JPWO2018207730A1 - 液晶表示素子用シール剤、上下導通材料、及び、液晶表示素子 - Google Patents

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Abstract

本発明は、耐衝撃性、柔軟性、及び、透湿防止性に優れる液晶表示素子用シール剤を提供することを目的とする。また、本発明は、該液晶表示素子用シール剤を用いてなる上下導通材料及び液晶表示素子を提供することを目的とする。本発明は、硬化性樹脂と、重合開始剤及び/又は熱硬化剤と、疎水性基を表面に有する無機フィラーとを含有し、前記疎水性基を表面に有する無機フィラーの含有割合が15重量%以上であり、硬化物の25℃における貯蔵弾性率が2.0GPa以下である液晶表示素子用シール剤である。

Description

本発明は、耐衝撃性、柔軟性、及び、透湿防止性に優れる液晶表示素子用シール剤に関する。また、本発明は、該液晶表示素子用シール剤を用いてなる上下導通材料及び液晶表示素子に関する。
近年、液晶表示セル等の液晶表示素子の製造方法としては、タクトタイム短縮、使用液晶量の最適化といった観点から、特許文献1、特許文献2に開示されているような、硬化性樹脂と光重合開始剤と熱硬化剤とを含有する光熱併用硬化型のシール剤を用いた滴下工法と呼ばれる液晶滴下方式が用いられている。
滴下工法では、まず、2枚の電極付き基板の一方に、ディスペンスにより枠状のシールパターンを形成する。次いで、シール剤が未硬化の状態で液晶の微小滴を基板のシール枠内に滴下し、真空下で他方の基板を重ね合わせ、シール部に紫外線等の光を照射して仮硬化を行う。その後、加熱して本硬化を行い、液晶表示素子を作製する。現在この滴下工法が液晶表示素子の製造方法の主流となっている。
ところで、携帯電話、携帯ゲーム機等、各種液晶パネル付きモバイル機器が普及している現代において、装置の小型化は最も求められている課題である。小型化の手法として、液晶表示部の狭額縁化が挙げられ、例えば、シール部の位置をブラックマトリックス下に配置することが行われている(以下、狭額縁設計ともいう)。
このような狭額縁設計に伴い、液晶表示素子において画素領域からシール剤までの距離が近くなっており、シール剤が配向膜上に配置されることが多くなっている。
携帯端末の普及に伴い、液晶表示素子には耐衝撃性が要求されており、シール剤には液晶表示素子の落下等により外部から衝撃を受けた場合でもパネル剥がれ等を引き起こすことのないように、より高い柔軟性及び接着性(狭額縁設計では特に配向膜に対する接着性)が求められている。また、液晶表示素子には高温高湿環境下での駆動等における耐湿信頼性も要求されている。液晶表示素子の耐湿信頼性を向上させるためには、シール剤の基板や配向膜に対する接着性を向上させ、かつ、シール剤の透湿防止性を向上させる必要がある。シール剤の透湿防止性を向上させる方法としては、例えば、タルク等のフィラーを配合する方法が考えられる。しかしながら、透湿防止性を向上させるためにフィラーを多量に配合すると、硬化物が柔軟性に劣るものとなって脆くなったり、耐衝撃性に劣るものとなったりすることがあり、従来のシール剤では、耐衝撃性及び柔軟性と透湿防止性とを両立することが困難であった。
特開2001−133794号公報 国際公開第02/092718号
本発明は、耐衝撃性、柔軟性、及び、透湿防止性に優れる液晶表示素子用シール剤を提供することを目的とする。また、本発明は、該液晶表示素子用シール剤を用いてなる上下導通材料及び液晶表示素子を提供することを目的とする。
本発明は、硬化性樹脂と、重合開始剤及び/又は熱硬化剤と、疎水性基を表面に有する無機フィラーとを含有し、前記疎水性基を表面に有する無機フィラーの含有割合が15重量%以上であり、硬化物の25℃における貯蔵弾性率が2.0GPa以下である液晶表示素子用シール剤である。
以下に本発明を詳述する。
本発明者は、硬化物の25℃における貯蔵弾性率を特定値以下となるようにした柔軟性に優れるシール剤において、疎水性基を表面に有する無機フィラーを特定の含有割合以上となるように配合することを検討した。その結果、耐衝撃性、柔軟性、及び、透湿防止性の全てに優れる液晶表示素子用シール剤を得ることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明の液晶表示素子用シール剤は、疎水性基を表面に有する無機フィラーを含有する。上記疎水性基を表面に有する無機フィラーを含有することにより、本発明の液晶表示素子用シール剤は、透湿防止性に優れるものとなる。また、上記疎水性基を表面に有する無機フィラーは、本発明の液晶表示素子用シール剤の塗布性を向上させる効果も有する。
更に、上記疎水性基を表面に有する無機フィラーは、本発明の液晶表示素子用シール剤の耐衝撃性を向上させる効果も有する。上記疎水性基を表面に有する無機フィラーを含有することでシール剤の耐衝撃性が向上する理由としては、以下のことが考えられる。即ち、無機フィラーを疎水性基を表面に有するものとすることにより、該無機フィラーが硬化性樹脂中に分散しやすくなる。その結果、無機フィラーの凝集により生じる、シール剤の硬化物が脆くなったり、柔軟性が低下したりすることが抑制されているものと考えられる。このシール剤の耐衝撃性が向上する効果は、硬化性樹脂として重合性官能基と環状ラクトンの開環構造とを有する化合物と、アルキル基を表面に有する無機フィラーとを組み合わせて用いた場合に特に好適に発揮される。
