JPWO2018168313A1 - サイドウォール用ゴム組成物及び空気入りタイヤ - Google Patents

サイドウォール用ゴム組成物及び空気入りタイヤ Download PDF

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Abstract

本発明は、低発熱性を改善できるサイドウォール用ゴム組成物、及びこれを用いた空気入りタイヤを提供する。本発明は、イソプレン系ゴムを30質量%以上含むゴム成分と、カーボンブラックと、2連鎖以上のエチレンオキシドの平均質量がエチレンオキシドの総質量の30質量%以上であるポリエーテルと、炭素数4以上の脂肪族カルボン酸亜鉛及び/又は芳香族カルボン酸亜鉛とを含有し、前記カーボンブラックは、前記ゴム成分100質量部に対する含有量が20質量部以上でかつ、CTAB比表面積100m2/g以下のカーボンブラック(1)の含有率が50質量%以上であり、前記ゴム成分100質量部に対して、前記ポリエーテルの含有量が20質量部以下、前記脂肪族カルボン酸亜鉛及び前記芳香族カルボン酸亜鉛の合計含有量が20質量部以下、酸化亜鉛の含有量が10質量部以下である、サイドウォール用ゴム組成物に関する。

Description

本発明は、サイドウォール用ゴム組成物及びそれを用いて作製したサイドウォールを有する空気入りタイヤに関する。
近年、低燃費化への要求が強く、タイヤにおける占有比率の高いトレッドだけでなく、サイドウォール等の他の部材に対しても、優れた低燃費性(低発熱性)が要求されている。サイドウォールには、粒子径の大きいカーボンブラックが汎用されているため、カーボンブラックをシリカに変更しても期待ほど低発熱性の改善効果は得られない。
特許文献1には、粒子径の異なるシリカを配合し、低燃費性を向上できるゴム組成物が開示されているが、サイドウォール配合での更なる改善が要求されている。また、タイヤ用ゴム組成物では、低発熱性等のゴム物性だけでなく、スコーチやリバージョンを抑制することも重要であり、これらの性能をバランス良く改善することも望まれている。
特開2008−101127号公報
本発明は、前記課題を解決し、低発熱性を改善できるサイドウォール用ゴム組成物、及びこれを用いた空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明は、イソプレン系ゴムを30質量%以上含むゴム成分と、カーボンブラックと、2連鎖以上のエチレンオキシドの平均質量がエチレンオキシドの総質量の30質量%以上であるポリエーテルと、炭素数4以上の脂肪族カルボン酸亜鉛及び/又は芳香族カルボン酸亜鉛とを含有し、前記カーボンブラックは、前記ゴム成分100質量部に対する含有量が20質量部以上でかつ、CTAB比表面積100m/g以下のカーボンブラック(1)の含有率が50質量%以上であり、前記ゴム成分100質量部に対して、前記ポリエーテルの含有量が20質量部以下、前記脂肪族カルボン酸亜鉛及び前記芳香族カルボン酸亜鉛の合計含有量が20質量部以下、酸化亜鉛の含有量が10質量部以下である、サイドウォール用ゴム組成物に関する。
本発明はまた、前記ゴム組成物から作製したサイドウォールを有する空気入りタイヤに関する。
本発明は、イソプレン系ゴムを所定量含むゴム成分と、所定のカーボンブラックと、2連鎖以上のエチレンオキシドの平均質量がエチレンオキシドの総質量の30質量%以上であるポリエーテルと、炭素数4以上の脂肪族カルボン酸亜鉛及び/又は芳香族カルボン酸亜鉛とを所定量含有し、酸化亜鉛の含有量が所定以下のサイドウォール用ゴム組成物であるので、低発熱性を顕著に改善できる。
本発明のサイドウォール用ゴム組成物は、イソプレン系ゴムを所定量含むゴム成分と、所定のカーボンブラックと、2連鎖以上のエチレンオキシドの平均質量がエチレンオキシドの総質量の30質量%以上であるポリエーテルと、炭素数4以上の脂肪族カルボン酸亜鉛及び/又は芳香族カルボン酸亜鉛とを所定量含有し、酸化亜鉛の含有量が所定以下のものである。
例えば、ゴム成分としてSBR等の共役ジエン及び非共役オレフィンの共重合体を用いる場合、加工性向上のためにポリエーテルを配合する技術が提案されているが、本発明者は、他のゴム成分及び充填剤と、ポリエーテルとを組み合わせると、スコーチが短くなるという新たな課題が生じ、特にリバージョンの生じやすい天然ゴム配合や、補強効果の小さい比較的大粒径のカーボンブラックを多く含む配合において、ポリエーテルを組み合わせると、引張強度の低下が著しく、強度が必要とされるサイドウォール配合に適用できないという新たな課題が生じるという知見を見出した。
これに対し、本発明は、スコーチを改善し、かつ、リバージョンを防ぎつつ、加硫状態として、良好な低発熱性を達成するサイドウォール配合を提供するものである。
