JPWO2019088210A1 - ゴム組成物及びタイヤ - Google Patents

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Abstract

本発明の課題は、タイヤの低ロス性を悪化させずに、ドライ性能と、ウェット性能とを両立することが可能なゴム組成物を提供することであり、その解決手段は、天然ゴム(A1)と、ガラス転移温度(Tg)が−50℃以下の合成ゴム(A2)と、ガラス転移温度(Tg)が−50℃を超える合成ゴム(A3)と、を含むゴム成分(A)と、芳香族モノマーを含有する熱可塑性樹脂(B)と、を含み、前記ゴム成分(A)中の前記天然ゴム(A1)の含有量が、40質量%以上であり、前記芳香族モノマーを含有する熱可塑性樹脂(B)の含有量が、前記ゴム成分(A)100質量部に対して10〜50質量部であることを特徴とする、ゴム組成物である。

Description

本発明は、ゴム組成物及びタイヤに関するものである。
従来、車両の安全性を向上させる見地から、乾燥路面での制動性能(以下、「ドライ性能」と略称する。)や湿潤路面での制動性能(以下、「ウェット性能」と略称する。)を向上させるために、種々の検討がなされている。例えば、下記特許文献1には、天然ゴムを70質量%以上含むゴム成分に対して、熱可塑性樹脂と、シリカを含む充填剤を配合してなるゴム組成物を、タイヤのトレッドゴムに適用することで、乾燥路面及び湿潤路面の双方に対するタイヤの制動性能が向上することが開示されている。また、下記特許文献2には、ガラス転移温度(Tg)が−50℃以下の変性スチレン−ブタジエン共重合体を含むゴム成分と、熱可塑性樹脂と、充填剤とを含むゴム組成物を、タイヤのトレッドゴムに適用することで、ウェットグリップ性能が向上することが開示されている。
一方、昨今の環境問題への関心の高まりに伴う世界的な二酸化炭素排出規制の動きに関連して、自動車の低燃費化に対する要求が強まりつつあり、このような要求に対応するため、タイヤ性能についても転がり抵抗の低減が求められている。これに対して、損失正接(tanδ)が低い(以下、「低ロス性に優れる」という。)ゴム組成物をトレッドゴムに用いることで、タイヤの発熱を抑制して転がり抵抗を低減し、結果として、タイヤの燃費性能を向上させることができる。例えば、下記特許文献3には、ガラス転移温度(Tg)が特定の関係にあるポリマー成分P1及びP2を含むゴム成分と、シリカを含むフィラーとを含み、ポリマー成分P1及びP2が互いにサブミクロンオーダーで非相溶であり、フィラー総量の80%以上がポリマー成分P2の相に存在しているゴム組成物を、タイヤのトレッドゴムに適用することで、低ロス性と耐摩耗性を両立できることが開示されている。
国際公開第2015/079703号 国際公開第2017/077714号 国際公開第2017/077712号
しかしながら、本発明者が検討したところ、上記特許文献1〜3に開示の技術では、タイヤの低ロス性を悪化させずに、ドライ性能と、ウェット性能とを両立することが難しいことが分かった。
そこで、本発明は、上記従来技術の問題を解決し、タイヤの低ロス性を悪化させずに、ドライ性能と、ウェット性能とを両立することが可能なゴム組成物を提供することを課題とする。
また、本発明は、良好な低ロス性を有しつつ、ドライ性能と、ウェット性能とを両立したタイヤを提供することを更なる課題とする。
上記課題を解決する本発明の要旨構成は、以下の通りである。
本発明のゴム組成物は、天然ゴム(A1)と、ガラス転移温度(Tg)が−50℃以下の合成ゴム(A2)と、ガラス転移温度(Tg)が−50℃を超える合成ゴム(A3)と、を含むゴム成分(A)と、
芳香族モノマーを含有する熱可塑性樹脂(B)と、を含み、
前記ゴム成分(A)中の前記天然ゴム(A1)の含有量が、40質量%以上であり、
前記芳香族モノマーを含有する熱可塑性樹脂(B)の含有量が、前記ゴム成分(A)100質量部に対して10〜50質量部であることを特徴とする。
かかる本発明のゴム組成物は、タイヤのトレッドゴムに用いることにより、タイヤの低ロス性を悪化させずに、ドライ性能と、ウェット性能とを両立することができる。
ここで、本発明において、天然ゴム(A1)、合成ゴム(A2)、合成ゴム(A3)等のゴム成分(A)のガラス転移温度(Tg)は、tanδの温度分散曲線により測定することができ、例えば、TAインスツルメント社製の示差走査熱量計を用いて、5〜10℃/minの掃引速度の条件で測定することができる。
本発明のゴム組成物において、前記ガラス転移温度(Tg)が−50℃を超える合成ゴム(A3)は、結合スチレン量が40質量%以上であることが好ましい。この場合、ガラス転移温度(Tg)が−50℃を超える合成ゴム(A3)とガラス転移温度(Tg)が−50℃以下の合成ゴム(A2)との相溶性を低下させることができる。
ここで、本発明において、合成ゴム(A2)、合成ゴム(A3)等のゴム成分(A)の結合スチレン量は、1H−NMRスペクトルの積分比より求める。
本発明のゴム組成物において、前記芳香族モノマーを含有する熱可塑性樹脂(B)は、軟化点が100℃以上であることが好ましい。この場合、芳香族モノマーを含有する熱可塑性樹脂(B)による、ガラス転移温度(Tg)が−50℃を超える合成ゴム(A3)を柔らかくする効果が大きくなる。
ここで、本発明において、芳香族モノマーを含有する熱可塑性樹脂(B)の軟化点は、JIS K 2207に記載される軟化点試験方法[6.4 軟化点試験方法(環球法)]を用いて測定された軟化点を意味する。
本発明のゴム組成物の好適例においては、前記芳香族モノマーを含有する熱可塑性樹脂(B)が、C9系樹脂、α−メチルスチレン系樹脂、及びC5−C9系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種である。この場合、芳香族モノマーを含有する熱可塑性樹脂(B)とガラス転移温度(Tg)が−50℃を超える合成ゴム(A3)との相溶性が向上して、ドライ性能と、ウェット性能とを向上させることができる。
また、本発明のタイヤは、上記のゴム組成物をトレッドゴムに用いたことを特徴とする。本発明のタイヤは、前記ゴム組成物がトレッドゴムに用いられているため、良好な低ロス性を有しつつ、ドライ性能と、ウェット性能とを両立できる。
本発明によれば、タイヤの低ロス性を悪化させずに、ドライ性能と、ウェット性能とを両立することが可能なゴム組成物を提供することができる。
また、本発明によれば、良好な低ロス性を有しつつ、ドライ性能と、ウェット性能とを両立したタイヤを提供することができる。
以下に、本発明のゴム組成物及びタイヤを、その実施形態に基づき、詳細に例示説明する。
<ゴム組成物>
本発明のゴム組成物は、天然ゴム(A1)と、ガラス転移温度(Tg)が−50℃以下の合成ゴム(A2)と、ガラス転移温度(Tg)が−50℃を超える合成ゴム(A3)と、を含むゴム成分(A)と、芳香族モノマーを含有する熱可塑性樹脂(B)と、を含み、前記ゴム成分(A)中の前記天然ゴム(A1)の含有量が、40質量%以上であり、前記芳香族モノマーを含有する熱可塑性樹脂(B)の含有量が、前記ゴム成分(A)100質量部に対して10〜50質量部であることを特徴とする。
