JP7413755B2 - 加飾用金属光沢膜インク及び積層体の製造方法 - Google Patents

加飾用金属光沢膜インク及び積層体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、加飾用金属光沢膜インク及び積層体の製造方法に関する。より詳しくは、本発明は、保管安定性に優れるとともに、これを用いて得られる金属光沢膜が耐水性等の塗膜保持性に優れる加飾用金属光沢膜インク及び、耐水性等の塗膜保持性に優れる金属光沢膜を有する積層体の製造方法に関する。
従来、銀ナノ粒子を含有する加飾用の金属光沢膜を作製する場合、揮発性有機化合物(VOC)対策の観点から銀ナノ粒子を水系溶媒に分散させたインクが用いられている。該インクは、これを用いて得られる金属光沢膜の耐水性や耐溶媒性等の塗膜保持性を担保するために、銀ナノ粒子固形分量に対して相当量、例えば10質量%以上のバインダ樹脂(結着樹脂)を含有するように組成が調整されていた(例えば、特許文献1~3を参照)。
しかしながら、上記の量でバインダ樹脂を含有すると水系溶媒中での銀ナノ粒子のイオン化に影響して、早期に銀ナノ粒子が凝集沈殿を起こすなど保管安定性の問題があった。銀ナノ粒子を含有するインクにおいて、保管中に銀ナノ粒子が凝集してしまうと、インクジェットヘッドからの吐出が困難となる、印刷された金属光沢膜において十分な光沢が得られない等の問題があった。
一方、めっき用のプライマー層を形成するための組成物において、銀ナノ粒子を水系溶媒に分散させためっき用プライマー組成物が知られている。例えば、特許文献4には、アミンやイミンを含有する高分子分散剤で被膜された銀ナノ粒子とブロックイソシアネートを含有するめっき用プライマー組成物が記載されている。特許文献4においては、該組成物を用いて、加熱によりブロックイソシアネートから生成されるイソシアネート基を反応させることで、高密着性を示すプライマー層を形成することが記載されている。
しかしながら、該組成物を用いて形成されるめっき用のプライマー層においては、銀ナノ粒子が集合した状態で電気めっきが可能な導電性を出すことが求められる。そのため、銀ナノ粒子に対する上記高分子分散剤の吸着力は弱く、水系溶媒中でのインクジェットのインクを想定した場合に、特許文献4に記載の組成物では保管安定性に問題があった。
特開2003-306625号公報 特開2007-297423号公報 特開2004-161852号公報 国際公開第2016/098680号
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、銀ナノ粒子を含有する加飾用金属光沢膜インクにおいて、保管安定性に優れるとともに、これを用いて得られる金属光沢膜が耐水性等の塗膜保持性に優れる加飾用金属光沢膜インクを提供することである。また、該加飾用金属光沢膜インクを用いた、耐水性等の塗膜保持性に優れる金属光沢膜を有する積層体の製造方法を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、水系溶媒を用いた加飾用金属光沢膜インクに、銀ナノ粒子の表面がカルボキシ基を有する水溶性高分子分散剤で被覆された複合体と、加熱により該カルボキシ基と反応可能な架橋剤を含有させることで、該インクが良好な保管安定性を有すること、及び得られる金属光沢膜が耐水性や耐溶剤性等の塗膜保持性に優れることを見出し本発明に至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.銀ナノ粒子(A)と架橋剤(B)と水系溶媒(C)を含有する加飾用金属光沢膜インクであって、前記銀ナノ粒子(A)が、前記銀ナノ粒子(A)と前記銀ナノ粒子(A)の表面を被覆するカルボキシ基を有する水溶性高分子分散剤(P)とを含む複合体として含有され、前記銀ナノ粒子(A)の平均粒子径が、150nm以下であり、前記カルボキシ基を有する水溶性高分子分散剤(P)が、くし型ブロック共重合体であり、かつ前記カルボキシ基以外にポリアルキレンオキサイド基を有し、前記架橋剤(B)が、加熱により前記水溶性高分子分散剤(P)のカルボキシ基と反応可能な架橋剤(B)であり、イソシアネート基がブロック剤でブロックされたブロックイソシアネート又はカルボジイミド基を有する水分散性樹脂を含み、かつ前記架橋剤(B)の含有量が、前記銀ナノ粒子(A)に対して0.25~5.00質量%の範囲内であることを特徴とする加飾用金属光沢膜インク。
.前記ブロックイソシアネートが、ヘキサメチレンジイソシアネートトリマーにおいて、イソシアネート基が3,5-ジメチルピラゾールでブロックされた構造を有する化合物であることを特徴とする第項に記載の加飾用金属光沢膜インク。
.前記カルボジイミド基を有する水分散性樹脂が、親水基を有するポリカルボジイミド樹脂であることを特徴とする第項に記載の加飾用金属光沢膜インク。
.基材と前記基材上に形成された金属光沢膜を有する積層体の製造方法であって、
前記基材上に、第1項から第項までのいずれか一項に記載の加飾用金属光沢膜インクを塗布し、加熱により前記加飾用金属光沢膜インクを硬化させて前記金属光沢膜を形成することを特徴とする積層体の製造方法。
.前記基材は表面にプライマー層を有し、前記プライマー層上に前記金属光沢膜を形成することを特徴とする第項に記載の積層体の製造方法。
本発明の上記手段により、銀ナノ粒子を含有する加飾用金属光沢膜インクにおいて、保管安定性に優れるとともに、これを用いて得られる金属光沢膜が耐水性等の塗膜保持性に優れる加飾用金属光沢膜インクを提供することができる。また、該加飾用金属光沢膜インクを用いた、耐水性等の塗膜保持性に優れる金属光沢膜を有する積層体の製造方法を提供することができる。
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
上記のとおり水系溶媒中で銀ナノ粒子が凝集する要因の一つは、保管中に銀ナノ粒子から銀イオンが生成することによるとされる。本発明の加飾用金属光沢膜インクは、銀ナノ粒子(A)を、前記銀ナノ粒子(A)と前記銀ナノ粒子(A)の表面を被覆するカルボキシ基を有する水溶性高分子分散剤(P)とを含む複合体として含有していること、及び、バインダ樹脂に代わって架橋剤(B)を用いることで、銀のイオン化が抑制されて、インクの保管安定性が高まったと推察される。
さらに、架橋剤(B)が加熱により上記水溶性高分子分散剤(P)のカルボキシ基と反応する性質を有することで、本発明の加飾用金属光沢膜インクは、加熱により銀ナノ粒子(A)同士が水溶性高分子分散剤(P)と架橋剤(B)を介して強固に架橋した構造を有する金属光沢膜を形成できる。このようにして得られる金属光沢膜は、耐水性等の塗膜保持性に優れるものとなる。
本発明の加飾用金属光沢膜インクは、銀ナノ粒子(A)と架橋剤(B)と水系溶媒(C)を含有する加飾用金属光沢膜インクであって、前記銀ナノ粒子(A)が、前記銀ナノ粒子(A)と前記銀ナノ粒子(A)の表面を被覆するカルボキシ基を有する水溶性高分子分散剤(P)とを含む複合体として含有され、前記銀ナノ粒子(A)の平均粒子径が、150nm以下であり、前記カルボキシ基を有する水溶性高分子分散剤(P)が、くし型ブロック共重合体であり、かつ前記カルボキシ基以外にポリアルキレンオキサイド基を有し、前記架橋剤(B)が、加熱により前記水溶性高分子分散剤(P)のカルボキシ基と反応可能な架橋剤(B)であり、イソシアネート基がブロック剤でブロックされたブロックイソシアネート又はカルボジイミド基を有する水分散性樹脂を含み、かつ前記架橋剤(B)の含有量が、前記銀ナノ粒子(A)に対して0.25~5.00質量%の範囲内であることを特徴とする。この特徴は、下記各実施形態に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様は、前記架橋剤(B)の含有量が、前記銀ナノ粒子(A)に対して0.25~5.00質量%の範囲内である。