ポリエーテルについて、エチレンオキシドが連鎖していると、酸化亜鉛中の亜鉛原子と反応し、加硫が促進されることで、スコーチが短くなると推測される。そのため、共役ジエンと非共役オレフィンとの共重合体を多く含む配合系では配合中の二重結合が少なく、大きな問題にはならないが、天然ゴム等の他のゴム成分の場合、前述の新たな課題が生じると推察される。この課題に対し、本発明者は、炭素数4以上の脂肪族カルボン酸亜鉛及び/又は芳香族カルボン酸亜鉛を20質量部以下の範囲で添加すると共に、酸化亜鉛の含有量を10質量部以下に低減することにより、前述のスコーチ、リバージョンに関する課題を解決できたものである。
課題が解決されるメカニズムは明らかではないが、以下のように推測される。
炭素数4以上の脂肪族カルボン酸亜鉛及び/又は芳香族カルボン酸亜鉛は、酸化亜鉛よりも障害が大きく、加硫前の比較的低い温度では、連鎖するエチレンオキシドと反応し難いため、スコーチ悪化を招きにくい。そして、加硫時の比較的高い温度では、亜鉛原子の自由度が増し、連鎖するエチレンオキシドと反応し易くなり、加硫促進作用を示す。この加硫促進作用は、炭素数4以上の脂肪族カルボン酸亜鉛及び/又は芳香族カルボン酸亜鉛を、ポリエーテルと組み合わせた場合により大きくなるため、加硫促進のための酸化亜鉛量を低減できる。その結果、イソプレン系ゴム及び所定のカーボンブラックを含む配合において、2連鎖以上のエチレンオキシドを所定量含むポリエーテルと、炭素数4以上の脂肪族カルボン酸亜鉛及び/又は芳香族カルボン酸亜鉛とを所定量配合すると共に、酸化亜鉛量を所定以下に低減することで、スコーチを改善し、リバージョンを抑制しつつ、良好な低発熱性が得られるものと推察される。
前記ゴム組成物は、イソプレン系ゴムを含む。
イソプレン系ゴムとしては、合成イソプレンゴム(IR)、天然ゴム(NR)、改質天然ゴム等が挙げられる。NRには、脱タンパク質天然ゴム(DPNR)、高純度天然ゴム(HPNR)も含まれ、改質天然ゴムとしては、エポキシ化天然ゴム(ENR)、水素添加天然ゴム(HNR)、グラフト化天然ゴム等が挙げられる。また、NRとしては、例えば、SIR20、RSS♯3、TSR20等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。なかでも、NR、IRが好ましく、NRがより好ましい。
前記ゴム組成物は、ゴム成分100質量%中のイソプレン系ゴムの含有量が30質量%以上であり、好ましくは40質量%以上、より好ましくは45質量%以上である。下限以上にすることで、良好な低発熱性が得られる傾向がある。該含有量の上限は特に限定されないが、好ましくは90質量%以下、より好ましくは75質量%以下、更に好ましくは60質量%以下である。
イソプレン系ゴム以外に使用できるゴム成分としては、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、ブチル系ゴムなどが挙げられる。なかでも、良好なゴム物性を有するサイドウォールが得られるという点から、BRが好ましい。
BRとしては特に限定されず、タイヤ工業において一般的なものを使用でき、例えば、ハイシス1,4−ポリブタジエンゴム(ハイシスBR)、1,2−シンジオタクチックポリブタジエン結晶を含むブタジエンゴム(SPB含有BR)、変性ブタジエンゴム(変性BR)、希土類系触媒を用いて合成したBR(希土類BR)などが挙げられる。
BRとしては、例えば、宇部興産(株)、JSR(株)、旭化成(株)、日本ゼオン(株)等の製品を使用できる。
BRを含有する場合、ゴム成分100質量%中のBRの含有量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは40質量%以上である。また、上記BRの含有量は、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下、更に好ましくは60質量%以下である。上記範囲内にすることで、良好なゴム物性を有するサイドウォールが得られる傾向がある。
前記ゴム組成物は、CTAB比表面積(臭化セチルトリメチルアンモニウム吸着比表面積)が100m/g以下のカーボンブラック(1)を含む。前記CTAB比表面積は、好ましくは70m/g以下、より好ましくは50m/g以下である。下限は特に限定されないが、好ましくは10m/g以上、より好ましくは30m/g以上、更に好ましくは35m/g以上である。上記範囲内であると、良好なゴム物性を有するサイドウォールが得られる傾向がある。
なお、CTABは、JIS K6217−3:2001に準拠して測定される値である。
前記ゴム組成物に含まれる前記カーボンブラック(1)の含有率(ゴム組成物中に含まれるカーボンブラック100質量%中の前記カーボンブラック(1)の含有率)は、50質量%以上であり、好ましくは75質量%以上、より好ましくは90質量%以上で、100質量%でも良い。下限以上にすることで、良好なゴム物性を有するサイドウォールが得られる傾向がある。
ゴム組成物に用いられるカーボンブラックとしては、N134、N110、N220、N234、N219、N339、N330、N326、N351、N550、N762等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
