JP2013203923A - インク組成物 - Google Patents

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賢治 下山
Takuya Tonomura
卓也 外村
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Abstract

【課題】十分な耐スクラッチ性及び耐候性を備えた光沢性を有する被膜を形成するのに最適な分散安定性に優れるインク組成物を提供する。
【解決手段】金属粒子を含む金属コロイドと、樹脂及び乳化剤を含むノニオン性樹脂エマルジョンと、を含有し、前記金属粒子に対する前記樹脂エマルジョンの含有量が2.5〜125質量%であること、を特徴とするインク組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、良好な鏡面光沢性を付与することができ、例えば、ディスプレイ用部材、光学用部材、照明用部材、医療用部材、自動車用部材、コーティング用部材、包装用部材、建築用部材等の、意匠材料や光学材料としての利用に適するインク組成物に関する。
意匠性が必要とされる装飾分野及び光学分野においては鏡面光沢膜が用いられている。このような鏡面光沢膜としては、一般的には真空蒸着法、スパッタリング法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法等の乾式成膜技術により形成される金属薄膜が用いられている。
これらに対し、より簡便な方法により鏡面光沢膜を得ることができる技術として、例えば特許文献1(特開2003−292836号公報)において、金属コロイドを顔料として含んだインクを塗布、乾燥することにより鏡面光沢膜を形成する方法が提案されている。
上記特許文献1において提案されている方法では、十分な耐スクラッチ性及び耐候性を有する鏡面光沢膜が得られないのに対し、例えば特許文献2〜4(特許第3734790号明細書、特許第3594803号明細書及び特開2001−325831号公報)においては、金属コロイドを含有するインク組成物において、水溶性樹脂及び樹脂エマルジョンの添加を行って耐スクラッチ性及び耐候性を付与する方法が提案されている。
特開2003−292836号公報 特許第3734790号明細書 特許第3594803号明細書 特開2001−325831号公報
しかしながら、上記のような従来技術によっても、十分な耐スクラッチ性及び耐候性を備えた光沢性を有する被膜(鏡面光沢膜)を形成するのに最適な分散安定性(保存安定性)に優れるインク組成物は実現していない。
即ち、上記特許文献2に記載の技術では、固着性樹脂として「溶剤に溶解する樹脂」が添加されているため、インク組成物の高粘度化が引き起こされ、インクジェットやフレキソ印刷等の印刷装置での取り扱いが困難である。
また、上記特許文献3に記載の技術により得られる塗膜は、金属コロイドに対する樹脂エマルジョンの含有量が多いため、塗膜表面の有機分体積が多くなり、金属粒子の密度低下が引き起こされ、鏡面光沢膜が得られない。
上記特許文献4に記載の技術においては、樹脂エマルジョンの種類が特定されておらず、インク組成物中で金属コロイドと樹脂エマルジョンが共存した場合、樹脂エマルジョンの種類によっては金属コロイドとイオン性の相互作用が働き鏡面光沢性に劣る塗膜が形成されてしまい、また、金属コロイドと樹脂エマルジョン間のイオン性の相互作用によりコロイドの凝集・沈殿が発生して分散安定性に劣る。
加えて、上記特許文献1〜4に記載の技術を組み合わせたとしても、耐スクラッチ性と耐候性を備えた光沢性を有する被膜を形成しながら、実質的に使用可能な程度に分散安定性に優れるインク組成物は得られない。
そこで、本発明の目的は、十分な耐スクラッチ性及び耐候性を備えた光沢性を有する被膜を形成するのに最適な分散安定性に優れるインク組成物を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成すべくインク組成物に用いる金属コロイド及び樹脂エマルジョンの各成分について鋭意研究を重ねた結果、十分な耐スクラッチ性及び耐候性を備えた光沢性を有する被膜を形成するのに最適な分散安定性に優れるインク組成物を得るためには、ノニオン性樹脂エマルジョンを用い、前記金属粒子に対する前記樹脂エマルジョンの含有量が2.5〜125質量%であることが極めて有効であることを見出し、本発明に到達した。
即ち、本発明は、
金属粒子を含む金属コロイドと、
ノニオン性樹脂エマルジョンと、を含有し、
前記金属粒子に対する前記樹脂エマルジョンの含有量が2.5〜125質量%であること、
を特徴とするインク組成物を提供する。
上記の本発明のインク組成物に含まれる金属コロイドは、金属粒子を主成分とする固形分と、当該固形分を分散するコロイド形成分散媒と、を含むものであり、「コロイド形成分散媒」は上記固形分をコロイド状に分散させるものである。上記固形分の一部は「コロイド形成分散媒」に溶解していてもよい。なお、「主成分」とは、構成成分のうちの最も含有量の多い成分のことをいう。
また、上記の本発明のインク組成物に含まれる樹脂エマルジョンは、樹脂(粒子)及び乳化剤を含む強制的に乳化した強制乳化型と、樹脂に親水性基又は親水性セグメントを付与し分散させた自己乳化型と、のいずれであってもよい。また、強制乳化型樹脂エマルジョンの「乳化剤」及び自己乳化型樹脂エマルジョンの「親水性基又は親水性セグメント」はノニオン性であり、上記樹脂とともに「ノニオン性エマルジョン」を形成するものであればよい。
