JP2004210934A - タイヤ用ゴム組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】所定の膨脹性粒子に所定量のスクロースを併用することによって、加硫ゴムの氷上摩擦力を著しく改善したタイヤ用ゴム組成物を提供する。
【解決手段】ジエン系ゴム100重量部に対し、熱膨張性マイクロカプセル、膨張黒鉛または化学発泡剤成分を5〜60重量%含有するオレフィン成分を主成分とする樹脂(発泡剤含有樹脂)を1〜20重量部、およびスクロースを1〜20重量部配合してなるタイヤ用ゴム組成物。
【選択図】 なし
【解決手段】ジエン系ゴム100重量部に対し、熱膨張性マイクロカプセル、膨張黒鉛または化学発泡剤成分を5〜60重量%含有するオレフィン成分を主成分とする樹脂(発泡剤含有樹脂)を1〜20重量部、およびスクロースを1〜20重量部配合してなるタイヤ用ゴム組成物。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、タイヤ用ゴム組成物に関し、更に詳細には、氷上性能を改善させたタイヤ用、特にタイヤトレッドに好適なタイヤ用ゴム組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
先行技術として、ゴムの氷上摩擦力を改善するために、ゴムに熱膨張性マイクロカプセル、膨張黒鉛または発泡剤含有樹脂等を配合することが既に提案されている(特開平10−316801号公報、特開2002−206037号公報)。しかしながら、これら従来技術では、その混練、加工時に膨張粒子の一部が潰れたり、あるいは架橋ゴムの硬さのために充分なる膨張が得られずに一部に未膨張のもの、または膨張が抑圧されたものが残存し、その結果、ゴムの氷上摩擦力に更なる改善の余地が残されていた。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−316801号公報
【特許文献2】
特開2002−206037号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明では、タイヤ用ゴム組成物に熱膨張性マイクロカプセル、膨張黒鉛または発泡剤含有樹脂等を配合、膨張させるに当たり、更に特定の膨張補助剤を配合することによって、上記の問題を解消することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、ジエン系ゴム100重量部に対し、熱膨張性マイクロカプセル、膨張黒鉛または化学発泡剤成分を5〜60重量%含有するオレフィン成分を主成分とする樹脂(発泡剤含有樹脂)を1〜20重量部、およびスクロースを1〜20重量部配合してなるタイヤ用ゴム組成物が提供される。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明では、ジエン系ゴムに、所定量の熱膨張性マイクロカプセル、膨張黒鉛または発泡剤含有樹脂とスクロースとを配合したタイヤ用ゴム組成物とすると、その混練時にはスクロースは固体のままゴム中に均一に分散し、その加熱膨張時にはスクロースが膨張補助剤として機能し、当該膨張性粒子が溶融したスクロースのドメイン部分で極めて良好に膨張するという事実を見出したことに基づくものである。
【0007】
当該スクロース(サッカロース、蔗糖、砂糖)は、融点約160℃の天然二糖類であり、上記の配合によって、ゴム中での熱膨張性マイクロカプセル、膨張黒鉛または発泡剤含有樹脂の膨脹性が改善され、結果としてゴム表面でのミクロ排水効果が高まることによって所期の氷上摩擦力が改善される。当該スクロースの膨張補助剤として重要な点は、その融点がゴム組成物の混合温度以上で、かつ加硫温度に近いこと、そしてその使用が低価格であるということである。
【0008】
本発明のゴム組成物に配合される前記スクロースの配合量は、ジエン系ゴム100重量部に対して、1〜20重量部、より好ましくは5〜10重量部とするのが好ましい。このスクロース量が1重量部未満であると、所期の効果を発揮できず、また20重量部を超えると、耐摩耗性の低下が大きくなるので好ましくない。
【0009】
本発明のタイヤ用ゴム組成物に用いられるジエン系ゴム成分としては、例えば、天然ゴム(NR)、各種ブタジエンゴム(BR)、各種スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ポリイソプレンゴム(IR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム(NBR)、クロロプレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム、スチレン−イソプレン共重合体ゴム、スチレン−イソプレン−ブタジエン共重合体ゴム、イソプレン−ブタジエン共重合体ゴム等が挙げられる。当該ジエン系ゴムは、本発明のタイヤトレッドゴムとして使用する場合には、その低転動抵抗と耐摩耗性、低温性能を両立させて向上させるために、ガラス転移温度(Tg)が平均値で−55℃以下のものを使用することが好ましい。
