JP2020129459A - 電池セル、セルスタック、及びレドックスフロー電池 - Google Patents

電池セル、セルスタック、及びレドックスフロー電池 Download PDF

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真一 澤田
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毅 寒野
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Abstract

【課題】電池反応を効率よく行えるレドックスフロー電池を構築可能な電池セル、セルスタック、及びレドックスフロー電池を提供する。【解決手段】電解液の供給側と前記電解液の排出側とを有する第一の流れ場301及び第二の流れ場302を備え、前記第一の流れ場は、前記供給側及び前記排出側の少なくとも一方に閉口する第一の流路31を備え、前記第二の流れ場は、前記供給側及び前記排出側の少なくとも一方に閉口する第二の流路32を備え、前記第一の流路と前記第二の流路とは隣り合って並び、前記第一の流路及び前記第二の流路における前記供給側の端部領域303と、前記第一の流路及び前記第二の流路における前記排出側の端部領域との少なくとも一方の前記端部領域304に、前記第一の流れ場における前記電解液の流れ易さと前記第二の流れ場における前記電解液の流れ易さとを相対的に異ならせる流通構造を備える、電池セル。【選択図】図3A

Description

本開示は、電池セル、セルスタック、及びレドックスフロー電池に関する。
蓄電池の一つに、レドックスフロー電池がある。レドックスフロー電池は、電極に電解液を供給して電池反応を行う。具体的には、特許文献1の図19に記載されるように、レドックスフロー電池は、正極電極と、負極電極と、両電極間に介在される隔膜と、電極が配置される双極板を有するセルフレームとを備える。代表的には、レドックスフロー電池は、セルフレーム(双極板)、正極電極、隔膜、負極電極、次のセルフレーム(双極板)という順に繰り返し積層されたセルスタックと呼ばれる状態で利用される(特許文献1の図19)。
特開2015−122230号公報
電池反応をより効率よく行えるレドックスフロー電池が望まれている。
特に、電解液の流通性に優れて圧力損失を低減できつつ、電極のより広い範囲に電解液を拡散して、電池反応が電極に均一的に生じることが望ましい。
そこで、本開示は、電池反応を効率よく行えるレドックスフロー電池を構築可能な電池セルを提供することを目的の一つとする。また、本開示は、電池反応を効率よく行えるレドックスフロー電池を構築可能なセルスタックを提供することを別の目的の一つとする。更に、本開示は、電池反応を効率よく行えるレドックスフロー電池を提供することを別の目的の一つとする。
本開示の電池セルは、
電解液の供給側と前記電解液の排出側とを有する第一の流れ場及び第二の流れ場を備え、
前記第一の流れ場は、前記供給側及び前記排出側の少なくとも一方に閉口する第一の流路を備え、
前記第二の流れ場は、前記供給側及び前記排出側の少なくとも一方に閉口する第二の流路を備え、
前記第一の流路と前記第二の流路とは隣り合って並び、
前記第一の流路及び前記第二の流路における前記供給側の端部領域と、前記第一の流路及び前記第二の流路における前記排出側の端部領域との少なくとも一方の前記端部領域に、前記第一の流れ場における前記電解液の流れ易さと前記第二の流れ場における前記電解液の流れ易さとを相対的に異ならせる流通構造を備える。
本開示のセルスタックは、
本開示の電池セルを備える。
本開示のレドックスフロー電池は、
本開示の電池セル、又は本開示のセルスタックを備える。
本開示の電池セル、及び本開示のセルスタックは、電池反応を効率よく行えるレドックスフロー電池を構築できる。本開示のレドックスフロー電池は、電池反応を効率よく行える。
図1は、実施形態のレドックスフロー電池の基本構造を模式的に示す説明図である。 図2は、実施形態の電池セル及びセルスタックの概略構成図である。 図3Aは、実施形態の電池セルに備えられる形態1の流れ場を示す部分平面図である。 図3Bは、図3Aに示す双極板を(B)−(B)切断線で切断した断面の一例を示す部分断面図である。 図4は、実施形態の電池セルに備えられる形態2の流れ場を示す部分平面図である。 図5は、実施形態の電池セルに備えられる形態3の流れ場を示す部分平面図である。 図6は、実施形態の電池セルに備えられる形態4の流れ場を示す部分平面図である。 図7Aは、実施形態の電池セルに備えられる形態5の流れ場を示す部分平面図である。 図7Bは、図7Aに示す双極板を(B)−(B)切断線で切断した断面の一例を示す部分断面図である。 図8Aは、実施形態の電池セルに備えられる形態6の流れ場を示す部分平面図である。 図8Bは、図8Aに示す電極及び双極板を(B)−(B)切断線で切断した断面の一例を示す部分断面図である。 図9は、実施形態の電池セルに備えられる形態7の流れ場を示す部分平面図である。 図10は、実施形態の電池セルに備えられる形態8の流れ場を示す部分平面図である。 図11は、実施形態の電池セルに備えられる形態9の流れ場を構成する電極及び双極板を示す分解斜視図である。
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
(1)本開示の一態様に係る電池セルは、
電解液の供給側と前記電解液の排出側とを有する第一の流れ場及び第二の流れ場を備え、
前記第一の流れ場は、前記供給側及び前記排出側の少なくとも一方に閉口する第一の流路を備え、
前記第二の流れ場は、前記供給側及び前記排出側の少なくとも一方に閉口する第二の流路を備え、
前記第一の流路と前記第二の流路とは隣り合って並び、
前記第一の流路及び前記第二の流路における前記供給側の端部領域と、前記第一の流路及び前記第二の流路における前記排出側の端部領域との少なくとも一方の前記端部領域に、前記第一の流れ場における前記電解液の流れ易さと前記第二の流れ場における前記電解液の流れ易さとを相対的に異ならせる流通構造を備える。
本開示の電池セルは、以下に説明するように、圧力損失を低減しつつ、電池反応をより効率よく行えるレドックスフロー電池(以下、RF電池と呼ぶことがある)を構築できる。
(A)本開示の電池セルは、電解液の流路を備えるため、電解液の流通性に優れる。その結果、圧力損失の増大が低減され易い。
(B)本開示の電池セルは、隣り合う二つ流路の端部領域に電解液の流れ易さを異ならせる構造を備える。代表的には、上記構造は、隣り合う二つの流路において、流路の端部と流れ場の供給側又は排出側との間における電解液の流れ易さが異なる。流れ易さの相違によって、隣り合う流路間に電解液の流通圧力の差が生じる。そのため、両流路間を渡るような電解液の流れが生じ易い。その結果、電解液は、流路の周囲に行き渡るように拡散され易い。ひいては、電池反応がより広い範囲で起こり易い。このような本開示の電池セルは、電池反応を促進できる。
また、本開示の電池セルは、以下に説明するように、電力系統の停電時等でもポンプを安定して稼働できるRF電池を構築できる。各流路の少なくとも一端部が閉口している。そのため、外部からの電解液の供給が停止された状態において、流路は、電解液を貯留できる。貯留された電解液によって、例えば電力系統の停電時に、電解液の供給に利用されるポンプを起動することができる。更に、本開示の電池セルは、流路の一端部が閉口しているため、電解液から電池セル内への異物の混入も防止し易い。
(2)本開示の電池セルの一例として、
前記第一の流れ場は、前記供給側の端部領域に前記流通構造として以下の(i)又は(ii)の構造を備えること、及び前記排出側の端部領域に前記流通構造として以下の(iii)又は(iv)の構造を備えること、の少なくとも一方を満たす形態が挙げられる。
(i)前記第二の流路における前記供給側の端部に比較して、前記第一の流れ場の前記供給側から前記第一の流路における前記供給側の端部に向かう流れが相対的に促進される構造。
(ii)前記第二の流路における前記供給側の端部に比較して、前記第一の流れ場の前記供給側から前記第一の流路における前記供給側の端部に向かう流れが相対的に阻害される構造。
(iii)前記第二の流路における前記排出側の端部に比較して、前記第一の流路における前記排出側の端部から前記第一の流れ場の前記排出側に向かう流れが相対的に促進される構造。
(iv)前記第二の流路における前記排出側の端部に比較して、前記第一の流路における前記排出側の端部から前記第一の流れ場の前記排出側に向かう流れが相対的に阻害される構造。
上記形態では、上述の流通圧力の差がより確実に生じる。そのため、上記形態は、電解液の拡散によって電池反応を促進し、電池反応の効率の向上に寄与する。
(3)上記(2)の電池セルの一例として、
前記第二の流れ場は、前記第一の流路に備えられる前記流通構造と同じ構造を前記第一の流路の前記端部領域とは反対の前記端部領域に備える形態が挙げられる。
上記形態では、第一の流路及び第二の流路における供給側の端部領域、及び排出側の端部領域の双方において、上述の流通圧力の差が生じる。そのため、電解液がより拡散し易くなり、電池反応がより促進される。従って、上記形態は、電池反応の効率の更なる向上に寄与する。
(4)本開示の電池セルの一例として、
前記第一の流路及び前記第二の流路は、電極、及び前記電極に対向する双極板の少なくとも一方に設けられる形態が挙げられる。
上記形態は、流路を設け易く、製造性にも優れる。
(5)本開示の電池セルの一例として、
前記第一の流路及び前記第二の流路は、溝を含む形態が挙げられる。
溝は、電解液の流通性に優れる。そのため、上記形態は、圧力損失をより低減しつつ、電池反応の効率の向上に寄与する。また、上記形態は、流路を設け易く、製造性にも優れる。
(6)本開示の電池セルの一例として、
前記第一の流路及び前記第二の流路は、実質的に直線の溝を含み、
前記実質的に直線の溝は、実質的に平行に並ぶ形態が挙げられる。
平行に並ぶ複数の直線の溝は、電解液の流通性に優れる。そのため、上記形態は、圧力損失をより低減しつつ、電池反応の効率の向上に寄与する。また、上記形態は、流路を設け易く、製造性にも優れる。
(7)本開示の電池セルの一例として、
前記第一の流路又は前記第二の流路は、前記排出側に開口する形態が挙げられる。
