本発明を具体的に説明する前に、本明細書で使用するいくつかの用語を定義又は説明する。
本明細書において、フッ素樹脂とは、部分結晶性フルオロポリマーであり、フルオロプラスチックスである。フッ素樹脂は、融点を有し、熱可塑性を有するが、溶融加工性であっても、非溶融加工性であってもよい。
本明細書において、溶融加工性とは、押出機および射出成形機などの従来の加工機器を用いて、ポリマーを溶融して加工することが可能であることを意味する。従って、溶融加工性のフッ素樹脂は、後述する測定方法により測定されるメルトフローレートが0.01〜500g/10分であることが通常である。
本明細書において、フッ素ゴムとは、非晶質フルオロポリマーである。「非晶質」とは、フルオロポリマーの示差走査熱量測定〔DSC〕(昇温温度10℃/分)あるいは示差熱分析〔DTA〕(昇温速度10℃/分)において現われた融解ピーク(ΔH)の大きさが4.5J/g以下であることをいう。フッ素ゴムは、架橋することにより、エラストマー特性を示す。エラストマー特性とは、ポリマーを延伸することができ、ポリマーを延伸するのに必要とされる力がもはや適用されなくなったときに、その元の長さを保持できる特性を意味する。
本明細書において、部分フッ素化ゴムとは、フルオロモノマー単位を含み、全重合単位に対するパーフルオロモノマー単位の含有量が90モル%未満のフルオロポリマーであって、20℃以下のガラス転移温度を有し、4.5J/g以下の融解ピーク(ΔH)の大きさを有するフルオロポリマーである。
本明細書において、パーフルオロゴムとは、全重合単位に対するパーフルオロモノマー単位の含有量が90モル%以上のフルオロポリマーであって、20℃以下のガラス転移温度を有し、4.5J/g以下の融解ピーク(ΔH)の大きさを有するフルオロポリマーであり、更に、フルオロポリマーに含まれるフッ素原子の濃度が71質量%以上であるポリマーである。本明細書において、フルオロポリマーに含まれるフッ素原子の濃度は、フルオロポリマーを構成する各モノマーの種類と含有量より、フルオロポリマーに含まれるフッ素原子の濃度(質量%)を計算により求めるものである。
本明細書において、パーフルオロモノマーとは、分子中に炭素原子−水素原子結合を含まないモノマーである。上記パーフルオロモノマーは、炭素原子及びフッ素原子の他、炭素原子に結合しているフッ素原子のいくつかが塩素原子で置換されたモノマーであってもよく、炭素原子の他、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、燐原子、硼素原子又は珪素原子を有するものであってもよい。上記パーフルオロモノマーとしては、全ての水素原子がフッ素原子に置換されたモノマーであることが好ましい。上記パーフルオロモノマーには、架橋部位を与えるモノマーは含まれない。
架橋部位を与えるモノマーとは、硬化剤により架橋を形成するための架橋部位をフルオロポリマーに与える架橋性基を有するモノマー(キュアサイトモノマー)である。
本明細書において、ポリテトラフルオロエチレン〔PTFE〕は、全重合単位に対するテトラフルオロエチレンの含有量が99モル%以上であるフルオロポリマーであることが好ましい。
本明細書において、フッ素樹脂(但し、ポリテトラフルオロエチレンを除く)及びフッ素ゴムは、いずれも、全重合単位に対するテトラフルオロエチレンの含有量が99モル%未満であるフルオロポリマーであることが好ましい。
本明細書において、フルオロポリマーを構成する各モノマーの含有量は、NMR、FT−IR、元素分析、蛍光X線分析をモノマーの種類によって適宜組み合わせることで算出できる。
本明細書において、「有機基」は、1個以上の炭素原子を含有する基、又は有機化合物から1個の水素原子を除去して形成される基を意味する。
当該「有機基」の例は、
1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアルケニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアルキニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルケニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルカジエニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、
1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよい非芳香族複素環基、
1個以上の置換基を有していてもよいヘテロアリール基、
シアノ基、
ホルミル基、
RaO−、
RaCO−、
RaSO2−、
RaCOO−、
RaNRaCO−、
RaCONRa−、
RaOCO−、
RaOSO2−、及び、
RaNRbSO2−
(これらの式中、Raは、独立して、
1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアルケニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアルキニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルケニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルカジエニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、
1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよい非芳香族複素環基、又は
1個以上の置換基を有していてもよいヘテロアリール基、
Rbは、独立して、H又は1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基である)
を包含する。
上記有機基としては、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基が好ましい。
また、本明細書において、「置換基」は、置換可能な基を意味する。当該「置換基」の例は、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、脂肪族オキシ基、芳香族オキシ基、ヘテロ環オキシ基、脂肪族オキシカルボニル基、芳香族オキシカルボニル基、ヘテロ環オキシカルボニル基、カルバモイル基、脂肪族スルホニル基、芳香族スルホニル基、ヘテロ環スルホニル基、脂肪族スルホニルオキシ基、芳香族スルホニルオキシ基、ヘテロ環スルホニルオキシ基、スルファモイル基、脂肪族スルホンアミド基、芳香族スルホンアミド基、ヘテロ環スルホンアミド基、アミノ基、脂肪族アミノ基、芳香族アミノ基、ヘテロ環アミノ基、脂肪族オキシカルボニルアミノ基、芳香族オキシカルボニルアミノ基、ヘテロ環オキシカルボニルアミノ基、脂肪族スルフィニル基、芳香族スルフィニル基、脂肪族チオ基、芳香族チオ基、ヒドロキシ基、シアノ基、スルホ基、カルボキシ基、脂肪族オキシアミノ基、芳香族オキシアミノ基、カルバモイルアミノ基、スルファモイルアミノ基、ハロゲン原子、スルファモイルカルバモイル基、カルバモイルスルファモイル基、ジ脂肪族オキシホスフィニル基、及び、ジ芳香族オキシホスフィニル基を包含する。
本明細書においては更に、端点によって表わされる範囲には、その範囲内に含まれるすべての数値が含まれる(例えば、1〜10には、1.4、1.9、2.33、5.75、9.98などが含まれる)。
本明細書においては更に、「少なくとも1」の記載には、1以上の全ての数値が含まれる(例えば、少なくとも2、少なくとも4、少なくとも6、少なくとも8、少なくとも10、少なくとも25、少なくとも50、少なくとも100など)。
次に、本発明を具体的に説明する。
本発明の製造方法は、界面活性剤の存在下に、水性媒体中でフルオロモノマーの重合を行うことによりフルオロポリマーを得る工程を含むフルオロポリマーの製造方法であり、上記界面活性剤として、下記式(a):
(式中、R
1aは、炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は炭素数3以上の環状のアルキル基であり、炭素原子に結合した水素原子がヒドロキシ基又はエステル結合を含む1価の有機基により置換されていてもよく、炭素数が2以上の場合はカルボニル基を含んでもよく、炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含んでも環を形成していてもよい。R
2a及びR
3aは、独立に、単結合又は2価の連結基である。R
1a、R
2a及びR
3aは、炭素数が合計で6以上である。X
aは、H、金属原子、NR
4a 4、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R
4aはH又は有機基であり、同一でも異なっていてもよい。R
1a、R
2a及びR
3aは、いずれか2つがお互いに結合して、環を形成してもよい。)で示される界面活性剤(a)、及び、下記式(b):
(式中、R
1bは、置換基を有してもよい炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は置換基を有してもよい炭素数3以上の環状のアルキル基であり、炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含んでも環を形成していてもよい。R
2b及びR
4bは、独立に、H又は置換基である。R
3bは、置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキレン基である。nは、1以上の整数である。p及びqは、独立に、0以上の整数である。X
bは、H、金属原子、NR
5b 4、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R
5bはH又は有機基であり、同一でも異なっていてもよい。R
1b、R
2b、R
3b及びR
4bは、いずれか2つがお互いに結合して、環を形成してもよい。Lは、単結合、−CO
2−B−*、−OCO−B−*、−CONR
6b−B−*、−NR
6bCO−B−*、又は、−CO−(但し、−CO
2−B−、−OCO−B−、−CONR
6b−B−、−NR
6CO−B−に含まれるカルボニル基を除く。)であり、Bは単結合もしくは置換基を有してもよい炭素数1から10のアルキレン基であり、R
6bは、H又は置換基を有していてもよい、炭素数1〜4のアルキル基である。*は、式中の−OSO
3X
bに結合する側を指す。)で示される界面活性剤(b)からなる群より選択される少なくとも1種(以下、界面活性剤(1)ともいう)を用いるところに特徴がある。
界面活性剤(a)について説明する。
式(a)中、R1aは、炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は炭素数3以上の環状のアルキル基である。
上記アルキル基は、炭素数が3以上の場合、2つの炭素原子間にカルボニル基(−C(=O)−)を含んでもよい。また、上記アルキル基は、炭素数が2以上の場合、上記アルキル基の末端に上記カルボニル基を含むこともできる。すなわち、CH3−C(=O)−で示されるアセチル基等のアシル基も、上記アルキル基に含まれる。
また、上記アルキル基は、炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含むこともできるし、環を形成することもできる。上記複素環としては、不飽和複素環が好ましく、含酸素不飽和複素環がより好ましく、例えば、フラン環等が挙げられる。R1aにおいて、2価の複素環が2つの炭素原子間に挿入されていてもよいし、2価の複素環が末端に位置して−C(=O)−と結合してもよいし、1価の複素環が上記アルキル基の末端に位置してもよい。
なお、本明細書において、上記アルキル基の「炭素数」には、カルボニル基を構成する炭素原子の数及び上記複素環を構成する炭素原子の数も含めるものとする。例えば、CH3−C(=O)−CH2−で示される基は炭素数が3であり、CH3−C(=O)−C2H4−C(=O)−C2H4−で示される基は炭素数が7であり、CH3−C(=O)−で示される基は炭素数が2である。
上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子が官能基により置換されていてもよく、例えば、ヒドロキシ基(−OH)又はエステル結合を含む1価の有機基により置換されていてもよいが、如何なる官能基によっても置換されていないことが好ましい。
上記エステル結合を含む1価の有機基としては、式:−O−C(=O)−R101a(式中、R101aはアルキル基)で示される基が挙げられる。
上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
式中、R2a及びR3aは、独立に、単結合又は2価の連結基である。
R2a及びR3aは、独立に、単結合又は炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基又は炭素数3以上の環状のアルキレン基であることが好ましい。
R2a及びR3aを構成する上記アルキレン基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。
上記アルキレン基は、炭素原子に結合した水素原子が官能基により置換されていてもよく、例えば、ヒドロキシ基(−OH)又はエステル結合を含む1価の有機基により置換されていてもよいが、如何なる官能基によっても置換されていないことが好ましい。
上記エステル結合を含む1価の有機基としては、式:−O−C(=O)−R102a(式中、R102aはアルキル基)で示される基が挙げられる。
上記アルキレン基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキレン基であることが好ましい。
R1a、R2a及びR3aは、炭素数が合計で6以上である。合計の炭素数としては、8以上が好ましく、9以上がより好ましく、10以上が更に好ましく、20以下が好ましく、18以下がより好ましく、15以下が更に好ましい。
R1a、R2a及びR3aは、いずれか2つがお互いに結合して、環を形成してもよい。
式(a)中、Xaは、H、金属原子、NR4a 4、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R4aはH又は有機基である。4つのR4aは、同一でも異なっていてもよい。R4aとしては、H又は炭素数1〜10の有機基が好ましく、H又は炭素数1〜4の有機基がより好ましい。上記金属原子としては、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)等が挙げられ、Na、K又はLiが好ましい。
Xaとしては、H、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)又はNR4a 4が好ましく、水に溶解しやすいことから、H、Na、K、Li又はNH4がより好ましく、水に更に溶解しやすいことから、Na、K又はNH4が更に好ましく、Na又はNH4が特に好ましく、除去が容易であることから、NH4が最も好ましい。XaがNH4であると、上記界面活性剤の水性媒体への溶解性が優れるとともに、フルオロポリマー中又は最終製品中に金属成分が残留しにくい。
R1aとしては、カルボニル基を含まない炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、カルボニル基を含まない炭素数3〜8の環状のアルキル基、1〜10個のカルボニル基を含む炭素数2〜45の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、カルボニル基を含む炭素数3〜45の環状のアルキル基、又は、炭素数が3〜45の1価又は2価の複素環を含むアルキル基が好ましい。
また、R
1aとしては、下記式:
(式中、n
11aは0〜10の整数であり、R
11aは炭素数1〜5の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は炭素数3〜5の環状のアルキル基であり、R
12aは炭素数0〜3のアルキレン基である。n
11aが2〜10の整数である場合、R
12aは各々同じであっても異なっていてもよい。)で示される基がより好ましい。
n11aとしては、0〜5の整数が好ましく、0〜3の整数がより好ましく、1〜3の整数が更に好ましい。
R11aとしての上記アルキル基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。
R11aとしての上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子が官能基により置換されていてもよく、例えば、ヒドロキシ基(−OH)又はエステル結合を含む1価の有機基により置換されていてもよいが、如何なる官能基によっても置換されていないことが好ましい。
上記エステル結合を含む1価の有機基としては、式:−O−C(=O)−R103a(式中、R103aはアルキル基)で示される基が挙げられる。
R11aとしての上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
R12aは炭素数0〜3のアルキレン基である。上記炭素数は1〜3が好ましい。
R12aとしての上記アルキレン基は、直鎖状又は分岐鎖状であってよい。
R12aとしての上記アルキレン基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。R12aとしては、エチレン基(−C2H4−)又はプロピレン基(−C3H6−)がより好ましい。
R12aとしての上記アルキレン基は、炭素原子に結合した水素原子が官能基により置換されていてもよく、例えば、ヒドロキシ基(−OH)又はエステル結合を含む1価の有機基により置換されていてもよいが、如何なる官能基によっても置換されていないことが好ましい。
上記エステル結合を含む1価の有機基としては、式:−O−C(=O)−R104a(式中、R104aはアルキル基)で示される基が挙げられる。
R12aとしての上記アルキレン基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキレン基であることが好ましい。
R2a及びR3aとしては、独立に、カルボニル基を含まない炭素数1以上のアルキレン基が好ましく、カルボニル基を含まない炭素数1〜3のアルキレン基がより好ましく、エチレン基(−C2H4−)又はプロピレン基(−C3H6−)が更に好ましい。
次に界面活性剤(b)について説明する。
式(b)中、R1bは、置換基を有してもよい炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は置換基を有してもよい炭素数3以上の環状のアルキル基である。
上記アルキル基は、炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含むこともできるし、環を形成することもできる。上記複素環としては、不飽和複素環が好ましく、含酸素不飽和複素環がより好ましく、例えば、フラン環等が挙げられる。R1bにおいて、2価の複素環が2つの炭素原子間に挿入されていてもよいし、2価の複素環が末端に位置して−C(=O)−と結合してもよいし、1価の複素環が上記アルキル基の末端に位置してもよい。
なお、本明細書において、上記アルキル基の「炭素数」には、上記複素環を構成する炭素原子の数も含めるものとする。
R1bとしての上記アルキル基が有してもよい上記置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は炭素数3〜10の環状のアルキル基、ヒドロキシ基が好ましく、メチル基、エチル基が特に好ましい。
R1bとしての上記アルキル基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。
上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
上記アルキル基は、如何なる置換基も有していないことが好ましい。
R1bとしては、置換基を有してもよい炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は置換基を有してもよい炭素数3〜10の環状のアルキル基が好ましく、カルボニル基を含まない炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又はカルボニル基を含まない炭素数3〜10の環状のアルキル基がより好ましく、置換基を有さない炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が更に好ましく、置換基を有さない炭素数1〜3の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が更により好ましく、メチル基(−CH3)又はエチル基(−C2H5)が特に好ましく、メチル基(−CH3)が最も好ましい。
式(b)中、R2b及びR4bは、独立に、H又は置換基である。複数個のR2b及びR4bは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
R2b及びR4bとしての上記置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は炭素数3〜10の環状のアルキル基、ヒドロキシ基が好ましく、メチル基、エチル基が特に好ましい。
R2b及びR4bとしての上記アルキル基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。
上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
上記アルキル基は、如何なる置換基も有していないことが好ましい。
R2b及びR4bとしての上記アルキル基としては、カルボニル基を含まない炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又はカルボニル基を含まない炭素数3〜10の環状のアルキル基が好ましく、カルボニル基を含まない炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基がより好ましく、置換基を有さない炭素数1〜3の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が更に好ましく、メチル基(−CH3)又はエチル基(−C2H5)が特に好ましい。
R2b及びR4bとしては、独立に、H又はカルボニル基を含まない炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基が好ましく、H又は置換基を有さない炭素数1〜3の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基がより好ましく、H、メチル基(−CH3)又はエチル基(−C2H5)が更により好ましく、Hが特に好ましい。
式(b)中、R3bは、置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキレン基である。R3bは、複数個存在する場合、同一でも異なっていてもよい。
上記アルキレン基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。
上記アルキレン基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
上記アルキレン基は、如何なる置換基も有していないことが好ましい。
上記アルキレン基としては、置換基を有してもよい炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基又は置換基を有してもよい炭素数3〜10の環状のアルキレン基が好ましく、カルボニル基を含まない炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基又はカルボニル基を含まない炭素数3〜10の環状のアルキレン基が好ましく、置換基を有さない炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基がより好ましく、メチレン基(−CH2−)、エチレン基(−C2H4−)、イソプロピレン基(−CH(CH3)CH2−)又はプロピレン基(−C3H6−)が更に好ましい。
R1b、R2b、R3b及びR4bは、いずれか2つがお互いに結合して、環を形成してもよいが、環を形成していないことが好ましい。
式(b)中、nは、1以上の整数である。nとしては、1〜40の整数が好ましく、1〜30の整数がより好ましく、5〜25の整数が更に好ましく、5〜9、11〜25の整数が特に好ましい。
式(b)中、p及びqは、独立に、0以上の整数である。pとしては、0〜10の整数が好ましく、0又は1がより好ましい。qとしては、0〜10の整数が好ましく、0〜5の整数がより好ましい。
n、p及びqは、合計が5以上の整数であることが好ましい。n、p及びqの合計は8以上の整数であることがより好ましい。n、p及びqの合計はまた、60以下の整数であることが好ましく、50以下の整数であることがより好ましく、40以下の整数であることが更に好ましい。
式(b)中、Xbは、H、金属原子、NR5b 4、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R5bはH又は有機基である。4つのR5bは、同一でも異なっていてもよい。R5bとしては、H又は炭素数1〜10の有機基が好ましく、H又は炭素数1〜4の有機基がより好ましい。上記金属原子としては、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)等が挙げられ、Na、K又はLiが好ましい。Xbは金属原子又はNR5b 4(R5bは上記のとおり)であってよい。
Xbとしては、H、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)又はNR5b 4が好ましく、水に溶解しやすいことから、H、Na、K、Li又はNH4がより好ましく、水に更に溶解しやすいことから、Na、K又はNH4が更に好ましく、Na又はNH4が特に好ましく、除去が容易であることから、NH4が最も好ましい。XbがNH4であると、上記界面活性剤の水性媒体への溶解性が優れるとともに、フルオロポリマー中又は最終製品中に金属成分が残留しにくい。
式(b)中、Lは、単結合、−CO2−B−*、−OCO−B−*、−CONR6b−B−*、−NR6bCO−B−*、又は、−CO−(但し、−CO2−B−、−OCO−B−、−CONR6b−B−、−NR6CO−B−に含まれるカルボニル基を除く。)であり、Bは単結合もしくは置換基を有してもよい炭素数1から10のアルキレン基であり、R6bは、H又は置換基を有していてもよい、炭素数1〜4のアルキル基である。上記アルキレン基は、炭素数が1〜5であることがより好ましい。また、上記R6は、H又はメチル基であることがより好ましい。*は、式中の−OSO3Xbに結合する側を指す。
Lは単結合であることが好ましい。
界面活性剤(b)としては、下記式:
(式中、R
1b、R
2b、L、n及びX
bは、上記のとおり。)で示される化合物が好ましい。
上記界面活性剤は、1H−NMRスペクトルにおいて、ケミカルシフト2.0〜5.0ppmの領域に観測される全ピーク強度の積分値が10%以上であることが好ましい。
上記界面活性剤は、1H−NMRスペクトルにおいて、ケミカルシフト2.0〜5.0ppmの領域に観測される全ピーク強度の積分値が上記範囲内にあることが好ましい。この場合、上記界面活性剤は分子中にケトン構造を有することが好ましい。
上記界面活性剤において、上記積分値は、15以上がより好ましく、95以下が好ましく、80以下がより好ましく、70以下が更に好ましい
上記積分値は、重水溶媒にて室温下に測定する。重水を4.79ppmとする。
界面活性剤(a)としては、次の界面活性剤が例示できる。各式中、Xaは上述のとおりである。
界面活性剤(a)は、新規化合物であり、例えば、次に例示する製造方法により製造することができる。
界面活性剤(a)は、式:
(式中、R
3aは上述のとおり、E
aは脱離基である。)で示される化合物(10a)と、リチウム、及び、式:R
201a 3Si−Cl(式中、R
201aは、独立に、アルキル基又はアリール基である。)で示されるクロロシラン化合物とを反応させて、式:
(式中、R
3a、R
201a及びE
aは上述のとおりである。)で示される化合物(11a)を得る工程(11a)、
化合物(11a)と、式:
(式中、R
1aは上述のとおり、R
21aは単結合又は2価の連結基である。)で示されるオレフィンとを反応させて、式:
(式中、R
1a、R
21a、R
3a及びE
aは上述のとおりである。)で示される化合物(12a)を得る工程(12a)、
化合物(12a)が有する脱離基を脱離させて、式:
(式中、R
1a、R
21a及びR
3aは上述のとおりである。)で示される化合物(13a)を得る工程(13a)、及び、
化合物(13a)と、式:
(式中、X
aは、上述したとおりである。)で示される塩化スルホン酸とを反応させて、式:
(式中、R
1a、R
21a、R
3a及びX
aは上述のとおりである。)で示される化合物(14a)を得る工程(14a)を含む製造方法により製造できる。
R1aにフラン環を含む場合は、例えば酸によりフラン環を開環しジカルボニル誘導体に変換してもよい。酸としては酢酸、塩酸、p−トルエンスルホン等があげられ、中でも酢酸が好ましい。
工程(11a)では、リチウム及び上記クロロシラン化合物を予め反応させて、シロキシリチウム化合物を得た後、上記シロキシリチウム化合物と化合物(10a)とを反応させて、化合物(11a)を得ることが好ましい。
Eaは脱離基を表す。上記脱離基としては、tert−ブチルジメチルシリル(TBS)基、トリエチルシリル(TES)基、トリイソプロピルシリル(TIPS)基、tert−ブチルジフェニルシリル(TBDPS)基、ベンジル(Bn)基等が挙げられる。
R21aとしては、単結合又は炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基が好ましい。
上記クロロシラン化合物としては、例えば、
が挙げられる。
工程(11a)におけるいずれの反応も、溶媒中で実施することができる。上記溶媒としては、有機溶媒が好ましく、非プロトン性極性溶媒がより好ましく、エーテルが更に好ましい。上記エーテルとしては、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、モノグライム(エチレングリコールジメチルエーテル)、ジグライム(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、トリグライム(トリエチレングリコールジメチルエーテル)、テトラヒドロフラン、テトラグライム(テトラエチレングリコールジメチルエーテル)、クラウンエーテル(15−クラウン−5,18−クラウン−6)等が挙げられ、なかでも、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルが好ましい。
工程(11a)におけるリチウム及び上記クロロシラン化合物の反応の温度としては、10〜40℃が好ましく、20〜30℃がより好ましい。
工程(11a)における上記シロキシリチウム化合物と化合物(10a)との反応の温度としては、−100〜0℃が好ましく、−80〜−50℃がより好ましい。
工程(11a)におけるリチウム及び上記クロロシラン化合物の反応の圧力としては、0.1〜5MPaが好ましく、0.1〜1MPaがより好ましい。
工程(11a)における上記シロキシリチウム化合物と化合物(10a)との反応の圧力としては、0.1〜5MPaが好ましく、0.1〜1MPaがより好ましい。
工程(11a)におけるリチウム及び上記クロロシラン化合物の反応の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、6〜10時間がより好ましい。
工程(11a)における上記シロキシリチウム化合物と化合物(10a)との反応の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、1〜2時間がより好ましい。
工程(12a)において、化合物(11a)と上記オレフィンとの反応割合としては、収率の向上及び廃棄物の減少を考慮して、化合物(11a)1モルに対して、上記オレフィンが1〜2モルであることが好ましく、1〜1.1モルがより好ましい。
工程(12a)における反応は、チアゾリウム塩及び塩基の存在下、溶媒中で実施できる。
上記チアゾリウム塩としては、3−エチル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウムブロミド、3−ベンジル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウムクロリド等が挙げられる。
上記塩基としては、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、トリエチルアミン等が挙げられる。
上記溶媒としては、有機溶媒が好ましく、非プロトン性極性溶媒がより好ましく、アルコール、エーテルが更に好ましい。
上記アルコールとしては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール等が挙げられる。
上記エーテルとしては、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、モノグライム(エチレングリコールジメチルエーテル)、ジグライム(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、トリグライム(トリエチレングリコールジメチルエーテル)、テトラヒドロフラン、テトラグライム(テトラエチレングリコールジメチルエーテル)、クラウンエーテル(15−クラウン−5,18−クラウン−6)等が挙げられ、なかでも、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルが好ましい。
工程(12a)における反応の温度としては、40〜60℃が好ましく、50〜55℃がより好ましい。
工程(12a)における反応の圧力としては、0.1〜5MPaが好ましく、0.1〜1MPaがより好ましい。
工程(12a)における反応の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、6〜10時間がより好ましい。
工程(13a)における脱離基の脱離反応は、フッ化物イオンや酸を使用することにより、実施できる。脱離基の脱離させる方法としては、例えば、フッ酸を用いる方法、ピリジン・nHFやトリエチルアミン・nHFのようなフッ化水素のアミン錯体を用いる方法、フッ化セシウム、フッ化カリウム、ホウフッ化リチウム(LiBF4)、フッ化アンモニウムのような無機塩を用いる方法、テトラブチルアンモニウムフルオリド(TBAF)のような有機塩を用いる方法が挙げられる。
工程(13a)における脱離基の脱離反応は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、有機溶媒が好ましく、非プロトン性極性溶媒がより好ましく、エーテルが更に好ましい。
上記エーテルとしては、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、モノグライム(エチレングリコールジメチルエーテル)、ジグライム(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、トリグライム(トリエチレングリコールジメチルエーテル)、テトラヒドロフラン、テトラグライム(テトラエチレングリコールジメチルエーテル)、クラウンエーテル(15−クラウン−5,18−クラウン−6)等が挙げられ、なかでも、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルが好ましい。
工程(13a)における反応の温度としては、0〜40℃が好ましく、0〜20℃がより好ましい。
工程(13a)における反応の圧力としては、0.1〜5MPaが好ましく、0.1〜1MPaがより好ましい。
