JPWO2019022169A1 - 赤外線透過膜形成用組成物、赤外線透過膜の形成方法、表示装置用保護板、及び表示装置 - Google Patents

赤外線透過膜形成用組成物、赤外線透過膜の形成方法、表示装置用保護板、及び表示装置 Download PDF

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Abstract

表示装置用保護板の額縁部に形成された赤外線通信用の開口部内に設けられる赤外線透過膜を形成するための組成物であって、赤外線透過性を維持しつつ、周辺の額縁部の色目との同調が可能な赤外線透過膜を形成可能な赤外線透過膜形成用組成物、並びに、これを用いた赤外線透過膜の形成方法、表示装置用保護板及び表示装置を提供することを目的とする。本発明は、表示装置用保護板の額縁部に形成された赤外線通信用の開口部内に設けられる赤外線透過膜を形成するための組成物であって、上記組成物が、波長400nm以上580nm以下の領域に吸収極大を有する色素A、波長581nm以上700nm以下の領域に吸収極大を有する色素B、及び波長701nm以上800nm以下の領域に吸収極大を有する色素Cを含有する赤外線透過膜形成用組成物である。

Description

本発明は、赤外線透過膜形成用組成物、赤外線透過膜の形成方法、表示装置用保護板、及び表示装置に関する。
近年、光電変換素子は、様々な用途で光センサとして開発されており、特に赤外線を用いた光センサへの利用が検討されている。赤外線は可視光に比べて波長が長いため散乱しにくい利点があることから、距離計測、3次元計測、顔認証などの用途に適用されている。近赤外線を利用した光センサでは、近赤外線の感度をより向上させるために、可視光を遮光し赤外光を透過する赤外線透過フィルターが適用されている(例えば、特許文献1〜3参照)。赤外線透過フィルターは、例えば、可視光を遮蔽するカーボンブラックなどを含む樹脂組成物をガラス基材等に塗布し可視光遮光層を形成することで作成される。
一方、携帯電話機などの表示装置には、最表面に、画面の保護板としての前面板(カバーガラス)を設けた構造を採用することが一般的である(例えば、特許文献4参照)。この前面板には周辺部の配線などを隠すための遮光性の高い材料からなる額縁部(べゼル)が設けられている。さらに、携帯電話機などにおいては、他の携帯電話機との通信や顔認証などを行うための赤外線通信部が備えられたものが広く普及し、この場合、額縁部の一部分に、赤外線通信を行うための開口部が形成されている。
特開2015−68945号公報 韓国公開特許第2014−0147531号公報 特開2012−103340号公報 特開2009−69321号公報
通常、携帯電話などの前面板の額縁部は黒色であり、額縁部に設けられた開口部が目立つと意匠性の面から好ましくない場合がある。そこで、赤外線通信のための開口部に、額縁部と同じ色目の赤外線透過膜を形成することが検討されている。このようにすることで、開口部において赤外線透過性を維持しつつ、周辺の額縁部の色目との同調が可能となる。一方、従来の赤外線透過膜(赤外線透過フィルター)においては、添加されている吸収剤等の存在により赤外領域の透過率も低下してしまうという不都合がある。
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであり、表示装置用保護板の額縁部に形成された赤外線通信用の開口部内に設けられる赤外線透過膜を形成するための組成物であって、赤外線透過性を維持しつつ、周辺の額縁部の色目との同調が可能な赤外線透過膜を形成可能な赤外線透過膜形成用組成物、並びに、これを用いた赤外線透過膜の形成方法、表示装置用保護板及び表示装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するためになされた発明は、表示装置用保護板の額縁部に形成された赤外線通信用の開口部内に設けられる赤外線透過膜を形成するための組成物であって、上記組成物が、波長400nm以上580nm以下の領域に吸収極大を有する色素A、波長581nm以上700nm以下の領域に吸収極大を有する色素B、及び波長701nm以上800nm以下の領域に吸収極大を有する色素Cを含有する赤外線透過膜形成用組成物である。
上記課題を解決するためになされた別の発明は、以下の(1)及び(2)の工程を含む赤外線透過膜の形成方法である。
(1)表示装置用保護板の額縁部に形成された赤外線通信用の開口部内に、当該赤外線透過膜形成用組成物により塗膜を形成する工程
(2)上記塗膜を加熱又は露光する工程
上記課題を解決するためになされたさらに別の発明は、透明基板と、この透明基板の一方の面側に設けられた額縁部とを備え、この額縁部に赤外線通信用の開口部が形成された表示装置用保護板であって、上記開口部内に設けられた赤外線透過膜を有し、上記赤外線透過膜が当該赤外線透過膜形成用組成物から形成されている表示装置用保護板である。
上記課題を解決するためになされたさらに別の発明は、当該表示装置用保護板を有する表示装置である。
本発明によれば、表示装置用保護板の額縁部に形成された赤外線通信用の開口部内に設けられる赤外線透過膜を形成するための組成物であって、赤外線透過性を維持しつつ、周辺の額縁部の色目との同調が可能な赤外線透過膜を形成可能な赤外線透過膜形成用組成物、並びに、これを用いた赤外線透過膜の形成方法、表示装置用保護板及び表示装置を提供することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る表示装置用保護板を示す平面図である。 図2は、図1の表示装置用保護板のA−A’断面図である。 図3は、実施例1で得られた赤外線透過膜の透過率を示す図である。
以下に本発明の一実施形態を詳細に説明する。
<赤外線透過膜形成用組成物>
本発明の一実施形態に係る赤外線透過膜形成用組成物(以下、単に「組成物」ともいう。)は、表示装置用保護板の額縁部に形成された赤外線通信用の開口部内に設けられる赤外線透過膜を形成するための組成物である。当該組成物は、波長400nm以上580nm以下の領域に吸収極大を有する色素A、波長581nm以上700nm以下の領域に吸収極大を有する色素B、及び波長701nm以上800nm以下の領域に吸収極大を有する色素Cを含有する。当該組成物は、バインダー成分をさらに含有することが好ましい。また、当該組成物は、重合開始剤をさらに含有することが好ましい。以下、当該組成物の各成分について詳説する。
<バインダー成分>
バインダー成分は、赤外線透過膜において赤外線透過膜のマトリクスとなり、各色素等を保持する成分である。バインダー成分は、透明樹脂、架橋性モノマー又はこれらの組み合わせからなる。バインダー成分は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
(透明樹脂)
透明樹脂は、得られる赤外線透過膜の効果を損なわないものである限り特に制限されない。透明樹脂としては、例えば、熱安定性および溶剤安定性を確保し、また、表示装置に適用されて100℃以上の加熱製造工程に対して耐性を示すように、ガラス転移温度(Tg)が、好ましくは110℃〜380℃、より好ましくは110℃〜370℃、さらに好ましくは120℃〜360℃である樹脂が挙げられる。
なお、ガラス転移温度(Tg)は、例えばエスアイアイ・ナノテクノロジーズ株式会社製の示差走査熱量計(DSC6200)を用いて、昇温速度:毎分20℃、窒素気流下で測定した値とすることができる。
また、透明樹脂としては、厚さ0.1mmでの全光線透過率(JIS K7105)が、好ましくは75%〜95%であり、より好ましくは78%〜95%であり、さらに好ましくは80%〜95%である樹脂を用いることができる。全光線透過率がこのような範囲であれば、得られる赤外線透過膜としても近赤外線領域に良好な透明性を示す。
上述のような透明樹脂としては、例えば、環状オレフィン系樹脂、芳香族ポリエーテル系樹脂、ポリイミド系樹脂、フルオレンポリカーボネート系樹脂、フルオレンポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド(アラミド)系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリサルホン系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂、ポリパラフェニレン系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリエチレンナフタレート系樹脂、フッ素化芳香族ポリマー系樹脂、(変性)アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、アリルエステル系硬化型樹脂、ポリエステルポリオール系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリイソシアネート系樹脂、ポリアミン系樹脂、ウレタン系樹脂、シルセスキオキサン系紫外線硬化樹脂等を挙げることができる。これらは、1種又は2種以上を混合して用いることができる。
以下、透明樹脂について、特に好ましいものをより詳しく説明する。
(1)環状オレフィン系樹脂
上述の環状オレフィン系樹脂は、単量体として環状オレフィンを含む重合体である。環状オレフィン系樹脂としては、下記式(X)で表される単量体および下記式(Y)で表される単量体からなる群より選ばれる少なくとも1つの単量体から得られる樹脂、または必要に応じてさらにその樹脂を水素添加することで得られる樹脂が好ましい。
Figure 2019022169
上記式(X)中、Rx1〜Rx4は、それぞれ独立に下記(i)〜(viii)より選ばれる原子または基を表す。k、mおよびpは、それぞれ独立に0または正の整数を表す。k、mおよびpの上限は、それぞれ例えば5であってよく、2又は1であってもよい。
(i)水素原子
(ii)ハロゲン原子
(iii)トリアルキルシリル基
(iv)酸素原子、硫黄原子、窒素原子またはケイ素原子を含む連結基を有する、置換または非置換の炭素数1〜30の炭化水素基
(v)置換または非置換の炭素数1〜30の炭化水素基
(vi)極性基(但し(iv)を除く)
(vii)Rx1とRx2またはRx3とRx4とが、相互に結合して形成されたアルキリデン基を表し、該結合に関与しないRx1〜Rx4は、それぞれ独立に上述の(i)〜(vi)より選ばれる原子または基を表す。
(viii)Rx1とRx2またはRx3とRx4とが、相互に結合して形成された単環もしくは多環の炭化水素環または複素環を表し、その結合に関与しないRx1〜Rx4は、それぞれ独立に上述の(i)〜(vi)より選ばれる原子または基を表す。あるいは、Rx2とRx3とが、相互に結合して形成された単環の炭化水素環または複素環を表し、その結合に関与しないRx1〜Rx4は、それぞれ独立に上記(i)〜(vi)より選ばれる原子または基を表す。
Figure 2019022169
上記式(Y)中、Ry1およびRy2は、それぞれ独立に上述の(i)〜(vi)より選ばれる原子または基を表すか、下記(ix)を表す。kおよびpは、それぞれ独立に0または正の整数を表す。kおよびpの上限は、それぞれ例えば5であってよく、2又は1であってもよい。
(ix)Ry1とRy2とが、相互に結合して形成された単環または多環の脂環式炭化水素、芳香族炭化水素または複素環を表す。
(2)芳香族ポリエーテル系樹脂
上述の芳香族ポリエーテル系樹脂は、下記式(1)で表される構造単位および下記式(2)で表される構造単位からなる群より選ばれる少なくとも1つの構造単位を有することが好ましい。
Figure 2019022169
上記式(1)中、R〜Rは、それぞれ独立に炭素数1〜12の1価の有機基を示す。a〜dは、それぞれ独立に0〜4の整数を示す。なお、本明細書において有機基とは、炭素原子を含む基をいい、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、カルボキシ基、シアノ基等が挙げられる。
Figure 2019022169
上記式(2)中、R〜Rおよびa〜dは、それぞれ独立に上記式(1)中のR〜Rおよびa〜dと同義である。Yは単結合、−SO−または>C=Oを示す。RおよびRは、それぞれ独立にハロゲン原子、炭素数1〜12の1価の有機基またはニトロ基を示す。gおよびhは、それぞれ独立に0〜4の整数を示す。mは0または1を示す。但し、mが0のとき、Rはシアノ基ではない。
また、上述の芳香族ポリエーテル系樹脂は、さらに下記式(3)で表される構造単位および下記式(4)で表される構造単位からなる群より選ばれる少なくとも1つの構造単位を有することが好ましい。
Figure 2019022169
上記式(3)中、RおよびRは、それぞれ独立に炭素数1〜12の1価の有機基を示す。Zは、単結合、−O−、−S−、−SO−、>C=O、−CONH−、−COO−または炭素数1〜12の2価の有機基(>C=O、−CONH−及び−COO−を除く)を示す。eおよびfは、それぞれ独立に0〜4の整数を示す。nは0または1を示す。
Figure 2019022169
上記式(4)中、R、R、Y、m、gおよびhは、それぞれ独立に上記式(2)中のR、R、Y、m、gおよびhと同義である。R、R、Z、n、eおよびfは、それぞれ独立に上記式(3)中のR、R、Z、n、eおよびfと同義である。
(3)ポリイミド系樹脂
上述のポリイミド系樹脂としては、特に制限されず、繰り返し単位にイミド結合を含む高分子化合物であればよい。ポリイミド系樹脂は、例えば、特開2006−199945号公報や特開2008−163107号公報に記載されている方法で合成することができる。
(4)フルオレンポリカーボネート系樹脂
上述のフルオレンポリカーボネート系樹脂としては、特に制限されず、フルオレン部位を含むポリカーボネート樹脂であればよい。フルオレンポリカーボネート系樹脂は、例えば、特開2008−163194号公報に記載されている方法で合成することができる。
(5)フルオレンポリエステル系樹脂
上述のフルオレンポリエステル系樹脂としては、特に制限されず、フルオレン部位を含むポリエステル樹脂であればよい。フルオレンポリエステル系樹脂は、例えば、特開2010−285505号公報や特開2011−197450号公報に記載されている方法で合成することができる。
(6)フッ素化芳香族ポリマー系樹脂
上述のフッ素化芳香族ポリマー系樹脂としては、特に制限されないが、少なくとも1つのフッ素を有する芳香族環と、エーテル結合、ケトン結合、スルホン結合、アミド結合、イミド結合およびエステル結合からなる群より選ばれる少なくとも1つの結合を含む繰り返し単位とを含有するポリマーが挙げられる。フッ素化芳香族ポリマー系樹脂は、例えば、特開2008−181121号公報に記載されている方法で合成することができる。
(7)市販品
上記透明樹脂は購入により入手することも可能である。当該組成物の構成に好ましい透明樹脂の市販品としては、以下の市販品等を挙げることができる。環状オレフィン系樹脂の市販品としては、例えば、JSR株式会社製「アートン」、日本ゼオン株式会社製「ゼオノア」、三井化学株式会社製「APEL」、ポリプラスチックス株式会社製「TOPAS」等を挙げることができる。ポリエーテルサルホン系樹脂の市販品としては、例えば、住友化学株式会社製「スミカエクセルPES」等を挙げることができる。ポリイミド系樹脂の市販品としては、例えば、三菱ガス化学株式会社製「ネオプリムL」等を挙げることができる。ポリカーボネート系樹脂の市販品としては、例えば、帝人株式会社製「ピュアエース」等を挙げることができる。フルオレンポリカーボネート系樹脂の市販品としては、例えば、三菱ガス化学株式会社製「ユピゼータEP−5000」等を挙げることができる。フルオレンポリエステル系樹脂の市販品としては、例えば、大阪ガスケミカル株式会社製「OKP4HT」等を挙げることができる。アクリル系樹脂の市販品としては、例えば、株式会社日本触媒製「アクリビュア」、日油株式会社製「マープルーフG−0105SA」、共栄社化学株式会社製「ライトアクリレートDCP−A」等を挙げることができる。ポリエステルポリオール系樹脂の市販品としては、例えば、DIC株式会社製「ポリライトOD−X−2585」等を挙げることができる。ポリエーテル系樹脂の市販品としては、例えば、旭化成株式会社製「T5650J」等を挙げることができる。ポリイソシアネート系樹脂の市販品としては、例えば、DIC株式会社製「バーノックD−750」等を挙げることができる。エポキシ系樹脂の市販品としては、例えば、三菱ケミカル株式会社の「JER−828」を挙げることができる。ウレタン系樹脂の市販品としては、例えば、共栄社化学株式会社製「UA−306H」、DIC株式会社製「バーノックDF−407」等を挙げることができる。シルセスキオキサン系UV硬化樹脂の市販品としては、例えば、新日鐵化学株式会社製「シルプラス」等を挙げることができる。