【0010】
本発明のタイヤ用ゴム組成物に用いられる熱膨張性マイクロカプセルは、熱により気化して気体を発生する液体を熱可塑性樹脂に内包した熱膨張性熱可塑性樹脂粒子を、その膨張開始温度以上の温度で加熱して膨張させて、その熱可塑性樹脂からなる外殻中に気体を封じ込めたもので、その気体封入熱可塑性樹脂粒子の真比重が0.1以下でかつ粒径が5〜300μmであるものが好ましく用いられる。このような熱膨張性熱可塑性樹脂粒子(未膨張粒子)としては、スェーデンのエクスパンセル社製の商品名「EXPANCEL091DU−80」または「EXPANCEL092DU−120」等として、あるいは、松本油脂製の商品名「マツモトマイクロスフェアーF−85D」または「マツモトマイクロスフェアーF−100D」等として入手可能である。
【0011】
前記気体封入熱可塑性樹脂の外殻成分を構成する熱可塑性樹脂としては、(メタ)アクリロニトリルの重合体または(メタ)アクリロニトリル含有量の高い重合体が好適に用いられる。その共重合体の場合の相手側モノマー(コモノマー)としては、ハロゲン化ビニル、ハロゲン化ビニリデン、スチレン系モノマー、(メタ)アクリレート系モノマー、酢酸ビニル、ブタジエン、ビニルピリジン、クロロプレン等のモノマーが用いられる。なお、上記の熱可塑性樹脂は、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、トリアクリルホルマール、トリアリルイソシアネート等の架橋剤で架橋可能にされていてもよい。架橋形態については未架橋が好ましいが、熱可塑性樹脂としての性質を損なわない程度に架橋していてもかまわない。
【0012】
また、前記熱により気化して気体を発生する液体としては、例えば、n−ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、ブタン、イソブタン、ヘキサン、石油エーテルの如き炭化水素類、塩化メチル、塩化メチレン、ジクロロエチレン、トリクロロエタン、トリクロルエチレンの如き塩素化炭化水素のような液体等が挙げられる。
【0013】
本発明のゴム組成物に配合される前記熱膨脹性マイクロカプセルの配合量は、ジエン系ゴム100重量部に対して、1〜20重量部、より好ましくは5〜10重量部、とするのが好ましい。このスクロース量が1重量部未満であると、所期の効果を発揮できず、また20重量部を超えると、耐摩耗性の低下が起こるので好ましくない。
【0014】
本発明のタイヤ用ゴム組成物に用いられる膨張黒鉛は、層間に熱により気化する物質を内包する粒子サイズ30〜600μm、好ましくは100〜300μmの粉体粒子であり、加硫時の熱によって膨張して黒鉛膨張体となるものである。膨張黒鉛は、炭素原子から形成されたシートが層状となった構造をしており、その層間物質の気化によって膨張させることができる。材質が硬いために混合による品質低下が起こりにくく、また一定温度で不可逆的に膨張するため、ゴムマトリクス内部に空間を伴う異物を容易に形成させることができる。このようなゴム組成を用いたタイヤのトレッド部は、摩耗時に表面凹凸が適度に形成されて表面上の水膜を効率よく除去することによって氷上摩擦力の向上をもたらす。また、膨張黒鉛は、炭素原子からなる骨格構造を有しているためにゴムマトリクスやカーボンブラックとの親和性が良好であり、ゴムに配合添加しても加硫ゴムの耐摩耗性を低下させないという利点もある。
【0015】
当該膨張黒鉛は、従来から公知のものを使用することができる。例えば、天然の鱗片状グラファイト、熱分解グラファイト、キッシュグラファイト等を無機酸である濃硫酸または硝酸等と強酸化剤である濃硝酸、過塩素酸塩、過マンガン酸塩または重クロム酸塩等で処理してグラファイト層間化合物を生成させた炭素の層状構造を維持したままの結晶質化合物を挙げることができる。更に、酸処理した膨張黒鉛を塩基性化合物で中和したものを使用することが好ましい。ここで、塩基性化合物としては、例えばアンモニア、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物または脂肪族低級アミン等を挙げることができる。この脂肪族低級アミンとしては、アルキルアミン類、例えばモノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン等を挙げることができる。アルカリ金属化合物またはアルカリ土類化合物としては、例えばカリウム、ナトリウム、カルシウム、バリウムまたはマグネシウム等の水酸化物、酸化物(複酸化物および錯酸化物を含む)、炭酸塩、炭酸水素塩(重炭酸塩)または有機酸塩を挙げることができ、有機酸塩としては、例えばギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩、シュー酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩またはクエン酸塩を挙げることができる。