工程(13a)における反応の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、3〜8時間がより好ましい。
工程(14a)において、化合物(13a)と上記塩化スルホン酸との反応割合としては、収率の向上及び廃棄物の減少を考慮して、化合物(13a)1モルに対して、上記塩化スルホン酸が1〜2モルであることが好ましく、1〜1.1モルがより好ましい。
工程(14a)における反応は、塩基の存在下に実施することが好ましい。上記塩基としては、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アミン等があげられ、なかでも、アミンが好ましい。
工程(14a)における上記アミンとしては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、ジメチルベンジルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,8−ナフタレンジアミン等の三級アミン、ピリジン、ピロール、ウラシル、コリジン、ルチジン等の複素芳香族アミン、1,8−ジアザ−ビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザ−ビシクロ[4.3.0]−5−ノネン等の環状アミン等が挙げられる。なかでも、トリエチルアミン、ピリジンが好ましい。
工程(14a)における上記塩基の使用量は、収率の向上及び廃棄物の減少を考慮して、化合物(13a)1モルに対して、1〜2モルが好ましく、1〜1.1モルがより好ましい。
工程(14a)における反応は、極性溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、有機溶媒が好ましく、非プロトン性極性溶媒がより好ましく、エーテルが更に好ましい。
上記エーテルとしては、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、モノグライム(エチレングリコールジメチルエーテル)、ジグライム(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、トリグライム(トリエチレングリコールジメチルエーテル)、テトラヒドロフラン、テトラグライム(テトラエチレングリコールジメチルエーテル)、クラウンエーテル(15−クラウン−5,18−クラウン−6)等が挙げられ、なかでも、ジエチルエーテルが好ましい。
工程(14a)における反応の温度としては、0〜40℃が好ましく、0〜20℃がより好ましい。
工程(14a)における反応の圧力としては、0.1〜5MPaが好ましく、0.1〜1MPaがより好ましい。
工程(14a)における反応の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、3〜12時間がより好ましい。
工程(14a)における反応を溶媒中で実施すると、上記反応の終了後に化合物(14a)を含む溶液が得られる。上記溶液に水を加えた後、静置して2相に分離させ、水相を回収し、溶媒を留去することにより、高純度の化合物(14a)を回収してもよい。化合物(14a)が−OSO3Hで示される基を有する場合は(すなわちXがHである場合は)、水に代えて、炭酸水素ナトリウム水溶液やアンモニア水等のアルカリ水溶液を使用することにより、−OSO3Hを硫酸塩基に変換することも可能である。
各工程の終了後、溶媒を留去したり、蒸留、精製等を実施したりして、得られる化合物の純度を高めてもよい。
界面活性剤(a)は、また、式:
(式中、R
3aは上述のとおり、R
22aは1価の有機基、E
aは脱離基である。)で示されるケトンと、式:
(式中、R
1aは上述のとおり、R
23aは1価の有機基である。)で示されるカルボン酸エステルとを反応させて、式:
(式中、R
1a、R
3a及びE
aは上述のとおり、R
24aは単結合又は2価の連結基である。)で示される化合物(21a)を得る工程(21a)、
化合物(21a)が有する脱離基を脱離させて、式:
(式中、R
1a、R
24a及びR
3aは上述のとおりである。)で示される化合物(22a)を得る工程(22a)、及び、
化合物(22a)と、式:
(式中、X
aは、上述したとおりである。)で示される塩化スルホン酸とを反応させて、式:
(式中、R
1a、R
24a、R
3a及びX
aは上述のとおりである。)で示される化合物(23a)を得る工程(23a)を含む製造方法により製造できる。
R1aにフラン環を含む場合は、例えば酸によりフラン環を開環しジカルボニル誘導体に変換してもよい。酸としては酢酸、塩酸、p−トルエンスルホン等があげられ、中でも酢酸が好ましい。
Eaは脱離基を表す。上記脱離基としては、tert−ブチルジメチルシリル(TBS)基、トリエチルシリル(TES)基、トリイソプロピルシリル(TIPS)基、tert−ブチルジフェニルシリル(TBDPS)基、ベンジル(Bn)基等が挙げられる。
R22aとしては、炭素数1以上の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
R23aとしては、炭素数1以上の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
R24aとしては、炭素数1以上の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、メチレン基(−CH2−)がより好ましい。
工程(21a)における反応は、塩基の存在下、溶媒中で実施できる。
上記塩基としては、ナトリウムアミド、水素化ナトリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等が挙げられる。
上記溶媒としては、有機溶媒が好ましく、非プロトン性極性溶媒がより好ましく、アルコール、エーテルが更に好ましい。
上記アルコールとしては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール等が挙げられる。
上記エーテルとしては、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、モノグライム(エチレングリコールジメチルエーテル)、ジグライム(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、トリグライム(トリエチレングリコールジメチルエーテル)、テトラヒドロフラン、テトラグライム(テトラエチレングリコールジメチルエーテル)、クラウンエーテル(15−クラウン−5,18−クラウン−6)等が挙げられ、なかでも、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルが好ましい。
工程(21a)における反応の温度としては、0〜40℃が好ましく、0〜20℃がより好ましい。
工程(21a)における反応の圧力としては、0.1〜5MPaが好ましく、0.1〜1MPaがより好ましい。
工程(21a)における反応の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、3〜8時間がより好ましい。
工程(22a)における脱離基の脱離反応は、フッ化物イオンや酸を使用することにより、実施できる。脱離基の脱離させる方法としては、例えば、フッ酸を用いる方法、ピリジン・nHFやトリエチルアミン・nHFのようなフッ化水素のアミン錯体を用いる方法、フッ化セシウム、フッ化カリウム、ホウフッ化リチウム(LiBF4)、フッ化アンモニウムのような無機塩を用いる方法、テトラブチルアンモニウムフルオリド(TBAF)のような有機塩を用いる方法が挙げられる。
工程(22a)における脱離基の脱離反応は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、有機溶媒が好ましく、非プロトン性極性溶媒がより好ましく、エーテルが更に好ましい。
上記エーテルとしては、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、モノグライム(エチレングリコールジメチルエーテル)、ジグライム(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、トリグライム(トリエチレングリコールジメチルエーテル)、テトラヒドロフラン、テトラグライム(テトラエチレングリコールジメチルエーテル)、クラウンエーテル(15−クラウン−5,18−クラウン−6)等が挙げられ、なかでも、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルが好ましい。
工程(22a)における反応の温度としては、0〜40℃が好ましく、0〜20℃がより好ましい。
工程(22a)における反応の圧力としては、0.1〜5MPaが好ましく、0.1〜1MPaがより好ましい。
工程(22a)における反応の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、3〜8時間がより好ましい。
工程(23a)において、化合物(22a)と上記塩化スルホン酸との反応割合としては、収率の向上及び廃棄物の減少を考慮して、化合物(22a)1モルに対して、上記塩化スルホン酸が1〜2モルであることが好ましく、1〜1.1モルがより好ましい。
工程(23a)における反応は、塩基の存在下に実施することが好ましい。上記塩基としては、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アミン等があげられ、なかでも、アミンが好ましい。
工程(23a)における上記アミンとしては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、ジメチルベンジルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,8−ナフタレンジアミン等の三級アミン、ピリジン、ピロール、ウラシル、コリジン、ルチジン等の複素芳香族アミン、1,8−ジアザ−ビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザ−ビシクロ[4.3.0]−5−ノネン等の環状アミン等が挙げられる。なかでも、トリエチルアミン、ピリジンが好ましい。
工程(23a)における上記塩基の使用量は、収率の向上及び廃棄物の減少を考慮して、化合物(22a)1モルに対して、1〜2モルが好ましく、1〜1.1モルがより好ましい。
工程(23a)における反応は、極性溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、有機溶媒が好ましく、非プロトン性極性溶媒がより好ましく、エーテルが更に好ましい。
上記エーテルとしては、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、モノグライム(エチレングリコールジメチルエーテル)、ジグライム(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、トリグライム(トリエチレングリコールジメチルエーテル)、テトラヒドロフラン、テトラグライム(テトラエチレングリコールジメチルエーテル)、クラウンエーテル(15−クラウン−5,18−クラウン−6)等が挙げられ、なかでも、ジエチルエーテルが好ましい。
工程(23a)における反応の温度としては、0〜40℃が好ましく、0〜20℃がより好ましい。
工程(23a)における反応の圧力としては、0.1〜5MPaが好ましく、0.1〜1MPaがより好ましい。
工程(23a)における反応の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、3〜12時間がより好ましい。
工程(23a)における反応を溶媒中で実施すると、上記反応の終了後に化合物(23a)を含む溶液が得られる。上記溶液に水を加えた後、静置して2相に分離させ、水相を回収し、溶媒を留去することにより、高純度の化合物(23a)を回収してもよい。化合物(23a)が−OSO3Hで示される基を有する場合は(すなわちXがHである場合は)、水に代えて、炭酸水素ナトリウム水溶液やアンモニア水等のアルカリ水溶液を使用することにより、−OSO3Hを硫酸塩基に変換することも可能である。
各工程の終了後、溶媒を留去したり、蒸留、精製等を実施したりして、得られる化合物の純度を高めてもよい。
界面活性剤(a)は、また、式:Y
a−R
3a−OE
a
(式中、R
3aは上述のとおり、Y
aはハロゲン原子、E
aは脱離基である。)で示されるハロゲン化アルキルと、式:
(式中、R
1aは上述のとおりである。)で示されるリチウムアセチリドとを反応させて、式:
(式中、R
1a、R
3a及びE
aは上述のとおりである。)で示される化合物(31a)を得る工程(31a)、
化合物(31a)を酸化して、式
(式中、R
1a、R
3a及びE
aは上述のとおりである。)で示される化合物(32a)を得る工程(32a)、
化合物(32a)が有する脱離基を脱離させて、式:
(式中、R
1a及びR
3aは上述のとおりである。)で示される化合物(33a)を得る工程(33a)、及び、
化合物(33a)と、式:
(式中、X
aは、上述したとおりである。)で示される塩化スルホン酸とを反応させて、式:
(式中、R
1a、R
3a及びX
aは上述のとおりである。)で示される化合物(34a)を得る工程(34a)を含む製造方法により製造できる。
R1aにフラン環を含む場合は、例えば酸によりフラン環を開環しジカルボニル誘導体に変換してもよい。酸としては酢酸、塩酸、p−トルエンスルホン等があげられ、中でも酢酸が好ましい。
Eaは脱離基を表す。上記脱離基としては、tert−ブチルジメチルシリル(TBS)基、トリエチルシリル(TES)基、トリイソプロピルシリル(TIPS)基、tert−ブチルジフェニルシリル(TBDPS)基、ベンジル(Bn)基等が挙げられる。
工程(31a)において、上記ハロゲン化アルキルと上記リチウムアセチリドとの反応割合としては、収率の向上及び廃棄物の減少を考慮して、上記ハロゲン化アルキル1モルに対して、上記リチウムアセチリドが1〜2モルであることが好ましく、1〜1.2モルがより好ましい。
工程(31a)における反応は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、ヘキサンが好ましい。
工程(31a)における反応の温度としては、−100〜−40℃が好ましく、−80〜−50℃がより好ましい。
工程(31a)における反応の圧力としては、0.1〜5MPaが好ましく、0.1〜1MPaがより好ましい。
工程(31a)における反応の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、6〜10時間がより好ましい。
工程(32a)における酸化は、[(Cn*)RuIII(CF3CO2)3]・H2O(式中、Cn*は1,4,7−トリメチルー1,4,7−トリアザビシクロノナンを表す)を、(NH4)2Ce(NO3)6及びトリフルオロ酢酸で処理した後、過塩素酸ナトリウムを添加することにより生じる錯体を使用して、ニトリル系溶媒中で実施できる。
酸化終了後に、アルカリにより中和し、エーテル等の有機溶媒を使用して化合物(32a)を抽出してもよい。
工程(32a)における反応の温度としては、30〜100℃が好ましく、40〜90℃がより好ましい。
工程(32a)における反応の圧力としては、0.1〜5MPaが好ましく、0.1〜1MPaがより好ましい。
工程(32a)における反応の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、3〜8時間がより好ましい。
工程(33a)における脱離基の脱離反応は、フッ化物イオンや酸を使用することにより、実施できる。脱離基の脱離させる方法としては、例えば、フッ酸を用いる方法、ピリジン・nHFやトリエチルアミン・nHFのようなフッ化水素のアミン錯体を用いる方法、フッ化セシウム、フッ化カリウム、ホウフッ化リチウム(LiBF4)、フッ化アンモニウムのような無機塩を用いる方法、テトラブチルアンモニウムフルオリド(TBAF)のような有機塩を用いる方法が挙げられる。
工程(33a)における脱離基の脱離反応は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、有機溶媒が好ましく、非プロトン性極性溶媒がより好ましく、エーテルが更に好ましい。
上記エーテルとしては、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、モノグライム(エチレングリコールジメチルエーテル)、ジグライム(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、トリグライム(トリエチレングリコールジメチルエーテル)、テトラヒドロフラン、テトラグライム(テトラエチレングリコールジメチルエーテル)、クラウンエーテル(15−クラウン−5,18−クラウン−6)等が挙げられ、なかでも、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルが好ましい。
工程(33a)における反応の温度としては、0〜40℃が好ましく、0〜20℃がより好ましい。
工程(33a)における反応の圧力としては、0.1〜5MPaが好ましく、0.1〜1MPaがより好ましい。
工程(33a)における反応の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、3〜8時間がより好ましい。
工程(34a)において、化合物(33a)と上記塩化スルホン酸との反応割合としては、収率の向上及び廃棄物の減少を考慮して、化合物(33a)1モルに対して、上記塩化スルホン酸が1〜2モルであることが好ましく、1〜1.1モルがより好ましい。
工程(34a)における反応は、塩基の存在下に実施することが好ましい。上記塩基としては、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アミン等があげられ、なかでも、アミンが好ましい。
工程(34a)における上記アミンとしては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、ジメチルベンジルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,8−ナフタレンジアミン等の三級アミン、ピリジン、ピロール、ウラシル、コリジン、ルチジン等の複素芳香族アミン、1,8−ジアザ−ビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザ−ビシクロ[4.3.0]−5−ノネン等の環状アミン等が挙げられる。なかでも、トリエチルアミン、ピリジンが好ましい。
工程(34a)における上記塩基の使用量は、収率の向上及び廃棄物の減少を考慮して、化合物(33a)1モルに対して、1〜2モルが好ましく、1〜1.1モルがより好ましい。
工程(34a)における反応は、極性溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、有機溶媒が好ましく、非プロトン性極性溶媒がより好ましく、エーテルが更に好ましい。
上記エーテルとしては、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、モノグライム(エチレングリコールジメチルエーテル)、ジグライム(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、トリグライム(トリエチレングリコールジメチルエーテル)、テトラヒドロフラン、テトラグライム(テトラエチレングリコールジメチルエーテル)、クラウンエーテル(15−クラウン−5,18−クラウン−6)等が挙げられ、なかでも、ジエチルエーテルが好ましい。
工程(34a)における反応の温度としては、0〜40℃が好ましく、0〜20℃がより好ましい。
工程(34a)における反応の圧力としては、0.1〜5MPaが好ましく、0.1〜1MPaがより好ましい。
工程(34a)における反応の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、3〜12時間がより好ましい。
工程(34a)における反応を溶媒中で実施すると、上記反応の終了後に化合物(34a)を含む溶液が得られる。上記溶液に水を加えた後、静置して2相に分離させ、水相を回収し、溶媒を留去することにより、高純度の化合物(34a)を回収してもよい。化合物(34a)が−OSO3Hで示される基を有する場合は(すなわちXがHである場合は)、水に代えて、炭酸水素ナトリウム水溶液やアンモニア水等のアルカリ水溶液を使用することにより、−OSO3Hを硫酸塩基に変換することも可能である。
各工程の終了後、溶媒を留去したり、蒸留、精製等を実施したりして、得られる化合物の純度を高めてもよい。
界面活性剤(a)は、また、式:
(式中、R
1aは上述のとおり、R
21aは単結合又は2価の連結基である。)で示されるアルケンと、式:
(式中、Y
51aはアルコキシル基である。)で示されるアルキンとを反応させて、式:
(式中、R
1a及びR
21aは上述のとおりである。)
で示される化合物(41a)を得る工程(41a)、及び、
化合物(41a)に、式:
(式中、X
aは、上述したとおりである。)で示される塩化スルホン酸とを反応させて、式:
(式中、R
1a、R
21a及びX
aは上述のとおりである。)で示される化合物(42a)を得る工程(42a)を含む製造方法により製造できる。
R1aにフラン環を含む場合は、例えば酸によりフラン環を開環しジカルボニル誘導体に変換してもよい。酸としては酢酸、塩酸、p−トルエンスルホン等があげられ、中でも酢酸が好ましい。
R21aとしては、単結合又は炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基が好ましい。
工程(41a)において、上記アルケンと上記アルキンとの反応割合としては、収率の向上及び廃棄物の減少を考慮して、上記アルキン1モルに対して、上記アルケンが0.5〜2モルであることが好ましく、0.6〜1.2モルがより好ましい。
工程(41a)における反応は、金属触媒存在下に実施することが好ましい。上記金属としては、ルテニウム等があげられる。
工程(41a)における上記金属触媒の使用量は、収率の向上及び廃棄物の減少を考慮して、上記アルケン1モルに対して、0.01〜0.4モルが好ましく、0.05〜0.1モルがより好ましい。
工程(41a)における反応は、極性溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、水、アセトニトリル、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミドが好ましい。
工程(41a)における反応の温度としては、20〜160℃が好ましく、40〜140℃がより好ましい。
工程(41a)における反応の圧力としては、0.1〜5MPaが好ましく、0.1〜1MPaがより好ましい。
工程(41a)における反応の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、4〜8時間がより好ましい。
工程(42a)において、化合物(41a)と上記塩化スルホン酸との反応割合としては、収率の向上及び廃棄物の減少を考慮して、化合物(41a)1モルに対して、上記塩化スルホン酸が1〜2モルであることが好ましく、1〜1.1モルがより好ましい。
工程(42a)における反応は、塩基の存在下に実施することが好ましい。上記塩基としては、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アミン等があげられ、なかでも、アミンが好ましい。
工程(42a)における上記アミンとしては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、ジメチルベンジルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,8−ナフタレンジアミン等の三級アミン、ピリジン、ピロール、ウラシル、コリジン、ルチジン等の複素芳香族アミン、1,8−ジアザ−ビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザ−ビシクロ[4.3.0]−5−ノネン等の環状アミン等が挙げられる。なかでも、トリエチルアミン、ピリジンが好ましい。
工程(42a)における上記塩基の使用量は、収率の向上及び廃棄物の減少を考慮して、化合物(41a)1モルに対して、1〜2モルが好ましく、1〜1.1モルがより好ましい。
工程(42a)における反応は、極性溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、有機溶媒が好ましく、非プロトン性極性溶媒がより好ましく、エーテルが更に好ましい。
上記エーテルとしては、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、モノグライム(エチレングリコールジメチルエーテル)、ジグライム(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、トリグライム(トリエチレングリコールジメチルエーテル)、テトラヒドロフラン、テトラグライム(テトラエチレングリコールジメチルエーテル)、クラウンエーテル(15−クラウン−5,18−クラウン−6)等が挙げられ、なかでも、ジエチルエーテルが好ましい。
工程(42a)における反応の温度としては、0〜40℃が好ましく、0〜20℃がより好ましい。
工程(42a)における反応の圧力としては、0.1〜5MPaが好ましく、0.1〜1MPaがより好ましい。
工程(42a)における反応の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、3〜12時間がより好ましい。
工程(42a)における反応を溶媒中で実施すると、上記反応の終了後に化合物(42a)を含む溶液が得られる。上記溶液に水を加えた後、静置して2相に分離させ、水相を回収し、溶媒を留去することにより、高純度の化合物(42a)を回収してもよい。化合物(42a)が−OSO3Hで示される基を有する場合は(すなわちXがHである場合は)、水に代えて、炭酸水素ナトリウム水溶液やアンモニア水等のアルカリ水溶液を使用することにより、−OSO3Hを硫酸塩基に変換することも可能である。
各工程の終了後、溶媒を留去したり、蒸留、精製等を実施したりして、得られる化合物の純度を高めてもよい。
界面活性剤(b)としては、例えば、
CH3C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2OSO3Na、
CH3C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2OSO3Na、
CH3C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2OSO3Na、
CH3C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2OSO3Na、
CH3C(O)CH2CH2CH2CH2CH2OSO3Na、
CH3C(O)CH2CH2CH2CH2OSO3Na、
(CH3)3CC(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2OSO3Na、
(CH3)2CHC(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2OSO3Na、
(CH2)5CHC(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2OSO3Na、
CH3CH2C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2OSO3Na、
CH3CH2CH2C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2OSO3Na、
CH3CH2CH2CH2C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2OSO3Na、
CH3CH2CH2CH2CH2C(O)CH2CH2CH2CH2CH2OSO3Na、
CH3CH2CH2CH2CH2CH2C(O)CH2CH2CH2CH2OSO3Na、
CH3CH2CH2CH2CH2CH2CH2C(O)CH2CH2CH2OSO3Na、
CH3CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2C(O)CH2CH2OSO3Na、
CH3CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2C(O)CH2OSO3Na、
CH3C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2OCH2CH2OSO3Na、
CH3C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2C(O)NHCH2OSO3Na、
CH3C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2NHC(O)CH2OSO3Na、
CH3C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2C(O)OSO3Na、
CH3C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2C(O)OCH2OSO3Na、
CH3C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2OC(O)CH2OSO3Na、
CH3C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2OSO3H、
CH3C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2OSO3Li、
CH3C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2OSO3K、
CH3C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2OSO3NH4、
CH3C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH(CH3)2OSO3Na、
CH3C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2OSO3Na、
CH3C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2OSO3Na、
CH3C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2OSO3Na、
CH3C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2OSO3Na、
CH3C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2OSO3Na、
CH3C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2OSO3Na、
CH3C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2OSO3Na、
CH3C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2OSO3Na、
(CH3)3CC(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2OSO3Na、
(CH3)2CHC(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2OSO3Na、
(CH2)5CHC(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2OSO3Na、
CH3CH2C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2OSO3Na、
CH3CH2CH2CH2CH2C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2OSO3Na、
CH3CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2OSO3Na、
CH3CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2OSO3Na、
CH3CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2C(O)CH2CH2CH2CH2OSO3Na、
CH3CH2C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2OCH2CH2OSO3Na、
CH3CH2C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2C(O)NHCH2CH2OSO3Na、
CH3CH2C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2NHC(O)CH2CH2OSO3Na、
CH3CH2C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2C(O)OCH2CH2OSO3Na、
CH3CH2C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2OC(O)CH2CH2OSO3Na、
CH3CH2C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2C(O)OSO3Na、
CH3CH2C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2OSO3H、
CH3CH2C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2OSO3Li、
CH3CH2C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2OSO3K、
CH3CH2C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2OSO3NH4、
CH3C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2OSO3Na等が挙げられる。
界面活性剤(b)は、新規化合物であり、例えば、次に例示する製造方法により製造することができる。
界面活性剤(b)は、下記式:
R
11b−CH=CH−(CR
2b 2)
n−(OR
3b)
p−(CR
4b 2)
q−L−OH
(式中、R
2b〜R
4b、n、p及びqは、上記のとおり。R
11bは、H、置換基を有してもよい炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は、置換基を有してもよい炭素数3以上の環状のアルキル基であり、炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含んでも環を形成していてもよい。Lは、単結合、−CO
2−B−*、−OCO−B−*、−CONR
6b−B−*、−NR
6bCO−B−*、又は、−CO−(但し、−CO
2−B−、−OCO−B−、−CONR
6b−B−、−NR
6bCO−B−に含まれるカルボニル基を除く。)であり、Bは単結合もしくは置換基を有してもよい炭素数1から10のアルキレン基であり、R
6bは、H又は置換基を有していてもよい、炭素数1〜4のアルキル基である。*は、式中の−OHに結合する側を指す。)で示される化合物(10b)をヒドロキシ化して、下記式:
(式中、L、R
2b〜R
4b、R
