JP6970389B2 - 双極板、セルスタック、及びレドックスフロー電池 - Google Patents
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Description
本出願は、2016年12月07日付の日本国出願「特願2016−238041」に基づく優先権を主張し、上記日本国出願に記載された全ての記載内容を援用するものである。
電解液が流通される電極に対向配置される双極板であって、
前記双極板の表裏面の少なくとも一面に前記電解液を流通する流路を備え、
前記双極板の表裏面の少なくとも一面に設けられた流路は、
電解液を導入する導入路と、前記導入路とは連通せずに独立しており、前記電解液を排出する排出路とを備え、
前記導入路及び前記排出路の少なくとも一方は、前記双極板の外縁を内包する長方形を想定した場合にこの長方形における長辺及び短辺に対して非直交に交差する傾斜溝を含む。
電解液が流通される電極に対向配置される双極板であって、
前記双極板の表裏面のそれぞれに前記電解液を流通する流路を備え、
前記双極板の表裏面の少なくとも一面に設けられた流路は、
電解液を導入する導入路と、前記導入路とは連通せずに独立しており、前記電解液を排出する排出路とを備え、
前記導入路及び前記排出路の少なくとも一方は、前記双極板の外縁を内包する長方形を想定した場合にこの長方形における長辺及び短辺に対して非直交に交差する傾斜溝を含み、
前記双極板の表裏面を平面透視した場合に前記双極板の一面に設けられた前記傾斜溝と、他面に設けられて流路をなす溝とが交差するように配置される溝の組を含む。
上記の本開示に係る双極板を備える。
上記の本開示に係るセルスタックを備える。
電極の利用率をより高められるレドックスフロー電池が望まれている。
上記の本開示の双極板は、電極の利用率を高められる。上記の本開示のセルスタック、上記の本開示のレドックスフロー電池は、電極の利用率が高い。
最初に本願発明の実施態様を列記して説明する。
(1)本開示の一態様に係る双極板は、
電解液が流通される電極に対向配置される双極板であって、
前記双極板の表裏面の少なくとも一面に前記電解液を流通する流路を備え、
前記双極板の表裏面の少なくとも一面に設けられた流路は、
電解液を導入する導入路と、前記導入路とは連通せずに独立しており、前記電解液を排出する排出路とを備え、
前記導入路及び前記排出路の少なくとも一方は、前記双極板の外縁を内包する長方形を想定した場合にこの長方形における長辺及び短辺に対して非直交に交差する傾斜溝を含む。
(α)溝部の一端が、双極板の周縁において電解液の供給側に配置される部分(供給縁)に開口する。
(β)溝部の一端が、後述する分配溝に連続する。
(γ)供給縁に開口せず、かつ分配溝に連続しない溝部であって、この溝部の一端から供給縁までの距離、又は分配溝までの距離がこの溝部の他端から後述する排出縁までの距離、又は後述する集約溝までの距離よりも短い。
ここでの「排出路」とは、流路を構成する溝部のうち、以下の(χ)から(ω)のいずれかの条件を満たすものをいう。
(χ)溝部の一端が、双極板の周縁において電解液の排出側に配置される部分(排出縁)に開口する。
(ψ)溝部の一端が、後述する集約溝に連続する。
(ω)排出縁に開口せず、かつ集約溝に連続しない溝部であって、この溝部の一端から排出縁までの距離、又は集約溝までの距離が上記溝部の他端から上記の供給縁までの距離、又は上記の分配溝までの距離よりも短い。
「双極板の外縁を内包する長方形」は、双極板の平面形状(外形)が長方形(正方形を含む)であれば、外形と同じ長方形であり、非長方形状であれば、外縁を内包する最小の長方形である。
これらの事項は、後述する(2)の双極板についても同様に適用できる。
電解液が流通される電極に対向配置される双極板であって、
