JPWO2019012984A1 - 双極板、セルフレーム、電池セル、セルスタック、及びレドックスフロー電池 - Google Patents

双極板、セルフレーム、電池セル、セルスタック、及びレドックスフロー電池 Download PDF

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Abstract

電解液が供給されて電池反応を行う電極に対向配置される双極板であって、前記双極板の表裏面のうち、少なくとも一面に前記電解液を流通する複数の溝部と、隣り合う前記溝部を仕切る畝部とを備え、前記畝部は、前記電極に接触する接触面と、前記接触面に開口する一つ以上の凹部とを備える特定畝部を含む双極板。

Description

本発明は、双極板、セルフレーム、電池セル、セルスタック、及びレドックスフロー電池に関する。
本出願は、2017年07月13日付の日本国出願の特願2017−137469に基づく優先権を主張し、前記日本国出願に記載された全ての記載内容を援用するものである。
蓄電池の一つに、電解液を電極に供給して電池反応を行うレドックスフロー電池(以下、RF電池と呼ぶことがある)がある。RF電池は、特許文献1に記載されるように、正極電解液が供給される正極電極と、負極電解液が供給される負極電極と、両電極間に介在される隔膜とを備える電池セルを主要素とする。一つの電池セルは、隔膜の表裏を挟む正極電極及び負極電極の積層物を更に挟むように一組の双極板が配置されて構成される(特許文献1の図19)。複数の電池セルを備える多セル電池では、双極板、正極電極、隔膜、負極電極という順に繰り返し積層され、各双極板は、その表裏を正極電極と負極電極とに挟まれる。
特開2015−122230号公報
本開示の双極板は、
電解液が供給されて電池反応を行う電極に対向配置される双極板であって、
前記双極板の表裏面のうち、少なくとも一面に前記電解液を流通する複数の溝部と、隣り合う前記溝部を仕切る畝部とを備え、
前記畝部は、前記電極に接触する接触面と、前記接触面に開口する一つ以上の凹部とを備える特定畝部を含む。
本開示のセルフレームは、
上記の本開示の双極板と、前記双極板の外周に設けられる枠体とを備える。
本開示の電池セルは、
上記の本開示のセルフレームと、電極とを備える。
本開示のセルスタックは、
上記の本開示の電池セルを備える。
本開示のレドックスフロー電池は、
上記の本開示の電池セル、又は上記の本開示のセルスタックを備える。
実施形態1の双極板を模式的に示す平面図である。 実施形態1の双極板において領域等を説明する説明図である。 実施形態1の双極板を図1Aに示す(II)−(II)切断線で切断した状態を模式的に示す部分断面図である。 実施形態2の双極板の一部を模式的に示す部分平面図である。 実施形態2の双極板を図3に示す(IV)−(IV)切断線で切断した状態を模式的に示す部分断面図である。 実施形態3の双極板の一部を模式的に示す部分平面図である。 実施形態3の双極板を図5に示す(VI)−(VI)切断線で切断した状態を模式的に示す部分断面図である。 実施形態のレドックスフロー電池の基本構成と、基本的な動作原理とを示す説明図である。 実施形態1の双極板を備えるセルフレーム、及び実施形態のセルスタックの一例を示す概略構成図である。 実施形態のセルスタックを備えるレドックスフロー電池の概略構成を示す説明図である。 試験例1の各試料のレドックスフロー電池において、放電時間(s)と放電電圧(V)との関係を示すグラフである。
[本開示が解決しようとする課題]
レドックスフロー電池に対して、放電容量の更なる向上が望まれている。
特許文献1の図1では、双極板の表裏面に電解液を流通する複数の溝部を設けることを開示する。しかし、この溝付きの双極板を備えていても、放電容量を十分に改善しているとは言えない。後述の試験例に示すように、上記の溝付きの双極板を備える従来のRF電池では、特に高出力で放電すると、放電時間が短く、放電容量の低下が顕著であるとの知見を得た。そのため、高出力で放電する場合でも放電時間が長く、放電容量が大きいRF電池が望まれる。
そこで、放電容量を増大できる双極板を提供することを目的の一つとする。また、放電容量を増大できるセルフレーム、電池セル、セルスタック、及びレドックスフロー電池を提供することを別の目的の一つとする。
[本開示の効果]
上記の本開示の双極板、上記の本開示のセルフレーム、上記の本開示の電池セル、上記の本開示のセルスタック、及び上記の本開示のレドックスフロー電池は、放電容量を増大できる。
[本願発明の実施形態の説明]
最初に本願発明の実施態様を列記して説明する。
(1)本発明の一態様に係る双極板は、
電解液が供給されて電池反応を行う電極に対向配置される双極板であって、
前記双極板の表裏面のうち、少なくとも一面に前記電解液を流通する複数の溝部と、隣り合う前記溝部を仕切る畝部とを備え、
前記畝部は、前記電極に接触する接触面と、前記接触面に開口する一つ以上の凹部とを備える特定畝部を含む。
上記の双極板は、その表裏面のうち、電極に対向配置される少なくとも一面に、複数の溝部と、隣り合う溝部間に設けられる畝部とを備える。このような双極板を備えるRF電池は、双極板の溝部を、電極に電解液を供給する供給路や電極からの電解液を排出する排出路とし、電極における双極板の畝部に対応する領域(以下、畝対向領域と呼ぶことがある)を、電池反応を行う反応領域として利用できるため、電池反応を効率よく行える。また、このRF電池は、複数の溝部を備えることで電解液の流通性に優れて、ポンプロスなどの損失も低減できる。従って、上記の双極板は、RF電池の構成要素に利用されることで、電池反応の効率の向上、損失の低減などに寄与する。
かつ、上記の双極板は、電極との接触面と凹部とが設けられた特定畝部を備える。このような双極板を備えるRF電池は、後述する試験例に示すように、特定畝部を有さない場合と比較して、放電時間を長くでき、放電容量を増大できる。この理由は定かではないが、溝部と凹部との双方を備えることで電解液の流速を流通箇所によって変えられるため、と考えられる。具体的には溝部内では電解液の流速を相対的に速くできて電解液の流通性を確保しつつ、凹部内では電解液の流速を相対的に遅くできて凹部に電解液を一時的に貯留できる。凹部から電極に電解液を供給できることで、電極における電解液の拡散抵抗を低減でき、電極に電解液が拡散し易くなって電池反応をより効率よく行えるため、と考えられる。また、上記接触面を備えることで、電極と上記の双極板との間で電子の移動を良好に行えるため、高出力で放電しても、放電時間を長くできる、と考えられる。詳細は後述する。
上記の双極板は、電池セルを一つのみ備える単セル電池、電池セルを複数積層して備える多セル電池のいずれにも利用できる。
(2)上記の双極板の一例として、
前記溝部は、前記電解液を導入する一つ以上の導入溝と、前記電解液を排出する一つ以上の排出溝とを備え、
前記導入溝と前記特定畝部と前記排出溝とが順に並ぶ領域を備える形態が挙げられる。
上記形態は、導入溝と特定畝部と排出溝との三者が順に並ぶ領域(以下、特定凹凸領域と呼ぶことがある)を備える。このような双極板は、導入溝を未反応の電解液の流路とし、排出溝を電池反応に使用された反応済の電解液の流路とすることができる。かつ、このような双極板に対向配置される電極は、特定畝部も含めて、導入溝と排出溝とを仕切る畝部に対応する畝対向領域を電池反応を行う反応領域として、より確実に利用できる。従って、上記形態の双極板を備えるRF電池は、電極への電解液の供給及び電極からの電解液の排出、並びに電池反応をより効率よく行える。特に、上記の電極の畝対向領域のうち、特定畝部に対応する領域では、双極板の凹部から電解液が供給されて電解液が拡散し易いため、電池反応をより一層効率よく行える上に、特定畝部が接触面を有するため、特定畝部との間で電子の移動も良好に行える。従って、上記形態は、RF電池の放電容量の増大に寄与する。
(3)上記(2)の双極板の一例として、
前記導入溝と前記排出溝とに挟まれる前記特定畝部において、前記接触面とこの特定畝部に存在する全ての前記凹部とを合わせた合計平面面積に対して、前記全ての凹部の合計平面面積の割合が5%以上70%以下である形態が挙げられる。
上記形態は、上述の面積割合を満たす範囲で凹部を備えるため、上述の流速調整に伴う電解液の拡散性の向上効果を得つつ、電極の畝対向領域を適切に確保して特定畝部の接触面と電極との間で電子の移動を良好に行える。このような形態は、RF電池の放電容量の更なる増大に寄与する。
(4)上記(2)又は(3)の双極板の一例として、
前記導入溝と前記排出溝とが交互に配置される噛合領域を有し、
前記噛合領域の前記畝部は前記特定畝部を含む形態が挙げられる。
上記形態は、導入溝と排出溝とを交互に備えると共に、特定凹凸領域を備える。このような双極板を備えるRF電池は、電極への電解液の供給及び電極からの電解液の排出、並びに電池反応を更に効率よく行える上に、放電容量の更なる増大が期待できる。特に、噛合領域に備えられる全ての畝部が特定畝部であると、上述の電解液の供給、排出、電池反応をより一層効率よく行える上に、放電容量のより一層の増大が期待できる。
(5)上記の双極板の一例として、
前記凹部は、前記溝部に開口しないものを含む形態が挙げられる。
溝部に開口しない凹部は、溝部の内周空間とは独立した内周空間を有するため、凹部内における電解液の流速と溝部内における電解液の流速とが異なり易く、凹部内に電解液を一時的に貯留し易い。このような形態は、上述の流速調整に伴う電解液の拡散性の向上効果をより得易く、電池反応をより効率よく行えるRF電池の構築に寄与する。
(6)上記の双極板の一例として、