透明樹脂の分子量としては特に限定されないが、重量平均分子量は例えば1,000以上1,000,000以下であり、2,000以上200,000以下が好ましい。数平均分子量は、例えば1,000以上1,000,000以下であり、10,000以上300,000以下が好ましい。
透明樹脂の分子量は、各樹脂の溶剤への溶解性等を考慮し、下記の(a)または(b)の方法にて測定を行うことができる。
(a)ウオターズ(WATERS)社製のゲルパーミエ−ションクロマトグラフィー(GPC)装置(150C型、カラム:東ソー社製Hタイプカラム、展開溶剤:o−ジクロロベンゼン)を用い、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を測定する。
(b)東ソー社製GPC装置(HLC−8220型、カラム:TSKgelα‐M、展開溶剤:THF)を用い、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を測定する。
透明樹脂がポリイミドの場合、この対数粘度としては、例えば0.5以上2以下とすることができる。尚、ポリイミドの場合、対数粘度は、下記方法(c)による測定値とする。
(c)ポリイミド樹脂溶液の一部を無水メタノールに投入してポリイミド樹脂を析出させ、ろ過して未反応単量体から分離する。80℃で12時間真空乾燥して得られたポリイミド0.1gをN−メチル−2−ピロリドン20mLに溶解し、キャノン−フェンスケ粘度計を使用して30℃における対数粘度(μ)を下記式により求める。
μ={ln(t/t)}/C
:溶媒の流下時間
:希薄高分子溶液の流下時間
C:0.5g/dL
(1分子中に2以上の重合性基を有する化合物)
バインダー成分は、1分子中に2以上の重合性基を有する化合物を含むことが好ましい。このような化合物を用いることで、得られる赤外線透過膜の耐熱性、耐光性等を高めることができる。
なお、バインダー成分は、1分子中に2以上の重合性基を有する化合物と、重合性基を有さない化合物との混合物であってよい。また、1分子中に2以上の重合性基を有する化合物は、透明樹脂及び架橋性モノマーのいずれであってもよい。すなわち、透明樹脂として、1分子中に2以上の重合性基を有する透明樹脂を用いることができる。架橋性モノマーは、1分子中に2以上の重合性基を有する化合物に該当する。なお、以下の具体的化合物の例示のうち、1分子中に2以上の重合性基を有する透明樹脂以外の1分子中に2以上の重合性基を有する化合物を架橋性モノマーとすることができる。架橋性モノマーは、例えば分子量が1,000未満の化合物であってよい。
上記重合性基としては、エポキシ基、脂環エポキシ基、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、水酸基、チオール基、アミノ基、カルボキシル基、酸無水物基、イソシアネート基又はこれらの組み合わせ等を挙げることができる。
1分子中に2以上の重合性基を有する化合物は、重合性基としてラジカル重合性基を有する化合物(ラジカル重合性化合物)、カチオン重合性基を有する化合物(カチオン重合性化合物)、及び、求核付加反応性基を有する化合物(求核付加反応性化合物)を挙げることができる。ラジカル重合性基としては、(メタ)アクリロイル基及びビニル基等が挙げられ、カチオン重合性基としては、エポキシ基、及び脂環エポキシ基等が挙げられ、求核付加反応性基としては、水酸基、チオール基、カルボキシル基、酸無水物基(カルボン酸無水物基等)、エポキシ基、及びイソシアネート基等が挙げられる。なお、エポキシ基は炭素数2以上の環状エーテル基を示し、オキシラニル基及びオキセタニル基のいずれも含む基である。
(ラジカル重合性化合物)
ラジカル重合性化合物は、例えば、光ラジカル発生剤の存在下において紫外線を照射することで発生するラジカルによる重合反応により架橋する化合物である。
ラジカル重合性化合物は、重合性が良好であることから、得られる赤外線透過膜の架橋密度を上げることができる。このため、強度に優れる赤外線透過膜を形成することができる。ラジカル重合性化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
ラジカル重合性化合物としては、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる多官能(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性多官能(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド変性多官能(メタ)アクリレート、水酸基を有する(メタ)アクリレートと多官能イソシアネートとを反応させて得られる多官能ウレタン(メタ)アクリレート、水酸基を有する多官能(メタ)アクリレートと酸無水物とを反応させて得られるカルボキシル基を有する多官能(メタ)アクリレート等が挙げられる。
本明細書において「(メタ)アクリル」とは、アクリル及び/又はメタクリルのことを表す記載である。
ラジカル重合性化合物の具体例としては、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAビス(アクリロイロキシエチル)エーテル、ビスフェノールAジ(メタ)アクリロイルオキシメチルエチルエーテル、ビスフェノールAジ(メタ)アクリロイルオキシエチルオキシエチルエーテル、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エトキシ−プロポキシ変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ変性ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、3−メチルペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルに(メタ)アクリル酸を付加させたエポキシ(メタ)アクリレート等の二官能アクリレート;
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートと酸無水物との反応物、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートと酸無水物との反応物、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレートと酸無水物との反応物、プロポキシ変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロポキシ変性ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、ブトキシ変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ブトキシ変性ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートと酸無水物との反応物、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートと酸無水物との反応物、カプロラクトン変性トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレートと酸無水物との反応物等の三官能以上のアクリレート、エポキシ(メタ)アクリレートと、シュウ酸、マロン酸、コハク酸及び水添フタル酸等のカルボン酸、アルコール性化合物又はフェノール性化合物などとの反応によって得られる化合物、アルキレングリコールジグリシジルエーテル又はポリアルキレングリコールジグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸との反応物が挙げられる。
これらの中でも、赤外線透過膜の強度の点から、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロポキシ変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロポキシ変性ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、ブトキシ変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ブトキシ変性ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、及びカプロラクトン変性トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の三官能以上のアクリレートが好ましい。
ラジカル重合性化合物の含有割合は、当該組成物に含まれるバインダー成分中、1〜60質量%が好ましく、5〜40質量%がより好ましく、より好ましくは10〜25質量%がさらに好ましい。
(カチオン重合性化合物)
カチオン重合性化合物は、例えば、光カチオン発生剤の存在下において紫外線を照射することで発生するカチオンによる反応により架橋する化合物であることが好ましい。カチオン反応性化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
カチオン重合性化合物としては、例えば、メチロール化アミノ基を有する化合物、アルキルエーテル化アミノ基を有する化合物、メチロール基含有芳香族化合物、アルキルエーテル化芳香族化合物等の活性メチレンを有する化合物;オキサゾリン化合物;オキシラン環含有化合物(エポキシ化合物)、オキセタン環含有化合物、環状チオエーテル化合物等の環状エーテル化合物;イソシアネート基含有化合物(ブロック化されたものを含む。);アルデヒド基含有フェノール化合物;ビニルエーテル化合物;ジプロペニルエーテル化合物;が挙げられる。これらの中でも、強度、接着性等に優れる赤外線透過膜を形成できる点から、好ましくは環状エーテル化合物(エポキシ基を有する化合物)、さらに好ましくはオキシラン環含有化合物及びオキセタン環含有化合物である。
オキシラン環含有化合物としては、分子内にオキシラン環(オキシラニル基ともいう)が含有されていればよく、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、テトラフェノール型エポキシ樹脂、フェノール−キシリレン型エポキシ樹脂、ナフトール−キシリレン型エポキシ樹脂、フェノール−ナフトール型エポキシ樹脂、フェノール−ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等が挙げられる。
オキシラン環含有化合物の具体例としては、例えば、レゾルシノールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、エチレン/ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレン/ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、(3’,4’−エポキシシクロヘキサン)メチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート(商品名「セロキサイド2021P」、ダイセル(株)製)が挙げられる。
オキセタン環含有化合物としては、分子内にオキセタン環(オキセタニル基ともいう)が含有されていればよく、具体例としては、例えば、1,4−ビス{[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]メチル}ベンゼン(商品名「OXT−121」、東亜合成(株)製)、3−エチル−3−{[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]メチル}オキセタン(商品名「OXT−221」、東亜合成(株)製)、4,4’−ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]ビフェニル(宇部興産(株)製、商品名「ETERNACOLL OXBP」)、ビス〔(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル−フェニル〕エーテル、ビス〔(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル−フェニル〕プロパン、ビス〔(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル−フェニル〕スルホン、ビス〔(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル−フェニル〕ケトン、ビス〔(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル−フェニル〕ヘキサフルオロプロパン、トリ〔(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル〕ベンゼン、テトラ〔(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル〕ベンゼン、オキセタンオリゴマー(商品名「Oligo−OXT」、東亞合成(株)製)等が挙げられる。
2以上のエポキシ基を有する化合物としては、(メタ)アクリル酸グリシジル、ビニルグリシジルエーテル等のエポキシ基を有する単量体を重合して得られる重合体、及びエポキシ基を有する単量体と他の単量体との共重合体などを用いることもできる。
カチオン重合性化合物の含有割合は、当該組成物に含まれるバインダー成分中、通常、10〜80質量%であり、20〜60質量%が好ましく、30〜50質量%がより好ましい。
(求核付加反応性化合物)
求核付加反応性化合物は、通常、加熱や光照射等に伴い、求核付加反応が生じる化合物である。求核付加反応性化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
求核付加反応性化合物としては、複数の水酸基を有するポリオール、複数のチオール基(−SH)を有するポリチオール、複数のアミノ基を有するポリアミノ樹脂、複数のカルボキシル基を有するポリカルボン酸、一個以上の酸無水物基(カルボン酸無水物基等)を有する化合物、複数のエポキシ基を有するエポキシ樹脂、複数のイソシアネート基を有するポリイソシアネート等が挙げられる。なお、例えば複数のエポキシ基を有する樹脂は、求核付加反応性化合物であって、かつカチオン重合性化合物である。このように、ラジカル重合性化合物、カチオン重合性化合物及び付加反応性化合物のうちの2以上に分類される化合物もある。
求核付加反応性化合物の具体例のうち、複数の水酸基を有するポリオールとしては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリカーボネートポリオール、その他のポリオールのいずれであってもよい。また、これらのポリオールは単独で使用しても複数を混合して使用してもよい。ポリオール化合物として、具体的には、ポリプロピレンエーテルジオール、ポリエチレンエーテルジオール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシプロピレントリオール、ポリオキシブチレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリマーポリオール、ポリ(エチレンアジペート)、ポリ(ジエチレンアジペート)、ポリ(プロピレンアジペート)、ポリ(テトラメチレンアジペート)、ポリ(ヘキサメチレンアジペート)、ポリ(ネオペンチレンアジペート)、ポリ−ε−カプロラクトン、ポリ(ヘキサメチレンカーボネート)、シリコーンポリオール等が挙げられる。また、ヒマシ油などの天然系のポリオール化合物を使用してもよい。これらのポリオール化合物は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
