JPWO2019017490A1 - ペンテン酸エステル誘導体の製造方法 - Google Patents

ペンテン酸エステル誘導体の製造方法 Download PDF

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Abstract

バイオマス原料を用いるペンテン酸エステル誘導体の製造方法であって、バイオマス原料と第1のアルコールとを酸触媒の存在下で反応させてレブリン酸エステル及びギ酸エステルを得る工程A、レブリン酸エステルと水素源とを反応させてγ−バレロラクトンを得る工程B及びγ−バレロラクトンと第2のアルコールとを酸触媒又は塩基触媒の存在下で反応させてペンテン酸エステルを得る工程Cを含む、製造方法を提供する。

Description

本発明は、ペンテン酸エステル誘導体の製造方法に関する。
アジピン酸、及びそのエステルは、ナイロン6,6、ウレタン、可塑剤等、種々の有機化学製品の原料として使用される有用な前駆体である。
アジピン酸、及びそのエステルの製造方法としては、現在、化学合成法が知られている。化学合成法としては、例えば、シクロヘキサノール単独、またはシクロヘキサノールとシクロヘキサノンとの混合物(K/Aオイル)を硝酸で酸化する方法等が知られている。一方、最近では地球温暖化防止及び環境保護の観点から、炭素源としてリサイクル可能な生物由来資源を従来の化石原料の代替として用いることが注目されており、これまでに、微生物の発酵法を利用したアジピン酸の製造方法も開発されてきている。
例えば、特許文献1には、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン又はその混合物よりアジピン酸を製造する能力を有するアルカリゲネス(Alcaligenes)属に属する微生物を、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン又はその混合物に作用させるアジピン酸の製造方法が開示されている。
また、非特許文献1には、アシネトバクター(Acinetobacter)属に属する微生物がシクロヘキサノールを資化してアジピン酸を生産する方法が開示されている。しかし、この方法は化石原料由来の前駆体を利用しており、非特許文献1には生物由来資源の利用について開示されていない。
生物由来資源を用いたものとしては、例えば、特許文献2には、遺伝子組み換え体を用いて生物由来炭素源をcis, cis−ムコン酸に変換し、cis, cis−ムコン酸を水素化してアジピン酸を生産する方法が開示されている。特許文献3には、遺伝子組み換え体を用いてα−ケトグルタル酸からアジピン酸を生産する方法が開示されている。
また、特許文献4には、二酸化炭素と水から炭素をベースとする化合物を合成することのできる遺伝子が組み換えられた微生物(an engineered microbial host cell)を多数開示している。多数列挙された微生物の1例としてロドバクター属が記載されており、また多数列挙された合成可能な炭素をベースとする化合物の1つとしてアジピン酸が記載されている。しかしながら、これらはいずれも遺伝子が組み換えられた微生物を用いたものであり、特許文献4にはアジピン酸を合成する実施例は示されていない。
特許文献5には、グルコースからグルカン酸経由でアジピン酸を製造する方法が開示されている。また、非特許文献2には、カテコール・ムコン酸経由でアジピン酸を製造する方法が開示されている。
特許文献6には、バイオマス原料を高温でスチーム処理して5−ヒドロキシメチルフルフラールを合成し、これをRaney Nickel触媒の存在下で水素化して2,5−テトラヒドロキシフランジメタノールを合成し、続いて、得られた2,5−テトラヒドロキシフランジメタノールを、所定の温度及び圧力条件にて、銅触媒の存在下で水素化して1,6−ヘキサンジオールを合成し、更に微生物存在下で酸化することでアジピン酸を製造する方法が開示されている。
特開昭64−23894号公報 国際公開第1995/007996号 国際公開第2010/104391号 国際公開第2009/111513号 米国特許出願公開第2011/0218318号明細書 米国特許第4400468号明細書
Eur.J.Biochem.,1975年,60巻,pp.1−7 Biotechnol. Prog.,2002年,18巻,pp.201−211
現在、化学製品は主に原油が出発原料になっている。化学製品は炭素原子を主な構成成分とし、その炭素は最終的には二酸化炭素となり大気中に蓄積される。大気中に蓄積される二酸化炭素は、地球温暖化の要因となることから、二酸化炭素の排出量の削減が強く望まれている。
その解決策の1つとして、植物由来の資源であるバイオマス原料(例えば、セルロース、グルコース、植物油等)を化学製品の出発原料として用いることが考えられる。その理由は、バイオマス原料の元となる植物が、その成長過程において光合成により二酸化炭素を吸収することから、その二酸化炭素の吸収量により化学製品の燃焼による二酸化炭素の排出量が相殺されるためである。
本発明者らは、バイオマス原料から、アジピン酸及びそのエステル等の前駆体として利用可能なペンテン酸エステルを効率よく合成する方法を新たに見出した。
そこで、本発明は、バイオマス原料からペンテン酸エステル誘導体を効率よく製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、バイオマス原料を用いてアジピン酸化合物、1,6−ヘキサンジオール、1,3−ブタジエン、ε−カプロラクタム等のペンテン酸エステル誘導体を製造できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は一つの側面において、バイオマス原料を用いるペンテン酸エステル誘導体の製造方法であって、バイオマス原料と第1のアルコールとを酸触媒の存在下で反応させてレブリン酸エステル及びギ酸エステルを得る工程A、レブリン酸エステルと水素源とを反応させてγ−バレロラクトンを得る工程B及びγ−バレロラクトンと第2のアルコールとを酸触媒又は塩基触媒の存在下で反応させてペンテン酸エステルを得る工程Cを含む、製造方法を提供する。
上記製造方法では、工程A、B及びCを経ることによって、バイオマス原料からペンテン酸エステル誘導体を効率よく製造することができる。また、上記製造方法では、石油由来の原料を用いる必要がないため、持続可能な開発への貢献が可能となる。
工程Aにおいて、第1のアルコールがメタノールを含むことが好ましい。工程Bにおいて、水素源が水素ガスを含むことが好ましい。工程Cにおいて、第2のアルコールがメタノールを含むことが好ましい。これによって、ペンテン酸エステル誘導体を一層効率よく製造することができる。
ペンテン酸エステル誘導体の製造方法は、ペンテン酸エステルとギ酸エステルとを錯体金属の存在下で反応させてアジピン酸化合物を得る工程Dを更に含んでいてよい。
工程Dにおけるギ酸エステルは、工程Aで得られるギ酸エステルを含むことが好ましい。これによって、バイオマス原料をより一層有効に活用することができる。
ペンテン酸エステル誘導体の製造方法は、工程D後に、アジピン酸化合物を加水分解する工程Eを更に含んでいてよい。
本発明の一つの側面において、工程Dを更に含むペンテン酸エステル誘導体の製造方法は、アジピン酸化合物と水素源とを反応させて1,6−ヘキサンジオールを得る工程Fを更に含んでいてよい。
本発明の一つの側面において、ペンテン酸エステル誘導体の製造方法は、ペンテン酸エステル、水及び酸無水物を錯体金属の存在下で反応させて1,3−ブタジエンを得る工程Gを更に含んでいてよい。
また、本発明の一つの側面において、ペンテン酸エステル誘導体の製造方法は、ペンテン酸エステルと水とを酸触媒存在下で反応させてブテン(1−ブテンと2−ブテンの混合物)得る工程、ブテン(1−ブテンと2−ブテンの混合物)を金属酸化物触媒存在下で脱水素反応させて1,3−ブタジエンを得る工程を更に含んでいてもよい。
本発明の一つの側面において、ペンテン酸エステル誘導体の製造方法は、ペンテン酸エステルと一酸化炭素と水素とを錯体金属の存在下で反応させて5−ホルミルペンタン酸エステルを得る工程H及び5−ホルミルペンタン酸エステルとアンモニアと水素源とを反応させてε−カプロラクタムを得る工程Iを更に含んでいてよい。
上記バイオマス原料は、木材、おが屑、木粉、バーク、紙類、パルプ、紙廃棄物、バガス、もみ殻、ヤシ殻、フスマ、米糠、大豆粕、菜種粕、コーヒー粕、茶粕、おから、トウモロコシ穂軸、トウモロコシ茎葉、ヤシ毛、スイッチグラス、アルファルファ、竹、草、干し草、海草及び海藻からなる群より選択される少なくとも1種を含むものであってよい。
ペンテン酸エステル誘導体の製造方法において、第1のアルコール又は第2のアルコールは、工程Bで得られるアルコールであってもよい。
本発明は一つの側面において、加速器質量分析法により求めたバイオマス度が、40%以上であるペンテン酸エステルを提供する。
本発明によれば、バイオマス原料からペンテン酸エステル誘導体を効率よく製造する方法を提供することが可能となる。
以下、本発明の一実施形態を説明する。ただし、以下の実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。
本実施形態のペンテン酸エステル誘導体の製造方法は、バイオマス原料と第1のアルコールとを酸触媒の存在下で反応させてレブリン酸エステル及びギ酸エステルを得る工程A、工程Aで得られるレブリン酸エステルと水素源とを反応させてγ−バレロラクトンを得る工程B及び工程Bで得られるγ−バレロラクトンと第2のアルコールとを酸触媒又は塩基触媒の存在下で反応させてペンテン酸エステルを得る工程Cを含む。ペンテン酸エステル誘導体は、ペンテン酸エステルから誘導可能な化合物である。ペンテン酸エステル誘導体には、例えば、アジピン酸化合物、1,6−ヘキサンジオール、1,3−ブタジエン、5−ホルミルペンタン酸エステル及びε−カプロラクタムが含まれる。
(工程A)
工程Aでは、下記反応式(I)に示すように、バイオマス原料と第1のアルコール(ROH)とを酸触媒の存在下で反応させてレブリン酸エステル及びギ酸エステルを得る。下記反応式(I)中、一般式(1)は、レブリン酸エステルを示し、一般式(2)は、ギ酸エステルを示す。
Figure 2019017490
一般式(1)及び一般式(2)中、Rは炭素原子数1〜6の直鎖状のアルキル基、又は炭素原子数3〜6の分岐状のアルキル基を示す。
