JPWO2019102539A1 - 回転電機制御装置及び電動車両 - Google Patents

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Abstract

1相異常時に、正常な2相の巻線の電流を制御することで回転電機にトルクを出力させつつ、インバータから直流電源に入出力される直流電力が、上限入出力電力を超えないようにできる回転電機制御装置及び電動車両を提供する。1相異常と判定された場合に、電流指令値及び3相電流の検出値に基づいて、正常な2相各相の巻線に流れる電流を制御し、1相異常と判定された場合に、インバータから直流電源に入出力される直流電力が、予め設定された上限入出力電力を超えないように、電流指令値の大きさを上限制限する回転電機制御装置。

Description

本発明は、直流電源と、3相巻線を有する回転電機との間で、直流電力と交流電力との電力変換を行うインバータを制御する回転電機制御装置に関するものである。
従来から、回転電機を駆動力源とする電気自動車やハイブリッド自動車などの電動車両が知られており、これらの電動車両では、走行時に回転電機を力行運転して走行駆動トルクを発生させ、制動時に回転電機を回生運転して回生制動トルクを発生させている。
インバータは、複数のスイッチング素子を所定のスイッチング周波数でオンオフすることにより、直流電源の直流電力を所定の交流電力に変換して回転電機に供給し、回転電機のトルクや回転速度を調節する。また、回転電機は、動作状況によっては発電機として動作し、発電によって生じる回生電力を直流電源に充電する。なお、電動車両に適用される回転電機として、効率が良い永久磁石同期型の3相回転電機がよく用いられる。
3相同期回転電機のインバータは、直流電源の正極に接続される正極側のスイッチング素子と、直流電源の負極に接続される負極側のスイッチング素子と、が直列接続された直列回路を、3相各相に対応して3セット設けている。3相同期回転電機では、インバータのスイッチング素子を順次オンオフさせることにより、3相各相の巻線に、互いに位相が120度ずつ異なる交流電力を供給して、回転電機を駆動する。
例えば、特許文献1には、ハイブリッド自動車に、1つのコンバータと2つのインバータ及び回転電機を備え、回転電機制御装置によりこれらを制御する技術が開示されている。
特許文献2には、インバータのスイッチング素子が1つ以上常時オフするような異常が発生した場合に、異常電流や異常トルクの発生を防止するために、インバータの各相のスイッチング素子をすべてオフする、若しくは、インバータの正極側のスイッチング素子の全て又は負極側のスイッチング素子の全てをオンして3相巻線を短絡する3相短絡を行っている。
特許文献3には、実施の形態7において、インバータ又は回転電機の1相分が故障した場合でも、回転電機にトルクを出力させるために、正常な2相の巻線の電流を制御する方法が開示されている。特許文献3の技術は、電動パワーステアリングに適用されている。
特開2017−163643号公報 特願2017−184448号公報 特開2003−26020号公報
しかしながら、特許文献1の技術は、インバータ及び回転電機が正常である場合の制御方法のみを開示しており、インバータ及び回転電機に異常が発生した場合に対応できない。
特許文献2の技術では、インバータのスイッチング素子の異常が発生した場合に、インバータの各相のスイッチング素子をすべてオフする、又は3相短絡を行うため、インバータに異常が発生した場合に、回転電機にトルクを出力させることができなくなる。そのため、走行中にスイッチング素子の異常が発生すると、電動車両を停止せざるを得なくなり、電動車両を路肩に待避させる等の退避運転を行うことが困難になるおそれがあった。
また、特許文献3の技術では、インバータ又は回転電機の1相分が故障した場合でも、正常な2相の巻線の電流を制御して、回転電機にトルクを発生させることができるが、回転電機の回転速度の上昇により、回転電機が発生する誘起電圧が上昇し、直流電源の直流電圧を超える場合に、どのような対処を行うか開示されておらず、直流電源への過剰な電力回生や異常トルクを発生するおそれがある。
直流電源には、入出力可能な上限電力があり、この上限入出力電力を超えて、直流電源からインバータに直流電力が供給されると、直流電源の出力電圧が低下し、制御が不安定になり、場合によっては、異常トルクが発生するおそれがある。また、上限入出力電力を超えて電力供給が行われると、直流電源が故障したり、直流電源とインバータとの間に設けられたリレー回路がオフしたりする。そのため、回転電機にトルクを発生できなくなり、走行中に電動車両を停止せざるを得なくなり、電動車両を路肩に待避させる等の退避運転を行うことが困難になるおそれがあった。しかし、特許文献3の技術では、1相異常時に、正常な2相の巻線の電流を制御する場合に、直流電源の上限入出力電力が考慮されていない。特に、この1相異常時は、正常時よりも出力トルクが低下するため、出力トルクを増加させるために、回転電機の出力を増加させると、正常時よりも上限入出力電力を超え易くなり、上記の問題が生じ易くなる。
そこで、3相巻線の1相に流れる電流を制御できない異常状態になっても、正常な2相の巻線の電流を制御することで回転電機にトルクを出力させつつ、インバータから直流電源に入出力される直流電力が、上限入出力電力を超えないようにできる回転電機制御装置及び電動車両が望まれる。
本発明に係る回転電機制御装置は、直流電源と、3相巻線を有する回転電機との間で、直流電力と交流電力との電力変換を行うインバータを制御する回転電機制御装置であって、
前記回転電機及び前記インバータは、1組以上設けられ、
前記直流電源は、1組以上の前記回転電機及び前記インバータに対して、1つ設けられ、
前記回転電機制御装置は、各組の前記回転電機及び前記インバータについて、
3相各相の巻線に流れる3相電流を検出する電流検出部と、
3相全ての相の巻線に流れる電流を制御できる3相正常の状態であるか、いずれか1相の巻線に流れる電流を制御できない1相異常の状態であるかを判定する異常判定部と、
前記回転電機の出力トルクに相関する電流指令値を算出する電流指令算出部と、
前記3相正常と判定された場合に、前記電流指令値及び前記3相電流の検出値に基づいて、3相各相の巻線に流れる電流を制御する正常時電流制御部と、
前記1相異常と判定された場合に、前記電流指令値及び前記3相電流の検出値に基づいて、正常な2相各相の巻線に流れる電流を制御する異常時電流制御部と、
前記1相異常と判定された場合に、前記インバータから前記直流電源に入出力される直流電力が、予め設定された上限入出力電力を超えないように、前記電流指令値の大きさを上限制限する異常時出力制限部と、を備えたものである。
本発明に係る電動車両は、上記のような回転電機制御装置と、前記直流電源と、1組以上の前記回転電機及び前記インバータと、1組以上の前記回転電機の駆動力を車輪に伝達する駆動力伝達機構と、を備えたものである。
本発明に係る回転電機制御装置及び電動車両によれば、1相異常時に、電流指令値及び3相電流の検出値に基づいて、正常な2相各相の巻線に流れる電流を制御するので、1相異常時にも回転電機にトルクを出力させることができる。また、1相異常時に、インバータから直流電源に入出力される直流電力が、上限入出力電力を超えないように、電流指令値の大きさを上限制限するので、直流電源の出力電圧が低下することを抑制でき、異常トルクが発生することを抑制でき、直流電源が故障することを抑制できる。また、1相異常時に、上限入出力電力の超過により、回転電機にトルクを発生できなくことを抑制し、電動車両の退避運転をより確実に行えるようにできる。
本発明の実施の形態1に係る回転電機駆動装置及び回転電機制御装置の構成図である。 本発明の実施の形態1に係る回転電機駆動装置及び回転電機制御装置の概略ブロック図である。 本発明の実施の形態1に係る第1のインバータ制御部のブロック図である。 本発明の実施の形態1に係る電流制御部のブロック図である。 本発明の実施の形態1に係る正常時電流制御部のブロック図である。 本発明の実施の形態1に係る異常時電流制御部のブロック図である。 本発明の実施の形態1に係る1相異常時の電流制御挙動を説明するためのタイムチャートである。 本発明の実施の形態1に係る異常時3相短絡制御部の処理を説明するためのフローチャートである。 本発明の実施の形態1に係る異常時出力制限部の処理を説明するためのフローチャートである。 本発明の実施の形態1に係る電圧指令算出部のブロック図である。 本発明の実施の形態1に係る3相正常時と1相異常時の回転電機のトルク−回転速度特性を説明するための図である。 本発明の実施の形態1に係る回転電機制御装置のハードウェア構成図である。
実施の形態1.
