JP2003157885A - レドックスフロー電池用電極及びレドックスフロー電池 - Google Patents
レドックスフロー電池用電極及びレドックスフロー電池Info
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Abstract
ることなく、液エネルギー密度を向上させることができ
るレドックスフロー電池用電極を提供する。 【解決手段】 電解液が導入される上流側端部を起点と
し、電解液が排出される下流側端部に連続しない電解液
の流通溝1を有するレドックスフロー電池用電極10であ
る。複数の流通溝1を有する凹凸部2と、この凹凸部2よ
りも電解液が排出される下流側に流通溝1を有しない平
坦部3とを具える。流通溝1を有する凹凸部2を具えるこ
とで、電解液の流通をよくして流液の際に生じる圧力損
失の上昇を抑える。かつ、凹凸部2よりも下流側に流通
溝1を有しない平坦部3を具えることで、流通溝1を出た
液がこの平坦部3でイオンの価数変化反応ができるた
め、液エネルギー密度を向上させることができる。
Description
電池用電極に関するものである。特に、電解液における
流液の際の圧力損失を上昇させずに液エネルギー密度を
向上することができるレドックスフロー電池用電極に関
する。
の動作原理を示す説明図である。この電池は、イオンが
通過できる隔膜103で正極セル100Aと負極セル100Bとに
分離されたセル100を具える。正極セル100Aと負極セル1
00Bの各々には正極電極104と負極電極105とを内蔵して
いる。正極セル100Aには、正極用電解液を供給及び排出
する正極用タンク101が導管106、107を介して接続され
ている。同様に負極セル100Bには、負極用電解液を供給
及び排出する負極用タンク102が導管109、110を介して
接続されている。各電解液は、バナジウムイオンなどの
価数が変化するイオンの水溶液を用い、送液ポンプ10
8、111で循環させ、正極電極104及び負極電極105におけ
るイオンの価数変化反応に伴って充放電を行う。
の概略構成図である。通常、上記の電池には、複数のセ
ル210が積層されたセルスタック200と呼ばれる構成が利
用される。各セル210は、隔膜103の両側に炭素質繊維
(カーボンフェルト)製の正極電極104および負極電極105
を具える。そして、正極電極104と負極電極105の各々の
外側には、双極板211を具えるセルフレーム212が配置さ
れる。
に用いられる電極の模式図である。従来、正極電極や負
極電極に用いられる電極300として、電解液を流通させ
るために、表面に電解液の流れる方向に沿って上流側端
部から下流側端部に連続する複数の流通溝301を具えた
ものが知られている。この電極300は、この流通溝301を
複数具えることで、流液の際の圧力損失を低減させて、
送液ポンプ(図6参照)の負荷を減らし、電池における全
エネルギー効率を高めるものである。
より低減させるためには、流通溝をより深く、又は流通
溝の幅を大きくして断面積を大きくすることが考えられ
る。しかし、流通溝が上流側端部から下流側端部に連続
する直線状であったり、また、このような形状で深すぎ
たり、幅が広すぎたりすると、圧力損失が低減する反
面、電解液が電極でイオンの価数変化反応を十分に行う
ことなく排出されて、液エネルギー密度(kWh/m3)や放電
容量(kWh)が小さくなるという問題がある。更に、溝加
工にバラツキがあると、液エネルギー密度や放電容量と
いった電池性能にもバラツキが生じる。従って、セル間
に電池性能のバラツキがあると、特定のセルが過負荷状
態となって性能劣化、引いては電池寿命の短縮化を引き
起こすという問題もある。
上昇させることなく、液エネルギー密度を向上させるこ
とができるレドックスフロー電池用電極、及びこの電極
を用いたレドックスフロー電池を提供することを目的と
する。
される上流側端部を起点とし、電解液が排出される下流