前記特定畝部として、一つの前記特定畝部に複数の前記凹部を備え、前記複数の凹部の合計周長がこの特定畝部の長さの1/4以上であるものを含む形態が挙げられる。
ここで、一つの特定畝部において、接触面に設けられる開口縁の周長が比較的長い凹部(以下、大凹部と呼ぶことがある)を一つ備える場合と、上記周長が比較的短い凹部(以下、小凹部と呼ぶことがある)を複数備え、小凹部の合計周長が一つの大凹部の周長と同じである場合とを比較する。後者の複数の小凹部を備える場合は、一つの大凹部を備える場合に比較して、特定畝部に接触面と凹部とがバランスよく存在し易いといえる。その結果、電極に電解液をより拡散させ易い上に、特定畝部の接触面と電極との間での電子の移動を促進し易いと考えられる。上記形態は、複数の凹部を備える特定畝部を含むため、電池反応をより効率よく行える上に、放電容量が大きいRF電池の構築に寄与する。
(7)上記の双極板の一例として、
前記特定畝部として、前記電解液の流通方向に沿って設けられた前記畝部であって、前記電解液の流通方向に離間される複数の前記凹部を備えるものを含む形態が挙げられる。
上記形態は、複数の凹部を備える特定畝部を含むため、凹部が一つである特定畝部に比較して電解液の貯留量をより多くし易い。このような双極板を備えるRF電池は、電極(特に畝対向領域)に電解液をより拡散させ易い。また、上記形態は、電解液の流通方向に沿って凹部が存在するため、この双極板に対向配置される電極は、電解液の流通方向に沿って電解液の拡散領域を有することができる。そのため、上記形態の双極板を備えるRF電池は、電池反応をより確実に、より効率よく行えて、放電容量をより増大し易い。また、上記形態の特定畝部に仕切られる溝部も電解液の流通方向に沿って設けられるため、上記形態は、電解液の流通性により優れる。
(8)上記の双極板の一例として、
前記特定畝部の最小の幅は、前記溝部の最小の開口幅以上である形態が挙げられる。
上記形態は、比較的広幅の特定畝部を備えるため、この特定畝部に大きな凹部を備えたり、より多くの凹部を備えたりし易く、電解液の貯留量をより多くし易い。従って、上記形態の双極板を備えるRF電池は、電極(特に畝対向領域)に電解液をより拡散させ易く、放電容量をより増大し易い。
(9)本願発明の一態様に係るセルフレームは、
上記(1)から(8)のいずれか一つに記載の双極板と、前記双極板の外周に設けられる枠体とを備える。
上記のセルフレームは、上述の複数の溝部と、特定畝部を含む畝部とが設けられた上記の双極板を備えるため、RF電池の構成要素に利用されることで、電池反応の効率の向上、損失の低減に寄与すると共に、放電容量を増大できる。
(10)本願発明の一態様に係る電池セルは、
上記(9)のセルフレームと、電極とを備える。
上記の電池セルは、上述の複数の溝部と、特定畝部を含む畝部とが設けられた上記の双極板を備えるため、RF電池の構成要素に利用されることで、電池反応の効率の向上、損失の低減に寄与すると共に、放電容量を増大できる。
(11)上記の電池セルの一例として、
前記電極の厚さが50μm以上1mm以下である形態が挙げられる。
上記形態は、薄型のRF電池を構築することができる。
(12)本願発明の一態様に係るセルスタックは、
上記(10)又は(11)の電池セルを備える。
上記のセルスタックは、上述の複数の溝部と、特定畝部を含む畝部とが設けられた上記の双極板を備えるため、RF電池の構成要素に利用されることで、電池反応の効率の向上、損失の低減に寄与すると共に、放電容量を増大できる。
(13)本願発明の一態様に係るレドックスフロー電池は、
上記(10)又は(11)の電池セル、又は上記(12)のセルスタックを備える。
上記のRF電池は、上述の複数の溝部と、特定畝部を含む畝部とが設けられた上記の双極板を備えるため、電池反応を効率よく行えたり、損失を低減したりできると共に、上述の特定畝部を備えていない従来のRF電池と比較して放電容量を増大できる。
(14)上記のRF電池の一例として、
正極活物質としてマンガンイオン、バナジウムイオン、鉄イオン、ポリ酸、キノン誘導体、及びアミンの少なくとも1種を含む正極電解液を備える形態が挙げられる。
上記形態は、上記に列挙する正極活物質を含む正極電解液を備えるRF電池であって、上述の特定畝部を備えていない従来のRF電池に比較して放電容量が大きいものを構築できる。
(15)上記のRF電池の一例として、
負極活物質としてチタンイオン、バナジウムイオン、クロムイオン、ポリ酸、キノン誘導体、及びアミンの少なくとも1種を含む負極電解液を備える形態が挙げられる。
上記形態は、上記に列挙する負極活物質を含む負極電解液を備えるRF電池であって、上述の特定畝部を備えていない従来のRF電池に比較して放電容量が大きいものを構築できる。
[本願発明の実施形態の詳細]
以下、図面を参照して、本願発明の実施形態を具体的に説明する。図中、同一符号は同一名称物を示す。
[実施形態]
<双極板>
図1A,図1B,図2を参照して実施形態1の双極板2を説明する。
図1A,図2では溝部20及び畝部23が分かり易いように強調して示し、後述する寸法などを満たさない場合がある。この点は後述する図3〜図6も同様である。
図1Bは、図1Aと同じ平面図であり、双極板2の各領域等を説明し易いように、双極板2を点線で示し、各領域を実線又は太実線で示す。
図2は、図1Aに示す双極板2をその厚さ方向(図1Aでは紙面垂直方向)に切断した断面図である。図2では、電極13、隔膜11を仮想的に二点鎖線で示すと共に、双極板2が分かり易いように電極13、隔膜11を双極板2から離して示す。この点は、後述する図4,図6も同様である。
(概要)
実施形態1の双極板2は、代表的には、電流を流すが電解液を通さない導電性の平板材であり、その周縁領域を覆うように枠体120(後述の図8参照)が設けられてセルフレーム12(図8)の状態でRF電池の構成要素に利用される。双極板2は、RF電池に組み付けられた状態では、図2に示すように電解液が供給されて電池反応を行う電極13に対向配置される。
実施形態1の双極板2は、図1Aに示すように、その表裏面のうち、少なくとも電極13が対向配置される一面に電解液を流通する複数の溝部20と、隣り合う溝部20,20を仕切る畝部23とを備える。代表的には、双極板2において、枠体120に覆われる周縁領域を除く内側領域は、枠体120の窓部から露出されて、主として電極13が配置される(図8参照)。図1Aは、双極板2のうち、枠体120の窓部から露出される内側領域を示し、周縁領域を省略している。また、図1Aでは、上記内側領域に複数の溝部20及び複数の畝部23を備える場合を例示するが、上述の周縁領域を含めた双極板2の全体に溝部20及び畝部23を備えることもできる。
実施形態1の双極板2では、畝部23における電極13に対向配置される領域全体を凹凸のない平滑な面で構成するのではなく、局所的に凹部232を有する構成とする。詳しくは、実施形態1の双極板2では、畝部23は、電極13に接触する接触面231と、接触面231に開口する一つ以上の凹部232とを備える特定畝部230を含む。
本例の双極板2は、図1A,図1Bに示すように更に以下の構成を備える。
(1)溝部20は、電解液を導入する一つ以上の導入溝21と、電解液を排出する一つ以上の排出溝22とを備え、導入溝21と特定畝部230と排出溝22とが順に並ぶ領域(特定凹凸領域24、図1Bにおいて太実線で囲まれる縦長の長方形状の領域)を備える。
(2)導入溝21と排出溝22とが交互に配置される噛合領域25(図1Bにおいて実線で囲まれる長方形状の領域)を有し、噛合領域25に存在する畝部23が特定畝部230を含む。
(3)特定畝部230として、電解液の流通方向に沿って設けられた畝部23であって、電解液の流通方向に離間される複数の凹部232を備えるものを含む。
図1Aは、複数の畝部23が全て特定畝部230であり、各特定畝部230には複数の凹部232が離間して設けられている場合を例示する。
その他、この例では、双極板2における枠体120から露出される内側領域の平面形状を長方形とし、この領域の周縁をつくる四辺のうち、図1Aに示す下端縁を、電解液が供給される側に配置される供給縁200とし、上端縁を、電解液を双極板2外に排出する側に配置される排出縁202として説明する。この場合、電解液は、主として、供給縁200側から排出縁202側に向かって流れる。また、この例では、図1Aの上下方向を電解液の流通方向として説明する。
(溝部)
双極板2に設けられた溝部20は、電解液の流路として機能する。複数の溝部20は、例えば、図1Aに示すように一様な方向(ここでは電解液の流通方向)に延びる直線状の溝であって、所定の間隔をあけて並列に配置されることが挙げられる。ここでは、図1Aに示すように、各溝部20の溝長さ及び溝幅W21,W22、並びに溝深さd21,d22(図2)が実質的に等しく、複数の溝部20が双極板2の幅Wに対して等間隔に設けられた場合を例示する。また、ここでは、各溝部20は、その長手方向の全域に亘って、溝幅W21,W22及び溝深さd21,d22が実質的に等しく、その平面形状が細長い長方形状である場合を例示する。このような本例の双極板2は、以下(a)〜(d)の効果を奏する。
(a)各溝部20内での電解液の流通圧力の変動が生じ難く、電解液の流通性に優れる。
(b)溝幅W21,W22などにもよるが、溝部20の個数を多くし易く、電解液の流通性により優れる。
(c)隣り合う溝部20,20を仕切る畝部23も、これら溝部20,20の形状に沿って、電解液の流通方向に延びる細長い長方形状をなし、その長手方向の全域に亘って幅W23が実質的に等しい。電極13における上記畝部23に対応する畝対向領域も、電解液の流通方向に沿って設けられるため、電池反応を行う反応領域を広く確保でき、電池反応を良好に行える。