以下、実施の形態1に係る回転電機を駆動する回転電機駆動装置1000を制御する回転電機制御装置400(以下、単に制御装置400と称す)について図面を参照して説明する。図1は、本実施の形態に係る回転電機、回転電機駆動装置1000、及び制御装置400の概略構成図である。
1.回転電機及び回転電機駆動装置
回転電機駆動装置1000は、直流電力を供給する直流電源14と、直流電源14と回転電機との間に設けられ、直流電力と交流電力との電力変換を行うインバータと、を備えている。
本実施の形態では、回転電機は、駆動力伝達機構を介して車輪に連結されており、回転電機は、車輪の駆動力源とされている。回転電機、回転電機駆動装置1000及び制御装置400は、電動車両に搭載されている。回転電機及びインバータは、1組以上(本例では2組)設けられている。直流電源14は、1組以上の回転電機及びインバータに対して、1つ設けられている。以下、第1組を「第1」と称し、第2組を「第2」と称す。
本実施の形態では、第1の回転電機MG1は、図示省略する内燃機関によって駆動される発電機として動作すると共に、内燃機関の始動を行なう電動機として動作する。第2の回転電機MG2は、図示省略する出力軸及び減速機を介して車輪に連結されており、車輪を駆動する電動機として動作すると共に、車輪の駆動力により回生発電を行う発電機として動作する。
<直流電源14>
本実施の形態では、直流電源14は、蓄電装置Bと、蓄電装置Bの直流電力を電力変換するコンバータ15と、を備えている。
蓄電装置Bには、ニッケル水素又はリチウムイオン等の二次電池が用いられる。なお、蓄電装置Bに、電気二重層キャパシタ等が用いられてもよい。蓄電装置Bの正極端子は、コンバータ15の電源側正極電線6に接続され、蓄電装置Bの負極端子は、コンバータ15の電源側負極電線5に接続される。蓄電装置Bの電源電圧Vbを検出するための電源電圧センサ10が設けられている。電源電圧センサ10の出力信号は、制御装置400へ入力される。
コンバータ15は、蓄電装置Bとシステム電圧線7、8との間に接続され、直流電力を変換するDC−DCコンバータとされている。本実施の形態では、コンバータ15は、蓄電装置Bの電源電圧Vbを昇圧してシステム電圧線7、8に出力する昇圧チョッパの機能と、システム電圧線7、8の直流電圧であるシステム電圧VHを降圧して蓄電装置Bに出力する降圧チョッパの機構と、を有した昇降圧コンバータとされている。コンバータ15は、少なくとも、リアクトルと、スイッチング素子と、フリーホイールダイオードと、を備えている。
コンバータ15は、電源側正極電線6と電源側負極電線5との間に接続された平滑コンデンサC1を備えている。なお、蓄電装置Bの正極端子及び電源側正極電線6の間、並びに、蓄電装置Bの負極端子及び電源側負極電線5の間には、車両運転時にオンされ、システムの異常を検出し、運転を継続できない条件になった場合やドライバの意思による運転停止を含めた車両運転停止時にオフされるリレー(図示せず)が設けられる。
本実施の形態では、コンバータ15は、昇圧チョッパ及び降圧チョッパ共用の1つのリアクトルL1と、2つのスイッチング素子Q3、Q4と、2つのフリーホイールダイオードD1、D2と、2つのスイッチング素子Q1、Q2と、2つのフリーホイールダイオードD3、D4と、平滑コンデンサC0と、を備えている。4つのスイッチング素子Q1、Q2、Q3、Q4は、正極側のシステム電圧線7と負極側のシステム電圧線8との間に、正極側からQ1、Q2、Q3、Q4の順に直列接続されている。4つのフリーホイールダイオードD1、D2、D3、D4のそれぞれは、4つのスイッチング素子Q1、Q2、Q3、Q4のそれぞれに逆並列接続されている。4つのスイッチング素子Q1、Q2、Q3、Q4は、それぞれ、制御装置400から出力されるコンバータ制御信号S1、S2、S3、S4によってオンオフ制御される。
リアクトルL1は、スイッチング素子Q2及びスイッチング素子Q3の接続ノードと、電源側正極電線6との間に接続されている。コンデンサC2が、スイッチング素子Q1及びスイッチング素子Q2の接続ノードと、スイッチング素子Q3及びスイッチング素子Q4の接続ノードとの間に接続されている。平滑コンデンサC0が、正極側のシステム電圧線7と負極側のシステム電圧線8との間に接続されている。正極側のシステム電圧線7と負極側のシステム電圧線8との間に、システム電圧線7、8のシステム電圧VHを検出するためのシステム電圧センサ13が設けられている。システム電圧センサ13の出力信号は、制御装置400へ入力される。
<インバータ>
第1のインバータIN1及び第2のインバータIN2の直流電圧側は、共通のシステム電圧線7、8を介して、直流電源14(本例では、コンバータ15)に接続されている。
第1のインバータIN1は、正極側のシステム電圧線7に接続される正極側のスイッチング素子(上アーム)と負極側のシステム電圧線8に接続される負極側のスイッチング素子(下アーム)とが直列接続された直列回路(レッグ)を、3相各相の巻線に対応して3セット設けている。すなわち、第1のインバータIN1は、3つの正極側のスイッチング素子Q11U、Q11V、Q11Wと、3つの負極側のスイッチング素子Q12U、Q12V、Q12Wとの、合計6つのスイッチング素子を備えている。各スイッチング素子Q11U、Q11V、Q11W、Q12U、Q12V、Q12Wには、それぞれ、フリーホイールダイオードD11U、D11V、D11W、D12U、D12V、D12Wが逆並列接続されている。そして、各相の正極側のスイッチング素子及び負極側のスイッチング素子の接続ノードが、第1の回転電機MG1における対応する相の巻線に接続されている。各相の巻線に流れる電流を検出するための電流センサ27が、スイッチング素子の接続ノードと巻線とをつなぐ各相の電線上に備えられている。電流センサ27の出力信号は、制御装置400へ入力される。スイッチング素子Q11U、Q11V、Q11W、Q12U、Q12V、Q12Wは、それぞれ、制御装置400から出力される第1のインバータ制御信号S11、S12、S13、S14、S15、S16によってオンオフ制御される。
同様に、第2のインバータIN2は、正極側のシステム電圧線7に接続される正極側のスイッチング素子(上アーム)と負極側のシステム電圧線8に接続される負極側のスイッチング素子(下アーム)とが直列接続された直列回路(レッグ)を、3相各相の巻線に対応して3セット設けている。すなわち、第2のインバータIN2は、3つの正極側のスイッチング素子Q21U、Q21V、Q21Wと、3つの負極側のスイッチング素子Q22U、Q22V、Q22Wとの、合計6つのスイッチング素子を備えている。各スイッチング素子Q21U、Q21V、Q21W、Q22U、Q22V、Q22Wには、それぞれ、フリーホイールダイオードD21U、D21V、D21W、D22U、D22V、D22Wが逆並列接続されている。そして、各相の正極側のスイッチング素子及び負極側のスイッチング素子の接続ノードが、第2の回転電機MG2における対応する相の巻線に接続されている。各相の巻線に流れる電流を検出するための電流センサ27が、スイッチング素子の接続ノードと巻線とをつなぐ各相の電線上に備えられている。電流センサ27の出力信号は、制御装置400へ入力される。スイッチング素子Q21U、Q21V、Q21W、Q22U、Q22V、Q22Wは、それぞれ、制御装置400から出力される第2のインバータ制御信号S21、S22、S23、S24、S25、S26によってオンオフ制御される。
