JPWO2019098254A1 - Pacapの安定化ペプチド - Google Patents

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Abstract

安定性を高めたPACAPペプチドの提供を目的とする。PACAPの配列中の3位及び/又は8位のアスパラギン酸のカルボキシ基をテトラゾールで置換することにより、安定性が有意に亢進することを見いだしたことにより課題が解決される。

Description

PACAPの生理活性を有する安定化ペプチド、当該ペプチドを含む神経保護剤、角膜神経突起形成促進剤、涙液分泌促進剤、ドライアイ治療剤、角膜上皮障害治療剤、角膜内皮障害治療剤、血管内皮機能改善剤、抗炎症剤、又は医薬組成物に関する。
神経細胞は、中枢神経系と末梢神経系に大別される神経系を構成する細胞である。神経細胞は、脳卒中、脳梗塞などの脳血管障害などの外的要因や、異常タンパク質の蓄積、酸化ストレス、炎症などの内的要因などにより障害を受けやすい一方で、その再生能が低いことから、ひとたび障害が生じると、その患者のQOLを著しく低下させる要因となる。中枢神経系の神経変性および脱落を伴う神経変性疾患としては、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症などの神経変性疾患の他に、緑内障などの視神経の変性疾患や、神経性難聴などの感覚神経変性疾患が挙げられる。
神経科学の発展により、各種の神経保護因子が発見されてきており、神経障害の予防又は治療薬としての開発が期待される。神経変性を引き起こすフリーラジカルや興奮性アミノ酸を減少させる薬剤や、神経細胞を保護及び/又は修復することができる薬剤(例えば神経栄養因子や免疫抑制剤などのイムノフィリンリガンドなど)が神経保護作用を有することが見いだされている一方で、下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ポリペプチド(PACAP)、CD44やヒト脳カルボキシペプチダーゼB(HBCPB)などの生体内タンパク質が、神経保護作用を有することが見いだされてきている(特許文献1及び2)。
下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ポリペプチド(PACAP)は、ヒツジ視床下部抽出物から発見された神経ペプチドである。PACAPは、下垂体前葉細胞においてcAMP形成を刺激する活性を有しうる。PACAPとしては、38個のアミノ酸残基からなるPACAP38と、27個のアミノ酸残基からなるPACAP27が存在しており、両者とも同等の作用を有する(非特許文献1及び2)。PACAPは、血管作動性腸ポリペプチド(VIP)/セクレチン/グルカゴンスーパーファミリーに属しており、ヒトPACAP27の配列は、血管作動性腸ポリペプチド(VIP)と68%の同一性を有する。PACAPとVIPは、PAC1受容体(PAC1R)、VPAC1受容体(VPAC1R)及びVPAC2受容体(VPAC2R)に結合するがその親和性が異なっている。PAC1Rは、PACAPに対して高い選択性を持って結合し、PACAPに対する親和性は、VIPに対する親和性と比較して1000倍以上である。一方で、VPAC1R及びVPAC2Rは共に、PACAPとVIPに対して同程度の親和性を有する。PACAPは、多様な生理作用を有しており、神経保護物質、免疫抑制因子、血管拡張因子、外分泌線分泌促進因子(特許文献3)、神経突起形成促進因子(特許文献4)としての生理作用が知られている。
PACAPの有する多様な生理活性を利用して、医薬品の開発が行われてきている。しかしながら、PACAPのような比較的短いペプチドは、水溶液中において不安定であることが多く、またプロテアーゼ耐性を欠如することに起因して生体内での半減期が短いといった問題が知られている。
特表2014−510101号公報 特開2012−232952号公報 特開2009−269818号公報 WO2005/102375号パンフレット
S. Bourgault (2009) Current Medicinal Chemistry 16, 4462-4480 Louise Dickson (2009) Pharmacology & Therapeutics, 12, 294−316
本発明は、水溶液中で安定性の高いPACAPの安定化ペプチド、当該ペプチドを含む神経保護剤、神経突起形成促進剤、涙腺分泌促進剤、ドライアイ治療又は予防用医薬組成物、角膜上皮障害治療又は予防用医薬組成物、神経障害治療又は予防用医薬組成物、角膜内皮障害治療又は予防用医薬組成物、血管内皮機能改善剤を提供することを目的とする。
本発明者らが、PACAPの水溶液中での安定性を高めるために鋭意研究を行った結果、PACAPペプチド中に存在するアスパラギン酸のカルボキシ基をテトラゾールに置換することで、水溶液中での安定性を大幅に高めることができることを見いだし、本発明に至った。
そこで、本発明は以下のものに関する:
[1]下記の式:
H-X1-D-G-I-F-T-D-X2-Y-X3-R-Y-R-X4-X5-X6-A-X7-X8-X9-Y-L-A-A-V-X10(配列番号3)

{式中、X1は中性アミノ酸、X2は中性アミノ酸、X3は中性アミノ酸、X4は塩基性アミノ酸、X5は中性アミノ酸またはegTz、X6は非極性アミノ酸7は非極性アミノ酸、X8は塩基性アミノ酸、X9は塩基性アミノ酸、X10は非極性アミノ酸である}
で表される配列において、3位及び/又は8位のアスパラギン酸残基のカルボキシ基が、テトラゾールに置換された配列又はその改変配列からなるペプチドであって、前記ペプチドがPAC1R、VPAC1RおよびVPACR2への結合性を有し、前記改変配列が、配列番号3の配列において、1又は複数個のアミノ酸が欠失又は付加された配列である、前記ペプチド。
[2] X1、X2、及びX3における中性アミノ酸が、アラニン又はセリンである、項目1に記載のペプチド。
[3] X4、X8、及びX9における塩基性アミノ酸が、リジン又はアルギニンである、項目1又は2に記載のペプチド。
[4] X5が、グルタミン、アラニン、又はegTzである、項目1〜3のいずれか一項に記載のペプチド。
[5] さらにX6がメチオニン、ノルロイシン、ロイシン又はアラニンである、項目1〜4のいずれか一項に記載のペプチド。
[6] X7が、バリン又はアラニンである、項目1〜5のいずれか一項に記載のペプチド。
[7] X10が、ロイシン又はアラニンである、項目1〜6のいずれか一項に記載のペプチド。
[8] 配列番号3の3位及び8位のアスパラギン酸のカルボキシ基が、テトラゾールに置換される、項目1〜7のいずれか一項に記載のペプチド。
[9] 前記ペプチドにおいて、N末端がアセチル化又はメシル化されている、項目1〜8のいずれか一項に記載のペプチド。
[10] 前記ペプチドにおいて、N末端がアセチル化されている、項目1〜9のいずれか一項に記載のペプチド。
[11] 1又は2個のアミノ酸が、欠失される、項目1〜10のいずれか一項に記載のペプチド。
[12] 以下の:
GKRYKQRVKNK(配列番号37);
GKRYKQRVKN(配列番号38);