【0016】
本発明のゴム組成物に配合される前記膨脹黒鉛の配合量は、ジエン系ゴム100重量部に対して、1〜20重量部、より好ましくは5〜15重量部、とするのが好ましい。この膨張黒鉛量が1重量部未満であると、所期の効果が発揮できず、また20重量部を超えると、ゴム加硫物の機械強度の低下が起こるので好ましくない。
【0017】
本発明のタイヤ用ゴム組成物に用いられる化学発泡剤成分を5〜60重量%含有するオレフィン成分を主成分とした樹脂(発泡剤含有樹脂)は、ジエン系ゴムに配合し加硫することによって、ゴムの加硫後の硬度を大きく低下させることなく、ゴム内部にマイクロカプセル状の樹脂被覆気泡を形成させ、摩耗後のゴム表面に出現する表面凹凸によるゴム/氷間のミクロな水膜除去と、気泡と共に表面に露出した樹脂成分による氷表面への引掻き効果を同時に得ることによって、ゴム/氷間の摩擦力を大きく向上させることができるものである。ポリオレフィン樹脂によって予め被覆された発泡剤を配合するため、発泡剤の分解温度以上であれば、樹脂の軟化点に関係なく加工温度を選ぶことができ、気泡周囲の樹脂による被覆層は効率よく確実に形成される。また、ポリオレフィン樹脂がジエン系ゴムと共架橋性を有しないために、樹脂層が高温の加工時または加硫時にゴム相に不必要に拡散することがなく、ゴム相と樹脂部分が明確に分離したマイクロカプセル状の樹脂被覆気泡が得られるのが特徴である。更に、樹脂被覆によって気密性に改善された気泡では、加硫時のモールド接触面におけるガス抜けが起こりにくく、その結果、加硫ゴムは、表層部から中心部までマイクロカプセル状気泡がより均一に分散した性状となる。このようなゴム組成物を用いた氷雪路面用タイヤでは、使用初期から高い氷上摩擦力が発揮できるという特徴を持つ。
【0018】
本発明において用いられる発泡剤含有樹脂を構成する樹脂成分は、ジエン系ゴムと共架橋性を有しないものでなければならず、具体的には、ポリオレフィン系樹脂を主成分としたものが用いられる。なお、ここで主成分とは、ポリオレフィン系樹脂が全樹脂成分の75重量%以上、好ましくは85重量%以上のものをいい、他の成分としては、例えば、オレフィンモノマーの未反応残基、重合開始剤や触媒等の残渣、加工助剤、ポリオレフィン系樹脂以外のポリマー状樹脂成分等が挙げられる。この樹脂成分は、ジエン系ゴムとの共架橋を防ぐため、分子の主鎖中に二重結合が残っていないものが好ましい。ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリブチレン−1等の中から選ばれる少なくとも一種を用いることができ、これらの混合物や共重合体も使用することができる。
【0019】
本発明に用いられる発泡剤含有樹脂中の化学発泡剤の含有率は、5〜65重量%、好ましくは15〜50重量%である。この配合量が少な過ぎると、空隙の形成効果が不充分となる恐れがあり、逆に多過ぎると、形成される殻の厚みが薄くなり、マイクロカプセルとしての引掻き効果が不充分になる恐れがある。
【0020】
本発明で用いられる化学発泡剤の分解温度は、120〜180℃、好ましくは140〜160℃であるのが好ましい。この温度が低すぎると、混合、押出加工中に充分な大きさの樹脂被覆気泡を形成させることができない。なお、この分解温度が高過ぎる場合には、尿素等の発泡助剤との併用によって分解温度を120〜180℃に調整することもできる。発泡助剤は、例えば、永和化成工業社の「セルペースト」として入手可能である。
【0021】