本発明のインク組成物においては、金属粒子に対する樹脂エマルジョンの含有量が2.5〜125質量%である。金属粒子に対する樹脂エマルジョンの含有量が2.5質量%未満であると、十分な耐スクラッチ性及び耐候性が得られず、金属粒子に対する樹脂エマルジョンの含有量が125質量%超であると、得られる被膜中の樹脂体積の増加により金属粒子密度が低下して光沢性が低下してしまう。
このような構成を有する本発明のインク組成物は、メカニズム等の明確な理由は定かではないが、金属コロイド及びノニオン性の樹脂エマルジョンを含んでいるため、インク組成物中での金属粒子の分散性を向上させることができ、十分な耐スクラッチ性及び耐候性を備えた光沢性を有する被膜を形成するのに最適な分散安定性に優れるインク組成物を実現するものである。
即ち、カチオン性の樹脂エマルジョンと金属コロイドが共存するとイオン性相互作用による引力が働き金属コロイドが凝集して粗大粒子が形成される。粗大粒子により被膜の平滑性が損なわれるため光沢性が低下する。他方、アニオン性の樹脂エマルジョンと金属コロイドが共存するとイオン性相互作用による斥力が働き、樹脂エマルジョンが被膜上に均一に分散する。その均一に存在する樹脂エマルジョンによって金属粒子密度の低下を引き起こすため光沢性が低下する場合がある。これに対し、本発明のインク組成物においては、ノニオン性の樹脂エマルジョンを使用するため、上記のようなイオン性相互作用を原因とする光沢性の低下を引き起こさず、高い光沢性を保持しつつ十分な耐スクラッチ性及び耐候性を付与することができるのである。
また、本発明のインク組成物は金属粒子の分散性に優れるため、当該インク組成物を基材上に塗布した場合には、金属粒子が凝集しにくく良好に分散した状態で基材上に塗布されるため、金属粒子と基材の接触点が増し、更に、乾燥、焼成によって、金属粒子同士がより緻密にパッキングされた状態で含まれる被膜が形成され、よって、当該被膜は光沢性、耐スクラッチ性及び耐候性に優れるものと考えられる。
本発明における「分散安定性」とは、インク組成物の調製後に一定期間が経過した後、インク組成物中での固形分(即ち、金属粒子乃至は金属コロイド粒子)の分散状態が優れているか否か(均一か否か)を示すものであり、「保存安定性」ともいえる指標である。この「分散安定性」の評価方法は、後述の実施例において詳細に説明するが、調製したインク組成物を室温で一定期間静置し、固形分(即ち、金属粒子乃至は金属コロイド粒子)の沈殿の有無及び上澄みの状態を目視で観察することにより評価することができる。
なお、インク組成物の「固形分」とは、インク組成物から、例えばアルコール添加や遠心分離による凝集、沈降及びデカンテーション、加熱蒸発、によるアルコールや分散媒の除去の後に得られ、金属粒子で構成されるコロイド粒子を主成分とし、通常、金属粒子の他、残存有機物及び残留還元剤等を含む場合もある。
また、本発明のインク組成物を用いて形成される被膜はいわゆる「鏡面光沢膜」であり、本発明は当該被膜にも関する。当該被膜の「光沢性」は、色差計(CC−i)を用いて計測し、lab色空間座標にて数値化して得られる。
また、本発明の被膜の「耐スクラッチ性」は、上記被膜の表面を綿棒で軽い力で押圧しながら擦過し、当該被膜が剥がれるか否かにより評価することができる指標であり、本発明の被膜の「耐候性」は、上記被膜を自然光のもとで静置して一定期間自然光に暴露した後の、上記光沢性の変化率で表される指標である。
上記本発明のインク組成物は、更に高分子分散剤を含有すること、が好ましい。
このような構成によれば、高分子分散剤が金属粒子同士の電気的及び物理的な原因で生成する合体・凝集の阻止に有効に働いて分散安定性に寄与することから、金属粒子を必要量のみを添加して十分な本発明の効果を得ることができる。また、後添加するのみであるので、様々な合成方法で合成された金属コロイドに適用できる。
上記本発明のインク組成物においては、前記金属粒子に対する前記高分子分散剤の含有量が12.5〜50質量%であること、が好ましい。
前記金属粒子に対する前記高分子分散剤の含有量が12.5質量%以上であれば、金属粒子の凝集が発生しにくく分散安定性を十分に確保することができ、インク組成物の保存安定性が良好である。また、前記金属粒子に対する前記高分子分散剤の含有量が50質量%以下であれば、高分子分散剤の体積により被膜中の金属密度が低下することなく光沢性が良好である。
本発明によれば、十分な耐スクラッチ性及び耐候性を備えた光沢性を有する被膜を形成するのに最適な分散安定性に優れるインク組成物を得ることができる。
以下、本発明のインク組成物の具体的な実施の形態について詳細に説明する。また、前記インク組成物の製造方法、及び、前記インク組成物を用いた被膜の製造方法についても説明する。なお、以下の説明では、本発明の一実施形態を示すに過ぎずこれらによって本発明が限定されるものではなく、また、重複する説明は省略することがある。
本発明のインク組成物は、(1)金属粒子を含む金属コロイド、及び(2)ノニオン性樹脂エマルジョン、を含有する。以下、これら金属コロイド及び樹脂エマルジョンについて説明する。
(1)金属コロイド(金属粒子及びコロイド形成分散媒を含む金属コロイド分散液)
まず、本発明のインク組成物を構成する金属コロイドの好適な実施形態について説明する。本実施形態の金属コロイドは、金属粒子及びコロイド形成分散媒を含む金属コロイド分散液を調製して得ることができるものである。
金属コロイドの金属粒子としては、特に限定されるものではないが、金属コロイドを用いて得られる被膜の導電性を良好にすることができるため、亜鉛よりもイオン化傾向が小さい(貴な)金属であるのが好ましい。