11b、n、p及びqは、上記のとおり。)で示される化合物(11b)を得る工程(11b)、
化合物(11b)を酸化して、下記式:
(式中、L、R
2b〜R
4b、R
11b、n、p及びqは、上記のとおり。)で示される化合物(12b)を得る工程(12b)、及び、
化合物(12b)を硫酸エステル化して、下記式:
(式中、L、R
2b〜R
4b、R
11b、n、p、q及びX
bは、上記のとおり。)で示される化合物(13b)を得る工程(13b)を含む製造方法により製造できる。
R11bとしての上記アルキル基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。
R11bとしての上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
上記アルキル基は、如何なる置換基も有していないことが好ましい。
R11bとしては、H、置換基を有してもよい炭素数1〜9の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は、置換基を有してもよい炭素数3〜9の環状のアルキル基が好ましく、H、カルボニル基を含まない炭素数1〜9の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又はカルボニル基を含まない炭素数3〜9の環状のアルキル基がより好ましく、H、又は、置換基を有さない炭素数1〜9の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基が更に好ましく、H、メチル基(−CH3)又はエチル基(−C2H5)が更により好ましく、H又はメチル基(−CH3)が特に好ましく、Hが最も好ましい。
工程(11b)におけるヒドロキシ化は、例えば、(1)酸素雰囲気中で化合物(10b)にフタロシアニン鉄(II)(Fe(Pc))及び水素化ホウ素ナトリウムを作用させる方法や、(2)化合物(10b)にイソピノカンフェイルボラン(IpcBH2)を作用させた後、得られる中間体(ジアルキルボラン)を酸化する方法により実施できる。
方法(1)において、フタロシアニン鉄(II)の量は、触媒量であってよく、化合物(10b)1モルに対して、0.001〜1.2モルの量で使用できる。
方法(1)において、水素化ホウ素ナトリウムは、化合物(10b)1モルに対して、0.5〜20モルの量で使用できる。
方法(1)の反応は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、有機溶媒が好ましく、エーテル、ハロゲン化炭化水素、芳香族炭化水素、ニトリル、含窒素極性有機化合物等が挙げられる。
上記エーテルとしては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられ、なかでも、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランが好ましい。
上記ハロゲン化炭化水素としては、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等が挙げられ、なかでも、ジクロロメタン、クロロホルムが好ましい。
上記芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられ、なかでも、ベンゼン、トルエンが好ましい。
上記ニトリルとしては、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、ベンゾニトリル等が挙げられ、なかでも、アセトニトリルが好ましい。
上記含窒素極性有機化合物としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が挙げられ、なかでも、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンが好ましい。
方法(1)の反応の温度としては、−78〜200℃が好ましく、0〜150℃がより好ましい。
方法(1)の反応の圧力としては、0〜5.0MPaが好ましく、0.1〜1.0MPaがより好ましい。
方法(1)の反応の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、0.1〜48時間がより好ましい。
方法(2)において、イソピノカンフェイルボランは、化合物(10b)1モルに対して、1.0〜10.0モルの量で使用できる。
化合物(10b)とイソピノカンフェイルボランとの反応は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、有機溶媒が好ましく、エーテル、ハロゲン化炭化水素、芳香族炭化水素等が挙げられる。
上記エーテルとしては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられ、なかでも、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランが好ましい。
上記ハロゲン化炭化水素としては、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等が挙げられ、なかでも、ジクロロメタン、クロロホルムが好ましい。
上記芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられ、なかでも、ベンゼン、トルエンが好ましい。
化合物(10b)とイソピノカンフェイルボランとの反応の温度としては、−78〜200℃が好ましく、0〜150℃がより好ましい。
化合物(10b)とイソピノカンフェイルボランとの反応の圧力としては、0〜5.0MPaが好ましく、0.1〜1.0MPaがより好ましい。
化合物(10b)とイソピノカンフェイルボランとの反応の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、0.1〜48時間がより好ましい。
方法(2)における酸化は、上記中間体に酸化剤を作用させることにより実施できる。上記酸化剤としては、過酸化水素が挙げられる。上記酸化剤は、上記中間体1モルに対して、0.7〜10モルの量で使用できる。
方法(2)における酸化は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、水、メタノール、エタノール等が挙げられ、なかでも水が好ましい。
方法(2)における酸化の温度としては、0〜100℃が好ましく、0〜80℃がより好ましい。
方法(2)における酸化の圧力としては、0〜5.0MPaが好ましく、0.1〜1.0MPaがより好ましい。
方法(2)における酸化の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、0.1〜48時間がより好ましい。
工程(12b)において、化合物(11b)を酸化する方法としては、例えば、(a)ジョーンズ試薬(CrO3/H2SO4)を用いる方法(ジョーンズ酸化)、(b)デス・マーチン・ペルヨージナン(DMP)を用いる方法(デス・マーチン酸化)、(c)クロロクロム酸ピリジニウム(PCC)を用いる方法、(d)NiCl2等のニッケル化合物の存在下に漂白剤(NaOClの約5〜6%水溶液)を作用させる方法、(e)Al(CH3)3、Al[OCH(CH3)2]3等のアルミニウム触媒の存在下にアルデヒド、ケトン等の水素受容体を作用させる方法(オッペナウアー酸化)が挙げられる。
工程(12b)における酸化は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、水及び有機溶媒が好ましく、水、ケトン、エーテル、ハロゲン化炭化水素、芳香族炭化水素、ニトリル等が挙げられる。
上記ケトンとしては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール等が挙げられ、なかでも、アセトンが好ましい。
上記エーテルとしては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられ、なかでも、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランが好ましい。
上記ハロゲン化炭化水素としては、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等が挙げられ、なかでも、ジクロロメタン、クロロホルムが好ましい。
上記芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられ、なかでも、ベンゼン、トルエンが好ましい。
上記ニトリルとしては、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、ベンゾニトリル等が挙げられ、なかでも、アセトニトリルが好ましい。
工程(12b)における酸化の温度としては、−78〜200℃が好ましく、採用する方法に応じて適宜選択することができる。
工程(12b)における酸化の圧力としては、0〜5.0MPaが好ましく、採用する方法に応じて適宜選択することができる。
工程(12b)における酸化の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、採用する方法に応じて適宜選択することができる。
工程(13b)における硫酸エステル化は、化合物(12b)と硫酸化試薬とを反応させることにより実施できる。上記硫酸化試薬としては、三酸化硫黄ピリジン錯体、三酸化硫黄トリメチルアミン錯体、三酸化硫黄トリエチルアミン錯体等の三酸化硫黄アミン錯体、三酸化硫黄ジメチルホルムアミド錯体等の三酸化硫黄アミド錯体、硫酸−ジシクロヘキシルカルボジイミド、クロロ硫酸、濃硫酸、スルファミン酸等が挙げられる。上記硫酸化試薬の使用量としては、化合物(12b)1モルに対して、0.5〜10モルが好ましく、0.5〜5モルがより好ましく、0.7〜4モルが更に好ましい。
工程(13b)における硫酸エステル化は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、有機溶媒が好ましく、エーテル、ハロゲン化炭化水素、芳香族炭化水素、ピリジン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、ニトリル等が挙げられる。
上記エーテルとしては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられ、なかでも、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランが好ましい。
上記ハロゲン化炭化水素としては、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等が挙げられ、なかでも、ジクロロメタン、クロロホルムが好ましい。
上記芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられ、なかでも、ベンゼン、トルエンが好ましい。
上記ニトリルとしては、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、ベンゾニトリル等が挙げられ、なかでも、アセトニトリルが好ましい。
工程(13b)における硫酸エステル化の温度としては、−78〜200℃が好ましく、−20〜150℃がより好ましい。
工程(13b)における硫酸エステル化の圧力としては、0〜10MPaが好ましく、0.1〜5MPaがより好ましい。
工程(13b)における硫酸エステル化の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、0.1〜48時間がより好ましい。
界面活性剤(b)は、また、下記式:
(式中、L、R
1b〜R
4b、n、p及びqは、上記のとおり。R
101bは、有機基である。)で示される化合物(20b)をオゾン分解して、下記式:
(式中、L、R
1b〜R
4b、n、p及びqは、上記のとおり。)で示される化合物(21b)を得る工程(21b)、及び、
化合物(21b)を硫酸エステル化して、下記式:
(式中、L、R
1b〜R
4b、n、p、q及びX
bは、上記のとおり。)で示される化合物(22b)を得る工程(22b)を含む製造方法により製造できる。
R101bとしては、炭素数1〜20のアルキル基が好ましい。2個のR101bは、同一でも異なっていてもよい。
工程(21b)におけるオゾン分解は、化合物(20b)にオゾンを作用させた後、還元剤で後処理することにより実施できる。
オゾンは、酸素ガス中の無声放電によって発生させることができる。
上記後処理に用いる還元剤としては、亜鉛、ジメチルスルフィド、チオウレア、ホスフィン類等が挙げられ、なかでもホスフィン類が好ましい。
工程(21b)におけるオゾン分解は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、水及び有機溶媒が好ましく、水、アルコール、カルボン酸類、エーテル、ハロゲン化炭化水素、芳香族炭化水素等が挙げられる。
上記アルコールとしては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール等が挙げられる。なかでも、メタノール、エタノールが好ましい。
上記カルボン酸類としては、酢酸、プロピオン酸等が挙げられる。なかでも、酢酸が好ましい。
上記エーテルとしては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられ、なかでも、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランが好ましい。
上記ハロゲン化炭化水素としては、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等が挙げられ、なかでも、ジクロロメタン、クロロホルムが好ましい。
上記芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられ、なかでも、ベンゼン、トルエンが好ましい。
工程(21b)におけるオゾン分解の温度としては、−78〜200℃が好ましく、0〜150℃がより好ましい。
工程(21b)におけるオゾン分解の圧力としては、0〜5.0MPaが好ましく、0.1〜1.0MPaがより好ましい。
工程(21b)におけるオゾン分解の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、0.1〜48時間がより好ましい。
工程(22b)における硫酸エステル化は、化合物(21b)と硫酸化試薬とを反応させることにより実施でき、工程(13b)における硫酸エステル化と同様の条件が採用できる。
界面活性剤(b)は、また、下記式:
R
21b−CH=CH−(CR
2b 2)
n−(OR
3b)
p−(CR
4b 2)
q−L−OH
(式中、L、R
b2〜R
4b、n、p及びqは、上記のとおり。R
21bは、H、置換基を有してもよい炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は、置換基を有してもよい炭素数3以上の環状のアルキル基であり、炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含んでも環を形成していてもよい。)で示される化合物(30b)をエポキシ化して、下記式:
(式中、L、R
2b〜R
4b、R
21b、n、p及びqは、上記のとおり。)で示される化合物(31b)を得る工程(31b)、
化合物(31b)と、R
22b 2CuLi(R
22bは、置換基を有してもよい炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は置換基を有してもよい炭素数3以上の環状のアルキル基であり、炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含んでも環を形成していてもよい。)で示されるジアルキル銅リチウムとを反応させて、下記式:
(式中、L、R
2b〜R
4b、R
21b、R
22b、n、p及びqは、上記のとおり。)で示される化合物(32b)を得る工程(32b)、
化合物(32b)を酸化して、下記式:
(式中、L、R
2b〜R
4b、R
21b、R
22b、n、p及びqは、上記のとおり。)で示される化合物(33b)を得る工程(33b)、及び、
化合物(33b)を硫酸エステル化して、下記式:
(式中、L、R
2b〜R
4b、R
21b、R
22b、n、p、q及びX
bは、上記のとおり。)で示される化合物(34b)を得る工程(34b)を含む製造方法により製造できる。
R21bとしての上記アルキル基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。
R21bとしての上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
上記アルキル基は、如何なる置換基も有していないことが好ましい。
R21bとしては、H、置換基を有してもよい炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は、置換基を有してもよい炭素数3〜8の環状のアルキル基が好ましく、H、カルボニル基を含まない炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又はカルボニル基を含まない炭素数3〜8の環状のアルキル基がより好ましく、H、又は、置換基を有さない炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基が更に好ましく、H又はメチル基(−CH3)が特に好ましく、Hが最も好ましい。
R22bとしての上記アルキル基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。
R22bとしての上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
上記アルキル基は、如何なる置換基も有していないことが好ましい。
R22bとしては、置換基を有してもよい炭素数1〜9の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は、置換基を有してもよい炭素数3〜9の環状のアルキル基が好ましく、カルボニル基を含まない炭素数1〜9の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又はカルボニル基を含まない炭素数3〜9の環状のアルキル基がより好ましく、置換基を有さない炭素数1〜9の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基が更に好ましく、メチル基(−CH3)又はエチル基(−C2H5)が特に好ましく、メチル基(−CH3)が最も好ましい。
2個のR22bは、同一でも異なっていてもよい。
R21b及びR22bは、炭素数が合計で1〜7であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが最も好ましい。
工程(31b)におけるエポキシ化は、化合物(30b)にエポキシ化剤を作用させることにより実施できる。
上記エポキシ化剤としては、メタクロロ過安息香酸(m−CPBA)、過安息香酸、過酸化水素、tert−ブチルヒドロペルオキシド等の過酸、ジメチルジオキシラン、メチルトリフルオロメチルジオキシラン等が挙げられ、なかでも過酸が好ましく、メタクロロ過安息香酸がより好ましい。
上記エポキシ化剤は、化合物(30b)1モルに対して、0.5〜10.0モルの量で使用できる。
工程(31b)におけるエポキシ化は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、有機溶媒が好ましく、ケトン、エーテル、ハロゲン化炭化水素、芳香族炭化水素、ニトリル、ピリジン、含窒素極性有機化合物、ジメチルスルホキシド等が挙げられ、なかでもジクロロメタンが好ましい。
上記ケトンとしては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール等が挙げられ、なかでも、アセトンが好ましい。
上記エーテルとしては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられ、なかでも、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランが好ましい。
上記ハロゲン化炭化水素としては、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等が挙げられ、なかでも、ジクロロメタン、クロロホルムが好ましい。
上記芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられ、なかでも、ベンゼン、トルエンが好ましい。
上記ニトリルとしては、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、ベンゾニトリル等が挙げられ、なかでも、アセトニトリルが好ましい。
上記含窒素極性有機化合物としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が挙げられ、なかでも、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンが好ましい。
工程(31b)におけるエポキシ化の温度としては、−78〜200℃が好ましく、−40〜150℃がより好ましい。
工程(31b)におけるエポキシ化の圧力としては、0〜5.0MPaが好ましく、0.1〜1.0MPaがより好ましい。
工程(31b)におけるエポキシ化の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、0.1〜48時間がより好ましい。
工程(32b)において、上記ジアルキル銅リチウムは、化合物(31b)1モルに対して、0.5〜10.0モルの量で使用できる。
工程(32b)の反応は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、有機溶媒が好ましく、エーテル、ハロゲン化炭化水素、芳香族炭化水素等が挙げられる。
上記エーテルとしては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられ、なかでも、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランが好ましい。
上記ハロゲン化炭化水素としては、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等が挙げられ、なかでも、ジクロロメタン、クロロホルムが好ましい。
上記芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられ、なかでも、ベンゼン、トルエンが好ましい。
工程(32b)の反応の温度としては、−78〜200℃が好ましく、−40〜150℃がより好ましい。
工程(32b)の反応の圧力としては、0〜5.0MPaが好ましく、0.1〜1.0MPaがより好ましい。
工程(32b)の反応の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、0.1〜48時間がより好ましい。
工程(33b)において、化合物(32b)を酸化する方法としては、例えば、(a)ジョーンズ試薬(CrO3/H2SO4)を用いる方法(ジョーンズ酸化)、(b)デス・マーチン・ペルヨージナン(DMP)を用いる方法(デス・マーチン酸化)、(c)クロロクロム酸ピリジニウム(PCC)を用いる方法、(d)NiCl2等のニッケル化合物の存在下に漂白剤(NaOClの約5〜6%水溶液)を作用させる方法、(e)Al(CH3)3、Al[OCH(CH3)2]3等のアルミニウム触媒の存在下にアルデヒド、ケトン等の水素受容体を作用させる方法(オッペナウアー酸化)が挙げられる。
工程(33b)における酸化は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、水及び有機溶媒が好ましく、水、ケトン、アルコール、エーテル、ハロゲン化炭化水素、芳香族炭化水素、ニトリル等が挙げられる。
上記ケトンとしては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール等が挙げられ、なかでも、アセトンが好ましい。
上記アルコールとしては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール等が挙げられる。なかでも、メタノール、エタノールが好ましい。
上記エーテルとしては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられ、なかでも、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランが好ましい。
上記ハロゲン化炭化水素としては、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等が挙げられ、なかでも、ジクロロメタン、クロロホルムが好ましい。
上記芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられ、なかでも、ベンゼン、トルエンが好ましい。
上記ニトリルとしては、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、ベンゾニトリル等が挙げられ、なかでも、アセトニトリルが好ましい。
工程(33b)における酸化の温度としては、−78〜200℃が好ましく、採用する方法に応じて適宜選択することができる。
工程(33b)における酸化の圧力としては、0〜5.0MPaが好ましく、採用する方法に応じて適宜選択することができる。
工程(33b)における酸化の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、採用する方法に応じて適宜選択することができる。
工程(34b)における硫酸エステル化は、化合物(33b)と硫酸化試薬とを反応させることにより実施でき、工程(13b)における硫酸エステル化と同様の条件が採用できる。
界面活性剤(b)は、また、下記式:
R
11b−CH=CH−(CR
2b 2)
n−(OR
3b)
p−(CR
4b 2)
q−L−OH
(式中、L、R
2b〜R
4b、R
11b、n、p及びqは、上記のとおり。)で示される化合物(10b)を酸化して、下記式:
(式中、L、R
2b〜R
4b、R
11b、n、p及びqは、上記のとおり。)で示される化合物(41b)を得る工程(41b)、及び、
化合物(41b)を硫酸エステル化して、下記式:
(式中、L、R
2b〜R
4b、R
11b、n、p、q及びX
bは、上記のとおり。)で示される化合物(42b)を得る工程(42b)を含む製造方法により製造できる。
工程(41b)における酸化は、水及びパラジウム化合物の存在下で、化合物(10b)に酸化剤を作用させることにより実施できる。
上記酸化剤としては、塩化銅、酢酸銅、シアン化銅、トリフルオロメタンチオール銅等の一価又は二価の銅塩、塩化鉄、酢酸鉄、シアン化鉄、トリフルオロメタンチオール鉄、ヘキサシアノ鉄等の鉄塩、1,4−ベンゾキノン、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン、テトラクロロ−1,2−ベンゾキノン、テトラクロロ−1,4−ベンゾキノン等のベンゾキノン類、H2O2、MnO2、KMnO4、RuO4、m−クロロ過安息香酸、酸素等が挙げられる。なかでも、銅塩、鉄塩、ベンゾキノン類が好ましく、塩化銅、塩化鉄、1,4−ベンゾキノンがより好ましい。
上記酸化剤は、化合物(10b)1モルに対して、0.001〜10モルの量で使用できる。
上記水は、化合物(10b)1モルに対して、0.5〜1000モルの量で使用できる。
上記パラジウム化合物としては、二塩化パラジウムが挙げられる。上記パラジウム化合物の量は、触媒量であってよく、化合物(10b)1モルに対して、0.0001〜1.0モルの量で使用できる。
工程(41b)における酸化は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、水、エステル、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、アルコール、カルボン酸類、エーテル、ハロゲン化炭化水素、含窒素極性有機化合物、ニトリル、ジメチルスルホキシド、スルホランが挙げられる。
上記エステルとしては、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA;別名1−メトキシ−2−アセトキシプロパン)等が挙げられ、なかでも、酢酸エチルが好ましい。
上記脂肪族炭化水素としては、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、ミネラルスピリット等が挙げられ、なかでも、シクロヘキサン、ヘプタンが好ましい。
上記芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられ、なかでも、ベンゼン、トルエンが好ましい。
上記アルコールとしては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール等が挙げられる。
上記カルボン酸類としては、酢酸、プロピオン酸等が挙げられる。なかでも、酢酸が好ましい。
上記エーテルとしては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられ、なかでも、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランが好ましい。
上記ハロゲン化炭化水素としては、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等が挙げられ、なかでも、ジクロロメタン、クロロホルムが好ましい。
上記含窒素極性有機化合物としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が挙げられ、なかでも、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンが好ましい。
上記ニトリルとしては、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、ベンゾニトリル等が挙げられ、なかでも、アセトニトリルが好ましい。
工程(41b)における酸化の温度としては、−78〜200℃が好ましく、−20〜150℃がより好ましい。
工程(41b)における酸化の圧力としては、0〜10MPaが好ましく、0.1〜5.0MPaがより好ましい。
工程(41b)における酸化の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、0.1〜48時間がより好ましい。
工程(42b)における硫酸エステル化は、化合物(41b)と硫酸化試薬とを反応させることにより実施でき、工程(13b)における硫酸エステル化と同様の条件が採用できる。
界面活性剤(b)は、また、下記式:
R
11b−CH=CH−(CR
2b 2)
n−OH
(式中、R
2b、R
11b及びnは、上記のとおり。)で示される化合物(50)とハロゲン化剤とを反応させて、下記式:
R
11b−CH=CH−(CR
2b 2)
n−Z
51b
(式中、R
2b、R
11b及びnは、上記のとおり。Z
51bは、ハロゲン原子である。)で示される化合物(51)を得る工程(51)、
化合物(51)と、HO−R
3b−L−OH(L、R
3bは、上記のとおり。)で示されるアルキレングリコールとを反応させて、下記式:
R
11b−CH=CH−(CR
2b 2)
n−O−R
3b−L−OH
(式中、L、R
2b、R
3b、R
11b及びnは、上記のとおり。)で示される化合物(52)を得る工程(52)、
化合物(52)を酸化して、下記式:
(式中、L、R
2b、R
3b、R
11b及びnは、上記のとおり。)で示される化合物(53)を得る工程(53)、及び、
化合物(53)を硫酸エステル化して、下記式:
(式中、L、R
2b、R
3b、R
11b、n及びX
bは、上記のとおり。)で示される化合物(54)を得る工程(54)を含む製造方法により製造できる。
Z51bとしては、F、Cl、Br又はIが好ましく、Brがより好ましい。
工程(51)で使用するハロゲン化剤としては、N−ブロモスクシンイミド、N−クロロスクシンイミド等が挙げられる。
上記ハロゲン化剤は、化合物(50)1モルに対して、0.5〜10.0モルの量で使用できる。
工程(51)の反応は、トリフェニルホスフィン等のホスフィン類の存在下に実施できる。
上記ホスフィン類は、化合物(50)1モルに対して、0.5〜10.0モルの量で使用できる。
工程(51)の反応は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、有機溶媒が好ましく、エーテル、ハロゲン化炭化水素、芳香族炭化水素等が挙げられる。
上記エーテルとしては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられ、なかでも、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランが好ましい。
上記ハロゲン化炭化水素としては、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等が挙げられ、なかでも、ジクロロメタン、クロロホルムが好ましい。
上記芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられ、なかでも、ベンゼン、トルエンが好ましい。
工程(51)の反応の温度としては、−78〜200℃が好ましく、−40〜150℃がより好ましい。
工程(51)の反応の圧力としては、0〜5.0MPaが好ましく、0.1〜1.0MPaがより好ましい。
工程(51)の反応の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、0.1〜48時間がより好ましい。
工程(52)において、上記アルキレングリコールは、化合物(51)1モルに対して、0.5〜10.0モルの量で使用できる。
工程(52)の反応は、塩基の存在下に実施できる。上記塩基としては、水素化ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。
上記塩基は、化合物(51)1モルに対して、0.5〜10.0モルの量で使用できる。
工程(52)の反応は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、有機溶媒が好ましく、含窒素極性有機化合物、エーテル、ハロゲン化炭化水素、芳香族炭化水素等が挙げられる。
上記含窒素極性有機化合物としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が挙げられ、なかでも、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンが好ましい。
上記エーテルとしては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられ、なかでも、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランが好ましい。
上記ハロゲン化炭化水素としては、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等が挙げられ、なかでも、ジクロロメタン、クロロホルムが好ましい。
上記芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられ、なかでも、ベンゼン、トルエンが好ましい。
工程(52)の反応の温度としては、−78〜200℃が好ましく、−40〜150℃がより好ましい。
工程(52)の反応の圧力としては、0〜5.0MPaが好ましく、0.1〜1.0MPaがより好ましい。
工程(52)の反応の時間としては、0.1〜72時間が好ましく、0.1〜48時間がより好ましい。