インバータIN1、IN2は、制御装置400のスイッチング制御により、システム電圧線7、8の直流電圧を3相交流電圧に変換して回転電機MG1、MG2に出力し、回転電機MG1、MG2を電動機として機能させることができる。また、インバータIN1、IN2は、制御装置400のスイッチング制御により、回転電機MG1、MG2が発電した3相交流電圧を直流電圧に変換して、システム電圧線7、8に出力することができる。
コンバータ15、及び第1及び第2のインバータIN1、IN2のスイッチング素子として、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、電力用MOS(Metal Oxide semiconductor)トランジスタ、電力用バイポーラトランジスタ、SiC、GaN等が用いられる。
<回転電機>
第1及び第2の回転電機MG1、MG2のそれぞれは、非回転部材に固定された固定子と、当該固定子の径方向内側に配置され、回転可能に支持された回転子と、を備えている。本実施の形態では、第1及び第2の回転電機MG1、MG2のそれぞれは、永久磁石同期型の回転電機とされており、固定子に3相の巻線が設けられ、回転子に永久磁石が設けられている。第1及び第2の回転電機MG1、MG2のそれぞれは、電動機及び発電機の機能を併せもつ。
第1及び第2の回転電機MG1、MG2には、それぞれ、回転子の回転角度を検出するための回転角センサ28(本例ではレゾルバ)が設けられている。それぞれの回転角センサ28の出力信号は、制御装置400に入力される。制御装置400は、それぞれの回転角センサ28の出力信号に基づいて、第1の回転電機MG1の第1の回転角度θ1、及び第2の回転電機MG2の第2の回転角度θ2を検出し、第1及び第2の回転角度θ1、θ2のそれぞれに基づいて、第1の回転電機MG1の第1の回転速度ω1、及び第2の回転電機MG2の第2の回転速度ω2(本例では、回転角速度)を算出する。
2.制御装置
制御装置400は、後述するコンバータ制御部750、電圧指令算出部700、及びインバータ制御部600等の機能部を備えている。制御装置400の各機能は、制御装置400が備えた処理回路により実現される。具体的には、制御装置400は、図12に示すように、処理回路として、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置90(コンピュータ)、演算処理装置90とデータのやり取りする記憶装置91、演算処理装置90に外部の信号を入力する入力回路92、及び演算処理装置90から外部に信号を出力する出力回路93等を備えている。
演算処理装置90として、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、IC(Integrated Circuit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、各種の論理回路、及び各種の信号処理回路等が備えられてもよい。また、演算処理装置90として、同じ種類のもの又は異なる種類のものが複数備えられ、各処理が分担して実行されてもよい。記憶装置91として、演算処理装置90からデータを読み出し及び書き込みが可能に構成されたRAM(Random Access Memory)や、演算処理装置90からデータを読み出し可能に構成されたROM(Read Only Memory)等が備えられている。入力回路92は、電源電圧センサ10、13等の各種のセンサやスイッチが接続され、これらセンサやスイッチの出力信号を演算処理装置90に入力するA/D変換器等を備えている。出力回路93は、スイッチング素子をオンオフ駆動するゲート駆動回路等の電気負荷が接続され、これら電気負荷に演算処理装置90から制御信号を出力する駆動回路等を備えている。
本実施の形態では、入力回路92には、電源電圧センサ10、システム電圧センサ13、電流センサ27、回転角センサ28等が接続されている。出力回路93には、コンバータ15のスイッチング素子(ゲート駆動回路)、第1及び第2のインバータIN1、IN2のスイッチング素子(ゲート駆動回路)等が接続されている。
そして、制御装置400が備える図2の各制御部750、700、600等の各機能は、演算処理装置90が、ROM等の記憶装置91に記憶されたソフトウェア(プログラム)を実行し、記憶装置91、入力回路92、及び出力回路93等の制御装置400の他のハードウェアと協働することにより実現される。なお、各制御部750、700、600等が用いる上限入出力電力、マップデータ等の設定データは、ソフトウェア(プログラム)の一部として、ROM等の記憶装置91に記憶されている。以下、制御装置400の各機能について詳細に説明する。
2−1.インバータ制御部600
まず、インバータ制御部600は、インバータのスイッチング素子をオンオフ制御することにより回転電機の動作制御を行う。インバータ制御部600は、トルク指令値のトルクを回転電機が出力するようにインバータのスイッチング素子をオンオフ制御する。トルク指令値は、制御装置400の外部の制御装置、又は制御装置400の内部の他の制御部から伝達される。
本実施の形態では、インバータ制御部600は、第1のインバータIN1及び第1の回転電機MG1の制御を行う第1のインバータ制御部601と、第2のインバータIN2及び第2の回転電機MG2の制御を行う第2のインバータ制御部602と、を備えている。
第1及び第2のトルク指令値Tqcom1、Tqcom2は、それぞれ運転状態に応じて正又は負に設定される。特に、インバータの正常時において、電動車両の回生制動時には、第2のトルク指令値Tqcom2は負に設定される(Tqcom2<0)。この場合には、第2のインバータIN2は、第2のインバータ制御信号S21〜S26に応答したスイッチング動作により、第2の回転電機MG2が発電した交流電圧を直流電圧に変換し、直流電圧(システム電圧VH)を直流電源14(コンバータ15)へ供給する。
2−1−1.第1のインバータ制御部601
第1のインバータ制御部601と第2のインバータ制御部602とは、同様の構成であるため、以下では、第1のインバータ制御部601を代表して説明する。
図3に示すように、第1のインバータ制御部601は、電流検出部605、回転速度検出部630、異常判定部620、電流指令算出部610、電流制御部640、PWM信号生成部660、異常時出力制限部680、及び異常時3相短絡制御部690を備えている。
2−1−1−1.電流検出部605
電流検出部605は、第1の回転電機MG1の電流センサ27の出力信号に基づいて、第1の回転電機MG1の3相各相の巻線に流れる3相電流Iu、Iv、Iwを検出する。
2−1−1−2.回転速度検出部630
回転速度検出部630は、第1の回転電機MG1の回転角センサ28の出力信号に基づいて、第1の回転電機MG1のロータの第1の回転角度θ1(磁極位置)及び第1の回転角速度ω1を検出する。
2−1−1−3.異常判定部620
異常判定部620は、第1の回転電機MG1及び第1のインバータIN1について、3相全ての相の巻線に流れる電流を制御できる3相正常の状態であるか、いずれか1相の巻線に流れる電流を制御できない1相異常の状態であるかを判定する。
1相異常の状態は、第1のインバータIN1について、1つの相の正極側及び負極側スイッチング素子の一方又は双方が故障した場合、もしくは、第1の回転電機MG1について、1相の巻線に、断線やコネクタはずれにより電流が流れない場合に生じる。3相正常の状態は、第1のインバータIN1について、全ての相の正極側及び負極側スイッチング素子が正常な場合、及び第1の回転電機MG1について、全ての相の巻線に電流が流れる場合に生じる。