加飾用金属光沢膜インクにおける架橋剤(B)の上記含有量は、従来のインクで用いていたバインダ樹脂の含有量、例えば、銀ナノ粒子に対して10質量%以上に比べて、少量である。架橋剤(B)の使用量がこのような少量であっても、得られる金属光沢膜は、銀ナノ粒子(A)同士が水溶性高分子分散剤(P)と架橋剤(B)を介して強固に架橋した構造をとることができ、耐水性等の塗膜保持性に優れる。また、架橋剤(B)の含有量が少量であることで、銀ナノ粒子のイオン化をより抑制でき、インクの保管安定性をより高めることが可能となる。
さらに、加飾用金属光沢膜インクにおける架橋剤(B)の含有量が少ないことで、得られる金属光沢膜は塗膜体積当たりの銀の割合を大きくでき、該金属光沢膜の反射率を向上させることが可能となる。
本発明の実施態様としては、本発明の効果をより高く発現できる観点から、架橋剤(B)が、イソシアネート基がブロック剤でブロックされたブロックイソシアネート又はカルボジイミド基を有する水分散性樹脂を含む。
本発明の実施態様としては、架橋剤(B)がブロックイソシアネートを含む場合、架橋のための加熱作業性及びインクの保管安定性の観点から、該ブロックイソシアネートは、ヘキサメチレンジイソシアネートトリマーにおいて、イソシアネート基が3,5-ジメチルピラゾールでブロックされた構造を有する化合物であることが好ましい。
本発明の実施態様としては、架橋剤(B)がカルボジイミド基を有する水分散性樹脂を含む場合、架橋のための加熱作業性及びインクの保管安定性の観点から、該水分散性樹脂は親水基を有するポリカルボジイミド樹脂であることが好ましい。
本発明の実施態様としては、インクの保管安定性の観点から、前記銀ナノ粒子(A)の平均粒子径が、150nm以下である。
本発明の実施態様としては、インクの保管安定性の観点から、前記カルボキシ基を有する水溶性高分子分散剤(P)が、くし型ブロック共重合体であり、前記カルボキシ基以外にポリアルキレンオキサイド基を有する。
本発明の積層体の製造方法は、基材と前記基材上に形成された金属光沢膜を有する積層体の製造方法であって、前記基材上に、本発明の加飾用金属光沢膜インクを塗布し、加熱により前記加飾用金属光沢膜インクを硬化させて前記金属光沢膜を形成することを特徴とする。
本発明の積層体の製造方法における実施態様において、前記基材は表面にプライマー層を有し、前記プライマー層上に前記金属光沢膜を形成することが、得られる金属光沢膜の平坦性の確保の観点から好ましい。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「~」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
[加飾用金属光沢膜インクの概要]
本発明に係る加飾用金属光沢膜インク(以下、単に「インク」ともいう。)は、銀ナノ粒子(A)と架橋剤(B)と水系溶媒(C)を含有する加飾用金属光沢膜インクであって、前記銀ナノ粒子(A)が、前記銀ナノ粒子(A)と前記銀ナノ粒子(A)の表面を被覆するカルボキシ基を有する水溶性高分子分散剤(P)とを含む複合体として含有され、前記銀ナノ粒子(A)の平均粒子径が、150nm以下であり、前記カルボキシ基を有する水溶性高分子分散剤(P)が、くし型ブロック共重合体であり、かつ前記カルボキシ基以外にポリアルキレンオキサイド基を有し、前記架橋剤(B)が、加熱により前記水溶性高分子分散剤(P)のカルボキシ基と反応可能な架橋剤(B)であり、イソシアネート基がブロック剤でブロックされたブロックイソシアネート又はカルボジイミド基を有する水分散性樹脂を含み、かつ前記架橋剤(B)の含有量が、前記銀ナノ粒子(A)に対して0.25~5.00質量%の範囲内であることを特徴とする。
本発明に係るインクは加飾用の金属光沢膜を形成するためのインクである。本発明のインクを用いた金属光沢膜の形成方法は後述の積層体の製造方法において説明する。その際のインクの塗工方法は限定されないが、好ましくはインクジェット法が用いられる。このような点から、本発明のインクは、インクジェット法に好適なインクであることが好ましい。
(銀ナノ粒子(A))
本発明で用いる銀ナノ粒子(A)は、銀ナノ粒子(A)とその表面を被覆するカルボキシ基を有する水溶性高分子分散剤(P)(以下、単に「水溶性高分子分散剤(P)」ともいう。)とを含む複合体として、インク中に含有される。
銀ナノ粒子(A)は、銀を主成分とする粒子である。なお、本明細書において、銀を主成分とするとは、銀ナノ粒子(A)全体に対して銀を50質量%以上含むものとする。銀ナノ粒子(A)における銀の含有量は、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、99質量%以上がさらに好ましい。
銀ナノ粒子(A)において、銀は銀の合金として含有されていてもよい。銀を含む合金の例には、銀マグネシウム、銀銅、銀パラジウム、銀パラジウム銅、銀インジウム、銀ビスマス等が含まれる。さらに、銀ナノ粒子(A)は、不可避的に含まれる他の成分を微量に含んでいてもよいし、銀の酸化物を含有してもよい。また、銀ナノ粒子(A)は、コア部がシリカ等の銀以外から構成され、シェル部が銀や銀合金等の銀含有成分から構成されるコアシェル構造の銀ナノ粒子や、コア部が中空の中空銀ナノ粒子等でもよい。
銀ナノ粒子(A)の平均粒子径は、インク中での銀ナノ粒子(A)の分散性及びインクの保管安定性を高める観点から、150nm以下である3nm以上100nm以下であることが好ましく、5nm以上80nm以下であることがより好ましく、10nm以上60nm以下であることがさらに好ましく、15nm以上55nm以下であることが特に好ましい。
銀ナノ粒子(A)の平均粒子径は、小角X線散乱法で体積基準の粒度分布を求め、そのD50(メジアン径)を体積換算の平均粒子径とした体積平均粒子径である。小角X線散乱法による銀ナノ粒子(A)の体積平均粒子径の測定は、例えば、小角X線散乱装置としてNANOPIX mini(リガク製)を用いて行うことができる。なお、銀ナノ粒子(A)の平均粒子径は、以下の銀ナノ粒子(A)が水溶性高分子分散剤(P)で被覆された複合体を用いて上記同様に測定した場合においても、銀ナノ粒子(A)の平均粒子径として測定可能である。
本発明で用いる銀ナノ粒子(A)の製造方法としては、特に制限はなく、従来公知の種々の方法を用いて製造することが可能であり、例えば、低真空ガス中蒸発法などの気相法を用いて製造してもよいし、液相で銀化合物を還元して、銀ナノ粒子(A)の分散液を調製してもよい。気相、液相法のうち、インク中での安定性や製造工程の簡便さから、液相法を特に好適に用いることができる。なお、後述のとおり、銀ナノ粒子(A)の形成と銀ナノ粒子(A)表面への水溶性高分子分散剤(P)の被覆を同時に行うこともでき、生産性の観点から同時に行うことが好ましい。
本発明のインクにおける銀ナノ粒子(A)の含有量は、インクの全質量に対して1.00~12.00質量%の範囲内にあるのが好ましく、2.00~10.00質量%の範囲内にあるのがより好ましく、4.00~8.00質量%の範囲内にあるのがさらに好ましい。銀ナノ粒子(A)の含有量が1.00質量%以上であれば、得られる金属光沢膜の膜厚を十分に確保でき、例えば、4.00質量%以上であれば、金属光沢膜の膜厚を100nm以上とすることができる。これにより、ドットの表面形状が正反射光の割合に対して与える影響をより小さくして、正反射光の割合をより多くすることができる点で好ましい。銀ナノ粒子(A)の含有量が、12.00質量%以下であれば、インクジェットの安定吐出の点で好ましい。
本発明に係る銀ナノ粒子(A)は水溶性高分子分散剤(P)によって表面が被覆されて複合体を形成している。銀ナノ粒子(A)が水溶性高分子分散剤(P)によって被覆されているとは、銀ナノ粒子(A)の表面の少なくとも一部に、水溶性高分子分散剤(P)が付着していることをいう。すなわち、銀ナノ粒子(A)の表面全体が水溶性高分子分散剤(P)によって覆われていてもよく、銀ナノ粒子(A)の表面のうち、一部の領域のみが水溶性高分子分散剤(P)によって覆われていてもよい。水溶性高分子分散剤(P)によって被覆されている領域は、銀ナノ粒子(A)の表面の全領域の半分以上であることが好ましい。
銀ナノ粒子(A)が水溶性高分子分散剤(P)によって被覆されているか否かは、銀ナノ粒子(A)がインクに含まれている状態では、銀ナノ粒子(A)濃度を高めたときに凝集するか否かによって確認できる。また、得られる金属光沢膜中の銀ナノ粒子(A)が水溶性高分子分散剤(P)で被覆されているかを確認する場合には、NMRや、熱重量分析などにより確認することができる。