工程(53)における酸化は、水及びパラジウム化合物の存在下で、化合物(52)に酸化剤を作用させることにより実施でき、工程(41)における酸化と同様の条件が採用できる。
工程(54)における硫酸エステル化は、化合物(53)と硫酸化試薬とを反応させることにより実施でき、工程(13)における硫酸エステル化と同様の条件が採用できる。
上述したいずれの製造方法においても、各工程の終了後、溶媒を留去したり、蒸留、精製等を実施したりして、得られる化合物の純度を高めてもよい。また、得られる化合物が−OSO3Hで示される基を有する場合は(すなわちXbがHである場合は)、炭酸ナトリウム、アンモニア等のアルカリと接触させることにより、−OSO3Hを硫酸塩基に変換できる。
界面活性剤(b)の製造方法のなかでも、上記工程(41b)及び(42b)を含む製造方法が好ましい。
上記界面活性剤は、下記式(a):
(式中、R
1aは、炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は炭素数3以上の環状のアルキル基であり、炭素原子に結合した水素原子がヒドロキシ基又はエステル結合を含む1価の有機基により置換されていてもよく、炭素数が2以上の場合はカルボニル基を含んでもよく、炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含んでも環を形成していてもよい。R
2a及びR
3aは、独立に、単結合又は2価の連結基である。R
1a、R
2a及びR
3aは、炭素数が合計で6以上である。X
aは、H、金属原子、NR
4a 4、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R
4aはH又は有機基であり、同一でも異なっていてもよい。R
1a、R
2a及びR
3aは、いずれか2つがお互いに結合して、環を形成してもよい。)で示される界面活性剤(a)、及び、下記式(b):
(式中、R
1bは、置換基を有してもよい炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は置換基を有してもよい炭素数3以上の環状のアルキル基であり、炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含んでも環を形成していてもよい。R
2b及びR
4bは、独立に、H又は置換基である。R
3bは、置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキレン基である。nは、1以上の整数である。p及びqは、独立に、0以上の整数である。X
bは、H、金属原子、NR
5b 4、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R
5bはH又は有機基であり、同一でも異なっていてもよい。R
1b、R
2b、R
3b及びR
4bは、いずれか2つがお互いに結合して、環を形成してもよい。Lは、単結合、−CO
2−B−*、−OCO−B−*、−CONR
6b−B−*、−NR
6bCO−B−*、又は、−CO−(但し、−CO
2−B−、−OCO−B−、−CONR
6b−B−、−NR
6CO−B−に含まれるカルボニル基を除く。)であり、Bは単結合もしくは置換基を有してもよい炭素数1から10のアルキレン基であり、R
6bは、H又は置換基を有していてもよい、炭素数1〜4のアルキル基である。*は、式中の−OSO
3X
bに結合する側を指す。)で示される界面活性剤(b)
からなる群より選択される少なくとも1種の界面活性剤(1)と水とを含む水溶液であっても良い。
上記水溶液における界面活性剤(1)の濃度の上限は、50質量%であることが好ましく、30質量%であることがより好ましく、20質量%であることが更に好ましく、100000ppmであることが更により好ましく、50000ppmであることが殊更に好ましく、10000ppmであることが特に好ましく、5000ppmであることが最も好ましい。下限は、1ppmであることが好ましく、10ppmであることがより好ましく、50ppmであることが更に好ましい。
上記界面活性剤は、フルオロポリマーを製造するために使用される重合用界面活性剤、または、フルオロポリマーを製造するために使用される重合用界面活性剤水溶液であることが好ましい。
本発明のフルオロポリマーの製造方法は、水性媒体中でフルオロモノマーの重合を行うことによりフルオロポリマーを得る工程を含む。上記重合は、乳化重合であってよい。
上記フルオロモノマーとしては、二重結合を少なくとも1つ有するものが好ましい。
上記フルオロモノマーとしては、テトラフルオロエチレン[TFE]、ヘキサフルオロプロピレン[HFP]、クロロトリフルオロエチレン[CTFE]、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン[VDF]、トリフルオロエチレン、フルオロアルキルビニルエーテル、フルオロアルキルエチレン、トリフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、トリフルオロブテン、テトラフルオロイソブテン、ヘキサフルオロイソブテン、一般式(100):CH2=CFRf101(式中、Rf101は炭素数1〜12の直鎖又は分岐したフルオロアルキル基)で表されるフルオロモノマー、フッ素化ビニルヘテロ環状体、及び、架橋部位を与えるモノマーからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
上記フルオロアルキルビニルエーテルとしては、例えば、
一般式(110):CF2=CF−ORf111
(式中、Rf111は、パーフルオロ有機基を表す。)で表されるフルオロモノマー、
一般式(120):CF2=CF−OCH2−Rf121
(式中、Rf121は、炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基)で表されるフルオロモノマー、
一般式(130):CF2=CFOCF2ORf131
(式中、Rf131は炭素数1〜6の直鎖又は分岐状パーフルオロアルキル基、炭素数5〜6の環式パーフルオロアルキル基、1〜3個の酸素原子を含む炭素数2〜6の直鎖又は分岐状パーフルオロオキシアルキル基である。)で表されるフルオロモノマー、
一般式(140):CF2=CFO(CF2CF(Y141)O)m(CF2)nF
(式中、Y141はフッ素原子又はトリフルオロメチル基を表す。mは1〜4の整数である。nは1〜4の整数である。)で表されるフルオロモノマー、及び、
一般式(150):CF2=CF−O−(CF2CFY151−O)n−(CFY152)m−A151
(式中、Y151は、フッ素原子、塩素原子、−SO2F基又はパーフルオロアルキル基を表す。パーフルオロアルキル基は、エーテル性の酸素及び−SO2F基を含んでもよい。nは、0〜3の整数を表す。n個のY151は、同一であってもよいし異なっていてもよい。Y152は、フッ素原子、塩素原子又は−SO2F基を表す。mは、1〜5の整数を表す。m個のY152は、同一であってもよいし異なっていてもよい。A151は、−SO2X151、−COZ151又は−POZ152Z153を表す。X151は、F、Cl、Br、I、−OR151又は−NR152R153を表す。Z151、Z152及びZ153は、同一又は異なって、−NR154R155又は−OR156を表す。R151、R152、R153、R154、R155及びR156は、同一又は異なって、H、アンモニウム、アルカリ金属、フッ素原子を含んでも良いアルキル基、アリール基、若しくはスルホニル含有基を表す。)で表されるフルオロモノマー
からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
本明細書において、上記「パーフルオロ有機基」とは、炭素原子に結合する水素原子が全てフッ素原子に置換されてなる有機基を意味する。上記パーフルオロ有機基は、エーテル酸素を有していてもよい。
一般式(110)で表されるフルオロモノマーとしては、Rf111が炭素数1〜10のパーフルオロアルキル基であるフルオロモノマーが挙げられる。上記パーフルオロアルキル基の炭素数は、好ましくは1〜5である。
一般式(110)におけるパーフルオロ有機基としては、例えば、パーフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基等が挙げられる。
一般式(110)で表されるフルオロモノマーとしては、更に、上記一般式(110)において、Rf111が炭素数4〜9のパーフルオロ(アルコキシアルキル)基であるもの、Rf111が下記式:
(式中、mは、0又は1〜4の整数を表す。)で表される基であるもの、Rf111が下記式:
(式中、nは、1〜4の整数を表す。)で表される基であるもの等が挙げられる。
フルオロアルキルビニルエーテルとしては、一般式(110)、(130)及び(140)で表されるフルオロモノマーからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
一般式(110)で表されるフルオロモノマーとしては、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)、及び、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)からなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、及び、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)からなる群より選択される少なくとも1種がより好ましい。
一般式(130)で表されるフルオロモノマーとしては、CF2=CFOCF2OCF3、CF2=CFOCF2OCF2CF3、及び、CF2=CFOCF2OCF2CF2OCF3からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
一般式(140)で表されるフルオロモノマーとしては、CF2=CFOCF2CF(CF3)O(CF2)3F、CF2=CFO(CF2CF(CF3)O)2(CF2)3F、及び、CF2=CFO(CF2CF(CF3)O)2(CF2)2Fからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
一般式(150)で表されるフルオロモノマーとしては、CF2=CFOCF2CF2SO2F、CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2SO2F、CF2=CFOCF2CF(CF2CF2SO2F)OCF2CF2SO2F及びCF2=CFOCF2CF(SO2F)2からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
一般式(100)で表されるフルオロモノマーとしては、Rf101が直鎖のフルオロアルキル基であるフルオロモノマーが好ましく、Rf101が直鎖のパーフルオロアルキル基であるフルオロモノマーがより好ましい。Rf101の炭素数は1〜6であることが好ましい。一般式(100)で表されるフルオロモノマーとしては、CH2=CFCF3、CH2=CFCF2CF3、CH2=CFCF2CF2CF3、CH2=CFCF2CF2CF2H、CH2=CFCF2CF2CF2CF3等が挙げられ、なかでも、CH2=CFCF3で示される2,3,3,3−テトラフルオロプロピレンが好ましい。
フルオロアルキルエチレンとしては、
一般式(170):CH2=CH−(CF2)n−X171
(式中、X171はH又はFであり、nは3〜10の整数である。)で表されるフルオロアルキルエチレンが好ましく、CH2=CH−C4F9、及び、CH2=CH−C6F13からなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
架橋部位を与えるモノマーとしては、
一般式(180):CX181 2=CX182−Rf 181CHR181X183
(式中、X181及びX182は、独立に、水素原子、フッ素原子又はCH3、Rf 181は、フルオロアルキレン基、パーフルオロアルキレン基、フルオロ(ポリ)オキシアルキレン基又はパーフルオロ(ポリ)オキシアルキレン基、R181は、水素原子又はCH3、X183は、ヨウ素原子又は臭素原子である。)で表されるフルオロモノマー、
一般式(190):CX191 2=CX192−Rf 191X193
(式中、X191及びX192は、独立に、水素原子、フッ素原子又はCH3、Rf 191は、フルオロアルキレン基、パーフルオロアルキレン基、フルオロポリオキシアルキレン基又はパーフルオロポリオキシアルキレン基、X193は、ヨウ素原子又は臭素原子である。)で表されるフルオロモノマー、
一般式(200):CF2=CFO(CF2CF(CF3)O)m(CF2)n−X201
(式中、mは0〜5の整数、nは1〜3の整数、X201は、シアノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、ヨウ素原子、臭素原子、又は、−CH2Iである。)で表されるフルオロモノマー、及び、
一般式(210):CH2=CFCF2O(CF(CF3)CF2O)m(CF(CF3))n−X211
(式中、mは0〜5の整数、nは1〜3の整数、X211は、シアノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、ヨウ素原子、臭素原子、又は−CH2OHである。)で表されるフルオロモノマー、及び、
一般式(220):CR221R222=CR223−Z221−CR224=CR225R226
(式中、R221、R222、R223、R224、R225及びR226は、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である。Z221は、直鎖又は分岐状で酸素原子を有していてもよい、炭素数1〜18のアルキレン基、炭素数3〜18のシクロアルキレン基、少なくとも部分的にフッ素化している炭素数1〜10のアルキレン基若しくはオキシアルキレン基、又は、
−(Q)p−CF2O−(CF2CF2O)m(CF2O)n−CF2−(Q)p−
(式中、Qはアルキレン基またはオキシアルキレン基である。pは0または1である。m/nが0.2〜5である。)で表され、分子量が500〜10000である(パー)フルオロポリオキシアルキレン基である。)で表されるモノマー
からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
X183及びX193は、ヨウ素原子であることが好ましい。Rf 181及びRf 191は炭素数が1〜5のパーフルオロアルキレン基であることが好ましい。R181は、水素原子であることが好ましい。X201は、シアノ基、アルコキシカルボニル基、ヨウ素原子、臭素原子、又は、−CH2Iであることが好ましい。X211は、シアノ基、アルコキシカルボニル基、ヨウ素原子、臭素原子、又は−CH2OHであることが好ましい。
上記フッ素化ビニルヘテロ環状体としては、一般式(230):
(式中、X
231及びX
232は、独立に、F、Cl、メトキシ基又はフッ素化メトキシ基であり、Y
231は式Y
232又は式Y
233である。
(式中、Z
231及びZ
232は、独立に、F又は炭素数1〜3のフッ素化アルキル基である。))で表されるフッ素化ビニルヘテロ環状体が挙げられる。
架橋部位を与えるモノマーとしては、CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2CN、CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2COOH、CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2COOCH3、CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2CH2I、CF2=CFOCF2CF2CH2I、CH2=CFCF2OCF(CF3)CF2OCF(CF3)CN、CH2=CFCF2OCF(CF3)CF2OCF(CF3)COOH、CH2=CFCF2OCF(CF3)CF2OCF(CF3)COOCH3、CH2=CFCF2OCF(CF3)CF2OCF(CF3)CH2OH、CH2=CHCF2CF2I、CH2=CH(CF2)2CH=CH2、CH2=CH(CF2)6CH=CH2、及び、CF2=CFO(CF2)5CNからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2CN及びCF2=CFOCF2CF2CH2Iからなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
上記工程において、上記フルオロモノマーとフッ素非含有モノマーとを重合してもよい。上記フッ素非含有モノマーとしては、上記フルオロモノマーと反応性を有する炭化水素系モノマー等が挙げられる。上記炭化水素系モノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等のアルケン類;エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、n−酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、吉草酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、カプリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、パラ−t−ブチル安息香酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニル、モノクロル酢酸ビニル、アジピン酸ビニル、アクリル酸ビニル、メタクリル酸ビニル、クロトン酸ビニル、ソルビン酸ビニル、桂皮酸ビニル、ウンデシレン酸ビニル、ヒドロキシ酢酸ビニル、ヒドロキシプロピオイン酸ビニル、ヒドロキシ酪酸ビニル、ヒドロキシ吉草酸ビニル、ヒドロキシイソ酪酸ビニル、ヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸ビニル等のビニルエステル類;エチルアリルエーテル、プロピルアリルエーテル、ブチルアリルエーテル、イソブチルアリルエーテル、シクロヘキシルアリルエーテル等のアルキルアリルエーテル類;エチルアリルエステル、プロピルアリルエステル、ブチルアリルエステル、イソブチルアリルエステル、シクロヘキシルアリルエステル等のアルキルアリルエステル類等が挙げられる。
上記フッ素非含有モノマーとしては、また、官能基含有炭化水素系モノマーであってもよい。上記官能基含有炭化水素系モノマーとしては、例えば、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシプロピルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ヒドロキシイソブチルビニルエーテル、ヒドロキシシクロヘキシルビニルエーテル等のヒドロキシアルキルビニルエーテル類;イタコン酸、フマル酸、無水フマル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸等のカルボキシル基を有するフッ素非含有モノマー;グリシジルビニルエーテル、グリシジルアリルエーテル等のグリシジル基を有するフッ素非含有モノマー;アミノアルキルビニルエーテル、アミノアルキルアリルエーテル等のアミノ基を有するフッ素非含有モノマー;(メタ)アクリルアミド、メチロールアクリルアミド等のアミド基を有するフッ素非含有モノマー等が挙げられる。
上記工程において、上記フルオロモノマーの1種又は2種以上を重合することにより、所望のフルオロポリマーの粒子を得ることができる。
本発明の製造方法は、上記界面活性剤を少なくとも1種用いれば、フルオロポリマーを効率よく製造することが可能である。また、本発明の製造方法において、界面活性剤として、上記界面活性剤を2種以上同時に用いてもよいし、揮発性を有するもの又はフルオロポリマーからなる成形体等に残存してもよいものであれば、上記界面活性剤以外のその他の界面活性能を有する化合物を同時に使用してもよい。
本発明の製造方法において、上記重合を非イオン性界面活性剤の存在下で行うことも好ましい。上記非イオン性界面活性剤としては、
一般式(240):Rf241−(X241)n−Y241
(式中、Rf241は1〜12個の炭素原子を有する部分フッ素化アルキル基又は完全フッ素化アルキル基であり、nは0又は1であり、X241は−O−、−COO−又は−OCO−であり、Y241は−(CH2)pH、−(CH2)pOH又は−(OR241)q(OR242)rOHであり、pは1〜12の整数であり、qは1〜12の整数であり、rは0〜12の整数であり、R241及びR242は2〜4個の炭素原子を有するアルキレン基である。但しR241とR242とはお互いに異なる。)で表される化合物、
一般式(250):H(OR251)u(OR252)vOH
(式中、R251及びR252は、1〜4個の炭素原子を有するアルキレン基であり、u及びvは1〜5の整数である。但しR251とR252とはお互いに異なる。)で表されるブロックポリマー、
炭素数が8〜20個の炭化水素基からなる疎水基および、ポリアルキレンオキサイドからなる親水基を分子内に有する非イオン性界面活性剤、及び、
一般式(260):R261 m−Si−(OR262)4−m
(式中、R261は1〜12個の炭素原子を有するアルキル基、R262は1〜4個の炭素原子を有するアルキル基であり、mは1〜3の整数である。)で表されるケイ素化合物、
からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
一般式(250)で表されるブロックポリマーとして、具体的な例をあげると、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレンの群から選ばれる少なくとも2種のセグメントからなるブロックポリマーが例示される。中でも、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシエチレン−ポリオキシブチレンブロックポリマーが例示され、A−B型のみでなくA−B−A型のブロックポリマーも好ましく例示される。さらに好ましくは、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマーを使うことにより、高濃度で安定なフルオロポリマーの分散液を調製することができる。さらに、ポリオキシエチレンセグメントの含有量が、10〜50%であると、再凝集によると思われる凝集物の発生が少ないため好ましく、さらに20〜40%のときに、低粘度のフルオロポリマーの分散液を調製できるため好ましい。分子量は、特に制限されないが、1000〜7000g/molであればよく、さらに特に2500〜6500g/molの時に粘度が低く分散性に優れた分散液を調製することができる。
本発明の製造方法において、核形成剤を使用してもよい。上記核形成剤の好ましい量としては、核形成剤の種類により適宜選択できるが、例えば、上記水性媒体に対し、1000ppm以下であり、より好ましい量として500ppm以下であり、更に好ましい量として100ppm以下であり、特に好ましい量として50ppm以下であり、ことさら、好ましい量として10ppm以下である。
上記核形成剤を使用することにより、上記核形成剤の非存在下で重合を行うのと比較して、小さい一次粒子径を有するフルオロポリマーが得られる。
上記核形成剤としては、パーフルオロポリエーテル(PFPE)酸またはその塩、炭化水素含有界面活性剤(但し界面活性剤(a)及び(b)を除く)等が挙げられる。上記核形成剤は、芳香環を含まないことが好ましく、脂肪族化合物であることが好ましい。
上記核形成剤は、重合開始剤の添加より前、もしくは、重合開始剤の添加と同時に加えることが好ましいが、重合途中に加えることにより、粒度分布を調整することもできる。
上記パーフルオロポリエーテル(PFPE)酸またはその塩は、分子の主鎖中の酸素原子が、1〜3個の炭素原子を有する飽和フッ化炭素基によって隔てられる任意の鎖構造を有してよい。また、2種以上のフッ化炭素基が、分子中に存在してよい。代表的な構造は、下式に表される繰り返し単位を有する:
(−CFCF3−CF2−O−)n (VII)
(−CF2−CF2−CF2−O−)n (VIII)
(−CF2−CF2−O−)n−(−CF2−O−)m (IX)
(−CF2−CFCF3−O−)n−(−CF2−O−)m (X)
これらの構造は、Kasaiによって、J.Appl.Polymer Sci.57,797(1995)に記載されている。この文献に開示されているように、上記PFPE酸又はその塩は、一方の末端または両方の末端にカルボン酸基またはその塩を有してよい。上記PFPE酸又はその塩は、また、一方の末端または両方の末端に、スルホン酸、ホスホン酸基又はこれらの塩を有してよい。また、上記PFPE酸又はその塩は、各末端に異なる基を有してよい。単官能性のPFPEについては、分子の他方の末端は、通常、過フッ素化されているが、水素または塩素原子を含有してよい。上記PFPE酸又はその塩は、少なくとも2つのエーテル酸素、好ましくは少なくとも4つのエーテル酸素、さらにより好ましくは少なくとも6つのエーテル酸素を有する。好ましくは、エーテル酸素を隔てるフッ化炭素基の少なくとも1つ、より好ましくは、このようなフッ化炭素基の少なくとも2つは、2または3個の炭素原子を有する。さらにより好ましくは、エーテル酸素を隔てるフッ化炭素基の少なくとも50%は、2または3個の炭素原子を有する。また、好ましくは、上記PFPE酸又はその塩は、合計で少なくとも15個の炭素原子を有し、例えば、上記の繰返し単位構造中のnまたはn+mの好ましい最小値は、少なくとも5である。1つの末端または両方の末端に酸基を有する2つ以上の上記PFPE酸又はその塩が、本発明の製造方法に使用され得る。上記PFPE酸又はその塩は、好ましくは、6000g/モル未満の数平均分子量を有する。
上記炭化水素含有界面活性剤の添加量は、上記水性媒体に対して、好ましくは40ppm以下、より好ましくは30ppm以下、更に好ましくは20ppm以下である。好ましい下限値は、0.01ppm、より好ましくは、0.1ppm、さらに好ましくは、1.0ppmである。
上記炭化水素含有界面活性剤には、米国特許第7,897,682号明細書(Brothers et al.)および米国特許第7,977,438号明細書(Brothers et al.)に開示されるものなどのシロキサン界面活性剤を含む、非イオン性界面活性剤およびカチオン性界面活性剤が含まれる。
上記炭化水素含有界面活性剤としては、非イオン性炭化水素界面活性剤が好ましい。すなわち、核形成界面活性剤としては、非イオン性炭化水素界面活性剤が好ましい。上記非イオン性炭化水素界面活性剤は、好ましくは芳香族部分を含まない。
上記非イオン性炭化水素界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ソルビタンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル、グリセロールエステル、それらの誘導体などが挙げられる。より具体的には、ポリオキシエチレンアルキルエーテルの例は、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテルなどであり;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルの例は、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテルなどであり;ポリオキシエチレンアルキルエステルの例は、ポリエチレングリコールモノラウリレート(polyethylene glycol monolaurylate)、ポリエチレングリコールモノオレエート、ポリエチレングリコールモノステアレートなどであり;ソルビタンアルキルエステルの例は、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウリレート(polyoxyethylene sorbitan monolaurylate)、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートなどであり;ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステルの例は、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウリレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートなどであり;グリセロールエステルの例は、モノミリスチン酸グリセロール、モノステアリン酸グリセロール、モノオレイン酸グリセロールなどである。また、それらの誘導体の例は、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルフェニル−ホルムアルデヒド凝縮物、ポリオキシエチレンアルキルエーテルホスフェートなどである。特に好ましいのは、ポリオキシエチレンアルキルエーテルおよびポリオキシエチレンアルキルエステルである。このようなエーテルおよびエステルの例は、10〜18のHLB値を有するものである。より具体的には、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(EO:5〜20。EOは、エチレンオキシド単位を表す)、ポリエチレングリコールモノステアレート(EO:10〜55)およびポリエチレングリコールモノオレエート(EO:6〜10)がある。
好適な非イオン性炭化水素界面活性剤としては、Dow Chemical Companyによって供給されるTriton(登録商標)Xシリーズなどのオクチルフェノールエトキシレートが挙げられる:
Triton(登録商標)
X15:n=1.5(avg)
X45:n=4.5(avg)
好ましい非イオン性炭化水素界面活性剤は、Dow Chemical Companyによって供給されるTergitol(登録商標)15−Sシリーズなどの分枝鎖状アルコールエトキシレートおよびやはりDow Chemical Companyによって供給されるTergitol(登録商標)TMNシリーズなどの分枝鎖状第2級アルコールエトキシレートである:
Tergitol(登録商標)
TMN−6:n=8(avg)
TMN−10:n=11(avg)
TMN−100:n=10(avg)
Dow Chemical Companyによって供給されるTergitol(登録商標)Lシリーズ界面活性剤などのエチレンオキシド/プロピレンオキシドコポリマーは、上記非イオン性炭化水素界面活性剤としても有用である。
さらに別の有用な群の好適な非イオン性炭化水素界面活性剤は、以下のものなどの、BASFからPluronic(登録商標)Rシリーズとして供給される二官能基ブロックコポリマーである:
Pluronic(登録商標)
31R1:m=26(avg)、n=8(avg)
17R2:m=14(avg)、n=9(avg)
10R5:m=8(avg)、n=22(avg)
25R4:m=22(avg)、n=23(avg)
別の群の好適な非イオン性炭化水素界面活性剤は、BASF CorporationからIconol(登録商標)TDAシリーズとして供給されるトリデシルアルコールアルコキシレートである。
Iconol(登録商標)
TDA−6:n=6(avg)
TDA−9:n=9(avg)
TDA−10:n=19(avg)
上記カチオン性界面活性剤も、核形成界面活性剤として使用できる。典型的なカチオン性界面活性剤は、アルキル化臭化アンモニウムなどのアルキル化ハロゲン化アンモニウムなどの正に帯電した親水性部分、および長鎖脂肪酸などの疎水性部分を有する。
使用され得る別の群の核形成界面活性剤は、炭化水素含有シロキサン界面活性剤、好ましくは炭化水素界面活性剤であり、ここで、上記のヒドロカルビル基は、フッ素などのハロゲンによって置換され得る場合に、水素原子によって完全に置換され、それによって、これらのシロキサン界面活性剤は、炭化水素界面活性剤とみなすこともでき、すなわち、ヒドロカルビル基上の一価置換基は水素である。核形成界面活性剤として好ましいのは、非イオン性部分を有する炭化水素シロキサン、すなわち、非イオン性炭化水素(シロキサン)界面活性剤である。
また、フルオロモノマーとしてTFEを用いて、フルオロポリマーとしてポリテトラフルオロエチレン〔PTFE〕を製造する場合は、TFEの乳化重合の開始時に、(ポリフルオロアルキル)エチレン(a)、及び/又は、TFEとの共重合におけるモノマー反応性比rTFEが0.1〜8であるコモノマー(b)を、最終的なPTFEの生成量に対して0.001〜0.01質量%となるように乳化重合系に含有させることで、PTFE水性乳化液の安定性が、その後の加工性、成形性などを損なわない程度に高く、耐熱性の高い成形品を得ることが可能なPTFE水性乳化液を製造できる。
上記反応性比は、コモノマーを様々な仕込み組成でTFEと共重合させ、開始直後の生成ポリマー中の組成を求め、上記組成からファインマン−ロスの式より算出できる。
上記共重合は、内容積6.0Lのステンレス製オートクレーブに3600gの脱イオン脱気水、上記水に対して1000ppmのパーフルオロオクタン酸、100gのパラフィンワックスを使用して、圧力0.78MPa、温度70℃で実施する。0.05g、0.1g、0.2g、0.5g、1.0gのコモノマーをそれぞれ反応器に加え、0.072gの過硫酸アンモニウム(対水20ppm)を加えて、重合圧力0.78MPaを維持させるため、TFEを連続的に供給する。TFE仕込量が1000gに到達したとき、撹拌を停止して、反応器が大気圧になるまで脱圧を行なう。冷却後、パラフィンワックスを分離することにより、生成ポリマーを含む水性分散液が得られる。上記水性分散液を撹拌して生成ポリマーを凝析させ、150℃で乾燥させる。得られた生成ポリマー中の組成を、NMR、FT−IR、元素分析、蛍光X線分析をモノマーの種類によって適宜組み合わせることで算出する。
本発明の製造方法において、上記界面活性剤とともに、反応性界面活性剤を使用してもよい。上記反応性界面活性剤としては、少なくとも1つ以上のビニル基を含む界面活性能を有する化合物であればよく、例えば、一般式(270a):
CF2=CF−(CF2)n271a−Y271
(式中、n271aは、1〜10の整数を表し、Y271は、−SO3M271又は−COOM271を表し、M271は、H、NH4又はアルカリ金属を表す。)で表される界面活性剤、一般式(270b):
CF2=CF−(CF2C(CF3)F)n271b−Y271
(式中、n271bは、1〜5の整数を表し、Y271は、前記定義と同じ。)で表される界面活性剤、一般式(270c):
CF2=CF−O−(CFX271)n271c−Y271
(式中、X271は、F又はCF3を表し、n271cは、1〜10の整数を表し、Y271は、前記定義と同じ。)で表される界面活性剤、一般式(270d)
CF2=CF−O−(CF2CFX271O)n271d−CF2CF2−Y271
(式中、n271dは、1〜10の整数を表し、Y271及びX271は、前記定義と同じ。)で表される界面活性剤、一般式:(270e)
CX272 2=CFCF2−O−(CF(CF3)CF2O)n271e−CF(CF3)−Y271
(式中、各X272は、同一であり、F又はHを表す。n271eは、0又は1〜10の整数を表し、Y271は、前記定義と同じ。)で表される界面活性剤等が挙げられる。
また、本発明の製造方法において、上記界面活性剤と、所望により用いるその他の界面活性能を有する化合物に加え、各化合物を安定化するため添加剤を使用することができる。上記添加剤としては、緩衝剤、pH調整剤、安定化助剤、分散安定剤などが挙げられる。
安定化助剤としては、パラフィンワックス、フッ素系オイル、フッ素系溶剤、シリコーンオイルなどが好ましい。安定化助剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。安定化助剤としては、パラフィンワックスがより好ましい。パラフィンワックスとしては、室温で液体でも、半固体でも、固体であってもよいが、炭素数12以上の飽和炭化水素が好ましい。パラフィンワックスの融点は、通常40〜65℃が好ましく、50〜65℃がより好ましい。
