JP2006056977A - タイヤ用ゴム組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】 氷上摩擦性及び耐摩耗性の改良されたタイヤ用ゴム組成物の提供。
【解決手段】 (i)ジエン系ゴム100重量部及び(ii)少なくとも2種の化学発泡剤混合物5〜65重量%を含む発泡剤含有樹脂0.5〜20重量部を含んでなり、前記発泡剤含有樹脂の樹脂分がジエン系ゴムと共架橋性でないポリオレフィン系樹脂を主成分としたものであり、かつ前記ゴム組成物がジエン系ゴムの加硫後に樹脂層によって被覆されたマイクロカプセル状の気泡を有する構造となるゴム組成物であって、前記発泡剤含有樹脂がN,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)及びアゾジカルボンアミド(ADCA)の2種の化学発泡剤を含み、その混合比率DPT/ADCAが5/95〜95/5(重量比)であるタイヤ用ゴム組成物。
【選択図】 なし
【解決手段】 (i)ジエン系ゴム100重量部及び(ii)少なくとも2種の化学発泡剤混合物5〜65重量%を含む発泡剤含有樹脂0.5〜20重量部を含んでなり、前記発泡剤含有樹脂の樹脂分がジエン系ゴムと共架橋性でないポリオレフィン系樹脂を主成分としたものであり、かつ前記ゴム組成物がジエン系ゴムの加硫後に樹脂層によって被覆されたマイクロカプセル状の気泡を有する構造となるゴム組成物であって、前記発泡剤含有樹脂がN,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)及びアゾジカルボンアミド(ADCA)の2種の化学発泡剤を含み、その混合比率DPT/ADCAが5/95〜95/5(重量比)であるタイヤ用ゴム組成物。
【選択図】 なし
Description
本発明はタイヤ用ゴム組成物に関し、更に詳しくは、特に乗用車用スタッドレスタイヤ用として使用するのに適した氷上摩擦性能及び耐摩耗性の改良されたタイヤ用ゴム組成物に関する。
スタッドレスタイヤ用コンパウンドとして、これまで発泡剤含有樹脂に関する種々の開発が行なわれて来た。例えば特許文献1及び2には発泡剤含有繊維を配合したゴム組成物が、そして特許文献3及び4には発泡剤含有水溶性樹脂を配合したゴム組成物が、更に本発明者らの特許文献5には発泡剤含有樹脂を配合したゴム組成物が、それぞれ、開示されている。
従って、本発明の目的は、ゴムを効果的に発泡させて、得られるゴム組成物の氷上摩擦性能及び耐摩耗性を更に改良することにある。
本発明に従えば、(i)ジエン系ゴム100重量部及び(ii)少なくとも2種の化学発泡剤混合物5〜65重量%を含む発泡剤含有樹脂0.5〜20重量部を含んでなり、前記発泡剤含有樹脂の樹脂分がジエン系ゴムと共架橋性でないポリオレフィン系樹脂を主成分としたものであり、かつ前記ゴム組成物がジエン系ゴムの加硫後に樹脂層によって被覆されたマイクロカプセル状の気泡を有する構造となるゴム組成物であって、前記発泡剤含有樹脂がN,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)及びアゾジカルボンアミド(ADCA)の2種の化学発泡剤を含み、その混合比率DPT/ADCAが5/95〜95/5(重量比)であるタイヤ用ゴム組成物が提供される。
本発明に従えば、前記成分(i)及び(ii)を含むタイヤ用ゴム組成物に、更に(iii)熱によって膨張して気体封入熱可塑性樹脂となる熱膨張性マイクロカプセル及び/又は(iv)膨張黒鉛を配合したゴム組成物が提供される。
本発明によれば、化学発泡剤としてDPTとADCAとを所定の割合で発泡剤含有樹脂中に併用することによりゴム加硫時にDPTが先ず発泡し、その際の発熱を利用してADCAが発泡するため、樹脂層によって被覆されたマイクロカプセル状の気泡が効果的に得られ、氷上摩擦性能及び耐摩耗性がDPT及びADCAを単独で使用した場合に比較して予想外に改良される。