複数のチオール基を有するポリチオールとしては、例えばヘキサン−1,6−ジチオール、デカン−1,10−ジチオール、ジメルカプトジエチルエーテル、ジメルカプトジエチルスルフィド等の脂肪族チオール類、キシリレンジメルカプタン、4,4’−ジメルカプトジフェニルスルフィド、1,4−ベンゼンジチオール等の芳香族チオール類;エチレングリコールビス(メルカプトアセテート)、ポリエチレングリコールビス(メルカプトアセテート)、プロピレングリコールビス(メルカプトアセテート)、グリセリントリス(メルカプトアセテート)、トリメチロールエタントリス(メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパントリス(メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(メルカプトアセテート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(メルカプトアセテート)等の多価アルコールのポリ(メルカプトアセテート)類;エチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、ポリエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、プロピレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、グリセリントリス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールエタントリス(メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)等の多価アルコールのポリ(3−メルカプトプロピオネート)類;1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルタプトブチレート)等のポリ(メルカプトブチレート)類を挙げることができる。
これらの市販品としては、例えばBMPA、MPM、EHMP、NOMP、MBMP、STMP、TMMP、PEMP、DPMP、及びTEMPIC(以上、堺化学工業社製)、カレンズMT−PE1、カレンズMT−BD1及びカレンズ−NR1(以上、昭和電工社製)等を挙げることができる。
複数のカルボキシル基を有するポリカルボン酸として、例えばイタコン酸、マレイン酸、コハク酸、シトラコン酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、シクロペンタンテトラカルボン酸、シクロヘキサントリカルボン酸等の脂肪族多価カルボン酸;フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸等の芳香族多価カルボン酸等が挙げられる。
一個以上の酸無水物基を有する化合物として、例えば無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、グリセロールビスアンヒドロトリメリテートモノアセテート、ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物等の芳香族カルボン酸無水物;無水コハク酸、無水マレイン酸、ドデセニル無水コハク酸、ブタンテトラカルボン酸二無水物等の脂肪族カルボン酸の無水物;テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物(無水メチルナジック酸)、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物(無水ハイミック酸;日立化成(株)の商品名)、水添無水トリメリット酸、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロへキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸二無水物等の脂環式カルボン酸無水物、スチレン−無水マレイン酸共重合体等が挙げられる。
複数のエポキシ基を有するエポキシ樹脂として、例えばフェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、テトラフェノール型エポキシ樹脂、フェノール−キシリレン型エポキシ樹脂、ナフトール−キシリレン型エポキシ樹脂、フェノール−ナフトール型エポキシ樹脂、フェノール−ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、グリシジルメタクリレートとスチレン等二重結合性モノマーとの共重合体が挙げられる。
複数のイソシアネート基を有するポリイソシアネートとしては、例えば芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート又は脂環式ポリイソシアネートが挙げられる。芳香族ポリイソシアネートの具体例としては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、o−キシリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート及び2,4−トリレンジイソシアネートダイマーが挙げられる。脂肪族ポリイソシアネートの具体例としては、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、4,4−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)及びイソホロンジイソシアネートが挙げられる。脂環式ポリイソシアネートの具体例としては、ビシクロヘプタントリイソシアネートが挙げられる。並びに先に挙げられたイソシアネート化合物のアダクト体、ビューレット体及びイソシアヌレート体が挙げられる。
上記ポリイソシアネートのイソシアネート基はブロック剤によりブロック化されたブロック化イソシアネート基でも良い。ブロック化イソシアネート基とは、イソシアネート基がブロック剤との反応により保護されて一時的に不活性化された基である。ブロック化イソシアネート基からは、所定温度に加熱されたときにそのブロック剤が解離してイソシアネート基が生成する。
ブロック化イソシアネート基を有するブロックイソシアネート化合物としては、イソシアネート化合物とイソシアネートブロック剤との付加反応生成物が用いられる。ブロック剤と反応し得るイソシアネート化合物としては、イソシアヌレート型、ビウレット型、アダクト型等が挙げられる。このようなイソシアネート化合物としては、例えば、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート又は脂環式ポリイソシアネートが用いられる。芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネートの具体例としては、先に例示したような化合物が挙げられる。
イソシアネート基のブロック剤としては、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、クロロフェノール及びエチルフェノール等のフェノール系ブロック剤;ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタム及びβ−プロピオラクタム等のラクタム系ブロック剤;アセト酢酸エチル及びアセチルアセトンなどの活性メチレン系ブロック剤;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アミルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ベンジルエーテル、グリコール酸メチル、グリコール酸ブチル、ジアセトンアルコール、乳酸メチル及び乳酸エチル等のアルコール系ブロック剤;ホルムアルデヒドキシム、アセトアルドキシム、アセトキシム、メチルエチルケトキシム、ジアセチルモノオキシム、シクロヘキサンオキシム等のオキシム系ブロック剤;ブチルメルカプタン、ヘキシルメルカプタン、t−ブチルメルカプタン、チオフェノール、メチルチオフェノール、エチルチオフェノール等のメルカプタン系ブロック剤;酢酸アミド、ベンズアミド等の酸アミド系ブロック剤;コハク酸イミド及びマレイン酸イミド等のイミド系ブロック剤;キシリジン、アニリン、ブチルアミン、ジブチルアミン等のアミン系ブロック剤;イミダゾール、2−エチルイミダゾール等のイミダゾール系ブロック剤;メチレンイミン及びプロピレンイミン等のイミン系ブロック剤等が挙げられる。
ブロックイソシアネート化合物は市販のものであってもよく、例えば、スミジュールBL−3175、BL−4165、BL−1100、BL−1265、デスモジュールTPLS−2957、TPLS−2062、TPLS−2078、TPLS−2117、デスモサーム2170、デスモサーム2265(以上、住友バイエルウレタン社製、商品名)、コロネート2512、コロネート2513、コロネート2520(以上、日本ポリウレタン工業社製、商品名)、B−830、B−815、B−846、B−870、B−874、B−882(以上、三井武田ケミカル社製、商品名)、TPA−B80E、17B−60PX、E402−B80T(以上、旭化成ケミカルズ社製、商品名)等が挙げられる。なお、スミジュールBL−3175、BL−4265はブロック剤としてメチルエチルオキシムを用いて得られるものである。
1分子中に複数のイソシアネート基又はブロック化イソシアネート基を有する化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
求核付加反応性化合物の含有割合は、当該組成物に含まれるバインダー成分中、通常、1〜100質量%であり、好ましくは50〜100質量%、より好ましくは80〜100質量%である。
当該組成物に含まれるバインダー成分に占める1分子中に2以上の重合性基を有する化合物の含有割合の下限としては、1質量%が好ましく、5質量%がより好ましく、10質量%がさらに好ましく、20質量%がよりさらに好ましく、30質量%、50質量%及び80質量%がよりさらに好ましい場合もある。一方、この含有割合の上限としては、100質量%であってよく、80質量%、60質量%、50質量%、40質量%及び25質量%が好ましい場合もある。
当該組成物の固形分中のバインダー成分の含有割合の下限としては、例えば50質量%であり、70質量%が好ましく、80質量%がより好ましく、90質量%がさらに好ましい場合もある。一方、このバインダー成分の含有割合の上限としては、99質量%が好ましく、97質量%がより好ましく、95質量%がさらに好ましい。なお、固形分とは、当該組成物における溶媒以外の全成分をいう。
<色素>
次に、以下に示す3種の色素について説明する。本発明における色素とは、可視光の吸収または放出により、色を与える物質であり、無機化合物及び有機化合物のいずれも含む概念であり、染料や顔料のいずれも含むものである。
当該組成物は、波長400nm以上580nm以下の領域に吸収極大を有する色素A、波長581nm以上700nm以下の領域に吸収極大を有する色素B及び波長701nm以上800nm以下の領域に吸収極大を有する色素Cを含有する。当該組成物によれば、このような3種の色素を含むことで、得られる赤外線透過膜が、可視領域(波長400〜700nm)の遮蔽を連続的に達成することが可能となり、波長400〜700nmにおける透過率浮きを抑制することでノイズが少ない優れたセンシングを行うことができる。また、当該組成物によれば、このような3種の色素を用いることで、赤外線透過性を維持しつつ、周辺の額縁部の色目との同調が可能な赤外線透過膜を形成することができる。
(色素A)
波長400nm以上580nm以下の領域に吸収極大を有する色素Aについて、以下に説明する。
色素Aとしては、キサンテン系化合物、トリアリールメタン系化合物、シアニン系化合物、アントラキノン系化合物、テトラアザポルフィリン系化合物、クマリン系化合物、インジゴ系化合物等が挙げられ、これらは染料であっても顔料であってもよい。色素Aは、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
このような色素Aのうち、特に耐熱性、吸収特性、溶解性の観点からシアニン系化合物、クマリン系化合物、アントラキノン系化合物、及びテトラアザポルフィリン系化合物が好ましく、シアニン系化合物及びクマリン系化合物が特に好ましい。
シアニン系化合物は、2個の複素環の間を複数個のメチン基で共役二重結合させた構造を分子内に有する化合物である。色素Aとしてのシアニン系化合物の構造としては波長400nm以上580nm以下の領域に吸収極大を有していれば特に限定されないが、例えば、下記式(C1)及び(C2)で示される化合物を挙げることができる。
Figure 2019022169
式(C1)中、Zは、それぞれ独立に炭素数1から12のアルキル基又はフェニル基を示す。Zは、炭素数1から12のアルキル基、フェニル基又はナフチル基を示し、フェニル基又はナフチル基の一つ以上の水素原子が、ハロゲン又は炭素数1から12のアルキル基で置換されてもよい。Dは、酸素原子、硫黄原子、−CR−又は−NR−基を示す(Rは炭素数1から12のアルキル基を示す)。
式(C2)中、Z及びZは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1から12のアルキル基又はフェニル基を示す。Dはそれぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、−CR−又は−NR−基を示す(Rは炭素数1から12のアルキル基を示す)。Xは、対アニオンを示す。
で表される対アニオンとしては、ハロゲン化物イオン、ClO 、OH、有機カルボン酸アニオン、有機スルホン酸アニオン、ルイス酸アニオン、有機金属錯体アニオン、色素由来アニオン、有機スルホニルイミド酸アニオン、有機スルホニルメチド酸アニオン等が挙げられる。
ハロゲン化物イオンとしては、Cl、Br、I等が挙げられる。
有機カルボン酸アニオンとしては、安息香酸イオン、アルカン酸イオン、トリハロアルカン酸イオン、ニコチン酸イオン等が挙げられる。
有機スルホン酸アニオンとしては、ベンゼンスルホン酸イオン、ナフタレンスルホン酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン、アルカンスルホン酸イオン等が挙げられる。
ルイス酸アニオンとしては、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素アニオン等が挙げられる。
このような式(C1)又は式(C2)で表される化合物の具体例としては、例えば、下記式で示される(C1−1)、(C1−2)、(C1−3)、(C2−1)、(C2−2)及び(C2−3)の化合物を挙げることができる。(C1−1)化合物の極大吸収(λmax)は466nm、(C1−2)化合物の極大吸収(λmax)は472nm、(C1−3)化合物の極大吸収(λmax)は475nm、(C2−1)の化合物の極大吸収(λmax)は549nm、(C2−2)の化合物の極大吸収(λmax)は556nm、(C2−3)の化合物の極大吸収(λmax)は551nmである。
Figure 2019022169
色素Aとしてのクマリン系化合物の構造としては波長400nm以上580nm以下の領域に吸収極大を有していれば特に限定されないが、例えば、下記式(C3−1)、(C3−2)、及び(C3−3)のような化合物を挙げることができる。(C3−1)化合物の極大吸収(λmax)は423nm、(C3−2)化合物の極大吸収(λmax)は479nm、(C3−3)化合物の極大吸収(λmax)は451nmである。