側端部に連続しない電解液の流通溝を有する。また、電
解液が導入される上流側端部から電解液が排出される下
流側端部に連続する電解液の流通溝を有するレドックス
フロー電池用電極であって、流通溝は、非直線状である
ことを特徴とする。
させることを主目的として、電解液が導入される上流側
端部から電解液が排出される下流側端部に連続する直線
状の流通溝を設けていた。しかし、本発明者らは、電極
の表面に流通溝を全て上流側端部から下流側端部に連続
する直線状に設けると、充電された電解液の一部が電極
内で放電反応を起こさずにそのまま排出されてしまい、
結果として液エネルギー密度が減少することを見出し
た。
る溝以外の部分で主に起こり、溝部分では少ない。即
ち、流通溝から流出した電解液は、電極における溝以外
の部分から流出した液と比較して放電反応量が比較的小
さい。従来の電極では、流通溝を流通する電解液は溝以
外の部分に、一方、溝以外の部分を流通する液は溝にそ
れぞれ流出して、溝を流通する液と溝以外の部分を流通
する液とが混合される。しかし、従来の電極は、その混
合が不十分なため、放電反応を起こさずに流通溝から流
出してしまう電解液があり、結果として液エネルギー密
度が小さくなっていた。
池用電極は、電解液が導入される上流側に上流側端部を
起点とする流通溝を有することで、電解液の流通性をよ
くして流液の際に生じる圧力損失の上昇を抑える。か
つ、電解液が排出される下流側に流通溝を設けないこと
で、この部分で流通溝を出た液と溝以外の部分から出た
液とが混合されるため、従来の電極に比較してイオンの
価数変化反応量を増やすことができる。従って、本発明
は、液エネルギー密度を向上させることができる。ま
た、第二の本発明レドックスフロー電池用電極は、電解
液の上流側端部から下流側端部に連続する非直線状の流
通溝を有するため、同直線状の流通溝を有する従来の電
極と比べて、溝を流通する電解液と溝以外の部分を流通
する液とがより混合される。従って、第二の本発明電極
も第一の本発明電極と同様に、従来の電極に比較してイ
オンの価数変化反応量を増加でき、液エネルギー密度を
向上させることができる。このような構成により、本発
明電極は、流液の際の圧力損失を上昇させることなく、
液エネルギー密度を向上させることを実現する。
本発明電極において流通溝は、電解液の流れる方向に沿
った直線状のものでもよいし、波状などの曲線状、山と
谷を繰り返したジグザク状、階段状などの非直線状のも
のでもよい。電解液は、上流から下流に向かって流れよ
うとするため、この液の流れる方向に対して一定の角度
を有する溝を設けると、溝を流通する電解液は溝以外の
部分に、溝以外の部分を流通する液は溝にそれぞれ流出
し易くなりより混合される。従って、後者の場合、上記
の直線状の流通溝と比べて、液エネルギー密度をより向
上させることができる。また、流通溝は、1本でもよい
が、複数本具える方が圧力損失を低減できるため好まし
い。更に、流通溝は、深さが深い或いは幅が広い程、即
ち断面積が大きい程、圧力損失を低減することができる
ため好ましい。具体的には、厚さ4.5mm、幅25cmの電極
では、流通溝1本において、深さ2.0〜3.0mm、特に2.5mm
前後、幅2.0〜3.5mm、特に3mm前後が最適である。
通溝を有しない平坦部とをそれぞれ別個の電極片とし、
組み合わせて一つの電極としてもよいし、凹凸部と平坦
部とが一体化されたものでもよい。前者の場合、双極板
上に配置する際に凹凸部と平坦部との間に隙間を設ける
ことが好ましい。このとき、流通溝を出た電解液が隙間
に流出することで電解液が流れる方向と直交する方向に
流液範囲が広げられ、溝を出た液と溝以外の部分を出た
液とを上記隙間内で混合させて平坦部に導入することが
できる。そのため、凹凸部と平坦部との間に隙間を有す
る電極は、液エネルギー密度をより向上させることがで
きる。この隙間は、大きすぎると電極自体の面積が小さ