本発明のゴム組成物においては、ゴム成分(A)として、天然ゴム(A1)と、ガラス転移温度(Tg)が−50℃以下の合成ゴム(A2)とを使用し、ゴム成分(A)中の天然ゴム(A1)の含有量を40質量%以上としつつ、更に、ガラス転移温度(Tg)が−50℃を超える合成ゴム(A3)をブレンドすることで、0℃における損失正接(tanδ)を上昇させる。なお、一般には、ガラス転移温度(Tg)が−50℃を超える合成ゴム(A3)を使用すると、0℃において、ゴム組成物が硬くなってしまうが、本発明のゴム組成物においては、ガラス転移温度(Tg)が−50℃を超える合成ゴム(A3)に良く相溶する芳香族モノマーを含有する熱可塑性樹脂(B)を配合することで、ガラス転移温度(Tg)が−50℃を超える合成ゴム(A3)を柔らかくして、タイヤの低ロス性とウェット性能を維持又は向上させつつ、タイヤの乾燥路面での摩擦係数(μ)を上昇させて、タイヤのドライ性能を向上させることができる。そのため、本発明のゴム組成物は、タイヤのトレッドゴムに用いることにより、タイヤの低ロス性を悪化させずに、ドライ性能と、ウェット性能とを両立することができる。
本発明のゴム組成物は、ゴム成分(A)として、天然ゴム(A1)を含む。ゴム成分(A)中の天然ゴム(A1)の含有量は、40質量%以上であり、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上であり、また、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下である。ゴム成分(A)中の天然ゴム(A1)の含有量が40質量%以上であれば、tanδ、特には0℃でのtanδが小さくなり、該ゴム組成物を適用したタイヤの低ロス性の悪化を抑制できる。
本発明のゴム組成物は、ゴム成分(A)として、ガラス転移温度(Tg)が−50℃以下の合成ゴム(A2)[以下、「低Tg合成ゴム(A2)」と略記することがある。]を含む。ゴム成分(A)中の低Tg合成ゴム(A2)の含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上であり、また、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下である。ゴム成分(A)中の低Tg合成ゴム(A2)の含有量が5質量%以上であれば、該ゴム組成物を適用したタイヤの低ロス性及びウェット性能を向上させることができる。
前記低Tg合成ゴム(A2)としては、特に限定されるものではないが、合成イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、スチレン−イソプレン共重合体ゴム(SIR)等のジエン系合成ゴムが挙げられる。これらの中でも、低Tg合成ゴム(A2)としては、ブタジエンゴム(BR)及びスチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)が好ましい。
また、前記低Tg合成ゴム(A2)は、未変性の合成ゴムでも、変性された合成ゴムでもよいが、変性された合成ゴムであることが好ましい。低Tg合成ゴム(A2)が変性された合成ゴムである場合、低Tg合成ゴム(A2)を含むポリマー相が充填剤を多く取り込むことが可能となる。
本発明のゴム組成物において、前記低Tg合成ゴム(A2)は、スチレン由来のモノマー単位を含んでもよく、例えば、スチレンと共役ジエンモノマーとの共重合体であってもよい。ここで、低Tg合成ゴム(A2)は、結合スチレン量が10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることが更に好ましい。低Tg合成ゴム(A2)の結合スチレン量が10質量%以下であれば、後述するガラス転移温度(Tg)が−50℃を超える合成ゴム(A3)との相溶性を低下させることができる。
本発明のゴム組成物は、ゴム成分(A)として、ガラス転移温度(Tg)が−50℃を超える合成ゴム(A3)[以下、「高Tg合成ゴム(A3)」と略記することがある。]を含む。ゴム成分(A)中の高Tg合成ゴム(A3)の含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上であり、また、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下である。ゴム成分(A)中の高Tg合成ゴム(A3)の含有量が5質量%以上であれば、該ゴム組成物を適用したタイヤのドライ性能及びウェット性能を向上させることができる。
本発明のゴム組成物において、前記高Tg合成ゴム(A3)は、スチレン由来のモノマー単位を含むことが好ましく、例えば、スチレンと共役ジエンモノマーとの共重合体であることが好ましい。ここで、前記高Tg合成ゴム(A3)は、結合スチレン量が40質量%以上であることが好ましい。高Tg合成ゴム(A3)の結合スチレン量が40質量%以上であれば、前述の低Tg合成ゴム(A2)との相溶性を低下させることができる。
前記高Tg合成ゴム(A3)としては、特に限定されるものではないが、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、スチレン−イソプレン共重合体ゴム(SIR)等のジエン系合成ゴムが挙げられる。なお、高Tg合成ゴム(A3)は、未変性の合成ゴムでも、変性された合成ゴムでもよいが、未変性の合成ゴムであることが好ましい。高Tg合成ゴム(A3)が未変性の合成ゴムである場合、高Tg合成ゴム(A3)を含むポリマー相が充填剤を取り込む割合が低下する。
また、高Tg合成ゴム(A3)としては、JSR株式会社製の「SBR0202」(結合スチレン量:40質量%)や旭化成株式会社製の「タフデン4850」(結合スチレン量:40質量%)等の市販品を用いてもよい。
本発明のゴム組成物においては、天然ゴム(A1)及び低Tg合成ゴム(A2)に充填剤を多くを取り込ませる一方、高Tg合成ゴム(A3)に取り込まれる充填剤の割合を減らし、芳香族モノマーを含有する熱可塑性樹脂(B)により、高Tg合成ゴム(A3)からなるポリマー相を軟化させることが好ましい。また、天然ゴム(A1)及び低Tg合成ゴム(A2)からなるポリマー相と、高Tg合成ゴム(A3)からなるポリマー相との機能を分ける観点から、天然ゴム(A1)及び低Tg合成ゴム(A2)からなるポリマー相と、高Tg合成ゴム(A3)からなるポリマー相と、を相溶させないことが好ましい。ここで、天然ゴム(A1)及び低Tg合成ゴム(A2)からなるポリマー相と、高Tg合成ゴム(A3)からなるポリマー相とを相溶させないためには、低Tg合成ゴム(A2)の結合スチレン量を10質量%以下としつつ、高Tg合成ゴム(A3)の結合スチレン量を40質量%以上とすることが好ましい。低Tg合成ゴム(A2)の結合スチレン量が10質量%以下で、且つ高Tg合成ゴム(A3)の結合スチレン量が40質量%以上の場合、本発明の効果が特に高くなり、タイヤの低ロス性を悪化させずに、ドライ性能と、ウェット性能とを向上させることができる。
前記低Tg合成ゴム(A2)及び高Tg合成ゴム(A3)が変性された合成ゴムの場合、該変性された合成ゴムにおける変性官能基としては、例えば、含窒素官能基、含ケイ素官能基、含酸素官能基等が挙げられる。
前記変性された合成ゴムとしては、モノマーとして共役ジエン化合物、或いは、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物を使用し、該共役ジエン化合物の重合体又は共重合体、或いは、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物との共重合体の分子末端及び/又は主鎖を変性剤で変性して得たポリマーや、モノマーとして共役ジエン化合物、或いは、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物を使用し、変性官能基を有する重合開始剤を用いて、これらのモノマーを重合又は共重合させて得たポリマーを使用することができる。
