JPWO2018164016A1 - 光ナノインプリント技術を用いたパターン形成方法、インプリント装置、および硬化性組成物 - Google Patents

光ナノインプリント技術を用いたパターン形成方法、インプリント装置、および硬化性組成物 Download PDF

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Abstract

充填時間が短く、高スループットな光ナノインプリント技術を提供すること。光ナノインプリント法を用いたパターン形成方法であって、基板の表面の複数のショット領域のそれぞれに対し、少なくとも重合性化合物である成分(a)を含む硬化性組成物(A)の液滴を離散的に滴下して積層する積層工程(1)、前記硬化性組成物(A)とモールドとを接触させる型接触工程(2)、前記硬化性組成物(A)を、前記モールドの側から光を照射することにより硬化させる光照射工程(3)、および前記硬化性組成物(A)の硬化物から前記モールドを引き離す離型工程(4)を、この順に実施することからなり、前記型接触工程(2)から前記離型工程(4)までの工程を合わせてインプリント工程(Im)とよぶとき、前記複数のショット領域のうち既に積層工程(1)が実施された一のショット領域に対するインプリント工程(Im)の実施前に、前記複数のショット領域から選択される他のショット領域に対する積層工程(1)の実施を、この順に行うことを特徴とするパターン形成方法。

Description

本発明は、光ナノインプリント技術を用いたパターン形成方法、およびその方法のためのインプリント装置、並びにこれらに用いる硬化性組成物に関する。
半導体デバイスやMEMS等においては、微細化の要求が高まっており、微細加工技術として、光ナノインプリント技術が注目されている。光ナノインプリント技術では、表面に微細な凹凸パターンが形成されたモールド(型)を光硬化性組成物(レジスト)が塗布された基板(ウエハ)に押しつけた状態で光硬化性組成物を硬化させる。これにより、モールドの凹凸パターンを光硬化性組成物の硬化膜に転写し、パターンを基板上に形成する。光ナノインプリント技術によれば、基板上に数ナノメートルオーダーの微細な構造体を形成することができる。
特許文献1に記載の光ナノインプリント技術によるパターン形成方法を、図1の模式断面図を用いて説明する。まず、基板101上のパターン形成領域にインクジェット法を用いて、液状のレジスト102を離散的に滴下する(積層工程(1)、図1(1))。滴下されたレジスト102の液滴は、液滴の拡がる方向を示す矢印103で示すように、基板上に広がる(図1(1))。この現象をプレスプレッドと呼ぶ。次に、このレジスト102を、パターンが形成され、後述する照射光105に対して透明なモールド(型)104を用いて成形する(型接触工程(2)、図1(2))。型接触工程(2)においては、レジスト102の液滴が基板101とモールド104の間隙の全域へ拡がる(図1(2))。この現象をスプレッドと呼ぶ。また、型接触工程(2)においては、レジスト102はモールド104上の凹部の内部へも毛細管現象により、液滴の拡がる方向を示す矢印103で示すように、充填される(図1(2)の拡大部)。この充填現象をフィルと呼ぶ。モールド104とレジスト102が接触してからスプレッドとフィルが完了するまでの時間を充填時間と呼ぶ。レジスト102の充填が完了した後、照射光105を照射してレジスト102を硬化(光照射工程(3)、図1(3))させたうえで引き離す(離型工程(4)、図1(4))。これらの工程を実施することにより、所定のパターン形状を有する硬化膜(光硬化膜)106が基板101上に形成される。
型接触工程(2)から離型工程(4)までの一連の工程単位をインプリント工程(Im)と称す。また、積層工程(1)から離型工程(4)までの一連の工程単位を「ショット」と称し、モールドがレジストと接触する領域、つまり、基板101上でパターンが形成される領域を「ショット領域」と称する。図2に示すように、基板201上に積層工程(1)とインプリント工程(Im)を所定の領域に対して所定の順序と回数で実施することで、所望の凹凸パターン形状を有する硬化膜209を、所望の位置に有する基板201を得ることができる。
特許第4791357号公報
S.Reddy,R.T.Bonnecaze/Microelectronic Engineering,82(2005)60−70
特許文献1に記載の光ナノインプリント技術においては、型接触開始からスプレッドとフィルが完了するまでの時間(充填時間)が長く、スループットが低い、という課題があった。
離散的に滴下されたレジストの液滴は、前述のように、モールドが接触する前に基板上に徐々に濡れ広がる(プレスプレッド)。このため、積層工程(1)が完了してからモールドが接触する型接触工程(2)開始までに待機工程を設ければ、プレスプレッドがより進行するため、型接触後のスプレッドに要する時間は、待機工程がない場合と比べて短くて済む。しかし、待機工程を要する分、1回のショットの所要時間の短縮幅は小さく、スループットは大きくは向上しない。
そこで本発明は、充填時間が短く、高スループットな光ナノインプリント技術を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明によれば、
光ナノインプリント法を用いたパターン形成方法であって、基板の表面の複数のショット領域のそれぞれに対し、少なくとも重合性化合物である成分(a)を含む硬化性組成物(A)の液滴を離散的に滴下して積層する積層工程(1)、前記硬化性組成物(A)とモールドとを接触させる型接触工程(2)、前記硬化性組成物(A)を、前記モールドの側から光を照射することにより硬化させる光照射工程(3)、および前記硬化性組成物(A)の硬化物から前記モールドを引き離す離型工程(4)、をこの順に実施することからなり、
前記型接触工程(2)から前記離型工程(4)までの工程を合わせてインプリント工程(Im)とよぶとき、前記複数のショット領域のうち既に積層工程(1)が実施された一のショット領域に対するインプリント工程(Im)の実施前に、前記複数のショット領域から選択される他のショット領域に対する積層工程(1)の実施を、この順に行うことを特徴とするパターン形成方法、が提供される。
また、光ナノインプリント法を用いたパターン形成方法であって、基板の表面の複数のショット領域のそれぞれに対し、少なくとも重合性化合物(a)を含む硬化性組成物(A)の液滴を離散的に滴下して積層する積層工程(1)、前記硬化性組成物(A)とモールドとを接触させる型接触工程(2)、前記硬化性組成物(A)を、前記モールドの側から光を照射することにより硬化させる光照射工程(3)、および前記硬化性組成物(A)の硬化物から前記モールドを引き離す離型工程(4)、をこの順に実施することからなり、
前記型接触工程(2)から前記離型工程(4)までの工程を合わせてインプリント工程(Im)とよぶとき、前記複数のショット領域から選択される一のショット領域に対する積層工程(1)と、該複数のショット領域のうち既に積層工程(1)が実施された他のショット領域に対するインプリント工程(Im)とを、同時に開始し、同時に終了することを特徴とするパターン形成方法、が提供される。
本発明によれば、充填時間が短く、高スループットな光ナノインプリント技術を提供することができる。
光ナノインプリント技術によるパターン形成方法の一例を示す模式断面図である。 光ナノインプリント技術を同一基板上の複数のショット領域に実施する手順の一例を示す模式断面図である。 本発明の第1実施形態に係る光ナノインプリント技術によるパターン形成方法を示す模式断面図である。 本発明の第2実施形態に係る光ナノインプリント技術によるパターン形成方法を示す模式断面図である。
以下、本発明の実施形態について適宜図面を参照しながら詳細に説明する。ただし、本発明は以下に説明する実施形態に限定されるものではない。また、本発明においては、その趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下に説明する実施形態に対して適宜変更、改良等が加えられたものについても本発明の範囲に含まれる。
[硬化性組成物(A)]
本発明に係る硬化性組成物(A)は、少なくとも重合性化合物である成分(a)を有する化合物である。本発明に係る硬化性組成物(A)はさらに、光重合開始剤である成分(b)、非重合性化合物である成分(c)、溶剤である成分(d)を含有してもよい。
