JP2016501902A - アジピン酸の調製方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、アジピン酸アルキルエステルからアジピン酸を調製する方法であって、− 水の存在下、アジピン酸を含んでなる加水分解物を生成するのに適切な温度および時間の条件で、アジピン酸アルキルエステルに加水分解反応を施すことと、− 任意選択で前記加水分解物からアジピン酸を回収することとを備え、加水分解反応が、最初に存在するアジピン酸において実施されることを特徴とする方法に関し、さらに本方法によって得られたアジピン酸にも関する。本発明はまた、アジピン酸アルキルエステルの加水分解における酸触媒としてのアジピン酸の使用にも関する。本方法は、有利には、鉱酸も不均一な触媒も存在しなくても実施され得る。この方法を用いるアジピン酸製品は、金属および/またはスルフェートが少ない場合がある。【選択図】なし

Description

発明の詳細な説明
[発明の分野]
本発明は、アジピン酸を調製する方法と、本方法により獲得可能なアジピン酸とに関する。
[発明の背景]
アジピン酸(1,6−ヘキサン二酸)は、とりわけポリアミド(例、ポリアミド6,6等)の製造に重要な前駆物質である。アジピン酸の他の使用は、食品酸味料としての使用、接着剤、殺虫剤、革なめしおよび染色における用途である。
アジピン酸を製造するのに最も重要な方法は、オイルをベースとして、ベンゼンから出発する。この方法では、ベンゼンを水素化してシクロヘキサンにする。次に酸化剤としてHNOを用いてシクロヘキサンを酸化してアジピン酸にする。この方法の欠点は、化石由来のオイルをベースとすることである。この方法の別の欠点は、選択性に劣ることであり、それが二塩基酸の混合物の生成を導き、そのことが精製の問題を引き起こす。3番目の欠点は、酸化工程中のNOの発生であり、NOは、大気に放出される(NOが地球温暖化ガスであるので非常に望ましくない)か、触媒作用で分解される(費用が嵩む方法である)かのどちらかである。
別の方法として、アジピン酸は、アジピン酸ジメチルから製造される。このような代替的な経路の一つにおいて、アジピン酸ジメチルは、ブタジエンから製造され、ブタジエンは、3−ペンテン酸メチルに変換される。次の工程は、アジピン酸ジメチルに変換できる4−ペンテン酸メチルに、3−ペンテン酸メチルを異性化することである。ペンテン酸メチルはまた、ガンマ−バレロラクトンから製造されることができ、ガンマ−バレロラクトンは、レブリン酸の水素化によって、得てもよい。レブリン酸は、バイオマスからの持続可能な方法で得てもよい。
アジピン酸ジメチルからアジピンを製造する最終の工程は、加水分解を伴う。このような加水分解は、塩基の存在下でなされ得るが、通常、例えば均一な酸触媒(例えば硫酸)または不均一な酸触媒(例えばイオン交換樹脂)を用いて、酸触媒の存在下でなされる。
米国特許第4,360,695号明細書において、強酸性のイオン交換体を用いてのアジピン酸ジメチルの加水分解が記載されている。米国特許第2,968,674号明細書において、濃硝酸を用いてのアジピン酸ジメチルの加水分解が記載されている。米国特許第5,312,981号明細書において、スルホン酸基を含有する酸性樹脂の存在下でのアジピン酸ジメチルの加水分解が記載されている。硫酸または硝酸等の鉱酸を用いる欠点は、鉱酸は、腐蝕性であり、機器を損傷することがある点である。鉱酸の使用により、機器から金属を抽出する結果となることもあり、最後にはアジピン酸に及ぶ場合もある。硫酸を用いる具体的な欠点は、アジピン酸ジメチルを加水分解する場合、発癌性である硫酸ジメチルが結果として生成し得ることである。不均一な触媒を用いることに関する問題は、触媒の分離(例えば触媒の濾過工程)が必要となることである。
本発明の目的は、アジピン酸アルキルエステルからアジピン酸を調製する方法であって、より容易で、鉱酸も不均一な触媒も必要とせず、硫酸アルキルをあまり生成せず、および/またはそれが結果としてより高い収率をもたらす方法を提供することである。金属および/またはスルフェートをあまり含有しないアジピン酸を提供することも一つの目的である。
[発明の概要]
