JPWO2019022239A1 - 画像形成方法、画像形成物及びインクジェットインク - Google Patents
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Abstract
本発明の画像形成方法は、インクジェットインクを基材上に付与して、金属光沢層を形成する工程と、前記金属光沢層上に接し、且つ樹脂を含む保護層を形成する工程とを含む画像形成方法であって、前記インクジェットインクは、金属ナノ粒子と、前記金属ナノ粒子の表面に吸着した高分子分散剤と、水分散性樹脂と、水を含む溶媒とを含み、前記金属ナノ粒子の含有量をM1(質量%)、前記高分子分散剤の含有量をM2(質量%)、前記水分散性樹脂の含有量をM3(質量%)としたとき、式(1):1.5≦M1/(M2+M3)≦20の関係を満たす。
Description
本発明は、画像形成方法、画像形成物及びインクジェットインクに関する。
近年、金属光沢色は、高級感、高意匠性、強いアイキャッチ効果等をもたらすことから、例えばラベルやパッケージ、広告印刷物、写真等の記録物において、金属光沢色を呈する画像が形成されることがある。中でも、光輝性が高く、高精細な金属光沢色を呈する画像を、デジタル印刷方式、特にインクジェット印刷方式で形成できることが望まれている。
インクジェット印刷方式による金属光沢画像の形成には、金属光沢顔料として、アルミニウム粒子や金粒子、銀粒子等の金属粒子を含むインクが用いられている。例えば、特許文献1には、水又は水溶性有機溶媒中に、金や銀等の金属ナノ粒子を含む金属コロイドを分散させたインク組成物が開示されている。このインク組成物は、高分子分散剤や水溶性アクリル樹脂等の結着樹脂をさらに含みうるとされている。
ところで、特許文献1に示されるような、金属ナノ粒子を含む金属コロイドを含むインク組成物で形成された金属光沢画像(以下、「金属光沢層」という)は、特に金属ナノ粒子が銀粒子を含む場合、初期の光輝性は高いものの、大気中の硫黄等により硫化されやすく、経時で光輝性が低下することがある。このような経時的な光輝性の低下を防止するために、金属光沢層上に、保護層をラミネートや塗布により付与して、金属光沢層を保護することが考えられる。
しかしながら、金属光沢層上に保護層を付与した場合、経時的な光輝性の低下は抑制できるものの、保護層を付与していない金属光沢層のみの場合と比較して、金属光沢感(色味)が変化又は劣化しやすいという問題があった。金属光沢感(色味)の変化又は劣化は、特に、高分子分散剤で分散させた銀ナノ粒子を含むインクで形成された金属光沢層において顕著であった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、金属光沢層の表面に保護層を付与することによる金属光沢感(色味)の変化又は劣化を抑制しうる画像形成方法、画像形成物及びインクジェットインクを提供することを目的とする。
[1] 基材上にインクジェットインクを付与して、金属光沢層を形成する工程と、前記金属光沢層上に接し、且つ樹脂を含む保護層を形成する工程とを含む画像形成方法であって、前記インクジェットインクは、金属ナノ粒子と、前記金属ナノ粒子の表面に吸着した高分子分散剤と、水分散性樹脂と、水を含む溶媒とを含み、前記金属ナノ粒子の含有量をM1(質量%)、前記高分子分散剤の含有量をM2(質量%)、前記水分散性樹脂の含有量をM3(質量%)としたとき、下記式(1)の関係を満たす、画像形成方法。
式(1):1.5≦M1/(M2+M3)≦20
[2] 前記高分子分散剤の酸価は、5mgKOH/g以上200mgKOH/g以下である、[1]に記載の画像形成方法。
[3] 前記高分子分散剤は、主鎖と、前記主鎖と結合した複数の側鎖とを含むくし型ポリマーであって、前記主鎖及び/又は前記複数の側鎖の少なくとも一部が、前記金属ナノ粒子の表面に吸着するための吸着基を含み、前記複数の側鎖の少なくとも一部が、溶媒和部分を構成する基を含む、[1]又は[2]に記載の画像形成方法。
[4] 前記高分子分散剤は、(メタ)アクリル酸由来の構造単位、(メタ)アクリル酸誘導体由来の構造単位、マレイン酸由来の構造単位、及びマレイン酸誘導体由来の構造単位からなる群より選ばれる一以上を含む、[3]に記載の画像形成方法。
[5] 前記水分散性樹脂は、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、及び酢酸ビニル系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、[1]〜[4]のいずれかに記載の画像形成方法。
[6] 前記金属ナノ粒子は、銀ナノ粒子である、[1]〜[5]のいずれかに記載の画像形成方法。
[7] 前記高分子分散剤の含有量M2(質量%)と、前記水分散性樹脂の含有量M3(質量%)との比M2/M3は、下記式(2)の関係を満たす、[1]〜[6]のいずれかに記載の画像形成方法。
式(2):0.05≦M2/M3≦3.0
[8] 前記保護層に含まれる樹脂は、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、及び塩化ビニル系樹脂からなる群より選ばれる、[1]〜[7]のいずれかに記載の画像形成方法。
[9] 前記保護層の厚みは、1μm以上20μm以下である、[1]〜[8]のいずれかに記載の画像形成方法。
[10] 前記保護層は、液状の樹脂組成物を付与した後、乾燥させて形成されるか、又はフィルム状の樹脂組成物を熱圧着して形成される、[1]〜[9]のいずれかに記載の画像形成方法。
[11] 基材と、前記基材上に設けられた金属光沢層と、前記金属光沢層上に、それと接するように設けられた保護層とを有する画像形成物であって、前記金属光沢層は、金属ナノ粒子と、高分子分散剤と、水分散性樹脂とを含み、前記金属ナノ粒子の含有量をM1(質量%)、前記高分子分散剤の含有量をM2(質量%)、前記水分散性樹脂の含有量をM3(質量%)としたとき、下記式(1)の関係を満たす、画像形成物。
式(1):1.5≦M1/(M2+M3)≦20
[12] 金属ナノ粒子と、前記金属ナノ粒子の表面に吸着した高分子分散剤と、水分散性樹脂と、水を含む溶媒とを含み、前記金属ナノ粒子の含有量をM1(質量%)、前記高分子分散剤の含有量をM2(質量%)、前記水分散性樹脂の含有量をM3(質量%)としたとき、下記式(1)の関係を満たす、インクジェットインク。
式(1):1.5≦M1/(M2+M3)≦20
式(1):1.5≦M1/(M2+M3)≦20
[2] 前記高分子分散剤の酸価は、5mgKOH/g以上200mgKOH/g以下である、[1]に記載の画像形成方法。
[3] 前記高分子分散剤は、主鎖と、前記主鎖と結合した複数の側鎖とを含むくし型ポリマーであって、前記主鎖及び/又は前記複数の側鎖の少なくとも一部が、前記金属ナノ粒子の表面に吸着するための吸着基を含み、前記複数の側鎖の少なくとも一部が、溶媒和部分を構成する基を含む、[1]又は[2]に記載の画像形成方法。
[4] 前記高分子分散剤は、(メタ)アクリル酸由来の構造単位、(メタ)アクリル酸誘導体由来の構造単位、マレイン酸由来の構造単位、及びマレイン酸誘導体由来の構造単位からなる群より選ばれる一以上を含む、[3]に記載の画像形成方法。
[5] 前記水分散性樹脂は、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、及び酢酸ビニル系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、[1]〜[4]のいずれかに記載の画像形成方法。
[6] 前記金属ナノ粒子は、銀ナノ粒子である、[1]〜[5]のいずれかに記載の画像形成方法。
[7] 前記高分子分散剤の含有量M2(質量%)と、前記水分散性樹脂の含有量M3(質量%)との比M2/M3は、下記式(2)の関係を満たす、[1]〜[6]のいずれかに記載の画像形成方法。
式(2):0.05≦M2/M3≦3.0
[8] 前記保護層に含まれる樹脂は、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、及び塩化ビニル系樹脂からなる群より選ばれる、[1]〜[7]のいずれかに記載の画像形成方法。
[9] 前記保護層の厚みは、1μm以上20μm以下である、[1]〜[8]のいずれかに記載の画像形成方法。
[10] 前記保護層は、液状の樹脂組成物を付与した後、乾燥させて形成されるか、又はフィルム状の樹脂組成物を熱圧着して形成される、[1]〜[9]のいずれかに記載の画像形成方法。
[11] 基材と、前記基材上に設けられた金属光沢層と、前記金属光沢層上に、それと接するように設けられた保護層とを有する画像形成物であって、前記金属光沢層は、金属ナノ粒子と、高分子分散剤と、水分散性樹脂とを含み、前記金属ナノ粒子の含有量をM1(質量%)、前記高分子分散剤の含有量をM2(質量%)、前記水分散性樹脂の含有量をM3(質量%)としたとき、下記式(1)の関係を満たす、画像形成物。
式(1):1.5≦M1/(M2+M3)≦20
[12] 金属ナノ粒子と、前記金属ナノ粒子の表面に吸着した高分子分散剤と、水分散性樹脂と、水を含む溶媒とを含み、前記金属ナノ粒子の含有量をM1(質量%)、前記高分子分散剤の含有量をM2(質量%)、前記水分散性樹脂の含有量をM3(質量%)としたとき、下記式(1)の関係を満たす、インクジェットインク。
式(1):1.5≦M1/(M2+M3)≦20
本発明は、金属光沢層の表面に保護層を付与することによる金属光沢感(色味)の変化又は劣化を抑制しうる画像形成方法、画像形成物及びインクジェットインクを提供することができる。
前述の通り、高分子分散剤で分散された金属ナノ粒子(高分子分散剤が表面に吸着した金属ナノ粒子)を含む金属光沢層上に保護層を形成すると、金属光沢層の光沢感(特に色味)が変化又は劣化するという問題があった。このような現象が生じる理由は定かではないが、次のように推測される。
高分子分散剤が表面に吸着した金属ナノ粒子は、インク中での分散性に優れる。そのため、得られる金属光沢層においても、金属ナノ粒子同士の局所的な凝集が抑えられると考えられる。一方で、金属光沢層においても、金属ナノ粒子の表面に高分子分散剤が吸着しているため、金属ナノ粒子同士の融着が抑えられ、ナノ粒子の性質を完全には失っていない。このような金属光沢層上に、保護層を形成すると、保護層を形成する際の接触や加熱、押圧等により、金属光沢層中の金属ナノ粒子が乱されやすく(動きやすく)、保護層との間の界面が乱れやすい。それにより、金属光沢層と保護層との間に微小な隙間が形成され、金属ナノ粒子に特有のプラズモン由来の吸収や散乱により、金属光沢層に入射した光の反射光の強度は波長依存性が強くなり、所謂バルク銀やアルミ箔のようなシルバー調とは異なり、着色を呈し、変色や光輝感の低下を生じると考えられる。