カーボンブラックとしては、例えば、旭カーボン(株)、キャボットジャパン(株)、東海カーボン(株)、三菱化学(株)、ライオン(株)、新日化カーボン(株)、コロンビアカーボン社等の製品を使用できる。
前記ゴム組成物において、カーボンブラックの含有量(カーボンブラック(1)を含むカーボンブラックの合計含有量)は、ゴム成分100質量部に対して、20質量部以上、好ましくは30質量部以上、より好ましくは35質量部以上である。下限以上にすることで、十分な補強性が得られる傾向がある。また、上記含有量の上限は特に限定されないが、好ましくは100質量部以下、より好ましくは70質量部以下、更に好ましくは50質量部以下である。上限以下にすることで、良好な低発熱性が得られる傾向がある。
前記ゴム組成物は、2連鎖以上のエチレンオキシドの平均質量がエチレンオキシドの総質量の30質量%以上であるポリエーテルを含む。該平均質量は、好ましくは35質量%以上、より好ましくは40質量%以上である。上限は特に限定されず、100質量%でも良い。上記範囲内にすることで、スコーチ、リバージョンの問題が解決される傾向がある。
ここで、「2連鎖以上のエチレンオキシドの平均質量(質量%)(連鎖エチレンオキシド含量(質量%))」とは、ポリエーテルに含まれる全ポリエチレンオキシドに対する2連鎖以上のポリエチレンオキシドの割合を表し、下記式で計算される。
連鎖エチレンオキシド含量(質量%)=2連鎖以上のエチレンオキシドの平均個数/全エチレンオキシドの個数×100(%)
なお、2連鎖以上のポリエチレンオキシドとは、エチレンオキサイド(EO)単位が2単位以上連鎖したもので、−EO−EO−(2連鎖)、−EO−EO−EO−(3連鎖)、等で示されるものである。
例えば、エチレンオキシド(EO)モノマーが4個、プロピレンオキシド(PO)モノマーが1つのポリエーテルの場合、連鎖エチレンオキシド含量は下記のとおり算出される。
Figure 2018168313
連鎖エチレンオキシド含量(質量%)
=2連鎖以上のEOの平均個数/全EOの個数×100(質量%)
=(1/5×4+1/5×3+1/5×4+1/5×3+1/5×4)/4×100(質量%)
=3.6/4×100=90(質量%)
前記ポリエーテルの数平均分子量(スチレン換算値)は300以上が好ましく、1,500以上がより好ましく、2,000以上が更に好ましい。また、前記ポリエーテルの数平均分子量(スチレン換算値)は50,000以下が好ましく、40,000以下がより好ましく、20,000以下が更に好ましい。上記範囲内にすることで、ゴム表面にポリエーテルが移行する速度(ブルーム速度)を適正とし、良好な外観を確保できる傾向がある。
前記ポリエーテルの含有量は20質量部以下であり、好ましくは10質量部以下、より好ましくは7質量部以下、更に好ましくは5質量部以下である。上限以下にすることで、加硫速度が速くなるのを抑制する効果が得られ、また、良好な外観が得られる傾向がある。
該含有量は、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.3質量部以上、更に好ましくは0.6質量部以上である。下限以上にすることで、外観、スコーチ、リバージョンのバランスが良好になる傾向がある。
前記ポリエーテルとしては、R−O−(R−O)−R、又はR−{(O−R−O)−Rで示される化合物を好適である。ここで、R、Rは、水素又は炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素基、アルカノイル基であり、炭素に結合する水素を芳香族炭化水素基で置換したものでもよい。Rは、同一若しくは異なって、炭素数2〜10の2価の脂肪族炭化水素基又は2価の脂環族炭化水素基であり、炭素に結合する水素を芳香族炭化水素基で置換したものでもよい。Rは、3個以上の水酸基を有する化合物(a)から水酸基を除いた残基である。n及びmは整数を表し、連鎖エチレンオキシド含量が前述の範囲を満たす限り、任意に選択できる。
、Rは特に限定されず、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ステアリル基、オレイル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、フェニル基、トルイル基、ナフチル基、ピリジル基、アセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基、ヘキシノイル基、オクチノイル基、オクタデカノイル基、オレオイル基、ベンゾイル基、などが挙げられる。
は特に限定されず、エチレン基、プロパン−1,2−ジイル基、ブタン−1,2−ジイル基、(2−メチル)プロパン−1,2−ジイル基、ヘキサン−1,2−ジイル基、オクタン−1,2−ジイル基、(1−フェニル)エタン−1,2−ジイル基、(1−フェニル)プロパン−1,2−ジイル基、シクロヘキサン−1,2−ジイル基、シクロオクタン−1,2−ジイル基、などが挙げられる。
