JP2021187089A - 画像形成方法、画像形成装置及び画像記録物 - Google Patents

画像形成方法、画像形成装置及び画像記録物 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の課題は、得られる画像記録物において、高光沢、高発色性及び広い色再現範囲を実現するとともに、対象とする画像のデザイン自由度が高い画像形成方法及び画像形成装置を提供することである。【解決手段】本発明の画像形成方法は、記録媒体上に少なくとも光沢層及び着色層を有する画像を形成する画像形成方法であって、前記記録媒体上に、金属粒子を含有する光沢インク組成物を付与して前記光沢層を形成する工程と、前記光沢層上に、透明層を形成する工程と、前記透明層上に、色材を含有する着色インク組成物を付与して前記着色層を形成する工程と、を有することを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、画像形成方法、画像形成装置及び画像記録物に関する。より詳しくは、本発明は、得られる画像記録物において、高光沢、高発色性及び広い色再現範囲を実現するとともに、対象とする画像のデザイン自由度が高い画像形成方法及び画像形成装置及びそれにより得られる画像記録物に関する。
メタリックカラーの加飾手法としては、透明フィルム上に金属蒸着膜を形成し、さらに着色層を塗布、印刷等で積層した箔を対象物に転写する技術が古くから知られている(特許文献1及び特許文献2を参照)。しかしながら、近年、対象物が限定されること、デザイン自由度(細線、グラデーション)の制約、また、転写後の残りの箔材料の廃棄の問題等の理由から、光沢インク又は光沢インキを用いて対象物に印刷してメタリックカラーを形成する技術が多く検討されている。
例えば、(1)光輝性顔料として、金、銅、黄銅等の有色系金属粒子を含有したインクを塗布する技術、(2)銀、アルミニウム等の無色系金属粒子と着色材(顔料、染料等)を併用したインクを塗布する技術、(3)銀、アルミニウム等の無色系金属粒子を含有したインクを塗布して塗膜を形成し、その上に着色顔料、染料等を含有したインクを上塗りして積層塗膜を形成する技術が知られている。
しかしながら、(1)の技術は、比較的高い光輝感は得られるものの、色が金属種に依存するため、多色カラーを得るためには多数のインクを準備する必要があり、装置の制約から実現は困難である。(2)の技術は、光輝性顔料と併用する着色材の選択自由度は比較的あり、多色カラーには有利であるが、光輝性顔料と着色剤を同一塗膜内に含有させるため、顔料の凝集や偏在等を抑えた均一分散性の確保が困難であり、高い光沢感と発色性の両立ができない点で問題である。
光沢感と発色性の課題を解決するために、光沢層と着色層を分離して設置する(3)の技術が、多く検討されており、例えば、特許文献3には、平滑層上に光沢層を設置し、その上に保護コーティング層を設置する技術であり、保護コーティング層中に、着色剤を含有する技術が記載されている。しかしながら、このような光沢層の上層に直接、着色層を設置する技術では、光沢層の高い反射率と、着色層の発色性を両立したメタリックカラー画像は、実現できていないのが現状である。
特開2001−312232号公報 特開平11−050026号公報 特表2009−507692号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、得られる画像記録物において、高光沢、高発色性及び広い色再現範囲を実現するとともに、対象とする画像のデザイン自由度が高い画像形成方法及び画像形成装置を提供することである。本発明はさらに、高光沢、高発色性及び広い色再現範囲を実現するとともに、高いデザイン自由度を有する画像記録物を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、金属蒸着層を用いた転写箔によるメタリックカラー加飾とインクを用いたメタリックカラー印刷方式についてそれぞれ以下のとおり検討した。
金属蒸着層を用いた転写箔によるメタリックカラー加飾では、高光沢、高発色性及び広い色再現範囲を実現するという課題がない。それは、蒸着のようにアナログ的に連続で形成した光沢層では干渉色が均質となり、ムラが目視しにくいためと考えられる。しかしながら、金属蒸着層を用いた転写箔によるメタリックカラー加飾の方法では、限定されたデザイン自由度(細線、グラデーション)をこれ以上高めるには限界がある。
一方、インクを用いた印刷方式では、画像情報を解像度に基づいて画素分解しドット単位で印刷画像を形成するために、高いデザイン自由度を有するが、光沢層に周期的な乱れを生じ、それが光沢ムラとして視認されることが考えられる。従って、このインクを用いたデジタル画像形成特有の問題を解決することで、上記課題が解決されると考えた。そして、上記本発明の課題を解決する手段として、我々は鋭意検討した結果、本発明の構成が有効であることを見出した。
発明者らは、まず、インクを用いた印刷方式におけるメタリックカラー印刷における高光沢の課題を解決するために、高い光沢性を発現させる手段として、金属粒子をナノ粒子化して塗膜中に緻密に敷き詰める、また、リーフィング効果を利用して平板上の金属粒子の反射面の向きをそろえる等の検討を行った。その結果、従来知られているようなメタリックインクに対し高い反射率を示す光沢膜を得ることができるようになった。
次に、この高い反射率を示す光沢膜を用いて、高発色性及び広い色再現範囲を有するメタリックカラー印刷を得ることを試みた。しかしながら、上記の高い光沢を示す塗膜上に、着色材を含有したインクを用いて着色層を設置したところ、所望の色彩と異なる色差が観測され、満足する結果が得られないことが判明した。この色差の原因として、発明者らは、着色層の厚さが可視光の波長(0.38〜0.75μm)と同程度となった場合、光沢層と着色層の界面と、着色層の表面側界面との干渉現象による色が目視されることが原因と推定した。
そこで、次に着色層の厚さを過度に厚くしてみたところ、色差は低減するものの、着色層が入射光を吸収、反射する割合が高くなり、下層である光沢層からの反射が相対的に低くなるために、当初の目的であった、高光沢のメタリックカラーを得ることができなかった。更に、着色層の厚さを厚くしたままで、着色層中の色材濃度を標準より下げる検討も実施したが、光沢性は高くなり、色差も低減するものの、着色層中の色材密度に起因すると推定される発色性が満足できるものではなく、やはり所望の水準のメタリックカラー印刷を得ることができなかった。
上記検討を重ねた結果、発明者らは、記録媒体上に少なくとも光沢層及び着色層を有するメタリックカラー画像を形成する画像形成方法において、記録媒体上に、金属粒子を含有する光沢インク組成物を付与して前記光沢層を形成する工程と、前記光沢層上に、透明層を形成する工程と、前記透明層上に、色材を含有する着色インク組成物を付与して前記着色層を形成する工程と、を設けることで、対象とする画像のデザイン自由度を増大できるとともに、得られる画像記録物において、高光沢、高発色性及び広い色再現範囲が実現できることを見出し本発明に至った。すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.記録媒体上に少なくとも光沢層及び着色層を有する画像を形成する画像形成方法であって、
前記記録媒体上に、金属粒子を含有する光沢インク組成物を付与して前記光沢層を形成する工程と、
前記光沢層上に、透明層を形成する工程と、
前記透明層上に、色材を含有する着色インク組成物を付与して前記着色層を形成する工程と、
を有することを特徴とする画像形成方法。
2.前記光沢層の画像解像度が、300dpi以上であることを特徴とする第1項に記載の画像形成方法。
3.前記光沢層を形成する工程における前記光沢インク組成物の付与が、インクジェット方式で行われることを特徴とする第1項又は第2項に記載の画像形成方法。
4.前記金属粒子が、平均粒子径が10〜100nmの範囲内にある銀ナノ粒子であることを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載の画像形成方法。
5.前記透明層の厚さが、1.6μm以上であることを特徴とする第1項から第4項までのいずれか一項に記載の画像形成方法。
6.前記透明層の可視光透過率が、80%以上であることを特徴とする第1項から第5項までのいずれか一項に記載の画像形成方法。
7.記録媒体上に少なくとも光沢層及び着色層を有する画像を形成するための画像形成装置であって、
前記記録媒体上に、金属粒子を含有する光沢インク組成物を付与して光沢層を形成する光沢層形成部と、
前記光沢層上に、透明層を形成する透明層形成部と、
前記透明層上に、色材を含有する着色インク組成物を付与して着色層を形成する着色層形成部と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
8.前記光沢層の画像解像度が、300dpi以上であることを特徴とする第7項に記載の画像形成装置。
9.前記光沢層形成部が、前記光沢インク組成物を付与するためのインクジェット装置を含むことを特徴とする第7項又は第8項に記載の画像形成装置。
10.記録媒体上に少なくとも光沢層及び着色層をその順に有する画像記録物であって、
前記光沢層は金属粒子を含有するドットで構成される層であり、かつ、
前記光沢層及び前記着色層の間に透明層を備えることを特徴とする画像記録物。
11.前記光沢層の画像解像度が、300dpi以上であることを特徴とする第10項に記載の画像記録物。
12.前記金属粒子が、平均粒子径が10〜100nmの範囲内にある銀ナノ粒子であることを特徴とする第10項又は第11項に記載の画像記録物。
13.前記透明層の厚さが、1.6μm以上であることを特徴とする第10項から第12項までのいずれか一項に記載の画像記録物。
14.前記透明層の可視光透過率が、80%以上であることを特徴とする第10項から第13項までのいずれか一項に記載の画像記録物。
本発明の上記手段により、得られる画像記録物において、高光沢、高発色性、広い色再現範囲を実現する画像形成方法及び画像形成装置を提供することができる。本発明はさらに、高光沢、高発色性、広い色再現範囲を実現した画像記録物を提供することができる。
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
上記のとおり、インクを用いた印刷方法では、画像情報を解像度に基づいて画素分解し、ドット単位で印刷画像を形成するために、高いデザイン自由度を有する反面、光沢層に周期的な乱れが生じる。本発明者らは、これが原因で、光沢層に着色層を直接積層した場合に、光沢ムラ、色差等の色ムラが発生し、高光沢、高発色性及び広い色再現範囲を実現した画像記録物が得られないことを解明した。そこで、本発明においては、インクを用いた印刷方法において、光沢層と着色層の間に、透明層を挟む構成とし、この構成によって、光沢層での高い光沢と、着色層での高い発色性、広い色再現範囲を実現した。
これは、光沢層と着色層を実質的に非接触状態にすることで、金属粒子と色材が近接、混合することがなく、明確に機能が分離できたためと考えている。また、特に色差の問題については、透明層の存在により、可視光の干渉縞強度、空間周波数を目視上識別できないようにできたためと考えている。
本発明に係る画像記録物の一例の断面図 本発明に係る画像記録物の別の一例の断面図 本発明に係る画像形成装置の一例を模式的に示す概略断面図
本発明の画像形成方法(以下、「画像形成方法」ともいう。)は、記録媒体上に少なくとも光沢層及び着色層を有する画像を形成する画像形成方法であって、以下の(1)〜(3)の工程を有することを特徴とする。
(1)前記記録媒体上に、金属粒子を含有する光沢インク組成物を付与して前記光沢層を形成する工程
(2)前記光沢層上に、透明層を形成する工程
(3)前記透明層上に、色材を含有する着色インク組成物を付与して前記着色層を形成する工程
この特徴は、下記各実施形態に共通する技術的特徴である。
本発明の画像形成方法の実施態様としては、前記光沢層の画像解像度が、300dpi以上であることが好ましい。本発明の画像形成方法における(1)の工程は、光沢インク組成物を用いて行われる。光沢インク組成物の付与は、例えば、画像情報に基づいて選択的に行われる。具体的には、画像情報を解像度に合わせて画素分割し、それに基づいてドット単位で光沢インク組成物の付与が行われ、画像を形成する。本発明の画像形成方法においては、光沢層の画像解像度が300dpi以上であれば、本発明の効果をより高く発現できる。
本発明の画像形成方法の実施態様としては、本発明の効果をより高く発現できる観点から、前記光沢層を形成する工程における前記光沢インク組成物の付与が、インクジェット方式(インクジェット法)で行われることが好ましい。
本発明の画像形成方法の実施態様としては、本発明の効果をより高く発現できる観点から、前記金属粒子が、平均粒子径が10〜100nmの範囲内にある銀ナノ粒子であることが好ましい。
本発明の画像形成方法の実施態様としては、本発明の効果をより高く発現できる観点から、前記透明層の厚さが、1.6μm以上であることが好ましい。
本発明の画像形成方法の実施態様としては、本発明の効果をより高く発現できる観点から、前記透明層の可視光透過率が、80%以上であることが好ましい。
本発明の画像形成装置(以下、「画像形成装置」ともいう。)は、記録媒体上に少なくとも光沢層及び着色層を有する画像を形成するための画像形成装置であって、前記記録媒体上に、金属粒子を含有する光沢インク組成物を付与して光沢層を形成する光沢層形成部と、前記光沢層上に、透明層を形成する透明層形成部と、前記透明層上に、色材を含有する着色インク組成物を付与して着色層を形成する着色層形成部と、を有することを特徴とする。
本発明の画像形成装置の実施態様としては、本発明の効果をより高く発現できる観点から、前記光沢層の画像解像度が、300dpi以上であることが好ましい。すなわち、前記光沢層形成部が、画像解像度300dpi以上の光沢層を形成できる仕様であることが好ましい。
本発明の画像形成装置の実施態様としては、本発明の効果をより高く発現できる観点から、前記光沢層形成部が、前記光沢インク組成物を付与するためのインクジェット装置を含むことが好ましい。
本発明の画像記録物(以下、「画像記録物」ともいう。)は、記録媒体上に少なくとも光沢層及び着色層をその順に有する画像記録物であって、前記光沢層は金属粒子を含有するドットで構成される層であり、かつ、前記光沢層及び前記着色層の間に透明層を備えることを特徴とする。
本発明の画像記録物の実施態様としては、本発明の効果をより高く発現できる観点から、前記光沢層の画像解像度が、300dpi以上であることが好ましい。
本発明の画像記録物の実施態様としては、本発明の効果をより高く発現できる観点から、前記金属粒子が、平均粒子径が10〜100nmの範囲内にある銀ナノ粒子であることが好ましい。
本発明の画像記録物の実施態様としては、本発明の効果をより高く発現できる観点から、前記透明層の厚さが、1.6μm以上であることが好ましい。
本発明の画像記録物の実施態様としては、本発明の効果をより高く発現できる観点から、前記透明層の可視光透過率が、80%以上であることが好ましい。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
[画像形成方法]
本発明の画像形成方法は、記録媒体上に少なくとも光沢層及び着色層を有する画像を形成する画像形成方法であって、以下の(1)〜(3)の工程を有することを特徴とする。
(1)前記記録媒体上に、金属粒子を含有する光沢インク組成物を付与して前記光沢層を形成する工程(以下、「光沢層形成工程」ともいう。)
(2)前記光沢層上に、透明層を形成する工程(以下、「透明層形成工程」ともいう。)
(3)前記透明層上に、色材を含有する着色インク組成物を付与して前記着色層を形成する工程(以下、「着色層形成工程」ともいう。)
本発明の画像形成方法は、さらに必要に応じて(1)の工程の前に、(1P)前記記録媒体上に、下地層インク組成物を付与して下地層を形成する工程(以下、「下地層形成工程」ともいう。)を有してもよい。その場合、(1)の工程において、光沢インク組成物を付与する表面は下地層の表面となる。
図1及び図2に本発明の画像形成方法により得られる本発明に係る画像記録物の一例及び別の一例の断面図を示す。図1に示す画像記録物5Aは、記録媒体1の一方の主面上に光沢層2、透明層3及び着色層4をその順に有する画像記録物の例である。図2に示す画像記録物5Bは、記録媒体1の一方の主面上に、下地層6、光沢層2、透明層3及び着色層4をその順に有する画像記録物の例である。画像記録物5A及び画像記録物5Bにおいて、光沢層2、透明層3及び着色層4により画像が構成される。以下、本発明の画像形成方法の各工程について説明する。
〔光沢層形成工程〕
光沢層形成工程では、記録媒体上、具体的には、記録媒体の表面又は下地層が先に形成されている場合には下地層の表面、に金属粒子を含有する光沢インク組成物(以下、光沢インク組成物(M)ともいう。)を付与して光沢層を形成する。
(記録媒体)
本発明の画像形成方法に用いられる記録媒体(以下、「基材」ともいう。)は特に制限されず、その用途に応じて適宜選択される。基材の例には、塗工紙(例えばアート紙、コート紙、軽量コート紙、微塗工紙、キャスト紙等)や非塗工紙等の吸収性の媒体;ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリプロピレン、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブタジエンテレフタレート等のプラスチックで構成される非吸収性の記録媒体(プラスチック基材);金属類やガラス等の非吸収性の無機記録媒体;が含まれる。
基材の厚みや形状等は、本発明の画像形成方法により得られる画像記録物の用途に応じて適宜選択される。基材は、平板状に限定されず、例えば立体的な構造を有していてもよい。
(光沢インク組成物(M))
光沢インク組成物(M)は、金属粒子を含有するインク組成物であればよく、水系インク、溶剤系インク及び活性光線硬化型インクを含む任意の構成を用いることができる。
光沢インク組成物(M)は、水系インク及び溶剤系インクである場合、金属粒子が液状媒体に分散した形態である。例えば、光沢インク組成物(M)は、水系インクであるときは、液状媒体として、水及び任意に水溶性有機溶媒を含有することができる。以下、水又は水と水溶性有機溶媒を組み合わせた溶媒を「水系溶媒」ともいう。また、光沢インク組成物(M)は、溶剤系インクであるときは、液状媒体として、有機溶媒を含有することができる。
光沢インク組成物(M)は、活性光線硬化型インクであるときは、活性光線の照射によって重合及び架橋する光重合性化合物及び任意に光重合開始剤、重合禁止剤、紫外線吸収剤等を含有することができる。この場合、金属粒子は、これらの重合成分に分散されてなる。光沢インク組成物(M)は、活性光線硬化型インクである場合、溶媒を含有してもよい。金属粒子は水系溶媒に分散された分散液として、上記重合成分と混合して光沢インク組成物(M)としてもよい。
光沢インク組成物(M)は、さらに、必要に応じて、金属粒子を分散させるための分散剤、界面活性剤等を含有してもよい。光沢インク組成物(M)は、水系インク及び溶剤系インクである場合、金属粒子を基材に定着させるためのバインダー樹脂、架橋剤等を含有してもよい。上記任意の成分は、光沢インク組成物(M)中に、1種のみが含まれていてもよく、2種類以上が含まれていてもよい。
(金属粒子)
金属粒子は、金属を主成分とする粒子であり、金属光沢を発現することができる粒子であれば特に制限されない。金属粒子を構成する金属の例には、金、銀、銅、ニッケル、パラジウム、白金、アルミニウム、亜鉛、クロム、鉄、コバルト、モリブデン、ジルコニウム、ルテニウム、イリジウム、タンタル、水銀、インジウム、スズ、鉛、及びタングステン等が含まれる。これらの中で、高い光沢を発現可能であり、かつ、入手が比較的容易であることから、金、銀、銅、ニッケル、コバルト、スズ、鉛、クロム、亜鉛及びアルミニウムが好ましく用いられ、金、銀、銅、スズ、クロム、鉛及びアルミニウムがより好ましく、金及び銀がさらに好ましく、銀が特に好ましい。
これらの金属は、1種を単独で、又は2種類以上を合金又は混合物として用いることができる。また、金属の種類又は組成が異なる2種類以上の金属粒子を組み合わせて用いてもよい。金属粒子は、これらの金属を主成分とすればよく、不可避的に含まれる他の成分を微量に含んでいてもよいし、分散安定性を高めるためにクエン酸等で表面処理されていてもよい。また、これらの金属は、酸化物を含有してもよい。
金属粒子の平均粒子径は特に限定されないが、光沢インク組成物(M)中での分散安定性及び保存安定性を高める観点、ならびにグラデーションの視認性を高める等デザインの自由度を高める観点からは、金属粒子は、平均粒子径がナノサイズである金属ナノ粒子であることが好ましい。金属粒子の平均粒子径は、150nm以下であることが好ましく、3〜100nmであることがより好ましく、10〜100nmであることがさらに好ましく、10〜60nmであることがさらにより好ましく、15〜55nmであることが特に好ましい。金属粒子の平均粒子径は、以下の銀ナノ粒子における平均粒子径と同様の方法で求めた、体積基準のD50(メジアン径)である。
光沢インク組成物(M)中の金属ナノ粒子の含有量は特に限定されないが、光沢インク組成物(M)の全質量に対して0.5〜15質量%であることが好ましく、0.75〜12.5質量%であることがより好ましく、1〜10質量%であることがさらに好ましい。
(銀ナノ粒子)
本発明で用いる金属粒子は、銀ナノ粒子であることが特に好ましい。本発明で用いる銀ナノ粒子は、銀を主成分とする金属粒子である。なお、本明細書において、銀を主成分とするとは、銀ナノ粒子全質量に対して銀を50質量%以上含むものとする。銀ナノ粒子における銀の含有量は、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、99質量%以上がさらに好ましい。
