JPWO2018235344A1 - 抗酸化剤、該抗酸化剤を含有するチロシナーゼ活性阻害剤及び美白剤、並びに、該抗酸化剤及び該美白剤の製造方法 - Google Patents

抗酸化剤、該抗酸化剤を含有するチロシナーゼ活性阻害剤及び美白剤、並びに、該抗酸化剤及び該美白剤の製造方法 Download PDF

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Abstract

優れた抗酸化剤や美白剤を提供することを課題とし、また特定の方法で固液分離した「胡蝶蘭に含まれる成分」を含有する新たな剤を提供することを課題とし、胡蝶蘭(ラン科ファレノプシス属)の抽出液又は胡蝶蘭の抽出残渣を有効成分として含有することを特徴とする抗酸化剤、チロシナーゼ活性阻害剤、及び、美白剤によって上記課題を解決した。該胡蝶蘭は胡蝶蘭の葉であることが好ましく、該抗酸化剤の製造方法は、抽出溶媒を加えずに、胡蝶蘭を撹拌羽根で破砕しながら撹拌し、該破砕・撹拌下に外部から25℃以上45℃以下の温度範囲に維持しながら熱を加えつつ減圧し、固液分離することによって抽出液又は抽出残渣を得る工程を有することを特徴とする。【選択図】図4

Description

本発明は、抗酸化剤、該抗酸化剤を含有するチロシナーゼ活性阻害剤及び美白剤、並びに、該抗酸化剤及び該美白剤の製造方法に関するものである。
ラン科植物は品種が多く、シンビジウム属やファレノプシス属等の洋蘭と、カンラン等の東洋蘭とに大別される。洋蘭を用いた加工品として、例えば、シンビジウム属やエビネ属に属する植物からの抽出物を用いた発毛・育毛剤等がある(特許文献1及び特許文献2)。
胡蝶蘭はラン科ファレノプシス属に属する常緑多年草である。胡蝶蘭の抽出物に抗炎症作用や整肌作用があることが知られているが(特許文献3)、観賞用としての用途が一般的であり、胡蝶蘭の抽出物等の胡蝶蘭を用いた加工品に関する研究開発はあまり進んでいない。
また、抗酸化効果や美白効果が極めて高い蘭由来物は殆どなく、更なる検討の余地があった。
更には、傷等により観賞用として出荷できない蘭を有効利用する手段・用途の開発が望まれていた。
特開平5−294813号公報 特開2002−114646号公報 特開平5−070338号公報
本発明は上記背景技術に鑑みてなされたものであり、その課題は、前記問題点を解決し、優れた抗酸化剤や美白剤を提供することにある。また、蘭の抽出物等を有効利用し、蘭の新たな用途を提供すること等にある。
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、胡蝶蘭の抽出物や抽出残渣が他のラン科植物抽出物に比べて優れた抗酸化能を有することを見出した。
また、特定の抽出方法で得られた胡蝶蘭の抽出物や抽出残渣が、チロシナーゼ活性阻害効果を有することを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、胡蝶蘭の抽出液又は胡蝶蘭の抽出残渣を有効成分として含有することを特徴とする抗酸化剤を提供するものである。
また、本発明は、上記の抗酸化剤を含有することを特徴とするチロシナーゼ活性阻害剤を提供するものである。
また、本発明は、上記抗酸化剤を含有することを特徴とする美白剤を提供するものである。
また、本発明は、上記抗酸化剤の製造方法であって、
抽出溶媒を加えずに、胡蝶蘭を撹拌羽根で破砕しながら撹拌し、該破砕・撹拌下に外部から胡蝶蘭の温度を25℃以上45℃以下の温度範囲に維持しながら熱を加えつつ減圧し、固液分離することによって抽出液又は抽出残渣を得る工程を有することを特徴とする抗酸化剤の製造方法を提供するものである。
また、本発明は、上記の抗酸化剤の製造方法を使用することを特徴とする美白剤の製造方法を提供するものである。
以下、下記するような「撹拌羽根で破砕しながら撹拌し、該破砕・撹拌下に外部から熱を加えつつ減圧して抽出する工程を有する抽出法」を、単に「低温真空抽出法」と略記する。
本発明によれば、新たな抗酸化剤、特に、チロシナーゼ活性阻害剤及び美白剤を提供することができる。また、観賞用として出荷できない胡蝶蘭を用いることもでき、該胡蝶蘭を廃棄せずに有効利用することができる。
特に、低温真空抽出法によって得られる胡蝶蘭の抽出液や胡蝶蘭の抽出残渣は、水又は有機溶媒と言った抽出溶媒を使用する必要がないので、植物由来の(細胞水を含む)成分を、液体として高濃度で収率良く回収することができる。
得られた胡蝶蘭の抽出液や胡蝶蘭の抽出残渣は、抽出溶媒由来の物質を含有させないことが可能であるため、水を含め天然由来の成分だけで構成させることができ、極めて安全であり、また安心して提供ができ、また抽出溶媒臭がない。