3個以上の水酸基を有する化合物(a)は特に限定されず、例えば、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、単糖類、多糖類、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、などが挙げられる。
前記ポリエーテルは、具体的には、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、2,3−ブチレンオキシド、2−メチルプロピレンオキシド、シクロヘキセンオキシド、等のオキシラン化合物を単独重合又は共重合させて得られるポリアルキレングリコール;該ポリアルキレングリコールの水酸基の水素をアルキル基で置換した化合物(ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンジアルキルエーテル等);該ポリアルキレングリコールの水酸基を有機酸と脱水反応させた化合物;多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物;などが挙げられる。
前記ゴム組成物は、炭素数4以上の脂肪族カルボン酸亜鉛及び/又は芳香族カルボン酸亜鉛を含む。この成分により、イソプレン系ゴム及び前記カーボンブラック(1)を含む配合に前記ポリエーテルを添加した際のスコーチの課題を解決できる。また、耐加硫戻り抑制性も付与され、リバージョンによる性能悪化(低発熱性等の悪化)を防止できる。
脂肪族カルボン酸亜鉛における脂肪族カルボン酸としては、やし油、パーム核油、ツバキ油、オリーブ油、アーモンド油、カノーラ油、落花生油、米糖油、カカオ脂、パーム油、大豆油、綿実油、胡麻油、亜麻仁油、ひまし油、菜種油などの植物油由来の脂肪族カルボン酸、牛脂などの動物油由来の脂肪族カルボン酸、石油等から化学合成された脂肪族カルボン酸などが挙げられる。なかでも、植物油由来の脂肪族カルボン酸が好ましく、やし油、パーム核油又はパーム油由来の脂肪族カルボン酸がより好ましい。
脂肪族カルボン酸の炭素数は4以上であり、6以上が好ましく、7以上がより好ましい。下限以上にすることで、良好な分散性が得られる傾向がある。脂肪族カルボン酸の炭素数の上限は特に限定されないが、16以下が好ましく、14以下がより好ましく、12以下が更に好ましい。上限以下にすることで、加硫戻りを抑制できる傾向がある。
なお、脂肪族カルボン酸中の脂肪族としては、アルキル基などの鎖状構造でも、シクロアルキル基などの環状構造でもよい。
芳香族カルボン酸亜鉛における芳香族カルボン酸としては、例えば、安息香酸、フタル酸、メリト酸、ヘミメリト酸、トリメリト酸、ジフェン酸、トルイル酸、ナフトエ酸などが挙げられる。なかでも、安息香酸、フタル酸又はナフトエ酸が好ましい。
芳香族カルボン酸の炭素数は、好ましくは4以上であり、より好ましくは6以上、更に好ましくは7以上である。下限以上にすることで、良好な分散性が得られる傾向がある。芳香族カルボン酸の炭素数の上限は特に限定されないが、16以下が好ましく、14以下がより好ましく、12以下が更に好ましい。上限以下にすることで、加硫戻りを抑制できる傾向がある。
前記炭素数4以上の脂肪族カルボン酸亜鉛と、前記芳香族カルボン酸亜鉛との合計含有量は、ゴム成分100質量部に対して、20質量部以下、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下である。上限以下にすることで、良好な加工性が得られる傾向がある。該合計含有量の下限は特に限定されないが、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1.0質量部以上、更に好ましくは2.0質量部以上である。下限以上にすることで、耐加硫戻り性が確保され、優れた耐久性等が得られる傾向がある。
炭素数4以上の脂肪族カルボン酸亜鉛と、芳香族カルボン酸亜鉛との混合物(両成分)を用いることが好適な態様である。この場合、混合物中の前記脂肪族カルボン酸の亜鉛塩と芳香族カルボン酸の亜鉛塩との含有比率(モル比率、脂肪族カルボン酸の亜鉛塩/芳香族カルボン酸の亜鉛塩、以下、含有比率とする)は1/20以上が好ましく、1/15以上がより好ましく、1/10以上が更に好ましい。下限以上にすることで、混合物の分散性及び安定性が良好になる傾向がある。また、含有比率は20/1以下が好ましく、15/1以下がより好ましく、10/1以下が更に好ましい。上限以下にすることで、加硫戻りを抑制できる傾向がある。
前記混合物を用いる場合、該混合物中の亜鉛含有率は3質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましい。下限以上にすることで、加硫戻りを抑制できる傾向がある。また、混合物中の亜鉛含有率は30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましい。上限以下にすることで、良好な加工性が得られる傾向がある。
