1以上の基で置換された、炭素原子数2〜12のアルキニル基が挙げられる。この置換されたアルキニル基を、以下、適宜「(5)置換アルキニル基」ということがある。
(5)置換アルキニル基における「炭素原子数2〜12のアルキニル基」としては、例えば、エチニル基、プロピニル基などが挙げられる。
(5)置換アルキニル基における「炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環基」としては、例えば、D〜Dにおける炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環基と同じ例が挙げられる。
(5)置換アルキニル基における「炭素原子数2〜30の芳香族複素環基」としては、例えば、D〜Dにおける炭素原子数2〜30の芳香族複素環基と同じ例が挙げられる。
(5)置換アルキニル基は、更に置換基を有していてもよい。(5)置換アルキニル基が有しうる置換基としては、例えば、(1)炭化水素環基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
の好ましい具体例としては、下記の基が挙げられる。
Figure 2019116995
の更に好ましい具体例としては、下記の基が挙げられる。
Figure 2019116995
の特に好ましい具体例としては、下記の基が挙げられる。
Figure 2019116995
上述したRの具体例は、更に置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子等の、ハロゲン原子;シアノ基;メチル基、エチル基、プロピル基等の、炭素原子数1〜6のアルキル基;ビニル基、アリル基等の、炭素原子数2〜6のアルケニル基;トリフルオロメチル基等の、炭素原子数1〜6のハロゲン化アルキル基;ジメチルアミノ基等の、炭素原子数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の、炭素原子数1〜6のアルコキシ基;ニトロ基;−OCF;−C(=O)−R;−O−C(=O)−R;−C(=O)−O−R;−SO;等が挙げられる。R及びRの意味は、上述した通りである。これらの中でも、ハロゲン原子、シアノ基、炭素原子数1〜6のアルキル基、および、炭素原子数1〜6のアルコキシ基が好ましい。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
は、炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環及び炭素原子数2〜30の芳香族複素環からなる群より選ばれる1以上の芳香環を有する、有機基を表す。
の好ましい例としては、1以上の炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環を有する、炭素原子数6〜40の炭化水素環基が挙げられる。
また、Rの別の好ましい例としては、炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環及び炭素原子数2〜30の芳香族複素環からなる群より選ばれる1以上の芳香環を有する、炭素原子数2〜40の複素環基が挙げられる。
の特に好ましい具体例としては、下記の基が挙げられる。Rの意味は、上述した通りである。
Figure 2019116995
式(II−1)〜式(II−7)のいずれかで表される基は、D〜D以外に更に置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1〜6のN−アルキルアミノ基、炭素原子数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、炭素原子数1〜6のアルキルスルフィニル基、カルボキシル基、炭素原子数1〜6のチオアルキル基、炭素原子数1〜6のN−アルキルスルファモイル基、炭素原子数2〜12のN,N−ジアルキルスルファモイル基が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
式(I)におけるArの好ましい例としては、下記の式(III−1)〜式(III−10)で表される基が挙げられる。また、式(III−1)〜式(III−10)で表される基は、置換基として炭素原子数1〜6のアルキル基を有していてもよい。下記式中、*は、結合位置を表す。
Figure 2019116995
式(III−1)及び式(III−4)の特に好ましい具体例としては、下記の基が挙げられる。下記式中、*は、結合位置を表す。
Figure 2019116995
Figure 2019116995
Figure 2019116995
Figure 2019116995
Figure 2019116995
式(I)において、Z及びZは、それぞれ独立して、単結合、−O−、−O−CH−、−CH−O−、−O−CH−CH−、−CH−CH−O−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−C(=O)−S−、−S−C(=O)−、−NR21−C(=O)−、−C(=O)−NR21−、−CF−O−、−O−CF−、−CH−CH−、−CF−CF−、−O−CH−CH−O−、−CH=CH−C(=O)−O−、−O−C(=O)−CH=CH−、−CH−C(=O)−O−、−O−C(=O)−CH−、−CH−O−C(=O)−、−C(=O)−O−CH−、−CH−CH−C(=O)−O−、−O−C(=O)−CH−CH−、−CH−CH−O−C(=O)−、−C(=O)−O−CH−CH−、−CH=CH−、−N=CH−、−CH=N−、−N=C(CH)−、−C(CH)=N−、−N=N−、及び、−C≡C−、からなる群より選ばれるいずれかを表す。R21は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1〜6のアルキル基を表す。
式(I)において、A、A、B及びBは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい環状脂肪族基、及び、置換基を有していてもよい芳香族基、からなる群より選ばれる基を表す。A、A、B及びBが表す基の炭素原子数(置換基の炭素原子数を含む。)は、それぞれ独立して、通常、3〜100である。中でも、A、A、B及びBは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭素原子数5〜20の環状脂肪族基、または、置換基を有していてもよい炭素原子数2〜20の芳香族基が好ましい。
、A、B及びBにおける環状脂肪族基としては、例えば、シクロペンタン−1,3−ジイル基、シクロヘキサン−1,4−ジイル基、1,4−シクロヘプタン−1,4−ジイル基、シクロオクタン−1,5−ジイル基等の、炭素原子数5〜20のシクロアルカンジイル基;デカヒドロナフタレン−1,5−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基等の、炭素原子数5〜20のビシクロアルカンジイル基;等が挙げられる。中でも、置換されていてもよい炭素原子数5〜20のシクロアルカンジイル基が好ましく、シクロヘキサンジイル基がより好ましく、シクロヘキサン−1,4−ジイル基が特に好ましい。環状脂肪族基は、トランス体であってもよく、シス体であってもよく、シス体とトランス体との混合物であってもよい。中でも、トランス体がより好ましい。
、A、B及びBにおける環状脂肪族基が有しうる置換基としては、例えば、ハロゲン原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基等が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
、A、B及びBにおける芳香族基としては、例えば、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、1,4−ナフチレン基、1,5−ナフチレン基、2,6−ナフチレン基、4,4’−ビフェニレン基等の、炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素環基;フラン−2,5−ジイル基、チオフェン−2,5−ジイル基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピラジン−2,5−ジイル基等の、炭素原子数2〜20の芳香族複素環基;等が挙げられる。中でも、炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素環基が好ましく、フェニレン基がさらに好ましく、1,4−フェニレン基が特に好ましい。
、A、B及びBにおける芳香族基が有しうる置換基としては、例えば、A、A、B及びBにおける環状脂肪族基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
式(I)において、Y〜Yは、それぞれ独立して、単結合、−O−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−NR22−C(=O)−、−C(=O)−NR22−、−O−C(=O)−O−、−NR22−C(=O)−O−、−O−C(=O)−NR22−、及び、−NR22−C(=O)−NR23−、からなる群より選ばれるいずれかを表す。R22及びR23は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1〜6のアルキル基を表す。
式(I)において、G及びGは、それぞれ独立して、炭素原子数1〜20の脂肪族炭化水素基;並びに、炭素原子数3〜20の脂肪族炭化水素基に含まれるメチレン基(−CH−)の1以上が−O−又は−C(=O)−に置換された基;からなる群より選ばれる有機基を表す。G及びGの前記有機基に含まれる水素原子は、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、または、ハロゲン原子に置換されていてもよい。ただし、G及びGの両末端のメチレン基(−CH−)が−O−又は−C(=O)−に置換されることはない。
及びGにおける炭素原子数1〜20の脂肪族炭化水素基の具体例としては、炭素原子数1〜20のアルキレン基が挙げられる。
及びGにおける炭素原子数3〜20の脂肪族炭化水素基の具体例としては、炭素原子数3〜20のアルキレン基が挙げられる。
式(I)において、P及びPは、それぞれ独立して、重合性基を表す。P及びPにおける重合性基としては、例えば、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基等の、CH=CR31−C(=O)−O−で表される基;ビニル基;ビニルエーテル基;p−スチルベン基;アクリロイル基;メタクリロイル基;カルボキシル基;メチルカルボニル基;水酸基;アミド基;炭素原子数1〜4のアルキルアミノ基;アミノ基;エポキシ基;オキセタニル基;アルデヒド基;イソシアネート基;チオイソシアネート基;等が挙げられる。R31は、水素原子、メチル基、又は塩素原子を表す。中でも、CH=CR31−C(=O)−O−で表される基が好ましく、CH=CH−C(=O)−O−(アクリロイルオキシ基)、CH=C(CH)−C(=O)−O−(メタクリロイルオキシ基)がより好ましく、アクリロイルオキシ基が特に好ましい。
式(I)において、p及びqは、それぞれ独立して、0又は1を表す。
式(I)で表される逆分散液晶性化合物は、例えば、国際公開第2012/147904号に記載される、ヒドラジン化合物とカルボニル化合物との反応により製造しうる。
[3.液晶組成物]
液晶組成物は、逆分散液晶性化合物を含み、更に、必要に応じて任意の成分を含む。任意の成分は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組合わせて用いてもよい。
通常、液晶組成物は重合によって硬化できるので、液晶組成物は、任意の成分として重合開始剤を含む。重合開始剤の種類は、液晶組成物に含まれる重合性の化合物の種類に応じて選択しうる。例えば、重合性の化合物がラジカル重合性であれば、ラジカル重合開始剤を使用しうる。また、重合性の化合物がアニオン重合性であれば、アニオン重合開始剤を使用しうる。さらに、重合性の化合物がカチオン重合性であれば、カチオン重合開始剤を使用しうる。重合開始剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
重合開始剤の量は、逆分散液晶性化合物100重量部に対して、好ましくは0.1重量部以上、より好ましくは0.5重量部以上であり、好ましくは30重量部以下、より好ましくは10重量部以下である。重合開始剤の量が前記範囲に収まることにより、重合を効率的に進行させることができる。