Figure 2019022169
色素Aの吸収極大の下限は、420nmが好ましいことがあり、440nmがより好ましいこともある。一方、色素Aの吸収極大の上限は、560nmが好ましいことがある。色素Aとしては、極大吸収の波長差が例えば40nm以上120nm以下の2種の色素を組み合わせて用いることができる。また、色素Aとしては、波長400nm以上500nm以下の領域に吸収極大を有する色素と、波長500nm超580nm以下の領域に吸収極大を有する色素とを組み合わせて用いることができる。
当該組成物において、色素Aの含有割合は、バインダー成分100質量部に対して、通常、0.1〜20質量部、好ましくは0.5〜10質量部、より好ましくは1〜5質量部である。このような範囲で色素Aを使用することで、可視光領域の透過率が低く、近赤外光領域の透過率が高い赤外線透過膜を形成することができる。
(色素B)
次いで、波長581nm以上700nm以下の領域に吸収極大を有する色素Bについて説明する。
色素Bとしては、例えば、スクアリリウム系化合物、トリアリールメタン系化合物、シアニン系化合物、フタロシアニン系化合物、テトラアザポルフィリン系化合物等が挙げられ、これらは染料であっても顔料であってもよい。色素Bは、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。色素Bとしては、特に耐熱性、吸収特性、溶解性等の観点からトリアリールメタン系化合物、シアニン系化合物及びフタロシアニン系化合物が好ましく、トリアリールメタン系化合物及びシアニン系化合物が特に好ましい。
トリアリールメタン系化合物の構造としては波長581nm以上700nm以下の領域に吸収極大を有していれば特に限定されないが、例えば、下記式(C4)で示される化合物を挙げることができる。
Figure 2019022169
式(C4)中、Zは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1から12のアルキル基、又はフェニル基を示す。環Tは、置換基を有してもよい炭素数3から10の芳香族基又は複素環基を示す。Xは対アニオンを示す。
で表される対アニオンの具体例としては、ハロゲン化物イオン、過塩素酸イオン、水酸化物イオン、有機カルボン酸アニオン、有機スルホン酸アニオン、ルイス酸アニオン、有機金属錯体アニオン、色素由来アニオン、有機スルホニルイミド酸アニオン、有機スルホニルメチド酸アニオン等が挙げられる。
このような式(C4)で表される化合物の具体例としては、例えば、下記式で示される(C4−1)、(C4−2)及び(C4−3)の化合物を挙げることができる。(C4−1)の化合物の極大吸収(λmax)は604nm、(C4−2)の化合物の極大吸収(λmax)は605nm、(C4−3)の化合物の極大吸収(λmax)は608nmである。
Figure 2019022169
色素Bとしてのシアニン系化合物の構造としては波長581nm以上700nm以下の領域に吸収極大を有していれば特に限定されないが、例えば、下記式(C5)で示される化合物を挙げることができる。
Figure 2019022169
式(C5)中、Z及びZ、D、Xは、式(C2)のものと同義である。Y及びYは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1から12のアルキル基を示し、相互に結合して炭素数5乃至6となる環を形成してもよい。Yは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1から12のアルキル基、フェニル基又はアミノ基を示し、上記フェニル基およびアミノ基は任意の数の水素原子が炭素数1から12のアルキル基もしくはフェニル基で置換されていてもよい。
このような式(C5)で表される化合物の具体例としては、例えば、下記式で示される(C5−1)、(C5−2)、(C5−3)の化合物を挙げることができる。(C5−1)の化合物の極大吸収(λmax)は644nm、(C5−2)の化合物の極大吸収(λmax)は645nm、(C5−3)の化合物の極大吸収(λmax)は653nmである。
Figure 2019022169
色素Bの吸収極大の下限は、600nmが好ましいことがある。色素Bの吸収極大の上限は、680nmが好ましいことがあり、660nmがより好ましいことがある。
当該組成物において、色素Bの含有割合は、バインダー成分100質量部に対して、通常、0.1〜20質量部、好ましくは0.5〜10質量部、より好ましくは1〜5質量部である。このような範囲で色素Bを使用することで、可視光領域の透過率が低く、近赤外光領域の透過率が高い赤外線透過膜を形成することができる。
(色素C)
次いで、波長701nm以上800nm以下の領域に吸収極大を有する色素Cについて説明する。
色素Cとしては、例えば、スクアリリウム系化合物、シアニン系化合物、フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、ペリレン系化合物、クロコニウム系化合物等が挙げられ、これらは染料であっても顔料であってもよい。色素Cは、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。色素Cとしては、特に吸収特性等の観点からスクアリリウム系化合物、フタロシアニン系化合物及びナフタロシアニン系化合物が好ましく、スクアリリウム系化合物及びフタロシアニン系化合物が特に好ましい。
色素Cとしてのスクアリリウム系化合物としては、波長701nm以上800nm以下の領域に吸収極大を有すれば特に限定されないが、例えば、下記式(C6)で示される化合物を挙げることができる。
Figure 2019022169
式(C6)中、Xは、それぞれ独立して、1以上の水素原子が炭素数1から12のアルキル基またはアルコキシル基で置換されてもよいメチレン基、若しくは炭素数2から12のアルキレン基を示す。Z、Z及びZは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1から12のアルキル基又はフェニル基を示す。Zは、炭素数1から12のアルキル基、炭素数1から12のフッ素化アルキル基又はフェニル基を示す。
このような式(C6)で表される化合物の具体例としては、例えば、下記式で示される(C6−1)、(C6−2)及び(C6−3)の化合物である。(C6−1)の化合物の極大吸収(λmax)は712nm、(C6−2)の化合物の極大吸収(λmax)は704nm、(C6−3)の化合物の極大吸収(λmax)は709nmである。
Figure 2019022169
色素Cとしてのフタロシアニン系化合物としては、波長701nm以上800nm以下の領域に吸収極大を有すれば特に限定されないが、例えば、下記式(C7)で示される化合物を挙げることができる。
Figure 2019022169
式(C7)中、Z10は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1から12のアルキル基、又はフェニル基を示す。Mは、無金属(2つの水素原子が結合した形)、金属、又は金属酸化物を示す。金属としては、Zn、Mg、Si、Sn、Rh、Pt、Pd、Mo、Mn、Pb、Cu、Ni、Co、Fe等が挙げられ、金属酸化物としては、VO、TiO等があげられる。
このような式(C7)で表される化合物の具体例としては、例えば、下記式で示される(C7−1)、(C7−2)、(C7−3)の化合物を挙げることができる。(C7−1)の化合物の極大吸収(λmax)は738nm、(C7−2)の化合物の極大吸収(λmax)は703nm、(C7−3)の化合物の極大吸収(λmax)は725nmである。
Figure 2019022169
色素Cの吸収極大の上限は、780nmが好ましいことがあり、760nmがより好ましいこともある。色素Cとしては、極大吸収の波長差が例えば10nm以上60nm以下の2種の色素を組み合わせて用いることができる。
当該組成物において、色素Cの含有割合は、バインダー成分100質量部に対して、通常、0.1〜20質量部、好ましくは0.5〜10質量部、より好ましくは1〜5質量部である。このような範囲で色素Cを使用することで、可視光領域の透過率が低く、近赤外光領域の透過率が高い赤外線透過膜を形成することができる。
上記色素Aと色素Bの吸収極大波長の差が40nm以上200nm以下であり、かつ上記色素Bと色素Cの吸収極大波長の差が80nm以上200nm以下であることが好ましい。上記色素Aと色素Bの吸収極大波長の差の下限としては、60nmがより好ましく、80nmがさらに好ましく、100nmがよりさらに好ましい。一方、上記色素Aと色素Bの吸収極大波長の差の上限としては、180nmがより好ましい。また、上記色素Bと色素Cの吸収極大波長の差の下限としては、90nmがより好ましく、この上限としては、180nmがより好ましく、160nmがさらに好ましい。このような範囲で色素A、色素B及び色素Cを使用することで、色素を必要以上に用いることなく可視領域を連続的に高いレベルで遮光でき、近赤外領域の透過率を向上させることができる。
なお、色素A、色素B及び色素Cのそれぞれにおいて、吸収最大波長が異なる2種類以上を使用した場合、色素Aと色素Bの吸収極大波長の差、及び色素Bと色素Cの吸収極大波長の差については、複数有る色素の組み合わせのうちの少なくとも一つが上記条件を満たせばよい。
当該組成物においては、上記3種の色素A〜C以外の1又は複数の他の色素を含んでもよいし、含んでいなくてもよい。上記他の色素の含有割合の上限としては、上記色素A〜Cの合計100質量部に対して、10質量部が好ましく、1質量部がより好ましく、0.1質量部がさらに好ましい。当該組成物に含まれる色素が、実質的に上記色素A〜Cのみから構成される場合、形成される赤外線透過膜の赤外線透過性をより良好にし、かつ周辺の額縁部の色目との同調がより効果的に生じる。
<重合開始剤>
重合開始剤としては、光重合開始剤及び熱重合開始剤が挙げられる。光重合開始剤としては、光ラジカル発生剤、または光カチオン発生剤といった感光剤が挙げられる。熱重合開始剤としては、熱ラジカル発生剤、熱カチオン発生剤、ウレタン化触媒、その他の熱硬化触媒等を挙げることができる。
(光ラジカル発生剤)
光ラジカル発生剤は、光の照射によりラジカルを発生し、ラジカル重合性化合物のラジカル重合を開始させる化合物である。光ラジカル発生剤の極大吸収波長は、1段階目の露光を紫外線露光で行う点から、150nm〜380nmであることが好ましい。光ラジカル発生剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
光ラジカル発生剤としては、特開2008−276194号公報、特開2003−241372号公報、特表2009−519991号公報、特表2009−531730号公報、国際公開第2010/001691号、国際公開第2010/146883号、特開2011−132215号公報、特表2008−506749号公報、特表2009−519904号公報等に記載の化合物が挙げられる。
光ラジカル発生剤としては、例えば、ビイミダゾール化合物、アシルホスフィンオキサイド化合物、フェノン化合物、オキシム化合物、ベンゾイン化合物、ベンゾフェノン化合物、チオキサントン化合物が挙げられる。
ビイミダゾール化合物としては、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−メチルフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ジフェニル−4,5,4’,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール等が挙げられる。
アシルホスフィンオキサイド化合物としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、フェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィン=オキシド等が挙げられる。
フェノン化合物としては、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−2−メチルプロパン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニル−ケトン、1−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル−フェニル−ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン、2−(2−メチルベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン、2−(3−メチルベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン、2−(4−メチルベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン、2−(2−エチルベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン、2−(2−プロピルベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン、2−(2−ブチルベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン等が挙げられる。
オキシム化合物としては、N−ベンゾイルオキシ−1−(4−フェニルスルファニルフェニル)ブタン−1−オン−2−イミン、N−エトキシカルボニルオキシ−1−フェニルプロパン−1−オン−2−イミン、N−ベンゾイルオキシ−1−(4−フェニルスルファニルフェニル)オクタン−1−オン−2−イミン、N−アセトキシ−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタン−1−イミン、N−アセトキシ−1−[9−エチル−6−{2−メチル−4−(3,3−ジメチル−2,4−ジオキサシクロペンタニルメチルオキシ)ベンゾイル}−9H−カルバゾール−3−イル]エタン−1−イミン、1,2−オクタンジオン,1−〔4−(フェニルチオ)フェニル〕−,2−(O−ベンゾイルオキシム)、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)、エタノン,1−〔9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロフラニルメトキシベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−,1−(O−アセチルオキシム)、エタノン,1−〔9−エチル−6−{2−メチル−4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラニル)メトキシベンゾイル}−9H−カルバゾール−3−イル〕−,1−(O−アセチルオキシム)、5−p−トルエンスルフォニルオキシイミノ−5H−チオフェン−2−イリデン)−(2−メチルフェニル)アセトニトリル等が挙げられる。
ベンゾイン化合物しては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等が挙げられる。
ベンゾフェノン化合物としては、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−テトラ(tert−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン等が挙げられる。
チオキサントン化合物としては、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等が挙げられる。