かかる金属としては、例えば金、白金、銀、銅、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、オスミウム、スズ、ニッケル及び鉄等が挙げられる。上記金属としては、更には、銅又は銅よりもイオン化傾向が小さい(貴な)金属、即ち金、銀、白金、パラジウムが好ましく、より好ましくは金、銀である。これらはそれぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。併用する方法としては、複数の金属を含む合金粒子を用いる場合や、コア−シェル構造や多層構造を有する金属粒子を用いる場合がある。
金属コロイドにおける金属粒子(乃至は金属コロイド粒子)の平均粒径は、本発明の効果を損なわない範囲であれば特に制限されるものではないが、粒径で、0.7〜1000nmであればよく、1〜200nmであるのが好ましく、更には、2〜100nmであるのがより好ましい。
金属粒子の平均粒径が0.7nm以上であれば、良好な被膜を形成可能なインク組成物が得られ、金属粒子製造がコスト高とならず実用的である。また、1000nm以下であれば、金属粒子の分散性が経時的に変化しにくく、好ましい。インクジェット法で吐出する場合には、大きな粒子が吐出の妨げになることがあるため、より好ましくは500nm以下、更に好ましくは200nm以下である。
なお、金属コロイド分散液における金属粒子の粒径は固形分濃度によって変動し、一定とは限らない。また、金属コロイド分散液が、任意成分として、後述する樹脂成分、有機溶剤、増粘剤又は表面張力調整剤等を含む場合、平均粒径が1000nm超の金属コロイド粒子成分を含む場合があるが、沈降を生じたり、特にインクジェットの吐出の妨げになったりせず、本発明の効果を著しく損なわない範囲であればかかる1000nm超の平均粒径を有する粒子成分を含んでもよい。
ここで、金属コロイドにおける金属粒子の粒径は、例えば動的光散乱法又は小角X線散乱法で測定することができる。小角X線散乱法を用いる場合、より具体的には、理学電機(株)製のRINT−UltimaIIIを用いて、透過法で2θが0.1〜4°の範囲で測定すればよい。試料は、X線が透過する薄いポリイミドを貼ったアクリル樹脂製の自家製セルに金属コロイド分散液を入れて作製すればよい。また、理学電機(株)製のNanoSolver(Ver.3.4)を用い、得られた散乱スペクトルを用いて、球を散乱体モデルとしてフィッティングすることにより算出された平均サイズを粒径とすればよい。
次に、金属コロイドを形成するために用いるコロイド形成分散剤としては、適当な溶媒に溶解し、分散効果を示すものであれは特に限定されず、例えば、クエン酸三ナトリウム、クエン酸三カリウム、クエン酸三リチウム、りんご酸二ナトリウム、酒石酸二ナトリウム、グリコール酸ナトリウム等のイオン性化合物;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物等の界面活性剤;ゼラチン、アラビアゴム、アルブミン、ポリエチレンイミン、ポリビニルセルロース、アルカンチオール等の高分子化合物等を挙げることができる。これらはそれぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
金属コロイドを製造する方法としては、例えば、まず上記金属(コロイド)粒子を含む溶液(金属コロイド分散液)を調製し、次いで、その溶液の洗浄を行う方法等が挙げられる。上記金属コロイド粒子を含む溶液を調製する方法としては、化学還元法による方法であれば特に限定されず、例えば、上記コロイド形成分散媒を用いて溶液中に分散させた金属塩(金属イオン)を、何らかの方法により還元させればよい。
上記金属塩としては、適当な溶媒中に溶解でき、何らかの手段で還元できるものであれば特に限定されず、例えば、硝酸銀、硫酸銀、塩化銀、酸化銀、酢酸銀、亜硝酸銀、塩素酸銀、硫化銀等の銀塩;塩化金酸、塩化金カリウム、塩化金ナトリウム等の金塩;塩化白金酸、塩化白金、酸化白金、塩化白金酸カリウム等の白金塩;硝酸パラジウム、酢酸パラジウム、塩化パラジウム、酸化パラジウム、硫酸パラジウム等のパラジウム塩、その他の白金属塩等を挙げることができる。これらはそれぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
上記金属塩を還元させる方法としては特に限定されず、還元剤を用いて還元させてもよく、UV等の光、電子線、熱エネルギーを用いて還元させてもよい。上記還元剤としては適当な溶媒に溶解し、上記塩類を還元させることができるものであれば特に限定されず、例えば、ジメチルアミノエタノール、メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、フェニドン、ヒドラジン等のアミン化合物;水酸化ホウ素ナトリウム、ヨウ化水素、水素ガス等の水素化合物;一酸化炭素、亜硫酸等の酸化物;硫酸第一鉄、塩化鉄、フマル酸鉄、乳酸鉄、シュウ酸鉄、硫化鉄、酢酸錫、塩化錫、二リン酸錫、シュウ酸錫、酸化錫、硫酸錫等の低原子価金属塩;ホルムアルデヒド、ハイドロキノン、ピロガロール、タンニン、タンニン酸、サリチル酸、D−グルコース等の糖等の有機化合物等を挙げることができる。これらはそれぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。また、これらの化合物を使用する際には、光や熱を加えて還元反応を促進させてもよい。
上記金属塩、コロイド形成分散媒及び還元剤を用いて金属コロイド粒子を含む溶液(金属コロイド分散液)を製造する方法としては、例えば、上記金属塩を純水等に溶かして金属塩溶液を調製し、その金属塩溶液を徐々にコロイド形成分散媒と還元剤とが溶解した水溶液中に滴下する方法等を挙げることができる。