工程Aで使用するバイオマス原料は、再生可能な、植物由来の有機性資源で化石資源(石油由来の原料)を除いたものである。バイオマス原料は、セルロース及びヘミセルロースを含有する。バイオマス原料としては、スギ、米松、ユーカリ等の各種木材、おが屑、木粉、バーク、紙類、パルプ、紙廃棄物、バガス、もみ殻、ヤシ殻、フスマ、米糠、大豆粕、菜種粕、コーヒー粕、茶粕、おから、トウモロコシ穂軸、トウモロコシ茎葉、ヤシ毛、スイッチグラス、アルファルファ、竹、草、干し草、海草、海藻等が挙げられる。本実施形態において、バイオマス原料は、木材、おが屑、木粉、バーク、紙類、パルプ、紙廃棄物、バガス、もみ殻、ヤシ殻、フスマ、米糠、大豆粕、菜種粕、コーヒー粕、茶粕、おから、トウモロコシ穂軸、トウモロコシ茎葉、ヤシ毛、スイッチグラス、アルファルファ、竹、草、干し草、海草及び海藻からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
バイオマス原料は、上述の各種原料のうち1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。バイオマス原料が、2種以上の混合物である場合、単離を行うことなく混合物のまま用いてもよい。また、バイオマス原料は水を含有していてもよい。バイオマス原料は、水を含有する状態(含水状態)で工程Aの原料として供給してもよく、乾燥状態で(乾燥工程を経て)供給してもよい。
工程Aで使用する第1のアルコール(ROH)は、炭素原子数1〜6の直鎖状のアルキル基、又は炭素原子数3〜6の分岐状のアルキル基を有している。第1のアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール及び3−ヘキサノールが挙げられる。第1のアルコールは、好ましくは、メタノール、エタノール、1−プロパノール及び1−ブタノールからなる群より選択される少なくとも1種であり、より好ましくは、メタノールである。第1のアルコールは1種を単独で用いてもよいし、任意のものを複数組み合わせて用いてもよい。第1のアルコールが2種以上のアルコールを組み合わせたものであるときは、異なる種のアルキル基を有するレブリン酸エステル及びギ酸エステルが生成する場合がある。
第1のアルコールの使用量は、特に限定されるものではないが、バイオマス原料の総量100質量部に対して、好ましくは200〜3000質量部であり、より好ましくは400〜1500質量部である。なお、第1のアルコールは、工程Aにおける反応溶媒として用いてもよい。
工程Aで使用する酸触媒としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸、カルボン酸、スルホン酸(有機スルホン酸)等の有機酸が挙げられる。酸触媒は好ましくは硫酸又はスルホン酸である。
上記スルホン酸としては、例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ヘキサンスルホン酸、メタンジスルホン酸、エタンジスルホン酸、プロパンジスルホン酸、及びブタンジスルホン酸等の炭素数1〜6のアルキルスルホン酸;ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、アントラセンスルホン酸、アントラセンジスルホン酸、ピレンスルホン酸、及びピレンジスルホン酸等の炭素数6〜24のアリールスルホン酸;並びにカンファースルホン酸が挙げられる。スルホン酸は、好ましくは、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸及びナフタレンスルホン酸からなる群より選択される少なくとも1種を含み、より好ましくはp−トルエンスルホン酸を含む。
上記酸触媒の使用量は、バイオマス原料の糖(セルロース及びヘミセルロース)換算の質量100質量部に対して好ましくは0.5〜30質量部であり、より好ましくは1〜20質量部である。
工程Aでは、上記酸触媒に加えて、後述する添加剤を使用してよい。添加剤と、上記酸触媒とを併用することで、より高収率でレブリン酸エステルを得ることができる。
上記添加剤は、周期律表における第13族又は第14族に属する元素(第13族元素又は第14族元素)を含むことが好ましく、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、ゲルマニウム、スズ、及び鉛からなる群から選択される少なくとも1種の元素を含むことがより好ましく、アルミニウム又はインジウムを含むこと更に好ましく、アルミニウムを含むことが更により好ましい。ここで、添加剤が第13族金属元素又は第14族金属元素を含む場合、添加剤を金属化合物ともいう。
上記添加剤(金属化合物)は、水酸化物塩、硫酸塩、硝酸塩、カルボン酸塩、アルコキシド、アセチルアセトン塩及び酸化物からなる群から選択される少なくとも1種であってよい。これらの中でも、より好ましくは、水酸化物塩、硫酸塩、アルコキシド又はアセチルアセトン塩である。添加剤(金属化合物)は工程Aで使用する溶媒(例えば、第1のアルコール)に可溶な塩の状態で用いてもよいし、また、工程Aで使用する溶媒(例えば、第1のアルコール)に不溶な塩の状態で用いてもよい。
上記添加剤(金属化合物)の使用量としては、好ましくはバイオマス原料を構成する糖(セルロース及びヘミセルロース)換算の質量100質量部に対して0.1〜20質量部であり、より好ましくは0.5〜5質量部である。
工程Aの反応を行う際の反応温度は、好ましくは160〜230℃であり、より好ましくは170〜200℃である。反応温度が160℃以上である場合、充分な反応速度を確保することができる。また、反応温度が230℃以下である場合、アルコールの分子間脱水反応によるエーテル化合物の生成、及びバイオマス原料を構成する糖からのフミン質の副生によるレブリン酸エステルの収率低下を抑制することができる。反応温度を170〜200℃にすることによって、上述の効果を一層高水準で両立することができる。
工程Aの反応を行う際の反応圧力としては、特に限定されるものではないが、好ましくは1〜8MPa、より好ましくは3〜5MPaである。反応圧力が1MPa以上である場合、溶媒(例えば、第1のアルコール)の気化による反応効率の低下が抑制される傾向がある。反応圧力が8MPa以下である場合、反応装置のコストを抑制できる傾向がある。
工程Aにおけるレブリン酸エステルの収率は、好ましくは40%以上であり、より好ましくは60%以上である。本開示におけるレブリン酸エステルの収率は、バイオマス原料に含まれるセルロースの含有量を基準とするモル基準の収率である。工程Aにより得られるレブリン酸エステルは、後述する工程Bの原料として使用することができる。
工程Aにおけるギ酸エステルの収率は、好ましくは50%以上であり、より好ましくは65%以上である。本開示におけるレブリン酸エステルの収率は、バイオマス原料に含まれるセルロースの含有量を基準とするモル基準の収率である。工程Aにより得られるギ酸エステルは、工程Dの原料として好適に使用される。
本実施形態では、工程Aにおいて、レブリン酸エステル及びギ酸エステルを含む反応液を得ることができる。本実施形態において、工程A終了後に、レブリン酸エステルと、ギ酸エステルと、を分離する工程(工程A’)を含んでいてよい。レブリン酸エステル及びギ酸エステルは、例えば、蒸留処理により分離することができる。蒸留処理の条件は、使用するバイオマス原料及び第1のアルコールの種類等に応じて、適宜選択される。ギ酸エステル分離における蒸留処理は、例えば、温度条件は10〜100℃で、圧力条件は、40kPa〜常圧で実施される。また、レブリン酸エステル分離における蒸留処理は、例えば、温度条件は50〜200℃で、圧力条件は、1.0kPa〜常圧で実施される。
上記工程A又は工程A’終了後、レブリン酸エステル及び/又はギ酸エステルを含む溶液に対して、例えば、濾過、濃縮、抽出、蒸留、昇華、再結晶、カラムクロマトグラフィー等の一般的な操作(精製工程)を行うことによって、レブリン酸エステル又はギ酸エステルを精製してもよい。
(工程B)
工程Bでは、下記反応式(II)に示すように、工程Aで得られるレブリン酸エステル(一般式(1)で表される化合物)と、水素源と、を反応させてγ−バレロラクトンを得る。下記反応式(II)中、一般式(3)は、γ−バレロラクトンを示す。
Figure 2019017490
反応式(II)中、Rは炭素原子数1〜6の直鎖状のアルキル基、又は炭素原子数3〜6の分岐状のアルキル基を示す。
工程Bでは、工程Aで得られるレブリン酸エステルを使用する。ここで使用するレブリン酸エステルは、蒸留等により、適度に精製されていることが好ましい。
工程Bで使用する水素源としては、特に限定されることはない。具体的には、例えば、水素ガス、アルコール、ギ酸、ヒドラジン、水素化ホウ素ナトリウム、水素化アルミニウムリチウム等が挙げられる。水素源は、反応終了後の分離精製が容易である観点から、水素ガスであることが好ましい。
工程Bでは、レブリン酸エステルと、水素源と、を水素化触媒の存在下で、反応させる。工程Bで使用する水素化(水素添加)触媒は、金属元素を含有する触媒であり、ケトン及びアルデヒド等のカルボニル化合物を水素化(水素添加)できる触媒であれば任意に選択することができる。水素化触媒は、好ましくは、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)等の金属元素を1種、又は2種以上含む固体触媒であり、より好ましくは銅(Cu)を含有する固体触媒である。
上記水素化(水素添加)触媒中の上述の金属元素の合計含有量は、水素化触媒の全質量基準で、好ましくは1質量%以上80質量%以下であり、より好ましくは5質量%以上60質量%以下である。なお、水素化触媒中に含まれる金属元素は、0価の金属、又は金属酸化物として存在していてもよい。金属酸化物の比率が高い場合には、反応前に水素ガス等で事前に還元処理を行ってもよいし、そのまま反応に使用してもよい。
上記水素化触媒は担体を含有していてもよい。担体としては、多孔質のものが好適に用いられ、例えば、多孔質シリカ、多孔質アルミナ、多孔質シリカアルミナ(アルミノシリケート)、多孔質セリア、多孔質マグネシア、多孔質カルシア、多孔質チタニア、多孔質シリカチタニア(チタノシリケート)、多孔質ジルコニア、活性炭、ゼオライト、メソ孔体(メソポーラス−アルミナ、メソポーラス−シリカ、メソポーラス−カーボン)等が挙げられる。担体は、好ましくは、多孔質シリカ、多孔質アルミナ、多孔質活性炭、及び多孔質ゼオライトが挙げられる。なお、これらの担体は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