上記疎水性基を表面に有する無機フィラーは、基材粒子と該基材粒子の表面の疎水性基とを有する。
上記基材粒子としては、例えば、シリカ、タルク、ガラスビーズ、石綿、石膏、珪藻土、スメクタイト、ベントナイト、モンモリロナイト、セリサイト、活性白土、アルミナ、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化錫、酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化珪素、硫酸バリウム、珪酸カルシウム等の無機粒子が挙げられる。なかでも、シリカが好ましい。
上記疎水性基としては、例えば、アルキル基、アルキルシリル基、エポキシ基等が挙げられる。なかでも、アルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
上述したように、本発明の液晶表示素子用シール剤は、硬化性樹脂として重合性官能基と環状ラクトンの開環構造とを有する化合物と、アルキル基を表面に有する無機フィラーとを組み合わせて用いることが好ましい。
上記疎水性基を表面に有する無機フィラーは、表面処理剤により上記基材粒子を表面処理する方法により得ることができる。
上記表面処理剤としては、例えば、エポキンシラン、アミノシラン、(メタ)アクリルシラン、ビニルシラン、メチルクロロシラン、ジメチルポリシロキサン等が挙げられる。
なお、本明細書において、上記「(メタ)アクリル」とは、アクリル又はメタクリルを意味する。
上記表面処理剤によって上記基材粒子を表面処理する方法としては、例えば、流動させた状態の上記基材粒子に、水と上記表面処理剤との混合液を噴霧する方法や、アルコール、トルエン等の有機溶媒中に上記基材粒子を加え、更に上記表面処理剤と水とを加えた後、水と有機溶媒とをエバポレーターで蒸発乾燥させる方法等が挙げられる。
上記疎水性基を表面に有する無機フィラーの平均粒子径の好ましい下限は0.1μm、好ましい上限は3μmである。上記疎水性基を表面に有する無機フィラーの平均粒子径がこの範囲であることにより、得られる液晶表示素子用シール剤が塗布性等を悪化させることなく、耐衝撃性及び柔軟性と透湿防止性とを両立する効果により優れるものとなる。上記疎水性基を表面に有する無機フィラーの平均粒子径のより好ましい下限は0.4μm、より好ましい上限は1μmである。
なお、本明細書において上記疎水性基を表面に有する無機フィラーの平均粒子径は、走査型電子顕微鏡を用いて、5000倍の倍率で観察した粒子10個の粒子径(長径)の平均値を意味する。
上記疎水性基を表面に有する無機フィラーの含有割合の下限は15重量%である。上記疎水性基を表面に有する無機フィラーの含有割合が15重量%以上であることにより、得られる液晶表示素子用シール剤が透湿防止性及び塗布性に優れるものとなる。上記疎水性基を表面に有する無機フィラーの含有割合の好ましい下限は20重量%、より好ましい下限は30重量%である。
また、塗布性等の観点から、上記疎水性基を表面に有する無機フィラーの含有割合の好ましい上限は70重量%、より好ましい上限は50重量%である。
本発明の液晶表示素子用シール剤は、本発明の目的を阻害しない範囲において、上記疎水性基を表面に有する無機フィラーに加えてその他のフィラーを含有してもよい。
上記その他のフィラーとしては、例えば、上記疎水性基を表面に有する無機フィラーの基材粒子として挙げた無機粒子や、ポリエステル微粒子、ポリウレタン微粒子、ビニル重合体微粒子、アクリル重合体微粒子等の有機粒子等が挙げられる。
本発明の液晶表示素子用シール剤は、硬化性樹脂を含有する。
本発明の液晶表示素子用シール剤において、硬化物の25℃における貯蔵弾性率を2.0GPa以下とする方法としては、上記硬化性樹脂として重合性官能基と柔軟骨格とを有する化合物を用いる方法が好適である。
上記重合性官能基と柔軟骨格とを有する化合物の有する重合性官能基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基等が挙げられる。なかでも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。また、上記重合性官能基と柔軟骨格とを有する化合物は、上記重合性官能基を1分子中に2個以上有することが好ましい。
なお、本明細書において上記「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイル又はメタクリロイルを意味する。
上記重合性官能基と柔軟骨格とを有する化合物の有する柔軟骨格としては、例えば、環状ラクトンの開環構造、ポリアルキレンオキサイド構造、共役ジエンに由来するゴム構造、ポリシロキサン構造等が挙げられる。なかでも、環状ラクトンの開環構造が好ましい。
上述したように、本発明の液晶表示素子用シール剤は、硬化性樹脂として重合性官能基と環状ラクトンの開環構造とを有する化合物と、アルキル基を表面に有する無機フィラーとを組み合わせて用いることが好ましい。