上記のようにして得られた金属コロイド粒子を含む溶液(金属コロイド分散液)中には、金属コロイド粒子の他に、還元剤の残留物や分散剤が存在しており、液全体の電解質濃度が高い場合がある。このような状態の液は、電導度が高いので、金属コロイド粒子の凝析が起こり、沈殿し易い。上記金属コロイドを含む溶液を洗浄して余分な電解質を取り除くことにより、電導度が10mS/cm以下の金属コロイド分散液を得ることができる。
上記洗浄の方法としては、例えば、得られた金属コロイド粒子を含む溶液を一定期間静置し、生じた上澄み液を取り除いた上で、純水を加えて再度攪拌し、更に一定期間静置して生じた上澄み液を取り除く工程を幾度か繰り返す方法、上記の静置の代わりに遠心分離を行う方法、限外濾過装置やイオン交換装置等により脱塩する方法等を挙げることができる。なかでも、脱塩する方法が好ましい。また、脱塩等により電導度を10mS/cm以下とした液は、適宜濃縮してもよい。
また、複数の金属からなる混合金属コロイド分散液を作製する方法としては、特に限定されず、例えば、銀とその他の金属とからなる混合金属コロイド分散液を作製する場合には、上記の方法にて、銀コロイド分散液とその他の金属のコロイド分散液とを別々に作製し、その後混合して混合金属コロイド分散液としてもよく、銀イオン溶液とその他の金属イオン溶液とを混合し、その後に還元してもよい。
本発明のインク組成物においては、金属粒子(金属コロイド粒子)の、インク組成物の全量に対する含有割合が、1〜50質量%(特に好ましくは1〜20質量%)であるのが好ましい。金属粒子の、インク組成物の全量に対する含有割合が、1重量%以上であれば、得られる被膜が適度な厚みを有し光沢性が得られる。金属粒子の、インク組成物の全量に対する含有割合が、50質量%以下であれば、粘度が高くなり過ぎず、インク組成物の取扱いが容易である。
(2)樹脂エマルジョン
次に、本発明のインク組成物を構成する樹脂エマルジョンの好適な実施形態について説明する。本実施形態の樹脂エマルジョンは、樹脂(粒子)及び乳化剤を含むノニオン性の樹脂エマルジョンである。
上記樹脂としては特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンワックス、パラフィン、ウレタン、カルボネート−ウレタン、エステル−ウレタン、エーテル−ウレタン、エステルウレタン、アクリル、スチレン−アクリル、及びシリコン−アクリル等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
樹脂エマルジョンは、一般のエマルジョンの他、ワックスエマルジョン及びディスパージョン(分散液)の形態であってもよい。なかでも特に好ましくは、ポリエチレン樹脂エマルジョン、ポリプロピレン樹脂エマルジョン及びウレタン樹脂エマルジョンである。
強制乳化型樹脂エマルジョンに含まれる乳化剤としては、得られる樹脂エマルジョンがノニオン性となるものであれば特に制限はなく、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレングリコール、ポリオキシエチレンアルケート、ソルビタンアルケート、ポリオキシエチレンソルビタンアルケート、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体等のノニオン乳化剤等を挙げることができる。
また、自己乳化型樹脂エマルジョンの「親水性基又は親水性セグメント」としては、得られる樹脂エマルジョンがノニオン性となるものであれば特に制限はなく、例えばポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基、ポリオキシブチレン基等が挙げられる。
上述のように、本発明のインク組成物においては、ノニオン性の樹脂エマルジョンを使用するため、カチオン性樹脂エマルジョン又はアニオン性樹脂エマルジョンを用いる場合のように、イオン性相互作用を原因とする光沢性の低下を引き起こさず、高い光沢性を保持しつつ十分な耐スクラッチ性及び耐候性を付与することができるのである。
また、本発明においては、樹脂エマルジョンに含まれる樹脂の溶融温度が100℃以上であることが望ましい。樹脂の溶融温度が100℃以上であることで、得られる被膜の耐スクラッチ性及び耐候性をより向上させることができる。
このようなノニオン性樹脂エマルジョンは、常法により調製することができ、市販のものとして、例えば、第一工業製薬(株)のSF−500M、DIC(株)製のボンディック2220、東邦化学工業(株)製のハイテックE−8237、E−9015、P−5060及びP−9018、並びにビックケミー・ジャパン(株)製のAQUACER−515及びAQUACER−552(社製)等のエマルジョン、ワックスエマルジョン及びディスパージョンを挙げることができる。
本発明のインク組成物においては、上記のように、金属粒子に対する樹脂エマルジョンの含有量が2.5〜125質量%である。金属粒子に対する樹脂エマルジョンの含有量が2.5質量%未満であると、十分な耐スクラッチ性及び耐候性が得られず、金属粒子に対する樹脂エマルジョンの含有量が125質量%超であると、得られる被膜中の樹脂体積の増加により金属粒子密度が低下して光沢性が低下してしまう。
(3)その他の成分
本発明のインク組成物は、上記の各成分の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、種々の特性や機能を持たせるために、任意の成分を含んでいてもよい。