上記水素化触媒は、上述した金属元素の他に、他の金属元素を含んでいてよい。他の金属元素は、0価の金属又は金属酸化物として存在していてよい。他の金属元素としては、例えば、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、レニウム(Re)、亜鉛(Zn)、マグネシウム(Mg)、ナトリウム(Na)、カルシウム(Ca)等が挙げられる。
工程Bの反応では、回分式(バッチ式)、又は連続式のいずれの方法も選択することができる。また、水素化触媒の性質により、均一系、及び不均一系(懸濁反応)のどちらの反応系でも実施できる。
工程Bの反応を回分式で行う場合には、例えば、水素化触媒と、レブリン酸エステルと、を混合し、水素雰囲気下にて撹拌しながら反応させる。
工程Bの反応を連続式で行う場合には、例えば、水素化触媒を充填した反応管に、水素、及びレブリン酸エステルを流通させながら反応させる。なお、必要に応じて、反応管への触媒の充填を支持するような不活性な固体充填物を反応管内に配してもよい。
工程Bの反応を行う際の反応温度は、好ましくは50〜220℃であり、より好ましくは80〜200℃である。また、工程Bの反応を行う際の反応圧力は、水素分圧として、常圧〜10MPa、より好ましくは常圧〜5MPaである。
上記反応温度及び反応圧力は、当該範囲内で断続的又は連続的に変化させてもよい。反応温度及び反応圧力を上記範囲とすることで、副生物の生成を抑制しつつ、高い反応速度で、高収率かつ高選択的にγ−バレロラクトンを得ることができる。
工程Bの反応においては、原料であるレブリン酸エステルの供給のしやすさ及び回分式での撹拌性の向上、又は、連続式での流通性の向上等のために溶媒を使用してもよい。工程Bで使用する溶媒としては、反応を著しく阻害しないものであれば特に限定されず、例えば、水;メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、及びエチレングリコール等のアルコール類;ヘプタン、ヘキサン、シクロヘキサン、及びトルエン等の炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、及びN−メチル−2−ピロリドン等のアミド類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、及びジオキサン等のエーテル類;塩化メチレン、ジクロロエタン、及びクロロシクロヘキサン等のハロゲン化炭化水素類が挙げられる。これらのうち、好ましくは、水、アルコール類、炭化水素類及びエーテル類からなる群より選択される少なくとも1種が使用され、より好ましくはアルコール類が使用される。なお、これらの溶媒は、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
工程Bで使用する溶媒の使用量は、レブリン酸エステル1質量部に対して、好ましくは0〜100質量部、より好ましくは0〜50質量部である。溶媒の使用量をこの範囲とすることで、攪拌又は流通が速やかに行われ、反応をスムーズに進行させることができる。
工程Bにおけるレブリン酸エステルの転化率は、好ましくは80%以上であり、より好ましくは90%以上であり、更に好ましくは95%である。本開示におけるレブリン酸エステルの転化率は、モル基準である。
工程Bにおけるγ−バレロラクトンの収率は、好ましくは80%以上であり、より好ましくは90%以上であり、更に好ましくは95%である。本開示におけるγ−バレロラクトンの収率は、レブリン酸エステルを基準とするモル基準の収率である。
本実施形態では、工程Bにおいて、γ−バレロラクトンを含む反応液を得ることができる。上記工程B終了後、得られた反応液に対して、例えば、濾過、濃縮、抽出、蒸留、昇華、再結晶、カラムクロマトグラフィー等の一般的な操作(精製工程)を行うことによって、γ−バレロラクトンを単離又は精製してもよい。第1のアルコール又は第2のアルコールは、工程Bで得られるアルコールとすることができる。このとき、工程Bで得られるアルコールは、蒸留等により適度に精製し、第1のアルコール又は第2のアルコールとして使用することができる。
(工程C)
工程Cでは、下記反応式(III)に示すように、工程Bで得られるγ−バレロラクトン(一般式(3)で表される化合物)と、第2のアルコール(R’OH)と、を酸触媒又は塩基触媒の存在下で反応させてペンテン酸エステルを得る。ペンテン酸エステルは、一般式(4)、一般式(5)及び一般式(6)からなる群より選ばれる少なくとも一つを含んでいてよい。
Figure 2019017490
一般式(4)、一般式(5)及び一般式(6)中、R’は炭素原子数1〜6の直鎖状のアルキル基、又は炭素原子数3〜6の分岐状のアルキル基を示す。なお、一般式(4)及び一般式(5)のペンテン酸エステルは、シス体とトランス体の一方又は両方を含んでもよい。
工程Cでは、工程Bで得られるγ−バレロラクトンを使用する。なお、γ−バレロラクトンは工程Bで製造されたものを、特に精製することなく使用することもできるし、蒸留等で精製したものを使用してもよい。
工程Cで使用する第2のアルコール(R’OH)は、例えば、第1のアルコールで例示したアルコールであってよい。第2のアルコールは、好ましくは、メタノール、エタノール、1−プロパノール及び1−ブタノールからなる群より選択される少なくとも1種を含み、より好ましくは、メタノールを含む。
工程Cで使用する第2のアルコールと、工程Aで用いられる第1のアルコールとは、同一であってもよく、異なっていてもよい。
工程Cで使用する触媒(酸触媒又は塩基触媒)としては、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、シリカ−アルミナ、ベータゼオライト、X型ゼオライト等の酸触媒、又は周期律表の第1族金属、第2族金属及び希土類金属の、酸化物、炭酸塩、珪酸塩等の塩基触媒が挙げられる。工程Cで使用する触媒は、好ましくはX型ゼオライトを含むことが好ましい。触媒は、X型ゼオライトのみからなるものであってもよいし、X型ゼオライトを担体として、当該担体に金属成分を担持させたものであってもよい。上記工程Cで使用する触媒がX型ゼオライトを含む場合、エーテルの副生が抑制され、第2のアルコール基準のペンテン酸エステルの選択率を向上することができる。また、γ−バレロラクトンの転化率を高くすることができる。これらの要因によって、第2のアルコールの使用量を大過剰にしなくても高い収率でペンテン酸エステルを得ることができる。
X型ゼオライトの細孔内カチオンは特に限定されない。ペンテン酸エステルの収率を高くする観点から、細孔内カチオンは好ましくはプロトン及びナトリウムカチオンの少なくとも一方を含む。ペンテン酸エステルの収率及び選択率の両方を高くする観点から、細孔内カチオンはより好ましくはナトリウムカチオンを含む。
工程Cの反応は、液相反応(反応蒸留方式)であってもよく、気相反応であってもよい。
工程Cの反応を液相(反応蒸留方式)で行う場合には、例えば、反応器内で触媒とγ−バレロラクトンと第2のアルコールとを混合し、攪拌しながら反応させる。合成されるペンテン酸エステルは第2のアルコールとともに蒸留により連続的に抜き出す。これに並行して、抜き出された第2のアルコールの量と同じ量の第2のアルコールを反応器に連続的に供給する。
工程Cの反応を気相で行う場合には、例えば、触媒を充填した反応管に、γ−バレロラクトンと第2のアルコールの混合物を流通させながら反応させる。なお、必要に応じて、キャリアガスとして不活性ガスを流通させてもよい。また、反応管に充填された触媒層を支持するために不活性な固体充填物を反応管内に配置してもよい。さらに、反応管における触媒層の温度を所定範囲に維持するために、触媒層の上に不活性な固体充填物の層を予熱層として設けてもよい。
工程Cの反応を行う際の反応温度は、好ましくは180〜280℃であり、より好ましくは200〜250℃である。工程Cの反応を行う際の反応圧力は、好ましくは常圧〜5MPaであり、より好ましくは常圧〜2MPaである。なお、反応温度及び反応圧力は、上記範囲内で断続的又は連続的に変化させてもよい。
第2のアルコールの使用量は、γ−バレロラクトンの使用量1モルに対して、好ましくは1〜20モル(1〜20モル当量)であり、より好ましくは2〜10モル(2〜10モル当量)である。第2のアルコールの使用量をこのような範囲にすることで、工程Cの目的物であるペンテン酸エステルを高収率で得ることができる。
工程Cにおいて、原料の供給のしやすさ、及び、液相反応での攪拌性の向上、又は気相反応での流通性の向上等の観点から、アルコールとは異なる溶媒を使用してもよい。溶媒は反応を著しく阻害しないものであれば特に限定されない。
溶媒としては、例えば、ヘプタン、ヘキサン、シクロヘキサン、及びトルエン等の炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、及びN−メチル−2−ピロリドン等のアミド類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、及びジオキサン等のエーテル類;並びに塩化メチレン、ジクロロエタン、及びクロロシクロヘキサン等のハロゲン化炭化水素類が挙げられる。これらのうち、好ましい溶媒としては、炭化水素類及びエーテル類が挙げられ、より好ましい溶媒としてはエーテル類が挙げられる。なお、上述の溶媒は、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
溶媒の使用量は、工程Cで使用する原料(γ−バレロラクトンと第2のアルコールの合計)1質量部に対して、好ましくは0〜50質量部であり、より好ましくは0〜25質量部である。溶媒の使用量をこのような範囲とすることで、攪拌及び流通が速やかに行われ、反応をスムーズに進行させることができる。
工程Cにおけるγ−バレロラクトンの転化率は、好ましくは85%以上であり、より好ましくは90%以上である。工程Cにおけるアルコールの転化率は、好ましくは10%以上であり、より好ましくは12%以上である。本開示におけるγ−バレロラクトン及びアルコールの転化率は、モル基準である。
工程Cにおけるペンテン酸エステルの選択率は、γ−バレロラクトン基準で、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上であり、また、アルコール基準で、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上である。本開示におけるペンテン酸エステルの選択率は、γ−バレロラクトンを基準とするモル基準の選択率である。