液晶組成物は、任意の成分として、界面活性剤を含んでいてもよい。特に、所望の液晶硬化層を安定して得る観点から、界面活性剤としては、分子中にフッ素原子を含む界面活性剤が好ましい。以下の説明において、分子中にフッ素原子を含む界面活性剤を、適宜「フッ素系界面活性剤」ということがある。
フッ素系界面活性剤はノニオン系界面活性剤であることが好ましい。フッ素系界面活性剤がイオン性基を含まないノニオン系界面活性剤である場合に、液晶硬化層の面状態及び配向性を、特に良好にすることができる。
フッ素系界面活性剤は、重合性を有さなくてもよく、重合性を有していてもよい。重合性を有するフッ素系界面活性剤は、液晶組成物の層を硬化させる工程で重合できるので、通常は、液晶硬化層においては重合体の分子の一部に含まれる。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、AGCセイミケミカル社製のサーフロンシリーズ(S420など)、ネオス社製のフタージェントシリーズ(251、FTX−212M、FTX−215M、FTX−209など)、DIC社製のメガファックシリーズ(F−444など)等が挙げられる。また、フッ素系界面活性剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
フッ素系界面活性剤の量は、逆分散液晶性化合物100重量部に対して、好ましくは0.03重量部以上、より好ましくは0.05重量部以上であり、好ましくは0.50重量部以下、より好ましくは0.30重量部以下である。フッ素系界面活性剤の量が前記の範囲にあることにより、液晶硬化層における逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を効果的に大きくできる。
液晶組成物は、任意の成分として、溶媒を含んでいてもよい。溶媒としては、逆分散液晶性化合物を溶解できるものが好ましい。このような溶媒としては、通常、有機溶媒を用いる。有機溶媒の例としては、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン等のケトン溶媒;酢酸ブチル、酢酸アミル等の酢酸エステル溶媒;クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素溶媒;1,4−ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3−ジオキソラン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル溶媒;及びトルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素系溶媒;が挙げられる。また、溶媒は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
溶媒の沸点は、取り扱い性に優れる観点から、好ましくは60℃〜250℃、より好ましくは60℃〜150℃である。
溶媒の量は、逆分散液晶性化合物100重量部に対して、好ましくは200重量部以上、より好ましくは250重量部以上、特に好ましくは300重量部以上であり、好ましくは650重量部以下、より好ましくは550重量部以下、特に好ましくは450重量部以下である。溶媒の量を、前記範囲の下限値以上にすることにより異物発生の抑制ができ、前記範囲の上限値以下にすることにより乾燥負荷の低減ができる。
また、液晶組成物は、液晶硬化層における逆分散液晶性化合物の分子の大きな傾斜角を容易に実現させるために、任意の成分として、逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を大きくする作用を発揮できる傾斜作用成分を含んでいてもよい。この傾斜作用成分の役割は、下記の通りである。
後述する本発明の一実施形態である液晶硬化フィルムの製造方法では、第一硬化層を形成した後で、当該第一硬化層上に第二硬化層を形成する。この際、通常は、先に形成される第一硬化層での逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角よりも、次に形成される第二硬化層での逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角が大きいので、これら2層を合わせた全体の逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を大きくでき、その結果、液晶硬化層全体として大きい傾斜角を達成できる。このとき、第一硬化層での逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角が大きい方が、液晶硬化層全体として逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を大きくしやすい。しかし、多くの逆分散液晶性化合物は、それ単独で配向させても小さい傾斜角しか得られない。よって、第一硬化層での逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を大きくする観点から、逆分散液晶性化合物の分子の傾斜を促進できる傾斜作用成分を用いてもよい。また、傾斜作用成分を用いれば、第二硬化層及び当該第二硬化層上に更に形成される層においても、逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を大きくし易い。ただし、逆分散液晶性化合物の分子の傾斜の促進は、液晶硬化層を形成する工程において操作又は条件を調整することによっても可能であるので、傾斜作用成分は必ずしも用いなくても構わない。
傾斜作用成分としては、例えば、傾斜配向性を有する順分散液晶性化合物が挙げられる。ここで、「順分散液晶性化合物」とは、順波長分散性の複屈折を発現できる液晶性化合物をいう。また、「傾斜配向性を有する順分散液晶性化合物」とは、樹脂フィルムのラビング処理面に、液晶性化合物として順分散液晶性化合物を単独で含む組成物を塗工し配向処理を施して試験層を得た場合に、その試験層における順分散液晶性化合物の分子が層平面に対してなす実質最大傾斜角が、30°以上となることができる順分散液晶性化合物をいう。このように傾斜配向性を有する順分散液晶性化合物は、4.8以上6.7以下のlogPを有するフッ素系界面活性剤と組み合わせて用いることにより、液晶硬化層における逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を大きくする作用を発揮できる。
ここで「logP」とは、1−オクタノール/水分配係数のことをいう。フッ素系界面活性剤のlogPは、下記の測定方法によって測定できる。
フッ素系界面活性剤を1重量%含む試料溶液を調製し、JIS 7260−117:2006{分配係数(1−オクタノール/水)の測定−高速液体クロマトグラフィー}に概ね準拠した方法で、HPLC/ELSD分析(高速液体クロマトグラフィー/蒸発光散乱検出分析)を行って、溶出時間(r.t.)を測定する。他方、JIS 7260−117:2006に記載のある、logPの値が既知の標識化合物に、前記フッ素系界面活性剤と同様にして、HPLC/ELSD分析を行い、溶出時間(r.t.)を測定する。標識化合物の測定結果に基づいて、溶出時間とlogPとの関係を示す検量線を作成する。その後、フッ素系界面活性剤について測定された溶出時間を、前記の検量線に当てはめることにより、フッ素系界面活性剤のlogPを求める。
傾斜配向性を有する順分散液晶性化合物としては、例えば、下記の化合物が挙げられる。また、傾斜配向性を有する順分散液晶性化合物を含む液晶組成物については、特開2018−162379号公報及び特願2017−060154号の明細書の記載を参照してよい。
Figure 2019116995
傾斜配向性を有する順分散液晶性化合物の量は、逆分散液晶性化合物と傾斜配向性を有する順分散液晶性化合物との合計100重量部に対して、好ましくは1重量部以上、より好ましくは5重量部以上、さらに好ましくは10重量部以上であり、好ましくは25重量部以下、より好ましくは20重量部以下である。このような量の傾斜配向性を有する順分散液晶性化合物を用いることにより、逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角が大きく、且つ、配向欠陥の少ない液晶硬化層を、容易に得ることができる。
傾斜作用成分としては、例えば、分子量Mwとπ電子数Npとの比Mw/Npが17以上70以下である(メタ)アクリル酸エステル化合物が挙げられる。この(メタ)アクリル酸エステル化合物の分子量Mwとπ電子数Npとの比Mw/Npは、詳細には、通常17以上、好ましくは23以上であり、通常70以下、好ましくは50以下である。この(メタ)アクリル酸エステル化合物は、フッ素系界面活性剤と組み合わせて用いることにより、液晶硬化層における逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を大きくする作用を発揮できる。
化合物の1分子当たりのπ電子数は、その化合物に含まれる不飽和結合の種類及び数に基づいて求められる。不飽和結合それぞれに含まれるπ電子数の例を挙げると、脂肪族性又は芳香族性の炭素−炭素二重結合(C=C)に含まれるπ電子数は2個、炭素−炭素三重結合(C≡C)に含まれるπ電子数は4個、炭素−窒素二重結合(C=N)に含まれるπ電子数は2個、炭素−窒素三重結合(C≡N)に含まれるπ電子数は4個、窒素−窒素二重結合(N=N)に含まれるπ電子数は2個である。
前記の(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、例えば、下記のものが挙げられる。また、前記の(メタ)アクリル酸エステル化合物を含む液晶組成物については、国際公開第2018/173778号及び特願2017−060122号の明細書の記載を参照してよい。
Figure 2019116995
Figure 2019116995
前記の(メタ)アクリル酸エステル化合物の量は、逆分散液晶性化合物及び(メタ)アクリル酸エステル化合物の合計100重量部に対して、好ましくは1重量部以上、より好ましくは5重量部以上であり、好ましくは30重量部以下、より好ましくは20重量部以下である。(メタ)アクリル酸エステル化合物の量を前記の範囲に収めることにより、液晶硬化層における逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を大きくする作用を発揮できる。
また、前記の(メタ)アクリル酸エステル化合物は、フッ素系界面活性剤と組み合わせて用いることが好ましい。この際、フッ素系界面活性剤の量は、逆分散液晶性化合物及び(メタ)アクリル酸エステル化合物の合計100重量部に対して、通常0.11重量部以上、好ましくは0.12重量部以上であり、通常0.29重量部以下、好ましくは0.25重量部以下、より好ましくは0.20重量部以下である。フッ素系界面活性剤の量が前記の範囲にあることにより、逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角が大きく、且つ、配向欠陥の少ない液晶硬化層を、容易に得ることができる。
傾斜作用成分としては、例えば、磁場応答性を有する液晶性化合物が挙げられる。ここで、「磁場応答性を有する液晶性化合物」とは、液晶化温度において磁界を印加された場合に、その磁界によって配向状態が変化できる液晶性化合物である。磁場応答性を有する液晶性化合物を含む液晶組成物は、その配向処理の際に適切に磁界を印加されることにより、液晶硬化層における逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を大きくする作用を発揮できる。
磁場応答性を有する液晶性化合物としては、例えば、下記のものが挙げられる。また、磁場応答性を有する液晶性化合物を含む液晶組成物については、特開2018−163218号公報及び特願2017−059327号の明細書の記載を参照してよい。
Figure 2019116995
磁場応答性を有する液晶性化合物の量は、磁場応答性を有する液晶性化合物と逆分散液晶性化合物との合計100重量部に対して、好ましくは0.1重量部以上、より好ましくは1重量部以上、特に好ましくは3重量部以上であり、好ましくは40重量部以下、より好ましくは30重量部以下、特に好ましくは20重量部以下である。磁場応答性を有する液晶性化合物の量を前記の範囲に収めることにより、逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角が大きく、且つ、配向欠陥の少ない液晶硬化層を、容易に得ることができる。
