JP2005158409A - 溝付き電極材および液流通型電解槽用電極 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 炭素質繊維を主成分とする不織布からなり、該不織布の表層部に複数の溝と該溝によって形成された複数の畝を有する電極材において、該電極材の複数の溝が少なくとも電極材の長手方向に連続した溝であり、かつ該溝で区分された複数の畝の幅が、電極材の幅方向で異なっていることを特徴とする溝付き電極材であり、また、該電極材を用いた液流通型電解槽用電極である。
【選択図】 図4
Description
また、前記電極材の畝の幅が、電極材の幅方向において中央部が両端部に比べて広いことを特徴とする上記の溝付き電極材である。
(x2/a2)+(y2/b2)=1
(但し、a、bは係数、a>0、b≠0、xは整数、y>0である。)
(x2/a2)+(y2/b2)=1 (式1)
(但し、a、bは係数、a>0、b≠0、xは整数、y>0)
を満足するものであり、起点から遠くなるに従って畝幅が起点の畝幅より小さくなっていることが望ましい。この場合係数a、bは作成する電極の条件や通液量などによって任意に設定される。
例えば、図3および図4において示される溝付電極材において、任意に設定された起点(0)の畝幅をY0とした場合、連続して存在する(1)、(2)、(3)・・・(n−1)、(n)の溝と溝の間隔Y1、Y2、Y3、Y(n−1)、Ynは表記式に従った畝幅をとる。畝幅はYnのnの値が大きくなるにしがって小さくなる。このような連続的に一定の法則で溝と溝の間隔(畝幅)が変化した電極材は電解槽内の三次元電極における電解液の流通斑、特に幅方向における流通斑を防止する意味において特に重要であり、電極内部が有効に利用されるため、抵抗値が小さくなり、電解液利用率が増加する。
本発明の電極は、本発明の電極材の溝が電解液の流路と平行に複数設けられており、かつ該電極材の溝と溝の間(畝幅)が、電極の幅方向において中央部が両端に比べて広くなっていることが特徴である。一般的な3次元電極では、電極の幅方向において液の流通が両端部に比べて中央部が流れやすい傾向がある。特に溝を有した電極材を使用する場合は通液圧損を低減するために、電極材の溝を電解液の流路と平行にするが、この場合は特に中央部の流通が優先されるため端部の流通割合が減少し、電極全体の幾何的な有効利用が妨げられる。そこで本発明の電極における電極材は、電極材の畝幅の最大部分を電極の幅方向の中心となし、両端部分に行くにしたがって逐次的に畝幅が小さくなるように電極材を作成することが望ましい。
例えば、図4、図5において示される溝付電極材において、電極の幅方向の中心部0に最大の畝幅をY0とした場合、左方向に(1)、(2)、(3)・・・(n−1)、(n)、右方向に(−1)、(−2)、(−3)・・・(−(n−1))、(−n)に位置付けられた畝の幅Y1、Y2、Y3、Y(n−1)、Yn、Y−1、Y−2、Y−3、Y−(n−1)、Y−nは下記式1に従っていることが望ましい。
(x2/a2)+(y2/b2)=1 (式1)
(但し、a、bは係数、a>0、b≠0、xは整数、y>0)
(1)目付(W)
サンプル10cm角(寸法:a)を採取し、100#C、1時間で乾燥し、デシケータで放冷後、電子天秤にて秤量する(質量:w’)。更にw’を寸法aの2乗で除して目付を算出する。(単位g/m2)
通液圧力損失測定に用いるサンプル50cm角の四隅と中央部分の5点を、サンプルの土手部分を測定子の中心に合わせ、尾崎製作所(株)製デジタルリニアゲージD10(最大荷重100g−f)に32mmΦの測定子を用いて測定し、小数点以下2桁まで読み取り平均して最小位を四捨五入する。使用単位をミリメートルとする。
(3)嵩密度
目付を電極材厚みで除して算出する(単位g/cc)。
通液圧力損失測定に用いるサンプル10cm角の溝部分の厚み6点を尾崎製作所(株)製ダイヤルシックネスゲージ(型式G:最大荷重180g−f)に接触面寸法1mm×10mmで測定し、小数点以下2桁まで読み取り平均し、最小位を四捨五入する。使用単位をミリメートルとする。
(5)溝深さ(tM)
(4)の溝部厚みの値と(2)の電極材厚みの値との差を溝深さ(単位:ミリメートル)とする。
溝幅をミツトヨ(株)製デジマティック・キャリパ(シリーズ500)で測定し、小数点以下2桁まで読み取り、最小位を四捨五入する。