本発明者らはDPT(N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン)単体をポリエチレンにてセル化した発泡剤含有樹脂を評価してきたが、このDPTとADCA(アゾジカルボンアミド)を併用してセルパウダー化した発泡剤含有樹脂を配合することにより氷上摩擦性能及び耐摩耗性が顕著に改良されることを見出した。ADCAはDPTよりも発熱量が低くガス発生量が多いという利点はあるが、その分解(発泡)温度がDPTに比較して高いという問題があり、樹脂にADCAを単体で配合した場合には、加硫条件によっては、ゴム中で発泡しない場合もあった。本発明ではこのADCAをDPTと併用配合することにより、ゴム加硫時にDPTが発泡した際の発熱を利用してADCAを発泡させることができ、少量配合でも、樹脂層によって被覆されたマイクロカプセル状の気泡が効果的に得られることを見出した。またゴム中に発泡剤を分散させた場合には、発泡剤同士が反応する確率は低下するが、本発明では微細なセル中にDPTとADCAを併用することにより接触効率が高められ、樹脂層によって被覆されたマイクロカプセル状の気泡がより効果的に得られるという特徴である。このように上記のような新規材料をゴム中に配合することにより、氷上摩擦性能の向上や耐摩耗性の改善などを達成することが出来た。なお、DPT及びADCAは以下の構造を有する。
本発明によれば、ジエン系ゴム100重量部に対し、少なくとも2種の化学発泡剤を含む発泡剤含有樹脂を0.5〜20重量部、好ましくは2〜10重量部、配合する。この配合量が少なすぎると、空隙形成効果が不十分であり、逆に多すぎると加硫ゴムの形状安定性を損ね、かつゴムの耐摩耗性を著しく損ねるので好ましくない。
本発明において、発泡剤含有樹脂を構成する樹脂成分はジエン系ゴムとは共架橋性を有しないものでなければならず、具体的にはポリオレフィン系樹脂を主成分としたものが用いられる。なお、ここで主成分とはポリオレフィン系樹脂が全樹脂成分の約75重量%以上のものをいい、他の成分としては、例えばオレフィンモノマーの未反応残渣、重合開始剤や触媒等の残渣、加工助剤、ポリオレフィン系以外のポリマー状樹脂などがあげられる。このような発泡剤含有樹脂としては、例えば永和化成工業から「セルパウダー」として市販されている。
本発明における発泡剤含有樹脂の中の化学発泡剤の含有率は5〜65重量%、好ましくは15〜50重量%である。この配合量が少なすぎると空隙の形成効果が不十分となるおそれがあり、逆に多すぎると形成させる殻の厚みが薄くなり、マイクロカプセルとしての引っ掻き効果が不十分になるおそれがある。
本発明において使用することができるジエン系ゴムとしては、タイヤ用として使用することができる任意のジエン系ゴム、例えば天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、各種スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、各種ポリブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム(NBR)などをあげることができ、これらは単独又は任意のブレンドとして使用することができる。本発明において使用するジエン系ゴムの平均ガラス転移点が−55℃以下、好ましくは−90℃〜−60℃(即ち冬用タイヤに使用)である。
本発明によれば化学発泡剤としてDPT及びADCAをDPT/ADCA(重量比)が5/95〜95/5、好ましくは10/90〜60/40の割合で含む2種又はそれ以上の化学発泡剤を用いる。この配合比の範囲外では所望の効果が得られにくいので好ましくない。なお、DPT及びADCAは化学発泡剤として公知の化合物であり、例えば永和化成工業(株)からDPTは「セルラー」、ADCAは「ビニホール」などとして市販もされている。