液晶組成物が含みうる任意のその他の成分としては、例えば、金属;金属錯体;酸化チタン等の金属酸化物;染料、顔料等の着色剤;蛍光材料、燐光材料等の発光材料;レベリング剤;チキソ剤;ゲル化剤;多糖類;紫外線吸収剤;赤外線吸収剤;抗酸化剤;イオン交換樹脂;等が挙げられる。これらの成分の量は、逆分散液晶性化合物の合計100重量部に対して、各々0.1重量部〜20重量部としうる。
[4.液晶硬化層]
液晶硬化層は、上述した液晶組成物を硬化した硬化物の層である。前記の液晶組成物の硬化は、通常、当該液晶組成物が含む重合性の化合物の重合によって達成される。よって、液晶硬化層は、通常、液晶組成物が含んでいた成分の一部又は全部の重合体を含む。例えば、逆分散液晶性化合物が重合性を有する場合、その逆分散液晶性化合物が重合するので、液晶硬化層は、重合前の配向状態を維持したまま重合した逆分散液晶性化合物の重合体を含む層でありうる。前述のように、この重合した逆分散液晶性化合物も、用語「液晶硬化層に含まれる逆分散液晶性化合物」に含める。
液晶組成物の硬化物においては、硬化前の流動性が失われるので、通常、逆分散液晶性化合物の配向状態は、硬化前の配向状態のまま、固定されている。そして、この液晶硬化層に含まれる逆分散液晶性化合物の少なくとも一部の分子が、当該液晶硬化層の層平面に対して(即ち面内方向に対して)傾斜している。
液晶硬化層は、第一硬化層及び第二硬化層等の複数の層を含む複層構造を有する。以下の説明では、最終的に得られる液晶硬化層と区別するため、この液晶硬化層に含まれる部分としての層を、適宜「単位硬化層」と呼ぶことがある。このような複層構造は、通常、液晶硬化層の製造方法に起因して生じる。
第一硬化層及び第二硬化層等の複数の単位硬化層を含む液晶硬化層において、その液晶硬化層に含まれる各単位硬化層は、下記の方法によって区別できる。
液晶硬化層を、エポキシ樹脂で包埋して、試料片を得る。この試料片を、ミクロトームを用いて、液晶硬化層の厚み方向に平行にスライスして、観察サンプルを得る。この際、スライスは、液晶硬化層の面内遅相軸方向と断面とが平行となるように行う。その後、スライスにより現れた断面を、偏光顕微鏡を用いて観察する。この観察は、観察サンプルと偏光顕微鏡の対物レンズとの間に波長板を挿入して、観察サンプルのレターデーションに応じた色を呈した像が見られるように行う。このとき、色が異なる部分を、単位硬化層と単位硬化層との境目として確認し、各単位硬化層を区別できる。
以下、液晶硬化層の層構造の例を説明する。
図2は、本発明の第一実施形態に係る液晶硬化フィルムが含む液晶硬化層100の模式的な断面図である。例えば、液晶硬化層100は、図2に示すように、第一硬化層110と、この第一硬化層110に直接に接した第二硬化層120とを含んでいてもよい。このような液晶硬化層100は、第一硬化層110を形成する工程の後で、その第一硬化層110の表面110Uに第二硬化層120を形成する工程を行って、製造できる。
図3は、本発明の第二実施形態に係る液晶硬化フィルムが含む液晶硬化層200の模式的な断面図である。例えば、液晶硬化層200は、図3に示すように、第一硬化層110と、この第一硬化層110に直接に接した第二硬化層120と、この第二硬化層120に直接に接した第三硬化層230とを、当該液晶硬化層200の厚み方向においてこの順に含んでいてもよい。このような液晶硬化層200は、第一硬化層110を形成する工程の後で、その第一硬化層110の表面110Uに第二硬化層120を形成する工程を行い、更にその後で第二硬化層120の表面120Uに第三硬化層230を形成する工程を行って、製造できる。
前記のように複層構造を有する液晶硬化層では、通常、第一硬化層に近い単位硬化層ほど当該単位硬化層における逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角が小さく、第一硬化層から遠い単位硬化層ほど当該単位硬化層における逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角が大きい傾向がある。そのため、液晶硬化層では、第二硬化層に含まれる逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角が、第一硬化層に含まれる逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角よりも大きくなっている。このような液晶硬化層では、通常、逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角が小さい単位硬化層は、先に形成された単位硬化層であり、逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角が大きい単位硬化層は、後に形成された単位硬化層である。
よって、図2に示す第一実施形態としての液晶硬化層100では、第二硬化層120における逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角が、第一硬化層110における逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角よりも、大きい。前記の実質最大傾斜角の大小関係は、下記の方法によって確認できる。第一硬化層110及び第二硬化層120を含む液晶硬化層100全体の逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角と、第一硬化層110単独における逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角とを用いて、第二硬化層120単独における逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を算出する。そして、第一硬化層110単独における逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角と、第二硬化層120単独における逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角とを比べる。これにより、第一硬化層110における逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角と第二硬化層120における逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角との大小関係を確認できる。この際、第一硬化層110単独における逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角は、液晶硬化層100の形成過程において測定できる。
また、図3に示す第二実施形態としての液晶硬化層200では、第三硬化層230における逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角が、通常、第二硬化層120における逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角より大きく、第二硬化層120における逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角は、第一硬化層110における逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角よりも大きい。さらに、好ましくは、第三硬化層230における逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角は、その第三硬化層230よりも前に形成された層部分(即ち、第一硬化層110及び第二硬化層120からなる層部分)240における逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角よりも、大きい。前記の実質最大傾斜角の大小関係は、下記の方法によって確認できる。第一硬化層110、第二硬化層120及び第三硬化層230を含む液晶硬化層200全体の逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角と、第一硬化層110単独における逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角と、第二硬化層120単独における逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角とを用いて、第三硬化層230単独における逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を算出する。そして、第一硬化層110単独における逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角と、第二硬化層120単独における逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角と、第三硬化層230単独における逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角とを比べる。これにより、第一硬化層110、第二硬化層120及び第三硬化層230における逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角の大小関係を確認できる。この際、第一硬化層110単独における逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角、及び、第二硬化層120単独における逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角は、液晶硬化層200の形成過程において測定できる。
液晶硬化層は、当該液晶硬化層に含まれる逆分散液晶性化合物の少なくとも一部の分子が液晶硬化層の層平面に対して(即ち面内方向に対して)傾斜しているのであるから、前記のように液晶硬化層が複層構造を有する場合、一部の単位硬化層に含まれる逆分散液晶性化合物の分子は、液晶硬化層の層平面に対して(即ち面内方向に対して)傾斜していなくてもよい。よって、例えば、一部の単位硬化層に含まれる逆分散液晶性化合物の分子が液晶硬化層の層平面に対して(即ち面内方向に対して)平行又は垂直であってもよい。
液晶硬化層における逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角は、好ましくは40°以上、より好ましくは46°以上、特に好ましくは56°以上であり、好ましくは85°以下、より好ましくは83°以下、特に好ましくは80°以下である。逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角が前記の範囲に収まる液晶硬化層は、直線偏光子と組み合わせることにより、有機EL表示装置に設けた場合に高い視野角特性を達成できる偏光板を実現することができる。
各単位硬化層における逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角の範囲は、特には限定されないが、望ましい範囲を挙げると、下記の通りである。
第一硬化層における逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角は、好ましくは15°以上、より好ましくは20°以上、特に好ましくは30°以上である。上限は、特段の制限は無いが、好ましくは60°以下である。
第二硬化層における逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角は、好ましくは45°以上、より好ましくは50°以上、特に好ましくは57°以上であり、好ましくは85°以下である。
また、第一硬化層における逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角と、第二硬化層における逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角との差は、好ましくは5°以上、より好ましくは8°以上、特に好ましくは10°以上であり、好ましくは70°以下、より好ましくは65°以下、特に好ましくは55°以下である。
第三硬化層における逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角は、好ましくは50°以上、より好ましくは55°以上、特に好ましくは60°以上であり、好ましくは85°以下である。