なかでも、上記本発明のインク組成物は、更に高分子分散剤を含有すること、が好ましい。高分子分散剤が金属粒子同士の電気的及び物理的な原因で生成する合体・凝集の阻止に有効に働いて分散安定性に寄与することから、金属粒子を必要量のみを添加して十分な本発明の効果を得ることができるからである。また、後添加するのみであるので、様々な合成方法で合成された金属コロイドに適用できるからである。
高分子分散剤を用いる場合、上記本発明のインク組成物中、前記金属粒子に対する前記高分子分散剤の含有量が12.5〜50質量%であること、が好ましい。前記金属粒子に対する前記高分子分散剤の含有量が12.5質量%以上であれば、金属粒子の凝集が発生しにくく分散安定性を十分に確保することができ、インク組成物の保存安定性が良好である。また、前記金属粒子に対する前記高分子分散剤の含有量が50質量%以下であれば、高分子分散剤の体積により被膜中の金属密度が低下することなく光沢性が良好である。
かかる高分子分散剤は、高分子重合体に金属コロイド表面に対する親和性の高い官能基が導入されている両親媒性の共重合体である。通常は、顔料ペーストの製造時に顔料分散剤として使用されているものである。具体的には、例えば、ポリウレタン系重合体、ポリ(メタ)アクリレート系重合体、ポリエステル系重合体、ポリエーテル系重合体、ポリアミド系重合体、及びこれらの共重合体等を挙げることができる。これらはそれぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
このような高分子分散剤として使用できる市販のものとして、例えば、ゼネカ社製のソルスパース20000、ソルスパース24000、ソルスパース26000、ソルスパース27000及びソルスパース28000;ビックケミー・ジャパン(株)製のディスパービック160、ディスパービック161、ディスパービック162、ディスパービック163、ディスパービック166、ディスパービック170、ディスパービック180、ディスパービック182、ディスパービック184及びディスパービック190;EFKAケミカル社製のEFKA−46、EFKA−47、EFKA−48及びEFKA−49;EFKAケミカル社製のポリマー100、ポリマー120、ポリマー150、ポリマー400、ポリマー401、ポリマー402、ポリマー403、ポリマー450、ポリマー451、ポリマー452及びポリマー453;共栄社化学(株)製のフローレンG−700AMP, フローレンG-700DMEA、フローレンWK−13E、フローレンGW−1500、フローレンGW−1640等を挙げることができる。
本発明のインク組成物には、上記の成分に加えて、本発明の効果を損なわない範囲で、密着性、乾燥性又は印刷性等の機能を付与するために、例えばバインダーとしての役割を果たすオリゴマー成分、樹脂成分、有機溶剤(固形分の一部を溶解又は分散していてよい。)、界面活性剤、増粘剤又は表面張力調整剤等の任意成分を添加してもよい。かかる任意成分としては、特に限定されない。
樹脂成分としては,例えば、ポリエステル系樹脂、ブロックドイソシアネート等のポリウレタン系樹脂、ポリアクリレート系樹脂、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、メラミン系樹脂又はテルペン系樹脂等を挙げることができ、これらはそれぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
有機溶剤としては、上記のコロイド形成分散媒として挙げられたものを除き、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、2−プロピルアルコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1−エトキシ−2−プロパノール、2−ブトキシエタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、重量平均分子量が200以上1,000以下の範囲内であるポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、重量平均分子量が300以上1,000以下の範囲内であるポリプロピレングリコール、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、グリセリン又はアセトン等が挙げられる。
増粘剤としては、例えば、クレイ、ベントナイト又はヘクトライト等の粘土鉱物、例えば、ポリエステル系エマルジョン樹脂、アクリル系エマルジョン樹脂、ポリウレタン系エマルジョン樹脂又はブロックドイソシアネート等のエマルジョン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース誘導体、キサンタンガム又はグアーガム等の多糖類等が挙げられる。
上記乳化剤とは異なる界面活性剤を添加してもよい。多成分溶媒系の金属コロイド分散液及びインク組成物においては、乾燥時の揮発速度の違いによる被膜表面の荒れ及び固形分の偏りが生じ易い。金属コロイド分散液及びインク組成物に界面活性剤を添加することによってこれらの不利益を抑制し、高い光沢性を有する均一な被膜を形成することができるインク組成物が得られる。
(3)インク組成物の製造方法及び被膜形成方法
本発明のインク組成物は、上記のようにして調製した金属コロイド分散液と樹脂エマルジョンとを常法により混合することにより得ることができる。
本発明のインク組成物を用いれば、上記インク組成物を基材に塗布して塗膜を形成する塗布工程と、前記基材に形成した塗膜を乾燥(及び焼成)して被膜を形成する被膜形成工程と、により、基材と、前記基材の表面の少なくとも一部に形成される被膜と、を含む被膜付基板を製造することができる。