安定化助剤の使用量は、使用する水性媒体の質量基準で0.1〜12質量%が好ましく、0.1〜8質量%がより好ましい。安定化助剤は十分に疎水的で、TFEの乳化重合後にPTFE水性乳化液と完全に分離されて、コンタミ成分とならないことが望ましい。
本発明の製造方法において、重合は、重合反応器に、水性媒体、上記界面活性剤、モノマー及び必要に応じて他の添加剤を仕込み、反応器の内容物を撹拌し、そして反応器を所定の重合温度に保持し、次に所定量の重合開始剤を加え、重合反応を開始することにより行う。重合反応開始後に、目的に応じて、モノマー、重合開始剤、連鎖移動剤及び上記界面活性剤等を追加添加してもよい。上記界面活性剤を重合反応が開始した後に添加してもよい。
上記重合において、通常、重合温度は、5〜120℃であり、重合圧力は、0.05〜10MPaGである。重合温度、重合圧力は、使用するモノマーの種類、目的とするフルオロポリマーの分子量、反応速度によって適宜決定される。
上記界面活性剤は、合計添加量で、水性媒体100質量%に対して0.0001〜10質量%の量を添加することが好ましい。より好ましい下限は0.001質量%であり、より好ましい上限は1質量%である。0.0001質量%未満であると、分散力が不充分となるおそれがあり、10質量%を超えると、添加量に見合った効果が得られず、却って重合速度の低下や反応停止が起こるおそれがある。上記化合物の添加量は、使用するモノマーの種類、目的とするフルオロポリマーの分子量等によって適宜決定される。
上記重合開始剤としては、上記重合温度範囲でラジカルを発生しうるものであれば特に限定されず、公知の油溶性及び/又は水溶性の重合開始剤を使用することができる。更に、還元剤等と組み合わせてレドックスとして重合を開始することもできる。上記重合開始剤の濃度は、モノマーの種類、目的とするフルオロポリマーの分子量、反応速度によって適宜決定される。
上記重合開始剤としては、油溶性ラジカル重合開始剤、または水溶性ラジカル重合開始剤を使用できる。
油溶性ラジカル重合開始剤としては、公知の油溶性の過酸化物であってよく、たとえばジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジsec−ブチルパーオキシジカーボネートなどのジアルキルパーオキシカーボネート類、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシピバレートなどのパーオキシエステル類、ジt−ブチルパーオキサイドなどのジアルキルパーオキサイド類などが、また、ジ(ω−ハイドロ−ドデカフルオロヘプタノイル)パーオキサイド、ジ(ω−ハイドロ−テトラデカフルオロヘプタノイル)パーオキサイド、ジ(ω−ハイドロ−ヘキサデカフルオロノナノイル)パーオキサイド、ジ(パーフルオロブチリル)パーオキサイド、ジ(パーフルオロバレリル)パーオキサイド、ジ(パーフルオロヘキサノイル)パーオキサイド、ジ(パーフルオロヘプタノイル)パーオキサイド、ジ(パーフルオロオクタノイル)パーオキサイド、ジ(パーフルオロノナノイル)パーオキサイド、ジ(ω−クロロ−ヘキサフルオロブチリル)パーオキサイド、ジ(ω−クロロ−デカフルオロヘキサノイル)パーオキサイド、ジ(ω−クロロ−テトラデカフルオロオクタノイル)パーオキサイド、ω−ハイドロ−ドデカフルオロヘプタノイル−ω−ハイドロヘキサデカフルオロノナノイル−パーオキサイド、ω−クロロ−ヘキサフルオロブチリル−ω−クロ−デカフルオロヘキサノイル−パーオキサイド、ω−ハイドロドデカフルオロヘプタノイル−パーフルオロブチリル−パーオキサイド、ジ(ジクロロペンタフルオロブタノイル)パーオキサイド、ジ(トリクロロオクタフルオロヘキサノイル)パーオキサイド、ジ(テトラクロロウンデカフルオロオクタノイル)パーオキサイド、ジ(ペンタクロロテトラデカフルオロデカノイル)パーオキサイド、ジ(ウンデカクロロドトリアコンタフルオロドコサノイル)パーオキサイドのジ[パーフロロ(またはフルオロクロロ)アシル]パーオキサイド類などが代表的なものとしてあげられる。
水溶性ラジカル重合開始剤としては、公知の水溶性過酸化物であってよく、たとえば、過硫酸、過ホウ酸、過塩素酸、過リン酸、過炭酸などのアンモニウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、t−ブチルパーマレエート、t−ブチルハイドロパーオキサイドなどがあげられる。サルファイト類、亜硫酸塩類のような還元剤も併せて含んでもよく、その使用量は過酸化物に対して0.1〜20倍であってよい。
例えば、30℃以下の低温で重合を実施する場合等では、重合開始剤として、酸化剤と還元剤を組み合わせるレドックス開始剤を用いるのが好ましい。酸化剤としては、過硫酸塩、有機過酸化物、過マンガン酸カリウム、三酢酸マンガン、セリウム硝酸アンモニウム、臭素酸塩等が挙げられる。還元剤としては、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、臭素酸塩、ジイミン、シュウ酸等が挙げられる。過硫酸塩としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウムが挙げられる。亜硫酸塩としては、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸アンモニウムが挙げられる。開始剤の分解速度を上げるため、レドックス開始剤の組み合わせには、銅塩、鉄塩を加えることも好ましい。銅塩としては、硫酸銅(II)、鉄塩としては硫酸鉄(II)が挙げられる。
上記レドックス開始剤としては、例えば、過マンガン酸カリウム/シュウ酸、過硫酸アンモニウム/重亜硫酸塩/硫酸鉄(II)、過硫酸アンモニウム/亜硫酸塩/硫酸鉄(II)、過硫酸アンモニウム/亜硫酸塩、過硫酸アンモニウム/硫酸鉄(II)、三酢酸マンガン/シュウ酸、セリウム硝酸アンモニウム/シュウ酸、臭素酸塩/亜硫酸塩、臭素酸塩/重亜硫酸塩等が挙げられ、過マンガン酸カリウム/シュウ酸、過硫酸アンモニウム/亜硫酸塩/硫酸鉄(II)が好ましい。レドックス開始剤を用いる場合は、酸化剤又は還元剤のいずれかをあらかじめ重合槽に仕込み、ついでもう一方を連続的又は断続的に加えて重合を開始させてもよい。例えば、過マンガン酸カリウム/シュウ酸を用いる場合、重合槽にシュウ酸を仕込み、そこへ過マンガン酸カリウムを連続的に添加することが好ましい。
重合開始剤の添加量は、特に限定はないが、重合速度が著しく低下しない程度の量(たとえば、数ppm対水濃度)以上を重合の初期に一括して、または逐次的に、または連続して添加すればよい。上限は、装置面から重合反応熱で除熱を行ないながら、反応温度を上昇させてもよい範囲であり、より好ましい上限は、装置面から重合反応熱を除熱できる範囲である。
上記水性媒体は、重合を行わせる反応媒体であって、水を含む液体を意味する。上記水性媒体は、水を含むものであれば特に限定されず、水と、例えば、アルコール、エーテル、ケトン等のフッ素非含有有機溶媒、及び/又は、沸点が40℃以下であるフッ素含有有機溶媒とを含むものであってもよい。
上記重合において、更に、目的に応じて、公知の連鎖移動剤、ラジカル捕捉剤、分解剤を添加し、重合速度、分子量の調整を行うこともできる。
上記連鎖移動剤としては、たとえばマロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、コハク酸ジメチルなどのエステル類のほか、イソペンタン、メタン、エタン、プロパン、イソブタン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、各種メルカプタン、四塩化炭素などの各種ハロゲン化炭化水素、シクロヘキサンなどがあげられる。
連鎖移動剤として臭素化合物又はヨウ素化合物を使用してもよい。臭素化合物又はヨウ素化合物を使用して行う重合方法としては、たとえば、実質的に無酸素状態で、臭素化合物又はヨウ素化合物の存在下に、水性媒体中でフルオロモノマーの重合を行う方法があげられる(ヨウ素移動重合法)。使用する臭素化合物又はヨウ素化合物の代表例としては、たとえば、一般式:
RaIxBry
(式中、xおよびyはそれぞれ0〜2の整数であり、かつ1≦x+y≦2を満たすものであり、Raは炭素数1〜16の飽和もしくは不飽和のフルオロ炭化水素基またはクロロフルオロ炭化水素基、または炭素数1〜3の炭化水素基であり、酸素原子を含んでいてもよい)で表される化合物があげられる。臭素化合物又はヨウ素化合物を使用することによって、ヨウ素または臭素が重合体に導入され、架橋点として機能する。
ヨウ素化合物としては、たとえば1,3−ジヨードパーフルオロプロパン、2−ヨードパーフルオロプロパン、1,3−ジヨード−2−クロロパーフルオロプロパン、1,4−ジヨードパーフルオロブタン、1,5−ジヨード−2,4−ジクロロパーフルオロペンタン、1,6−ジヨードパーフルオロヘキサン、1,8−ジヨードパーフルオロオクタン、1,12−ジヨードパーフルオロドデカン、1,16−ジヨードパーフルオロヘキサデカン、ジヨードメタン、1,2−ジヨードエタン、1,3−ジヨード−n−プロパン、CF2Br2、BrCF2CF2Br、CF3CFBrCF2Br、CFClBr2、BrCF2CFClBr、CFBrClCFClBr、BrCF2CF2CF2Br、BrCF2CFBrOCF3、1−ブロモ−2−ヨードパーフルオロエタン、1−ブロモ−3−ヨードパーフルオロプロパン、1−ブロモ−4−ヨードパーフルオロブタン、2−ブロモ−3−ヨードパーフルオロブタン、3−ブロモ−4−ヨードパーフルオロブテン−1、2−ブロモ−4−ヨードパーフルオロブテン−1、ベンゼンのモノヨードモノブロモ置換体、ジヨードモノブロモ置換体、ならびに(2−ヨードエチル)および(2−ブロモエチル)置換体などがあげられ、これらの化合物は、単独で使用してもよく、相互に組み合わせて使用することもできる。
これらのなかでも、重合反応性、架橋反応性、入手容易性などの点から、1,4−ジヨードパーフルオロブタン、1,6−ジヨードパーフルオロヘキサン、2−ヨードパーフルオロプロパンを用いるのが好ましい。
上記連鎖移動剤の使用量は、通常、供給されるフルオロモノマー全量に対して、1〜50,000ppmであり、好ましくは1〜20,000ppmである。
上記連鎖移動剤は、重合開始前に一括して反応容器中に添加してもよいし、重合開始後に一括して添加してもよいし、重合中に複数回に分割して添加してもよいし、また、重合中に連続的に添加してもよい。
上記フルオロポリマーの製造方法は、上記界面活性剤の存在下に、水性媒体中で上記フルオロモノマーを重合して、含フッ素重合体(A)粒子の水性分散液を製造する工程(I)、及び、(II)上記含フッ素重合体(A)粒子の水性分散液中で、上記フルオロモノマーを含フッ素重合体(A)粒子にシード重合する工程を含むフルオロポリマーの製造方法であってもよい。
本発明の製造方法により好適に製造されるフルオロポリマーとして、ポリマーにおけるモノマーのモル分率が最も多いモノマー(以下、「最多単量体」)がTFEであるTFE重合体、最多単量体がVDFであるVDF重合体、最多単量体がCTFEであるCTFE重合体等が挙げられる。
TFE重合体としては、好適には、TFE単独重合体であってもよいし、(1)TFE、(2)炭素原子2〜8個を有する1つ又は2つ以上のTFE以外のフッ素含有モノマー、特にVDF、HFP若しくはCTFE、及び、(3)その他のモノマーからなる共重合体であってもよい。上記(3)その他のモノマーとしては、例えば、炭素原子1〜5個、特に炭素原子1〜3個を有するアルキル基を持つフルオロ(アルキルビニルエーテル);フルオロジオキソール;パーフルオロアルキルエチレン;ω−ヒドロパーフルオロオレフィン等が挙げられる。
TFE重合体としては、また、TFEと、1つ又は2つ以上のフッ素非含有モノマーとの共重合体であってもよい。上記フッ素非含有モノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン等のアルケン類;ビニルエステル類;ビニルエーテル類が挙げられる。TFE重合体としては、また、TFEと、炭素原子2〜8個を有する1つ又は2つ以上のフッ素含有モノマーと、1つ又は2つ以上のフッ素非含有モノマーとの共重合体であってもよい。
VDF重合体としては、好適には、VDF単独重合体[PVDF]であってもよいし、(1)VDF、(2)炭素原子2〜8個を有する1つ又は2つ以上のVDF以外のフルオロオレフィン、特にTFE、HFP若しくはCTFE、及び、(3)炭素原子1〜5個、特に炭素原子1〜3個を有するアルキル基を持つパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)からなる共重合体等であってもよい。
CTFE重合体としては、好適には、CTFE単独重合体であってもよいし、(1)CTFE、(2)炭素原子2〜8個を有する1つ又は2つ以上のCTFE以外のフルオロオレフィン、特にTFE若しくはHFP、及び、(3)炭素原子1〜5個、特に炭素原子1〜3個を有するアルキル基を持つパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)からなる共重合体であってもよい。
CTFE重合体としては、また、CTFEと、1つ又は2つ以上のフッ素非含有モノマーとの共重合体であってもよく、上記フッ素非含有モノマーとしては、エチレン、プロピレン等のアルケン類;ビニルエステル類;ビニルエーテル類等が挙げられる。
本発明の製造方法により製造されるフルオロポリマーは、ガラス状、可塑性又はエラストマー性であり得る。これらのものは非晶性又は部分的に結晶性であり、圧縮焼成加工、溶融加工又は非溶融加工に供することができる。
本発明の製造方法では、例えば、(I)非溶融加工性フッ素樹脂として、テトラフルオロエチレン重合体[TFE重合体(PTFE)]が、(II)溶融加工性フッ素樹脂として、エチレン/TFE共重合体[ETFE]、TFE/HFP共重合体[FEP]、TFE/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体[PFA、MFA等]、TFE/VDF共重合体、電解質ポリマー前駆体が、(III)フッ素ゴムとして、TFE/プロピレン共重合体、TFE/プロピレン/第3モノマー共重合体(上記第3モノマーは、VDF、HFP、CTFE、フルオロアルキルビニルエーテル類等)、TFEとフルオロアルキルビニルエーテル類とからなる共重合体;HFP/エチレン共重合体、HFP/エチレン/TFE共重合体;PVDF;VDF/HFP共重合体、HFP/エチレン共重合体、VDF/TFE/HFP共重合体[THV]等の熱可塑性エラストマー;及び、特公昭61−49327号公報に記載の含フッ素セグメント化ポリマー等が好適に製造されうる。
上記フルオロポリマーとしては、フッ素樹脂が好ましく、なかでも下記式により算出されるフッ素置換率が50%以上のフッ素樹脂がより好ましく、上記フッ素置換率が50%を超えるフッ素樹脂が更に好ましく、上記フッ素置換率が55%以上のフッ素樹脂が更により好ましく、上記フッ素置換率が60%以上のフッ素樹脂が更により好ましく、上記フッ素置換率が75%以上のフッ素樹脂が更により好ましく、上記フッ素置換率が80%以上のフッ素樹脂が特に好ましく、上記フッ素置換率が90〜100%のフッ素樹脂、すなわちパーフルオロ樹脂が最も好ましい。
(式)
フッ素置換率(%)=(フルオロポリマーを構成する炭素原子に結合するフッ素原子の個数)/((フルオロポリマーを構成する炭素原子に結合する水素原子の個数)+(フルオロポリマーを構成する炭素原子に結合するフッ素原子及び塩素原子の個数))×100
上記パーフルオロ樹脂としては、上記フッ素置換率が95〜100%のフッ素樹脂がより好ましく、PTFE、FEP、PFAが更に好ましく、PTFEが特に好ましい。
上記フルオロポリマーは、コアシェル構造を有していてもよい。コアシェル構造を有するフルオロポリマーとしては、例えば、粒子中に高分子量のPTFEのコアと、より低分子量のPTFEまたは変性のPTFEシェルとを含む変性PTFEが挙げられる。このような変性PTFEとしては、例えば、特表2005−527652号公報に記載されるPTFEが挙げられる。
上記コアシェル構造としては、次の構造をとり得る。
コア:TFE単独重合体 シェル:TFE単独重合体
コア:変性PTFE シェル:TFE単独重合体
コア:変性PTFE シェル:変性PTFE
コア:TFE単独重合体 シェル:変性PTFE
コア:低分子量PTFE シェル:高分子量PTFE
コア:高分子量PTFE シェル:低分子量PTFE
上記コアシェル構造を有するフルオロポリマーにおいて、コアの比率の下限は、好ましくは0.5質量%、より好ましくは1.0質量%、更に好ましくは3.0質量%、特に好ましくは5.0質量%、最も好ましくは10.0質量%である。コアの比率の上限は、好ましくは99.5質量%、より好ましくは99.0質量%、更に好ましくは97.0質量%、特に好ましくは95.0質量%、最も好ましくは90.0質量%である。
上記コアシェル構造を有するフルオロポリマーにおいて、シェルの比率の下限は、好ましくは0.5質量%、より好ましくは1.0質量%、更に好ましくは3.0質量%、特に好ましくは5.0質量%、最も好ましくは10.0質量%である。シェルの比率の上限は、好ましくは99.5質量%、より好ましくは99.0質量%、更に好ましくは97.0質量%、特に好ましくは95.0質量%、最も好ましくは90.0質量%である。
上記コアシェル構造を有するフルオロポリマーにおいて、上記コア又は上記シェルを2層以上の構成とすることもできる。例えば、変性PTFEのコア中心部と、TFE単独重合体のコア外層部と、変性PTFEのシェルとを有する3層構造を有するフルオロポリマーであってよい。このような3層構造を有するフルオロポリマーとしては例えば、国際公開第2006/054612号に記載されるPTFEが挙げられる。
本発明の製造方法により好適に製造される上述の(I)非溶融加工性フッ素樹脂、(II)溶融加工性フッ素樹脂及び(III)フッ素ゴムは、以下の態様で製造することが好ましい。
(I)非溶融加工性フッ素樹脂
本発明の製造方法において、TFEの重合は、通常、重合温度10〜150℃、重合圧力0.05〜5MPaGにて行われる。
一の態様において、上記重合は、攪拌機を備えた耐圧の反応容器に純水を仕込み、脱酸素後、TFEを仕込み、所定の温度にし、重合開始剤を添加して反応を開始する。反応の進行とともに圧力が低下する場合は、初期圧力を維持するように、追加のTFEを連続的又は間欠的に追加供給する。所定量のTFEを供給した時点で、供給を停止し、反応容器内のTFEをパージし、温度を室温に戻して反応を終了する。圧力が低下しないように、追加のTFEを連続的又は間欠的に追加供給してもよい。
上記TFE重合体(PTFE)の製造において、知られている各種変性モノマーを併用することもできる。本明細書において、上記TFE重合体は、TFE単独重合体のみならず、TFEと変性モノマーとの共重合体であって、非溶融加工性であるもの(以下、「変性PTFE」という。)をも含む概念である。
上記変性モノマーとしては、例えば、HFP、CTFE等のパーハロオレフィン;炭素原子1〜5個、特に炭素原子1〜3個を有するアルキル基を持つフルオロ(アルキルビニルエーテル);フルオロジオキソール等の環式のフッ素化された単量体;パーハロアルキルエチレン;ω−ヒドロパーハロオレフィン等が挙げられる。変性モノマーの供給は、目的や、TFEの供給に応じて、初期一括添加、又は、連続的若しくは間欠的に分割添加を行うことができる。
変性PTFE中の変性モノマー含有率は、通常、0.001〜2.0質量%の範囲である。変性モノマー含有率の下限値は、より好ましくは0.01質量%、更に好ましくは0.05質量%である。変性モノマー含有率の上限は、より好ましくは1.0質量%、更に好まくは0.5質量%、特に好ましくは0.3質量%である。
上記TFE重合体の製造において、上記界面活性剤は、上述した本発明の製造方法における使用範囲で用いることができる。上記界面活性剤の濃度は、上記範囲であれば特に限定されないが、通常、重合開始時に臨界ミセル濃度(CMC)以下で添加される。添加量が多いとアスペクト比の大きい針状粒子が生成し、水性分散液がゲル状となり安定性が損なわれる。上記界面活性剤の使用量の下限は、水性媒体に対して、好ましくは0.0001質量%、より好ましくは0.001質量%、更に好ましくは0.01質量%、特に好ましくは0.1質量%である。上記界面活性剤の使用量の上限は、水性媒体に対して、好ましくは10質量%、より好ましくは5質量%、更に好ましくは3質量%、特に好ましくは2質量%である。
上記界面活性剤は、重合開始前に一括して反応容器中に添加してもよいし、重合開始後に一括して添加してもよいし、重合中に複数回に分割して添加してもよいし、また、重合中に連続的に添加してもよい。
上記TFE重合体の製造において、重合開始剤としては、過硫酸塩(例えば、過硫酸アンモニウム)や、ジコハク酸パーオキシド、ジグルタル酸パーオキシド等の有機過酸化物を、単独で又はこれらの混合物の形で使用することができる。また、亜硫酸ナトリウム等の還元剤と共用し、レドックス系にして用いてもよい。更に、重合中に、ヒドロキノン、カテコール等のラジカル捕捉剤を添加したり、亜硫酸アンモニウム等のパーオキサイドの分解剤を添加し、系内のラジカル濃度を調整したりすることもできる。
上記レドックス系の重合開始剤としては、酸化剤と還元剤を組み合わせるレドックス開始剤を用いるのが好ましい。酸化剤としては、過硫酸塩、有機過酸化物、過マンガン酸カリウム、三酢酸マンガン、セリウム硝酸アンモニウム、臭素酸塩等が挙げられる。還元剤としては、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、臭素酸塩、ジイミン、シュウ酸等が挙げられる。過硫酸塩としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウムが挙げられる。亜硫酸塩としては、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸アンモニウムが挙げられる。開始剤の分解速度を上げるため、レドックス開始剤の組み合わせには、銅塩、鉄塩を加えることも好ましい。銅塩としては、硫酸銅(II)、鉄塩としては硫酸鉄(II)が挙げられる。
上記レドックス開始剤としては、例えば、過マンガン酸カリウム/シュウ酸、過硫酸アンモニウム/重亜硫酸塩/硫酸鉄(II)、過硫酸アンモニウム/亜硫酸塩/硫酸鉄(II)、過硫酸アンモニウム/亜硫酸塩/、過硫酸アンモニウム/硫酸鉄(II)、三酢酸マンガン/シュウ酸、セリウム硝酸アンモニウム/シュウ酸、臭素酸塩/亜硫酸塩、臭素酸塩/重亜硫酸塩等が挙げられ、過マンガン酸カリウム/シュウ酸、過硫酸アンモニウム/亜硫酸塩/硫酸鉄(II)が好ましい。レドックス開始剤を用いる場合は、酸化剤又は還元剤のいずれかをあらかじめ重合槽に仕込み、ついでもう一方を連続的又は断続的に加えて重合を開始させてもよい。例えば、過マンガン酸カリウム/シュウ酸を用いる場合、重合槽にシュウ酸を仕込み、そこへ過マンガン酸カリウムを連続的に添加することが好ましい。
上記TFE重合体の製造において、連鎖移動剤としては、公知のものが使用できるが、例えば、メタン、エタン、プロパン、ブタン等の飽和炭化水素、クロロメタン、ジクロロメタン、ジフルオロエタン等のハロゲン化炭化水素類、メタノール、エタノール等のアルコール類、水素等が挙げられるが、常温常圧で気体状態のものが好ましい。
上記連鎖移動剤の使用量は、通常、供給されるTFE全量に対して、1〜10000ppmであり、好ましくは1〜5000ppmである。
上記TFE重合体の製造において、更に、反応系の分散安定剤として、実質的に反応に不活性であって、上記反応条件で液状となる炭素数が12以上の飽和炭化水素を、水性媒体100質量部に対して2〜10質量部で使用することもできる。また、反応中のpHを調整するための緩衝剤として、炭酸アンモニウム、リン酸アンモニウム等を添加してもよい。
上記TFE重合体の重合が終了した時点で、固形分濃度が1.0〜70質量%、平均一次粒子径が50〜500nm、の水性分散液を得ることができる。上記水性分散液は、上記界面活性剤、及び、フルオロポリマーを含有する。また、上記界面活性剤を使用することによって0.5μm以下の微小粒子径のTFE重合体からなる粒子を有する水性分散液を得ることができる。
上記固形分濃度の下限は5質量%が好ましく、8質量%がより好ましい。上限は特に限定されないが40質量%であってもよく、35質量%であってもよい。
上記平均一次粒子径の下限は100nmが好ましく、150nmがより好ましい。上限は400nmが好ましく、350nmがより好ましい。
上記水性分散液を凝析することによりファインパウダーを製造できる。上記TFE重合体の水性分散液は、凝析、洗浄、乾燥を経てファインパウダーとして各種用途に使用することができる。上記TFE重合体の水性分散液に対して凝析を行う場合、通常、ポリマーラテックス等の重合により得た水性分散液を、水を用いて5〜20質量%のポリマー濃度になるように希釈し、場合によっては、pHを中性又はアルカリ性に調整した後、撹拌機付きの容器中で反応中の撹拌よりも激しく撹拌して行う。上記凝析は、メタノール、アセトン等の水溶性有機化合物、硝酸カリウム、炭酸アンモニウム等の無機塩や、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸等を凝析剤として添加しながら撹拌を行ってもよい。上記凝析は、また、インラインミキサー等を使用して連続的に行ってもよい。
上記凝集により生じる排水中の未凝集の上記TFE重合体濃度は、生産性の観点から低いことが好ましく、0.4質量%未満がより好ましく、0.3質量%未満が特に好ましい。
上記凝析前や凝析中に、着色のための顔料や機械的性質を改良するための各種充填剤を添加することにより、顔料や充填剤が均一に混合した顔料入り又は充填剤入りのTFE重合体ファインパウダーを得ることができる。
上記TFE重合体の水性分散液を凝析して得られた湿潤粉末の乾燥は、通常、上記湿潤粉末をあまり流動させない状態、好ましくは静置の状態を保ちながら、真空、高周波、熱風等の手段を用いて行う。粉末同士の、特に高温での摩擦は、一般にファインパウダー型のTFE重合体に好ましくない影響を与える。これは、この種のTFE重合体からなる粒子が小さな剪断力によっても簡単にフィブリル化して、元の安定な粒子構造の状態を失う性質を持っているからである。
上記乾燥は、10〜250℃、好ましくは100〜200℃の乾燥温度で行う。
得られるTFE重合体ファインパウダーは、成形用として好ましく、好適な用途としては、航空機及び自動車等の油圧系、燃料系のチューブ等が挙げられ、薬液、蒸気等のフレキシブルホース、電線被覆用途等が挙げられる。
上記重合により得られたTFE重合体の水性分散液は、また、非イオン性界面活性剤を加えることにより、安定化して更に濃縮し、目的に応じ、有機又は無機の充填剤を加えた組成物として各種用途に使用することも好ましい。上記組成物は、金属又はセラッミクスからなる基材上に被覆することにより、非粘着性と低摩擦係数を有し、光沢や平滑性、耐摩耗性、耐候性及び耐熱性に優れた塗膜表面とすることができ、ロールや調理器具等の塗装、ガラスクロスの含浸加工等に適している。
上記水性分散液からTFE重合体のオルガノゾルを調製することもできる。上記オルガノゾルは、上記TFE重合体及び有機溶剤を含むことができ、上記有機溶剤としては、エーテル系溶媒、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、エステル系溶剤、脂肪族炭化水素系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤、ハロゲン化炭化水素系溶剤が挙げられ、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルアセトアミド等を好適に使用できる。上記オルガノゾルの調製は、例えば、国際公開第2012/002038号に記載の方法により実施できる。
上記TFE重合体の水性分散液又は上記TFE重合体ファインパウダーは、加工助剤として使用することも好ましい。加工助剤として使用する場合、上記水性分散液又は上記ファインパウダーをホストポリマー等に混合することにより、ホストポリマー溶融加工時の溶融強度向上や、得られたポリマーの機械的強度、電気特性、難燃性、燃焼時の滴下防止性、摺動性を向上することができる。
上記TFE重合体の水性分散液又は上記TFE重合体ファインパウダーは、電池用結着剤、防塵用途として使用することも好ましい。
上記TFE重合体の水性分散液又は上記TFE重合体ファインパウダーは、また、TFE重合体以外の樹脂と複合させてから加工助剤として使用することも好ましい。上記水性分散液又は上記ファインパウダーは、例えば、特開平11−49912号公報、米国特許第5804654号明細書、特開平11−29679号公報、特開2003−2980号公報に記載されたPTFEの原料として好適である。上記水性分散液又は上記ファインパウダーを使用した加工助剤は、上記各刊行物に記載された加工助剤に比べてもなんら劣るものではない。
上記TFE重合体の水性分散液は、溶融加工性フッ素樹脂の水性分散液と混合して凝析させることにより、共凝析粉末とすることも好ましい。上記共凝析粉末は、加工助剤として好適である。
上記溶融加工性フッ素樹脂としては、例えば、FEP、PFA、ETFE、エチレン/TFE/HFP共重合体[EFEP]等が挙げられるが、中でもFEPが好ましい。
上記水性分散液は、上記溶融加工性フッ素樹脂を含むことも好ましい。上記溶融加工性フッ素樹脂としては、例えば、FEP、PFA、ETFE、EFEP等が挙げられる。上記溶融加工性フッ素樹脂を含む上記水性分散液は、塗料として使用できる。上記溶融加工性フッ素樹脂は、上記TFE重合体の粒子同士を充分に融着させることができるので、造膜性を向上させ、得られる被膜に光沢を出すことができる。
上記共凝析粉末を添加するフッ素非含有樹脂は、パウダー状であってもよいし、ペレット状であってもよいし、エマルションであってもよい。上記添加は、各樹脂を充分に混合する点で、押出混練、ロール混練等の公知の方法により剪断力を与えながら行うことが好ましい。
上記TFE重合体の水性分散液は、塵埃抑制処理剤として使用することも好ましい。上記塵埃抑制処理剤は、発塵性物質と混合し、該混合物に20〜200℃の温度で圧縮−せん断作用を施すことによりTFE重合体をフィブリル化して発塵性物質の塵埃を抑制する方法、例えば特許第2827152号公報、特許第2538783号公報等の方法において、用いることができる。
上記TFE重合体の水性分散液は、例えば、国際公開第2007/004250号に記載の塵埃抑制処理剤組成物に好適に用いることができ、国際公開第2007/000812号に記載の塵埃抑制処理方法にも好適に用いることができる。
上記塵埃抑制処理剤は、建材分野、土壌安定材分野及び固化材分野等で使用される粉末生石灰、ポルトランドセメント、無水石膏、高炉水砕スラグ粉末等、肥料分野、焼却灰及び有害物質の埋立処分分野、防爆分野、化粧品分野、猫砂に代表されるペット用トイレ砂等、アルカリ土類金属酸化物、アルカリ土類金属過酸化物、カルシウムカーバイト、燐化石灰水、カルシウムアルミネート、カルシウムシリケートに代表される水和反応により発熱する固体粒子状物資等の塵埃抑制処理に好適に用いられる。
上記TFE重合体の水性分散液は、分散紡糸法(Dispersion Spinning method)によりTFE重合体繊維を得る原料として使用することも好ましい。上記分散紡糸法とは、上記TFE重合体の水性分散液とマトリックス高分子の水性分散液とを混合し、当該混合物を押出加工して中間体繊維構造物を形成し、該中間体繊維構造物を焼成することによって上記マトリックス高分子を分解及びTFE重合体粒子の焼結を行ってTFE重合体繊維を得る方法である。
上述の界面活性剤を用いて高分子量PTFEを製造することもできる。すなわち、上記界面活性剤を使用する本発明の製造方法は、驚くべきことに、従来のフッ素化界面活性剤を使用せずとも、従来のフッ素化界面活性剤を使用する製造方法と同等の分子量を有するPTFEを製造可能である。
重合により得られる高分子量PTFE粉末は、PTFE延伸体(PTFE多孔体)の原料としても有用である。例えば押出助剤と混合した高分子量PTFE粉末をペースト押出し、必要に応じて圧延を行い、乾燥により押出助剤を除去した後、少なくとも1方向に延伸して延伸体を得ることができる。延伸することにより、PTFEは容易にフィブリル化し、結節と繊維からなるPTFE延伸体となる。このPTFE延伸体は、高い空孔率を持つ多孔体でもある。
この延伸体は、その形状が膜、チューブ、繊維、ロッドであることも好ましい。
この延伸体が膜である場合(PTFE延伸膜またはPTFE多孔膜)、公知のPTFE延伸方法によって延伸することができる。
好ましくは、シート状または棒状のペースト押出物を押出方向にロール延伸することで、一軸延伸膜を得ることができる。
更に、テンター等により幅方向に延伸して、二軸延伸膜も得ることができる。
延伸前に半焼成処理を行うことも好ましい。
このPTFE延伸体は、高い空孔率を持つ多孔体であり、
エアフィルター、薬液フィルター等の各種精密濾過フィルターの濾材、高分子電解質膜の支持材等として好適に利用できる。
また、繊維分野、医療分野、エレクトロケミカル分野、シール材分野、空気濾過分野、換気/内圧調整分野、液濾過分野、一般消費材分野等で使用する製品の素材としても有用である。
以下に、具体的な用途を例示する。
エレクトロケミカル分野
誘電材料プリプレグ、EMI遮蔽材料、伝熱材料等。より詳細には、プリント配線基板、電磁遮蔽シールド材、絶縁伝熱材料、絶縁材料等。
シール材分野
ガスケット、パッキン、ポンプダイアフラム、ポンプチューブ、航空機用シール材等。
空気濾過分野
ULPAフィルター(半導体製造用)、HEPAフィルター(病院・半導体製造用)、円筒カートリッジフィルター(産業用)、バグフィルター(産業用)、耐熱バグフィルタ−(排ガス処理用)、耐熱プリーツフィルター(排ガス処理用)、SINBRANフィルター(産業用)、触媒フィルター(排ガス処理用)、吸着剤付フィルター(HDD組込み)、吸着剤付ベントフィルター(HDD組込み用)、ベントフィルター(HDD組込み用他)、掃除機用フィルター(掃除機用)、汎用複層フェルト材、GT用カートリッジフィルター(GT向け互換品用)、クーリングフィルター(電子機器筐体用)等。
換気/内圧調整分野
凍結乾燥用の容器等の凍結乾燥用材料、電子回路やランプ向けの自動車用換気材料、容器キャップ向け等の容器用途、タブレット端末や携帯電話端末等の小型端末を含む電子機器向け等の保護換気用途、医療用換気用途等。
液濾過分野
半導体液ろ過フィルター(半導体製造用)、親水性PTFEフィルター(半導体製造用)、化学薬品向けフィルター(薬液処理用)、純水製造ライン用フィルター(純水製造用)、逆洗型液ろ過フィルター(産業排水処理用)等。
一般消費材分野
衣類、ケーブルガイド(バイク向け可動ワイヤ)、バイク用衣服、キャストライナー(医療サポーター)、掃除機フィルター、バグパイプ(楽器)、ケーブル(ギター用信号ケーブル等)、弦(弦楽器用)等。
繊維分野
PTFE繊維(繊維材料)、ミシン糸(テキスタイル)、織糸(テキスタイル)、ロープ等。
医療分野
体内埋設物(延伸品)、人工血管、カテーテル、一般手術(組織補強材料)、頭頸部製品(硬膜代替)、口内健康(組織再生医療)、整形外科(包帯)等。
上述の界面活性剤を用いて、低分子量PTFEを製造することもできる。
低分子量PTFEは、重合により製造しても良いし、重合で得られた高分子量PTFEを公知の方法(熱分解、放射線照射分解等)で低分子量化して製造することもできる。
分子量60万以下の低分子量PTFE(PTFEマイクロパウダーとも呼ばれる)は、化学的安定性に優れ、表面エネルギーが極めて低いことに加え、フィブリル化が生じにくいので、滑り性や塗膜表面の質感を向上させることなどを目的とした添加剤として、プラスチック、インク、化粧品、塗料、グリース、オフィスオートメーション機器部材、トナー等の製造に好適である(例えば、特開平10−147617号公報参照。)。
また、更に連鎖移動剤の存在下、水性媒体中に重合開始剤及び上記界面活性剤を分散させ、TFE、又は、TFEと共重合し得るモノマーとTFEを重合させることによって、低分子量PTFEを得てもよい。
上記重合により得られる低分子量PTFEを粉末として用いる場合、上記水性分散液を凝析させることで粉末粒子とすることができる。