GKRYKQRVK(配列番号39);
GKRYKQRV(配列番号40);
GKRYKQR(配列番号41);
GKRYKQ(配列番号42);
GKRYK(配列番号43);
GKRY(配列番号44)
GKR;
GRR;
GK;及び
GR
G;
からなる群から選択される1の配列が、前記ペプチドのC末端に付加される、項目1〜11のいずれか一項に記載のペプチド。
[13] 項目1〜12のいずれか一項に記載のペプチドを含む、神経保護剤。
[14] 項目1〜12のいずれか一項に記載のペプチドを含む、涙液分泌促進剤。
[15] 項目1〜12のいずれか一項に記載のペプチドを含む、抗炎症剤。
[16] 項目1〜12のいずれか一項に記載のペプチドを含む、血管内皮機能改善剤。
[17] 項目1〜12のいずれか一項に記載のペプチドを含む、角膜上皮障害治療剤又は角膜内皮障害治療剤。
[18] 項目1〜12のいずれか一項に記載のペプチドを含む、ドライアイ治療剤。
[19] 項目1〜12のいずれか一項に記載のペプチドを含む、医薬組成物。
[20] 項目1〜12のいずれか一項に記載のペプチドを投与することを含む、神経保護、涙液分泌促進、血管内皮機能改善又は炎症抑制のための方法。
[21] 神経障害、涙液減少疾患、角膜上皮障害又は角膜内皮障害、炎症疾患又はドライアイの治療又は予防において使用するための、項目1〜12のいずれか一項に記載のペプチド。
[22] 神経保護剤、涙液分泌促進剤、角膜上皮障害治療剤、角膜内皮障害治療剤、抗炎症剤又はドライアイ治療剤の製造における、項目1〜12のいずれか一項に記載のペプチドの使用。
本発明により、水溶液中で不安定であったPACAPを、大幅に安定化することができる。
図1は、PAC1R高発現細胞株における、各ペプチド(ペプチド1、2、6〜9)によるcAMP誘導作用を示す。 図2は、VPAC1R高発現細胞株における、各ペプチド(ペプチド1、2、6〜9)によるcAMP誘導作用を示す。
本発明は、PACAPの3位及び/又は8位のアスパラギン酸残基のカルボキシ基が、テトラゾールに置換された配列又はその改変配列とからなるペプチドに関し、かかるペプチドは、PACAPと比較して、PAC1R、VPAC1R、及び/又はVPAC2Rへの同程度の結合性を有する。それぞれの受容体へのEC50はPACAPと比較して、10倍以内であればよく、好ましくは5倍以内、より好ましくは3倍以内である。PACAPは、38の残基からなるPACAP38、又は27残基からなるPACAP27のいずれであってもよい。PACAP38及びPACAP27は、下記の配列を有する:
Figure 2019098254
本発明において、改変配列とは、元の配列に対して1又は複数のアミノ酸が置換、欠失、付加された配列のことをいう。より好ましくは、改変配列とは、元の配列に対して1又は数個のアミノ酸が置換、欠失、又は付加された配列のことをいう。
アミノ酸の置換は、改変配列からなるペプチドのPAC1R、VPAC1R、及び/又はVPAC2Rへの結合性を変更しない限りにおいて、任意の場所で生じうる。改変配列からなるペプチドにおいて、結合性を維持する観点から、PACAP27の、2位、9位、11位、15位〜17位、19位〜21位、及び27位の位置において、アミノ酸置換が生じうる。特に好ましい態様では、下記の配列:
H-X1-D-G-I-F-T-D-X2-Y-X3-R-Y-R-X4-X5-X6-A-X7-X8-X9-Y-L-A-A-V-X10(配列番号3)
において、X1〜X10で示される位置のアミノ酸が置換されうる。
アミノ酸置換は、1又は複数個のアミノ酸が置換されていてもよいが、活性を維持する観点から、1〜10の任意の数、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のアミノ酸が置換されうる。なかでも、1〜4個のアミノ酸の置換が特に好ましく、より好ましくは3個のアミノ酸が置換され、さらにより好ましくは2個のアミノ酸が置換され、特に好ましくは1のアミノ酸が置換される。
アミノ酸の欠失は、改変配列からなるペプチドのPAC1R、VPAC1R、及び/又はVPAC2Rへの結合性を変更しない限りにおいて、任意の場所で生じうる。欠失されるアミノ酸の数は、1〜10の任意の数、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10から選ばれる。結合性を変化させない観点から、1又は2個のアミノ酸の欠失が特に好ましい。アミノ酸の欠失は、元の配列のN末端側又はC末端側から欠失されてもよいし、配列の内部から欠失されてもよい。PACAP27とPACAP38は、それぞれ同等のPAC1R、VPAC1R、及び/又はVPAC2Rへの結合性を有していることから、PACAP38のC末端側に存在するアミノ酸は欠失されても結合性に影響が少ないと考えられる。
アミノ酸の付加は、改変配列からなるペプチドのPAC1R、VPAC1R、及び/又はVPAC2Rへの結合性を変更しない限りにおいて、任意の場所で生じうる。付加されるアミノ酸の数は、1〜10の任意の数、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10から選ばれる。アミノ酸は、元の配列のN末端側又はC末端側に付加されてもよいし、配列の内部に付加されてもよい。PACAP27とPACAP38は、それぞれ同等のPAC1R、VPAC1R、及び/又はVPAC2Rへの結合性を有していることから、PACAP27のC末端に任意のアミノ酸を付加されても結合性に影響が少ないと考えられる。
本発明の1の態様は、下記の式:
H-X1-D-G-I-F-T-D-X2-Y-X3-R-Y-R-X4-X5-X6-A-X7-X8-X9-Y-L-A-A-V-X10(配列番号3)

{式中、X1は中性アミノ酸、X2は中性アミノ酸、X3は中性アミノ酸、X4は塩基性アミノ酸、X5は中性アミノ酸またはegTz、X6は非極性アミノ酸X7は非極性アミノ酸、X8は塩基性アミノ酸、X9は塩基性アミノ酸、X10は非極性アミノ酸である}
の配列において、3位及び/又は8位のアスパラギン酸残基のカルボキシ基が、テトラゾールに置換された配列、又はその改変配列からなるペプチドであって、PAC1R、VPAC1R、及び/又はVPAC2Rへの結合性を有するペプチドに関する。
X1〜X10で表されるアミノ酸は、同じ属性を有するアミノ酸によって、保存的に置換されうる。一例として、保存的置換は、下記のグループの内のアミノ酸の置換をいう:
1非極性アミノ酸:Val、Leu、Ile、Met、Phe、Trp、Pro、Nle、Ala
2中性アミノ酸:Ala、Ser、Thr、Tyr、Cys、Asn、Gln、Gly
3塩基性アミノ酸:Lys、Arg、His
4酸性アミノ酸:Asp、Glu
X1、X2、及びX3における中性アミノ酸は、Ala、Ser、Thr、Tyr、Cys、Asn、Gln、又はGlyであり、より好ましくは、Ala又はSerである。
X4、X8、及びX9における塩基性アミノ酸は、Lys、Arg、又はHisであり、より好ましくはLys又はArgである。