上記形態において排出側に開口する流路は、流れ場の排出側に向う電解液の流れを相対的に促進するといえる。このような流路を備える形態では、排出側の端部領域において上述の流通圧力の差が生じる。そのため、電解液が拡散し易くなり、電池反応が促進される。従って、上記形態は、電池反応の効率の向上に寄与する。また、上記形態における第一の流路は、供給側の端部を電解液の貯留箇所に利用できる。そのため、上記形態は、電力系統の停電時等でもポンプを安定して稼働できるRF電池を構築できる。
(8)本開示の電池セルの一例として、
前記第一の流路及び前記第二の流路は、前記供給側及び前記排出側の双方に閉口する形態が挙げられる。
上記形態における両流路は、供給側の端部を電解液の貯留箇所に利用できる。このような流路を備える形態は、上述の電解液の供給停止時に電解液の貯留量を多くし易い。そのため、上記形態は、電力系統の停電時等でもポンプをより安定して稼働できるRF電池を構築できる。また、上記形態は、電解液からの異物の混入をより確実に防止できる。
(9)本開示の電池セルの一例として、
前記第一の流路における前記供給側の端部の位置と前記第二の流路における前記供給側の端部の位置とが前記電解液の流通方向にずれていること、及び前記第一の流路における前記排出側の端部の位置と前記第二の流路における前記排出側の端部の位置とが前記電解液の流通方向にずれていること、の少なくとも一方を満たす形態が挙げられる。
上記形態は、例えば第一の流路の形状と第二の流路の形状とを同一形状とし、各流路の配置位置を電解液の流通方向にずらすことで、各流路における電解液の流れ易さを異ならせられる。そのため、上記形態は、流路の形状を単純な形状にし易い。流路を形成し易い点で、上記形態は、製造性に優れる。
(10)本開示の電池セルの一例として、
前記第一の流路における前記供給側の端部の位置と前記第二の流路における前記供給側の端部の位置とが実質的に直線に並ぶこと、及び前記第一の流路における前記排出側の端部の位置と前記第二の流路における前記排出側の端部の位置とが実質的に直線に並ぶこと、の少なくとも一方を満たす形態が挙げられる。
上記形態における流路の形状は、単純な形状になり易い。流路を形成し易い点で、上記形態は、製造性に優れる。
(11)本開示の一態様に係るセルスタックは、
上記(1)から(10)のいずれか一つの電池セルを備える。
本開示のセルスタックは、電池反応をより効率よく行えるRF電池を構築できる。また、本開示のセルスタックは、電力系統の停電時等でもポンプを安定して稼働できるRF電池を構築できる。
(12)本開示の一態様に係るレドックスフロー電池(RF電池)は、
上記(1)から(10)のいずれか一つの電池セル、又は上記(11)のセルスタックを備える。
本開示のRF電池は、電池反応をより効率よく行える。また、本開示のRF電池は、電力系統の停電時等でもポンプを安定して稼働できる。
[本開示の実施形態の詳細]
以下、図面を参照して、本開示の実施形態の電池セル、セルスタック、及びレドックスフロー電池(RF電池)を説明する。図において同一符号は同一名称物を意味する。
[実施形態]
まず、図1,図2を参照して、実施形態の電池セル1、セルスタック5、RF電池10の概要を説明する。その後、実施形態の電池セル1に備えられる流れ場300、流路3を詳細に説明する。
(概要)
実施形態の電池セル1は、電池セル1外から電解液が供給される側と、電池セル1外に電解液を排出する側とを含む流れ場300を備える。代表的には、電池セル1は、電極12と、電極12の一面に対向する双極板2とを備える。一つの電池セル1は、電極12として正極電極13及び負極電極14を含むと共に、二つの双極板2を備える。以下の説明では、主として、正極電極13及び負極電極14の少なくとも一方を電極12として説明する。双極板2については、一方の双極板2を代表して説明する。
ここでの流れ場300とは、電池セル1内で電解液が流通する領域をいう。流れ場300は、電池セル1内における電解液が流通するあらゆる空間を含む。電解液が流通する空間は、例えば、電極12及び双極板2の少なくとも一方に設けられる溝や凹部、電極12が多孔体であれば、多孔体自体が有する空孔、電極12と双極板2との間に設けられる隙間等が挙げられる。流れ場300は代表的には流路3(図2)を備える。
ここでの流路3とは、流れ場300の供給側と排出側との間で、実質的に一連の電解液の流通状態を規定する領域である。例えば、流路3を構成する領域は、電極12及び双極板2の少なくとも一方に設けられる溝、上記溝の全長にわたって多孔体が収納された箇所、電極12が多孔体であれば、多孔体自体の気孔率を局所的に大きくした疎な箇所等が挙げられる。上記溝や疎な箇所は、例えば、流れ場300の供給側に配置される端部を一端とし、流れ場300の排出側に配置される端部を他端として、一端から他端に延びるように細長い形態に設けられることが挙げられる。
上記溝とは、所定の形状及び所定の長さに設けられた凹部である。
特に、実施形態の電池セル1は、隣り合って並ぶ流路3の端部領域(後述の端部領域303,304参照、図3〜図11)に、隣り合う流路3間において電解液の流通圧力の差が生じるような構造(後述の阻害構造305,306、促進構造307,308参照)を備える。実施形態のRF電池10は、実施形態の電池セル1、又は実施形態のセルスタック5を備える。実施形態のセルスタック5は、実施形態の電池セル1を備える。
(電池セル)
電池セル1は、正極セル1A及び負極セル1Bを備える。正極セル1Aは、正極電極13(電極12の一例)と、隔膜11と、双極板2とを備える。負極セル1Bは、負極電極14(電極12の別例)と、隔膜11と、双極板2とを備える。電極12は、正極電解液や負極電解液に含まれる活物質(イオン)が電池反応を行う反応場である。双極板2は、電流を流す導電性の部材であり、双極板2の一面から他面に電解液が通過しない部材である。隔膜11は、正極電極13,負極電極14間を分離すると共に所定のイオンを透過する部材である。隔膜11は、例えば、イオン交換膜、多孔質膜等を利用できる。
RF電池10が単セル電池である場合、一つの正極セル1Aと一つの負極セル1Bとを備える。RF電池10が多セル電池である場合、正極セル1Aと負極セル1Bとの組を複数組備える。正極セル1Aと負極セル1Bとの組を複数備える多セル電池は、代表的にはセルスタック5を備える。電池セル1は、代表的には後述のセルフレーム4を用いて構築される。
(RF電池)
RF電池10は、電解液循環型の蓄電池の一つである。RF電池10は、電池セル1(セルスタック5でもよい)と、電池セル1に電解液を供給する循環機構とを備える。代表的には、RF電池10は、介在機器6を介して、発電部7と負荷8とに接続される。介在機器6は、例えば交流/直流変換器、変電設備等が挙げられる。発電部7は、例えば太陽光発電機、風力発電機、その他一般の発電所等が挙げられる。負荷8は、例えば電力系統や電力の需要家等が挙げられる。RF電池10は、発電部7を電力供給源として充電を行い、負荷8を電力提供対象として放電を行う。RF電池10は、負荷平準化、瞬低補償や非常用電源、太陽光発電や風力発電といった自然エネルギー発電の出力平滑化等に利用される。
〈循環機構〉
循環機構は、タンク16,17と、配管160,170(往路配管161,171、復路配管162,172)と、ポンプ18,19とを備える。タンク16は、正極電極13に循環供給する正極電解液を貯留する。往路配管161及び復路配管162はタンク16と正極セル1A間を接続する。タンク17は、負極電極14に循環供給する負極電解液を貯留する。往路配管171及び復路配管172はタンク17と負極セル1B間を接続する。ポンプ18,19はそれぞれ、往路配管161,171に接続されて、正極セル1A,負極セル1Bに電解液を循環供給する。図1の黒矢印は、電解液の流れを例示する。
〈電解液〉
電解液には、活物質となるイオンを含む溶液が利用できる。代表的な電解液は、上記イオンと、酸とを含む水溶液が挙げられる。図1は、正負の活物質としてバナジウムイオンを含む全バナジウム系RF電池を例示する。正極活物質としてマンガンイオンを含み、負極活物質としてチタンイオンを含むMn−Ti系RF電池等、公知の組成の電解液を利用することができる。
〈セルフレーム〉
セルフレーム4は、双極板2と、枠体40とを備える。枠体40は、双極板2を支持すると共に、双極板2に配置される電極12への電解液の供給、電極12からの電解液の排出に利用される電気絶縁性の部材である。単セル電池又は多セル電池の端部に利用されるセルフレーム4では、双極板2の一面に電極12が配置される。多セル電池の中間部に利用されるセルフレーム4では、一つの双極板2の一面に正極電極13が配置される。この双極板2の他面に負極電極14が配置される。つまり、一組の正極電極13及び負極電極14は、一つの双極板2の両面を挟むように配置される。
図2に示すように、枠体40は、双極板2の周縁側の領域を覆うように設けられる。枠体40は、窓部41と、電解液の供給路及び排出路とを備える。窓部41は、枠体40の中央部に設けられて、双極板2における電極12が配置される領域を露出させる。図2は、枠体40として、外形及び窓部41の形状が長方形である場合を例示する。枠体40の外形、窓部41の形状は適宜変更できる。
代表的には、枠体40は、一面に正極側の供給路及び排出路を備え、他面に負極側の供給路及び排出路を備える。上記供給路は、給液マニホールド43(正極),44(負極)と、給液マニホールド43,44から窓部41に至るスリット等とを備える。上記排出路は、排液マニホールド45(正極),46(負極)と、窓部41から排液マニホールド45,46に至るスリット等とを備える。窓部41の内周縁において、上記供給路のスリットの開口箇所及びその近傍箇所(図2では下端縁)は、電解液の供給縁2iとして利用される。窓部41の内周縁において、上記排出路のスリットの開口箇所及びその近傍箇所(図2では上端縁)は、電解液の排出縁2oとして利用される。その他、本例の枠体40は、シール材48を備えており、隣り合うセルフレーム4間を液密に保持する(図1)。
枠体40の構成材料は、電解液に対する耐性及び電気絶縁性を有する材料、例えば塩化ビニル樹脂等の樹脂が挙げられる。枠体40は、例えば分割片の組物が挙げられる。セルフレーム4は、双極板2を挟むように上記分割片を組み合わせて適宜接合することで製造できる。又は、枠体40は、射出成形等による一体成形物が挙げられる。セルフレーム4は、双極板2の周囲に枠体40を射出成形等で成形することで製造できる。
(セルスタック)