これらの中でも、5−p−トルエンスルフォニルオキシイミノ−5H−チオフェン−2−イリデン)−(2−メチルフェニル)アセトニトリル、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニル−ケトン、1−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル−フェニル−ケトン等のフェノン化合物が好ましい。
当該組成物における光ラジカル発生剤の含有割合は、バインダー成分100質量部に対し、通常、0.1〜40質量部、好ましくは0.5〜30質量部であり、より好ましくは1〜20質量部である。光ラジカル発生剤の含有割合が上記範囲内であると十分な強度を有する赤外線透過膜を形成することができる。
(光カチオン発生剤)
光カチオン発生剤は、光の照射によりカチオンを発生し、該カチオンによる反応により、カチオン反応性化合物の架橋を開始させる化合物である。
光カチオン発生剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
光カチオン発生剤としては、例えば、オニウム塩化合物、ハロゲン含有化合物、スルホン化合物、スルホン酸化合物、スルホンイミド化合物、ジアゾメタン化合物が挙げられる。
オニウム塩化合物としては、例えば、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、ピリジニウム塩が挙げられる。好ましいオニウム塩の具体例としては、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムp−トルエンスルホネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムp−トルエンスルホネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−t−ブチルフェニル・ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−t−ブチルフェニル・ジフェニルスルホニウムp−トルエンスルホネート、4,7−ジ−n−ブトキシナフチルテトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、4,7−ジ−n−ブトキシナフチルテトラヒドロチオフェニウムノナフルオロブタンスルホネート、4−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート、4−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスファートが挙げられる。
ハロゲン含有化合物としては、例えば、ハロアルキル基含有炭化水素化合物、ハロアルキル基含有複素環式化合物が挙げられる。好ましいハロゲン含有化合物の具体例としては、1,10−ジブロモ−n−デカン;1,1−ビス(4−クロロフェニル)−2,2,2−トリクロロエタン;フェニル−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−メトキシフェニル−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、スチリル−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、ナフチル−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス−(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン等のs−トリアジン誘導体が挙げられる。
スルホン化合物としては、例えば、β−ケトスルホン化合物、β−スルホニルスルホン化合物及びこれらの化合物のα−ジアゾ化合物が挙げられる。好ましいスルホン化合物の具体例としては、4−トリスフェナシルスルホン、メシチルフェナシルスルホン、ビス(フェナシルスルホニル)メタンが挙げられる。
スルホン酸化合物としては、例えば、アルキルスルホン酸エステル類、ハロアルキルスルホン酸エステル類、アリールスルホン酸エステル類、イミノスルホネート類が挙げられる。好ましいスルホン酸化合物の具体例としては、ベンゾイントシレート、ピロガロールトリストリフルオロメタンスルホネート、o−ニトロベンジルトリフルオロメタンスルホネート、o−ニトロベンジルp−トルエンスルホネートが挙げられる。
スルホンイミド化合物としては、例えば、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)−1,8−ナフタレンジカルボイミド)が挙げられる。
ジアゾメタン化合物としては、例えば、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタンが挙げられる。
これらの中でも、十分な強度を有する観点から、スルホンイミド化合物、オニウム塩化合物が好ましい。
当該組成物において、光カチオン発生剤の含有割合は、バインダー成分100質量部に対して、通常、0.1〜40質量部、好ましくは0.5〜30質量部、より好ましくは1〜20質量部である。この範囲にあると十分な強度を有する赤外線透過膜を形成することができる。
(熱硬化触媒)
バインダー成分として、求核付加反応性化合物であるエポキシ基を有する化合物を使用する場合、重合開始剤としての熱硬化触媒を併用することが好ましい。そのような熱硬化触媒としては、例えば、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール誘導体;ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4−(ジメチルアミノ)−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メトキシ−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メチル−N,N−ジメチルベンジルアミン等のアミン化合物、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド等のヒドラジン化合物;トリフェニルホスフィン等のリン化合物等が挙げられる。また、市販されているものとしては、例えば四国化成工業社製の2MZ−A、2MZ−OK、2PHZ、2P4BHZ、2P4MHZ(いずれもイミダゾール系化合物の商品名)、サンアプロ社製のU−CAT(登録商標)3503N、U−CAT3502T(いずれもジメチルアミンのブロックイソシアネート化合物の商品名)、DBU、DBN、U−CATSA102、U−CAT5002(いずれも二環式アミジン化合物及びその塩)等が挙げられる。特に、これらに限られるものではなく、エポキシ樹脂やオキセタン化合物の熱硬化触媒、もしくはエポキシ基及び/又はオキセタニル基とカルボキシル基の反応を促進するものであればよく、単独で又は2種以上を混合して使用してもかまわない。また、グアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、メラミン、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン、2−ビニル−2,4−ジアミノ−S−トリアジン、2−ビニル−4,6−ジアミノ−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物等のS−トリアジン誘導体を用いることもでき、好ましくはこれら密着性付与剤としても機能する化合物を上記熱硬化触媒と併用する。
当該組成物において、熱硬化触媒の含有割合は、バインダー成分100質量部に対して、通常、0.01〜10質量部、好ましくは0.05〜3質量部である。この範囲にあると十分な強度を有する赤外線透過膜を形成することができる。
(ウレタン化触媒)
バインダー成分として、求核付加反応性化合物であるイソシアネート基を有する化合物を使用する場合、重合開始剤としてのウレタン化触媒を加えることができる。ウレタン化触媒としては錫系触媒、金属塩化物、金属アセチルアセトネート塩、金属硫酸塩、アミン化合物及びアミン塩よりなる群から選択される1種以上のウレタン化触媒を使用することが好ましい。
錫系触媒としては、例えばスタナスオクトエート、ジブチルスズ=ジラウラートなどの有機錫化合物、無機錫化合物等が挙げられる。
金属塩化物としては、Cr、Mn、Co、Ni、Fe、Cu又はAlからなる金属の塩化物で、例えば、塩化第二コバルト、塩化第一ニッケル、塩化第二鉄等が挙げられる。
金属アセチルアセトネート塩としては、Cr、Mn、Co、Ni、Fe、Cu又はAlからなる金属のアセチルアセトネート塩であり、例えば、コバルトアセチルアセトネート、ニッケルアセチルアセトネート、鉄アセチルアセトネート等が挙げられる。
金属硫酸塩としては、Cr、Mn、Co、Ni、Fe、Cu又はAlからなる金属の硫酸塩で、例えば、硫酸銅等が挙げられる。
アミン化合物としては、例えば、従来公知のトリエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,6−ヘキサンジアミン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン、N−メチルモルフォリン、N−エチルモルフォリン、N,N−ジメチルエタノールアミン、ジモルフォリノジエチルエーテル、N−メチルイミダゾール、ジメチルアミノピリジン、トリアジン、N’−(2−ヒドロキシエチル)−N,N,N’−トリメチル−ビス(2−アミノエチル)エーテル、N,N−ジメチルヘキサノールアミン、N,N−ジメチルアミノエトキシエタノール、N,N,N’−トリメチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)−N,N’,N”,N”−テトラメチルジエチレントリアミン、N−(2−ヒドロキシプロピル)−N,N’,N”,N”−テトラメチルジエチレントリアミン、N,N,N’−トリメチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)プロパンジアミン、N−メチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、ビス(N,N−ジメチルアミノプロピル)アミン、ビス(N,N−ジメチルアミノプロピル)イソプロパノールアミン、2−アミノキヌクリジン、3−アミノキヌクリジン、4−アミノキヌクリジン、2−キヌクリジオール、3−キヌクリジノール、4−キヌクリジノール、1−(2’−ヒドロキシプロピル)イミダゾール、1−(2’−ヒドロキシプロピル)−2−メチルイミダゾール、1−(2’−ヒドロキシエチル)イミダゾール、1−(2’−ヒドロキシエチル)−2−メチルイミダゾール、1−(2’−ヒドロキシプロピル)−2−メチルイミダゾール、1−(3’−アミノプロピル)イミダゾール、1−(3’−アミノプロピル)−2−メチルイミダゾール、1−(3’−ヒドロキシプロピル)イミダゾール、1−(3’−ヒドロキシプロピル)−2−メチルイミダゾール、N,N−ジメチルアミノプロピル−N’−(2−ヒドロキシエチル)アミン、N,N−ジメチルアミノプロピル−N’,N’−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミン、N,N−ジメチルアミノプロピル−N’,N’−ビス(2−ヒドロキシプロピル)アミン、N,N−ジメチルアミノエチル−N’,N’−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミン、N,N−ジメチルアミノエチル−N’,N’−ビス(2−ヒドロキシプロピル)アミン、メラミン及び/又はベンゾグアナミン等が挙げられる。
アミン塩としては、例えば、DBU(1,8−ジアザ−ビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7)の有機酸塩系のアミン塩等が挙げられる。
これらウレタン化触媒の含有割合は、通常の量的割合で充分であり、例えばイソシアネート基を有する化合物100質量部に対して、好ましくは0.01〜20質量部、より好ましくは0.05〜10質量部である。
当該組成物における重合開始剤の含有割合の下限としては、バインダー成分100質量部に対して0.01質量部が好ましく、0.05質量部がより好ましく、0.1質量部がさらに好ましく、0.5質量部又は1質量部がよりさらに好ましいこともある。一方、この含有割合の上限としては、40質量部が好ましく、30質量部がより好ましく、20質量部がさらに好ましく、10質量部がよりさらに好ましく、3質量部がよりさらに好ましい。
<溶媒>
当該組成物は、通常、溶媒を含有する。当該組成物に用いる溶媒としては、色素、バインダー成分等を、安定に分散できる分散媒または溶解できる溶媒であれば、特に限定されない。なお、本明細書において「溶媒」の用語は、分散媒を含む概念で用いられる。溶媒としては、例えば、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、エチルセロソルブ、メチルセロソルブ等のアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチレンエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族、またはn−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、テトラフルオロプロピルアルコール、ペンタフルオロプロピルアルコール等のフッ素系溶剤、テトラヒドロフラン、水等が挙げられる。これらの溶媒は1種を単独で、または2種以上を混合して使用できる。
溶媒の量は、バインダー成分100質量部に対して、10〜5,000質量部が好ましく、30〜2,000質量部がより好ましい。
また、当該組成物の固形分濃度は、1〜90質量%が好ましく、3〜30質量%がより好ましく、5〜15質量%がさらに好ましい。
当該組成物の粘度は、25℃で1〜2000mPa・secの範囲であることが好ましく、5〜500mPa・secの範囲であることがより好ましく、10〜100mPa・secの範囲、特には20〜50mPa・secの範囲であることがさらに好ましい。粘度がこの範囲にあることで、塗布性と組成物の保存安定性を高いレベルで両立できる。赤外線透過膜を額縁部(ベゼル)として用いる場合は、10Pa・sec以上の高粘度である場合が好適に用いられる。
当該組成物は、上述したバインダー成分、色素、重合開始剤及び溶媒以外の任意成分を含有することができる。任意成分としては、例えば、色調補正色素、レベリング剤、帯電防止剤、熱安定剤、光安定剤、酸化防止剤、シランカップリング剤、分散剤、難燃剤、滑剤、可塑剤、透明ナノ粒子、界面活性剤等が挙げられる。上記任意成分はいずれも1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系化合物、リン系化合物、硫黄系化合物、アミン系化合物等が挙げられる。これらの中でも、赤外光透過性の観点からヒンダードフェノール系化合物が好ましい。ヒンダードフェノール系化合物は、フェノール性水酸基に対して2位及び6位の両方に置換基を有する化合物である。置換基としては、メチル基またはt−ブチル基が好ましい。ヒンダードフェノール系化合物は、モノフェノール類、ビスフェノール類、ポリフェノール類のいずれであってもよい。
光安定剤としては、例えば、ヒンダードアミン系化合物を使用できる。ヒンダードアミン系化合物としては、2,2’,6,6’−テトラアルキルピぺリジン誘導体が好ましい。窒素原子上の置換基としては、水素原子、アルキル基、アルコキシ基が好ましい。また、2位及び6位の置換基がアルキル基またはフェニル基が好ましい。
また、屈折率を調整したり、赤外線透過膜の硬度を上げたりする目的で、赤外波長域で透明な無機酸化物材料のナノ粒子を含んでもよい。このような材料としては、Al、SiO、GeO、Y、La、CeO、TiO、ZrO、Nb、Ta等が挙げられる。