(d)複数の溝部20及び畝部23を有するものの単純な形状であり、製造性に優れる。
なお、上述の溝長さとは、溝部20における電解液の流通方向に沿った大きさとする。溝幅W21,W22、双極板2の幅W、及び特定畝部230を含む畝部23の幅W23(後述)は、電解液の流通方向に直交する方向の大きさ(図1Aでは左右方向の長さ)とする。溝深さd21,d22及び凹部232の深さd23(後述)とは、双極板2の厚さ方向(図2では上下方向)に沿った大きさとする。溝幅W21,W22は、溝長さ及び溝深さd21,d22の双方に直交する方向の大きさでもある。溝長さ、溝幅W21,W22、溝深さd21,d22は、双極板2の長さ(ここでは電解液の流通方向に沿った大きさ、図1Aでは上下方向の大きさ)、幅W、厚さ、溝部20の個数、畝部23の大きさなどに応じて適宜選択できる。また、溝部20の平面形状も適宜変更できる。本例では、図2に示すように溝部20の断面形状を長方形状とするが、適宜変更できる。
定量的には、溝部20の溝長さは、例えば、双極板2の長さの70%以上95%以下、更に80%以上90%以下であることが挙げられる。溝部20の溝幅W21,W22は、例えば、双極板2の幅Wの0.1%以上5%以下、更に0.5%以上3%以下であることが挙げられる。双極板2の長さ及び幅Wとは、双極板2における枠体120から露出される内側領域の長さ、幅であることが挙げられる。溝部20の溝深さd21,d22は、例えば、双極板2の厚さの10%以上45%以下、更に10%以上35%以下であることが挙げられる。溝深さd21,d22が上記の範囲を満たすと、双極板2の表裏面に溝部20を備える場合でも、機械的強度の低下を抑制し易く、強度に優れる双極板2とすることができる。
溝部20は、本例のように互いに独立した導入溝21と排出溝22とを備えると、導入溝21から電極13に未反応の電解液を供給すること、及び電極13で電池反応に用いた反応済の電解液を電極13から排出することの双方を効率良く行えて好ましい。導入溝21と排出溝22とが互いに独立するとは、導入溝21を流れる電解液と、排出溝22を流れる電解液とが供給縁200及び排出縁202を含めた双極板2上で混合しないように設けられていることをいう。代表的には、導入溝21が後述の終端閉鎖溝で、排出溝22が後述の始端閉鎖溝であることが挙げられる。
導入溝21とは、例えば、溝部20の一端部が供給縁200に開口し、溝部20の他端部が一端部から離れた位置で閉じた終端閉鎖溝が挙げられる。導入溝21の一端部は電解液の導入口をなす。導入溝21における一端部から離れた位置は、例えば、図1Aに示すように排出縁202近傍であると、溝長さが長く、電解液の流通性に優れて電解液を電極13の広い範囲に拡散し易い。排出縁202近傍とは、例えば、排出縁202から、双極板2における電解液の流通方向に沿った長さの15%の地点までの範囲が挙げられる。
排出溝22とは、例えば、溝部20の一端部が排出縁202に開口し、溝部20の他端部が一端部から離れた位置で閉じた始端閉鎖溝が挙げられる。排出溝22の一端部は電解液の排出口をなす。排出溝22における一端部から離れた位置は、例えば、図1Aに示すように供給縁200近傍であると、溝長さが長く、電解液の流通性に優れて反応済の電解液を排出し易い。供給縁200近傍とは、例えば、供給縁200から、双極板2における電解液の流通方向に沿った長さの15%の地点までの範囲が挙げられる。
又は、例えば、双極板2には供給縁200に沿って整流溝(図示せず)があり、導入溝21の一端部がこの整流溝に開口する終端閉鎖溝である場合が挙げられる。また、例えば、双極板2には排出縁202に沿って整流溝(図示せず)があり、排出溝22の一端部がこの整流溝に開口する始端閉鎖溝である場合が挙げられる。
又は、例えば、導入溝21の一端部が供給縁200又は供給縁200側の整流溝に開口し、他端部が排出縁202又は排出縁202側の整流溝に開口する両端開口溝である場合が挙げられる(後述の図3参照)。また、例えば、排出溝22の一端部が排出縁202又は排出縁202側の整流溝に開口し、他端部が供給縁200又は供給縁200側の整流溝に開口する両端開口溝である場合が挙げられる(後述の図3参照)。両端開口溝は、電解液中に不純物等が混入されていても不純物等を電極13外に排出し易く、不純物等が電極13に付着して電極13が目詰まりすること等を防止し易い。
上述の両端開口溝である導入溝21は、供給縁200側に設けられる導入口からの電解液の流入量が排出縁202側に設けられる排出口からの電解液の排出量よりも多くなるように設けられるものとする。また、上述の両端開口溝である排出溝22は、排出縁202側に設けられる排出口からの電解液の排出量が供給縁200側に設けられる導入口からの電解液の流入量よりも多くなるように設けられるものとする。具体的には、両端開口溝における導入口側の領域の大きさ(溝幅、溝深さ、断面積等)と、排出口側の領域の大きさ(溝幅、溝深さ、断面積等)とが異なることが挙げられる。例えば、図3において二点鎖線で仮想的に示すように、導入溝21では、導入口側の溝幅W21が排出口側の溝幅Woよりも小さいことが挙げられる。排出溝22では、排出口側の溝幅W22が導入口側の溝幅Wiよりも小さいことが挙げられる。
又は、上述の両端開口溝である場合に溝幅等が局所的に異なることに代えて、両端開口溝の大きさ(溝幅、溝深さ、断面積等)が導入口から排出口に向かって連続的に又は段階的に変化する形状とすることが挙げられる。例えば、導入溝21では、断面積等が導入口から排出口に向かって小さいことが挙げられる。排出溝22では、断面積等が排出口から導入口に向かって小さいことが挙げられる。溝幅や溝深さ、断面積の最大値は、最小値の1倍超2倍以下程度であることが挙げられる。
又は、上述の両端開口溝である場合に溝幅等が導入口側と排出口側とで異なることに代えて、導入溝21では排出口側の領域に電解液の排出を阻害する障害物を備えることが挙げられる。排出溝22では導入口側の領域に電解液の導入を阻害する障害物を備えることが挙げられる。
双極板2をセルフレーム12に組み付けた状態において、導入溝21や排出溝22の一端部側、適宜他端部側が枠体120の窓部をなす内周縁に開口するようにこれらの溝部20を設けることで、上述の始端閉鎖溝、終端閉鎖溝、両端開口溝を形成できる。
その他、例えば、導入溝21の一端部が供給縁200近傍で閉じると共に、他端部が排出縁202にある程度近い位置で閉じた両端閉鎖溝である場合が挙げられる。この場合、導入溝21における供給縁200から一端部までの距離は、排出縁202から他端部までの距離より長いものとする。また、例えば、排出溝22の一端部が排出縁202近傍で閉じると共に、他端部が供給縁200にある程度近い位置で閉じた両端閉鎖溝である場合が挙げられる。この場合、排出溝22における排出縁202から一端部までの距離は、供給縁200から他端部までの距離より長いものとする。なお、導入溝21や排出溝22が両端閉鎖溝である場合よりも、上述の始端閉鎖溝、終端閉鎖溝である場合には、電解液の供給、排出を良好に行える上に、電解液の流通性に優れる。
導入溝21、排出溝22は、上述の始端又は終端閉鎖溝、両端開口溝、両端閉鎖溝のいずれもとり得ることから、供給縁200側の端部の断面積を排出縁202側の端部の断面積に対して、0%以上200%以下程度の範囲で変化させられるといえる。
溝部20は、本例のように複数の導入溝21と複数の排出溝22とを備え、導入溝21と排出溝22とが交互に配置される噛合領域25を有すると、未反応の電解液の供給、電池反応、反応済の電解液の排出をより効率よく行えて好ましい。詳しくは、噛合領域25を備える双極板2に配置された電極13は、導入溝21から未反応の電解液を受け取ると、電極13において畝部23に対応する畝対向領域で電池反応を行える。かつ、この電極13は、電池反応後の電解液を上記の畝対向領域から隣り合う排出溝22に排出できる。
双極板2の一面であって、枠体120から露出される内側領域における噛合領域25が占める面積割合が大きいほど、電極13における電池反応を行う領域(畝対向領域)を多く確保し易い上に、この領域への電解液の供給及びこの領域からの反応済の電解液の排出を効率良く行い易い。上記面積割合は、例えば、60%以上、更に70%以上、80%以上であることが挙げられる。上記面積割合が上述の範囲を満たすように溝部20の溝長さ、個数などを調整するとよい。
(畝部)
双極板2に設けられた畝部23は、電極13との間で電子の受け渡しを行う領域として利用されると共に、隣り合う溝部20,20を仕切り、電解液の流通性を確保すること及び電極13における電池反応を行う領域を確保することに寄与する。
畝部23は、隣り合う溝部20,20に挟まれるため、代表的には、これらの溝部20,20に沿った平面形状を有する。この例の畝部23の平面形状は、細長い長方形状であるが、隣り合う溝部20,20の形状に応じて適宜変更できる。
実施形態1の双極板2は、接触面231と凹部232とを備える特定畝部230を含む。双極板2がRF電池に組み付けられた状態では、接触面231は、電極13との間で電子の受け渡し箇所として機能し、凹部232は、電解液を一時的に保持すると共に、保持した電解液を電極13に供給する機能を有すると考えられる。これらの機能及びその効果について、図2を参照して詳細に説明する。