これに対して本発明では、画像形成に用いるインクジェットインクにおいて、金属ナノ粒子と、高分子分散剤と、水分散性樹脂との含有比率を、特定の範囲、具体的には、金属ナノ粒子の含有量をM1(質量%)、高分子分散剤の含有量をM2(質量%)、水分散性樹脂の含有量をM3(質量%)としたとき、下記式(1)の関係を満たすように調整する。それにより、保護層を形成するときの接触、加熱、押圧等により、金属光沢層と保護層との間の界面の乱れを生じにくくすることができ、金属光沢層の光沢感(色味)の低下を抑制することができる。
式(1):1.5≦M1/(M2+M3)≦20
式(1):1.5≦M1/(M2+M3)≦20
つまり、M1/(M2+M3)が1.5以上であると、金属光沢層における金属ナノ粒子の含有比率を高めうるので、十分な反射率が得られやすい。M1/(M2+M3)が20以下であると、高分子分散剤や水分散性樹脂の含有比率が適度に多いので、基材との密着性が損なわれにくいだけでなく、金属ナノ粒子が高分子分散剤や水分散性樹脂によって十分に固定されるため、保護層の形成によって金属ナノ粒子が動きにくく、金属光沢層と保護層との間の界面の乱れを生じにくくしうると考えられる。
さらに、高分子分散剤としてくし型ブロック共重合体を用いることで、金属光沢層と保護層との間の界面が一層乱されにくくなり、金属光沢層の光沢感(特に色味)の変化を一層抑制することができる。これは、くし型ブロック共重合体の立体反発基が、保護層に含まれる樹脂と相互作用しやすいためであると考えられる。本発明は、これらの知見に基づいてなされたものである。
まず、本発明の画像形成方法に用いられるインクジェットインクについて説明する。
1.インクジェットインク
本発明のインクジェットインクは、金属ナノ粒子と、金属ナノ粒子の表面に吸着した高分子分散剤と、水分散性樹脂と、水を含む溶媒とを含む。
本発明のインクジェットインクは、金属ナノ粒子と、金属ナノ粒子の表面に吸着した高分子分散剤と、水分散性樹脂と、水を含む溶媒とを含む。
1−1.金属ナノ粒子
金属ナノ粒子は、ナノサイズの金属粒子である。金属ナノ粒子の主成分の例には、銀、金、銅、アルミニウム、白金、ニッケル、クロム、錫、亜鉛、インジウム、チタン、ビスマス等が含まれる。これらの金属は、合金、混合物又は酸化物であってもよい。主成分とは、例えば金属ナノ粒子を構成する全原子の合計に対して50原子%以上の成分をいう。これらの金属の中でも、高い光沢性と製造性の観点より、金、銀及びアルミニウムがより好ましく、安定性と色味の観点より、銀がさらに好ましい。即ち、金属ナノ粒子は、銀を主成分とする銀ナノ粒子であることが好ましい。
金属ナノ粒子は、ナノサイズの金属粒子である。金属ナノ粒子の主成分の例には、銀、金、銅、アルミニウム、白金、ニッケル、クロム、錫、亜鉛、インジウム、チタン、ビスマス等が含まれる。これらの金属は、合金、混合物又は酸化物であってもよい。主成分とは、例えば金属ナノ粒子を構成する全原子の合計に対して50原子%以上の成分をいう。これらの金属の中でも、高い光沢性と製造性の観点より、金、銀及びアルミニウムがより好ましく、安定性と色味の観点より、銀がさらに好ましい。即ち、金属ナノ粒子は、銀を主成分とする銀ナノ粒子であることが好ましい。
銀を含む合金の例には、銀マグネシウム、銀銅、銀パラジウム、銀パラジウム銅、銀インジウム、銀ビスマス等が含まれる。さらに、金属ナノ粒子は、不可避的に含まれる他の成分を微量に含んでいてもよいし、銀の酸化物を含有してもよい。金属ナノ粒子は市販品を用いてもよい。
金属ナノ粒子は、分散安定性を高めるためにクエン酸等でさらに表面処理されていてもよい。また、インクに含まれる金属ナノ粒子は、1種類であってもよいし、種類又は組成が異なる2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
金属ナノ粒子の平均粒子径は、特に限定されないが、金属光沢層を形成するためのインク中での分散安定性や金属光沢層の反射率を高めるのに十分な平滑性を得る観点から、3nm以上200nm以下であることが好ましく、15nm以上150nm以下であることがより好ましい。
金属ナノ粒子の平均粒子径は、例えば以下の手順で測定することができる。まず、ガラス基板上にインクを塗布した後、加熱せずに真空脱気して溶媒成分を揮発させて、試料を得る。得られた試料を、透過型電子顕微鏡(日本電子(株)製)により観察し、任意の300個の金属ナノ粒子の一次粒子の粒子径を測定する。得られた粒子径の平均値を、平均粒子径とする。
尚、本発明における金属ナノ粒子の平均粒子径とは、高分子分散剤を含む金属ナノ粒子自体の平均粒子径を意味する。金属ナノ粒子の平均粒子径は、例えば金属ナノ粒子分散液の調製時における還元剤の滴下時間等によって調整されうる。
1−2.高分子分散剤
高分子分散剤は、金属ナノ粒子の表面に吸着している。それにより、金属ナノ粒子を溶媒中で分散させやすくすると共に、高分子分散剤と水分散性樹脂とが相互作用することで、金属ナノ粒子と水分散性樹脂とを高分子分散剤を介して均一に混合させやすくすることができる。それにより、インクの保存安定性を高めることができる。
高分子分散剤は、金属ナノ粒子の表面に吸着している。それにより、金属ナノ粒子を溶媒中で分散させやすくすると共に、高分子分散剤と水分散性樹脂とが相互作用することで、金属ナノ粒子と水分散性樹脂とを高分子分散剤を介して均一に混合させやすくすることができる。それにより、インクの保存安定性を高めることができる。
高分子分散剤は、金属ナノ粒子の表面に吸着するための吸着基を有する。吸着基は、金属粒子の表面に対して強い吸着力を有する官能基をいい、その例には、第1〜3級アミノ基、第4級アンモニウム基、塩基性窒素原子を有する複素環基、ヒドロキシル基、カルボニル基、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基、チオール基等が含まれる。高分子分散剤は、これらの吸着基を有することにより、金属ナノ粒子の保護コロイドとして十分な性能を発揮することができる。中でも、高分子分散剤は、酸価を有していることが好ましい。酸価を有する高分子分散剤とは、吸着基又は官能基として、酸性基であるカルボキシル基やリン酸基、スルホン酸基等を有する高分子分散剤である。酸性基としては、カルボキシル基やリン酸基がより好ましく、カルボキシル基がさらに好ましい。
高分子分散剤が金属ナノ粒子の表面に吸着しているかどうかは、例えば高分子分散剤が吸着基を有し、且つ金属ナノ粒子の凝集が少なく、良好に分散しているかどうかによって判断することができる。
高分子分散剤を構成する樹脂は、親水性モノマーの単独重合体又は共重合体であることが好ましい。親水性モノマーの共重合体は、親水性モノマーと疎水性モノマーとの共重合体であってもよい。
親水性モノマーの例には、カルボキシル基又は酸無水物基含有モノマー(アクリル酸、メタクリル酸等の(メタ)アクリル酸、マレイン酸等の不飽和多価カルボン酸、無水マレイン酸等)や、アルキレンオキサイド変性(メタ)アクリル酸エステルモノマー(エチレンオキサイド変性(メタ)アクリル酸アルキルエステル、アクリル酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル等)、マレイン酸ハーフエステルモノマー、アルキレンオキサイド変性マレイン酸(ハーフ)エステルモノマー等が含まれる。
疎水性モノマーの例には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル等の(メタ)アクリル酸エステル系モノマー;マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル等のマレイン酸エステルモノマー;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン系モノマー;エチレン、プロピレン、1−ブテン等のα−オレフィン系モノマー;酢酸ビニル、酪酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル系モノマー等が含まれる。
高分子分散剤が共重合体である場合、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、又はくし型共重合体(又はくし型グラフト共重合体)のいずれであってもよい。
高分子分散剤を構成する樹脂は、上記以外にも、親水性プレポリマー(例えばポリアルキレンイミン)と疎水性基含有化合物(例えばポリ(カルボニルアルキレンオキシ)基やポリエステル基を含有する化合物)との反応物や;疎水性プレポリマー(例えばポリウレタンやポリウレア)と親水性基含有化合物(例えば3級アミノ基や塩基性環式窒素原子を有する基を含有する化合物)との反応物であってもよい。
これらの高分子分散剤は、後述する水分散性樹脂との親和性が良好である等の点から、くし型共重合体(くし型構造を有する高分子分散剤)であることが好ましい。
くし型構造を有する高分子分散剤は、主鎖と、主鎖と結合した複数の側鎖とを有するポリマーであって、主鎖及び/又は複数の側鎖の少なくとも一部が、金属ナノ粒子の表面に吸着するための吸着基を含み、複数の側鎖の少なくとも一部が、溶媒和部分を構成する基を含むポリマーである。吸着基は、側鎖末端や側鎖の途中、主鎖中にあってもよく、例えば主鎖にペンダントしていてもよい。溶媒和部分を構成する基は、溶媒に対して親和性を有する基(親水性基)であり、例えば前述のアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリル酸エステルモノマーや親水性基含有化合物に由来する基でありうる。このような高分子分散剤は、側鎖があたかも櫛の歯のように主鎖に結合されているような分子構造を有する。この側鎖が溶媒和に寄与するだけでなく、立体障害を生じるため(立体反発基として機能するため)、金属ナノ粒子同士の凝集をより高度に抑制しうる。さらに、くし型構造を有する高分子分散剤の立体反発基と保護層に含まれる樹脂とが相互作用するため、金属光沢層と保護層との間の界面の乱れを一層抑制し、色味の変化を一層抑制しうる。尚、くし型共重合体(又はくし型グラフト共重合体)は、くし型ブロック共重合体であってもよいし、くし型ランダム共重合体であってもよい。