工程Cにおけるペンテン酸エステルの収率は、好ましくは85%以上であり、より好ましくは90%以上である。本開示におけるペンテン酸エステルの収率は、γ−バレロラクトンを基準とするモル基準の収率である。
ペンテン酸エステルは、一般式(4)、一般式(5)及び一般式(6)から選ばれる少なくとも一種を含んでいればよく、その割合は特に限定されない。一般式(4)で表される2−ペンテン酸エステルの収率は、例えば10〜60%である。一般式(5)で表される3−ペンテン酸エステルの収率は、例えば35〜50%である。一般式(6)で表される4−ペンテン酸エステルの収率は、例えば2〜15%である。
工程C終了後、得られた反応液に対して、例えば、濾過、濃縮、抽出、蒸留、昇華、再結晶、カラムクロマトグラフィー等の一般的な操作(精製工程)を行うことによって、ペンテン酸エステルを単離又は精製してもよい。
本発明の一実施形態として、加速器質量分析法により求めたバイオマス度が、40%以上であるペンテン酸エステルが提供される。ここで、バイオマス度は、加速器質量分析法により、ASTM D6866-10規格に準拠して算出され、ペンテン酸エステルの炭素骨格がバイオマス原料由来である程度を示す。
ペンテン酸エステルの加速器質量分析法により求めたバイオマス度は、45%以上、50%以上、55%以上、60%以上、70%以上又は80%以上であってもよく、95%以下、90%以下又は85%以下であってもよい。ペンテン酸エステルの加速器質量分析法により求めたバイオマス度は、40〜100%であってよい。
[アジピン酸化合物の製造方法]
ペンテン酸エステル誘導体の製造方法は、上述の工程A〜Cに加えて、以下の工程Dを更に含んでいてよい。この場合、当該製造方法によりアジピン酸化合物を得ることができる。アジピン酸化合物とは、アジピン酸又はそのエステルである。アジピン酸エステルは、アジピン酸ジエステルであってもよいし、アジピン酸モノエステルであってもよい。
(工程D)
工程Dは、工程Cで得られるペンテン酸エステルと、ギ酸エステルと、を錯体金属の存在下で反応させてアジピン酸化合物を得る工程である。
工程Dでは、下記反応式(IV)に示すように、工程Cで得られるペンテン酸エステル(一般式(4)、一般式(5)及び一般式(6)で示される化合物)と、ギ酸エステルとを錯体金属存在下で反応させて、アジピン酸化合物としてアジピン酸ジエステルを得る。アジピン酸ジエステルは、一般式(7)で表される化合物である。
Figure 2019017490
一般式(2)及び一般式(4)〜(7)において、R及びR’は炭素原子数1〜6の直鎖状のアルキル基、又は炭素原子数3〜6の分岐状のアルキル基を示す。なお、一般式(2)及び一般式(4)〜(7)において、R及びR’は、通常、同一であるが、異なっていてもよい。また、一般式(4)及び一般式(5)のペンテン酸エステルは、シス体とトランス体の一方又は両方を含んでもよい。
工程Dでは、工程Cで得られるペンテン酸エステルを使用する。なお、工程Cで得られるペンテン酸エステルを特に精製することなくそのまま使用してもよいし、蒸留等で精製したものを使用してもよい。
工程Dで使用するギ酸エステルは工程Aで得られるものであってよい。このとき、工程Aで得られるギ酸エステルは蒸留等により適度に精製されたものであることが好ましい。
上記ギ酸エステルの使用量としては、ペンテン酸エステル1モルに対して、好ましくは1〜20モル(1〜20モル当量)であり、より好ましくは2〜10モル(2〜10モル当量)である。
工程Dおいては、撹拌性の向上等のために溶媒を使用してもよい。そのような溶媒としては、反応を著しく阻害しないものであれば特に限定されず、例えば、メタノール、エタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、及びエチレングリコール等のアルコール類;ヘプタン、ヘキサン、シクロヘキサン、及びトルエン等の炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、及びN−メチル−2−ピロリドン等のアミド類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、及びジオキサン等のエーテル類;並びに塩化メチレン、ジクロロエタン、及びクロロシクロヘキサン等のハロゲン化炭化水素類が挙げられる。これらのうち、好ましくは、アルコール類及びエーテル類からなる群より選択される少なくとも1種が使用され、より好ましくはアルコール類が使用される。なお、これらの溶媒は、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
工程Dで使用する溶媒の使用量は、ペンテン酸エステル1質量部に対して、好ましくは0〜100質量部、更に好ましくは0〜50質量部である。
工程Dで使用する錯体金属は、周期律表の第8〜10族に属する金属元素(第8〜10族金属元素)から選ばれる少なくとも一種を含む金属化合物と、配位子と、プロトン酸と、から形成される。
第8〜10族金属元素としては、鉄(Fe)、ルテニウム(Ru)、コバルト(Co)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、及び白金(Pt)等が挙げられる。第8〜10族金属元素は、好ましくはパラジウム(Pd)である。錯体金属に含まれる金属化合物は、金属元素としてパラジウムを含む化合物(パラジウム化合物)であることが好ましい。
パラジウム化合物としては、具体的には、例えば、硫酸パラジウム等のパラジウム硫酸塩類;硝酸パラジウム等のパラジウム硝酸塩類;炭酸パラジウム等のパラジウム炭酸塩類;ヘテロポリ酸パラジウム塩、イソポリ酸パラジウム塩等のパラジウムポリオキソアニオン塩類;塩化パラジウム、臭化パラジウム、ヨウ化パラジウム等のパラジウムハロゲン化物等の各種パラジウム無機酸塩類;酢酸パラジウム等のパラジウム有機酸塩類;水酸化パラジウム、酸化パラジウム並びに上記各種の化合物のアンミン錯体、アミン錯体、ハロゲノ錯体(例えばテトラクロロパラジウム酸、これらのナトリウム塩及びカリウム塩類も含む)、シアノ錯体、有機パラジウム化合物等の、有機及び無機錯体類が挙げられる。これらの中でも、パラジウム化合物は、好ましくは酢酸パラジウム及び塩化パラジウムからなる群より選択される少なくとも1種を含み、より好ましくは酢酸パラジウムを含む。
上記金属化合物は一種を単独で使用してもよいし、二種以上を組み合わせて使用してもよい。二種以上の金属化合物は混合物又は複合化合物であってもよい。
金属化合物(例えば、パラジウム化合物)の使用量としては、ペンテン酸エステル1モルに対して、好ましくは0.005〜0.1モル(0.005〜0.1モル当量)であり、より好ましくは0.01〜0.05モル(0.01〜0.05モル当量)である。
錯体金属に含まれる配位子は、特に限定されるものではないが、ホスフィン配位子が好適に用いられる。ホスフィン配位子としては、例えば、トリフェニルホスフィン、トリ(4−メチルフェニル)ホスフィン、トリ(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン、トリ(2,4,6−トリメチルフェニル)ホスフィン、トリ(4−メトキシフェニル)ホスフィン、トリ(3,5−ジメトキシフェニル)ホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、エチルジフェニルホスフィン、ジメチルフェニルホスフィン、ジエチルフェニルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリシクロへキシルホスフィン、ジフェニルホスフィノメタン、ジフェニルホスフィノエタン、ジフェニルホスフィノプロパン、1,1’−ジフェニルホスフィノフェロセン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノメチル)ベンゼン、及び1,2−ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノメチル)ベンゼン、ビス[2−(ジフェニルホスフィノ)フェニル]エーテル、4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−9,9−ジメチルキサンテン等が挙げられる。配位子は、好ましくは1,2−ビス(ジフェニルホスフィノメチル)ベンゼン及び1,2−ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノメチル)ベンゼンからなる群より選択される少なくとも1種を含み、より好ましくは1,2−ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノメチル)ベンゼンを含む。
配位子の使用量としては、金属化合物(例えば、パラジウム化合物)1モルに対して、好ましくは2〜20モル(2〜20モル当量)、より好ましくは4〜10モル(4〜10モル当量)である。
錯体金属に含まれるプロトン酸としては、特に限定されるものではなく、例えば、硫酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等が挙げられる。プロトン酸は、好ましくはp−トルエンスルホン酸を含む。
プロトン酸の使用量としては、金属化合物(例えば、パラジウム化合物)1モルに対して、好ましくは2〜20モル(2〜20モル当量)であり、より好ましくは4〜10モル(4〜10モル当量)である。
工程Dの反応を行う際の反応温度は、好ましくは50〜200℃であり、より好ましくは80〜150℃である。
工程Dは窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下、又は一酸化炭素ガス雰囲気下にて実施してよい。工程Dの反応を行う際の反応圧力は、好ましくは常圧〜5MPaであり、より好ましくは常圧〜2MPaである。なお、反応温度及び反応圧力は、上記範囲内で断続的又は連続的に変化させてもよい。
本実施形態では、工程Dにおいて、目的とするアジピン酸エステルを含む反応液を得ることができる。
工程Dにおけるペンテン酸エステルの転化率は、好ましくは30%以上であり、より好ましくは35%以上である。本開示におけるペンテン酸エステルの転化率は、モル基準である。