前記双極板の表裏面のそれぞれに前記電解液を流通する流路を備え、
前記双極板の表裏面の少なくとも一面に設けられた流路は、
電解液を導入する導入路と、前記導入路とは連通せずに独立しており、前記電解液を排出する排出路とを備え、
前記導入路及び前記排出路の少なくとも一方は、前記双極板の外縁を内包する長方形を想定した場合にこの長方形における長辺及び短辺に対して非直交に交差する傾斜溝を含み、
前記双極板の表裏面を平面透視した場合に前記双極板の一面に設けられた前記傾斜溝と、他面に設けられて流路をなす溝とが交差するように配置される溝の組を含む。
前記少なくとも一面に設けられた流路は、
前記導入路に含む前記傾斜溝と前記排出路に含む前記傾斜溝とが隣り合って並ぶ傾斜溝の組を少なくとも一つ含む形態が挙げられる。
前記少なくとも一面に設けられた流路は、
前記導入路及び前記排出路の双方が複数の前記傾斜溝を含み、
前記導入路に含む前記傾斜溝と前記排出路に含む前記傾斜溝とが互いに噛み合うように配置される噛合領域を有する形態が挙げられる。
前記傾斜溝の一端は、前記双極板の周縁に開口する形態が挙げられる。
前記導入路は、
前記双極板の周縁に沿って開口し、前記導入路に含む複数の前記傾斜溝の一端に連続して、各傾斜溝に前記電解液を供給する分配溝を含み、
前記排出路は、
前記双極板の周縁における前記分配溝側とは対向する側に開口し、前記排出路に含む複数の前記傾斜溝の一端に連続して、これらの傾斜溝からの前記電解液をまとめて排出する集約溝を含む形態が挙げられる。
前記傾斜溝の一端部からみて他端部は、この傾斜溝の溝幅以上にずれて配置される形態が挙げられる。
前記傾斜溝の傾斜角が1°以上である形態が挙げられる。
「傾斜溝の傾斜角」とは、双極板がRF電池に組み付けられた場合に上述の想定上の長方形において電解液の流通方向に沿って配置される辺に対する角度とする。
前記傾斜溝の傾斜角が40°以下である形態が挙げられる。
上記(1)から(9)のいずれか一つに記載の双極板を備える。
前記表裏面の少なくとも一面に前記傾斜溝が設けられた一組の双極板を含む電池セルを備え、
前記一組の双極板は、一方の前記双極板における正極電極との対向面に設けられた前記傾斜溝と、他方の前記双極板における負極電極との対向面に設けられた前記傾斜溝とが互いに交差するように配置される形態が挙げられる。
(10)又は(11)のセルスタックを備える。
以下、図面を参照して、本願発明の実施形態を具体的に説明する。図中、同一符号は同一名称物を示す。
図1を参照して実施形態1の双極板2Aを説明する。
(概要)
実施形態1の双極板2Aは、RF電池の構成要素に利用され、電流を流すが電解液を通さない導電性の平板材である。双極板2Aは、電解液が流通される電極(正極電極14又は負極電極15、後述の図4)に対向配置される表裏面の少なくとも一面に電解液を流通する流路を備える。双極板2Aの表裏面の少なくとも一面に設けられた流路20は、電解液を導入する導入路21と、導入路21とは連通せずに独立しており、電解液を排出する排出路22とを備える。特に、実施形態1の双極板2Aでは、導入路21及び排出路22の少なくとも一方は、双極板2Aの外縁を内包する長方形を想定した場合にこの長方形における長辺及び短辺に対して非直交に交差する傾斜溝(ここでは噛合溝210,220など)を含む。この例の双極板2Aの平面形状は長方形である。そのため、「外縁を内包する長方形の長辺及び短辺」とは、双極板2Aの周縁を構成する長辺及び短辺に相当する。以下の説明では、双極板2Aの周縁をつくる四辺のうち、後述するセルフレーム12の枠体120に設けられる供給路近くに配置される一辺を供給縁200、枠体120に設けられる排出路近くに配置される他辺を排出縁202と呼ぶことがある。図1及び後述する図2では、下端縁を供給縁200、上端縁を排出縁202とする。また、図1及び図2では、双極板2A,2Bが縦長の長方形であり、上下に配置される短辺を供給縁200,排出縁202とするが、図4に示すように双極板2が横長の長方形であり、上下に配置される長辺を供給縁200,排出縁202とすることもできる。