(水溶性高分子分散剤(P))
水溶性高分子分散剤(P)は、カルボキシ基を有する水溶性の高分子化合物であれば特に制限なく使用できる。水溶性高分子分散剤(P)は、カルボキシ基を有することで銀ナノ粒子(A)の表面に吸着するとともに水溶性も示す。これにより、インク中での銀ナノ粒子(A)の分散性が得られるとともに、インクの保管安定性も得られる。さらに、インクが加熱されることで水溶性高分子分散剤(P)が有するカルボキシ基と架橋剤(B)が反応する。これにより、本発明のインクを用いて形成される金属光沢膜は、耐水性等の塗膜保持性に優れる。
水溶性高分子分散剤(P)の重量平均分子量は、銀ナノ粒子への吸着や、インクジェットの吐出安定性の観点から1000以上100000以下が好ましく、2000以上50000以下がより好ましい。当該重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定される値(スチレン換算)である。
水溶性高分子分散剤(P)は、カルボキシ基を有するモノマーの単独重合体、カルボキシ基を有するモノマー同士の共重合体、カルボキシ基を有するモノマーと疎水性モノマーとの共重合体、カルボキシ基を有するモノマーとそれ以外のその他の親水性モノマーと疎水性モノマーとの共重合体等とすることができる。
カルボキシ基を有するモノマーとしては、例えば、不飽和カルボン酸(例えば、(メタ)アクリル酸やマレイン酸等)や無水マレイン酸等のカルボキシル基またはカルボン酸無水物基を含有するモノマーが挙げられる。なお、本明細書において、(メタ)アクリルとは、アクリルおよびメタクリルの双方またはいずれか一方を意味する。カルボキシ基を有するモノマー以外のその他の親水性モノマーとしては、例えば、エチレンオキサイド変性(メタ)アクリル酸アルキルエステル等のアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリル酸エステルモノマーが挙げられる。
疎水性モノマーの例には、(メタ)アクリル酸メチルや(メタ)アクリル酸エチル等の(メタ)アクリル酸エステル系モノマー;スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニルモノマー;エチレン、プロピレン、1-ブテン等のα-オレフィン系モノマー;酢酸ビニルや酪酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル系モノマー;等が含まれる。
水溶性高分子分散剤(P)、銀ナノ粒子(A)のインク中での分散性を高める観点から、くし型ブロック共重合体である。
水溶性高分子分散剤(P)としては、(メタ)アクリル酸又はマレイン酸若しくはその無水物と(メタ)アクリル酸エステルの共重合体、(メタ)アクリル酸又はマレイン酸若しくはその無水物と芳香族ビニルモノマーと(メタ)アクリル酸エステルの共重合体、(メタ)アクリル酸又はマレイン酸若しくはその無水物とマレイン酸エステルと(メタ)アクリル酸エステルの共重合体、(メタ)アクリル酸又はマレイン酸若しくはその無水物と芳香族ビニルモノマーとマレイン酸エステルと(メタ)アクリル酸エステルの共重合体、(メタ)アクリル酸又はマレイン酸若しくはその無水物と芳香族ビニルモノマーとマレイン酸エステルの共重合体であるくし型高分子化合物が好ましい。
くし型ブロック共重合体とは、略直鎖上の主鎖と、当該主鎖にグラフト重合した別の種類のモノマーもしくはポリマー由来の側鎖と、を有する共重合体を意味する。水溶性高分子分散剤(P)は、カルボキシ基とともにポリアルキレンオキサイド基を有するくし型ブロック共重合体でありことが好ましい。くし型ブロック共重合体の好ましい例には、主鎖が(メタ)アクリル酸由来及び(メタ)アクリル酸エステル由来の構造単位を含み、側鎖がポリアルキレンオキサイド基、例えば、エチレンオキサイド-プロピレンオキサイド共重合基等を含む長鎖ポリアルキレンオキサイド基、を含む共重合体が含まれる。このようなくし型ブロック共重合体で銀ナノ粒子(A)を被覆すると、主鎖が銀ナノ粒子(A)側、側鎖がその外側に配置される。そのため、インク中で、側鎖同士の立体障害によって、銀ナノ粒子(A)が凝集し難く、金属光沢膜に均一に銀ナノ粒子(A)が配置されやすくなる。
これらの(共)重合体は、ラジカル開始剤により溶液重合もしくは塊状重合で合成しても構わないし、市販品を使用しても構わない。なお、必要に応じて上記(共)重合体の塩を使用してインクを作製することができる。すなわち、塩の形でインクに配合して、インク中では水溶性高分子分散剤(P)として機能させることができる。
上記カルボキシ基を有する(共)重合体の塩を形成するための化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどの水酸化アルカリ金属類、およびジエチルアミン、アンモニア、エチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ジプロピルアミン、ブチルアミン、イソブチルアミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、アミノメチルプロパノール、モルホリンなどが挙げられる。これらの塩を形成するための化合物の使用量は、上記カルボキシ基を有する(共)重合体の中和当量以上であることが好ましい。
ここで、水溶性高分子分散剤(P)の酸価は、1mgKOH/g以上80mgKOH/g以下であることが好ましい。酸価が1mgKOH/g以上であると、インク中の水系溶媒(C)と水溶性高分子分散剤(P)との親和性が高まりやすい。また、加熱時における架橋剤(B)との反応点(架橋点)も十分に確保できる。
一方で、酸価が高すぎると、金属光沢膜中で水溶性高分子分散剤(P)が膨潤しやすくなり、金属光沢膜の耐久性が低下しやすくなるが、酸価が80mgKOH/g以下であれば膨潤し難く、金属光沢膜の耐久性が維持されやすくなる。水溶性高分子分散剤(P)の酸価は、1mgKOH/g以上60mgKOH/g以下であることがより好ましく、2mgKOH/g以上50mgKOH/g以下であることがさらに好ましく、3mgKOH/g以上45mgKOH/g以下であることがさらに好ましく、5mgKOH/g以上40mgKOH/g以下であることが特に好ましい。
酸価は、JIS K 0070に準じて測定することができる。具体的には、フーリエ変換赤外分光光法(FT-IR)により、水溶性高分子分散剤(P)の構造や商品名等を特定し、同一の水溶性高分子分散剤(P)の酸価をJIS K 0070に準じて測定すればよい。なお、H-NMRやガスクロマトグラフィー-質量分析法(GC/MS)によって水溶性高分子分散剤(P)の構造等を特定してもよい。
水溶性高分子分散剤(P)の市販品としては、例えば、ビックケミー社製のDISPERBYK-190、DISPERBYK-194N、DISPERBYK-2015、EVONIC社製のTEGO Dispers 750W、TEGO Dispers 755W、共栄社化学社製のフローレンG700、フローレンGW1500、フローレンGW1640、日油製のマリアリムAFB-1521、AKM-0531、マリアリムSC-1015F、マリアリムSC-0505K、マリアリムFA-1160等が挙げられる。
本発明のインクにおける水溶性高分子分散剤(P)の量は、インク中での銀ナノ粒子(A)の分散性及びインクの保管安定性、並びに得られる金属光沢膜の耐水性等の塗膜保持性を高める観点から、銀ナノ粒子(A)の100質量%に対して、1質量%以上15質量%以下であることが好ましく、2質量%以上10質量%以下であることがより好ましく、3質量%以上8質量%以下であることがさらに好ましい。
銀ナノ粒子(A)を水溶性高分子分散剤(P)で被覆する方法、すなわち銀ナノ粒子(A)と銀ナノ粒子(A)の表面を被覆する水溶性高分子分散剤(P)とを含む複合体の製造方法としては、銀ナノ粒子(A)を得た後、その表面を水溶性高分子分散剤(P)で被覆する方法、銀ナノ粒子(A)を製造しつつ同時に銀ナノ粒子(A)の表面を水溶性高分子分散剤(P)で被覆する方法が挙げられ、生産性の観点から後者が好ましい。該方法の一例として、以下の方法が挙げられる。ただし、銀ナノ粒子(A)と銀ナノ粒子(A)の表面を被覆する水溶性高分子分散剤(P)とを含む複合体の製造方法は当該方法に限定されない。