X5における中性アミノ酸は、Ala、Ser、Thr、Tyr、Cys、Asn、Gln、又はGlyであり、より好ましくは、Ala、又はGlnである。X5は、さらにグルタミンのアミドがテトラゾールに置換されたアミノ酸(egTz)であってもよい。
X6における非極性アミノ酸は、Val、Leu、Ile、Met、Phe、Trp、Pro、Nle、又はAlaであり、より好ましくは、Met、Nle、Leu、又はAlaである。
X7における非極性アミノ酸は、Val、Leu、Ile、Met、Phe、Trp、Pro、Nle、又はAlaであり、より好ましくは、Val、又はAlaである。
X10非極性アミノ酸は、Val、Leu、Ile、Met、Phe、Trp、Pro、Nle、又はAlaであり、より好ましくは、Leu又はAlaである。
配列番号3の配列において、3位及び/又は8位のアスパラギン酸残基のカルボキシ基が、テトラゾールに置換された配列の改変配列とは、配列番号3で表されるアミノ酸配列に対して1又は複数個のアミノ酸が欠失又は付加された配列である。より好ましくは、配列番号3で表されるアミノ酸配列に対して1又は2個のアミノ酸が欠失されうるし、配列番号3で表されるアミノ酸配列に対して下記のC末端付加配列が付加されうる。
理論によって限定されることを意図するものではないが、PACAP27とPACAP38は、それぞれ同等のPAC1R、VPAC1R、及び/又はVPAC2Rへの結合性を有していることから、PACAP27においてC末端側へのアミノ酸付加は、PAC1Rへの結合性に影響しない。したがって、本発明がPACAP27に関する場合、さらにとC末端付加配列を含むことができるし、C末端付加配列は存在しなくてもよい。C末端付加配列は、1〜11の任意のアミノ酸からなる配列をいう。C末端付加配列は、PACAP38の28位〜38位のアミノ酸に対応することが好ましい。したがって、C末端配列としては下記の配列が挙げられる:
GKRYKQRVKNK(配列番号37);
GKRYKQRVKN(配列番号38);
GKRYKQRVK(配列番号39);
GKRYKQRV(配列番号40);
GKRYKQR(配列番号41);
GKRYKQ(配列番号42);
GKRYK(配列番号43);
GKRY(配列番号44)
GKR;
GRR;
GK;及び
GR;
G。
本発明に係るペプチドは、PAC1R、VPAC1R、及び/又はVPAC2Rに対する結合性が失われない限りにおいて、D体またはL体のアミノ酸、2−アミノイソ酪酸やL−2−アミノイソ酪酸のような非天然アミノ酸で構成されていてもよく、N末端のアミノ基、C末端のカルボキシ基又はアミノ酸側鎖の官能基が任意に修飾された誘導体が含まれる。修飾の例としては、アミノ基への保護基の付加(例えば、アセチル化、メシル化、ウレア化、カルバメート化、ホルミル化、Boc化、Fmoc化)、カルボキシ基のエステル化(エチル化など)などが挙げられる。また、通常生体内で生じうる修飾、例えばリン酸化、アミド化、メチル化、エステル化、アセチル化などの他、合成過程で生じるか、又は精製を容易にする修飾、例えばビオチン化が含まれてもよい。また、ペプチドの生体内半減期を延長する目的で、PEG化などの修飾が行われてもよい。特に、安定性を高める観点から、N末端のアミノ酸の遊離アミノ基がアセチル化またはメシル化されうる。PACAPの3位及び/又は8位のアスパラギン酸残基のカルボキシ基が、テトラゾールに置換された配列からなるペプチドにおいて、N末端がアセチル化またはメシル化されることにより、安定性が更に向上する。C末端はカルボキシ基(−COOH)、カルボキシレート(−COO−)、アミド(−CONH2)またはエステル(−COOR)の何れであってもよく、さらには、糖鎖付加されていてもよい(例えば、WO2017/027848を参照)。
本発明の具体的な態様では、本発明は下記表1に示される配列を有するペプチド3〜34に関する:
Figure 2019098254
アスパラギン酸のカルボキシ基が、テトラゾールに置換されたアミノ酸は下記の構造を有する:
Figure 2019098254
また、本明細書中において、配列中の表記として「Tz」を用いるものとする。
さらに、グルタミンのアミドがテトラゾールに置換されたアミノ酸は下記の構造を有する:
Figure 2019098254
また、本明細書中において、配列中の表記として「egTz」を用いるものとする。
本発明に係るペプチドは、任意の製造方法により製造することができる。例えば、Boc法又はFmoc法等を用いて固相合成又は液相合成を行うことにより製造することができる。また、別法では、本発明のペプチドをコードする核酸を遺伝子導入法により、宿主細胞に導入し、宿主細胞により合成させることにより製造することができる。この場合ペプチドの末端にポリヒスチジンタグ等のタグペプチドを付加するように設計することで、発現後に精製を容易にすることができる。
本発明に係るペプチドは、医薬上許容される塩が含まれる。医薬上許容される塩としては、無機酸との塩(例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩等)、有機酸との塩(例えば、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩、マロン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、リンゴ酸塩等)、又は塩基との塩(例えば、アンモニウム塩、メチルピリジニウム塩、アセチルピリジニウム塩等)が挙げられる。本発明に係るペプチドは、水和物、又は溶媒和物も含まれる。
N末端がメシル化されたヒスチジンは反応式1に示される方法又はこれに準じた方法により製造することができる。
Figure 2019098254
{式中、Trtはトリチル基、Meはメチル基を表す。}
反応式1の方法では、一般式化合物(I)で表される化合物を塩基存在下、塩化メタンスルホニルを反応させることにより、化合物(II)を製造し、次いで、化合物(II)をメタノール中、塩基を用いた加水分解により化合物(III)を製造することができる。
化合物(II)の製造において、塩基は化合物(I)に対して0.2〜5当量、好ましくは1〜3当量使用される。用いる塩基はトリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジンが挙げられ、好ましくはトリエチルアミンを挙げることができる。塩化メタンスルホニルは0.1〜5当量、好ましくは1〜2当量使用される。溶媒は反応に影響を及ぼさない限り特に限定されず、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、トルエン等が挙げられ、好ましくはジクロロメタンを挙げることができる。反応温度は、通常1℃〜30℃、好ましくは15℃〜25℃であり、反応時間は、通常0.5時間〜12時間、好ましくは0.5時間〜2時間である。