まず、凹部232が無い場合を説明する。この場合、図2の破線矢印に示すように、ある畝部23に仕切られて隣り合う溝部20,20のうち一方の溝部20(ここでは導入溝21)に流れる電解液は、電極13におけるこの溝部20に対応した箇所を経て、この箇所に隣り合う領域、即ち畝部23に対応する畝対向領域に供給され、電池反応に利用される。電池反応に用いた反応済の電解液は、上述の電極13の畝対向領域から、電極13における他方の溝部20(ここでは排出溝22)に対応した箇所を経て、他方の溝部20に排出される。
ここで、例えば放電電流を高めて高出力で放電し、かつ放電容量を増大するために、電解液の流量を増大することを考える。この場合、畝対向領域に供給される電解液量を増大できる結果、電極13に供給できる活物質量を増大できる。そのため、理論的には、電解液と電極13との間、更に電極13と双極板2との間で電子の受け渡しを十分に行えて、放電時間を増大できる。しかし、実際には、電解液の流量を増大しても、電解液と電極13との間で十分に電子の受け渡しができずに、電解液が溝部20内を流動してしまう。即ち、電極13に電解液が十分に拡散できず、ひいては電極13に供給される活物質量を増大できず、結果として放電時間が低下する場合がある。また、電解液の流量の増大は、圧損を生じ得ることから、流量の増大には限界がある。
一方、双極板2に凹部232を備える場合、上述のように一方の溝部20(導入溝21)から電極13(畝対向領域)に電解液が供給され、電池反応後、他方の溝部20(排出溝22)から電解液が排出される過程において、図2の実線矢印に示すように、電極13を介して特定畝部230の凹部232に電解液を一時的に貯留できる。また、この貯留された電解液を双極板2の凹部232から電極13の畝対応領域に供給できる。溝部20に加えて凹部232からも電極13(畝対応領域)に電解液を供給できることで、電極13に電解液がより拡散し易くなり(電解液が拡散する時間を十分に確保し易くなり)、電池反応をより確実に行えると考えられる。電解液の流量を増大して溝部20内における電解液の流速が比較的大きい場合でも、凹部232内では溝部20内に比較して電解液の流速を小さくして凹部232からも電極13に電解液を供給できることで、上記拡散時間を十分に確保し易いと考えられる。また、双極板2は、一つの畝部23に対して凹部232を局所的に備えて、電極13に接触する接触面231を有するため、電極13との接触面積を確保して、電極13との間で電子の受け渡しをより確実に行えると考えられる。即ち、双極板2と電極13間で電子が移動し易いと考えられる。
ここで、双極板2と電極13間での電子の移動に着目すれば、畝部23における電極13との接触面231に凹部232を備えることは、双極板2における電極13との接触面積を減らし、電極13との間で電子の受け渡しを行い難い構成といえる。しかし、特定畝部230は、上述のように凹部232を局所的に備えて接触面231を確保することで、電極13との間での電子の移動を良好に行えることを確保しつつ、電解液の拡散性を向上できる。
上述の機能から、凹部232は、図1A,図2に例示するように、特定畝部230に仕切られる溝部20,20の双方に開口せず、接触面231にのみ開口することが好ましい。つまり、凹部232の開口縁は、接触面231内に存在し、溝部20の開口縁とは完全に独立して存在することが好ましい。このような凹部232は、溝部20とは独立して電解液を貯留可能な止まり穴となるため、凹部232内における電解液の流速を溝部20内での流速よりも確実に遅くでき、凹部232内に電解液を一時的に貯留し易いからである。また、上述の機能から、一つの特定畝部230に複数の凹部232を備えること(図1A)、及び凹部232を備える特定畝部230を複数含むこと(図1A)の少なくとも一方を満たすと、電解液をより確実に貯留できて好ましい。本例のように上述の事項の双方を満たすことがより好ましい。なお、後述の実施形態2,3に示すように、凹部232の開口縁が溝部20の開口縁に接する又は交差することもできる。
凹部232の平面形状、開口部の大きさ(開口面積、開口径R232(図1A)、開口幅など)、深さd23(図2)、断面形状、個数、隣り合う凹部232,232の間隔などは、上述の機能を有する範囲で適宜選択できる。図1A,図2では、各凹部232が同一形状、同一寸法であり、各特定畝部230に等間隔に設けられた場合を例示する。また、各凹部232として、半球状のもの(平面形状が円形(図1A)、断面形状が半円(図2)であるもの)、開口径R232(ここでは最大幅に相当)が特定畝部230の幅W23よりも小さく、かつ溝部20の溝幅W21,W22よりも大きく、深さd23が溝部20の深さd21,d22よりも小さい場合を例示する。このような本例の双極板2を備えるRF電池は、放電容量を増大し易い。
凹部232が半球状であれば、凹部232の成形性に優れる。開口径R232が幅W23よりも小さいことで、凹部232の開口縁は接触面231内に確実に存在する。開口径R232が溝幅W21,W22よりも大きいことで、深さd23がある程度小さくても(ここでは深さd21,d22よりも小さい)、電解液の貯留量をある程度多くし易く、電極13に電解液を拡散し易い。凹部232の開口径R232又は凹部232の最大幅は、例えば、この凹部232が存在する特定畝部230の幅W23の10%以上90%以下、更に15%以上85%以下、20%以上80%以下であることが挙げられる。
深さd23が深さd21,d22よりも小さいことで、電解液の流通性を阻害し難く、良好な流通性を確保しつつ、電解液を保持できる。深さd23は、例えば、溝部20の最大深さ(ここでは深さd21,d22)の5%以上90%以下、更に10%以上80%以下、15%以上70%以下であることが挙げられる。双極板2の厚さにもよるが、深さd23は、例えば0.1mm以上10mm以下、更に1mm以上5mm以下であることが挙げられる。
特定畝部230の最小の幅(ここでは幅W23)は、溝部20の最小の開口幅(ここでは溝幅W21,W22)以上であると、この特定畝部230に大きな凹部232を備えたり、より多くの凹部232を備えたりし易い。そのため、電解液の貯留量をより多くし易く、電極13に電解液を拡散し易くなり、ひいては放電容量をより増大し易い。例えば、特定畝部230の最小の幅は、溝部20の最小の開口幅の1.2倍以上、更に1.5倍以上、2倍以上、2.5倍以上、3倍以上であることが挙げられる。特定畝部230の幅が大き過ぎると、溝部20の個数が少なくなり易いため、特定畝部230の最小の幅は、溝部20の最小の開口幅の10倍以下、更に8倍以下、5倍以下であることが挙げられる。
一つの特定畝部230は、凹部232として、接触面231に設けられる開口縁の周長がある程度長い大凹部、周長がある程度短い小凹部のいずれも含むことができる。但し、一つの特定畝部230に対する凹部232の合計周長を一定とする場合、一つの大凹部を備えるよりも、複数の小凹部を備えることが好ましい。複数の小凹部を備える場合、大凹部を一つ備える場合に比較して、特定畝部230に接触面231と凹部232とがバランスよく存在し易い。そのため、複数の小凹部を備える場合は、電極13に電解液をより拡散し易い上に、接触面231と電極13との間での電子の移動を促進し易いと考えられるからである。定量的には、一つの特定畝部230に存在する凹部232の合計周長がこの特定畝部230の長さの1/4以上であることが挙げられる。上記合計周長が長いほど、一つの特定畝部230に存在する凹部232の個数が多くなり易く、上述の電解液の拡散性の向上効果及び良好な電子の移動効果を得易い。そのため、上記合計周長は、特定畝部230の長さの1/2以上であることが好ましい。
なお、特定畝部230の長さとは、畝部23の形成方向(本例では電解液の流通方向)に沿った距離とすることが挙げられる。ここでの特定畝部230の長さは、噛合領域25に存在する隣り合う導入溝21と排出溝22とが重複して存在する範囲において、畝部23の形成方向に沿った最大距離Lとする(図1B参照)。凹部232の開口縁の周長は、凹部232が溝部20に開口しない場合、接触面231に設けられる開口縁の長さとする。凹部232が溝部20に開口する場合(後述の実施形態3参照)、凹部232の開口縁の周長は、双極板2を平面視した状態で、凹部232において溝部20の開口縁に重複する開口縁(後述の図5では凹部232の一部をなす弧に対応する弦に相当する部分)と、接触面231における開口縁との合計長さとする。
一つの特定畝部230に複数の凹部232を備えると、凹部232を一つのみ備える場合に比較して、電解液の貯留量を多くし易く、電極13に電解液を拡散し易い。また、複数の凹部232が等間隔に設けられていると、電極13における電解液の拡散状態を均一的にし易い上に、隣り合う凹部232,232間に接触面231を確保でき、電極13との間での電子の受け渡しも良好に行える。このような特定畝部230が複数設けられた双極板2に対向配置される電極13は、その全体に亘って電解液を拡散し易い。ひいては、放電容量をより増大し易い。
双極板2が複数の特定畝部230を備え、各特定畝部230が複数の凹部232を備える場合、少なくとも一つの特定畝部230は、図1Aに示すように電解液の流通方向に沿って設けられた畝部23であって、電解液の流通方向に離間される複数の凹部232を備えることが好ましい。この場合、上述のように電解液の貯留量の増大、電極13での電解液の拡散性の向上、電極13との間での電子の移動性の向上に加えて、以下の効果を奏するからである。この場合、双極板2に対向配置される電極13は、電解液の流通方向に沿って存在する凹部232に対応して、電解液の流通方向に沿って電解液の拡散領域を有することができる。そのため、この双極板2を備えるRF電池は、電池反応をより確実に、より効率よく行えて、結果として放電容量をより増大し易い。また、この場合、特定畝部230に仕切られる溝部20,20も電解液の流通方向に沿って設けられるため、電解液の流通性にも優れるからである。隣り合う凹部232,232の間隔は、接触面231を適切に確保できる範囲で、適宜選択できる。