銀ナノ粒子において、銀は銀を含む合金として含有されていてもよい。銀を含む合金の例には、銀マグネシウム、銀銅、銀パラジウム、銀パラジウム銅、銀インジウム、銀ビスマス等が含まれる。さらに、銀ナノ粒子は、不可避的に含まれる他の成分を微量に含んでいてもよいし、銀の酸化物を含有してもよい。また、銀ナノ粒子は、コア部がシリカ等の銀以外から構成され、シェル部が銀や銀合金等の銀含有成分から構成されるコアシェル構造の銀ナノ粒子や、コア部が中空の中空銀ナノ粒子等でもよい。
本発明で用いる銀ナノ粒子は、銀ナノ粒子とその表面を被覆するカルボキシ基を有する水溶性高分子分散剤とを含む複合体として、インク中に含有されると特に好ましい。
銀ナノ粒子の平均粒子径は、インク中での銀ナノ粒子の分散性及びインクの保管安定性を高める観点から、150nm以下であることが好ましく、3〜100nmであることが好ましく、10〜100nmであることが特に好ましい。
銀ナノ粒子の平均粒子径は、小角X線散乱法で体積基準の粒度分布を求め、そのD50(メジアン径)を体積換算の平均粒子径とした体積平均粒子径である。小角X線散乱法による銀ナノ粒子の体積平均粒子径の測定は、例えば、小角X線散乱装置としてNANOPIX mini(リガク社製)を用いて行うことができる。なお、銀ナノ粒子の平均粒子径は、以下の銀ナノ粒子が水溶性高分子分散剤で被覆された複合体を用いて上記同様に測定した場合においても、銀ナノ粒子の平均粒子径として測定可能である。
本発明で用いる銀ナノ粒子の製造方法としては、特に制限はなく、従来公知の種々の方法を用いて製造することが可能であり、例えば、低真空ガス中蒸発法等の気相法を用いて製造してもよいし、液相で銀化合物を還元して、銀ナノ粒子の分散液を調製してもよい。気相、液相法のうち、光沢インク組成物(M)中での安定性や製造工程の簡便さから、液相法を特に好適に用いることができる。なお、後述のとおり、銀ナノ粒子の形成と銀ナノ粒子表面への水溶性高分子分散剤の被覆を同時に行うこともでき、生産性の観点から同時に行うことが好ましい。
光沢インク組成物(M)における銀ナノ粒子の含有量は、光沢インク組成物(M)の全質量に対して1〜12質量%の範囲内にあるのが好ましく、2〜10質量%の範囲内にあるのがより好ましく、4〜8質量%の範囲内にあるのがさらに好ましい。銀ナノ粒子の含有量が1質量%以上であれば、得られる光沢層中の銀ナノ粒子の充填量を確保でき、例えば、4質量%以上であれば、光沢層中の銀ナノ粒子の充填量を十分に確保できる。銀ナノ粒子の含有量が、12質量%以下であれば、銀ナノ粒子の分散性が十分確保でき、緻密で均一な光沢層を形成できるため好ましい。
本発明に係る銀ナノ粒子は分散剤によって表面が被覆されて複合体を形成しているとより好ましい。銀ナノ粒子が分散剤によって被覆されているとは、銀ナノ粒子の表面の少なくとも一部に、分散剤が付着していればよい。すなわち、銀ナノ粒子の表面全体が分散剤によって覆われていてもよく、銀ナノ粒子の表面のうち、一部の領域のみが分散剤によって覆われていてもよい。分散剤によって被覆されている領域は、銀ナノ粒子の表面の全領域の半分以上であることが好ましい。
銀ナノ粒子が分散剤によって被覆されているか否かは、銀ナノ粒子が光沢インク組成物(M)に含まれている状態では、銀ナノ粒子濃度を高めたときに凝集するか否かによって確認できる。また、得られる光沢層中の銀ナノ粒子が分散剤で被覆されているかを確認する場合には、NMRや、熱重量分析等により確認することができる。
(分散剤)
本発明で用いられる分散剤は、低分子分散剤、高分子分散剤のどちらでもよいが、特に高分子分散剤が好ましい。金属粒子、特には銀ナノ粒子を光沢インク組成物(M)に配合する場合、金属粒子は、溶媒、特には水系溶媒に予め分散させた分散液として配合することが好ましい。以下に、金属粒子を水系溶媒に分散させる場合の分散剤を例に説明する。
<低分子分散剤>
低分子分散剤の例には、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、タンニン酸、グリコール酸等の有機酸、クエン酸三ナトリウム、クエン酸三カリウム、クエン酸三リチウム、クエン酸一カリウム、クエン酸水素二ナトリウム、クエン酸二水素カリウム、リンゴ酸二ナトリウム、酒石酸二ナトリウム、酒石酸カリウム、酒石酸ナトリウムカリウム、酒石酸水素カリウム、酒石酸水素ナトリウム、グリコール酸ナトリウム等のイオン性化合物が含まれる。
<高分子分散剤>
高分子分散剤を構成する樹脂は、親水性モノマーの単独重合体又は共重合体が好ましい。高分子分散剤は、親水性モノマーと疎水性モノマーとの共重合体であれば制限なく使用できるが、特に、カルボキシ基を有する高分子樹脂からなる水溶性高分子分散剤は、より好適に用いられる。
水溶性高分子分散剤は、カルボキシ基を有する水溶性の高分子化合物であれば特に制限なく使用できる。水溶性高分子分散剤は、カルボキシ基を有することで銀ナノ粒子の表面に吸着するとともに水溶性も示す。これにより、光沢インク組成物(M)中での銀ナノ粒子の分散性が得られるとともに、光沢インク組成物(M)の保管安定性も得られる。
水溶性高分子分散剤の重量平均分子量は、銀ナノ粒子への吸着や、光沢インク組成物(M)の保管安定性の観点から1000〜100000が好ましく、2000〜50000がより好ましい。当該重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定される値(スチレン換算)である。
水溶性高分子分散剤は、カルボキシ基を有するモノマーの単独重合体、カルボキシ基を有する2種以上のモノマーの共重合体、カルボキシ基を有するモノマーと疎水性モノマーとの共重合体、カルボキシ基を有するモノマーとそれ以外のその他の親水性モノマーと疎水性モノマーとの共重合体等とすることができる。
カルボキシ基を有するモノマーとしては、例えば、不飽和カルボン酸(例えば、(メタ)アクリル酸やマレイン酸等)や無水マレイン酸等のカルボキシル基又はカルボン酸無水物基を含有するモノマーが挙げられる。なお、本明細書において、(メタ)アクリルとは、アクリル及びメタクリルの双方又はいずれか一方を意味する。カルボキシ基を有するモノマー以外のその他の親水性モノマーとしては、例えば、エチレンオキサイド変性(メタ)アクリル酸アルキルエステル等のアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリル酸エステルモノマーが挙げられる。
疎水性モノマーの例には、(メタ)アクリル酸メチルや(メタ)アクリル酸エチル等の(メタ)アクリル酸エステル系モノマー;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニルモノマー;エチレン、プロピレン、1−ブテン等のα−オレフィン系モノマー;酢酸ビニルや酪酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル系モノマー;等が含まれる。
水溶性高分子分散剤が共重合体である場合、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、及びくし型共重合体のいずれの構造であってもよい。中でも、銀ナノ粒子の光沢インク組成物(M)中での分散性を高める観点から、水溶性高分子分散剤は、くし型共重合体であることが好ましく、特にくし型ブロック共重合体であることが好ましい。
水溶性高分子分散剤としては、(メタ)アクリル酸又はマレイン酸若しくはその無水物と(メタ)アクリル酸エステルの共重合体、(メタ)アクリル酸又はマレイン酸若しくはその無水物と芳香族ビニルモノマーと(メタ)アクリル酸エステルの共重合体、(メタ)アクリル酸又はマレイン酸若しくはその無水物とマレイン酸エステルと(メタ)アクリル酸エステルの共重合体、(メタ)アクリル酸又はマレイン酸若しくはその無水物と芳香族ビニルモノマーとマレイン酸エステルと(メタ)アクリル酸エステルの共重合体、(メタ)アクリル酸又はマレイン酸若しくはその無水物と芳香族ビニルモノマーとマレイン酸エステルの共重合体であるくし型高分子化合物が好ましい。
くし型ブロック共重合体とは、略直鎖上の主鎖と、当該主鎖にグラフト重合した別の種類のモノマーもしくはポリマー由来の側鎖と、を有する共重合体を意味する。水溶性高分子分散剤は、カルボキシ基とともにポリアルキレンオキサイド基を有するくし型ブロック共重合体でありことが好ましい。くし型ブロック共重合体の好ましい例には、主鎖が(メタ)アクリル酸由来及び(メタ)アクリル酸エステル由来の構造単位を含み、側鎖がポリアルキレンオキサイド基、例えば、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合基等を含む長鎖ポリアルキレンオキサイド基、を含む共重合体が含まれる。このようなくし型ブロック共重合体で銀ナノ粒子を被覆すると、主鎖が銀ナノ粒子側に配置され、側鎖がその外側に配置される。そのため、光沢インク組成物(M)中で、側鎖同士の立体障害によって、銀ナノ粒子が凝集し難く、光沢層に均一に銀ナノ粒子が配置されやすくなる。
これらの(共)重合体は、ラジカル開始剤により溶液重合もしくは塊状重合で合成しても構わないし、市販品を使用しても構わない。なお、必要に応じて上記(共)重合体の塩を使用して光沢インク組成物(M)を作製することができる。すなわち、塩の形で光沢インク組成物(M)に配合して、光沢インク組成物(M)中では水溶性高分子分散剤として機能させることができる。
上記カルボキシ基を有する(共)重合体の塩を形成するための化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等の水酸化アルカリ金属類、及びジエチルアミン、アンモニア、エチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ジプロピルアミン、ブチルアミン、イソブチルアミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、アミノメチルプロパノール、モルホリン等が挙げられる。これらの塩を形成するための化合物の使用量は、上記カルボキシ基を有する(共)重合体の中和当量以上であることが好ましい。
ここで、水溶性高分子分散剤の酸価は、1〜80mgKOH/gであることが好ましい。酸価が1mgKOH/g以上であると、光沢インク組成物(M)中の水溶性有機溶媒と水溶性高分子分散剤との親和性が高まりやすい。また、加熱時における架橋剤との反応点(架橋点)も十分に確保できる。
一方で、酸価が高すぎると、光沢層中で水溶性高分子分散剤が膨潤しやすくなり、光沢層の耐久性が低下しやすくなるが、酸価が80mgKOH/g以下であれば膨潤し難く、光沢層の耐久性が維持されやすくなる。水溶性高分子分散剤の酸価は、1〜60mgKOH/gであることがより好ましく、2〜50mgKOH/gであることがさらに好ましく、3〜45mgKOH/gであることがさらに好ましく、5〜40mgKOH/gであることが特に好ましい。
酸価は、JIS K 0070に準じて測定することができる。具体的には、フーリエ変換赤外分光法(FT−IR)により、水溶性高分子分散剤の構造や商品名等を特定し、同一の水溶性高分子分散剤の酸価をJIS K 0070に準じて測定すればよい。なお、1H−NMRやガスクロマトグラフィー−質量分析法(GC/MS)によって水溶性高分子分散剤の構造等を特定してもよい。
水溶性高分子分散剤の市販品としては、例えば、ビックケミー社製のDISPERBYK−190、DISPERBYK−194N、DISPERBYK−2015、EVONIC社製のTEGO Dispers 750W、TEGO Dispers 755W、共栄社化学社製のフローレンG700、フローレンGW1500、フローレンGW1640、日油製のマリアリムAFB−1521、AKM−0531、マリアリムSC−1015F、マリアリムSC−0505K、マリアリムFA−1160等が挙げられる。
本発明に用いる光沢インク組成物(M)における水溶性高分子分散剤の量は、光沢インク組成物(M)中での銀ナノ粒子の分散性及びインクの保管安定性、並びに得られる光沢層の耐水性等の塗膜保持性を高める観点から、銀ナノ粒子の100質量%に対して、1〜15質量%であることが好ましく、2〜10質量%であることがより好ましく、3〜8質量%であることがさらに好ましい。
銀ナノ粒子を水溶性高分子分散剤で被覆する方法、すなわち銀ナノ粒子と銀ナノ粒子の表面を被覆する水溶性高分子分散剤とを含む複合体の製造方法としては、銀ナノ粒子を得た後、その表面を水溶性高分子分散剤で被覆する方法、銀ナノ粒子を製造しつつ同時に銀ナノ粒子の表面を水溶性高分子分散剤で被覆する方法が挙げられ、生産性の観点から後者が好ましい。該方法の一例として、以下の方法が挙げられる。ただし、銀ナノ粒子と銀ナノ粒子の表面を被覆する水溶性高分子分散剤とを含む複合体の製造方法は当該方法に限定されない。
まず、水系溶媒(水又は水と水溶性有機溶媒を組み合わせた溶媒)中に、水溶性高分子分散剤を溶解させる。その後、当該溶液に、銀を含む塩(銀塩)を分散させる。そして、還元剤をさらに加えて撹拌し、銀塩中の銀イオンを還元して銀ナノ粒子を析出させつつ、当該銀ナノ粒子を水溶性高分子分散剤によって被覆する。
ここで、用いる水系溶媒としては、本発明に用いる光沢インク組成物(M)が含有する水系溶媒と同じ組成であってもよく、異なる組成であってもよい。異なる組成である場合、光沢インク組成物(M)とする際に水系溶媒を、入れ替える、成分を追加する等により本発明に用いる光沢インク組成物(M)が含有する水系溶媒と同じ組成とする。
銀ナノ粒子と銀ナノ粒子の表面を被覆する水溶性高分子分散剤とを含む複合体の平均粒子径は、上記銀ナノ粒子の平均粒子径と略同様であり、150nm以下が好ましく、10〜100nmであることが特に好ましい。上記複合体の平均粒子径は、例えば、以下の手順で測定することができる。まず、ガラス基板上に複合体の分散液を塗布した後、加熱せずに真空脱気して溶媒成分を揮発させて、試料を得る。得られた試料を、透過型電子顕微鏡(日本電子(株)製)により観察し、任意の300個の金属ナノ粒子の一次粒子の粒子径を測定する。得られた粒子径の平均値を、平均粒子径とする。
(水及び水溶性有機溶媒)
本発明に用いる光沢インク組成物(M)が水系インクの場合、液状媒体である水系溶媒として、水及び任意に水溶性有機溶媒を含有することができる。水系インクの場合、水溶性有機溶媒を含有することで、乾燥速度及び粘度の調整等を行うことができる。
水は、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水または超純水のようなイオン性不純物を極力除去したものであることが好ましい。また、紫外線照射または過酸化水素添加等により滅菌した水を用いると、光沢インク組成物(M)を長期保存する場合にカビやバクテリアの発生を抑制できるので好適である。
水溶性有機溶媒は、水に溶解するものであれば特に制限されない。上記水溶性有機溶媒の例には、多価アルコール、多価アルコール誘導体、アルコール、アミド、ケトン、ケトアルコール、エーテル、含窒素溶剤、含硫黄溶剤、炭酸プロピレン、炭酸エチレン、及び1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が含まれる。
上記多価アルコールの例には、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロプレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチルペンタン−2,4−ジオール、及び1,2,6−ヘキサントリオール等が含まれる。
上記多価アルコール誘導体の例には、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルアセテート、エチレングリコールモノエチルアセテート、エチレングリコールモノブチルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルアセテート等が含まれる。
上記アルコールの例には、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、及びベンジルアルコール等が含まれる。
上記アミドの例には、ジメチルホルムアミド、及びジメチルアセトアミド等が含まれる。
上記ケトンの例には、アセトン、メチルエチルケトン等が含まれる。
上記ケトアルコールの例には、ジアセトンアルコール等が含まれる。
上記エーテルの例には、テトラヒドロフラン、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル及びジオキサン等が含まれる。
上記含窒素溶剤の例には、ピロリドン、2−ピロリドン、Nメチルピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、及びトリエタノールアミン等が含まれる。
上記含硫黄溶剤の例には、チオジエタノール、チオジグリコール、チオジグリセロール、スルホラン、及びジメチルスルホキシド等が含まれる。
これらの水溶性有機溶媒は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの水溶性有機溶媒の中で、基材が冒されて樹脂が混入することによる光沢の低下を抑制する観点からは、プロトン性極性溶媒が好ましく、プロピレングリコール、1,2−ブタジオール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル等が好ましい。
また、例えば、光沢インク組成物(M)が水系インクであって、その付与をインクジェット法で行う場合、インクジェットヘッドからの吐出時にノズル近傍で光沢インク組成物(M)が乾燥することによるノズル詰まりの発生を抑制する観点からは、上記水溶性有機溶媒は、多価アルコールを含むことが好ましい。このとき、光沢インク組成物(M)中の多価アルコールの含有量は、光沢インク組成物(M)の全質量に対して1〜10質量%であることが好ましい。
一方で、基材が冒されて樹脂が混入することによる光沢の低下を抑制する観点からは、非プロトン性極性溶媒の含有量は、光沢インク組成物(M)の全質量に対して40質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることがさらに好ましく、10質量%以下であることがさらに好ましく、5質量%以下であることがさらに好ましく、光沢インク組成物(M)は、非プロトン性極性溶媒を実質的に含有しないことが特に好ましい。
本発明に用いる光沢インク組成物(M)が水系インクである場合、光沢インク組成物(M)における水系溶媒の含有量は、本発明に用いる光沢インク組成物(M)をインクジェット方式に用いる場合、光沢インク組成物(M)の全質量に対して85〜99質量%の範囲内の量であることが好ましく、90〜97質量%の範囲内であることがより好ましい。この場合の、光沢インク組成物(M)中の水の含有量は、光沢インク組成物(M)の全質量に対して20〜80質量%の範囲内の量であることが好ましく、40〜70質量%の範囲内であることがより好ましい。また、光沢インク組成物(M)中の水溶性有機溶媒の含有量は、光沢インク組成物(M)の全質量に対して20〜50質量%の範囲内の量であることが好ましく、30〜50質量%の範囲内であることがより好ましい。
本発明に用いる光沢インク組成物(M)が溶剤系インクである場合、液状媒体として用いる有機溶媒の例には、上記水系インクに用いられ得る水溶性有機溶媒及び非水溶性有機溶媒が含まれる。非水溶性有機溶媒の例示は、後述の透明層インク組成物において記載されたのと同様の例示が可能である。溶剤系インクに用いられる溶媒の量としては、光沢インク組成物(M)の全質量から、金属粒子及びその他任意成分を引いた量とすることができる。
(バインダー樹脂)
本発明に用いる光沢インク組成物(M)が水系インクあるいは溶剤系インクである場合、光沢インク組成物(M)はバインダー樹脂を含有してもよい。バインダー樹脂は、金属粒子の表面に吸着した高分子分散剤と相互作用して、金属粒子の基材への密着性を高め得る。
上記バインダー樹脂の例には、(メタ)アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリシロキサン樹脂、マレイン酸樹脂、ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ニトロセルロース、酢酸セルロース、エチルセルロース、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ウレタン樹脂、ウレタン−(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、フッ素樹脂、スチレン共重合体及びアルキド樹脂が含まれる。
これらのうち、上記金属ナノ粒子の表面に吸着した高分子分散剤と相互作用して、金属ナノ粒子の基材への密着性を高める観点からは、バインダー樹脂はアニオン性樹脂のエマルジョンであることが好ましい。
上記アニオン性樹脂は、高分子分散剤との親和性が高い樹脂であることが好ましく、(メタ)アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ウレタン−(メタ)アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂(例えばポリ塩化ビニル重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体)、エポキシ樹脂、ポリシロキサン樹脂、フッ素樹脂、スチレン共重合体(例えばスチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等)、及び酢酸ビニル共重合体(例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体等)等から適宜選択して使用することができる。