化合物(III)の製造において、塩基は化合物(II)に対して、0.1〜10当量、好ましくは1〜3当量使用される。塩基として、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが挙げることができるが、好ましくは水酸化カリウムを挙げることができる。溶媒は有機溶媒(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトニトリル、1、4−ジオキサンおよびテトラヒドロフラン)と水との混合溶媒が挙げられ、好ましくはメタノールおよび水との混合溶媒を挙げることができる。反応時間は、用いる試薬又は溶媒により異なるが、通常0.5時間〜12時間、好ましくは0.5時間〜3時間である。反応温度は、用いる試薬又は溶媒により異なるが、通常0℃〜100℃、好ましくは60℃〜100℃である。
本発明にかかるペプチドは、PAC1R、VPAC1R、及び/又はVPAC2Rへ結合することで、PACAPと同様の生理活性を発揮することができる。すなわち本発明にかかるペプチドは、一例として、神経保護物質、神経再生因子、創傷治癒促進因子、炎症抑制因子、外分泌線分泌促進因子としての生理作用を発揮することができる。したがって、本発明の別の態様では、本発明にかかるペプチドを含む、神経保護剤、神経再生剤、創傷治癒剤、抗炎症剤、角膜上皮障害治療剤、角膜内皮障害治療剤、血管内皮機能改善剤、ドライアイ治療剤又は外分泌線分泌促進剤に関してもよい。さらに別の態様では、本発明にかかるペプチドを含む医薬組成物にも関する。
本発明にかかる神経保護剤は、神経保護作用を有する薬剤のことをいう。したがって、神経保護剤は、神経細胞の損傷、変性及び/又は細胞死を伴う障害から神経を保護することができ、神経細胞死(アポトーシス及び/又はネクローシス)抑制剤、神経細胞変性抑制剤、神経細胞ストレス軽減剤、神経細胞毒性抵抗性の改善剤、神経細胞の生存性の改善剤、異常タンパク質蓄積抑制剤ということもできる。
本明細書において、神経保護作用とは、神経細胞をその損傷、変性、及び/又は細胞死から保護する作用のことをいい、好ましくは神経細胞死から保護する作用をいう。より具体的には、神経保護作用には、神経細胞死(アポトーシス及び/又はネクローシス)の抑制、神経細胞変性の抑制、神経細胞ストレスの軽減、神経細胞毒性の抵抗性の向上、神経細胞の生存性の向上、異常タンパク質蓄積抑制などが含まれてもよい。神経細胞は、物理的な損傷の他、神経毒性物質に対する暴露、酸素や栄養物質の欠乏により損傷を受け、損傷が一定のレベルを超えると細胞死が引き起こされる。また、神経細胞は、神経毒性物質を蓄積することで変性を受け、最終的に細胞死が引き起こされる。神経毒性物質は、外因性の毒性物質と内因性の毒性物質に大別される。外因性の毒性物質として、重金属や、アルコール、ボツリヌス毒素などの化学物質が挙げられる。内因性の毒性物質としては、活性酸素種、グルタミン酸などの神経伝達物質、異常タンパク質などが知られている。神経保護作用は、当業者であれば容易に測定することができる。一例として、各種ストレス、例えば低酸素負荷、神経毒性物質への暴露、栄養枯渇、紫外線照射などの条件下で、被験物質を含む培地(薬物群)又は被験物質を含まない培地(対照群)で神経細胞を培養し、培地中の生存細胞数と死細胞数を測定し、全細胞数に対する生存細胞数の割合を算出し、薬物群の生細胞数の割合が対照群の生細胞数の割合より高い場合に、被験物質が神経保護作用を有すると判断することができる。より好ましい態様では、神経保護作用を有することが知られている物質、例えばIGF−1やNGFなどを添加した陽性対照群と比較し、陽性対照群と同等又はそれ以上の保護作用を有するか否かにより測定することができる。別の例としてはin vivoの動物実験を行うことで神経保護作用を測定してもよい。
本発明のペプチドは、PACAPが有する外分泌腺分泌促進作用を有する。外分泌腺として、涙腺、唾液腺などが挙げられることから、外分泌腺分泌促進剤、例えば涙液分泌促進剤や唾液分泌促進剤として使用することができる。理論に限定されることを意図するものではないが、PACAP、及び本発明のペプチドは、外分泌腺の腺房細胞において発現する受容体(PAC1R、VPAC1R、VPAC2R)に結合することで、唾液や涙液の分泌を促進する。涙液は角結膜の表面を覆い、その湿潤性を保つとともに、角膜表面の微絨毛による陥凹を涙液が満たして表面を平滑にするので鮮明な像を得ることが可能となる。また、角結膜の上皮細胞は活発に代謝を行ない、その最表面から不要となった細胞や代謝産物が脱落排出されているが、涙液はそれらを洗い流す一方で、必要な酸素や栄養分を供給している。さらに、涙液は角結膜表面に混入した異物を洗い流し、外界から進入したウイルス、細菌、真菌などに対しては涙液の静菌作用によって感染防御の役割を担っている。また、眼瞼と角結膜との間の滑液として瞬目や眼球運動がスムーズに行われるにように働いている。このように涙液は角結膜表面にわずかな薄膜を形成する微量の液体であるが、さまざまの精巧な仕組みにより角膜の透明性や恒常性の維持に欠かすことができないものである。涙液の分泌障害により角結膜表面に異常を生じた状態を一般にドライアイというが、ドライアイによる角結膜障害が起こった場合、涙液分泌を促進する化合物を創製することは、ドライアイおよびドライアイを伴う疾病に対して有用な予防治療薬となる。本発明にかかるペプチドは、涙液分泌促進剤として目薬などの点眼剤に配合することができる。
本発明のペプチドは、PACAPが有する炎症抑制作用を有することから、抗炎症剤として使用することができる。理論に限定されることを意図するものではないが、PACAP、及び本発明のペプチドは、VEGFならびに炎症性サイトカイン(TNF−α、IL−6、IL−12等)の産生を抑制することができる。特に、PACAPの受容体であるVPAC1RとVPAC2Rは、消化管に広く分布し、さらに炎症抑制作用を示すことから、特に炎症性腸疾患などの治療に使用しうる。
別の局面において、本発明は、上記のペプチドの治療有効量を含む医薬組成物にも関する。本発明の医薬組成物は、PACAPの生理作用により改善される疾患の治療又は予防に使用されうる。PACAPの生理作用により改善される疾患としては、神経障害、涙液減少に関連する疾患、炎症性疾患などが挙げられる。本発明の医薬組成物は、患者に対して投与することで、PACAPの生理作用により改善される疾患を治療することができるし、或いはこのような疾患を患う可能性のある患者に対し投与することで、疾患を予防することができる。また、「治療」とは、障害又は疾患が発症した際にそれらの状態の悪化を防止し、進行を遅らせ、それらの状態を現状維持、軽減又は消退させることをいい、「予防」とは障害又は疾患の発症をその発症前に防止することをいう。
神経障害とは、神経細胞の変性・細胞死に起因して、その機能が損なわれる病態をいい、脳および網膜血管障害及び神経変性疾患が含まれる。
血管障害としては、出血性の障害、例えば脳出血、くも膜下出血と、脳血管の閉塞による障害、例えば脳血栓、脳梗塞、脳循環不全症などが挙げられる。出血性障害及び閉塞性障害のいずれの障害であっても、脳内の神経細胞は低酸素状態に置かれ、細胞死を生じる。また、網膜での血管障害としては、高血圧性網膜症や糖尿病性網膜症、網膜中心動脈閉塞、網膜中心静脈閉塞などがあり、網膜内の神経細胞は、低酸素状態に置かれ、細胞死を生じる。したがって、こうした血管障害に対して、本発明に係るペプチド、神経保護剤、血管内皮機能改善剤、又は医薬組成物は、治療又は予防の目的で投与することができる。