導入溝21及び排出溝22を備える場合、隣り合って並ぶ導入溝21と排出溝22との間に特定畝部230が介在される領域(特定凹凸領域24)を備えることが好ましい。噛合領域25を備える場合には、噛合領域25に備えられる複数の畝部23のうち、過半以上の畝部23、更には全ての畝部23が特定畝部230であることが好ましい。つまり、特定畝部230は、図1Aに例示するように、互いに隣り合って並列される導入溝21と排出溝22とを仕切るものであることが好ましい。噛合領域25を備えると、上述のように電極13への電解液の供給及び電極13からの電解液の排出、並びに電池反応をより効率よく行えるからである。かつ、噛合領域25の少なくとも一部に特定凹凸領域24を含むと、電極13の畝対向領域のうち、特定畝部230に対応する領域では、双極板2の凹部232からも電解液が供給されて電解液が拡散し易く、電池反応をより一層効率よく行えるからである。その上、特定畝部230は、接触面231も有しており、電極13との間で電子の移動も良好に行えるからである。このような双極板2を備えるRF電池は、放電容量をより増大し易い。なお、噛合領域25に備えられる複数の畝部23のうち、一部の畝部23が特定畝部230でない形態とすることができるが、本例のように噛合領域25に備えられる複数の畝部23の全てが特定畝部230であること、いわば噛合領域25の全体に特定凹凸領域24を含むことが好ましい。
特定凹凸領域24を備える場合、導入溝21と排出溝22とに挟まれる特定畝部230において、凹部232が占める割合がある程度多いと、凹部232の具備による上述の流速調整に伴う電解液の拡散性の向上効果をより確実に得られる。凹部232が占める割合がある程度少ないと、凹部232の具備に伴う接触面231の減少を防止し、電極13の畝対向領域を適切に確保して、接触面231と電極13との間で電子の移動を良好に行える。定量的には、例えば、一つの特定畝部230において、接触面231とこの特定畝部230に存在する全ての凹部232とを合わせた合計平面面積Saに対して、全ての凹部232の合計平面面積S233の割合(S223/Sa)×100が5%以上70%以下であることが挙げられる。
上記の面積割合が大きいほど、上述の電解液の拡散性の向上効果を得易い。上記面積割合が小さいほど、上述の電子の移動を良好に行い易い。これらの点から、上記面積割合が10%以上60%以下、更に15%以上50%以下であることが挙げられる。なお、上記合計平面面積Saとは、溝部20,20を仕切る畝部23において、導入溝21と排出溝22とが重複して存在する範囲の平面面積と、凹部232の平面面積との合計である。図1Aでは、上記合計平面面積Saにおいて、凹部232を除く畝部23の平面面積を二点鎖線のクロスハッチングを付して示す。
(表裏面の凹部の配置)
双極板2は、以下のいずれかの形態とすることが挙げられる。
(α)双極板2の表裏面の一面に複数の溝部20と特定畝部230を含む畝部23とを備え、他面に溝部20及び畝部23を備えていない形態、
(β1)双極板2の表裏両面に溝部20及び畝部23を備え、一面に特定畝部230を備え、他面に特定畝部230を備えていない形態、
(β2)双極板2の表裏両面に溝部20と特定畝部230を含む畝部23とを備える形態。
上述のいずれの形態も、電池セル10C(後述の図7〜図9)を一つのみ備える単セル電池、複数の電池セル10Cを備える多セル電池に利用できる。特に形態(α)や形態(β1)の双極板2は、単セル電池や、多セル電池において積層方向の端部に配置される集電板として用いることが挙げられる。この場合、隔膜11の表裏を挟む正極電極14(後述の図7)及び負極電極15(後述の図7)の積層物を挟む一組の双極板2において、複数の溝部20と特定畝部230を含む畝部23とを備える一面を電極13に対向するように組み付ける。特に形態(β2)の双極板2は、多セル電池に用いることが挙げられる。この場合、双極板2の一面に配置される電極13(例えば正極電極14)、他面に配置される電極13(例えば負極電極15)の双方に、電解液を拡散させ易くすることができる。
(構成材料)
実施形態1の双極板2の構成材料は、電気抵抗が小さい導電性材料であって、電解液と反応せず、電解液に対する耐性(耐薬品性、耐酸性など)を有するものが好適に利用できる。電気抵抗については、双極板2の厚さ方向の体積固有抵抗率が100mΩ・cm以下、更に50mΩ・cm以下、10mΩ・cm以下であることが好ましい。更に、適度な剛性を有する構成材料であると、溝部20や凹部232の形状や寸法が長期に亘って変化し難く、溝部20や凹部232の具備による上述の効果を維持し易く好ましい。
双極板2の構成材料の具体例として、以下の(a)〜(c)などが挙げられる。
(a)以下の(1)〜(4)から選択される一種の導電性材料、
(b)以下の(1)〜(4)から選択される複数種の導電性材料を含む複合材、
(c)以下の(1)〜(4)から選択される少なくとも一種の導電性材料と、有機材とを含む有機複合材。
(1)Ru,Ti,Ir,及びMnから選択される少なくとも一種の金属を含む化合物、
(2)Pt,Au,及びPdから選択される一種の金属、
(3)導電性ポリマ、
(4)グラファイト、ガラス質カーボン、導電性ダイヤモンド、導電性ダイヤモンドライクカーボン(DLC)、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、及びカーボンファイバから選択される少なくとも一種の炭素系材料。
上記(c)の有機材は、熱可塑性樹脂やポリオレフィン系有機化合物、塩素化有機化合物などが挙げられる。上記(c)の有機複合材は、いわゆる導電性プラスチックが利用できる。上述の有機複合材は、導電性材料と有機材との混合物の他、例えば上記の有機材からなる基材に(3)導電性ポリマをコーティングしたものなどが挙げられる。
実施形態1の双極板2は、上記の構成材料を公知の方法(例えば導電性プラスチックであれば射出成型、プレス成型、真空成型など)によって板状に成形すると共に、溝部20及び凹部232も成形することで製造できる。溝部20及び凹部232を同時成形すれば双極板2の製造性に優れる。溝部20及び凹部232の少なくとも一方を有していない板材に切削加工などを行って、溝部20や凹部232を形成することもできる。
(主要な効果)
実施形態1の双極板2は、複数の溝部20を備えるため、RF電池の構成要素に利用されることで、電極13への電解液の供給、電極13からの電解液の排出、及び電極13での電池反応を効率良く行える。また、電解液の流通性に優れて、ポンプロスなども低減できる。かつ、実施形態1の双極板2は、電極13との接触面231と凹部232とを含む特定畝部230を備えるため、RF電池の構成要素に利用されることで、電極13に電解液を拡散し易く、電池反応をより効率よく行える上に、電極13との間で電子の受け渡しも良好に行える。このような実施形態1の双極板2を備えるRF電池は、特定畝部230を有さない場合と比較して、放電時間を長くでき、放電容量を増大できる。
特に、本例の双極板2は、以下の構成を備えるため、放電容量を増大し易い。この効果を後述の試験例で具体的に示す。
(A)複数の溝部20及び複数の畝部23が電解液の流通方向に延びており、更にこれらが電解液の流通方向に直交する方向に並列される。
(B)導入溝21と、特定畝部230と、排出溝22とが並ぶ特定凹凸領域24を備え、隣り合う導入溝21と排出溝22とを仕切る畝部23が特定畝部230である。
(C)複数の溝部20は導入溝21と排出溝22とが交互に並ぶ噛合領域25を備え、噛合領域25が特定凹凸領域24を含む上に特定畝部230を複数備える。
(D)凹部232が溝部20に開口しない。
(E)各特定畝部230が電解液の流通方向に離間されて複数の凹部232を備える。
<その他の双極板>
以下、図3〜図6を参照して、実施形態2,3の双極板2A,2Bを説明する。
図3,図5では、双極板2A,2Bにおいて、枠体120(図8)の窓部から露出される内側領域の一部のみを示し、枠体120に覆われる周縁領域を省略している。
実施形態2,3の双極板2A,2Bの基本的構成は実施形態1の双極板2と同様であり、複数の溝部20と畝部23とを備えると共に、電極13(図4,図6)に接触する接触面231と、複数の凹部232とを備える特定畝部230を備える。実施形態2,3における実施形態1との相違点の一つとして、凹部232における接触面231の開口縁が溝部20の開口縁に接すること(実施形態2の双極板2A)、又は交差すること(実施形態3の双極板2B)が挙げられる。以下、実施形態1との相違点を詳細に説明し、実施形態1と共通する構成及び効果などは詳細な説明を省略する。
なお、本例の双極板2A,2Bはいずれも、導入溝21と排出溝22とを備えると共に、特定凹凸領域24及び噛合領域25を備える場合を示すが、適宜変更できる。また、導入溝21及び排出溝22は、電解液の流通方向に延びるように設けられ、平面形状が細長い長方形状である終端閉鎖溝、始端閉鎖溝である場合を例示するが、適宜変更できる。凹部232の形状、大きさ等は実施形態1を参照するとよい。