くし型構造を有する高分子分散剤は、具体的には、主鎖を形成する直鎖状のポリマーと、主鎖を構成するモノマー由来の構成単位に対してグラフト重合した別の種類のポリマーとを含むコポリマーでありうる。そのようなくし型構造を有する高分子分散剤の好ましい例には、(メタ)アクリル酸由来の構造単位、(メタ)アクリル酸誘導体由来の構造単位、マレイン酸由来の構造単位、及びマレイン酸誘導体由来の構造単位からなる群より選ばれる一以上を含み、好ましくはスチレン由来の構造単位をさらに含むくし型共重合体が含まれる。(メタ)アクリル酸誘導体には、(メタ)アクリル酸エステルや(メタ)アクリル酸の金属塩等が含まれる。マレイン酸誘導体には、マレイン酸(ハーフ)エステルやマレイン酸の金属塩、無水物等が含まれる。(メタ)アクリル酸エステルやマレイン酸(ハーフ)エステルは、ポリアルキレンオキサイド基(EO−PO共重合基等の長鎖ポリアルキレンオキサイド基)を含むもの、即ち、アルキレンオキサイド変性(メタ)アクリル酸エステル又はアルキレンオキサイド変性マレイン酸(ハーフ)エステルであってもよい。
中でも、(メタ)アクリル酸やマレイン酸は、金属ナノ粒子の表面に吸着するための吸着基を有するモノマーとして好適であり;アルキレンオキサイド変性(メタ)アクリル酸エステルやアルキレンオキサイド変性マレイン酸(ハーフ)エステルは、溶媒和を構成する基を有するモノマーとして好適である。
くし型構造を有する高分子分散剤の他の例には、特開平5−177123号公報に開示されている1個以上のポリ(カルボニル−C3〜C6−アルキレンオキシ)鎖を有し、これらの各鎖が3〜80個のカルボニル−C3〜C6−アルキレンオキシ基を有しかつアミド又は塩架橋基によってポリ(エチレンイミン)に結合されている構造のポリ(エチレンイミン)又はその酸塩からなるもの;特開昭54−37082号公報に開示されているポリ(低級アルキレン)イミンと、遊離のカルボン酸基を有するポリエステルとの反応生成物よりなり、各ポリ(低級アルキレン)イミン連鎖に少なくとも2つのポリエステル連鎖が結合されたもの;特公平7−24746号公報に開示されている末端にエポキシ基を有する高分子量のエポキシ化合物に、アミン化合物と数平均分子量300〜7000のカルボキシル基含有プレポリマーとを同時に又は任意順に反応させて得られる顔料分散剤等を挙げることができる。
また、特開平4−210220号公報に開示されているポリイソシアネートと、モノヒドロキシ化合物及びモノヒドロキシモノカルボン酸又はモノアミノモノカルボン酸化合物の混合物、並びに、少なくとも1つの塩基性環窒素とイソシアネート反応性基とを有する化合物との反応物;特開昭60−16631号公報、特開平2−612号公報、特開昭63−241018号公報に開示されているポリウレタン/ポリウレアよりなる主鎖に複数の第3級アミノ基又は塩基性環式窒素原子を有する基がペンダントした高分子;特開平1−279919号公報に開示されている水溶性ポリ(オキシアルキレン)鎖を有する立体安定化単位、構造単位及びアミノ基含有単位からなる共重合体であって、アミン基含有単量単位が第3級アミノ基若しくはその酸付加塩の基又は第4級アンモニウムの基を含有しており、該共重合体1g当たり0.025〜0.5ミリ当量のアミノ基を含有する共重合体;特開平6−100642号公報に開示されている付加重合体からなる主鎖と、少なくとも1個のC1〜C4アルコキシポリエチレン又はポリエチレン−コプロピレングリコール(メタ)アクリレートからなる安定化剤単位とからなり,かつ、2500〜20000の重量平均分子量を有する両親媒性共重合体であって、主鎖は、30重量%までの非官能性構造単位と、合計で70重量%までの安定化剤単位及び官能性単位を含有しており、上記官能性単位は、置換されているか又は置換されていないスチレン含有単位、ヒドロキシル基含有単位及びカルボキシル基含有単位である両親媒性高分子等を挙げることができる。
また、特開平4−210220号公報に開示されているポリイソシアネートと、モノヒドロキシ化合物及びモノヒドロキシモノカルボン酸又はモノアミノモノカルボン酸化合物の混合物、並びに、少なくとも1つの塩基性環窒素とイソシアネート反応性基とを有する化合物との反応物;特開昭60−16631号公報、特開平2−612号公報、特開昭63−241018号公報に開示されているポリウレタン/ポリウレアよりなる主鎖に複数の第3級アミノ基又は塩基性環式窒素原子を有する基がペンダントした高分子;特開平1−279919号公報に開示されている水溶性ポリ(オキシアルキレン)鎖を有する立体安定化単位、構造単位及びアミノ基含有単位からなる共重合体であって、アミン基含有単量単位が第3級アミノ基若しくはその酸付加塩の基又は第4級アンモニウムの基を含有しており、該共重合体1g当たり0.025〜0.5ミリ当量のアミノ基を含有する共重合体;特開平6−100642号公報に開示されている付加重合体からなる主鎖と、少なくとも1個のC1〜C4アルコキシポリエチレン又はポリエチレン−コプロピレングリコール(メタ)アクリレートからなる安定化剤単位とからなり,かつ、2500〜20000の重量平均分子量を有する両親媒性共重合体であって、主鎖は、30重量%までの非官能性構造単位と、合計で70重量%までの安定化剤単位及び官能性単位を含有しており、上記官能性単位は、置換されているか又は置換されていないスチレン含有単位、ヒドロキシル基含有単位及びカルボキシル基含有単位である両親媒性高分子等を挙げることができる。
高分子分散剤の酸価は、5mgKOH/g以上200mgKOH/g以下であることが好ましい。酸価が5mgKOH/g以上であると、高分子分散剤が有する酸性基が、金属ナノ粒子の表面に吸着して、金属ナノ粒子の表面を高分子分散剤で被覆させるか、又は金属ナノ粒子の表面への吸着に寄与しない酸性基によって金属ナノ粒子の表面に親水性を付与したりしうる。それにより、酸性基がアニオン性基として機能し、金属ナノ粒子の表面に電荷を持たせることができるので、金属ナノ粒子間の電荷反発が起こりやすく、インク中での分散性を高めやすい。酸価が200mgKOH/g以下であると、一つの高分子鎖が2つ以上の金属ナノ粒子に吸着する、いわゆる橋架け凝集が起こりにくく、高分子分散剤の金属ナノ粒子表面への吸着に寄与しない酸性基による親水性の高まり過ぎによる金属光沢層の耐水性の低下を抑制しやすい。さらに、例えば(酸価に寄与しない)立体反発基を適度に有するくし型ブロック共重合体が得られやすく、インク中での分散性を高めやすい。インクの分散性をより高め、保存安定性をより高める観点では、高分子分散剤の酸価は、5mgKOH/g以上150mgKOH/g以下であることがより好ましく、10mgKOH/g以上80mgKOH/g以下であることがさらに好ましく、20mgKOH/g以上50mgKOH/g以下であることが特に好ましい。
酸価は、JIS K 0070に準じて測定することができる。具体的には、高分子分散剤の酸価は、フーリエ変換赤外分光光法(FT−IR)により、高分子分散剤の種類(例えば、画像形成に用いた高分子分散剤の製品名等)を特定し、同一の高分子分散剤の酸価をJIS K 0070に準じて測定すればよい。また、1HNMRやガスクロマトグラフィー−質量分析法(GC/MS)によって高分子分散剤の種類を特定してもよい。
高分子分散剤の分子量は、1000以上100000以下であることが好ましく、2000以上50000以下であることがより好ましい。高分子分散剤の分子量が上記範囲内であると、金属ナノ粒子の表面を、高分子分散剤で十分に被覆できるので、インクの保存安定性を一層高めやすい。
市販の高分子分散剤の例には、ソルスパース24000、ソルスパース24000GR、ソルスパース32000、ソルスパース44000、ソルスパース46000(ルーブリゾール社製);アジスパーPB822、アジスパーPB821、アジスパーPB711(味の素ファインテクノ社製);DISPERBYK−102、DISPERBYK−187、DISPERBYK−194N、DISPERBYK−190、DISPERBYK−191、DISPERBYK−199、DISPERBYK−2000、DISPERBYK−2001、DISPERBYK−2015、DISPERBYK−2050、DISPERBYK−2150、及びDISPERBYK−2069(いずれもビックケミー社製、「DISPERBYK」は同社の登録商標);ディスパロンED−152、ED−211、ED−212、ED−213、ED−214、ED−251(楠本化成社製)、PLAADシリーズ(楠本化成社製);EFKA 6220(BASF社製、「EFKA」は同社の登録商標)、並びにフローレンTG−750W(共栄社化学社製)等が含まれる。
金属ナノ粒子の表面に吸着した高分子分散剤は、例えば高分子分散剤を含む水系溶媒中で、(金属ナノ粒子となる)金属イオンを還元することによって得ることができる。
1−3.水分散性樹脂
水分散性樹脂は、水又は水系溶媒に分散する樹脂、即ち水又は水系溶媒中で、半溶解粒子状態であるコロイダルディスパージョンや、分散粒子状態であるエマルション又はラテックス等を形成しうる樹脂であり、バインダー樹脂として機能しうる。水分散性樹脂は、金属ナノ粒子の表面に吸着した高分子分散剤と相互作用して、金属ナノ粒子同士の結着性、金属ナノ粒子の成膜性、及び金属ナノ粒子の基材への密着性を高めうる。
水分散性樹脂は、水又は水系溶媒に分散する樹脂、即ち水又は水系溶媒中で、半溶解粒子状態であるコロイダルディスパージョンや、分散粒子状態であるエマルション又はラテックス等を形成しうる樹脂であり、バインダー樹脂として機能しうる。水分散性樹脂は、金属ナノ粒子の表面に吸着した高分子分散剤と相互作用して、金属ナノ粒子同士の結着性、金属ナノ粒子の成膜性、及び金属ナノ粒子の基材への密着性を高めうる。
水分散性樹脂は、親水性成分をモノマー成分とする重合体であって、水又は水系溶媒中で、半溶解粒子状態であるコロイダルディスパージョンや、分散粒子状態であるエマルション又はラテックス等を形成しうる。親水性成分の例には、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等のアニオン性基、第1〜3級アミノ基、第4級アンモニウム塩基等のカチオン性基や、水酸基、ポリアルキレンオキサイド基、アミド基等のノニオン性基を含むモノマー成分が含まれる。親水性成分は、1種のみが含まれてもよいし、複数種類が含まれていてよい。中でも、カルボキシル基やスルホン酸基、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基を含む親水性成分が好ましい。
水分散性樹脂は、外部乳化剤で分散させて得られる強制乳化型の水分散性樹脂や、樹脂骨格中に親水性成分を導入した自己乳化型の水分散性樹脂のいずれであってもよいが、樹脂骨格中に親水性成分を導入した自己乳化型の水分散性樹脂であることがより好ましい。