神経変性疾患としては、非限定的に、認知症、パーキンソン病、脊髄小脳変性症、クロイツフェルト・ヤコブ病、アルツハイマー病、ハンチントン舞踏病、多発性硬化症、狂牛病、てんかんなどの脳・中枢神経変性疾患、脊椎性進行性筋萎縮症、筋萎縮性側索硬化症、球脊椎性筋萎縮症などの運動神経変性疾患、知覚神経変性疾患などが挙げられる。知覚神経変性疾患としては、非限定的に、視覚、聴覚、触覚、味覚及び嗅覚神経の変性疾患が挙げられ、視覚変性疾患としては、緑内障、網膜色素変性症、加齢性黄斑変性症、糖尿病性網膜症などが挙げられ、聴覚神経変性疾患としては、難聴などが挙げられる。
涙液減少に関連する疾患としては、非限定的に、ドライアイ、乾性角結膜炎、涙液減少症、などが挙げられる。
角膜上皮障害とは、角膜上皮細胞増殖能が抑制されたり、上皮脱落が亢進すると上皮恒常性のバランスが崩れ発症する疾患である。また、角膜上皮障害とは、角膜潰瘍、角膜上皮剥離、糖尿病性角膜症、乾性角結膜炎、慢性表層角膜炎、点状表層角膜症、角膜糜爛、遷延性角膜上皮欠損などの内因性疾患、薬剤性、外傷、コンタクトレンズ装着等による外因性疾患、または物理的もしくは化学的障害によって、角膜上皮が損傷を受けることを意味する。
ドライアイとは、様々な要因による涙液および角結膜上皮の慢性疾患であり、眼不快感や視機能異常を伴う疾患である。涙液の異常としては、涙液量が減少する量的異常と涙液の性質や涙液を保持する能力が変化する質的異常とがある。また、ドライアイとしては、例えば涙液減少症、涙液蒸発亢進型ドライアイおよびシェーグレン症候群、スティーブンス−ジョンソン症候群、角膜上皮糜爛、眼瞼縁炎、眼類天疱瘡、春季カタル、アレルギー性結膜炎、ビタミンA欠乏症などに伴うドライアイなどが挙げられる。
炎症性疾患としては、非限定的に、喘息、アトピー性皮膚炎、じんま疹、花粉症、アナフィラキシーショック、副鼻腔炎(好酸球性副鼻腔炎を含む)、リウマチ、多発性硬化症、関節炎、全身性エリトマトーデス、乾癬、強直性脊椎炎、炎症性腸疾患(例えば、潰瘍性大腸炎、クローン病、グルテン感受性腸疾患等)、シェーグレン症候群、慢性移植片対宿主病(GVHD)、角膜感染症、アレルギ-性結膜炎、角膜外傷、多発性筋炎、皮膚筋炎、重症筋無力症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、強皮症などが挙げられる。
角膜内皮障害とは、フックス角膜内皮ジストロフィ、角膜移植後の持続する角膜内皮密度減少、外傷、眼科手術、加齢、および角膜内皮炎に関連する障害が挙げられる。
血管内皮細胞の障害が認められる疾患としては、非限定的に、糖尿病、高血圧症、動脈硬化症などが挙げられる。
本発明にかかるペプチド、又は当該ペプチドを含む、神経保護剤、神経再生剤、抗炎症剤、創傷治癒促進剤又は外分泌線分泌促進剤、或いは医薬組成物は、治療対象疾患に応じて非経口投与又は経口投与されうる。経口投与としては、舌下、口腔内、内服投与が挙げられる。非経口投与としては、例えば、静脈内、動脈内、皮下、局所、腹腔内、筋肉内、経鼻、経皮、経粘膜、髄膜内、経直腸、筋肉内、脳内、髄膜内、くも膜下、硬膜内、硬膜外、点眼、点耳、点鼻、眼内の経路で投与することができる。眼内経路としては、さらに具体的に、結膜下、テノン嚢下、硝子体内の経路が挙げられる。本発明にかかるペプチドを含む医薬組成物は、その投与経路に応じて適宜剤形することができ、例えば点眼剤、注射剤、粉末剤、輸液製剤、顆粒剤、錠剤、坐剤等いかなるものでもよいが、非経口投与する観点では、点眼剤、注射剤、輸液製剤、用時調製用の粉末剤等が好ましい。眼内投与用の製剤として、例えば硝子体内注射剤、結膜下注射剤、及びテノン嚢下注射剤が挙げられる。また、これらの製剤は製薬上許容される種々の補助剤、即ち、担体やその他の助剤、例えば、安定剤、防腐剤、無痛化剤、乳化剤等の添加剤を含有していてもよい。また、神経保護効果、炎症抑制効果又は外分泌線分泌効果を有する別の薬剤と組み合わせて使用することもできる。
本明細書において言及される全ての文献はその全体が引用により本明細書に取り込まれる。
以下に説明する本発明の実施例は例示のみを目的とし、本発明の技術的範囲を限定するものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲の記載によってのみ限定される。本発明の趣旨を逸脱しないことを条件として、本発明の変更、例えば、本発明の構成要件の追加、削除及び置換を行うことができる。
実施例1:ペプチド合成1
Ms-His(Trt)-OMeの合成
Figure 2019098254
N-im-トリチル-L-ヒスチジンメチルエステル塩酸塩(2.02 g、 4.5 mmol)のジクロロメタン溶液(15 mL)にトリエチルアミン(1.0 mL、 7.2 mmol)およびメタンスルホニルクロライド(326.8 mg、 2.9 mmol)のジクロロメタン溶液(1.0 mL)を加え、室温下で1時間撹拌した。その後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて反応を停止させ、酢酸エチルで抽出し、得られた有機層を10%クエン酸水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および飽和食塩水で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去し、淡黄色の固体を得た(2.35 g, >100%)。得られた固体はさらに精製することなく次の反応に用いた。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.38 (1H, d, J = 1.2 Hz), 7.34-7.31 (9H, m), 7.12-7.08 (6H, m), 6.57 (1H, d, J = 2.4 Hz), 6.30 (1H, d, J = 8.4 Hz), 4.40 (1H, dt, J = 8.4, 5.2 Hz), 3.65 (3H, s), 3.05 (2H, d, J = 5.2 Hz), 2.97 (3H, s).
Ms-His(Trt)-OHの合成
Figure 2019098254
Ms-His-OMe(2.21 g, 4.5 mmol)のメタノール溶液(15 mL)に、1 Mの水酸化カリウム水溶液(9.0 mL, 9.0 mmol)を加え、1.5時間還流した。反応溶液を室温まで冷却し、10%クエン酸水溶液でpH5まで酸性にし、ジクロロメタンで抽出をした。得られた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶液を減圧留去した後、残渣にジクロロメタンとヘキサンを加え、白色固体を析出させ、ろ取した(2.32 g, >100%)。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.84 (1H, s), 7.31-7.33 (9H, m), 7.12-7.09 (6H, m), 6.82 (1H, s), 4.13 (1H, m), 3.34 (1H, dd, J = 14.8, 3.6 Hz), 3.17 (1H, dd, J = 14.8, 6.8 Hz), 2.90 (3H, s).