まず、水、もしくは水と親水性溶媒とを含む溶媒(本明細書では、これらをまとめて「水系溶媒」とも称する)中に、水溶性高分子分散剤(P)を溶解させる。その後、当該溶液に、銀を含む塩(銀塩)を分散させる。そして、還元剤をさらに加えて撹拌し、銀塩中の銀イオンを還元して銀ナノ粒子(A)を析出させつつ、当該銀ナノ粒子(A)を水溶性高分子分散剤(P)によって被覆する。
ここで、用いる水系溶媒としては、本発明のインクが含有する水系溶媒(C)と同じ組成であってもよく、異なる組成であってもよい。異なる組成である場合、インクとする際に水系溶媒を、入れ替える、成分を追加する等により本発明のインクが含有する水系溶媒(C)と同じ組成とする。
銀ナノ粒子(A)と銀ナノ粒子(A)の表面を被覆する水溶性高分子分散剤(P)とを含む複合体の平均粒子径は、上記銀ナノ粒子(A)の平均粒子径と略同様であり、150nm以下である。上記複合体の平均粒子径は、例えば、以下の手順で測定することができる。まず、ガラス基板上に複合体の分散液を塗布した後、加熱せずに真空脱気して溶媒成分を揮発させて、試料を得る。得られた試料を、透過型電子顕微鏡(日本電子(株)製)により観察し、任意の300個の金属ナノ粒子の一次粒子の粒子径を測定する。得られた粒子径の平均値を、平均粒子径とする。
(水系溶媒(C))
本発明のインクは、水系溶媒(C)を含有する。水系溶媒(C)は、水を必須の溶媒として含有し、粘度調整などのために任意に公知の有機溶媒を含んでいてもよい。
上記有機溶媒の例には、多価アルコール、多価アルコール誘導体、アルコール、アミド、ケトン、ケトアルコール、エーテル、含窒素溶剤、含硫黄溶剤、炭酸プロピレン、炭酸エチレン、及び1,3-ジチル-2-イミダゾリジノンなどが含まれる。
多価アルコールの例には、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロプレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、1,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、及び1,2,6-ヘキサントリオールなどが含まれる。
多価アルコール誘導体の例には、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコール-n-プロピルエーテル、エチレングリコール-n-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコール-n-プロピルエーテル、ジエチレングリコール-n-ブチルエーテル、ジエチレングリコール-n-ヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、トリエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、及びトリプロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテルなどが含まれる。
アルコールの例には、メチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、sec-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert-ブチルアルコール、及びベンジルアルコールなどが含まれる。
アミドの例には、ジメチルホルムアミド、及びジメチルアセトアミドなどが含まれる。
ケトンの例には、アセトンなどが含まれる。
ケトアルコールの例には、ジアセトンアルコールなどが含まれる。
エーテルの例には、テトラヒドロフラン、及びジオキサンなどが含まれる。
窒素溶剤の例には、ピロリドン、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、及びトリエタノールアミンなどが含まれる。
含硫黄溶剤の例には、チオジエタノール、チオジグリコール、チオジグリセロール、スルホラン、及びジメチルスルホキシドなどが含まれる。
本発明のインクをインクジェットに用いる場合、インクジェットヘッドからの吐出時にノズル近傍でインクが乾燥することによるノズル詰まりの発生を抑制する観点からは、上記有機溶媒は、多価アルコールを含むことが好ましい。このとき、インク中の多価アルコールの含有量は、インクの全質量に対して1~10質量%の範囲内であることが好ましい。
本発明のインクにおける水の含有量は、本発明のインクをインクジェット法に用いる場合、インクの全質量に対して20~80質量%の範囲内の量であることが好ましく、40~70質量%の範囲内であることがより好ましい。また、インク中の有機溶媒の含有量は、インクの全質量に対して20~50質量%の範囲内の量であることが好ましく、30~50質量%の範囲内であることがより好ましい。インク中の水系溶媒(C)の含有量は、水と有機溶媒の合計の含有量として、86~98質量%の範囲内の量であることが好ましく、90~96質量%の範囲内であることがより好ましい。
(架橋剤(B))
本発明のインクが含有する架橋剤(B)は、加熱により水溶性高分子分散剤(P)のカルボキシ基と反応可能な架橋剤(B)である。架橋剤(B)として、具体的には、イソシアネート基がブロック剤でブロックされたブロックイソシアネート及びカルボジイミド基を有する水分散性樹脂等である。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。架橋剤(B)は、加熱により水溶性高分子分散剤(P)のカルボキシ基と反応する。これにより、本発明のインクから、銀ナノ粒子(A)同士が水溶性高分子分散剤(P)及び架橋剤(B)の架橋による網目構造で連結された構成の硬化物が得られる。本発明のインクを塗工後、加熱して得られる硬化物としての金属光沢膜は、このような架橋構造を有することで、耐水性等の塗膜保持性に優れる。
<ブロックイソシアネート>
ブロックイソシアネートは、イソシアネート基を有する化合物(以下、「イソシアネート化合物」という。)においてイソシアネート基がブロック剤で封鎖された化合物である。加熱によりブロックイソシアネートからブロック剤が解離することでイソシアネート基が活性化される。
本発明のインクにおいて基材に塗工されるまでは、ブロックイソシアネートはイソシアネート基が封鎖され反応性を有しないため、インクは保管安定性を有する。塗工後、ブロック剤が解離する温度以上の温度でインクを加熱するとイソシアネート基が生成し、水溶性高分子分散剤(P)が有するカルボキシ基と反応してインクが硬化した金属光沢膜を形成する。
金属光沢膜において、銀ナノ粒子(A)同士が水溶性高分子分散剤(P)及び架橋剤(B)の架橋による網目構造を形成するために、本発明に係るイソシアネート化合物はイソシアネート基を2個以上有するポリイソシアネート化合物であることが好ましい。ブロックイソシアネートは、イソシアネート化合物が有するイソシアネート基の一部又は全部と、ブロック剤とを反応させることによって製造することができる。
ブロックイソシアネートの製造に使用可能なイソシアネート化合物としては、イソシアネート基を有するものを使用することができ、例えば4,4´-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4´-ジフェニルメタンジイソシアネート、カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネート、クルードジフェニルメタンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族構造を有するポリイソシアネート化合物、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート化合物、脂肪族環式構造を有するポリイソシアネート化合物、それらのビュレット体、イソシアヌレート体、アダクト体等を使用することができる。