形成される画像の耐水性をより高める観点からは、上記アニオン性樹脂は、(メタ)アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂、ポリシロキサン樹脂、フッ素樹脂、スチレン共重合体、及び酢酸ビニル共重合体等から選択されることが好ましく、ウレタン樹脂及び(メタ)アクリル樹脂から選択されることが好ましい。
アニオン性樹脂のエマルジョンの平均粒径は、10〜200nmであることが好ましく、30〜100nmであることがより好ましい。エマルジョンの平均粒子径は、動的光散乱法に基づく粒子径分布測定装置を使用して求めた体積平均粒子径とすることができる。
光沢インク組成物(M)中の上記エマルジョンの固形分含有量は、金属ナノ粒子及び高分子分散剤を合計した全質量に対して、0.01〜0.1質量%であることが好ましい。上記固形分含有量が0.01質量%以上だと、形成される画像の耐擦性をより高めることができる。上記固形分含有量が0.1質量%以下だと、形成される画像の光沢(反射率)をより高めることができる。上記観点から、光沢インク組成物(M)中の上記エマルジョンの固形分含有量は、0.02〜0.1質量%であることがより好ましく、0.03〜0.1質量%であることがより好ましい。
アニオン性樹脂エマルジョンの例としては、市販のアクリル樹脂水分散液であるSE841E及びSE1658(大成ファインケミカル社製)、ポリエステル樹脂水分散液であるバイロナールMD1200、バイロナールMD1245、バイロナールMD1500及びバイロナールMD2000(いずれも東洋紡社製、「バイロナール」はいずれも同社の登録商標)、ウレタン樹脂水分散液であるスーパーフレックス210(第一工業製薬社製、「スーパーフレックス」は同社の登録商標)等が挙げられるが、これに限定するものではない。
(架橋剤)
本発明に用いる光沢インク組成物(M)が水系インクあるいは溶剤系インクである場合、光沢インク組成物(M)は、また、架橋剤を含有することが好ましい。架橋剤は、例えば、分散剤が有する官能基と反応して網目構造を形成し、光沢層に耐性を付与する機能を有する。
以下に、光沢インク組成物(M)がカルボキシ基を有する水溶性高分子分散剤を含有する場合を例に架橋剤について説明する。架橋剤は、加熱により水溶性高分子分散剤のカルボキシ基と反応可能な架橋剤(以下、架橋剤(L)ともいう。)であることが好ましい。架橋剤(L)として、具体的には、イソシアネート基がブロック剤でブロックされたブロックイソシアネート及びカルボジイミド基を有する水分散性樹脂等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
架橋剤(L)は、加熱により水溶性高分子分散剤のカルボキシ基と反応する。これにより、例えば、銀ナノ粒子、カルボキシ基を有する水溶性高分子分散剤、架橋剤(L)を含有する光沢インク組成物(M)から、銀ナノ粒子同士が水溶性高分子分散剤及び架橋剤の架橋による網目構造で連結された構成の硬化物が得られる。光沢インク組成物(M)を塗工後、加熱して得られる硬化物としての光沢層は、このような架橋構造を有することで、耐水性等の塗膜保持性に優れる。
架橋剤(L)には、ブロックイソシアネート、カルボジイミド基を有する水分散性樹脂等が好適に用いられるが、これらに限定されるものではない。
<ブロックイソシアネート>
ブロックイソシアネートは、イソシアネート基を有する化合物(以下、「イソシアネート化合物」という。)においてイソシアネート基がブロック剤で封鎖された化合物である。加熱によりブロックイソシアネートからブロック剤が解離することでイソシアネート基が活性化される。
金属粒子、例えば銀ナノ粒子、カルボキシ基を有する水溶性高分子分散剤、ブロックイソシアネート及び水系溶媒を含有する光沢インク組成物(M)(以下、「光沢インク組成物(M1)」ともいう。)において、ブロックイソシアネートは、塗工前まではイソシアネート基が封鎖され反応性を有しないため、光沢インク組成物(M1)は保管安定性を有する。塗工後、ブロック剤が解離する温度以上の温度で光沢インク組成物(M1)を加熱するとイソシアネート基が生成し、水溶性高分子分散剤が有するカルボキシ基と反応して光沢インク組成物(M1)が硬化した光沢層を形成する。
光沢層において、金属粒子、例えば銀ナノ粒子同士が水溶性高分子分散剤及び架橋剤の架橋による網目構造を形成するために、本発明に係るイソシアネート化合物はイソシアネート基を2個以上有するポリイソシアネート化合物であることが好ましい。ブロックイソシアネートは、イソシアネート化合物が有するイソシアネート基の一部又は全部と、ブロック剤とを反応させることによって製造することができる。
ブロックイソシアネートの製造に使用可能なイソシアネート化合物としては、イソシアネート基を有するものを使用することができ、例えば4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネート、クルードジフェニルメタンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族構造を有するポリイソシアネート化合物、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート化合物、脂肪族環式構造を有するポリイソシアネート化合物、それらのビュレット体、イソシアヌレート体、アダクト体等を使用することができる。
光沢インク組成物(M1)において、得られる光沢層のより高い耐擦過性、耐水性を確保するために、イソシアネート化合物は、イソシアヌレート体であることが好ましく、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体であるヘキサメチレンジイソシアネートトリマーがより好ましい。
ブロックイソシアネートの製造に用いるブロック剤は、解離温度、水系溶媒への分散性、及び光沢インク組成物(M1)中の上記複合体の分散性に与える影響等を勘案して適宜選択される。
ブロックイソシアネートの製造に使用可能なブロック剤としては、例えばフェノール、クレゾール等のフェノール化合物;ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタム等のラクタム;ホルムアミドオキシム、アセトアルドオキシム、アセトンオキシム、メチルエチルケトオキシム、メチルイソブチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシム等のオキシムをはじめ、2−ヒドロキシピリジン、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ベンジルアルコール、メタノール、エタノール、n−ブタノール、イソブタノール、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトン、ブチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、アセトアニリド、酢酸アミド、コハク酸イミド、マレイン酸イミド、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、尿素、チオ尿素、エチレン尿素、ジフェニルアニリン、アニリン、カルバゾール、エチレンイミン、ポリエチレンイミン、1H−ピラゾール、3−メチルピラゾール、3,5−ジメチルピラゾール、4−ニトロ−3,5−ジメチルピラゾール、4−ブロモ−3,5−ジメチルピラゾール等を使用することができる。
これらのなかでも、好ましくは70〜200℃、より好ましくは110〜140℃に加熱することによって解離し、イソシアネート基を生成可能なブロック剤を使用することが好ましい。低解離温度及び安定性の観点からブロック剤としては、1H−ピラゾール、3−メチルピラゾール、3,5−ジメチルピラゾール、4−ニトロ−3,5−ジメチルピラゾール、4−ブロモ−3,5−ジメチルピラゾール等の置換又は非置換のピラゾールを使用することが好ましく、3,5−ジメチルピラゾールがより好ましい。
本発明に用いるブロックイソシアネートは、ヘキサメチレンジイソシアネートトリマーにおいて、イソシアネート基が3,5−ジメチルピラゾールでブロックされた構造を有する化合物であることが特に好ましい。
ブロックイソシアネートの市販品としては、例えば、LANXESS社製のTrixene Aqua BI 200、Trixene Aqua BI 201、Trixene Aqua BI 220(いずれも、ヘキサメチレンジイソシアネートトリマーのイソシアネート基が3,5−ジメチルピラゾールでブロックされた構造を有する化合物を40質量%含有するブロックイソシアネート水系分散液)、明星化学工業製のSU−268Aや旭化成社製のMF−B60B等が挙げられる。
なお、ブロックイソシアネートは、水系溶媒中に該ブロックイソシアネートが分散した分散液として、光沢インク組成物(M1)の製造に用いてもよい。水系溶媒としては、上記光沢インク組成物(M)に液状媒体として用いる水系溶媒と同様の水系溶媒が挙げられる。中でも水と窒素溶剤の組み合わせが好ましい。さらに、該分散液中のブロックイソシアネートの粒子サイズを制御することを補助する目的で、スルホコハク酸ナトリウム等の界面活性剤を加える場合もある。界面活性剤としては、これ以外にも後述の界面活性剤が使用可能である。
<カルボジイミド基を有する水分散性樹脂>
金属粒子、例えば銀ナノ粒子、カルボキシ基を有する水溶性高分子分散剤、カルボジイミド基(−N=C=N−)を有する水分散性樹脂(以下、単に「水分散性樹脂」ともいう。)及び水系溶媒を含有する光沢インク組成物(M)(以下、「光沢インク組成物(M2)」ともいう。)を例に、水分散性樹脂について説明する。
水分散性樹脂は、所定の温度未満では、光沢インク組成物(M2)中で水系溶媒に安定して分散しており、その状態では、水分散性樹脂のカルボジイミド基はカルボキシ基との反応性を有しない。水分散性樹脂は水系溶媒中ではミセルを形成し、カルボジイミド基がミセルの内側に保護された状態となって存在するため、カルボキシ基との反応性を有しないと推察される。一方、光沢インク組成物(M2)が加熱され所定の温度以上になると、水分散性樹脂が有するカルボジイミド基はカルボキシ基と反応性を有する状態となる。これは、加熱することで、水分散性樹脂のミセルが崩れカルボジイミド基が表出するためであると考えられている。
光沢インク組成物(M2)において基材に塗工されるまでは、水分散性樹脂は、例えば、ミセルを形成しカルボジイミド基が反応性を有しないため、光沢インク組成物(M2)は保管安定性を有する。塗工後、水分散性樹脂のカルボジイミド基がカルボキシ基との反応性を発現する温度、例えば、ミセルが崩れる温度以上の温度で加熱すると、カルボジイミド基が反応可能な状態となり、水溶性高分子分散剤が有するカルボキシ基と反応してアミド結合を形成する。これにより光沢インク組成物(M2)が硬化して光沢層を形成する。光沢インク組成物(M2)においてカルボジイミド基を有する水分散性樹脂がカルボキシ基と反応可能となる温度は、100〜200℃の範囲内が好ましく、110〜140℃の範囲内がより好ましい。
本発明に係る水分散性樹脂は分子中に複数のカルボジイミド基を有するポリカルボジイミド樹脂であることが好ましい。また、水分散性とするためにポリカルボジイミド樹脂は親水基を有するポリカルボジイミド樹脂であることが好ましい。親水基としては、ポリアルキレンオキサイド基等が挙げられる。ポリカルボジイミド樹脂は、カルボジイミド基と2価の親水基が交互に結合した直鎖状の化合物であることが好ましい。
ポリカルボジイミド樹脂のカルボジイミド基当量は200〜600の範囲内にあるのが好ましい。得られる光沢層の耐擦過性、耐溶剤性及び基材密着性の観点から、好ましくは200以上、より好ましくは300以上である。また、光沢インク組成物(M2)の保管安定性の観点から、好ましくは600以下、より好ましくは500以下、更に好ましくは400以下である。なお、カルボジイミド基当量とは、カルボジイミド基1モル当たりのカルボジイミド基含有ポリマーの質量を意味する。
例えば、一分子中にNCN基を2個有すると共に、NCN当量が300のポリカルボジイミド樹脂は、その分子量が24000となる。また、一分子中にNCN基を3個有すると共に、NCN当量が600のポリカルボジイミド樹脂は、その分子量が72000となる。
ポリカルボジイミド樹脂は、光沢インク組成物(M2)の保管安定性、得られる光沢層の耐擦過性、耐溶剤性及び基材密着性の観点から、水溶液又はエマルジョンとして光沢インク組成物(M2)に配合されてなるものが好ましく、光沢インク組成物(M2)の保管安定性の観点からは、水溶液として光沢インク組成物(M2)に配合されることが好ましい。
ポリカルボジイミド樹脂の市販品としては、カルボジライトE−02、カルボジライトE−03A、カルボジライトE−05、カルボジライトV−02、カルボジライトV−02−L2、カルボジライトV−04(以上、日清紡ケミカル社製、商品名)等が挙げられる。
なお、ポリカルボジイミド樹脂は、水系溶媒中に該ポリカルボジイミド樹脂が分散した分散液として、光沢インク組成物(M2)の製造に用いてもよい。水系溶媒としては、上記光沢インク組成物(M)に液状媒体として用いる水系溶媒と同様の水系溶媒が挙げられる。さらに、該分散液中のポリカルボジイミド樹脂の分散性を補助する目的で、該分散液は乳化剤を含有してもよい。
光沢インク組成物(M)における架橋剤の含有量は、金属粒子、例えば、銀ナノ粒子に対して0.25〜5.00質量%の範囲内であることが好ましく、0.25〜2.00質量%の範囲内であることがより好ましく、0.25〜1.0を0質量%の範囲内であることがさらに好ましい。光沢インク組成物(M)における架橋剤の含有量が、金属粒子、例えば、銀ナノ粒子に対して0.25質量%以上であれば、光沢インク組成物(M)を用いて得られる光沢層は十分な塗膜保持性、特には耐水性を有し、5.00質量%以下であれば、光沢インク組成物(M)の保管安定性がより向上する。
(界面活性剤)
本発明に用いる光沢インク組成物(M)には、界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤は、公知の界面活性剤(表面調整剤)でよい。
界面活性剤の例には、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類及び脂肪酸塩類を含みアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類及びポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類を含むノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類及び第四級アンモニウム塩類を含むカチオン性界面活性剤、シリコーン系の界面活性剤、ならびにフッ素系の界面活性剤が含まれる。これらの界面活性剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、アセチレングリコール系界面活性剤、フッ素系界面活性剤及びシリコーン系界面活性剤の少なくとも1種を含有することが好ましく、これらの中でもシリコーン系界面活性剤やフッ素系界面活性剤を含有することがより好ましい。
アセチレングリコール系界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、サーフィノール104、104E、104H、104A、104BC、104DPM、104PA、104PG−50、104S、420、440、465、485、SE、SE−F、504、61、DF37、CT111、CT121、CT131、CT136、TG、GA、DF110D(商品名、エアープロダクツジャパン社製)、オルフィンB、Y、P、A、STG、SPC、E1004、E1010、PD−001、PD−002W、PD−003、PD−004、EXP.4001、EXP.4036、EXP.4051、AF−103、AF−104、AK−02、SK−14、AE−3(商品名、日信化学工業社製)、アセチレノールE00、E00P、E40、E100(商品名、川研ファインケミカル社製)が挙げられる。
シリコーン系界面活性剤としては、特に限定されないが、ポリシロキサン系化合物が好ましく挙げられる。当該ポリシロキサン系化合物としては、特に限定されないが、例えばポリエーテル変性オルガノシロキサンが挙げられる。当該ポリエーテル変性オルガノシロキサンの市販品としては、例えば、BYK−306、BYK−307、BYK−333、BYK−341、BYK−345、BYK−346、BYK−348(商品名、ビックケミー社製)、KF−351A、KF−352A、KF−353、KF−354L、KF−355A、KF−615A、KF−945、KF−640、KF−642、KF−643、KF−6020、X−22−4515、KF−6011、KF−6012、KF−6015、KF−6017、X−22−4272(商品名、信越化学工業社製)、TSF4452(商品名、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、フッ素変性ポリマーを用いることが好ましく、具体例としては、BYK−340(商品名、ビックケミー社製)、FC−4430、FC−4432(3M社製)、フタージェントシリーズ(商品名、ネオス社製)、F−477等のメガファックシリーズ(商品名、DIC社製)、サーフロンシリーズ(商品名、AGCセイケミカル社製)が挙げられる。
界面活性剤の含有量は、光沢インク組成物(M)の全質量に対して、0.01〜10質量%であることが好ましい。
(光重合性化合物等)
光沢インク組成物(M)は、活性光線硬化型インクであるときは、金属粒子に加えて、活性光線の照射によって重合及び架橋する光重合性化合物及び任意に光重合開始剤を含有する。光沢インク組成物(M)に用いる光重合性化合物及び光重合開始剤の例示は、後述の透明層インク組成物において記載されたのと同様の例示が可能である。光沢インク組成物(M)は、活性光線硬化型インクであるときは、さらに、界面活性剤、重合禁止剤、紫外線吸収剤等を含有することができる。
光沢インク組成物(M)が活性光線硬化型インクであるとき、金属粒子は上記で示した水系溶媒に分散された分散液として、上記重合成分と混合して光沢インク組成物(M)としてもよい。当該分散液は、上に説明したのと同様に、水溶性高分子分散剤を含有することが好ましく、金属粒子、例えば、銀ナノ粒子は、水溶性高分子分散剤で被覆された状態で分散液に分散していることが好ましい。
(その他成分)
光沢インク組成物(M)は、必須成分としての金属粒子及び上記で例示した各種任意成分以外に、本発明の効果を損なわない範囲において、その他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、公知の表面エネルギー調整剤、消泡剤、溶解助剤、粘度調整剤、レベリング剤、pH調整剤、ポリオレフィンワックス、酸化防止剤、防腐剤、防カビ剤、防錆剤、有機溶剤ではない保湿剤、および分散に影響を与える金属イオンを捕獲するためのキレート化剤等が挙げられる。光沢インク組成物(M)は、さらに、その他の成分として、上記金属粒子以外のその他の無機粒子、有機粒子、離型剤、帯電防止剤等の添加剤を含有してもよい。また、流動パラフィン、ジオクチルフタレート、トリクレジルホスフェート、シリコーンオイル(市販品として、例えば、X−22−2204(商品名、信越化学工業社製))等の油滴微粒子を含有させてもよい。
pH調整剤としては、例えば、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、アンモニア、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等が挙げられる。
ポリオレフィンワックスとしては、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン等のオレフィンまたはその誘導体から製造したワックスおよびそのコポリマー、具体的には、ポリエチレン系ワックス、ポリプロピレン系ワックス、ポリブチレン系ワックス等が挙げられる。ポリオレフィンワックスとしては、市販されているものを利用することができ、具体的には、ノプコートPEM17(商品名、サンノプコ社製)、ケミパールW4005(商品名、三井化学社製)、AQUACER515、AQUACER593(商品名、ビックケミー社製)等を用いることができる。
ポリオレフィンワックスを添加すると、インク非吸収性または低吸収性の記録媒体上に形成された画像の物理的接触に対する滑り性を向上させることができ、画像の耐擦性を向上できる点から好ましい。
防腐剤、防カビ剤としては、例えば、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、1,2−ジベンゾイソチアゾリン−3−オン等が挙げられる。市販品では、プロキセルXL2、プロキセルGXL(商品名、アビシア社製)や、デニサイドCSA、NS−500W(商品名、ナガセケムテックス社製)等が挙げられる。
防錆剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
キレート化剤としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸およびそれらの塩類(エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム塩等)等が挙げられる。
有機溶剤ではない保湿剤としては、トリメチロールプロパンや糖等の常温で固体の保湿剤が挙げられる。
(光沢インク組成物(M)の製造及び物性)