また、低温真空抽出法以外の抽出法については、抽出工程によって回収される抽出液及びその抽出残渣のうち一方しか有効活用することができないのが一般的であるが、低温真空抽出法により固液分離された胡蝶蘭の抽出液及び胡蝶蘭の抽出残渣は、それぞれ分離して有効利用することができ、用途に応じて、胡蝶蘭の抽出液と胡蝶蘭の抽出残渣を使い分けることができる。
また、低温真空抽出法によって得られる胡蝶蘭の抽出液や胡蝶蘭の抽出残渣は、従来の胡蝶蘭の抽出物にはなかった「成分」又は「成分比率」を有することにより、胡蝶蘭由来の、高品質及び新規性のある抽出液を提供することができる。低温真空抽出法は、溶媒を使用しないことに加え、胡蝶蘭の花弁又は葉に加わる熱を抑制できるので、従来品にはなかった「成分」又は「成分比」の胡蝶蘭の抽出液又は胡蝶蘭の抽出残渣を含有する抗酸化剤及び美白剤を提供することができる。
本発明における抽出工程に用いられる装置の一形態を示す概略図である。 本発明における抽出工程に用いられる装置の容器の一形態を示す拡大断面図である。 本発明における抽出工程に用いられる装置の容器内の撹拌羽根の構成の一形態を示す斜視図である。 低温真空抽出により得られた胡蝶蘭の抽出液及び胡蝶蘭の抽出残渣の抗酸化能を測定した結果を示すグラフである。 エタノール抽出により得られた胡蝶蘭の抽出液の抗酸化能を測定した結果を示すグラフである。 熱水抽出により得られた胡蝶蘭の抽出液の抗酸化能を測定した結果を示すグラフである。 各ラン科植物抽出液の抗酸化能を測定した結果を示すグラフである。 各6品種の胡蝶蘭の抽出液の抗酸化能を測定した結果を示すグラフである。
以下、本発明について説明するが、本発明は、以下の具体的形態に限定されるものではなく、技術的思想の範囲内で任意に変形することができる。
<抗酸化剤>
本発明の抗酸化剤は、胡蝶蘭の抽出液又は胡蝶蘭の抽出残渣を有効成分として含有することを特徴とする。
実施例に示した通り、胡蝶蘭(ラン科ファレノプシス属)、エビネ蘭(ラン科エビネ属)、及び、シンビジウム(ラン科シュンラン(シンビジウム)属)の植物のうち、胡蝶蘭が他に比べて著しく抗酸化能が高かった。
本明細書において、「胡蝶蘭の抽出液」とは胡蝶蘭の抽出によって得られる液体成分であり、「胡蝶蘭の抽出残渣」とは、胡蝶蘭の抽出によって得られる、液体成分以外の成分のことを示す。すなわち、胡蝶蘭を固液分離したときに、液体側を「胡蝶蘭の抽出液」と言い、固体側を「胡蝶蘭の抽出残渣」と言う。
胡蝶蘭の抽出は、該胡蝶蘭の何れの組織から抽出してもよく、胡蝶蘭の葉;茎;花弁等の花冠;根;苗;等から抽出される。また、胡蝶蘭の複数の組織から同時に抽出してもよいし、各組織に分けることなく胡蝶蘭の植物全体から抽出してもよい。
優れた抗酸化能又は美白効果を得られるという点で、葉から抽出することが好ましい。
抽出に用いられるものは、乾燥をしないもの(生のままのもの)、ある程度乾燥したものの何れでもよいが、好ましくは、乾燥をしないもの(実質的に生のままのもの)が、細胞水を十分に含有し、変質もないために好ましい。
また、本発明においては水を含め抽出溶媒を使用しないことが好ましい。
なお、本明細書において、「細胞水」とは、植物細胞に含まれる細胞内液のことである。
本発明では、胡蝶蘭(ラン科ファレノプシス属)を原料として使用する。本明細書において、「胡蝶蘭」とは、ラン科ファレノプシス属およびその属間交配種のことを言う。
胡蝶蘭の品種は特に限定されず、具体的には、例えば、ビューティーシーナリンリン、ビューティーシーナランラン、ハッピービビアンチュンリー、シーナズダイヤモンドキラキラ、ダイアンシーナユミ、ソゴーユキディアンブイスリー(V3)等が挙げられる。
ビューティーシーナリンリン、ビューティーシーナランラン、ハッピービビアンチュンリー、シーナズダイヤモンドキラキラ、及びダイアンシーナユミはドリテノプシス(Doritaenopsis)属であり、ファレノプシス(Phalaenopsis)属とドリティス(Doritis)属との属間交配種である。
胡蝶蘭の他の品種に比べて優れた抗酸化能又は美白効果を得られるという点で、ビューティーシーナリンリン、ビューティーシーナランラン又はシーナズダイヤモンドキラキラであることが好ましい。
胡蝶蘭の品種は、何れか1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、上記3種の胡蝶蘭の品種を1種以上使用することが好ましい。
また、上記3種の胡蝶蘭の品種内に関しても、何れか1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