くなって電解液の反応領域が減少するため、液エネルギ
ー密度を減少させることになるので、適度な大きさが好
ましい。具体的には、隙間を含めて長さ20cm、幅25cmと
なるように凹凸部と平坦部とを組み合わせる電極の場
合、隙間の幅は、0.2〜0.8cm、特に0.5cm前後が好まし
い。このような電極片からなる電極は、双極板上に配置
して複数積層したセルを固定する締め付け力により、そ
れぞれの位置及び各部間の隙間を保持するとよい。
に電解液が流れる方向と直交する方向に長溝や電極の表
裏に貫通する長孔を設けて隙間としてもよい。このと
き、流通溝を出た電解液が長溝や長孔に流出すること
で、上記隙間と同様に溝を出た液と溝以外の部分から出
た液とを長溝や長孔内で混合させて平坦部に導入するこ
とができる。そのため、長溝や長孔を有する電極は、長
溝や長孔がない電極よりも、液エネルギー密度をより向
上させることができる。更に、凹凸部と平坦部とが一体
化されていることで、レドックスフロー電池の組立にお
いて、双極板に配置が容易であり、組立作業性に優れ
る。
に流通溝を有する第一凹凸部と、電解液が排出される下
流側に電極の中間部を起点とする第二の流通溝を有する
第二凹凸部とを具え、第一凹凸部と第二凹凸部との間に
流通溝を有しない平坦部を具えるものが挙げられる。ま
た、上流側に凹凸部、下流側に平坦部で一対の組み合わ
せとし、この組み合わせを複数具えたものでもよい。こ
のような凹凸部と平坦部とからなる電極は、各部を別個
の電極片とし、組み合わせて一つの電極としてもよい
し、レドックスフロー電池の組立作業が容易なように一
体に形成されたものでもよい。また、第一凹凸部と平坦
部との間や、平坦部と第二凹凸部との間に、上記のよう
に隙間や長孔などを設けて、流通溝を出た電解液と溝以
外の部分から出た液とを隙間や長孔などで混合させて平
坦部や第二凹凸部に導入させ、液エネルギー密度をより
向上させることが好ましい。
などの曲線状、山と谷を繰り返したジグザク状、階段状
などの非直線状のものが挙げられる。このような電極
も、流通溝を有する複数の電極片を組み合わせて一つの
電極としてもよいし、レドックスフロー電池の組立作業
が容易なように一体に形成されたものでもよい。前者の
場合、各電極片間に隙間を設け、隙間を介して各電極片
の流通溝を繋げる。なお、隙間を設けることで、上記の
ように電解液の混合作用を果たし、液エネルギー密度を
より向上させることができる。
に上流側端部から下流側端部に亘って連続して設けても
よいし、電極の中間部に電解液が流れる方向と直交する
方向に長溝や長孔を1本以上設けてもよい。長溝や長孔
を設けた場合、長溝や長孔を介して上流側の流通溝と下
流側の流通溝とを繋げる。この長溝や長孔は、上記隙間
と同様の作用を果たし、液エネルギー密度をより向上さ
せることができる。
流側に流通溝を有する第一凹凸部と電解液が排出される
下流側に中間部を起点とする第二の流通溝を有する第二
凹凸部とを具え、第一凹凸部の流通溝と第二凹凸部の流
通溝とは、交互に配置されるものが挙げられる。この電
極は、特に、第二凹凸部の第二の流通溝が設けられてい
ない流通溝間に第一凹凸部の流通溝が位置するように配
置し、第一凹凸部の流通溝を出た電解液を上記流通溝間
に導入させてイオンの価数変化反応を行わせる構成であ
る。このような電極は、各部を別個の電極片として組み
合わせて一つの電極としてもよいし、レドックスフロー
電池の組立作業性を考慮して一体に形成されたものでも
よい。前者の場合、各部間に隙間を設け、流通溝を有す
る各部をそれぞれの流通溝が互い違いとなるように双極
板上に配置するとよい。このとき、流通溝は、隙間を介
して上流側から下流側に連続される。後者の場合、各部
間に長溝や長孔を設け、各部の流通溝が互い違いとなる
ように溝を設けるとよい。また、このように互いの流通
溝を交互に配置した第一凹凸部と第二凹凸部とで一対の
組み合わせとし、各部間に隙間や長孔などを介して、こ