本実施の形態では、異常判定部620は、3相各相の巻線に流れる3相電流検出値Iu、Iv、Iwに基づいて、各相の巻線に正常に電流が流れている否かを判定し、判定結果に基づいて、3相正常であるか、1相異常であるかを判定する。例えば、異常判定部620は、電流制御中に、各相の電流検出値が0になっている期間が、予め設定した判定期間に到達したか否かを判定し、判定期間に到達した相の巻線に、電流が流れていないと判定する。
異常判定部620は、第1の回転電機MG1の3相の巻線に電流が流れていると判定した場合は、第1の異常判定信号Finv1を、3相正常を表す「0」に設定し、1つの相の巻線に電流が流れていないと判定した場合は、第1の異常判定信号Finv1を、1相異常を表す「1」に設定する。なお、異常判定部620は、2つ以上の相の巻線に電流が流れていないと判定した場合は、第1の異常判定信号Finv1を、複数相異常を表す「2」に設定する。第1の異常判定信号Finv1には、異常があった相、スイッチング素子の情報も含まれる。第1の異常判定信号Finv1は、異常時電流制御部642及び切替部644等に出力される。
また、各スイッチング素子の故障を検出する故障検出回路が設けられている場合は、異常判定部620は、故障検出回路による故障検出結果に基づいて、3相正常であるか、1相異常であるか、を判定してもよい。
2−1−1−4.電流指令算出部610
電流指令算出部610は、回転電機の出力トルクに相関する電流指令値を算出する。本実施の形態では、電流指令算出部610は、第1の回転電機MG1の3相巻線に流す電流の指令値を、第1の回転電機MG1のd軸及びq軸の回転座標系で表したd軸電流指令値Idcom及びq軸電流指令値Iqcomを算出する。d軸及びq軸の回転座標系は、第1の回転電機MG1のロータに設けられた永久磁石のN極の向き(磁極位置)に定めたd軸、及びd軸より電気角で90°(π/2)進んだ方向に定めたq軸からなる、ロータの電気角での回転に同期して回転する2軸の回転座標系である。
本実施の形態では、電流指令算出部610は、後述する異常時出力制限部680の処理後の第1のトルク指令値Tqcom1に基づいて、d軸及びq軸電流指令値Idcom、Iqcomを演算する。電流指令算出部610は、第1のインバータIN1及び回転電機MG1が3相正常な場合において、第1のトルク指令値Tqcom1を第1の回転電機MG1に出力させるようなd軸及びq軸電流指令値Idcom、Iqcomを算出する。電流指令算出部610は、最大トルク電流制御、弱め界磁制御などの電流ベクトル制御方法に従って、d軸及びq軸電流指令値Idcom、Iqcomを演算する。最大トルク電流制御では、インバータが3相正常な場合に同一電流に対して発生トルクを最大にするようなd軸及びq軸電流指令値Idcom、Iqcomを算出する。
弱め界磁制御では、最大トルク電流制御により算出されるd軸及びq軸電流指令値Idcom、Iqcomよりも、d軸電流指令値Idcomを負の方向に増加させる。弱め界磁制御では、第1のトルク指令値Tqcom1に応じて、システム電圧VHに応じた定誘起電圧楕円(電圧制限楕円)上を、d軸及びq軸電流指令値Idcom、Iqcomを移動させる。弱め界磁制御では、基本波成分の振幅がほぼ固定されるようにトルク制御が実行される。
電流指令算出部610は、制御方式毎に第1のトルク指令値Tqcom1とd軸及びq軸電流指令値Idcom、Iqcomとの関係が予め設定されたマップデータを用い、第1のトルク指令値Tqcom1に対応するd軸及びq軸電流指令値Idcom、Iqcomを算出する。
電流指令算出部610は、最大トルク電流制御を実行可能な運転条件では、最大トルク電流制御によりd軸及びq軸電流指令値を算出し、電圧制限楕円の制限により最大トルク電流制御によるd軸及びq軸電流指令値の算出を実行できない運転条件では、弱め界磁制御によりd軸及びq軸電流指令値を算出するように構成されている。
2−1−1−5.PWM信号生成部660
PWM信号生成部660は、後述する電流制御部640により算出された3相交流電圧指令値Vu、Vv、Vwのそれぞれと、システム電圧VHの振動幅を有し、キャリア周波数で振動するキャリア波(三角波)とを比較し、交流電圧指令値がキャリア波を上回った場合は、矩形パルス波をオンさせ、交流電圧指令値がキャリア波を下回った場合は、矩形パルス波をオフさせる。PWM信号生成部660は、3相各相の矩形パルス波に基づいて、第1のインバータ制御信号S11〜S16を生成し、第1のインバータIN1に出力する。
2−1−1−6.電流制御部640
図4に示すように、電流制御部640は、3相正常と判定された場合に、電流指令値及び3相電流検出値Iu、Iv、Iwに基づいて、3相各相の巻線に流れる電流を制御する正常時電流制御部641と、1相異常と判定された場合に、電流指令値及び3相電流検出値Iu、Iv、Iwに基づいて、正常な2相の巻線に流れる電流を制御する異常時電流制御部642と、正常時電流制御部641及び異常時電流制御部642を切り替える切替部644と、を備えている。
<切替部644>
切替部644は、異常判定部620が3相正常である判定した場合(Finv1=0)は、正常時電流制御部641が算出した3相交流電圧指令値Vu3、Vv3、Vw3を最終的な3相交流電圧指令値Vu、Vv、Vwとして出力し、異常判定部620が1相異常(又は複数相異常)である判定した場合(Finv1=1(又は2))は、異常時電流制御部642が算出した3相交流電圧指令値Vu2、Vv2、Vw2を最終的な3相交流電圧指令値Vu、Vv、Vwとして出力する。
<正常時電流制御部641>
正常時電流制御部641は、上記のように、3相正常と判定された場合に、電流指令値及び3相電流検出値Iu、Iv、Iwに基づいて、3相各相の巻線に流れる電流を制御する。本実施の形態では、正常時電流制御部641は、dq軸回転座標系上で電流を制御するベクトル制御法を用いた電流フィードバック制御を行うように構成されている。
図5に示すように、正常時電流制御部641は、2相変換部649、dq軸電流フィードバック制御部650、及び3相変換部651を備えている。2相変換部649は、電流センサ27の出力信号に基づいて検出した各相の巻線に流れる3相電流検出値Iu、Iv、Iwを、第1の磁極位置θ1に基づいて3相2相変換及び回転座標変換を行って、dq軸回転座標系で表したd軸電流Id及びq軸電流Iqに変換する。dq軸電流フィードバック制御部650は、d軸及びq軸電流Id、Iqが、d軸及びq軸電流指令値Idcom、Iqcomに近づくように、第1の回転電機MG1に印加する電圧の指令信号をdq軸回転座標系で表したd軸電圧指令値Vdcom及びq軸電圧指令値Vqcomを、PI制御等により変化させる電流フィードバック制御を行う。3相変換部651は、d軸及びq軸電圧指令値Vdcom、Vqcomを、第1の磁極位置θ1に基づいて、固定座標変換及び2相3相変換を行って、正常時の3相各相の巻線への交流電圧指令値である3相交流電圧指令値Vu3、Vv3、Vw3に変換する。
<異常時電流制御部642>
異常時電流制御部642は、上記のように、1相異常と判定された場合に、電流指令値及び3相電流検出値Iu、Iv、Iwに基づいて、正常な2相各相の巻線に流れる電流を制御する。本実施の形態では、異常時電流制御部642は、正常な2相の電流指令値を算出し、正常な2相の電流検出値が、それぞれ、正常な2相の電流指令値に近づくように、正常な2相の交流電圧指令値を変化させる2相個別電流フィードバック制御を行う。