(α)流路20は、導入路21及び排出路22の双方が複数の傾斜溝を含み、各傾斜溝の一端が双極板2Aの周縁(供給縁200,排出縁202)に開口する。即ち、導入路21に含む傾斜溝(後述の噛合溝210,単独溝212)は、双極板2Aの供給縁200に開口する導入口215を含む。排出路22に含む傾斜溝(後述の噛合溝220,単独溝222)は、双極板2Aの供給縁200とは対向する側(図1では上側)に位置する排出縁202に開口する排出口225を含む。
(β)双極板2Aは、導入路21に含む傾斜溝(噛合溝210)と排出路22に含む傾斜溝(噛合溝220)とが互いに噛み合うように配置される噛合領域24(図1では二点鎖線で囲まれる仮想の領域)を有する。即ち、双極板2Aは、導入路21に含む傾斜溝(噛合溝210)と排出路22に含む傾斜溝(噛合溝220)とが隣り合って並ぶ傾斜溝の組を複数有する。
(γ)傾斜溝(210,212,220,222)の傾斜角θが1°以上40°以下である。この例の双極板2A及び後述する実施形態2の双極板2Bはいずれも、RF電池に組み付けられた場合に、上述した想定上の長方形における側辺縁204を電解液の流通方向に沿って配置される辺とする。図1及び図2では長辺を側辺縁204とし、図4では短辺を側辺縁204とする。図1及び図2では、傾斜角θが分かり易いように、側辺縁204に平行な直線を一点鎖線で示し、この直線に対する角度として示す。
(δ)噛合溝210,220に加えて、噛合領域24外の領域(図1では、左下の角部及び右上の角部)にも傾斜溝(単独溝212,222)を含む。単独溝212,222は、互いに噛み合うように配置されていない。
傾斜溝のうち、導入側の噛合溝210の一端は、供給縁200に開口し、他端は、排出縁202から直交方向に長さLeの地点に位置して閉じている。排出側の噛合溝220の一端は、排出縁202に開口し、他端は、供給縁200から直交方向に長さLeの地点に位置して閉じている。両噛合溝210,220の他端が閉じていることで、導入側の噛合溝210と、排出側の噛合溝220とは独立した流路を形成する。導入側の噛合溝210における供給縁200から、図1に示す下側の長さLeの地点までの範囲を除く領域と、排出側の噛合溝220における排出縁202から、図1に示す上側の長さLeの地点までの範囲を除く領域とが噛合領域24を構成する。双極板2A上に配置される電極において、噛合領域24に対応する領域のうち、噛合溝210,220に対応する溝対向領域の両側を反応領域とすることができる。電極の反応領域は噛合溝210,220に挟まれるように設けられるといえる。また、電極における導入側の噛合溝210に対向する溝対向領域を未反応の電解液の受取領域とし、排出側の噛合溝220に対向する溝対向領域を反応済の電解液の排出領域とすることができる。そのため、電極の反応領域は、未反応の電解液の受取領域と反応済の電解液の排出領域とに挟まれるといえる。
双極板2Aの平面形状、傾斜角θなどによっては、噛合溝210,220(噛合領域24)を十分に確保できず、双極板2Aの広い範囲を電解液の流通領域に利用できないことが考えられる。そこで、導入側の傾斜溝として、排出側の傾斜溝に隣り合わず、かつ上述の供給縁200から所定の地点(ここでは排出縁202に近い上側の長さLeの地点)までに至らない単独溝212を備えることができる。排出側の傾斜溝として、導入側の傾斜溝に隣り合わず、かつ上述の排出縁202から所定の地点(ここでは供給縁200に近い下側の長さLeの地点)までに至らない単独溝222を備えることができる。単独溝212,222を備えると、噛合溝210,220を設けられないような比較的狭い領域、図1では左下の角部近傍や右上の角部近傍を、電解液の流通領域にすることができる。双極板2A上の電極は、単独溝212に対応した溝対向領域から電解液を受け取り、この溝対向領域の近傍を反応領域として電池反応を行う。反応済の電解液は電極内を介して双極板2Aの排出路22に排出される。