上記重合性官能基と柔軟骨格とを有する化合物としては、具体的には例えば、カプロラクトン変性ビスフェノールA型エポキシ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ビスフェノールF型エポキシ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ビスフェノールE型エポキシ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールA型エポキシ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールF型エポキシ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールE型エポキシ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA型エポキシ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールF型エポキシ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールE型エポキシ(メタ)アクリレート、末端アミノ基含有ブタジエン−アクリロニトリル(ATBN)変性エポキシ(メタ)アクリレート、末端カルボキシル基含有ブタジエン−アクリロニトリル(CTBN)変性エポキシ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル変性イソプレンゴム、(メタ)アクリル変性ブタジエンゴム、(メタ)アクリル変性シリコーンゴム、カプロラクトン変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂、カプロラクトン変性ビスフェノールF型エポキシ樹脂、カプロラクトン変性ビスフェノールE型エポキシエポキシ樹脂、エチレンオキサイド変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エチレンオキサイド変性ビスフェノールF型エポキシ樹脂、エチレンオキサイド変性ビスフェノールE型エポキシ樹脂、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールF型エポキシ樹脂、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ATBN変性エポキシ樹脂、CTBN変性エポキシ樹脂、エポキシ変性イソプレンゴム、エポキシ変性ブタジエンゴム、エポキシ変性シリコーンゴム等が挙げられる。なかでも、カプロラクトン変性ビスフェノールA型エポキシ(メタ)アクリレートが好ましい。
なお、本明細書において上記「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート又はメタクリレートを意味し、上記「エポキシ(メタ)アクリレート」とは、エポキシ化合物中の全てのエポキシ基を(メタ)アクリル酸と反応させた化合物のことを表す。
上記硬化性樹脂全体100重量部中における上記重合性官能基と柔軟骨格とを有する化合物の含有量の好ましい下限は30重量部、好ましい上限は90重量部である。上記重合性官能基と柔軟骨格とを有する化合物の含有量がこの範囲であることにより、得られる液晶表示素子用シール剤の硬化物の25℃における貯蔵弾性率を上述した範囲とすることが容易となる。上記重合性官能基と柔軟骨格とを有する化合物の含有量のより好ましい下限は50重量部、より好ましい上限は70重量部である。
上記硬化性樹脂は、硬化物の25℃における貯蔵弾性率を調整したり、耐衝撃性や低液晶汚染性をより向上させたりする等の目的で、上記重合性官能基と柔軟骨格とを有する化合物以外のその他の硬化性樹脂を含有することが好ましい。上記その他の硬化性樹脂としては、上記重合性官能基と柔軟骨格とを有する化合物以外のその他のエポキシ化合物やその他の(メタ)アクリル化合物が好適に用いられる。
なお、本明細書において、上記「(メタ)アクリル化合物」とは、(メタ)アクリロイル基を有する化合物を意味する。
上記その他のエポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、2,2’−ジアリルビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノール型エポキシ樹脂、レゾルシノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、スルフィド型エポキシ樹脂、ジフェニルエーテル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレンフェノールノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル化合物等が挙げられる。
また、上記硬化性樹脂は、上記その他のエポキシ化合物として、1分子中にエポキシ基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物を含有してもよい。このような化合物としては、例えば、2以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物の一部分のエポキシ基を(メタ)アクリル酸と反応させることによって得られる部分(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂等が挙げられる。
上記その他の(メタ)アクリル化合物としては、例えば、エポキシ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸エステル化合物、ウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。なかでも、エポキシ(メタ)アクリレートが好ましい。また、上記その他の(メタ)アクリル化合物は、反応性の高さから分子中に(メタ)アクリロイル基を2個以上有するものが好ましい。