本発明のインクにおいて、得られる金属光沢膜のより強固な塗膜保持性を確保するために、イソシアネート化合物は、イソシアヌレート体であることが好ましく、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体であるヘキサメチレンジイソシアネートトリマーがより好ましい。
ブロックイソシアネートの製造に用いるブロック剤は、解離温度、水系溶媒への分散性、及びインク中の上記複合体の分散性に与える影響等を勘案して適宜選択される。
ブロックイソシアネートの製造に使用可能なブロック剤としては、例えばフェノール、クレゾール等のフェノール化合物;ε-カプロラクタム、δ-バレロラクタム、γ-ブチロラクタム等のラクタム;ホルムアミドオキシム、アセトアルドオキシム、アセトンオキシム、メチルエチルケトオキシム、メチルイソブチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシム等のオキシムをはじめ、2-ヒドロキシピリジン、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ベンジルアルコール、メタノール、エタノール、n-ブタノール、イソブタノール、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトン、ブチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、アセトアニリド、酢酸アミド、コハク酸イミド、マレイン酸イミド、イミダゾール、2-メチルイミダゾール、尿素、チオ尿素、エチレン尿素、ジフェニルアニリン、アニリン、カルバゾール、エチレンイミン、ポリエチレンイミン、1H-ピラゾール、3-メチルピラゾール、3,5-ジメチルピラゾール、4-ニトロ-3,5-ジメチルピラゾール、4-ブロモ-3,5-ジメチルピラゾール等を使用することができる。
これらのなかでも、好ましくは70~200℃、より好ましくは110~140℃に加熱することによって解離し、イソシアネート基を生成可能なブロック剤を使用することが好ましい。低解離温度及び安定性の観点からブロック剤としては、1H-ピラゾール、3-メチルピラゾール、3,5-ジメチルピラゾール、4-ニトロ-3,5-ジメチルピラゾール、4-ブロモ-3,5-ジメチルピラゾール等の置換または非置換のピラゾールを使用することが好ましく、3,5-ジメチルピラゾールがより好ましい。
本発明に用いるブロックイソシアネートは、ヘキサメチレンジイソシアネートトリマーにおいて、イソシアネート基が3,5-ジメチルピラゾールでブロックされた構造を有する化合物であることが特に好ましい。
ブロックイソシアネートの市販品としては、例えば、LANXESS社製のTrixene Aqua BI 200、Trixene Aqua BI 201、Trixene Aqua BI 220(いずれも、ヘキサメチレンジイソシアネートトリマーのイソシアネート基が3,5-ジメチルピラゾールでブロックされた構造を有する化合物を40質量%含有するブロックイソシアネート水系分散液)、明星化学工業製のSU-268Aや旭化成社製のMF-B60Bなどが挙げられる。
なお、ブロックイソシアネートは、水系溶媒中に該ブロックイソシアネートが分散した分散液として、インクの製造に用いてもよい。水系溶媒としては、上記水系溶媒(C)と同様の水系溶媒が挙げられる。中でも水と窒素溶剤の組み合わせが好ましい。さらに、該分散液中のブロックイソシアネートの粒子サイズを制御することを補助する目的で、スルホコハク酸ナトリウム等の界面活性剤を加える場合もある。界面活性剤としては、これ以外にも後述の界面活性剤が使用可能である。
<カルボジイミド基を有する水分散性樹脂>
カルボジイミド基(-N=C=N-)を有する水分散性樹脂(以下、単に「水分散性樹脂」ともいう。)は、所定の温度未満では、インク中で水系溶媒に安定して分散しており、その状態では、水分散性樹脂のカルボジイミド基はカルボキシ基との反応性を有しない。水分散性樹脂は水系溶媒中ではミセルを形成し、カルボジイミド基がミセルの内側に保護された状態となって存在するため、カルボキシ基との反応性を有しないと推察される。インクが加熱され所定の温度以上になると、水分散性樹脂が有するカルボジイミド基はカルボキシ基と反応性を有する状態となる。これは、加熱することで、水分散性樹脂のミセルが崩れカルボジイミド基が表出するためであると考えられている。
本発明のインクにおいて基材に塗工されるまでは、水分散性樹脂は、例えば、ミセルを形成しカルボジイミド基が反応性を有しないため、インクは保管安定性を有する。塗工後、水分散性樹脂のカルボジイミド基がカルボキシ基との反応性を発現する温度、例えば、ミセルが崩れる温度以上の温度で加熱すると、カルボジイミド基が反応可能な状態となり、水溶性高分子分散剤(P)が有するカルボキシ基と反応してアミド結合を形成する。これによりインクが硬化して金属光沢膜を形成する。本発明のインクにおいてカルボジイミド基を有する水分散性樹脂がカルボキシ基と反応可能となる温度は、100~200℃の範囲内が好ましく、110~140℃の範囲内がより好ましい。
本発明に係る水分散性樹脂は分子中に複数のカルボジイミド基を有するポリカルボジイミド樹脂であることが好ましい。また、水分散性とするためにポリカルボジイミド樹脂は親水基を有するポリカルボジイミド樹脂(以下、「ポリカルボジイミド樹脂(H)」ともいう。)であることが好ましい。親水基としては、ポリアルキレンオキサイド基等が挙げられる。ポリカルボジイミド樹脂(H)は、カルボジイミド基と2価の親水基が交互に結合した直鎖状の化合物であることが好ましい。
ポリカルボジイミド樹脂(H)のカルボジイミド基当量は200~600の範囲内にあるのが好ましい。得られる金属光沢膜の耐擦過性、耐溶剤性及び基材密着性の観点から、好ましくは200以上、より好ましくは300以上である。また、インクの保管安定性の観点から、好ましくは600以下、より好ましくは500以下、更に好ましくは400以下である。なお、カルボジイミド基当量とは、カルボジイミド基1モル当たりのカルボジイミド基含有ポリマーの質量を意味する。
例えば、一分子中にNCN基を2個有すると共に、NCN当量が300のポリカルボジイミド樹脂(H)は、その分子量が24000となる。また、一分子中にNCN基を3個有すると共に、NCN当量が600のポリカルボジイミド樹脂(H)は、その分子量が72000となる。
ポリカルボジイミド樹脂(H)は、インクの保管安定性、得られる金属光沢膜の耐擦過性、耐溶剤性及び基材密着性の観点から、水溶液又はエマルションとしてインクに配合されてなるものが好ましく、インクの保管安定性の観点からは、水溶液としてインクに配合されることが好ましい。
ポリカルボジイミド樹脂(H)の市販品としては、カルボジライトE-02、カルボジライトE-03A、カルボジライトE-05、カルボジライトV-02、カルボジライトV-02-L2、カルボジライトV-04(以上、日清紡ケミカル株式会社製、商品名)等が挙げられる。
なお、ポリカルボジイミド樹脂(H)は、水系溶媒中に該ポリカルボジイミド樹脂(H)が分散した分散液として、インクの製造に用いてもよい。水系溶媒としては、上記水系溶媒(C)と同様の水系溶媒が挙げられる。さらに、該分散液中のポリカルボジイミド樹脂(H)の分散性を補助する目的で、該分散液は乳化剤を含有してもよい。
本発明のインクにおける架橋剤(B)の含有量は、銀ナノ粒子(A)に対して0.25~5.00質量%の範囲内であ、0.25~2.00質量%の範囲内であることがより好ましく、0.25~1.00質量%の範囲内であることがさらに好ましい。インクにおける架橋剤(B)の含有量が、銀ナノ粒子(A)に対して0.25質量%以上であれば、インクを用いて得られる金属光沢膜は十分な塗膜保持性、特には耐水性を有し、5.00質量%以下であれば、インクの保管安定性がより向上する。
(その他成分)