本発明において、高分子量PTFEとは、非溶融加工性及びフィブリル化性を有するPTFEを意味する。他方、低分子量PTFEとは、溶融加工性を有し、フィブリル化性を有しないPTFEを意味する。
上記非溶融加工性とは、ASTM D−1238及びD−2116に準拠して、結晶化融点より高い温度でメルトフローレートを測定できない性質を意味する。
フィブリル化性の有無は、TFEの乳化重合体から作られた粉末(ファインパウダー)である「高分子量PTFE粉末」を成形する代表的な方法である「ペースト押出し」で判断できる。通常、ペースト押出しが可能であるのは、高分子量PTFE粉末がフィブリル化性を有するからである。ペースト押出しで得られた未焼成の成形物に実質的な強度や伸びがない場合、例えば伸びが0%で引っ張ると切れるような場合はフィブリル化性がないとみなすことができる。
上記高分子量PTFEは、標準比重(SSG)が2.130〜2.280であることが好ましい。上記標準比重は、ASTM D4895−89に準拠して成形されたサンプルを用い、ASTM D−792に準拠した水置換法により測定する。本発明において、「高分子量」とは、上記標準比重が上記の範囲内にあることを意味する。
上記低分子量PTFEは、380℃における溶融粘度が1×102〜7×105Pa・sである。本発明において、「低分子量」とは、上記溶融粘度が上記の範囲内にあることを意味する。
上記高分子量PTFEは、上記低分子量PTFEよりも溶融粘度が極めて高く、その正確な溶融粘度を測定することは困難である。他方、上記低分子量PTFEの溶融粘度は測定可能であるが、上記低分子量PTFEからは、標準比重の測定に使用可能な成形品を得ることが難しく、その正確な標準比重を測定することが困難である。従って、本発明では、上記高分子量PTFEの分子量の指標として、標準比重を採用し、上記低分子量PTFEの分子量の指標として、溶融粘度を採用する。なお、上記高分子量PTFE及び上記低分子量PTFEのいずれについても、直接に分子量を特定できる測定方法は知られていない。
上記高分子量PTFEは、ピーク温度が333〜347℃であることが好ましく、335〜345℃であることがより好ましい。上記低分子量PTFEは、ピーク温度が322〜333℃であることが好ましく、324〜332℃であることがより好ましい。上記ピーク温度は、300℃以上の温度に加熱した履歴がないPTFEについて示差走査熱量計〔DSC〕を用いて10℃/分の速度で昇温したときの融解熱曲線における極大値に対応する温度である。
上記高分子量PTFEは、300℃以上の温度に加熱した履歴がないPTFEについて示差走査熱量計〔DSC〕を用いて10℃/分の速度で昇温したときの融解熱曲線において、333〜347℃の範囲に少なくとも1つ以上の吸熱ピークが現れ、上記融解熱曲線から算出される290〜350℃の融解熱量が62mJ/mg以上であることが好ましい。
上述の界面活性剤を用いて得られたPTFEファインパウダーから、未焼成テープ(生テープ)を得ることもできる。
上記凝析、または、洗浄により発生した排水、及び/又は、乾燥工程で発生するオフガスから、上記界面活性剤、上記界面活性剤から副生する上記界面活性剤の分解物や副生成物、残留モノマー等を回収し、精製することにより、上記界面活性剤、上記界面活性剤から副生する上記界面活性剤の分解物や副生成物、残留モノマー等を再利用してもよい。上記回収、及び、精製を行う方法としては特に限定されるものではないが、公知の方法により行うことができる。例えば、特表2011−520020号公報に記載の方法により、実施可能である。
(II)溶融加工性フッ素樹脂
(1)本発明の製造方法において、FEPの重合は、重合温度10〜150℃、重合圧力0.3〜6.0MpaGにて行うことが好ましい。
FEPの好ましい単量体組成(質量%)は、TFE:HFP=(60〜95):(5〜40)、より好ましくは(85〜92):(8〜15)である。上記FEPとしては、また、更に第3成分としてパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)類を用い、全単量体の0.1〜2質量%である範囲内で変性させたものであってもよい。
上記FEPの重合において、上記界面活性剤は、本発明の製造方法における使用範囲で用いることができるが、通常、水性媒体100質量%に対して0.0001〜10質量%の量を添加する。
上記FEPの重合において、連鎖移動剤としては、シクロヘキサン、メタノール、エタノール、プロパノール、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、四塩化炭素、クロロホルム、塩化メチレン、塩化メチル等を使用することが好ましく、pH緩衝剤としては、炭酸アンモニウム、燐酸水素二ナトリウム等を使用することが好ましい。
本発明の製造方法で得られるFEPの水性分散液を必要に応じて濃縮等の後処理した後、乾燥、粉末にし、次いで溶融押出することによってペレットにしても良い。FEPの水性分散液中の水性媒体は、必要に応じて非イオン界面活性剤などの添加剤を含むものであってもよいが、水溶性アルコール等の水溶性有機溶媒を含むものであってもよいし、水溶性有機溶媒を含まないものであってもよい。
また、溶融押出は、一般にペレット化可能な押出条件であれば、押出条件を適宜設定して行うことができる。
本発明の製造方法では、得られるFEPが、ポリマー主鎖及びポリマー側鎖の少なくとも一方の部位に、−CF3、−CF2H等の末端基を有しているものであってよいが、−COOH、−CH2OH、−COF、−CF=CF−、−CONH2、−COOCH3等の熱的に不安定な基(以下「不安定末端基」という)は含有量が低いか、ないことが好ましい。
上記不安定末端基は、化学的に不安定であることから、樹脂の耐熱性を低下させるだけでなく、得られた電線の減衰量が増大する原因となる。
本発明の製造方法では、重合終了時のポリマーを、不安定末端基と−CF2H末端基とを合計した数が炭素数1×106個当たり50個以下となるように製造することが好ましい。より好ましくは炭素原子1×106個あたり20個未満であることが好ましく、さらに好ましくは5個以下であることが好ましい。上記不安定末端基および−CF2H末端基が存在せず全て−CF3末端基であってもよい。
不安定末端基および−CF2H末端基はフッ素化処理により−CF3末端基に変換させて安定化させることができる。フッ素化処理方法は特に限定されないが、重合体を、フッ素化処理条件下にてフッ素ラジカルを発生するフッ素ラジカル源にさらす方法を挙げることができる。上記フッ素ラジカル源としては、フッ素ガスや、CoF3、AgF2、UF6、OF2、N2F2、CF3OF、及び、フッ化ハロゲン、例えば、IF5、ClF3等が挙げられる。なかでも、フッ素化ガスと本発明によって得られるFEPを直接接触させる方法が好ましく、上記接触は、反応制御の点で、フッ素ガス濃度10〜50質量%の希釈フッ素ガスを用いて行うことが好ましい。上記希釈フッ素ガスは、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガスでフッ素ガスを希釈することにより得ることができる。上記フッ素ガス処理は、例えば、100〜250℃の温度で行うことができる。なお、処理温度は、先の範囲に限定されることなく、状況に応じて適宜設定することができる。上記フッ素ガス処理は、希釈フッ素ガスを連続的又は間欠的に反応器内に供給して行うことが好ましい。このフッ素化処理は重合後の乾燥粉末でも溶融押出したペレットでもよい。
本発明の製造方法で得られるFEPは、成形性がよく、成形不良が生じにくいことに加え、良好な耐熱性、耐薬品性、耐溶剤性、絶縁性、電気特性等を有する。
上記FEPの粉末の製造方法は、上述した本発明の製造方法で得られたFEPを乾燥させて粉体化することによって粉末を得る方法である。
上記粉末は、フッ素化されていてもよい。上記のフッ素化された粉末の製造方法は、上述した粉末の製造方法で得られた粉末にフッ素ガスを供給することでフッ素化させることによってフッ素化された粉末を得る方法である。
上記FEPのペレットの製造方法は、上述した本発明の製造方法で得られたFEPをペレット化することによってペレットを得る方法である。
上記ペレットは、フッ素化されていてもよい。上記のフッ素化されたペレットの製造方法は、上述したペレットの製造方法で得られたペレットにフッ素ガスを供給することでフッ素化させることによってフッ素化されたペレットを得る方法である。
このため、このFEPは、例えば、電線、発泡電線、ケーブル、ワイヤ等の被覆材、チューブ、フィルム、シート、フィラメント等の種々の成形品の製造に供することができる。
(2)本発明の製造方法において、PFA、MFA等のTFE/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体の重合は、通常、重合温度10〜100℃、重合圧力0.3〜6.0MpaGで行うことが好ましい。
TFE/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体の好ましい単量体組成(モル%)は、TFE:パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)=(90〜99.7):(0.3〜10)、より好ましくは(97〜99):(1〜3)である。上記パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)としては、式:CF2=CFORf4(式中、Rf4は炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基)で表されるものを使用することが好ましい。
上記TFE/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体の重合において、上述の界面活性剤は、本発明の製造方法における使用範囲で用いることができるが、通常、水性媒体100質量%に対して0.0001〜10質量%の量で添加することが好ましい。
上記TFE/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体の重合において、連鎖移動剤としてシクロヘキサン、メタノール、エタノール、プロパノール、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、四塩化炭素、クロロホルム、塩化メチレン、塩化メチル、メタン、エタン等を使用することが好ましく、pH緩衝剤として、炭酸アンモニウム、燐酸水素二ナトリウム等を使用することが好ましい。
本発明の製造方法で得られるPFA、MFA等のTFE/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体の水性分散液を必要に応じて濃縮等の後処理した後、乾燥、粉末にし、次いで溶融押出することによってペレットにしても良い。上記の水性分散液中の水性媒体は、必要に応じて非イオン界面活性剤などの添加剤を含むものであってもよいが、水溶性アルコール等の水溶性有機溶媒を含むものであってもよいし、水溶性有機溶媒を含まないものであってもよい。
また、溶融押出は、一般にペレット化可能な押出条件であれば、押出条件を適宜設定して行うことができる。
上記の共重合体は、その耐熱性を向上させ、さらに成形品の薬液透過抑制効果をさらに強化する目的でフッ素ガス処理を施すことが好ましい。
フッ素ガス処理は、フッ素ガスを薬液透過抑制剤に接触させることにより行なう。しかし、フッ素との反応は非常に発熱性であるから、フッ素を窒素のような不活性ガスで希釈することが好適である。フッ素ガス/不活性ガス混合物中のフッ素量は1〜100重量%、好ましくは10〜25重量%である。処理温度は150〜250℃、好ましくは200〜250℃であり、フッ素ガス処理時間は3〜16時間、好ましくは4〜12時間である。フッ素ガス処理のガス圧は1〜10気圧の範囲であるが、好ましくは大気圧が使用される。反応器を大気圧で用いる場合、フッ素ガス/不活性ガス混合物を反応器中へ連続的に通過させればよい。その結果、上記共重合体の不安定な末端は−CF3末端に転化され、熱的に安定となる。
上記共重合体およびその組成物の成形方法としては、従来のPFAと同様に圧縮成形、トランスファ成形、押出成形、射出成形、ブロー成形などの成形法が適用できる。
このような成形法により所望の成形品を得ることができるが、成形品の例をあげると、シート、フィルム、パッキン、丸棒、角棒、パイプ、チューブ、丸槽、角槽、タンク、ウェハーキャリア、ウェハーボックス、ビーカー、フィルターハウジング、流量計、ポンプ、バルブ、コック、コネクター、ナット、電線、耐熱電線などがある。
これらのうち、特に薬液の不透過性が要求される各種の化学反応装置、半導体製造装置、さらには酸系またはアルカリ系の薬液供給装置などに使用するチューブ、パイプ、タンク、コネクターなどに好適に使用できる。
更に、PFA、MFA等のTFE/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体の水性分散液に、非イオン界面活性剤を適宜加え、必要に応じて、ポリエーテルスルホン、ポリアミドイミドおよび/またはポリイミド、並びに金属粉末を、有機溶媒中に溶解または分散させることで、プライマー組成物を得ることができる。このプライマー組成物を金属表面に施し、かくして形成されたプライマー層上に溶融加工性フッ素樹脂組成物を施し、プライマー層と共に溶融加工性フッ素樹脂組成物層を焼成することからなる金属表面へのフッ素樹脂の被覆方法にも用いることができる。
(3)本発明の製造方法において、ETFEの重合は、重合温度10〜100℃、重合圧力0.3〜2.0MPaGで行うことが好ましい。
ETFEの好ましい単量体組成(モル%)は、TFE:エチレン=(50〜99):(50〜1)である。上記ETFEとしては、また、更に第3モノマーを用い、全単量体の0〜20質量%である範囲内で変性させたものであってもよい。好ましくは、TFE:エチレン:第3モノマー=(63〜94):(27〜2):(1〜10)である。上記第3モノマーとしては、パーフルオロブチルエチレン、パーフルオロブチルエチレン、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクタ−1−エン、2,3,3,4,4,5,5−ヘプタフルオロ−1−ペンテン(CH2=CFCF2CF2CF2H)、2−トリフルオロメチル−3,3,3−トリフルオロプロペン((CF3)2C=CH2)が好ましい。
上記ETFEの重合において、上述の界面活性剤は、本発明の製造方法における使用範囲で用いることができるが、通常、水性媒体100質量%に対して0.0001〜10質量%の量で添加する。
上記ETFEの重合において、連鎖移動剤として、シクロヘキサン、メタノール、エタノール、プロパノール、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、四塩化炭素、クロロホルム、塩化メチレン、塩化メチル等を使用することが好ましい。
本発明の製造方法で得られるETFEの水性分散液を必要に応じて濃縮等の後処理した後、乾燥、粉末にし、次いで溶融押出することによってペレットにしても良い。上記の水性分散液中の水性媒体は、必要に応じて非イオン界面活性剤などの添加剤を含むものであってもよいが、水溶性アルコール等の水溶性有機溶媒を含むものであってもよいし、水溶性有機溶媒を含まないものであってもよい。
また、溶融押出は、一般にペレット化可能な押出条件であれば、押出条件を適宜設定して行うことができる。
上記ETFEは、押出成形してシートにすることができる。すなわち、ETFE粉末、またはペレットを溶融させ、ダイから連続的に押し出し、冷却して得られるシート状の成形品にすることができる。ETFEには添加剤が添加されていてもよい。
添加剤としては、公知のものを適宜用いることができる。具体例としては、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、赤外線吸収剤、難燃剤、難燃フィラー、有機顔料、無機顔料、染料等が挙げられる。耐候性が優れる点からは無機系添加剤が好ましい。
ETFEシートにおける添加剤の含有量は、ETFEシートの総質量に対し、20質量%以下が好ましく、10質量%以下が特に好ましい。
上記ETFEのシートは、機械的強度および外観に優れることから、膜構造建築物(運動施設、園芸施設、アトリウム等)用の膜材(屋根材、天井材、外壁材、内壁材、被覆材等)として好適である。
また、膜構造建築物の膜材だけではなく、たとえば、屋外使用板材(防音壁、防風フェンス、越波柵、車庫天蓋、ショッピングモール、歩行路壁、屋根材)、ガラス飛散防止フィルム、耐熱・耐水シート、建材等(テント倉庫のテント材、日よけ用膜材、明かり取り用の部分屋根材、ガラスに替わる窓材、防炎仕切り用膜材、カーテン、外壁補強、防水膜、防煙膜、不燃透明仕切り、道路補強、インテリア(照明、壁面、ブランド等)、エクステリア(テント、看板等)等)、生活レジャー用品(釣りざお、ラケット、ゴルフクラブ、映写幕等)、自動車用材料(幌、制振材、ボディ等)、航空機材料、船舶材料、家電外装、タンク、容器内壁、フィルタ、工事用膜材、電子材料(プリント基板、配線基板、絶縁膜、離型膜等)、太陽電池モジュールの表面材料、太陽熱発電用のミラー保護材、ソーラー温水器の表面材等に有用である。
上記ETFEのペレットは、耐熱性が優れるものであるので、電線等の被覆材の材料として好適である。
上記電線としては、例えばケーブル、ワイヤ等が挙げられる。本発明の電線としては、同軸ケーブル、高周波用ケーブル、フラットケーブル、耐熱ケーブル等が挙げられる。
(4)本発明の製造方法を使用して、電解質ポリマー前駆体を製造することもできる。本発明の製造方法において、電解質ポリマー前駆体の重合は、重合温度10〜100℃、重合圧力0.1〜2.0MPaGで行うことが好ましい。電解質ポリマー前駆体とは、下記に示すようなビニルエーテルモノマーからなり、加水分解処理を経てイオン交換性ポリマーに変換しうるものである。
電解質ポリマー前駆体に用いられるビニルエーテルモノマーとしては、
一般式(150):CF2=CF−O−(CF2CFY151−O)n−(CFY152)m−A151
(式中、Y151は、フッ素原子、塩素原子、−SO2F基又はパーフルオロアルキル基を表す。パーフルオロアルキル基は、エーテル性の酸素及び−SO2F基を含んでもよい。nは、0〜3の整数を表す。n個のY151は、同一であってもよいし異なっていてもよい。Y152は、フッ素原子、塩素原子又は−SO2F基を表す。mは、1〜5の整数を表す。m個のY152は、同一であってもよいし異なっていてもよい。A151は、−SO2X151、−COZ151又は−POZ152Z153を表す。X151は、F、Cl、Br、I、−OR151又は−NR152R153を表す。Z151、Z152及びZ153は、同一又は異なって、−NR154R155又は−OR156を表す。R151、R152、R153、R154、R155及びR156は、同一又は異なって、H、アンモニウム、アルカリ金属、フッ素原子を含んでも良いアルキル基、アリール基、若しくはスルホニル含有基を表す。)で表されるフルオロモノマーを挙げることができる。電解質ポリマー前駆体の好ましい単量体組成(モル%)は、TFE:ビニルエーテル=(50〜99):(50〜1)であり、より好ましくは、TFE:ビニルエーテル=(50〜93):(50〜7)である。
上記電解質ポリマー前駆体は、全単量体の0〜20質量%である範囲内で第3モノマーで変性させたものであってもよい。第3モノマーとしては、CTFE、フッ化ビニリデン、パーフルオロアルキルビニルエーテル、ジビニルベンゼン等の多官能モノマー等を挙げることができる。
このようにして得られた電解質ポリマー前駆体は、例えば膜状に成形した後、アルカリ溶液による加水分解及び、鉱酸による処理を経て、高分子電解質膜として燃料電池や電解装置及びレドックスフロー電池等に使用することができる。
また、電解質ポリマー前駆体の分散状態を維持したまま、アルカリ溶液による加水分解を施すことにより電解質ポリマー分散液を得ることができる。
引き続き、加圧容器内で、120℃以上に加熱することで、例えば、水/アルコール混合溶媒に溶解させ、溶液状態にすることが出来る。
このようにして得られた溶液は、例えば電極のバインダーとして使用したり、種々の添加剤と複合してキャスト製膜し、例えば防汚塗膜や有機アクチュエーター等に使用することができる。
(5)TFE/VDF共重合体
本発明の製造方法において、TFE/VDF共重合体の重合温度としては特に限定されず、0〜100℃であってよい。重合圧力は、重合温度等の他の重合条件に応じて適宜定められるが、通常、0〜9.8MPaGであってよい。
TFE/VDF共重合体の好ましい単量体組成(モル%)は、TFE:VDF=(5〜90):(95〜10)である。TFE/VDF共重合体としては、また、更に第3モノマーを用い、全単量体の0〜50モル%である範囲内で変性させたものであってもよい。好ましくは、TFE:エチレン:第3モノマー=(30〜85):(10〜69.9):(0.1〜10)である。
上記第3モノマーとしては、
式: CX11X12=CX13(CX14X15)n11X16
(式中、X11〜X16は同一または異なってH、F又はClを表し、n11は0〜8の整数を表す。但し、TFE及びVDFを除く。)で示されるモノマー、又は、
式: CX21X22=CX23−O(CX24X25)n21X26
(式中、X21〜X26は同一または異なってH、F又はClを表し、n21は0〜8の整数を表す。)で示されるモノマーが好ましい。
また、第3モノマーはフッ素非含有エチレン性単量体でもよい。上記フッ素非含有エチレン性単量体は、耐熱性や耐薬品性を維持する点で、炭素数6以下のエチレン性単量体から選ばれることが好ましい。例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アルキルビニルエーテル(メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテルなど)、マレイン酸、イタコン酸、3−ブテン酸、4−ペンテン酸ビニルスルホン酸、アクリル酸、メタクリル酸などが挙げられる。
TFE/VDF共重合体の重合において、上述の界面活性剤は、本発明の製造方法における使用範囲で用いることができるが、通常、水性媒体100質量%に対して0.0001〜5質量%の量で添加する。
重合により得られたTFE/VDF共重合体を、アンモニア水、アンモニアガス又はアンモニアを生成しうる窒素化合物と接触させることによりアミド化処理してもよい。
上述した方法により得たTFE/VDF共重合体は、紡糸延伸方法によりTFE/VDF共重合体繊維を得る原料として使用することも好ましい。上記紡糸延伸方法とは、TFE/VDF共重合体を溶融紡糸してから冷却固化して未延伸糸を得た後、該未延伸糸を加熱筒状体中に走行させて延伸することによりTFE/VDF共重合体繊維を得る方法である。
上記TFE/VDF共重合体を、有機溶剤に溶解させて、上記TFE/VDF共重合体の溶液を得ることもできる。上記有機溶剤としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等の含窒素系有機溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤;更に、それらの混合溶剤等の低沸点の汎用有機溶剤を挙げることができる。上記溶液は、電池用結着剤として使用できる。
上記TFE/VDF共重合体の水性分散液をポリオレフィン樹脂からなる多孔性基材上にコーティングし複合多孔膜として使用することも好ましい。水性分散液に無機粒子、及びまたは有機系粒子を分散させ、多孔性基材上にコーティングし複合多孔膜として使用することも好ましい。このようにして得られた複合多孔膜はリチウム二次電池のセパレーターなどの使用することができる。
上記溶融加工性フッ素樹脂の粉末は、粉体塗料として好適に利用できる。上記溶融加工性フッ素樹脂粉末からなる粉体塗料を基材に適用すると、表面が平滑な皮膜を得ることができる。平均粒径が1μm以上100μm未満である溶融加工性フッ素樹脂粉末は、特に静電塗装に使用する粉体塗料として好適であり、平均粒径が100μm以上1000μm以下である溶融加工性フッ素樹脂粉末は、特に回転塗装又は回転成形に使用する粉体塗料として好適である。
上記溶融加工性フッ素樹脂粉末は、上述した本発明の製造方法で得られた溶融加工性フッ素樹脂を乾燥させて粉体化することによって粉末を得る方法により製造できる。上記溶融加工性フッ素樹脂粉末を製造するための製造方法も本発明の一つである。
(III)フッ素ゴム
本発明の製造方法において、上記フッ素ゴムの重合は、攪拌機を備えた耐圧の反応容器に純水及び上記界面活性剤を仕込み、脱酸素後、モノマーを仕込み、所定の温度にし、重合開始剤を添加して、反応を開始する。反応の進行とともに圧力が低下するので、初期圧力を維持するように、追加のモノマーを連続的又は間欠的に追加供給する。所定量のモノマーを供給した時点で、供給を停止し、反応容器内のモノマーをパージし、温度を室温に戻して反応を終了する。この場合、ポリマーラテックスを連続的に反応容器より取り出すことができる。
特に、上記フッ素ゴムとして、熱可塑性エラストマーを製造する場合、国際公開第00/01741号に開示されているように、一旦フルオロポリマー微粒子を高い上記濃度で合成してから希釈して更に重合を行うことで、通常の重合に比べて、最終的な重合速度を速くできる方法を使用することも可能である。
上記フッ素ゴムの重合は、目的とするポリマーの物性、重合速度制御の観点から適宜条件を選択するが、重合温度は通常−20〜200℃、好ましくは5〜150℃、重合圧力は通常0.5〜10MPaG、好ましくは1〜7MPaGにて行われる。また、重合媒体中のpHは、公知の方法等により、後述するpH調整剤等を用いて、通常2.5〜13に維持することが好ましい。
上記フッ素ゴムの重合に用いるモノマーとしては、フッ化ビニリデンの他に、炭素原子と少なくとも同数のフッ素原子を有しフッ化ビニリデンと共重合し得る含フッ素エチレン性不飽和モノマーが挙げられる。上記含フッ素エチレン性不飽和モノマーとしては、トリフルオロプロペン、ペンタフルオロプロペン、へキサフルオロブテン、オクタフルオロブテンが挙げられる。なかでも、へキサフルオロプロペンは、それが重合体の結晶成長を遮断した場合に得られるエラストマーの特性のために特に好適である。上記含フッ素エチレン性不飽和モノマーとしては、また、トリフルオロエチレン、TFE及びCTFE等が挙げられるし、1種若しくは2種以上の塩素及び/又は臭素置換基をもった含フッ素モノマーを用いることもできる。パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)、例えばパーフルオロ(メチルビニルエーテル)も用いることができる。TFE及びHFPは、フッ素ゴムを製造するのに好ましい。
フッ素ゴムの好ましい単量体組成(質量%)は、フッ化ビニリデン:HFP:TFE=(20〜70):(30〜48):(0〜32)である。この組成のフッ素ゴムは、良好なエラストマー特性、耐薬品性、及び、熱的安定性を示す。
上記フッ素ゴムの重合において、上述の界面活性剤は、本発明の製造方法における使用範囲で用いることができるが、通常、水性媒体100質量%に対して0.0001〜20質量%の量で添加する。好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは2質量%以下である。
上記フッ素ゴムの重合において、重合開始剤としては、公知の無機ラジカル重合開始剤を使用することができる。上記無機ラジカル重合開始剤としては、従来公知の水溶性無機過酸化物、例えば、ナトリウム、カリウム及びアンモニウムの過硫酸塩、過リン酸塩、過硼酸塩、過炭素塩又は過マンガン酸塩が特に有用である。上記ラジカル重合開始剤は、更に、還元剤、例えば、ナトリウム、カリウム又はアンモニウムの亜硫酸塩、重亜硫酸塩、メタ重亜硫酸塩、ハイポ亜硫酸塩、チオ硫酸塩、亜リン酸塩若しくはハイポ亜リン酸塩により、又は、容易に酸化される金属化合物、例えば第一鉄塩、第一銅塩若しくは銀塩により、更に活性化することができる。好適な無機ラジカル重合開始剤は、過硫酸アンモニウムであり、過硫酸アンモニウムと重亜硫酸ナトリウムと共にレドックス系において使用することが、より好ましい。
上記重合開始剤の添加濃度は、目的とするフルオロポリマーの分子量や、重合反応速度によって適宜決定されるが、モノマー全量100質量%に対して0.0001〜10質量%、好ましくは0.01〜5質量%の量に設定する。
上記フッ素ゴムの重合において、連鎖移動剤としては、公知のものを使用することができるが、炭化水素、エステル、エーテル、アルコール、ケトン、塩素化合物、カーボネート等を用いることができ、熱可塑性エラストマーでは、炭化水素、エステル、エーテル、アルコール、塩素化合物、ヨウ素化合物等を用いることができる。なかでも、アセトン、イソプロピルアルコールが好ましく、熱可塑性エラストマーの重合では、イソペンタン、マロン酸ジエチル及び酢酸エチルは、反応速度が低下しにくいという観点から好ましく、I(CF2)4I、I(CF2)6I、ICH2I等のジヨウ素化合物は、ポリマー末端のヨウ素化が可能で、反応性ポリマーとして使用できる観点から好ましい。
上記連鎖移動剤の使用量は、供給されるモノマー全量に対して、通常0.5×10−3〜5×10−3モル%、好ましくは1.0×10−3〜3.5×10−3モル%であることが好ましい。
上記フッ素ゴムの重合において、乳化安定剤としてパラフィンワックス等を好ましく用いることができ、熱可塑性エラストマーの重合では、pH調整剤として、リン酸塩、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を好ましく用いることができる。
本発明の製造方法によって得られるフッ素ゴムは、重合が終了した時点で、固形分濃度が1.0〜40質量%、平均粒子径が0.03〜1μm、好ましくは0.05〜0.5μm、数平均分子量が1,000〜2,000,000のものである。
本発明の製造方法によって得られるフッ素ゴムは、必要に応じて、炭化水素系界面活性剤等の分散安定剤の添加、濃縮等をすることにより、ゴム成形加工に適したディスパージョンにすることができる。上記ディスパージョンは、pH調節、凝固、加熱等を行い処理される。各処理は次のように行われる。
上記pH調節は、硝酸、硫酸、塩酸若しくはリン酸等の鉱酸、及び/又は、炭素数5以下でpK=4.2以下のカルボン酸等を加え、pHを2以下とすることからなる。
上記凝固は、アルカリ土類金属塩を添加することにより行われる。上記アルカリ土類金属塩としては、カルシウム又はマグネシウムの硝酸塩、塩素酸塩及び酢酸塩が挙げられる。
上記pH調節及び上記凝固は、いずれを先に行ってもよいが、先にpH調節を行うことが好ましい。
各操作の後、フッ素ゴムと同容量の水で洗浄を行い、フッ素ゴム内に存在する少量の緩衝液や塩等の不純物を除去し、乾燥を行う。乾燥は、通常、乾燥炉内で、高温下、空気を循環させながら、約70〜200℃で行われる。
上記フッ素ゴムとしては、部分フッ素化ゴムであってもよいし、パーフルオロゴムであってもよい。
部分フッ素化ゴムとしては、ビニリデンフルオライド(VdF)系フッ素ゴム、テトラフルオロエチレン(TFE)/プロピレン(Pr)系フッ素ゴム、テトラフルオロエチレン(TFE)/プロピレン/ビニリデンフルオライド(VdF)系フッ素ゴム、エチレン/ヘキサフルオロプロピレン(HFP)系フッ素ゴム、エチレン/ヘキサフルオロプロピレン(HFP)/ビニリデンフルオライド(VdF)系フッ素ゴム、エチレン/ヘキサフルオロプロピレン(HFP)/テトラフルオロエチレン(TFE)系フッ素ゴム等が挙げられる。なかでも、ビニリデンフルオライド系フッ素ゴム及びテトラフルオロエチレン/プロピレン系フッ素ゴムからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
上記ビニリデンフルオライド系フッ素ゴムは、ビニリデンフルオライド45〜85モル%と、ビニリデンフルオライドと共重合可能な少なくとも1種の他のモノマー55〜15モル%とからなる共重合体であることが好ましい。より好ましくは、ビニリデンフルオライド50〜80モル%と、ビニリデンフルオライドと共重合可能な少なくとも1種の他のモノマー50〜20モル%とからなる共重合体である。
上記ビニリデンフルオライドと共重合可能な少なくとも1種の他のモノマーとしては、テトラフルオロエチレン〔TFE〕、へキサフルオロプロピレン〔HFP〕、フルオロアルキルビニルエーテル、クロロトリフルオロエチレン〔CTFE〕、トリフルオロエチレン、トリフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、トリフルオロブテン、テトラフルオロイソブテン、ヘキサフルオロイソブテン、フッ化ビニル、一般式(100):CH2=CFRf101(式中、Rf101は炭素数1〜12の直鎖又は分岐したフルオロアルキル基)で表されるフルオロモノマー、一般式(170):CH2=CH−(CF2)n−X171(式中、X171はH又はFであり、nは3〜10の整数である。)で表されるフルオロモノマー、架橋部位を与えるモノマー等のモノマー;エチレン、プロピレン、アルキルビニルエーテル等の非フッ素化モノマーが挙げられる。これらをそれぞれ単独で、又は、任意に組み合わせて用いることができる。これらのなかでも、TFE、HFP、フルオロアルキルビニルエーテル及びCTFEからなる群より選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。フルオロアルキルビニルエーテルとしては、一般式(110)で表されるフルオロモノマーが好ましい。
ビニリデンフルオライド系フッ素ゴムの具体例としては、VdF/HFP系ゴム、VdF/HFP/TFE系ゴム、VdF/CTFE系ゴム、VdF/CTFE/TFE系ゴム、VDF/一般式(100)で表されるフルオロモノマー系ゴム、VDF/一般式(100)で表されるフルオロモノマー/TFE系ゴム、VDF/パーフルオロ(メチルビニルエーテル)〔PMVE〕系ゴム、VDF/PMVE/TFE系ゴム、VDF/PMVE/TFE/HFP系ゴム等が挙げられる。VDF/一般式(100)で表されるフルオロモノマー系ゴムとしては、VDF/CH2=CFCF3系ゴムが好ましく、VDF/一般式(100)で表されるフルオロモノマー/TFE系ゴムとしては、VDF/TFE/CH2=CFCF3系ゴムが好ましい。
上記VDF/CH2=CFCF3系ゴムは、VDF40〜99.5モル%、及び、CH2=CFCF30.5〜60モル%からなる共重合体であることが好ましく、VDF50〜85モル%、及び、CH2=CFCF320〜50モル%からなる共重合体であることがより好ましい。
上記テトラフルオロエチレン/プロピレン系フッ素ゴムは、テトラフルオロエチレン45〜70モル%、プロピレン55〜30モル%、及び、架橋部位を与えるフルオロモノマー0〜5モル%からなる共重合体であることが好ましい。
上記フッ素ゴムは、パーフルオロゴムであってもよい。上記パーフルオロゴムとしては、TFEを含むパーフルオロゴム、例えばTFE/一般式(110)、(130)又は(140)で表されるフルオロモノマー共重合体及びTFE/一般式(110)、(130)又は(140)で表されるフルオロモノマー/架橋部位を与えるモノマー共重合体からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
その組成は、TFE/PMVE共重合体の場合、好ましくは、45〜90/10〜55(モル%)であり、より好ましくは、55〜80/20〜45であり、更に好ましくは、55〜70/30〜45である。
TFE/PMVE/架橋部位を与えるモノマー共重合体の場合、好ましくは、45〜89.9/10〜54.9/0.01〜4(モル%)であり、より好ましくは、55〜77.9/20〜49.9/0.1〜3.5であり、更に好ましくは、55〜69.8/30〜44.8/0.2〜3である。
TFE/炭素数が4〜12の一般式(110)、(130)又は(140)で表されるフルオロモノマー共重合体の場合、好ましくは、50〜90/10〜50(モル%)であり、より好ましくは、60〜88/12〜40であり、更に好ましくは、65〜85/15〜35である。
TFE/炭素数が4〜12の一般式(110)、(130)又は(140)で表されるフルオロモノマー/架橋部位を与えるモノマー共重合体の場合、好ましくは、50〜89.9/10〜49.9/0.01〜4(モル%)であり、より好ましくは、60〜87.9/12〜39.9/0.1〜3.5であり、更に好ましくは、65〜84.8/15〜34.8/0.2〜3である。