また、本明細書において硬化膜とは、基板上で硬化性組成物(A)を重合させて硬化させた膜を意味する。なお、硬化膜の形状は特に限定されず、表面にパターン形状を有していてもよい。
以下、各成分について、詳細に説明する。
<成分(a):重合性化合物>
本明細書において重合性化合物である成分(a)は、光重合開始剤である成分(b)から発生した重合因子(ラジカル等)と反応し、連鎖反応(重合反応)によって高分子化合物からなる膜を形成する化合物である。
このような重合性化合物としては、例えば、ラジカル重合性化合物が挙げられる。重合性化合物である成分(a)は、一種類の重合性化合物のみから構成されていてもよく、複数種類の重合性化合物で構成されていてもよい。
ラジカル重合性化合物としては、アクリロイル基又はメタクリロイル基を1つ以上有する化合物、すなわち、(メタ)アクリル化合物であることが好ましい。したがって、本発明に係る硬化性組成物(A)は、成分(a)として(メタ)アクリル化合物を含むことが好ましく、成分(a)の主成分が(メタ)アクリル化合物であることがより好ましく、(メタ)アクリル化合物であることが最も好ましい。なお、ここで記載する成分(a)の主成分が(メタ)アクリル化合物であるとは、成分(a)の90重量%以上が(メタ)アクリル化合物であることを示す。
ラジカル重合性化合物が、アクリロイル基又はメタクリロイル基を1つ以上有する複数種類の化合物で構成される場合には、単官能(メタ)アクリルモノマーと多官能(メタ)アクリルモノマーを含むことが好ましい。これは、単官能(メタ)アクリルモノマーと多官能(メタ)アクリルモノマーを組み合わせることで、機械的強度が強い硬化膜が得られるからである。
アクリロイル基又はメタクリロイル基を1つ有する単官能(メタ)アクリル化合物としては、例えば、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシ−2−メチルエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、4−フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、3−(2−フェニルフェニル)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、EO変性p−クミルフニル(メタ)アクリレート、2−ブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2,4−ジブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2,4,6−トリブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、EO変性フェノキシ(メタ)アクリレート、PO変性フェノキシ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、1−アダマンチル(メタ)アクリレート、2−メチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、2−エチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、へキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、t−オクチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、7−アミノ−3,7−ジメチルオクチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等が挙げられるが、これらに限定されない。
上記単官能(メタ)アクリル化合物の市販品としては、アロニックス(登録商標)M101、M102、M110、M111、M113、M117、M5700、TO−1317、M120、M150、M156(以上、東亞合成製)、MEDOL10、MIBDOL10、CHDOL10、MMDOL30、MEDOL30、MIBDOL30、CHDOL30、LA、IBXA、2−MTA、HPA、ビスコート#150、#155、#158、#190、#192、#193、#220、#2000、#2100、#2150(以上、大阪有機化学工業製)、ライトアクリレートBO−A、EC−A、DMP−A、THF−A、HOP−A、HOA−MPE、HOA−MPL、PO−A、P−200A、NP−4EA、NP−8EA、エポキシエステルM−600A(以上、共栄社化学製)、KAYARAD(登録商標) TC110S、R−564、R−128H(以上、日本化薬製)、NKエステルAMP−10G、AMP−20G(以上、新中村化学工業製)、FA−511A、512A、513A(以上、日立化成製)、PHE、CEA、PHE−2、PHE−4、BR−31、BR−31M、BR−32(以上、第一工業製薬製)、VP(BASF製)、ACMO、DMAA、DMAPAA(以上、興人製)等が挙げられるが、これらに限定されない。
また、アクリロイル基又はメタクリロイル基を2つ以上有する多官能(メタ)アクリル化合物としては、例えば、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO,PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−へキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−アダマンタンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロイルオキシ)イソシアヌレート、ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、EO変性2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシ)フェニル)プロパン、PO変性2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシ)フェニル)プロパン、EO,PO変性2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシ)フェニル)プロパン等が挙げられるが、これらに限定されない。
上記多官能(メタ)アクリル化合物の市販品としては、ユピマー(登録商標)UV SA1002、SA2007(以上、三菱化学製)、ビスコート#195、#230、#215、#260、#335HP、#295、#300、#360、#700、GPT、3PA(以上、大阪有機化学工業製)、ライトアクリレート4EG−A、9EG−A、NP−A、DCP−A、BP−4EA、BP−4PA、TMP−A、PE−3A、PE−4A、DPE−6A(以上、共栄社化学製)、KAYARAD(登録商標) PET−30、TMPTA、R−604、DPHA、DPCA−20、−30、−60、−120、HX−620、D−310、D−330(以上、日本化薬製)、アロニックス(登録商標)M208、M210、M215、M220、M240、M305、M309、M310、M315、M325、M400(以上、東亞合成製)、リポキシ(登録商標)VR−77、VR−60、VR−90(以上、昭和高分子製)等が挙げられるが、これらに限定されない。
なお、上記の化合物群において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はそれと同等のアルコール残基を有するメタクリレートを意味する。(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基又はそれと同等のアルコール残基を有するメタクリロイル基を意味する。EOは、エチレンオキサイドを示し、EO変性化合物Aとは、化合物Aの(メタ)アクリル酸残基とアルコール残基がエチレンオキサイド基のオリゴマー又はポリマーからなるブロック構造を介して結合している化合物を示す。また、POは、プロピレンオキサイドを示し、PO変性化合物Bとは、化合物Bの(メタ)アクリル酸残基とアルコール残基がプロピレンオキサイド基のオリゴマー又はポリマーからなるブロック構造を介して結合している化合物を示す。