「ビューティーシーナリンリン」(学名:Doritaenopsis Beauty Sheena 'Rin Rin')は、日本国農林水産省品種登録データベース登録番号第9478号であり、本願の出願人の温室(千葉県旭市)において育成されたものであり、2001年10月に登録された。
「ビューティーシーナランラン」(学名:Doritaenopsis Beauty Sheena 'Ran Ran')は、上記登録番号第6840号であり、本願の出願人の温室(千葉県旭市)において育成されたものであり、1998年10月に登録された。
「ハッピービビアンチュンリー」(学名:Doritaenopsis Happy Vivien 'Chunli')は、上記登録番号第18136号であり、本願の出願人の温室(千葉県旭市)において育成されたものであり、2009年3月に登録された。
「シーナズダイヤモンドキラキラ(品種名:Sheena215−1)」(学名:Doritaenopsis Sheena's Diamond 'Kira Kira')は、上記登録番号第22582号であり、本願の出願人の温室(千葉県旭市)において育成されたものであり、2013年6月に登録された。
「ダイアンシーナユミ」(学名:Doritaenopsis Diane Sheena 'Yumi')は、上記登録番号第18135号であり、本願の出願人の温室(千葉県旭市)において育成されたものであり、2009年3月に登録された。
「ソゴーユキディアンブイスリー(V3)」の学名は、Phalaenopsis Sogo Yukidian 'V3'である。
<美白剤>
本発明の美白剤は、上記抗酸化剤を含有することを特徴とする。
本発明によって、本発明における胡蝶蘭の抽出液又は胡蝶蘭の抽出残渣や、該胡蝶蘭の抽出液又は胡蝶蘭の抽出残渣を含有する剤に優れたチロシナーゼ活性阻害効果があることが明らかになったことから、本発明の抗酸化剤は、チロシナーゼ活性阻害剤や美白剤としての用途を有する。
<抗酸化剤の製造方法>
本発明の抗酸化剤の製造方法は、抽出溶媒を加えずに、胡蝶蘭を撹拌羽根で破砕しながら撹拌し、該破砕・撹拌下に外部から胡蝶蘭の温度を25℃以上45℃以下の温度範囲に維持しながら熱を加えつつ減圧し、固液分離することによって抽出液又は抽出残渣を得る工程を有することを特徴とする。
すなわち、本発明の抗酸化剤の製造方法は、低温真空抽出法を用いることを特徴とする。また、該製造方法で得られる抽出液とは、胡蝶蘭から低温真空抽出法を用いて抽出した抽出液である。また、該製造方法で得られる抽出残渣とは、胡蝶蘭から低温真空抽出法を用いて抽出液を抽出した残渣のことである。
ここで、低温真空抽出法に供する胡蝶蘭の形態、すなわち、胡蝶蘭を撹拌羽根で破砕しながら撹拌する前の形態については、低温真空抽出法に用いる装置に投入し易く、該装置に適応する形態であれば特に限定はないが、適度に切断されていることも好ましい。
花弁を用いる場合は、限定はされないが、雄しべ、雌しべ、がく片等を取り除いてから装置に投入することが好ましい。葉を用いる場合は、要すれば切断後の葉の面積、容器に投入する際の葉の面積として、0.2cm〜50cmが好ましく、1cm〜40cmがより好ましく、2cm〜30cmが特に好ましい。
低温真空抽出法では、有機溶媒、水、水蒸気、超臨界抽出法等における二酸化炭素等の抽出媒体を実質的に使用せず、低温で減圧して直接抽出することが、溶媒が残留し得ないので天然成分だけの抽出液や抽出残渣が製造できる、溶媒の臭いが残らない、含有成分が熱分解しない、含有成分が散逸しない、細胞水が散逸しないので大量の抽出液が得られる、抽出残渣も前記効果を示すので有効利用することができる等の点から好ましい。
ここで「低温」とは、減圧しないで溶媒抽出するときの一般的温度より低い温度のことを言い、本発明の場合は、具体的には、(抽出容器の温度でも抽出器内の気体の温度でもなく)、胡蝶蘭自体の温度が45℃以下の温度であることが特に好ましい。抽出温度については後で詳述する。
<破砕、撹拌、外部から熱を加えつつ減圧して抽出>
本発明における抗酸化剤の製造方法では、胡蝶蘭を、撹拌羽根で破砕しながら撹拌し、該破砕・撹拌下に外部から胡蝶蘭の温度を25℃以上45℃以下の温度範囲に維持しながら熱を加えつつ減圧し、固液分離することによって抽出液又は抽出残渣を得る工程を有する。
<<抽出装置>>
図1は、本発明における抗酸化剤の製造方法において、抽出工程に用いられる装置の一形態を示す概略図である。本発明の趣旨の範囲内であれば、図に示された装置で抽出されたものには限定されない。
容器1は、胡蝶蘭を収容し、撹拌羽根6で破砕しながら撹拌し、該破砕・撹拌下に外部から胡蝶蘭の温度を25℃以上45℃以下の温度範囲(該温度は胡蝶蘭の温度を言う)に維持しながら熱を加えつつ減圧し、固液分離する容器であり、冷却槽2は、容器1から出る蒸気を冷却する装置である。