前記変性された合成ゴムの合成に用いるモノマーに関し、共役ジエン化合物としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、2−フェニル−1,3−ブタジエン、1,3−ヘキサジエン等が挙げられ、また、芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、1−ビニルナフタレン、3−ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、ジビニルベンゼン、4−シクロヘキシルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン等が挙げられる。
前記変性剤としては、ヒドロカルビルオキシシラン化合物が好ましい。
前記ヒドロカルビルオキシシラン化合物としては、下記一般式(I):
1 a−Si−(OR24-a ・・・ (I)
で表される化合物が好ましい。
一般式(I)中、R1及びR2は、それぞれ独立して炭素数1〜20の一価の脂肪族炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基を示し、aは0〜2の整数であり、OR2が複数ある場合、各OR2は互いに同一でも異なっていてもよく、また、分子中には活性プロトンは含まれない。
前記ヒドロカルビルオキシシラン化合物としては、下記一般式(II):
Figure 2019088210
で表される化合物も好ましい。
一般式(II)中、n1+n2+n3+n4は4であり(但し、n2は1〜4の整数であり、n1、n3及びn4は0〜3の整数である)、A1は、飽和環状3級アミン化合物残基、不飽和環状3級アミン化合物残基、ケチミン残基、ニトリル基、イソシアナート基、チオイソシアナート基、エポキシ基、チオエポキシ基、イソシアヌル酸トリヒドロカルビルエステル基、炭酸ジヒドロカルビルエステル基、ピリジン基、ケトン基、チオケトン基、アルデヒド基、チオアルデヒド基、アミド基、カルボン酸エステル基、チオカルボン酸エステル基、カルボン酸エステルの金属塩、チオカルボン酸エステルの金属塩、カルボン酸無水物残基、カルボン酸ハロゲン化合物残基、エポキシ、シラザン若しくはジスルフィドを有する一価の基、並びに加水分解性基を有する第一若しくは第二アミノ基又は加水分解性基を有するメルカプト基の中から選択される少なくとも1種の官能基であり、n4が2以上の場合には同一でも異なっていてもよく、A1は、Siと結合して環状構造を形成する二価の基であってもよく、R21は、炭素数1〜20の一価の脂肪族若しくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり、n1が2以上の場合には同一でも異なっていてもよく、R23は、炭素数1〜20の一価の脂肪族若しくは脂環式炭化水素基、炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基又はハロゲン原子であり、n3が2以上の場合には同一でも異なっていてもよく、R22は、炭素数1〜20の一価の脂肪族若しくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり、いずれも窒素原子及び/又はケイ素原子を含有していてもよく、n2が2以上の場合には、互いに同一若しくは異なっていてもよく、或いは、一緒になって環を形成してもよく、R24は、炭素数1〜20の二価の脂肪族若しくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の二価の芳香族炭化水素基であり、n4が2以上の場合には同一でも異なっていてもよい。
前記加水分解性基を有する第一若しくは第二アミノ基又は加水分解性基を有するメルカプト基における加水分解性基としては、トリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基が好ましく、トリメチルシリル基が特に好ましい。
前記エポキシを有する一価の基を含む化合物としては、例えば、2−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、2−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、(2−グリシドキシエチル)メチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)メチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル(メチル)ジメトキシシラン等を挙げることができる。
上記一般式(II)で表される化合物としては、下記一般式(III):
Figure 2019088210
で表される化合物が好ましい。
一般式(III)中、p1+p2+p3は2であり(但し、p2は1〜2の整数であり、p1及びp3は0〜1の整数である)、A2は、NRa(Raは、一価の炭化水素基、加水分解性基又は含窒素有機基である)、或いは、硫黄であり、R25は、炭素数1〜20の一価の脂肪族若しくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり、R27は、炭素数1〜20の一価の脂肪族若しくは脂環式炭化水素基、炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基又はハロゲン原子であり、R26は、炭素数1〜20の一価の脂肪族若しくは脂環式炭化水素基、炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基又は含窒素有機基であり、いずれも窒素原子及び/又はケイ素原子を含有していてもよく、p2が2の場合には、互いに同一でも異なっていてもよく、或いは、一緒になって環を形成してもよく、R28は、炭素数1〜20の二価の脂肪族若しくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の二価の芳香族炭化水素基である。
前記加水分解性基として、トリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基が好ましく、トリメチルシリル基が特に好ましい。
上記一般式(II)で表される化合物としては、下記一般式(IV):
Figure 2019088210
で表される化合物も好ましい。
一般式(IV)中、q1+q2は3であり(但し、q1は0〜2の整数であり、q2は1〜3の整数である)、R31は炭素数1〜20の二価の脂肪族若しくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の二価の芳香族炭化水素基であり、R32及びR33はそれぞれ独立して加水分解性基、炭素数1〜20の一価の脂肪族若しくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり、R34は炭素数1〜20の一価の脂肪族若しくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり、q1が2の場合には同一でも異なっていてもよく、R35は炭素数1〜20の一価の脂肪族若しくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり、q2が2以上の場合には同一でも異なっていてもよい。