前記ゴム組成物は、酸化亜鉛の含有量が10質量部以下である。酸化亜鉛量を少なくすることで、スコーチやリバージョンの課題を解決できる。好ましくは5質量部以下、より好ましくは3質量部以下である。下限は特に限定されないが、0.5質量部以上が好ましく、1.0質量部以上がより好ましく、1.5質量部以上が更に好ましい。
酸化亜鉛としては、従来公知のものを使用でき、例えば、三井金属鉱業(株)、東邦亜鉛(株)、ハクスイテック(株)、正同化学工業(株)、堺化学工業(株)等の製品を使用できる。
前記ゴム組成物は、オイルを含むことが好ましい。
オイルとしては、例えば、プロセスオイル、植物油脂、又はその混合物が挙げられる。プロセスオイルとしては、例えば、パラフィン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイルなどを用いることができる。植物油脂としては、ひまし油、綿実油、あまに油、なたね油、大豆油、パーム油、やし油、落花生湯、ロジン、パインオイル、パインタール、トール油、コーン油、こめ油、べに花油、ごま油、オリーブ油、ひまわり油、パーム核油、椿油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、桐油等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、本発明の効果が良好に得られるという理由から、プロセスオイルが好ましい。
オイルとしては、例えば、出光興産(株)、三共油化工業(株)、(株)ジャパンエナジー、オリソイ社、H&R社、豊国製油(株)、昭和シェル石油(株)、富士興産(株)等の製品を使用できる。
オイルの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1.0質量部以上、更に好ましくは1.5質量部以上である。上記含有量は、好ましくは30質量部以下、より好ましくは15質量部以下、更に好ましくは7質量部以下である。上記範囲内にすることで、加工性と低発熱性のバランスが改善される傾向がある。
前記ゴム組成物には、樹脂(成分)を配合してもよい。
樹脂の軟化点は、30〜160℃が好ましく、60〜130℃がより好ましく、80〜100℃が更に好ましい。上記範囲内にすることで、樹脂の分散性が良好となり、良好な低発熱性が得られる傾向がある。
なお、本発明において、上記樹脂の軟化点は、JIS K 6220−1:2001に規定される軟化点を環球式軟化点測定装置で測定し、球が降下した温度である。
樹脂の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上である。また、上記含有量は、好ましくは50質量部以下、より好ましくは30質量部以下、更に好ましくは15質量部以下である。
樹脂としては、タイヤ工業において一般的に用いられているものであれば特に限定されないが、例えば、クマロンインデン樹脂、αメチルスチレン系樹脂、テルペン系樹脂、p−t−ブチルフェノールアセチレン樹脂、アクリル系樹脂等が挙げられる。なかでも、αメチルスチレン系樹脂が好ましい。
クマロンインデン樹脂は、樹脂の骨格(主鎖)を構成するモノマー成分として、クマロン及びインデンを含む樹脂であり、クマロン、インデン以外に骨格に含まれるモノマー成分としては、スチレン、α−メチルスチレン、メチルインデン、ビニルトルエンなどが挙げられる。
αメチルスチレン系樹脂としては、例えば、α−メチルスチレン単独重合体や、α−メチルスチレンとスチレンとの共重合体等が挙げられる。
テルペン系樹脂としては、ポリテルペン、テルペンフェノール、芳香族変性テルペン樹脂などが挙げられる。
ポリテルペンは、テルペン化合物を重合して得られる樹脂及びそれらの水素添加物であり、テルペン化合物を原料とするα−ピネン樹脂、β−ピネン樹脂、リモネン樹脂、ジペンテン樹脂、β−ピネン/リモネン樹脂などのテルペン樹脂の他、該テルペン樹脂に水素添加処理した水素添加テルペン樹脂が挙げられる。ここで、テルペン化合物は、(Cの組成で表される炭化水素及びその含酸素誘導体で、モノテルペン(C1016)、セスキテルペン(C1524)、ジテルペン(C2032)などに分類されるテルペンを基本骨格とする化合物である。
テルペンフェノールとしては、上記テルペン化合物とフェノール系化合物とを共重合した樹脂、及び該樹脂に水素添加処理した樹脂が挙げられ、具体的には、上記テルペン化合物、フェノール系化合物及びホルマリンを縮合させた樹脂が挙げられる。なお、フェノール系化合物としては、例えば、フェノール、ビスフェノールA、クレゾール、キシレノールなどが挙げられる。
芳香族変性テルペン樹脂としては、テルペン樹脂を芳香族化合物で変性して得られる樹脂、及び該樹脂に水素添加処理した樹脂が挙げられる。なお、芳香族化合物としては、芳香環を有する化合物であれば特に限定されないが、例えば、フェノール、アルキルフェノール、アルコキシフェノール、不飽和炭化水素基含有フェノールなどのフェノール化合物;ナフトール、アルキルナフトール、アルコキシナフトール、不飽和炭化水素基含有ナフトールなどのナフトール化合物;スチレン、アルキルスチレン、アルコキシスチレン、不飽和炭化水素基含有スチレンなどのスチレン誘導体;クマロン、インデンなどが挙げられる。