液晶硬化層の面内方向においては、逆分散液晶性化合物の分子の配向方向は、通常、均一である。よって、液晶硬化層は、通常、液晶硬化層を厚み方向から見た逆分散液晶性化合物の分子の配向方向に平行な面内遅相軸を有する。そして、このように面内方向において逆分散液晶性化合物が一定の配向方向に配向するので、液晶硬化層は、通常、所定の大きさの面内レターデーションを有する。
液晶硬化層は、逆分散液晶性化合物を含む液晶組成物の硬化物によって形成されているので、通常、逆波長分散性の面内レターデーションを有する。ここで、逆波長分散性の面内レターデーションとは、波長450nmにおける面内レターデーションRe(450)及び波長550nmにおける面内レターデーションRe(550)が、通常下記式(N3)を満たす面内レターデーションをいう。中でも、液晶硬化層の面内レターデーションは、下記式(N4)を満たすことが好ましい。このように逆波長分散性の面内レターデーションを有することにより、液晶硬化層は、1/4波長板又は1/2波長板等の光学用途において、広い波長帯域において均一に機能を発現できる。よって、このような液晶硬化層を用いることにより、広い波長範囲において外光の反射を抑制できる反射抑制フィルムを実現できる。
Re(450)/Re(550)<1.00 (N3)
Re(450)/Re(550)<0.90 (N4)
液晶硬化層の具体的な面内レターデーションの範囲は、液晶硬化層の用途に応じて任意に設定しうる。特に、直線偏光子と組み合わせて、有機EL表示装置用の反射抑制フィルムとしての偏光板を得るためには、液晶硬化層は、1/4波長板として機能できる面内レ―デーションを有することが望ましい。ここで、1/4波長板として機能できる面内レ―デーションとは、具体的には、好ましくは80nm以上、好ましくは190nm以下、より好ましくは180nm以下である。
一般に、表示面に入射角「+φ」で入射する外光は、出射角「−φ」で反射する。よって、表示面に設けられる反射抑制フィルムが液晶硬化層を含む場合、表示面の傾斜方向において外光は入射角「+φ」での往路と出射角「−φ」での復路とを含む経路で液晶硬化層を通過する。この経路を通る光の反射を効果的に抑制する観点から、液晶硬化層のレターデーション比R(±50°)/R(0°)は、1.00に近いことが好ましい。ここで、R(±50°)とは、液晶硬化層の面内の進相軸方向に対して垂直な測定方向で測定した、入射角θが−50°及び+50°での液晶硬化層のレターデーションR(−50°)及びR(+50°)の平均値を表す。具体的には、液晶硬化層のレターデーション比R(±50°)/R(0°)は、好ましくは0.90以上、より好ましくは0.92以上、特に好ましくは0.93以上であり、また、好ましくは1.15以下、より好ましくは1.12以下、特に好ましくは1.10以下である。液晶硬化層のレターデーション比R(±50°)/R(0°)が1.00に近いことにより、前記のように、その液晶硬化層を含む偏光板によって、傾斜方向における外光の反射を効果的に抑制できる。具体的には、外光が液晶硬化層を入射時及び反射時の2回通る間に、その偏光状態を適切に変換して、偏光板の直線偏光子による効果的な遮断を実現することが可能となる。よって、このような液晶硬化層は、直線偏光子と組み合わせて偏光板を得た場合に、その偏光板による反射抑制能力を広い入射角範囲において発揮できるので、優れた視野角特性を得ることができる。
液晶硬化層は、通常、面状態が良好である。よって、液晶硬化層は、通常、その厚みのムラが小さく、したがって面内レターデーションのムラが小さい。液晶硬化層の面状態は、実施例に記載の方法で評価できる。
液晶硬化層は、通常、配向欠陥が少ない。液晶硬化層の配向欠陥は、実施例に記載の方法で評価できる。
液晶硬化層の厚みは、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1.0μm以上であり、好ましくは10.0μm以下、より好ましくは7.0μm以下である。液晶硬化層の厚みが前記の範囲にあることにより、面内レターデーション等の特性を所望の範囲に容易に調整することができる。また、このような厚みの液晶硬化層は、有機EL表示装置の反射抑制フィルムに用いられてきた従来の位相差フィルムよりも薄いので、有機EL表示装置の薄型化に貢献できる。
[5.任意の層]
液晶硬化フィルムは、液晶硬化層のみを含むフィルムであってもよく、液晶硬化層に組み合わせて任意の層を含むフィルムであってもよい。任意の層としては、液晶硬化層の製造に用いる基材;位相差フィルム;他の部材と接着するための接着剤層;フィルムの滑り性を良くするマット層;耐衝撃性ポリメタクリレート樹脂層などのハードコート層;反射防止層;防汚層;等が挙げられる。
[6.液晶硬化フィルムの製造方法]
上述した液晶硬化フィルムは、一実施形態として、適切な支持面に第一硬化層を形成する工程と、その第一硬化層上に、直接に第二硬化層を形成する工程とを含む製造方法によって、製造できる。ここで、ある層上に別の層を形成する態様が「直接に」とは、これら2層の間に他の層が無いことをいう。また、液晶硬化層の製造方法は、第二硬化層上に更に1又は2以上の単位硬化層を形成する工程を含んでいてもよい。この製造方法において、第一硬化層及び第二硬化層等の各単位硬化層の厚みは、同じでもよく、異なっていてもよい。さらに、各単位硬化層の液晶組成物の組成は、同じでもよく、異なっていてもよい。
液晶組成物の硬化物による単位硬化層の形成は、通常、
(i)液晶組成物の層を形成する工程と;
(ii)液晶組成物の層に含まれる逆分散液晶性化合物を配向させる工程と;
(iii)液晶組成物の層を硬化させる工程と;
を含む。したがって、液晶硬化フィルムの製造方法では、これらの工程(i)〜(iii)を繰り返して、所望の液晶硬化層を形成する。この際、各単位硬化層の厚みは、同じでもよく、異なっていてもよい。さらに、各単位硬化層の液晶組成物の組成は、同じでもよく、異なっていてもよい。
各単位硬化層の形成は、逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角が大きい単位硬化層が得られるように、操作又は条件を調整して行うことが好ましい。
例えば、液晶組成物の層に含まれる逆分散液晶性化合物を配向させる工程(ii)を、液晶組成物の層の温度条件が所定の要件を満たすように行うことが好ましい。具体的には、当該液晶性化合物を配向させる工程(ii)における液晶組成物の層の温度条件が、試験組成物の残留分粘度が通常800cP以下となる温度条件と同一になるように、行うことが好ましい。前記の試験組成物とは、液晶組成物から重合開始剤を除いた組成を有する組成物である。また、試験組成物の残留分粘度とは、液晶性化合物を配向させる工程の液晶組成物の層と同一温度条件における、試験組成物の残留成分の粘度である。また、試験組成物の残留成分とは、試験組成物に含まれる成分のうち、液晶性化合物を配向させる工程の液晶組成物の層と同一温度条件において気化せずに残留した成分である。このような要件を満たすように工程(ii)を行うことで、単位硬化層の逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を大きくすることが可能である。
更に詳しく説明する。逆分散液晶性化合物を配向させる工程(ii)を、前記の要件を満たすように行う場合、当該工程(ii)は、試験組成物の残留分粘度が所定範囲に収まる温度条件と同一温度条件に、液晶組成物の層を調整して、行う。前記残留分粘度の具体的範囲は、通常800cP(センチポアズ)以下、好ましくは600cP以下、より好ましくは400cP以下、さらに好ましくは200cP以下である。このように試験組成物の残留分粘度が低くなる温度条件と同一温度条件で液晶組成物の層中の液晶性化合物を配向させることにより、単位硬化層の逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を大きくすることができる。前記残留分粘度の下限は、所望の厚みの液晶硬化層を得る観点から、好ましくは5cP以上、より好ましくは10cP以上である。
逆分散液晶性化合物を配向させる工程(ii)の液晶組成物の層と同一温度条件における試験組成物の残留分粘度は、下記の方法によって測定できる。
液晶組成物から重合開始剤を除いた試験組成物を用意する。この試験組成物をロータリーエバポレーターで減圧濃縮して溶媒を除去し、残留成分を得る。この残留成分について、予め、測定温度を変化させながら粘度を測定し、測定温度とその測定温度での粘度との情報を得る。この情報を、以下、適宜「温度−粘度情報」という。この「温度−粘度情報」から、逆分散液晶性化合物を配向させる工程(ii)での液晶組成物の層の温度における粘度を、残留分粘度として読み取る。
逆分散液晶性化合物を配向させる工程(ii)の液晶組成物の層と同一温度条件において試験組成物の残留分粘度を上述した範囲に収める方法としては、例えば、下記(A)及び(B)の方法が挙げられる。
(A)逆分散液晶性化合物を配向させる工程(ii)における液晶組成物の層の温度を、適切に調整する。この方法では、通常、液晶組成物の層の温度を十分に高温にすることで、この温度と同一温度条件での試験組成物の残留分粘度を低くして、上述した範囲となるように調整する。
(B)液晶組成物の組成を、適切に調整する。この方法では、通常、液晶組成物に含まれる成分として、逆分散液晶性化合物に適切な種類及び量の添加剤を組み合わせることで、当該添加剤を含む試験組成物の残留分粘度を低くして、上述した範囲となるように調整する。
工程(ii)における液晶組成物の層の温度条件の調整については、国際公開第2018/173773号及び特願2017−060159号の明細書の記載を参照してよい。
また、例えば、磁場応答性を有する液晶性化合物を含む液晶組成物を用いる場合には、液晶組成物の層に含まれる逆分散液晶性化合物を配向させる工程(ii)を、液晶組成物の層に磁界を印加した状態で行うことが好ましい。これにより、単位硬化層の逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を大きくすることが可能である。
液晶組成物の層に印加される磁界の向きは、通常は、液晶組成物の層の厚み方向に垂直ではない方向であり、好ましくは、液晶組成物の層の厚み方向に平行な方向である。このような向きの磁界を印加することにより、単位硬化層の逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を効果的に大きくできる。
液晶組成物の層に印加される磁界の磁束密度は、好ましくは0.2テスラ以上、より好ましくは0.5テスラ以上、特に好ましくは0.8テスラ以上である。このような大きさの磁界を印加することにより、単位硬化層の逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を効果的に大きくできる。磁界の磁束密度の上限に制限は無く、例えば20.0テスラ以下としうる。磁界の印加については、特開2018−163218号公報及び特願2017−059327号の明細書の記載を参照してよい。
以下、例を示して、液晶硬化フィルムの製造方法について更に具体的に説明する。例えば、第一硬化層と、この第一硬化層に直接に接した第二硬化層とを含む液晶硬化層(図2の液晶硬化層100を参照)は、
支持面に、逆分散液晶性化合物を含む第一液晶組成物の層を形成する工程と、
第一液晶組成物の層に含まれる逆分散液晶性化合物を配向させる工程と、
第一液晶組成物の層を硬化させて、第一硬化層を形成する工程と、
第一硬化層上に、直接に、逆分散液晶性化合物を含む第二液晶組成物の層を形成する工程と、
第二液晶組成物の層に含まれる逆分散液晶性化合物を配向させる工程と、
第二液晶組成物の層を硬化させて、第二硬化層を形成する工程と、
を含む製造方法によって、製造できる。以下の説明において、第一硬化層を形成するために用いられる第一液晶組成物に含まれる逆分散液晶性化合物を、「第一の逆分散液晶性化合物」ということがある。また、第二硬化層を形成するために用いられる第二液晶組成物に含まれる逆分散液晶性化合物を、「第二の逆分散液晶性化合物」ということがある。
第一の逆分散液晶性化合物及び第二の逆分散液晶性化合物は、上述した逆分散液晶性化合物から、第一硬化層及び第二硬化層それぞれの形成に用いるものを任意に選択して用いることができ、これらは同じでもよく異なっていてもよい。また、第一液晶組成物及び第二液晶組成物は、上述した液晶組成物から、第一硬化層及び第二硬化層それぞれの形成に用いるものを任意に選択して用いることができ、これらは同じでもよく異なっていてもよい。