傾斜溝の平面形状は、図1に示す平行四辺形状が代表的である。この傾斜溝は、その長手方向の全域に亘って、溝幅W(ここでは供給縁200、排出縁202に沿った長さ)が等しい。この例の傾斜溝のように溝幅Wが傾斜溝の全長に亘って一様であると、電解液の流通圧力の変動が生じ難く、電解液の流通性に優れる。また、この例のように全ての傾斜溝の形状が等しいと、溝幅Wや隣り合う傾斜溝間の距離Cなどにもよるが、双極板2Aにおける傾斜溝の個数を多くし易く、双極板2Aの広い範囲に亘って電解液を均一的に流し易い。
傾斜溝における傾斜角θ、傾斜溝における溝幅W、溝深さ、溝長さ(ここでは傾斜方向に沿った長さ)、隣り合う傾斜溝間の距離C、噛合溝210,220における噛合領域24外に配置される導入口215側の領域、排出口225側の領域の大きさ(例えば、側辺縁204に沿った長さLe)などは適宜選択できる。この例では、全ての傾斜溝において、溝幅W及び溝深さが等しく、噛合溝210,220の溝長さが等しい。そのため、双極板2Aが単純な形状になり易く、製造性にも優れる。なお、図1,図2,図4は傾斜溝を模式的に示し、傾斜角θなどのパラメータは後述の範囲を満たさない場合がある。
双極板2Aは、表裏面の一面に傾斜溝を含む流路20を備え、他面が平面で形成されて流路を備えていない形態(α)、両面に電解液の流路を備え、一面に傾斜溝を含む流路20を備え、他面に傾斜溝を含まない流路を備える形態(β1)、両面に傾斜溝を含む流路20を備える形態(β2)とすることができる。形態(β1)において他面の流路は、例えば、上述の縦溝や横溝などを含むことが挙げられる。この双極板2Aは、その表裏面を平面透視した場合に一面に設けられた傾斜溝と、他面に設けられて流路をなす縦溝や横溝などの溝とが交差するように配置される。形態(β2)において、表裏面の傾斜溝の傾斜方向及び傾斜角の少なくとも一方が異なると、この双極板2Aの表裏面を平面透視した場合に一面に設けられた傾斜溝と、他面に設けられた傾斜溝とが交差するように配置される(以下、この形態をβ2−1と呼ぶことがある)。形態(β2−1)では、各面の傾斜溝において傾斜角が等しく、傾斜方向が異なる形態、各面の傾斜溝の傾斜方向が等しく、傾斜角が異なる形態、各面の傾斜溝の傾斜角及び傾斜方向の双方が異なる形態とすることができる。又は、形態(β2)において、傾斜角及び傾斜方向が同じであり、実質的に交差しない形態(β2−2)とすることもできる。形態(β2−2)では、平面透視した場合に双極板2Aの一面の傾斜溝と他面の傾斜溝とが完全に重複するように、表裏の流路20を同様な仕様とすることができる。又は、形態(β2−2)では、平面透視した場合に双極板2Aの一面の傾斜溝と他面の傾斜溝との少なくとも一部が重複しないように、傾斜溝の形成位置がずれていると、表裏面の溝が重複する領域を低減でき、双極板2Aの強度を高め易い。但し、この場合、傾斜溝の個数が少なくなり易く、電極の利用率の低下を招き易い。従って、表裏面の溝が交差状態で配置される形態(β1)、形態(β2−1)の方が好ましい。また、表裏面の少なくとも一面の流路20は、この例のように噛合領域24を備えることが好ましい。表裏面の流路に関する事項は、後述する実施形態2についても同様に適用できる。