セルスタック5は、代表的には複数の電池セル1の積層体と、一対のエンドプレート51と、締結部材52とを備える。上記積層体は、正極セル1A、負極セル1Bが順に積層されて構築される。具体的には、上記積層体は、複数のセルフレーム4を備え、セルフレーム4(双極板2)、正極電極13、隔膜11、負極電極14が順に積層される(図2の分解図参照)。締結部材52は、長ボルト等の連結材及びナット等が挙げられる。締結部材52によってエンドプレート51間が締め付けられる。上記積層体は、その積層方向の締付力によって積層状態を保持する。
セルスタック5は、図2に例示するように、複数のサブセルスタック50を備えてもよい。サブセルスタック50は、所定数の電池セル1の積層体と、この積層体を挟む一対の給排板53とを備える。給排板53に、上述の配管160,170が接続される。
(流路)
以下、図3〜図11を参照して、流れ場300、流路3を詳細に説明する。
以下の説明では、双極板2A〜2Iを双極板2と呼ぶことがある。電極12E〜12Iを電極12と呼ぶことがある。第一の流路31、第二の流路32を流路3と呼ぶことがある。第一の流れ場301、第二の流れ場302を流れ場300と呼ぶことがある。
図3A,図4〜図7A,図10は、双極板2の一部のみを示す。図8A,図9,図11は、双極板2の一部と電極12の一部とを示す。
図3A,図4〜図7A,図8A,図9〜図11はいずれも、双極板2のうち、上述の枠体40に覆われる周縁側の領域を省略し、セルフレーム4の窓部41から露出される領域(以下、露出領域と呼ぶ)の一部を示す。電極12は、この露出領域に配置される。
図3B,図7B,図8Bは、図3A,図7A,図8Aに示す各双極板2を、双極板2の厚さ方向に平行な平面であって、後述する直線溝21の長手方向に平行する平面で切断した断面図を示す。図3B,図7B,図8Bの切断は、図3A,図7A,図8Aに示す切断線(B)−(B)で双極板2を切断した場合に相当する。図3B,図7B,図8Bの断面図は、双極板2の断面に加えて、電極12の断面も示す。
図11は、流路3が分かり易いように、電極12と双極板2とを重ね合せずに離して示す。なお、図11は、電極12の平面形状、双極板2の露出領域の平面形状が長方形状である場合を例示するが、上記平面形状は適宜変更できる(後述の変形例7参照)。
その他、図3〜図10の平面図は、分かり易いように、双極板2の畝部23〜26にクロスハッチングを付した状態を示す。
以下の説明では、電極12の周縁、双極板2の露出領域の周縁において、セルフレーム4の窓部41の内周縁から電解液を供給することに利用される箇所をそれぞれ電極12の供給縁12i(図11)、双極板2の供給縁2i(図3A等)と呼ぶ。電極12の周縁、双極板2の露出領域の周縁において、窓部41の内周縁に電解液を排出することに利用される箇所をそれぞれ電極12の排出縁12o(図11)、双極板2の排出縁2o(図3A等)と呼ぶ。
図3〜図10の平面図において紙面上下方向に沿って下側から上側に向う方向を双極板2における電解液の流通方向として説明する。また、双極板2における上記露出領域の周縁のうち、紙面左右方向に直線状に延びる下端縁を供給縁2iとし、上端縁を排出縁2oとして説明する。ここでの電解液の流通方向とは、電解液の基本的な流れ方向であり、必ずしも流路3の形状に沿った方向ではない。本例のように上記露出領域の平面形状が長方形であり、供給縁2i及び排出縁2oが対向する二辺である場合には、電解液の流通方向は、両縁2i,2o間の最短距離をとる直線の方向が挙げられる。供給縁2i,排出縁2oの配置位置、電解液の流通方向等は適宜変更できる。
〈概要〉
実施形態の電池セル1は、電解液の供給側と電解液の排出側とを有する第一の流れ場301及び第二の流れ場302を備える。流れ場301,302は、代表的には、電極12と双極板2とで構成される。この場合、流れ場301,302の電解液の供給側とは、電極12の供給縁12i、双極板2の供給縁2iが挙げられる。流れ場301,302の電解液の排出側とは、電極12の排出縁12o、双極板2の排出縁2oが挙げられる。図3等は、流れ場301,302を二点鎖線で囲み、仮想的に示す。
第一の流れ場301は、上記電解液の供給側及び排出側の少なくとも一方に閉口する第一の流路31を備える。第二の流れ場302は、上記電解液の供給側及び排出側の少なくとも一方に閉口する第二の流路32を備える。第一の流路31と第二の流路32とは隣り合って並ぶ。ここでの隣り合って並ぶとは、電極12と双極板2との積層方向から平面視した状態で隣り合うことをいう。代表的には、流路31,32は、電極12及び双極板2の少なくとも一方に設けられる。例えば、図3Aは、両流路31,32が双極板2に設けられると共に、両流路31,32が供給縁2i及び排出縁2oの双方に閉口する場合を示す。図11は、一方の流路31が双極板2に設けられ、他方の流路32が電極12に設けられる場合を示す。電極12や双極板2は流路31,32を設け易い。流路31,32を形成し易い点で、電池セル1は製造性に優れる。
特に、実施形態の電池セル1は、第一の流路31及び第二の流路32における供給側の端部領域303と、第一の流路31及び第二の流路32における排出側の端部領域304との少なくとも一方の端部領域に、以下の流通構造を備える。この流通構造は、第一の流れ場301における電解液の流れ易さと第二の流れ場302における電解液の流れ易さとを相対的に異ならせる構造である。供給側の端部領域303とは、流路31,流路32における供給側の端部と、流れ場301,302の供給側の一部と、適宜、上述の特定の流通構造を含む領域である。排出側の端部領域304とは、流路31,32における排出側の端部と、流れ場301,302の排出側の一部と、適宜、上述の特定の流通構造を含む領域である。図3〜図11は、端部領域303,304を二点鎖線で囲み、仮想的に示す。
上述の特定の流通構造は、流れ場300の供給側から、流路3における供給側の端部に向かう電解液の流れを隣り合う流路31,32において異ならせる構造である。又は、上述の特定の流通構造は、流路3における排出側の端部から、流れ場300の排出側に向かう電解液の流れを隣り合う流路31,32において異ならせる構造である。例えば、第一の流れ場301が供給側の端部領域303に上記流通構造を備える場合、上記流通構造として、以下の(i)又は(ii)の構造を備えることが挙げられる。又は、例えば、第一の流れ場301が排出側の端部領域304に上記流通構造を備える場合、上記流通構造として、以下の(iii)又は(iv)の構造を備えることが挙げられる。電池セル1は、〔1〕(i)又は(ii)の構造を備えること、及び〔2〕(iii)又は(iv)の構造を備えることの少なくとも一方を満たすとよい。
(i)第二の流路32における供給側の端部に比較して、第一の流れ場301の供給側から第一の流路31における供給側の端部に向かう流れが相対的に促進される構造(以下、この構造を供給側の促進構造307と呼ぶ)。
(ii)第二の流路32における供給側の端部に比較して、第一の流れ場301の供給側から第一の流路31における供給側の端部に向かう流れが相対的に阻害される構造(以下、この構造を供給側の阻害構造305と呼ぶ)。
(iii)第二の流路32における排出側の端部に比較して、第一の流路31における排出側の端部から第一の流れ場301の排出側に向かう流れが相対的に促進される構造(以下、この構造を排出側の促進構造308と呼ぶ)。
(iv)第二の流路32における排出側の端部に比較して、第一の流路31における排出側の端部から第一の流れ場301の排出側に向かう流れが相対的に阻害される構造(以下、この構造を排出側の阻害構造306と呼ぶ)。
(v)上記〔1〕(i)を満たす場合、第二の流れ場302は、上述の特定の流通構造として、供給側の阻害構造305を備えてもよい。
(vi)上記〔1〕(ii)を満たす場合、第二の流れ場302は、上記流通構造として、供給側の促進構造307を備えてもよい。
(vii)上記〔1〕を満たす場合、第二の流れ場302は、上記流通構造として、排出側の促進構造308又は排出側の阻害構造306を備えてもよい。
(viii)上記〔2〕(iii)を満たす場合、第二の流れ場302は、上記流通構造として、排出側の阻害構造306を備えてもよい。
(ix)上記〔2〕(iv)を満たす場合、第二の流れ場302は、上記流通構造として、排出側の促進構造308を備えてもよい。
(x)上記〔2〕を満たす場合、第二の流れ場302は、上記流通構造として、供給側の促進構造307又は供給側の阻害構造305を備えてもよい。
(xi)上記〔1〕及び〔2〕の双方を満たす場合に、両流れ場301,302は更に上記(v)〜(x)を満たしてもよい。
なお、第二の流れ場302における促進構造307,308、阻害構造305,306は、上記〔1〕(i)〜(iv)の説明において、第一の流路31を「第二の流路32」に読み替え、第一の流れ場301を「第二の流れ場302」に読み替え、第二の流路32を「第一の流路31」に読み替えるとよい。
促進構造307,308は、流れ場300の供給側から流路3の端部に向かう電解液の流れ、又は流路3の端部から流れ場300の排出側に向う電解液の流れを隣り合う流路3のうち、一方の流路3に比較して相対的に増加可能な構造であればよい。阻害構造305,306は、流れ場300の供給側から流路3の端部に向かう電解液の流れ、又は流路3の端部から流れ場300の排出側に向う電解液の流れを隣り合う流路3のうち、一方の流路3に比較して相対的に低下可能な構造であればよい。即ち、阻害構造305,306は、電解液の流れを実質的に遮断するものでもよいし、電解液の流れをある程度可能にするものでもよい。なお、第一の流れ場301及び第二の流れ場302の供給側からの電解液の圧力は、同一とする。
上述の特定の流通構造は、例えば、双極板2及び電極12の少なくとも一方に突出部2a(図3A)、切欠部127(図8A,図8B)等を設けて構築することが挙げられる。又は、上記流通構造は、例えば、流路31,32が溝を備える場合、溝の形状(図4,図5)、溝の位置(図6)を調整することで構築することが挙げられる。又は、上記流通構造は、流路31,32が溝を備えずに、電極12の空孔率や電極12における電解液との親水性等を局所的に異ならせることで構築することが挙げられる。このように上記流通構造は種々の方法によって設けられる。上記流通構造の具体的な構成は、後述する。
〈主な作用〉
電池セル1が上述の特定の流通構造を備えることによる主な作用を説明する。