本発明は、アジピン酸アルキルエステルからアジピン酸を調製する改良された方法であって、水の存在下、アジピン酸を含んでなる加水分解物を生成するのに適切な温度および時間の条件で、アジピン酸アルキルエステルに加水分解反応を施すことと、任意選択で前記加水分解物からアジピン酸を回収することとを備える方法において、加水分解反応が、最初に存在するアジピン酸において実施されることを特徴とする方法を提供し、さらに本発明は、本方法によって得られたアジピン酸も提供する。本方法が、アジピン酸の結晶と母液を含んでなるスラリーを生じるように加水分解物に結晶化工程を施すことと、任意選択でアジピン酸結晶を含んでなる固体留分と液体留分を生じるようにスラリーに固体/液体の分離を施して固体留分を回収することと、スラリーまたは固体留分の少なくとも一部を加水分解反応に供給することとを備えるのがさらに好ましい。有利には、本方法は、鉱酸も不均一な触媒も存在しなくても実施できる。本発明はまた、本方法により得られるアジピン酸と、アジピン酸アルキルエステルの加水分解における酸触媒としてのアジピン酸の使用を提供する。本方法を用いて製造されるアジピン酸は、金属および/またはスルフェートが少ない。
[発明の詳細な説明]
本発明は、アジピン酸アルキルエステルからアジピン酸を調製する方法であって、水の存在下、アジピン酸を含んでなる加水分解物を生成するのに適切な温度および時間の条件で、アジピン酸アルキルエステルに加水分解反応を施すことと、任意選択で前記加水分解物からアジピン酸を回収することとを備える方法において、その加水分解反応が、最初に存在するアジピン酸において実施されることを特徴とする方法を提供する。
本発明者らは、アジピン酸アルキルエステルの加水分解が、いかなる鉱酸も不均一な触媒も存在しないで最初に存在するアジピン酸においてなされ得ることを驚くべきことに見出した。また、その加水分解は、硫酸ジメチルの生成を回避し得る。最初のアジピン酸は、酸、均一触媒として有利には働き得る。本方法における最初のアジピン酸の量は、反応混合物の総重量に基づいて、0.1〜10wt%、好ましくは0.2〜8wt%、0.25〜7wt%、0.25〜6wt%、さらに好ましくは0.25〜5wt%の範囲であってよい。最新技術では、その反応で最初に存在するアジピン酸に関してはもちろん言及されておらず、ましてや、この最初に存在するアジピン酸によって、鉱酸が存在しなくてもアジピン酸アルキルエステルの加水分解が可能となることに関して言及されていない。
加水分解反応は、アジピン酸とアジピン酸アルキルエステルが互いに接触して、その反応条件が加水分解に適切である際に開始するだろう。本発明の方法における加水分解反応は、アジピン酸アルキルエステルをアジピン酸に添加することにより、開始され得る。別の方法として、加水分解反応は、アジピン酸をアジピン酸アルキルエステルに添加することにより、開始され得る。
好ましくは、本発明の方法で使用されるアジピン酸アルキルエステルは、アジピン酸と接触する前に、全てアジピン酸アルキルエステルの総重量に基づいて、2wt%未満のアジピン酸、さらに好ましくは1.5wt%未満のアジピン酸、1wt%未満のアジピン酸、0.5wt%未満のアジピン酸、尚さらに好ましくは0.4wt%未満のアジピン酸、0.3wt%未満のアジピン酸、0.2wt%未満のアジピン酸、尚さらに好ましくは0.1wt%未満のアジピン酸、0.01wt%未満、尚さらに好ましくは0.001wt%未満のアジピン酸を含んでなる。そのアジピン酸アルキルエステルは、アジピン酸を全く含有しないのが最も好ましいが、アジピン酸アルキルエステルが、多少のアジピン酸、例えば0.001〜0.1wt%のアジピン酸、または0.001〜0.01wt%のアジピン酸を含有してもよい。アジピン酸アルキルエステルが、過剰のアジピン酸を含んでなるならば、加水分解反応が既に開始している場合もある。例えば、アジピン酸アルキルエステルがアジピン酸ジメチルである場合、アジピン酸ジメチルは室温で液体であり、過剰にアジピン酸が存在することにより、前記アジピン酸ジメチルならば、自発的に加水分解が起こるだろう。アジピン酸アルキルエステル、具体的には過剰のアジピン酸を含んでなるアジピン酸ジメチルは、従って安定していないだろう。それ故に、市販のアジピン酸ジメチルは、通例、結晶化されていずれのアジピン酸も除去されており、当技術分野で公知のアジピン酸ジメチルは、通常、アジピン酸を含有していない。