容器1は、撹拌羽根6を収容した下部半円筒部7と、その上に形成された上部角形部8とからなる。下部半円筒部7の周囲には、容器1の内部に熱を加える蒸気室9がある。
下部半円筒部7の最下部の中央には、抽出後の胡蝶蘭の破砕物すなわち抽出残渣を取り出す排出口10が設けられている。
前記上部角形部8の上部には、吸引される蒸気の排気口14が設けられ、この排気口14には、前記冷却槽2につながる配管16が接続されている。
前記上部角形部8の上部には、胡蝶蘭の投入口17を設けると共に、その投入口17を塞ぐ蓋18を設けている。
本発明における抗酸化剤の製造方法においては、胡蝶蘭を撹拌羽根で破砕しながら撹拌し、該破砕・撹拌下に抽出を行うことが必須である。このようにしながら、抽出することで、新鮮な破砕面ができたらそこから直ぐに抽出が可能になるので、有効成分の熱分解、酸化等による変性を防ぐことができ、本発明で使用する抽出装置に投入する前に破砕してしまった場合の破砕面からの、有効成分の蒸発等による散逸を防ぐことができる。
上記破砕・撹拌は、可動刃及び/又は固定刃を備えた抽出装置内で行うことが、上記効果を得るために特に好ましい。
例えば、図3は、前記撹拌羽根6の構成を示す斜視図であり、撹拌羽根6は、容器1の外部に設けられたモータにより回転されるものであり、容器1の端壁20、21に回転可能に支持される左右の端板22、23と、その先端間に両端が固定された、ほぼ「く」の字形をなす羽根体24、25とによって構成することにより、中心軸を有しない構造に構成されている。
26は下部半円筒部7の内面に固着された複数の固定刃であり、羽根体24、25における固定刃26に対応する箇所には、羽根体24、25における固定刃26の部分を通過するための溝24a、25aが形成され、その溝の両側に、固定刃26との間で胡蝶蘭31を切断するための可動刃24b、25bが形成されている。
なお、図3では、固定刃26と可動刃24b、25bとは、噛み合いが時間をずらして順次行なわれるように、周方向に位置をずらして配設し、これにより撹拌羽根6の駆動モータの動力の瞬間的増大が起こらないようにしている。
図2に示すように、下部半円筒部7の片側上部には、この上に載る胡蝶蘭31が円滑に落ちるように、傾斜面30があることが好ましい。
32は前記容器1内の真空度を計測する真空計、33、34は温度計であり、これらは抽出工程における容器内の圧力(減圧度)と温度を測定し、抽出時の胡蝶蘭31の温度も間接的に測定するために設けられたものであり、また、抽出の開始と終了を判定するために設けられたものである。
<<抽出工程>>
この真空乾燥装置の操作・動作は、例えば、下記のように行なわれる。
まず、作業開始に当り、冷却槽2に冷却水が充填される。次いで、胡蝶蘭31を投入口17から容器1内に投入して蓋18を閉じる。そして、撹拌羽根6は、図1〜図3の矢印Rの方向に回転させ、容器1内の胡蝶蘭を撹拌しながら、可動刃24b、25bと固定刃26との間で胡蝶蘭31を小さく破砕する。
胡蝶蘭を破砕しながら抽出することで、新鮮な破砕面からの抽出が可能になり、成分や細胞水の「変性」や「散逸による減量」を防ぐことができる。
上記撹拌・破砕と同時に、蒸気室9内に加熱用蒸気を供給することにより、外部から熱を加える。容器1に加えられた熱は、胡蝶蘭31に伝達され、胡蝶蘭31が撹拌羽根6によって撹拌されることにより抽出が促進される。この抽出は、胡蝶蘭31が、可動刃24b、25bと固定刃26とによって破砕されて小さくなることによって更に促進される。
その際、蒸気室9内に送り込む加熱用蒸気の温度や量を調節して、胡蝶蘭31自体の温度を、後記する好ましい範囲にする。
エゼクタ、真空ポンプ等の減圧装置46で吸引することにより、容器1内の気体、すなわち、抽出液の蒸気及び空気は、配管16を通じて吸引され、容器1内の胡蝶蘭31に含まれている成分と細胞水の蒸発が始まる。
その際、減圧装置46で吸引する量や吸引力を調節して、抽出時の圧力(減圧度)後記する好ましい範囲にする。また、水の蒸発熱による胡蝶蘭の冷却によって温度範囲を後記する好適範囲に維持する。工業的に実施可能な(現実的な)「排気容量と減圧度の関係」から、減圧装置46は水を用いたエゼクタが好ましい。
容器1内の「胡蝶蘭に含まれる成分の蒸気」及び「細胞水の主成分である水の蒸気」(水蒸気)は、配管16を通して吸引され、冷却槽2に導入・液化されて、回収液となって回収槽41内に溜まる。
回収槽41内に、回収液(油層50及び水層51)が所定量まで貯まったら、減圧装置46での吸引を停止し、バルブ45を閉じ、弁49を開いて、回収液を回収する。回収液は、要すれば静置して分液をして油層50を取り除き、水層51を抽出液(胡蝶蘭の抽出液)として回収する。