上記エポキシ(メタ)アクリレートとしては、例えば、エポキシ化合物と(メタ)アクリル酸とを、常法に従って塩基性触媒の存在下で反応することにより得られるもの等が挙げられる。
上記エポキシ(メタ)アクリレートを合成するための原料となるエポキシ化合物としては、上述したその他のエポキシ化合物と同様のものが挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸エステル化合物のうち単官能のものとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ビシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、イミド(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチル2−ヒドロキシプロピルフタレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルホスフェート、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、上記(メタ)アクリル酸エステル化合物のうち2官能のものとしては、例えば、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタジエニルジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、カーボネートジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエステルジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、上記(メタ)アクリル酸エステル化合物のうち3官能以上のものとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリス(メタ)アクリロイルオキシエチルフォスフェート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記ウレタン(メタ)アクリレートとしては、例えば、イソシアネート化合物に対して水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体を、触媒量のスズ系化合物存在下で反応させることによって得ることができる。
上記イソシアネート化合物としては、例えば、イソホロンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(MDI)、水添MDI、ポリメリックMDI、1,5−ナフタレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、水添XDI、リジンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオフォスフェート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート等が挙げられる。
上記水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体としては、例えば、ヒドロキシアルキルモノ(メタ)アクリレート、二価のアルコールのモノ(メタ)アクリレート、三価のアルコールのモノ(メタ)アクリレート又はジ(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記ヒドロキシアルキルモノ(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記二価のアルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
上記三価のアルコールとしては、例えば、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン等が挙げられる。
上記エポキシ(メタ)アクリレートとしては、例えば、ビスフェノールA型エポキシアクリレート等が挙げられる。
本発明の液晶表示素子用シール剤は、硬化性樹脂中の(メタ)アクリロイル基とエポキシ基との含有割合((メタ)アクリロイル基:エポキシ基)をモル比で50:50〜95:5とすることが好ましい。
本発明の液晶表示素子用シール剤は、重合開始剤及び/又は熱硬化剤を含有する。
上記重合開始剤としては、例えば、ラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤等が挙げられる。
上記ラジカル重合開始剤としては、光照射によりラジカルを発生する光ラジカル重合開始剤、加熱によりラジカルを発生する熱ラジカル重合開始剤等が挙げられる。
上記光ラジカル重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン系化合物、アセトフェノン系化合物、アシルフォスフィンオキサイド系化合物、チタノセン系化合物、オキシムエステル系化合物、ベンゾインエーテル系化合物、チオキサントン等が挙げられる。
上記光ラジカル重合開始剤のうち市販されているものとしては、例えば、BASF社製の光ラジカル重合開始剤、ライトケミカル社製の光ラジカル重合開始剤、東京化成工業社製の光ラジカル重合開始剤等が挙げられる。