圧縮試験機の機台−測定子(寸法25mm×80mm)間の距離を電極材厚みに合わせ、溝の断面が観察できるようにサンプル(寸法25mm×50mm)を圧縮試験機の機台−測定子間に挟み込む。このとき観察される溝深さをミツトヨ(株)製デジマティック・キャリパ(シリーズ500)で測定し、小数点以下2桁まで読み取り、溝深さ(tM[1])とする。その後圧縮試験機を用いて元の不織布厚みの2/3の厚みになるように圧縮し、この時観察される溝深さを上述のミツトヨ(株)製デジマティック・キャリパ(シリーズ500)で測定し、小数点以下2桁まで読み取り溝深さ2/3とする(tM[2/3])とする。これらのデータから式2によって溝深さの保持率を得る。なお、溝深さの読み取りは測定部分にリネンテスターをあてて拡大した。
溝深さの保持率(%)=tM[2/3]/tM[1]×100 (式2)
図2に示す液流通型電解層と同じ形状で通液方向に30cm、幅方向(流路幅)50cm、所定厚みのスペーサー(2)で形成された液流通型電解層を用意する。マニホールドは電解槽下方の左側と上方右側に設置する。作成された電極材を20cm×50cmに切って設置する。液量50リットル/時のイオン交換水を下方側より流通させ、通液圧損を測定する。ブランクとして電極材を設置しない系で同様に測定し、測定値とブランク測定値との差を電極材の通液圧力損失とする。
畝の幅をミツトヨ(株)製デジマティック・キャリパ(シリーズ500)で測定し、小数点以下2桁まで読み取り、最小位を四捨五入する。原反溝付け作成時に最大幅である位置の幅をY’0(b’値に等しい)と規定した部分の処理後の畝幅をY0(b値に等しい)とする。電極構成時の最端部の幅の順番(n)およびその中間点(n/2)の畝幅を測定し、式1よりaを算出して平均を取る。
上下方向(通液方向)に20cm、幅方向に50cmの電極面積1000cm2を有する小型のセルを作り、定電流密度で充放電を行い電極性能のテストを行う。正極電解液には2mol/lのオキシ硫酸バナジウムの3mol/l硫酸水溶液を用い、負極電解液には2mol/lの硫酸バナジウムの3mol/l硫酸水溶液を用いた。電解液量はセル、配管に対して大過剰とした。液流量は50リットル/時とし、30℃で測定を行った。
充電に始まり、放電で終わる1サイクルのテストにおいて、電流密度を電極幾何面積当たり40mA/cm2(400mA)として、1.7Vまでの充電に要した電気量をQ1クーロン、1.0Vまでの定電流放電、およびこれに続く1.2Vでの定電圧放電で取りだした電気量をそれぞれQ2、Q3クーロンとし、式3で電流効率ηI を求める。
負極液中のV3+をV2+に完全に還元するのに必要な理論電気量Qthに対して、放電により取りだした電気量の比を充電率とし、式4で充電率を求める。
実施例1〜3、比較例2
平均繊維直径16μmのポリアクリロニトリル(PAN)繊維を空気中250℃で耐炎化した後、該耐炎化繊維の短繊維を用いてフェルト化して、目付量900g/m2、厚み6.1mmの不織布を得た。該不織布上に粉末ノボラック樹脂(昭和高分子(株)製BRP534A)を18.9g/m2の割合で均一に散布し、下方より線速3.0m/secのサクションで吸引してバインダーを不織布上に固定化し、バインダー含有耐炎化不織布を得た。
図5において示されるような中央部のくぼみの幅(Y’0)、くぼみの本数(2n+1)51本、山幅2.0mm、山高さ10mm、山長さ300mmで、各くぼみ部分の幅が[式1]の(X:中央からの位置、Y’:計算される幅)に従って定数a’、b’を代入し導き出されたくぼみ幅で、各山を平行に配列した全幅560mmの金型を用意し、山側が不織布に向きあう様に重ねて、温度180℃、シリンダー直径160mmのヒートプレス装置にセットし、圧力50kg/cm2で1分間プレスして溝付き耐炎化繊維不織布を得た。上記金型で得られた畝幅の連続性が金型のくぼみの連続性と等しいとして表1に得られた畝の定数a’、b’と最端部の畝幅(Y’n)を示す。