光沢インク組成物(M)は、上記水系インク、溶剤系インク及び活性光線硬化型インク等の形態に合わせて、上記必須及び任意の配合成分を適宜選択し、任意の順序で混合することで製造できる。必要に応じて不純物を除去するための濾過等を行ってもよい。各成分の混合方法としては、メカニカルスターラー、マグネチックスターラー等の撹拌装置を備えた容器に順次成分を添加して撹拌混合する方法が好適に用いられる。濾過方法としては、遠心濾過、フィルター濾過等を必要に応じて行なうことができる。
光沢インク組成物(M)は、液状組成物である。記録媒体上への光沢インク組成物(M)の付与は、例えば、画像情報を解像度に合わせて画素分割し、それに基づいてドット単位で行われる。光沢インク組成物(M)の付与は、後述のとおりインクジェット法により行われることが好ましい。
光沢インク組成物(M)の粘度は、25℃で測定される粘度として、1mPa・s以上100mPa・s未満であることが、光沢層を、インクジェット法を用いて形成する場合に、インクジェットヘッドのノズルからの吐出安定性をより高める観点から好ましい。光沢インク組成物(M)の粘度(25℃)は、1〜50mPa・sの範囲内であることがより好ましく、1〜15mPa・sの範囲内であることがさらに好ましい。粘度は回転式粘度計を用いて測定することができる。
光沢インク組成物(M)の表面張力は、25℃で測定される表面張力として、20〜50mN/mの範囲内であることが、インクジェットヘッドのノズルからの吐出安定性を高める観点から好ましい。基材に対する濡れ性を高めて、形成される画像をより高精細にする観点からは、光沢インク組成物(M)の表面張力(25℃)は20〜35mN/mの範囲内であることがより好ましい。光沢インク組成物(M)の表面張力は、上記有機溶媒又は界面活性剤の種類又は量を変更することで、上記範囲に調整することができる。表面張力は表面張力計により測定できる。
また、光沢インク組成物(M)のpH(25℃)は、光沢インク組成物(M)の保管安定性や、インクジェットヘッド部材安定性の観点から6.00〜11.00の範囲内が好ましく、7.00〜10.00の範囲内がより好ましい。pHはpH計により測定できる。
(光沢層の形成)
光沢層の形成は、記録媒体上に液状の光沢インク組成物(M)を付与し、上記水系インク、溶剤系インク及び活性光線硬化型インク等の形態に合わせて、乾燥、加熱、活性光線の照射等により光沢インク組成物(M)を硬化することで行われる。
光沢インク組成物(M)を記録媒体上、具体的には、記録媒体の表面又は下地層が先に形成されている場合には下地層の表面に、付与する方法、すなわち塗布方法は、特に制限されず、ダイコート法、ブレードコート法、バーコート法、カーテンコート法、ロールコート法、スピンコート法、スプレー塗布法、浸漬法、スクリーン印刷法、インクジェット法、グラビア印刷法、オフセット印刷法等、いずれの方法であってもよい。これらの中でも、基材の表面粗さを細かく制御したりする場合には、スクリーン印刷法又はインクジェット法であることが好ましく、特に、高い解像度に対応可能なインクジェット法であることが好ましい。
光沢層の画像解像度は300dpi以上であることが好ましく、360dpi以上であることがより好ましい。画像解像度の上限は特にないが、印刷速度や吐出安定性の観点から1200dpi程度が挙げられる。
インクジェット法によるインクジェットヘッドからの吐出方式は、オンデマンド方式及びコンティニュアス方式のいずれでもよい。オンデマンド方式のインクジェットヘッドは、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型及びシェアードウォール型等の電気−機械変換(ピエゾ)方式、又は、サーマルインクジェット型及びバブルジェット(バブルジェットはキヤノン社の登録商標)型等の電気−熱変換(サーマル)方式等のいずれでもよい。
インクジェットヘッドから光沢インク組成物(M)を吐出する際の、ヘッド温度、液滴量、液滴の着弾時間等の条件は、光沢インク組成物(M)の組成、画像の解像度等に応じて、適宜調整される。
また、光沢インク組成物(M)の塗布後、塗膜を硬化する方法は、光沢インク組成物(M)の種類に応じて適宜選択される。光沢インク組成物(M)が水系インク又は溶剤系インクの場合、乾燥により液状媒体を除去する。さらに、必要に応じて、加熱によりバインダー樹脂の熱融着や、架橋剤による架橋を行い、光沢インク組成物(M)を硬化させる。乾燥と加熱は同時に行ってもよい。また、光沢インク組成物(M)が活性光線硬化型インクの場合、活性光線の照射により光沢インク組成物(M)を硬化することで行われる。
水系インク又は溶剤系インクの場合の乾燥において、乾燥温度は、液状媒体の種類により適宜選択される。具体的には、30℃以上140℃未満であることが好ましく、30℃以上100℃未満であることがより好ましい。
加熱によりバインダー樹脂の熱融着を行う場合の加熱温度は、バインダー樹脂が熱融着しうる温度であればよく、バインダー樹脂のガラス転移温度以上とすることが好ましい。具体的には、加熱温度は、例えば40℃以上とすることが好ましく、上限温度は、基材とバインダー樹脂の耐熱温度以下である必要がある。また、光沢インク組成物(M)に造膜助剤をさらに添加することで、バインダー樹脂のTg以下で造膜させることも可能となる。架橋剤、例えば、架橋剤(L)による架橋を行う場合、上記架橋剤(L)において反応性が発現できる温度を加熱温度とすることができる。いずれの場合も加熱温度の上限は、基材の変形などが生じない範囲であれば特に限定されないものの、上限温度は例えば200℃程度であり、140℃が好ましい。
光沢インク組成物(M)を加熱する方法は、光沢インク組成物(M)を所定の温度以上に加熱できる方法であれば、特に制限されない。具体的には、恒温層による加熱、電気ヒーターによる加熱、赤外線照射による加熱等が挙げられる。
光沢インク組成物(M)が活性光線硬化型インクの場合、活性光線の照射により光沢インク組成物(M)を硬化することで行われる。活性光線の例には、電子線、紫外線、α線、γ線、及びエックス線等が含まれる。具体的には、活性光線硬化型インクの塗膜に対して、含有する光重合性化合物の種類に応じた活性光線を発光する光源を用いて、硬化に必要な露光量の活性光線を照射することで、光沢層を形成する。
光沢層の厚さは、得られる画像記録物において十分な光沢性を確保しつつ、金属粒子の凝集を抑え、均一分散状態の塗膜を得る観点から、水系インク又は溶剤系インクの場合は、0.05〜1.0μmが好ましく、0.1〜0.6μmがより好ましい。活性光線硬化型インクの場合は、1〜15μmが好ましく、3〜10μmがより好ましい。光沢層の厚さは、例えば、断面SEM写真による画像解析により測定できる。
〔透明層形成工程〕
透明層形成工程では、上記光沢層上に、透明層を形成する。透明層は、透明な層であり、例えば、実質的に色材を含有しない層である。ここで、「実質的に色材を含有しない」とは、透明層の全質量に対する色材の含有量が0.1質量%以下であることをいう。透明層の全質量に対する色材の含有量は、0.05質量%以下が好ましく、0質量%がより好ましい。なお、色材の具体例は、後述の着色インク組成物に示すとおりである。
また、本発明において「透明層」とは、目視で透明と認識できる程度に、可視光の透過率が高い層をいう。具体的には、以下の方法で測定される透明層の可視光透過率は、80%以上であることが好ましく、90%以上がより好ましく、95%以上が特に好ましい。以下、本明細書において、特に断りがない限り、可視光透過率とは、以下の方法で測定される可視光透過率をいう。
透明層を単独で分光光度計にかけられる場合は、分光光度計にかけて波長400〜740nmの範囲の光の透過率を測定し、測定した全波長範囲(400〜740nm)の平均値を可視光透過率とする。透明層が透明層インク組成物から得られる層である場合、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ43μm)上に目的の厚さの透明層を形成して可視光透過率測定用のサンプルを作製する。当該サンプルを、分光光度計を用いて、波長400〜740nmの範囲の光の透過率を測定する。PETフィルムのみで同様に測定した透過率をベースラインとして、透明層の波長400〜740nmの範囲の光の透過率を得、得られた全波長範囲(400〜740nm)の平均値を可視光透過率とする。
透明層の形成方法としては、別に準備した透明層を光沢層上の積層する方法、透明層インク組成物を光沢層上に付与して、光沢層上で透明層を形成する方法が挙げられる。本発明においては、透明層インク組成物を用いる方法が好ましい。本発明における透明層は、上記規定を満足する限り、その材質は特に問わないが、樹脂を主体とする層であることが好ましい。
(透明層インク組成物)
本発明に係る透明層インク組成物は、透明層を形成可能なインク組成物であればよく、水系インク、溶剤系インク、活性光線硬化型インクを含む任意の構成を用いることができる。透明層インク組成物は、透明樹脂層、例えば、実質的に色材を含有しない透明樹脂層を形成可能なインク組成物(以下、「透明層インク組成物(T)」ともいう。)であることが好ましい。
透明層インク組成物(T)は、水系インク及び溶剤系インクである場合、製膜成分である樹脂が液状媒体に溶解又は分散した形態である。例えば、透明層インク組成物(T)が水系インクであるときは、水系溶媒として水及び任意に水溶性有機溶媒を含有することができ、固形分として樹脂を含有し、例えば、実質的に色材を含有しない構成である。また、透明層インク組成物(T)が溶剤系インクであるときは、液状媒体として有機溶媒を含有することができ、固形分として樹脂を含有し、例えば、実質的に色材を含有しない構成である。透明層インク組成物(T)は、水系インク及び溶剤系インクである場合、さらに、必要に応じて、界面活性剤等を含有できる。
また、透明層インク組成物(T)が、活性光線硬化型インクであるときは、活性光線の照射によって重合及び架橋する光重合性化合物及び任意に光重合開始剤を含有することができ、例えば、固形分として実質的に色材を含有しない構成である。この場合、透明層インク組成物(T)は、さらに、必要に応じて、界面活性剤、重合禁止剤及び紫外線吸収剤等を含有してもよい。上記任意の成分は、透明層インク組成物(T)中に、1種のみが含まれていてもよく、2種類以上が含まれていてもよい。
透明層インク組成物(T)としては、揮発成分が少なくインク成分のほとんどが硬化塗膜となり得るために、ミクロンオーダーの層厚が容易に形成できる、活性光線硬化型の透明層インク組成物(T)であることが好ましい。
<水系インク>
透明層インク組成物(T)が水系インクであるときの水溶性有機溶媒としては、光沢インク組成物(M)が水系インクであるときの水溶性有機溶媒と同様の水溶性有機溶媒が例示できる。
透明層インク組成物(T)が水系インクであるときの透明層インク組成物(T)における水系溶媒の含有量は、本発明に用いる透明層インク組成物(T)をインクジェット方式に用いる場合、透明層インク組成物(T)の全質量に対して85〜99質量%の範囲内の量であることが好ましく、90〜97質量%の範囲内であることがより好ましい。この場合の、透明層インク組成物(T)中の水の含有量は、透明層インク組成物(T)の全質量に対して20〜80質量%の範囲内の量であることが好ましく、40〜70質量%の範囲内であることがより好ましい。また、透明層インク組成物(T)中の水溶性有機溶媒の含有量は、透明層インク組成物(T)の全質量に対して20〜50質量%の範囲内の量であることが好ましく、30〜50質量%の範囲内であることがより好ましい。
また、透明層インク組成物(T)をインクジェット法で基材に付与する際に、インクジェットヘッドからの吐出時にノズル近傍で水系インクが乾燥することによるノズル詰まりの発生を抑制する観点からは、上記水溶性有機溶媒は、多価アルコールを含むことが好ましい。このとき、透明層インク組成物(T)中の多価アルコールの含有量は、透明層インク組成物(T)の全質量に対して1〜10質量%であることが好ましい。
透明層インク組成物(T)が水系インクであるときの上記樹脂としては、光沢インク組成物(M)が水系インクあるいは溶剤系インクであるときの樹脂と同様の樹脂が例示できる。上記樹脂は、透明層インク組成物(T)中に分散して分散体を形成するラテックスであってもよいし、水又は有機溶媒により透明層インク組成物(T)中に溶解する溶解性樹脂(水溶性樹脂又は有機溶媒溶解性樹脂)であってもよい。
透明層インク組成物(T)に配合する際に、樹脂はエマルジョンの形態で配合することができる。樹脂のエマルジョンとしては、光沢インク組成物(M)が水系インクであるときのエマルジョンと同様のエマルジョンが例示でき、市販品についても同様の市販品の使用が可能である。
透明層インク組成物(T)が水系インクであるときの上記樹脂の含有量は、例えば、固形分量として透明層インク組成物(T)の全質量に対して1〜20質量%とすることができる。なお、上記樹脂の含有量は、透明層インク組成物(T)の1回の塗布によって形成される透明層の厚さ及びインクジェット法により、透明層インク組成物(T)の1回の付与によって形成される透明層の厚さ等に応じて調整すればよい。
透明層インク組成物(T)が水系インクであるとき、透明層インク組成物(T)は界面活性剤を含有してよく、この場合の界面活性剤としては、光沢インク組成物(M)が水系インクであるときの界面活性剤と同様の界面活性剤が使用でき、その含有量も同様とすることができる。
<溶剤系インク>
透明層インク組成物(T)が溶剤系インクであるときの上記有機溶媒の例には、上記水系インクに用いられ得る水溶性有機溶媒及び非水溶性有機溶媒が含まれる。
上記非水溶性有機溶媒の例には、ペンタン、ヘキサン、iso−ヘキサン、ヘプタン、iso−ヘプタン、オクタン、iso−オクタン、及びデカンを含む炭素数が5〜15の脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、シクロヘプタン、及びシクロオクタンを含む炭素数が5〜15の脂環族炭化水素、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、1,1,3,5,7−シクロオクタテトラエン、シクロドデセンを含む炭素数が5〜15の環状不飽和炭化水素、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、クメン、o−キシレン、m−キシレン及びp−キシレンを含む炭素数が6〜12の芳香族炭化水素等の炭化水素化合物が挙げられる。
また、上記非水溶性有機溶媒の例には、ヘプタノール、ヘキサノール、メチルヘキサノール、エチルヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、デカノール、ウンデシルアルコール、及びラウリルアルコールを含む炭素数が5〜15の1価のアルコール、メチル−iso−ブチルケトン、ジ−iso−ブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、シクロヘプタノン、及びシクロオクタノンを含む炭素数が5〜15の脂環族ケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸−iso−プロピル、酢酸ブチル、酢酸ヘキシル、酢酸アミル、酢酸−iso−アミル、酢酸2−エチルヘキシル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸ヘキシル、プロピオン酸アミル、吉草酸エチル、ヘキサン酸エチル、ヘプタン酸エチル、オクタン酸エチル、デカン酸エチル、酢酸シクロヘキシル、酢酸シクロオクチル、酢酸フェニル、プロピオン酸フェニル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸ブチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、及びフタル酸ジブチルを含むエステル化合物、ニトロエタン、ニトロプロパン、ニトロペンタン、ニトロベンゼン、ジニトロベンゼン、ニトロトルエン、及びニトロキシレンを含むニトロ化合物、アセトニトリル、ベンゾニトリルを含むニトリル類、ならびにγ−ブチロラクトン、及びε−カプロラクトンを含むラクトン類が含まれる。
透明層インク組成物(T)が溶剤系インクであるときの上記非水溶性有機溶媒の含有量は、例えば、透明層インク組成物(T)の全質量に対して1.0〜98質量%とすることができ、20〜95質量%とすることがより好ましく、40〜90質量%とすることがさらに好ましい。
透明層インク組成物(T)が溶剤系インクであるときの上記樹脂としては、透明層インク組成物(T)が水系インクであるときの樹脂と同様の樹脂が例示できる。また、樹脂を透明層インク組成物(T)に配合するときの形態も、水系インクであるときと同様にすることができる。
透明層インク組成物(T)が溶剤系インクであるときの上記樹脂の含有量は、例えば、固形分量として透明層インク組成物(T)の全質量に対して1〜20質量%とすることができる。なお、上記樹脂の含有量は、透明層インク組成物(T)の1回の塗布によって形成される透明層の厚さ及びインクジェット法により、透明層インク組成物(T)の1回の付与によって形成される透明層の厚さ等に応じて調整すればよい。
透明層インク組成物(T)が溶剤系インクであるとき、透明層インク組成物(T)は界面活性剤を含有してよく、この場合の界面活性剤としては、光沢インク組成物(M)が溶剤系インクであるときの界面活性剤と同様の界面活性剤が使用でき、その含有量も同様とすることができる。
<活性光線硬化型インク>
透明層インク組成物(T)が活性光線硬化型インクであるときの上記光重合性化合物の例には、ラジカル重合性化合物及びカチオン重合性化合物が含まれる。光重合性化合物は、モノマー、重合性オリゴマー、プレポリマーあるいはこれらの混合物のいずれであってもよい。
(光重合性化合物)
光重合性化合物は、活性光線の照射によって重合又は架橋反応を生じて重合又は架橋し、透明層インク組成物(T)を硬化させる作用を有する化合物であればよい。活性光線の例には、電子線、紫外線、α線、γ線、及びエックス線等が含まれる。光重合性化合物の例には、ラジカル重合性化合物及びカチオン重合性化合物が含まれる。光重合性化合物は、モノマー、重合性オリゴマー、プレポリマーあるいはこれらの混合物のいずれであってもよい。
光重合性化合物の含有量は、例えば、上記活性光線硬化型インクの全質量に対して1〜100質量%とすることができる。
ラジカル重合性化合物は、不飽和カルボン酸エステル化合物であることが好ましく、(メタ)アクリレートであることがより好ましい。ラジカル重合性化合物は、活性光線硬化型インク中に、1種のみが含まれていてもよく、2種類以上が含まれていてもよい。
(メタ)アクリレートの例には、単官能、2官能又は多官能(3官能以上)の(メタ)アクリレートが含まれる。
単官能の(メタ)アクリレートの例には、イソアミル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソミルスチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル−ジグリコール(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチル−フタル酸、及びt−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート等が含まれる。
2官能の(メタ)アクリレートの例には、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのPO付加物ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、及びトリシクロデカンジメタノールジアクリレート等が含まれる。
多官能の(メタ)アクリレートの例には、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート、及びペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート等が含まれる。
(メタ)アクリレートは、変性物であってもよい。変性物である(メタ)アクリレートの例には、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート等を含むエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、トリプロピレンエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート等を含むプロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等を含むカプロラクトン変性(メタ)アクリレート、ならびにカプロラクタム変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等を含むカプロラクタム変性(メタ)アクリレート等が含まれる。
(メタ)アクリレートは、重合性オリゴマーであってもよい。重合性オリゴマーである(メタ)アクリレートの例には、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、芳香族ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー、及び直鎖(メタ)アクリルオリゴマー等が含まれる。
カチオン重合性化合物は、エポキシ化合物、ビニルエーテル化合物、及びオキセタン化合物等でありうる。カチオン重合性化合物は、活性光線硬化型インク中に、1種のみが含まれていてもよく、2種類以上が含まれていてもよい。
ビニルエーテル化合物の例には、単官能、2官能又は多官能(3官能以上)のビニルエーテル化合物が含まれる。