図6に示すように、異常時電流制御部642は、3相電流指令算出部655、U相電流制御部656、V相電流制御部657、及びW相電流制御部658を備えている。
3相電流指令算出部655は、異常と判定された相の交流電流指令値を0に設定し、d軸及びq軸電流指令値Idcom、Iqcomを、第1の磁極位置θ1に基づいて、正常と判定された2相の交流電圧指令値に変換する。この時、3相電流指令算出部655は、正常な2相の交流電圧指令値を、互いに逆符号で絶対値が等しくなる値に設定する。
U相が異常と判定され、V相及びW相が正常と判定されている場合の例について説明する。次式に示すように、3相電流指令算出部655は、異常と判定されたU相の交流電流指令値Iucomを0に設定し、異常なU相の次の相であるV相の交流電流指令値Ivcomを、d軸及びq軸電流指令値Idcom、Iqcomに応じた電流値(本例では、d軸及びq軸電流指令値Idcom、Iqcomの電流ベクトルの大きさ/√2)を、異常なU相巻線の位相θ1の余弦値で除算した値を、±電流制限値Ilim/√2で上下限制限した値に設定し、残りのW相の交流電流指令値Iwcomを、V相の交流電流指令値Ivcomの正負を反転した値(位相を反転した値)に設定する。ここで、MIN(A、B)は、A、Bのうち、小さい方の値を出力する関数であり、MAX(A、B)は、A、Bのうち、大きい方の値を出力する関数である。また、電流制限値Ilimは、スイッチング素子、巻線等に流すことのできる上限電流(定格電流)に応じて設定される。この時の挙動を図7の上段に示す。
Figure 2019102539
次式に示すように、電流制限値Ilimで上下限制限する前の、3相交流電圧指令値Iucom、Ivcom、Iwcomを、3相2相変換及び回転座標変換を行って、d軸及びq軸電流Id*、Iq*を算出すると、回転電機の出力トルクに比例するq軸電流Iq*が、d軸及びq軸電流指令値Idcom、Iqcomの電流ベクトルの大きさの一定値になる。これは、式(1)に示したように、電流値を第1の磁極位置θ1の余弦値で除算することにより、V相の交流電流指令値Ivcomを増加させ、U相に電流が流れていないことにより、出力トルクが低下しないようにしているためである。よって、図7の下段に示すように、第1の回転電機MG1に第1のトルク指令値Tqcom1に近いトルクを出力させることができる。しかし、第1の磁極位置θ1の余弦値が0に近づくと、V相の交流電流指令値Ivcomが大きくなり過ぎるため、電流制限値IlimによりV相の交流電流指令値Ivcomが上下限制限されている。電流制限値Ilimにより上下限制限されている期間では、上限制限幅に応じて、回転電機の出力トルクが低下し、第1の磁極位置θ1が90deg、270degでは、回転電機の出力トルクが0になる。
Figure 2019102539
また、V相が異常と判定され、U相及びW相が正常と判定されている場合は、3相電流指令算出部655は、次式に示すように、異常と判定されたV相の交流電流指令値Ivcomを0に設定し、異常なV相の次の相であるW相の交流電流指令値Iwcomを、d軸及びq軸電流指令値Idcom、Iqcomの電流ベクトルの大きさ/√2を、異常なV相巻線の位相(θ1−2/3π)の余弦値で除算した値を、±電流制限値Ilim/√2で上下限制限した値に設定し、残りのU相の交流電流指令値Iucomを、W相の交流電流指令値Iwcomの正負を反転した値に設定する。
Figure 2019102539
また、W相が異常と判定され、U相及びV相が正常と判定されている場合は、3相電流指令算出部655は、次式に示すように、異常と判定されたW相の交流電流指令値Iwcomを0に設定し、異常なV相の次の相であるU相の交流電流指令値Iucomを、d軸及びq軸電流指令値Idcom、Iqcomの電流ベクトルの大きさ/√2を、異常なW相巻線の位相(θ1+2/3π)の余弦値で乗算した値を、±電流制限値Ilim/√2で上下限制限した値に設定し、正常と判定されたV相の交流電流指令値Ivcomを、U相の交流電流指令値Iucomの正負を反転した値に設定する。
Figure 2019102539
なお、3相電流指令算出部655は、式(1)、式(3)、式(4)とは異なる方法により、1相異常時の3相交流電圧指令値Iucom、Ivcom、Iwcomを算出してもよい。
そして、U相電流制御部656は、PI制御等により、U相電流検出値IuがU相の交流電流指令値Iucomに近くづくように、U相交流電圧指令値Vu2を変化させるフィードバック制御を行う。V相電流制御部657は、PI制御等により、V相電流検出値IvがV相の交流電流指令値Ivcomに近くづくように、V相交流電圧指令値Vv2を変化させるフィードバック制御を行う。W相電流制御部658は、PI制御等により、W相電流検出値IwがW相の交流電流指令値Iwcomに近くづくように、W相交流電圧指令値Vw2を変化させるフィードバック制御を行う。なお、異常が判定された相の交流電圧指令値は0に設定され、異常が判定された相の正極側及び負極側のスイッチング素子は常時オフされる。
なお、異常時電流制御部642は、複数相異常と判定されている場合(Finv1=2)は、3相交流電圧指令値Vu2、Vv2、Vw2を0に設定し、全ての相の正極側及び負極側のスイッチング素子は常時オフさせる。
このように、1相異常が生じた場合でも、正常時電流制御部641の代わりに異常時電流制御部642によって電流制御を継続することで、回転電機のトルク出力を継続させることができる。
<異常時3相短絡制御部690>
異常時3相短絡制御部690は、1相異常と判定された場合、かつ、第1の回転電機MG1の端子電圧が、システム電圧VHを超えると判定した場合に、第1のインバータIN1の正極側のスイッチング素子の全て、又は負極側のスイッチング素子の全てをオンする3相短絡を実行する。
本実施の形態に係る異常時3相短絡制御部690の処理を、図8のフローチャートを参照して説明する。まず、ステップS101で、異常時3相短絡制御部690は、第1の回転角速度ω1、第1の磁極位置θ1、第1の異常判定信号Finv1、システム電圧VH、d軸及びq軸電流指令値Idcom、Iqcom、1相異常時の3相交流電圧指令値Iucom、Ivcom、Iwcom等の各種制御情報を読み込む。
次に、ステップS102で、異常時3相短絡制御部690は、ステップS101で読み込んだ情報に基づいて、第1の回転電機MG1の最大端子電圧Vmg_maxを算出する。
本実施の形態では、1相異常時に第1の回転電機MG1に流れる電流Iaは周期的に変動する。異常時3相短絡制御部690は、1相異常時に第1の回転電機MG1に流れる電流Iaの交流周期間の最大電流Imaxを算出する。そして、異常時3相短絡制御部690は、最大電流Imax及び第1の回転角速度ω1に基づいて、第1の回転電機MG1の最大端子電圧Vmg_maxを算出する。
本実施の形態では、異常時3相短絡制御部690は、1相異常時の3相交流電圧指令値Iucom、Ivcom、Iwcomをdq軸回転座標系で表したd軸及びq軸電流Id*、Iq*の合成ベクトルの大きさを、電流Iaとして算出する。例えば、次式に示すように、異常時3相短絡制御部690は、1相異常時の3相交流電圧指令値Iucom、Ivcom、Iwcomに対して3相2相変換及び回転座標変換を行って、d軸及びq軸電流Id*、Iq*を算出し、その後、d軸及びq軸電流Id*、Iq*の合成ベクトルを算出する。
Figure 2019102539