前記加水分解性基としては、トリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基が好ましく、トリメチルシリル基が特に好ましい。
上記一般式(II)で表される化合物としては、下記一般式(V):
Figure 2019088210
で表される化合物も好ましい。
一般式(V)中、r1+r2は3であり(但し、r1は1〜3の整数であり、r2は0〜2の整数である)、R36は炭素数1〜20の二価の脂肪族若しくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の二価の芳香族炭化水素基であり、R37はジメチルアミノメチル基、ジメチルアミノエチル基、ジエチルアミノメチル基、ジエチルアミノエチル基、メチルシリル(メチル)アミノメチル基、メチルシリル(メチル)アミノエチル基、メチルシリル(エチル)アミノメチル基、メチルシリル(エチル)アミノエチル基、ジメチルシリルアミノメチル基、ジメチルシリルアミノエチル基、炭素数1〜20の一価の脂肪族若しくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり、r1が2以上の場合には同一でも異なっていてもよく、R38は炭素数1〜20のヒドロカルビルオキシ基、炭素数1〜20の一価の脂肪族若しくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり、r2が2の場合には同一でも異なっていてもよい。
上記一般式(II)で表される化合物としては、下記一般式(VI):
Figure 2019088210
で表される化合物も好ましい。
一般式(VI)中、R40はトリメチルシリル基、炭素数1〜20の一価の脂肪族若しくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり、R41は炭素数1〜20のヒドロカルビルオキシ基、炭素数1〜20の一価の脂肪族若しくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり、R42は炭素数1〜20の二価の脂肪族若しくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の二価の芳香族炭化水素基である。ここで、TMSは、トリメチルシリル基を示す(以下、同じ。)。
上記一般式(II)で表される化合物としては、下記一般式(VII):
Figure 2019088210
で表される化合物も好ましい。
一般式(VII)中、R43及びR44はそれぞれ独立して炭素数1〜20の二価の脂肪族若しくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の二価の芳香族炭化水素基であり、R45は炭素数1〜20の一価の脂肪族若しくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり、各R45は、同一でも異なっていてもよい。
上記一般式(II)で表される化合物としては、下記一般式(VIII):
Figure 2019088210
で表される化合物も好ましい。
一般式(VIII)中、s1+s2は3であり(但し、s1は0〜2の整数であり、s2は1〜3の整数である)、R46は炭素数1〜20の二価の脂肪族若しくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の二価の芳香族炭化水素基であり、R47およびR48はそれぞれ独立して炭素数1〜20の一価の脂肪族若しくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基である。複数のR47又はR48は、同一でも異なっていてもよい。
上記一般式(II)で表される化合物としては、下記一般式(IX):
Figure 2019088210
で表される化合物も好ましい。
一般式(IX)中、Xはハロゲン原子であり、R49は炭素数1〜20の二価の脂肪族若しくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の二価の芳香族炭化水素基であり、R50及びR51はそれぞれ独立して加水分解性基、炭素数1〜20の一価の脂肪族若しくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であるか、或いは、R50及びR51は結合して二価の有機基を形成しており、R52及びR53はそれぞれ独立してハロゲン原子、ヒドロカルビルオキシ基、炭素数1〜20の一価の脂肪族若しくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基である。
50及びR51としては、加水分解性基であることが好ましく、加水分解性基として、トリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基が好ましく、トリメチルシリル基が特に好ましい。
上記一般式(II)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物は、下記一般式(X)〜(XIII):
Figure 2019088210
Figure 2019088210
Figure 2019088210
Figure 2019088210
で表される化合物も好ましい。
一般式(X)〜(XIII)中、記号U、Vはそれぞれ0〜2且つU+V=2を満たす整数である。一般式(X)〜(XIII)中のR5492は同一でも異なっていてもよく、炭素数1〜20の一価若しくは二価の脂肪族又は脂環式炭化水素基、或いは、炭素数6〜18の一価若しくは二価の芳香族炭化水素基である。なお、一般式(XIII)中のα及びβは0〜5の整数である。
前記変性官能基を有する重合開始剤としては、リチウムアミド化合物が好ましい。該リチウムアミド化合物としては、例えば、リチウムヘキサメチレンイミド、リチウムピロリジド、リチウムピペリジド、リチウムへプタメチレンイミド、リチウムドデカメチレンイミド、リチウムジメチルアミド、リチウムジエチルアミド、リチウムジブチルアミド、リチウムジプロピルアミド、リチウムジへプチルアミド、リチウムジへキシルアミド、リチウムジオクチルアミド、リチウムジ−2−エチルへキシルアミド、リチウムジデシルアミド、リチウム−N−メチルピぺラジド、リチウムエチルプロピルアミド、リチウムエチルブチルアミド、リチウムエチルベンジルアミド、リチウムメチルフェネチルアミド等が挙げられる。
前記変性された合成ゴムを製造するための、モノマーの重合においては、上述した変性官能基を有する重合開始剤や、他のリチウム化合物(即ち、変性官能基を有しない重合開始剤)を用いたアニオン重合を利用してもよいが、モノマーの重合反応はこれに限られるものではなく、例えば、配位重合を利用してもよい。ここで、配位重合でモノマーを重合する場合、重合開始剤としては、希土類金属化合物を用いるのが好ましく、下記(a)成分、(b)成分、(c)成分を組み合わせて用いることが更に好ましい。