本プロセスは、連続プロセスであるのが好ましい。連続プロセスにおいて、最初のアジピン酸は、定常状態の濃度で存在してもよい。
本プロセスは、過剰の水(例えばアジピン酸アルキルエステル1モル当たり少なくとも2モルの水、好ましくはアジピン酸アルキルエステル1モル当たり2〜10、2〜9、2〜8、2〜7、2〜6、2〜7、2〜6、2〜5、2〜4モルの水)の存在下で実施されるのが好ましい。
アルキルエステルは、メチルエステルを含んでなってもよい。アジピン酸アルキルエステルの異性体(例、2−メチルペンタン二酸ジメチル、2−エチルコハク酸ジメチル等)。好適なアジピン酸アルキルエステルは、アジピン酸ジメチルもしくはアジピン酸モノメチルまたはそれらの混合物である。アジピン酸ジメチルまたはアジピン酸モノメチルは、金属触媒(例えばPd)の存在下で、メタノールおよびCOを含んでなるメチルペンテン酸からのカルボニル化反応によって獲得されてよい。加水分解物は、アジピン酸モノアルキルエステルを含んでなってもよい。
加水分解反応における時間、温度および圧力は、重要ではなく、極めて詳細に記載する必要はない。加水分解反応に適切な温度は、50〜300℃、好ましくは100〜250℃、さらに好ましくは150〜220℃の範囲であってよい。一般的に、温度が高いほど、反応時間は短くなり、逆の場合も同様である。温度が高いほど加水分解反応が短くなるので、より高い温度が好適である。加水分解反応が、高温(例えば、少なくとも150、少なくとも175℃)で実施され得るとしても、アジピン酸の収率は、良好であり、つまり、アジピン酸は殆ど分解しない。加水分解反応に適切な時間は、1分〜2時間の範囲であり得る。
本方法は、蒸留を備えてもよく、従って、前記蒸留が、反応条件下でなされる。反応蒸留において、生成した水およびアルカノール(例えばメタノール)は、蒸留液として除去されてもよく、アジピン酸は、蒸留残渣から回収されてもよい。
本方法は、アジピン酸を加水分解反応に供給することを備えてもよい。例えば、アジピン酸を含んでなる加水分解物の一部は、加水分解反応に再利用され得る。このアジピン酸は、最初のアジピン酸として働き得る。別の方法として、アジピン酸が、例えば結晶化により、加水分解物から回収されるならば、このように回収したアジピン酸の一部は、例えば、結晶の形態または溶液としての形態で、加水分解反応に再利用されてよい。有利には、回収したアジピン酸、またはアジピン酸を含んでなる加水分解物の加水分解反応への供給は、酸触媒としてのアジピン酸の使用を可能にしており、その上、アジピン酸は、プロセス中に残存するので、損失しない。
本方法は、
− アジピン酸の結晶と母液(AAを含んでなってもよい)を含んでなるスラリーを生じるように加水分解物に結晶化工程を施すことと、
− 任意選択で、アジピン酸結晶を含んでなる固体留分と液体留分を生じるようにスラリーを固体/液体に分離して固体留分を回収することと、
− スラリーまたは固体留分の少なくとも一部を加水分解反応に供給することと
を備えてもよい。
結晶化後に得られる母液は、残存するアジピン酸を含んでなってもよい。従って、本方法は、このような母液を加水分解反応に加えることも備えてよい。結晶化の条件は、当業者に公知のハンドブックに見出すことができる。本方法はまた、2つ以上の結晶化工程を備えてもよい。
一実施形態において、加水分解反応は、2つ以上の反応器、好ましくは3つの反応器を含んでなる。第一反応器を超過圧力で稼働するのが好ましい。これにより、有利には、アルカノールの殆どを蒸発させる結果となり得る。1つ以上の続いての反応器を圧力下で稼働してもよい。本実施形態は、メタノールが連続的に除去され得るので、硫酸ジメチルの生成が回避または低減されるという点で有益であり得る。さらに、滞留時間は、より短くなり得る。
さらなる一態様において、本発明は、本発明の方法によって獲得できるアジピン酸を提供する。本発明のアジピン酸は、金属および/またはスルフェートが少なくてもよい。