支持面としては、第一液晶組成物の層を支持できる任意の面を用いうる。この支持面としては、液晶硬化層の面状態を良好にする観点から、通常、凹部及び凸部の無い平坦面を用いる。液晶硬化層の生産性を高める観点から、前記の支持面としては、長尺の基材の表面を用いることが好ましい。ここで「長尺」とは、幅に対して、5倍以上の長さを有する形状をいい、好ましくは10倍若しくはそれ以上の長さを有し、具体的にはロール状に巻き取られて保管又は運搬される程度の長さを有するフィルムの形状をいう。
基材としては、通常、樹脂フィルムやガラス板を用いる。特に、高い温度で配向処理を行う場合、その温度に耐えうる基材を選択するのが好ましい。樹脂としては、通常、熱可塑性樹脂を用いる。中でも、配向規制力の高さ、機械的強度の高さ、及びコストの低さといった観点から、樹脂としては、正の固有複屈折値を有する樹脂が好ましい。更には、透明性、低吸湿性、寸法安定性及び軽量性に優れることから、ノルボルネン系樹脂等の、脂環式構造含有重合体を含む樹脂を用いることが好ましい。基材に含まれる樹脂の好適な例を商品名で挙げると、ノルボルネン系樹脂として、日本ゼオン社製「ゼオノア」を挙げうる。
支持面としての基材の表面には、第一液晶組成物の層における第一の逆分散液晶性化合物の配向を促進するため、配向規制力を付与するための処理が施されていることが好ましい。配向規制力とは、液晶組成物に含まれる逆分散液晶性化合物等の液晶性化合物を配向させることができる、支持面の性質をいう。支持面に配向規制力を付与するため処理としては、例えば、光配向処理、ラビング処理、イオンビーム配向処理、延伸処理などが挙げられる。
第一液晶組成物の層を形成する工程において、第一液晶組成物は、通常、流体状で用意される。そのため、通常は、支持面に第一液晶組成物を塗工して、第一液晶組成物の層を形成する。第一液晶組成物を塗工する方法としては、例えば、カーテンコーティング法、押し出しコーティング法、ロールコーティング法、スピンコーティング法、ディップコーティング法、バーコーティング法、スプレーコーティング法、スライドコーティング法、印刷コーティング法、グラビアコーティング法、ダイコーティング法、ギャップコーティング法、及びディッピング法が挙げられる。
第一液晶組成物の層を形成した後で、第一液晶組成物の層に含まれる第一の逆分散液晶性化合物を配向させる工程を行う。配向を行う際には、通常、第一液晶組成物の層を、所定の温度条件に所定の時間だけ保持する。これにより、第一液晶組成物の層において、第一の逆分散液晶性化合物等の液晶性化合物が配向する。
通常、面内方向においては、第一の逆分散液晶性化合物は、支持面の配向規制力に応じた方向に配向する。また、第一液晶組成物が傾斜作用成分を含んでいれば、厚み方向において、第一の逆分散液晶性化合物は、少なくとも一部が層平面に対して(即ち面内方向に対して)大きく傾斜するように配向するので、第一液晶組成物の層に含まれる第一の逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を大きくすることができる。
また、配向時の第一液晶組成物の層の温度条件は、前記のように、第一液晶組成物に対応する試験組成物の残留分粘度を前記範囲に収めることができる温度条件と同一に設定することが好ましい。このような条件での配向によっても、第一液晶組成物の層に含まれる第一の逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を大きくすることができる。
さらに、第一液晶組成物が磁場応答性を有する液晶性化合物を含む場合には、配向は、前記のように、第一液晶組成物の層に磁界を印加した状態で行うことが好ましい。このような条件での配向によっても、第一液晶組成物の層に含まれる第一の逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を大きくすることができる。
配向時の具体的な温度は、第一の逆分散液晶性化合物の液晶化温度以上の範囲で適切に設定され、中でも、基材に含まれる樹脂のガラス転移温度未満の温度であることが好ましい。これにより、配向処理による基材の歪みの発生を抑制できる。
第一の逆分散液晶性化合物を配向させる工程は、通常、オーブン内において行われる。この際、オーブンの設定温度と、そのオーブン内に置かれた第一液晶組成物の層の温度とは、異なる場合がありえる。この場合、予め、多数のオーブン設定温度において、その設定温度のオーブン内に置かれた第一液晶組成物の層の温度を測定し、記録しておくことが好ましい。この記録されたオーブンの設定温度とその設定温度のオーブン内に置かれた第一液晶組成物の層の温度との情報を、以下、適宜「設定温度−層温度情報」という。この「設定温度−層温度情報」を用いれば、オーブン設定温度から、オーブン内に置かれた第一液晶組成物の層の温度を容易に知ることができる。
第一の逆分散液晶性化合物を配向させる工程において、第一液晶組成物の層の温度を前記の温度に保持する時間は、所望の液晶硬化層が得られる範囲で任意に設定でき、例えば30秒間〜5分間でありうる。
第一の逆分散液晶性化合物を配向させた後で、第一液晶組成物の層を硬化させて、第一硬化層を形成する工程を行う。この工程では、通常、第一の逆分散液晶性化合物等の液晶性化合物の一部又は全部を重合させて、第一液晶組成物の層を硬化させる。重合の際、液晶性化合物は、通常、その分子の配向を維持したままで重合する。よって、前記の重合により、重合前の第一液晶組成物に含まれる液晶性化合物の配向状態は固定される。
重合方法としては、第一液晶組成物に含まれる成分の性質に適合した方法を選択しうる。重合方法としては、例えば、活性エネルギー線を照射する方法、及び、熱重合法が挙げられる。中でも、加熱が不要であり、室温で重合反応を進行させられるので、活性エネルギー線を照射する方法が好ましい。ここで、照射される活性エネルギー線には、可視光線、紫外線、及び赤外線等の光、並びに電子線等の任意のエネルギー線が含まれうる。
なかでも、操作が簡便なことから、紫外線等の光を照射する方法が好ましい。紫外線照射時の温度は、基材のガラス転移温度以下とすることが好ましく、好ましくは150℃以下、より好ましくは100℃以下、特に好ましくは80℃以下である。紫外線照射時の温度の下限は、15℃以上としうる。紫外線の照射強度は、好ましくは0.1mW/cm以上、より好ましくは0.5mW/cm以上であり、好ましくは10000mW/cm以下、より好ましくは5000mW/cm以下、さらに好ましくは1000mW/cm以下、特に好ましくは600mW/cm以下である。紫外線の照射量は、好ましくは0.1mJ/cm以上、より好ましくは0.5mJ/cm以上であり、好ましくは10000mJ/cm以下、より好ましくは5000mJ/cm以下である。
ある所定の厚み範囲においては、第一硬化層が薄いほど、第一硬化層に含まれる第一の逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を大きくできる。よって、第一硬化層が薄いほど、第二硬化層に含まれる第二の逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を大きくし易い傾向にある。そこで、液晶硬化層における逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を更に大きくする観点では、第一硬化層の厚みは、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.2μm以上、特に好ましくは0.3μm以上であり、好ましくは5.0μm以下、より好ましくは4.0μm以下、特に好ましくは3.0μm以下である。
第一硬化層を形成した後、第二液晶組成物の層を形成する前に、必要に応じて、第一硬化層の表面に、配向規制力を付与するための処理を施してもよい。このような処理としては、例えば、ラビング処理が挙げられる。ただし、第一硬化層の表面は、特段の処理を施さなくても配向規制力を有しているので、前記の処理は行わなくてもよい。
第一硬化層を形成した後で、その第一硬化層上に、直接に、第二液晶組成物の層を形成する工程を行う。第二液晶組成物の層の形成は、第一液晶組成物の層の形成と同じようにして行うことができる。第一硬化層が液晶組成物の硬化物で形成されているので、その第一硬化層は第二液晶組成物に対して高い親和性を有する。よって、通常は、第一硬化層に対する第二液晶組成物の塗工性が良好であるので、面状態の良好な第二液晶組成物の層が形成される。
第二液晶組成物の層を形成した後で、第二液晶組成物の層に含まれる第二の逆分散液晶性化合物を配向させる工程を行う。第二の逆分散液晶性化合物の配向は、第一液晶組成物の層に含まれる第一の逆分散液晶性化合物の配向と同じようにして行うことができる。これにより、第二液晶組成物の層において、第二の逆分散液晶性化合物等の液晶性化合物が配向する。
通常、面内方向においては、第二の逆分散液晶性化合物は、第一硬化層の表面の配向規制力に応じた方向に配向する。他方、厚み方向においては、第二の逆分散液晶性化合物は、少なくとも一部が層平面に対して(即ち面内方向に対して)傾斜するように配向する。この際、第二液晶組成物の層に含まれる第二の逆分散液晶性化合物の分子は、第一硬化層の作用によって、層平面に対して(即ち面内方向に対して)大きく傾斜する。よって、通常は、第一硬化層における第一の逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角よりも、その第一硬化層上に形成された第二液晶組成物の層における第二の逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を、大きくできる。
前記のように、第一硬化層は、第二液晶組成物に対して高い親和性を有する。よって、第二液晶組成物は第一硬化層になじみ、分子の配向が乱され難い。よって、第二液晶組成物では面内方向において配向状態を均一にできる。したがって、前記の配向では、通常、配向欠陥の発生が抑制される。
第二の逆分散液晶性化合物を配向させた後で、第二液晶組成物の層を硬化させて、第二硬化層を形成する工程を行う。第二液晶組成物の層の硬化は、第一液晶組成物の層の硬化と同じようにして行うことができる。これにより、第一硬化層及び前記第二硬化層を含む層として液晶硬化層を形成して、液晶硬化フィルムを得ることができる。
こうして得られた液晶硬化フィルムでは、第一硬化層及び第二硬化層を合わせた液晶硬化層全体における逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を大きくすることができる。したがって、前記の製造方法によって、液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角が大きい液晶硬化層を含む液晶硬化フィルムを製造することが可能である。
また、得られた液晶硬化フィルムにおいて、第二硬化層における第二の逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角は、第一硬化層における第一の逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角よりも大きい。したがって、第一硬化層における第一の逆分散液晶化合物の分子の実質最大傾斜角よりも、第一硬化層及び第二硬化層を合わせた液晶硬化層全体における液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を、大きくできる。
前記の製造方法においては、上述したように、第一硬化層における第一の逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角よりも、第二硬化層における第二の逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を大きくでき、その結果、第一硬化層及び第二硬化層を合わせた液晶硬化層全体における逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を大きくしている。本発明者らは、このような現象は、下記に説明する仕組みによって生じていると推察する。ただし、本発明の技術的範囲は、下記に説明する仕組みによって制限されない。
第一硬化層上に第二液晶組成物の層を形成すると、第二液晶組成物の層に含まれる第二の逆分散液晶性化合物の配向は、第一硬化層における第一の逆分散液晶性化合物の配向に影響される。よって、第一硬化層において第一の逆分散液晶性化合物の分子が層平面に対して(即ち面内方向に対して)傾斜していると、このように傾斜した第一の逆分散液晶性化合物の分子は、第二液晶組成物の層に含まれる第二の逆分散液晶性化合物の分子の層平面に対する(即ち面内方向に対する)傾斜を大きくするように働く。そのため、第二硬化層において、第二の逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を大きくできる。