基材等との密着性を向上させるためシランカップリング剤を含有してもよい。シランカップリング剤は、他の構成部材との密着性を高める効果を有する。シランカップリング剤としては、例えば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−(メタクリロプロピル)トリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−アミノエチル−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルファン、ビニルトリメトキシシラン等が挙げられる。
当該組成物には、界面活性剤も含有できる。界面活性剤を含有させることにより、外観、特に、微小な泡によるボイド、異物等の付着による凹み、乾燥工程でのはじきを改善できる。界面活性剤は、特に限定されず、カチオン系、アニオン系、ノニオン系等の公知のものを任意に使用できる。
当該組成物の固形分に占めるにおける他の成分(バインダー成分、色素及び重合開始剤以外の成分)の含有割合の上限としては、10質量%が好ましいことがあり、1質量%がより好ましいことがあり、0.1質量%がさらにこのましいこともある。他の成分の含有割合を低くすることで、赤外線透過性をより高めることなどができる。
<赤外線透過膜>
当該組成物から、赤外線透過膜を形成することができる。当該赤外線透過膜は、表示装置用保護板の額縁部(ベゼル)に形成された赤外線通信用の開口部内に設けられる。表示装置用保護板は、スマートフォン等の表示装置の画面を保護するためのカバーであり、画面の表面上に設けられる。この保護板は、前面板等とも称される。但し、表示装置用保護板は、表示装置の「前面」に設けられるものに限定されるものではない。この保護板は、透明基板と、この透明基板の一方の表面の周縁部に配設される額縁部を有する。額縁部(ベゼル)は、ディスプレイなど表示装置の周縁部を保護し、配線等を隠す役割もある部材である。表示装置用保護板については、後に詳述する。
本発明の赤外線透過膜形成用樹脂組成物は、額縁部に形成されている開口部(穴部)の穴埋め材料として使用できる。また、当該組成物を用い、表示装置の透明基板(カバーガラス)の周縁部に直接塗布膜を形成し、赤外線透過膜を額縁部(ベゼル)としてすることもできる。赤外線透過膜と額縁部(べゼル)とを当該赤外線透過膜形成用組成物を用いて一括形成することも可能である。
当該赤外線透過膜は、パターニングされていない平膜であってよく、パターニングされた膜(パターン)であってもよい。
当該組成物を用いて形成された赤外線透過膜において、可視光に相当する波長400〜700nmにおける最大透過率が低い程センシングノイズとなる可視光の低減効果に優れていると言うことができる。また、額縁部とより同調した赤外線透過膜となる。赤外線透過膜を形成した際の波長400〜700nmにおける最大透過率は、好ましくは10%以下、さらに好ましくは7%以下、特に好ましくは5%以下である。また、形成された赤外線透過膜について、波長801〜1100nmの近赤外領域においては、連続した100nm以上の波長領域にて透過率が85%以上となる近赤外透過帯を有することが好ましい。近赤外透過帯における最大透過率は好ましくは87%以上、特に好ましくは90%以上である。さらに、波長701〜800nmの比較的短波長側の近赤外領域においては透過率が10%以下となる光線遮蔽領域を有することが好ましく、上記光線遮蔽領域は連続した15nm以上の波長領域であることが特に好ましい。このような特性の赤外線透過膜を有する場合、赤外線通信用途で用いた際のノイズを抑制した上で感度よくセンシングを行うことができる。
<赤外線透過膜の形成方法>
本発明の一実施形態に係る赤外線透過膜の形成方法は、以下の(1)及び(2)の工程を含む。
(1)表示装置用保護板の額縁部に形成された赤外線通信用の開口部内に、当該赤外線透過膜形成用組成物により塗膜を形成する工程
(2)上記塗膜を加熱又は露光する工程
[工程(1)]
工程(1)では、当該赤外線透過膜形成用組成物を表示装置用保護板の額縁部に形成された赤外線通信用の開口部内に塗布し、好ましくはプレベークを行うことにより溶媒を除去することで塗膜を形成する。通常、上記額縁部は、透明基板上に形成される。このため、上記透明基板表面に、当該組成物を塗布し、塗膜を形成することとなる。工程(1)で使用する透明基板としては、例えばガラス基板、シリコンウエハー、プラスチック基板、及びこれらの表面に各種金属が形成された基板が挙げられる。プラスチック基板としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリイミド等のプラスチックを主成分とする基板などが挙げられる。
当該赤外線透過膜形成用組成物の塗布方法としては、例えばスプレー法、ロールコート法、回転塗布法(スピンコート法)、スリットダイ塗布法、バー塗布法、スクリーン印刷法、インクジェット法等の適宜の方法を採用することができる。これらの塗布方法の中でも、スピンコート法、スクリーン印刷法、及びインクジェット法が好ましい。プレベークの条件としては、当該赤外線透過膜形成用組成物の含有成分の種類、含有割合等によっても異なるが、例えば60℃以上100℃以下で30秒間以上10分間以下程度とすることができる。上記塗膜の膜厚は、プレベーク後の下限として、1μmが好ましい。また、この上限としては、30μmが好ましく、20μmがより好ましく、10μmがさらに好ましい。
[(2)工程]
工程(2)を露光で行う場合、例えば、工程(1)で形成した塗膜に所定のパターンを有するマスクを介して放射線を照射する。このときの放射線としては、例えば紫外線、遠紫外線、X線、荷電粒子線等が挙げられる。なお、塗膜の表面全面を露光してもよい。
紫外線としては、例えばg線(波長436nm)、i線(波長365nm)等が挙げられる。遠紫外線としては、例えばKrFエキシマレーザー等が挙げられる。X線としては、例えばシンクロトロン放射線等が挙げられる。荷電粒子線としては、例えば電子線等を挙げることができる。これらの放射線のうち、紫外線が好ましく、紫外線の中でもg線及び/又はi線を含む放射線が特に好ましい。露光量としては、例えば100J/m以上10,000J/m以下が好ましい。
工程(2)を加熱で行う場合、工程(1)で形成した塗膜に対してホットプレート、オーブン等の加熱装置を用いて、この塗膜を加熱・焼成処理(ポストベーク処理)することによって塗膜の硬化を行う。焼成温度の下限としては、120℃が好ましい。一方、この上限としては、200℃が好ましく、180℃がより好ましく、150℃がさらに好ましい。焼成時間としては、加熱機器の種類により異なるが、例えばホットプレート上で加熱処理を行う場合には5分以上40分以下、オーブン中で加熱処理を行う場合には30分以上80分以下とすることができる。特に好ましくは、ホットプレート上で加熱処理を行う場合には30分以下、オーブン中で加熱処理を行う場合には60分以下である。
なお、上記工程(2)を露光で行う場合、露光後に、上記加熱を行うことができる。また、必要に応じて加熱前に現像を行って、放射線の照射部分を除去し、所望のパターンを形成することができる。現像処理に用いられる現像液としては、アルカリ水溶液(アルカリ現像液)を用いることができる。アルカリとしては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジエチルアミノエタノール、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ〔5,4,0〕−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ〔4,3,0〕−5−ノナン等が挙げられる。
また、現像液としては、上記アルカリ水溶液にメタノール、エタノール等の水溶性有機溶媒や界面活性剤を適当量添加した水溶液、又は当該赤外線透過膜形成用組成物を溶解する各種有機溶媒を少量含むものを使用することができる。また、現像液として、有機溶媒を用いてもよい。さらに、現像方法としては、例えば液盛り法、ディッピング法、揺動浸漬法、シャワー法等の方法を利用することができる。
<表示装置用保護板>
図1及び図2の表示装置用保護板は、透明基板100と、この透明基板100の一方の表面の周縁部に配設される額縁部110とを備えている。この額縁部110には、赤外線通信用の開口部130が形成されている。この開口部130内には、赤外線透過膜120が設けられている。すなわち、赤外線を透過する窓部分の開口部130が形成されている透明基板100の表面に、赤外線透過膜120が積層されている。
表示装置用保護板は、スマートフォン等の表示装置の画面の表面上に設けられるものである。すなわち、表示装置用保護板は、表示装置の画面を保護するカバーである。
(透明基板)
透明基板100は、透明な材料から形成される基板である。透明基板100としては、例えばガラス基板、シリコンウエハー、プラスチック基板、これらの表面に各種金属が形成された基板等が挙げられる。プラスチック基板としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリイミド等のプラスチックを主成分とする基板などが挙げられる。透明基板100としては、これらの中で、ガラス基板が好ましい。
透明基板100の平均厚みとしては、例えば0.1mm以上1.5mm以下である。
(額縁部)
額縁部110は、透明基板100の一方の表面の周縁部に配設される。額縁部110は、周縁部の配線を隠すといった役割があり、通常、黒色であることが多い。
黒色の額縁部110は、通常、黒色の色素と樹脂とを含む。黒色の色素としては、黒鉛等が挙げられる。また、額縁部110の樹脂としては、例えばアクリル樹脂、シクロオレフィン樹脂、ポリイミド、ポリエーテル、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂等を挙げることができる。額縁部110は、例えば樹脂及び黒鉛を含有する樹脂組成物を透明基板100の表面に塗工し、加熱を行うことにより形成することができる。また、感光性の樹脂組成物を塗工し、露光及び加熱を経て形成してもよい。その他、別途作成した額縁部110を透明基板100の表面に積層してもよい。
(開口部)
開口部130は、額縁部110に形成されている貫通孔である。開口部130は、赤外線通信用に設けられている。
開口部130は、当該表示装置用保護板を表示装置に配置したときに、表示装置の赤外線通信部と対向する位置に設けられる。開口部130の開口部の形状としては、例えば円形状、楕円形状、矩形状等が挙げられる。開口部130の大きさとして、形状が楕円形状及び円形状の場合の長径、及び形状が矩形状の場合の縦又は横の長さとしては、1mm以上10mm以下が好ましく、1mm以上5mm以下がより好ましく、2mm以上4mm以下がさらに好ましい。
(赤外線透過膜)
赤外線透過膜120は、透明基板100の表面上の開口部130が形成された領域に設けられる。赤外線透過膜120は、開口部130の領域を充填するように形成される。すなわち、赤外線透過膜120は、透明基板100の表面における開口部130が設けられた領域を被覆している。
赤外線透過膜120は、上述した本発明の一実施形態に係る赤外線透過膜形成用組成物から形成されている。また、赤外線透過膜120は、上述した本発明の一実施形態に係る赤外線透過膜の形成方法により好適に形成することができる。
赤外線透過膜120の平均厚さの下限としては、1μmが好ましく、3μmがより好ましく、5μmがさらに好ましい。一方、この平均厚さの上限としては、1,000μmが好ましく、100μmがより好ましく、30μmがさらに好ましい。赤外線透過膜120の平均厚さを上記範囲とすることで、赤外線透過性と可視光吸収性とをより良好な状態で両立させることができる。
当該表示装置用保護板は、当該赤外線透過膜形成用組成物から形成された赤外線透過膜120を備え、この赤外線透過膜120が良好な赤外線透過性を有する。また、赤外線透過膜120は、可視光の透過性が低く、黒色の額縁部110の色目と同調が可能である。従って、当該表示装置用保護板は、意匠性にも優れる。
当該表示装置用保護板は、赤外線透過膜上に積層される被覆層をさらに有することが好ましい。この被覆層は、例えば図1及び図2における赤外線透過膜120の上面(透明基板100とは反対側の面)に積層される。被覆層としては、反射防止層、酸素遮蔽層、紫外線吸収層等を挙げることができる。また、当該表示装置用保護板は、例えば図1及び図2における透明基板100と赤外線透過膜120との間に、中間層を有していてもよい。この中間層としては、紫外線吸収層等を挙げることができる。
(反射防止層を有する保護板)
本発明の一実施形態に係る表示装置用保護板は、図1、2の表示装置用保護板において、赤外線透過膜120の透明基板100とは反対の面側(上面側)に形成された反射防止層をさらに有する構造のものである。この反射防止層は、近赤外領域において光線反射を抑制する層である。この反射防止層は、無機系反射防止層または有機バインダー含有組成物により形成された有機系反射防止層が選択される。
無機系反射防止層は、例えば、複数種の金属酸化物の多層膜である。このような無機系反射防止層は真空蒸着法やイオンアシスト蒸着法、スパッタ法等により形成される。無機系反射防止層を形成するための蒸着に用いる蒸着材としては、高屈折率材料と低屈折率材料とをそれぞれを適切な膜厚で積層したときに反射防止性を示すものであれば特に限定されないが、特に優れた反射防止性を示すものとして、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタニウム、酸化タンタル、酸化ニオブといった金属酸化物、フッ化マグネシウムなどの金属フッ化物、硫化亜鉛などの金属硫化物、およびこれらの混合物を用いることが好ましい。
無機系反射防止層は、通常、真空蒸着法(イオンアシスト法を含む)、スパッタリング法、イオンプレーティング法、アーク放電法などの乾式メッキ法(PVD法)を使用して形成される。反射防止層のうちの1層又は複数層を、イオンアシストを行って蒸着(成膜)してもよい。赤外線透過膜上に特定蒸着膜を形成する場合、180℃未満に加熱された真空容器内に入れ、Oガス又は空気(air)を適宜導入しながら、5.0×10−1〜5.0×10−3Paの圧力に調節した状態で加熱を行い、さらにイオン銃を用いて、Oガス、Arガス、又はO/Ar混合ガスでイオンアシストを行いながら成膜を行うことが好ましい。
赤外線透過膜上に特定蒸着膜を形成する場合、その真空蒸着室内の、加熱温度は25〜180℃(望ましくは50〜120℃)とすることが好ましい。25℃以上とすることで成膜された膜の密度を高め、十分な膜耐久性を得ることができる。一方、180℃以下とすることで、下地層の劣化を抑制することができる。
有機系反射防止層に用いる樹脂としては、適切な膜厚で積層したときに近赤外領域において反射防止性を示すものであれば特に限定されないが、特に優れた反射防止性を示すものとして、フッ素樹脂を用いることが好ましい。その様なフッ素樹脂としては、少なくとも1個の重合性の不飽和二重結合と、少なくとも1個のフッ素原子を有する化合物を挙げることができ、その具体例としては、例えば(1)テトラフロロエチレン、ヘキサフロロプロピレン、3,3,3−トリフロロプロピレン、クロロトリフロロエチレンなどのフロロオレフィン類;(2)アルキルパーフロロビニルエーテル類もしくはアルコキシアルキルパーフロロビニルエーテル類;(3)パーフロロ(メチルビニルエーテル)、パーフロロ(エチルビニルエーテル)、パーフロロ(プロピルビニルエーテル)、パーフロロ(ブチルビニルエーテル)、パーフロロ(イソブチルビニルエーテル)などのパーフロロ(アルキルビニルエーテル)類;(4)パーフロロ(プロポキシプロピルビニルエーテル)などのパーフロロ(アルコキシアルキルビニルエーテル)類;(5)トリフロロエチル(メタ)アクリレート、テトラフロロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフロロペンチル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフロロデシル(メタ)アクリレートなどのフッ素含有(メタ)アクリレート類;その他を挙げることができる。これらの化合物は、単独で、または2種以上を併用することができる。具体的な商品としては、反射防止膜形成用塗料としてJSR社から上市されているオプスターTU2205などを挙げることができる。