本発明に従えば、DPT及びADCAに加えて、他の化学発泡剤例えば他のアゾ化合物、他のニトロソ化合物、ヒドラジン誘導体(OBSH)、アゾ化合物(Ba/AC)、重炭酸塩(NaHCO3)などを用いることができ、具体的には4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド(OBSH)、ヒドラゾジカルボンアミド(HDCA)、バリウムアゾシカルボキシレート(Ba/AC)、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)が挙げられ、これらは永和化成工業から市販されている。
本発明において用いる樹脂は、前述の如く、樹脂の組成がポリオレフィンが主成分で含有率が75重量%以上で、好ましくは85重量%以上である。この樹脂成分は分子の主鎖中に二重結合が残っていないのが好ましい(ジエン系ゴムとの共架橋を防ぐため)。ポリオレフィンの含有率が低いとゴムと架橋する恐れがあるので好ましくない。ポリオレフィンは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリブチレン−1等の中から選ばれる少なくとも1種を用いることができ、これらは混合物として用いることができ、これらの共重合体も使用することができる。本発明で使用される発泡剤含有樹脂の粒子サイズは10〜200μmが好ましい。これより小さいとゴム表面に十分な大きさの凹凸を形成できず、大きすぎるとゴムの機械強度の低下が著しくなる。
本発明の好ましい態様では、発泡剤含有樹脂に加えて、ジエン系ゴム100重量部に対し、熱によって膨張して気体封入熱可塑性樹脂となる熱膨張性マイクロカプセル0.5〜20重量部、好ましくは2〜5重量部を配合する。この熱膨張性マイクロカプセルの配合によって、加硫ゴム中のマイクロカプセル体の大きさに分布を持たせることができ、その結果として、ゴム/氷間でのミクロ排水効果の効率が更に向上するという効果を得ることができる。
前記熱膨張性マイクロカプセルは、熱により気化して気体を発生する液体を熱可塑性樹脂に内包した熱膨張性熱可塑性樹脂粒子であって、その粒子をその膨張開始温度以上の温度、通常140〜190℃の温度で加熱して膨張させて、その熱可塑性樹脂からなる外殻中に気体を封入する。熱膨張性熱可塑性樹脂粒子の粒径は好ましくは5〜300μmであり、更に好ましくは粒径10〜200μmである。
このような熱膨張性マイクロカプセル(熱膨張性熱可塑性樹脂粒子)としては、例えば、現在、スウェーデンのEXPANCEL社より商品名「エクスパンセル091DU−80」または「エクスパンセル092DU−120」等として、あるいは松本油脂製薬(株)より商品名「マツモトマイクロスフェアーF−85」または「マツモトマイクロスフェアーF−100」等として入手可能である。
前記気体封入熱可塑性樹脂粒子の外殻成分を構成する熱可塑性樹脂としては、その膨張開始温度が100℃以上、好ましくは120℃以上で、最大膨張温度が150℃以上、好ましくは160℃以上のものが好ましく用いられる。そのような熱可塑性樹脂としては、例えば(メタ)アクリロニトリルの重合体、また(メタ)アクリロニトリル含有量の高い共重合体が好適に用いられる。その共重合体の場合の他のモノマー(コモノマー)としては、ハロゲン化ビニル、ハロゲン化ビニリデン、スチレン系モノマー、(メタ)アクリレート系モノマー、酢酸ビニル、ブタジエン、ビニルピリジン、クロロプレン等のモノマーが用いられる。なお、上記の熱可塑性樹脂は、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、トリアクリルホルマール、トリアリルイソシアヌレート等の架橋剤で架橋可能にされていてもよい。架橋形態については、未架橋が好ましいが、熱可塑性樹脂としての性質を損わない程度に部分的に架橋していてもかまわない。
前記の熱により気化して気体を発生する液体としては、例えばn−ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、ブタン、イソブタン、ヘキサン、石油エーテルの如き炭化水素類、塩化メチル、塩化メチレン、ジクロロエチレン、トリクロロエタン、トリクロルエチレンの如き塩素化炭化水素のような液体が挙げられる。