また、第一硬化層の表面は、第一液晶組成物の層の空気界面に相当するので、特定の化学種が集中しやすい。また、これらの化学種の中には、逆分散液晶性化合物に対して親和性が小さいものがある。そうすると、第一硬化層上に第二液晶組成物の層を形成した場合、第二の逆分散液晶性化合物の分子は、前記の化学種にはなじまず、なるべく離れようとする。そのため、第二の逆分散液晶性化合物の分子は、第一硬化層の表面に弾かれるようにして大きく傾斜しようとするので、第二硬化層において、第二の逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を大きくできる。
そして、これらの作用により、第二硬化層における第二の逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を大きくできるので、第一硬化層及び第二硬化層を合わせた液晶硬化層全体における液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を大きくできている。
前記の例では、単位硬化層として第一硬化層及び第二硬化層の2層のみを含む液晶硬化層を含む液晶硬化フィルムの製造方法を説明したが、3層以上の単位硬化層を含む液晶硬化層も、上述した例と同じ要領で製造できる。この場合、第二硬化層を形成した後で、第二硬化層の形成と同じ工程を更に繰り返すことにより、第二硬化層上に更に別の単位硬化層を形成して、3層以上の単位硬化層を含む液晶硬化層を得ることができる。
例えば、第一硬化層と、この第一硬化層に直接に接した第二硬化層と、この第二硬化層に直接に接した第三硬化層とを含む液晶硬化層(図3の液晶硬化層200を参照)は、上述した製造方法によって支持面上に第一硬化層及び第二硬化層を形成した後で、
第二硬化層上に、直接に、逆分散液晶性化合物を含む第三液晶組成物の層を形成する工程と、
第三液晶組成物の層に含まれる逆分散液晶性化合物を配向させる工程と、
第三液晶組成物の層を硬化させて、第三硬化層を形成する工程と、
を含む製造方法によって、製造できる。以下の説明において、第三硬化層を形成するために用いられる第三液晶組成物に含まれる逆分散液晶性化合物を、「第三の逆分散液晶性化合物」ということがある。
ここで、第三の逆分散液晶性化合物は、上述した逆分散液晶性化合物から、第三硬化層の形成に用いるものを任意に選択して用いることができ、第一の逆分散液晶性化合物及び第二の逆分散液晶性化合物と同じでもよく異なっていてもよい。また、第三液晶組成物は、上述した液晶組成物から、第三硬化層の形成に用いるものを任意に選択して用いることができ、第一液晶組成物及び第二液晶組成物と同じでもよく異なっていてもよい。さらに、第三硬化層を形成するための前記の工程は、第二硬化層を形成するための工程と同じようにして実施でき、第二硬化層を形成するための工程と同じ利点を得ることができる。
上述した製造方法によれば、層平面に対する(即ち面内方向に対する)分子の実質最大傾斜角が大きい逆分散液晶性化合物を含む液晶硬化層を含む液晶硬化フィルムを、製造できる。特に、単位構造層の形成を繰り返すことで所望の液晶硬化層を得ることができるので、単位構造層以外の層の形成が不要であることから、製造工程の効率化が可能である。さらに、前記の製造方法では、液晶組成物を用いて単位構造層の形成を繰り返すので、単位構造層とその上に形成される液晶組成物との親和性が高い。よって、通常は、単位構造層に対する液晶組成物のなじみが良いので、液晶硬化層の全体として、配向欠陥の抑制及び面状態の改善が可能である。
また、上述した製造方法では、第一硬化層が配向膜として機能できるので、本発明の効果を有効に活用できる観点からすると、液晶硬化層とは別の配向膜を用意する必要が無い。このように液晶硬化層とは別の配向膜を用意しない場合には、配向膜の分だけ製造コストを削減することが可能である。
上述した液晶硬化フィルムの製造方法は、上述した工程に組み合わせて、更に任意の工程を含んでいてもよい。
例えば、液晶硬化フィルムの製造方法は、支持面から液晶硬化層を剥離する工程を含んでいてもよい。上述した製造方法では、通常、基材の支持面上に形成された液晶硬化層が得られる。この基材及び液晶硬化層を含む複層フィルムを、液晶硬化フィルムとして用いてもよいが、液晶硬化層を支持面から剥離して、液晶硬化層自体を、液晶硬化フィルムとして用いてもよい。
また、液晶硬化フィルムの製造方法は、例えば、液晶硬化層上に更に任意の層を形成する工程を含んでいてもよい。
さらに、液晶硬化フィルムの製造方法は、例えば、基材上に形成された液晶硬化層を、任意のフィルム層に転写する工程を含んでいてもよい。よって、例えば、液晶硬化フィルムの製造方法は、基材上に形成された液晶硬化層と任意のフィルム層とを貼り合わせた後で、必要に応じて基材を剥離して、液晶硬化層及び任意のフィルム層を含む液晶硬化フィルムを得る工程を含んでいてもよい。この際、貼り合わせには、適切な粘着剤又は接着剤を用いてもよい。この場合、液晶硬化層及び任意のフィルム層を含む液晶硬化フィルムを得ることができる。
前記のような製造方法によれば、長尺の基材を用いて、長尺の液晶硬化フィルムを得ることができる。このような長尺の液晶硬化フィルムは、連続的な製造が可能であり、生産性に優れる。また、他のフィルムとの貼り合わせを、ロールトゥロールによって行うことができるので、この点でも、生産性に優れる。通常、長尺の液晶硬化フィルムは、巻き取られてロールの状態で保存及び運搬がなされる。
[7.偏光板]
本発明の偏光板は、上述した液晶硬化層と直線偏光子とを含む。この偏光板は、円偏光板又は楕円偏光板として機能できることが好ましい。このような偏光板は、有機EL表示装置に設けることにより、有機EL表示装置の表示面の正面方向において外光の反射を抑制できる。このとき、液晶硬化層が逆分散液晶性化合物を含むので、広い波長範囲において外光の反射抑制が可能である。また、上述した液晶硬化層は、逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角が大きいことから分かるように、層全体として逆分散液晶性化合物の分子の傾斜角が大きいので、その面内方向だけでなく厚み方向においても複屈折を適切に調整することができる。よって、この液晶硬化層を含む偏光板は、有機EL表示装置の表示面の正面方向だけでなく傾斜方向においても外光の反射を抑制できる。したがって、この偏光板を用いることにより、視野角の広い有機EL表示装置を実現することができる。
直線偏光子としては、例えば、ポリビニルアルコールフィルムにヨウ素又は二色性染料を吸着させた後、ホウ酸浴中で一軸延伸することによって得られるフィルム;ポリビニルアルコールフィルムにヨウ素又は二色性染料を吸着させ延伸しさらに分子鎖中のポリビニルアルコール単位の一部をポリビニレン単位に変性することによって得られるフィルム;が挙げられる。また、直線偏光子の他の例としては、グリッド偏光子、多層偏光子、などの、偏光を反射光と透過光に分離する機能を有する偏光子が挙げられる。これらのうち、直線偏光子としては、ポリビニルアルコールを含有する偏光子が好ましい。
直線偏光子に自然光を入射させると、一方の偏光だけが透過する。この直線偏光子の偏光度は特に限定されないが、好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上である。
また、直線偏光子の厚みは、好ましくは5μm〜80μmである。
偏光板を円偏光板として機能させたい場合、直線偏光子の偏光吸収軸に対して液晶硬化層の遅相軸がなす角度は、45°またはそれに近い角度であることが好ましい。前記の角度は、具体的には、好ましくは45°±5°、より好ましくは45°±4°、特に好ましくは45°±3°である。
偏光板は、直線偏光子及び液晶硬化層に組み合わせて、更に任意の層を含んでいてもよい。任意の層としては、例えば、直線偏光子と液晶硬化層とを貼り合わせるための接着層;直線偏光子を保護するための偏光子保護フィルム層;などが挙げられる。
[8.有機EL表示装置]
本発明の有機EL表示装置は、上述した偏光板を含む。有機EL表示装置は、通常、表示素子として有機EL素子を含み、この有機EL素子の視認側に、偏光板が設けられる。また、偏光板は、有機EL素子側から、液晶硬化層及び直線偏光子をこの順に含む。そして、このような構成において、前記の偏光板が反射抑制フィルムとして機能できる。
以下、偏光板が円偏光板として機能する場合を例に挙げて、反射抑制の仕組みを説明する。装置外部から入射した光は、その一部の直線偏光のみが直線偏光子を通過し、次にそれが液晶硬化層を通過することにより、円偏光となる。円偏光は、表示装置内の光を反射する構成要素(有機EL素子の反射電極等)により反射され、再び液晶硬化層を通過することにより、入射した直線偏光の振動方向と直交する振動方向を有する直線偏光となり、直線偏光子を通過しなくなる。ここで、直線偏光の振動方向とは、直線偏光の電場の振動方向を意味する。これにより、反射抑制の機能が達成される。このような反射抑制の原理は、特開平9−127885号公報を参照してよい。
有機EL素子は、通常、透明電極層、発光層及び電極層をこの順に備え、透明電極層及び電極層から電圧を印加されることにより発光層が光を生じうる。有機発光層を構成する材料の例としては、ポリパラフェニレンビニレン系、ポリフルオレン系、およびポリビニルカルバゾール系の材料を挙げることができる。また、発光層は、複数の発光色が異なる層の積層体、あるいはある色素の層に異なる色素がドーピングされた混合層を有していてもよい。さらに、有機EL素子は、正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層、等電位面形成層、電荷発生層等の機能層を備えていてもよい。
以下、実施例を示して本発明について具体的に説明する。ただし、本発明は以下に示す実施例に限定されるものではなく、本発明の請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。
以下の説明において、量を表す「%」及び「部」は、別に断らない限り、重量基準である。また、以下に説明する操作は、別に断らない限り、常温常圧大気中において行った。
さらに、以下に説明する実施例及び比較例で使用するワイヤーバーとしては、#3〜#7のワイヤーバーから適切なものを選択して用いた。
また、以下に説明する実施例及び比較例で製造された液晶硬化フィルムに含まれる支持基材は、光学等方性を有するので、レターデーションの測定結果には影響を与えない。そこで、以下に説明する実施例及び比較例における液晶硬化層のレターデーションの測定は、試料として液晶硬化フィルムを用いて実施した。
[評価方法]
〔厚みの測定方法〕
液晶硬化層に含まれる各層の厚みは、膜厚計(フィルメトリクス社製「F20−EXR」)を用いて測定した。
また、測定された各層の厚みの合計として、液晶硬化層の厚みを計算した。この液晶硬化層の厚みを、以下の基準で評価した。
「A」:10.0μm以下。
「C」:10.0μm超過。
〔液晶硬化層及びそれに含まれる第一硬化層〜第三硬化層での液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角の測定方法〕
図4は、傾斜方向から液晶硬化層のレターデーションを測定する際の測定方向を説明するための斜視図である。図4において、矢印A1は液晶硬化層300の面内の遅相軸方向を表し、矢印A2は液晶硬化層300の面内の進相軸方向を表し、矢印A3は液晶硬化層300の厚み方向を表す。
位相差計(Axometrics社製「AxoScan」)を用いて、図4に示すように、液晶硬化層300のレターデーションを、入射角θが−50°〜50°の範囲で測定した。この際、測定方向A4は、液晶硬化層300の面内の進相軸方向A2に対して垂直に設定した。また、測定波長は590nmであった。
測定されたレターデーションから、前記の位相差計に付属の解析ソフトウェア(AxoMetrics社製の解析ソフトウェア「Multi−Layer Analysis」;解析条件は、解析波長590nm、層分割数20層)により、液晶硬化層300における液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を解析した。
このように求めた液晶硬化層300における液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角の値を、下記の基準で判定した。
A:実質最大傾斜角が40°以上85°以下。
B:実質最大傾斜角が30°以上40°未満。