の組み合わせを複数具えてもよい。なお、上流側から下
流側に連続した流通溝とならないが、第一凹凸部と第二
凹凸部との間には、隙間を設けなくてももちろんよい。
このとき、第二凹凸部の流通溝間で第一凹凸部の流通溝
を出た電解液と溝以外の部分から出た液とが混合される
ため、従来の電極よりも液エネルギー密度を向上させる
ことができる。
得られたポリアクリロニトリル繊維を公知の方法で耐炎
化した耐炎化繊維や、等方位ピッチやメゾフェースピッ
チのプリカーサ繊維、セルロース繊維、硬化ノボラック
繊維などの炭素化可能な繊維を用いるとよい。この繊維
をカードによって解繊し、多層化されたウェブをニード
ルパンチによって不織布化するなどの公知の方法により
不織布化するとよい。流通溝の付与は、所定の山幅、山
間隔、高さを規定した金型を上記の不織布に載せ、一定
の温度で一定時間プレスする方法や、鋭利な刃物で流通
溝を切削する方法、ラインエンボスによる方法、ライン
のステッチボンドによる方法などの公知の方法で行うと
よい。また、流通溝の付与が困難な不織布については、
予め流通溝を付与した不織布と貼り合わせて一体化して
もよい。こうして得られた流通溝付きの不織布は、公知
の方法で導電性付与を行い、炭素質繊維製の電極を得
る。
ー電池に用いられることが好適である。即ち、双極板を
有するセルフレームと隔膜との間に本発明電極を配置し
てレドックスフロー電池を組立て、電解液を供給排出す
るとよい。
する。 (実施例1)図1は、本発明レドックスフロー電池用電極の
一例を示す模式図である。本発明電極10は、図1に示す
ように電解液が導入される上流側端部を起点とする電解
液の流れる方向に沿った複数の流通溝1を有する凹凸部2
と、この凹凸部2よりも電解液が排出される下流側に流
通溝1を有しない平坦部3とを具える。
流側に向かって直線状の流通溝1を複数設け、各流通溝1
の上流側端を電解液が導入できるように開口させてお
り、下流側端を電解液が放電反応を起こさずにそのまま
電極から排出されにくいように閉塞させている。即ち、
電極10は、上流側端部から下流側端部に連続しない流通
溝1を有するもので、流通溝1のない下流側が平坦部3と
なる。
が流れる流通溝1を有する凹凸部2を具えることで、電解
液を流通させる際の圧力損失を上昇させにくい。かつ、
電解液の下流側に流通溝1を有しない平坦部3を具えるこ
とで、溝1を出た液と溝1以外の部分から出た液とをこの
平坦部3で混合させることができる。従って、電極10
は、イオンの価数変化反応を充分にさせることができる
ため、液エネルギー密度を向上させることが可能であ
る。また、本発明電極10は、凹凸部2と平坦部3とが一体
化されているため、レドックスフロー電池の組立作業性
に優れる。
に沿った直線状としたが、波状やジグザク状、階段状な
どの非直線状でもよい。このとき、直線状の溝と比べ
て、溝を流通する電解液と溝以外の部分を流通する液と
をより混合させることができるため、液エネルギー密度
をより向上させることができる。また、本例では、いず
れの流通溝1の下流側端も閉塞させているが、従来のよ
うに上流側端部から下流側端部に亘って途切れることな
く連続した流通溝を具えていてもよい。これらのこと
は、以下に示す実施例2及び3についても同様である。
たポリアクリロニトリル繊維を公知の方法で耐炎化した
耐炎化繊維を公知の方法により、不織布化し、公知の方
法で流通溝を付与した後、公知の方法で導電性の付与を
行うことで得られる。以下に示す実施例2〜4も同様にし
て得られる。
電池用電極の他の例を示す模式図であり、凹凸部と平坦
部との間に隙間を有するものである。実施例1で示した
電極10は、図1に示すように凹凸部2と平坦部3とが一体
化されたものであるのに対し、本発明電極20は、凹凸部
2と平坦部3とがそれぞれ独立した別個の電極片であり、
これら凹凸部2と平坦部3とを組み合わせてなる。また、
凹凸部2と平坦部3との間に一定の隙間4を設けて双極板