異常時3相短絡制御部690は、次式に示すように、電流Iaに基づいて交流周期間の電流Iaの最大電流Imaxを算出する。ここで、MAX(A)は、1交流周期間のAの最大値を出力する関数である。
Figure 2019102539
本実施の形態では、1相異常時の3相交流電圧指令値Iucom、Ivcom、Iwcomは、式(1)、式(3)、式(4)のように算出されるので、電流制限値Ilimにより上下限制限されていない期間のd軸及びq軸電流Id*、Iq*は、式(2)のようになるため、電流Iaの大きさは、次式のように算出される。よって、交流周期間の最大電流Imaxは、電流制限値Ilimになる。そのため、異常時3相短絡制御部690は、電流制限値Ilimを最大電流Imaxとして算出できる。なお、式(5)及び式(6)は、1相異常時の3相交流電圧指令値Iucom、Ivcom、Iwcomが、式(1)、式(3)、式(4)以外の方法で算出される場合に用いればよい。
Figure 2019102539
異常時3相短絡制御部690は、次式を用い、最大電流Imax及び第1の回転角速度ω1に基づいて、最大端子電圧Vmg_maxを算出する。最大端子電圧Vmg_maxは、巻線抵抗による電圧降下、誘起電圧の合計値になる。第1の回転角速度ω1が増加すると誘起電圧が上昇し、最大端子電圧Vmg_maxが増加する。
Figure 2019102539
ここで、Rは予め設定された第1の回転電機MG1の抵抗値であり、Lは予め設定された第1の回転電機MG1のインダクタンスであり、Keは予め設定された第1の回転電機MG1の誘起電圧定数である。
次に、ステップS103で、異常時3相短絡制御部690は、1相異常と判定されており(Finv1=1)、かつ第1の回転電機の最大端子電圧Vmg_maxがシステム電圧VHよりも大きい場合は、ステップS104に進み、それ以外の場合は、ステップS105に進む。ステップS104で、異常時3相短絡制御部690は、3相短絡判定信号S3PSを、3相短絡の実施指令を表す「1」に設定する。一方、ステップS105で、異常時3相短絡制御部690は、3相短絡判定信号S3PSを、3相短絡の不実施指令を表す「0」に設定する。
3相短絡判定信号S3PSはPWM信号生成部660に送られる。PWM信号生成部660は、3相短絡判定信号S3PSが3相短絡の実施指令を表す1である場合は、正極側スイッチング素子の全て、又は負極側スイッチング素子の全てをオンする3相短絡を実行する。なお、第1のインバータIN1の1つのスイッチング素子がオンできない状態で故障している場合であって、故障しているスイッチング素子が正極側である場合は、負極側のスイッチング素子の全てがオンにされ、故障しているスイッチング素子が負極側である場合は、正極側のスイッチング素子の全てがオンにされる。PWM信号生成部660は、3相短絡判定信号S3PSが3相短絡の不実施指令を表す0である場合は、通常のPWM制御を行う。
このように1相異常が発生し、かつ、回転電機の回転速度が上昇して回転電機の端子電圧がシステム電圧VHを超える場合に、1相異常が発生しているインバータの3相短絡を行う。これにより、インバータのスイッチング素子の状態にかかわらず、ダイオードを通じて直流電源14に入出力される電流の発生を防止できるので、蓄電装置Bの過充電のような想定以上の電力の回生を防止できるとともに、異常トルクの発生を防止することができる。
なお、直流電源14にコンバータ15を備えないように構成した場合であっても、3相短絡を行うことによって、蓄電装置Bの過充電を防止できると共に、異常トルクの発生を防止できる。
2−1−1−7.異常時出力制限部680
異常時出力制限部680は、1相異常と判定された場合に、第1のインバータIN1から直流電源14(本例では、コンバータ15)に入出力される直流電力が、予め設定された上限入出力電力Plimを超えないように、電流指令値の大きさを上限制限する。本実施の形態では、異常時出力制限部680は、いずれかの組の回転電機及びインバータについて1相異常と判定された場合に、第1のインバータIN1から直流電源14に入出力される直流電力が、上限入出力電力Plimを超えないように、電流指令値の大きさを上限制限するように構成されている。
なお、異常時出力制限部680は、自分の組の回転電機及びインバータについて1相異常と判定された場合のみに、第1のインバータIN1から直流電源14に入出力される直流電力が、上限入出力電力Plimを超えないように、電流指令値の大きさを上限制限するように構成されてもよい。
本実施の形態では、異常時出力制限部680は、上限入出力電力Plimを第1の回転角速度ω1で除算して算出した上限トルク指令値により、第1のトルク指令値Tqcom1の大きさを上限制限するように構成されている。すなわち、第1のトルク指令値Tqcom1の大きさを上限制限することで、電流指令値の大きさを上限制限するように構成されている。本実施の形態に係る異常時出力制限部680の処理を、図9のフローチャートを参照して説明する。
まず、ステップS201で、異常時出力制限部680は、第1の異常判定信号Finv1、第2の異常判定信号Finv2、第1のトルク指令値Tqcom1、第1の回転角速度ω1等の各種制御情報を読み込む。次に、ステップS202で、異常時出力制限部680は、第1のインバータIN1及び回転電機MG1、及び第2のインバータIN2及び回転電機MG2のいずれかの組が1相異常と判定された場合(Finv1=1、又はFinv2=1)は、ステップS203に進み、それ以外の場合(Finv1=0、及びFinv2=0)は、ステップS205に進む。
ステップS203で、異常時出力制限部680は、入力された第1のトルク指令値Tqcom1の絶対値が、予め設定された上限入出力電力Plimを第1の回転角速度ω1で除算した値である上限トルク指令値を超えると判定した場合は、ステップS204に進み、それ以外の場合は、ステップS205に進む。
図7に示したように、1相異常時も、交流電流指令値が電流制限値Ilimにより上下限制限されていない期間では、第1の回転電機MG1に第1のトルク指令値Tqcom1に近いトルクを出力させることができる。よって、第1のトルク指令値Tqcom1のトルクが出力されている期間では、第1のインバータIN1から直流電源14(コンバータ15)に入出力される直流電力は、第1のトルク指令値Tqcom1に第1の回転角速度ω1を乗算した値に近くなる。すなわち、1相異常時は、直流電力は交流周期で変動し、その最大値は、第1のトルク指令値Tqcom1に第1の回転角速度ω1を乗算した値に近くなる。よって、1相異常時も、第1のトルク指令値Tqcom1の大きさを上限制限することにより、交流周期で変動する直流電力の最大値を上限制限することができる。
ステップS204で、異常時出力制限部680は、次式に示すように、上限入出力電力Plimを回転角速度ω1で除算した上限トルク指令値に、入力された第1のトルク指令値Tqcom1と同じ正又は負の符号を乗算した値を、新たな第1のトルク指令値Tqcom1として出力する。すなわち、第1のトルク指令値Tqcom1の大きさが、上限トルク指令値により上限制限される。よって、1相異常時に、交流周期で変動する直流電力の最大値を、上限入出力電力Plimに上限制限することができる。
Figure 2019102539
ここで、sign(A)は、Aと同じ正又は負の符号(+1又は−1)を出力する関数である。一方、ステップS205では、異常時出力制限部680は、入力された第1のトルク指令値Tqcom1をそのまま出力する。