工程Dにおけるアジピン酸ジエステルの収率は、好ましくは30%以上であり、より好ましくは35%以上である。本開示におけるアジピン酸ジエステルの収率は、ペンテン酸エステルを基準とするモル基準の収率である。
上記工程Dの終了後、得られた反応液に対して、例えば、濾過、濃縮、抽出、蒸留、昇華、再結晶、カラムクロマトグラフィー等の一般的な操作(精製工程)を行うことによって、アジピン酸エステルを単離又は精製してもよい。
本実施形態は、変形例として、上述の工程A〜Dに加えて、工程Dで得られるアジピン酸化合物を加水分解する以下の工程Eを更に含んでいてよい。本変形例では、アジピン酸化合物としてアジピン酸又はアジピン酸モノエステルを製造することができる。
(工程E)
工程Eでは、下記反応式(V)に示すように、工程Dで得られるアジピン酸ジエステルを加水分解してアジピン酸又はアジピン酸モノエステル(式(8)で表される化合物)を得る。
Figure 2019017490
一般式(7)において、R及びR’は炭素原子数1〜6の直鎖状のアルキル基、又は炭素原子数3〜6の分岐状のアルキル基を示す。なお、一般式(7)において、R及びR’は、通常、同一であるが、異なっていてもよい。また、一般式(8)において、R’’は、水素原子、又は一般式(7)におけるR若しくはR’と同義である。
アジピン酸ジエステルの加水分解は、酸・塩基どちらでも実施することができる。酸としては、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸等が挙げられる。また、塩基としては、例えば、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。
工程Eにおけるアジピン酸の収率は、好ましくは90%以上であり、より好ましくは95%以上である。本開示におけるアジピン酸の収率は、アジピン酸ジエステルを基準とするモル基準の収率である。
以上のとおり、本実施形態及びその変形例に係るペンテン酸エステル誘導体の製造方法によれば、バイオマス原料から、アジピン酸ジエステル、アジピン酸モノエステル及びアジピン酸からなる群より選択される少なくとも1種を含むアジピン酸化合物を効率よく製造することができる。
[1,6−ヘキサンジオールの製造方法]
ペンテン酸エステル誘導体の製造方法は、上述の工程A〜D又は工程A〜Eに加えて、工程Fを更に含んでいてよい。この場合、当該製造方法により、1,6−ヘキサンジオールを得ることができる。
(工程F)
工程Fは、アジピン酸化合物と水素源とを反応させて1,6−ヘキサンジオールを得る工程である。工程Fにおけるアジピン酸化合物は、工程Dで得られるアジピン酸ジエステルであってもよいし、工程Eで得られるアジピン酸又はアジピン酸モノエステルであってもよい。この中で、後述する水素化触媒の寿命の観点から、工程Dで得られるアジピン酸ジエステルが好ましい。
工程Fでは、アジピン酸化合物(上述の一般式(7)又は(8)で表される化合物)と、水素源と、を反応させて1,6−ヘキサンジオールを得る。
工程Fで使用する水素源としては、特に限定されることはない。具体的には、例えば、水素ガス、アルコール、ギ酸、ヒドラジン、水素化ホウ素ナトリウム、水素化アルミニウムリチウム等が挙げられる。水素源は、反応終了後の分離精製が容易である観点から、水素ガスであることが好ましい。
工程Fでは、アジピン酸化合物と、水素源と、を水素化触媒の存在下で、反応させてよい。工程Fで使用する水素化(水素添加)触媒は、金属元素を含有する触媒であり、エステル及びカルボキシル基等のカルボニル化合物を水素化(水素添加)できる触媒であれば任意に選択することができる。水素化触媒は、好ましくは、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)等の金属元素を1種、又は2種以上含む固体触媒であり、より好ましくは銅(Cu)を含有する固体触媒である。
上記水素化(水素添加)触媒中の上述の金属元素の合計含有量は、水素化触媒の全質量基準で、好ましくは1質量%以上80質量%以下であり、より好ましくは5質量%以上60質量%以下である。なお、水素化触媒中に含まれる金属元素は、0価の金属、又は金属酸化物として存在していてもよい。金属酸化物の比率が高い場合には、反応前に水素ガス等で事前に還元処理を行ってもよいし、そのまま反応に使用してもよい。
上記水素化触媒は担体を含有していてもよい。担体は、例えば、工程Bで例示されたものであってよい。
上記水素化触媒は、上述した金属元素の他に、他の金属元素を含んでいてよい。他の金属元素は、0価の金属又は金属酸化物として存在していてよい。他の金属元素としては、例えば、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、レニウム(Re)、亜鉛(Zn)、マグネシウム(Mg)、ナトリウム(Na)、カルシウム(Ca)等が挙げられる。
工程Fの反応では、回分式(バッチ式)、又は連続式のいずれの方法も選択することができる。また、水素化触媒の性質により、均一系、及び不均一系(懸濁反応)のどちらの反応系でも実施できる。
工程Fの反応を回分式で行う場合には、例えば、水素化触媒と、アジピン酸化合物と、を混合し、水素雰囲気下にて撹拌しながら反応させる。
工程Fの反応を連続式で行う場合には、例えば、水素化触媒を充填した反応管に、水素、及びアジピン酸化合物を流通させながら反応させる。なお、必要に応じて、反応管への触媒の充填を支持するような不活性な固体充填物を反応管内に配してもよい。
工程Fの反応を行う際の反応温度は、好ましくは50〜250℃であってよく、150〜220℃であってよい。また、工程Fの反応を行う際の反応圧力は、水素分圧は、常圧〜10MPaであってよい。
上記反応温度及び反応圧力は、当該範囲内で断続的又は連続的に変化させてもよい。反応温度及び反応圧力を上記範囲とすることで、副生物の生成を抑制しつつ、高い反応速度で、高収率かつ高選択的に1,6−ヘキサンジオールを得ることができる。
工程Fの反応においては、原料であるアジピン酸化合物の供給のしやすさ及び回分式での撹拌性の向上、又は、連続式での流通性の向上等のために溶媒を使用してもよい。工程Fで使用する溶媒は、例えば、工程Bで使用する溶媒として例示された溶媒であってよい。
工程Fで使用する溶媒の使用量は、アジピン酸化合物1質量部に対して、好ましくは0〜100質量部、より好ましくは0〜50質量部である。溶媒の使用量をこの範囲とすることで、攪拌又は流通が速やかに行われ、反応をスムーズに進行させることができる。
工程Fにおけるアジピン酸化合物の転化率は、好ましくは80%以上であり、より好ましくは90%以上であり、更に好ましくは95%以上である。工程Fにおけるアジピン酸化合物の転化率は、モル基準である。
工程Fにおける1,6−ヘキサンジオールの収率は、好ましくは80%以上であり、より好ましくは85%以上である。本開示における1,6−ヘキサンジオールの収率は、1,6−ヘキサンジオールを基準とするモル基準の収率である。
本実施形態では、工程Fにおいて、1,6−ヘキサンジオールを含む反応液を得ることができる。上記工程F終了後、得られた反応液に対して、例えば、濾過、濃縮、抽出、蒸留、昇華、再結晶、カラムクロマトグラフィー等の一般的な操作(精製工程)を行うことによって、1,6−ヘキサンジオールを単離又は精製してもよい。
[1,3−ブタジエンの製造方法]
ペンテン酸エステル誘導体の製造方法は、上述の工程A〜Cに加えて、以下の工程Gを更に備えていてよい。この場合、当該製造方法により、1,3−ブタジエンを得ることができる。
(工程G)
工程Gは、工程Cで得られるペンテン酸エステル、水及び酸無水物を錯体金属の存在下で反応させて1,3−ブタジエンを得る工程である。
工程Gでは、工程Cで得られるペンテン酸エステルを使用する。なお、工程Cで得られるペンテン酸エステルを特に精製することなくそのまま使用してもよいし、蒸留等で精製したものを使用してもよい。
水の使用量は、ペンテン酸エステル1モルに対して、1〜10モル(1〜10モル当量)であってよく、1.2〜5.0モル(1.2〜5.0モル当量)であってよく、1.5モル〜2.5モル(1.5〜2.5モル当量)であってよい。
酸無水物としては、例えば、無水酢酸、無水コハク酸、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水安息香酸等が挙げられる。酸無水物の使用量は、ペンテン酸エステル1モルに対して、1〜10モル(1〜10モル当量)であってよく、1.2〜5モル(1.2〜5モル当量)であってよく、1.5モル〜2.5モル(1.5モル〜2.5モル当量)であってよい。
工程Gおいては、撹拌性の向上等のために溶媒を使用してもよい。工程Gで使用する溶媒は、工程Bで使用する溶媒として例示した溶媒であってよい。
工程Gで使用する溶媒の使用量は、ペンテン酸エステル1質量部に対して、好ましくは0〜100質量部、更に好ましくは0〜50質量部である。
工程Dで使用する錯体金属は、周期律表の第8〜10族に属する金属元素(第8〜10族金属元素)から選ばれる少なくとも一種を含む金属化合物と、配位子と、から形成される。
第8〜10族金属元素としては、鉄(Fe)、ルテニウム(Ru)、コバルト(Co)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、及び白金(Pt)等が挙げられる。第8〜10族金属元素は、好ましくはパラジウム(Pd)である。錯体金属に含まれる金属化合物は、金属元素としてパラジウムを含む化合物(パラジウム化合物)であることが好ましい。
パラジウム化合物としては、例えば、上記例示したものが挙げられる。パラジウム化合物は、好ましくは酢酸パラジウム及び塩化パラジウムからなる群より選択される少なくとも1種を含み、より好ましくは塩化パラジウムを含む。
上記金属化合物は一種を単独で使用してもよいし、二種以上を組み合わせて使用してもよい。二種以上の金属化合物は混合物又は複合化合物であってもよい。
金属化合物(例えば、パラジウム化合物)の使用量としては、ペンテン酸エステル1モルに対して、0.005〜0.5モル(0.005〜0.5モル当量)であってよく、0.01〜0.3モル(0.01〜0.3モル当量)であってよい。
錯体金属に含まれる配位子は、特に限定されるものではないが、ホスフィン配位子が好適に用いられる。ホスフィン配位子としては、例えば、上記例示したものを用いることができ、好ましくはビス[2−(ジフェニルホスフィノ)フェニル]エーテルが用いられる。