重合性化合物である成分(a)の硬化性組成物(A)における配合割合を、成分(a)、成分(b)、成分(c)の合計重量に対して50重量%以上とすることにより、得られる硬化膜をある程度の機械的強度を有する硬化膜とすることができる。
<成分(b):光重合開始剤>
本明細書において光重合開始剤である成分(b)は、所定の波長の光を感知して上記重合因子(ラジカル)を発生させる化合物である。具体的には、光重合開始剤は、光(赤外線、可視光線、紫外線、遠紫外線、X線、電子線等の荷電粒子線等、放射線)によりラジカルを発生する重合開始剤(ラジカル発生剤)である。成分(b)は、一種類の光重合開始剤で構成されていてもよく、複数種類の光重合開始剤で構成されていてもよい。
ラジカル発生剤としては、例えば、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−又はp−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の置換基を有してもよい2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体;ベンゾフェノン、N,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、N,N’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体;2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン等のα―アミノ芳香族ケトン誘導体;2−エチルアントラキノン、フェナントレンキノン、2−t−ブチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ベンズアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−メチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナンタラキノン、2−メチル−1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルアントラキノン等のキノン類;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル誘導体;ベンゾイン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン、プロピルベンゾイン等のベンゾイン誘導体;ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体;9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9’−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体;N−フェニルグリシン等のN−フェニルグリシン誘導体;アセトフェノン、3−メチルアセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン等のアセトフェノン誘導体;チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン等のチオキサントン誘導体;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド誘導体;1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)等のオキシムエステル誘導体;キサントン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等が挙げられるが、これらに限定されない。
上記ラジカル発生剤の市販品として、Irgacure 184、369、651、500、819、907、784、2959、CGI−1700、−1750、−1850、CG24−61、Darocur 1116、1173、Lucirin(登録商標) TPO、LR8893、LR8970(以上、BASF製)、ユベクリルP36(UCB製)等が挙げられるが、これらに限定されない。
これらの中でも、成分(b)は、アシルホスフィンオキサイド系重合開始剤であることが好ましい。なお、上記の例のうち、アシルホスフィンオキサイド系重合開始剤は、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイドなどのアシルホスフィンオキサイド化合物である。
光重合開始剤である成分(b)の硬化性組成物(A)における配合割合は、成分(a)、成分(b)、成分(c)の合計重量、すなわち溶剤である成分(d)を除く全成分の合計重量に対して、0.1重量%以上50重量%以下であるとよい。また、好ましくは、0.1重量%以上20重量%以下であり、さらに好ましくは10重量%より大きく20重量%以下である。
硬化性組成物(A)における成分(b)の配合割合を成分(a)、成分(b)、成分(c)の合計重量に対して0.1重量%以上とすることにより、硬化性組成物(A)の硬化速度が速くなり、反応効率を良くすることができる。また、成分(b)の配合割合を成分(a)、成分(b)、成分(c)の合計重量に対して50重量%以下とすることにより、得られる硬化膜をある程度の機械的強度を有する硬化膜とすることができる。
<成分(c):非重合性化合物>
本発明に係る硬化性組成物(A)は、前述した、成分(a)、成分(b)の他に、種々の目的に応じ、本発明の効果を損なわない範囲で、さらに非重合性化合物である成分(c)を含有することができる。このような成分(c)としては、(メタ)アクリロイル基などの重合性官能基を有さず、かつ、所定の波長の光を感知して上記重合因子(ラジカル)を発生させる能力を有さない化合物が挙げられる。例えば、増感剤、水素供与体、内添型離型剤、界面活性剤、酸化防止剤、ポリマー成分、その他添加剤等が挙げられる。成分(c)として前記化合物を複数種類含有してもよい。
増感剤は、重合反応促進や反応転化率の向上を目的として、適宜添加される化合物である。増感剤として、例えば、増感色素等が挙げられる。増感色素は、特定の波長の光を吸収することにより励起され、光重合開始剤である成分(b)と相互作用する化合物である。なお、ここで記載する相互作用とは、励起状態の増感色素から光重合開始剤である成分(b)へのエネルギー移動や電子移動等である。
増感色素の具体例としては、アントラセン誘導体、アントラキノン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、カルバゾール誘導体、ベンゾフェノン誘導体、チオキサントン誘導体、キサントン誘導体、クマリン誘導体、フェノチアジン誘導体、カンファキノン誘導体、アクリジン系色素、チオピリリウム塩系色素、メロシアニン系色素、キノリン系色素、スチリルキノリン系色素、ケトクマリン系色素、チオキサンテン系色素、キサンテン系色素、オキソノール系色素、シアニン系色素、ローダミン系色素、ピリリウム塩系色素等が挙げられるが、これらに限定されない。
増感剤は、一種類を単独で用いてもよいし、二種類以上を混合して用いてもよい。
水素供与体は、光重合開始剤である成分(b)から発生した開始ラジカルや、重合成長末端のラジカルと反応し、より反応性が高いラジカルを発生する化合物である。光重合開始剤であるが光ラジカル発生剤である場合に添加することが好ましい。
このような水素供与体の具体例としては、n−ブチルアミン、ジ−n−ブチルアミン、アリルチオ尿素、トリエチルアミン、トリエチレンテトラミン、4,4’−ビス(ジアルキルアミノ)ベンゾフェノン、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、ペンチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、トリエタノールアミン、N−フェニルグリシンなどのアミン化合物、2−メルカプト−N−フェニルベンゾイミダゾール、メルカプトプロピオン酸エステル等のメルカプト化合物、s−ベンジルイソチウロニウム−p−トルエンスルフィネート等の硫黄化合物、トリ−n−ブチルホスフィン等のリン化合物等が挙げられるが、これらに限定されない。
水素供与体は、一種類を単独で用いてもよいし二種類以上を混合して用いてもよい。また、水素供与体は、増感剤としての機能を有してもよい。