回収液を回収後、容器1内に残った残渣を、胡蝶蘭の抽出残渣として回収する。
本発明においては、水系の用途に幅広く使用できること、特に経鼻投与の用途において好適な装置であるディフューザー(芳香拡散器)を用いて霧化させるために好適であること(ディフューザー適合性が高いこと)等より、抽出液としては、水層(水相、水性画分)を使用することが特に好ましい。
<<抽出条件>>
本発明で用いられる抗酸化剤の製造方法においては、上記抽出の温度は特に限定されないが、胡蝶蘭自体が90℃以下であることが好ましく、55℃以下の温度を維持するように行うことがより好ましい。更に好ましくは、上記抽出を胡蝶蘭自体が20℃以上50℃以下の温度を維持するように行うことであり、特に好ましくは、25℃以上45℃以下であり、最も好ましくは、30℃以上40℃以下である。
下限が上記範囲の値であると、熱分解が起こらず、また抽出時間を短くできるので、有効成分の分解・逸失が抑制され、また、不必要な時間のロスがなく経済的である。また、有効成分を十分に抽出可能である。
本発明における抗酸化剤の製造方法では、胡蝶蘭を撹拌羽根で破砕しながら撹拌し、該破砕・撹拌下に抽出を行うので、新鮮な破砕面ができた時点で早く抽出してしまうことができるが、温度の下限が上記範囲の値であると抽出時間を短くできることと相まって効果がより相乗される。
一方、上限が上記範囲の値であると、有効成分の熱による変性・分解を防止しつつ有効成分を抽出できる。
胡蝶蘭の抽出残渣を用いる場合、新鮮な破砕面ができた時点で早く抽出してしまうことができ、温度の下限が上記範囲の値であると抽出時間を短くできることと相まって、抽出残渣が有する効果はより相乗される。
一方、上限が上記範囲の値であると、抽出残渣中の有効成分の熱による変性・分解を防止できる。
低温真空抽出法を用いる場合、上記抽出の減圧度は特に限定されないが、101.3kPa(1気圧)に対し、80kPa以上低い圧力を維持しつつ行うことが好ましい。より好ましくは、101.3kPa(1気圧)に対し、85kPa以上低い圧力を維持しつつ行うことであり、特に好ましくは、90kPa以上低い圧力であり、更に好ましくは、95kPa以上低い圧力である。
または、1kPa(1気圧(101.3kPa)に対して、−100.3kPa)以上10kPa(1気圧(101.3kPa)に対して、−91.3kPa)以下に維持ししつつ行うことが好ましい。より好ましくは2kPa(1気圧に対して、−99.3kPa)以上9kPa(1気圧に対して、−92.3kPa)以下であり、特に好ましくは3kPa(1気圧に対して、−98.3kPa)以上8kPa(1気圧に対して、−93.3kPa)以下である。
圧力が上記値であると(減圧度が上記であると)、低い温度での有効成分の抽出が可能になるので、有効成分の熱による変性・分解が防止でき、十分に有効成分を抽出できる。また、抽出時間を短くできるので、有効成分の分解・逸失が抑制され、また、不必要な時間のロスがなく経済的である。
低温真空抽出法では、胡蝶蘭を撹拌羽根で破砕しながら撹拌し、該破砕・撹拌下に抽出を行うので、新鮮な破砕面ができた時点で早く抽出してしまうことができるが、減圧度が上記値のように低いと、抽出速度が速いという点で、有効成分の分解・逸失が抑制される効果がより相乗される。
容器の体積が小さいときは、減圧度を上記より低くできる真空ポンプは存在する。しかし、低温真空抽出法の場合、水の蒸発熱で胡蝶蘭を冷却して温度範囲を前記範囲に維持するために、排気容量が大きい必要がある。現実的な「排気容量と減圧度の関係」から、減圧度は上記範囲が好ましい。
<抽出後の操作>
低温真空抽出法によると、水性画分(水層、水相)からは均一な胡蝶蘭の抽出液が得られ、油性画分(油層、油相)からは精油が得られる。
本発明においては、抽出後の操作は特に限定はされないが、同時に液体として回収される不要な方の成分は分離して一旦除去することが好ましい。分離には、比重の違い等を利用した、デカンテーション、分液操作等が用いられる。
本発明においては、植物由来ではない成分を含有しない「胡蝶蘭の抽出液」、「胡蝶蘭の抽出残渣」として得られるという特長がある。
低温真空抽出法を用いて得られた胡蝶蘭の抽出液であれば、汎用の噴霧器(例えば、加湿器等)を利用して室内等に容易に噴霧させることができ、フィルター等が汚れないため、フィルター交換等のメンテナンスを頻繁にする必要がないという効果を有する。
また、水溶性の抽出液は、油溶性の抽出液に比べて、1回の抽出工程でより多くの量を回収することができる。また、油溶性の抽出液に比べて匂いが薄いが、比較的心地よく感じるレベルの匂いの強度であり、医療現場や家庭で使い易い。更に、容器や部品等の洗浄が容易である点で、油溶性の抽出液より優れている。