1相異常が発生した場合に、上限入出力電力Plim以下となるように回転電機の出力を制限できるため、直流電源14(コンバータ15)の出力電圧の低下や故障の発生、インバータの制御の不安定化、回転電機の異常トルクの発生、直流電源14の故障を防止することができる。なお、上限入出力電力Plimは、第1及び第2の回転電機MG1、MG2毎に異なる値に設定されてもよい。
なお、直流電源14にコンバータ15を備えないように構成した場合であっても、上限入出力電力Plimを蓄電装置Bの上限入出力電力に設定すれば、1相異常時にトルク指令値の制限を行うことによって、蓄電装置Bの出力電圧の低下、故障の発生、回転電機の異常トルクの発生、蓄電装置Bの故障を防止できる。
なお、上記したように、第2のインバータ制御部602も、第1のインバータ制御部601と同様に構成され、第2のインバータ制御部602の異常判定部620は、第2の回転電機MG2及び第2のインバータIN2について、3相正常の状態であるか、1相異常の状態であるかを判定して、第2の異常判定信号Finv2を算出する。
2−2.コンバータ制御部750
コンバータ制御部750は、電圧指令値VH#が電源電圧Vbよりも大きい場合に、システム電圧線7、8の直流電圧であるシステム電圧VHが電圧指令値VH#に近づくようにコンバータ15を制御する。本実施の形態1では、コンバータ制御部750は、電源電圧センサ10の出力信号に基づいて電源電圧Vbを検出し、システム電圧センサ13の出力信号に基づいてシステム電圧VHを検出する。コンバータ制御部750は、システム電圧VH及び電圧指令値VH#に基づき、PWM制御方式に従って、コンバータ制御信号S1〜S4のデューティ比を変化させる。
コンバータ制御部750は、電圧指令値VH#が電源電圧Vb以下である場合は、スイッチング素子Q1、Q2、Q3、Q4を全てオフにさせ、蓄電装置Bとシステム電圧線7、8とを直結状態にする。
コンバータ15は、昇圧動作時には、蓄電装置Bから供給された電源電圧Vbを昇圧したシステム電圧VHを第1及び第2のインバータIN1、IN2へ共通に供給する。コンバータ15は、降圧動作時には、平滑コンデンサC0を介して第1及び第2のインバータIN1、IN2から供給されたシステム電圧VHを降圧して蓄電装置Bに供給する。
2−3.電圧指令算出部700
電圧指令算出部700は、コンバータ15からインバータ側に出力される直流電圧(システム電圧VH)の電圧指令値VH♯を算出する。電圧指令算出部700は、電源電圧Vb以上であってコンバータ15の最大出力電圧Vmax以下の範囲で電圧指令値VH#を算出する。本実施の形態では、図10に示すように、電圧指令算出部700は、正常時電圧算出部701、異常時電圧算出部702、電圧切替部703、及び電圧制限部704を備えている。
<正常時電圧算出部701>
回転電機は、回転速度及びトルクが増加すると、回転電機の逆起電力が増加して誘起電圧が高くなるため、3相正常時に、回転電機の最大トルク電流制御を行う場合に必要な最小のシステム電圧VHである必要最小電圧VHLが高くなる。3相正常時に最大トルク電流制御を行うためには、システム電圧VHを、必要最小電圧VHLよりも高くする必要がある。一方で、コンバータ15の昇圧には限界があり、コンバータ15の出力電圧(システム電圧VH)には上限値(最大出力電圧Vmax)がある。
正常時電圧算出部701は、第1のインバータIN1及び回転電機MG1、及び第2のインバータIN2及び回転電機MG2の双方が3相正常と判定された場合(Finv1=0、及びFinv2=0)に、現在の第1及び第2のトルク指令値Tqcom1、Tqcom2、及び第1及び第2の回転角速度ω1、ω2の条件下で、第1及び第2の回転電機MG1、MG2について最大トルク電流制御を行う場合に必要な最小のシステム電圧VHである必要最小電圧VHLを算出する。
本実施の形態では、正常時電圧算出部701は、第1の回転電機MG1について、現在の第1のトルク指令値Tqcom1及び第1の回転角速度ω1の条件下で、第1の回転電機MG1の最大トルク電流制御を行う場合に必要な最小のシステム電圧VHである第1の必要電圧Vmg1を算出する。また、正常時電圧算出部701は、第2の回転電機MG2について、現在の第2のトルク指令値Tqcom2及び回転角速度ω2の条件下で、第2の回転電機MG2の最大トルク電流制御を行う場合に必要な最小のシステム電圧VHである第2の必要電圧Vmg2を算出する。そして、正常時電圧算出部701は、第1の必要電圧Vmg1及び第2の必要電圧Vmg2の中の最大値を必要最小電圧VHLに設定する。
<異常時電圧算出部702>
図11に、3相正常時と1相異常時の最大トルク領域を説明するための、トルク−回転速度特性を示す。縦軸が回転電機のトルク、横軸が回転電機の回転速度である。図中の破線は3相正常時の最大トルクライン、実線は1相異常時の最大トルクラインを示す。3相正常時は、回転速度が基底回転速度以下である場合は、回転電機の最大出力トルクは、回転電機の電流が定格電流に制限されて定まり、回転速度の変化に対して一定値となる。回転角速度が基底回転速度より大きくなると、回転電機の最大出力トルクは、回転電機の線間電圧がシステム電圧VHに制限されて定まり、回転速度が増加するに従って減少していく。
複数の実線カーブは、システム電圧VHを変化させたときの、1相異常時の最大トルクラインの変化を図示したものである。1相異常時は、システム電圧VHを電源電圧Vbから最大出力電圧Vmaxまで昇圧させるに従って、1相異常時の最大トルクライン及び基底回転速度を高回転速度側にシフトさせることができ、最大トルク領域を拡大させることができる。システム電圧VHが最大出力電圧Vmaxである場合に、基底回転速度が最も高くなり、トルク発生可能領域が最も広くなる。
1相異常時には、式(5)を用いて説明したように、回転電機の電流Iaが周期的に電流制限値Ilimまで増加するため、回転電機の端子電圧が3相正常時よりも大きく増加する。よって、1相異常時には、回転電機の端子電圧が増加しても回転電機を動作させるために、システム電圧VHを増加させることが望ましい。
なお、1相異常時は、図7に示したように、交流電流指令値が電流制限値Ilimにより上下限制限されている期間で、出力トルクがトルク指令値から低下するため、出力トルクの平均値がトルク指令値から低下し、3相正常時よりも最大トルクラインが低下する。また、1相異常時は、回転電機の最大端子電圧Vmg_maxがシステム電圧VHに到達する基底回転速度よりも高い回転速度では、3相短絡されるため、出力トルクは0になる。
そこで、異常時電圧算出部702は、第1のインバータIN1及び回転電機MG1、及び第2のインバータIN2及び回転電機MG2のいずれかの組が1相異常と判定された場合(Finv1=1、又はFinv2=1)に、3相正常と判定されたと仮定した場合に算出される電圧指令値(本例では、正常時電圧算出部701が算出した必要最小電圧VHL)よりも高い電圧を、システム電圧指令VHLFとして算出する。
本実施の形態では、異常時電圧算出部702は、システム電圧指令VHLFとして、コンバータ15からインバータ側に出力可能な最大出力電圧Vmaxを算出する。1相異常時に、コンバータ15の最大出力電圧Vmaxを電圧指令値VH#に設定するので、回転電機の回転速度が上昇し、回転電機の端子電圧がシステム電圧VHを超えて制御不能となるトルク発生不可能領域を減らし、トルク発生可能領域を増加させることができる。
<電圧切替部703>