本発明に用いられる発泡剤含有樹脂の化学発泡剤成分は、アゾ化合物、ニトロソ化合物、ヒドラジン誘導体、アゾ化合物、重炭酸塩の中から選ばれる少なくとも一種を用いることができ、具体的には、アゾジカルボンアミド(ADCA)、N,N′−ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)、4,4′−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)(OBSH)、ヒドラゾジカルボンアミド(HDCA)、バリウムアゾジカルボキシレート(Ba/AC)、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)等が挙げられ、これらは、永和化成工業社の「ビニルホール」(ADCA)、「セルラー」(DPT)、「ネオセルボン」(OBSH)、「エクセラー」(DPT/ADCA)、「スパンセル」(ADCA/OBSH)、「セルボン」(NaHCO3)等が市販されている。
【0022】
当該発泡剤含有樹脂の粒子径は、10〜200μmであるのが好ましい。これより小さいと、ゴム表面に充分な大きさの凹凸が形成できず、大き過ぎると、ゴムの機械的強度の低下が著しくなってしまう。このような発泡剤含有樹脂としては、例えば、永和化成工業社から「セルパウダー」として市販されている。また、加硫ゴム組成物内に形成されるマイクロカプセル状気泡は球形であるが、原料段階での発泡剤含有樹脂の形状は球形である必要はない。
【0023】
本発明のゴム組成物に配合される前記発泡剤含有樹脂の配合量は、ジエン系ゴム100重量部に対して、1〜20重量部、より好ましくは4〜8重量化合物とするのが好ましい。この発泡剤含有樹脂の配合量が1重量部未満であると、初期の効果を発揮できず、また20重量部を超えると、耐摩擦性の低下が起こるので好ましくない。
【0024】
本発明のタイヤ用ゴム組成物には、更に、ゴム補強剤として通常用いられるカーボンブラックが配合される。当該カーボンブラックとしては、窒素吸着比表面積(N2SA)が70m2/g以上、好ましくは80〜200m2/gで、ジブチルフタレート吸油量(DBP)が105mL/100g以上、好ましくは110〜150mL/100gのものが好ましく使用される。また、シリカで表面処理されたカーボンブラックも使用可能である。更に、シリカも使用することができる。当該カーボンブラックの配合量としては、ゴム成分100重量部に対し、20〜80重量部、好ましくは30〜60重量部で使用される。この配合量が少な過ぎるとゴムを充分に補強できないため、例えば耐摩耗性が悪化して好ましくなく、逆に多過ぎると硬度が高くなり過ぎたり、加工性が低下したりするので好ましくない。また、沈降性シリカはゴム成分100重量部に対し0〜50重量部配合される。シリカは使用されなくてもよく、使用する場合は、tanδのバランスが改良される範囲で用いるのがよく、これが多過ぎると電気伝導度が低下し、また補強剤の凝集力が強くなり、混練中の分散が不充分となるので好ましくない。
【0025】
本発明に係るタイヤ用ゴム組成物には、更に、通常の加硫または架橋剤、加硫または架橋促進剤、各種オイル、老化防止剤、充填材、可塑剤、その他タイヤゴム用に一般的に配合されている各種添加剤を配合することができ、かかる配合物は、一般的な方法で混練、加硫してゴム組成物とし、加硫または架橋することができる。これら添加剤の配合量も、本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。
【0026】
【実施例】
以下、実施例および比較例によって本発明を更に説明するが、本発明の範囲をこれらの実施例に限定するものでないことは言うまでもない。
【0027】
サンプルの調製
表1に示す配合(重量部)に従って、1.7Lの密閉式バンバリーミキサーを用いて、ゴム、カーボンブラック等の配合剤を5分間混合し、ゴムを混合機外に放出して室温まで冷却した後、同バンバリーミキサーにて、加硫促進剤、硫黄、マイクロカプセル、膨張黒鉛、発泡剤含有樹脂、スクロースを配合、混合した。
【0028】
試験方法
各コンパウンドを加硫したシート状ゴム片を扁平円柱状の台ゴムに貼りつけ、インサイドドラム型氷上摩擦試験機にて氷上摩擦係数を測定した。測定条件は、測定温度:−3.0℃および−1.5℃、荷重:5.5kg/cm3、ドラム回転速度:25km/時間であった。
【0029】
実施例1〜3および比較例1〜3
結果を、表1に示す。数値が大きい程、氷上摩擦力が高いことを示す。
【表1】
【0030】
【発明の効果】
表1によれば、本発明により所定の膨脹性粒子に所定量のスクロースを併用することによって、加硫ゴムの氷上摩擦力が著しく改善されることが判る。
【発明の属する技術分野】
本発明は、タイヤ用ゴム組成物に関し、更に詳細には、氷上性能を改善させたタイヤ用、特にタイヤトレッドに好適なタイヤ用ゴム組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