本発明のインクは、上記複合体(水溶性高分子分散剤(P)で被覆された銀ナノ粒子(A))、架橋剤(B)、水系溶媒(C)以外に、本発明の効果を損なわない範囲において、その他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、公知の界面活性剤(表面調整剤)、増粘剤、レベリング剤、pH調整剤及び防腐剤が挙げられる。本発明のインクは、さらに、その他の成分として、上記複合体以外のその他の無機粒子、有機粒子、離型剤、帯電防止剤等の添加剤を含有してもよい。
界面活性剤の例には、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類及び脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類及びポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類及び第四級アンモニウム塩類等、又は、シリコーン系やフッ素系の界面活性剤が含まれる。
シリコーン系の界面活性剤の市販品の例には、KF-351A、KF-352A、KF-642及びX-22-4272(信越化学工業社製)、BYKシリーズ(ビッグケミー社製(「BYK」は同社の登録商標))、又は、TSF4452(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)が含まれる。
フッ素系の界面活性剤の市販品の例には、FC-4430、FC-4432(3M社製)、フタージェントシリーズ(ネオス社製)、F-477等のメガファックシリーズ(DIC社製)、サーフロンシリーズ(AGCセイケミカル社製)が含まれる。
界面活性剤、増粘剤、レベリング剤及び防腐剤並びに添加剤等の含有量は、例えば、インクの全質量に対して、それぞれ0.001質量%以上1.0質量%未満とすることができる。
ただし、金属光沢膜の反射率をより高める観点からは、インクは、実質的に、上記複合体(水溶性高分子分散剤(P)で被覆された銀ナノ粒子(A))、架橋剤(B)、水系溶媒(C)、及び任意に含有される界面活性剤からなることが好ましい。上記複合体、架橋剤(B)、水系溶媒(C)の含有量の合計は、インクの全質量に対して90~100質量%の範囲内であることが好ましく、95~100質量%の範囲内であることがより好ましい。
(インクの物性)
本発明のインクの粘度は、25℃で測定される粘度として、1mPa・s以上100mPa・s未満であることが、金属光沢膜を、インクジェット法を用いて形成する場合に、インクジェットヘッドのノズルからの吐出安定性をより高める観点から好ましい。インクの粘度(25℃)は、1~50mPa・sの範囲内であることがより好ましく、1~15mPa・sの範囲内であることがさらに好ましい。
本発明のインクの表面張力は、25℃で測定される表面張力として、20~50mN/mの範囲内であることが、インクジェットヘッドのノズルからの吐出安定性を高める観点から好ましい。基材に対する濡れ性を高めて、形成される画像をより高精細にする観点からは、本発明のインクの表面張力(25℃)は20~35mN/mの範囲内であることがより好ましい。本発明のインクの表面張力は、上記有機溶媒又は界面活性剤の種類又は量を変更することで、上記範囲に調整することができる。
また、本発明のインクのpH(25℃)は、インク保管安定性や、インクジェットヘッド部材安定性の観点から6.00~10.00の範囲内が好ましく、7.00~9.00の範囲内がより好ましい。
[積層体の製造方法]
本発明の積層体の製造方法は、基材と前記基材上に形成された金属光沢膜を有する積層体の製造方法であって、前記基材上に、本発明の加飾用金属光沢膜インクを塗布する工程(以下、「インク塗布工程」ともいう。)、加熱により前記加飾用金属光沢膜インクを硬化させて前記金属光沢膜を形成する工程(以下、「硬化工程」ともいう。)を有することを特徴とする。
本発明の積層体の製造方法においては、必要に応じてインク塗布工程及び硬化工程以外の工程を有してもよい。例えば、インク塗布工程の前に、基材の表面にプライマー層を形成する工程(以下、「プライマー層形成工程」ともいう。)を有してもよい。この場合、本発明の加飾用金属光沢膜インクはプライマー層上に塗布された後、加熱により硬化されて、基材上に、プライマー層及び金属光沢膜がその順に積層された積層体が製造される。基材と金属光沢膜の間にプライマー層を形成することにより、金属光沢膜の平坦性が向上し良好な光沢が得られる。
(基材)
本発明の積層体の製造方法に用いられる基材は、特に制限されず、その用途に応じて適宜選択される。基材の例には、塗工紙(例えばアート紙、コート紙、軽量コート紙、微塗工紙、キャスト紙等)や非塗工紙等の吸収性の媒体;ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリプロピレン、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブタジエンテレフタレート等のプラスチックで構成される非吸収性の記録媒体(プラスチック基材);金属類やガラス等の非吸収性の無機記録媒体;が含まれる。
基材の厚みや形状等は、積層体の用途に応じて適宜選択される。基材は、平板状に限定されず、例えば立体的な構造を有していてもよい。
(プライマー層形成工程)
プライマー層は、樹脂と、溶媒とを含むプライマーインクを基材上に塗布し、乾燥させることにより形成することができる。また、活性エネルギー重合型化合物と、重合開始剤とを含むプライマーインクを塗布し、塗膜に活性エネルギーを照射させることにより形成してもよい。
プライマーインクの塗布方法は特に制限されず、ロールコート法、スピンコート法、スプレー塗布法、浸漬法、スクリーン印刷法、インクジェット法、グラビア印刷法、オフセット印刷法等、いずれの方法であってもよい。これらの中でも、基材の表面粗さを細かく制御したりする場合には、スクリーン印刷法又はインクジェット法であることが好ましく、特にインクジェット法であることが好ましい。
インクジェット法によるインクジェットヘッドからの吐出方式は、オンデマンド方式及びコンティニュアス方式のいずれでもよい。オンデマンド方式のインクジェットヘッドは、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型及びシェアードウォール型等の電気-機械変換(ピエゾ)方式、又は、サーマルインクジェット型及びバブルジェット(バブルジェットはキヤノン社の登録商標)型等の電気-熱変換(サーマル)方式等のいずれでもよい。
また、プライマーインクの塗布後、塗膜を硬化もしくは乾燥させる方法は、プライマーインクの種類に応じて適宜選択され、例えば、加熱したり、活性エネルギーを照射する方法とすることができる。
(インク塗布工程)
加飾用金属光沢膜インクを基材上又はプライマー層上に塗布する方法としては、インクジェット法を用いることが好ましい。なお、加飾用金属光沢膜インクの塗布方法は、必要に応じてプライマーインクの塗布方法で説明した、インクジェット法以外の方法であってもよい。インクジェット法については、上記プライマーインクの場合と同様に行うことができる。
(硬化工程)
基材上又はプライマー層上に塗布された加飾用金属光沢膜インクは加熱されることで、インク中の架橋剤(B)の状態が変化し、水溶性高分子分散剤(P)が有するカルボキシ基と反応し、架橋して硬化する。架橋剤(B)がブロックイソシアネートの場合、加熱によりブロック剤が解離してイソシアネート基が生成される。したがって、加熱温度は、ブロック剤が解離する温度以上の温度とする。例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートトリマーにおいて、イソシアネート基が3,5-ジメチルピラゾールでブロックされた構造を有する化合物を使用した場合、解離温度は110~140℃の範囲内である。
架橋剤(B)がカルボジイミド基を有する水分散性樹脂の場合、上記加熱温度は、加飾用金属光沢膜インク中で水分散性樹脂のカルボジイミド基がカルボキシ基と反応可能となる温度、例えば、インク中で形成されていた水分散性樹脂のミセルが崩れる温度以上の温度とする。例えば、日清紡社製のカルボジライトE-05を用いた場合、該温度は110~140℃の範囲内である。