上に配置する。
によって圧力損失の上昇を抑制すると共に平坦部3で液
エネルギー密度を向上させる。この作用に加えて、電極
20は、凹凸部2と平坦部3間に一定の隙間4を設けること
で、凹凸部2の各流通溝1を出た電解液を溝1以外の部分
から出た液と隙間4内で混合させて平坦部3に導入させ
る。そのため、電極20は、電極10と比較して液エネルギ
ー密度をより向上させることが可能である。
ー電池用電極の他の例を示す模式図であり、凹凸部と平
坦部との間に電極の表裏を貫通する長孔を有するもので
ある。実施例2で示した電極20は、図2に示すように凹凸
部2と平坦部3とが別個の電極片で、両部間に一定の隙間
4を設けて双極板上に配置するものであるのに対し、本
発明電極20’は、凹凸部2と平坦部3とが一体に形成さ
れ、両部間に一定の長孔4’を設けたものである。この
ような電極20’は、上記電極20の作用に加えて、一体に
形成されていることで、レドックスフロー電池を組み立
てる際、双極板に容易に配置することができ、組立作業
性に優れる。
電池用電極の他の例を示す模式図であり、第一凹凸部と
第二凹凸部との間に平坦部を有するものである。実施例
2で示した電極20は、凹凸部2が一つであるのに対し、電
極30は、平坦部3を挟んで、上流側に流通溝1を有する第
一凹凸部5、下流側に中間部を起点とする第二の流通溝
1’を有する第二凹凸部6の二つの凹凸部を具える。即
ち、上流側から順に、第一凹凸部5、平坦部3、第二凹凸
部6と位置する。また、本例では、上流側の第一凹凸部5
と平坦部3、下流側の平坦部3と第二凹凸部6との間にそ
れぞれ一定の隙間4を設けており、下流側の隙間は、第
二の流通溝1’の起点となっている。
二凹凸部5、6によって圧力損失の上昇を抑制すると共
に、平坦部3で液エネルギー密度を向上させる。また、
電極20と同様に、凹凸部と平坦部3間に隙間4を設けてい
ることで、上記のような電解液の混合作用を果たし、液
エネルギー密度をより向上させることが可能である。な
お、本例では、隙間4を二つ設けた構成としたが、いず
れか一方だけ設けてもよいし、いずれの隙間4も設けな
くてもよい。また、本例では、各部3、5、6がそれぞれ
別個の電極片で組み合わせて一つの電極30となる構成と
したが、レドックスフロー電池の組立作業性を考慮して
一体に形成したものでもよい。このとき、各部間には、
長溝や図3に示すような長孔を設けることが好ましい。
電池用電極の他の例を示す模式図であり、第一凹凸部の
流通溝と第二凹凸部の第二の流通溝とが交互に配置され
ているものである。実施例1〜3で示した電極10〜30は、
いずれも流通溝1が電極10〜30の中間部で途切れて、電
解液の上流側端部から下流側端部に連続しないものであ
るのに対し、本発明電極40は、流通溝が上流側端部から
下流側端部に連続するものである。より具体的には、本
発明電極40は、上流側に流通溝1を有する第一凹凸部5、
隙間4を介して、下流側に第二の流通溝1’を有する第二
凹凸部6の二つの凹凸部からなり、各部5、6の流通溝1、
1’を互い違いになるように配置している。そして、流
通溝は、第一凹凸部5の流通溝1から隙間4を介して第二
凹凸部6の第二の流通溝1’に繋がる階段状に上流側端部
から下流側端部に連続する。この電極40では、第一凹凸
部5の流通溝1を出た電解液が第二凹凸部6の第二の流通
溝1’間に導入され、この流通溝1’間でイオンの価数変
化反応が行われる構造である。
一・第二凹凸部5、6によって圧力損失の上昇を抑制する
と共に、特に、第二凹凸部6の流通溝1’間で液エネルギ
ー密度を向上させる。また、第一・第二凹凸部5、6間に
隙間4を設けていることで、上記と同様に電解液の混合
作用を果たし、液エネルギー密度をより向上させること
が可能である。なお、本例では、隙間4を設けた構成と
したが、レドックスフロー電池の組立作業性を考慮して
第一凹凸部5と第二凹凸部6とを一体に形成したものでも