単官能のビニルエーテル化合物の例には、ブチルビニルエーテル、ブチルプロペニルエーテル、ブチルブテニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、エチルヘキシルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、エチルエトキシビニルエーテル、アセチルエトキシエトキシビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル及びアダマンチルビニルエーテル等が含まれる。
2官能のビニルエーテル化合物の例には、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールビニルエーテル、ブチレンジビニルエーテル、ジブチレングリコールジビニルエーテル、ネオペンチルグリコールジビニルエーテル、シクロヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ノルボルニルジメタノールジビニルエーテル、イソバイニルジビニルエーテル、ジビニルレゾルシン及びジビニルハイドロキノン等が含まれる。
多官能のビニルエーテル化合物の例には、グリセリントリビニルエーテル、グリセリンエチレンオキシド付加物トリビニルエーテル(エチレンオキシドの付加モル数6)、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、トリビニルエーテルエチレンオキシド付加物トリビニルエーテル(エチレンオキシドの付加モル数3)、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル及びジトリメチロールプロパンヘキサビニルエーテル等ならびにこれらのオキシエチレン付加物等が含まれる。
エポキシ化合物の例には、アリルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェノール(ポリエチレンオキシ)5−グリシジルエーテル、ブチルフェニルグリシジルエーテル、ヘキサヒドロフタル酸グリシジルエステル、ラウリルグリシジルエーテル、1,2−エポキシシクロヘキサン、1,4−エポキシシクロヘキサン、1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン及びノルボルネンオキシド等を含む単官能のエポキシ化合物、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル及び1,6ヘキサンジオールジグリシジルエーテル等を含む2官能のエポキシ化合物、ならびに、ポリグリセロールトリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル及びペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル等を含む多官能(3官能以上)のエポキシ化合物等が含まれる。
オキセタン化合物の例には、2−(3−オキセタニル)−1−ブタノール、3−(2−(2−エチルヘキシルオキシエチル))−3−エチルオキセタン及び3−(2−フェノキシエチル)−3−エチルオキセタン等を含む単官能のオキセタン化合物、ならびに、キシリレンビスオキセタン及び3,3´−(オキシビスメチレン)ビス(3−エチルオキセタン)等を含む多官能のオキセタン化合物等が含まれる。
(光重合開始剤)
光重合開始剤は、上記光重合性化合物がラジカル重合性の官能基を有する化合物であるときは、光ラジカル開始剤を含み、上記光重合性化合物がカチオン重合性の官能基を有する化合物であるときは、光酸発生剤を含む。光重合開始剤は、活性光線硬化型インク中に、1種のみが含まれていてもよく、2種類以上が含まれていてもよい。光重合開始剤は、光ラジカル開始剤と光酸発生剤の両方の組み合わせであってもよい。光ラジカル開始剤には、開裂型ラジカル開始剤及び水素引き抜き型ラジカル開始剤が含まれる。
開裂型ラジカル開始剤の例には、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、及び2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン等を含むアセトフェノン系の開始剤、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、及びベンゾインイソプロピルエーテル等を含むベンゾイン系の開始剤、2,4,6−トリメチルベンゾインジフェニルホスフィンオキシド等を含むアシルホスフィンオキシド系の開始剤、ベンジル、ならびにメチルフェニルグリオキシエステル等が含まれる。
水素引き抜き型ラジカル開始剤の例には、ベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル−4−フェニルベンゾフェノン、4,4´−ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4´−メチル−ジフェニルサルファイド、アクリル化ベンゾフェノン、3,3´,4,4´−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、及び3,3´−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン等を含むベンゾフェノン系の開始剤、ベンゾイルギ酸メチル、ベンゾイルギ酸エチル等のギ酸誘導体系の開始剤、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、及び2,4−ジクロロチオキサントン等を含むチオキサントン系の開始剤、ミヒラーケトン及び4,4´−ジエチルアミノベンゾフェノン等を含むアミノベンゾフェノン系の開始剤、10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアンスラキノン、9,10−フェナンスレンキノンならびにカンファーキノン等が含まれる。
光酸発生剤の例には、トリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェート塩、ヨードニウム(4−メチルフェニル)(4−(2−メチルプロピル)フェニル)ヘキサフルオロホスフェート、トリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、及び3−メチル−2−ブテニルテトラメチレンスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート等が含まれる。
上記活性光線硬化型インクにおける光重合開始剤の含有量は、活性光線硬化型インクの硬化時に照射する光や光重合性化合物の種類等にもよるが、活性光線硬化型インクの全量に対して0.1〜10質量%であることが好ましく、2〜8質量%であることがより好ましい。
活性光線硬化型インクは、さらに、必要に応じて、界面活性剤、重合禁止剤、紫外線吸収剤等を含有してもよい。
透明層インク組成物(T)は、上記で例示した各種成分以外に、本発明の効果を損なわない範囲において、その他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、光沢インク組成物(M)において、その他の成分として例示した各種成分と同様の成分が挙げられる。
透明層インク組成物(T)は、固形分として色材を実質的に含有しない。具体的には、固形分中の色材の含有量は0.1質量%以下であり、0.05質量%以下が好ましく、0質量%がより好ましい。さらに、透明層インク組成物(T)は、これを用いて得られる透明層において、可視光透過率を80%以上とするために、樹脂成分以外の成分を実質的に含有しないことが好ましい。なお、実質的に含有しないとは、色材の場合と同様の含有量のレベルをいう。
(透明層インク組成物(T)の製造及び物性)
透明層インク組成物(T)は、上記水系インク、溶剤系インク及び活性光線硬化型インク等の形態に合わせて、上記必須及び任意の配合成分を適宜選択し、任意の順序で混合することで製造できる。必要に応じて不純物を除去するための濾過等を行ってもよい。各成分の混合方法としては、メカニカルスターラー、マグネチックスターラー等の撹拌装置を備えた容器に順次成分を添加して撹拌混合する方法が好適に用いられる。濾過方法としては、遠心濾過、フィルター濾過等を必要に応じて行なうことができる。
透明層インク組成物(T)は、液状組成物である。光沢層上への透明層インク組成物(T)の付与は、例えば、画像情報を解像度に合わせて画素分割し、それに基づいてドット単位で行われる。透明層インク組成物(T)の付与は、インクジェット法により行われることが好ましい。
透明層インク組成物(T)の粘度、表面張力及びpH等の物性値は、光沢インク組成物(M)における粘度、表面張力及びpH等の物性値と、好ましい範囲も含めて同様にすることができる。
(透明層の形成)
透明層の形成は、光沢層上に液状の透明層インク組成物(T)を付与し、上記水系インク、溶剤系インク及び活性光線硬化型インク等の形態に合わせて、乾燥、加熱、活性光線の照射等により透明層インク組成物(T)を硬化することで行われる。なお、上記のとおり別に準備した透明層を光沢層上の積層する方法でもよい。
透明層インク組成物(T)を用いて光沢層上に透明層を形成する方法としては、光沢インク組成物(M)を用いて記録媒体上に光沢層を形成する方法と同様の方法が適用できる。透明層インク組成物(T)を光沢層上に付与する方法は、光沢インク組成物(M)の場合と同様にインクジェット法であることが好ましい。透明層の画像解像度は、光沢層の解像度と同じであることが好ましい。透明層の画像解像度は、300dpi以上であることが好ましく、360dpi以上であることがより好ましい。画像解像度の上限は特にないが、印刷速度や吐出安定性の観点から1200dpi程度が挙げられる。
透明層の厚さは、光沢層と着色層を十分に離して配置することで広い色再現性を得る観点から、1.6μm以上であることが好ましく、3.0μm以上であることがより好ましい。透明層の厚さの上限は、透明層での吸収ロスによる透明性低下の観点から、例えば、50μm程度であり、20μm程度が好ましい。透明層の厚さは、例えば、断面SEM写真による画像解析により測定できる。
〔着色層形成工程〕
着色層形成工程では、上記透明層上に色材を含有する着色インク組成物(以下、着色インク組成物(C)ともいう。)を付与して着色層を形成する。
(着色インク組成物(C))
着色インク組成物(C)は、色材を含有するインク組成物であればよく、水系インク、溶剤系インク及び活性光線硬化型インクを含む任意の構成を用いることができる。
着色インク組成物(C)は、水系インク及び溶剤系インクである場合、色材が液状媒体に分散又は溶解した形態である。例えば、着色インク組成物(C)は、水系インクであるときは、液状媒体として、水及び任意に水溶性有機溶媒を含有することができる。また、光沢インク組成物(M)は、溶剤系インクであるときは、液状媒体として、有機溶媒を含有することができる。
着色インク組成物(C)は、活性光線硬化型インクであるときは、活性光線の照射によって重合及び架橋する光重合性化合物及び任意に光重合開始剤、重合禁止剤、紫外線吸収剤等を含有することができる。この場合、色材は、これらの重合成分に分散されてなる。着色インク組成物(C)は、活性光線硬化型インクである場合、溶媒を含有してもよい。色材は水系溶媒に分散された分散液として、上記重合成分と混合して着色インク組成物(C)としてもよい。
着色インク組成物(C)は、さらに、必要に応じて、色材を分散させるための分散剤、界面活性剤等を含有してもよい。着色インク組成物(C)は、水系インク及び溶剤系インクである場合、色材を透明層に定着させるためのバインダー樹脂等を含有してもよい。上記任意の成分は、着色インク組成物(C)中に、1種のみが含まれていてもよく、2種類以上が含まれていてもよい。
(色材)
色材としては、染料と顔料のいずれも用いることができる。顔料は、光やガス等に対して退色しにくい性質を有していることから、好ましく用いられる。顔料を用いて形成された画像は、画質に優れるだけでなく、耐水性、耐ガス性、耐光性等に優れ、保存性が良好となる。この性質は、特にインク低吸収性または非吸収性の材料からなる層上に画像が形成された場合に顕著である。
顔料としては、特に制限されないが、無機顔料や有機顔料が挙げられる。無機顔料としては、酸化チタンおよび酸化鉄に加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法等の公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。一方、有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、多環式顔料、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック等を使用することができる。アゾ顔料としては、例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等が挙げられる。多環式顔料としては、例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キノフラロン顔料等が挙げられる。
顔料の具体例のうち、ブラックインクに使用される顔料としては、例えば、カーボンブラックが挙げられる。カーボンブラックとしては、特に限定されないが、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、もしくはチャンネルブラック等(C.I.ピグメントブラック7)、また市販品としてNo.2300、900、MCF88、No.20B、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA77、MA100、No.2200B等(商品名、三菱化学社製)、カラーブラックFW1、FW2、FW2V、FW18、FW200、S150、S160、S170、プリテックス35、U、V、140U、スペシャルブラック6、5、4A、4、250等(商品名、デグサ社製)、コンダクテックスSC、ラーベン1255、5750、5250、5000、3500、1255、700等(商品名、コロンビアカーボン社製)、リガール400R、330R、660R、モグルL、モナーク700、800、880、900、1000、1100、1300、1400、エルフテックス12等(商品名、キャボットジャパン社製)が挙げられる。
ホワイトインクに使用される顔料としては、特に限定されないが、例えば、C.I.ピグメントホワイト 6、18、21、酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、酸化アンチモン、酸化マグネシウム、及び酸化ジルコニウムの白色無機顔料が挙げられる。当該白色無機顔料以外に、白色の中空樹脂微粒子及び高分子粒子などの白色有機顔料を使用することもできる。
イエローインクに使用される顔料としては、特に限定されないが、例えば、C.I.ピグメントイエロー 1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、16、17、24、34、35、37、53、55、65、73、74、75、81、83、93、94、95、97、98、99、108、109、110、113、114、117、120、124、128、129、133、138、139、147、151、153、154、167、172、180が挙げられる。
マゼンタインクに使用される顔料としては、特に限定されないが、例えば、C.I.ピグメントレッド 1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、40、41、42、48(Ca)、48(Mn)、57(Ca)、57:1、88、112、114、122、123、144、146、149、150、166、168、170、171、175、176、177、178、179、184、185、187、202、209、219、224、245、又はC.I.ピグメントヴァイオレット 19、23、32、33、36、38、43、50が挙げられる。
シアンインクに使用される顔料としては、特に限定されないが、例えば、C.I.ピグメントブルー 1、2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:34、15:4、16、18、22、25、60、65、66、C.I.バットブルー 4、60が挙げられる。
また、マゼンタ、シアン、およびイエロー以外のカラーインクに使用される顔料としては、特に限定されないが、例えば、C.I.ピグメント グリーン 7、10、C.I.ピグメントブラウン 3、5、25、26、C.I.ピグメントオレンジ 1、2、5、7、13、14、15、16、24、34、36、38、40、43、63が挙げられる。
着色インク組成物(C)おける色材の含有量は、着色インク組成物(C)の全量に対して、1.0〜10質量%の範囲内が好ましく、2.0〜7.0質量%の範囲内がより好ましい。
着色インク組成物(C)に顔料を含有させるためには、顔料が媒体中で安定的に分散保持できるようにする必要がある。着色インク組成物(C)が水系インクの場合を例に、顔料が水中で安定的に分散保持できるようにする方法を以下に説明する。
上記方法としては、水溶性樹脂および/または水分散性樹脂等の分散剤樹脂(高分子分散剤)にて分散させる方法(以下、この方法により分散された顔料を「樹脂分散顔料」ともいう。)、水溶性界面活性剤および/または水分散性界面活性剤の界面活性剤にて分散させる方法(以下、この方法により分散された顔料を「界面活性剤分散顔料」ともいう。)、顔料粒子表面に親水性官能基を化学的・物理的に導入し、上記の樹脂あるいは界面活性剤等の分散剤なしで水中に分散および/または溶解可能とする方法(以下、この方法により分散された顔料を「表面処理顔料」ともいう。)等が挙げられる。着色インク組成物(C)は、上記の樹脂分散顔料、界面活性剤分散顔料、表面処理顔料のいずれも用いることができ、必要に応じて複数種混合した形で用いることもできる。
樹脂分散顔料に用いられる樹脂分散剤としては、ポリビニルアルコール類、ポリビニルピロリドン類、ポリアクリル酸、アクリル酸−アクリルニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体等およびこれらの塩が挙げられる。
これらの中で、特に、疎水性官能基を有するモノマーと親水性官能基を有するモノマーとの共重合体、疎水性官能基と親水性官能基とを併せ持つモノマーからなる重合体が好ましい。共重合体の形態としては、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体のいずれの形態でも用いることができる。
上記の塩としては、アンモニア、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ジプロピルアミン、ブチルアミン、イソブチルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリ−iso−プロパノールアミン、アミノメチルプロパノール、モルホリン等の塩基性化合物との塩が挙げられる。これら塩基性化合物の添加量は、上記樹脂分散剤の中和当量以上であれば特に制限はない。
上記樹脂分散剤の分子量は、重量平均分子量として1000〜100000の範囲であることが好ましく、3000〜10000の範囲であることがより好ましい。重量平均分子量が上記範囲であることにより、顔料の水中での安定的な分散が得られ、また着色インク組成物(C)に適用した際の粘度制御等がしやすい。
以上述べた樹脂分散剤としては市販品を用いることもできる。詳しくは、ジョンクリル67(重量平均分子量:12500、酸価:213)、ジョンクリル678(重量平均分子量:8500、酸価:215)、ジョンクリル586(重量平均分子量:4600、酸価:108)、ジョンクリル611(重量平均分子量:8100、酸価:53)、ジョンクリル680(重量平均分子量:4900、酸価:215)、ジョンクリル682(重量平均分子量:1700、酸価:238)、ジョンクリル683(重量平均分子量:8000、酸価:160)、ジョンクリル690(重量平均分子量:16500、酸価:240)(商品名、BASF社製)等が挙げられる。
また、界面活性剤分散顔料に用いられる界面活性剤としては、アルカンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アシルメチルタウリン酸塩、ジアルキルスルホ琥珀酸塩、アルキル硫酸エステル塩、硫酸化オレフィン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩、モノグリセライトリン酸エステル塩等のアニオン性界面活性剤、アルキルピリジニウム塩、アルキルアミノ酸塩、アルキルジメチルベタイン等の両性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミド、グリセリンアルキルエステル、ソルビタンアルキルエステル等のノニオン性界面活性剤が挙げられる。
上記樹脂分散剤または上記界面活性剤の顔料に対する添加量は、顔料100質量部に対して、好ましくは1質量部以上100質量部以下であり、より好ましくは5質量部以上50質量部以下である。この範囲であることにより、顔料の水中への分散安定性が確保できる。
表面処理顔料としては、親水性官能基として、−OM、−COOM、−CO−、−SOM、−SONH、−RSOM、−POHM、−PO、−SONHCOR、−NH、−NR(ただし、式中のMは、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム又は有機アンモニウムを表し、Rは、炭素数1〜12のアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基または置換基を有していてもよいナフチル基を示す。)等が挙げられる。これらの官能基は、顔料粒子表面に直接および/または他の基を介してグラフトされることによって、物理的および/または化学的に導入される。多価の基としては、炭素数が1〜12のアルキレン基、置換基を有していてもよいフェニレン基又は置換基を有していてもよいナフチレン基等を挙げることができる。