加飾用金属光沢膜インクを加熱する方法は、上記架橋剤(B)がカルボキシ基と反応可能になる所定の温度以上に加熱できる方法であれば、特に制限されない。具体的には、恒温層による加熱、電気ヒーターによる加熱、赤外線照射による加熱等が挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
[金属光沢膜インクの調製]
1.銀ナノ粒子の複合体分散液の調製
以下の方法で、銀ナノ粒子と、銀ナノ粒子の表面を被覆する水溶性高分子分散剤とからなる複合体(以下、「銀ナノ粒子複合体」という。)の分散液を調製した。銀ナノ粒子複合体分散液1が本発明の実施例に係る銀ナノ粒子複合体の分散液であり、銀ナノ粒子複合体分散液2が本発明の比較例に係る銀ナノ粒子複合体の分散液である。
1-1.銀ナノ粒子複合体分散液1
2Lのコルベンに、12gのDISPERBYK-190(ビックケミー社製、カルボキシ基を有する水溶性高分子分散剤(P)に相当する、カルボキシ基と共に側鎖にポリアルキレンオキサイド基を有する高分子量くし型ブロック共重合体(酸価;10mgKOH/g、以下、「化合物(P1)」という。)の水溶液。固形分40質量%)、及び420gのイオン交換水を投入した。上記コルベンをウォーターバスに入れ、DISPERBYK-190が溶解するまで50℃で撹拌した。その後、上記コルベンに、420gのイオン交換水に溶解させた100gの硝酸銀を撹拌しながら投入した。次に銀に対して2.8当量となるようにアンモニア水100gを入れた後、70℃に昇温して10分間撹拌した。その後、上記コルベンに、262gのジメチルアミノエタノールを加え、70℃を保ちながら2時間撹拌を続け、銀ナノ粒子の表面が化合物(P1)で被覆された銀ナノ粒子複合体1を含む反応液を得た。
得られた反応液を1Lのポリ瓶に移し換え、60℃の恒温室で18時間静置した。その後、上記反応液をステンレスカップに入れて、更に2Lのイオン交換水を投入してから、ポンプを稼動させて限外濾過を行った。その後、濃縮して銀ナノ粒子の平均粒子径が30nmで、固形分30質量%の銀ナノ粒子複合体1の分散液(銀ナノ粒子複合体分散液1)を得た。なお、銀ナノ粒子の平均粒子径は、銀ナノ粒子複合体分散液1について、NANOPIX mini(リガク製)で、小角X線散乱法により体積基準の粒度分布を求め、そのD50(メジアン径)を体積換算の平均粒子径とした体積平均粒子径である。また、上記仕込み量から算出される銀ナノ粒子複合体1における銀に対する化合物(P1)の割合は7.6質量%である。
上記限外濾過装置としては、限外濾過モジュールAHP1010(旭化成株式会社製、分画分子量:50000、使用膜本数:400本)、マグネットポンプ、および下部にチューブ接続口のある3リットルのステンレスカップをシリコンチューブでつないだものを使用した。
1-2.銀ナノ粒子複合体分散液2
以下の方法で、比較例用の銀ナノ粒子複合体2の分散液である銀ナノ粒子複合体分散液2を製造した。銀ナノ粒子複合体2は、銀ナノ粒子の表面がポリエチレンイミン(以下、「PEI」とも示す。)ブロックとポリエチレングリコール(以下、「PEG」とも示す。)ブロックを有する化合物(Pcf)で被覆された銀ナノ粒子複合体2である。
1-2-1.PEIブロックとPEGブロックを有する化合物(Pcf)の合成
(1)トシル化ポリエチレングリコールの合成
クロロホルム150mlに片末端メトキシ化ポリエチレングリコール(以下、「PEGM」とも示す。)〔数平均分子量(Mn)5000〕(アルドリッチ社製)150g〔30mmol〕とピリジン24g(300mmol)とを混合した溶液と、トシルクロライド29g(150mmol)とクロロホルム30mlとを均一に混合した溶液をそれぞれ調製した。
PEGMとピリジンの混合溶液を20℃で撹拌しながら、ここにトシルクロライドのトルエン溶液を滴下した。滴下終了後、40℃で2時間反応させた。反応終了後、クロロホルム150mlを加えて希釈し、5%HCl水溶液250ml(340mmol)で洗浄後、飽和食塩水と水で洗浄した。得られたクロロホルム溶液を硫酸ナトリウムで乾燥した後、エバポレータで溶媒を留去し、さらに乾燥した。収率は90%であった。H-NMRスペクトルにより各ピークの帰属を行い(2.4ppm:トシル基中のメチル基、3.3ppm:PEGM末端のメチル基、3.6ppm:PEGのEG(エチレングリコール)鎖、7.3~7.8ppm:トシル基中のベンゼン環)、トシル化ポリエチレングリコールであることを確認した。
(2)PEIブロックとPEGブロックを有する化合物(Pcf)の合成
上記(1)で得られたトシル化ポリエチレングリコール23.2g(4.5mmol)と、ポリエチレンイミン(日本触媒株式会社製、エポミン SP200)15.0g(1.5mmol)をジメチルアセトアミド(以下、「DMA」とも示す。)180mlに溶解後、炭酸カリウム0.12gを加え、窒素雰囲気下、100℃で6時間反応させた。反応終了後、固形残渣を除去し、酢酸エチル150mlとヘキサン450mlの混合溶媒を加え、沈殿物を得た。該沈殿物をクロロホルム100mlに溶解し、再度、酢酸エチル150mlとヘキサン450mlの混合溶媒を加えて再沈させた。これをろ過し、減圧下で乾燥した。H-NMRスペクトルにより各ピークの帰属を行い(2.3~2.7ppm:PEIのエチレン、3.3ppm:PEG末端のメチル基、3.6ppm:PEGのEG鎖)、PEI-PEG構造を有する化合物(Pcf)であることを確認した。収率は83%であった。
1-2-2.銀ナノ粒子複合体分散液2の調製
上記1-2-1.で得られた化合物(Pcf)0.592gを含む水溶液138.8gに酸化銀10.0gを加えて25℃で30分間撹拌した。引き続き、ジメチルエタノールアミン46.0gを撹拌しながら徐々に加えたところ、反応溶液は黒赤色に変わり、若干発熱したが、そのまま放置して25℃で30分間撹拌した。その後、10%アスコルビン酸水溶液15.2gを撹拌しながら徐々に加えた。その温度を保ちしながらさらに20時間撹拌を続けて、黒赤色の分散体を得た。
上記で得られた反応終了後の分散液にイソプロピルアルコール200mlとヘキサン200mlの混合溶剤を加えて2分間撹拌した後、3000rpmで5分間遠心濃縮を行った。上澄みを除去した後、沈殿物にイソプロピルアルコール50mlとヘキサン50mlの混合溶剤を加えて2分間撹拌した後、3000rpmで5分間遠心濃縮を行った。上澄みを除去した後、沈殿物にさらに水を加えて2分間撹拌して、減圧下有機溶剤を除去して銀ナノ粒子の表面が化合物(Pcf)で被覆された銀ナノ粒子複合体2の水性分散体を得た。その後、濃縮して平均粒子径が30nmで、固形分30質量%銀ナノ粒子複合体2の分散液(銀ナノ粒子複合体分散液2)を得た。銀ナノ粒子の平均粒子径は、上記と同様の方法で測定された体積平均粒子径である。また、上記仕込み量から算出される銀ナノ粒子複合体2における銀に対する化合物(Pcf)の割合は6.0質量%である。
2.金属光沢膜インクの調製
(金属光沢膜インク1)
以下の成分を以下の組成で混合して、金属光沢膜インク1を得た。なお、Aqua BI200(Trixene Aqua BI200(LANXESS社製))は、架橋剤(B)であるブロックイソシアネートに相当する、3,5-ジメチルピラゾールでブロックされたヘキサメチレンジイソシアネートトリマーを固形分として40質量%含有する水系分散液である。得られた金属光沢膜インク1における銀ナノ粒子(A)に対する架橋剤(B)の割合は、0.25質量%である。
固形分30質量%の銀ナノ粒子複合体水分散液1 14.35質量部
Aqua BI200 0.025質量部
NaCO 0.01M水溶液(pH調整剤) 8.00質量部
F-477(DIC社製、界面活性剤) 0.10質量部
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 37.00質量部
へキシレングリコール 4.00質量部
水 36.53質量部
(金属光沢膜インク2)
Aqua BI200をAqua BI220(Trixene Aqua BI220(LANXESS社製)、架橋剤(B)であるブロックイソシアネートに相当する、3,5-ジメチルピラゾールでブロックされたヘキサメチレンジイソシアネートトリマーを固形分として40質量%含有する水系分散液)に変更した以外は、金属光沢膜インク1と同様にして、金属光沢膜インク2を得た。