本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、前記金属コロイド分散液塗布工程での金属コロイド分散液として、上述した本実施形態の金属コロイド分散液を用いれば、基材に対して十分な耐スクラッチ性及び耐候性を備えた光沢性を有する被膜がより確実に得られることを見出した。
ここで、本実施形態の「インク組成物を基材に塗布して塗膜を形成する塗布工程」における「基材に塗布」とは、インク組成物を面状に塗布する場合も線状に塗布(描画)する場合も含む概念である。塗布されて、乾燥、加熱により焼成される前の状態のインク組成物からなる塗膜の形状は、所望する形状にすることが可能である。したがって、乾燥、加熱による焼成後の被膜は、面状の被膜及び線状の被膜のいずれも含む概念であり、これら面状の被膜及び線状の被膜は、連続していても不連続であってもよく、連続する部分と不連続の部分とを含んでいてもよい。
このような基材を構成する材料としては、例えば、ポリアミド(PA)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルスルホン(PES)、ビニル樹脂、フッ素樹脂、液晶ポリマー、セラミックス、ガラス、金属及び紙等を挙げることができる。また、基材は、例えば板状又はストリップ状等の種々の形状であってよく、リジッドでもフレキシブルでもよい。基材の厚さも適宜選択することができる。接着性若しくは密着性の向上又はその他の目的ために、表面層が形成された基材や親水化処理等の表面処理を施した基材を用いてもよい。
インク組成物を基材に塗布する工程では、種々の方法を用いることが可能であり、例えば、ディッピング、スクリーン印刷、スプレー式、バーコート式、スピンコート式、インクジェット式、ディスペンサー式、刷毛による塗布方式、流延式、フレキソ式、グラビア式、又はシリンジ式等のなかから適宜選択して用いることができる。
上記のように塗布した後の塗膜を、乾燥し、ついで、基材を損傷させない範囲で、例えば300℃以下の温度に加熱することにより焼成し、光沢性に優れた被膜(鏡面光沢膜)付基材)を得ることができる。本発明においては、先に述べたように、本発明のインク組成物を用いるため、基材に対して優れた密着性を有し十分な耐スクラッチ性及び耐候性を有する鏡面光沢膜がより確実に得られる。
インク組成物がバインダー成分を含む場合は、被膜の強度向上及び基材との接着力向上等の観点から、バインダー成分も焼結することになるが、場合によっては、各種印刷法へ適用するためにインク組成物の粘度を調整することをバインダー成分の主目的として、焼成条件を制御してバインダー成分を全て除去してもよい。
上記焼成を行う方法は特に限定されるものではなく、例えば従来公知のギアオーブン等を用いて、基材上に塗布または描画した上記インク組成物の温度が、例えば300℃以下となるように焼成することによって被膜を形成することができる。上記焼成の温度の下限は必ずしも限定されず、基材上に被膜を形成できる温度であって、かつ、本発明の効果を損なわない範囲の温度であることが好ましい(本発明の効果を損なわない範囲で一部が残存していてもよいが、望ましくは全て除去されるのが好ましい。)。
本発明においては、上記基材と被膜との密着性を更に高めるため、上記基材の表面処理を行ってもよい。上記表面処理方法としては、例えば、コロナ処理、プラズマ処理、UV処理、電子線処理等のドライ処理を行う方法、基材上にあらかじめプライマー層や導電性ペースト受容層を設ける方法等が挙げられる。
このようにして本発明の被膜(被膜付基材)を得ることができる。このようにして得られる被膜は、例えば、0.1〜5μm程度、より好ましくは0.1〜1μmである。本発明のインク組成物を用いれば、厚さが0.1〜5μm程度であっても、十分な光沢性、耐スクラッチ性及び耐候性を有する被膜が得られる。
なお、本発明の被膜の厚みtは、例えば、下記式を用いて求めることはできる(被膜の厚さtは、レーザー顕微鏡(例えば、キーエンス製レーザー顕微鏡VK−9510)で測定することも可能である。)。
式:t=m/(d×M×w)
m:被膜重量(スライドガラス上に形成した被膜の重さを電子天秤で測定)
d:被膜密度(g/cm3)(銀の場合は10.5g/cm3
M:被膜長(cm)(スライドガラス上に形成した被膜の長さをJIS1級相当のスケールで測定)
w:被膜幅(cm)(スライドガラス上に形成した被膜の幅をJIS1級相当のスケールで測定)
以上、本発明の代表的な実施形態について説明したが、本発明はこれらのみに限定されるものではなく、本発明の技術的思想を利用して種々の設計変更が可能であり、それらは全て本発明の技術的範囲に含まれる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明のインク組成物及び本発明の被膜(被膜付基材)の製造方法について更に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
≪実施例1≫
(1)銀コロイドの調製
(1−1)銀コロイド液の調製
分散剤としてのクエン酸三ナトリウム二水和物(和光純薬工業(株)製の試薬特級)6.82gと、還元剤としての硫酸第一鉄七水和物(和光純薬工業(株)製の試薬特級)3.23gと、を混合溶解させて水溶液を得た。室温下、このようにして得た水溶液約20mLに、マグネティックスターラーで攪拌しながら、0.986gの硝酸銀(和光純薬工業(株)製の試薬特級)を含む水溶液1.5mLを滴下させて、銀コロイド液を調製した。
(1−2)銀コロイド液の洗浄
ついで、上記のようにして得た銀コロイド液を一晩静置して、生じた上澄み液をイオン交換水に置換した。この操作を2度繰り返すことにより、銀コロイド液を洗浄した。