実施例2:ペプチド合成2
ペプチドシンセサイザー(モデル:PSSM-8 島津製作所製)を用いてFmoc法による固相合成法により試験に用いたペプチドを合成した。固相合成で用いる非天然アミノ酸であるFmoc−TZ−OH、Fmoc-TZ(trt)-OH、およびFmoc−egTZ(trt)−OHはAstatech社より購入した。下記の配列を有するペプチド1〜34を合成し、合成ペプチドの分子量は質量分析(MALDI TOF)を実施した。下記表2に示すように、いずれの測定値も理論値によく一致した。
Figure 2019098254
実施例3:ペプチドの安定性試験1
[測定サンプルの調製]
実施例2で合成したペプチド1および3〜5を秤量し、リン酸緩衝液(pH7.0)に溶解して、1.0mMのペプチド溶液を調製した。さらに、1.0mMのペプチド溶液をリン酸緩衝液で100μMに希釈をした。クロマトディスク(Merck millipore社製 Millex-GV,0.22μm)でろ過し、ろ液をLCバイアル(Waters Deactivated Qsert Vial)に分注した。調製したペプチド溶液について、40℃の恒温槽内で1か月または2か月間インキュベートして、保存後サンプルを得た。また、同時に調製したペプチド溶液のうち保存に供さないサンプルを標準サンプル(イニシャルサンプル)とした。標準サンプル及び保存後サンプルを試料分析まで−30℃で保存した。
[水分透過率]
ペプチド水溶液と保存容器の合計重量を検体重量とし、保存前の検体重量を秤量し、各条件の保存後にも同様に保存後の検体重量を秤量した。また、保存容器の空重量を秤量し、下記の式に基づいて水分透過率を求めた。
Figure 2019098254
標準サンプル及び保存後サンプルをボルテックスミキサーで撹拌後、HPLCバイアル(Waters社製 Deactivated Qsert vial)にペプチド溶液を移した。逆相HPLC(HPLCシステム:島津製作所製 Prominence)を下記表3の条件で作動して、ペプチド溶液の分析を行い、クロマトグラムを得た。
[HPLC分析条件1]
カラム:Waters社製 XSelect CSH C18、5 μm、4.6×250 mm
ガードカラム:Waters社製 XSelect CSH C18、5 μm、4.6×20 mm Guard Cartridge
検出波長:220nm
移動相A:0.1%ギ酸水溶液
移動相B:0.1%ギ酸アセトニトリル溶液
測定時間:30分間
測定サンプル注入量:50 μL
流速1.0mL/min
サンプルクーラー:4℃
カラム温度40℃
移動相の送液:移動相A及び移動相Bの混合比を、下記表3のように変えて直線濃度勾配制御した。
Figure 2019098254
クロマトグラムにおいて、ペプチドのピーク面積値を求め、式(2)により残存率(水分補正前残存率)を算出した。また、水分補正前残存率に対し、式(3)にしたがって、容器の水分透過率を考慮に入れることで水分補正後残存率を算出した。
Figure 2019098254
Figure 2019098254
保存後サンプル中におけるペプチドの水分補正後残存率を表4に示した。
Figure 2019098254
ペプチド1(PACAP)は40℃で1か月保存後において、37.4%、40℃で2か月保存後において、21.3%と安定性が低かった。ペプチド1に対し、ペプチド1の3残基目のアスパラギン酸側鎖のカルボキシ基のみをテトラゾールに置換したペプチド3においては、ペプチド1よりも高い安定性を示し、また、8残基目のアスパラギン酸側鎖のカルボキシ基のみをテトラゾールに置換したペプチド4でも、ペプチド1に比べて安定性が向上していた。しかしながら、ペプチド1の3および8残基目のアスパラギン酸側鎖のカルボキシ基のみをテトラゾールに置換したペプチド5では、ペプチド3およびペプチド4よりも安定性がさらに向上し、PACAPの安定性向上に、一つのテトラゾール置換よりも二つのテトラゾール置換がより有効であることを示した。
実施例4:ペプチドの安定性試験2
実施例2で合成したペプチド1、2および6〜9を秤量し、トリス緩衝液(pH7.0)に溶解して、1.0mMのペプチド溶液を調製した。この溶液をクロマトディスク(Merckmillipore社製 Millex-GV,0.22μm)でろ過した。ろ液をトリス緩衝液(pH7.0)で100μMに希釈し、チューブ(eppendorf社製のProtein Lobind Tube)に分注した。調製したペプチド溶液を、60℃の恒温槽内で1週間または2週間インキュベートして、保存後サンプルを得た。また、同時に調製したペプチド溶液のうち保存に供さないサンプルを標準サンプル(イニシャルサンプル)とした。標準サンプル及び保存後サンプルを試料分析まで−30℃で保存した。
保存後サンプルを下記のHPLC分析条件2にて測定し、実施例3と同様に保存後サンプル中におけるペプチドの水分補正後残存率を算出した。その結果を表6に示した。
[HPLC分析条件2]
カラム:Waters社製 XSelect CSH C18、5 μm、4.6×250 mm
ガードカラム:Waters社製 XSelect CSH C18、5 μm、4.6×20 mm Guard Cartridge
検出波長:220nm
移動相A:0.1%ギ酸水溶液
移動相B:0.1%ギ酸アセトニトリル溶液
測定時間:20分間
測定サンプル注入量:50 μL
流速1.0mL/min
カラム温度40℃
サンプルクーラー:25℃
移動相の送液:移動相A及び移動相Bの混合比を、下記表5のように変えて直線濃度勾配制御した。
Figure 2019098254
Figure 2019098254
ペプチド1(PACAP)は、60℃で1週間保存後には、26.6%、2週間保存後には15.8%と極めて安定性が悪く、またPACAPのN末端をアセチル化したペプチド2も同等の安定性でしかなかった。一方で、3位と8位のアスパラギン酸のカルボキシ基をテトラゾールに置換したペプチド6及び7(ペプチド6では、さらに17位のメチオニンがノルロイシン(配列中の表記として「Nl」を用いるものとする)に置換されており、ペプチド7では17位のメチオニンがさらにロイシンに置換されている)では、60℃で1週間保存後には、91.3%及び91.7%、2週間保存後には82.4%及び84.8%と安定性が大幅に向上した。さらにペプチド6及び7のN末端をアセチル化されたペプチド8及び9では、60℃で1週間保存後には、98.1%及び98.4%、2週間保存後には92.9%及び92.8%とさらに安定性が向上した。ここで、60℃における1週間および2週間の加速試験は、室温(25℃)における、約1年および約2年に相当する。したがって、ペプチド8及び9は、室温で2年間(90%以上の残存率)安定であると期待される。
実施例5:ペプチドの安定性試験3
実施例2で合成したペプチド12〜25、27および28を秤量し、トリス緩衝液(pH7.0)に溶解して、1.0mMのペプチド溶液を調製した。この溶液をクロマトディスク(Merckmillipore社製 Millex-GV,0.22μm)でろ過した。ろ液をトリス緩衝液(pH7.0)で100μMに希釈し、チューブ(eppendorf社製のProtein Lobind Tube)に分注した。調製したペプチド溶液を、60℃の恒温槽内で1週間または2週間の間インキュベートして、保存後サンプルを得た。また、同時に調製したペプチド溶液のうち保存に供さないサンプルを標準サンプル(イニシャルサンプル)とした。試料分析まで標準サンプルおよび保存後サンプルは−30℃で保存した。