水分散性樹脂は、高分子分散剤との親和性が高い樹脂であることが好ましく、その例には、前述の親水性成分をモノマー成分として含む、アクリル系樹脂やウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂等が含まれる。中でも、得られる金属光沢層の耐水性を高めうる観点から、親水性成分をモノマー成分として含むアクリル系樹脂(例えばアクリル酸をモノマー成分として含むアクリル系樹脂等)や親水性成分をモノマー成分として含むウレタン樹脂(例えばジメチロールプロピオン酸をモノマー成分として含むポリウレタン系樹脂等)がより好ましい。
水分散性樹脂の平均粒子径は、0.005〜0.5μmであることが好ましく、0.01〜0.2μmであることがより好ましく、0.01〜0.15μmであることがさらに好ましい。水分散性樹脂の平均粒子径は、金属ナノ粒子の平均粒子径の測定方法と同様の方法で測定することができる。
インク中の金属ナノ粒子の含有量M1(質量%)と、インク中の高分子分散剤の含有量M2(質量%)と、インク中の水分散性樹脂の含有量M3(質量%)との比M1/(M2+M3)は、1.5≦M1/(M2+M3)≦20を満たすことが好ましい。M1/(M2+M3)が1.5以上であると、得られる金属光沢層において金属ナノ粒子の含有比率を適度に高めることができるので、金属光沢層の反射率を高めやすい。M1/(M2+M3)が20以下であると、得られる金属光沢層における高分子分散剤や水分散性樹脂の含有比率が適度に多いので、基材との密着性や膜強度を高めやすいだけでなく、金属ナノ粒子が高分子分散剤や水分散性樹脂によって十分に固定されるため、保護層の形成によって金属ナノ粒子が動きにくく、金属光沢層と保護層との間の界面の乱れを生じにくくしうる。それにより、金属光沢層の色味の変化を抑制しうる。インクは、2≦M1/(M2+M3)≦15を満たすことがより好ましく、3≦M1/(M2+M3)≦10を満たすことがさらに好ましい。
インク中の高分子分散剤の含有量M2(質量%)と、インク中の水分散性樹脂の含有量M3(質量%)との比M2/M3は、0.05≦M2/M3≦3.0を満たすことが好ましく、0.1≦M2/M3≦1.0を満たすことがより好ましい。M2/M3が0.05以上であると、高分子分散剤がインク中での金属粒子の分散安定性を持ちつつ、製膜後に水分散性樹脂と相互作用して金属ナノ粒子同士を結着させやすく、3.0以下であると、水分散性樹脂による成膜性が高まり、保護層との界面の乱れを抑止しやすい。それにより、保護層を形成することによる色味の変化も一層生じにくくしうる。
インク中の金属ナノ粒子の含有量M1(質量%)と、インク中の高分子分散剤の含有量M2(質量%)と、インク中の水分散性樹脂の含有量M3(質量%)の合計量(M1+M2+M3)(質量%)は、1≦M1+M2+M3≦35を満たすことが好ましい。合計量(M1+M2+M3)が1以上であると、インクに含まれる固形分量が適度に多いことから、所望の厚みの金属光沢層を形成しやすく、十分な反射率が得られやすい。合計量(M1+M2+M3)が35以下であると、インクに含まれる固形分量が多すぎないので、粘度が高まりすぎず、インクジェットヘッドからの吐出性が損なわれにくい。インクは、2≦M1+M2+M3≦35を満たすことがより好ましく、3≦M1+M2+M3≦30を満たすことがさらに好ましい。
1−4.溶媒
溶媒は、少なくとも水を含むが、任意の割合で有機溶媒をさらに含んでいてもよい。
溶媒は、少なくとも水を含むが、任意の割合で有機溶媒をさらに含んでいてもよい。
有機溶媒の例には、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールモノプロピルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル等のグリコールエーテル類;エチレングリコール、グリセリン、2−エチル−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、2−メチルペンタン−2,4−ジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール等の多価アルコール類;エタノールアミン、2−(ジメチルアミノ)エタノール等のアミン類;メタノール、エタノール、ブタノール等の1価アルコール類;2,2′−チオジエタノール;スルホラン;N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;2−ピロリドン、γブチロラクトン、炭酸プロピレン、炭酸エチレン等の複素環類;アセトニトリル等が含まれる。これらを単独又は複数混合して用いることもできる。
中でも、溶媒は、インクジェットヘッド近傍でのインクの乾燥を防ぎ、当該ヘッドからの吐出性を高める観点等から、沸点150℃以上の有機溶媒を含むことが好ましい。そのような有機溶媒の好ましい例には、グリセリンやプロピレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル等が含まれる。
1−5.その他の成分
インクジェットインクは、本発明の効果を損なわない範囲で、上記成分以外の他の成分をさらに含んでもよい。他の成分の例には、公知の界面活性剤(表面調整剤)が含まれる。
インクジェットインクは、本発明の効果を損なわない範囲で、上記成分以外の他の成分をさらに含んでもよい。他の成分の例には、公知の界面活性剤(表面調整剤)が含まれる。
界面活性剤の例には、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類及び脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類及びポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類及び第四級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤、並びにシリコーン系やフッ素系の界面活性剤が含まれる。
シリコーン系の界面活性剤の市販品の例には、KF−351A、KF−352A、KF−642及びX−22−4272、信越化学工業製、BYK−307、BYK−345、BYK−347及びBYK−348、ビッグケミー製(「BYK」は同社の登録商標)、並びにTSF4452、東芝シリコーン社製が含まれる。
界面活性剤の含有量は、例えばインクの全質量に対して0.001質量%以上1.0質量%未満とすることができる。
1−6.物性
本発明のインクジェットインクの粘度は、インクジェット法による画像形成において、ノズルからの吐出安定性をより高める観点からは、1cP以上100cP未満であることが好ましく、1cP以上50cP以下であることがより好ましく、1cP以上15cP以下であることがさらに好ましい。
本発明のインクジェットインクの粘度は、インクジェット法による画像形成において、ノズルからの吐出安定性をより高める観点からは、1cP以上100cP未満であることが好ましく、1cP以上50cP以下であることがより好ましく、1cP以上15cP以下であることがさらに好ましい。
2.画像形成方法
本発明の画像形成方法は、本発明のインクジェットインクを基材上に付与して、金属光沢層を形成する工程と、金属光沢層上に、それと接する保護層を形成する工程とを含む。
本発明の画像形成方法は、本発明のインクジェットインクを基材上に付与して、金属光沢層を形成する工程と、金属光沢層上に、それと接する保護層を形成する工程とを含む。
2−1.金属光沢層を形成する工程
前述のインクジェットインクを基材上に付与した後、乾燥及び加熱させて、金属光沢層を形成する。具体的には、乾燥によりインク中の溶媒を揮発させると共に、加熱によりインク中の水分散性樹脂を融着させて、金属光沢層を形成する。
前述のインクジェットインクを基材上に付与した後、乾燥及び加熱させて、金属光沢層を形成する。具体的には、乾燥によりインク中の溶媒を揮発させると共に、加熱によりインク中の水分散性樹脂を融着させて、金属光沢層を形成する。
基材は、特に限定されず、アート紙、コート紙、軽量コート紙、微塗工紙及びキャスト紙等を含む塗工紙並びに非塗工紙を含む吸収性の基材(紙基材)、ポリエステル(PE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリウレタン(PU)、ポリプロピレン(PP)、アクリル樹脂(PA)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)及びポリブタジエンテレフタレート(PBT)等を含むプラスチックで構成される非吸収性の基材(プラスチック基材)、並びに金属類及びガラス等を含む非吸収性の無機媒体を用いることができる。
インクの付与は、インクジェット法にて行うことができる。具体的には、インクをインクジェットヘッドのノズルから吐出して、基材の表面に着弾させる。
インクの付与量は、得られる金属光沢層の厚みが、好ましくは0.005μm以上10μm以下、より好ましくは0.01μm以上1.0μm以下、さらに好ましくは0.1μm以上0.5μm以下となるように設定される。得られる金属光沢層の厚みが上記範囲内であると、金属光沢を十分に発現させやすい。
インクの乾燥は、特に制限されず、真空脱気法や送風乾燥法、加熱乾燥法等で行うことができる。インクの乾燥温度は、水分散性樹脂のガラス転移温度未満とすることが好ましく、例えば常温以上100℃未満であることが好ましく、常温以上80℃未満であることがより好ましい。
インクの加熱温度は、水分散性樹脂が熱融着しうる温度であればよく、水分散性樹脂の最低造膜温度(MFT)又はガラス転移温度以上とすることが好ましい。具体的には、加熱温度は、例えば40℃以上とすることが好ましく、上限温度は、基材と水分散性樹脂の耐熱温度以下である必要がある。また、インクに造膜助剤をさらに添加することで、水分散性樹脂のTg以下で造膜させることも可能となる。
インクの乾燥と加熱は、逐次的に行ってもよいし、同時に行ってもよい。インクの乾燥と加熱とを同時に行う場合、乾燥兼加熱温度は、水分散性樹脂の最低造膜温度(MFT)又はガラス転移温度以上とすることが好ましい。
2−2.保護層を形成する工程
得られた金属光沢層上に、少なくとも樹脂を含む樹脂組成物を付与して、保護層を形成する。
得られた金属光沢層上に、少なくとも樹脂を含む樹脂組成物を付与して、保護層を形成する。
金属ナノ粒子、特に銀ナノ粒子の場合、酸素との直接的な反応性は低く、大気下で放置でも酸化銀は形成されにくい一方、大気中に含まれるか、又は人が触れることで付与されるごく微量の硫黄含有成分(例えば、硫化水素、二酸化硫黄等の硫黄酸化物)やハロゲン含有成分(例えば塩化ナトリウム等)とは、経時で徐々に反応して、硫化銀やハロゲン化銀を生じることで、金属光沢を失うことがある。また、窒素酸化物(NOx)等も単独では銀と反応しなくても、硫黄含有成分と一緒に存在することで、硫化銀の生成を促進することがある。そのような反応を抑止するためには、保護層を構成する樹脂は、上記のような反応性の高い成分が金属光沢層の表面に到達するのを抑制できるような樹脂を含むことが好ましい。