先行技術として、ゴムの氷上摩擦力を改善するために、ゴムに熱膨張性マイクロカプセル、膨張黒鉛または発泡剤含有樹脂等を配合することが既に提案されている(特開平10−316801号公報、特開2002−206037号公報)。しかしながら、これら従来技術では、その混練、加工時に膨張粒子の一部が潰れたり、あるいは架橋ゴムの硬さのために充分なる膨張が得られずに一部に未膨張のもの、または膨張が抑圧されたものが残存し、その結果、ゴムの氷上摩擦力に更なる改善の余地が残されていた。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−316801号公報
【特許文献2】
特開2002−206037号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明では、タイヤ用ゴム組成物に熱膨張性マイクロカプセル、膨張黒鉛または発泡剤含有樹脂等を配合、膨張させるに当たり、更に特定の膨張補助剤を配合することによって、上記の問題を解消することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、ジエン系ゴム100重量部に対し、熱膨張性マイクロカプセル、膨張黒鉛または化学発泡剤成分を5〜60重量%含有するオレフィン成分を主成分とする樹脂(発泡剤含有樹脂)を1〜20重量部、およびスクロースを1〜20重量部配合してなるタイヤ用ゴム組成物が提供される。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明では、ジエン系ゴムに、所定量の熱膨張性マイクロカプセル、膨張黒鉛または発泡剤含有樹脂とスクロースとを配合したタイヤ用ゴム組成物とすると、その混練時にはスクロースは固体のままゴム中に均一に分散し、その加熱膨張時にはスクロースが膨張補助剤として機能し、当該膨張性粒子が溶融したスクロースのドメイン部分で極めて良好に膨張するという事実を見出したことに基づくものである。
【0007】
当該スクロース(サッカロース、蔗糖、砂糖)は、融点約160℃の天然二糖類であり、上記の配合によって、ゴム中での熱膨張性マイクロカプセル、膨張黒鉛または発泡剤含有樹脂の膨脹性が改善され、結果としてゴム表面でのミクロ排水効果が高まることによって所期の氷上摩擦力が改善される。当該スクロースの膨張補助剤として重要な点は、その融点がゴム組成物の混合温度以上で、かつ加硫温度に近いこと、そしてその使用が低価格であるということである。
【0008】
本発明のゴム組成物に配合される前記スクロースの配合量は、ジエン系ゴム100重量部に対して、1〜20重量部、より好ましくは5〜10重量部とするのが好ましい。このスクロース量が1重量部未満であると、所期の効果を発揮できず、また20重量部を超えると、耐摩耗性の低下が大きくなるので好ましくない。
【0009】
本発明のタイヤ用ゴム組成物に用いられるジエン系ゴム成分としては、例えば、天然ゴム(NR)、各種ブタジエンゴム(BR)、各種スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ポリイソプレンゴム(IR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム(NBR)、クロロプレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム、スチレン−イソプレン共重合体ゴム、スチレン−イソプレン−ブタジエン共重合体ゴム、イソプレン−ブタジエン共重合体ゴム等が挙げられる。当該ジエン系ゴムは、本発明のタイヤトレッドゴムとして使用する場合には、その低転動抵抗と耐摩耗性、低温性能を両立させて向上させるために、ガラス転移温度(Tg)が平均値で−55℃以下のものを使用することが好ましい。
【0010】
本発明のタイヤ用ゴム組成物に用いられる熱膨張性マイクロカプセルは、熱により気化して気体を発生する液体を熱可塑性樹脂に内包した熱膨張性熱可塑性樹脂粒子を、その膨張開始温度以上の温度で加熱して膨張させて、その熱可塑性樹脂からなる外殻中に気体を封じ込めたもので、その気体封入熱可塑性樹脂粒子の真比重が0.1以下でかつ粒径が5〜300μmであるものが好ましく用いられる。このような熱膨張性熱可塑性樹脂粒子(未膨張粒子)としては、スェーデンのエクスパンセル社製の商品名「EXPANCEL091DU−80」または「EXPANCEL092DU−120」等として、あるいは、松本油脂製の商品名「マツモトマイクロスフェアーF−85D」または「マツモトマイクロスフェアーF−100D」等として入手可能である。
【0011】