保存後サンプル中におけるペプチドの水分補正後残存率を実施例4と同様に算出し、その結果を表7に示した。
Figure 2019098254
ペプチド12(ペプチド9のN末端アセチル基をメシル基に置換したペプチド)はペプチド9と同等の安定性を示し、N末端メシル基置換でも高い安定性を示した。ペプチド13(ペプチド9の16残基目のグルタミン側鎖をテトラゾールに置換したペプチド)はペプチド9と同等の安定性を示し、グルタミン側鎖をテトラゾールに置換したペプチドも高い安定性を維持することを示した。ペプチド9の任意の残基にアラニン又はアルギニンで置換又は付加したペプチド14−25、ペプチド27およびペプチド28においても、高い安定性を維持した。
実施例5−2:ペプチドの安定性試験3
実施例2で合成したペプチド29〜34を秤量し、トリス緩衝液(pH7.0)に溶解して、1.0mMのペプチド溶液を調製した。この溶液をクロマトディスク(Merckmillipore社製 Millex-GV,0.22μm)でろ過した。ろ液をトリス緩衝液(pH7.0)で100μMに希釈し、チューブ(eppendorf社製のProtein Lobind Tube)に分注した。調製したペプチド溶液を、60℃の恒温槽内で2週間の間インキュベートして、保存後サンプルを得た。また、同時に調製したペプチド溶液のうち保存に供さないサンプルを標準サンプル(イニシャルサンプル)とした。試料分析まで標準サンプルおよび保存後サンプルは−30℃で保存した。
保存後サンプル中におけるペプチドの水分補正後残存率を実施例4と同様に算出し、その結果を表7−2に示した。
Figure 2019098254
ペプチド29(ペプチド15のN末端アセチル基をメシル基に置換したペプチド)はペプチド15と同等の安定性を示し、N末端メシル基置換でも高い安定性を示した。ペプチド30(ペプチド23のN末端アセチル基をメシル基に置換したペプチド)はペプチド23と同等の安定性を示し、N末端メシル基置換でも高い安定性を示した。ペプチド32−34は、ペプチド9の任意の残基にアラニンで置換したペプチド32−34においても、高い安定性を維持した。ペプチド31(ペプチド32のN末端アセチル基をメシル基に置換したペプチド)はペプチド32と同等の安定性を示した。
実施例6:ペプチドの安定性試験4
実施例2で合成したペプチド10および11を秤量し、リン酸緩衝液(pH7.0)に溶解して、1.0mMのペプチド溶液を調製した。この溶液をクロマトディスク(Merckmillipore社製 Millex-GV,0.22μm)でろ過した。ろ液をリン酸緩衝液(pH7.0)で100 μMに希釈し、チューブ(eppendorf社製のProtein Lobind Tube)に分注した。調製したペプチドについて、40℃の恒温槽内で1か月または2か月間インキュベートして、保存後サンプルを得た。また、同時に調製したペプチド溶液のうち保存に供さないサンプルを標準サンプル(イニシャルサンプル)とした。標準サンプル及び保存後サンプルを試料分析まで−30℃で保存した。
保存後サンプル中におけるペプチドの水分補正後残存率を実施例4と同様に測定し、その結果を表8に示した。
Figure 2019098254
N末端がアセチル基のペプチド10とNメシル基のペプチド11の結果より、N末端置換基がアセチル基およびNメシル基のいずれの場合であってもペプチドは同程度に安定化されることが明らかとなった。
実施例7:ペプチドの安定性試験5
実施例2で合成したペプチド26を秤量し、トリス緩衝液(pH7.0)に溶解して、1.0mMのペプチド溶液を調製した。この溶液をクロマトディスク(Merckmillipore社製 Millex-GV,0.22μm)でろ過した。ろ液をトリス緩衝液(pH7.0)で100μMに希釈し、チューブ(eppendorf社製のProtein Lobind Tube)に分注した。調製したペプチド溶液を、60℃の恒温槽内で1週間または2週間の間インキュベートして、保存後サンプルを得た。また、同時に調製したペプチド溶液のうち保存に供さないサンプルを標準サンプル(イニシャルサンプル)とした。試料分析まで標準サンプルおよび保存後サンプルは−30℃で保存した。
保存後サンプルを下記のHPLC分析条件3で測定し、実施例3と同様に保存後サンプル中におけるペプチドの水分補正後残存率を算出した。その結果を表10に示した。
[HPLC分析条件3]
カラム:Waters社製 XSelect CSH C18、5 μm、4.6×250 mm
ガードカラム:Waters社製 XSelect CSH C18、5 μm、4.6×20 mm Guard Cartridge
検出波長:220nm
移動相A:0.1%ギ酸水溶液
移動相B:0.1%ギ酸アセトニトリル溶液
測定時間:20分間
測定サンプル注入量:50 μL
流速1.0mL/min
カラム温度40℃
サンプルクーラー:25℃
移動相の送液:移動相A及び移動相Bの混合比を、下記表9のように変えて直線濃度勾配制御した。
Figure 2019098254
Figure 2019098254
ペプチド26も同様に高い安定性を示した。
実施例7:PACAP27及びその改変ペプチドのcAMPアッセイ
[細胞培養]
マイトマイシン処理済みの凍結したCHO−K1細胞(PAC1またはVPAC1レセプター高発現細胞株:DiscoveRx社から購入)を、1.35×104cells/100μl/ウェルになるようCell plating reagent(DiscoveRx社製)で調製後、96ウェル培養プレートに播種した。細胞を、5%CO2インキュベーター内で18〜24時間、37℃で培養して、プレートに細胞を接着させた。
[試薬調製]
実施例2で合成したペプチド1、2および6〜9の粉末を0.1mMになるように水に溶解した後、20μMになるようにCell assay buffer(DiscoveRx社製)(0.5mMのIBMX、0.001%BSAを含む)で希釈した。そこから同じCell assay bufferで5倍希釈系列を作製し、アッセイに使用した。
[cAMPアッセイ]
cAMPアッセイは、Hit Hunter cAMP assay for Biologicsキット(DiscoveRx社製、Cat. No.90-0075LM25)を用いて、キット付属の説明書に従って行った。cAMP抗体溶液と希釈した各濃度のペプチド1、2、6〜9溶液を混合し、ペプチド−cAMP抗体混合液を作製した。続いて、CHO−K1細胞の培養プレートから培地を除去し、PBSで洗浄後、ペプチド−cAMP抗体混合液を細胞に添加し、37℃の5%CO2雰囲気下で30分間インキュベートした。次にWorking detection solutionを添加し、培養プレートをアルミホイルで遮光後、25℃で1時間インキュベートした。インキュベート後、Solution Aを添加し、培養プレートをアルミホイルで遮光後、25℃で3時間インキュベートした。最後に、化学発光シグナルを、GloMax検出器(Promega社製)を用いて、Luminescence, Integration time(1 sec)の条件で検出した。得られたRelative luminescence unit(RLU)値をGraphPad Prism Ver 6.05(Graph Pad社製)にて解析し、各ペプチドにおけるEC50値を算出した。各ペプチドのPAC1RまたはVPAC1R高発現細胞株でのcAMP誘導作用のEC50値の結果を図1、図2及び表11に示す。
Figure 2019098254
合成したペプチド1、2および6〜9は、PAC1RとVPAC1Rのそれぞれの高発現細胞に対して、cAMP誘導能を示し、それらのEC50値は、ネイティブペプチド(ペプチド1:PACAP27)と同程度であった。