本発明のアジピン酸は、結晶の形態であってよい。本発明のアジピン酸は、粒状、スラリー、溶液、粉末、または塩の形態であってもよい。
別の一態様において、本発明は、アジピン酸アルキルエステルの加水分解における酸触媒としてのアジピン酸の使用を提供する。
[実施例]
[実施例1]
23wt%のアジピン酸ジメチル(アジピン酸無含有)と1.6wt%のアジピン酸を水中に各々含有する2種の混合液を、マイクロ波反応器中でそれぞれ185℃と200℃まで加熱した。変換率および選択率プロットを表1に示す。この反応で生成した唯一の副産物は、アジピン酸モノメチルである。結果を表1に示す。
Figure 2016501902
[実施例2]
13.2wt%のアジピン酸ジメチル(アジピン酸無含有)と1.8wt%のアジピン酸を水中に各々含有する2種の混合液を、マイクロ波反応器中でそれぞれ185℃と200℃まで加熱した。変換率および選択率プロットを表1に示す。この反応で生成した唯一の副産物は、アジピン酸モノメチルである。結果を表2に示す。
Figure 2016501902

Claims (12)

  1. アジピン酸アルキルエステルからアジピン酸を調製する方法であって、
    − 水の存在下、アジピン酸を含んでなる加水分解物を生成するのに適切な温度および時間の条件で、アジピン酸アルキルエステルに加水分解反応を施すことと、
    − 任意選択で前記加水分解物からアジピン酸を回収することと
    を備える方法において、
    前記加水分解反応が、最初に存在するアジピン酸において実施されることを特徴とする方法。
  2. 前記アジピン酸アルキルエステルが、アジピン酸ジメチルもしくはアジピン酸モノメチルまたはそれらの混合物である請求項1に記載の方法。
  3. アジピン酸の量が、前記反応混合物の総重量に基づいて、0.1〜10wt%である請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記アジピン酸アルキルエステルが、前記アジピン酸アルキルエステルを前記アジピン酸と接触させる前に、前記アジピン酸アルキルエステルの総重量に基づいて0.1wt%未満のアジピン酸を含んでなる請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記アジピン酸アルキルエステルが、前記アジピン酸アルキルエステルを前記アジピン酸と接触させる前に、前記アジピン酸アルキルエステルの総重量に基づいて0.01wt%未満のアジピン酸を含んでなる請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 過剰の水の存在下で実施される請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. アジピン酸アルキルエステル1モル当たり少なくとも2モルの水の存在下で実施される請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 蒸留を含んでなり、それによって前記蒸留が、反応条件下でなされる請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. アジピン酸を前記加水分解反応に供給することを備える請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. − アジピン酸の結晶と母液を含んでなるスラリーを生じるように前記加水分解物に結晶化工程を施すことと、
    − 任意選択で、アジピン酸の結晶を含んでなる固体留分と液体留分とを生じるように前記スラリーを固体/液体に分離して、前記固体留分を回収することと、
    − 前記スラリーまたは前記固体留分の少なくとも一部を前記加水分解反応に供給することと
    を備える請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法によって獲得できるアジピン酸。
  12. アジピン酸アルキルエステルの加水分解における酸触媒としてのアジピン酸の使用。
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