熱膨張性マイクロカプセルの配合によって生じるマイクロカプセル状気泡体と発泡剤含有樹脂配合によって得られるマイクロカプセル状気泡体は、性状や効果においてほぼ同一であるが、前者より後者の方が気泡が大きくなるという特徴があり、両者の併用によって生じるマイクロカプセルのサイズの分布がゴム/氷面からのミクロ排水効果の効率をより向上させる。従って、熱膨張性マイクロカプセルと気泡剤含有樹脂の併用によって相乗的な効果が得られる。
本発明の好ましい態様では、更に、前記ジエン系ゴム100重量部に対し、膨張黒鉛0.5〜20重量部、好ましくは3〜10重量部を、発泡剤含有樹脂又は発泡剤含有樹脂と熱膨張性マイクロカプセルに加えて、配合する。この配合量が少な過ぎると所望の効果の一層の改良は得にくく、逆に多過ぎるとゴム加硫物の機械強度の低下が起こるので好ましくない。この膨張黒鉛は層間に熱により気化する物質を内包する好ましくは、粒子径30〜600μm、更に好ましくは100〜300μmの粉体物質であり、加硫時の熱によって膨張して黒鉛膨張体となることが好ましい。
前記膨張黒鉛は従来から公知のものを使用することができ、例えば、天然の鱗片状グラファイト、熱分解グラファイト、キッシュグラファイト等を無機酸である濃硫酸又は硝酸等と強酸化剤である濃硝酸、過塩素酸塩、過マンガン酸塩又は重クロム酸塩等で処理してグラファイト層間化合物を生成させた炭素の層状構造を維持したままの結晶質化合物を挙げることができる。更に、酸処理した膨張黒鉛を、塩基性化合物で中和したものを使用することが好ましい。ここで、塩基性化合物としては、例えばアンモニア、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物または脂肪族低級アミン等を挙げることができる。この脂肪族低級アミンとしては、例えばモノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン等のアルキルアミン類を挙げることができる。アルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物としては、例えばカリウム、ナトリウム、カルシウム、バリウム又はマグネシウム等の水酸化物、酸化物(複酸化物及び錯酸化物を包含)、炭酸塩、炭酸水素塩(重炭酸塩)又は有機酸塩を挙げることができ、有機酸塩としては、例えばギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩又はクエン酸塩を挙げることができる。
前記膨張黒鉛は炭素原子から形成されたシートが層状に重なった構造をしており、その層間物質の気化によって高膨張させることができる。材質が硬いために混合による品質低下が起りにくく、また一定温度にて不可逆的に膨張するため、ゴムマトリックス内部に空間を伴う異物を容易に形成させることができる。このようなゴムを用いたタイヤのトレッド部は摩耗時に表面凹凸が適度に形成され、表面上の水膜を効率よく除去することによって氷上摩擦力の向上に働く。一方、膨張黒鉛は炭素原子からなる骨格構造をとっているためにゴムマトリックスやカーボンブラックとの親和性が良好であり、ゴムに配合添加しても加硫ゴムの耐摩耗性能を低下させないという利点がある。
本発明に従えば、ジエン系ゴムに前記発泡剤含有樹脂を配合して化学発泡剤成分の分解温度以下の条件にて混合及び押出し加工を行い、発泡剤成分の分解温度以上の温度条件にて加硫工程で加熱して膨張発泡せしめることによってゴム内に樹脂によって被覆されたマイクロカプセル状の気泡を分散させてタイヤトレッド用ゴムを製造することができる。