図3では、実施形態2の双極板2Aとして、溝部20(ここでは導入溝21)の開口縁のうち、電解液の流通方向に延びる箇所(図3では上下方向に延びる側壁がつくる周縁)に、平面形状が円形状の凹部232が線接触するように設けられた場合を例示する。導入溝21の開口縁の一部と、凹部232における接触面231の開口縁の一部とが接することで、図4に示すように、凹部232の内周面と導入溝21を形成する側壁の内周面とが近接する。そのため、図4の実線矢印に示すように凹部232は、実施形態1(図2)と比較して、導入溝21からの電解液を受け取り易く、凹部232から電極13に電解液を供給し易いと考えられる。本例では排出溝22ではなく、導入溝21に接するように凹部232が設けられていることからも、導入溝21からの電解液を凹部232から電極13に拡散させ易いと期待される。また、本例では、導入溝21を挟むように導入溝21の両側に凹部232を備える上に、導入溝21に対して凹部232が対称に配置されることからも、電極13に電解液を拡散させ易いと期待される。この点は後述する実施形態3の双極板2Bも同様である。
図5では、実施形態3の双極板2Bとして、凹部232が溝部20(ここでは導入溝21)に開口し、凹部232の開口縁を接触面231と溝部20の内周面とに有する場合を例示する。凹部232が導入溝21に開口することで、図6に示すように、凹部232がつくる内周空間と、導入溝21がつくる内周空間とが連通した空間となる。そのため、図6の実線矢印に示すように凹部232は、上述の実施形態2と比較して、導入溝21からの電解液を受け取り易く、凹部232から電極13に電解液を供給し易いと考えられる。本例の凹部232は、排出溝22ではなく、導入溝21に開口することからも、導入溝21からの電解液を凹部232から電極13に拡散させ易いと期待される。凹部232が溝部20に開口する場合、凹部232に電解液を一時的に貯留可能なように、凹部232の最大深さd23を調整する。具体的には、図6に示すように、最大深さd23は、凹部232における溝部20の内周面に形成される開口縁における最大深さdよりも大きくなるように調整することが挙げられる。
なお、実施形態2,3において、凹部232の配置位置や個数等は例示であり、適宜変更できる。
例えば、一つの溝部20を挟んでこの溝部20の両側に凹部232を備える場合、一方の側と他方の側とで、流通方向に沿った位置をずらして凹部232を備えたり、凹部232の形状や大きさを異ならせたりすることが挙げられる。
又は、例えば、導入溝21に代えて、又は導入溝21と共に排出溝22に対して凹部232を設けることが挙げられる。図3,図5では、排出溝22に対する凹部232を二点鎖線で仮想的に示す。図3,図5は、導入溝21と排出溝22とのそれぞれに接する又は交差するように凹部232を備える場合、導入溝21に接する又は交差する凹部232であって、長手方向に隣り合う二つの凹部232,232の間に、排出溝22に接する又は交差する凹部232を設ける場合を例示する。
その他、実施形態3の変形例として、図1Aに示す凹部232と溝部20との間にこの両者を繋ぐ連結溝(図示せず)を別途設けて、連結溝が溝部20に開口する形態が挙げられる。連結溝は、例えば、平面形状が円形状の凹部232の直径以下の溝幅を有する直線状の溝等が挙げられる。
<セルフレーム、電池セル、セルスタック、RF電池>
図7から図9を参照して、実施形態のセルフレーム12、実施形態の電池セル10C、実施形態のセルスタック30、実施形態のRF電池10を説明する。
図7,図9の正極タンク16内及び負極タンク17内に示すイオンは、各極の電解液中に含むイオン種の一例を示す。図7において実線矢印は充電、破線矢印は放電を意味する。
実施形態のセルフレーム12は、代表的には、RF電池の構成要素に利用されるものであり、図8に示すように双極板2と、双極板2の外周に設けられる枠体120とを備える。特に、実施形態のセルフレーム12は、上述の複数の溝部20と、特定畝部230を含む畝部23とを備える実施形態の双極板2を備える。本例のセルフレーム12は実施形態1の双極板2を備える場合を示すが、実施形態2,3の双極板2A,2Bを備えることもできる。
実施形態の電池セル10Cは、実施形態のセルフレーム12と、電極13(正極電極14,負極電極15)とを備える。
実施形態のセルスタック30は、実施形態の電池セル10Cを備える。このセルスタック30は、図8,図9に示すように複数の電池セル10Cを多層に積層してなる積層体であり、少なくとも一つの電池セル10Cの構成要素として、実施形態のセルフレーム12を備える。
実施形態のRF電池10は、実施形態の電池セル10Cを一つ備える単セル電池(図7)、又は実施形態のセルスタック30を備える多セル電池である(図8,図9)。
以下、より具体的に説明する。
(RF電池の概要)
RF電池10は、図7に示すように、電池セル10Cと、電池セル10Cに電解液を循環供給する循環機構とを備える。代表的には、RF電池10は、交流/直流変換器400や変電設備410などを介して、発電部420と、電力系統や需要家などの負荷440とに接続され、発電部420を電力供給源として充電を行い、負荷440を電力提供対象として放電を行う。発電部420は、例えば、太陽光発電機、風力発電機、その他一般の発電所などが挙げられる。
(RF電池の基本構成)
〈電池セル〉
電池セル10Cは、図7に示すように、正極電解液が供給される正極電極14と、負極電解液が供給される負極電極15と、正極電極14,負極電極15間に介在される隔膜11と、隔膜11を挟む正極電極14及び負極電極15を更に挟む一組の双極板2,2(図8)とを備える。
正極電極14及び負極電極15は、各極の電解液に含まれる活物質(イオン)が電池反応を行う反応場である。各電極13の構成材料として、例えば、以下の(1)〜(7)から選択される一種などが挙げられる。
(1)Ru,Ti,Ir,及びMnから選択される少なくとも一種の金属と、TiO,RuO,IrO及びMnOから選択される少なくとも一種の金属の酸化物とを含むカーボン編組物からなる寸法安定電極(DSE)、
(2)Pt,Au,及びPdから選択される一種の金属、
(3)導電性ポリマ、
(4)グラファイト、ガラス質カーボン、導電性ダイヤモンド、及び導電性ダイヤモンドライクカーボン(DLC)から選択される一種の炭素質材料、
(5)カーボンファイバからなる不織布、又は織布、
(6)セルロールからなる不織布、又は織布、
(7)カーボンファイバ及び導電助剤からなるカーボンペーパー。
上述のカーボンファイバからなる不織布(繊維集合体)といった多孔体は、気孔を有することで電解液の流通性に優れる。
電極13の厚さは例えば50μm以上1mm以下であることが挙げられる。電極13の厚さがこの範囲であれば、薄型の電池セル10Cやセルスタック30を構築できる。また、電極13の厚さが上記範囲であれば、電池セル10Cが厚くなり過ぎず、導電抵抗の増大を招き難い上に、電極13が薄過ぎないために電池反応面積を適切に確保しつつ、電解液を流通し易く、圧力損失も招き難い。電極13の厚さは、100μm以上800μm以下、更に200μm以上700μm以下とすることができる。より薄型を望む場合には電極13の厚さは500μm以下とすることができる。
隔膜11は、正極電極14,負極電極15間を分離すると共に所定のイオンを透過する部材であり、例えば、イオン交換膜、多孔質膜などを利用できる。
〈セルフレーム〉
セルフレーム12は、上述のように双極板2と枠体120とを備えて、電極13を収納すると共に電解液を流通する空間を形成する。単セル電池では、一組のセルフレーム12,12を備える。多セル電池では、複数組のセルフレーム12を備える。
双極板2については上述の通りである。
枠体120は、双極板2を支持し、双極板2上に配置された電極13への電解液の供給、電極13からの電解液の排出に利用される部材である。図8では、枠体120として、中央部に長方形の窓部(貫通部)を有する長方形の枠を例示する。枠体120には電解液の供給路及び排出路が設けられる。供給路は、給液孔(正極では124i,負極では125i)と、給液孔から窓部に至るスリットなどとを備える。排出路は、排液孔(正極では124o,負極では125o)と、窓部から排液孔に至るスリットなどとを備える。枠体120における上記供給路に繋がる内周縁に接するように、双極板2の供給縁200(図1A)やその近傍が配置される。また、枠体120における上記排出路に繋がる内周縁に接するように、双極板2の排出縁202(図1A)やその近傍が配置される。
上述のスリットと窓部の内周縁間に整流溝(図示せず)を設けることができる。例えば、図8では、供給側の整流溝を窓部の下端縁に沿って設け、排出側の整流溝を窓部の上端縁に沿って設けることが挙げられる。整流溝を備えると、双極板2及び電極13の幅方向(図8では下端縁又は上端縁に沿った方向)に均一的に電解液を導入したり、排出したりし易い。枠体120に整流溝を設けず、上述のように双極板2に整流溝(図示せず)を備えることもできる。この場合、双極板2の供給縁200(図1A)や排出縁202(図1A)に沿って整流溝を設けることが挙げられる。
枠体120は、例えば、枠体120の厚さ方向に分割される一対の枠体片を備え、双極板2の周縁領域を双極板2の表裏から枠体片間に挟んで支持する形態などが挙げられる。双極板2を挟んだ一対の枠体片は適宜接合する。この場合、双極板2の周縁領域は、枠体片の内周縁近傍の領域に覆われ、双極板2のその他の領域(内側領域)は、窓部から露出される。双極板2が上述の複数の溝部20及び特定畝部230を含む畝部23を備える場合、これら溝部20及び畝部23は、枠体120の窓部から露出される内側領域に備えるとよい。この場合、露出領域の大きさに応じて、溝部20の大きさや畝部23の大きさ、噛合領域25の大きさなどを調整するとよい。
枠体120は、代表的には、電解液に対する耐性、電気絶縁性に優れる樹脂などで構成される。
〈セルスタック〉