上記BASF社製の光ラジカル重合開始剤としては、例えば、IRGACURE184、IRGACURE369、IRGACURE379、IRGACURE651、IRGACURE819、IRGACURE907、IRGACURE2959、IRGACURE OXE01、ルシリンTPO等が挙げられる。
上記ライトケミカル社製の光ラジカル重合開始剤としては、例えば、KR−02等が挙げられる。
上記東京化成工業社製の光ラジカル重合開始剤としては、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等が挙げられる。
上記熱ラジカル重合開始剤としては、例えば、アゾ化合物、有機過酸化物等からなるものが挙げられる。なかでも、高分子アゾ化合物からなる高分子アゾ開始剤が好ましい。
なお、本明細書において高分子アゾ化合物とは、アゾ基を有し、熱によって(メタ)アクリロイルオキシ基を硬化させることができるラジカルを生成する、数平均分子量が300以上の化合物を意味する。
上記高分子アゾ化合物の数平均分子量の好ましい下限は1000、好ましい上限は30万である。上記高分子アゾ化合物の数平均分子量がこの範囲であることにより、液晶への悪影響を防止しつつ、硬化性樹脂へ容易に混合することができる。上記高分子アゾ化合物の数平均分子量のより好ましい下限は5000、より好ましい上限は10万であり、更に好ましい下限は1万、更に好ましい上限は9万である。
なお、本明細書において、上記数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で溶媒としてテトラヒドロフランを用いて測定を行い、ポリスチレン換算により求められる値である。GPCによってポリスチレン換算による数平均分子量を測定する際のカラムとしては、例えば、Shodex LF−804(昭和電工社製)等が挙げられる。
上記高分子アゾ化合物としては、例えば、アゾ基を介してポリアルキレンオキサイドやポリジメチルシロキサン等のユニットが複数結合した構造を有するものが挙げられる。
上記アゾ基を介してポリアルキレンオキサイド等のユニットが複数結合した構造を有する高分子アゾ化合物としては、ポリエチレンオキサイド構造を有するものが好ましい。
上記高分子アゾ化合物としては、具体的には例えば、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)とポリアルキレングリコールの重縮合物や、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)と末端アミノ基を有するポリジメチルシロキサンの重縮合物等が挙げられる。
上記高分子アゾ化合物のうち市販されているものとしては、例えば、VPE−0201、VPE−0401、VPE−0601、VPS−0501、VPS−1001(いずれも富士フイルム和光純薬社製)等が挙げられる。
また、高分子ではないアゾ化合物として市販されているものとしては、例えば、V−65、V−501(いずれも富士フイルム和光純薬社製)等が挙げられる。
上記有機過酸化物としては、例えば、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシエステル、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート等が挙げられる。
上記カチオン重合開始剤としては、光カチオン重合開始剤を好適に用いることができる。上記光カチオン重合開始剤は、光照射によりプロトン酸又はルイス酸を発生するものであれば特に限定されず、イオン性光酸発生タイプのものであってもよいし、非イオン性光酸発生タイプであってもよい。
上記光カチオン重合開始剤としては、例えば、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ハロニウム塩、芳香族スルホニウム塩等のオニウム塩類、鉄−アレン錯体、チタノセン錯体、アリールシラノール−アルミニウム錯体等の有機金属錯体類等が挙げられる。
上記光カチオン重合開始剤のうち市販されているものとしては、例えば、アデカオプトマーSP−150、アデカオプトマーSP−170(いずれもADEKA社製)等が挙げられる。
上記重合開始剤は、単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わせて用いられてもよい。
上記重合開始剤の含有量は、上記硬化性樹脂100重量部に対して、好ましい下限が0.1重量部、好ましい上限が30重量部である。上記重合開始剤の含有量が0.1重量部以上であることにより、得られる液晶表示素子用シール剤が硬化性により優れるものとなる。上記重合開始剤の含有量が30重量部以下であることにより、得られる液晶表示素子用シール剤が保存安定性により優れるものとなる。上記重合開始剤の含有量のより好ましい下限は1重量部、より好ましい上限は10重量部であり、更に好ましい上限は5重量部である。
上記熱硬化剤としては、例えば、有機酸ヒドラジド、イミダゾール誘導体、アミン化合物、多価フェノール系化合物、酸無水物等が挙げられる。なかでも、固形の有機酸ヒドラジドが好適に用いられる。
上記熱硬化剤は、単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わせて用いられてもよい。