例えば、第一の流れ場301が供給側の端部領域303に促進構造307を備える場合、第一の流れ場301の供給側から流路31の端部に向かう電解液の流れが、第二の流路32に比較して相対的に多くなり易い。一方、第二の流れ場302の供給側から第二の流路32の端部に向かう電解液の流れは、第一の流路31に比較して相対的に少なくなり易い。
第一の流れ場301が供給側の端部領域303に阻害構造305を備える場合、第一の流れ場301の供給側から流路31の端部に向かう電解液の流れが、第二の流路32に比較して相対的に少なくなり易い。一方、第二の流れ場302の供給側から第二の流路32の端部に向かう電解液の流れは、第一の流路31に比較して相対的に多くなり易い。
第一の流れ場301が排出側の端部領域304に促進構造308を備える場合、第一の流路31の端部から第一の流れ場301の排出側に向かう電解液の流れが、第二の流路32に比較して相対的に多くなり易い。一方、第二の流路32の端部から第二の流れ場302の排出側に向かう電解液の流れは、第一の流路31に比較して相対的に少なくなり易い。
第一の流れ場301が排出側の端部領域304に阻害構造306を備える場合(例、図3A)、第一の流路31の端部から第一の流れ場301の排出側に向かう電解液の流れが、第二の流路32に比較して相対的に少なくなり易い。一方、第二の流路32の端部から第二の流れ場302の排出側に向かう電解液の流れは、第一の流路31に比較して相対的に多くなり易い。
上述のように流路31,32における供給側の端部と流れ場301,302の供給側との間における電解液の流れ易さが異なる。この電解液の流れ易さの相違によって、隣り合う流路31,32間において電解液の流通圧力に差が生じる。この圧力差を利用して、両流路31,32間を渡るような電解液の流れが生じ易い。その結果、電解液は、電極12における両流路3の周囲に行き渡り易く、電極12の広い範囲に拡散され易い。従って、電極12のより広い範囲で電池反応が生じ易くなり、電極12は、電池反応を良好に行える。
上述の〔1〕及び〔2〕の少なくとも一方を満たす場合には、上述の圧力の差がより確実に生じる。そのため、電解液が電極12により拡散し易くなり、電池反応が促進され易い。
〈溝〉
主に図3Aを参照して、第一の流路31、第二の流路32を説明する。
第一の流路31,第二の流路32は、溝を含むことが挙げられる。図3Aは、双極板2Aが溝(後述の直線溝21,22)を備える場合を例示する。図11は、電極12I及び双極板2Iの双方が溝(直線溝21,22)を備える場合を例示する。溝は、電解液の流通性に優れる流路31,32を構築できる。そのため、溝を含む流路31,32は、RF電池10の圧力損失の低減に寄与する。また、溝は、双極板2や電極12に容易に設けられる。溝を含む流路31,32を形成し易い点で、電池セル1は製造性にも優れる。隣り合う流路31,32がそれぞれ溝を含む場合、隣り合う溝間には畝部(畝部23,123、図11等)が設けられる。畝部23,123は、隣り合う溝を仕切る。電極12の畝部123、及び電極12における双極板2の畝部23に対向する領域は、電池反応を行う場に利用できる。
第一の流路31,第二の流路32に備えられる溝は、流れ場300の供給側から排出側に向って連続して設けられることが望ましい。このような溝は、電解液の流通性に優れる。そのため、上記溝は、RF電池10の圧力損失の低減に寄与する。
第一の流路31及び第二の流路32は実質的に直線の溝を含むことが挙げられる。ここでの実質的に直線の溝とは、溝の中心軸35が直線状であることをいう。図3A等は、溝の中心軸35を一点鎖線で仮想的に示す。ここでの溝の中心軸35が直線状とは、以下のばらつきが10mm以下であることをいう。溝の供給側の端部を起点とし、溝の排出側の端部を終点として、溝の長手方向に等間隔に、溝における幅の中心Pnを複数(望ましくは5以上)とる。複数の中心Pnと最小二乗近似とを用いて、溝における幅の中心の近似直線を求める。求めた近似直線と各中心Pnとの間の距離Lnを求める。上記距離Lnの標準偏差をばらつきとする。ばらつきが10mm以下であれば、実質的に直線の溝は、電解液の流通性に優れる。上記ばらつきが5mm以下、更に2mm以下であれば、溝の中心軸35が直線に近くなる。そのため、実質的に直線の溝の形状は、代表的には長方形といった単純な形状になり易い。従って、実質的に直線の溝を含む電池セル1は、電解液の流通性により優れる。以下、実質的に直線の溝を直線溝と呼ぶ。
第一の流路31及び第二の流路32に備えられる直線溝は実質的に平行に並ぶことが挙げられる。ここでの直線溝が実質的に平行に並ぶとは、以下の第一の割合が、百分率で30%以下であることをいう。隣り合う直線溝について、それぞれ上述の溝における幅の中心の近似直線をとる。求めた二つの近似直線の間隔について、平均値、最大値、最小値を求める。ここでは、上記平均値を平均間隔Wと呼ぶ。上記最大値と上記最小値との差を求める。第一の割合は、平均間隔Wに対する上記差、即ち(上記差/平均間隔W)とする。第一の割合が30%以下であれば、隣り合う直線溝が平行に近くなり、電解液の流通性により優れる。そのため、実質的に平行である直線溝の組を備える電池セル1は、RF電池10の圧力損失の更なる低減に寄与する。また、隣り合う直線溝が平行に並べば、溝形状がより単純になり易く、流路31,32を設け易い。流路31,32を形成し易い点で、実質的に平行な直線溝の組を備える電池セル1は、RF電池10の製造性の更なる向上に寄与する。第一の割合は、20%以下が望ましく、10%以下がより望ましい。
流れ場300が第一の流路31及び第二の流路32を複数組備え、各流路31,32に備えられる溝について、隣り合う溝の平均間隔Wが実質的に同一であることが挙げられる。ここでの平均間隔Wが実質的に同一とは、以下の第二の割合が、百分率で30%以下であることをいう。第一の流路31に備えられる溝と、第二の流路32に備えられる溝とについて、隣り合って並ぶ溝の組を複数(例、5以上)とる。隣り合う溝について、それぞれ上述の溝における幅の中心の近似直線をとり、更に平均間隔Wを求める。求めた複数の平均間隔Wについて、平均値aveと標準偏差σとを求める。第二の割合は、上記平均値aveに対する標準偏差σ、即ち(σ/ave)とする。第二の割合が小さいほど、例えば20%以下、更に10%以下であると、溝が均一的な間隔で存在するといえる。隣り合う溝が等間隔に並べば、電解液の流通状態が均一的になり易い。また、電池反応が均一的に生じ易い。特に隣り合う溝が上述の直線溝であれば、電解液の流通性に優れる。更に、上述の直線溝では、溝形状がより単純であり、流路31,32を設け易い。流路31,32をより形成し易い点で、等間隔に並ぶ直線溝を備える電池セル1は、RF電池10の製造性の更なる向上に寄与する。
図3〜図11は、第一の流路31が直線溝21を備え、第二の流路32が直線溝22を備える場合を例示する。本例の直線溝21,22は、上述の中心軸35に関するばらつきが実質的に0%である。また、図3,図6〜図11は、以下の(1)から(3)を満たす場合を例示する。
(1)直線溝21,22の平面形状が長方形である。直線溝21,22は、溝の全長にわたって同一の溝幅を有する。
(2)隣り合う直線溝21,22が平行に並ぶ。上述の第一の割合は、実質的に0%である。
(3)流路31,32は、隣り合う直線溝21,22の組を複数備える。隣り合う直線溝21,22の平均間隔Wは、実質的に同じである。上述の第二の割合は、実質的に0%である。
上述の(1)〜(3)を満たす直線溝21,22を備える電池セル1は、電解液の流通性に優れて、RF電池10の圧力損失の低減に寄与する。また、このような電池セル1では、溝の全長にわたって、電解液の流通状態が均一的になり易い。その結果、電池反応が均一的に生じ易い。更に、上述の(1)〜(3)を満たす直線溝21,22の溝形状は単純である。流路31,32を形成し易い点で、電池セル1は、RF電池10の製造性の向上にも寄与する。
《完全閉塞溝》
第一の流路31及び第二の流路32は、流れ場300の供給側及び排出側の双方に閉口することが挙げられる。図3〜図9,図11は、第一の流路31及び第二の流路32の双方が、供給縁2i,12i及び排出縁2o,12oの双方に閉口する直線溝21,22を備える場合を例示する。以下、供給縁2i,12i及び排出縁2o,12oの双方に閉口する溝を完全閉塞溝と呼ぶことがある。隣り合う流路3がいずれも完全閉塞溝を備える場合、両完全閉塞溝における供給側の端部は、外部からの電解液の供給が停止された状態において、電解液の貯留箇所に利用できる。貯留された電解液は、例えば電力系統の停電時に、ポンプ18,19の起動に利用できる。そのため、ポンプ18,19は、停電時でも安定して稼働できる。従って、完全閉塞溝を隣り合って備える電池セル1は、RF電池10がポンプ18,19を安定して稼働することに寄与する。また、完全閉塞溝を備える電池セル1は、電解液からの異物の混入をより確実に防止できる。
完全閉塞溝において、流れ場300の供給側又は排出側(ここでは供給縁2i,12i又は排出縁2o,12o)から溝の端部までの距離L24(図3A等)は、例えば、電極12の厚さの0.1倍以上100倍以下が挙げられる。ここでの電極12の厚さとは、電極12が加圧されると変形し易い材料からなる場合(例、カーボンフェルト、カーボンペーパー)には、JIS L 1096(2010年)のA法(JIS法)に準拠して測定した厚さとする。具体的には、電極12の厚さは、一定の時間(10秒)及び一定の圧力(0.7kPa)の下で測定したときの厚さとする。電極12の厚さに関する事項は、以下も同様とする。
上述の距離L24が短いほど、電解液の流通性に優れ、圧力損失を低減し易い。上記距離L24が長いほど、電池反応を促進し易い。電池反応を促進できる理由は、流れ場300の供給側又は排出側から溝の端部に設けられる畝部(双極板2では畝部24等、電極12では図11に示される畝部26参照)を大きく確保し易いからである。例えば、双極板2が完全閉塞溝を備える場合、双極板2は、完全閉塞溝の端部に距離L24の長さを有する畝部24を備える。電極12の畝部26、電極12における双極板2の畝部24に対向する領域は、電池反応を行う場に利用できる。上記距離L24は、電極12の厚さの1倍以上50倍以下でもよい。又は、上記距離L24は、例えば、隣り合う溝の平均間隔Wの0.1倍以上10倍以下でもよい。
《一端閉塞溝》