モールドと硬化性組成物(A)の硬化物との間の界面結合力の低減、すなわち後述する離型工程(4)における離型力の低減を目的として、硬化性組成物(A)に内添型離型剤を添加することができる。本明細書において内添型とは、硬化性組成物(A)の配置工程の前に予め硬化性組成物(A)に添加されていることを意味する。
内添型離型剤としては、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤および炭化水素系界面活性剤等の界面活性剤等を使用できる。なお、本発明において内添型離型剤は、重合性を有さないものとする。
フッ素系界面活性剤としては、パーフルオロアルキル基を有するアルコールのポリアルキレンオキサイド(ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド等)付加物、パーフルオロポリエーテルのポリアルキレンオキサイド(ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド等)付加物等が含まれる。なお、フッ素系界面活性剤は、分子構造の一部(例えば、末端基)に、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アルキル基、アミノ基、チオール基等を有してもよい。
フッ素系界面活性剤としては、市販品を使用してもよい。市販品としては、例えば、メガファック(登録商標)F−444、TF−2066、TF−2067、TF−2068(以上、DIC製)、フロラード FC−430、FC−431(以上、住友スリーエム製)、サーフロン(登録商標) S−382(AGC製)、EFTOP EF−122A、122B、122C、EF−121、EF−126、EF−127、MF−100(以上、トーケムプロダクツ製)、PF−636、PF−6320、PF−656、PF−6520(以上、OMNOVA Solutions製)、ユニダイン(登録商標)DS−401、DS−403、DS−451(以上、ダイキン工業製)、フタージェント(登録商標) 250、251、222F、208G(以上、ネオス製)等が挙げられる。
また、内添型離型剤は、炭化水素系界面活性剤でもよい。炭化水素系界面活性剤としては、炭素数1〜50のアルキルアルコールに炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを付加した、アルキルアルコールポリアルキレンオキサイド付加物等が含まれる。
アルキルアルコールポリアルキレンオキサイド付加物としては、メチルアルコールポリエチレンオキサイド付加物、デシルアルコールポリエチレンオキサイド付加物、ラウリルアルコールポリエチレンオキサイド付加物、セチルアルコールポリエチレンオキサイド付加物、ステアリルアルコールポリエチレンオキサイド付加物、ステアリルアルコールポリエチレンオキサイド/ポリプロピレンオキサイド付加物等が挙げられる。なお、アルキルアルコールポリアルキレンオキサイド付加物の末端基は、単純にアルキルアルコールにポリアルキレンオキサイドを付加して製造できるヒドロキシル基に限定されない。このヒドロキシル基が他の置換基、例えば、カルボキシル基、アミノ基、ピリジル基、チオール基、シラノール基等の極性官能基やアルキル基、アルコキシ基等の疎水性官能基に変換されていてもよい。
アルキルアルコールポリアルキレンオキサイド付加物は、市販品を使用してもよい。市販品としては、例えば、青木油脂工業製のポリオキシエチレンメチルエーテル(メチルアルコールポリエチレンオキサイド付加物)(BLAUNON MP−400、MP−550、MP−1000)、青木油脂工業製のポリオキシエチレンデシルエーテル(デシルアルコールポリエチレンオキサイド付加物)(FINESURF D−1303、D−1305、D−1307、D−1310)、青木油脂工業製のポリオキシエチレンラウリルエーテル(ラウリルアルコールポリエチレンオキサイド付加物)(BLAUNON EL−1505)、青木油脂工業製のポリオキシエチレンセチルエーテル(セチルアルコールポリエチレンオキサイド付加物)(BLAUNON CH−305、CH−310)、青木油脂工業製のポリオキシエチレンステアリルエーテル(ステアリルアルコールポリエチレンオキサイド付加物)(BLAUNON SR−705、SR−707、SR−715、SR−720、SR−730、SR−750)、青木油脂工業製のランダム重合型ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンステアリルエーテル(BLAUNON SA−50/50 1000R、SA−30/70 2000R)、BASF製のポリオキシエチレンメチルエーテル(Pluriol(登録商標) A760E)、花王製のポリオキシエチレンアルキルエーテル(エマルゲンシリーズ)等が挙げられる。
これらの炭化水素系界面活性剤の中でも内添型離型剤としては、アルキルアルコールポリアルキレンオキサイド付加物であることが好ましく、長鎖アルキルアルコールポリアルキレンオキサイド付加物であることがより好ましい。内添型離型剤は、一種類を単独で用いてもよいし、二種類以上を混合して用いてもよい。
非重合性化合物である成分(c)の硬化性組成物(A)における配合割合は、成分(a)、成分(b)、成分(c)の合計重量、すなわち溶剤である成分(d)を除く硬化性組成物(A)の成分の合計重量に対して、0重量%以上50重量%以下であるとよい。また、好ましくは、0.1重量%以上50重量%以下であり、さらに好ましくは0.1重量%以上20重量%以下である。成分(c)の配合割合を成分(a)、成分(b)、成分(c)の合計重量に対して50重量%以下とすることにより、得られる硬化膜をある程度の機械的強度を有する硬化膜とすることができる。
<成分(d):溶剤>
本発明に係る硬化性組成物(A)は、溶剤である成分(d)を含有していてもよい。成分(d)としては、成分(a)、成分(b)、成分(c)が溶解する溶剤であれば、特に限定はされない。好ましい溶剤としては常圧における沸点が80℃以上200℃以下の溶剤である。さらに好ましくは、エステル構造、ケトン構造、水酸基、エーテル構造のいずれかを少なくとも1つ有する溶剤である。具体的には、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン、乳酸エチルから選ばれる単独、あるいはこれらの混合溶剤である。
<硬化性組成物(A)の配合時の温度>
本発明に係る硬化性組成物(A)を調製する際には、各成分を所定の温度条件下で混合、溶解させる。具体的には、0℃以上100℃以下の範囲で行う。
<硬化性組成物(A)の粘度>
本発明に係る硬化性組成物(A)は液体であることが好ましい。なぜならば、後述する型接触工程(2)において、硬化性組成物(A)のスプレッドおよびフィルが速やかに完了する、つまり充填時間が短いからである。
本発明に係る硬化性組成物(A)の溶剤である成分(d)を除く成分の組成物の25℃での粘度は、1mPa・s以上40mPa・s未満であることが好ましい。また、より好ましくは、1mPa・s以上20mPa・s未満である。硬化性組成物(A)の粘度が40mPa・s以上であると、所望のパターンの粗密に合わせ液滴を離散的に配置することにより残膜厚を均一にし、高精度パターンを形成することができるインクジェット方式による塗布ができなくなる。また、粘度が1mPa・sより低いと、硬化性組成物(A)を塗布(配置)したときに流れることにより塗りムラが発生したり、後述する接触工程において、モールド端部から組成物が流れ出したりする場合があり、好ましくない。
<硬化性組成物(A)の表面張力>
本発明に係る硬化性組成物(A)の表面張力は、溶剤である成分(d)を除く成分の組成物について23℃での表面張力が、5mN/m以上70mN/m以下であることが好ましい。また、より好ましくは、7mN/m以上50mN/m以下であり、さらに好ましくは、10mN/m以上40mN/m以下である。ここで、表面張力が高いほど、例えば5mN/m以上であると、毛細管力が強く働くため、硬化性組成物(A)をモールドに接触させた際に、充填(スプレッドおよびフィル)が短時間で完了する(非特許文献1)。また、表面張力を70mN/m以下とすることにより、硬化性組成物(A)を硬化して得られる硬化膜が表面平滑性を有する硬化膜となる。
<硬化性組成物(A)の接触角>