優れた反射防止効果を得るために、反射防止層が粒子を含有する有機膜であることが好ましい。上記粒子は中空粒子であることが好ましい。すなわち、反射防止層を形成する樹脂等のマトリックス成分に、低屈折材料であるポリシロキサン、中空シリカ、フッ化マグネシウム、フッ素樹脂などの粒子(好適には、中空粒子)を均一に混合させることができる。
反射防止層の厚さは、特に限定されるものではなく、通常80〜1,000nm程度であるが、使用される用途によって適宜調整することが望ましい。例えば、反射率・色相が重視される用途では80〜100nmに調整されることが一般的であり、色相よりも反射率が重視される用途では90〜120nmに調整されることが一般的である。また、近赤外線領域の透過率が特に重視される用途では150〜1,000nmに調整されてもよい。
反射防止層には、その効果を阻害しない範囲において、その他の成分として、電離放射線硬化型樹脂、有機粒子、無機粒子、レベリング剤、消泡剤、滑剤、紫外線吸収剤、光安定剤、重合禁止剤、湿潤分散剤、レオロジーコントロール剤、酸化防止剤、防汚剤、帯電防止剤、導電剤などを必要に応じて含有してもよい。
有機系反射防止層の形成材料の具体例としては、フッ素系樹脂、金属酸化物粒子、中空シリカ粒子、光硬化性モノマー、光開始剤等を含む光硬化系材料を用いることが好ましい。このような、有機系反射防止層を形成する材料としては、例えば、荒川化学工業製オプスターTU2361等を挙げることが出来る。
(酸素遮蔽層を有する保護板)
本発明の一実施形態に係る表示装置用保護板は、図1、2の表示装置用保護板において、赤外線透過膜120の透明基板100とは反対の面側(上面側)に形成され酸素遮蔽層をさらに有する構造のものである。酸素遮蔽層は無機物でも有機物でも良い。
無機系酸素遮蔽層の場合、真空蒸着法やイオンアシスト蒸着法、スパッタ法等により形成され、無機系酸素遮蔽層形成に用いられるターゲット材としては、ガスバリア性を示すものであれば特に限定されないが、特に優れた酸素遮蔽性を示すものとして、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタニウム、酸化タンタル、酸化ニオブといった金属酸化物、フッ化マグネシウムなどの金属フッ化物、硫化亜鉛などの金属硫化物、窒化ケイ素およびこれらの混合物を用いることが好ましい。
有機系酸素遮蔽層の場合、有機モノマーの真空蒸着や、有機系組成物の印刷等のコーティング手法により形成することが出来る。真空蒸着用の有機モノマーとしては、例えば、蒸着重合用の多官能アミンと多官能イソシアネートモノマーを挙げることが出来る。また、コーティング用材料としては、例えば、三菱ガス化学製マクシーブ等を挙げることが出来る。
酸素遮蔽層の厚さは特に限定されないが、例えば10〜1,000nmであることが好ましい。
(紫外線吸収層を有する保護板)
本発明の一実施形態に係る表示装置用保護板は、図1、2の表示装置用保護板において、赤外線透過膜120の少なくとも一方の面側に形成され紫外線吸収層をさらに有する構造のものである。すなわち、紫外線吸収層は、図1及び図2の表示装置用保護板において、赤外線透過膜120の表面側(図2における上側)に形成されていてもよく、赤外線透過膜120の裏面側(図2における下側)に形成されていてもよい。
紫外線吸収層としては、紫外線を吸収する材料であれば良く、有機系材料の場合、組成中に紫外線吸収剤や樹脂側鎖型紫外線吸収ポリマーを含有していることが好ましい。例えば、日本触媒製ハルスハイブリッド(登録商標)ハルスハイブリッドUV−G13を挙げることができる。
紫外線吸収層の厚さは特に限定されないが、例えば10nm〜100μmであることが好ましい。
<表示装置>
本発明の一実施形態に係る表示装置は、当該表示装置用保護板を備える表示装置である。当該表示装置に備えられた保護板においては、赤外線通信用の開口部に設けられた赤外線透過膜が、赤外線透過性が高く、かつ可視光透過性が低い。このため、赤外線通信用の開口部が目立たず、意匠性(外観)に優れる。
当該表示装置は、表示装置本体と、表示装置用保護板とを有する。表示装置本体は、液晶表示装置や、フラットパネルディスプレイ等の表示機能を有する公知のものが採用される。また、表示パネル用保護板は、表示装置本体の表示画面を覆うように、最表面に設けられる。
当該表示装置は、赤外線通信部を備えることが好ましい。赤外線通信部は、表示装置用保護板における赤外線通信用の開口部と対向する位置に設けられる。
当該表示装置としては、具体的にはスマートフォンを含む携帯電話機、携帯情報端末、タブレット、パーソナルコンピュータ及びそのモニタ、テレビ、携帯ゲーム機等を挙げることができる。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。尚、記載中の「部」は、特に断りのない限り「質量部」を意味する。また、各物性値の測定方法は以下のとおりである。また、合成した樹脂の数平均分子量、重量平均分子量、ガラス転移温度及び対数粘度は、上述した実施の形態中に記載の方法により測定した。
<樹脂合成例1>
下記式(a)で表される8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(以下「DNM」ともいう。)100部、1−ヘキセン(分子量調節剤)18部およびトルエン(開環重合反応用溶媒)300部を、窒素置換した反応容器に仕込み、この溶液を80℃に加熱した。次いで、反応容器内の溶液に、重合触媒として、トリエチルアルミニウムのトルエン溶液(0.6mol/リットル)0.2部と、メタノール変性の六塩化タングステンのトルエン溶液(濃度0.025mol/リットル)0.9部とを添加し、この溶液を80℃で3時間加熱攪拌することにより開環重合反応させて開環重合体溶液を得た。この重合反応における重合転化率は97%であった。
Figure 2019022169
このようにして得られた開環重合体溶液1000部をオートクレーブに仕込み、この開環重合体溶液に、RuHCl(CO)[P(Cを0.12部添加し、水素ガス圧100kg/cm、反応温度165℃の条件下で、3時間加熱撹拌して水素添加反応を行った。
得られた反応溶液(水素添加重合体溶液)を冷却した後、水素ガスを放圧した。この反応溶液を大量のメタノール中に注いで凝固物を分離回収し、これを乾燥して、水素添加重合体(以下、「樹脂A」ともいう。)を得た。得られた樹脂Aは、数平均分子量(Mn)が32000、重量平均分子量(Mw)が137000であり、ガラス転移温度(Tg)が165℃であった。
<樹脂合成例2>
3Lの4つ口フラスコに2,6−ジフルオロベンゾニトリル35.12g(0.253mol)、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン87.60g(0.250mol)、炭酸カリウム41.46g(0.300mol)、N,N−ジメチルアセトアミド(以下、「DMAc」ともいう。)443gおよびトルエン111gを添加した。続いて、4つ口フラスコに温度計、撹拌機、窒素導入管付き三方コック、ディーンスターク管および冷却管を取り付けた。
次いで、フラスコ内を窒素置換した後、得られた溶液を140℃で3時間反応させ、生成する水をディーンスターク管から随時取り除いた。水の生成が認められなくなったところで、徐々に温度を160℃まで上昇させ、そのままの温度で6時間反応させた。
室温(25℃)まで冷却後、生成した塩をろ紙で除去し、ろ液をメタノールに投じて再沈殿させ、ろ別によりろ物(残渣)を単離した。得られたろ物を60℃で一晩真空乾燥し、白色粉末(以下、「樹脂B」ともいう。)を得た(収率95%)。得られた樹脂Bは、数平均分子量(Mn)が75000、重量平均分子量(Mw)が188000であり、ガラス転移温度(Tg)が285℃であった。
<樹脂合成例3>
温度計、撹拌器、窒素導入管、側管付き滴下ロート、ディーンスターク管および冷却管を備えた500mLの5つ口フラスコに、窒素気流下、1,4−ビス(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン27.66g(0.08モル)および4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル7.38g(0.02モル)を入れて、γ―ブチロラクトン68.65gおよびN,N−ジメチルアセトアミド17.16gに溶解させた。得られた溶液を、氷水バスを用いて5℃に冷却し、同温に保ちながら1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物22.62g(0.1モル)およびイミド化触媒としてトリエチルアミン0.50g(0.005モル)を一括添加した。添加終了後、180℃に昇温し、随時留出液を留去させながら、6時間還流させた。反応終了後、内温が100℃になるまで空冷した後、N,N−ジメチルアセトアミド143.6gを加えて希釈し、攪拌しながら冷却し、固形分濃度20重量%のポリイミド樹脂溶液264.16gを得た。このポリイミド樹脂溶液の一部を1Lのメタノール中に注ぎいれてポリイミドを沈殿させた。濾別したポリイミドをメタノールで洗浄した後、100℃の真空乾燥機中で24時間乾燥させて白色粉末(以下、「樹脂C」ともいう。)を得た。得られた樹脂CのIRスペクトルを測定したところ、イミド基に特有の1704cm−1、1770cm−1の吸収が見られた。樹脂Cはガラス転移温度(Tg)が310℃であり、対数粘度を測定したところ、0.87であった。
<樹脂合成例4>
9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン9.167kg(20.90モル)、ビスフェノールA 4.585kg(20.084モル)、ジフェニルカーボネート9.000kg(42.01モル)、および炭酸水素ナトリウム0.02066kg(2.459×10−4モル)を、攪拌機および留出装置を備えた50L反応器に入れ、窒素雰囲気で760Torrの下、1時間かけて215℃に加熱・攪拌した。その後、15分かけて減圧度を150Torrに調整し、215℃、150Torrの条件下で20分間保持し、エステル交換反応を行った。さらに37.5℃/Hrの速度で240℃まで昇温し、240℃、150Torrで10分間保持した。その後、10分かけて100Torrに調整し、240℃、120Torrで70分間保持した。その後、10分かけて100Torrに調整し、240℃、100Torrで10分間保持した。更に40分かけて1Torr以下とし、240℃、1Torr以下の条件下で10分間攪拌して重合反応を行った。反応終了後、反応器内に窒素を導入し加圧にし、生成したポリカーボネート樹脂(以下、「樹脂D」ともいう。)をペレット化しながら抜き出した。得られた樹脂Dは、重量平均分子量が41,000であり、ガラス転移温度(Tg)が152℃であった。
<樹脂合成例5>
反応器に、9,9−ビス{4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジメチルフェニル}フルオレン0.8モル、エチレングリコール2.2モルおよびイソフタル酸ジメチル1.0モルを加え、攪拌しながら徐々に加熱溶融してエステル交換反応を行った後、酸化ゲルマニウム20×10−4モルを加え、290℃、1Torr以下に到達するまで徐々に昇温および減圧を行いながらエチレングリコールを除去した。この後、内容物を反応器から取り出し、ポリエステル樹脂(以下、「樹脂E」ともいう。)のペレットを得た。得られた樹脂Eは、数平均分子量が40000であり、ガラス転移温度が145℃であった。
<樹脂合成例6>
温度計、冷却管、ガス導入管及び攪拌機を備えた反応器に、4,4’−ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゾイル)ジフェニルエーテル(BPDE)16.74部、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(HF)10.5部、炭酸カリウム4.34部およびDMAc90部を仕込んだ。この混合物を80℃に加温し、8時間反応させた。反応終了後、反応溶液をブレンダーで激しく攪拌しながら、1%酢酸水溶液中に添加した。析出した反応物を濾別し、蒸留水及びメタノールで洗浄した後、減圧乾燥して、フッ素化ポリエーテルケトン(以下、「樹脂F」ともいう。)を得た。得られた樹脂Fは、数平均分子量が71000であり、ガラス転移温度(Tg)が242℃であった。
<樹脂合成例7>
冷却管及び攪拌機を備えたフラスコに、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)7質量部及び3−メトキシプロピオン酸メチル200質量部を仕込んだ。引き続き、メタクリル酸グリシジル30質量部、スチレン70質量部を仕込んで窒素置換した後、ゆるやかに撹拌を始めた。溶液の温度を70℃に上昇させ、この温度を5時間保持することによって共重合体を含む重合体溶液を得た(以下、「樹脂G」ともいう。)。得られた樹脂Gは、数平均分子量が3500であった。
[実施例1]
(組成物の調製)
容器に、バインダー成分として合成例1で得られた樹脂A100質量部を酢酸エチルに溶解させ、樹脂濃度が8質量%の樹脂溶液を得た。次いで、得られた樹脂溶液に色素Aとして(C1−1)2.2質量部及び(C2−1)1.1質量部、色素Bとして(C4−1)2.1質量部、色素Cとして(C6−1)1.4質量部及び色素C(C7−1)1.5質量部を加え、さらにテトラヒドロフラン加えて溶解させた。これにより、固形分濃度8.8質量%で、粘度26mPa・sec(25℃)の赤外線透過膜形成用組成物(S−1)を得た。
(赤外線透過膜の形成)
赤外線透過膜形成用組成物(S−1)を平滑なガラス基板上に塗布し、23℃で8時間乾燥した後、塗膜をさらに減圧下50℃で3時間乾燥して、厚さ10μmの赤外線透過膜を得た。
[実施例2]〜[実施例14]、[比較例1]〜[比較例4]、
表1〜2に示す種類及び量のバインダー成分及び色素を採用したこと以外は、実施例1と同様にして、赤外線透過膜形成用組成物を調製し、赤外線透過膜を形成した。なお、1分子中に2以上の重合性基を有する化合物と感光剤を含む組成物(実施例10〜12)の場合は、乾燥後、露光機(キヤノン社の「MPA−600FA」:超高圧水銀ランプを使用)を用い、マスクを介さず塗膜の全面露光を行い、赤外線透過膜とした。また、1分子中に2以上の重合性基を有する化合物と熱重合開始剤を含む組成物(実施例13〜14)の場合は、乾燥後、150℃30分の条件で加熱を行い、赤外線透過膜とした。
実施例及び比較例で使用したバインダー成分、色素、及び重合開始剤は以下に示す化合物である。
(バインダー成分)
A〜G:上述した樹脂合成例1〜7で得られた樹脂A〜G(透明樹脂)
CS−1:日本化薬社の「KAYARAD DPHA」(ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとの混合物)
CS−2:東亜合成社の「アロンオキセタン OXT−191」(オキセタン基を2個以上有する樹脂)
CS−3:新中村化学工業株式会社のトリシクロデカンジメタノールジアクリレート
CS−4:三菱ケミカル株式会社の「JER−828」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂)
CS−5:DIC株式会社の「ポリライトOD−X−2585」(ポリオール)
CS−6:DIC株式会社の「バーノックD−750」(ポリイソシアネート)
CS−7:三菱ガス化学株式会社の「トリメリット酸無水物」
色素Aとして、以下の化合物を使用した。
Figure 2019022169
C1−1:上記式(C1−1)で表される化合物(最大吸収波長466nm)
C1−2:上記式(C1−2)で表される化合物(最大吸収波長472nm)
C1−3:上記式(C1−3)で表される化合物(最大吸収波長475nm)
C2−1:上記式(C2−1)で表される化合物(最大吸収波長549nm)
C2−3:上記式(C2−3)で表される化合物(最大吸収波長551nm)
C3−2:上記式(C3−2)で表される化合物(最大吸収波長479nm)