これらの組成の範囲を外れると、ゴム弾性体としての性質が失われ、樹脂に近い性質となる傾向がある。
上記パーフルオロゴムとしては、TFE/一般式(140)で表されるフルオロモノマー/架橋部位を与えるフルオロモノマー共重合体、TFE/一般式(140)で表されるパーフルオロビニルエーテル共重合体、TFE/一般式(110)で表されるフルオロモノマー共重合体、及び、TFE/一般式(110)で表されるフルオロモノマー/架橋部位を与えるモノマー共重合体からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
上記パーフルオロゴムとしては、国際公開第97/24381号、特公昭61−57324号公報、特公平4−81608号公報、特公平5−13961号公報等に記載されているパーフルオロゴムも挙げることができる。
上記フッ素ゴムは、高温における圧縮永久歪みに優れる点から、ガラス転移温度が−70℃以上であることが好ましく、−60℃以上であることがより好ましく、−50℃以上であることが更に好ましい。また、耐寒性が良好であるという点から、5℃以下であることが好ましく、0℃以下であることがより好ましく、−3℃以下であることが更に好ましい。
上記ガラス転移温度は、示差走査熱量計(メトラー・トレド社製、DSC822e)を用い、試料10mgを10℃/minで昇温することによりDSC曲線を得て、DSC曲線の二次転移前後のベースラインの延長線と、DSC曲線の変曲点における接線との2つの交点の中点を示す温度として求めることができる。
上記フッ素ゴムは、耐熱性が良好な点で、170℃におけるムーニー粘度ML(1+20)が30以上であることが好ましく、40以上であることがより好ましく、50以上であることが更に好ましい。また、加工性が良好な点で、150以下であることが好ましく、120以下であることがより好ましく、110以下であることが更に好ましい。
上記フッ素ゴムは、耐熱性が良好な点で、140℃におけるムーニー粘度ML(1+20)が30以上であることが好ましく、40以上であることがより好ましく、50以上であることが更に好ましい。また、加工性が良好な点で、180以下であることが好ましく、150以下であることがより好ましく、110以下であることが更に好ましい。
上記フッ素ゴムは、耐熱性が良好な点で、100℃におけるムーニー粘度ML(1+10)が10以上であることが好ましく、20以上であることがより好ましく、30以上であることが更に好ましい。また、加工性が良好な点で、120以下であることが好ましく、100以下であることがより好ましく、80以下であることが更に好ましい。
上記ムーニー粘度は、ALPHA TECHNOLOGIES社製 ムーニー粘度計MV2000E型を用いて、170℃又は140℃、100℃において、JIS K6300に従い測定することができる。
本発明の製造方法により得られるフッ素ゴムは、上記重合から得られるものであれば何れの形態にあってもよく、重合上がりの水性分散液であってもよいし、上記重合上がりの水性分散液から従来公知の方法で凝析、乾燥等することにより得られるガム(gum)又はクラム(crumb)として使用することもできる。本発明の製造法で用いる乳化剤は乳化液の安定性を向上させることが可能であり、上記のように重合途中で有機パーオキサイドのような開始剤、ヨウ素または臭素化合物のような連鎖移動剤など難水溶性物質を添加する重合方法においてより好ましく使用される。
上記ガム(gum)は、フッ素ゴムからなる粒状の小さな塊であり、上記クラム(crumb)とは、フッ素ゴムが、室温でガムとして小粒状の形を保つことができず互いに融着した結果、不定形な塊状の形態となったものである。
上記フッ素ゴムは、硬化剤、充填剤等を加え、フッ素ゴム組成物に加工することができる。
上記硬化剤としては、ポリオール、ポリアミン、有機過酸化物、有機スズ、ビス(アミノフェノール)テトラアミン、又は、ビス(チオアミノフェノール)等が挙げられる。
上記フッ素ゴム組成物は、上述のフッ素ゴムからなるものであるので、乳化剤を実質的に含有せず、成形加工時に架橋し易い点で優れている。
上記フッ素ゴムを用いて成形加工することによりフッ素ゴム成形体を得ることができる。上記成形加工する方法としては、特に限定されず、上述の硬化剤を用いて行う公知の方法が挙げられる。
上記フッ素ゴム成形体は、シール、ガスケット、電線被覆、ホース、チューブ、積層体、アクセサリー等として好適であり、特に半導体製造装置用部品、自動車部品、等に好適である。
上記重合により、通常、上記フルオロポリマーを含む水性分散液が得られる。上記フルオロポリマーは、通常、上記重合を行うことにより得られる水性分散液の8〜50質量%の濃度である。上記水性分散液中において、フルオロポリマーの濃度の好ましい下限は10質量%、より好ましい下限は15質量%、好ましい上限は40質量%、より好ましい上限は35質量%である。
上記重合を行うことにより得られる水性分散液は、濃縮するか又は分散安定化処理してディスパージョンとしてもよいし、凝析又は凝集に供して回収し乾燥して得られる粉末その他の固形物(例えば、ペレット)としてもよい。本発明の製造方法は、粉末やペレットに上記界面活性剤が残留しにくい。
上記界面活性剤は、重合により得られたフルオロポリマーを水性媒体に分散させるための分散剤としても、好適に用いることができる。
上記重合では、通常、上記フルオロポリマーからなる粒子と、上記界面活性剤と、上記水性媒体とを含有する水性分散液が得られる。上記水性分散液は、上記界面活性剤の存在下、フルオロポリマーからなる粒子が水性媒体中に分散しているものである。
上記界面活性剤は、上記水性分散液100重量部に対して0.0001〜9.5重量部であることが好ましい。0.0001重量部未満であると、分散安定性に劣る場合があり、9.5重量部を超えると、存在量に見合った分散効果がなく実用的でない。上記界面活性剤のより好ましい下限は0.001重量部であり、より好ましい上限は2重量部である。
上記水性分散液は、上述した重合を行うことにより得られる水性分散液、この水性分散液を濃縮するか、分散安定化処理するか又は抽出して得られるディスパージョン、及び、フルオロポリマーからなる粉末を、上記界面活性剤の存在下に水性媒体に分散させたものの何れであってもよい。
上記水性分散液を製造する方法としてはまた、上記重合により得られた水性分散液を、非イオン性界面活性剤の存在下に、陰イオン交換樹脂又は陰イオン交換樹脂及び陽イオン交換樹脂を含む混床と接触させる工程と、上記工程で得られた水性分散液を、固形分濃度が水性分散液100質量%に対して30〜70質量%となるように濃縮する工程により精製水性分散液を製造することができる。非イオン性界面活性剤は、特に限定されるものではないが、後述のものを用いることができる。上記陰イオン交換樹脂は、特に限定されるものではないが、公知のものを用いることができる。また、上記陰イオン交換樹脂と接触させる方法は、公知の方法を用いることができる。
上記陰イオン交換樹脂としては、例えば、官能基として−N+X−(CH3)3基(Xは、Cl又はOHを表す。)を有する強塩基性陰イオン交換樹脂、−N+X−(CH3)3(C2H4OH)基(Xは、上記と同じ。)を有する強塩基性陰イオン交換樹脂等、公知のものが挙げられる。
上記陽イオン交換樹脂としては特に限定されず、例えば、官能基として−SO3 −基を有する強酸性陽イオン交換樹脂、官能基として−COO−基を有する弱酸性陽イオン交換樹脂等、公知のものが挙げられるが、なかでも、除去効率の観点から、強酸性陽イオン交換樹脂が好ましく、H+型の強酸性陽イオン交換樹脂がより好ましい。
上記「陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂とからなる混床」としては特に限定されず、両者が同一のカラムに充填されている場合、両者がそれぞれ異なるカラムに充填されている場合、両者が粗含フッ素ポリマー水性分散液に分散している場合等を含むものである。
上記濃縮の方法としては公知の方法が採用され、例えば相分離、電気濃縮、限外ろ過等が挙げられる。上記濃縮は、用途に応じて、フルオロポリマー濃度を30〜70質量%に濃縮することができる。濃縮によりディスパージョンの安定性が損なわれることがあるが、その場合は更に分散安定剤を添加してもよい。上記分散安定剤としては、上記界面活性剤や、その他の各種の界面活性剤を添加してもよい。上記各種の分散安定剤としては、例えば、ポリオキシアルキルエーテル等の非イオン性界面活性剤、特に、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル(例えばローム&ハース社製のトライトンX−100(商品名))、ポリオキシエチレンイソトリデシルエーテル(例えば第一工業製薬社製のノイゲンTDS80C(商品名)、ライオン社製のレオコールTD90D(商品名)、クラリアント社製のゲナポールX080(商品名))、ポリオキシエチレンエーテル類が挙げられるが、これらのみに限定されるものではない。
上記分散安定剤の総量は、上記ディスパージョンの固形分に対し0.5〜20質量%の濃度である。0.5質量%未満であると、分散安定性に劣る場合があり、20質量%を超えると、存在量に見合った分散効果がなく実用的でない。上記分散安定剤のより好ましい下限は2質量%であり、より好ましい上限は12質量%である。
上記の濃縮操作によって、上記界面活性剤を除去してもよい。
上記重合を行うことにより得られた水性分散液は、また、用途によっては濃縮せずに分散安定化処理して、ポットライフの長い水性分散液に調製することもできる。使用する分散安定剤としては上記と同じものを挙げることができる。
上記水性分散液の用途としては特に限定されず、水性分散液のまま適用するものとして、基材上に塗布し乾燥した後必要に応じて焼成することよりなる塗装;不織布、樹脂成形品等の多孔性支持体を含浸させ乾燥した後、好ましくは焼成することよりなる含浸;ガラス等の基材上に塗布し乾燥した後、必要に応じて水中に浸漬し、基材を剥離して薄膜を得ることよりなるキャスト製膜等が挙げられ、これら適用例としては、水性分散型塗料、電極用結着剤、電極用撥水剤等が挙げられる。
上記水性分散液は、公知の顔料、増粘剤、粘度調整剤、レベリング剤、機械的安定性や貯蔵安定性を向上するための分散安定剤(安定化剤)、アンモニア水等のpH調整剤、消泡剤、防腐剤、抗菌剤、フィラー、凍結防止剤、成膜助剤、造膜剤、有機溶剤等の配合剤を配合することにより、又は他の高分子化合物を複合して、コーティング用水性塗料として用いることができる。
上記水性分散液の粘度を調整する目的で、あるいは顔料、フィラーなどの混和性改良の目的で、アニオン性界面活性剤を好ましく含むことができる。アニオン性界面活性剤は、経済面、環境面で問題のない範囲で適宜添加することができる。
上記アニオン性界面活性剤としては、非フッ素化アニオン性界面活性剤やフッ素化アニオン性界面活性剤が挙げられるが、フッ素を含まない非フッ素化アニオン性界面活性剤、即ち炭化水素アニオン界面活性剤が好ましい。
粘度を調整する目的の場合、公知のアニオン性界面活性剤であれば種類は特に限定されないが、例えば国際公開第2013/146950号や国際公開第2013/146947号に記載されているアニオン性界面活性剤を用いることができる。例えば、炭素数6〜40、好ましくは炭素数8〜20、より好ましくは炭素数9〜13の飽和又は不飽和の脂肪族鎖を有するものが挙げられる。上記飽和又は不飽和の脂肪族鎖は、直鎖又は分岐鎖の何れであってもよく、環状構造を有するものであってもよい。上記炭化水素は、芳香族性であってもよいし、芳香族基を有するものであってもよい。上記炭化水素は、酸素、窒素、硫黄等のヘテロ原子を有するものであってもよい。
アニオン性界面活性剤としては、アルキルスルホネート、アルキルサルフェート、アルキルアリールサルフェート及びそれらの塩;脂肪族(カルボン)酸及びその塩;リン酸アルキルエステル、リン酸アルキルアリールエステル又はそれらの塩;等が挙げられるが、中でも、アルキルスルホネート、アルキルサルフェート、脂肪族カルボン酸またはそれらの塩が好ましい。
アルキルサルフェートまたはその塩としては、ラウリル硫酸アンモニウム、またはラウリル硫酸ナトリウム等が好ましい。
脂肪族カルボン酸またはその塩としては、コハク酸、デカン酸、ウンデカン酸、ウンデセン酸、ラウリン酸、ハイドロドデカン酸、またはそれらの塩が好ましい。
アニオン性界面活性剤の添加量は、アニオン界面活性剤やその他配合剤の種類にもよるが、フルオロポリマーの固形分質量に対して10ppm〜5000ppmであることが好ましい。
アニオン性界面活性剤の添加量の下限としては、50ppm以上がより好ましく、100ppm以上が更に好ましい。添加量が少なすぎると、粘度調整効果が乏しい。
アニオン性界面活性剤の添加量の上限としては、3000ppm以下がより好ましく、2000ppm以下が更に好ましい。添加量が多すぎると水性分散液の機械的安定性、貯蔵安定性が損なわれることがある。
上記水性分散液の粘度を調整する目的で、アニオン性界面活性剤以外に、例えば、メチルセルロース、アルミナゾル、ポリビニルアルコール、カルボキシル化ビニルポリマー等を配合することもできる。
上記水性分散液に、必要に応じ、水性分散液の特徴を損なわない範囲でその他の高分子化合物を含有するものであってもよい。
上記その他の高分子化合物としては特に限定されず、例えば、ポリエチレンオキサイド(分散安定剤)、ポリエチレングリコール(分散安定剤)、フェノール樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリルシリコーン樹脂、シリコーン樹脂、シリコーンポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂等が挙げられる。
上記凝析、または、洗浄により発生した排水、及び/又は、乾燥工程で発生するオフガスから、上記界面活性剤、上記界面活性剤から副生する上記界面活性剤の分解物や副生成物、残留モノマー等を回収し、精製することにより、上記界面活性剤、上記界面活性剤から副生する上記界面活性剤の分解物や副生成物、残留モノマー等を再利用してもよい。上記回収、及び、精製を行う方法としては特に限定されるものではないが、公知の方法により行うことができる。例えば、特表2011−520020号公報に記載の方法により、実施可能である。
上記凝析により発生した排水、洗浄により発生した排水、及び、乾燥工程で発生するオフガスから、上記界面活性剤、上記界面活性剤から副生する上記界面活性剤の分解物や副生成物、残留モノマー等を回収し、精製する方法としては特に限定されるものではないが、従来公知の方法を採用することができ、例えば、米国特許出願公開第2007/15937号明細書、米国特許出願公開第2007/25902号明細書、米国特許出願公開第2007/27251号明細書に記載の方法が挙げられ、具体的には以下の方法が挙げられる。
上記排水から界面活性剤、上記界面活性剤から副生する上記界面活性剤の分解物や副生成物、残留モノマー等を回収する方法としては、排水にイオン交換樹脂、活性炭、シリカゲル、クレイ、ゼオライト等の吸着粒子を接触させて上記界面活性剤等を吸着させた後、排水と吸着粒子とを分離する方法が挙げられる。上記界面活性剤等を吸着した吸着粒子を焼却すれば、上記界面活性剤等の環境への放出を防ぐことができる。
また、上記界面活性剤等を吸着したイオン交換樹脂粒子から公知の方法により上記界面活性剤等を脱離・溶出させて回収することもできる。例えば、イオン交換樹脂粒子が陰イオン交換樹脂粒子である場合、鉱酸を陰イオン交換樹脂に接触させるにより界面活性剤等を溶出させることができる。続いて得られる溶出液に水溶性有機溶媒を添加すると通常2相に分離するので、界面活性剤等を含む下相を回収して中和することにより、界面活性剤等を回収できる。上記水溶性有機溶媒としては、アルコール、ケトン、エーテル等の極性溶媒が挙げられる。
上記界面活性剤等をイオン交換樹脂粒子から回収する別の方法としては、アンモニウム塩と水溶性有機溶媒を使用する方法、アルコールと所望により酸とを使用する方法が挙げられる。後者の方法では上記界面活性剤等のエステル誘導体が生成するので、蒸留することによりアルコールと容易に分離できる。
上記排水にフルオロポリマー粒子や他の固形分が含まれる場合、排水と吸着粒子とを接触させる前にこれらを除去しておくことが好ましい。フルオロポリマー粒子や他の固形分を除去する方法としては、アルミニウム塩等を添加することによりこれらを沈殿させた後、排水と沈殿物とを分離させる方法、電気凝固法等が挙げられる。また、機械的な方法により除去してもよく、例えば、交差流ろ過法、深層ろ過法、プレコートろ過法が挙げられる。
上記排水中の未凝集の上記フルオロポリマー濃度は、生産性の観点から低いことが好ましく、0.4質量%未満がより好ましく、0.3質量%未満が特に好ましい。
上記オフガスから上記界面活性剤等を回収する方法としては、スクラバーを使用して、脱イオン水、アルカリ水溶液、グリコールエーテル溶媒などの有機溶媒等と接触させて、界面活性剤等を含むスクラバー溶液を得る方法が挙げられる。アルカリ水溶液として高濃度アルカリ水溶液を使用すると、上記界面活性剤等が相分離した状態でスクラバー溶液が回収できるので、上記界面活性剤等の回収と再利用が容易である。アルカリ化合物としてはアルカリ金属水酸化物、第4級アンモニウム塩等が挙げられる。
上記界面活性剤等を含むスクラバー溶液を逆浸透膜等を使用して濃縮してもよい。濃縮したスクラバー溶液は通常フッ素イオンを含むが、濃縮後さらにアルミナを添加して該フッ素イオンを除去することにより、上記界面活性剤等の再利用を容易にすることもできる。また、スクラバー溶液に吸着粒子を接触させて上記界面活性剤等を吸着させて、上述した方法により界面活性剤等を回収してもよい。
上記のいずれかの方法により回収した界面活性剤等は、フルオロポリマーの製造に再利用することができる。
本発明は、下記式(a):
(式中、R
1aは、炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は炭素数3以上の環状のアルキル基であり、炭素原子に結合した水素原子がヒドロキシ基又はエステル結合を含む1価の有機基により置換されていてもよく、炭素数が2以上の場合はカルボニル基を含んでもよく、炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含んでも環を形成していてもよい。R
2a及びR
3aは、独立に、単結合又は2価の連結基である。R
1a、R
2a及びR
3aは、炭素数が合計で6以上である。X
aは、H、金属原子、NR
4a 4、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R
4aはH又は有機基であり、同一でも異なっていてもよい。R
1a、R
2a及びR
3aは、いずれか2つがお互いに結合して、環を形成してもよい。)で示される界面活性剤(a)、及び、下記式(b):
(式中、R
1bは、置換基を有してもよい炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は置換基を有してもよい炭素数3以上の環状のアルキル基であり、炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含んでも環を形成していてもよい。R
2b及びR
4bは、独立に、H又は置換基である。R
3bは、置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキレン基である。nは、1以上の整数である。p及びqは、独立に、0以上の整数である。X
bは、H、金属原子、NR
5b 4、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R
5bはH又は有機基であり、同一でも異なっていてもよい。R
1b、R
2b、R
3b及びR
4bは、いずれか2つがお互いに結合して、環を形成してもよい。Lは、単結合、−CO
2−B−*、−OCO−B−*、−CONR
6b−B−*、−NR
6bCO−B−*、又は、−CO−(但し、−CO
2−B−、−OCO−B−、−CONR
6b−B−、−NR
6CO−B−に含まれるカルボニル基を除く。)であり、Bは単結合もしくは置換基を有してもよい炭素数1から10のアルキレン基であり、R
6bは、H又は置換基を有していてもよい、炭素数1〜4のアルキル基である。*は、式中の−OSO
3X
bに結合する側を指す。)で示される界面活性剤(b)からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする重合用界面活性剤でもある。
上記重合用界面活性剤は、本発明の製造方法で用いる上記界面活性剤として、好適に利用可能である。上記重合用界面活性剤の好適な構成は、本発明の製造方法で用いる上記界面活性剤と同様である。
本発明は、また、水性媒体中でフルオロモノマーを重合することによりフルオロポリマーを製造するための界面活性剤の使用であって、上記界面活性剤が、下記式(a):
(式中、R
1aは、炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は炭素数3以上の環状のアルキル基であり、炭素原子に結合した水素原子がヒドロキシ基又はエステル結合を含む1価の有機基により置換されていてもよく、炭素数が2以上の場合はカルボニル基を含んでもよく、炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含んでも環を形成していてもよい。R
2a及びR
3aは、独立に、単結合又は2価の連結基である。R
1a、R
2a及びR
3aは、炭素数が合計で6以上である。X
aは、H、金属原子、NR
4a 4、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R
4aはH又は有機基であり、同一でも異なっていてもよい。R
1a、R
2a及びR
3aは、いずれか2つがお互いに結合して、環を形成してもよい。)で示される界面活性剤(a)、及び、下記式(b):
(式中、R
1bは、置換基を有してもよい炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は置換基を有してもよい炭素数3以上の環状のアルキル基であり、炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含んでも環を形成していてもよい。R
2b及びR
4bは、独立に、H又は置換基である。R
3bは、置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキレン基である。nは、1以上の整数である。p及びqは、独立に、0以上の整数である。X
bは、H、金属原子、NR
5b 4、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R
5bはH又は有機基であり、同一でも異なっていてもよい。R
1b、R
2b、R
3b及びR
4bは、いずれか2つがお互いに結合して、環を形成してもよい。Lは、単結合、−CO
2−B−*、−OCO−B−*、−CONR
6b−B−*、−NR
6bCO−B−*、又は、−CO−(但し、−CO
2−B−、−OCO−B−、−CONR
6b−B−、−NR
6CO−B−に含まれるカルボニル基を除く。)であり、Bは単結合もしくは置換基を有してもよい炭素数1から10のアルキレン基であり、R
6bは、H又は置換基を有していてもよい、炭素数1〜4のアルキル基である。*は、式中の−OSO
3X
bに結合する側を指す。)で示される界面活性剤(b)からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする使用でもある。
上記水性媒体、上記フルオロモノマー、及び、上記フルオロポリマーとしては、本発明の製造方法で用いることができるものと、同様のものが好ましい。上記界面活性剤の好適な構成は、本発明の製造方法で用いる上記界面活性剤と同様である。
本発明は、また、フルオロポリマー、及び、下記式(a):
(式中、R
1aは、炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は炭素数3以上の環状のアルキル基であり、炭素原子に結合した水素原子がヒドロキシ基又はエステル結合を含む1価の有機基により置換されていてもよく、炭素数が2以上の場合はカルボニル基を含んでもよく、炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含んでも環を形成していてもよい。R
2a及びR
3aは、独立に、単結合又は2価の連結基である。R
1a、R
2a及びR
3aは、炭素数が合計で6以上である。X
aは、H、金属原子、NR
4a 4、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R
4aはH又は有機基であり、同一でも異なっていてもよい。R
1a、R
2a及びR
3aは、いずれか2つがお互いに結合して、環を形成してもよい。)で示される界面活性剤(a)、及び、下記式(b):
(式中、R
1bは、置換基を有してもよい炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は置換基を有してもよい炭素数3以上の環状のアルキル基であり、炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含んでも環を形成していてもよい。R
2b及びR
4bは、独立に、H又は置換基である。R
3bは、置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキレン基である。nは、1以上の整数である。p及びqは、独立に、0以上の整数である。X
bは、H、金属原子、NR
5b 4、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R
5bはH又は有機基であり、同一でも異なっていてもよい。R
1b、R
2b、R
3b及びR
4bは、いずれか2つがお互いに結合して、環を形成してもよい。Lは、単結合、−CO
2−B−*、−OCO−B−*、−CONR
6b−B−*、−NR
6bCO−B−*、又は、−CO−(但し、−CO
2−B−、−OCO−B−、−CONR
6b−B−、−NR
6CO−B−に含まれるカルボニル基を除く。)であり、Bは単結合もしくは置換基を有してもよい炭素数1から10のアルキレン基であり、R
6bは、H又は置換基を有していてもよい、炭素数1〜4のアルキル基である。*は、式中の−OSO
3X
bに結合する側を指す。)で示される界面活性剤(b)からなる群より選択される少なくとも1種の界面活性剤を含むことを特徴とする組成物でもある。本発明の組成物は、フルオロポリマー及び上記界面活性剤(a)を含む組成物、フルオロポリマー及び上記界面活性剤(b)を含む組成物、又は、フルオロポリマー、上記界面活性剤(a)及び上記界面活性剤(b)を含む組成物である。
上記フルオロポリマーとしては、本発明の製造方法で用いることができるものと、同様のものが好ましく、フッ素樹脂がより好ましく、なかでも上述したフッ素置換率が50%以上のフッ素樹脂が更に好ましく、上記フッ素置換率が50%を超えるフッ素樹脂が更により好ましく、上記フッ素置換率が55%以上のフッ素樹脂が更により好ましく、上記フッ素置換率が60%以上のフッ素樹脂が更により好ましく、上記フッ素置換率が75%以上のフッ素樹脂が更により好ましく、上記フッ素置換率が80%以上のフッ素樹脂が特に好ましく、上記フッ素置換率が90〜100%のフッ素樹脂、すなわちパーフルオロ樹脂が最も好ましい。
上記パーフルオロ樹脂としては、上記フッ素置換率が95〜100%のフッ素樹脂がより好ましく、PTFE、FEP、PFAが更に好ましく、PTFEが特に好ましい。
上記界面活性剤の好適な構成は、本発明の製造方法で用いる上記界面活性剤と同様である。
本発明の組成物は、水性ディスパージョンであってもよいし、粉末であってもよいし、ペレットであってもよい。水性ディスパージョンは重合上がりのディスパージョンであってもよいし、重合上がりのディスパージョンを加工したものであってもよい。例えば、機械的安定性や貯蔵安定性のために非イオン性界面活性剤などを添加したものであってもよい。上記非イオン性界面活性剤を添加する場合、その添加量は、上記フルオロポリマーに対して0.5〜25質量%であることが好ましい。より好ましい下限は1質量%であり、更により好ましい下限は3質量%であり、より好ましい上限は20質量%であり、更に好ましい上限は15質量%であり、更により好ましい上限は10質量%である。
水性ディスパージョンとは、水性媒体を分散媒とし、上記フルオロポリマーを分散質とする分散系である。上記水性媒体は、水を含む液体であれば特に限定されず、水に加え、例えば、アルコール、エーテル、ケトン、パラフィンワックス等の有機溶媒を含むものであってもよい。
上記組成物における上記界面活性剤の含有量の下限値は、フルオロポリマーに対して1ppbであることが好ましく、10ppbであることがより好ましく、100ppbであることが更に好ましく、1ppmであることが更により好ましく、10ppmであることが殊更に好ましく、50ppmであることが最も好ましい。上限値は、フルオロポリマーに対して100000ppmであることが好ましく、50000ppmであることがより好ましく、10000ppmであることが更に好ましく、5000ppmであることが更に好ましい。
フルオロポリマーを含み、下記一般式(3)で示される化合物を50ppb以上含む組成物も、本発明の一つである。
一般式(3):(H−(CF2)8−SO3)qM2
(式中、M2はH、金属原子、NR5 4、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム、又は、置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R5はH又は有機基であり、同一でも異なっていてもよい。qは1又は2である。)
一般式(3)で示される化合物の含有量は、100ppb以上であってもよく、500ppb以上であってもよい。
本発明は、フルオロポリマーを含み、
下記一般式(3)で示される化合物を、フルオロポリマーに対して、500ppb以上含むことを特徴とする組成物でもある。
一般式(3):(H−(CF2)8−SO3)qM2
(式中、M2はH、金属原子、NR5 4、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム、又は、置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R5はH又は有機基であり、同一でも異なっていてもよい。qは1又は2である。)
上記フルオロポリマーとしては、本発明の製造方法で用いることができるものと、同様のものが好ましく、フッ素樹脂がより好ましく、なかでも上述したフッ素置換率が50%以上のフッ素樹脂が更に好ましく、上記フッ素置換率が50%を超えるフッ素樹脂が更により好ましく、上記フッ素置換率が55%以上のフッ素樹脂が更により好ましく、上記フッ素置換率が60%以上のフッ素樹脂が更により好ましく、上記フッ素置換率が75%以上のフッ素樹脂が更により好ましく、上記フッ素置換率が80%以上のフッ素樹脂が特に好ましく、上記フッ素置換率が90〜100%のフッ素樹脂、すなわちパーフルオロ樹脂が最も好ましい。
上記パーフルオロ樹脂としては、上記フッ素置換率が95〜100%のフッ素樹脂がより好ましく、PTFE、FEP、PFAが更に好ましく、PTFEが特に好ましい。
本発明の組成物は、一般式(3)で示される化合物を500ppb以上含む。
一般式(3)で示される化合物の含有量は、フルオロポリマーに対して、500〜20000ppbであってもよい。一般式(3)で示される化合物の含有量の上限は10000ppbであってもよい。一般式(3)で示される化合物の含有量の下限は1000ppb超であってもよく、1100ppbであってもよく、2000ppbであってもよく、3000ppbであってもよい。一般式(3)で示される化合物の含有量は、フルオロポリマーに対して、1000ppb超、20000ppb以下であってもよい。
本発明の一態様は、水性ディスパージョンである組成物であってもよいし、粉末である組成物であってもよい。水性ディスパージョンは重合上がりのディスパージョンであってもよいし、重合上がりのディスパージョンを加工したものであってもよい。例えば、機械的安定性や貯蔵安定性のために非イオン性界面活性剤などを添加したものであってもよい。
水性ディスパージョンとは、水性媒体を分散媒とし、上記フルオロポリマーを分散質とする分散系である。上記水性媒体は、水を含む液体であれば特に限定されず、水に加え、例えば、アルコール、エーテル、ケトン、パラフィンワックス等の有機溶媒を含むものであってもよい。
炭化水素系界面活性剤を用いてフルオロポリマーを製造すると、得られる水性ディスパージョンが下記一般式(4)で示される化合物を含む場合がある。本発明の一態様は下記の範囲でそれらの化合物を含む組成物である。
本発明の一態様は、下記一般式(4)で示される化合物を、フルオロポリマーに対して100ppb以上含む組成物である。一般式(4)で示される化合物の含有量の上限は特に限定されないが、1000000ppbであってもよく、100000ppbであってもよく、20000ppbであってもよく、10000ppbであってもよく、5000ppbであってもよい。一般式(4)で示される化合物の含有量の下限は500ppbであってもよく、1000ppbであってもよい。
一般式(4):(H−(CF2)7−COO)pM1
(式中、M1は、H、金属原子、NR5 4、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム、又は、置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R5はH又は有機基であり、同一でも異なっていてもよい。pは1又は2である。)
上記一般式(3)又は(4)において、4つのR5は、同一でも異なっていてもよい。R5としては、H又は炭素数1〜10の有機基が好ましく、H又は炭素数1〜4の有機基がより好ましい。
本発明の一態様は、粉末である組成物であってよく、本発明の組成物が粉末である場合、上記粉末は、平均粒径が0.5〜2000μmであることが好ましい。上記平均粒径のより好ましい下限は1μmであり、より好ましい上限は1000μmであり、更に好ましい上限は800μmである。
本明細書において、平均粒径は、低分子量PTFEである場合、レーザー回折式粒度分布測定装置(日本レーザー社製)を用い、カスケードは使用せず、圧力0.1MPa、測定時間3秒で粒度分布を測定し、得られた粒度分布積算の50%に対応する粒子径である。
また、高分子量PTFEの場合、上記平均粒径は、JIS K6891に準拠して測定した値である。
上記粉末は、焼成後の色調L*が50以下であることが好ましい。上記色調L*は45以下であることがより好ましく、40以下であることが更に好ましく、35以下であることが特に好ましく、30以下であることが更により好ましい。
色調L*を測定するためのサンプルは、4.0gのPTFEの粉末を、内径28.6mm、厚み約4mmの円盤状PTFE成形体に成形して得られる。
上記粉末の色調L*は、JIS Z8781−4に準拠して、測色色差計(CIELABカラースケール)を用いて測定する。
上記焼成は、385℃に加熱した電気炉内で10分間熱処理することで実施する。
本発明の組成物は、フッ素化処理前後の色調変化率ΔL*が70%以上であることが好ましい。上記色調変化率ΔL*は80以上であることがより好ましく、90以上であることが更に好ましい。
色調変化率ΔL*は、以下の式により定義される。
ΔL*(%)=(L*t−L*i)/(L*Std−L*i)×100
L*i=初期の色調であって、フッ素化処理前のPTFEに係るCIELABスケールにおけるL*の計測値。
L*t=処理済の色調であって、フッ素化処理後のPTFEに係るCIELABスケールにおけるL*の計測値。
L*Std=87.3
上記フッ素化処理は、150℃以上に加熱した反応器内に、フッ素ラジカル源としてフッ素ガス(F2)を窒素ガスで希釈した混合ガス(フッ素/窒素(容積比)=20/80)を大気圧下で流量約50cc/minで480分間(8時間)流し続けることで実施する。