前記気体封入熱可塑性樹脂の外殻成分を構成する熱可塑性樹脂としては、(メタ)アクリロニトリルの重合体または(メタ)アクリロニトリル含有量の高い重合体が好適に用いられる。その共重合体の場合の相手側モノマー(コモノマー)としては、ハロゲン化ビニル、ハロゲン化ビニリデン、スチレン系モノマー、(メタ)アクリレート系モノマー、酢酸ビニル、ブタジエン、ビニルピリジン、クロロプレン等のモノマーが用いられる。なお、上記の熱可塑性樹脂は、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、トリアクリルホルマール、トリアリルイソシアネート等の架橋剤で架橋可能にされていてもよい。架橋形態については未架橋が好ましいが、熱可塑性樹脂としての性質を損なわない程度に架橋していてもかまわない。
【0012】
また、前記熱により気化して気体を発生する液体としては、例えば、n−ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、ブタン、イソブタン、ヘキサン、石油エーテルの如き炭化水素類、塩化メチル、塩化メチレン、ジクロロエチレン、トリクロロエタン、トリクロルエチレンの如き塩素化炭化水素のような液体等が挙げられる。
【0013】
本発明のゴム組成物に配合される前記熱膨脹性マイクロカプセルの配合量は、ジエン系ゴム100重量部に対して、1〜20重量部、より好ましくは5〜10重量部、とするのが好ましい。このスクロース量が1重量部未満であると、所期の効果を発揮できず、また20重量部を超えると、耐摩耗性の低下が起こるので好ましくない。
【0014】
本発明のタイヤ用ゴム組成物に用いられる膨張黒鉛は、層間に熱により気化する物質を内包する粒子サイズ30〜600μm、好ましくは100〜300μmの粉体粒子であり、加硫時の熱によって膨張して黒鉛膨張体となるものである。膨張黒鉛は、炭素原子から形成されたシートが層状となった構造をしており、その層間物質の気化によって膨張させることができる。材質が硬いために混合による品質低下が起こりにくく、また一定温度で不可逆的に膨張するため、ゴムマトリクス内部に空間を伴う異物を容易に形成させることができる。このようなゴム組成を用いたタイヤのトレッド部は、摩耗時に表面凹凸が適度に形成されて表面上の水膜を効率よく除去することによって氷上摩擦力の向上をもたらす。また、膨張黒鉛は、炭素原子からなる骨格構造を有しているためにゴムマトリクスやカーボンブラックとの親和性が良好であり、ゴムに配合添加しても加硫ゴムの耐摩耗性を低下させないという利点もある。
【0015】
当該膨張黒鉛は、従来から公知のものを使用することができる。例えば、天然の鱗片状グラファイト、熱分解グラファイト、キッシュグラファイト等を無機酸である濃硫酸または硝酸等と強酸化剤である濃硝酸、過塩素酸塩、過マンガン酸塩または重クロム酸塩等で処理してグラファイト層間化合物を生成させた炭素の層状構造を維持したままの結晶質化合物を挙げることができる。更に、酸処理した膨張黒鉛を塩基性化合物で中和したものを使用することが好ましい。ここで、塩基性化合物としては、例えばアンモニア、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物または脂肪族低級アミン等を挙げることができる。この脂肪族低級アミンとしては、アルキルアミン類、例えばモノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン等を挙げることができる。アルカリ金属化合物またはアルカリ土類化合物としては、例えばカリウム、ナトリウム、カルシウム、バリウムまたはマグネシウム等の水酸化物、酸化物(複酸化物および錯酸化物を含む)、炭酸塩、炭酸水素塩(重炭酸塩)または有機酸塩を挙げることができ、有機酸塩としては、例えばギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩、シュー酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩またはクエン酸塩を挙げることができる。
【0016】
本発明のゴム組成物に配合される前記膨脹黒鉛の配合量は、ジエン系ゴム100重量部に対して、1〜20重量部、より好ましくは5〜15重量部、とするのが好ましい。この膨張黒鉛量が1重量部未満であると、所期の効果が発揮できず、また20重量部を超えると、ゴム加硫物の機械強度の低下が起こるので好ましくない。
【0017】