p−t−ブチルフェノールアセチレン樹脂としては、p−t−ブチルフェノールとアセチレンとを縮合反応させて得られる樹脂が挙げられる。
アクリル系樹脂としては、特に限定されないが、例えば、無溶剤型アクリル系樹脂を好適に使用できる。無溶剤型アクリル樹脂は、副原料となる重合開始剤、連鎖移動剤、有機溶媒などを極力使用せずに、高温連続重合法(高温連続塊重合法)(米国特許第4,414,370号明細書、特開昭59−6207号公報、特公平5−58005号公報、特開平1−313522号公報、米国特許第5,010,166号明細書、東亜合成研究年報TREND2000第3号p42−45等に記載の方法)により合成された(メタ)アクリル系樹脂(重合体)である。なお、(メタ)アクリルは、メタクリル及びアクリルを意味する。
樹脂としては、例えば、丸善石油化学(株)、住友ベークライト(株)、ヤスハラケミカル(株)、東ソー(株)、Rutgers Chemicals社、BASF社、アリゾナケミカル社、日塗化学(株)、(株)日本触媒、JXエネルギー(株)、荒川化学工業(株)、田岡化学工業(株)等の製品を使用できる。
前記ゴム組成物は、ワックスを含むことが好ましい。
ワックスとしては、特に限定されず、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の石油系ワックス;植物系ワックス、動物系ワックス等の天然系ワックス;エチレン、プロピレン等の重合物等の合成ワックスなどが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、石油系ワックスが好ましく、パラフィンワックスがより好ましい。
ワックスとしては、例えば、大内新興化学工業(株)、日本精蝋(株)、精工化学(株)等の製品を使用できる。
前記ゴム組成物において、ワックスの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは0.8質量部以上である。また、上記含有量は、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下、更に好ましくは3質量部以下である。
前記ゴム組成物は、老化防止剤を含むことが好ましい。
老化防止剤としては、例えば、フェニル−α−ナフチルアミン等のナフチルアミン系老化防止剤;オクチル化ジフェニルアミン、4,4’−ビス(α,α’−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン等のジフェニルアミン系老化防止剤;N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン等のp−フェニレンジアミン系老化防止剤;2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンの重合物等のキノリン系老化防止剤;2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、スチレン化フェノール等のモノフェノール系老化防止剤;テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等のビス、トリス、ポリフェノール系老化防止剤などが挙げられる。なかでも、p−フェニレンジアミン系老化防止剤、キノリン系老化防止剤が好ましく、N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンの重合物がより好ましい。
老化防止剤としては、例えば、精工化学(株)、住友化学(株)、大内新興化学工業(株)、フレクシス社等の製品を使用できる。
前記ゴム組成物において、老化防止剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上である。また、上記含有量は、好ましくは10質量部以下、より好ましくは7質量部以下である。
前記ゴム組成物は、ステアリン酸を含むことが好ましい。
ステアリン酸としては、従来公知のものを使用でき、例えば、日油(株)、NOF社、花王(株)、和光純薬工業(株)、千葉脂肪酸(株)等の製品を使用できる。
前記ゴム組成物において、ステアリン酸の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.3質量部以上、より好ましくは1.0質量部以上である。また、上記含有量は、好ましくは3.0質量部以下、より好ましくは2.5質量部以下である。上記範囲内にすることで、スコーチやリバージョンの課題を解決できる。
前記ゴム組成物は、硫黄を含むことが好ましい。
硫黄としては、ゴム工業において一般的に用いられる粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄、可溶性硫黄などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