第一の流路31又は第二の流路32は、流れ場300の供給側に閉口し、排出側に開口することが挙げられる。この場合、他方の流路3は、流れ場300の供給側及び排出側の双方に閉口する。図10は、第二の流路32が供給縁2iに閉口し、排出縁2oに開口する直線溝22を備え、第一の流路31が上述の完全閉塞溝である直線溝21を備える場合を例示する。以下、供給縁2iに閉口し、排出縁2oに開口する溝を一端閉塞溝と呼ぶことがある。外部から電池セル1に電解液の供給が停止された状態において、一端閉塞溝における供給側の端部は、電解液の貯留箇所に利用できる。一端閉塞溝を備える流路3に隣り合う流路3に備えられる上述の完全閉塞溝も、供給側の端部を電解液の貯留箇所に利用できる。貯留された電解液は、例えば電力系統の停電時に、ポンプ18,19の起動に利用できる。そのため、ポンプ18,19は、停電時でも安定して稼働できる。従って、一端閉塞溝及び完全閉塞溝を隣り合って備える電池セル1は、RF電池10におけるポンプ18,19が安定して稼働することに寄与する。また、流れ場300の排出側に開口する一端閉塞溝は、仮に異物が混入しても、異物を電池セル1外に排出できる。
〈流通構造の配置状態〉
電池セル1は、上述の特定の流通構造を双極板2に備える形態(a)、電極12に備える形態(b)、双極板2と電極12との双方に備える形態(c)のいずれも利用できる。後述の形態1(図3),形態7〜9(図9〜図11)は、形態(c)に相当する。後述の形態2〜4(図4〜図6)は、形態(a)に相当する。後述の形態5,6(図7,図8)は、形態(b)に相当する。後述の形態(a)の説明において、双極板2を「電極12」に読み替えると、概ね形態(b)に相当する。
〈具体的な流通構造〉
以下、上述の特定の流通構造の具体例として、促進構造307,308、阻害構造305,306を説明する。
《形態1》
図3A,図3Bを参照して、電池セル1が供給側の阻害構造305及び排出側の阻害構造306を備える形態1を説明する。
まず、形態1の電池セル1の基本構成を説明する。
形態1の電池セル1は、電極12と、双極板2Aとを備える(図3B)。隣り合う第一の流路31及び第二の流路32は、双極板2Aに設けられる。電池セル1は、流路31,32の組を複数組備える。各流路31,32は、双極板2Aに直線溝21,22を備える。双極板2Aの一面には、直線溝21,22が供給縁2i又は排出縁2oの延設方向に等間隔に交互に並ぶ。各直線溝21,22は、電解液の流通方向(図3Aでは紙面上下方向)に沿って設けられ、同一の平面形状(長方形)、同一の大きさ(溝幅、溝深さ等)である。各平均間隔Wは同一の大きさであり、直線溝21,22の長手方向に沿って一様な大きさである。各直線溝21,22は完全閉塞溝である。
また、本例では、第一の流路31における供給側の端部の位置と、第二の流路32における供給側の端部の位置とが実質的に直線に並ぶ。かつ、第一の流路31における排出側の端部の位置と、第二の流路32における排出側の端部の位置とが実質的に直線に並ぶ。ここでの実質的に直線に並ぶとは、以下の第三の割合が、百分率で30%以下であることをいう。流れ場300の供給側(又は排出側)から、流路31,32における供給側(又は排出側)の端部までの距離を任意に複数(例、5以上)とる。上記距離の平均値aveと標準偏差σとを求める。第三の割合は、平均値aveに対する標準偏差σ、即ち(σ/ave)とする。第三の割合が小さいほど、例えば20%以下、更に10%以下であると、流路3の形状が単純な形状になり易い。流路3を形成し易い点で、電池セル1は製造性に優れる。本例では、流路31,32に備えられる直線溝21,22における供給側の端部の位置が実質的に同じである。即ち、供給縁2iから上記端部までの距離L24が実質的に等しい。また、本例では、上記直線溝21,22における排出側の端部の位置が実質的に同じである。即ち、排出縁2oから上記端部までの距離L24が実質的に等しい。更に、本例では、供給側の距離L24と排出側の距離L24とが等しい。従って、双極板2Aは、各直線溝21,22の端部側に、距離L24の長さを有する畝部24を備え、隣り合う直線溝21,22間に平均間隔Wの長さを有する畝部23を備える。このような直線溝21,22は単純な形状といえ、形成し易い溝といえる。
形態1の電池セル1では、排出側の端部領域304において、第一の流れ場301が排出側の阻害構造306を備える。また、供給側の端部領域303において、第二の流れ場302が供給側の阻害構造305を備える。本例の阻害構造305,306は同じ構造である。そのため、以下、第一の流れ場301に備えられる排出側の阻害構造306を例に挙げて説明する。以下の説明において、以下の読み替えを行うと、第二の流路32に備えられる供給側の阻害構造305に相当する。
第一の流れ場301、第一の流路31、直線溝21をそれぞれ、「第二の流れ場302」、「第二の流路32」、「直線溝22」に読み替える。
第二の流路32、直線溝22をそれぞれ、「第一の流路31」、「直線溝21」に読み替える。
排出側、排出縁2oをそれぞれ、「供給側」、「供給縁2i」に読み替える。
「排出側の端部から排出縁2oに向かう」を「供給縁2iから供給側の端部に向かう」に読み替える。
双極板2Aは、第一の流路31に備えられる直線溝21の排出側の端部及びその近傍に、局所的に突出する箇所(突出部2a)を備える(図3A)。突出部2aは、第一の流路31に隣り合う第二の流路32(直線溝22)の排出側の端部近くに設けられる畝部24の表面よりも隆起した箇所である(図3B)。そのため、突出部2aは、第二の流路32の直線溝22における排出側の端部から排出縁2oに向かう電解液の流れに比較して、直線溝21の排出側の端部から排出縁2oに向かう電解液の流れを低下し易い箇所といえる。
双極板2Aの一面に電極12が配置された状態において、電極12における突出部2aに接する箇所は、RF電池10に組み付けられて所定の締付力が付与されると、局所的に圧縮される(図3B)。圧縮部121は、電極12の他部と比較して、気孔が局所的に押し潰されて緻密な状態となっている。そのため、圧縮部121は、電極12における第二の流路32の排出側の端部から排出縁12oに向かう電解液の流れに比較して、電極12における第一の流路31の排出側の端部から排出縁12oに向かう電解液の流れを低下し易い箇所といえる。
第一の流れ場301及び第二の流れ場302は、主として、電極12の圧縮部121と、双極板2Aの突出部2aとによって、排出側の阻害構造306、供給側の阻害構造305を構築する。
なお、突出部2aの突出高さ(畝部24の表面からの高さ)は、電極12の厚さや気孔率等にもよるが、例えば、電極12の厚さの10%以上70%以下程度が挙げられる。
形態1の電池セル1は、排出側の阻害構造306、供給側の阻害構造305を備える。そのため、上述のように第一の流路31、第二の流路32間において電解液の流通圧力に差が生じる。この圧力差を利用して、電極12のより広い範囲に電解液が拡散されて、電池反応が促進される。
特に、形態1の電池セル1では、第二の流れ場302が、第一の流れ場301に備えられる流通構造(ここでは排出側の阻害構造306)と同じ構造を、第一の流路31の端部領域とは反対の端部領域(ここでは供給側の端部領域303)に備える。そのため、形態1の電池セル1では、流路31,32の供給側の端部領域303、及び排出側の端部領域304の双方で上述の流通圧力の差が生じる。従って、電解液がより拡散し易くなり、電池反応がより促進される。両流れ場301,302が反対の端部領域に同じ流通構造を備える点は、後述する形態2〜形態7、形態9の電池セル1についても同様である。
《形態2》
図4を参照して、電池セル1が供給側の阻害構造305及び排出側の阻害構造306を備える形態2を説明する。
形態2の電池セル1は、概ね、上述した形態1の電池セル1の基本構成を備える。形態2の電池セル1における形態1との相違点は、直線溝21,22の形状が異なる点、突出部2aを備えていない点である。以下、相違点を中心に説明する。
形態2の電池セル1では、排出側の端部領域304において、第一の流れ場301が排出側の阻害構造306を備える。また、供給側の端部領域303において、第二の流れ場302が供給側の阻害構造305を備える。本例の阻害構造305,306は同じ構造であるため、以下、第一の流れ場301に備えられる排出側の阻害構造306を例に挙げて説明する。以下の説明において、上述の形態1と同様の読み替えを行うと、第二の流れ場302に備えられる供給側の阻害構造305に相当する。
双極板2Bにおいて第一の流路31に備えられる直線溝21は、所定の溝幅を有する基部200と、基部200の溝幅よりも細い溝幅を有する部分(細溝部202)とを備える。細溝部202は、直線溝21の排出側の端部に設けられる。基部200は、直線溝21から細溝部202を除いた箇所である。直線溝21の細溝部202は、第二の流路32の直線溝22における排出側の端部から排出縁2oに向かう電解液の流れに比較して、直線溝21の排出側の端部から排出縁2oに向かう電解液の流れを低下し易い箇所といえる。
本例の基部200及び細溝部202はそれぞれ、直線溝21の長手方向に一様な溝幅を有する。そのため、隣り合う直線溝21,22の間隔は、直線溝21,22の長手方向に沿って一様ではない。双極板2Bにおいて細溝部202と基部200とが隣り合って並ぶ箇所は、最大の間隔Wmaxをとる。双極板2Bにおいて基部200同士が隣り合って並ぶ箇所は、最小の間隔Wminをとる。最大の間隔Wmaxは、双極板2Bにおいて細溝部202が設けられる供給縁2i側の領域、排出縁2o側の領域にそれぞれ設けられる。双極板2Bにおいて細溝部202と基部200とが隣り合って並ぶ箇所は、最大の間隔Wmaxの幅を有する畝部23を備える。電極12において、最大の間隔Wmaxを有する畝部23に対向する領域は、電池反応を行う場に利用できる。
第一の流れ場301及び第二の流れ場302は、主として、双極板2Bの直線溝21,22の細溝部202によって、排出側の阻害構造306、供給側の阻害構造305を構築する。
なお、細溝部202の溝幅は、例えば、基部200の溝幅の1%以上70%以下程度が挙げられる。また、細溝部202の長さは、基部200の溝幅の1倍以上50倍以下程度が挙げられる。