実施形態の双極板2Aの構成材料は、電気抵抗が小さい導電性材料であって、電解液と反応せず、電解液に対する耐性(耐薬品性、耐酸性など)を有するものが好適に利用できる。更に、適度な剛性を有する構成材料であると、流路20を構成する溝の形状や寸法が長期に亘って変化し難く、流路20の具備による効果(電極の利用率の向上、流通抵抗の低減、ポンプロスなどの損失の低減など)を維持し易く好ましい。
実施形態1の双極板2Aは、特定の傾斜溝(210,220,212,222)を備えるため、その角部近傍などを電解液の流通領域とすることができ、流通領域を増大できる。従って、実施形態1の双極板2Aは、RF電池に組み付けられることで、電極の利用率を高められる。この例の双極板2Aは、導入路21及び排出路22の双方に傾斜溝を備えることからも、流通領域を増大し易く、電極の利用率を高め易い。また、この例の双極板2Aでは、より多くの傾斜溝(単独溝212,222を含む)を備えることからも、電極の利用率を高め易い。
図2を参照して実施形態2の双極板2Bを説明する。
実施形態2の双極板2Bの基本的構成は、実施形態1の双極板2Aと同様であり、電極との対向面に、導入路21及び排出路22を含む流路20を備え、導入路21及び排出路22の少なくとも一方が傾斜溝(210,212,220,222)を含む。実施形態2の双極板2Bにおける実施形態1との主な相違点は、導入路21が、供給縁200を含む双極板2Bの周縁に沿って設けられ、この周縁に開口する分配溝214を含み、排出路22が、排出縁202を含む双極板2Bの周縁に沿って設けられ、この周縁に開口する集約溝224を含むこと、傾斜角θが比較的大きいことが挙げられる。以下、実施形態1との相違点を詳細に説明し、実施形態1と重複する構成(形状、大きさなど)及び効果は詳細な説明を省略する。
実施形態2の双極板2Bは、特定の傾斜溝(210,220,212,222)を備えるため、実施形態1と同様に、RF電池に組み付けられた際に電極の利用率を高められる。また、実施形態2の双極板2Bは、独立した導入路21及び排出路22を備えるため、実施形態1と同様に、RF電池に組み付けられた際に、電解液を電池反応に効率よく利用できる。
図3から図5を参照して、実施形態のRF電池10、実施形態のセルスタック30の概要を説明する。
図3,図5の正極タンク16内及び負極タンク17内に示すイオンは、各極の電解液中に含むイオン種の一例を示す。図3において実線矢印は充電、破線矢印は放電を意味する。
RF電池10は、図3に示すように、電池セル10Cと、電池セル10Cに電解液を循環供給する循環機構とを備える。代表的には、RF電池10は、交流/直流変換器400や変電設備410などを介して、発電部420と、電力系統や需要家などの負荷440とに接続され、発電部420を電力供給源として充電を行い、負荷440を電力提供対象として放電を行う。発電部420は、例えば、太陽光発電機、風力発電機、その他一般の発電所などが挙げられる。
・電池セル
電池セル10Cは、図4に示すように、正極電解液が供給される正極電極14と、負極電解液が供給される負極電極15と、正極電極14,負極電極15間に介在される隔膜11と、隔膜11を挟む正極電極14及び負極電極15を更に挟む一組の双極板2,2を備える。
隔膜11は、正極電極14,負極電極15間を分離すると共に所定のイオンを透過する部材であり、イオン交換膜などが利用される。
電池セル10Cは、代表的には、図4に示すセルフレーム12を用いて構成される。セルフレーム12は、双極板2と、双極板2の外周に形成される枠体120とを備える。電池セル10Cを一つのみ備える単セル電池では、一組のセルフレーム12,12を備える。電池セル10Cを複数備える多セル電池では、複数組のセルフレーム12を備える。多セル電池では、一面を正極電極14が対向配置される面、他面を負極電極15が対向配置される面とし、代表的には、一面に正極電解液の流路、他面に負極電解液の流路を備える双極板2を複数備える形態が挙げられる。図4では平面形状(外形)が長方形である双極板2を例示するが、双極板2の平面形状は適宜選択できる。また、図4では流路20として、傾斜溝である噛合溝210,220を有し、分配溝214及び集約溝224を有さない実施形態1の双極板2Aを例示する。