そのような観点から、樹脂組成物に含まれる樹脂の例には、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリシロキサン系樹脂、マレイン酸系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリヒドロキシスチレン、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリアクリロニトリル、ニトロセルロース、酢酸セルロース、エチルセルロース、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、及びアルキド系樹脂等が含まれる。これらの樹脂は、1種単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
中でも、反応性の高い成分が金属光沢層の表面に到達するのを高度に抑制しうる観点から、ガス透過性の低い樹脂が好ましく、その例には、PET等のポリエステル系樹脂、PMMA等のアクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリプロピレン、ポリアミド系樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体等が好ましい。さらに、金属光沢層と保護層との間の界面の乱れを一層抑制しやすくする観点からは、金属光沢層に含まれる水分散性樹脂との親和性が高いか、又は高分子分散剤がくし型ブロック共重合体である場合にその立体反発基と相互作用しやすい樹脂であることが好ましく、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、塩化ビニル系樹脂が好ましい。
樹脂組成物は、必要に応じて、色材(顔料や染料)や溶媒、硬化剤等の他の成分をさらに含んでもよい。例えば、色材を含む樹脂組成物から得られる保護層は、保護層としてだけでなく、画像形成物の金属光沢層の色調を変化させて、特定のメタリックカラーを発現させる色材層としても機能しうる。
樹脂組成物は、液状であってもよいし、フィルム状であってもよい。即ち、保護層は、前述の樹脂を含む液状の樹脂組成物を付与した後、乾燥させて形成してもよいし、フィルム状の樹脂組成物を熱圧着して形成してもよい。樹脂組成物が液状である場合、樹脂は、有機溶媒や水等の溶媒に溶解するものであってもよいし、有機溶媒や水等の溶媒に不溶又は半溶解するもの(エマルジョン、コロイダルディスパージョン、又はラテックス等の分散粒子を構成するもの)であってもよい。
液状の樹脂組成物の付与は、インクジェット法、スプレー法、ローラ塗布法、電子写真法等で行うことができる。精細な画像を形成しやすくする観点では、インクジェット法で行うことが好ましい。液状の樹脂組成物の付与した後の乾燥温度は、溶媒を揮発させると共に樹脂を成膜させうる温度であり、例えば100℃未満としうる。
フィルム状の樹脂組成物の熱圧着は、圧着ローラにより熱圧着させる方法や、シート上に予め形成された転写層をサーマルヘッド又は熱ローラにより熱転写させる方法等で行うことができる。熱圧着温度は、フィルムを構成する樹脂、又はフィルムの表面に設けられている粘着剤のガラス転移温度近傍であり、例えば30〜150℃としうる。
樹脂組成物の付与量は、得られる保護層の厚みが、好ましくは0.1μm以上100μm以下、より好ましくは1μm以上50μm以下、さらに好ましくは1μm以上20μm以下となるように設定される。保護層の厚みが0.1μm以上であると、得られる画像形成物において、金属光沢層の耐久性(特に耐硫化性)を高度に高めうるだけでなく、1μm以上であると、さらに光学干渉が視認されやすい厚み(可視波長と近い数百nmオーダー、例えば0.1〜1μm)から外れるため、色味の変化も一層生じにくくしうる。また、保護層の厚みが100μm以下であると、金属光沢層の金属光沢が損なわれにくく、印刷物の柔軟性も損なわれにくいので、例えば曲面を有する被着材に貼り付けるラベル等として好ましい。
2−3.その他の工程
本発明の画像形成方法は、必要に応じて、金属光沢層が形成される前の基材の表面にプライマー層を形成する工程をさらに含んでもよい。
本発明の画像形成方法は、必要に応じて、金属光沢層が形成される前の基材の表面にプライマー層を形成する工程をさらに含んでもよい。
プライマー層は、バインダー樹脂を含む樹脂組成物を、金属光沢層が形成される前の基材表面に付与して形成することができる。樹脂組成物に含まれるバインダー樹脂は、保護層に含まれる樹脂と同様の樹脂から選択することができる。
樹脂組成物の付与量は、得られるプライマー層の厚みが、好ましくは0.05μm以上100μm以下、より好ましくは0.1μm以上50μm以下、さらに好ましくは0.5μm以上10μm以下となるように設定されうる。プライマー層の厚みが上記範囲内であると、得られる画像形成物において、金属光沢層の基材への密着性を十分に高めうる。
樹脂組成物の付与した後、当該樹脂組成物を加熱等により乾燥させてバインダー樹脂を成膜させてもよい。このときの乾燥温度は、例えば100℃未満としうる。
3.画像形成物
本発明の画像形成方法で得られる本発明の画像形成物は、基材と、当該基材上に設けられた金属光沢層と、当該金属光沢層上に接して設けられた保護層とを含む。本発明の画像形成物は、必要に応じて基材と金属光沢層との間に設けられたプライマー層をさらに含みうる。
本発明の画像形成方法で得られる本発明の画像形成物は、基材と、当該基材上に設けられた金属光沢層と、当該金属光沢層上に接して設けられた保護層とを含む。本発明の画像形成物は、必要に応じて基材と金属光沢層との間に設けられたプライマー層をさらに含みうる。
金属光沢層は、金属ナノ粒子と、その表面に吸着した高分子分散剤と、水分散性樹脂とを含む。金属光沢層の組成は、前述のインクの固形分の組成と同じである。保護層の組成やプライマー層の組成も、前述の保護層用又はプレコート層用の樹脂組成物の固形分の組成とそれぞれ同じである。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
1.材料
1−1.銀ナノ粒子分散液の調製
<銀ナノ粒子分散液1>
硝酸銀10gと、カルボキシル基を有するくし型コポリマーである高分子分散剤としてDISPERBYK−190(ビッグケミー社製、溶媒:水、固形分(不揮発成分):40質量%、固形分100質量%換算の酸価:25mgKOH/g、主鎖がスチレン由来の構造単位とマレイン酸由来の構造単位とを含み、側鎖がポリアルキレンオキサイド基を有する重合体)1.2gとを、イオン交換水85gに投入し、50℃で撹拌して溶解液を得た。この溶解液に対して、還元剤としてのジメチルアミノエタノール(和光純薬製)26gを、水温が50℃を超えないように徐々に加えた後、水温70℃のウォーターバス中で1時間加熱撹拌した。得られた反応液を、遠心分離機で遠心分離した。沈殿した銀ナノ粒子を含む固形分と液体部分を分け、固形分をイオン交換水に再度分散させて、遠心分離を行った。液体の電導度が300μS/cm以下になるまで繰り返した。最終的に、固形分を30質量%含む銀ナノ粒子分散液を得た。
1−1.銀ナノ粒子分散液の調製
<銀ナノ粒子分散液1>
硝酸銀10gと、カルボキシル基を有するくし型コポリマーである高分子分散剤としてDISPERBYK−190(ビッグケミー社製、溶媒:水、固形分(不揮発成分):40質量%、固形分100質量%換算の酸価:25mgKOH/g、主鎖がスチレン由来の構造単位とマレイン酸由来の構造単位とを含み、側鎖がポリアルキレンオキサイド基を有する重合体)1.2gとを、イオン交換水85gに投入し、50℃で撹拌して溶解液を得た。この溶解液に対して、還元剤としてのジメチルアミノエタノール(和光純薬製)26gを、水温が50℃を超えないように徐々に加えた後、水温70℃のウォーターバス中で1時間加熱撹拌した。得られた反応液を、遠心分離機で遠心分離した。沈殿した銀ナノ粒子を含む固形分と液体部分を分け、固形分をイオン交換水に再度分散させて、遠心分離を行った。液体の電導度が300μS/cm以下になるまで繰り返した。最終的に、固形分を30質量%含む銀ナノ粒子分散液を得た。
得られた分散液を、ガラス基板上に付与した後、真空脱気して溶媒成分を揮発させて、試料を得た。得られた試料を、透過型電子顕微鏡(日本電子(株)製)で銀ナノ粒子の平均粒子径を測定した結果、35nmであった。平均粒子径は、銀ナノ粒子300個の一次粒子の粒子径を測定し、それらの平均値とした。
また、分散液の一部を採取し、室温で10時間真空乾燥させて、銀粉を得た。得られた銀粉の熱重量分析(RIGAKU製ThermoplusTG8120)を行った結果、高分子分散剤(100℃から450℃の重量減少分)が5質量%、銀固形分が95質量%であった。
<銀ナノ粒子分散液2>
高分子分散剤の配合量1.2gを、0.8gに変更した以外は、銀ナノ粒子分散液1と同様にして銀ナノ粒子分散液2を得た。
高分子分散剤の配合量1.2gを、0.8gに変更した以外は、銀ナノ粒子分散液1と同様にして銀ナノ粒子分散液2を得た。
得られた分散液における銀ナノ粒子の平均粒子径を前述と同様にして測定した結果、40nmであった。また、銀粉の熱重量分析を前述と同様にして行った結果、高分子分散剤が3質量%、銀固形分が97質量%であった。
<銀ナノ粒子分散液3>
高分子分散剤「DISPERBYK−190」を、カルボキシル基を有するくし型コポリマーである高分子分散剤「DISPERBYK−194N」(ビッグケミー社製、固形分(不揮発成分):57質量%、固形分100質量%換算の酸価:135mgKOH/g、主鎖がスチレン由来の構造単位とマレイン酸由来の構造単位とを含み、側鎖がポリアルキレンオキサイド基を有する重合体)に変更した以外は銀ナノ粒子分散液1と同様にして銀ナノ粒子分散液3を得た。
高分子分散剤「DISPERBYK−190」を、カルボキシル基を有するくし型コポリマーである高分子分散剤「DISPERBYK−194N」(ビッグケミー社製、固形分(不揮発成分):57質量%、固形分100質量%換算の酸価:135mgKOH/g、主鎖がスチレン由来の構造単位とマレイン酸由来の構造単位とを含み、側鎖がポリアルキレンオキサイド基を有する重合体)に変更した以外は銀ナノ粒子分散液1と同様にして銀ナノ粒子分散液3を得た。
得られた分散液における銀ナノ粒子の平均粒子径を前述と同様にして測定した結果、30nmであった。また、銀粉の熱重量分析を前述と同様にして行った結果、高分子分散剤が5質量%、銀固形分が95質量%であった。