形態2の電池セル1は、排出側の阻害構造306、供給側の阻害構造305を備えることで、上述の形態1と同様に、第一の流路31、第二の流路32間に生じる電解液の流通圧力の差を利用して、電池反応を促進できる。特に、形態2の電池セル1では、双極板2Bは、細溝部202の周囲に、上述の間隔Wmaxの幅という大きな畝部23を備える。そのため、電極12は、電池反応を行う場を大きく確保できることからも、電池反応を良好に行える。
《形態3》
図5を参照して、電池セル1が供給側の促進構造307及び排出側の促進構造308を備える形態3を説明する。
形態3の電池セル1は、概ね、上述の形態2の電池セル1に類似の構成を備える。形態3の電池セル1における形態2との相違点は、直線溝21,22の形状が異なる点である。以下、この相違点を中心に説明する。
形態3の電池セル1では、供給側の端部領域303において、第一の流れ場301が供給側の促進構造307を備える。また、排出側の端部領域304において、第二の流れ場302が排出側の促進構造308を備える。本例の促進構造307,308は同じ構造であるため、以下、第一の流れ場301に備えられる供給側の促進構造307を例に挙げて説明する。以下の説明において、上述の形態1と同様の読み替え及び以下の読み替えを行うと、第二の流れ場302に備えられる排出側の促進構造308に相当する。「供給縁2iから供給側の端部に向かう」を「排出側の端部から排出縁2oに向かう」に読み替える。
双極板2Cにおいて第一の流路31に備えられる直線溝21は、所定の溝幅を有する基部200と、基部200の溝幅よりも太い溝幅を有する部分(太溝部203)とを備える。太溝部203は、直線溝21の供給側の端部に設けられる。基部200は、直線溝21から太溝部203を除いた箇所である。直線溝21の太溝部203は、供給縁2iから第二の流路32の直線溝22における供給側の端部に向かう電解液の流れに比較して、供給縁2iから直線溝21の供給側の端部に向かう電解液の流れを増加し易い箇所といえる。
本例の基部200及び太溝部203はそれぞれ、直線溝21の長手方向に一様な溝幅を有する。そのため、隣り合う直線溝21,22の間隔は、直線溝21,22の長手方向に沿って一様ではない。双極板2Bにおいて太溝部203と基部200とが隣り合って並ぶ箇所では、最小の間隔Wminをとる。双極板2Bにおいて基部200同士が隣り合って並ぶ箇所では、最大の間隔Wmaxをとる。最小の間隔Wminは、双極板2Cにおいて太溝部203が設けられる供給縁2i側の領域、排出縁2o側の領域にそれぞれ設けられる。
第一の流れ場301及び第二の流れ場302は、主として、双極板2Cの直線溝21,22の太溝部203によって、供給側の促進構造307、排出側の促進構造308を構築する。
なお、太溝部203の溝幅は、例えば、基部200の溝幅の2倍以上50倍以下程度が挙げられる。また、太溝部203の長さは、基部200の溝幅の1倍以上50倍以下程度が挙げられる。
形態3の電池セル1は、供給側の促進構造307、排出側の促進構造308を備えることで、上述の形態1,2と同様に、第一の流路31、第二の流路32間に生じる電解液の流通圧力の差を利用して、電池反応を促進できる。特に、形態3の電池セル1では、双極板2Cに備えられる直線溝21,22が完全閉塞溝であるものの、太溝部203によって、供給縁2i側から直線溝21への電解液の供給、直線溝22から排出縁2o側への電解液の排出を良好に行える。また、太溝部203を備える形態3の電池セル1は、細溝部202を備える場合に比較して、電解液の流通性に優れ、圧力損失を低減し易い。更に、形態3の電池セル1は、太溝部203によって、電解液の供給停止時に電解液の貯留量を多くし易い。そのため、形態3の電池セル1は、RF電池10におけるポンプ18,19を安定して稼働することに寄与する。
形態2,3で説明したように、促進構造307,308や阻害構造305,306は、溝形状を変更することで、容易に構築できる。
《形態4》
図6を参照して、電池セル1が供給側の促進構造307及び排出側の促進構造308と、供給側の阻害構造305及び排出側の阻害構造306とを備える形態4を説明する。
形態4の電池セル1は、概ね、上述した形態1の電池セル1の基本構成を備える。形態4の電池セル1における形態1との相違点は、直線溝21,22の配置位置が異なる点、突出部2aを備えていない点である。以下、相違点を中心に説明する。
形態4の電池セル1では、供給側の端部領域303において、第一の流れ場301が供給側の促進構造307を備えると共に、第二の流れ場302が供給側の阻害構造305を備える。また、排出側の端部領域304において、第一の流れ場301が排出側の阻害構造306を備えると共に、第二の流れ場302が排出側の促進構造308を備える。本例の促進構造307,308は同じ構造である。本例の阻害構造305,306は同じ構造である。そのため、以下、排出側の端部領域304を例に挙げて説明する。以下の説明において、上述の形態1等と同様の読み替えを行うと、供給側の端部領域303に相当する。
双極板2Dでは、第一の流路31(ここでは直線溝21)における供給側の端部の位置と第二の流路32(ここでは直線溝22)における供給側の端部の位置とが電解液の流通方向(図6では紙面上下方向)にずれている。また、双極板2Dでは、第一の流路31(ここでは直線溝21)における排出側の端部の位置と第二の流路32(ここでは直線溝22)における排出側の端部の位置とが電解液の流通方向にずれている。そのため、供給縁2iから直線溝21の供給側の端部までの距離L25と、供給縁2iから直線溝22の供給側の端部までの距離L26とが異なる。供給側では、第一の流路31側の距離L25が第二の流路32側の距離L26よりも短い。供給側での位置ずれに基づいて、排出側では、逆に、直線溝21の排出側の端部から排出縁2oまでの距離L26が、直線溝22の排出側の端部から排出縁2oまでの距離L25よりも長い。従って、双極板2Dは、直線溝21の供給側の端部近くに距離L25の長さを有する畝部25、即ち相対的に短い畝部25を備える。また、双極板2Dは、直線溝21の排出側の端部近くに距離L26の長さを有する畝部26、即ち相対的に長い畝部26を備える。更に、双極板2Dは、直線溝22の供給側の端部近くに相対的に長い畝部26を有し、排出側の端部近くに相対的に短い畝部25を有する。電極12において、相対的に長い畝部26に対向する領域は、電池反応を行う場に利用できる。
第一の流路31の供給側に設けられる相対的に短い畝部25は、供給縁2iから第二の流路32の直線溝22における供給側の端部に向かう電解液の流れに比較して、供給縁2iから直線溝21の供給側の端部に向かう電解液の流れを増加し易い箇所といえる。第一の流路31の排出側に設けられる相対的に長い畝部26は、第二の流路32の直線溝22における排出側の端部から排出縁2oに向かう電解液の流れに比較して、直線溝21の排出側の端部から排出縁2oに向かう電解液の流れを低下し易い箇所といえる。
第二の流路32の供給側に設けられる相対的に長い畝部26は、供給縁2iから第一の流路31の直線溝21における供給側の端部に向かう電解液の流れに比較して、供給縁2iから直線溝22の供給側の端部に向かう電解液の流れを低下し易い箇所といえる。第二の流路32の排出側に設けられる相対的に短い畝部25は、第一の流路31の直線溝21における排出側の端部から排出縁2oに向かう電解液の流れに比較して、直線溝22の排出側の端部から排出縁2oに向かう電解液の流れを増加し易い箇所といえる。
第一の流れ場301及び第二の流れ場302は、主として、双極板2Dの畝部25,26によって、供給側の促進構造307、排出側の促進構造308、及び排出側の阻害構造306、供給側の阻害構造305を構築する。
なお、上述の距離L25は、例えば、電極12の厚さの1倍以上20倍以下程度が挙げられる。また、上述の距離L26は、例えば、電極12の厚さの20倍以上100倍以下程度が挙げられる(但し、L25<L26)。
形態4の電池セル1は、供給側の促進構造307、排出側の促進構造308、及び排出側の阻害構造306、供給側の阻害構造305を備えることで、上述の形態1〜3と同様に、第一の流路31、第二の流路32間に生じる電解液の流通圧力の差を利用して、電池反応を促進できる。特に、形態4は、溝の配置位置を変更することで、促進構造307,308や阻害構造305,306を容易に構築できる。このような形態4は、流路3の形状が単純になり易く、流路3を形成し易い点で、製造性にも優れる。
《形態5》
図7A,図7Bを参照して、電池セル1が供給側の阻害構造305及び排出側の阻害構造306を備える形態5を説明する。
形態5の電池セル1は、概ね、上述した形態1の電池セル1の基本構成を備える。形態5の電池セル1における形態1との相違点は、双極板2に突出部2aを備えておらず、電極12に緻密部126(図7B)を備える点である。以下、この相違点を中心に説明する。
形態5の電池セル1では、排出側の端部領域304において、第一の流れ場301が排出側の阻害構造306を備える。また、供給側の端部領域303において、第二の流れ場302が供給側の阻害構造305を備える。本例の阻害構造305,306は同じ構造であるため、以下、第一の流れ場301に備えられる排出側の阻害構造306を例に挙げて説明する。以下の説明において、上述の形態1等と同様の読み替えを行うと、第二の流れ場302に備えられる供給側の阻害構造305に相当する。
電極12Eは、所定の気孔率を有する基部120と、基部120の気孔率よりも低い気孔率を有する部分(緻密部126)とを備える。基部120よりも気孔が少ない緻密部126は、直線溝21の排出側の端部を覆うように配置される(図7A)。図7Aは、緻密部126のみを二点鎖線で仮想的に示す。基部120は、電極12Eから緻密部126を除いた箇所である。なお、図7A,図7Bは、分かり易いように、緻密部126に二点鎖線でクロスハッチングを付した状態を示す。
双極板2Eは、上述の双極板2Aにおいて、突出部2aを省略したものである。双極板2Eには、同一形状、同一の大きさの直線溝21,22が供給縁2i又は排出縁2oの延設方向に等間隔に並ぶ(図7A)。また、直線溝21,22の端部と供給縁2i又は排出縁2oまでの距離L24が実質的に等しい。このような双極板2Eは、単純な形状の溝を有するといえ、流路3を形成し易い点で製造性に優れる。
双極板2Eの一面に電極12Eが配置された状態において、緻密部126は、電極12Eにおける第二の流路32の排出側の端部から排出縁12oに向かう電解液の流れに比較して、電極12Eにおける第一の流路31の排出側の端部から排出縁12oに向かう電解液の流れを低下し易い箇所といえる。