セルスタック30は、図4,図5に示すように、セルフレーム12(双極板2)と、正極電極14と、隔膜11と、負極電極15とが順に複数積層された積層体と、積層体を挟む一対のエンドプレート32,32と、エンドプレート32,32間を繋ぐ長ボルトなどの連結材34及びナットなどの締結部材とを備える。締結部材によってエンドプレート32,32間が締め付けられると、積層体は、その積層方向の締付力によって積層状態が保持される。
セルスタック30は、所定数の電池セル10Cをサブセルスタック30Sとし、複数のサブセルスタック30Sを積層した形態で利用されることがある。
サブセルスタック30Sやセルスタック30における電池セル10Cの積層方向の両端に位置するセルフレームには双極板2を含む集電板が配置されたものが利用される。
隣り合う枠体120,120間にはシール部材が配置され、積層体を液密に保持する。
循環機構は、図3,図5に示すように正極電極14に循環供給する正極電解液を貯留する正極タンク16と、負極電極15に循環供給する負極電解液を貯留する負極タンク17と、正極タンク16と電池セル10C(セルスタック30)間を接続する配管162,164と、負極タンク17と電池セル10C(セルスタック30)間を接続する配管172,174と、電池セル10Cへの供給側の配管162,172に設けられたポンプ160,170とを備える。配管162,164,172,174はそれぞれ、積層された複数のセルフレーム12の給液孔124i,125i及び排液孔124o,125oによって形成される電解液の流通管路などに接続されて、各極の電解液の循環経路を構築する。
実施形態の単セル電池では、電池セル10Cを構成する一組の双極板2,2のうち、少なくとも一方の双極板2は、その電極との対向面に上述の傾斜溝を含む流路20が設けられたものとする。一組の双極板2,2のうち、一方の双極板2にのみ傾斜溝を含む流路20が設けられた形態とすることができるが、両双極板2,2に傾斜溝を含む流路20が設けられていると、両極の電極14,15の利用率を高められて好ましい。表裏の両面に流路20が設けられた双極板2を利用することもできる。
実施形態のRF電池10は、実施形態の双極板2(2A,2Bなど)を備えるため、電極の利用率が高い。その結果、RF電池10は、内部抵抗が低く、電池効率が高い。この効果を試験例1で具体的に説明する。また、RF電池10は、流路20が設けられた双極板2を備えるため、電解液の流通性に優れ、ポンプロスなどの損失を低減できる。実施形態のセルスタック30は、実施形態の双極板2(2A,2Bなど)を備えるため、電極の利用率を高められて、内部抵抗が低かったり、電池効率が高かったりするRF電池、更にポンプロスなどの損失も低減できるRF電池を構築できる。
種々の傾斜角θである傾斜溝が設けられた双極板を用意してRF電池を構築し、RF電池の内部抵抗、RF電池の電流効率を求めた。
双極板の平面形状:長方形
長辺の長さ:18cm(ここでは側辺縁の長さL2に相当)
短辺の長さ:15cm(ここでは供給縁及び排出縁の長さW2に相当)
厚さ:3mm
傾斜溝の傾斜角θ:1°,3°,10°,20°,23°,30,40°
傾斜溝の溝幅W:1mm
傾斜溝の溝深さ:1mm
傾斜溝間の距離C:2mm
噛合領域:有り、単独溝:なし
分配溝及び集約溝:有り、溝幅W214,W224:5mm、溝深さ:1mm、
供給側部分の長さ及び排出側部分の長さ:短辺の長さと同じ(15cm)、