<銀ナノ粒子分散液4>
10N−NaOH水溶液を3mL添加してアルカリ性にした水50mLに、クエン酸3ナトリウム2水和物17gと、タンニン酸0.36gとを溶解させた。得られた溶液に対して、3.87mol/L硝酸銀水溶液3mLを添加し、2時間攪拌して、銀コロイド液を得た。この合成法では、クエン酸及びタンニン酸の一部が低分子保護剤として分散液に残存している。得られた銀コロイド液を遠心分離により精製し、最終的に固形分を20質量%含む銀ナノ粒子分散液4を得た。
10N−NaOH水溶液を3mL添加してアルカリ性にした水50mLに、クエン酸3ナトリウム2水和物17gと、タンニン酸0.36gとを溶解させた。得られた溶液に対して、3.87mol/L硝酸銀水溶液3mLを添加し、2時間攪拌して、銀コロイド液を得た。この合成法では、クエン酸及びタンニン酸の一部が低分子保護剤として分散液に残存している。得られた銀コロイド液を遠心分離により精製し、最終的に固形分を20質量%含む銀ナノ粒子分散液4を得た。
得られた銀ナノ粒子分散液4における銀ナノ粒子の平均粒子径を前述と同様にして測定した結果、20nmであった。また、銀粉の熱重量分析を前述と同様にして行った結果、固形分中の銀固形分が97.5質量%、低分子保護剤の固形分が2.5質量%であった。
<銀ナノ粒子分散液5>
ポリビニルピロリドン(PVP、重量平均分子量10000)を70℃の条件下で15時間加熱して、その後室温で冷却をした。このPVP1000gを、エチレングリコール溶液500mlに添加してPVP溶液を調製した。別の容器にエチレングリコールを500ml入れ、硝酸銀128gを加えて硝酸銀溶液を調製した。PVP溶液を120℃の条件下でオーバーヘッドミキサーを用いて攪拌しつつ、硝酸銀溶液を添加して約80分間加熱して反応させて銀コロイド液を得た。得られた銀コロイド液を遠心分離により精製し、最終的に固形分を20質量%含む銀ナノ粒子分散液を得た。
ポリビニルピロリドン(PVP、重量平均分子量10000)を70℃の条件下で15時間加熱して、その後室温で冷却をした。このPVP1000gを、エチレングリコール溶液500mlに添加してPVP溶液を調製した。別の容器にエチレングリコールを500ml入れ、硝酸銀128gを加えて硝酸銀溶液を調製した。PVP溶液を120℃の条件下でオーバーヘッドミキサーを用いて攪拌しつつ、硝酸銀溶液を添加して約80分間加熱して反応させて銀コロイド液を得た。得られた銀コロイド液を遠心分離により精製し、最終的に固形分を20質量%含む銀ナノ粒子分散液を得た。
得られた銀ナノ粒子分散液5における銀ナノ粒子の平均粒子径を前述と同様にして測定した結果、20nmであった。また、銀粉の熱重量分析を前述と同様にして行った結果、固形分中の銀固形分が91質量%、ポリビニルピロリドン(酸性基を有しない高分子分散剤)の固形分が9質量%であった。
<銀ナノ粒子分散液6>
高分子分散剤「ディスパービック190」を、「ジョンクリル70」(BASFジャパン株式会社製、カルボキシル基を有するくし型コポリマーである高分子分散剤、固形分(不揮発成分):30質量%、固形分100質量%換算の酸価:240mgKOH/g)に変更した以外は銀ナノ粒子分散液1と同様にして銀ナノ粒子分散液6を得た。
高分子分散剤「ディスパービック190」を、「ジョンクリル70」(BASFジャパン株式会社製、カルボキシル基を有するくし型コポリマーである高分子分散剤、固形分(不揮発成分):30質量%、固形分100質量%換算の酸価:240mgKOH/g)に変更した以外は銀ナノ粒子分散液1と同様にして銀ナノ粒子分散液6を得た。
得られた銀ナノ粒子分散液6における銀ナノ粒子の平均粒子径を前述と同様にして測定した結果、45nmであった。また、銀粉の熱重量分析を前述と同様にして行った結果、高分子分散剤が5質量%、銀固形分が95質量%であった。
<銀ナノ粒子分散液7>
高分子分散剤として、ポリアクリル酸(PAA、重量平均分子量5000、酸価:778mgKOH/g、酸性基としてカルボキシル基を有するが、くし型コポリマーではない高分子分散剤)1.25gを、イオン交換水50gに投入し、室温で撹拌して溶解液を得た。この溶解液に対して、還元剤としてのジエタノールアミン(和光純薬製)40gを加えた後、室温で1時間撹拌した。ここに、硝酸銀20gをイオン交換水20gに溶解した液を、ゆっくりと滴下した後、室温で1時間撹拌した。その後、60℃に昇温して、5時間加熱攪拌した。得られた反応液を、遠心分離機で遠心分離した。沈殿した銀ナノ粒子を含む固形分と液体部分を分け、固形分をイオン交換水に再度分散させて、遠心分離を行った。液体の電導度が300μS/cm以下になるまで繰り返した。最終的に、固形分を20質量%含む銀ナノ粒子分散液7を得た。
高分子分散剤として、ポリアクリル酸(PAA、重量平均分子量5000、酸価:778mgKOH/g、酸性基としてカルボキシル基を有するが、くし型コポリマーではない高分子分散剤)1.25gを、イオン交換水50gに投入し、室温で撹拌して溶解液を得た。この溶解液に対して、還元剤としてのジエタノールアミン(和光純薬製)40gを加えた後、室温で1時間撹拌した。ここに、硝酸銀20gをイオン交換水20gに溶解した液を、ゆっくりと滴下した後、室温で1時間撹拌した。その後、60℃に昇温して、5時間加熱攪拌した。得られた反応液を、遠心分離機で遠心分離した。沈殿した銀ナノ粒子を含む固形分と液体部分を分け、固形分をイオン交換水に再度分散させて、遠心分離を行った。液体の電導度が300μS/cm以下になるまで繰り返した。最終的に、固形分を20質量%含む銀ナノ粒子分散液7を得た。
得られた銀ナノ粒子分散液7における銀ナノ粒子の平均粒子径を前述と同様にして測定した結果、30nmであった。また、銀粉の熱重量分析を前述と同様にして行った結果、高分子分散剤が7質量%、銀固形分が93質量%であった。
1−2.水分散性樹脂の分散液の調製
<ウレタン系樹脂の分散液>
ネオペンチルグリコール、エチレングリコール、テレフタル酸、イソフタル酸及びアジピン酸を、56:4:1:21:18(質量比)で反応させて得られるポリエステルポリオール(分子量2000)580質量部と、トリメチロールプロパン15質量部と、メチルエチルケトン667質量部とを、十分に撹拌溶解させた。次いで、この溶液に、イソホロンジイソシアネート300質量部を加えて、75℃で1時間反応させた。反応終了後、60℃まで冷却し、ジメチロールプロピオン酸105質量部と、トリエチルアミン59質量部(ジメチロールプロピオン酸に対し0.6モル)とを加えて、75℃で反応させて、NCO含量が1.0%の末端イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー溶液を得た。このウレタンプレポリマーを40℃まで冷却して、水1857質量部を加え、ホモミキサーで高速撹拌し、乳化させた。この樹脂溶液を加熱減圧下、メチルエチルケトンを留去し、固形分30質量%のウレタン系樹脂の分散液を得た。
<ウレタン系樹脂の分散液>
ネオペンチルグリコール、エチレングリコール、テレフタル酸、イソフタル酸及びアジピン酸を、56:4:1:21:18(質量比)で反応させて得られるポリエステルポリオール(分子量2000)580質量部と、トリメチロールプロパン15質量部と、メチルエチルケトン667質量部とを、十分に撹拌溶解させた。次いで、この溶液に、イソホロンジイソシアネート300質量部を加えて、75℃で1時間反応させた。反応終了後、60℃まで冷却し、ジメチロールプロピオン酸105質量部と、トリエチルアミン59質量部(ジメチロールプロピオン酸に対し0.6モル)とを加えて、75℃で反応させて、NCO含量が1.0%の末端イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー溶液を得た。このウレタンプレポリマーを40℃まで冷却して、水1857質量部を加え、ホモミキサーで高速撹拌し、乳化させた。この樹脂溶液を加熱減圧下、メチルエチルケトンを留去し、固形分30質量%のウレタン系樹脂の分散液を得た。
<アクリル系樹脂の分散液>
攪拌機、温度計、冷却管、及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、溶媒としてのイソプロピルアルコール140gを仕込み、85℃に加熱した後、窒素ガスを導入しながら、メタクリル酸12.5g、メタクリル酸メチル60.5g、及びアクリル酸2−エチルヘキシル23gと反応開始剤(日本ヒドラジン工業(株)製「ABN−E」)4gとの混合物を2時間かけて滴下した。滴下後、さらに同温度を維持して2時間重合させ、その後、溶媒を減圧下で留去して、ガラス転移温度50℃の水溶性樹脂を得た。
次に、得られた水溶性樹脂96gを粉砕した後、モノマー組成から算出した水溶性樹脂が有するカルボキシル基と当量のアンモニアを溶解させた水140g中に添加して攪拌混合し、80℃で加熱溶解させて、固形分濃度40%の高分子乳化剤の水溶液(A)を得た。
攪拌機、温度計、冷却管、窒素ガス導入管を備えた四ツ口フラスコに、高分子乳化剤の水溶液(A)240g及び水90gを仕込み、窒素ガスを導入しながら、80〜85℃に保ち、メタクリル酸メチル86g、アクリル酸2−エチルヘキシル58gと、1%過硫酸アンモニウム水溶液60gとを、それぞれ別の滴下口から2時間かけて滴下した。滴下後、さらに同温度を維持して2.5時間乳化重合を行い、得られたエマルションを固形分濃度30%になるよう、水で希釈し、アクリル系樹脂の分散液を得た。
攪拌機、温度計、冷却管、及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、溶媒としてのイソプロピルアルコール140gを仕込み、85℃に加熱した後、窒素ガスを導入しながら、メタクリル酸12.5g、メタクリル酸メチル60.5g、及びアクリル酸2−エチルヘキシル23gと反応開始剤(日本ヒドラジン工業(株)製「ABN−E」)4gとの混合物を2時間かけて滴下した。滴下後、さらに同温度を維持して2時間重合させ、その後、溶媒を減圧下で留去して、ガラス転移温度50℃の水溶性樹脂を得た。
次に、得られた水溶性樹脂96gを粉砕した後、モノマー組成から算出した水溶性樹脂が有するカルボキシル基と当量のアンモニアを溶解させた水140g中に添加して攪拌混合し、80℃で加熱溶解させて、固形分濃度40%の高分子乳化剤の水溶液(A)を得た。
攪拌機、温度計、冷却管、窒素ガス導入管を備えた四ツ口フラスコに、高分子乳化剤の水溶液(A)240g及び水90gを仕込み、窒素ガスを導入しながら、80〜85℃に保ち、メタクリル酸メチル86g、アクリル酸2−エチルヘキシル58gと、1%過硫酸アンモニウム水溶液60gとを、それぞれ別の滴下口から2時間かけて滴下した。滴下後、さらに同温度を維持して2.5時間乳化重合を行い、得られたエマルションを固形分濃度30%になるよう、水で希釈し、アクリル系樹脂の分散液を得た。