表6及び表11の結果をまとめると、本発明にかかるペプチド(ペプチド6〜9)は、PACAPと比較して、水溶液中での極めて改善された安定性を有するとともに、PACAPと同等の生理活性を維持する。特に、室温において2年を超える貯蔵寿命を有することにより、液体製剤、例えばバイアル、アンプル、点眼剤などの製品として開発が可能となる。
実施例8:PACAP27改変ペプチドのcAMPアッセイ2
[試薬調製]
実施例2で合成したペプチド3〜5および10〜28の粉末をそれぞれ0.1mMになるように水に溶解した後、20μMになるようにCell assay buffer(DiscoveRx社製)(0.5mMのIBMX、0.001%BSAを含む)で希釈した。そこから同じCell assay bufferで5倍希釈系列を作製し、アッセイに使用した。
実施例7と同様の方法でペプチド3〜5および10〜28におけるEC50値を算出した。各ペプチドのPAC1又はVPAC1高発現細胞株でのcAMP誘導作用のEC50値の結果を表12に示す。
Figure 2019098254
本発明にかかるペプチド(ペプチド3〜5、10〜28)は、PACAPと比較して、水溶液中での極めて改善された安定性を有するとともに、PACAPと同等の生理活性を維持する。
実施例8−2:PACAP27改変ペプチドのcAMPアッセイ2
[試薬調製]
実施例2で合成したペプチド29〜34の粉末をそれぞれ0.1mMになるように水に溶解した後、20μMになるようにCell assay buffer(DiscoveRx社製)(0.5mMのIBMX、0.001%BSAを含む)で希釈した。そこから同じCell assay bufferで5倍希釈系列を作製し、アッセイに使用した。
実施例7と同様の方法でペプチド27〜34におけるEC50値を算出した。各ペプチドのPAC1又はVPAC1高発現細胞株でのcAMP誘導作用のEC50値の結果を表12−2に示す。
Figure 2019098254
本発明にかかるペプチド(ペプチド29〜34)は、PACAPと比較して、水溶液中での極めて改善された安定性を有するとともに、PACAPと同等の生理活性を維持する。
製剤例
本発明のペプチドを有効成分として含有する医薬は、例えば、次のような処方によって製造することができる。製剤例を挙げて本発明の薬剤をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの製剤例にのみ限定されるものではない。
1.カプセル剤
(1)ペプチド5 40mg
(2)ラクトース 70mg
(3)微結晶セルロース 9mg
(4)ステアリン酸マグネシウム 1mg
1カプセル 120mg
(1)、(2)、(3)の全量、および(4)の1/2を混和した後、顆粒化する。これに残りの(4)を加えて全体をゼラチンカプセルに封入する。
2.錠剤
(1)ペプチド6 40mg
(2)ラクトース 58mg
(3)コーンスターチ 18mg
(4)微結晶セルロース 3.5mg
(5)ステアリン酸マグネシウム 0.5mg
1錠 120mg
(1)、(2)、(3)の全量、(4)の2/3および(5)の1/2を混和した後、顆粒化する。残りの(4)および(5)をこの顆粒に加えて錠剤に加圧成型する。
3.硝子体注射液
1ml中
(1)ペプチド5 40mg
(2)精製白糖 50mg
(3)塩化ナトリウム 2.34mg
(4)ポリソルベート80 適量
(5)リン酸水素二ナトリウム 適量
(6)リン酸二水素ナトリウム 適量
(7)滅菌精製水 適量
(1)〜(6)を、(7)滅菌精製水に溶解して硝子体注射液を調製する。
4.目薬
100mL中
(1)ペプチド6 100mg
(2)トロメタモール 300mg
(3)塩化ナトリウム 900mg
(4)塩化ベンザルコニウム 適量
(5)滅菌精製水 適量
(1)〜(4)を、(5)滅菌精製水に溶解して、pHを調整し、点眼液を調製する。

Claims (19)

  1. 下記の式:
    H-X1-D-G-I-F-T-D-X2-Y-X3-R-Y-R-X4-X5-X6-A-X7-X8-X9-Y-L-A-A-V-X10(配列番号3)
    {式中、X1は中性アミノ酸、X2は中性アミノ酸、X3は中性アミノ酸、X4は塩基性アミノ酸、X5は中性アミノ酸またはegTz、X6は非極性アミノ酸7は非極性アミノ酸、X8は塩基性アミノ酸、X9は塩基性アミノ酸、X10は中性アミノ酸である}
    で表される配列において、3位及び/又は8位のアスパラギン酸残基のカルボキシ基が、テトラゾールに置換された配列又はその改変配列からなるペプチドであって、前記ペプチドがPAC1R、VPAC1RおよびVPACR2への結合性を有し、前記改変配列が、配列番号3の配列において、1又は複数個のアミノ酸が欠失又は付加された配列である、前記ペプチド。
  2. X1、X2、及びX3における中性アミノ酸が、アラニン又はセリンである、請求項1に記載のペプチド。
  3. X4、X8、及びX9における塩基性アミノ酸が、リジン又はアルギニンである、請求項1又は2に記載のペプチド。
  4. X5が、グルタミン、アラニン、又は、egTzである、請求項1〜3のいずれか一項に記載のペプチド。
  5. さらにX6がメチオニン、ノルロイシン、アラニン又はロイシンである、請求項1〜4のいずれか一項に記載のペプチド。
  6. X7が、バリン又はアラニンである、請求項1〜5のいずれか一項に記載のペプチド。
  7. X10が、ロイシン又はアラニンである、請求項1〜6のいずれか一項に記載のペプチド。
  8. 配列番号3の3位及び8位のアスパラギン酸のカルボキシ基が、テトラゾールに置換される、請求項1〜7のいずれか一項に記載のペプチド。
  9. 前記ペプチドにおいて、N末端がアセチル化又はメシル化されている、請求項1〜8のいずれか一項に記載のペプチド。
  10. 前記ペプチドにおいて、N末端がアセチル化されている、請求項1〜9のいずれか一項に記載のペプチド。
  11. 1又は2個のアミノ酸が、欠失される、請求項1〜10のいずれか一項に記載のペプチド。
  12. 以下の:
    GKRYKQRVKNK(配列番号37);
    GKRYKQRVKN(配列番号38);
    GKRYKQRVK(配列番号39);
    GKRYKQRV(配列番号40);
    GKRYKQR(配列番号41);
    GKRYKQ(配列番号42);
    GKRYK(配列番号43);
    GKRY(配列番号44);
    GKR;
    GRR;
    GK;及び
    GR
    G;
    からなる群から選択される1の配列が、前記ペプチドのC末端に付加される、請求項1〜11のいずれか一項に記載のペプチド。
  13. 請求項1〜12のいずれか一項に記載のペプチドを含む、神経保護剤。
  14. 請求項1〜12のいずれか一項に記載のペプチドを含む、涙液分泌促進剤。
  15. 請求項1〜12のいずれか一項に記載のペプチドを含む、抗炎症剤。
  16. 請求項1〜12のいずれか一項に記載のペプチドを含む、血管内皮機能改善剤。
  17. 請求項1〜12のいずれか一項に記載のペプチドを含む、角膜上皮障害治療剤又は角膜内皮障害治療剤。
  18. 請求項1〜12のいずれか一項に記載のペプチドを含む、ドライアイ治療剤。
  19. 請求項1〜12のいずれか一項に記載のペプチドを含む、医薬組成物。
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