側方部分の長さL4:17cm(=L2−(Le+W214)=L2−(Le+W224))
噛合領域以外の領域の長さLe:5mm
電流効率(%)=(放電時間/充電時間)×100
電圧効率(%)=平均放電電圧(V)/平均充電電圧(V)×100
電池効率(%)=電流効率(%)×電圧効率(%)×0.01
実施形態の双極板2、実施形態のRF電池10、実施形態のセルスタック30について、以下の少なくとも一つの変更が可能である。
(1)双極板2の平面形状を変更する。例えば、楕円やレーストラック状など、双極板2の周縁の少なくとも一部に曲線を含む形状や、六角形や八角形などの多角形状などが挙げられる。
この場合、傾斜溝の一端部に設けられる導入口や排出口が、双極板2の周縁における電解液が導入される部分(供給縁)やこの導入部分に対向し、電解液を排出する部分(排出縁)から離れて設けられる傾斜溝が多くなり易い。従って、双極板2の周縁の適宜な位置に、この周縁に開口する分配溝214や集約溝224を備えることが挙げられる。
(2)傾斜溝の平面形状を変更する。例えば、溝幅Wが部分的に異なり、太い箇所や細い箇所を局所的に有するもの、波線状やジグザグ状などの蛇行形状などが挙げられる。この場合、平面視した溝の周縁を抽出し、この周縁を内包する四角形をとる。この四角形が平行四辺形であり、対向する二辺が上述した想定上の長方形の長辺及び短辺に非直交に交差するものを傾斜溝とする。
その他、傾斜溝の一端部(導入口215又は排出口225)から他端部に向かって、溝幅Wが細くなるテーパ形状などが挙げられる。
(3)傾斜溝の横断面形状を変更する。例えば、半円弧状、V字状、U字状、溝の開口幅が底面の幅よりも狭い蟻溝状などが挙げられる。
(5)傾斜溝に加えて、側辺縁204に平行な縦溝を含む。
(6)導入側の傾斜溝と排出側の傾斜溝とが交互に並ぶ噛合領域を有さない形態とすることができる。例えば、複数の導入側の傾斜溝群と、複数の排出側の傾斜溝群とが交互に並ぶ、又は複数の導入側の傾斜溝群と複数の排出側の傾斜溝群とが隣り合って並ぶ。
(7)傾斜溝を連続した溝ではなく、断続した複数の溝群とする。
例えば、噛合溝210,220をその傾斜方向に間隔をあけて設けられた複数の溝片の群とする。この場合、双極板2上の電極は各溝片に対応する溝対向領域で電解液を受け取ると、この溝対向領域を囲む周囲を反応領域に利用できる。従って、反応領域を増大でき、電池反応性に優れると期待される。なお、溝群のうち、供給縁200又は分配溝214に開口する溝片、又は供給縁200又は分配溝214の近傍に配置される溝片の傾斜角θに沿った仮想の延長線をとり、この延長線上に配置される溝群を一つの導入側の傾斜溝を形成する溝群と見做すことができる。また、溝群のうち、排出縁202又は集約溝224に開口する溝片、又は排出縁202又は集約溝224の近傍に配置される溝片の傾斜角θに沿った仮想の延長線をとり、この延長線上に配置される溝群を一つの排出側の傾斜溝を形成する溝群と見做すことができる。
20 流路
21 導入路
22 排出路
24 噛合領域
200 供給縁
202 排出縁
204 側辺縁
210,220 噛合溝(傾斜溝)
212,222 単独溝(傾斜溝)
214 分配溝
215 導入口
224 集約溝
225 排出口
10 レドックスフロー電池(RF電池)
10C 電池セル
11 隔膜
14 正極電極
15 負極電極
16 正極タンク
17 負極タンク
160,170 ポンプ
162,164,172,174 配管
12 セルフレーム
120 枠体
124i,125i 給液孔
124o,125o 排液孔
30 セルスタック
30S サブセルスタック
32 エンドプレート
34 連結材
400 交流/直流変換器
410 変電設備
420 発電部
440 負荷
Claims (12)
- 電解液が流通される電極に対向配置される双極板であって、