本発明のタイヤ用ゴム組成物に用いられる化学発泡剤成分を5〜60重量%含有するオレフィン成分を主成分とした樹脂(発泡剤含有樹脂)は、ジエン系ゴムに配合し加硫することによって、ゴムの加硫後の硬度を大きく低下させることなく、ゴム内部にマイクロカプセル状の樹脂被覆気泡を形成させ、摩耗後のゴム表面に出現する表面凹凸によるゴム/氷間のミクロな水膜除去と、気泡と共に表面に露出した樹脂成分による氷表面への引掻き効果を同時に得ることによって、ゴム/氷間の摩擦力を大きく向上させることができるものである。ポリオレフィン樹脂によって予め被覆された発泡剤を配合するため、発泡剤の分解温度以上であれば、樹脂の軟化点に関係なく加工温度を選ぶことができ、気泡周囲の樹脂による被覆層は効率よく確実に形成される。また、ポリオレフィン樹脂がジエン系ゴムと共架橋性を有しないために、樹脂層が高温の加工時または加硫時にゴム相に不必要に拡散することがなく、ゴム相と樹脂部分が明確に分離したマイクロカプセル状の樹脂被覆気泡が得られるのが特徴である。更に、樹脂被覆によって気密性に改善された気泡では、加硫時のモールド接触面におけるガス抜けが起こりにくく、その結果、加硫ゴムは、表層部から中心部までマイクロカプセル状気泡がより均一に分散した性状となる。このようなゴム組成物を用いた氷雪路面用タイヤでは、使用初期から高い氷上摩擦力が発揮できるという特徴を持つ。
【0018】
本発明において用いられる発泡剤含有樹脂を構成する樹脂成分は、ジエン系ゴムと共架橋性を有しないものでなければならず、具体的には、ポリオレフィン系樹脂を主成分としたものが用いられる。なお、ここで主成分とは、ポリオレフィン系樹脂が全樹脂成分の75重量%以上、好ましくは85重量%以上のものをいい、他の成分としては、例えば、オレフィンモノマーの未反応残基、重合開始剤や触媒等の残渣、加工助剤、ポリオレフィン系樹脂以外のポリマー状樹脂成分等が挙げられる。この樹脂成分は、ジエン系ゴムとの共架橋を防ぐため、分子の主鎖中に二重結合が残っていないものが好ましい。ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリブチレン−1等の中から選ばれる少なくとも一種を用いることができ、これらの混合物や共重合体も使用することができる。
【0019】
本発明に用いられる発泡剤含有樹脂中の化学発泡剤の含有率は、5〜65重量%、好ましくは15〜50重量%である。この配合量が少な過ぎると、空隙の形成効果が不充分となる恐れがあり、逆に多過ぎると、形成される殻の厚みが薄くなり、マイクロカプセルとしての引掻き効果が不充分になる恐れがある。
【0020】
本発明で用いられる化学発泡剤の分解温度は、120〜180℃、好ましくは140〜160℃であるのが好ましい。この温度が低すぎると、混合、押出加工中に充分な大きさの樹脂被覆気泡を形成させることができない。なお、この分解温度が高過ぎる場合には、尿素等の発泡助剤との併用によって分解温度を120〜180℃に調整することもできる。発泡助剤は、例えば、永和化成工業社の「セルペースト」として入手可能である。
【0021】
本発明に用いられる発泡剤含有樹脂の化学発泡剤成分は、アゾ化合物、ニトロソ化合物、ヒドラジン誘導体、アゾ化合物、重炭酸塩の中から選ばれる少なくとも一種を用いることができ、具体的には、アゾジカルボンアミド(ADCA)、N,N′−ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)、4,4′−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)(OBSH)、ヒドラゾジカルボンアミド(HDCA)、バリウムアゾジカルボキシレート(Ba/AC)、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)等が挙げられ、これらは、永和化成工業社の「ビニルホール」(ADCA)、「セルラー」(DPT)、「ネオセルボン」(OBSH)、「エクセラー」(DPT/ADCA)、「スパンセル」(ADCA/OBSH)、「セルボン」(NaHCO3)等が市販されている。
【0022】
当該発泡剤含有樹脂の粒子径は、10〜200μmであるのが好ましい。これより小さいと、ゴム表面に充分な大きさの凹凸が形成できず、大き過ぎると、ゴムの機械的強度の低下が著しくなってしまう。このような発泡剤含有樹脂としては、例えば、永和化成工業社から「セルパウダー」として市販されている。また、加硫ゴム組成物内に形成されるマイクロカプセル状気泡は球形であるが、原料段階での発泡剤含有樹脂の形状は球形である必要はない。
【0023】
本発明のゴム組成物に配合される前記発泡剤含有樹脂の配合量は、ジエン系ゴム100重量部に対して、1〜20重量部、より好ましくは4〜8重量化合物とするのが好ましい。この発泡剤含有樹脂の配合量が1重量部未満であると、初期の効果を発揮できず、また20重量部を超えると、耐摩擦性の低下が起こるので好ましくない。
【0024】