配位子の使用量としては、金属化合物(例えば、パラジウム化合物)1モルに対して、1〜50モル(1〜50モル当量)であってよく、1〜10モル(1〜10モル当量)であってよい。
工程Gの反応を行う際の反応温度は、50〜250℃であってよく、80〜200℃であってよい。
工程Gは窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下、又は一酸化炭素ガス雰囲気下にて実施してよい。工程Gの反応を行う際の反応圧力は、常圧〜5MPaであってよく、常圧〜2MPaであってよい。なお、反応温度及び反応圧力は、上記範囲内で断続的又は連続的に変化させてもよい。
本実施形態では、工程Gにおいて、1,3−ブタジエンを含む反応液又は生成ガスを得ることができる。
工程Gにおけるペンテン酸エステルの転化率は、好ましくは80%以上であり、より好ましくは90%以上であり、更に好ましくは95%以上である。工程Gにおけるペンテン酸エステルの転化率は、モル基準である。
工程Gにおける1,3−ブタジエンの収率は、好ましくは80%以上であり、より好ましくは90%以上である。工程Gにおける1,3−ブタジエンの収率は、ペンテン酸エステルを基準とするモル基準の収率である。
工程Gの別の形態としては、前記ペンテン酸エステルと水とを酸触媒存在下で反応させてブテン(1−ブテンと2−ブテンの混合物)を得る工程、及び前記ブテンを金属酸化物触媒存在下で脱水素反応させて1,3−ブタジエンを得る工程を更に含む。
(ペンテン酸エステルと水とを触媒存在下で反応させてブテン(1−ブテンと2−ブテンの混合物)を得る工程)
この工程における水の使用量は、ペンテン酸エステル1モルに対して、1〜100モル(1〜100モル当量)であってよく、5.0〜60モル(5.0〜60モル当量)であってよく、10モル〜30モル(10〜30モル当量)であってよい。
この工程における酸触媒としては、硫酸や塩酸、硝酸、リン酸等の均一酸やシリカ−アルミナ、ゼオライト、ニオブ酸、スルホン化チタニア、スルホン化ジルコニア、スルホン化活性炭等といった固体酸が用いられる。酸触媒としては、好ましくはシリカ−アルミナである。
この工程の反応は、例えば、固体酸触媒を充填した反応管に、ペンテン酸エステルと水の混合液を流通させながら反応させる。なお、必要に応じて、反応管への触媒の充填を支持するような不活性な固体充填物を反応管内に配してもよい。
この工程の反応は、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下にて実施する。この際の反応温度は、好ましくは300〜500℃であってよく、350〜450℃であってよい。また、反応圧力は、常圧〜5MPaであってよく、常圧〜2MPaであってよい。なお、反応温度及び反応圧力は、上記範囲内で断続的又は連続的に変化させてもよい。
本実施形態では、ブテン(1−ブテンと2−ブテンの混合物)を含む生成ガスを得ることができる。
(ブテン(1−ブテンと2−ブテンの混合物)を脱水素して1,3−ブタジエンを得る工程)
この工程の反応は、例えば、金属酸化物触媒を充填した反応管に、ブテン(1−ブテンと2−ブテンの混合物)を流通させながら反応させる。なお、必要に応じて、反応管への触媒の充填を支持するような不活性な固体充填物を反応管内に配してもよい。
この工程における金属酸化物触媒としては、亜鉛と鉄を含む複合酸化物、コバルトと鉄を含む複合酸化物、ニッケルと鉄を含む複合酸化物、銅と鉄を含む複合酸化物、ビスマスとモリブデンを含む複合酸化物、等が用いられる。
この工程の反応は、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下にて実施する。この際の反応温度は、好ましくは350〜500℃であってよく、400〜450℃であってよい。また、反応圧力は、常圧〜5MPaであってよく、常圧〜2MPaであってよい。なお、反応温度及び反応圧力は、上記範囲内で断続的又は連続的に変化させてもよい。
本実施形態では、1,3−ブタジエンを含む生成ガスを得ることができる。
[ε−カプロラクタムの製造方法]
ペンテン酸エステル誘導体の製造方法は、上述の工程A〜Cに加えて、以下の工程H〜Iを更に含んでいてよい。この場合、当該製造方法により、ε−カプロラクタムを得ることができる。
(工程H)
工程Hは、工程Cで得られるペンテン酸エステルと一酸化炭素と水素とを錯体金属の存在下で反応させて5−ホルミルペンタン酸エステル(5−ホルミルバレレートともいう。)を得る工程である。
工程Hでは、下記反応式(VI)に示すように、工程Cで得られるペンテン酸エステル(一般式(4)、一般式(5)及び一般式(6)で示される化合物)と一酸化炭素と水素とを錯体金属の存在下で反応させて5−ホルミルペンタン酸エステルを得る。5−ホルミルペンタン酸エステルは、一般式(9)で表される化合物である。
Figure 2019017490
一般式(4)〜(6)及び(9)において、R’は炭素原子数1〜6の直鎖状のアルキル基、又は炭素原子数3〜6の分岐状のアルキル基を示す。なお、一般式(4)〜(6)及び(9)において、R’は、通常、同一であるが、異なっていてもよい。
工程Hでは、工程Cで得られるペンテン酸エステルを使用する。なお、工程Cで得られるペンテン酸エステルを特に精製することなくそのまま使用してもよいし、蒸留等で精製したものを使用してもよい。
工程Hで使用する錯体金属としては、ヒドロホルミル化反応に通常使用される錯体金属を使用することができる。例えば、工程Hで使用する錯体金属は、周期律表の第8〜10族に属する金属元素(第8〜10族金属元素)から選ばれる少なくとも一種を含む金属化合物と、配位子と、から形成される。
第8〜10族金属元素としては、鉄(Fe)、ルテニウム(Ru)、コバルト(Co)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、及び白金(Pt)等が挙げられる。第8〜10族金属元素は、ロジウム(Rh)である。錯体金属に含まれる金属化合物は、金属元素としてロジウムを含む化合物であることが好ましい。
ロジウムを含む化合物としては、例えば、クロロ(1,5−シクロオクタジエン)ロジウム(I)ダイマー、ビス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)カルボニルクロリド、ジ−μ−クロロテトラカルボニルジロジウム(I)、ジ−μ−クロロテトラエチレンジロジウム(I)、(アセチルアセトナト)(1,5−シクロオクタジエン)ロジウム(I)、(アセチルアセトナト)(ノルボルナジエン)ロジウム(I)、(アセチルアセトナト)ジカルボニルロジウム(I)、トリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)クロリド等が挙げられる。
上記金属化合物は一種を単独で使用してもよいし、二種以上を組み合わせて使用してもよい。二種以上の金属化合物は混合物又は複合化合物であってもよい。
金属化合物の使用量としては、ペンテン酸エステル1モルに対して、0.001〜0.050モル(0.001〜0.050モル当量)であってよく、0.005〜0.0.0015モル(0.005〜0.015モル当量)であってよい。
錯体金属に含まれる配位子は、特に限定されるものではないが、ホスフィン配位子が好適に用いられる。ホスフィン配位子としては、例えば、上記例示したものを用いることができ、高い選択性の観点から、好ましくは4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−9,9−ジメチルキサンテンが用いられる。
配位子の使用量としては、金属化合物1モルに対して、1〜50モル(1〜50モル当量)であってよく、1〜10モル(1〜10モル当量)であってよい。
工程Hは、水素及び一酸化炭素雰囲気下で実施してよい。水素ガスに対する一酸化炭素ガスのモル比は、1/5〜5/1であってよく、1/3〜3/1であってよく、1/1であってよい。
工程Hの反応においては、原料であるペンテン酸エステルの供給のしやすさ及び回分式での撹拌性の向上、又は、連続式での流通性の向上等のために溶媒を使用してもよい。工程Hで使用する溶媒としては、例えば、工程Bで使用する溶媒として例示した溶媒であってよい。溶媒は、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
工程Hで使用する溶媒の使用量は、ペンテン酸エステル1質量部に対して、好ましくは0〜100質量部、より好ましくは0〜50質量部である。溶媒の使用量をこの範囲とすることで、攪拌又は流通が速やかに行われ、反応をスムーズに進行させることができる。
工程Hの反応を行う際の反応温度は、50〜250℃であってよく、80〜150℃であってよい。
工程Hの反応を行う際の反応圧力は、常圧〜5MPaであってよく、常圧〜3MPaであってよい。なお、反応温度及び反応圧力は、上記範囲内で断続的又は連続的に変化させてもよい。
本実施形態では、工程Hにおいて、5−ホルミルペンタン酸エステルを含む反応液を得ることができる。工程H終了後、5−ホルミルペンタン酸エステルを含む溶液に対して、例えば、濾過、濃縮、抽出、蒸留、昇華、再結晶、カラムクロマトグラフィー等の一般的な操作(精製工程)を行うことによって、5−ホルミルペンタン酸エステルを精製してもよい。
工程Hにおけるペンテン酸エステルの転化率は、好ましくは80%以上であり、より好ましくは90%以上である。工程Hにおけるペンテン酸エステルの転化率は、モル基準である。
工程Hにおける5−ホルミルペンタン酸エステルの収率は、好ましくは15%以上であり、より好ましくは20%以上である。工程Hにおける5−ホルミルペンタン酸エステルの収率は、ペンテン酸エステルを基準とするモル基準の収率である。
(工程I)
工程Iは、5−ホルミルペンタン酸エステル(上述の一般式(9)で表される化合物)とアンモニアと水素源とを反応させてε−カプロラクタムを得る工程である。
工程Iでは、アンモニアを供給するためにアンモニア水溶液を使用することができる。アンモニアの使用量は、5−ホルミルペンタン酸エステル1モルに対して、好ましくは1〜20モル(1〜20モル当量)であり、より好ましくは3〜15モル(3〜15モル当量)である。
工程Iで使用する水素源としては、例えば、水素ガス、アルコール、ギ酸、ヒドラジン、水素化ホウ素ナトリウム、水素化アルミニウムリチウム等が挙げられる。水素源は、反応終了後の分離精製が容易である観点から、水素ガスであることが好ましい。