本発明の抗酸化剤の有効成分である胡蝶蘭の抽出液は、実施例で示した通り、抗酸化作用を有するため抗酸化剤として使用される。胡蝶蘭の抽出液自体、該胡蝶蘭の抽出液を含有する飲食品又は、該胡蝶蘭の抽出液を気化したもの等を体内に取り入れることにより、活性酸素を消去し、抗酸化作用やアンチエイジング(抗加齢)効果を発揮することができる。
また、本発明の抗酸化の有効成分である胡蝶蘭の抽出残渣も、実施例で示した通り、抗酸化作用を有する。
上記胡蝶蘭の抽出残渣は、胡蝶蘭の抽出液には含まれない成分等により、抗酸化作用を発揮するものと考えられる。特に低温真空抽出法を用いて固液分離された「胡蝶蘭の抽出残渣」は、外部からの溶媒や過剰の熱が加わっていないため、純粋に天然物からの固体である。
胡蝶蘭の抽出残渣自体、又は、該胡蝶蘭の抽出残渣を含有する飲食品等を体内に取り入れることにより、活性酸素を消去し、抗酸化作用やアンチエイジング(抗加齢)効果を発揮することができる。
上記胡蝶蘭の抽出液又は胡蝶蘭の抽出残渣は、必要に応じて、水又は有機溶媒等で希釈して溶液として用いてもよく、また、必要に応じて、薬剤として配合が許容される添加剤を加えて種々の形態で使用できる。ただ、該胡蝶蘭の抽出液又は胡蝶蘭の抽出残渣は、水を含め全て天然物でできていると言う特長を生かすために、そのままの形態で(又は天然成分を加えて)、例えば下記する種々の用途に使用することも好ましい。
上記胡蝶蘭の抽出液又は胡蝶蘭の抽出残渣は、植物由来であり、抽出工程において抽出溶媒を使用する必要がないので、安全性が極めて高く、安心して使用できる。
また、該胡蝶蘭の抽出液又は胡蝶蘭の抽出残渣は、医薬品、医薬部外品、気化吸引用剤、外用組成物、調合香料、飲食品、サプリメント、化粧品、浴剤、繊維等に利用できる。これらの用途に使用するときには、そこに、要すれば種々の添加剤を配合して用いることができる。
前記抗酸化剤や美白剤における、上記「その他の成分」としては、特に制限はなく、本発明の効果を損なわない範囲内で、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、薬学的に許容され得る担体等が挙げられる。
かかる担体としては、特に制限はなく、例えば、後述する剤形等に応じて適宜選択することができる。また、前記抗酸化剤や美白剤中の前記「その他の成分」の含有量としても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
本発明の抗酸化剤や美白剤の剤形としては、特に制限はなく、例えば、経口固形剤(錠剤、被覆錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤等)、経口液剤(内服液剤、シロップ剤、エリキシル剤等)、注射剤(溶剤、懸濁剤等)、軟膏剤、貼付剤、ゲル剤、クリーム剤、外用散剤、スプレー剤、吸入剤、散布剤等が挙げられる。
本発明の抗酸化剤又は美白剤中の有効成分である「胡蝶蘭の抽出液又は胡蝶蘭の抽出残渣」の、抗酸化剤又は美白剤全体に対する含有量は、特に制限がなく、目的に応じて適宜選択することができるが、抗酸化剤全体又は美白剤全体を100質量部としたときに、「胡蝶蘭の抽出液又は胡蝶蘭の抽出残渣」の合計量として、0.001〜100質量部の含量で配合することが好ましく、より好ましくは0.01〜99質量部、特に好ましくは0.1〜95質量部、更に好ましくは1〜90質量部の含量で配合することができる。
本発明の抗酸化剤又は美白剤の投与対象動物としては、特に制限はないが、例えば、ヒト;マウス;ラット;サル;ウマ、ウシ、ブタ、ヤギ、ニワトリ等の家畜;ネコ、イヌ等のペット;等が挙げられる。
また、前記抗酸化剤又は美白剤の投与方法としては、特に制限はなく、例えば、剤形等に応じ、適宜選択することができ、経口投与、腹腔内投与、呼吸器への吸入、血液中への注射、腸内への注入、皮膚への塗布等が挙げられる。
また、前記抗酸化剤又は美白剤の投与量としては、特に制限はなく、投与対象である個体の年齢、体重、所望の効果の程度等に応じて適宜選択することができるが、例えば、成人への1日の投与量は、有効成分の量として、1mg〜30gが好ましく、10mg〜10gがより好ましく、100mg〜3gが特に好ましい。
また、前記抗酸化剤又は美白剤の投与時期としても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、予防的に投与されてもよいし、治療的に投与されてもよい。
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限りこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