C:実質最大傾斜角が30°未満。
また、第一硬化層における液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角は、下記の方法によって測定した。
この第一硬化層を液晶硬化層の代わりに用いること以外は、前記の液晶硬化層における液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角の測定方法と同じ方法により、第一硬化層における液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を測定した。この測定は、液晶硬化層の製造途中に、第一硬化層を得た後、その第一硬化層の表面にラビング処理を施して更に液晶組成物を塗工する前の時点で、行った。
さらに、第二硬化層における液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角は、下記の方法によって測定した。
液晶硬化層全体の液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角と、第一硬化層における液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角とを測定した。そして、測定したこれらの実質最大傾斜角と、第一硬化層及び第二硬化層の厚みとを用いて、第二硬化層における液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を計算した。
また、第三硬化層における液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角は、下記の方法によって測定した。
液晶硬化層全体の液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角と、第一硬化層における液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角と、第二硬化層における液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角とを測定した。そして、測定したこれらの実質最大傾斜角と、第一硬化層、第二硬化層及び第三硬化層の厚みとを用いて、第三硬化層における液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を計算した。
〔液晶硬化層の面状態の評価方法〕
ライトテーブル上に一対の直線偏光子(偏光子及び検光子)を、パラニコルとなるように重ねた。ここでパラニコルとは、直線偏光子の偏光透過軸が平行となる態様を表す。
実施例又は比較例で製造した液晶硬化フィルムを、16cm角サイズに裁断し、測定用のフィルム片を得た。このフィルム片を、前記のようにライトテーブル上に設置した直線偏光子の間に置いた。この際、フィルム片の遅相軸は、厚み方向から見て直線偏光子の吸収軸に対して略45°の角度をなすように設定した。その後、目視にて観察した。観察された像での均一性(位相差の均一性)に応じて、下記の基準によって液晶硬化層の面状態を評価した。
A:観察された像に、ムラがない。
C:観察された像に、ムラが見られる。
ところで、別途、前記のライトテーブル上に設置された一対の直線偏光子の間に、液晶硬化フィルムの製造に用いた支持基材を置き、目視で観察した。その結果、液晶硬化層を備えない支持基材のみを前記フィルム片の代わりに用いて観察した場合には、全面がほぼ均一でムラが認められなかった。この結果から、前記の評価で観察されるムラは、液晶硬化層の面状態に起因して生じていることを確認した。
〔液晶硬化層の配向欠陥の評価方法〕
実施例又は比較例で製造した液晶硬化フィルムを、偏光顕微鏡を用いて、クロスニコル下において、透過観察した。この観察の際、対物レンズは20倍に設定した。観察の結果から、下記の基準によって液晶硬化層の配向欠陥を評価した。
A:全面がほぼ均一で、配向欠陥が認められない。
C:配向欠陥がはっきりと認められる。
〔液晶硬化層の逆波長分散性の評価方法〕
位相差計(Axometrics社製「AxoScan」)を用いて、液晶硬化層の面内レターデーション(即ち、液晶硬化層の入射角0°でのレターデーション)を、測定波長450nm及び550nmで測定した。測定された測定波長450nm及び550nmでの面内レターデーションRe(450)及びRe(550)の値から、液晶硬化層の逆波長分散性を、以下の基準で評価した。
「A」:Re(450)/Re(550)<0.9
「B」:0.9≦Re(450)/Re(550)≦1.0
「C」:Re(450)/Re(550)>1.0
〔少なくとも一部の液晶性化合物の分子が傾斜していることの確認方法〕
位相差計(Axometrics社製「AxoScan」)を用いて、図4に示すように、液晶硬化層300のレターデーションを、入射角θが−50°〜50°の範囲で測定した。この際、測定方向A4は、液晶硬化層300の面内の進相軸方向A2に対して垂直に設定した。また、測定波長は590nmであった。
測定された入射角θでの液晶硬化層のレターデーションR(θ)を、入射角0°での液晶硬化層のレターデーションR(0°)で割って、レターデーション比R(θ)/R(0°)を求めた。求めたレターデーション比R(θ)/R(0°)を縦軸、入射角θを横軸としたグラフを描いた。そして、得られたグラフがθ=0°に対して非対称であるか否かに基づいて、下記の基準で、分子の傾斜配向を確認した。
「A」:レターデーション比R(θ)/R(0°)がθ=0°に対して非対称であるので、その液晶硬化層300に含まれる液晶性化合物の少なくとも一部の分子が液晶硬化層の層平面に対して(即ち面内方向に対して)傾斜配向している。
「C」:レターデーション比R(θ)/R(0°)がθ=0°に対して対称であるので、その液晶硬化層300に含まれる液晶性化合物の全ての分子が液晶硬化層の層平面に対して(即ち面内方向に対して)平行又は垂直である。
〔視野角特性の評価方法〕
位相差計(Axometrics社製「AxoScan」)を用いて、図4に示すように、液晶硬化層300のレターデーションを、入射角θが−50°〜50°の範囲で測定した。この際、測定方向A4は、液晶硬化層300の面内の進相軸方向A2に対して垂直に設定した。また、測定波長は590nmであった。
入射角θが−50°でのレターデーションR(−50°)及び入射角θが+50°でのレターデーションR(+50°)の平均値R(±50°)を計算した。そして、この平均値R(±50°)を、入射角θが0°の面内レターデーションR(0°)で割って、平均レターデーション比R(±50°)/R(0°)を求めた。この平均レターデーション比R(±50°)/R(0°)が1.00に近いほど、より優れた視野角特性を有機EL表示装置において実現できることを表す。そこで、前記の平均レターデーション比R(±50°)/R(0°)の値に基づいて、下記の基準で視野角特性を評価した。
「A」:0.93≦R(±50°)/R(0°)≦1.10
「B」:0.90≦R(±50°)/R(0°)<0.93
「C」:R(±50°)/R(0°)<0.90
〔総合評価方法〕
各実施例及び比較例の総合評価は、液晶硬化層に含まれる液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角、並びに、液晶硬化層の厚み、逆波長分散性及び視野角特性の評価結果を総合して、以下の基準で判定した。
「A」:液晶硬化層に含まれる液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角、並びに、液晶硬化層の厚み、逆波長分散性及び視野角特性の評価結果がいずれもAのみ。
「B」:液晶硬化層に含まれる液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角、並びに、液晶硬化層の厚み、逆波長分散性及び視野角特性の評価結果にCがなく、Bが一個以上。
「C」:液晶硬化層に含まれる液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角、並びに、液晶硬化層の厚み、逆波長分散性及び視野角特性の評価結果にCが1個以上。
[製造例1:逆分散液晶性化合物1を含む液晶組成物1の製造]
下記式で表される重合性を有する逆分散液晶性化合物1を100重量部、フッ素系界面活性剤(AGCセイミケミカル社製「S420」)0.15重量部、光重合開始剤(BASF社製「IrgacureOXE04」)4.3重量部、並びに、溶媒としてシクロペンタノン148.5重量部及び1,3−ジオキソラン222.8重量部を混合して、液晶組成物1を製造した。
Figure 2019116995
[製造例2:逆分散液晶性化合物2を含む液晶組成物2の製造]
逆分散液晶性化合物1の代わりに、下記式で表される重合性を有する逆分散液晶性化合物2を用いた。以上の事項以外は、製造例1と同じ操作を行って、液晶組成物2を製造した。
Figure 2019116995
[製造例3:順分散液晶性化合物3を含む液晶組成物3の製造]
逆分散液晶性化合物1の代わりに、下記式で表される重合性を有する順分散液晶性化合物3を用いた。以上の事項以外は、製造例1と同じ操作を行って、液晶組成物3を製造した。
Figure 2019116995
[実施例1]
(支持基材の用意)
支持基材として、片面にマスキングフィルムが貼り合わせられた熱可塑性のノルボルネン樹脂からなる樹脂フィルム(日本ゼオン社製「ゼオノアフィルム ZF16」;厚み100μm)を用意した。この支持基材からマスキングフィルムを剥離し、マスキング剥離面にコロナ処理を施した。次いで、支持基材のコロナ処理面にラビング処理を施した。
(第一硬化層の形成)
支持基材のラビング処理面に、ワイヤーバーを用いて、製造例1で製造した液晶組成物1を塗工して、液晶組成物の層を形成した。
次いで、この液晶組成物の層を、145℃に設定したオーブン内で4分間加熱して、層内の液晶性化合物を配向させた。前記の加熱条件は、使用した液晶組成物に対応する試験組成物の残留分粘度が170cPとなる温度条件であった。
その後、液晶組成物の層に窒素雰囲気下で500mJ/cmの紫外線を照射して、液晶組成物の層を硬化させて、厚み1.0μmの第一硬化層を得た。
(第二硬化層の形成)
第一硬化層の表面に、ラビング処理を施した。そして、第一硬化層のラビング処理面に、ワイヤーバーを使用して、第一硬化層の形成時に用いた残りの液晶組成物(即ち、液晶組成物1)を塗工して、液晶組成物の層を形成した。
次いで、この液晶組成物の層を、145℃に設定したオーブン内で4分間加熱して、層内の液晶性化合物を配向させた。
その後、液晶組成物の層に窒素雰囲気下で500mJ/cmの紫外線を照射して、液晶組成物の層を硬化させて、厚み1.0μmの第二硬化層を得た。
これにより、支持基材と、この支持基材上に形成された第一硬化層及び第二硬化層を含む液晶硬化層とを含む液晶硬化フィルムを得た。得られた液晶硬化フィルムを用いて、上述した方法で、液晶硬化層の評価を行った。
[実施例2〜4]
液晶組成物の塗工に用いるワイヤーバーを変更することにより、第一硬化層及び第二硬化層の厚みを下記表1に示すように変更した。以上の事項以外は、実施例1と同じ操作を行って、液晶硬化フィルムの製造及び液晶硬化層の評価を行った。
[実施例5]
実施例1と同じ操作を行って、支持基材上に、第一硬化層及び第二硬化層を形成した。
その後、第二硬化層の表面に、ラビング処理を施した。そして、第二硬化層のラビング処理面に、ワイヤーバーを使用して、第一硬化層及び第二硬化層の形成時に用いた残りの液晶組成物(即ち、液晶組成物1)を塗工して、液晶組成物の層を形成した。
次いで、この液晶組成物の層を、145℃に設定したオーブン内で4分間加熱して、層内の液晶性化合物を配向させた。
その後、液晶組成物の層に窒素雰囲気下で500mJ/cmの紫外線を照射して、液晶組成物の層を硬化させて、厚み1.0μmの第三硬化層を得た。
これにより、支持基材と、この支持基材上に形成された第一硬化層、第二硬化層及び第三硬化層をこの順に含む液晶硬化層とを含む液晶硬化フィルムを得た。得られた液晶硬化フィルムを用いて、上述した方法で、液晶硬化層の評価を行った。
[実施例6]
液晶組成物の塗工に用いるワイヤーバーを変更することにより、第一硬化層及び第二硬化層の厚みを下記表2に示すように変更した。また、第一硬化層及び第二硬化層を形成するための液晶組成物として、液晶組成物1の代わりに製造例2で製造した液晶組成物2を用いた。以上の事項以外は、実施例1と同じ操作を行って、液晶硬化フィルムの製造及び液晶硬化層の評価を行った。なお、この実施例6において、液晶性化合物を配向させるために液晶組成物の層をオーブン内で加熱する際の加熱条件(即ち、設定温度145℃との加熱条件)は、使用した液晶組成物2に対応する試験組成物の残留分粘度が255cPとなる温度条件であった。