本発明で用いる発泡剤含有樹脂に含まれる化学発泡剤の分解温度は、120〜180℃、好ましくは140〜160℃である。この温度が低すぎると混合、押出し加工中にゴムが膨張し、加工中のサイズ安定性を損ね、逆に高すぎるとゴムの加硫中に十分な大きさの樹脂被覆気泡を形成させることができない。なお、化学発泡剤の分解温度が高すぎる場合には尿素等の発泡助剤との併用によって分解温度を120〜180℃に調整することもできる。発泡助剤は例えば永和化成工業(株)から「セルペースト」として市販されている。
本発明に係るゴム組成物には、前記した必須成分に加えて、カーボンブラックやシリカなどのその他の補強剤(フィラー)、加硫又は架橋剤、加硫又は架橋促進剤、各種オイル、老化防止剤、可塑剤などのタイヤ用、その他一般ゴム用に一般的に配合されている各種添加剤を配合することができ、かかる添加剤は一般的な方法で混練、加硫して組成物とし、加硫又は架橋するのに使用することができる。これらの添加剤の配合量は本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。
以下、実施例によって本発明を更に説明するが、本発明の範囲をこれらの実施例に限定するものでないことはいうまでもない。
実施例1〜4及び比較例1〜5
サンプルの調製
表Iに示す配合において、ゴム、カーボンブラック、老化防止剤、酸化亜鉛、ステアリン酸及びアロマオイルを1.7リットルの密閉型ミキサーで5分間混練し、温度が165±5℃に達したときに放出してマスターバッチを得た。冷却後、このマスターバッチに他の成分を加えて、同じバンバリーミキサーで混合してゴム組成物を得た。
サンプルの調製
表Iに示す配合において、ゴム、カーボンブラック、老化防止剤、酸化亜鉛、ステアリン酸及びアロマオイルを1.7リットルの密閉型ミキサーで5分間混練し、温度が165±5℃に達したときに放出してマスターバッチを得た。冷却後、このマスターバッチに他の成分を加えて、同じバンバリーミキサーで混合してゴム組成物を得た。
ゴム物性評価試験法
得られたゴム組成物を以下の試験法で評価した。結果は表Iに示す。なお、評価結果はすべて比較例3の値を100として指数表示した。数字が大きいほど硬度が高いこと、膨張率が高いこと、摩耗性に優れること、氷上摩擦力が高いことを示す。
ゴム硬度及び加硫ゴム膨張率:各コンパウンドを直径3cm、高さ1.5cmの円柱形のモールド内で170℃にて15分加硫し、加硫後に十分に水中冷却されたゴムの水平面にて硬度測定を行った。その後、ゴムの中心部を切り抜き、比重測定を行った。膨張率は計算比重に対する加硫ゴムの比重の低下率として算出した。
得られたゴム組成物を以下の試験法で評価した。結果は表Iに示す。なお、評価結果はすべて比較例3の値を100として指数表示した。数字が大きいほど硬度が高いこと、膨張率が高いこと、摩耗性に優れること、氷上摩擦力が高いことを示す。
ゴム硬度及び加硫ゴム膨張率:各コンパウンドを直径3cm、高さ1.5cmの円柱形のモールド内で170℃にて15分加硫し、加硫後に十分に水中冷却されたゴムの水平面にて硬度測定を行った。その後、ゴムの中心部を切り抜き、比重測定を行った。膨張率は計算比重に対する加硫ゴムの比重の低下率として算出した。
ランボーン摩耗:JIS K6264に記載されているランボーン摩擦試験法に準拠して測定を行った。
氷上摩擦H:各コンパウンドを加硫した厚さ5mmのゴムを表面から0.5mm及び2mmの深さ位置から厚さ2mmのゴム片になるようにスライスし、それらのゴム片を偏平円柱状の台ゴムにはりつけ、インサイドドラム型氷上摩擦試験機にて氷上摩擦係数を測定した。測定温度は−3.0℃及び−1.5℃、荷重0.3MPa、ドラム回転速度は25km/hrとした。なお、表面から0.5mm面はタイヤでの使用初期、表面から2mm面はタイヤでの使用中期のトレッド表面をシミュレートしたものである。
表I脚注
RSS#3:天然ゴム
NIPOL 1220:日本ゼオン(株)製ポリブタジエンゴム(ガラス転移温度=−101℃)
SHOBLACK N220:昭和キャボット(株)製カーボンブラック(N2SA:111m2/g、DBP吸油量111ml/100g)
SANTOFLEX 6PPD:FLEXSIS製老化防止剤