上記固形の有機酸ヒドラジドとしては、例えば、1,3−ビス(ヒドラジノカルボエチル)−5−イソプロピルヒダントイン、セバシン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド等が挙げられる。
上記有機酸ヒドラジドのうち市販されているものとしては、例えば、大塚化学社製の有機酸ヒドラジド、日本ファインケム社製の有機酸ヒドラジド、味の素ファインテクノ社製の有機酸ヒドラジド等が挙げられる。
上記大塚化学社製の有機酸ヒドラジドとしては、例えば、SDH、ADH等が挙げられる。
上記日本ファインケム社製の有機酸ヒドラジドとしては、例えば、MDH等が挙げられる。
上記味の素ファインテクノ社製の有機酸ヒドラジドとしては、例えば、アミキュアVDH、アミキュアVDH−J、アミキュアUDH(いずれも味の素ファインテクノ社製)等が挙げられる。
上記熱硬化剤の含有量は、上記硬化性樹脂100重量部に対して、好ましい下限が1重量部、好ましい上限が50重量部である。上記熱硬化剤の含有量が1重量部以上であることにより、得られる液晶表示素子用シール剤が熱硬化性により優れるものとなる。上記熱硬化剤の含有量が50重量部以下であることにより、得られる液晶表示素子用シール剤が塗布性により優れるものとなる。上記熱硬化剤の含有量のより好ましい上限は30重量部である。
本発明の液晶表示素子用シール剤は、シランカップリング剤を含有することが好ましい。上記シランカップリング剤は、主にシール剤と基板等とを良好に接着するための接着助剤としての役割を有する。
上記シランカップリング剤としては、例えば、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等が好適に用いられる。これらのシランカップリング剤は、基板等との接着性を向上させる効果に優れ、硬化性樹脂と化学結合することにより液晶中への硬化性樹脂の流出を抑制することができる。
上記シランカップリング剤は、単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わせて用いられてもよい。
本発明の液晶表示素子用シール剤100重量部中における上記シランカップリング剤の含有量の好ましい下限は0.1重量部、好ましい上限は10重量部である。上記シランカップリング剤の含有量がこの範囲であることにより、得られる液晶表示素子用シール剤が、液晶汚染の発生を抑制しつつ、接着性により優れるものとなる。上記シランカップリング剤の含有量のより好ましい下限は0.3重量部、より好ましい上限は5重量部である。
本発明の液晶表示素子用シール剤は、上記無機フィラーに加えて遮光剤を含有してもよい。上記遮光剤を含有することにより、本発明の液晶表示素子用シール剤は、遮光シール剤として好適に用いることができる。
上記遮光剤としては、例えば、酸化鉄、チタンブラック、アニリンブラック、シアニンブラック、フラーレン、カーボンブラック、樹脂被覆型カーボンブラック等が挙げられる。なかでも、チタンブラックが好ましい。
上記遮光剤は、単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わせて用いられてもよい。
上記チタンブラックは、波長300nm以上800nm以下の光に対する平均透過率と比較して、紫外線領域付近、特に波長370nm以上450nm以下の光に対する透過率が高くなる物質である。即ち、上記チタンブラックは、可視光領域の波長の光を充分に遮蔽することで本発明の液晶表示素子用シール剤に遮光性を付与する一方、紫外線領域付近の波長の光は透過させる性質を有する遮光剤である。本発明の液晶表示素子用シール剤に含有される遮光剤としては、絶縁性の高い物質が好ましく、絶縁性の高い遮光剤としてもチタンブラックが好適である。
上記チタンブラックは、表面処理されていないものでも充分な効果を発揮するが、表面がカップリング剤等の有機成分で処理されているものや、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ゲルマニウム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム等の無機成分で被覆されているもの等、表面処理されたチタンブラックを用いることもできる。なかでも、有機成分で処理されているものは、より絶縁性を向上できる点で好ましい。
また、遮光剤として上記チタンブラックを含有する本発明の液晶表示素子用シール剤を用いて製造した液晶表示素子は、充分な遮光性を有するため、光の漏れ出しがなく高いコントラストを有し、優れた画像表示品質を有する液晶表示素子を実現することができる。
上記チタンブラックのうち市販されているものとしては、例えば、三菱マテリアル社製のチタンブラック、赤穂化成社製のチタンブラック等が挙げられる。
上記三菱マテリアル社製のチタンブラックとしては、例えば、12S、13M、13M−C、13R−N、14M−C等が挙げられる。
上記赤穂化成社製のチタンブラックとしては、例えば、ティラックD等が挙げられる。
上記チタンブラックの比表面積の好ましい下限は13m/g、好ましい上限は30m/gであり、より好ましい下限は15m/g、より好ましい上限は25m/gである。
また、上記チタンブラックの体積抵抗の好ましい下限は0.5Ω・cm、好ましい上限は3Ω・cmであり、より好ましい下限は1Ω・cm、より好ましい上限は2.5Ω・cmである。