よい。このとき、長溝や図3に示すような長孔を設ける
とよい。
用電極、及び図8に示す従来の電極において、液エネル
ギー密度及び圧力損失を測定してみた。試験条件を以下
に示す。
酸):2.6mol/l 使用した電解液の量:正極、負極ともに3.5l 使用した電解液の送液量:正極、負極ともに0.2ml/min・
cm2 放電電流密度:70mA/cm2 放電終了電圧:1.0V/セル下記の電極を双極板上に配置
して、5セル積層してレドックスフロー電池を形成し、
上記の電解液を供給排出して、開放電圧(1.48V/セル)ま
で充電した後、放電を行い、このときの液エネルギー密
度、セル部分の圧力損失を測定し、優劣を評価した。そ
の結果を表1に示す。
図8において上下方向の大きさをいう。幅とは、同様に
図1〜5、図8において左右方向の大きさをいう。 実施例1-1(浅溝型) 電極の大きさ:長さ20cm 幅25cm 厚さ4.5mm 流通溝:長さ15cm 幅3mm 溝間5mm 深さ2.0mm 平坦部:長さ5cm 幅25cm 実施例1-2(深溝型) 流通溝:深さ2.5mm、その他の大きさは実施例1-1と同様 実施例2-1(浅溝型) 凹凸部:長さ15cm 幅25cm 厚さ4.5mm 流通溝:長さ15cm 幅3mm 溝間5mm 深さ2.0mm 平坦部:長さ4.5cm 幅25cm 流通溝と平坦部との隙間:長さ0.5cm 幅25cm 実施例2-2(深溝型) 流通溝:深さ2.5mm、その他の大きさは実施例2-1と同様 実施例3-1(浅溝型) 第一凹凸部及び第二凹凸部:長さ7.25cm 幅25cm 厚さ
4.5mm 流通溝:長さ7.25cm 幅3mm 溝間5mm 深さ2.0mm 平坦部:長さ4.5cm 幅25cm 流通溝と平坦部との隙間:長さ0.5cm 幅25cm 実施例3-2(深溝型) 流通溝:深さ2.5mm、その他の大きさは実施例3-1と同様 実施例4-1(浅溝型) 第一凹凸部:長さ15cm 幅25cm 厚さ4.5mm 第一凹凸部の流通溝:長さ15cm 幅3mm 溝間5mm 深さ
2.0mm 第二凹凸部:長さ4.5cm 幅25cm 厚さ4.5mm 第二凹凸部の流通溝:長さ4.5cm 幅3mm 溝間5mm 深
さ2.0mm 第一流通溝と第二凹凸部との隙間:長さ0.5cm 幅25cm 実施例4-2(深溝型) 各流通溝:深さ2.5mm、その他の大きさは実施例4-1と同
様 従来例1-1(浅溝型) 電極の大きさ:長さ20cm 幅25cm 厚さ4.5mm 流通溝:長さ20cm 幅3mm 溝間5mm 深さ2.0mm 従来例1-2(深溝型) 流通溝:深さ2.5mm、その他の大きさは従来例1-1と同様 用いた電極は、いずれも上記実施例で示した製造方法に
より製造した。
来例1-1と比較して、圧力損失が同等か若干劣るが、液
エネルギー密度に非常に優れることが分かる。
型(実施例1-2、2-2、3-2、4-2)とを比較すると、いずれ
の実施例も、深溝型の方が圧力損失が小さく、かつ浅溝
型の液エネルギー密度とほぼ同等の値である。このこと
から、流通溝は深いほうが好ましいことが分かる。
凸部と平坦部との間に隙間を有する実施例2-1の方が液
エネルギー密度が大きい。このことから、凹凸部と平坦
部との間には、一定の隙間を有するほうが好ましいこと
が分かる。
った。結果を示す。 (1)上記実施例20’に対して、長さ0.5cm、幅24cmの長孔
を設け、その他の大きさを実施例2-1と同様とした例
は、実施例2-1とほぼ同様の結果を示した。
を変えた例は、実施例1-1よりも圧力損失が若干上昇し
たが、液エネルギー密度が向上していた。なお、流通溝
の形状は、波状(R15〜20mm)、ジクザグ状(振幅10〜15m
m、山幅15〜20mm)、階段状(長さ5〜10mm、幅5〜10mm)を
調べた。
流側端部に亘って途切れることなく連続する流通溝を複
数本設けた例は、実施例1-1よりも液エネルギー密度が
若干減少したが、圧力損失が減少していた。また、上記