第一の流れ場301及び第二の流れ場302は、主として、電極12Eの緻密部126によって、排出側の阻害構造306、供給側の阻害構造305を構築する。
なお、緻密部126の気孔率は、基部120よりも小さければよく、例えば、基部120の空隙率の50%以下程度が挙げられる。
形態5の電池セル1は、排出側の阻害構造306、供給側の阻害構造305を備えることで、上述の形態1〜4と同様に、第一の流路31、第二の流路32間に生じる電解液の流通圧力の差を利用して、電池反応を促進できる。特に、形態5の電池セル1は、双極板2Eの溝形状が単純であり、双極板2Eの製造性にも優れる。
なお、電極12は、緻密部126に代えて、疎水性の材料、特に撥水性の材料が付着された箇所を局所的に備えてもよい。撥水性の材料は、例えば、フッ素樹脂等が挙げられる。電極12における疎水性の材料が付着された箇所は、疎水性の材料が付着されていない箇所に比較して、疎水性が高められることで電解液が相対的に通り難くなる。そのため、上記の疎水性の箇所は、阻害構造305,306に利用できる。電極12は、緻密部126と上述の疎水性の箇所とを備えてもよい。
《形態6》
図8A,図8Bを参照して、電池セル1が供給側の促進構造307及び排出側の促進構造308を備える形態6を説明する。
形態6の電池セル1は、概ね、上述の形態5の電池セル1に類似の構成を備える。形態6の電池セル1における形態5との相違点は、緻密部126に代えて、電極12に切欠部127を備える点である。以下、この相違点を中心に説明する。
形態6の電池セル1では、供給側の端部領域303において、第一の流れ場301が供給側の促進構造307を備える。また、排出側の端部領域304において、第二の流れ場302が排出側の促進構造308を備える。本例の促進構造307,308は同じ構造であるため、以下、第一の流れ場301に備えられる供給側の促進構造307を例に挙げて説明する。以下の説明において、上述の形態1等と同様の読み替えを行うと、第二の流れ場302に備えられる排出側の促進構造308に相当する。なお、形態6の電池セル1に備えられる双極板2Eの詳細は、形態5等を参照するとよい。
切欠部127は、電極12Fにおいて、第一の流路31に隣り合う第二の流路32(直線溝22)の供給側の端部近くに設けられる畝部24に対向する領域よりも凹んだ箇所(空洞)である(図8B)。本例の切欠部127は、平面形状が長方形であり、供給縁12iの一部を切断する。また、本例の切欠部127の幅は、直線溝21の溝幅よりも大きい。切欠部127は、第一の流路31に備えられる直線溝21の供給側の端部及びその近傍に配置される。
双極板2Eの一面に電極12Fが配置された状態において、切欠部127は、電極12Fの供給縁12iから第二の流路32の供給側の端部に向かう電解液の流れに比較して、電極12Fの供給縁12iから第一の流路31の供給側の端部に向かう電解液の流れを増加し易い箇所といえる。
第一の流れ場301及び第二の流れ場302は、主として、電極12Fの切欠部127によって、供給側の促進構造307、排出側の促進構造308を構築する。
なお、切欠部127の幅は、例えば、直線溝21,22の溝幅の1倍以上10倍以下程度が挙げられる。又は、切欠部127の幅は、直線溝21,22の溝幅よりも小さくてもよい。例えば、切欠部127の幅は直線溝21,22の溝幅の0.1倍以上1倍未満でもよい。この場合でも、切欠部127の形成箇所は、切欠部127が無い場合に比較して、電解液の流れを相対的に増加し易いと期待される。切欠部127の長さ(ここでは電解液の流通方向に沿った長さ)は、例えば、電極12Fにおいて、供給縁12i又は排出縁12oから直線溝21,22の端部に対応する箇所までの距離L24の1.1倍以上10倍以下程度が挙げられる。
形態6の電池セル1は、供給側の促進構造307、排出側の促進構造308を備えることで、上述の形態1〜5と同様に、第一の流路31、第二の流路32間に生じる電解液の流通圧力の差を利用して、電池反応を促進できる。特に、形態6の電池セル1は、双極板2Eの溝形状が単純であり、双極板2Eの製造性にも優れる。また、切欠部127は、電極12Fの所定の箇所を切り欠けば、容易に設けられる。そのため、形態6の電池セル1は、電極12Fの製造性にも優れる。
なお、電極12Fは、切欠部127に代えて、電極12の厚さが局所的に薄い箇所や、空隙率が局所的に大きい疎な箇所(例、他部の空隙率の2倍以上である箇所)を備えてもよい。電極12における局所的に薄い箇所や上記疎な箇所は、厚い箇所や緻密な箇所に比較して、電解液を相対的に流し易い。そのため、上記薄い箇所や疎な箇所は、促進構造307,308に利用できる。電極12は、切欠部127と上述の薄い箇所や疎な箇所とを備えてもよい。
《形態7》
図9を参照して、電池セル1が供給側の促進構造307及び排出側の促進構造308と、供給側の阻害構造305及び排出側の阻害構造306とを備える形態7を説明する。
形態7の電池セル1は、上述の切欠部127を備える電極12F(形態6)と、上述の突出部2aを備える双極板2A(形態1)とを組み合わせた構成である。本例の電池セル1は、供給側の端部領域303において、第一の流れ場301が供給側の促進構造307を備え、第二の流れ場302が供給側の阻害構造305を備える。また、排出側の端部領域304において、第一の流れ場301が排出側の阻害構造306を備え、第二の流れ場302が排出側の促進構造308を備える。促進構造307,308は、上述のように主として、電極12Fの切欠部127によって構築される。阻害構造305,306は、上述のように主として、電極12の圧縮部121(図3B)と双極板2Aの突出部2aとによって構築される。
このように双極板2の形状、電極12の形状を組み合わせることで、様々な流通構造(促進構造307,308、阻害構造305,306)を構築でき、設計の自由度が大きい。
《形態8》
図10を参照して、電池セル1が供給側の阻害構造305、排出側の促進構造308とを備える形態8を説明する。
形態8の電池セル1は、概ね、上述の形態1の電池セル1に類似の構成を備える。形態8の電池セル1における形態1との相違点は、第二の流れ場302のみが阻害構造305及び促進構造308を備える点である。以下、この相違点を中心に説明する。
形態8の電池セル1では、供給側の端部領域303において、第二の流れ場302が供給側の阻害構造305を備える。また、排出側の端部領域304において、第二の流れ場302が排出側の促進構造308を備える。第一の流れ場301は、促進構造及び阻害構造を備えていない。以下、第二の流れ場302を詳細に説明する。
双極板2Hにおいて第二の流路32に備えられる直線溝22は、完全閉塞溝ではなく、一端閉塞溝である。本例の直線溝22は、供給縁2iに閉口し、排出縁2oに開口する。このような直線溝22の排出側の端部は、第一の流路31に備えられる直線溝21における排出側の端部から排出縁2oに向かう電解液の流れに比較して、直線溝22の排出側の端部から排出縁2oに向かう電解液の流れを増大し易い箇所といえる。また、双極板2Hは、直線溝22の供給側の端部及びその近傍に突出部2aを備える。突出部2aは、供給縁2iから第一の流路31の直線溝21における供給側の端部への電解液の流れに比較して、供給縁2iから直線溝22の供給側の端部に向かう電解液の流れを低下し易い箇所といえる。電極12において、突出部2aに対向して設けられる圧縮部121(図3B)も、上述のように供給縁2iから直線溝22の供給側の端部に向かう電解液の流れを相対的に低下し易い箇所といえる。
第二の流れ場302は、主として、電極12の圧縮部121と、双極板2Hの突出部2aとによって、供給側の阻害構造305を構築し、双極板2Hにおける直線溝21の開口部近くの領域によって排出側の促進構造308を構築する。
形態8の電池セル1は、供給側の阻害構造305、排出側の促進構造308を備えることで、上述の形態1〜7と同様に、第一の流路31、第二の流路32間に生じる電解液の流通圧力の差を利用して、電池反応を促進できる。特に、形態8の電池セル1では、排出縁2oに開口する一端閉塞溝を備えるため、上述のように仮に異物が混入しても、異物を電池セル1外に排出できる。
《形態9》
図11を参照して、電池セル1が供給側の促進構造307及び排出側の促進構造308と、供給側の阻害構造305及び排出側の阻害構造306とを備える形態9を説明する。
形態9の電池セル1は、概ね、上述の形態4の電池セル1(図6)に類似の構成を備える。形態9の電池セル1における形態4との相違点は、第一の流路31を双極板2に備え、第二の流路32を電極12に備える点である。いわば、形態9の電池セル1は、形態4の電池セル1に備えられる双極板2Dから第二の流路32(直線溝22)を削除して電極12Iに設け、第一の流路31(直線溝21)を双極板2Iに残した形態である。以下、この相違点を中心に説明する。
なお、形態9の電池セル1では、第一の流路31と第二の流路32とは、電極12Iと双極板2Iとの積層方向からの平面視で隣り合う。
双極板2Iは、複数の直線溝21を備える。各直線溝21は、双極板2Iの供給縁2i又は排出縁2oの延設方向に等間隔に配置され、第一の流路31を構成する。電極12Iは、複数の直線溝22を備える。各直線溝22は、電極12Iの供給縁12i又は排出縁2oの延設方向に等間隔に配置され、第二の流路32を構成する。電極12Iと双極板2Iとを重ね合せた状態において、直線溝21,22が上述の平面視で交互に隣り合うように、隣り合う直線溝21の間隔及び隣り合う直線溝22の間隔が調整されている。図11では、双極板2Iにおいて、電極12Iの直線溝22が配置される位置を二点鎖線で仮想的に示す。また、本例では、上述のように直線溝21,22の各端部に相対的に短い畝部25と、相対的に長い畝部26とが設けられるように、直線溝21,22の配置位置が調整されている。
形態9の電池セル1は、供給側の促進構造307、排出側の促進構造308、及び排出側の阻害構造306、供給側の阻害構造305を備えることで、上述の形態1〜8と同様に、第一の流路31、第二の流路32間に生じる電解液の流通圧力の差を利用して、電池反応を促進できる。形態1等のように双極板2のみに第一の流路31及び第二の流路32を設けたり、形態9のように電極12及び双極板2に流路31,32を設けたりできる点で、実施形態の電池セル1は設計の自由度が大きいといえる。
〈双極板の構成材料〉