前記双極板の平面形状が長方形状であり、
前記双極板の表裏面の少なくとも一面に前記電解液を流通する流路を備え、
前記双極板の表裏面の少なくとも一面に設けられた流路は、
電解液を導入する導入路と、前記導入路とは連通せずに独立しており、前記電解液を排出する排出路とを備え、
前記導入路及び前記排出路の双方が、前記双極板の長辺及び短辺に対して非直交に交差する傾斜溝を含み、
前記傾斜溝は、少なくとも前記双極板の長方形状の角部に配置されている、
双極板。 - 電解液が流通される電極に対向配置される双極板であって、
前記双極板の平面形状が長方形状であり、
前記双極板の表裏面のそれぞれに前記電解液を流通する流路を備え、
前記双極板の表裏面の少なくとも一面に設けられた流路は、
電解液を導入する導入路と、前記導入路とは連通せずに独立しており、前記電解液を排出する排出路とを備え、
前記導入路及び前記排出路の双方が、前記双極板の長辺及び短辺に対して非直交に交差する傾斜溝を含み、
前記傾斜溝は、少なくとも前記双極板の長方形状の角部に配置されており、
前記双極板の表裏面を平面透視した場合に前記双極板の一面に設けられた前記傾斜溝と、他面に設けられて流路をなす溝とが交差するように配置される溝の組を含む、
双極板。 - 前記少なくとも一面に設けられた流路は、
前記導入路に含む前記傾斜溝と前記排出路に含む前記傾斜溝とが隣り合って並ぶ傾斜溝の組を少なくとも一つ含む請求項1又は請求項2に記載の双極板。 - 前記少なくとも一面に設けられた流路は、
前記導入路及び前記排出路の双方が複数の前記傾斜溝を含み、
前記導入路に含む前記傾斜溝と前記排出路に含む前記傾斜溝とが互いに噛み合うように配置される噛合領域を有する請求項3に記載の双極板。 - 前記傾斜溝の一端は、前記双極板の周縁に開口する請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の双極板。
- 前記導入路は、
前記双極板の周縁に沿って開口し、前記導入路に含む複数の前記傾斜溝の一端に連続して、各傾斜溝に前記電解液を供給する分配溝を含み、
前記排出路は、
前記双極板の周縁における前記分配溝側とは対向する側に開口し、前記排出路に含む複数の前記傾斜溝の一端に連続して、これらの傾斜溝からの前記電解液をまとめて排出する集約溝を含む請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の双極板。 - 前記傾斜溝の一端部からみて他端部は、この傾斜溝の溝幅以上にずれて配置される請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の双極板。
- 前記傾斜溝の傾斜角が1°以上である請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の双極板。
- 前記傾斜溝の傾斜角が40°以下である請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の双極板。
- 請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の双極板を備える、
セルスタック。 - 前記表裏面の少なくとも一面に前記傾斜溝が設けられた一組の双極板を含む電池セルを備え、
前記一組の双極板は、一方の前記双極板における正極電極との対向面に設けられた前記傾斜溝と、他方の前記双極板における負極電極との対向面に設けられた前記傾斜溝とが互いに交差するように配置される請求項10に記載のセルスタック。 - 請求項10又は請求項11のセルスタックを備える、
レドックスフロー電池。
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