発明に係る硬化性組成物(A)の接触角は、溶剤である成分(d)を除く成分の組成物について、基板表面およびモールド表面の双方に対して0°以上90°以下であることが好ましい。接触角が90°より大きいと、モールドパターンの内部や基板−モールドの間隙において毛細管力が負の方向(モールドと硬化性組成物(A)間の接触界面を収縮させる方向)に働き、充填しない。また、0°以上30°以下であることが特に好ましい。接触角が低いほど毛細管力が強く働くため、充填速度が速い(非特許文献1)。
<硬化性組成物(A)の揮発性>
本発明に係る硬化性組成物(A)は、溶剤である成分(d)を除く成分の組成物の揮発性が低いことが好ましい。本発明において、硬化性組成物(A)は、積層工程(1)にて基板上に滴下された後、型接触工程(2)においてモールドと接触されるまでの間に、後述するように、所定のインターバルが設けられることを特徴とする。そのインターバル中は、雰囲気気体中に暴露される。インターバル中に硬化性組成物(A)の溶剤である成分(d)を除く成分の組成物が揮発する場合があるため、揮発による体積減少率が10%以下となるような組成とすることが好ましい。好ましくは、積層工程(1)で、硬化性組成物(A)の液滴が離散的に滴下されて積層された後、10秒後の硬化性組成物(A)の溶剤である成分(d)を除く成分の組成物の重量減少率が10%以下である。体積減少率が10%より大きいであると、パターン高さや残膜厚が所望の値より小さいというパターン精度の不具合、あるいは組成変動に伴って所望の物性値が得られないなどの不具合を生じる。具体的には、硬化性組成物(A)の溶剤である成分(d)を除く成分の組成物の20℃における蒸気圧が0.5kPa以下であることが好ましく、0.2kPa以下がさらに好ましく、0.1kPa以下が特に好ましい。
<硬化性組成物(A)に混入している不純物>
本発明に係る硬化性組成物(A)は、できる限り不純物を含まないことが好ましい。ここで記載する不純物とは、前述した成分(a)、成分(b)、成分(c)および成分(d)以外のものを意味する。
したがって、本発明に係る硬化性組成物(A)は、精製工程を経て得られたものであることが好ましい。このような精製工程としては、フィルタを用いた濾過等が好ましい。フィルタを用いた濾過を行う際には、具体的には、前述した成分(a)、成分(b)および必要に応じて添加する添加成分を混合した後、例えば、孔径0.001μm以上5.0μm以下のフィルタで濾過することが好ましい。フィルタを用いた濾過を行う際には、多段階で行ったり、多数回繰り返したりすることがさらに好ましい。また、濾過した液を再度濾過してもよい。孔径の異なるフィルタを複数用いて濾過してもよい。濾過に使用するフィルタとしては、ポリエチレン樹脂製、ポリプロピレン樹脂製、フッ素樹脂製、ナイロン樹脂製等のフィルタを使用することができるが、特に限定されるものではない。
このような精製工程を経ることで、硬化性組成物(A)に混入したパーティクル等の不純物を取り除くことができる。これにより、パーティクル等の不純物によって、硬化性組成物(A)を硬化した後に得られる硬化膜に不用意に凹凸が生じてパターンの欠陥が発生することを防止することができる。
なお、本発明に係る硬化性組成物(A)を、半導体集積回路を製造するために使用する場合、製品の動作を阻害しないようにするため、硬化性組成物(A)中に金属原子を含有する不純物(金属不純物)が混入することを極力避けることが好ましい。このような場合、硬化性組成物(A)に含まれる金属不純物の濃度としては、10ppm以下が好ましく、100ppb以下にすることがさらに好ましい。
[パターン形成方法]
次に、本発明のパターン形成方法の各工程について、図1の模式断面図を用いて説明する。
本発明に係るパターン形状を有する硬化膜の製造方法によって得られる硬化膜は、1nm以上10mm以下のサイズのパターンを有する膜であることが好ましい。また、10nm以上100μm以下のサイズのパターンを有する膜であることがより好ましい。なお、一般に、光を利用してナノサイズ(1nm以上100nm以下)のパターン(凹凸構造)を有する膜を作製するパターン形成技術は、光ナノインプリント法と呼ばれている。本発明のパターン形成方法は、光ナノインプリント法を利用している。以下、各工程について説明する。
<積層工程(1)>
積層工程(1)では、図1に示す通り、硬化性組成物(A)102の液滴を、基板101上に離散的に滴下して配置する。配置方法としてはインクジェット法が特に好ましい。硬化性組成物(A)102の液滴は、モールド104上に凹部が密に存在する領域に対向する基板上には密に、凹部が疎に存在する領域に対向する基板上には疎に配置される。このことにより、後述する残膜107を、モールド104上のパターンの疎密によらずに均一な厚さに制御することができる。
硬化性組成物(A)102を配置する対象である基板101は、被加工基板であり、通常、シリコンウエハが用いられる。基板101上には、被加工層が形成されていてもよい。基板101および被加工層の間にさらに他の層が形成されていてもよい。また、基板101として石英基板を用いれば、石英インプリントモールドのレプリカ(石英モールドレプリカ)を作製することができる。
ただし、基板101はシリコンウエハや石英基板に限定されるものではない。基板101は、アルミニウム、チタン−タングステン合金、アルミニウム−ケイ素合金、アルミニウム−銅−ケイ素合金、酸化ケイ素、窒化ケイ素等の半導体デバイス用基板として知られているものの中からも任意に選択することができる。
なお、使用される基板101(被加工基板)あるいは被加工層の表面は、シランカップリング処理、シラザン処理、有機薄膜の成膜、等の表面処理によって硬化性組成物(A)102との密着性が向上されていてもよい。
<型接触工程(2)>
次に、図1(2)に示すように、積層工程(1)で配置された硬化性組成物(A)102にパターン形状を転写するための原型パターンを有するモールド104を接触させる。これにより、モールド104が表面に有する微細パターンの凹部に硬化性組成物(A)102が充填(フィル)されて、モールド104の微細パターンに充填(フィル)された液膜となる(図1(2)の拡大部)。
モールド104としては、次の光照射工程(3)を考慮して光透過性の材料で構成されたモールド104を用いるとよい。モールド104を構成する材料の材質としては、具体的には、ガラス、石英、PMMA、ポリカーボネート樹脂等の光透明性樹脂、透明金属蒸着膜、ポリジメチルシロキサン等の柔軟膜、光硬化膜、金属膜等が好ましい。ただし、モールド104を構成する材料の材質として光透明性樹脂を使用する場合は、硬化性組成物(A)102に含まれる成分に溶解しない樹脂を選択する必要がある。熱膨張係数が小さくパターン歪みが小さいことから、モールド104を構成する材料の材質は、石英であることが特に好ましい。
モールド104が表面に有する微細パターンは、4nm以上200nm以下のパターン高さを有することが好ましい。パターン高さが低いほど、後述の離型工程(4)においてモールド104を硬化性組成物(A)102の光硬化膜106から引き剥がす力、すなわち離型力を低減することができ、また、離型に伴ってパターン形状を有する硬化膜106がひきちぎられてマスク側に残存する離型欠陥数が少なくなる。モールド104を引き剥がす際の衝撃によるパターン形状を有する硬化膜106の弾性変形で隣接するパターン形状を有する硬化膜106同士が接触し、パターン形状を有する硬化膜106が癒着あるいは破損する場合があるが、パターン幅に対してパターン高さが2倍程度以下(アスペクト比2以下)であると、それらの不具合を回避できる可能性が高い。一方、パターン高さが低過ぎると、被加工基板の加工精度が低くなる。
モールド104には、光硬化した硬化性組成物(A)102とモールド104の表面との剥離性を向上させるために、硬化性組成物(A)102とモールド104との型接触工程(2)である本工程の前に表面処理を行っておいてもよい。表面処理の方法としては、モールド104の表面に離型剤を塗布して離型剤層を形成する方法が挙げられる。ここで、モールド104の表面に塗布する離型剤としては、シリコーン系離型剤、フッ素系離型剤、炭化水素系離型剤、ポリエチレン系離型剤、ポリプロピレン系離型剤、パラフィン系離型剤、モンタン系離型剤、カルナバ系離型剤等が挙げられる。例えば、ダイキン工業(株)製のオプツール(登録商標)DSX等の市販の塗布型離型剤も好適に用いることができる。なお、離型剤は、一種類を単独で用いてもよいし、二種類以上を併用して用いてもよい。これらの中でも、フッ素系および炭化水素系の離型剤が特に好ましい。