該耐炎化繊維不織布を不活性ガス中で10℃/分の昇温速度で1500℃まで昇温し、この温度で1時間保持して炭化を行ったのち、冷却し炭化物を得た。該炭化物をさらに、空気中700℃で質量収率93%になるまで酸化処理し、溝付き炭素質繊維不織布を得た。幅が最大となる畝を中心にして幅500mm、長さ200mmの長方形に型抜きして電極に供した。こうして得られた溝つき炭素繊維不織布の目付、厚み、溝部の厚み、溝深さ、溝幅、溝深さの保持率、畝の中央部分の幅(Y0;b値とする)、最端部の畝幅(Yn)、式1より算出された定数a値を表2に示す。さらにスペーサー厚み2.5mmでの通液圧損、電極性能を表3に示す。
平均繊維直径16μmのポリアクリロニトリル(PAN)繊維を空気中250℃で耐炎化した後、該耐炎化繊維の短繊維を用いてフェルト化して目付量900g/m2、厚み6.1mmの不織布を得た。該不織布上に粉末ノボラック樹脂(昭和高分子(株)製BRP534A)を18.9g/m2の割合で均一に散布し、下方より線速3.0m/secのサクションで吸引してバインダーを不織布上に固定化しバインダー含有耐炎化不織布を得た。該不織布を700mm角にカットしその上に山幅2.0mm、山高さ10mm、山長さ300mm、くぼみの部分の幅が15.13mmの山が平行に配列する全幅560mmのアルミニウム製の金型を山が不織布に向き合うように重ねて温度180℃、シリンダー直径160mmのヒートプレス装置にセットし、圧力20kg/cm2で1分間プレスして溝付き耐炎化繊維不織布を得た。
該耐炎化繊維不織布を不活性ガス中で10℃/分の昇温速度で1500℃まで昇温し、この温度で1時間保持し炭化を行ったのち、冷却し炭化物を得た。該炭化物をさらに、空気中700℃で質量収率93%になるまで酸化処理し、溝付き炭素質繊維不織布を得た。こうして得られた溝つき炭素繊維不織布の目付、厚み、密度、溝部の厚み、溝深さ、溝幅、溝深さ保持率、畝の幅(この場合は等間隔:Y0とする)、を表2に示す。さらにスペーサー厚み2.5mmでの通液圧損、電極性能を表3に示す。
5:電極、6:正極液タンク、7:負極液タンク、8及び9:送液ポンプ、
10:液流入口、11:液流出口、
t:電極材の厚み、tm:電極材の溝部の厚み、tM:電極材の溝深さ、
Y:電極材の畝幅、DM:電極材の溝幅、
A:電極材の楕円形畝の長径、B:電極材の楕円形畝の短径、
Claims (8)
- 炭素質繊維を主成分とする不織布からなり、該不織布の表層部に複数の溝と該溝によって形成された複数の畝を有する電極材において、該電極材の複数の溝が少なくとも電極材の長手方向に連続した溝であり、かつ該溝で区分された複数の畝の幅が、電極材の幅方向で異なっていることを特徴とする溝付き電極材。
- 前記電極材の畝の幅が、電極材の幅方向において中央部が両端部に比べて広いことを特徴とする請求項1に記載の溝付き電極材。
- 前記電極材の畝の幅が、最大である畝を起点とし、該起点より畝の累積本数(x)に対する畝幅(y)が以下の式で算出されることを特徴とする請求項2に記載の溝付き電極材。
(x2/a2)+(y2/b2)=1 (式1)
(但し、a、bは係数、a>0、b≠0、xは整数、y>0である。) - 前記電極材の厚みを2/3に圧縮するときの前記溝深さの保持率が50%以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の溝付き電極材。
- 前記電極材の目付量が100g/m2以上であり、かつ、前記電極材の嵩密度が0.05〜0.15g/ccであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の溝付き電極材。
- 前記溝幅が1〜5mmであり、前記溝深さが前記電極材の厚みの20%以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の溝付き電極材。
- 間隙を介した状態で対向して配設された一対の集電板間に隔膜が配設され、該集電板と隔膜との間に形成される電解液の流通路の少なくとも一方に溝付き電極材が配設された液流通型電解槽用電極であって、該電極材の溝は電解液の流れ方向に平行に配列され、かつ該電極材の溝によって形成された畝の幅が、電極材の幅方向において中央部が両端に比べて広くなるように形成されていることを特徴とする液流通型電解槽用電極。
- 前記電極における幅方向の畝幅の違いが、中央部の畝幅が両端部の畝幅に対して1.2倍以上8倍以内であることを特徴とする請求項7に記載の液流通型電解槽用電極。
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