上記配位重合に用いる(a)成分は、希土類金属化合物、及び希土類金属化合物とルイス塩基との錯化合物等から選択される。ここで、希土類金属化合物としては、希土類元素のカルボン酸塩、アルコキサイド、β-ジケトン錯体、リン酸塩及び亜リン酸塩等が挙げられ、ルイス塩基としては、アセチルアセトン、テトラヒドロフラン、ピリジン、N,N−ジメチルホルムアミド、チオフェン、ジフェニルエーテル、トリエチルアミン、有機リン化合物、1価又は2価のアルコール等が挙げられる。上記希土類金属化合物の希土類元素としては、ランタン、ネオジム、プラセオジム、サマリウム、ガドリニウムが好ましく、これらの中でも、ネオジムが特に好ましい。また、(a)成分として、具体的には、ネオジムトリ−2−エチルヘキサノエート、それとアセチルアセトンとの錯化合物、ネオジムトリネオデカノエート、それとアセチルアセトンとの錯化合物、ネオジムトリn−ブトキシド等が挙げられる。
上記配位重合に用いる(b)成分は、有機アルミニウム化合物から選択される。該有機アルミニウム化合物として、具体的には、トリヒドロカルビルアルミニウム化合物、ヒドロカルビルアルミニウム水素化物、炭素数1〜30の炭化水素基をもつヒドロカルビルアルミノキサン化合物等が挙げられる。該有機アルミニウム化合物として、具体的には、トリアルキルアルミニウム、ジアルキルアルミニウムヒドリド、アルキルアルミニウムジヒドリド、アルキルアルミノキサン等が挙げられる。なお、(b)成分としては、アルミノキサンと他の有機アルミニウム化合物とを併用するのが好ましい。
上記配位重合に用いる(c)成分は、加水分解可能なハロゲンを有する化合物又はこれらとルイス塩基の錯化合物;三級アルキルハライド、ベンジルハライド又はアリルハライドを有する有機ハロゲン化物;非配位性アニオン及び対カチオンからなるイオン性化合物等から選択される。かかる(c)成分として、具体的には、アルキルアルミニウム二塩化物、ジアルキルアルミニウム塩化物、四塩化ケイ素、四塩化スズ、塩化亜鉛とアルコール等のルイス塩基との錯体、塩化マグネシウムとアルコール等のルイス塩基との錯体、塩化ベンジル、塩化t−ブチル、臭化ベンジル、臭化t-ブチル、トリフェニルカルボニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。
また、前記変性された合成ゴムは、ヒドロカルビルオキシシラン化合物等の変性剤を反応させた後、金属元素を含む縮合促進剤や、無機酸及び金属ハロゲン化物からなる群から選択される少なくとも一種と反応させてもよい。前記金属元素を含む縮合促進剤や、前記無機酸及び金属ハロゲン化物からなる群から選択される少なくとも一種と反応させることで、ムーニー粘度が高く、形状安定性に優れた変性された合成ゴムを製造することができる。
前記金属元素を含む縮合促進剤としては、周期律表の第2族から第15族に含まれる金属のうち少なくとも一種の金属を含有する金属化合物を用いることが好ましい。具体的な金属元素としては、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、ビスマス、スズ等が挙げられる。また、前記金属元素を含む縮合促進剤としては、上記した金属のアルコキシド、カルボン酸塩、又はアセチルアセトナート錯塩が好ましい。具体的には、前記縮合促進剤としては、テトラキス(2−エチル−1,3−ヘキサンジオラト)チタン、テトラキス(2−エチルヘキシルオキシ)チタン、テトラ(オクタンジオレート)チタニウム、トリス(2−エチルヘキサノエート)ビスマス、テトラn−プロポキシジルコニウム、テトラn−ブトキシジルコニウム、ビス(2−エチルヘキサノエート)ジルコニウムオキサイド、ビス(オレエート)ジルコニウムオキサイド、トリi−プロポキシアルミニウム、トリsec−ブトキシアルミニウム、トリス(2−エチルヘキサノエート)アルミニウム、トリス(ステアレート)アルミニウム、ジルコニウムテトラキス(アセチルアセトネート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、ビス(2−エチルヘキサノエート)スズ、ジ−n−オクチルスズビス(2−エチルヘキシルマレート)等が好ましい。
一方、前記無機酸としては、例えば、塩酸、硫酸、リン酸等が挙げられる。
また、前記金属ハロゲン化物としては、周期律表の第2族から第15族に含まれる金属のうち少なくとも一種の金属を含有する金属ハロゲン化物を好適に用いることができ、例えば、ケイ素、スズ、アルミニウム、亜鉛、チタン、及びジルコニウムからなる群より選択される少なくとも一種の金属原子を含むハロゲン化物を用いることが更に好ましい。具体的には、前記金属ハロゲン化物としては、トリメチルシリルクロライド、ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン、四塩化ケイ素、メチルジクロロシラン、四塩化スズ、ジエチルアルミニウムクロライド、エチルアルミニウムセスキクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、塩化亜鉛、四塩化チタン、チタノセンジクロライド、四塩化ジルコニウム、及びジルコノセンジクロライド等が好ましい。
なお、前記無機酸や金属ハロゲン化物との反応は、水の存在下で行うことが好ましい。該水は、単体や、アルコール等の溶液、炭化水素溶媒中の分散ミセル等の形態にして使用してもよい。
また、前記変性された合成ゴムは、ヒドロカルビルオキシシラン化合物等の変性剤を反応させた後、多価アルコールのカルボン酸部分エステルと反応させて安定化を行ってもよい。ここで、前記多価アルコールのカルボン酸部分エステルとは、多価アルコールとカルボン酸とのエステルであり、かつ水酸基を一つ以上有する部分エステルを意味する。具体的には、炭素数4以上の糖類又は変性糖類と脂肪酸とのエステルが好ましく用いられる。このエステルは、さらに好ましくは、(1)多価アルコールの脂肪酸部分エステル、特に炭素数10〜20の飽和高級脂肪酸又は不飽和高級脂肪酸と多価アルコールとの部分エステル(モノエステル、ジエステル、トリエステルのいずれでもよい)、(2)多価カルボン酸と高級アルコールの部分エステルを、多価アルコールに1〜3個結合させたエステル化合物などが挙げられる。
前記部分エステルの原料に用いられる多価アルコールとしては、好ましくは少なくとも三つの水酸基を有する炭素数5又は6の糖類(水素添加されていても、水素添加されていなくてもよい)、グリコールやポリヒドロキシ化合物などが用いられる。また、原料脂肪酸としては、好ましくは炭素数10〜20の飽和又は不飽和脂肪酸であり、例えば、ステアリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸が用いられる。
前記多価アルコールの脂肪酸部分エステルの中では、ソルビタン脂肪酸エステルが好ましく、具体的には、ソルビタンモノラウリン酸エステル、ソルビタンモノパルミチン酸エステル、ソルビタンモノステアリン酸エステル、ソルビタントリステアリン酸エステル、ソルビタンモノオレイン酸エステル、ソルビタントリオレイン酸エステル等が挙げられる。
本発明のゴム組成物は、芳香族モノマーを含有する熱可塑性樹脂(B)を含む。該芳香族モノマーを含有する熱可塑性樹脂(B)は、上述の高Tg合成ゴム(A3)に良く相溶して、高Tg合成ゴム(A3)を柔らかくする作用を有する。また、ゴム組成物に熱可塑性樹脂(B)を配合することで、低歪領域での弾性率を高くしつつ、高歪領域での弾性率を低下させることができる。そのため、該熱可塑性樹脂(B)を配合したゴム組成物をタイヤのトレッドに適用することで、走行時の歪が大きい路面との接地面近傍のトレッドゴムの変形体積を大きくしつつ、走行時の操縦安定性に必要な剛性を確保することができ、その結果として、湿潤路面での摩擦係数(μ)が高くなり、タイヤのウェット性能を向上させることができる。