本発明の組成物において、一般式(3)又は(4)で示される化合物の含有量は、後述する実施例に記載するように、液体クロマトグラフィー質量分析法を用いて測定した値である。
本発明の組成物において、上記フルオロポリマーは、炭化水素系界面活性剤を用いて重合して得られたものであることが好ましい。
本発明の組成物は、炭化水素系界面活性剤を含んでよい。炭化水素系界面活性剤としては、上述した界面活性剤(a)、(b)等が挙げられる。
上記組成物は、上記フルオロポリマー、炭化水素系界面活性剤以外にも、顔料や充填剤等の従来公知の添加剤を添加することができる。上記添加剤は、本発明の効果を妨げない範囲で使用すればよい。
本発明はまた、上記組成物からなる成形体でもある。また、上記成形体は、延伸体であることが好ましい。上記延伸体としては、例えば、糸、チューブ、テープ、膜(一軸延伸膜、二軸延伸膜)等が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の成形体は、上記組成物を公知の方法により成形することによって製造できる。成形方法としては、押出成形、射出成形、圧縮成形、ブロー成形等が挙げられる。
つぎに本発明を実施例をあげて説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
実施例の各数値は以下の方法により測定した。
平均一次粒子径
固形分含有量を約0.02質量%に希釈し、単位長さに対する550nmの投射光の透過率と電子顕微鏡写真によって決定された平均一次粒子径との検量線を基にして、上記透過率から間接的に求めた。
上記透過率の測定は、動的光散乱測定装置マイクロトラック9340UPA(Honeywell社製)を用いて測定した。
体積平均粒子径
動的光散乱法により測定される。フルオロポリマー固形分濃度1.0質量%に調整したフルオロポリマー水性分散液を作成し、ELSZ−1000S(大塚電子株式会社製)を使用して25℃、積算70回にて測定した。溶媒(水)の屈折率は1.3328、溶媒(水)の粘度は0.8878mPa・sとした。
数平均粒子径
フルオロポリマー水性分散液を水で固形分濃度が0.15質量%になるまで希釈し、得られた希釈ラテックスの単位長さに対する550nmの投射光の透過率と、透過型電子顕微鏡写真により定方向径を測定して決定した数基準長さ平均粒子径とを測定して、検量線を作成する。この検量線を用いて、各試料の550nmの投射光の実測透過率から数平均粒子径を決定した。
メルトフローレート(MFR)
ASTM D3307−01に準拠し、メルトインデクサー(東洋精機社製)を用いて、297℃、5kg荷重下で内径2mm、長さ8mmのノズルから10分間あたりに流出するポリマーの質量(g/10分)をMFRとした。
固形分含有量
フルオロポリマー水性分散液1gを、送風乾燥機中で150℃、60分の条件で乾燥し、水性分散液の質量(1g)に対する、加熱残分の質量の割合を百分率で表した値を採用した。
ピーク温度
重合により得られた300℃以上の温度に加熱した履歴のないPTFE樹脂について、示差走査熱量計〔DSC〕を用いて、昇温速度10℃/分の条件にて1回目の昇温時の融解熱曲線を描き、上記融解熱曲線に現れる吸熱ピークに対応する温度をPTFE樹脂のピーク温度とした。1回目の昇温時のピーク温度のうち、極大値に対応する温度が上記PTFE樹脂の第1融点である。
融解熱量
重合により得られた300℃以上の温度に加熱した履歴のないPTFE樹脂について、示差走査熱量計〔DSC〕を用いて、昇温速度10℃/分の条件にて融解熱曲線を描き、上記融解熱曲線上の290〜350℃までを結ぶ直線と上記融解熱曲線とで囲まれた領域の面積から算出した。
標準比重(SSG)
ASTM D4895−89に準拠して成形されたサンプルを用い、ASTM D−792に準拠した水置換法により測定した。
非イオン性界面活性剤の含有量(N)
試料約1g(Xg)を直径5cmのアルミカップにとり、100℃にて1時間で加熱した加熱残分(Yg)、更に、得られた加熱残分(Yg)を300℃にて1時間加熱した加熱残分(Zg)より、式:N=[(Y−Z)/Z]×100(%)から算出した。
粘度
B型回転粘度計(東京計器社製)を用い、JIS K 6893に準拠して、25℃又は35℃における粘度を測定した。
フッ素を含む特定の界面活性剤の含有量
下記では、下記一般式(1)及び(2)で示される化合物の含有量を測定する方法を説明する。
一般式(1):(H−(CF2)m−COO)pM1(式中、mは3〜19、M1は、H、金属原子、NR5 4、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム、又は、置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R5はH又は有機基であり、同一でも異なっていてもよい。pは1又は2である。)
一般式(2):(H−(CF2)n−SO3)qM2(式中、nは4〜20である。M2はH、金属原子、NR5 4、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム、又は、置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R5はH又は有機基であり、同一でも異なっていてもよい。qは1又は2である。)
〔一般式(1)で示される化合物の含有量測定方法〕
粉末からの抽出
粉末1gにメタノール10g(12.6mL)を加え、60分間の超音波処理を行い、一般式(1)で示される化合物を含む上澄み液を抽出した。
水性分散液からの抽出
水性分散液の固形分を測定し、PTFE固形分0.5gに相当する量の水性分散液を100mLスクリュー管に秤量した。その後、水性分散液中に含まれている水と合わせ、抽出溶媒が40g(43.14mL)の水/メタノール=50/50vol%となるように水とメタノールを加えた。その後、凝析するまでよく振とうした。固形分を取り除き、液相を4000rpmで1時間遠心分離を行い、一般式(1)で示される化合物を含む上澄み液を抽出した。
抽出液に含まれる一般式(1)で示される化合物の含有量測定
抽出液に含まれる一般式(1)で示される化合物の含有量はパーフルオロオクタン酸に換算することにより求めた。
パーフルオロオクタン酸の検量線
1ng/mL〜100ng/mLの濃度既知のパーフルオロオクタン酸のメタノール標準溶液を5水準調製し、液体クロマトグラフ質量分析計(Waters, LC−MS ACQUITY UPLC/TQD)を用いて測定を行った。それぞれのサンプル濃度とピークの積分値から一次近似を用い、関係式(1)によりa、bを求めた。
A=a×X+b (1)
A:パーフルオロオクタン酸のピーク面積
X:パーフルオロオクタン酸の濃度(ng/mL)
抽出液に含まれる炭素数が4以上、20以下の一般式(1)で示される化合物の含有量
液体クロマトグラフ質量分析計を用い、炭素数が4以上20以下の一般式(1)で示される化合物を測定した。抽出した液相について、MRM法を用いて各炭素数の一般式(1)で示される化合物のピーク面積を求めた。
抽出液中の炭素数(m+1)の一般式(1)で示される化合物の含有量は式(3)を用いて算出した。式(3)のa、bは式(1)より求めた。
XCm=((ACm−b)/a)×((50×m+45)/413)(3)
XCm:抽出溶液中の炭素数(m+1)の一般式(1)で示される化合物の含有量(ng/mL)
ACm:抽出溶液中の炭素数(m+1)の一般式(1)で示される化合物のピーク面積
この測定における定量限界は1ng/mLである。
粉末中に含まれる炭素数(m+1)の一般式(1)で示される化合物の含有量
粉末中に含まれる炭素数(m+1)の一般式(1)で示される化合物の含有量は式(4)により求めた。
YCm=XCm×12.6 (4)
YCm:粉末中に含まれる炭素数(m+1)の一般式(1)で示される化合物の含有量(対フルオロポリマー)
水性分散液中に含まれる炭素数(m+1)の一般式(1)で示される化合物の含有量
水性分散液中に含まれる炭素数(m+1)の一般式(1)で示される化合物の含有量は式(5)により求めた。
ZCm=XCm×86.3 (5)
ZCm:水性分散液中に含まれる炭素数(m+1)の一般式(1)で示される化合物の含有量(対フルオロポリマー)
〔一般式(2)で示される化合物の含有量測定方法〕
粉末からの抽出
粉末1gにメタノール10g(12.6mL)を加え、60分間の超音波処理を行い、一般式(2)で示される化合物を含む上澄み液を抽出した。
水性分散液からの抽出
水性分散液の固形分を測定し、PTFE固形分0.5gに相当する量の水性分散液を100mLスクリュー管に秤量した。その後、水性分散液中に含まれている水と合わせ、抽出溶媒が40g(43.14mL)の水/メタノール=50/50vol%となるように水とメタノールを加えた。その後、凝析するまでよく振とうした。固形分を取り除き、液相を4000rpmで1時間遠心分離を行い、一般式(2)で示される化合物を含む上澄み液を抽出した。
抽出液に含まれる一般式(2)で示される化合物の含有量測定
抽出液に含まれる一般式(2)で示される化合物の含有量はパーフルオロオクタンスルホン酸に換算することにより求めた。
パーフルオロオクタンスルホン酸の検量線
1ng/mL〜100ng/mLの濃度既知のパーフルオロオクタンスルホン酸のメタノール標準溶液を5水準調製し、液体クロマトグラフ質量分析計(Waters, LC−MS ACQUITY UPLC/TQD)を用いて測定を行った。それぞれのサンプル濃度とピークの積分値から一次近似を用い、下記関係式(1)によりa、bを求めた。
A=a×X+b (1)
A:パーフルオロオクタンスルホン酸のピーク面積
X:パーフルオロオクタンスルホン酸の濃度(ng/mL)
抽出液に含まれる炭素数が4以上、20以下の一般式(2)で示される化合物の含有量
液体クロマトグラフ質量分析計を用い、炭素数が4以上20以下の一般式(2)で示される化合物を測定した。抽出した液相について、MRM法を用いて各炭素数の一般式(2)で示される化合物のピーク面積を求めた。
抽出液中の炭素数nの一般式(2)で示される化合物の含有量は式(3)を用いて算出した。式(3)のa、bは式(1)より求めた。
XSn=((ASn−b)/a)×((50×n+81)/499)(3)
XSn:抽出溶液中の炭素数nの一般式(2)で示される化合物の含有量(ng/mL)
ASn:抽出溶液中の炭素数nの一般式(2)で示される化合物のピーク面積
この測定における定量限界は1ng/mLである。
粉末中に含まれる炭素数nの一般式(2)で示される化合物の含有量
粉末中に含まれる炭素数nの一般式(2)で示される化合物の含有量は式(4)により求めた。
YSn=XSn×12.6 (4)
YSn:粉末中に含まれる炭素数nの一般式(2)で示される化合物の含有量(対フルオロポリマー)
水性分散液中に含まれる炭素数nの一般式(2)で示される化合物の含有量
水性分散液中に含まれる炭素数nの一般式(2)で示される化合物の含有量は式(5)により求めた。
ZSn=XSn×86.3 (5)
ZSn:水性分散液中に含まれる炭素数nの一般式(2)で示される化合物の含有量(対フルオロポリマー)
合成例1
リチウム(2.0g)、ジメチルフェニルクロロシラン(8.4g)、テトラヒドロフラン(120mL)混合物を室温下、6時間撹拌した。反応液に4−(tertブチルジメチルシロキシ)−1−モルホリノブタン−1−オン(10g)を加え、−78℃で2時間撹拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液(300mL)を加え、酢酸エチルで抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下に溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、4−(tert−ブチルジメチルシロキシ)−1−(ジメチル(フェニル)シリル)ブタン−1−オン(6.4g)を得た。
1H−NMR(CDCl3) δppm:−0.01(s,6H)、0.49(s,6H)、0.85(s,9H)、1.61−1.71(m,2H)、2.66(J=7.0,t,2H)、3.51(J=6.2,t,2H)、7.38−7.40(m,3H),7.53−7.57(m,2H)
4−(tert−ブチルジメチルシロキシ)−1−(ジメチル(フェニル)シリル)ブタン−1−オン(6.4g)、1−オクテン−3−オン(2.41g)、3−エチル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウムブロミド(1.42g)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(0.86g)、イソプロパノール(3.17g)、テトラヒドロフラン(11.5mL)混合物を75℃下8時間撹拌した。反応液を減圧下に溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、1−tert−ブチルジメチルシロキシドデカン−4,7−ジオン(4.0g)を得た。
1H−NMR(CDCl3) δppm:0.02(s,6H)、0.88(s,12H)、1.22−1.31(m,4H)、1.51−1.59(m,2H)、1.72−1.83(m,2H)、2.43(J=7.6,t,2H)、2.55(J=7.6,t,2H)、2.67(s,4H)、3.59(J=5.9,t,2H)
1−tert−ブチルジメチルシロキシドデカン−4,7−ジオン(1.9g)、テトラブチルアンモニウムフルオリド 1Mテトラヒドロフラン溶液(15mL)、テトラヒドロフラン(17.5mL)の混合物を0℃下2時間撹拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム溶液(100mL)を加え、酢酸エチルで抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下に溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、1−ヒドロキシドデカン−4,7−ジオン(2.0g)を得た。
1H−NMR(CDCl3) δppm:0.89(s,3H)、1.24−1.33(m,4H)、1.52−1.58(m,2H)、1.81−1.90(m,2H)、2.45(J=7.6,t,2H)、2.63(J=7.0,t,2H)、2.76(s,4H)、3.65(J=5.9,t,2H)
1−ヒドロキシドデカン−4,7−ジオン(1.9g)、塩化スルホン酸(1.3g)、トリエチルアミン(1.79g)、ジエチルエーテル(30mL)の混合物を室温下2時間撹拌した。反応液に10%炭酸水素ナトリウム水溶液10mLを加え、水相を酢酸エチルで洗い減圧下に溶媒を留去した。得られた残渣を脱イオン水20mLに溶解後、アセトン100mLを加え沈殿物を除去した。濾液を減圧下で溶媒留去し、残渣をメタノールで抽出した。抽出溶液を減圧下で溶媒留去し、4,7−ジオキソドデシル硫酸ナトリウム(2.4g)を得た。
1H−NMR(D2O) δppm:0.67(J=6.8,t,3H)、1.04−1.14(m,4H)、1.31−1.42(m,2H)、1.72−1.79(m,2H)、2.36(J=7.3,t,2H)、2.54(J=7.3,t,2H)、2.62(s,4H)、3.86(J=6.2,t,2H)
2.04gの4,7−ジオキソドデシル硫酸ナトリウム(以下、界面活性剤Aという)を240mLの純水に溶解させて、濃度26.9mmol/Lの界面活性剤Aの溶液を得た。
実施例1
内容積6.0Lのステンレス製オートクレーブに、イオン交換水3200g、Pluronic31R1(BASF社製)を0.1gを仕込み、系内を窒素ガスで充分置換したのち減圧にした。減圧状態でTFE/VdF混合モノマー60/40(モル%)を88g仕込み、攪拌下に80℃まで昇温した。ついで、純水に溶解した濃度27.1×10−3mol/Lの過硫酸アンモニウム(APS)水溶液をプランジャーポンプにて7.5g/minの流速で2分間供給して重合を開始した。その後、プランジャーポンプ流量は0.25g/minを維持した。重合圧力を0.90MPaとし、重合時の圧力低下を補うため、TFE/VdF混合モノマー60/40(モル%)を連続的に供給し、攪拌下に重合を行った。モノマー導入量が175gになった時点で、純水に溶解した濃度26.9mmol/Lの界面活性剤A溶液をプランジャーポンプにて0.58g/minの流速で供給を開始し、重合終了まで続けた。同時に、過硫酸アンモニウム(APS)水溶液の濃度を13.6×10−2mol/Lに変更し、プランジャーポンプにて7.5g/minの流速で重合終了まで供給を続けた。
重合終了までに、600gのモノマーを槽内に供給した。攪拌を停止し、オートクレーブ内を大気圧まで通気し、フルオロポリマー分散液を抜き出した。129nmの平均一次粒子径を有する粒子を含むフルオロポリマー分散液4.28kgを得た。重合時間は8時間49分であり、固形分含有量は14.4%質量%であった。分散液を硫酸アルミニウム溶液で凝析させ、130℃で12時間乾燥させた後、乾燥したフルオロポリマーを得た。MFR(297℃,5kgf)を測定したところ、11.2g/10minであった。
得られたフルオロポリマーの組成をNMRにて測定したところ、TFE/VdF=60/40モルであった。上記組成は、核磁気共鳴装置を用い、測定温度を(ポリマーの融点+20)℃として19F−NMR測定を行うことにより求めた。
比較例1
内容積6.0Lのステンレス製オートクレーブに、イオン交換水3200g、Pluronic31R1(BASF社製)を0.1gを仕込み、系内を窒素ガスで充分置換したのち減圧にした。減圧状態でTFE/VdF混合モノマー60/40(モル%)を89g仕込み、攪拌下に80℃まで昇温した。ついで、純水に溶解した濃度27.1×10−3mol/Lの過硫酸アンモニウム(APS)水溶液をプランジャーポンプにて7.5g/minの流速で2分間供給して重合を開始した。その後、プランジャーポンプ流量は0.25g/minを維持した。重合圧力を0.90MPaとし、重合時の圧力低下を補うため、TFE/VdF混合モノマー60/40(モル%)を連続的に供給し、攪拌下に重合を行った。モノマー導入量が175gになった時点で、純水に溶解した濃度26.9mmol/Lのドデシル硫酸ナトリウム溶液をプランジャーポンプにて0.58g/minの流速で供給を開始し、重合終了まで続けた。同時に、過硫酸アンモニウム(APS)水溶液の濃度を13.6×10−2mol/Lに変更し、プランジャーポンプにて7.5g/minの流速で重合終了まで供給を続けた。
重合終了までに、600gのモノマーを槽内に供給した。攪拌を停止し、オートクレーブ内を大気圧まで通気し、フルオロポリマー分散液を抜き出した。130nmの平均一次粒子径を有する粒子を含むフルオロポリマー分散液4.26kgを得た。重合時間は8時間38分であり、固形分含有量は13.1質量%、また、重合槽撹拌翼に付着していた固形分は1.3質量%であった。分散液を硫酸アルミニウム溶液で凝析させ、130℃で12時間乾燥させた後、乾燥したフルオロポリマーを得た。MFR(297℃,5kgf)を測定したところ、52.8g/10minであった。
実施例2
メタノール30mLに、実施例1で得られたフルオロポリマー分散液2mLを加え、超音波振動下で3時間抽出した。界面活性剤Aをメタノールに溶解させ、それぞれ0.1、1、10、100、1000ppmの標準溶液を作成し、HPLCによる検量線作成の後、抽出液中に含有される界面活性剤量を測定した所、水に対して、205.8ppmであり、フルオロポリマーに対して、1400ppmであった。
合成例2
10−ウンデセン−1−オール(16g)、1,4−ベンゾキノン(10.2g)、DMF(160mL)、水(16mL)及びPdCl2(0.34g)の混合物を90℃で12時間加熱撹拌した。
その後減圧下に溶媒を留去した。得られた残渣を分液及びカラムクロマトグラフィーで精製し、11−ヒドロキシウンデカン−2−オン(15.4g)を得た。
得られた11−ヒドロキシウンデカン−2−オンのスペクトルデータを以下に示す。
1H−NMR(CDCl3) δppm:1.29−1.49(m,14H)、2.08(s,3H)、2.45(J=7.6,t,2H)、3.51(J=6.5,t,2H)
11−ヒドロキシウンデカン−2−オン(13g)、三酸化硫黄トリエチルアミン錯体(13.9g)、テトラヒドロフラン(140mL)の混合物を50℃下12時間撹拌した。ナトリウムメトキシド(3.8g)/メタノール(12mL)溶液を反応液に滴下した。
析出固体を減圧濾過し、酢酸エチルで洗浄し、10−オキソウンデシル硫酸ナトリウム(15.5g)(以下、界面活性剤Bという)を得た。得られた10−オキソウンデシル硫酸ナトリウムのスペクトルデータを以下に示す。
1H−NMR(CDCl3) δppm:1.08(J=6.8,m,10H)、1.32(m,2H)、1.45(m,2H)、1.98(s,3H)、2.33(J=7.6,t,2H)、3.83(J=6.5,t,2H)
合成例3
ジビニルケトン(7.4g)、2−メチルフラン(8.0g)、酢酸(6mL)、水(60mL)を40℃で4時間撹拌した。反応溶液を飽和炭酸水素ナトリウム溶液に加え、酢酸エチルで抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下に溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、1−(5−メチル−2−フラニル)−3−ブテン−2−オン(7.4g)を得た。
1H−NMR(CDCl3) δppm:5.88(dd,J=17.4,10.6,2H)、6.32(dd,J=17.4,1.3,2H)、5.88(dd,J=10.6,1.3,2H)
1−(5−メチル−2−フラニル)−3−ブテン−2−オン(1.7g)、4−(tert−ブチルジメチルシロキシ)−1−(ジメチル(フェニル)シリル)ブタン−1−オン(4.8g)、3−エチル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウムブロミド(1.42g)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(0.66g)、イソプロパノール(3.4g)、テトラヒドロフラン(11.5mL)混合物を75℃下8時間撹拌した。反応液を減圧下に溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、8−((tert−ブチルジメチルシリル)オキシ)−1−(5−メチルフラン−2−ニル)オクタン−2,5−ジオン(1.9g)を得た。
8−((tert−ブチルジメチルシリル)オキシ)−1−(5−メチルフラン−2−ニル)オクタン−2,5−ジオン(1.9g)、テトラブチルアンモニウムフルオリド 1Mテトラヒドロフラン溶液(7mL)、テトラヒドロフラン(5mL)の混合物を0℃下2時間撹拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム溶液(100mL)を加え、酢酸エチルで抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下に溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、8−ヒドロキシ−1−(5−メチルフラン−2−ニル)オクタン2,5−ジオン(1.0g)を得た。
8−ヒドロキシ−1−(5−メチルフラン−2−ニル)オクタン2,5−ジオン(1.0g)、塩化スルホン酸(0.5g)、トリエチルアミン(0.8g)、ジエチルエーテル(10mL)の混合物を室温下2時間撹拌した。反応液に10%炭酸水素ナトリウム水溶液10mLを加え、水相を酢酸エチルで洗い減圧下に溶媒を留去した。得られた残渣を脱イオン水20mLに溶解後、アセトン100mLを加え沈殿物を除去した。濾液を減圧下で溶媒留去し、残渣をメタノールで抽出した。抽出溶液を減圧下で溶媒留去し、9−(5−メチルフラン−2−ニル)−4,7−ジオキソノニル硫酸ナトリウム(0.8g)を得た。
9−(5−メチルフラン−2−ニル)−4,7−ジオキソノニル硫酸ナトリウム(0.8g)、1M塩酸(3mL)の混合物を100℃の条件下で1時間撹拌した。反応液にNaOH水溶液(0.2M)を加えて中和し濃縮。アセトン/水により再沈殿法により精製し、4,7,10,13−テトラオキソテトラデシル硫酸ナトリウム(0.75g)(以下、界面活性剤Cという)を得た。
実施例3
内容積1Lのガラス製のオートクレーブに550gの脱イオン脱気水、30gのパラフィンワックス、0.0192gの界面活性剤Bを加え、反応器を密閉し、系内を窒素で置換を行ない、酸素を取り除いた。反応器を70℃に昇温し、TFEを反応器に充填して、反応器を0.78MPaにする。重合開始剤として過硫酸アンモニウム(APS)0.011gを仕込んだ。反応圧力が0.78MPa一定となるように、TFEを仕込む。TFEを50g仕込んだ時に、撹拌を停止し、反応器が大気圧になるまで脱圧を行なう。水性分散液を反応器より取り出し、冷却後、パラフィンワックスを分離し、得られたPTFE水性分散液に含まれる粒子の体積平均粒子径は、177nmであった。得られたPTFE水性分散液の固形分含有量は、8.2質量%であった。
得られたPTFE水性分散液を150℃、18時間乾燥した。
得られたPTFE樹脂のDSC測定を行なったところ、1回目の昇温時のピーク温度が344℃に観測された。また、この時の融解熱量は、75J/gであった。また、SSGは2.177であった。このことより、得られたPTFEは、高分子量PTFEであることが分かった。
メタノール30mL(23.8g)に、得られたPTFE水性分散液2mLを加え、超音波振動下で3時間抽出した。界面活性剤Bをメタノールに溶解させ、それぞれ0.1、1、10、100、1000ppmの標準溶液を作成し、HPLCによる検量線作成の後、抽出液中に含有される界面活性剤量を測定した所、PTFE水性分散液に対して、32ppmであった。
得られたPTFE水性分散液を凝固するまで激しく撹拌して凝析し、得られた凝集物を脱イオン水で洗浄した後、洗浄後の凝集物を150℃、18時間乾燥し、PTFE粉末を得た。
メタノール10mL(7.9g)に、得られたPTFE粉末1gを加え、超音波振動下で1時間抽出した。界面活性剤Bをメタノールに溶解させ、それぞれ0.1、1、10、100、1000ppmの標準溶液を作成し、HPLCによる検量線作成の後、抽出液中に含有される界面活性剤量を測定した所、PTFEに対して、15ppbであった。
実施例4
内容積1Lのガラス製のオートクレーブに550gの脱イオン脱気水、30gのパラフィンワックス、0.0192gの界面活性剤Bを加え、反応器を密閉し、系内を窒素で置換を行ない、酸素を取り除いた。反応器を85℃に昇温し、TFEを反応器に充填して、反応器を0.78MPaにする。重合開始剤として過硫酸アンモニウム(APS)0.0022g、ジコハク酸パーオキサイド(DSP)0.110gを仕込んだ。反応圧力が0.78MPa一定となるように、TFEを仕込む。TFEを50g仕込んだ時に、撹拌を停止し、反応器が大気圧になるまで脱圧を行なう。水性分散液を反応器より取り出し、冷却後、パラフィンワックスを分離し、得られたPTFE水性分散液に含まれる粒子の体積平均粒子径は、189nmであった。また、得られたPTFE水性分散液の固形分含有量は、8.2質量%であった。
得られたPTFE水性分散液を150℃、18時間乾燥した。
得られたPTFE樹脂のDSC測定を行なったところ、1回目の昇温時のピーク温度が339℃と343℃に観測された。また、この時の融解熱量は、76J/gであった。また、SSGは2.173であった。このことより、得られたPTFEは、高分子量PTFEであることが分かった。
メタノール30mL(23.8g)に、得られたPTFE水性分散液2mLを加え、超音波振動下で3時間抽出した。界面活性剤Bをメタノールに溶解させ、それぞれ0.1、1、10、100、1000ppmの標準溶液を作成し、HPLCによる検量線作成の後、抽出液中に含有される界面活性剤量を測定した所、PTFE水性分散液に対して、31ppmであった。
実施例5
内容積6LのSUS製のオートクレーブに3500gの脱イオン脱気水、100gのパラフィンワックス、0.122gの界面活性剤Bを加え、反応器を密閉し、系内を窒素で置換を行ない、酸素を取り除いた。反応器を70℃に昇温し、TFEを反応器に充填して、反応器を0.78MPaにする。重合開始剤として過硫酸アンモニウム(APS)0.070gを仕込んだ。反応圧が0.78MPa一定となるようにTFEを仕込む。反応途中に界面活性剤Bを9回、トータル1.10g添加した。TFEを425g仕込んだ時に、撹拌を停止し、反応器が大気圧になるまで脱圧を行なう。水性分散液を反応器より取り出し、冷却後、パラフィンワックスを分離し、得られたPTFE水性分散液に含まれる粒子の体積平均粒子径は、178nmであった。得られたPTFE水性分散液の固形分含有量は、10.7質量%であった。
得られたPTFE水性分散液を150℃、18時間乾燥した。
得られたPTFE樹脂のSSGは、2.175であった。このことより、得られたPTFEは、高分子量PTFEであることが分かった。
更に、得られたPTFE水性分散液に非イオン性界面活性剤としてポリオキシエチレントリデシエーテル(HLB=13.3)を加え、上記非イオン性界面活性剤濃度がPTFE100質量部に対して100質量部加えた。アンモニア水を用いてpH10に調整し、64℃の温度下に14時間静置して曇点濃縮を行なった。上澄み液を取り除き、濃縮液を得た。
得られた濃縮液に、非イオン性界面活性剤と水を加え、固形分含有量60.0質量%、非イオン性界面活性剤濃度(N)を6.5質量%となるように調整した。
得られたPTFE濃縮液の25℃の粘度は、46mPa・sであった。
更に、得られたPTFE水性分散液に非イオン性界面活性剤としてポリオキシエチレントリデシエーテル(HLB=13.3)を加え、上記非イオン性界面活性剤濃度がPTFE固形分100質量部に対して100質量部加えた。アンモニア水を用いてpH10に調整し、64℃の温度下に14時間静置して曇点濃縮を行なった。上澄み液を取り除き、PTFE濃縮液Aを得た。
得られたPTFE濃縮液Aに、上記非イオン性界面活性剤と水を加え、固形分含有量60.0質量%、非イオン性界面活性剤濃度(N)を6.5質量%となるように調整し、PTFE濃縮液Bを得た。
得られたPTFE濃縮液Bの25℃の粘度は、46mPa・sであった。
実施例6
実施例5で得られた濃縮液Aに、上記非イオン性界面活性剤、水、及び粘度調整剤としてラウリル硫酸アンモニウム(PTFE固形分に対して1000ppm)を加え、固形分含有量60.0質量%、非イオン性界面活性剤濃度(N)を6.5質量%となるように調整し、PTFE濃縮液Cを得た。得られたPTFE濃縮液Cの25℃の粘度は、25mPa・s、35℃の粘度は、25mPa・sであった。
実施例7
実施例5で得られたPTFE水性分散液に脱イオン水を加え、比重(25℃)を1.080に調整した。撹拌翼と邪魔板を備えた凝析槽に、比重調整したPTFE水性分散液を加え、内温が34℃になるように温度調節した。調節後直ちに硝酸を添加すると同時に撹拌を開始した。撹拌開始後、水性分散液がスラリー状態を経て、湿潤PTFE粉末が形成されたことを確認し、更に撹拌を継続した。
続いて、湿潤PTFE粉末を濾別し、湿潤PTFE粉末と脱イオン水2.5Lを凝析槽内に仕込み、ポリマー粉末を洗浄した。洗浄の後、湿潤PTFE粉末を濾別し、150℃の熱風循環式乾燥機内に18時間静置して乾燥させ、PTFE粉末を得た。
実施例5の重合で得られたPTFE水性分散液に含まれる、一般式(1)及び(2)で示される化合物の含有量を測定した。結果を下記表7に示す。
nが5、7、9、11、13、15、17及び19、mが4、6、8、10、12、14、16及び18のピークについては定量限界以下であった。
なお、定量限界は、水性分散液の場合は86ppbである。
実施例7で得られたPTFE粉末に含まれる、一般式(1)及び(2)で示される化合物の含有量を測定した。結果を下記表8に示す。
nが5、7、9、11、13、15、17及び19、mが4、6、8、10、12、14、16及び18のピークについては定量限界以下であった。
なお、定量限界は、粉末の場合は13ppbである。
実施例8
内容積6LのSUS製のオートクレーブに3600gの脱イオン脱気水、180gのパラフィンワックス、0.540gの界面活性剤Bを加え、反応器を密閉し、系内を窒素で置換を行ない、酸素を取り除いた。反応器を70℃に昇温し、TFEを反応器に充填して、反応器を2.76MPaにする。重合開始剤として過硫酸アンモニウム(APS)0.620g、ジコハク酸パーオキサイド(DSP)1.488gを仕込んだ。反応圧が2.76MPa一定となるようにTFEを仕込む。TFEを330g仕込んだ時に、撹拌を停止し、反応器が大気圧になるまで脱圧を行なう。水性分散液を反応器より取り出し、冷却後、パラフィンワックスを分離し、得られたPTFE水性分散液に含まれる粒子の体積平均粒子径は、136nmであった。得られたPTFE水性分散液の固形分含有量は、8.4質量%であった。
得られたPTFE水性分散液を凝固するまで激しく撹拌して凝析し、得られた凝集物を150℃、18時間乾燥し、PTFE粉末を得た。
得られたPTFE粉末のDSC測定を行なったところ、1回目の昇温時のピーク温度が336℃に観測された。
得られたPTFE粉末のSSGは2.211であった。
実施例8で得られたPTFE粉末に含まれる、一般式(1)及び(2)で示される化合物の含有量を測定した。結果を下記表9に示す。
nが5、7、9、11、13、15、17及び19、mが4、6、8、10、12、14、16及び18のピークについては定量限界以下であった。
なお、定量限界は13ppbである。
実施例9
内容積6LのSUS製のオートクレーブに3600gの脱イオン脱気水、180gのパラフィンワックス、0.540gの界面活性剤Bを加え、反応器を密閉し、系内を窒素で置換を行ない、酸素を取り除いた。反応器を70℃に昇温し、TFEを反応器に充填して、反応器を2.76MPaにする。重合開始剤としてシュウ酸を0.50gを添加した後、過マンガン酸カリウム水溶液の連続的な添加を開始した。反応圧が2.76MPa一定となるようにTFEを仕込んだ。過マンガン酸カリウム固形分で0.23g相当になるまで過マンガン酸水溶液を連続的に仕込んだ。TFEを330g仕込んだ時に、撹拌を停止し、反応器が大気圧になるまで脱圧を行なう。水性分散液を反応器より取り出し、冷却後、パラフィンワックスを分離し、得られたPTFE水性分散液に含まれる粒子の体積平均粒子径は、114nmであった。得られたPTFE水性分散液の固形分含有量は、8.4質量%であった。
得られたPTFE水性分散液を凝固するまで激しく撹拌して凝析し、得られた凝集物を150℃、18時間乾燥し、PTFE粉末を得た。
得られたPTFE粉末のDSC測定を行なったところ、1回目の昇温時のピーク温度が335℃に観測された。
得られたPTFE粉末のSSGは2.233であった。
実施例9で得られたPTFE粉末に含まれる、一般式(1)及び(2)で示される化合物の含有量を測定した。結果を下記表10に示す。
nが5、7、9、11、13、15、17及び19、mが3、5、7、9、11,13、15、17及び19のピークについては定量限界以下であった。
なお、定量限界は13ppbである。
実施例10
実施例5で得られたPTFE水性分散液の固形分を測定し、PTFE固形分2.5gに相当する量の水性分散液を100mLスクリュー管に秤量した。その後、水性分散液中に含まれている水と合わせ、抽出溶媒が40g(43.14mL)の水/メタノール=50/50vol%となるように水とメタノールを加えた。その後、凝析するまでよく振とうした。固形分を取り除き、液相を4000rpmで1時間遠心分離を行い、一般式(2)で示される化合物を含む上澄み液Bを抽出した。
上澄み液Bを上記に示す一般式(2)で示される化合物の含有量測定方法を用いて、測定した。結果を下記表11に示す。なお、定量限界は、17.2ppbである。
実施例11
実施例8で得られたPTFE粉末10gにメタノール10g(12.6mL)を加え、60分間の超音波処理を行い、一般式(2)で示される化合物を含む上澄み液Cを抽出した。
上澄み液Cを上記に示す一般式(2)で示される化合物の含有量測定方法を用いて、測定した。結果を下記表11に示す。なお、定量限界は、1.3ppbである。