1−3.溶媒
水
プロピレングリコール(沸点:188℃)
トリエチレングリコールモノメチルエーテル(沸点:248℃)
水
プロピレングリコール(沸点:188℃)
トリエチレングリコールモノメチルエーテル(沸点:248℃)
1−4.添加剤
BYK−348(ビックケミー製)(界面活性剤)
BYK−348(ビックケミー製)(界面活性剤)
2.インクの調製
<インク1〜15の調製>
表1に示されるような組成となるように各成分を混合した後、ADVATEC社製テフロン(「テフロン」はデュポン社の登録商標)3μmメンブランフィルターで濾過して、インク1〜15を調製した。
<インク1〜15の調製>
表1に示されるような組成となるように各成分を混合した後、ADVATEC社製テフロン(「テフロン」はデュポン社の登録商標)3μmメンブランフィルターで濾過して、インク1〜15を調製した。
得られたインク1〜15の保存安定性を、以下の方法で評価した。
(保存安定性)
インクを密閉容器中に入れて50℃30分間と5℃30分間のヒートサイクルを4回繰り返した後、インクの状態を観察した。また、このインクを用いて、線幅0.5ポイントの線を印刷した。そしてその線を目視にて観察して、下記の基準で評価した。
◎:銀ナノ粒子の沈降は見られない。線は、印刷開始時に全くかすれることなく、また印刷途中で途切れることもなく印刷できた。インクの保存安定性、吐出性は極めて良好であると評価した。
〇:銀ナノ粒子の沈降は見られない。線は、印刷開始時にかすれ気味であったが、途中で途切れることなく印刷できた。インクの保存安定性、吐出性は実用レベルに十分達していると評価した。
△:銀ナノ粒子がやや沈降しているが、容器を振ると、再分散した。また、線は、印刷開始時と印刷途中で一部、かすれ気味であった。インクの保存安定性、吐出性は若干劣るものの、実使用上は許容の範囲であると評価した。
×:銀ナノ粒子が沈降しており、容器を振っても再分散しない。印刷はできず、インクの保存安定性は極めて悪く、実使用に耐えないと評価した。
△以上を実用性ありと評価した。
インクを密閉容器中に入れて50℃30分間と5℃30分間のヒートサイクルを4回繰り返した後、インクの状態を観察した。また、このインクを用いて、線幅0.5ポイントの線を印刷した。そしてその線を目視にて観察して、下記の基準で評価した。
◎:銀ナノ粒子の沈降は見られない。線は、印刷開始時に全くかすれることなく、また印刷途中で途切れることもなく印刷できた。インクの保存安定性、吐出性は極めて良好であると評価した。
〇:銀ナノ粒子の沈降は見られない。線は、印刷開始時にかすれ気味であったが、途中で途切れることなく印刷できた。インクの保存安定性、吐出性は実用レベルに十分達していると評価した。
△:銀ナノ粒子がやや沈降しているが、容器を振ると、再分散した。また、線は、印刷開始時と印刷途中で一部、かすれ気味であった。インクの保存安定性、吐出性は若干劣るものの、実使用上は許容の範囲であると評価した。
×:銀ナノ粒子が沈降しており、容器を振っても再分散しない。印刷はできず、インクの保存安定性は極めて悪く、実使用に耐えないと評価した。
△以上を実用性ありと評価した。
3.画像形成物の評価
得られたインク1〜15を用いて、以下のようにして画像形成を行った。
得られたインク1〜15を用いて、以下のようにして画像形成を行った。
<画像形成物1及び2の作製>
(基材)
基材として、片面コロナ処理した2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(フタムラ化学社製、FE2001、厚み50μm)を、A4サイズにカットしたフィルムを準備した。
このフィルムのコロナ処理面に、プレコート剤(スーパーフレックス620:第一工業製薬株式会社製、カチオン性エステル系ポリウレタン樹脂、固形分30質量%)を、ワイヤバーで塗布した。プレコート剤の塗布は、乾燥後の塗布膜厚が2〜3μmの範囲になるように行い、プレコート剤の塗膜を室温で風乾させて、プレコート層を得た。
(基材)
基材として、片面コロナ処理した2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(フタムラ化学社製、FE2001、厚み50μm)を、A4サイズにカットしたフィルムを準備した。
このフィルムのコロナ処理面に、プレコート剤(スーパーフレックス620:第一工業製薬株式会社製、カチオン性エステル系ポリウレタン樹脂、固形分30質量%)を、ワイヤバーで塗布した。プレコート剤の塗布は、乾燥後の塗布膜厚が2〜3μmの範囲になるように行い、プレコート剤の塗膜を室温で風乾させて、プレコート層を得た。
(金属光沢層の形成)
ピエゾ型インクジェットノズルを有するインクジェット記録装置を用いて、それぞれの基材に画像を形成した。インクジェット記録装置は、インクタンク、インク供給配管、インクジェットヘッド直前のインク供給タンク、フィルター、及びピエゾ型のインクジェットヘッドを、インクが流通する上流側から下流側に向けて、この順で有していた。
インクジェットヘッドは、液滴量14pl、印字速度0.5m/sec、射出周波数10.5kHz、印字率100%となる条件で駆動して、インクの液滴を吐出して基材に着弾させベタ画像を形成した。次いで、記録媒体の表面温度が80℃となるように乾燥し、厚み0.25μmの金属光沢層を得た。
ピエゾ型インクジェットノズルを有するインクジェット記録装置を用いて、それぞれの基材に画像を形成した。インクジェット記録装置は、インクタンク、インク供給配管、インクジェットヘッド直前のインク供給タンク、フィルター、及びピエゾ型のインクジェットヘッドを、インクが流通する上流側から下流側に向けて、この順で有していた。
インクジェットヘッドは、液滴量14pl、印字速度0.5m/sec、射出周波数10.5kHz、印字率100%となる条件で駆動して、インクの液滴を吐出して基材に着弾させベタ画像を形成した。次いで、記録媒体の表面温度が80℃となるように乾燥し、厚み0.25μmの金属光沢層を得た。
(保護層の形成)
得られた金属光沢層上に、ラミネート用フィルムであるポリエステルフィルム(リンテック社製、PET16 PLシン 7LK)又はポリプロピレンフィルム(リンテック社製、PP20 PLシン 7LK)の粘着剤面を、ラミネーターにより100℃で貼り合わせて、表2に示される厚みの保護層を形成し、画像形成物1及び2を得た。
得られた金属光沢層上に、ラミネート用フィルムであるポリエステルフィルム(リンテック社製、PET16 PLシン 7LK)又はポリプロピレンフィルム(リンテック社製、PP20 PLシン 7LK)の粘着剤面を、ラミネーターにより100℃で貼り合わせて、表2に示される厚みの保護層を形成し、画像形成物1及び2を得た。
<画像形成物3〜16の作製>
(金属光沢層の形成)
インクの種類を表2に示されるものに変更した以外は画像形成物1における金属光沢層1の形成と同様にして金属光沢層を得た。
(金属光沢層の形成)
インクの種類を表2に示されるものに変更した以外は画像形成物1における金属光沢層1の形成と同様にして金属光沢層を得た。
(保護層の形成)
(保護層用樹脂組成物1の調製)
ダイヤナールBR−5(三菱レーヨン社製、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、重量平均分子量300000)を、THF/トルエン=4/1(体積比)の溶媒に10質量%となるように溶解させて、保護層用樹脂組成物1を得た。
(保護層用樹脂組成物1の調製)
ダイヤナールBR−5(三菱レーヨン社製、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、重量平均分子量300000)を、THF/トルエン=4/1(体積比)の溶媒に10質量%となるように溶解させて、保護層用樹脂組成物1を得た。
(保護層用樹脂組成物2の調製)
バイロン200(東洋紡社製、非晶性ポリエステル系樹脂、重量平均分子量17000)を、THF/トルエン=4/1(体積比)の溶媒に10質量%となるように溶解させて、保護層用樹脂組成物2を得た。
バイロン200(東洋紡社製、非晶性ポリエステル系樹脂、重量平均分子量17000)を、THF/トルエン=4/1(体積比)の溶媒に10質量%となるように溶解させて、保護層用樹脂組成物2を得た。
(保護層用樹脂組成物3の調製)
ビニブラン745(日信化学工業社製、塩化ビニル系水性エマルジョン、塩ビ/アクリル=1/1(質量比)、平均粒子径70nm、固形分30質量%)をそのまま塗布液として使用した。
ビニブラン745(日信化学工業社製、塩化ビニル系水性エマルジョン、塩ビ/アクリル=1/1(質量比)、平均粒子径70nm、固形分30質量%)をそのまま塗布液として使用した。
(保護層用樹脂組成物4の調製)
ポリトロンDRL5118(旭化成社製、アクリル系ラテックス、平均粒子径111nm、固形分38質量%)をそのまま樹脂組成物として使用した。
ポリトロンDRL5118(旭化成社製、アクリル系ラテックス、平均粒子径111nm、固形分38質量%)をそのまま樹脂組成物として使用した。
上記金属光沢層上に、表2に示される保護層用樹脂組成物を塗布した後、80℃で乾燥させて、保護層を形成し、画像形成物3〜16を得た。
得られた画像形成物1〜16の反射率(但し、保護層形成前)、色味の変化、密着性及び耐久性を、それぞれ以下の方法で評価した。
(反射率)
上記方法で形成した金属光沢層について、分光光度計U4100を用いて、450nm〜650nmの範囲で10nmおきの各波長での反射率を測定し、それらの平均値を求めて、下記基準で評価した。
◎:上記平均値が50%以上
〇:上記平均値が50%未満40%以上
△:上記平均値が40%未満30%以上
×:上記平均値が30%未満
△以上を実用性ありと評価した。
上記方法で形成した金属光沢層について、分光光度計U4100を用いて、450nm〜650nmの範囲で10nmおきの各波長での反射率を測定し、それらの平均値を求めて、下記基準で評価した。
◎:上記平均値が50%以上
〇:上記平均値が50%未満40%以上
△:上記平均値が40%未満30%以上
×:上記平均値が30%未満
△以上を実用性ありと評価した。
(色味の変化)
得られた画像形成物を目視観察した。そして、光輝性を、以下の基準に基づいて評価した。
◎:金属光沢層のみと比べて、光輝性および色味変化が無く、保護層による影響が見られない。
○:金属光沢層のみと比べて、光輝性又は色味変化が僅かにあり、保護層による影響が僅かに見られるが、実使用上問題なし。