また、電圧切替部703は、第1のインバータIN1及び回転電機MG1、及び第2のインバータIN2及び回転電機MG2の双方が3相正常と判定された場合(Finv1=0、及びFinv2=0)に、正常時電圧算出部701が算出した必要最小電圧VHLを、選択後のシステム電圧指令VHL*として出力し、第1のインバータIN1及び回転電機MG1、及び第2のインバータIN2及び回転電機MG2のいずれかの組が1相異常と判定された場合(Finv1=1、又はFinv2=1)に、異常時電圧算出部702が算出したシステム電圧指令VHLFを、選択後のシステム電圧指令VHL*として出力する。
<電圧制限部704>
また、電圧制限部704は、電圧切替部703が算出した選択後のシステム電圧指令VHL*を、最大出力電圧Vmaxにより上限制限した電圧を、電圧指令値VH#として算出する。
〔その他の実施の形態〕
本発明のその他の実施の形態について説明する。以下に説明する各実施の形態の構成は、それぞれ単独で適用されるものに限られず、矛盾が生じない限り、他の実施の形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
(1)上記の実施の形態1においては、回転電機及びインバータは、2組設けられ、制御装置400は、第1組、第2組に合わせて構成されている場合を例として説明した。しかし、回転電機及びインバータは、1組設けられてもよく、3組以上設けられてもよい。制御装置400は、組数に合わせて適切に構成される。
(2)上記の実施の形態1においては、コンバータ15は、昇圧チョッパ用に2つのスイッチング素子Q3、Q4を備え、降圧チョッパ用に2つのスイッチング素子Q1、Q2を備えている場合を例として説明した。しかし、コンバータ15は、昇圧チョッパ用に1つのスイッチング素子を備え、降圧チョッパ用に1つのスイッチング素子を備えるなど、回路構成が変更されてもよい。
(3)上記の実施の形態1においては、直流電源14は、蓄電装置Bとコンバータ15とを備えている場合を例として説明した。しかし、直流電源14は、コンバータ15を備えておらず、蓄電装置Bと第1及び第2のインバータIN1、IN2とが直接接続されるように構成されてもよい。
(4)上記の実施の形態1においては、回転電機及び回転電機駆動装置1000が内燃機関を備えた電動車両に搭載される場合を例として説明した。しかし、回転電機及び回転電機駆動装置1000は、内燃機関を備えていない電動車両(電気自動車)に搭載されてもよく、或いは、電動車両以外の他の装置の駆動力源とされてもよい。
なお、本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略したりすることが可能である。
14 直流電源、15 コンバータ、400 回転電機制御装置、605 電流検出部、610 電流指令算出部、620 異常判定部、641 正常時電流制御部、642 異常時電流制御部、680 異常時出力制限部、690 異常時3相短絡制御部、700 電圧指令算出部、Finv1 第1の異常判定信号、Finv2 第2の異常判定信号、IN1 第1のインバータ、IN2 第2のインバータ、MG1 第1の回転電機、MG2 第2の回転電機、Plim 上限入出力電力、Tqcom1 第1のトルク指令値、Tqcom2 第2のトルク指令値

Claims (8)

  1. 直流電源と、3相巻線を有する回転電機との間で、直流電力と交流電力との電力変換を行うインバータを制御する回転電機制御装置であって、
    前記回転電機及び前記インバータは、1組以上設けられ、
    前記直流電源は、1組以上の前記回転電機及び前記インバータに対して、1つ設けられ、
    前記回転電機制御装置は、各組の前記回転電機及び前記インバータについて、
    3相各相の巻線に流れる3相電流を検出する電流検出部と、
    3相全ての相の巻線に流れる電流を制御できる3相正常の状態であるか、いずれか1相の巻線に流れる電流を制御できない1相異常の状態であるかを判定する異常判定部と、
    前記回転電機の出力トルクに相関する電流指令値を算出する電流指令算出部と、
    前記3相正常と判定された場合に、前記電流指令値及び前記3相電流の検出値に基づいて、3相各相の巻線に流れる電流を制御する正常時電流制御部と、
    前記1相異常と判定された場合に、前記電流指令値及び前記3相電流の検出値に基づいて、正常な2相各相の巻線に流れる電流を制御する異常時電流制御部と、
    前記1相異常と判定された場合に、前記インバータから前記直流電源に入出力される直流電力が、予め設定された上限入出力電力を超えないように、前記電流指令値の大きさを上限制限する異常時出力制限部と、を備えた回転電機制御装置。
  2. 前記回転電機及び前記インバータは、2組以上設けられ、
    前記異常時出力制限部は、いずれかの組の前記回転電機及び前記インバータについて前記1相異常と判定された場合に、前記インバータから前記直流電源に入出力される直流電力が、前記上限入出力電力を超えないように、前記電流指令値の大きさを上限制限する請求項1に記載の回転電機制御装置。
  3. 前記回転電機制御装置は、各組の前記回転電機及び前記インバータについて、前記回転電機のトルク指令値に基づいて、前記電流指令値を算出する電流指令算出部を更に備え、
    前記異常時出力制限部は、前記上限入出力電力を前記回転電機の回転角速度で除算して算出した上限トルク指令値により、前記トルク指令値の大きさを上限制限する請求項1又は2に記載の回転電機制御装置。
  4. 前記インバータは、前記直流電源の正極に接続される正極側のスイッチング素子と、前記直流電源の負極に接続される負極側のスイッチング素子と、が直列接続された直列回路を、3相各相に対応して3セット設け、
    前記回転電機制御装置は、各組の前記回転電機及び前記インバータについて、前記1相異常と判定された場合、かつ、前記回転電機の端子電圧が、前記直流電源の直流電圧を超えると判定した場合に、前記正極側のスイッチング素子の全て、又は前記負極側のスイッチング素子の全てをオンする3相短絡を実行する異常時3相短絡制御部を更に備えた請求項1から3のいずれか一項に記載の回転電機制御装置。
  5. 前記直流電源は、蓄電装置と、前記蓄電装置の直流電力を電力変換するコンバータと、を設け、
    前記異常時出力制限部は、前記1相異常と判定された場合に、前記インバータから前記コンバータに入出力される直流電力が、前記上限入出力電力を超えないように、前記電流指令値を上限制限する請求項1から4のいずれか一項に記載の回転電機制御装置。
  6. 前記回転電機制御装置は、前記コンバータから前記インバータ側に出力される直流電圧の電圧指令値を算出する電圧指令算出部を更に備え、
    前記電圧指令算出部は、いずれかの組の前記回転電機及び前記インバータについて、前記1相異常と判定された場合に、前記3相正常と判定されたと仮定した場合に算出される前記電圧指令値よりも高い電圧を、前記電圧指令値として算出する請求項5に記載の回転電機制御装置。
  7. 前記電圧指令算出部は、前記1相異常と判定された場合に、前記コンバータから前記インバータ側に出力可能な最大出力電圧を、前記電圧指令値として算出する請求項6に記載の回転電機制御装置。
  8. 請求項1から7のいずれか一項に記載の回転電機制御装置と、
    前記直流電源と、
    1組以上の前記回転電機及び前記インバータと、
    1組以上の前記回転電機の駆動力を車輪に伝達する駆動力伝達機構と、を備えた電動車両。
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