(1−3)銀コロイド液の脱塩
次に、洗浄後の銀コロイド液を、倉敷紡績(株)製のセントリカットU−10に入れて、遠心分離器で3000rpm×30分間限外濾過を行った。上澄みの導電率を東亜電波工業(株)製のCM−20Sで測定した。上澄み液をイオン交換水に置換して同様の操作を繰り返し、電導度が10mS/cm以下になるまで限外ろ過を行った。液全体の電解質濃度が高い状態では、電導度が高いので、金属コロイド粒子の凝析が起こり、沈殿し易い。上記金属コロイドを含む溶液を洗浄して余分な電解質を取り除くため、電導度が10mS/cm以下になるまで限外ろ過を行った。このようにして本実施例の銀コロイド(固形分:50質量%)を得た。
(2)インク組成物の調製
上記(1)において得た銀コロイド(50質量%)にイオン交換水と市販のノニオン性樹脂エマルジョンである東邦化学工業(株)製のハイテックP−9018(強制乳化型ポリプロピレンワックスエマルジョン:固形分35質量%)を、銀コロイド固形分10質量%になるように、また、銀粒子100質量部に対して樹脂エマルジョンが25質量部となるように添加した。このようにして、本実施例のインク組成物1を得た。
≪実施例2≫
実施例1に記載の方法で調製した銀コロイド液(固形分10質量%)に対し、市販のノニオン性樹脂エマルジョンである東邦化学工業(株)製のハイテックP−9018を、銀粒子100質量部に対して樹脂エマルジョンが6.3重量部となるように添加した以外は、実施例1と同様にして、インク組成物2を得た。
≪実施例3≫
実施例1に記載の方法で調製した銀コロイド液(固形分10質量%)に対し、市販のノニオン性樹脂エマルジョンである東邦化学工業(株)製のハイテックP−9018を、銀粒子100質量部に対して樹脂エマルジョンが113重量部となるように添加した以外は、実施例1と同様にして、インク組成物3を得た。
≪実施例4≫
実施例1に記載の方法で調製した銀コロイド液(固形分10質量%)に対し、市販のノニオン性樹脂エマルジョンである東邦化学工業(株)製のハイテックP−9018を、銀粒子100質量部に対して樹脂エマルジョンが25重量部となるように添加し、更に、高分子分散剤であるビックケミー・ジャパン(株)製のDisperbyk190(ポリ(メタ)アクリレート系高分子重合体:固形分40質量%)を、銀粒子100質量部に対して高分子分散剤が25重量部となるように添加した以外は、実施例1と同様にして、インク組成物4を得た。
≪実施例5≫
実施例1に記載の方法で調製した銀コロイド液(固形分10質量%)に対し、市販のノニオン性樹脂エマルジョンである東邦化学工業(株)製のハイテックP−9018を、銀粒子100質量部に対して樹脂エマルジョンが6.3重量部となるように添加し、更に、高分子分散剤であるビックケミー・ジャパン(株)製のDisperbyk190(ポリ(メタ)アクリレート系高分子重合体:固形分40質量%)を、銀粒子100質量部に対して高分子分散剤が25重量部となるように添加した以外は、実施例1と同様にして、インク組成物5を得た。
≪実施例6≫
実施例1に記載の方法で調製した銀コロイド液(固形分10質量%)に対し、市販のノニオン性樹脂エマルジョンである東邦化学工業(株)製のハイテックP−9018を、銀粒子100質量部に対して樹脂エマルジョンが113重量部となるように添加し、更に、高分子分散剤であるビックケミー・ジャパン(株)製のDisperbyk190(ポリ(メタ)アクリレート系高分子重合体:固形分40質量%)を、銀粒子100質量部に対して高分子分散剤が25重量部となるように添加した以外は、実施例1と同様にして、インク組成物6を得た。
≪実施例7≫
実施例1に記載の方法で調製した銀コロイド液(固形分20質量%)に対し、市販のノニオン性樹脂エマルジョンである東邦化学工業(株)製のハイテックP−9018を、銀粒子100質量部に対して樹脂エマルジョンが25重量部となるように添加した以外は、実施例1と同様にして、インク組成物7を得た。
≪実施例8≫
実施例1に記載の方法で調製した銀コロイド液(固形分5質量%)に対し、市販のノニオン性樹脂エマルジョンである東邦化学工業(株)製のハイテックP−9018を、銀粒子100質量部に対して樹脂エマルジョンが25重量部となるように添加した以外は、実施例1と同様にして、インク組成物8を得た。
≪比較例1≫
実施例1に記載の方法で調製した銀コロイド液(固形分10質量%)に対し、市販のノニオン性樹脂エマルジョンである東邦化学工業(株)製のハイテックP−9018を、銀粒子100質量部に対して樹脂エマルジョンが1.3重量部となるように添加した以外は、実施例1と同様にして、比較インク組成物1を得た。
≪比較例2≫
実施例1に記載の方法で調製した銀コロイド液(固形分10質量%)に対し、市販のノニオン性樹脂エマルジョンである東邦化学工業(株)製のハイテックP−9018を、銀粒子100質量部に対して樹脂エマルジョンが188重量部となるように添加した以外は、実施例1と同様にして、比較インク組成物2を得た。
≪比較例3≫
実施例1に記載の方法で調製した銀コロイド液(固形分10質量%)に対し、市販のカチオン性の樹脂エマルジョンであるDIC(株)製のハイドランCP7050(樹脂:自己乳化型ウレタンディスパージョン:固形分25質量%))を、銀粒子100質量部に対して樹脂エマルジョンが25重量部となるように添加した以外は、実施例1と同様にして、比較インク組成物3を得た。
≪比較例4≫