工程Iでは、5−ホルミルペンタン酸エステルとアンモニアと水素源とを金属触媒の存在下で反応させてよい。工程で使用する金属触媒は、金属元素を含有する触媒である。金属触媒は、例えば、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)等の金属元素を1種、又は2種以上含む固体触媒であってよく、好ましくはパラジウム(Pd)を含有する固体触媒である。
金属触媒中の上述の金属元素の合計含有量は、金属触媒の全質量基準で、好ましくは1質量%以上50質量%以下であり、より好ましくは2質量%以上30質量%以下である。なお、水素化触媒中に含まれる金属元素は、0価の金属、又は金属酸化物として存在していてもよい。金属酸化物の比率が高い場合には、反応前に水素ガス等で事前に還元処理を行ってもよいし、そのまま反応に使用してもよい。
上記金属触媒は担体を含有していてもよい。担体としては、多孔質のものが好適に用いられ、例えば、多孔質シリカ、多孔質アルミナ、多孔質シリカアルミナ(アルミノシリケート)、多孔質セリア、多孔質マグネシア、多孔質カルシア、多孔質チタニア、多孔質シリカチタニア(チタノシリケート)、多孔質ジルコニア、活性炭、ゼオライト、メソ孔体(メソポーラス−アルミナ、メソポーラス−シリカ、メソポーラス−カーボン)等が挙げられる。担体は、好ましくは、多孔質シリカ、多孔質アルミナ、多孔質活性炭、及び多孔質ゼオライトが挙げられる。なお、これらの担体は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
工程Iの反応では、回分式(バッチ式)、又は連続式のいずれの方法も選択することができる。また、金属触媒の性質により、均一系、及び不均一系(懸濁反応)のどちらの反応系でも実施できる。
工程Iは、例えば、金属触媒と、5−ホルミルペンタン酸エステルと、アンモニアと、を混合し、水素雰囲気下にて撹拌しながら反応させてよい。
工程Iの反応を行う際の反応温度は、好ましくは20〜200℃であり、より好ましくは30〜150℃である。また、工程Iの反応を行う際の反応圧力は、水素分圧として、常圧〜10MPa、より好ましくは常圧〜5MPaである。
上記反応温度及び反応圧力は、当該範囲内で断続的又は連続的に変化させてもよい。反応温度及び反応圧力を上記範囲とすることで、副生物の生成を抑制しつつ、高い反応速度で、高収率かつ高選択的にε−カプロラクタムを得ることができる。
工程Iの反応においては、原料である5−ホルミルペンタン酸エステルの供給のしやすさ及び回分式での撹拌性の向上、又は、連続式での流通性の向上等のために溶媒を使用してもよい。工程Iで使用する溶媒としては、例えば、工程Bで使用する溶媒として例示した溶媒であってよい。溶媒は、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
工程Iで使用する溶媒の使用量は、5−ホルミルペンタン酸エステル1質量部に対して、好ましくは0〜100質量部、より好ましくは0〜50質量部である。溶媒の使用量をこの範囲とすることで、攪拌又は流通が速やかに行われ、反応をスムーズに進行させることができる。
工程Iにおける5−ホルミルペンタン酸エステルの転化率は、好ましくは80%以上であり、より好ましくは90%以上であり、更に好ましくは95%である。工程Iにおける5−ホルミルペンタン酸エステルの転化率は、モル基準である。
工程Iにおけるε−カプロラクタムの収率は、好ましくは80%以上であり、より好ましくは90%以上であり、更に好ましくは95%である。工程Iにおけるε−カプロラクタムの収率は、5−ホルミルペンタン酸エステルを基準とするモル基準の収率である。
本実施形態では、工程Iにおいて、ε−カプロラクタムを含む反応液を得ることができる。上記工程I終了後、得られた反応液に対して、例えば、濾過、濃縮、抽出、蒸留、昇華、再結晶、カラムクロマトグラフィー等の一般的な操作(精製工程)を行うことによって、ε−カプロラクタムを単離又は精製してもよい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではない。
実施例を挙げて本発明の内容をより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<実施例1:ペンテン酸エステル誘導体の製造>
(工程A:レブリン酸エステル及びギ酸エステルの合成)
内容積1.5Lのオートクレーブに、バイオマス原料として針葉樹由来パルプ(セルロース含有量:76質量%)を37.5g、添加剤としてトリス(2,4−ペンタンジオナト)アルミニウム(III)(Al(acac))を0.49g(1.5mmol)、酸触媒としてp−トルエンスルホン酸を2.58g(15mmol)、メタノールを600g加え、窒素雰囲気下、3.5MPa、180℃の条件で5時間反応させた。反応後、室温(25℃)まで冷却し、内容物を回収後、ろ過によりろ物とろ液(以下、反応液と称す)に分離した。反応液中の成分をガスクロマトグラフィーにより分析した結果、レブリン酸メチルが収率67%、ギ酸メチルが収率77%で生成していることを確認した。
(工程A’:レブリン酸エステル及びギ酸エステルの分離)
得られた反応液570g(レブリン酸メチルの含有量:15.1g、ギ酸メチルの含有量:5.4g)を1Lナスフラスコに仕込み、85℃、常圧条件で加熱及び撹拌して、蒸留処理を行った。これによって、留出液としてギ酸エステルのメタノール溶液(ギ酸エステルの含有量:6.8質量%、メタノールの含有量:89質量%、以下「ギ酸エステル溶液」という。)を得た。ここで得たギ酸エステル溶液は、後述する工程Dにおけるアジピン酸エステルの合成反応のギ酸エステル原料として使用した。次に、上述の蒸留処理により得られた、蒸留残渣(釜残)を90〜95℃、常圧条件で加熱及び撹拌してメタノールを留去し、更に90℃、25〜45kPaの減圧条件で加熱及び撹拌して残留する不純物を留去した。得られた蒸留残渣を更に90℃、0.8〜1.0kPaの減圧条件で加熱及び撹拌し、留出液としてレブリン酸メチル8.1gを得た。得られたレブリン酸メチルのガスクロマトグラフィーによる純度は99質量%、NMRによる純度は99質量%であることを確認した。
(工程B:γ−バレロラクトンの合成)
反応管(φ10mm×100mm)に、水素化触媒として25wt%Cu−32wt%Zn/Al触媒(商品名:Cu−0891T1/8、Engelhard社製)を3.0mL(Cu:12mmol、Zn:15mmol)充填して水素化触媒層とした。水素化触媒は、水素化触媒全量基準で、Cuを25質量%含み、Znを32質量%含む。この水素化触媒層の上に、予熱層として2mmサイズのガラスビーズ2.0mLを充填した。前処理として、水素による水素化触媒の還元処理を行った。還元処理は、水素化触媒及び予熱層を充填した反応管に、水素ガスを20mL/min.で供給しながら、反応管をヒーターで180℃に加熱して、2時間保持することにより行った。その後、温度を160℃に、水素ガスの供給速度を15.0mL/min.にそれぞれ変更し、工程Aで得たレブリン酸メチルの反応管への通液を開始した。レブリン酸メチルの供給速度は5.7mmol/hとした。反応液の組成の安定化を図るため、レブリン酸メチルの反応管への通液を開始してから1時間経過後に、反応管出口から導出される反応液の捕集を開始した。
捕集開始時点から18時間継続してレブリン酸メチルを通液し、11.0gの捕集液を得た。捕集液をガスクロマトグラフィーで分析した結果、レブリン酸メチルの転化率は100%、γ−バレロラクトンの収率は99.9%で反応が進行していることを確認した。捕集液の組成としては、γ−バレロラクトンの含有量が92.9質量%であり、メタノールの含有量が6.9質量%であった。ここで得られた捕集液はγ−バレロラクトン原料として、後述する工程Cのペンテン酸エステルの合成で使用した。
(工程C:ペンテン酸エステルの合成)
反応管(φ10mm×100mm)に、ナトリウムX型ゼオライト触媒(和光純薬工業株式会社製、モレキュラーシーブ13X)4.0mLを充填して、ナトリウムX型ゼオライト触媒層とした。また、予熱層として2mmサイズのガラスビーズ2.0mLを上記ナトリウムX型ゼオライト触媒層の上に充填した。また、工程Bで得たγ−バレロラクトン原料(γ−バレロラクトンの含有量:92.9質量%、メタノールの含有量:6.9質量%)をγ−バレロラクトンの含有量が29.6質量%となるようにメタノールで希釈することにより、γ−バレロラクトンとメタノールとの混合溶液を調製した。
触媒及び予熱層を充填した反応管にキャリアガスとして窒素ガスを10mL/min.で供給しながら、反応管をヒーターで230℃に加熱した。その後、調製した混合溶液を反応管の入口から供給した。反応圧力は大気圧とした。このとき、γ−バレロラクトンの供給速度が1.4mmol/h、メタノールの供給速度が11.0mmol/hとなるように混合溶液を供給した。反応液の組成の安定化を図るため、1時間混合溶液を通液した後に、反応管出口から導出される反応液の捕集を開始した。
捕集開始時点から混合溶液を35時間継続して通液し、12.2gの捕集液を得た。捕集液をガスクロマトグラフィーで分析した結果、γ−バレロラクトンの転化率は97%、ペンテン酸エステルの収率は95%(うち、4−ペンテン酸メチル4.7%、3−ペンテン酸メチル44%、2−ペンテン酸メチル51%)、及び、γ−バレロラクトン基準のペンテン酸エステルの選択率は98%であった。また、メタノールの転化率は13%であり、メタノール基準のペンテン酸エステルの選択率は93%であった。捕集液は、ペンテン酸エステルの含有量が33.9質量%(うち、4−ペンテン酸メチル1.6質量%、3−ペンテン酸メチル14.9質量%、2−ペンテン酸メチル17.4質量%)であり、メタノールの含有量が61.4質量%であり、γ−バレロラクトンの含有量が1.7質量%であった。得られた捕集液はペンテン酸エステル原料として、後述するアジピン酸化合物、1,3−ブタジエン、ε−カプロラクタム等の合成に使用した。