色素Bとして、以下の化合物を使用した。
Figure 2019022169
C4−1:上記式(C4−1)で表される化合物(最大吸収波長604nm)
C4−2:上記式(C4−2)で表される化合物(最大吸収波長605nm)
C5−1:上記式(C5−1)で表される化合物(最大吸収波長644nm)
色素Cとして、以下の化合物を使用した。
Figure 2019022169
C6−1:上記式(C6−1)で表される化合物(最大吸収波長712nm)
C6−2:上記式(C6−2)で表される化合物(最大吸収波長704nm)
C6−3:上記式(C6−3)で表される化合物(最大吸収波長709nm)
C7−1:上記式(C7−1)で表される化合物(最大吸収波長738nm)
C7−3:上記式(C7−3)で表される化合物(最大吸収波長725nm)
重合開始剤として、以下の化合物を使用した。
CT−1:ラジカル性重合開始剤
BASF社の「IRGACURE 819」(フェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィン=オキシド)
CT−2:カチオン性重合開始剤
みどり化学社の「NAI−105」(N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)−1,8−ナフタレンジカルボイミド)
CT−3:ラジカル性重合開始剤
BASF社の「IRGACURE PAG121」(5−p−トルエンスルフォニルオキシイミノ−5H−チオフェン−2−イリデン)−(2−メチルフェニル)アセトニトリル)
CT−4:エポキシ−酸無水物硬化触媒(熱重合開始剤)
四国化成工業社の「2E4MZ」(2−エチル−4−メチルイミダゾール)
CT−5:ウレタン化反応触媒(熱重合開始剤)
共同薬品株式会社の「ジブチルスズ=ジラウラート」
[実施例15]ガラス基板、赤外線透過膜及び反射防止層D−1の積層体の作製
実施例14と同じ赤外線透過膜上に、蒸着温度100℃で、近赤外線の反射を防止する誘電体多層膜(多層体の総厚として250nm)を反射防止層D−1として形成した。この反射防止層D−1は、シリカ(SiO:膜厚240nm)層とチタニア(TiO:膜厚10nm)層とが積層されてなる、積層数2の積層体とした。これにより、ガラス基板、赤外線透過膜及び反射防止層D−1がこの順に積層された積層体を得た。
誘電体多層膜の設計は、以下のようにして行った。
各層の厚さと層数については、近赤外域の反射防止性能を達成できるよう基材屈折率の波長依存特性や、赤外線透過膜の吸収特性に合わせて光学薄膜設計ソフト(Essential Macleod、Thin Film Center社製)を用いて最適化を行った。
[実施例16]ガラス基板、赤外線透過膜及びと反射防止層D−2の積層体の作製
実施例14と同じ赤外線透過膜上に有機系反射防止層(反射防止層D−2)として塗布型低屈折率層を形成した。これにより、ガラス基板、赤外線透過膜及び反射防止層D−2がこの順に積層された積層体を得た。
上記塗布型低屈折率層はオプスターTU2361(商品名、荒川化学工業株式会社製、屈折率:1.33、固形分量10%)を用いて、薄膜を形成することにより得た。具体的には、塗布型低屈折率層は、以下の要領で形成した。オプスターTU2361を、固形分濃度が4%となるように希釈して低屈折率層用硬化性組成物を得た。なお、希釈溶剤には、MIBK(メチルイソブチルケトン)/t−ブタノール/PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)=40/25/35(質量比)を使用した。赤外線透過膜上に、調製した低屈折率層用硬化性組成物を3ミルのバーコーターを用いて硬化膜厚が230nmとなるように塗工後、80℃のオーブンで1分間乾燥し、窒素フロー下で高圧水銀灯(600mJ/cm)を用いて硬化させることにより反射防止層D−2を形成した。
[実施例17]ガラス基板、赤外線透過膜及び酸素遮蔽層D−3の積層体の作製
実施例14と同じ赤外線透過膜上に蒸着温度100℃で酸素を遮蔽する無機蒸着膜〔アルミナ(Al:膜厚100nm)を酸素遮蔽層D−3として形成した。これにより、ガラス基板、赤外線透過膜及び酸素遮蔽層D−3がこの順に積層された積層体を得た。
[実施例18]ガラス基板、赤外線透過膜及び酸素遮蔽層D−4の積層体の作製
実施例14と同じ赤外線透過膜上に塗布型酸素遮蔽層を酸素遮蔽層D−4として形成した。具体的には、まず、三菱ガス化学製マクシーブM−100/C−93を5:16の比率で混合した混合物をイソプロピルアルコールに希釈し、固形分20%とした組成物を調製した。赤外線透過膜上に、調製した上記組成物を3ミルのバーコーターを用いて硬化膜厚が500nmとなるように塗工した。その後、80℃のオーブンで1分間乾燥し、100℃のオーブンで30分間硬化させることにより酸素遮蔽層D−4を得た。これにより、ガラス基板、赤外線透過膜及び酸素遮蔽層D−4がこの順に積層された積層体を得た。
[実施例19]ガラス基板、紫外線吸収層D−5及び赤外線透過膜の積層体の作製
ガラス基板上へ赤外線透過膜を形成する前に、紫外線吸収層D−5を形成した。具体的には、まず、日本触媒製紫外線カットコーティング剤(ハルスハイブリッドUV−G13)を用いて、3ミルのバーコーターを用いて硬化膜厚が5000nmとなるように塗工後、80℃のオーブンで10分間乾燥した。その後、150℃のオーブンで30分間硬化させることにより紫外線吸収層D−5を得た。この紫外線吸収層D−5上へ、実施例14と同じ赤外線透過膜を形成した。これにより、ガラス基板、紫外線吸収層D−5及び赤外線透過膜がこの順に積層された積層体を得た。
<赤外線透過膜の透過率の評価>
実施例1〜14及び比較例1〜4で得られた赤外線透過膜について、ガラス基板を評価リファレンスとして分光透過率測定を行った。すなわち、赤外線透過膜の内部透過率を測定した。この測定結果に基づき、可視領域(400−700nm)における最大透過率、波長701−800nmにおいて透過率が連続して10%以下となる波長領域(以下、波長領域Xと記載)の幅、波長801−1100nmにおける最大透過率を求めた。評価結果を表1〜2に示す。
また、図3に、実施例1の赤外線透過膜形成用組成物(S−1)を用いて得られた赤外線透過膜の透過スペクトルを示す。可視領域(400−700nm)における最大透過率は4%、波長領域Xの幅は53nm、波長801−1100nmにおける最大透過率は100%と、赤外通信用の開口部に形成される赤外線透過膜として良好な特性を示すことが確認された。
表1〜2には、使用した色素Aと色素Bの吸収極大波長の差及び色素Bと色素Cの吸収極大波長の差を示す。2以上の色素Aを使用している場合、短波長側の色素Aの吸収極大と色素Bの吸収極大の差を示し、2以上の色素Cを使用している場合、長波長側の色素Cの吸収極大と色素Bの吸収極大の差を示した。
<保存安定性の評価>
実施例1〜14及び比較例1〜4の各赤外線透過膜形成用組成物の粘度(V)を測定し、各赤外線透過膜形成用組成物を40℃のオーブン中で1週間放置した。加温後の粘度(V)を測定し、粘度変化率(%)を下記式から算出し、保存安定性の指標とした。
粘度変化率(%)={(V−V)/V}×100(%)
粘度変化率を、A:粘度変化率5%未満、B:粘度変化率5%以上10%未満、C:粘度変化率10%以上で区分し、A又はBの場合、保存安定性は良好と、Cの場合、不良と評価した。粘度は、E型粘度計(東機産業の「VISCONIC ELD.R」)を用いて25℃で測定した。評価結果を表1〜2に示す。
<耐熱性の評価>
実施例1〜14及び比較例1〜4で得られた赤外線透過膜(ガラス基板と赤外線透過膜との積層体)並びに実施例15〜19で得られた積層体について、ガラス基板をそのリファレンスとして400〜700nmの平均透過率(加熱前平均透過率)を測定した。その後、ホットプレートで180℃、30分間加熱し、再度400〜700nmの平均透過率(加熱後平均透過率)を測定した。加熱は、ホットプレート(アズワンの「ギガホットプレート GEC−7050」)を用いて実施した。そして、加熱前平均透過率(%)と加熱後平均透過率(%)との差(%)の絶対値(耐熱性)について、以下の基準で評価した。評価結果を表1〜3に示す。なお、実施例14については、比較のため表1及び3の双方に記載している。
A:1%未満
B:1%以上5%未満
C:5%以上15%未満
D:15%以上
<耐光性の評価>
実施例1〜14及び比較例1〜4で得られた赤外線透過膜(ガラス基板と赤外線透過膜との積層体)並びに実施例15〜19で得られた積層体について、ガラス基板をそのリファレンスとして400〜700nmの平均透過率(光照射前平均透過率)を測定した。その後、紫外線フェードメーターにて60℃、100時間光照射し、再度400〜700nmの平均透過率(光照射後平均透過率)を測定した。光照射は、紫外線フェードメーター(スガ試験機株式会社の「紫外線フェードメーター U48」)を用いて実施した。そして、光照射前平均透過率(%)と光照射後平均透過率(%)との差(%)の絶対値(耐光性)について、以下の基準で評価した。評価結果を表1〜3に示す。
A:1%未満
B:1%以上5%未満
C:5%以上15%未満
D:15%以上
<反射率の評価>
実施例14で得られた赤外線透過膜及び実施例15〜19で得られた積層体について、波長900〜1000nmの範囲での最低反射率を測定した。具体的には、まず、裏面反射率をカットするために、得られた赤外線透過膜等に対してガラス基板を介して反対側に黒色アクリル板(三菱レイヨン社製、厚み2.0mm)を粘着剤を介して貼り合わせ、測定サンプルを作成した。このような測定サンプルについて、分光光度計U4100(日立ハイテクノロジー社製)を用い、5°正反射の可視光領域の反射率を測定した。評価結果を表3に示す。
Figure 2019022169
Figure 2019022169
Figure 2019022169
表1〜2の結果から、実施例の各赤外線透過膜形成用組成物から形成された赤外線透過膜は、可視光領域の透過率が低く、近赤外線領域の透過率が高いことがわかる。また、表1〜3の結果から、実施例の各赤外線透過膜形成用組成物から形成された各赤外線透過膜及び積層体は、耐熱性及び耐光性も良好であることがわかる。
本発明の赤外線透過膜形成用組成物は、表示装置用保護板の額縁部に形成された赤外線通信用の開口部内に設けられる赤外線透過膜の形成に用いることができる。
100 透明基板
110 額縁部(べゼル)
120 赤外線透過膜
130 開口部

Claims (17)

  1. 表示装置用保護板の額縁部に形成された赤外線通信用の開口部内に設けられる赤外線透過膜を形成するための組成物であって、
    上記組成物が、波長400nm以上580nm以下の領域に吸収極大を有する色素A、波長581nm以上700nm以下の領域に吸収極大を有する色素B、及び波長701nm以上800nm以下の領域に吸収極大を有する色素Cを含有する赤外線透過膜形成用組成物。
  2. 上記色素Aと色素Bの吸収極大波長の差が40nm以上200nm以下であり、かつ上記色素Bと色素Cの吸収極大波長の差が80nm以上200nm以下である請求項1に記載の赤外線透過膜形成用組成物。
  3. 上記色素Aが、キサンテン系化合物、トリアリールメタン系化合物、シアニン系化合物、アントラキノン系化合物、テトラアザポルフィリン系化合物、クマリン系化合物、インジゴ系化合物又はこれらの組み合わせであり、
    上記色素Bが、スクアリリウム系化合物、トリアリールメタン系化合物、シアニン系化合物、フタロシアニン系化合物、テトラアザポルフィリン系化合物又はこれらの組み合わせであり、
    上記色素Cが、スクアリリウム系化合物、シアニン系化合物、フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、ペリレン系化合物、クロコニウム系化合物又はこれらの組み合わせである請求項1又は請求項2に記載の赤外線透過膜形成用組成物。
  4. 透明樹脂、架橋性モノマー又はこれらの組み合わせからなるバインダー成分をさらに含有する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の赤外線透過膜形成用組成物。
  5. 上記バインダー成分が、1分子中に2以上の重合性基を有する化合物を含む請求項4に記載の赤外線透過膜形成用組成物。
  6. 上記重合性基が、エポキシ基、脂環エポキシ基、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、水酸基、チオール基、アミノ基、カルボキシル基、酸無水物基、イソシアネート基又はこれらの組み合わせである請求項5に記載の赤外線透過膜形成用組成物。
  7. 重合開始剤をさらに含有する請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の赤外線透過膜形成用組成物。
  8. 上記透明樹脂が、環状オレフィン系樹脂、芳香族ポリエーテル系樹脂、ポリイミド系樹脂、フルオレンポリカーボネート系樹脂、フルオレンポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド(アラミド)系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリサルホン系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂、ポリパラフェニレン系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリエチレンナフタレート系樹脂、フッ素化芳香族ポリマー系樹脂、(変性)アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、アリルエステル系硬化型樹脂、ポリエステルポリオール系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリイソシアネート系樹脂、ポリアミン系樹脂、ウレタン系樹脂、シルセスキオキサン系紫外線硬化樹脂又はこれらの組み合わせである請求項4、請求項5又は請求項6に記載の赤外線透過膜形成用組成物。
  9. 25℃における粘度が、1〜2000mPa・secの範囲である請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の赤外線透過膜形成用組成物。
  10. 以下の(1)及び(2)の工程を含む赤外線透過膜の形成方法。
    (1)表示装置用保護板の額縁部に形成された赤外線通信用の開口部内に、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の赤外線透過膜形成用組成物により塗膜を形成する工程
    (2)上記塗膜を加熱又は露光する工程
  11. 透明基板と、この透明基板の一方の面側に設けられた額縁部とを備え、この額縁部に赤外線通信用の開口部が形成された表示装置用保護板であって、
    上記開口部内に設けられた赤外線透過膜を有し、
    上記赤外線透過膜が請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の赤外線透過膜形成用組成物から形成されている表示装置用保護板。
  12. 上記赤外線透過膜の上記透明基板とは反対の面側に形成された反射防止層をさらに有する請求項11に記載の表示装置用保護板。
  13. 上記反射防止層が複数種の金属酸化物の多層膜である請求項12に記載の表示装置用保護板。
  14. 上記反射防止層が中空粒子を含有する有機膜である請求項12に記載の表示装置用保護板。
  15. 上記赤外線透過膜の上記透明基板とは反対の面側に形成された酸素遮蔽層をさらに有する請求項11から請求項14のいずれか1項に記載の表示装置用保護板。
  16. 上記赤外線透過膜の少なくとも一方の面側に形成された紫外線吸収層をさらに有する請求項11から請求項15のいずれか1項に記載の表示装置用保護板。
  17. 請求項11から請求項16のいずれか1項に記載の表示装置用保護板を有する表示装置。
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