前記芳香族モノマーを含有する熱可塑性樹脂(B)の含有量は、前記ゴム成分(A)100質量部に対して10質量部以上、好ましくは12質量部以上であり、また、50質量部以下、好ましくは40質量部以下である。芳香族モノマーを含有する熱可塑性樹脂(B)の含有量が、ゴム成分(A)100質量部に対して10質量部以上であれば、ゴム組成物の高歪領域での弾性率を低下させる効果が大きくなり、また、50質量部以下であれば、ゴム組成物の低歪領域での弾性率の低下をより抑制し易くなる。そのため、熱可塑性樹脂(B)の配合量が、ゴム成分(A)100質量部に対して10〜50質量部の場合、タイヤのウェット性能を向上させることができる。
本発明のゴム組成物において、前記芳香族モノマーを含有する熱可塑性樹脂(B)は、軟化点が100℃以上であることが好ましい。芳香族モノマーを含有する熱可塑性樹脂(B)の軟化点が100℃以上の場合、高Tg合成ゴム(A3)を柔らかくする効果が大きくなる。
前記芳香族モノマーを含有する熱可塑性樹脂(B)としては、C9系樹脂、α−メチルスチレン系樹脂、C5−C9系樹脂、アルキルフェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂等が挙げられ、これらの中でも、高Tg合成ゴム(A3)との相溶性の観点から、C9系樹脂、α−メチルスチレン系樹脂及びC5−C9系樹脂が好ましい。
前記C9系樹脂は、例えば、石油化学工業のナフサの熱分解により、エチレン、プロピレン等の石油化学基礎原料と共に副生するC9留分である、ビニルトルエン、アルキルスチレン、インデンを主要なモノマーとする炭素数9の芳香族を重合した樹脂である。ここで、ナフサの熱分解によって得られるC9留分の具体例としては、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、γ−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、インデン等が挙げられる。該C9系樹脂は、C9留分と共に、C8留分であるスチレン等、C10留分であるメチルインデン、1,3−ジメチルスチレン等、更にはナフタレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、p−tert−ブチルスチレン等をも原料として用い、これらのC8〜C10留分等を混合物のまま、例えばフリーデルクラフツ型触媒により共重合して得ることができる。また、前記C9系樹脂は、水酸基を有する化合物、不飽和カルボン酸化合物等で変性された変性石油樹脂であってもよい。なお、前記C9系樹脂としては、市販品を利用することができ、例えば、未変性C9系石油樹脂としては、商品名「日石ネオポリマー(登録商標)L−90」、「日石ネオポリマー(登録商標)120」、「日石ネオポリマー(登録商標)130」、「日石ネオポリマー(登録商標)140」(JX日鉱日石エネルギー株式会社製)等が挙げられる。
前記α−メチルスチレン系樹脂は、モノマーとしてα−メチルスチレンを使用し、該α−メチルスチレンを重合、或いは、該α−メチルスチレンと他のコモノマーを共重合して得た樹脂である。なお、前記α−メチルスチレン系樹脂としては、市販品を利用することができ、例えば、商品名「FTR0100」、「FTR0120」(三井化学株式会社製)等が挙げられる。
前記C5−C9系樹脂とは、C5−C9系合成石油樹脂を指し、該C5−C9系樹脂としては、例えば、石油由来のC5留分とC9留分とを、AlCl3、BF3等のフリーデルクラフツ型触媒を用いて重合して得られる固体重合体が挙げられ、より具体的には、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、インデン等を主成分とする共重合体等が挙げられる。該C5−C9系樹脂としては、C9以上の成分の少ない樹脂が、ゴム成分(A)との相溶性の観点から好ましい。ここで、「C9以上の成分が少ない」とは、樹脂全量中のC9以上の成分が50質量%未満、好ましくは40質量%以下であることを言うものとする。前記C5−C9系樹脂としては、市販品を利用することができ、例えば、商品名「クイントン(登録商標)G100B」(日本ゼオン株式会社製)、商品名「ECR213」(エクソンモービルケミカル社製)、商品名「T−REZ RD104」(東燃化学社製)等が挙げられる。
本発明のゴム組成物は、充填剤を含むことが好ましい。また、本発明のゴム組成物は、該充填剤として、シリカを含むことが好ましく、充填剤中のシリカの割合は、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、より一層好ましくは90質量%以上であり、充填剤の全量がシリカであってもよい。充填剤として、シリカを含む場合、ゴム組成物のtanδが低下して、該ゴム組成物を適用したタイヤの低ロス性が向上する。また、充填剤中のシリカの割合が70質量%以上であれば、ゴム組成物のtanδが低下し、該ゴム組成物を適用したタイヤの低ロス性が更に向上する。
前記シリカとしては、特に制限はなく、例えば、湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム等が挙げられ、これらの中でも、湿式シリカが好ましい。これらシリカは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記シリカの配合量は、ゴム組成物のゴム成分100質量部に対して40〜70質量部の範囲が好ましく、45〜60質量部の範囲が更に好ましい。シリカの配合量がゴム成分100質量部に対して40質量部以上であれば、ゴム組成物のtanδが低下して、該ゴム組成物を適用したタイヤの低ロス性が更に向上し、また、70質量部以下であれば、ゴム組成物の柔軟性が高く、該ゴム組成物をタイヤのトレッドゴムに適用することで、トレッドゴムの変形体積が大きくなって、タイヤのウェット性能を向上させることができる。
本発明のゴム組成物においては、充填剤として、更に、カーボンブラックを含むことが好ましく、また、該カーボンブラックの配合量は、ゴム成分100質量部に対して1〜15質量部の範囲が好ましく、3〜10質量部の範囲が更に好ましい。カーボンブラックを1質量部以上配合することで、ゴム組成物の剛性が向上し、また、カーボンブラックの配合量が15質量部以下であれば、tanδの上昇を抑制できるため、該ゴム組成物をタイヤのトレッドゴムに適用することで、タイヤの低ロス性とウェット性能を高いレベルで両立できる。
前記カーボンブラックとしては、特に限定されるものではなく、例えば、GPF、FEF、HAF、ISAF、SAFグレードのカーボンブラックが挙げられる。これらの中でも、タイヤのウェット性能を向上させる観点から、ISAF、SAFグレードのカーボンブラックが好ましい。これらカーボンブラックは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、前記充填剤は、上述したシリカ、カーボンブラックの他、水酸化アルミニウム、アルミナ、クレー、炭酸カルシウム等を含んでもよい。
本発明のゴム組成物において、前記充填剤の配合量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは30質量部以上、より好ましくは40質量部以上であり、また、好ましくは100質量部以下、より好ましくは80質量部以下である。ゴム組成物中の充填剤の配合量が前記範囲内であれば、該ゴム組成物をタイヤのトレッドゴムに適用することで、タイヤの低ロス性とウェット性能を更に向上させることができる。