型接触工程(2)において、図1(2)に示すように、モールド104と硬化性組成物(A)102とを接触させる際に、硬化性組成物(A)102に加える圧力は特に限定はされない。該圧力は0MPa以上100MPa以下とするとよい。また、該圧力は0MPa以上50MPa以下であることが好ましく、0MPa以上30MPa以下であることがより好ましく、0MPa以上20MPa以下であることがさらに好ましい。
型接触工程(2)において、モールド104と硬化性組成物(A)102を接触させる時間は、特に限定はされないが、例えば0.1秒以上600秒以下とすると良い。また、該時間は0.1秒以上3秒以下であることが好ましく、0.1秒以上1秒以下であることが特に好ましい。0.1秒より短いと、スプレッドおよびフィルが不十分となり、未充填欠陥と呼ばれる欠陥が多発する傾向がある。
型接触工程(2)は、大気雰囲気下、減圧雰囲気下、不活性ガス雰囲気下のいずれの条件下でも行うことができるが、酸素や水分による硬化反応への影響を防ぐことができるため、減圧雰囲気や雰囲気制御気体として不活性ガスを使用し不活性ガス雰囲気とすることが好ましい。不活性ガス雰囲気下で本工程を行う場合に使用することができる不活性ガスの具体例としては、窒素、二酸化炭素、ヘリウム、アルゴン、各種フロンガス等、あるいはこれらの混合ガスが挙げられる。大気雰囲気下を含めて特定のガスの雰囲気下で本工程を行う場合、好ましい圧力は、0.0001気圧以上10気圧以下である。
型接触工程(2)は、雰囲気制御気体として凝縮性ガスを使用して凝縮性ガスを含む雰囲気(以下、「凝縮性ガス雰囲気」と称する)下で行ってもよい。本明細書において凝縮性ガスとは、モールド104上に形成された微細パターンの凹部、およびモールドと基板との間隙に、硬化性組成物(A)102と一緒に雰囲気中のガスが充填されたとき、充填時に発生する毛細管圧力で凝縮して液化するガスのことを指す。なお凝縮性ガスは、型接触工程(2)で硬化性組成物(A)102とモールド104とが接触する前(図1(1))は雰囲気中に気体として存在する。
凝縮性ガス雰囲気下で型接触工程(2)を行うと、微細パターンの凹部に充填されたガスが硬化性組成物(A)102により発生する毛細管圧力により液化することで気泡が消滅するため、充填性が優れる。凝縮性ガスは、硬化性組成物(A)102に溶解してもよい。
凝縮性ガスの沸点は、型接触工程(2)の雰囲気温度以下であれば限定はされないが、−10℃〜23℃が好ましく、さらに好ましくは10℃〜23℃である。この範囲であれば、充填性がさらに優れる。
凝縮性ガスの型接触工程(2)の雰囲気温度での蒸気圧は、型接触工程(2)で押印するときのモールド圧力以下であれば制限がないが、0.1〜0.4MPaが好ましい。この範囲であれば、充填性がさらに優れる。雰囲気温度での蒸気圧が0.4MPaより大きいと、気泡の消滅の効果を十分に得ることができない傾向がある。一方、雰囲気温度での蒸気圧が0.1MPaよりも小さいと、減圧が必要となり、装置が複雑になる傾向がある。型接触工程(2)の雰囲気温度は、特に制限がないが、20℃〜25℃が好ましい。
凝縮性ガスとして、具体的には、トリクロロフルオロメタン等のクロロフルオロカーボン(CFC)、フルオロカーボン(FC)、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(CHFCHCF、HFC−245fa、PFP)等のハイドロフルオロカーボン(HFC)、ペンタフルオロエチルメチルエーテル(CFCFOCH、HFE−245mc)等のハイドロフルオロエーテル(HFE)等のフロン類が挙げられる。
これらのうち、型接触工程(2)の雰囲気温度が20℃〜25℃での充填性が優れるという観点から、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(23℃での蒸気圧0.14MPa、沸点15℃)、トリクロロフルオロメタン(23℃での蒸気圧0.1056MPa、沸点24℃)、およびペンタフルオロエチルメチルエーテルが好ましい。さらに、安全性が優れるという観点から、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンが特に好ましい。
凝縮性ガスは、一種類を単独で用いてもよいし、二種類以上を混合して用いてもよい。またこれら凝縮性ガスは、空気、窒素、二酸化炭素、ヘリウム、アルゴン等の非凝縮性ガスと混合して用いてもよい。凝縮性ガスと混合する非凝縮性ガスとしては、充填性の観点から、ヘリウムが好ましい。ヘリウムはモールド104を透過することができる。そのため、型接触工程(2)でモールド104上に形成された微細パターンの凹部に硬化性組成物(A)と一緒に雰囲気中のガス(凝縮性ガスおよびヘリウム)が充填されたとき、凝縮性ガスが液化するとともにヘリウムはモールド104を透過する。
<光照射工程(3)>
次に、図1(3)に示すように、硬化性組成物(A)102に対し、モールド104を介して照射光105を照射する。より詳細には、モールド104の微細パターンに充填された硬化性組成物(A)102に、モールド104を介して照射光105を照射する。これにより、モールド104の微細パターンに充填された硬化性組成物(A)102は、照射光105によって硬化してパターン形状を有する硬化膜106となる。
ここで、モールド104の微細パターンに充填された硬化性組成物(A)102に照射される照射光105は、硬化性組成物(A)102の感度波長に応じて選択される。具体的には、150nm以上400nm以下の波長の紫外光や、X線、電子線等を適宜選択して使用することが好ましい。
これらの中でも、照射光105としては、紫外光が特に好ましい。これは、硬化助剤(光重合開始剤)として市販されているものは、紫外光に感度を有する化合物が多いからである。ここで紫外光を発する光源としては、例えば、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、低圧水銀灯、Deep−UVランプ、炭素アーク灯、ケミカルランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、KrFエキシマレーザ、ArFエキシマレーザ、Fエキシマレーザ等が挙げられるが、超高圧水銀灯が特に好ましい。また使用する光源の数は1つでもよいし又は複数であってもよい。また、光照射を行う際には、モールド104の微細パターンに充填された硬化性組成物(A)102の全面に行ってもよく、一部領域にのみ行ってもよい。
また、光照射工程(3)は、基板上の全領域に断続的に複数回行ってもよいし、全領域に連続照射してもよい。さらに、第1の照射過程で一部領域Aを照射し、第2の照射過程で領域Aとは異なる領域Bを照射してもよい。
<離型工程(4)>
次に、離型工程(4)において、パターン形状を有する硬化膜106とモールド104と引き離す。本工程では、図1(4)に示すように、パターン形状を有する硬化膜106とモールド104とを引き離し、光照射工程(3)においてモールド104上に形成された微細パターンの反転パターンとなるパターン形状を有する硬化膜106が自立した状態で得られる。なお、パターン形状を有する硬化膜106の凹凸パターンの凹部にも硬化膜が残存するが、この膜のことを残膜107と呼ぶこととする(図1(4)の拡大部)。
なお、型接触工程(2)を凝縮性ガス雰囲気下で行った場合、離型工程(4)で硬化膜106とモールド104とを引き離す際に、硬化膜106とモールド104とが接触する界面の圧力が低下することに伴って凝縮性ガスが気化する。これにより、硬化膜106とモールド104とを引き離すために必要な力である離型力を低減させる効果を奏する傾向がある。
パターン形状を有する硬化膜106とモールド104とを引き離す方法としては、引き離す際にパターン形状を有する硬化膜106の一部が物理的に破損しなければ特に限定されず、各種条件等も特に限定されない。例えば、基板101(被加工基板)を固定してモールド104を基板101から遠ざかるように移動させて剥離してもよい。もしくは、モールド104を固定して基板101をモールド104から遠ざかるように移動させて剥離してもよい。あるいは、これらの両方を正反対の方向へ引っ張って剥離してもよい。