これとは別に、捕集液をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル/ヘキサン=1/10)により精製することで、ペンテン酸エステル(NMR純度:99質量%)を得た。得られたペンテン酸エステルは、4−ペンテン酸メチル、3−ペンテン酸メチル及び2−ペンテン酸メチルの混合物であり、その存在量は、それぞれ3.9質量%、46質量%、質量50%であった。得られたペンテン酸エステルのバイオマス度の評価を、加速器質量分析法により、バイオマス炭素含有率を測定することで評価した。バイオマス炭素含有率は、ASTM D6866-10規格に準拠して算出した。その結果、ペンテン酸エステルのバイオマス炭素含有率(バイオマス度)は84%であった。得られたペンテン酸メチルのバイオマス炭素含有率は、理論バイオマス炭素含有率(83%)に近い値であり、アルコール由来の炭素を除いた、ペンテン酸骨格の炭素全てがバイオマス由来であることが示された。なお、理論バイオマス含有率とは、アルコール由来の炭素を除いた、ペンテン酸骨格のすべての炭素がバイオマスに由来するときのバイオマス炭素含有率である。
<実施例2:アジピン酸化合物の製造>
(工程D:アジピン酸ジメチルの合成)
内容積50mLのオートクレーブに、工程Cで得られたペンテン酸エステル原料4.15g(ペンテン酸エステルの含有量:1.41g、メタノールの含有量:2.55g)、及び、工程Aで得られたギ酸エステル原料16.4g(ギ酸メチルの含有量:1.11g、メタノールの含有量:14.6g)を仕込み、さらに錯体金属として、酢酸パラジウム54mg(0.24mmol)、1,2−ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノメチル)ベンゼン380mg(0.96mmol)及びp−トルエンスルホン酸・一水和物230mg(1.2mmol)を加えた。反応容器内を窒素ガスで置換した後に室温で0.5MPaにまで加圧し、100℃で10時間反応させた。反応後、室温まで冷却した後に、反応液をガスクロマトグラフィーで分析した結果、ペンテン酸エステルの転化率が46%であり、アジピン酸ジメチルが収率41%で得られていることを確認した。
得られたアジピン酸ジメチル反応液をエバポレーターで濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒:トルエン)で精製し、アジピン酸ジメチル0.401g(単離収率18%)を得た。得られたアジピン酸ジメチルのNMRによる純度は99質量%であった。精製したアジピン酸ジメチルのバイオマス度の評価は、加速器質量分析法により、バイオマス炭素含有率を測定することで評価した。バイオマス炭素含有率は、ASTM D6866-10規格に準拠して算出した。その結果、アジピン酸ジメチルのバイオマス炭素含有率は80%であった。得られたアジピン酸ジメチルのバイオマス炭素含有率は、理論バイオマス炭素含有率(75%)に近い値であり、アジピン酸骨格の炭素全てがバイオマス由来であることが示された。なお、理論バイオマス含有率とは、アジピン酸骨格のすべての炭素がバイオマスに由来するときのバイオマス炭素含有率である。
(工程E:アジピン酸の合成)
精製したアジピン酸ジメチル0.25g(1.44mmol)に5.0MのHCl水溶液3.0gを加え、24時間静置して加水分解を行った。析出したアジピン酸をろ別後、水(10.0g)で洗浄した。60℃、10kPaで減圧乾燥を行い、アジピン酸0.21g(1.41mmol、アジピン酸ジメチル基準の収率98%)を得た。得られたアジピン酸のNMRによる純度は、99質量%であった。
<実施例3:1,6−ヘキサンジオールの製造>
内容積50mLのオートクレーブに、実施例2で製造したアジピン酸ジメチル0.87g(5mmol)、Cu−Zn触媒1.0g(日揮触媒化成株式会社製、N218)、及び溶媒として1,2−ジメトキシエタン6mLを仕込んだ。反応容器内を窒素ガスで置換した後に水素を室温で8.0MPaにまで加圧し、200℃で16時間反応させた。反応後、室温まで冷却した後に、反応液をガスクロマトグラフィーで分析した結果、アジピン酸ジメチルの転化率が95%であり、1,6−ヘキサンジオールが収率88%で得られていることを確認した。
<実施例4:1,3−ブタジエンの製造>
実施例1で製造したペンテン酸エステル原料0.70g(ペンテン酸メチルの含有量:0.24g、メタノールの含有量:0.46g)、水80mg、及び溶媒としてジエチレングリコールジエチルエーテル5mLを仕込んだ。さらに触媒として塩化パラジウム18mg(和光純薬製、0.1mmol)とビス[2−(ジフェニルホスフィノ)フェニル]エーテル162mg(東京化成製、0.3mmol)を加えた。反応容器内を窒素で置換したのち、前処理として100℃で2時間撹拌した。その後、無水酢酸408mg(和光純薬製、4mmol)を加え、140℃で反応させた。このとき、出口ガスをメシチレンに通すことでガスとして生成する1,3−ブタジエンをトラップした。5時間反応させた後、反応液中のペンテン酸エステルと1,3−ブタジエン、またメシチレントラップ中の1,3−ブタジエンをガスクロマトグラフィーで定量分析した結果、ペンテン酸メチルの転化率は98%であり、1,3−ブタジエン収率は93%であることを確認した。
<実施例5:ε−カプロラクタムの製造>
(5−ホルミルバレレートの合成)
実施例1で製造したペンテン酸エステル原料3.8g(ペンテン酸メチルの含有量:1.3g、メタノールの含有量:2.5g)をエバポレーターで濃縮し、メタノールを除去した。内容積50mLのオートクレーブに、ペンテン酸エステル原料の濃縮物と1,2−ジメトキシエタン20mLを仕込んだ。得られた液に、さらに触媒としてクロロ(1,5−シクロオクタジエン)ロジウム(I)ダイマー49mg(東京化成工業株式会社製、0.1mmol)と4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−9,9−ジメチルキサンテン243mg(東京化成工業株式会社製、0.42mmol)とを加えた。反応容器内を窒素ガスで置換した後に一酸化炭素と水素の混合ガス(CO/H=1/1(モル比))を室温で2.0MPaにまで加圧し、100℃で6時間反応させた。反応後、室温まで冷却した後に、反応液をガスクロマトグラフィーで分析した結果、ペンテン酸エステルの転化率が92%、5−ホルミルバレレートが収率31%で得られていることを確認した。
反応液をエバポレーターで濃縮した後、酢酸エチル/ヘキサン(1/2)を展開溶媒としてシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、5−ホルミルペンタン酸メチル(メチル 5−ホルミルバレレート)0.360g(単離収率25%)を得た。
(ε−カプロラクタムの合成)
内容積50mLのオートクレーブに、得られたメチル 5−ホルミルバレレート0.360g(2.5mmol)と25%アンモニア水1.36g(富士フイルム和光純薬株式会社製、NHとして20mmol)、1,2−ジメトキシエタン10mLを仕込み、さらに触媒として5wt%Pd/Al(エヌ・イーケムキャット製)150mgを加えた。反応容器内を窒素ガスで置換した後に水素を室温で2.0MPaにまで加圧した。最初に40℃で2時間反応させた後、温度を100℃まで昇温し、さらに4時間反応させた。反応後、室温まで冷却した後に、反応液をガスクロマトグラフィーで分析した結果、5−ホルミルペンタン酸メチル(メチル 5−ホルミルバレレート)の転化率が98%であり、ε−カプロラクタムが収率86%で得られていることを確認した。

Claims (14)

  1. バイオマス原料を用いるペンテン酸エステル誘導体の製造方法であって、
    前記バイオマス原料と第1のアルコールとを酸触媒の存在下で反応させてレブリン酸エステル及びギ酸エステルを得る工程A、
    前記レブリン酸エステルと水素源とを反応させてγ−バレロラクトンを得る工程B及び
    前記γ−バレロラクトンと第2のアルコールとを酸触媒又は塩基触媒の存在下で反応させてペンテン酸エステルを得る工程Cを含む、製造方法。
  2. 前記第1のアルコールがメタノールを含む、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記水素源が水素ガスを含む、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記第2のアルコールがメタノールを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 前記ペンテン酸エステルとギ酸エステルとを錯体金属の存在下で反応させてアジピン酸化合物を得る工程Dを更に含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 前記ギ酸エステルが、前記工程Aで得られるギ酸エステルを含む、請求項5に記載の製造方法。
  7. 前記アジピン酸化合物を加水分解する工程Eを更に含む、請求項5又は6に記載の製造方法。
  8. 前記アジピン酸化合物と水素源とを反応させて1,6−ヘキサンジオールを得る工程Fを更に含む、請求項5〜7のいずれか1項に記載の製造方法。
  9. 前記ペンテン酸エステル、水及び酸無水物を錯体金属の存在下で反応させて1,3−ブタジエンを得る工程Gを更に含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
  10. 前記ペンテン酸エステルと水とを酸触媒存在下で反応させてブテンを得る工程、前記ブテンを金属酸化物触媒存在下で脱水素して1,3−ブタジエンを得る工程、を更に含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
  11. 前記ペンテン酸エステルと一酸化炭素と水素とを錯体金属の存在下で反応させて5−ホルミルペンタン酸エステルを得る工程H及び
    前記5−ホルミルペンタン酸エステルとアンモニアと水素源とを反応させてε−カプロラクタムを得る工程Iを更に含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
  12. 前記バイオマス原料が、木材、おが屑、木粉、バーク、紙類、パルプ、紙廃棄物、バガス、もみ殻、ヤシ殻、フスマ、米糠、大豆粕、菜種粕、コーヒー粕、茶粕、おから、トウモロコシ穂軸、トウモロコシ茎葉、ヤシ毛、スイッチグラス、アルファルファ、竹、草、干し草、海草及び海藻からなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載の製造方法。
  13. 前記第1のアルコール又は前記第2のアルコールは、前記工程Bで得られるアルコールである、請求項1〜12のいずれか1項に記載の製造方法。
  14. 加速器質量分析法により求めたバイオマス度が、40%以上であるペンテン酸エステル。
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