本発明のゴム組成物は、前記シリカの配合効果を向上させるために、更に、シランカップリング剤を含有することが好ましい。該シランカップリング剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシラン、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリエトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、ビス(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、ジメトキシメチルシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、ジメトキシメチルシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド等が挙げられる。これらシランカップリング剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、前記シランカップリング剤の配合量は、前記シリカ100質量部に対して2〜20質量部の範囲が好ましく、5〜15質量部の範囲が更に好ましい。シランカップリング剤の配合量がシリカ100質量部に対して2質量部以上であれば、シリカの配合効果が十分に向上し、また、シランカップリング剤の配合量がシリカ100質量部に対して20質量部以下であれば、ゴム成分のゲル化の可能性が低い。
本発明のゴム組成物は、加工性、作業性の観点から、更に、軟化剤を含んでもよい。該軟化剤の配合量は、ゴム成分100質量部に対して1〜5質量部の範囲が好ましく、1.5〜3質量部の範囲が更に好ましい。軟化剤を1質量部以上配合することで、ゴム組成物の混練が容易となり、また、軟化剤を5質量部以下配合することで、ゴム組成物の剛性の低下を抑制できる。
ここで、前記軟化剤としては、鉱物由来のミネラルオイル、石油由来のアロマチックオイル、パラフィンオイル、ナフテンオイル、天然物由来のパームオイル等が挙げられるが、これらの中でも、タイヤのウェット性能の向上の観点から、鉱物由来の軟化剤及び石油由来の軟化剤が好ましい。
本発明のゴム組成物は、更に、脂肪酸金属塩を含んでもよい。該脂肪酸金属塩に用いられる金属としては、Zn、K、Ca、Na、Mg、Co、Ni、Ba、Fe、Al、Cu、Mn等が挙げられ、Znが好ましい。一方、前記脂肪酸金属塩に用いられる脂肪酸としては、炭素数4〜30の飽和又は不飽和の直鎖、分岐もしくは環状構造を有する脂肪酸、あるいはそれらの混合物が挙げられ、これらの中でも、炭素数10〜22の飽和又は不飽和の直鎖脂肪酸が好ましい。炭素数10〜22の飽和直鎖脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等が挙げられ、また、炭素数10〜22の不飽和直鎖脂肪酸としては、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等が挙げられる。前記脂肪酸金属塩は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記脂肪酸金属塩の配合量は、ゴム組成物のゴム成分100質量部に対して0.1〜10質量部の範囲が好ましく、0.5〜5質量部の範囲が更に好ましい。
本発明のゴム組成物には、上述のゴム成分(A)、芳香族モノマーを含有する熱可塑性樹脂(B)、充填剤、シランカップリング剤、軟化剤、脂肪酸金属塩の他、ゴム工業界で通常使用される配合剤、例えば、ステアリン酸、老化防止剤、酸化亜鉛(亜鉛華)、加硫促進剤、加硫剤等を、本発明の目的を害しない範囲内で適宜選択して配合してもよい。これら配合剤としては、市販品を好適に使用することができる。
本発明のゴム組成物は、タイヤを始めとする種々のゴム製品に利用できる。特には、本発明のゴム組成物は、タイヤのトレッドゴムとして好適である。
<タイヤ>
本発明のタイヤは、上述したゴム組成物をトレッドゴムに用いたことを特徴とする。本発明のタイヤは、前記ゴム組成物がトレッドゴムに用いられているため、良好な低ロス性を有しつつ、ドライ性能と、ウェット性能とを両立することができる。また、本発明のタイヤは、各種車輌向けのタイヤとして利用できるが、乗用車用タイヤとして好ましい。
本発明のタイヤは、適用するタイヤの種類に応じ、未加硫のゴム組成物を用いて成形後に加硫して得てもよく、又は予備加硫工程等を経た半加硫ゴムを用いて成形後、さらに本加硫して得てもよい。なお、本発明のタイヤは、好ましくは空気入りタイヤであり、空気入りタイヤに充填する気体としては、通常の或いは酸素分圧を調整した空気の他、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを用いることができる。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
<ゴム組成物の調製及び評価>
表1に示す配合処方に従い、通常のバンバリーミキサーを用いて、ゴム組成物を製造し、得られるゴム組成物に対して、下記の方法で貯蔵弾性率(E’)及び損失正接(tanδ)を測定し、更に、乾燥路面での摩擦係数(ドライμ)、湿潤路面での摩擦係数(ウェットμ)、耐摩耗性を評価する。結果を表1に示す。
(1)貯蔵弾性率(E’)及び損失正接(tanδ)
ゴム組成物を145℃で33分間加硫して得られる加硫ゴムに対して、株式会社上島製作所製スペクトロメーターを用いて、初期荷重160mg、動歪1%、周波数52Hzの条件下で、0℃における貯蔵弾性率(E’)と、0℃及び30における損失正接(tanδ)を測定する。損失正接(tanδ)の値が小さい程、低ロス性に優れることを示す。
(2)乾燥路面での摩擦係数(ドライμ)
ゴム組成物をトレッドゴムに用いて、常法に従ってサイズ:195/65R15の乗用車用ラジアルタイヤを作製する。
排気量2000ccの乗用車に供試タイヤ4本を装着し、該乗用車をテストコースのアスファルト評価路で走行させ、時速80km/hrの時点でブレーキを踏んでタイヤをロックさせ、停止するまでの距離を測定する。結果は、距離の逆数について、比較例1の数値を100として指数表示する。指数値が大きい程、乾燥路面での摩擦係数(ドライμ)が大きく、ドライ性能に優れることを示す。
(3)湿潤路面での摩擦係数(ウェットμ)
ゴム組成物をトレッドゴムに用いて、常法に従ってサイズ:195/65R15の乗用車用ラジアルタイヤを作製する。
排気量2000ccの乗用車に供試タイヤ4本を装着し、該乗用車をテストコースの鉄板湿潤路面評価路で走行させ、時速40km/hrの時点でブレーキを踏んでタイヤをロックさせ、停止するまでの距離を測定する。結果は、距離の逆数について、比較例1の数値を100として指数表示する。指数値が大きい程、湿潤路面での摩擦係数(ウェットμ)が大きく、ウェット性能に優れることを示す。
(4)耐摩耗性
得られるゴム組成物を145℃で33分加硫後、JIS K 6264−2:2005に準拠し、ランボーン摩耗試験機を使用して23℃で摩耗量を測定し、比較例1の摩耗量の逆数を100として、それぞれ指数表示する。指数値が大きい程、摩耗量が少なく、耐摩耗性能が良好であることを示す。
Figure 2019088210
*1 天然ゴム: ガラス転移温度(Tg)=−73℃
*2 合成ゴム1: 下記の方法で合成される変性スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、ガラス転移温度(Tg)=−70℃