双極板2の構成材料は、例えば有機複合材、いわゆる導電性プラスチック等が挙げられる。有機複合材は、例えば、炭素系材料や金属等の導電性材料と、熱可塑性樹脂等の有機材とを含むものが挙げられる。双極板2は、例えば公知の方法によって板状に成形するとよい。導電性プラスチックの成形方法は、例えば射出成型、プレス成型、真空成型等が挙げられる。双極板2が直線溝21,22等の溝、突出部2a等を備える場合には、板状に成形する際に同時に上記溝等も成形することが挙げられる。又は、溝を備える双極板2は、平坦な平板材に切削加工等を行って、溝を形成することで製造してもよい。
〈電極の構成材料〉
電極12は、例えば炭素系材料の繊維集合体、多孔質の金属部材等が挙げられる。炭素系材料の繊維集合体は、例えば、カーボンフェルト、カーボンペーパー、カーボンクロス等が挙げられる。電極12は、公知の電極材を利用してもよい。電極12が直線溝22等の溝、切欠部127等を備える場合には、板状に成形する際に同時に上述の溝等も成形することが挙げられる。上記溝等を備える電極12は、平坦な平板材に切削加工等を行って、溝等を形成することで製造してもよい。
(主要な効果)
実施形態の電池セル1は、上述の特定の流通構造を備えるため、電池反応を促進でき、RF電池10における電池反応の効率の向上に寄与する。また、電解液の流通性にも優れるため、実施形態の電池セル1は、RF電池10の圧力損失の低減にも寄与する。更に、電池セル1は、流路3に電解液を貯留できる。そのため、電池セル1は、電力系統の停電時等において、ポンプ18,19の安定稼働に寄与する。
実施形態のセルスタック5は、実施形態の電池セル1を備えるため、電池反応を促進でき、電池反応を効率よく行えるRF電池10を構築できる。
実施形態のRF電池10は、実施形態の電池セル1又は実施形態のセルスタック5を備えるため、電池反応を促進でき、電池反応を効率よく行える。
本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。例えば、実施形態の電池セル1に対して、以下の少なくとも一つの変更が可能である。
(変形例1)電池セル1は、第一の流路31、第二の流路32以外の流路3を備える。例えば、図3Aに示す形態1の電池セル1において、突出部2aと第一の流路31とを含む第一の流れ場301と、第二の流路32を含む第二の流れ場302とを1組以上備えていれば、その他の流路3は、例えば図7Aに示す直線溝21,22であってもよい。
(変形例2)電池セル1は、複数の異なる流路構造を備える。即ち、電池セル1は、形態1〜形態8で説明した第一の流れ場301及び第二の流れ場302の組を複数種備えてもよい。例えば、電池セル1は、図3Aに示す突出部2aを含む第一の流れ場301及び第二の流れ場302の組と、図4に示す細溝部202を含む第一の流れ場301及び第二の流れ場302の組とを含んでもよい。
(変形例3)第一の流路31及び第二の流路32の少なくとも一方が溝を含む場合、溝幅及び溝深さの少なくとも一方が溝の長手方向に異なる箇所を含む(図示せず)。この場合、溝幅や溝深さは、溝の長手方向に連続的に又は段階的に異なってもよい。
(変形例4)第一の流路31及び第二の流路32の少なくとも一方が複数の溝を含む。上記複数の溝は、一つの方向、例えば電解液の流通方向に離間して配置されることが挙げられる。第一の流路31や第二の流路32がこのような複数の溝を備えると、形態1〜9で説明した連続する一つの溝を備える場合に比較して、溝の周囲に電解液を拡散させ易い。
(変形例5)流路3が整流溝を含む。双極板2や電極12に直線溝21,22等を備える場合、流路3は、供給縁2i又は12iの延設方向に沿って設けられる整流溝、及び排出縁2o又は12oの延設方向に沿って設けられる整流溝の少なくとも一方を含んでもよい。流路3が整流溝を含む場合、一端閉塞溝の一端は整流溝に開口するとよい。双極板2や電極12が整流溝を備えず、セルフレーム4が窓部41の内周縁に沿って整流溝を備えてもよい。
(変形例6)電池セル1は、電極12と双極板2との間に、導電性材料からなり、第一の流路31及び第二の流路32の少なくとも一方を備える板材(図示せず)を備える。
(変形例7)電極12の平面形状、双極板2の露出領域の平面形状を変更する。上記平面形状は、例えば、楕円やレーストラック状等といった少なくとも一部に曲線を含む形状や、六角形や八角形等といった多角形状等が挙げられる。電極12の周縁、双極板2の周縁のうち、セルフレーム4における供給路のスリットが開口する内周縁に接する箇所を供給縁12i,2iとし、セルフレーム4における排出路のスリットが開口する内周縁に接する箇所を排出縁12o,2oとするとよい。
10 レドックスフロー電池(RF電池)
1 電池セル、1A 正極セル、1B 負極セル
11 隔膜、13 正極電極、14 負極電極
16,17 タンク、160,170 配管
161,171 往路配管、162,172 復路配管、18,19 ポンプ
12,12E,12F,12I 電極
12i 供給縁、12o 排出縁、123 畝部
120 基部、121 圧縮部、126 緻密部、127 切欠部
2,2A,2B,2C,2D,2E,2H,2I 双極板
2i 供給縁、2o 排出縁、2a 突出部
21,22 直線溝、23,24,25,26 畝部
200 基部、202 細溝部、203 太溝部
300,301,302 流れ場、303,304 端部領域
305,306 阻害構造、307,308 促進構造
3,31,32 流路、35 中心軸
4 セルフレーム
40 枠体、41 窓部、43,44 給液マニホールド
45,46 排液マニホールド、48 シール材
5 セルスタック
50 サブセルスタック、51 エンドプレート、52 締結部材
53 給排板
6 介在機器、7 発電部、8 負荷

Claims (12)

  1. 電解液の供給側と前記電解液の排出側とを有する第一の流れ場及び第二の流れ場を備え、
    前記第一の流れ場は、前記供給側及び前記排出側の少なくとも一方に閉口する第一の流路を備え、
    前記第二の流れ場は、前記供給側及び前記排出側の少なくとも一方に閉口する第二の流路を備え、
    前記第一の流路と前記第二の流路とは隣り合って並び、
    前記第一の流路及び前記第二の流路における前記供給側の端部領域と、前記第一の流路及び前記第二の流路における前記排出側の端部領域との少なくとも一方の前記端部領域に、前記第一の流れ場における前記電解液の流れ易さと前記第二の流れ場における前記電解液の流れ易さとを相対的に異ならせる流通構造を備える、
    電池セル。
  2. 前記第一の流れ場は、前記供給側の端部領域に前記流通構造として以下の(i)又は(ii)の構造を備えること、及び前記排出側の端部領域に前記流通構造として以下の(iii)又は(iv)の構造を備えること、の少なくとも一方を満たす請求項1に記載の電池セル。
    (i)前記第二の流路における前記供給側の端部に比較して、前記第一の流れ場の前記供給側から前記第一の流路における前記供給側の端部に向かう流れが相対的に促進される構造。
    (ii)前記第二の流路における前記供給側の端部に比較して、前記第一の流れ場の前記供給側から前記第一の流路における前記供給側の端部に向かう流れが相対的に阻害される構造。
    (iii)前記第二の流路における前記排出側の端部に比較して、前記第一の流路における前記排出側の端部から前記第一の流れ場の前記排出側に向かう流れが相対的に促進される構造。
    (iv)前記第二の流路における前記排出側の端部に比較して、前記第一の流路における前記排出側の端部から前記第一の流れ場の前記排出側に向かう流れが相対的に阻害される構造。
  3. 前記第二の流れ場は、前記第一の流路に備えられる前記流通構造と同じ構造を前記第一の流路の前記端部領域とは反対の前記端部領域に備える請求項2に記載の電池セル。
  4. 前記第一の流路及び前記第二の流路は、電極、及び前記電極に対向する双極板の少なくとも一方に設けられる請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電池セル。
  5. 前記第一の流路及び前記第二の流路は、溝を含む請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電池セル。
  6. 前記第一の流路及び前記第二の流路は、実質的に直線の溝を含み、
    前記実質的に直線の溝は、実質的に平行に並ぶ請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の電池セル。
  7. 前記第一の流路又は前記第二の流路は、前記排出側に開口する請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の電池セル。
  8. 前記第一の流路及び前記第二の流路は、前記供給側及び前記排出側の双方に閉口する請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の電池セル。
  9. 前記第一の流路における前記供給側の端部の位置と前記第二の流路における前記供給側の端部の位置とが前記電解液の流通方向にずれていること、及び前記第一の流路における前記排出側の端部の位置と前記第二の流路における前記排出側の端部の位置とが前記電解液の流通方向にずれていること、の少なくとも一方を満たす請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の電池セル。
  10. 前記第一の流路における前記供給側の端部の位置と前記第二の流路における前記供給側の端部の位置とが実質的に直線に並ぶこと、及び前記第一の流路における前記排出側の端部の位置と前記第二の流路における前記排出側の端部の位置とが実質的に直線に並ぶこと、の少なくとも一方を満たす請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の電池セル。
  11. 請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の電池セルを備える、
    セルスタック。
  12. 請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の電池セル、又は請求項11に記載のセルスタックを備える、
    レドックスフロー電池。
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