以上の積層工程(1)〜離型工程(4)を複数のショット領域へ連続して実施することからなる工程(製造プロセス)を実施することで、所望の凹凸パターン形状(モールド104の凹凸形状に因むパターン形状)を、基板上の当該複数のショット領域に有する硬化膜を得ることができる。
[パターン形成方法の第1実施形態]
次に、本発明の第1実施形態(Delayed Sequence Imprint(DSI))に係るパターン形成方法について、図3の模式断面図を用いて説明する。図3は後述のm=2に相当する工程を図示している。
本発明の第1実施形態(DSI)に係るパターン形成方法は、光ナノインプリント法の一形態である。
本発明の第1実施形態(DSI)のパターン形成方法では、基板の表面の複数のショット領域のそれぞれに対し、少なくとも重合性化合物である成分(a)を含む硬化性組成物(A)の液滴を離散的に滴下して積層する積層工程(1)、該硬化性組成物(A)とモールドとを接触させる型接触工程(2)、該硬化性組成物(A)を、該モールドの側から光を照射することにより硬化させる光照射工程(3)、および該硬化性組成物(A)の硬化物から該モールドを引き離す離型工程(4)、をこの順に実施し、
前記型接触工程(2)から前記離型工程(4)までの工程を合わせてインプリント工程(Im)とよぶとき、前記複数のショット領域のうち既に積層工程(1)が実施された一のショット領域に対するインプリント工程(Im)の実施前に、前記複数のショット領域から選択される他のショット領域に対する積層工程(1)の実施を、この順に行うことを特徴とするパターン形成方法。
また、本発明の第1実施形態のパターン形成方法では、前記複数のショット領域(S(1),S(2),・・・S(m))(mは2以上の整数)に対して積層工程(1)を順次実施した後に、該ショット領域(S(1))に対する該インプリント工程(Im)の実施と、ショット領域(S(1+m))に対する積層工程(1)の実施をこの順に行い、以下、同様にショット領域(S(p))(pは2以上の整数)に対するインプリント工程(Im)の実施と、ショット領域(S(p+m))に対する積層工程(1)の実施をこの順に行う。
図2には、ショット領域S(1)203、ショット領域S(2)204、ショット領域S(3)205、およびショット領域S(4)206のそれぞれに積層工程(1)〜離型工程(4)を順次行う、従来のパターン形成方法を示す。従来のパターン形成方法では、まず、積層工程(1)において、基板201上のショット領域S(1)203に硬化性組成物(A)202の液滴を離散的に滴下して配置する。その後、型接触工程(2)〜離型工程(4)を含むインプリント工程(Im)において、硬化性組成物(A)202とモールド208の接触、照射光207の照射による硬化性組成物(A)202の硬化を経て、基板201上に自立したパターン形状を有する硬化膜209を得ることができる。ここで、型接触工程(2)では、硬化性組成物(A)202の液滴が毛細管現象により、基板201とモールド208の間隙の全域へ拡がるスプレッドが進行する。このスプレッドに要する時間が長いことにより充填時間が長くなり、従来のパターン形成方法は、低いスループットとなっている。そのため、積層工程(1)の後、型接触工程(2)の開始前に、硬化性組成物(A)202の液滴のプレスプレッドを進行させるための待機工程(M)(不図示)を行うこともできる。待機工程(M)を行う場合、型接触工程(2)において、モールド208接触後の硬化性組成物(A)202スプレッドに要する時間は、待機工程(M)がない場合と比べて短くなる。つまり、型接触工程(2)の所要時間は短くなる。しかし、1回のショットあたりの合計所要時間は、待機工程(M)の所要時間分長くなり、1回のショットの所要時間の短縮幅は小さく、スループットは大きくは向上しないか、場合によっては低下する。
そこで、図3に本発明の第1実施形態(DSI)に係るパターン形成方法を示す。まず、基板301上のショット領域S(1)303に硬化性組成物(A)302の液滴を離散的に滴下して配置する積層工程(1)と、硬化性組成物(A)302のプレスプレッドが進行する待機工程(M)をこの順に実施した後、ショット領域S(2)304に対する積層工程(1)を実施する。その後、ショット領域S(1)303に対するインプリント工程(Im)と、ショット領域S(3)305に対する積層工程(1)を順次実施する。ショット領域S(1)303における型接触工程(2)〜離型工程(4)を含むインプリント工程(Im)では、硬化性組成物(A)302とモールド308の接触、照射光307の照射による硬化性組成物(A)302の硬化を経て、基板301上に自立したパターン形状を有する硬化膜309を得ることができる。続いて、ショット領域S(2)304に対するインプリント工程(Im)と、ショット領域S(4)306に対する積層工程(1)を順次実施する。このように、積層工程(1)を行った順にショット領域S(p)(pは2以上の整数)に対するインプリント工程(Im)と、ショット領域S(p+m)に対する積層工程(1)を順次実施することを繰り返すことで、パターン形成を行うことができる。なお、図3に示した本発明の第1実施形態(DSI)はm=2に相当する工程であるが、mが3以上である場合でも同様に実施することができる。
本発明の第1実施形態(DSI)では、図3に示すように、m=2の場合に、ショット領域S(1)303において積層工程(1)の完了後、インプリント工程(Im)の開始までのインターバルとして、待機工程(M)における待機時間Tw1と積層工程(1)における所要時間Td1の合計時間を得ることができる。また、ショット領域S(2)304以降のショット領域S(p)では、各ショット領域において、インターバルとして、インプリント工程(Im)における所要時間Ti1と積層工程(1)における所要時間Td1の合計時間を得ることができる。このインターバル中に硬化性組成物(A)302の液滴のプレスプレッドが進行することから、型接触工程(2)におけるスプレッドが速やかに完了し、型接触工程(2)の所要時間を短縮することができる。
ここで、一のショット領域に対する積層工程(1)を実施してから次のショット領域に対する積層工程(1)を実施するまでの間に、一のショット領域に対するインプリント工程(Im)の実施の所要時間Ti1と同じ長さの待機工程(M)を設けてもよい。また、待機工程(M)の所要時間Tw1とインプリント工程(Im)の所要時間Ti1が等しく、各ショット領域におけるTi1とTd1がそれぞれ等しい場合、全ショットでのインターバルが同一の長さとなる。この場合、本発明の第1実施形態のインターバルは全ショット領域に関して、(m−1)×(Ti1+Td1)である。
また、本発明の第1実施形態(DSI)においては、積層工程(1)における所要時間Td1と、インプリント工程(Im)における所要時間Ti1が等しいことがより好ましい。
[パターン形成方法の第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態(Chasing Imprint(CI))に係るパターン形成方法について、図4の模式断面図を用いて説明する。図4は後述のn=2に相当する工程を図示している。
本発明の第2実施形態(CI)に係るパターン形成方法は、光ナノインプリント法の一形態である。
本発明の第2実施形態のパターン形成方法では、基板の表面の複数のショット領域のそれぞれに対し、少なくとも重合性化合物(a)を含む硬化性組成物(A)の液滴を離散的に滴下して積層する積層工程(1)、該硬化性組成物(A)とモールドとを接触させる型接触工程(2)、該硬化性組成物(A)を、該モールドの側から光を照射することにより硬化させる光照射工程(3)、および該硬化性組成物(A)の硬化物から該モールドを引き離す離型工程(4)、をこの順に実施し、
前記型接触工程(2)から前記離型工程(4)までの工程を合わせてインプリント工程(Im)とよぶとき、前記複数のショット領域から選択される一のショット領域に対する積層工程(1)と、該複数のショット領域のうち既に積層工程(1)が実施された他のショット領域に対するインプリント工程(Im)とを、同時に開始し、同時に終了する。
また、本発明の第2実施形態のパターン形成方法では、複数のショット領域から選択される第1の複数のショット領域(S(1),S(2),・・・,S(n))(nは2以上の整数)に対して積層工程(1)を順次実施した後に、複数のショット領域から同数選択される第2の複数のショット領域(S(n+1)、S(n+2),・・・,S(2n))に対する積層工程(1)と該第1の複数のショット領域(S(1),S(2),・・・,S(n))に対するインプリント工程(Im)とを、同時並行的に順次実施してもよい。