<合成ゴム1の製造方法>
乾燥し、窒素置換した800mLの耐圧ガラス容器に、1,3−ブタジエンのシクロヘキサン溶液およびスチレンのシクロヘキサン溶液を、1,3−ブタジエン67.5gおよびスチレン7.5gになるように加え、2,2−ジテトラヒドロフリルプロパン0.6mmolを加え、0.8mmolのn−ブチルリチウムを加えた後、50℃で1.5時間重合を行う。この際の重合転化率がほぼ100%となった重合反応系に対し、変性剤としてN,N−ビス(トリメチルシリル)−3−[ジエトキシ(メチル)シリル]プロピルアミンを0.72mmol添加し、50℃で30分間変性反応を行う。その後、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)のイソプロパノール5質量%溶液2mLを加えて反応を停止させ、常法に従い乾燥して変性スチレン−ブタジエン共重合体ゴムを得る。
*3 合成ゴム2: 下記の方法で合成される変性ポリブタジエンゴム、ガラス転移温度(Tg)=−110℃
<合成ゴム2の製造方法>
(i)触媒の調製
乾燥・窒素置換された、ゴム栓付容積100ミリリットルのガラスびんに、以下の順番に、ブタジエンのシクロヘキサン溶液(15.2質量%)7.11g、ネオジムネオデカノエートのシクロヘキサン溶液(0.56M)0.59ミリリットル、メチルアルミノキサンMAO(東ソーアクゾ製PMAO)のトルエン溶液(アルミニウム濃度として3.23M)10.32ミリリットル、水素化ジイソブチルアルミニウム(関東化学製)のヘキサン溶液(0.90M)7.77ミリリットルを投入し、室温で2分間熟成した後、塩素化ジエチルアルミニウム(関東化学製)のヘキサン溶液(0.95M)1.45ミリリットルを加え室温で、時折撹拌しながら15分間熟成する。こうして得られる触媒溶液中のネオジムの濃度は、0.011M(モル/リットル)である。
(ii)活性末端を変性した変性ジエン系ゴムの製造
900ミリリットル容積のゴム栓付きガラスびんを乾燥・窒素置換し、乾燥精製されたブタジエンのシクロヘキサン溶液および乾燥シクロヘキサンを各々投入し、ブタジエン12.5質量%のシクロヘキサン溶液が400g投入された状態とする。次に、前記のようにして調製される触媒溶液2.28ミリリットル(ネオジム換算0.025mmol)を投入し、50℃温水浴中で1.0時間重合を行う。
(iii)第1次変性処理
第1次変性剤として、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランをヘキサン溶液(1.0M)として、23.5(ネオジム対比のモル当量)投入し、50℃で60分間処理する。
(iv)その後の処理
続いて、多価アルコールのカルボン酸エステルとしてソルビタントリオレイン酸エステルを単体で1.2ミリリットル加えて、さらに50℃で1時間変性反応を行った後、老化防止剤2,2'−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)(NS−5)のイソプロパノール5%溶液2ミリリットルを加えて反応の停止を行い、さらに微量のNS−5を含むイソプロパノール中で再沈殿を行ない、ドラム乾燥することにより活性末端を変性したポリブタジエンゴムを得る。
*4 合成ゴム3: JSR株式会社製、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、結合スチレン量40%、ガラス転移温度(Tg)=−25℃
*5 カーボンブラック: 旭カーボン株式会社製、商品名「旭#78」
*6 シリカ: 東ソー・シリカ工業株式会社製、商品名「ニップシールAQ」
*7 シランカップリング剤: ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、(平均硫黄鎖長:2.35)、Evonik社製、商品名「Si75」(登録商標)
*8 ワックス: マイクロクリスタリンワックス、日本精蝋株式会社製、商品名「オゾエース0701」
*9 老化防止剤6PPD: N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、大内新興化学工業株式会社製、商品名「ノクラック6C」
*10 老化防止剤TMQ: 2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体、精工化学株式会社製、商品名「ノンフレックスRD−S」
*11 加硫促進剤DPG: 1,3−ジフェニルグアニジン、大内新興化学工業株式会社製、商品名「ノクセラー(登録商標)D」
*12 加硫促進剤MBTS: ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド、大内新興化学工業株式会社製、商品名「ノクセラー(登録商標)DM−P」
*13 加硫促進剤CBS: N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、大内新興化学工業株式会社製、商品名「ノクセラー(登録商標)CZ−G」
*14 C9系樹脂: 芳香族モノマーを含有する熱可塑性樹脂、JX日鉱日石エネルギー株式会社製、商品名「日石ネオポリマー(登録商標)140」、軟化点=145℃
*15 α−メチルスチレン系樹脂: 芳香族モノマーを含有する熱可塑性樹脂、三井化学株式会社製、商品名「FTR0120」、軟化点=120℃
*16 C5系樹脂: 芳香族モノマーを含有しない熱可塑性樹脂、エクソンモービルケミカル社製、商品名「エスコレッツ(登録商標)1102B」、軟化点=100℃
*17 C5−C9系樹脂: 芳香族モノマーを含有する熱可塑性樹脂、東燃化学社製、商品名「T−REZ RD104」、軟化点=104℃
表1から、本発明に従う実施例のゴム組成物は、タイヤに適用することで、タイヤの低ロス性を悪化させずに、ドライ性能と、ウェット性能とを両立できることが分かる。
本発明のゴム組成物は、タイヤのトレッドゴムに利用できる。また、本発明のタイヤは、各種車輌向けのタイヤとして利用できる。

Claims (5)

  1. 天然ゴム(A1)と、ガラス転移温度(Tg)が−50℃以下の合成ゴム(A2)と、ガラス転移温度(Tg)が−50℃を超える合成ゴム(A3)と、を含むゴム成分(A)と、
    芳香族モノマーを含有する熱可塑性樹脂(B)と、を含み、
    前記ゴム成分(A)中の前記天然ゴム(A1)の含有量が、40質量%以上であり、
    前記芳香族モノマーを含有する熱可塑性樹脂(B)の含有量が、前記ゴム成分(A)100質量部に対して10〜50質量部であることを特徴とする、ゴム組成物。
  2. 前記ガラス転移温度(Tg)が−50℃を超える合成ゴム(A3)は、結合スチレン量が40質量%以上である、請求項1に記載のゴム組成物。
  3. 前記芳香族モノマーを含有する熱可塑性樹脂(B)は、軟化点が100℃以上である、請求項1又は2に記載のゴム組成物。
  4. 前記芳香族モノマーを含有する熱可塑性樹脂(B)が、C9系樹脂、α−メチルスチレン系樹脂、及びC5−C9系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のゴム組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載のゴム組成物をトレッドゴムに用いたことを特徴とする、タイヤ。
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