連続する流通溝の数が多いほど、実施例1-1よりも液エ
ネルギー密度が減少したが、圧力損失が減少していた。
を変えた例は、従来例1-1よりも圧力損失が多少上昇し
たが、液エネルギー密度が向上していた。なお、流通溝
は、全て波状(R15〜20mm)のもの、直線状と波状(R15〜2
0mm)との両方を具えるもの(割合、直線状:波状=1:5
〜10)を調べた。
フロー電池用電極によれば、流通溝を有する凹凸部を具
えることで電解液を流通させる際の圧力損失の上昇を抑
制すると共に、平坦部を具えることで液エネルギー密度
を向上させることができるという優れた効果を奏し得
る。特に、凹凸部と平坦部との間に隙間を設けること
で、流通溝を出た電解液と溝以外の部分を出た液とを混
合させて平坦部に導入することができるため、液エネル
ギー密度をより向上させることができる。また、上流側
端部から下流側端部に連続する流通溝を非直線状とする
ことで、溝の電解液と溝以外の部分の液とがより混合さ
れるため、圧力損失の上昇を抑制すると共に、液エネル
ギー密度をより向上させることができる。従って、本発
明電極を用いたレドックスフロー電池は、電池としての
全エネルギー効率を従来の電極よりも高めることが可能
である。
す模式図である。
示す模式図であり、凹凸部と平坦部との間に隙間を有す
るものである。
示す模式図であり、凹凸部と平坦部との間に長孔を有す
るものである。
示す模式図であり、第一凹凸部と第二凹凸部との間に平
坦部を有するものである。
示す模式図であり、第一凹凸部の流通溝と第二凹凸部の
流通溝とが交互に配置されているものである。
示す説明図である。
スタックの概略構成図である。
電極の模式図である。
4 隙間 4’ 長孔 5 第一凹凸部 6 第二凹凸部 10、20、20’、30、40 レドックスフロー電池用電極 100 セル 100A 正極セル 100B 負極セル 101 正
極用タンク 102 負極用タンク 103 隔膜 104 正極電極 105
負極電極 106、107、109、110 導管 108、111 送液ポンプ 200 セルスタック 210 セル 212 セルフレーム 2
11 双極板 300 電極 301 流通溝
Claims (7)
- 【請求項1】 電解液が導入される上流側端部を起点と
し、電解液が排出される下流側端部に連続しない電解液
の流通溝を有することを特徴とするレドックスフロー電
池用電極。 - 【請求項2】 流通溝を有する凹凸部と流通溝を有しな
い平坦部との間に隙間を有することを特徴とする請求項
1に記載のレドックスフロー電池用電極。 - 【請求項3】 電解液が導入される上流側に流通溝を有
する第一凹凸部と電解液が排出される下流側に電極の中
間部を起点とする第二の流通溝を有する第二凹凸部とを
具え、前記第一凹凸部と第二凹凸部との間に流通溝を有
しない平坦部を具えることを特徴とする請求項1又は2に
記載のレドックスフロー電池用電極。 - 【請求項4】 電解液が導入される上流側端部から電解
液が排出される下流側端部に連続する電解液の流通溝を
有するレドックスフロー電池用電極であって、前記流通
溝は、非直線状であることを特徴とするレドックスフロ
ー電池用電極。 - 【請求項5】 流通溝を有する複数の電極片からなり、
電極片間に隙間を有することを特徴とする請求項4に記
載のレドックスフロー電池用電極。 - 【請求項6】 電解液が導入される上流側に流通溝を有
する第一凹凸部と電解液が排出される下流側に中間部を
起点とする第二の流通溝を有する第二凹凸部とを具え、
前記第一凹凸部の流通溝と第二凹凸部の第二の流通溝と
は、交互に配置されることを特徴とする請求項4又は5に
記載のレドックスフロー電池用電極。 - 【請求項7】 請求項1〜6のいずれかに記載のレドック
スフロー電池用電極を用いたことを特徴とするレドック
スフロー電池。
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