セルスタック30は、図8,図9に示すように、セルフレーム12(双極板2)と、正極電極14と、隔膜11と、負極電極15とが順に複数積層された積層体と、積層体を挟む一対のエンドプレート32,32と、エンドプレート32,32間を繋ぐ長ボルトなどの連結材34及びナットなどの締結部材とを備える。締結部材によってエンドプレート32,32間が締め付けられると、積層体は、その積層方向の締付力によって積層状態が保持される。
セルスタック30は、所定数の電池セル10Cをサブセルスタック30Sとし、複数のサブセルスタック30Sを積層した形態で利用されることがある。
サブセルスタック30Sやセルスタック30における電池セル10Cの積層方向の両端に位置するセルフレームには枠体120に集電板が配置されたものが利用される。集電板は、例えば、双極板2と、銅などからなる金属板とを積層したものが挙げられる。
隣り合う枠体120,120間にはシール部材が配置され、積層体を液密に保持する。
〈循環機構〉
循環機構は、図7,図9に示すように正極電極14に循環供給する正極電解液を貯留する正極タンク16と、負極電極15に循環供給する負極電解液を貯留する負極タンク17と、正極タンク16と電池セル10C(セルスタック30)間を接続する配管162,164と、負極タンク17と電池セル10C(セルスタック30)間を接続する配管172,174と、電池セル10Cへの供給側の配管162,172に設けられたポンプ160,170とを備える。配管162,164,172,174はそれぞれ、積層された複数のセルフレーム12の給液孔124i,125i及び排液孔124o,125oによって形成される電解液の流通管路などに接続されて、各極の電解液の循環経路を構築する。
RF電池10,セルスタック30の基本構成、材料などは、公知の構成、材料などを適宜参照できる。
(RF電池の具体的な構成例)
実施形態のRF電池10が単セル電池である場合、電池セル10Cを構成する一組のセルフレーム12,12のうち、少なくとも一方のセルフレーム12は実施形態の双極板2を備えるものとする。両方のセルフレーム12,12が実施形態の双極板2を備えると、両極の電解液を拡散し易く、両極の電池反応をより効率的に行えて、ひいては放電容量を高められて好ましい。この場合、実施形態の双極板2は、上述の形態(α),(β1),(β2)のいずれでもよい。
実施形態のRF電池10が多セル電池である場合、少なくとも一つのセルフレーム12は実施形態の双極板2を備えるものとする。この場合、実施形態の双極板2は、上述の(β2)であることが好ましい。両極の電解液を拡散し易く、両極の電池反応をより効率的に行えて、ひいては放電容量を高められて好ましいからである。実質的に全てのセルフレーム12が形態(β2)の双極板2を備えることがより好ましい。
(電解液)
電解液は、活物質となるイオンを含む溶液が挙げられる。代表的には、活物質となる金属イオンと硫酸等の酸とを含む水溶液が挙げられる。
正極電解液は、例えば、正極活物質としてマンガンイオン、バナジウムイオン、鉄イオン、ポリ酸、キノン誘導体、及びアミンの少なくとも1種を含むものが挙げられる。
負極電解液は、例えば、負極活物質としてチタンイオン、バナジウムイオン、クロムイオン、ポリ酸、キノン誘導体、及びアミンの少なくとも1種を含むものが挙げられる。
実施形態のRF電池10は、上記に列挙する種々の活物質を含む電解液を利用できる。いずれの電解液を備える場合でも、実施形態のRF電池10は、実施形態の双極板2を備えるため、特定畝部230を備えていない場合と比較して、電解液を拡散し易く、電池反応をより効率よく行えて、放電容量が大きいと期待される。特に、実施形態のRF電池10は、正極活物質としてマンガンイオンを含む正極電解液を備え、負極活物質としてチタンイオンを含む負極電解液を備える場合、高出力での放電を行っても放電時間が長く、放電容量が大きい(後述の試験例参照)。
正極活物質の濃度、及び負極活物質の濃度は適宜選択できる。例えば、正極活物質の濃度、及び負極活物質の濃度の少なくとも一方は0.3M以上5M以下であることが挙げられる。上記濃度の単位「M」とはモル濃度であり、「モル/リットル」を意味する。
(主要な効果)
実施形態のセルフレーム12、実施形態の電池セル10C及び実施形態のセルスタック30は、実施形態の双極板2を備えるため、RF電池の構成要素に利用されることで、電極13への電解液の供給、電極13からの電解液の排出、及び電極13での電池反応を効率良く行える上に、ポンプロスなども低減できる。かつ、実施形態のセルフレーム12、実施形態の電池セル10C及び実施形態のセルスタック30は、電極13に電解液を拡散し易く、電池反応をより効率よく行える上に、双極板2と電極13との間で電子の受け渡しも良好に行えて、放電容量を増大できる。
実施形態のRF電池10は、実施形態の電池セル10C、又は実施形態のセルスタック30を備えるため、電極13への電解液の供給、電極13からの電解液の排出、及び電極13での電池反応を効率良く行える上に、ポンプロスなども低減できる。かつ、実施形態のRF電池10は、電極13に電解液を拡散し易く、電池反応をより効率よく行える上に、電極13との間で電子の受け渡しも良好に行えて、特定畝部230が設けられていない双極板を備える場合に比較して、放電容量を増大できる。この効果を以下の試験例で具体的に示す。
[試験例1]
特定畝部が有る双極板を備えるRF電池と、特定畝部が無い双極板を備えるRF電池とを構築し、放電時間を調べた。
この試験で作製したRF電池に備える双極板は、特定畝部の有無を除いて、同じ仕様とした。双極板の仕様を以下に示す。
(双極板の仕様)
セルフレームの枠体から露出される領域の平面形状:横長の長方形
電解液の流通方向:上記横長の長方形の短辺に沿った方向
溝部:電解液の流通方向に延び、平面形状が細長い長方形状である複数の溝部を双極板の長辺に沿った方向に等間隔に並列して備える。複数の溝部は、導入溝と排出溝とを備えると共に、導入溝と排出溝とが交互に配置される噛合領域を有する。各溝部の溝長さ、溝幅、溝深さ、断面形状はいずれも等しい。
畝部:隣り合う導入溝と排出溝とを仕切り、電解液の流通方向に延び、平面形状が細長い長方形状である複数の畝部を双極板の長辺に沿った方向に等間隔に並列して備える。畝部の最小の幅は、溝部の最小の開口幅よりも大きく、ここでは溝部の最小の開口幅の5倍以下である。
特定畝部が有る試料No.1の双極板では、導入溝と排出溝とに挟まれる全ての畝部に、電解液の流通方向に等間隔に離間される複数の凹部を備える。つまり、隣り合って並ぶ導入溝と排出溝との間に特定畝部を含むと共に、噛合領域の畝部は特定畝部もなす。ここでは、一つの特定畝部に10個以上20個以下の凹部を備え、各凹部は導入溝及び排出溝に開口しない。一つの特定畝部において、接触面と全凹部との合計平面面積に対する全凹部の合計面積の割合は17%程度であり、全凹部の合計周長は、特定畝部の長さの87%程度である。各凹部の形状、大きさはいずれも等しい。各凹部の最大深さは、導入溝及び排出溝の溝深さの50%であり、双極板の厚さの8%である。凹部の開口径は、特定畝部の幅の77%程度であり、凹部の最大深さよりも小さい。特定畝部の長さは10cm以上15cm以下であり、特定畝部の個数は30本以上40本以下である。このような試料No.1の双極板の平面形状は、上述の図1Aに類似する。また、ここでは、双極板の表裏面に複数の凹部を備えるものを用意した。
特定畝部が無い試料No.101の双極板では、全ての畝部が凹部を有しておらず、各畝部における電極との対向領域は平坦な面で構成される。
正極電解液は、正極活物質としてマンガンイオンを含むものを用いた。負極電解液は、負極活物質としてチタンイオンを含むものを用いた。マンガンイオンの濃度及びチタンイオンの濃度はいずれも、0.3M以上5M以下である。
この試験では、試料No.1の双極板を備えるセルフレームを一組備える単セル電池を用意した。比較として、試料No.101の双極板を備えるセルフレームを一組備える単セル電池を用意した。ここでは、いずれの単セル電池も、電極と隔膜とを密接させた、いわゆるゼロギャップ構成とした。いずれの単セル電池も、電極面積を250cmとした。電極の厚さは700μmとした。
用意した各試料のRF電池について、放電開始電圧を1.45Vとし、一定の電流密度で放電を行い、電圧が0.8Vとなるまでの放電時間を調べた。その結果を図10に示す。ここでは、電流密度を144mA/cmとし、電解液の流量を電極1cmに対して、1.2ml/minとなるように調整した。
図10のグラフは、横軸が放電時間(s)、縦軸が放電電圧(V)を示す。図10に示すように、特定畝部が有る双極板を備える試料No.1のRF電池(太実線)は、特定畝部が無い双極板を備える試料No.101のRF電池(細実線)に比較して、放電時間が長いことが分かる。ここでは、試料No.101のRF電池の放電時間が6870秒程度であるのに対し、試料No.1のRF電池の放電時間が8060秒超であり、1.15倍超も増大している。特に、この試験では、電流密度が144mA/cmと大きく、高出力での放電でありながら、放電時間が増大している。なお、この結果は単セル電池に関するものであるが、多セル電池についても同様の傾向が得られると期待される。
この試験から、上述の複数の溝部と、凹部が設けられた特定畝部を含む畝部とを備える双極板を備えるRF電池は、複数の溝部のみを備える場合に比較して、放電時間を長くでき、放電容量を増大できることが示された。
[変形例]
実施形態1〜3の双極板2,2A,2B、実施形態のセルフレーム12、実施形態の電池セル10C、実施形態のセルスタック30、実施形態のRF電池10について、以下の少なくとも一つの変更が可能である。
(1)双極板における枠体120から露出される内側領域の平面形状を変更する。