また、上記の表面処理顔料としては、硫黄を含む処理剤によりその顔料粒子表面に−SOMおよび/または−RSOM(Mは対イオンであって、水素イオン、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、又は有機アンモニウムイオンを示す。)が化学結合するように表面処理されたもの、すなわち、上記顔料が、活性プロトンを持たず、スルホン酸との反応性を有さず、顔料が不溶ないしは難溶である溶剤中に、顔料を分散させ、次いでアミド硫酸、又は三酸化硫黄と第三アミンとの錯体によりその粒子表面に−SOMおよび/または−RSOMが化学結合するように表面処理され、水に分散および/または溶解が可能なものとされたものであることが好ましい。
上記官能基またはその塩を顔料粒子の表面に直接または多価の基を介してグラフトさせる表面処理手段としては、種々の公知の表面処理手段を適用することができる。例えば、市販の酸化カーボンブラックにオゾンや次亜塩素酸ソーダ溶液を作用し、カーボンブラックをさらに酸化処理してその表面をより親水化処理する手段(例えば、特開平7−258578号公報、特開平8−3498号公報、特開平10−120958号公報、特開平10−195331号公報、特開平10−237349号公報)、カーボンブラックを3−アミノ−N−アルキル置換ピリジウムブロマイドで処理する手段(例えば、特開平10−195360号公報、特開平10−330665号公報)、有機顔料が不溶又は難溶である溶剤中に有機顔料を分散させ、スルホン化剤により顔料粒子表面にスルホン基を導入する手段(例えば、特開平8−283596号公報、特開平10−110110号公報、特開平10−110111号公報)、三酸化硫黄と錯体を形成する塩基性溶剤中に有機顔料を分散させ、三酸化硫黄を添加することにより有機顔料の表面を処理し、スルホン基又はスルホンアミノ基を導入する手段(例えば、特開平10−110114号公報)等が挙げられるが、本発明で用いられる表面処理顔料のための作製手段はこれらの手段に限定されるものではない。
1つの顔料粒子にグラフトされる官能基は単一でも複数種であってもよい。グラフトされる官能基の種類およびその程度は、着色インク組成物(C)中での分散安定性、色濃度、およびインクジェットヘッド前面での乾燥性等を考慮しながら適宜決定されてよい。
上記樹脂分散顔料、界面活性剤分散顔料、表面処理顔料を水中に分散させる方法としては、樹脂分散顔料については顔料と水と樹脂分散剤、界面活性剤分散顔料については顔料と水と界面活性剤、表面処理顔料については表面処理顔料と水、また各々に必要に応じて水溶性有機溶媒・中和剤等を加えて、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータミル、ヘンシェルミキサー、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、ジェットミル、オングミル等の従来用いられている分散機にて行うことができる。この場合、顔料の粒子径としては、体積平均粒子径で20〜500nmの範囲になるまで、より好ましくは50〜200nmの範囲になるまで分散することが、顔料の水中での分散安定性を確保する点で好ましい。
体積平均粒子径は、例えば、動的光散乱理論を測定原理とする粒度分布測定装置により測定することができる。このような粒度分布測定装置としては、例えば、日機装社製の「マイクロトラックUPA」等が挙げられる。
(液状媒体)
本発明に用いる着色インク組成物(C)が水系インクの場合、液状媒体である水系溶媒として、水及び任意に水溶性有機溶媒を含有することができる。水系インクの場合、水溶性有機溶媒を含有することで、乾燥速度及び粘度の調整等を行うことができる。着色インク組成物(C)に用いる水溶性有機溶媒としては、光沢インク組成物(M)が水系インクであるときの水溶性有機溶媒と同様の水溶性有機溶媒が例示できる。
着色インク組成物(C)が水系インクであるときの着色インク組成物(C)における水系溶媒の含有量は、本発明に用いる着色インク組成物(C)をインクジェット方式に用いる場合、着色インク組成物(C)の全質量に対して85〜99質量%の範囲内の量であることが好ましく、90〜97質量%の範囲内であることがより好ましい。この場合の、着色インク組成物(C)中の水の含有量は、着色インク組成物(C)の全質量に対して20〜80質量%の範囲内の量であることが好ましく、40〜70質量%の範囲内であることがより好ましく、50〜60質量%の範囲内であることがさらに好ましい。また、着色インク組成物(C)中の水溶性有機溶媒の含有量は、着色インク組成物(C)の全質量に対して1〜40質量%の範囲内の量であることが好ましく、5〜35質量%の範囲内であることがより好ましく、10〜30質量%の範囲内であることがさらに好ましい。
なお、上記水溶性有機溶媒は、含窒素溶剤を含むことが好ましく、着色インク組成物(C)に対する含有量は、好ましくは3〜30質量%である。この場合、耐擦性、画質等がより優れる点で好ましい。着色インク組成物(C)をインクジェット法で基材に付与する際に、インクジェットヘッドからの吐出時にノズル近傍で水系インクが乾燥することによるノズル詰まりの発生を抑制する観点からは、上記水溶性有機溶媒は、多価アルコールを含むことが好ましい。このとき、着色インク組成物(C)中の多価アルコールの含有量は、着色インク組成物(C)の全質量に対して1〜10質量%であることが好ましい。
着色インク組成物(C)が溶剤系インクである場合、液状媒体は有機溶媒であり、当該有機溶媒の例には、上記水系インクに用いられ得る水溶性有機溶媒及び非水溶性有機溶媒が含まれる。着色インク組成物(C)に用いる非水溶性有機溶媒としては、透明層インク組成物(T)で例示した非水溶性有機溶媒と同様の非水溶性有機溶媒が例示でき、その含有量についても、明層インク組成物(T)の場合と同様にすることができる。
(バインダー樹脂)
着色インク組成物(C)が水系インクあるいは溶剤系インクである場合、着色インク組成物(C)はバインダー樹脂を含有してもよい。バインダー樹脂としては、例えば、乳化剤分散型の樹脂微粒子があげられる。また、JIS K 0070に基づく電位差測定法による酸価が低い樹脂が好ましくあげられる。酸価は10mgKOH/g以下の樹脂がより好ましく、酸価が5mgKOH/g以下の樹脂がさらに好ましい。酸価の下限は、0mgKOH/gでもよい。
本実施形態において、バインダー樹脂は、着色インク組成物(C)中に分散して分散体を形成するラテックスであってもよいし、水又は有機溶媒により着色インク組成物(C)中に溶解する溶解性樹脂(水溶性樹脂又は有機溶媒溶解性樹脂)であってもよい。
着色インク組成物(C)に配合する際に、バインダー樹脂はエマルジョンの形態やサスペンジョンの形態で配合することができる。
本実施形態において用いられるバインダー樹脂としては、特に限定されないが、ウレタン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、スチレン(メタ)アクリル樹脂、フルオレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ロジン変性樹脂、テルペン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン酢酸ビニル樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、エマルジョン形態で取り扱われることが多いが、粉体の性状であってもよい。また、樹脂は1種単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。本実施形態において、上記の樹脂のうち、ウレタン樹脂や(メタ)アクリル樹脂が好ましい。
ウレタン樹脂とは、ウレタン結合を有する樹脂の総称である。ウレタン樹脂には、ウレタン結合以外に、主鎖にエーテル結合を含むポリエーテル型ウレタン樹脂、主鎖にエステル結合を含むポリエステル型ウレタン樹脂、主鎖にカーボネート結合を含むポリカーボネート型ウレタン樹脂等を使用してもよい。ウレタン樹脂としては、市販品を用いてもよく、例えば、スーパーフレックス 460、460s、840、E−4000(商品名、第一工業製薬社製)、レザミン D−1060、D−2020、D−4080、D−4200、D−6300、D−6455(商品名、大日精化工業社製)、タケラック WS−6021、W−512−A−6(商品名、三井化学ポリウレタン社製)、サンキュアー2710(商品名、日本ルーブリゾール社製)、パーマリンUA−150(商品名、三洋化成工業社製)などの市販品を用いてもよい。
(メタ)アクリル樹脂は、少なくとも(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステルなどの(メタ)アクリル系単量体を重合して得られる重合体の総称であって、例えば、(メタ)アクリル系単量体から得られる(メタ)アクリル樹脂や、(メタ)アクリル系単量体とこれ以外の単量体(例えば、スチレンなどのビニル系単量体)との共重合体などが挙げられる。(メタ)アクリル系単量体としてはアクリルアミド、アクリロニトリル等も使用可能である。(メタ)アクリル樹脂を原料とする樹脂エマルジョンには、市販品を用いてもよく、例えばFK−854(商品名、中央理科工業社製)、モビニール952B、718A(商品名、日本合成化学工業社製)、NipolLX852、LX874(商品名、日本ゼオン社製)等が挙げられる。
スチレン(メタ)アクリル樹脂は、スチレン単量体と(メタ)アクリル系単量体とから得られる共重合体であり、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。スチレン(メタ)アクリル樹脂には、市販品を用いてもよく、例えば、ジョンクリル62J、7100、390、711、511、7001、632、741、450、840、74J、HRC−1645J、734、852、7600、775、537J、1535、PDX−7630A、352J、352D、PDX−7145、538J、7640、7641、631、790、780、7610(商品名、BASF社製)、モビニール966A、975N(商品名、日本合成化学工業社製)、ビニブラン2586(商品名、日信化学工業社製)等が挙げられる。
ポリオレフィン樹脂は、エチレン、プロピレン、ブチレン等のオレフィンを構造骨格に有するものであり、公知のものを適宜選択して用いることができる。オレフィン樹脂としては、市販品を用いることができ、例えば、アローベースCB−1200、CD−1200(商品名、ユニチカ社製)等が挙げられる。
上記の樹脂を微粒子状態で得るには、以下に示す方法で得られ、そのいずれの方法でもよく、必要に応じて複数の方法を組み合わせてもよい。その方法としては、所望の樹脂を構成する単量体中に重合触媒(重合開始剤)と分散剤とを混合して重合、すなわち乳化重合する方法、親水性部分を持つ樹脂を水溶性有機溶媒に溶解させその溶液を水中に混合した後に水溶性有機溶媒を蒸留等で除去することで得る方法、樹脂を非水溶性有機溶媒に溶解させその溶液を分散剤と共に水溶液中に混合して得る方法等が挙げられる。
上記の方法は、用いる樹脂の種類・特性に応じて適宜選択することができる。樹脂を分散する際に用いることのできる分散剤としては、特に制限はないが、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、ラウリルリン酸ナトリウム塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートアンモニウム塩等のアニオン性界面活性剤、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等のノニオン性界面活性剤を挙げることができ、これらを単独あるいは2種以上を混合して用いることができる。
上記のようにバインダー樹脂を、エマルジョン状態、サスペンジョン状態等の微粒子状態で用いる場合、公知の材料・方法で得られるものを用いることも可能である。例えば、特公昭62−1426号公報、特開平3−56573号公報、特開平3−79678号公報、特開平3−160068号公報、特開平4−18462号公報等に記載のものを用いてもよい。
また、樹脂は、エマルジョンの形態で供給されてもよく、そのような樹脂エマルジョンの市販品の例としては、マイクロジェルE−1002、E−5002(商品名、日本ペイント社製、スチレン−アクリル樹脂エマルジョン)、ボンコート4001(商品名、DIC社製、アクリル樹脂エマルジョン)、ボンコート5454(商品名、DIC社製、スチレン−アクリル樹脂エマルジョン)、ポリゾールAM−710、AM−920、AM−2300、AP−4735、AT−860、PSASE−4210E(アクリル樹脂エマルジョン)、ポリゾールAP−7020(スチレンアクリル樹脂エマルジョン)、ポリゾールSH−502(酢酸ビニル樹脂エマルジョン)、ポリゾールAD−13、AD−2、AD−10、AD−96、AD−17、AD−70(エチレン・酢酸ビニル樹脂エマルジョン)、ポリゾールPSASE−6010(エチレン・酢酸ビニル樹脂エマルジョン)(商品名、昭和電工社製)、ポリゾールSAE1014(商品名、日本ゼオン社製、スチレン−アクリル樹脂エマルジョン)、サイビノールSK−200(商品名、サイデン化学社製、アクリル樹脂エマルジョン)、AE−120A(商品名、JSR社製、アクリル樹脂エマルジョン)、AE373D(商品名、イーテック社製、カルボキシ変性スチレンアクリル樹脂エマルジョン)、セイカダイン1900W(商品名、大日精化工業社製、エチレン・酢酸ビニル樹脂エマルジョン)、ビニブラン2682(アクリル樹脂エマルジョン)、ビニブラン2886(酢酸ビニル・アクリル樹脂エマルジョン)、ビニブラン5202(酢酸アクリル系樹脂エマルジョン)(商品名、日信化学工業社製)、エリーテルKA−5071S、KT−8803、KT−9204、KT−8701、KT−8904、KT−0507(商品名、ユニチカ社製、ポリエステル樹脂エマルジョン)、ハイテックSN−2002(商品名、東邦化学工業社製、ポリエステル樹脂エマルジョン)、タケラックW−6020、W−635、W−6061、W−605、W−635、W−6021(商品名、三井化学社製、ウレタン樹脂エマルジョン)、スーパーフレックス870、800、150、420、460、470、610、700(商品名、第一工業製薬社製、ウレタン樹脂エマルジョン)、パーマリンUA−150(商品名、三洋化成工業社製、ウレタン樹脂エマルジョン)、サンキュアー2710(商品名、日本ルーブリゾール社製、ウレタン樹脂エマルジョン)、NeoRez R−9660、R−9637、R−940(商品名、楠本化成社製、ウレタン樹脂エマルジョン)、アデカボンタイター HUX−380,290K(商品名、ADEKA社製、ウレタン樹脂エマルジョン)、モビニール966A、モビニール7320(商品名、日本合成化学社製)、ジョンクリル7100、390、711、511、7001、632、741、450、840、74J、HRC−1645J、734、852、7600、775、537J、1535、PDX−7630A、352J、352D、PDX−7145、538J、7640、7641、631、790、780、7610(商品名、BASF社製)、NKバインダーR−5HN(商品名、新中村化学工業社製)、ハイドランWLS−210(商品名、DIC社製、非架橋性ポリウレタン)、ジョンクリル7610(商品名、BASF社製)等が挙げられる。
バインダー樹脂は、複合樹脂を含むものであってもよい。複合樹脂は、定着を構成する樹脂として、樹脂を構成するモノマー成分の構成、つまり、種類、含有量比の少なくとも何れかが互いに異なる2種以上の樹脂からなり、この2種以上の樹脂は、樹脂のどの部位を構成するかは問わないものである。2種以上の樹脂はその境界で樹脂の構成が不連続に区別できるものに限られず、連続的にモノマー成分の構成が異なるものであってもよい。
バインダー樹脂を微粒子状態で用いる場合、着色インク組成物(C)の保存安定性・吐出信頼性を確保する観点から、その体積平均粒子径は5〜400nmの範囲が好ましく、より好ましくは50〜200nmの範囲である。樹脂微粒子の体積平均粒子径が上記範囲にあることにより、成膜性に優れると共に、凝集しても大きな塊ができにくいため、ノズルの目詰まりを低減することができる。なお、樹脂微粒子の体積平均粒子径は、上記顔料微粒子の体積平均粒子径と同様の方法で測定できる。
バインダー樹脂のガラス転移温度(Tg)は、例えば、−20℃以上100℃以下であることが好ましく、−10℃以上80℃以下であることがより好ましく、0℃以上76℃以下であることがさらに好ましい。
着色インク組成物(C)中の上記バインダー樹脂の含有量は、着色インク組成物(C)の全質量に対して、好ましくは2質量%以上であり、より好ましくは3質量%以上であり、さらに好ましくは4質量%以上である。また、バインダー樹脂の含有量は、着色インク組成物(C)の全質量に対して、好ましくは15質量%以下であり、より好ましくは10質量%以下であり、さらに好ましくは7質量%以下であり、特に好ましくは5質量%以下である。バインダー樹脂の含有量が上記範囲内であることにより、記録時の耐目詰まり性を確保すると共に、特にインク低吸収性または非吸収性の材料からなる層上においても、画質と耐擦性に優れた画像を形成することができる。
(界面活性剤)
着色インク組成物(C)が水系インクあるいは溶剤系インクである場合、着色インク組成物(C)は界面活性剤を含有してよく、この場合の界面活性剤としては、光沢インク組成物(M)が水系インクあるいは溶剤系インクであるときの界面活性剤と同様の界面活性剤が使用でき、その含有量も同様とすることができる。
(光重合性化合物等)
着色インク組成物(C)は、活性光線硬化型インクであるときは、色材に加えて、活性光線の照射によって重合及び架橋する光重合性化合物及び任意に光重合開始剤を含有する。着色インク組成物(C)に用いる光重合性化合物及び光重合開始剤の例示は、上記の透明層インク組成物において記載されたのと同様の例示が可能である。着色インク組成物(C)は、活性光線硬化型インクであるときは、さらに、界面活性剤、重合禁止剤、紫外線吸収剤等を含有することができる。
着色インク組成物(C)が活性光線硬化型インクであるとき、色材は上記で示した水系溶媒に分散された分散液として、上記重合成分と混合して着色インク組成物(C)としてもよい。
(その他成分)
着色インク組成物(C)は、必須成分としての色材及び上記で例示した各種任意成分以外に、本発明の効果を損なわない範囲において、その他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、光沢インク組成物(M)において、その他の成分として例示した各種成分と同様の成分が挙げられる。
(着色インク組成物(C)の製造及び物性)
着色インク組成物(C)は、上記水系インク、溶剤系インク及び活性光線硬化型インク等の形態に合わせて、上記必須及び任意の配合成分を適宜選択し、任意の順序で混合することで製造できる。必要に応じて不純物を除去するための濾過等を行ってもよい。各成分の混合方法としては、メカニカルスターラー、マグネチックスターラー等の撹拌装置を備えた容器に順次成分を添加して撹拌混合する方法が好適に用いられる。濾過方法としては、遠心濾過、フィルター濾過等を必要に応じて行なうことができる。
着色インク組成物(C)は、液状組成物である。透明層上への着色インク組成物(C)の付与は、例えば、画像情報を解像度に合わせて画素分割し、それに基づいてドット単位で行われる。着色インク組成物(C)の付与は、インクジェット法により行われることが好ましい。
着色インク組成物(C)の粘度、表面張力及びpH等の物性値は、光沢インク組成物(M)における粘度、表面張力及びpH等の物性値と、好ましい範囲も含めて同様にすることができる。
(着色層の形成)
着色層の形成は、透明層上に液状の着色インク組成物(C)を付与し、上記水系インク、溶剤系インク及び活性光線硬化型インク等の形態に合わせて、乾燥、加熱、活性光線の照射等により透明層インク組成物(T)を硬化することで行われる。
着色インク組成物(C)を用いて透明層上に着色層を形成する方法としては、光沢インク組成物(M)を用いて記録媒体上に光沢層を形成する方法と同様の方法が適用できる。着色インク組成物(C)を透明層上に付与する方法は、光沢インク組成物(M)の場合と同様にインクジェット法であることが好ましい。着色層の画像解像度は、光沢層及び透明層の解像度と同じであることが好ましい。着色層の画像解像度は、300dpi以上であることが好ましく、360dpi以上であることがより好ましい。画像解像度の上限は特にないが、印刷速度や吐出安定性の観点から1200dpi程度が挙げられる。
着色層の厚さは、得られる画像記録物において十分な発色性を確保しつつ、拡散反射による光沢感低下を防止する観点から0.05〜1.0μmが好ましく、0.1〜0.6μmがより好ましい。着色層の厚さは、例えば、断面SEM写真による画像解析により測定できる。
〔下地層形成工程〕
下地層形成工程は任意の工程である。本発明の画像形成方法が下地層形成工程を有する場合、この工程は、光沢層形成工程の前に行われる。下地層形成工程では記録媒体(基材)の表面に下地層インク組成物を付与して下地層を形成する。下地層は、光沢層形成面の表面粗さ調整の機能を有し、透明層と同様に透明な層、例えば、実質的に色材を含有しない透明な層であることが好ましい。
(下地層インク組成物)
下地層インク組成物は、記録媒体の表面に付与されて、上記表面に層を形成できるインク組成物であればよく、水系インク、溶剤系インク、活性光線硬化型インクを含む任意の構成を用いることができる。なお、下地層インク組成物は、透明層インク組成物(T)と同様に固形分として実質的に色材(ただし、白色顔料を除く)を含有しないことが好ましい。