<低温真空抽出法による胡蝶蘭の抽出液又は抽出残渣の製造>
胡蝶蘭一株(胡蝶蘭全体)、胡蝶蘭の葉のみ、胡蝶蘭の花のみを各々、図1〜3に示した容器(株式会社F・E・C製)に入れて抽出を行った。
抽出条件は以下であった。
(1)胡蝶蘭(全体、葉のみ、又は花のみ)の温度:30〜40℃
(2)容器内の設定温度:30〜40℃
(3)圧力:101.3kPa(1気圧)に対し、93〜97kPa低い圧力
(4)撹拌羽根(可動刃)の回転数:4rpm(回転/分)
回収槽41に溜まった回収液のうち、水層(水相)51の液を目的の抽出液(胡蝶蘭の抽出液)とした。また、抽出液を回収後に容器1に残った残渣を、目的の抽出残渣(胡蝶蘭の抽出残渣)とした。
実施例2
<低温真空抽出法による胡蝶蘭の抽出液又は抽出残渣の抗酸化作用の測定>
実施例1で得られた胡蝶蘭一株(全体)の抽出液及び抽出残渣の抗酸化作用をBAP(Biological Antioxidant Potential;生体抗酸化力測定)テストを用いて測定した。
BAPテストには、Diacron International社製のFREE Carrio Cuoを使用した。抽出液は原液10μLを、抽出残渣は10倍希釈で水に懸濁し、遠心分離後の上澄み10μLをそれぞれBAPテストの試料として用いた。
結果を図4に示す。図4中、「エキストラクト」は、「抽出液」を示す。縦軸の数値が高い程、抗酸化能が優れていることを示す。
抽出残渣には著しく高い抗酸化能を有することがわかった。
実施例3
<エタノール抽出法又は熱水抽出法による胡蝶蘭葉抽出液の抗酸化作用の測定>
異なる5品種の胡蝶蘭の葉1gをそれぞれすり潰し、1mLのエタノールを加えて遠心分離後、上澄みを目的の抽出液(胡蝶蘭の抽出液)として回収した。
また、異なる5品種の胡蝶蘭の葉1gをそれぞれすり潰し、熱水1mLを加えて90℃で30分間処理をした。その後遠心分離を行い、上澄みを目的の抽出液(胡蝶蘭の抽出液)として回収した。
得られた各抽出液10μLをBAPテストに供した。結果を図5(エタノール抽出)及び図6(熱水抽出)に示す。
図5及び図6の結果、エタノール抽出法又は熱水抽出法で得られた胡蝶蘭の葉の抽出液は、抗酸化能を有することがわかった。
実施例4
<胡蝶蘭と他のラン科植物との抗酸化能の比較>
胡蝶蘭(ラン科ファレノプシス属)、ラン科エビネ属及びラン科シンビジウム属の葉1gをそれぞれすり潰し、1mLのエタノールを加えて遠心分離後、上澄みを目的の抽出液(胡蝶蘭の抽出液)として回収した。
得られた各抽出液10μLをBAPテストに供した。結果を図7に示す。図7の縦軸の単位はμmol/Lである。
図7の結果、胡蝶蘭の葉の抽出液が、最も抗酸化能が高いことがわかった。
実施例5
<胡蝶蘭の品種による抗酸化能の比較>
異なる6品種の胡蝶蘭の葉1gをそれぞれすり潰し、1mLのエタノールを加えて遠心分離後、上澄みを目的の抽出液(胡蝶蘭の抽出液)として回収した。
得られた各抽出液10μLをBAPテストに供した。結果を図8に示す。図8の縦軸の単位はμmol/Lである。
実施例5で用いた胡蝶蘭の品種は以下のとおりである。
ビューティーシーナリンリン(図8中「1」)、ビューティーシーナランラン(図8中「2」)、ハッピービビアンチュンリー(図8中「3」)、シーナズダイヤモンドキラキラ(図8中「4」)、ダイアンシーナユミ(図8中「5」)、ソゴーユキディアンブイスリー(V3)(図8中「6」)。
図8の結果、特に、品種がビューティーシーナリンリン、ビューティーシーナランラン及びシーナズダイヤモンドキラキラである胡蝶蘭の葉の抽出液について抗酸化能が高いことが分かった。
実施例6
<胡蝶蘭の抽出液又は抽出残渣の美白効果の測定>
実施例1で得られた胡蝶蘭の葉の抽出液及び抽出残渣についてチロシナーゼ活性阻害試験を行った。胡蝶蘭の葉1gをすり潰し、1mLの水を加えて遠心分離後、回収した上澄みを比較対象とした。
抽出液は原液10μLを、抽出残渣は10倍希釈で水に懸濁し、遠心分離後の上澄み10μLをそれぞれチロシナーゼ活性阻害試験の試料として用いた。
チロシナーゼはマッシュルーム由来チロシナーゼ(Sigma社製)を用いた。チロシナーゼの基質としてDOPA((3-3,4-dihydroxyphenyl)-L-alanine、和光純薬工業(株)製)、緩衝液としてリン酸バッファーを用いた。
チロシナーゼ(マッシュルーム由来、Sigma社製)を蒸留水で134U/mLに調製し酵素溶液とした。3,4-Dihydroxy-L-phenylalanine(以下「DOPA」という、和光純薬工業(株)製)を蒸留水で2.5mMに調製し基質溶液とした。また、66mMリン酸バッファー(pH6.7)を緩衝液として用いた。