△:金属光沢層のみと比べて、光輝性の低下若しくは色味変化があり、保護層による影響が見られるが、実使用に耐え得る許容範囲である。
×:金属光沢層のみと比べて、光輝性が劣り、更に色味変化があり、保護層による影響が明らかに見られ、実使用上問題あり。
△以上を実用性ありと評価した。
得られた画像形成物を目視観察した。そして、光輝性を、以下の基準に基づいて評価した。
◎:金属光沢層のみと比べて、光輝性および色味変化が無く、保護層による影響が見られない。
○:金属光沢層のみと比べて、光輝性又は色味変化が僅かにあり、保護層による影響が僅かに見られるが、実使用上問題なし。
△:金属光沢層のみと比べて、光輝性の低下若しくは色味変化があり、保護層による影響が見られるが、実使用に耐え得る許容範囲である。
×:金属光沢層のみと比べて、光輝性が劣り、更に色味変化があり、保護層による影響が明らかに見られ、実使用上問題あり。
△以上を実用性ありと評価した。
(密着性)
得られた画像形成物の表面に、2mmマスの碁盤目状に100マス切り込みを入れ、粘着テープを貼り付けて、テープ剥離テストを行った。粘着テープには、幅25mm当たり付着強さ10±1Nの粘着テープ(TQC ISO付着テープ)を使用した。
当該碁盤目状部分にテープを十分に密着させ、90°の角度で剥がした。テープ剥離テスト後の、塗膜の残存部分の面積比率から、◎(100%残存)、○(70%以上100%未満残存)、△(40%以上70%未満残存)、×(残存40%未満)の4段階の判定を下した。
○以上を実用性ありと評価した。
得られた画像形成物の表面に、2mmマスの碁盤目状に100マス切り込みを入れ、粘着テープを貼り付けて、テープ剥離テストを行った。粘着テープには、幅25mm当たり付着強さ10±1Nの粘着テープ(TQC ISO付着テープ)を使用した。
当該碁盤目状部分にテープを十分に密着させ、90°の角度で剥がした。テープ剥離テスト後の、塗膜の残存部分の面積比率から、◎(100%残存)、○(70%以上100%未満残存)、△(40%以上70%未満残存)、×(残存40%未満)の4段階の判定を下した。
○以上を実用性ありと評価した。
(耐久性)
得られた画像形成物について、以下の硫黄暴露試験を行い、硫化耐性(耐久性)を評価した。
即ち、密閉可能なガラス瓶内に、硫黄粉末を入れたシャーレを置いた。次いで、得られた画像形成物を硫黄粉末の入ったシャーレから10cm離した位置に置き、容器を密閉した。そして、容器を80℃で19時間加熱し、画像形成物を硫黄蒸気雰囲気下に曝露した。その後、ガラス瓶から画像形成物を取出し、可視光領域での反射率の変化を測定した。
そして、反射率からL*、a*、b*を算出し、以下の式に当てはめて色差ΔE*を算出した。
ΔE*=〔(ΔL*)2+(Δa*)2+(Δb*)2〕1/2
そして、以下の基準で評価した。
◎:ΔE*が3未満
○:ΔE*が3以上5未満
△:ΔE*が5以上10未満
×:ΔE*が10以上
色差ΔE*の値が大きいほど、反射率と色味の変化が大きく、金属光沢層中の銀ナノ粒子の硫化が進行していることを意味する。
○以上を実用性ありと判断した。
得られた画像形成物について、以下の硫黄暴露試験を行い、硫化耐性(耐久性)を評価した。
即ち、密閉可能なガラス瓶内に、硫黄粉末を入れたシャーレを置いた。次いで、得られた画像形成物を硫黄粉末の入ったシャーレから10cm離した位置に置き、容器を密閉した。そして、容器を80℃で19時間加熱し、画像形成物を硫黄蒸気雰囲気下に曝露した。その後、ガラス瓶から画像形成物を取出し、可視光領域での反射率の変化を測定した。
そして、反射率からL*、a*、b*を算出し、以下の式に当てはめて色差ΔE*を算出した。
ΔE*=〔(ΔL*)2+(Δa*)2+(Δb*)2〕1/2
そして、以下の基準で評価した。
◎:ΔE*が3未満
○:ΔE*が3以上5未満
△:ΔE*が5以上10未満
×:ΔE*が10以上
色差ΔE*の値が大きいほど、反射率と色味の変化が大きく、金属光沢層中の銀ナノ粒子の硫化が進行していることを意味する。
○以上を実用性ありと判断した。
表2に示されるように、金属ナノ粒子と、高分子分散剤と、水分散性樹脂の含有比率が前述の式(1)の範囲内である画像形成物1〜9、11、12及び16は、いずれも良好な反射率、密着性及び耐久性を有しつつ、色味の変化を抑制できることがわかる。
特に、酸性基を有する高分子分散剤は、酸性基を有しない高分子分散剤よりも、インクの保存安定性が高く、保護層の形成に伴う色味の変化もさらに少なくしうることがわかる(インク10と6との対比、画像形成物11と6との対比)。酸性基を有する高分子分散剤を用いることで、金属ナノ粒子の分散安定性が高まり、水分散性樹脂との親和性が高まりやすいため、金属ナノ粒子が十分には固定されやすいからであると考えられる。
また、高分子分散剤の酸価が150mgKOH/g以下であると、色味の変化が一層抑制され、且つ耐久性も一層高まることがわかる(画像形成物6、8及び12の対比)。これは、酸価が低いほうが、(酸価に寄与しない)立体反発基の割合が多いことから、金属光沢層と保護層との親和性が一層高まり、界面の乱れが生じにくいからであると考えられる。
また、高分子分散剤をくし型コポリマーとすることで、色味の変化をより少なくしうることがわかる(画像形成物8、12及び16の対比)。
また、保護層を塗布で形成するほうが、ラミネートで形成するよりも、色味の変化がより少ないことがわかる(画像形成物1〜2と3〜6との対比)。これは、ラミネート用フィルムを用いた場合は、ラミネート用フィルムと金属光沢層との間に粘着剤層が存在し、光学損失が生じやすいのに対し、塗布の場合はそのような層が存在せず、光学損失が生じにくいためであると考えられる。
これに対して、金属ナノ粒子と、高分子分散剤と、水分散性樹脂の含有比率が前述の式(1)の上限値を超える画像形成物15、及び水分散性樹脂を含まないインク12を用いた画像形成物13は、いずれも密着性が低く、且つ色味の変化が顕著に生じることがわかる。これは、金属光沢層中で樹脂成分が少ないため、金属ナノ粒子が十分に固定されないからであると考えられる。また、低分子分散剤を含むインク9を用いた画像形成物10は、特に色味の変化が大きいことがわかる。これは、以下の理由によると考えられる。即ち、低分子分散剤では金属ナノ粒子の分散安定性が悪く、凝集しやすいため、水分散性樹脂との親和性が得られにくい。それにより、均一な塗膜形成ができず、金属ナノ粒子が十分には固定されないことから、保護層の形成に伴う色味の変化も生じやすいと考えられる。
本出願は、2017年7月28日出願の特願2017−146756に基づく優先権を主張する。当該出願明細書に記載された内容は、すべて本願明細書に援用される。
本発明によれば、金属光沢層の表面に保護層を付与することによる金属光沢感(色味)の変化又は劣化を抑制しうる画像形成方法、画像形成物及びインクジェットインクを提供することができる。
Claims (12)
- 基材上にインクジェットインクを付与して、金属光沢層を形成する工程と、
前記金属光沢層上に接し、且つ樹脂を含む保護層を形成する工程とを含む画像形成方法であって、
前記インクジェットインクは、
金属ナノ粒子と、前記金属ナノ粒子の表面に吸着した高分子分散剤と、水分散性樹脂と、水を含む溶媒とを含み、
前記金属ナノ粒子の含有量をM1(質量%)、前記高分子分散剤の含有量をM2(質量%)、前記水分散性樹脂の含有量をM3(質量%)としたとき、下記式(1)の関係を満たす、画像形成方法。
式(1):1.5≦M1/(M2+M3)≦20 - 前記高分子分散剤の酸価は、5mgKOH/g以上200mgKOH/g以下である、請求項1に記載の画像形成方法。
- 前記高分子分散剤は、主鎖と、前記主鎖と結合した複数の側鎖とを含むくし型ポリマーであって、前記主鎖及び/又は前記複数の側鎖の少なくとも一部が、前記金属ナノ粒子の表面に吸着するための吸着基を含み、前記複数の側鎖の少なくとも一部が、溶媒和部分を構成する基を含む、請求項1又は2に記載の画像形成方法。
- 前記高分子分散剤は、(メタ)アクリル酸由来の構造単位、(メタ)アクリル酸誘導体由来の構造単位、マレイン酸由来の構造単位、及びマレイン酸誘導体由来の構造単位からなる群より選ばれる一以上を含む、請求項3に記載の画像形成方法。
- 前記水分散性樹脂は、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、及び酢酸ビニル系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の画像形成方法。
- 前記金属ナノ粒子は、銀ナノ粒子である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の画像形成方法。
- 前記高分子分散剤の含有量M2(質量%)と、前記水分散性樹脂の含有量M3(質量%)との比M2/M3は、下記式(2)の関係を満たす、請求項1〜6のいずれか一項に記載の画像形成方法。
式(2): 0.05≦M2/M3≦3.0 - 前記保護層に含まれる樹脂は、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、及び塩化ビニル系樹脂からなる群より選ばれる、請求項1〜7のいずれか一項に記載の画像形成方法。
- 前記保護層の厚みは、1μm以上20μm以下である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の画像形成方法。
- 前記保護層は、液状の樹脂組成物を付与した後、乾燥させて形成されるか、又はフィルム状の樹脂組成物を熱圧着して形成される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の画像形成方法。
- 基材と、前記基材上に設けられた金属光沢層と、前記金属光沢層上に接して設けられ、且つ樹脂を含む保護層とを有する画像形成物であって、
前記金属光沢層は、金属ナノ粒子と、高分子分散剤と、水分散性樹脂とを含み、
前記金属ナノ粒子の含有量をM1(質量%)、前記高分子分散剤の含有量をM2(質量%)、前記水分散性樹脂の含有量をM3(質量%)としたとき、下記式(1)の関係を満たす、画像形成物。
式(1):1.5≦M1/(M2+M3)≦20 - 金属ナノ粒子と、前記金属ナノ粒子の表面に吸着した高分子分散剤と、水分散性樹脂と、水を含む溶媒とを含み、
前記金属ナノ粒子の含有量をM1(質量%)、前記高分子分散剤の含有量をM2(質量%)、前記水分散性樹脂の含有量をM3(質量%)としたとき、下記式(1)の関係を満たす、インクジェットインク。
式(1):1.5≦M1/(M2+M3)≦20
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