実施例1に記載の方法で調製した銀コロイド液(固形分10質量%)に対し、市販のカチオン性の樹脂エマルジョンであるDIC(株)製のハイドランCP7050(樹脂:自己乳化型ウレタンディスパージョン:固形分25質量%))を、銀粒子100質量部に対して樹脂エマルジョンが25重量部となるように添加し、更に、高分子分散剤であるビックケミー・ジャパン(株)製のDisperbyk190を、銀粒子100質量部に対して高分子分散剤が25重量部となるように添加した以外は、実施例1と同様にして、比較インク組成物4を得た。
≪比較例5≫
実施例1に記載の方法で調製した銀コロイド液(固形分10質量%)に対し、市販のアニオン性の樹脂エマルジョンであるDIC(株)製のバーノックWD−551(樹脂:自己乳化型アクリルディスハ゜ージョン:固形分44質量%)を、銀粒子100質量部に対して樹脂エマルジョンが25重量部となるように添加した以外は、実施例1と同様にして、比較インク組成物5を得た。
≪比較例6≫
実施例1に記載の方法で調製した銀コロイド液(固形分10質量%)に対し、市販のアニオン性の樹脂エマルジョンであるDIC(株)製のバーノックWD−551(樹脂:自己乳化型アクリルディスハ゜ージョン:固形分44質量%)を、銀粒子100質量部に対して樹脂エマルジョンが25重量部となるように添加し、更に、高分子分散剤であるビックケミー・ジャパン(株)製のDisperbyk190を、銀粒子100質量部に対して高分子分散剤が25重量部となるように添加した以外は、実施例1と同様にして、比較インク組成物6を得た。
[評価試験]
(1)被膜(鏡面光沢膜)の作製
上記のようにして調製した各インク組成物を、基材(光沢紙)上にバーコーター(No.08)を用いて塗布した後、24時間室温下で乾燥して被膜を作製した。
(2)光沢性
上記(1)のようにして作製した被膜の光沢性を、以下の条件で、色差計(CC−i)により計測してlab色空間座標(L*)にて数値化して評価した。L*が65以上の場合に十分な光沢性が認められ、L*が75以上の場合に特に十分な光沢性が認められた。結果を表1及び2に示した。
L*が65未満の場合「×」
L*が65以上の場合「○」
L*が75以上の場合「◎」
装置名称:色差計(スガ試験機(株)製のColour Cute i
光学条件:反射測定;8°照明拡散光受光(8°:di)
JIS Z8722 条件dに準拠
測定孔径:φ30mm
光源・視野条件:C光2度視野
出力する表色系:L*a*b*表色系
白色標準板で標準合わせ校正後に、試料を測定した。
白色標準板値:X:87.68/Y:89.67/Z:103.68(C光2度視野)
(3)インク分散安定性
上記のようにして調製した各インク組成物を、室温で6ヶ月間、静置させ、静置前と静置後の凝集・沈殿の発生を目視により確認し、以下のように評価した。結果を表1及び2に示した。
沈殿があった場合「×」
わずかに凝集物沈殿があった場合「○」
沈殿が無かった場合「◎」
(4)耐スクラッチ性
上記(1)のようにして作製した被膜の表面を、綿棒で軽い力で押圧しながら擦過し、以下のように評価した。結果を表1及び2に示した。
被膜が剥がれなかった場合「○」
被膜が剥がれて基材が出現した場合「×」
(5)耐候性
上記(1)のようにして作製した被膜を、1ヶ月間、自然光に暴露した後の光沢性(L*)を測定し、暴露前の光沢性(L*)を100としてこれに対する変化率で表した。結果を表1及び2に示した。
変化率が±5%超の場合「×」
変化率が±5%以下の場合「○」
変化率が±1%以下の場合「◎」
Figure 2013203923
Figure 2013203923
表1及び2から以下のことがわかった。即ち、実施例1〜3では、最適な量のノニオン性の樹脂エマルジョンを添加したことで、耐スクラッチ性と耐候性を備えながら、高い鏡面光沢性を示す被膜が得られた。
また、実施例4〜6では、高分子分散剤を添加したことで実施例1〜3に比べて、分散安定性の更に優れたインク組成物を得ることができた。
実施例7〜8では、銀コロイド含有量が10質量%と5質量%となるインク組成物を調製したが、銀コロイド含有量が10質量%である場合と同様に耐スクラッチ性と耐候性を備えながら、高い鏡面光沢性を示す被膜が得られた。
比較例1では、銀に対する樹脂エマルジョン量が少ないため耐候性と耐スクラッチ性に劣る被膜しか得られなかった。また、比較例2では、銀に対する樹脂エマルジョン量が多いため、耐候性と耐スクラッチ性を付与できたが、鏡面光沢性に乏しい被膜しか得られなかった。
また、比較例3〜4では、カチオン性の樹脂エマルジョンを使用したため、耐候性と耐スクラッチ性は付与できたが、鏡面光沢性に乏しい被膜しか得られなかった。また、沈殿が発生して分散安定性に乏しいものであった。
比較例5〜6では、アニオン性の樹脂エマルジョンを使用したため、耐候性と耐スクラッチ性を付与できたが、鏡面光沢性に乏しい被膜しか得られなかった。また、沈殿が発生して分散安定性に乏しいものであった。

Claims (3)

  1. 金属粒子を含む金属コロイドと、
    ノニオン性樹脂エマルジョンと、を含有し、
    前記金属粒子に対する前記樹脂エマルジョンの含有量が2.5〜125質量%であること、
    を特徴とするインク組成物。
  2. 更に高分子分散剤を含有すること、を特徴とする請求項1に記載のインク組成物。
  3. 前記金属粒子に対する前記高分子分散剤の含有量が12.5〜50質量%であること、
    を特徴とする請求項1又は2に記載のインク組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019022239A1 (ja) * 2017-07-28 2019-01-31 コニカミノルタ株式会社 画像形成方法、画像形成物及びインクジェットインク

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