(金属光沢膜インク3)
Aqua BI200をカルボジライトE-05(架橋剤(B)であるカルボジイミド基(-N=C=N-)を有するポリカルボジイミド樹脂に親水性セグメント(親水基)を付与した水分散性樹脂を固形分として40質量%含有する水系分散液、日清紡ケミカル社製)に変更した以外は、金属光沢膜インク1と同様にして、金属光沢膜インク3を得た。
(金属光沢膜インク4)
Aqua BI200を純水に変更した以外は、金属光沢膜インク1と同様にして、金属光沢膜インク4を得た。
(金属光沢膜インク5)
以下の成分を以下の組成で混合して、金属光沢膜インク5を得た。なお、Aqua BI200(Trixene Aqua BI200(LANXESS社製))は、架橋剤(B)であるブロックイソシアネートに相当する、3,5-ジメチルピラゾールでブロックされたヘキサメチレンジイソシアネートトリマーを固形分として40質量%含有する水系分散液である。得られた金属光沢膜インク5における銀ナノ粒子(A)に対する架橋剤(B)の割合は、0.25質量%である。
固形分30質量%の銀ナノ粒子複合体水分散液2 14.13質量部
Aqua BI200 0.025質量部
NaCO 0.01M水溶液(pH調整剤) 8.00質量部
F-477(DIC社製、界面活性剤) 0.10質量部
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 37.00質量部
へキシレングリコール 4.00質量部
水 36.74質量部
[評価]
上記で得られた金属光沢膜インク1~5を用いて、基材上に画像を形成し、以下の(1)IJ吐出安定性(インクの保管安定性評価)及び(2)耐水性(金属光沢膜の塗膜保持性評価)の評価を行った。なお、画像の形成は、基材上にプライマー層及び金属光沢膜を以下の条件でその順に積層することで行った。結果を金属光沢膜インク1~5が含有する固形分成分の種類及び銀ナノ粒子に対する架橋剤量(質量%)とともに表Iに示す。
(画像形成の条件)
1.プライマーインクの調製
紫外線重合型化合物としてA-DCP(新中村化学工業社製、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート)の96質量部及び重合開始剤としてIRGACURE819(BASF社製、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル-フェニルホスフィンオキサイド)の4質量部を混合して、プライマーインクを得た。
2.画像形成
基材(コート紙:ラミーコーポレーション製、WRG3-36)に、上述のプライマーインク、金属光沢膜インクを、基材表面に対してこの順番で用いて、それぞれ以下の条件で画像形成を行った。
(画像形成条件)
ピエゾ型インクジェットノズル(印字幅72.12mm、ノズル数4×256、ノズル解像度360npi(90npi×4))を有するインクジェット記録装置を用いて、上述の基材上に各層を形成した。インクジェット記録装置は、インクタンク、インク供給配管、インクジェットヘッド直前のインク供給タンク、フィルター、およびピエゾ型のインクジェットヘッドを、インクが流通する上流側から下流側に向けて、この順で有するものを用いた。
また、インク供給タンクからインクジェットヘッド部分までを使用するインクに合わせて断熱及び加温を行った。温度センサーは、インク供給タンク及びインクジェットヘッドのノズル付近にそれぞれ設け、ノズル部分がUV系インク(プライマーインク)を使用する場合は80℃±2℃、水系インク(金属光沢膜インク)を使用する場合は25℃±2℃、温度制御を行った。インクジェットヘッドはインク液滴(吐出)量14±1plのものを用い、印字速度0.5m/sec、射出周波数10.5kHzの条件で駆動して、インクの液滴を1回から複数回吐出して、被塗布物上に着弾させた。
プライマー層については、プライマーインクを基材上に着弾後、ドライ窒素下で、Phoseon Technology社製水冷ユニット付きのLEDランプから紫外線(395nm、350mJ/cm)を照射し、プライマーインクを硬化させてプライマー層を得た。
金属光沢膜については、金属光沢膜インクをプライマー層上に着弾後、Adphos社製のNIRヒーターから、赤外線(3.2kW、4.95sec(1.65sec×3passes))を照射し、金属光沢膜インクを硬化させて金属光沢膜を得た。
(1)IJ吐出安定性(インクの保管安定性評価)
金属光沢膜インク1~5のそれぞれについて、初期、室温(25℃)で2週間保管した後、及び室温(25℃)で4週間保管した後に、上記の条件で以下の画像形成を行い、初期画像、2週間後画像、4週間後画像を得た。
(画像形成)
90npiに対応させて、縦2mmの細線を横幅72.2mm中に、256本とし、それが4段で合計1024本の細線がある画像(プライマー層と金属光沢膜の積層画像)を基材上に形成した。
各金属光沢膜インクについて得られた3種の画像を、以下の基準で評価した。Aが実用上問題ないレベルである。
(評価基準)
A:画像形成部に吐出欠なし。
B:画像形成部の半分未満で吐出欠あり。
C:画像形成部の半分以上で吐出欠あり。
(2)耐水性(金属光沢膜の塗膜保持性評価)
金属光沢膜インク1~5のそれぞれについて、上記の条件で20mm×20mmのベタ画像積層体(基材とプライマー層と金属光沢膜からなる積層体)1~5を形成した。形成した積層体1~5(それぞれ金属光沢膜インク1~5に対応)の金属光沢膜の中央に、200μLの水を垂らし自然乾燥させ、その後、各金属光沢膜の状態を観察し、水を垂らす前と変化があったかを、以下のように評価した。Aが実用上問題ないレベルである。
(評価基準)
A:変化なし。
B:金属光沢膜に、剥がれ及び白濁のうち少なくとも一方が生じた。
Figure 0007413755000001
表Iから、本発明の金属光沢膜インクである金属光沢膜インク1~3においては、少なくとも4週間のIJ吐出安定性を有し、保管安定性に優れることがわかる。また、金属光沢膜インク1~3を用いて得られる金属光沢膜については、耐水性も良好であることがわかる。

Claims (5)

  1. 銀ナノ粒子(A)と架橋剤(B)と水系溶媒(C)を含有する加飾用金属光沢膜インクであって、
    前記銀ナノ粒子(A)が、前記銀ナノ粒子(A)と前記銀ナノ粒子(A)の表面を被覆するカルボキシ基を有する水溶性高分子分散剤(P)とを含む複合体として含有され、
    前記銀ナノ粒子(A)の平均粒子径が、150nm以下であり、
    前記カルボキシ基を有する水溶性高分子分散剤(P)が、くし型ブロック共重合体であり、かつ前記カルボキシ基以外にポリアルキレンオキサイド基を有し、
    前記架橋剤(B)が、加熱により前記水溶性高分子分散剤(P)のカルボキシ基と反応可能な架橋剤(B)であり、イソシアネート基がブロック剤でブロックされたブロックイソシアネート又はカルボジイミド基を有する水分散性樹脂を含み、かつ
    前記架橋剤(B)の含有量が、前記銀ナノ粒子(A)に対して0.25~5.00質量%の範囲内であることを特徴とする加飾用金属光沢膜インク。
  2. 前記ブロックイソシアネートが、ヘキサメチレンジイソシアネートトリマーにおいて、イソシアネート基が3,5-ジメチルピラゾールでブロックされた構造を有する化合物であることを特徴とする請求項に記載の加飾用金属光沢膜インク。
  3. 前記カルボジイミド基を有する水分散性樹脂が、親水基を有するポリカルボジイミド樹脂であることを特徴とする請求項に記載の加飾用金属光沢膜インク。
  4. 基材と前記基材上に形成された金属光沢膜を有する積層体の製造方法であって、
    前記基材上に、請求項1から請求項までのいずれか一項に記載の加飾用金属光沢膜インクを塗布し、加熱により前記加飾用金属光沢膜インクを硬化させて前記金属光沢膜を形成することを特徴とする積層体の製造方法。
  5. 前記基材は表面にプライマー層を有し、前記プライマー層上に前記金属光沢膜を形成することを特徴とする請求項に記載の積層体の製造方法。
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