硫黄としては、例えば、鶴見化学工業(株)、軽井沢硫黄(株)、四国化成工業(株)、フレクシス社、日本乾溜工業(株)、細井化学工業(株)等の製品を使用できる。
前記ゴム組成物において、硫黄の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは0.8質量部以上である。また、上記含有量は、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下、更に好ましくは3質量部以下である。
前記ゴム組成物は、加硫促進剤を含むことが好ましい。
加硫促進剤としては、2−メルカプトベンゾチアゾール、ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド等のチアゾール系加硫促進剤;テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラベンジルチウラムジスルフィド(TBzTD)、テトラキス(2−エチルヘキシル)チウラムジスルフィド(TOT−N)等のチウラム系加硫促進剤;N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−オキシエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N’−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド等のスルフェンアミド系加硫促進剤;ジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジン、オルトトリルビグアニジン等のグアニジン系加硫促進剤を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、本発明の効果がより好適に得られるという理由から、スルフェンアミド系加硫促進剤、グアニジン系加硫促進剤が好ましい。
前記ゴム組成物において、加硫促進剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上である。また、上記含有量は、好ましくは5質量部以下、より好ましくは3質量部以下である。
前記ゴム組成物には、前記成分の他、タイヤ工業において一般的に用いられている添加剤を配合することができ、有機過酸化物;シリカ、炭酸カルシウム、タルク、アルミナ、クレー、水酸化アルミニウム、マイカなどの充填剤;可塑剤、滑剤などの加工助剤;等を例示できる。
前記ゴム組成物は、例えば、前記各成分をオープンロール、バンバリーミキサーなどのゴム混練装置を用いて混練し、その後加硫する方法等により製造できる。
本発明の空気入りタイヤは、上記サイドウォール用ゴム組成物を用いて通常の方法で製造される。すなわち、上記成分を配合したゴム組成物を、未加硫の段階でサイドウォール形状にあわせて押出し加工し、他のタイヤ部材とともに、タイヤ成型機上にて通常の方法で成形することにより、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することによりタイヤを得る。
以下、実施例及び比較例で使用した各種薬品について、まとめて説明する。
NR:TSR20
BR:宇部興産(株)製のBR150B(シス含有量:97質量%)
カーボンブラック1:三菱化学(株)製のダイアブラックN550(CTAB42m/g、NSA40m/g)
カーボンブラック2:三菱化学(株)製のダイアブラックN220(CTAB110m/g、NSA114m/g)
カーボンブラック3:キャボットジャパン(株)製のショウブラックN330(CTAB78m/g、NSA78m/g)
ワックス:日本精蝋(株)製のオゾエース OZ0355
老化防止剤6C:大内新興化学工業(株)製のノクラック6C(N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン)
老化防止剤RD:大内新興化学工業(株)製ノクラック224(ポリ(2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン))
混合物1:ストラクトール社製のアクチベーター73A:炭素数4以上の脂肪族カルボン酸の亜鉛塩及び芳香族カルボン酸の亜鉛塩の混合物〔(i)脂肪族カルボン酸亜鉛塩:やし油由来の脂肪酸(炭素数:8〜12)の亜鉛塩、(ii)芳香族カルボン酸亜鉛塩:安息香酸亜鉛、含有モル比率:1/1、亜鉛含有率:17質量%〕
ステアリン酸:日油(株)製のステアリン酸「椿」
酸化亜鉛:東邦亜鉛(株)製の銀嶺R
界面活性剤1:プルロニック型非イオン界面活性剤(PEG/PPG−25/30コポリマー、連鎖エチレンオキシド含量:100質量%)
界面活性剤2:ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブチルエーテル(EO平均付加モル数:5、PO平均付加モル数:5、連鎖エチレンオキシド含量:43質量%)