[実施例7]
液晶組成物の塗工に用いるワイヤーバーを変更することにより、第一硬化層及び第二硬化層の厚みを下記表2に示すように変更した。また、第二硬化層を形成するための液晶組成物として、液晶組成物1の代わりに製造例2で製造した液晶組成物2を用いた。以上の事項以外は、実施例1と同じ操作を行って、液晶硬化フィルムの製造及び液晶硬化層の評価を行った。
[比較例1]
第二硬化層の形成を行わなかったこと以外は、実施例1と同じ操作を行って、支持基材と、この支持基材上に形成された第一硬化層のみを含む液晶硬化層とを含む液晶硬化フィルムを得た。得られた液晶硬化フィルムを用いて、上述した方法で、液晶硬化層の評価を行った。
[比較例2〜4]
液晶組成物の塗工に用いるワイヤーバーを変更することにより、第一硬化層の厚みを下記表3に示すように変更した。以上の事項以外は、比較例1と同じ操作を行って、液晶硬化フィルムの製造及び液晶硬化層の評価を行った。
[比較例5]
(ポジティブAプレートの作製)
逆分散液晶性化合物1を100重量部、フッ素系界面活性剤(DIC社製「F562」)0.30重量部、光重合開始剤(BASF社製「IrgacureOXE04」)4.3重量部、並びに、溶媒としてシクロペンタノン148.5重量部及び1,3−ジオキソラン222.8重量部を混合して、液晶組成物4を製造した。この液晶組成物4を、実施例1で用意した支持基材のラビング処理面に、ワイヤーバーを用いて塗工して、液晶組成物の層を形成した。次いで、この液晶組成物の層を、110℃に設定したオーブン内で4分間加熱して、層内の逆分散液晶性化合物を配向させた。その後、液晶組成物の層に窒素雰囲気下で500mJ/cmの紫外線を照射して、液晶組成物の層を硬化させることにより、支持基材と、この支持基材上に設けられた逆分散液晶性化合物1を含む液晶組成物の硬化物からなる層Aとを備えた複層フィルムAを得た。第一硬化層に相当する層としてこの層Aに含まれる逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を測定したところ、0°であった。
(ポジティブCプレートの作製)
ポリ(9−ビニルカルバゾール)(アルドリッチケミカル製、重量平均分子量約110万)をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に溶解させ、濃度12重量%のポリマー溶液を調製した。また、このポリマー溶液には、界面活性剤(大日本インキ社製「メガファックF−144D」)を、ポリ(9−ビニルカルバゾール)100重量部に対して0.1重量部添加した。このポリマー溶液を、実施例1で用意した支持基材上にスピンコート法で塗工した。塗工されたポリマー溶液の層を、60℃に設定したオーブン内で60分間、次いで100℃に設定したオーブンで15分間乾燥することにより、支持基材と、この支持基材上に設けられたポリ(9−ビニルカルバゾール)からなる層Bとを備えた複層フィルムBを得た。層Bに液晶性化合物が含まれていると仮定して、第二硬化層に相当する層としてこの層Bの実質最大傾斜角を測定したところ、90°であった。
(ポジティブAプレートとポジティブCプレートの積層)
複層フィルムAの層Aと、複層フィルムBの層Bとを、接着剤(日東電工社製「CS9621T」)を介して貼り合わせて、複層フィルムCを得た。この複層フィルムCに含まれる、層A、接着剤層及び層Bからなる層部分を、液晶硬化層に相当する層として、上述した方法で評価した。なお、比較例5においては、前記の層部分に含まれる液晶性化合物に相当する成分が傾斜していないことから、液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角の測定は行わなかった。
[比較例6]
液晶組成物の塗工に用いるワイヤーバーを変更することにより、第一硬化層及び第二硬化層の厚みを下記表4に示すように変更した。また、第一硬化層を形成するための液晶組成物として、液晶組成物1の代わりに製造例3で製造した液晶組成物3を用いた。以上の事項以外は、実施例1と同じ操作を行って、液晶硬化フィルムの製造及び液晶硬化層の評価を行った。
[比較例7]
ポリビニルアルコール溶液(濃度5重量%;クラレ社製「PVA−204C」)を用意した。この溶液の溶媒は、水及びイソプロピルアルコールを1:1(重量比)で含む混合溶媒であった。
支持基材として、片面にマスキングフィルムが貼り合わせられた熱可塑性のノルボルネン樹脂からなる樹脂フィルム(日本ゼオン社製「ゼオノアフィルム ZF16」;厚み100μm)を用意した。この支持基材からマスキングフィルムを剥離した。マスキング剥離面に、前記のポリビニルアルコール溶液を、スピンコート法で塗工した。塗工された溶液の層を、50℃に設定したホットプレートで30分、次いで120℃に設定したオーブンで10分乾燥することにより、厚み1.0μmの配向膜を得た。
前記の配向膜の表面に、ラビング処理を施した。そして、配向膜のラビング処理面に、ワイヤーバーを使用して、製造例1で製造した液晶組成物1を塗工して、液晶組成物の層を形成した。
次いで、この液晶組成物の層を、145℃に設定したオーブン内で4分間加熱して、層内の液晶性化合物を配向させた。
その後、液晶組成物の層に窒素雰囲気下で500mJ/cmの紫外線を照射して、液晶組成物の層を硬化させて、厚み3.4.μmの液晶硬化層を得た。この液晶硬化層を、上述した方法で評価した。
[結果]
上述した実施例及び比較例の結果を、下記の表1〜4に示す。下記の表において、略称の意味は、下記の通りである。
逆分散1:逆分散液晶性化合物1を含む液晶組成物。
逆分散2:逆分散液晶性化合物2を含む液晶組成物。
順分散3:順分散液晶性化合物3を含む液晶組成物。
ポジA:ポジティブAプレート。
ポジC:ポジティブCプレート。
PVA:ポリビニルアルコール。
Figure 2019116995
Figure 2019116995
Figure 2019116995
Figure 2019116995
[検討]
表1及び表2から分かるように、実施例においては、実質最大傾斜角の大きい液晶硬化層が得られている。よって、本発明により、液晶硬化層の全体として液晶性化合物の分子の傾斜角を大きくすることができたことが確認された。その結果、視野角特性にも優れていた。また、実施例で得られた液晶硬化層は、いずれも、逆波長分散性を有しており、配向欠陥の発生が抑制されており、更に、面状態が良好であった。
表3に示す比較例1〜4では、液晶硬化層が1層のみを有するので、実質最大傾斜角を大きくできていない。
また、表4に示す比較例6では、第一硬化層用の液晶性化合物として順分散液晶性化合物を用いた。この比較例6では、第一硬化層に含まれる逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角よりも、第二硬化層に含まれる逆分散液晶化合物の分子の実質最大傾斜角が小さい。さらに、比較例6では、液晶硬化層の面状態が不良であり、配向欠陥が生じている。よって、比較例6では、第一硬化層による配向規制力が第二硬化層に十分に及んでいないので、液晶硬化層全体としての実質最大傾斜角を大きくできなかったことが分かる。
これらの結果から、実質最大傾斜角の大きい液晶硬化層を得るという前記の効果が、逆分散液晶性化合物を含む第一硬化層と、逆分散液晶性化合物を含む第二硬化層との組み合わせによって実現されていることが分かる。
さらに、比較例7では、形成された液晶硬化層には配向欠陥が発生していた。また、配向膜上への液晶組成物1の塗工の際、ハジキ及びムラの発生があり、液晶硬化層の面状態は不良であった。これは、配向膜と液晶組成物1との間で材料が大きく異なるので、配向膜に対する液晶組成物1の親和性が低いことが原因と考えられる。
なお、比較例5でも、R(±50°)/R(0°)の値を1.00に近づけることができている。しかし、比較例5のフィルムは、その厚みが実施例に比べて大幅に大きい。よって、近年の薄型化の要求を考慮すると、実用的な価値としては、実施例で得た液晶硬化フィルムの方が優れている。
100 液晶硬化層
110 第一硬化層
120 第二硬化層
200 液晶硬化層
230 第三硬化層
240 液晶硬化層において、第三硬化層よりも前に形成された層部分
300 液晶硬化層

Claims (10)

  1. 逆波長分散性の複屈折を発現できる液晶性化合物を含む液晶組成物の硬化物で形成され、配向状態を固定されていてもよい前記液晶性化合物の分子を含む液晶硬化層を含む液晶硬化フィルムであって、
    前記液晶硬化層に含まれる前記液晶性化合物の少なくとも一部の分子が、前記液晶硬化層の層平面に対して傾斜しており、
    前記液晶硬化層が、第一硬化層と、前記第一硬化層に直接に接した第二硬化層とを含み、
    前記第二硬化層に含まれる前記液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角が、前記第一硬化層に含まれる前記液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角よりも大きい、液晶硬化フィルム。
  2. 前記第一硬化層が、前記第二硬化層に含まれる前記液晶性化合物の分子の傾斜角を大きくする配向膜として機能できる、請求項1に記載の液晶硬化フィルム。
  3. 前記液晶硬化層における前記液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角が、40°以上85°以下である、請求項1又は2に記載の液晶硬化フィルム。
  4. 前記液晶硬化層が、前記第一硬化層、前記第二硬化層、及び、前記第二硬化層に直接に接した第三硬化層を、この順に含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の液晶硬化フィルム。
  5. 前記液晶硬化層の厚みが10μm以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の液晶硬化フィルム。
  6. 前記液晶硬化層が、1/4波長板として機能できる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の液晶硬化フィルム。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の液晶硬化フィルムの製造方法であって、
    支持面に、前記液晶性化合物を含む第一液晶組成物の層を形成する工程と、
    前記第一液晶組成物の層に含まれる前記液晶性化合物を配向させる工程と、
    前記第一液晶組成物の層を硬化させて、第一硬化層を形成する工程と、
    前記第一硬化層上に、直接に、前記第一液晶組成物に含まれる前記液晶性化合物と同一または異なる液晶性化合物を含む第二液晶組成物の層を形成する工程と、
    前記第二液晶組成物の層に含まれる前記液晶性化合物を配向させる工程と、
    前記第二液晶組成物の層を硬化させて、第二硬化層を形成する工程と、を含む、液晶硬化フィルムの製造方法。
  8. 前記第二硬化層上に、直接に、前記第一液晶組成物に含まれる前記液晶性化合物及び前記第二液晶組成物に含まれる前記液晶性化合物と同一または異なる液晶性化合物を含む第三液晶組成物の層を形成する工程と、
    前記第三液晶組成物の層に含まれる前記液晶性化合物を配向させる工程と、
    前記第三液晶組成物の層を硬化させて、第三硬化層を形成する工程と、を含む、請求項7に記載の液晶硬化フィルムの製造方法。
  9. 逆波長分散性の複屈折を発現できる液晶性化合物を含む液晶組成物の硬化物で形成され、配向状態を固定されていてもよい前記液晶性化合物の分子を含む液晶硬化層と、直線偏光子とを含み、
    前記液晶硬化層に含まれる前記液晶性化合物の少なくとも一部の分子が、前記液晶硬化層の層平面に対して傾斜しており、
    前記液晶硬化層が、第一硬化層と、前記第一硬化層に直接に接した第二硬化層とを含み、
    前記第二硬化層に含まれる前記液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角が、前記第一硬化層に含まれる前記液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角よりも大きい、偏光板。
  10. 請求項9記載の偏光板を含む、有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
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