ポジティブコントロールとして、試薬特級L(+)−アスコルビン酸(Wako)を用いた。酵素反応は、96穴マイクロプレートにて行った。
マイクロプレートの各ウェルに緩衝液25μL、基質溶液12.5μL、試料溶液5μLを加え充分混合撹拌し、23℃で3分間プレインキュベートした。プレインキュベート後に酵素溶液25μLを添加し、直ちに490nmにおける吸光度(As0)を測定した。23℃で10分間酵素反応を行い、反応10分後の吸光度(As10)を測定して、チロシナーゼ活性阻害率を計算した。
その結果、実施例1で得られた胡蝶蘭の葉の抽出残渣にチロシナーゼ活性阻害効果があることがわかった。比較対象の試料にもチロシナーゼ活性阻害効果が確認されたが、抽出残渣の方が約4倍高かった。
一方、実施例1で得られた胡蝶蘭の葉の抽出液にはチロシナーゼ活性阻害効果は確認されなかったが、該葉の抽出液を100倍濃縮すると、若干チロシナーゼ活性阻害効果が確認された。
また、胡蝶蘭の花1gをすり潰し、1mLの水を加えて遠心分離後に回収した上澄み、及び胡蝶蘭の花1gをすり潰し、熱水1mLを加えて90℃で30分間処理をし、その後遠心分離に回収した上澄みについてもチロシナーゼ活性阻害試験を行った。
その結果、胡蝶蘭の花の熱水抽出液に僅かにチロシナーゼ活性阻害効果が確認されたが、上記の比較対象(胡蝶蘭の葉1gをすり潰し、1mLの水を加えて遠心分離後、回収した上澄み)よりもチロシナーゼ活性阻害効果が弱かった。
以上の結果をチロシナーゼ活性阻害効果が高かった順に並べると、(1)低温真空抽出法により得られた胡蝶蘭の葉の抽出残渣、(2)胡蝶蘭の葉をすり潰して遠心分離後に得られた上澄み液、(3)低温真空抽出法により得られた胡蝶蘭の葉の抽出液(100倍希釈)、(4)胡蝶蘭の花をすり潰して遠心分離後に得られた上澄み液、であった。
実施例6から、低温真空抽出法で得られた胡蝶蘭の葉の抽出残渣には、優れたチロシナーゼ活性阻害効果があり、すなわち優れた美白効果があることが分かった。
本発明の抗酸化剤又は美白剤に含まれる胡蝶蘭の抽出液は、今までの胡蝶蘭の抽出液とは異なる成分組成を有する。また、本発明における胡蝶蘭の抽出液は植物由来であり、抽出工程において抽出溶媒を使用する必要がないので、安全性が極めて高く、該抽出残渣も有効活用することができる。
したがって、該胡蝶蘭の抽出液又は胡蝶蘭の抽出残渣を有効成分として含有する抗酸化剤、及び該酸化剤を含有する美白剤は、医薬品の分野にはもちろんのこと、アロマセラピー用品、芳香剤、介護用品、化粧品、食品、サプリメント等の分野においても広く利用されるものである。
本願は、2017年6月19日に出願した日本の特許出願である特願2017−119589に基づくものであり、その出願のすべての内容はここに引用し、本発明の明細書の開示として取り込まれるものである。
1 容器
2 冷却槽
6 撹拌羽根
7 下部半円筒部
8 上部角形部
9 蒸気室
10 排出口
14 排気口
16 配管
17 投入口
18 蓋
20 端壁
21 端壁
22 端板
23 端板
24 羽根体
24a 溝
24b 可動刃
25 羽根体
25a 溝
25b 可動刃
26 固定刃
30 傾斜面
31 胡蝶蘭
32 真空計
33 温度計
34 温度計
41 回収槽
45 バルブ
46 減圧装置
49 弁
50 油層
51 水層
R 回転方向

Claims (7)

  1. 胡蝶蘭の抽出液又は胡蝶蘭の抽出残渣を有効成分として含有することを特徴とする抗酸化剤。
  2. 上記胡蝶蘭が胡蝶蘭の葉である請求項1に記載の抗酸化剤。
  3. 上記胡蝶蘭がビューティーシーナリンリン、ビューティーシーナランラン及びシーナズダイヤモンドキラキラからなる群より選ばれる少なくとも1つの品種である請求項1又は請求項2に記載の抗酸化剤。
  4. 請求項1ないし請求項3の何れかの請求項に記載の抗酸化剤を含有することを特徴とするチロシナーゼ活性阻害剤。
  5. 請求項1ないし請求項3の何れかの請求項に記載の抗酸化剤を含有することを特徴とする美白剤。
  6. 請求項1ないし請求項3の何れかの請求項に記載の抗酸化剤の製造方法であって、
    抽出溶媒を加えずに、胡蝶蘭を撹拌羽根で破砕しながら撹拌し、該破砕・撹拌下に外部から胡蝶蘭の温度を25℃以上45℃以下の温度範囲に維持しながら熱を加えつつ減圧し、固液分離することによって抽出液又は抽出残渣を得る工程を有することを特徴とする抗酸化剤の製造方法。
  7. 請求項6に記載の抗酸化剤の製造方法を使用することを特徴とする美白剤の製造方法。
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