上記遮光剤の一次粒子径は、液晶表示素子の基板間の距離以下であれば特に限定されないが、好ましい下限は1nm、好ましい上限は5000nmである。上記遮光剤の一次粒子径がこの範囲であることにより、得られる液晶表示素子用シール剤の描画性等を悪化させることなく遮光性により優れるものとすることができる。上記遮光剤の一次粒子径のより好ましい下限は5nm、より好ましい上限は200nm、更に好ましい下限は10nm、更に好ましい上限は100nmである。
なお、上記遮光剤の一次粒子径は、NICOMP 380ZLS(PARTICLE SIZING SYSTEMS社製)を用いて、上記遮光剤を溶媒(水、有機溶媒等)に分散させて測定することができる。
本発明の液晶表示素子用シール剤100重量部中における上記遮光剤の含有量の好ましい下限は5重量部、好ましい上限は80重量部である。上記遮光剤の含有量がこの範囲であることにより、得られる液晶表示素子用シール剤の接着性、硬化後の強度、及び、描画性の悪化を抑制しつつ、遮光性を向上させる効果により優れるものとなる。上記遮光剤の含有量のより好ましい下限は10重量部、より好ましい上限は70重量部であり、更に好ましい下限は30重量部、更に好ましい上限は60重量部である。
本発明の液晶表示素子用シール剤は、更に、必要に応じて、反応性希釈剤、スペーサー、硬化促進剤、消泡剤、レベリング剤、重合禁止剤、その他のカップリング剤等の添加剤を含有してもよい。
本発明の液晶表示素子用シール剤を製造する方法としては、例えば、混合機を用いて、硬化性樹脂と、重合開始剤及び/又は熱硬化剤と、疎水性基を表面に有する無機フィラーと、必要に応じて添加するシランカップリング剤等の添加剤とを混合する方法等が挙げられる。
上記混合機としては、例えば、ホモディスパー、ホモミキサー、万能ミキサー、プラネタリーミキサー、ニーダー、3本ロール等が挙げられる。
本発明の液晶表示素子用シール剤は、硬化物の25℃における貯蔵弾性率の上限が2.0GPaである。上記硬化物の25℃における貯蔵弾性率が2.0GPa以下であることにより、本発明の液晶表示素子用シール剤は、優れた柔軟性及び接着性(特に配向膜に対する接着性)を有するものとなり、得られる液晶表示素子が落下等により衝撃を受けた際のパネル剥がれを防止できるものとなる。上記硬化物の25℃における貯蔵弾性率の好ましい上限は1.8GPaである。
また、被着体を貼り合わせた際の接着性等の観点から、上記硬化物の25℃における貯蔵弾性率の好ましい下限は1MPa、より好ましい下限は0.01GPaである。
なお、上記貯蔵弾性率を測定する硬化物としては、シール剤にメタルハライドランプを用いて100mW/cmの紫外線(波長365nm)を30秒照射した後、120℃で1時間加熱して硬化させたものが用いられる。
また、上記貯蔵弾性率は、動的粘弾性測定装置(例えば、IT計測制御社製、「DVA−200」等)を用いて、試験片幅5mm、厚み0.35mm、掴み幅25mm、昇温速度10℃/分、周波数10Hzの条件で測定することができる。
本発明の液晶表示素子用シール剤は、JIS Z 0208に準拠して測定される、厚さ0.7μmの硬化物の60℃、90%RHの環境下における透湿度が25g/m・24hr以下であることが好ましい。上記透湿度が25g/m・24hr以下であることにより、得られる液晶表示素子が耐湿信頼性により優れるものとなる。
なお、上記透湿度を測定する硬化物としては、シール剤にメタルハライドランプを用いて100mW/cmの紫外線(波長365nm)を30秒照射した後、120℃で1時間加熱して硬化させたものが用いられる。
本発明の液晶表示素子用シール剤は、チクソトロピックインデックスの好ましい上限が1.8である。上記チクソトロピックインデックスが1.8以下であることにより、本発明の液晶表示素子用シール剤を基板に塗布する際の作業性により優れるものとなる。上記チクソトロピックインデックスのより好ましい上限は1.7である。
また、上記チクソトロピックインデックスの好ましい下限は1.1である。
なお、本明細書において上記チクソトロピックインデックスとは、E型粘度計を用いて、25℃、0.5rpmの条件で測定した粘度を、25℃、5.0rpmの条件で測定した粘度で除した値を意味する。
本発明の液晶表示素子用シール剤に導電性微粒子を配合することにより、上下導通材料を製造することができる。このような本発明の液晶表示素子用シール剤と導電性微粒子とを含有する上下導通材料もまた、本発明の1つである。
上記導電性微粒子は特に限定されず、金属ボール、樹脂微粒子の表面に導電金属層を形成したもの等を用いることができる。なかでも、樹脂微粒子の表面に導電金属層を形成したものは、樹脂微粒子の優れた弾性により、透明基板等を損傷することなく導電接続が可能であることから好適である。
本発明の液晶表示素子用シール剤又は本発明の上下導通材料を用いてなる液晶表示素子もまた、本発明の1つである。
本発明の液晶表示素子を製造する方法としては、液晶滴下工法が好適に用いられ、具体的には例えば、以下の各工程を有する方法等が挙げられる。
まず、ITO薄膜等の電極を有する2枚の透明基板の一方に、本発明の液晶表示素子用シール剤をスクリーン印刷、ディスペンサー塗布等により塗布して枠状のシールパターンを形成する工程を行う。次いで、液晶の微小滴をシールパターンの枠内全面に滴下塗布し、真空下で他方の透明基板を重ね合わせる工程を行う。その後、シールパターン部分に紫外線等の光を照射してシール剤を仮硬化させる工程、及び、仮硬化させたシール剤を加熱して本硬化させる工程を行う方法により、液晶表示素子を得ることができる。