下地層インク組成物は、水系インク及び溶剤系インクである場合、製膜成分である樹脂が液状媒体に溶解又は分散した形態である。下地層インク組成物が水系インクであるときは、例えば、水系溶媒として水及び任意に水溶性有機溶媒を含有することができ、固形分として樹脂を含有する構成である。また、下地層インク組成物が溶剤系インクであるときは、例えば、液状媒体として有機溶媒を含有することができ、固形分として樹脂を含有する構成である。下地層インク組成物は、水系インク及び溶剤系インクである場合、さらに、必要に応じて、界面活性剤等を含有できる。
また、下地層インク組成物が、活性光線硬化型インクであるときは、活性光線の照射によって重合及び架橋する光重合性化合物及び任意に光重合開始剤を含有することができ、る。この場合、下地層インク組成物は、さらに、必要に応じて、界面活性剤、重合禁止剤及び紫外線吸収剤等を含有してもよい。上記任意の成分は、下地層インク組成物中に、1種のみが含まれていてもよく、2種類以上が含まれていてもよい。
下地層インク組成物は、下地層インク組成物が濡れ広がりすぎる前に硬化させることによって下地層の厚さの制御を容易とし、かつ、下地層の厚さをより厚くすることを容易とする観点から、記録媒体の表面に付与して硬化させる工程を繰り返して複数の層を形成することが可能な、活性光線硬化型の下地層インク組成物であることが好ましい。
下地層インク組成物としては、詳細には、透明層インク組成物(T)と同様の構成材料を使用できる。
なお、下地層インク組成物は、多価金属イオン及び多価有機酸等の、光沢インク組成物(M)が含有する金属粒子を析出又は凝集させる成分を含んでもよい。これらの成分は、光沢インク組成物(M)中の金属粒子を析出又は凝集させて、光沢インク組成物(M)のドット径をより安定化させることができる。
また、下地層インク組成物は、無機微粒子と親水性バインダー樹脂を含有する膨潤型下地層や空隙型下地層を形成するためのインク組成物であってもよい。その場合、無機微粒子として、酸化アルミニウム微粒子のような白色顔料を含んでもよい。
(下地層インク組成物の製造及び物性)
下地層インク組成物は透明層インク組成物(T)と同様の方法で製造できる。
下地層インク組成物は、液状組成物である。記録媒体上への下地層インク組成物の付与は、例えば、画像情報を解像度に合わせて画素分割し、それに基づいてドット単位で行われる。下地層インク組成物の付与は、インクジェット法により行われることが好ましい。
下地層インク組成物の粘度、表面張力及びpH等の物性値は、光沢インク組成物(M)における粘度、表面張力及びpH等の物性値と、好ましい範囲も含めて同様にすることができる。
(下地層の形成)
下地層の形成は、記録媒体上に液状の下地層インク組成物を付与し、上記水系インク、溶剤系インク及び活性光線硬化型インク等の形態に合わせて、乾燥、加熱、活性光線の照射等により下地層インク組成物を硬化することで行われる。
下地層インク組成物を用いて記録媒体上に下地層を形成する方法としては、光沢インク組成物(M)を用いて記録媒体上に光沢層を形成する方法と同様の方法が適用できる。下地層インク組成物を記録媒体上に付与する方法は、光沢インク組成物(M)の場合と同様にインクジェット法であることが好ましい。下地層の画像解像度は、光沢層の解像度と同じであることが好ましい。下地層の画像解像度は、300dpi以上であることが好ましく、360dpi以上であることがより好ましい。画像解像度の上限は特にないが、印刷速度や吐出安定性の観点から1200dpi程度が挙げられる。
下地層の厚さは、上記機能を十分に果たしながら、画像の先鋭性を確保する観点から、2〜80μmが好ましく、8〜20μmがより好ましい。下地層の厚さは、例えば、断面SEM写真による画像解析により測定できる。
[画像形成装置]
本発明の画像形成装置は、記録媒体上に少なくとも光沢層及び着色層を有する画像を形成するための画像形成装置であって、前記記録媒体上に、金属粒子を含有する光沢インク組成物を付与して光沢層を形成する光沢層形成部と、前記光沢層上に、透明層を形成する透明層形成部と、前記透明層上に、色材を含有する着色インク組成物を付与して着色層を形成する着色層形成部と、を有することを特徴とする。
本発明の画像形成装置において、透明層形成部は、光沢層形成部及び着色層形成部と同様に、液状の透明層インク組成物を用いて透明層を形成する形成部であることが好ましい。
本発明の画像形成装置に適用される各層の形成に用いられるインク組成物は、本発明の画像形成方法において説明した、光沢インク組成物(M)、透明層インク組成物(T)、着色インク組成物(C)であることが好ましい。
本発明の画像形成装置は、形成する光沢層の画像解像度が300dpi以上に対応できることが好ましい。すなわち、光沢層形成部が、画像解像度300dpi以上の光沢層を形成できる仕様であることが好ましい。本発明の画像形成装置は、光沢層と同様に、形成する透明層及び着色層についても画像解像度が300dpi以上に対応できることが好ましい。すなわち、透明層形成部及び着色層形成部が、画像解像度300dpi以上の光沢層及び着色層を形成できる仕様であることが好ましい。
これを満足するために、本発明の画像形成装置において、光沢層形成部が、光沢インク組成物(M)を付与するためのインクジェット装置を含むことが好ましく、同様に、透明層形成部及び着色層形成部が、透明層インク組成物(T)を付与するためのインクジェット装置、及び着色インク組成物(C)を付与するためのインクジェット装置をそれぞれ有することが好ましい。以下、図面を参照しながら本発明に係る画像形成装置について説明するが、本発明はこれに限定されない。
図3に、光沢層形成部、透明層形成部及び着色層形成部にそれぞれインクジェット装置を有する、本発明に係る画像形成装置の一例を模式的に示す概略断面図を示す。
画像形成装置100は、主に、光沢層形成部10、透明層形成部20、着色層形成部30及び搬送部40から構成されている。画像形成装置100では、図3において矢印で示される搬送方向に移動する搬送部40上に記録媒体1が搭載され、記録媒体1が搬送される間に、記録媒体1上に以下のようにして各層が形成され、図1に示すのと同様の構成の画像記録物5Aが製造される。
画像形成装置100では、搬送方向に沿って光沢層形成部10、透明層形成部20及び着色層形成部30がその順に配置されている。画像形成装置100では、光沢層形成部10において記録媒体1上に光沢層2が形成され、次いで透明層形成部20において光沢層2上に透明層3が形成された後に、着色層形成部30において透明層3上に着色層4が形成され、画像記録物5Aが得られる。画像記録物5Aは、記録媒体1の一方の主面上に光沢層2、透明層3及び着色層4をその順に有する画像記録物であって、光沢層2、透明層3及び着色層4により画像が構成されている。
光沢層形成部10は、搬送方向に沿って、光沢層用インクジェット装置11及び光沢層用硬化部12を有する。光沢層用インクジェット装置11は、上記した各吐出方式に応じた構造のインクジェットヘッドを有し、インクジェットヘッドのノズルから光沢インク組成物(M)の液滴2aを記録媒体1の表面に向かって吐出する。これにより、記録媒体1上に光沢インク組成物(M)の塗膜が形成される。光沢層用硬化部12は、光沢インク組成物(M)の形態に応じて、その塗膜を硬化させて光沢層2とするために、加熱や活性光線照射を行う部材である。
透明層形成部20は、搬送方向に沿って、透明層用インクジェット装置21及び透明層用硬化部22を有する。透明層用インクジェット装置21は、上記した各吐出方式に応じた構造のインクジェットヘッドを有し、インクジェットヘッドのノズルから透明層インク組成物(T)の液滴3aを光沢層2の表面に向かって吐出する。これにより、光沢層2上に透明層インク組成物(T)の塗膜が形成される。透明層用硬化部22は、透明層インク組成物(T)の形態に応じて、その塗膜を硬化させて透明層3とするために、加熱や活性光線照射を行う部材である。
着色層形成部30は、搬送方向に沿って、着色層用インクジェット装置31及び着色層用硬化部32を有する。着色層用インクジェット装置31は、上記した各吐出方式に応じた構造のインクジェットヘッドを有し、インクジェットヘッドのノズルから着色インク組成物(C)の液滴4aを透明層3の表面に向かって吐出する。これにより、透明層3上に着色インク組成物(C)の塗膜が形成される。着色層用硬化部32は、着色インク組成物(C)の形態に応じて、その塗膜を硬化させて着色層4とするために、加熱や活性光線照射を行う部材である。
なお、着色層用インクジェット装置31は、4色、例えば、マゼンタ、シアン、イエロー、黒色の着色インク組成物(C)の色ごとにインクジェットヘッドを有する例である。
また、図3に示す画像形成装置100において、光沢層形成部10の前に下地層形成部を設けることで、画像記録物5Aの構成において記録媒体1と光沢層2の間に下地層6を有する構成の図2に示す画像記録物5Bを製造する画像形成装置とすることができる。下地層形成部は、例えば、搬送方向に沿って、下地層インク組成物を記録媒体1の表面に向かって吐出する下地層用インクジェット装置及び下地層インク組成物の塗膜を硬化させて下地層6とするための下地層用硬化部を有する構成とすることができる。
[画像記録物]
本発明の画像記録物は、記録媒体上に少なくとも光沢層及び着色層をその順に有する画像記録物であって、前記光沢層は金属粒子を含有するドットで構成される層であり、かつ、前記光沢層及び前記着色層の間に透明層を備えることを特徴とする。透明層は、上記と同様に、透明な層であり、例えば、実質的に色材を含有しない層である。また、「実質的に色材を含有しない」とは、上に説明したとおりであり、透明層の全質量に対する色材の含有量が0.1質量%以下であることをいう。透明層の全質量に対する色材の含有量は、0.05質量%以下が好ましく、0質量%がより好ましい。なお、色材の具体例は、上記の着色インク組成物に示すとおりである。
図1及び図2に示す画像記録物5A及び画像記録物5Bは、本発明の画像記録物の典型的な構成例である。図1に示す画像記録物5Aは、記録媒体1の一方の主面上に光沢層2、透明層3及び着色層4をその順に有する画像記録物の例である。図2に示す画像記録物5Bは、記録媒体1の一方の主面上に、下地層6、光沢層2、透明層3及び着色層4をその順に有する画像記録物の例である。画像記録物5A及び画像記録物5Bにおいて、光沢層2、透明層3及び着色層4により画像が構成される。
本発明の画像記録物における、記録媒体は本発明の画像形成方法において上記に説明したのと同様とすることができる。本発明の画像記録物における光沢層は金属粒子を含有するドットで構成される層である。ドットで構成される層とは、例えば、画像情報を解像度に合わせて画素分割し、それに基づいて形成されたドットの集合体からなる層等がある。その場合、ドットの集合体が画像を構成する。
本発明の画像記録物において、デザイン性の高い画像に対応できる観点から光沢層の画像解像度は300dpi以上であることが好ましく、360dpi以上であることがより好ましい。画像解像度の上限は特にないが、印刷速度や吐出安定性の観点から1200dpi程度が挙げられる。
本発明の画像記録物において、光沢層と同様に、透明層及び着色層、さらに任意の設けられる下地層についてもドットで構成される層であることが好ましく、各層の画像解像度は300dpi以上であることがより好ましく、360dpi以上であることがより好ましい。これらの層の画像解像度の上限は、光沢層と同様にすることができる。
本発明の画像記録物における各層の構成、具体的には構成材料、厚さ、物性等は、本発明の画像形成方法において上記に説明したのと同様とすることができる。典型的には、光沢層が含有する金属粒子は、平均粒子径が10〜100nmの範囲内にある銀ナノ粒子であることが好ましい。また、透明層の厚さは、1.6μm以上であることが好ましく、透明層の可視光透過率は、80%以上であることが好ましい。
本発明の画像記録物は、例えば、上記本発明の画像形成方法により製造できる。本発明の画像記録物は、対象とする画像のデザイン自由度が高く、さらに高光沢、高発色性及び広い色再現範囲が実現された画像記録物である。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
[インク組成物の調製]
記録媒体上にカラーメタリック画像を形成するための各種インク組成物を以下の方法で調製した。
<光沢インク組成物の調製>
光沢インク組成物に含有させる以下の金属粒子の分散液を準備し、これらの分散液を用いて光沢インク組成物を調製した。
1.金属粒子の分散液の準備
(銀ナノ粒子分散液1)
以下の方法で、銀ナノ粒子と、銀ナノ粒子の表面を被覆する水溶性高分子分散剤とからなる複合体(以下、「銀ナノ粒子複合体」という。)の分散液を調製した。
2Lのコルベンに、12gのDISPERBYK−190(ビックケミー社製、カルボキシ基と共に側鎖にポリアルキレンオキサイド基を有する高分子量くし型ブロック共重合体(酸価;10mgKOH/g)の水溶液。固形分40質量%。以下、「化合物P1」という。)、及び420gのイオン交換水を投入した。上記コルベンをウォーターバスに入れ、DISPERBYK−190が溶解するまで50℃で撹拌した。その後、上記コルベンに、420gのイオン交換水に溶解させた100gの硝酸銀を撹拌しながら投入した。
次に銀に対して2.8当量となるようにアンモニア水100gを入れた後、70℃に昇温して10分間撹拌した。その後、上記コルベンに、262gのジメチルアミノエタノールを加え、70℃を保ちながら2時間撹拌を続け、銀ナノ粒子の表面が化合物P1で被覆された銀ナノ粒子複合体1を含む反応液を得た。
得られた反応液を1Lのポリ瓶に移し換え、60℃の恒温室で18時間静置した。その後、上記反応液をステンレスカップに入れて、更に2Lのイオン交換水を投入してから、ポンプを稼動させて限外濾過を行った。その後、濃縮して銀ナノ粒子の平均粒子径が55nmで、固形分30質量%の銀ナノ粒子複合体1の分散液(銀ナノ粒子分散液1)を得た。
なお、銀ナノ粒子の平均粒子径は、銀ナノ粒子複合体分散液1について、NANOPIX mini(リガク製)で、小角X線散乱法により体積基準の粒度分布を求め、そのD50(メジアン径)を体積換算の平均粒子径とした体積平均粒子径である。また、上記仕込み量から算出される銀ナノ粒子複合体1における銀に対する化合物P1の割合は7.6質量%である。
上記限外濾過装置としては、限外濾過モジュールAHP1010(旭化成社製、分画分子量:50000、使用膜本数:400本)、マグネットポンプ、及び下部にチューブ接続口のある3リットルのステンレスカップをシリコンチューブでつないだものを使用した。
(金ナノ粒子分散液1)
金ナノ粒子は、市販の粒子分散液(Sigma−Aldrich社製、Gold nanoparticles)を用いた。この分散液の固形分濃度は30質量%であり、金ナノ粒子の平均粒径は50nmであった。
(アルミニウム粒子分散液1)
アルミニウム粒子分散液1として、JetFluid UV 31024 Silver(アルミ顔料分散液、ECKART社製、顔料濃度9質量%、D50体積平均粒径1.5μm)を用いた。
2.光沢インク組成物の調製
(光沢インク1)
以下の光沢インク組成1に示す組成で各成分を混合して、水系インクである光沢インク1を得た。なお、Aqua BI200(Trixene Aqua BI200(LANXESS社製))は、架橋剤(L)に相当する、3,5−ジメチルピラゾールでブロックされたヘキサメチレンジイソシアネートトリマーを固形分として40質量%含有する水系分散液である。得られた光沢インク1における銀ナノ粒子に対する架橋剤の割合は、0.25質量%である。
〔光沢インク組成1〕
固形分30質量%の銀ナノ粒子複合体水分散液1 14.35質量部
架橋剤(Trixene Aqua BI200(LANXESS社製))
0.025質量部
NaCO 0.01M水溶液(pH調整剤) 8.00質量部
F−477(DIC社製、界面活性剤) 0.10質量部
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 37.00質量部
へキシレングリコール 4.00質量部
水 36.53質量部
(光沢インク2)
Aqua BI200をAqua BI220(Trixene Aqua BI220(LANXESS社製)、架橋剤(L)であるブロックイソシアネートに相当する、3,5−ジメチルピラゾールでブロックされたヘキサメチレンジイソシアネートトリマーを固形分として40質量%含有する水系分散液)に変更した以外は、光沢インク1と同様にして、水系インクである光沢インク2を得た。
(光沢インク3)
以下の光沢インク組成3に示す組成で各成分を混合して、水系インクである光沢インク3を得た。なお、「SF210」は、スーパーフレックス210を示す。
〔光沢インク組成3〕
固形分30質量%の銀ナノ粒子複合体水分散液1 14質量部
SF210(第一工業製薬社製、ウレタン樹脂エマルジョン、固形分35質量%)
1.1質量部
F−477(DIC社製、界面活性剤) 0.1質量部
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 35質量部
プロピレングリコール 10質量部
水 40質量部
(光沢インク4)
光沢インク1の作製において、銀ナノ粒子複合体水分散液1に代わり、金ナノ粒子分散液1を用いた以外は同様にして、水系インクである光沢インク4を得た。
(光沢インク5)
以下の光沢インク組成5に示す組成で各成分を混合して、活性光線硬化型の光沢インク5を得た。
〔光沢インク組成5〕
固形分30質量%の銀ナノ粒子複合体水分散液1 13.57質量部
ポリエチレングリコール#400ジアクリレート(Miramer M286、Miwon Specialty Chemical社製) 74.86質量部
フェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(Omnirad819、IGM Resins社製) 2.32質量部
エタノール 9.26質量部
X−22−2204(変性シリコーンオイル、信越化学工業社製) 0.15質量部
(光沢インク6)
以下の光沢インク組成6に示す組成で各成分を混合して、活性光線硬化型の光沢インク6を得た。
〔光沢インク組成6〕
アルミニウム粒子分散液1(固形分濃度9質量%) 33.3質量部
ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート(Miramer M210、Miwon Specialty Chemical社製) 24.7質量部
9EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート(Etermer EM2832、Eternal Chemical社製) 21.6質量部
イソボルニルアクリレート(ライトアクリレートIB−XA、共栄社化学社製)
15.4質量部
フェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(Omnirad819、IGM Resins社製) 2.5質量部
4−メチルベンゾフェノン(Omnirad 4MBZ Flakes、IGM Resins社製) 2.5質量部
<透明層インク組成物の調製>
(透明層インク1)
以下の透明層インク組成1に示す組成で各成分を混合して、活性光線硬化型の透明層インク1を得た。
〔透明層インク組成1〕
トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(NKエステル A−DCP、新中村化学工業社製) 5質量部
ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート(Miramer M210、Miwon Specialty Chemical社製) 35質量部
アクリル酸のホモポリマーとテトラヒドロフルフリルアルコールの反応生成物(ビスコート#150D、大阪有機化学工業社製) 40質量部
イソボルニルアクリレート(ライトアクリレートIB−XA、共栄社化学社製)
20質量部
フェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(Omnirad819、IGM Resins社製) 5質量部
(透明層インク2)
以下の透明層インク組成2に示す組成で各成分を混合して、活性光線硬化型の透明層インク2を得た。
〔透明層インク組成2〕
ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート(Miramer M210、Miwon Specialty Chemical社製) 40質量部
9EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート(Etermer EM2832、Eternal Chemical社製) 35質量部
イソボルニルアクリレート(ライトアクリレートIB−XA、共栄社化学社製) 25質量部
フェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(Omnirad819、IGM Resins社製) 4質量部
4−メチルベンゾフェノン(Omnirad 4MBZ Flakes、IGM Resins社製) 4質量部
(透明層インク3)
透明層インク2の組成物を、ジエチレングリコールジエチルエーテルとγ−ブチロラクトンを4:1で混合した溶媒で5倍に希釈して、活性光線硬化型の透明層インク3を得た。
(透明層インク4)
以下の透明層インク組成4に示す組成で各成分を混合して、水系インクである透明層インク4を得た。
〔透明層インク組成4〕
バインダー樹脂(ポリエステル樹脂エマルジョン、東洋紡績(株)製、商品名:バイロナールMD1500、固形分30質量%) 25.0質量部
水 46.9質量部