本発明のタイヤ用ゴム組成物には、更に、ゴム補強剤として通常用いられるカーボンブラックが配合される。当該カーボンブラックとしては、窒素吸着比表面積(N2SA)が70m2/g以上、好ましくは80〜200m2/gで、ジブチルフタレート吸油量(DBP)が105mL/100g以上、好ましくは110〜150mL/100gのものが好ましく使用される。また、シリカで表面処理されたカーボンブラックも使用可能である。更に、シリカも使用することができる。当該カーボンブラックの配合量としては、ゴム成分100重量部に対し、20〜80重量部、好ましくは30〜60重量部で使用される。この配合量が少な過ぎるとゴムを充分に補強できないため、例えば耐摩耗性が悪化して好ましくなく、逆に多過ぎると硬度が高くなり過ぎたり、加工性が低下したりするので好ましくない。また、沈降性シリカはゴム成分100重量部に対し0〜50重量部配合される。シリカは使用されなくてもよく、使用する場合は、tanδのバランスが改良される範囲で用いるのがよく、これが多過ぎると電気伝導度が低下し、また補強剤の凝集力が強くなり、混練中の分散が不充分となるので好ましくない。
【0025】
本発明に係るタイヤ用ゴム組成物には、更に、通常の加硫または架橋剤、加硫または架橋促進剤、各種オイル、老化防止剤、充填材、可塑剤、その他タイヤゴム用に一般的に配合されている各種添加剤を配合することができ、かかる配合物は、一般的な方法で混練、加硫してゴム組成物とし、加硫または架橋することができる。これら添加剤の配合量も、本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。
【0026】
【実施例】
以下、実施例および比較例によって本発明を更に説明するが、本発明の範囲をこれらの実施例に限定するものでないことは言うまでもない。
【0027】
サンプルの調製
表1に示す配合(重量部)に従って、1.7Lの密閉式バンバリーミキサーを用いて、ゴム、カーボンブラック等の配合剤を5分間混合し、ゴムを混合機外に放出して室温まで冷却した後、同バンバリーミキサーにて、加硫促進剤、硫黄、マイクロカプセル、膨張黒鉛、発泡剤含有樹脂、スクロースを配合、混合した。
【0028】
試験方法
各コンパウンドを加硫したシート状ゴム片を扁平円柱状の台ゴムに貼りつけ、インサイドドラム型氷上摩擦試験機にて氷上摩擦係数を測定した。測定条件は、測定温度:−3.0℃および−1.5℃、荷重:5.5kg/cm3、ドラム回転速度:25km/時間であった。
【0029】
実施例1〜3および比較例1〜3
結果を、表1に示す。数値が大きい程、氷上摩擦力が高いことを示す。
【表1】
【0030】
【発明の効果】
表1によれば、本発明により所定の膨脹性粒子に所定量のスクロースを併用することによって、加硫ゴムの氷上摩擦力が著しく改善されることが判る。
Claims (4)
- ジエン系ゴム100重量部に対し、熱膨張性マイクロカプセルを1〜20重量部、およびスクロースを1〜20重量部配合してなるタイヤ用ゴム組成物。
- ジエン系ゴム100重量部に対し、膨張黒鉛を1〜20重量部、およびスクロースを1〜20重量部配合してなるタイヤ用ゴム組成物。
- ジエン系ゴム100重量部に対し、化学発泡剤成分を5〜60重量%含有するオレフィン成分を主成分とする樹脂を1〜20重量部、およびスクロースを1〜20重量部配合してなるタイヤ用ゴム組成物。
- 前記ジエン系ゴムのガラス転移温度の平均値が−55℃以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のタイヤ用ゴム組成物。
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JP2002381713A JP2004210934A (ja) | 2002-12-27 | 2002-12-27 | タイヤ用ゴム組成物 |
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Cited By (4)
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CN105694140A (zh) * | 2016-03-28 | 2016-06-22 | 山东玲珑轮胎股份有限公司 | 低voc含量胎面胶料及其制法和应用 |
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2002
- 2002-12-27 JP JP2002381713A patent/JP2004210934A/ja active Pending
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