界面活性剤3:ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブチルエーテル(EO平均付加モル数:35、PO平均付加モル数:28、連鎖エチレンオキシド含量:48質量%)
界面活性剤4:ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテル(EO平均付加モル数:24、PO平均付加モル数:24、連鎖エチレンオキシド含量:38質量%)
界面活性剤5:ポリエチレングリコール(連鎖エチレンオキシド含量:100質量%)
界面活性剤6:モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(連鎖エチレンオキシド含量:84.3質量%)
オイル:出光興産(株)製のダイアナプロセスNH−70S(アロマ系プロセスオイル)
硫黄:10%オイル含有不溶性硫黄(日本乾溜工業(株)製のセイミサルファー(二硫化炭素による不溶物60%以上の不溶性硫黄、オイル分:10%))
加硫促進剤NS:大内新興化学工業(株)製のノクセラーNS(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
<実施例及び比較例>
表2、3に示す配合内容に従い、硫黄及び加硫促進剤を除く各種薬品を、バンバリーミキサーにて、150℃で5分間混練りした。得られた混練物に、硫黄及び加硫促進剤を添加して、オープンロールを用いて、90℃で3分間混練りし、未加硫ゴム組成物を得た。
得られた未加硫ゴム組成物をサイドウォールの形状に成形し、タイヤ成型機上で他のタイヤ部材とともに貼り合わせ、170℃の条件下で20分間プレス加硫し、試験用タイヤ(タイヤサイズ:195/65R15)を得た。
(スコーチ)
JIS K6300に従い、未加硫ゴム物理試験方法のムーニースコーチ試験を行い、130.0±0.5℃でのt10[分]を測定した。比較例1を100とし、各配合を指数で示した(ムーニースコーチタイム指数)。スコーチタイムが短くなるとゴム焼けの問題が起こる傾向がある。今回の評価では、指数が大きいほど、良好である。
(耐リバージョン性)
加硫試験機(例えばJSRトレーディング製キュラストメーター)を用い、170℃における各配合の未加硫ゴム組成物の加硫曲線を測定した。最大トルク(MH)値、最小トルク(ML)値、加硫開始時点から20分後でのトルク値M20を測定し、下記計算式により、各配合の耐リバージョン性を評価した。なお、耐リバージョン率(%)が100質量%に近いほど、耐リバージョン性に優れることを示す。
(耐リバージョン率(%))=(M20−ML)/(MH−ML)×100
(低発熱性(tanδ))
試験用タイヤのサイドウォールから採取したサンプルを、(株)上島製作所製の粘弾性スペクトロメーターを用いて、初期歪10%、動歪み2%、周波数10Hzの条件下で、60℃における損失正接(tanδ)を測定した。比較例1のtanδを100とし、指数表示した。指数が大きいほど、低発熱性に優れることを示す。
Figure 2018168313
Figure 2018168313
表2、3から、イソプレン系ゴムと、所定のカーボンブラック、2連鎖以上のエチレンオキシドの平均質量がエチレンオキシドの総質量の30質量%以上であるポリエーテル、炭素数4以上の脂肪族カルボン酸亜鉛及び/又は芳香族カルボン酸亜鉛とを所定量配合した実施例は、該ポリエーテル、又は該脂肪族カルボン酸亜鉛、芳香族カルボン酸亜鉛を含まない比較例に比べて、良好な低発熱性が得られた。また、低発熱性、耐スコーチ性、耐リバージョン性の性能バランスにも優れていた。
表2、3から、イソプレン系ゴム及び所定のカーボンブラックを含むサイドウォール配合において、前記ポリエーテルと、前記脂肪族カルボン酸亜鉛及び/又は前記芳香族カルボン酸亜鉛との両成分を併用することで、低発熱性や、前記性能バランスが相乗的に改善されることが明らかとなった。

Claims (2)

  1. イソプレン系ゴムを30質量%以上含むゴム成分と、カーボンブラックと、2連鎖以上のエチレンオキシドの平均質量がエチレンオキシドの総質量の30質量%以上であるポリエーテルと、炭素数4以上の脂肪族カルボン酸亜鉛及び/又は芳香族カルボン酸亜鉛とを含有し、
    前記カーボンブラックは、前記ゴム成分100質量部に対する含有量が20質量部以上でかつ、CTAB比表面積100m/g以下のカーボンブラック(1)の含有率が50質量%以上であり、
    前記ゴム成分100質量部に対して、前記ポリエーテルの含有量が20質量部以下、前記脂肪族カルボン酸亜鉛及び前記芳香族カルボン酸亜鉛の合計含有量が20質量部以下、酸化亜鉛の含有量が10質量部以下である、サイドウォール用ゴム組成物。
  2. 請求項1記載のゴム組成物から作製したサイドウォールを有する空気入りタイヤ。
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