プロピレングリコール 7.9質量部
トリエチレングリコールモノメチルエーテル 20.1質量部
界面活性剤(BYK−348:ビックケミー社製) 0.1質量部
(透明層インク5)
透明層インク4の調製において、カーボンブラックを0.075質量部加えた以外は同様にして、水系インクである透明層インク5を得た。
<着色インク組成物の調製>
(着色インク1)
以下の着色インク組成1に示す組成で各成分を混合して、水系インクである着色インク1を得た。
〔着色インク組成1〕
イエロー顔料(C.I.ピグメントイエロー74) 6質量部
ウレタン樹脂粒子(タケラック(登録商標)W−6061、三井化学社製)
1質量部
エチレングリコール 8質量部
グリセリン 9質量部
2−ピロリドン 1質量部
3−メチル−1,5−ペンタンジオール 3質量部
トリイソプロパノールアミン 2質量部
水 70質量部
界面活性剤(BYK−348、ビックケミー社製) 0.3質量部
(着色インク2)
着色インク1の作製において、イエロー顔料を、マゼンタ顔料(C.I.ピグメントレッド122)に代えた以外は、同様にして水系インクである着色インク2を作製した。
<下地層インク組成物の調製>
(下地層インク1)
以下の下地層インク組成1に示す組成で各成分を混合して、活性光線硬化型の下地層インク1を得た。
〔下地層インク組成1〕
トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(NKエステル A−DCP、新中村化学工業社製) 100質量部
フェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(Omnirad819、IGM Resins社製) 3質量部
(下地層インク2)
以下の下地層インク組成2に示す組成で各成分を混合して、活性光線硬化型の下地層インク2を得た。
〔下地層インク組成2〕
ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート(Miramer M210、Miwon Specialty Chemical社製) 40質量部
9EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート(Etermer EM2832、Eternal Chemical社製) 35質量部
イソボルニルアクリレート(ライトアクリレートIB−XA、共栄社化学社製) 25質量部
フェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(Omnirad819、IGM Resins社製) 4質量部
4−メチルベンゾフェノン(Omnirad 4MBZ Flakes、IGM Resins社製) 4質量部
(下地層インク3)
以下の下地層インク組成3に示す組成で各成分を混合して、水系インクである下地層インク3を得た。
〔下地層インク組成3〕
アルミナ粒子(Alu−130、アエロジル社製) 17.5質量部
分散剤(BYK−130、ビックケミー社製、固形分濃度40質量%)
2.3質量部
ポリビニルアルコール(VP−20、日本酢ビ・ポバール社製、5質量%水溶液)
35.0質量部
水 40.6質量部
ホウ酸(3質量%水溶液) 1.6質量部
ホウ砂(3質量%水溶液) 1.2質量部
硝酸水溶液(0.1M) 1.2質量部
エタノール 0.4質量部
[実施例1〜19、比較例1〜2]
上記で調製した下地層インク1〜3、光沢インク1〜6、透明層インク1〜5及び着色インク1〜2を用いて、記録媒体(基材)上に少なくとも光沢層と着色層を有するメタリックカラー画像を形成して、画像記録物を得た。なお、形成した画像は30×30mmのベタ画像である。
(実施例1)
〔下地層形成工程1〕
基材は、王子製紙社製「OKトップコート+」を用いた。インクジェット記録装置として、インクタンク、インク供給配管、インクジェットヘッド直前のインク供給タンク、フィルター、及びピエゾ型のインクジェットヘッド1(コニカミノルタ社製、KM1024iMHE)を有するインクジェット記録装置1を準備した。
インクジェット記録装置1を用いて、インクジェットヘッド1を、液滴量14pl、印字速度0.5m/sec、射出周波数14.2kHz、ヘッド温度80℃で駆動して、下地層インク1の液滴を基材に、720dpiの解像度で吐出して着弾させた。
次いで、基材に着弾した下地層インク1を、発光中心波長395nmのUVLEDランプ(FE400、フォセンテクノロジー社製)を用いて、窒素ガスを吹き付けながら積算露光量が350mJ/cmとなるように露光して、厚さ10μmの下地層1を形成した。
〔光沢層形成工程1〕
インクジェットヘッドとして、ピエゾ型インクジェットヘッド2(コニカミノルタ社製、KM1024iMAE)を有する以外は、上記インクジェット記録装置1と同様のインクジェット記録装置2を準備した。
上記インクジェット記録装置2を用いて、インクジェットヘッド2を、液滴量14pl、印字速度0.5m/sec、射出周波数14.2kHz、ヘッド温度23℃で駆動して、光沢インク1の液滴を下地層1上に、720dpiの解像度で吐出して着弾させた。
次いで、下地層1上に着弾した光沢インク1について、超近赤外線ヒーター(アドフォス社製)を用いて、エネルギー密度170kW/m、照射時間3秒で乾燥を行い、下地層1上に厚さ約0.5μmの光沢層1を形成した。
〔透明層形成工程1〕
下地層用と同様な構成のインクジェット記録装置1を準備し、インクジェットヘッド1を、液滴量14pl、印字速度0.5m/sec、射出周波数14.2kHz、ヘッド温度50℃で駆動して、透明層インク1の液滴を光沢層1上に、720dpiの解像度で吐出して着弾させた。
次いで、光沢層1上に着弾した透明層インク1を、発光中心波長395nmのUVLEDランプ(FE400、フォセンテクノロジー社製)を用いて、窒素ガスを吹き付けながら積算露光量が350mJ/cmのなるように露光して、厚さ10μmの透明層1を形成した。
この際に、透明層1のみをPETフィルム(厚さ43μm)上に上記と同じ条件で形成した可視光透過率測定用のサンプルを作製し、分光光度計を用いて、400nm〜740nmの範囲の透過率を測定した。PETフィルムのみで同様に測定した透過率をベースラインとして、透明層1の波長400〜740nmの範囲の光の透過率を得、得られた全波長範囲(400〜740nm)の平均値を可視光透過率とした。実施例1における透明層1の可視光透過率は、95.1%であった。
〔着色層形成工程1〕
光沢層用と同様な構成のインクジェット記録装置2を準備し、インクジェットヘッド2を、液滴量14pl、印字速度0.5m/sec、射出周波数14.2kHz、ヘッド温度23℃で駆動して、着色インク1の液滴を透明層1上に、720dpiの解像度で吐出して着弾させた。
次いで、透明層1上に着弾した着色インク1について、超近赤外線ヒーター(アドフォス社製)を用いて、エネルギー密度170kW/m、照射時間3秒で乾燥を行い、透明層1上に厚さ約0.5μmの着色層1を形成した。
このようにして、基材上に下地層1、光沢層1、透明層1、着色層1をその順に有する積層構造を有する画像記録物1を作製した。
〔評価〕
上記で作製した画像記録物1について、以下の方法で、光沢性(光沢度L)及び発色性・色再現性(色差ΔE)を評価した。
(光沢度L
画像記録物1を、分光測色計CM−26dG(コニカミノルタ社製)を用いて、360nm〜740nmの範囲で10nmおきの各波長でのSCIモードで測定した。得られて色彩値のLを光沢度として、以下の評価基準により評価した。結果が「△」以上であれば、実用性ありと評価できる。
(評価基準)
〇 : 70 ≦ L
△ : 50 ≦ L < 70
× : L ≦ 50
(色差ΔE
得られた画像記録物1を、分光測色計CM−26dG(コニカミノルタ社製)を用いて、360nm〜740nmの範囲で10nmおきの各波長でのSCIモードで測定し、色彩値のL を計測した。次に、王子製紙社製「OKトップコート+」上に、着色インク1のみを画像記録物の形成時と同条件で形成し、参照用サンプルとして、上記と同様に色彩値を測定してL とした。得られた値を、以下の式に当てはめて色差ΔEを算出し、以下の評価基準で評価した。結果が「△」以上であれば、実用性ありと評価できる。
ΔE=〔(L −L +(a −a +(b −b 1/2
(評価基準)
○ : ΔE < 5
△ : 5 ≦ ΔE < 8
× : 8 ≦ ΔE
(実施例2)
実施例1における透明層形成工程1を以下の透明層形成工程2に変更した以外は、実施例1と同様に各工程を実施して、すなわち、下地層形成工程1、光沢層形成工程1、透明層形成工程2、着色層形成工程1の順に各工程を実施して画像記録物2を作製した。得られた画像記録物2について、実施例1と同様の評価を実施した。
〔透明層形成工程2〕
実施例1の透明層形成工程1において、透明層インク1に代えて透明層インク2を用いて、インクジェット記録装置1により、透明層インク2の液滴を光沢層1上に、720dpiの解像度で吐出して着弾させた。
次いで、光沢層1上に着弾した透明層インク2を、発光中心波長395nmのUVLEDランプ(FE400、フォセンテクノロジー社製)を用いて、窒素ガスの吹き付けをせずに積算露光量が50mJ/cmになるように露光し、更にメタルハライドランプを用いたUV照射機(ECS−4011GX/N、アイグラフィックス社製)を用いて、積算露光量が700mJ/cmになるように照射して硬化させ、厚さ10μmの透明層2を形成した。
(実施例3)
実施例1における下地層形成工程1を以下の下地層形成工程2に変更した以外は、実施例1と同様に各工程を実施して、すなわち、下地層形成工程2、光沢層形成工程1、透明層形成工程1、着色層形成工程1の順に各工程を実施して画像記録物3を作製した。得られた画像記録物3について、実施例1と同様の評価を実施した。
〔下地層形成工程2〕
実施例1の下地層形成工程1において、下地層インク1に代えて下地層インク2を用いて、インクジェット記録装置1により、下地層インク2の液滴を基材上に、720dpiの解像度で吐出して着弾させた。
次いで、基材に着弾した下地層インク2を、発光中心波長395nmのUVLEDランプ(FE400、フォセンテクノロジー社製)を用いて、窒素ガスの吹き付けをせずに積算露光量が50mJ/cmになるように露光し、更にメタルハライドランプを用いたUV照射機(ECS−4011GX/N、アイグラフィックス社製)を用いて、積算露光量が700mJ/cmになるように照射して硬化させ、厚さ10μmの下地層2を形成した。
(実施例4)
実施例1における下地層形成工程1を下地層形成工程2に変更し、透明層形成工程1を以下の透明層形成工程2に変更した以外は、実施例1と同様に各工程を実施して、すなわち、下地層形成工程2、光沢層形成工程1、透明層形成工程2、着色層形成工程1の順に各工程を実施して画像記録物4を作製した。得られた画像記録物4について、実施例1と同様の評価を実施した。
(実施例5)
実施例3における透明層形成工程1を以下の透明層形成工程3に変更した以外は、実施例3と同様に各工程を実施して、すなわち、下地層形成工程2、光沢層形成工程1、透明層形成工程3、着色層形成工程1の順に各工程を実施して画像記録物5を作製した。得られた画像記録物5について、実施例1と同様の評価を実施した。
〔透明層形成工程3〕
実施例3の透明層形成工程1において、透明層インク1に代えて透明層インク3を用いて、インクジェット記録装置1により、透明層インク3の液滴を光沢層1上に、720dpiの解像度で吐出して着弾させた。
次いで、光沢層1上に着弾した透明層インク3について、熱風オーブンで120℃、10分間の乾燥を行った後、発光中心波長395nmのUVLEDランプ(FE400、フォセンテクノロジー社製)を用いて、窒素ガスの吹き付けをせずに積算露光量が50mJ/cmになるように露光し、更にメタルハライドランプを用いたUV照射機(ECS−4011GX/N、アイグラフィックス社製)を用いて、積算露光量が700mJ/cmになるように照射して硬化させ、厚さ1.5μmの透明層3を形成した。
(実施例6)
実施例4において、透明層形成工程2の操作を5回繰り返して行うことで透明層2を5層積層した透明層6(厚さ;50μm)を形成した以外は、実施例4と同様に各工程を実施して、すなわち、下地層形成工程2、光沢層形成工程1、透明層形成工程2を5回、着色層形成工程1の順に各工程を実施して画像記録物6を作製した。得られた画像記録物6について、実施例1と同様の評価を実施した。
(実施例7)
実施例4において、透明層形成工程2の操作を10回繰り返して行うことで透明層2を10層積層した透明層7(厚さ;100μm)を形成した以外は、実施例4と同様に各工程を実施して、すなわち、下地層形成工程2、光沢層形成工程1、透明層形成工程2を10回、着色層形成工程1の順に各工程を実施して画像記録物7を作製した。得られた画像記録物7について、実施例1と同様の評価を実施した。
(実施例8)
実施例4において、透明層形成工程2の操作を30回繰り返して行うことで透明層2を30層積層した透明層8(厚さ;300μm)を形成した以外は、実施例4と同様に各工程を実施して、すなわち、下地層形成工程2、光沢層形成工程1、透明層形成工程2を30回、着色層形成工程1の順に各工程を実施して画像記録物8を作製した。得られた画像記録物8について、実施例1と同様の評価を実施した。
(実施例9、10)
実施例3における透明層形成工程1を以下の透明層形成工程4又は5に変更した以外は、実施例3と同様に各工程を実施して、すなわち、下地層形成工程2、光沢層形成工程1、透明層形成工程4又は5、着色層形成工程1の順に各工程を実施して画像記録物9、及び10を作製した。得られた画像記録物9、及び10について、実施例1と同様の評価を実施した。
〔透明層形成工程4又は5〕
実施例3の透明層形成工程1において、透明層インク1に代えて透明層インク4又は5を用いて、インクジェット記録装置1により、透明層インク4又は5の液滴を光沢層1上に、720dpiの解像度で吐出して着弾させた。
次いで、光沢層1上に着弾した透明層インク4又は5について、熱風オーブンで120℃、10分間の乾燥を行い、厚さ10μmの透明層4又は5を形成した。
(実施例11〜15)
光沢層形成用の光沢インク及び着色層形成用の着色インクを表1の組み合わせにした以外は、実施例4と同様にして画像記録物11〜15を作製し、実施例1と同様の評価を実施した。実施例15においては、着色層形成用の着色インクの2種類をそれぞれ360dpiの解像度で1ドット分ずらして画像形成した。
(実施例16)
実施例2における下地層形成工程2を以下の下地層形成工程3に変更し、光沢層形成工程1を以下の光沢層形成工程3に変更した以外は、実施例2と同様に各工程を実施して、すなわち、下地層形成工程3、光沢層形成工程3、透明層形成工程2、着色層形成工程1の順に各工程を実施して画像記録物16を作製した。得られた画像記録物16について、実施例1と同様の評価を実施した。
〔下地層形成工程3〕
基材上に下地層インク3をワイヤーバー#34を用いて塗布し、熱風オーブンで120℃、5分間乾燥し、厚さ16μmの下地層3を形成した。
〔光沢層形成工程3〕
下地層3上に光沢インク5をワイヤーバー#4を用いて塗布し、発光中心波長395nmのUVLEDランプ(FE400、フォセンテクノロジー社製)を用いて、窒素ガスを吹き付けながら積算露光量が350mJ/cmになるように露光して厚さ4μmの光沢層5を形成した。
(実施例17)
実施例2における下地層形成工程2を行わず、光沢層形成工程1を以下の光沢層形成工程4に変更した以外は、実施例2と同様に各工程を実施して、すなわち、光沢層形成工程4、透明層形成工程2、着色層形成工程1の順に各工程を実施して画像記録物17を作製した。得られた画像記録物17について、実施例1と同様の評価を実施した。
〔光沢層形成工程4〕
インクジェット記録装置として、ピエゾ型インクジェットヘッド1(コニカミノルタ社製、KM1024iMHE)を有するインクジェット記録装置1を準備した。
インクジェット記録装置1を用いて、インクジェットヘッド1を、液滴量14pl、印字速度0.5m/sec、射出周波数14.2kHz、ヘッド温度80℃で駆動して、光沢インク6の液滴を基材上に、720dpiの解像度で吐出して着弾させた。
次いで、基材に着弾した光沢インク6を、発光中心波長395nmのUVLEDランプ(FE400、フォセンテクノロジー社製)を用いて、窒素ガスを吹き付けながら積算露光量が350mJ/cmのなるように露光して厚さ6μmの光沢層6を形成した。
(実施例18、19)
実施例4において、光沢層の画像解像度をそれぞれ360dpi(射出周波数7.09kHz)及び240dpi(射出周波数4.72kHz)に代えた以外は同様にして、画像記録物18及び19を作製し、実施例1と同様の評価を実施した。
(比較例1)
実施例3において、透明層1を形成せずに、光沢層1上に直接着色層1を形成した以外は同様にして、基材/下地層2/光沢層1/着色層1の構成の画像記録物20を作製し、実施例1と同様の評価を実施した。
(比較例2)
実施例17において、透明層を形成せずに、光沢層6上に直接着色層1を形成した以外は同様にして、基材/光沢層6/着色層1の構成の画像記録物21を作製し、実施例1と同様の評価を実施した。
表Iに、各例において画像記録物の作製に用いた、画像記録物を構成する各層のインク組成物及び形成条件、物性等とともに、画像記録物における評価の結果を示す。表Iには各層の形成条件として、インクジェット法を用いた際の解像度[dpi]を記載した。ただし、実施例16においては、下地層及び光沢層をインクジェット法ではなくバーコート法で形成したため、解像度の欄にその旨記載した。
Figure 2021187089
表Iから本発明の画像形成方法によれば、得られる画像記録物は、高光沢、高発色性及び広い色再現範囲を実現していることがわかる。本発明の画像形成方法においては、画像はドットで構成でき、インクジェット法等に適用できることから、形成の対象となる画像のデザイン自由度が高いといえる。
1 記録媒体(基材)
2 光沢層
3 透明層
4 着色層
5A、5B 画像記録物
6 下地層
100 画像形成装置
10 光沢層形成部
11 光沢層用インクジェット装置
12 光沢層用硬化部
2a 光沢インク組成物(M)の液滴
20 透明層形成部
21 透明層用インクジェット装置
22 透明層用硬化部
3a 透明層インク組成物(T)の液滴
30 着色層形成部
31 着色層用インクジェット装置
32 着色層用硬化部
4a 着色インク組成物(C)の液滴

Claims (14)

  1. 記録媒体上に少なくとも光沢層及び着色層を有する画像を形成する画像形成方法であって、
    前記記録媒体上に、金属粒子を含有する光沢インク組成物を付与して前記光沢層を形成する工程と、
    前記光沢層上に、透明層を形成する工程と、
    前記透明層上に、色材を含有する着色インク組成物を付与して前記着色層を形成する工程と、
    を有することを特徴とする画像形成方法。
  2. 前記光沢層の画像解像度が、300dpi以上であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
  3. 前記光沢層を形成する工程における前記光沢インク組成物の付与が、インクジェット方式で行われることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成方法。
  4. 前記金属粒子が、平均粒子径が10〜100nmの範囲内にある銀ナノ粒子であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の画像形成方法。
  5. 前記透明層の厚さが、1.6μm以上であることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の画像形成方法。
  6. 前記透明層の可視光透過率が、80%以上であることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の画像形成方法。
  7. 記録媒体上に少なくとも光沢層及び着色層を有する画像を形成するための画像形成装置であって、
    前記記録媒体上に、金属粒子を含有する光沢インク組成物を付与して光沢層を形成する光沢層形成部と、
    前記光沢層上に、透明層を形成する透明層形成部と、
    前記透明層上に、色材を含有する着色インク組成物を付与して着色層を形成する着色層形成部と、
    を有することを特徴とする画像形成装置。
  8. 前記光沢層の画像解像度が、300dpi以上であることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
  9. 前記光沢層形成部が、前記光沢インク組成物を付与するためのインクジェット装置を含むことを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の画像形成装置。
  10. 記録媒体上に少なくとも光沢層及び着色層をその順に有する画像記録物であって、
    前記光沢層は金属粒子を含有するドットで構成される層であり、かつ、
    前記光沢層及び前記着色層の間に透明層を備えることを特徴とする画像記録物。
  11. 前記光沢層の画像解像度が、300dpi以上であることを特徴とする請求項10に記載の画像記録物。
  12. 前記金属粒子が、平均粒子径が10〜100nmの範囲内にある銀ナノ粒子であることを特徴とする請求項10又は請求項11に記載の画像記録物。
  13. 前記透明層の厚さが、1.6μm以上であることを特徴とする請求項10から請求項12までのいずれか一項に記載の画像記録物。
  14. 前記透明層の可視光透過率が、80%以上であることを特徴とする請求項10から請求項13までのいずれか一項に記載の画像記録物。
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