例えば、楕円やレーストラック状など、双極板の周縁の少なくとも一部に曲線を含む形状や、六角形や八角形などの多角形状などが挙げられる。
(2)溝部20の平面形状、畝部23の平面形状を変更する。
例えば、溝幅W21,W22や畝部23の幅が部分的に異なり、太い箇所や細い箇所を局所的に有する形状や、波線状やジグザグ状などの蛇行形状などが挙げられる。その他、溝部20や畝部23の一端部から他端部に向かって、幅が細くなるテーパ形状などが挙げられる。
(3)溝部20の断面形状を変更する。
例えば、半円弧状、V字状、U字状、溝の開口幅が底面の幅よりも広い台形状、溝の開口幅が底面の幅よりも狭い蟻溝状などが挙げられる。
(4)複数の導入溝21と複数の排出溝22とを備え、両者が交互に並ばない。
例えば、複数の導入溝21の群と、複数の排出溝22の群とが交互に並ぶことなどが挙げられる。
(5)凹部232の平面形状、凹部232の断面形状を変更する。
平面形状は、例えば、長方形状(正方形を含む)、楕円状などが挙げられる。断面形状は、例えば、長方形状、V字状、U字状などが挙げられる。
(6)一つの特定畝部230に複数の凹部232を備える場合、複数の凹部232のうち、一部の凹部232は、他の凹部232と平面形状、断面形状、及び寸法の少なくとも一つが異なる。
(7)一つの特定畝部230に複数の凹部232を備える場合、隣り合う凹部232,232間の間隔が均等ではなく、異なる部分を含む。
例えば、特定畝部230において、供給縁200や排出縁202に近い領域に凹部232を密に備え、両縁200,202から離れる中間領域に凹部232を疎に備えることなどが挙げられる。
(8)複数の畝部23のうち、一部が特定畝部230であり、他部が凹部232を有していないものを備える。
例えば、特定畝部230と、凹部232が無い畝部23とを交互に備えることなどが挙げられる。
本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
2,2A,2B 双極板
20 溝部、21 導入溝、22 排出溝
23 畝部
230 特定畝部、231 接触面、232 凹部
24 特定凹凸領域
25 噛合領域
200 供給縁、202 排出縁
10 レドックスフロー電池(RF電池)
10C 電池セル
11 隔膜、13 電極、14 正極電極、15 負極電極
16 正極タンク、17 負極タンク
160,170 ポンプ、162,164,172,174 配管
12 セルフレーム
120 枠体、124i,125i 給液孔、124o,125o 排液孔
30 セルスタック
30S サブセルスタック、32 エンドプレート、34 連結材
400 交流/直流変換器、410 変電設備、420 発電部、440 負荷
上述の両端開口溝である導入溝21は、供給縁200側に設けられる導入口からの電解液の流入量が排出縁202側に設けられる排出口からの電解液の排出量よりも多くなるように設けられるものとする。また、上述の両端開口溝である排出溝22は、排出縁202側に設けられる排出口からの電解液の排出量が供給縁200側に設けられる導入口からの電解液の流入量よりも多くなるように設けられるものとする。具体的には、両端開口溝における導入口側の領域の大きさ(溝幅、溝深さ、断面積等)と、排出口側の領域の大きさ(溝幅、溝深さ、断面積等)とが異なることが挙げられる。例えば、図3において二点鎖線で仮想的に示すように、導入溝21では、導入口側の溝幅W21が排出口側の溝幅Woよりも大きいことが挙げられる。排出溝22では、排出口側の溝幅W22が導入口側の溝幅Wiよりも大きいことが挙げられる。
一方、双極板2に凹部232を備える場合、上述のように一方の溝部20(導入溝21)から電極13(畝対向領域)に電解液が供給され、電池反応後、他方の溝部20(排出溝22)から電解液が排出される過程において、図2の実線矢印に示すように、電極13を介して特定畝部230の凹部232に電解液を一時的に貯留できる。また、この貯留された電解液を双極板2の凹部232から電極13の畝対領域に供給できる。溝部20に加えて凹部232からも電極13(畝対領域)に電解液を供給できることで、電極13に電解液がより拡散し易くなり(電解液が拡散する時間を十分に確保し易くなり)、電池反応をより確実に行えると考えられる。電解液の流量を増大して溝部20内における電解液の流速が比較的大きい場合でも、凹部232内では溝部20内に比較して電解液の流速を小さくして凹部232からも電極13に電解液を供給できることで、上記拡散時間を十分に確保し易いと考えられる。また、双極板2は、一つの畝部23に対して凹部232を局所的に備えて、電極13に接触する接触面231を有するため、電極13との接触面積を確保して、電極13との間で電子の受け渡しをより確実に行えると考えられる。即ち、双極板2と電極13間で電子が移動し易いと考えられる。
特定凹凸領域24を備える場合、導入溝21と排出溝22とに挟まれる特定畝部230において、凹部232が占める割合がある程度多いと、凹部232の具備による上述の流速調整に伴う電解液の拡散性の向上効果をより確実に得られる。凹部232が占める割合がある程度少ないと、凹部232の具備に伴う接触面231の減少を防止し、電極13の畝対向領域を適切に確保して、接触面231と電極13との間で電子の移動を良好に行える。定量的には、例えば、一つの特定畝部230において、接触面231とこの特定畝部230に存在する全ての凹部232とを合わせた合計平面面積Saに対して、全ての凹部232の合計平面面積S23 の割合(S/Sa)×100が5%以上70%以下であることが挙げられる。
特に、本例の双極板2は、以下の構成を備えるため、放電容量を増大し易い。この効果を後述の試験例で具体的に示す。
(A)複数の溝部20及び複数の畝部23が電解液の流通方向に延びており、更にこれらが電解液の流通方向に直交する方向に並列される。
(B)導入溝21と、特定畝部230と、排出溝22とが並ぶ特定凹凸領域24を備え、隣り合う導入溝21と排出溝22とを仕切る畝部23が特定畝部230である。
(C)複数の溝部20は導入溝21と排出溝22とが交互に並ぶ噛合領域25を備え、噛合領域25が特定凹凸領域24を含む上に特定畝部230を複数備える。
(D)凹部232が溝部20に開口しない。
(E)各特定畝部230が電解液の流通方向に離間され複数の凹部232を備える。

Claims (15)

  1. 電解液が供給されて電池反応を行う電極に対向配置される双極板であって、
    前記双極板の表裏面のうち、少なくとも一面に前記電解液を流通する複数の溝部と、隣り合う前記溝部を仕切る畝部とを備え、
    前記畝部は、前記電極に接触する接触面と、前記接触面に開口する一つ以上の凹部とを備える特定畝部を含む双極板。
  2. 前記溝部は、前記電解液を導入する一つ以上の導入溝と、前記電解液を排出する一つ以上の排出溝とを備え、
    前記導入溝と前記特定畝部と前記排出溝とが順に並ぶ領域を備える請求項1に記載の双極板。
  3. 前記導入溝と前記排出溝とに挟まれる前記特定畝部において、前記接触面とこの特定畝部に存在する全ての前記凹部とを合わせた合計平面面積に対して、前記全ての凹部の合計平面面積の割合が5%以上70%以下である請求項2に記載の双極板。
  4. 前記導入溝と前記排出溝とが交互に配置される噛合領域を有し、
    前記噛合領域の前記畝部は前記特定畝部を含む請求項2又は請求項3に記載の双極板。
  5. 前記凹部は、前記溝部に開口しないものを含む請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の双極板。
  6. 前記特定畝部として、一つの前記特定畝部に複数の前記凹部を備え、前記複数の凹部の合計周長がこの特定畝部の長さの1/4以上であるものを含む請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の双極板。
  7. 前記特定畝部として、前記電解液の流通方向に沿って設けられた前記畝部であって、前記電解液の流通方向に離間される複数の前記凹部を備えるものを含む請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の双極板。
  8. 前記特定畝部の最小の幅は、前記溝部の最小の開口幅以上である請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の双極板。
  9. 請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の双極板と、前記双極板の外周に設けられる枠体とを備えるセルフレーム。
  10. 請求項9に記載のセルフレームと、電極とを備える電池セル。
  11. 前記電極の厚さが50μm以上1mm以下である請求項10に記載の電池セル。
  12. 請求項10又は請求項11に記載の電池セルを備えるセルスタック。
  13. 請求項10又は請求項11に記載の電池セル、又は請求項12に記載のセルスタックを備えるレドックスフロー電池。
  14. 正極活物質としてマンガンイオン、バナジウムイオン、鉄イオン、ポリ酸、キノン誘導体、及びアミンの少なくとも1種を含む正極電解液を備える請求項13に記載のレドックスフロー電池。
  15. 負極活物質としてチタンイオン、バナジウムイオン、クロムイオン、ポリ酸、キノン誘導体、及びアミンの少なくとも1種を含む負極電解液を備える請求項13又は請求項14に記載のレドックスフロー電池。
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