本発明によれば、耐衝撃性、柔軟性、及び、透湿防止性に優れる液晶表示素子用シール剤を提供することができる。また、本発明によれば、該液晶表示素子用シール剤を用いてなる上下導通材料及び液晶表示素子を提供することができる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
(実施例1〜6、比較例1〜4)
表1、2に記載された配合比に従い、各材料を、遊星式撹拌機(シンキー社製、「あわとり練太郎」)を用いて混合した後、更に3本ロールを用いて混合することにより実施例1〜6、比較例1〜4の液晶表示素子用シール剤を調製した。
得られた各液晶表示素子用シール剤について、メタルハライドランプを用いて100mW/cmの紫外線(波長365nm)を30秒照射した後、120℃で1時間加熱することにより硬化物を得た。得られた硬化物について、動的粘弾性測定装置(IT計測制御社製、「DVA−200」)を用いて、試験片幅5mm、厚み0.35mm、掴み幅25mm、昇温速度10℃/分周波数5HZの条件で25℃における貯蔵弾性率を測定した。結果を表1、2に示した。
<評価>
実施例及び比較例で得られた各液晶表示素子用シール剤について以下の評価を行った。結果を表1、2に示した。
(透湿防止性)
実施例及び比較例で得られた各液晶表示素子用シール剤を、平滑な離型フィルム上にコーターを用いて塗布した。次いで、塗布したシール剤にメタルハライドランプを用いて100mW/cmの紫外線(波長365nm)を30秒照射した後、120℃で1時間加熱することによって透湿度測定用フィルム(厚さ0.7μm)を得た。JIS Z 0208の防湿包装材料の透湿度試験方法(カップ法)に準じた方法で透湿度試験用カップを作製し、得られた透湿度測定用フィルムを取り付け、60℃、90%RHの恒温恒湿オーブンに投入して透湿度を測定した。
(耐衝撃性)
実施例及び比較例で得られた各液晶表示素子用シール剤100重量部にスペーサー微粒子(積水化学工業社製、「ミクロパールSI−H050」)1重量部を分散させた。次いで、2枚のラビング済み配向膜及び透明電極付き基板(長さ75mm、幅75mm、厚み0.7mm)の一方に、表示部が45mm×55mmとなるように、スペーサー微粒子を分散させたシール剤を線幅0.7mmでディスペンサー塗布した。続いて液晶(チッソ社製、「JC−5004LA」)の微小滴をシール剤の枠内全面に滴下塗布し、すぐにもう一方の基板を貼り合わせ、シール剤部分にメタルハライドランプを用いて100mW/cmの紫外線(波長365nm)を30秒照射した後、120℃で1時間加熱することにより、液晶表示素子を得た。実施例及び比較例で得られた各液晶表示素子用シール剤について、液晶表示素子をそれぞれ10セルずつ作製した。
得られた各液晶表示素子について、2mの高さから落下させる落下試験を行った。落下試験後、全てのセルに剥がれや割れによる液晶漏れがなかった場合を「◎」、1セル以上4セル未満の液晶表示素子に液晶漏れがあった場合を「○」、4セル以上7セル未満の液晶表示素子に液晶漏れがあった場合を「△」、7セル以上の液晶表示素子に液晶漏れがあった場合を「×」として耐衝撃性を評価した。
Figure 2018207730
Figure 2018207730
本発明によれば、耐衝撃性、柔軟性、及び、透湿防止性に優れる液晶表示素子用シール剤を提供することができる。また、本発明によれば、該液晶表示素子用シール剤を用いてなる上下導通材料及び液晶表示素子を提供することができる。
本発明は、硬化性樹脂と、重合開始剤及び/又は熱硬化剤と、疎水性基を表面に有する無機フィラーとを含有し、前記疎水性基を表面に有する無機フィラーの含有割合が15重量%以上であり、上記硬化性樹脂は、重合性官能基と柔軟骨格とを有する化合物を含み、上記硬化性樹脂全体100重量部中における上記重合性官能基と柔軟骨格とを有する化合物の含有量が30重量部以上90重量部以下であり、硬化物の25℃における貯蔵弾性率が2.0GPa以下である液晶表示素子用シール剤である。
以下に本発明を詳述する。
本発明は、硬化性樹脂と、重合開始剤及び/又は熱硬化剤と、疎水性基を表面に有する無機フィラーとを含有し、前記疎水性基を表面に有する無機フィラーの含有割合が15重量%以上であり、上記硬化性樹脂は、重合性官能基と柔軟骨格とを有する化合物を含み、上記柔軟骨格は、環状ラクトンの開環構造を有し、上記硬化性樹脂全体100重量部中における上記重合性官能基と柔軟骨格とを有する化合物の含有量が30重量部以上90重量部以下であり、硬化物の25℃における貯蔵弾性率が2.0GPa以下である液晶表示素子用シール剤である。
以下に本発明を詳述する。

Claims (4)

  1. 硬化性樹脂と、重合開始剤及び/又は熱硬化剤と、疎水性基を表面に有する無機フィラーとを含有し、
    前記疎水性基を表面に有する無機フィラーの含有割合が15重量%以上であり、
    硬化物の25℃における貯蔵弾性率が2.0GPa以下である
    ことを特徴とする液晶表示素子用シール剤。
  2. JIS Z 0208に準拠して測定される、厚さ0.7μmの硬化物の60℃、90%RHの環境下における透湿度が25g/m・24hr以下である請求項1記載の液晶表示素子用シール剤。
  3. 請求項1又は2記載の液晶表示素子用シール剤と導電性微粒子とを含有する上下導通材料。
  4. 請求項1若しくは2記載の液晶表示素子用シール剤又は請求項3記載の上下導通材料を用いてなる液晶表示素子。
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