酸化亜鉛3種:正同化学工業(株)製酸化亜鉛
ステアリン酸:日本油脂(株)製ステアリン酸
アロマオイル:富士興産(株)製アロマオイル
SANTOCURE NS:FLEXSIS製加硫促進剤 TBBS
硫黄:三新化学工業(株)製硫黄
セルラーD:永和化成工業(株)製DPT系発泡剤
セルペースト101:永和化成工業(株)製尿素系発泡助剤
RSS#3:天然ゴム
NIPOL 1220:日本ゼオン(株)製ポリブタジエンゴム(ガラス転移温度=−101℃)
SHOBLACK N220:昭和キャボット(株)製カーボンブラック(N2SA:111m2/g、DBP吸油量111ml/100g)
SANTOFLEX 6PPD:FLEXSIS製老化防止剤
酸化亜鉛3種:正同化学工業(株)製酸化亜鉛
ステアリン酸:日本油脂(株)製ステアリン酸
アロマオイル:富士興産(株)製アロマオイル
SANTOCURE NS:FLEXSIS製加硫促進剤 TBBS
硫黄:三新化学工業(株)製硫黄
セルラーD:永和化成工業(株)製DPT系発泡剤
セルペースト101:永和化成工業(株)製尿素系発泡助剤
DPT含有樹脂:永和化成工業(株)製、セルパウダーF50(DPT50%)
ADCA含有樹脂:ポリオレフィン樹脂と発泡剤ADCAを重量比率50/50にてミキサーで混ぜて、樹脂に発泡剤を添着させて作成した。
ADCA含有樹脂:ポリオレフィン樹脂と発泡剤ADCAを重量比率50/50にてミキサーで混ぜて、樹脂に発泡剤を添着させて作成した。
ADCA/DPT併用樹脂:ポリオレフィン樹脂と発泡剤2種(ADCAとDPT)とをミキサーで混合して樹脂に発泡剤を添着させ、100℃の押出機でペレットを作製した。得られたペレットをその後粉砕することによりサンプルを試作した(ADCA/DPT=50/50)。なお、ポリオレフィン樹脂と発泡剤混合体の重量比率は50/50とした。
ビニホールAC#3:永和化成工業(株)製ADCA系発泡剤
マイクロスフェアーF100D:松本油脂製薬(株)製熱膨張性マイクロカプセル
グラフガード 160−80N:巴工業(株)製膨張黒鉛
マイクロスフェアーF100D:松本油脂製薬(株)製熱膨張性マイクロカプセル
グラフガード 160−80N:巴工業(株)製膨張黒鉛
本発明に従ったタイヤ用ゴム組成物は化学発泡剤DPTとADCAとを併用することによりゴム加硫時にDPTの発泡による発熱を利用してADCAを発泡させることができるので、樹脂層によって被覆されたマイクロカプセル状の気泡がより効果的に得られるために氷上摩擦性能及び耐摩耗性が一層改良され、スタッドレスタイヤ用ゴム組成物として有用である。
Claims (4)
- (i)ジエン系ゴム100重量部及び(ii)少なくとも2種の化学発泡剤混合物5〜65重量%を含む発泡剤含有樹脂0.5〜20重量部を含んでなり、前記発泡剤含有樹脂の樹脂分がジエン系ゴムと共架橋性でないポリオレフィン系樹脂を主成分としたものであり、かつ前記ゴム組成物がジエン系ゴムの加硫後に樹脂層によって被覆されたマイクロカプセル状の気泡を有する構造となるゴム組成物であって、前記発泡剤含有樹脂がN,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)及びアゾジカルボンアミド(ADCA)の2種の化学発泡剤を含み、その混合比率DPT/ADCAが5/95〜95/5(重量比)であるタイヤ用ゴム組成物。
- (iii)ジエン系ゴム100重量部に対し、熱によって膨張して気体封入熱可塑性樹脂となる熱膨張性マイクロカプセル0.5〜20重量部を更に含む請求項1に記載のゴム組成物。
- (iv)ジエン系ゴム100重量部に対し、膨張黒鉛0.5〜20重量部を更に含む請求項1又は2に記載のゴム組成物。
- ジエン系ゴムの平均ガラス転移温度が−55℃以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載のゴム組成物。
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