そこで、図4に本発明の第2実施形態(CI)のに係るパターン形成方法を示す。まず、基板401上のショット領域S(1)403に硬化性組成物(A)402の液滴を離散的に滴下して配置する積層工程(1)と、ショット領域S(2)404に硬化性組成物(A)402の液滴を離散的に滴下して配置する積層工程(1)をこの順に実施した後、ショット領域S(1)403に対するインプリント工程(Im)と、ショット領域S(3)405に対する積層工程(1)を同時に実施する。ショット領域S(1)403における型接触工程(2)〜離型工程(4)を含むインプリント工程(Im)では、硬化性組成物(A)402とモールド408の接触、照射光407の照射による硬化性組成物(A)402の硬化を経て、基板401上に自立したパターン形状を有する硬化膜409を得ることができる。続いて、ショット領域S(2)404に対するインプリント工程(Im)とショット領域S(4)406に対する積層工程(1)を同時に実施する。以下、同様に、ショット領域S(q)(qは2以上の整数)に対するインプリント工程(Im)とショット領域S(q+n)に対する積層工程(1)を同時並行的に順次実施する。なお、図4に示した本発明の第2実施形態(CI)はn=2に相当する工程であるが、nが3以上の工程も同様に実施することができる。
本発明の第2実施形態(CI)では、図4に示すようにn=2の場合に、各ショット領域における積層工程(1)の完了後、インプリント工程(Im)開始までのインターバルとして、積層工程(1)における所要時間でありインプリント工程(Im)における所要時間であるTd2を得ることができる。このインターバル中に硬化性組成物(A)402の液滴のプレスプレッドが進行し、型接触工程(2)実施中におけるスプレッドが速やかに完了するため、型接触工程(2)の所要時間を短縮することができる。なお、本発明の第2実施形態(CI)のインターバルは、各ショット領域におけるTd2が等しい場合、全ショット領域に関して、(n−1)×Td2である。
また、本発明の第2実施形態(CI)においては、2つ以上の基板搭載ステージ、1つのディスペンサ、1つのインプリントヘッドを有し、2枚以上の基板に対して前記積層工程(1)および前記インプリント工程(Im)を実施可能な装置において、第1の基板上の一のショット領域に対する積層工程(1)と同時に、第2の基板上の一のショット領域に対するインプリント工程(Im)を同時に開始し、同時に終了してもよい。
[実施例1〜5および比較例1〜3]
光ナノインプリント法によるパターン形成を100のショット領域に対して実施するための所要時間を表1に示す。
実施例1〜3では、本発明の第1実施形態(DSI)を実施する。実施例4〜5では、本発明の第2実施形態(CI)を実施する。比較例1〜3では、従来の1つのショット領域毎に積層工程(1)〜離型工程(4)を順次行うパターン形成を実施する。
前述のように、インターバルが長いほど型接触工程(2)における充填時間が短くなるため、インプリント工程(Im)の所要時間は短くなる。表1に示すように、実施例1〜3では積層工程(1)における所要時間Td1、待機時間Tw1、およびインプリント工程(Im)における所要時間Ti1を設定し、実施例4および5では積層工程(1)における所要時間でありインプリント工程(Im)における所要時間であるTd2を設定し、比較例1〜3では積層工程(1)における所要時間Td、待機時間Tw、およびインプリント工程(Im)における所要時間Tiを設定し、光ナノインプリント法によるパターン形成を100のショット領域に対して実施する。
Figure 2018164016
実施例1〜3において、本発明の第1実施形態(DSI)では、充填不良を生じずに100のショット領域に対してパターン形成を行うためには、151.5〜204秒の所要時間で十分であることが示される。
実施例4〜5において、本発明の第2実施形態(CI)では、充填不良を生じずに100のショット領域に対してパターン形成を行うためには、103〜153秒の所要時間で十分であることが示される。
比較例1〜3において、従来のパターン形成方法では、充填不良を生じずに100のショット領域に対してパターン形成を行うためには、所要時間が250秒必要であることが示される。
以上、本実施形態の方法を用いることで、充填時間が短く、高スループットな光ナノインプリント技術を提供できることが示される。
この出願は2017年3月8日に出願された米国特許出願番号62/468,470、及び2017年6月26日に出願された米国特許出願番号62/524、706の優先権を主張するものであり、それらの内容を引用してこの出願の一部とするものである。
101 基板
102 レジスト、硬化性組成物(A)
103 液滴の拡がる方向を示す矢印
104 モールド(型)
105 照射光
106 パターン形状を有する硬化膜(光硬化膜)
107 残膜
201 基板
202 硬化性組成物(A)
203 ショット領域S(1)
204 ショット領域S(2)
205 ショット領域S(3)
206 ショット領域S(4)
207 照射光
208 モールド
209 パターン形状を有する硬化膜
301 基板
302 硬化性組成物(A)
303 ショット領域S(1)
304 ショット領域S(2)
305 ショット領域S(3)
306 ショット領域S(4)
307 照射光
308 モールド
309 パターン形状を有する硬化膜
401 基板
402 硬化性組成物(A)
403 ショット領域S(1)
404 ショット領域S(2)
405 ショット領域S(3)
406 ショット領域S(4)
407 照射光
408 モールド
409 パターン形状を有する硬化膜

Claims (12)

  1. 光ナノインプリント法を用いたパターン形成方法であって、
    基板の表面の複数のショット領域のそれぞれに対し、
    少なくとも重合性化合物である成分(a)を含む硬化性組成物(A)の液滴を離散的に滴下して積層する積層工程(1)、
    前記硬化性組成物(A)とモールドとを接触させる型接触工程(2)、
    前記硬化性組成物(A)を、前記モールドの側から光を照射することにより硬化させる光照射工程(3)、および
    前記硬化性組成物(A)の硬化物から前記モールドを引き離す離型工程(4)、
    をこの順に実施することからなり、
    前記型接触工程(2)から前記離型工程(4)までの工程を合わせてインプリント工程(Im)とよぶとき、
    前記複数のショット領域のうち既に積層工程(1)が実施された一のショット領域に対するインプリント工程(Im)の実施前に、前記複数のショット領域から選択される他のショット領域に対する積層工程(1)の実施を、この順に行うことを特徴とするパターン形成方法。
  2. 前記複数のショット領域(S(1),S(2),・・・S(m))(mは2以上の整数)に対して前記積層工程(1)を順次実施した後に、
    前記ショット領域(S(1))に対する前記インプリント工程(Im)の実施と、ショット領域(S(1+m))に対する前記積層工程(1)の実施をこの順に行い、
    以下、同様にショット領域(S(p))(pは2以上の整数)に対する前記インプリント工程(Im)の実施とショット領域(S(p+m))に対する前記積層工程(1)の実施をこの順に行うことを特徴とする請求項1に記載のパターン形成方法。
  3. 前記複数のショット領域(S(1),S(2),・・・S(m))(mは2以上の整数)に対して前記積層工程(1)を順次実施するに際し、一のショット領域に対する前記積層工程(1)を実施してから次のショット領域に対する前記積層工程(1)を実施するまでの間に、前記一のショット領域に対するインプリント工程(Im)の実施の所要時間Ti1と同じ長さの待機工程(M)を設けることを特徴とする請求項2に記載のパターン形成方法。
  4. 前記積層工程(1)における所要時間をTd1としたとき、任意の一のショット領域において、前記積層工程(1)の完了後、前記インプリント工程(Im)の開始までの所要時間が(m−1)×(Ti1+Td1)である請求項3に記載のパターン形成方法。
  5. 前記積層工程(1)における所要時間Td1と、前記インプリント工程(Im)における所要時間Ti1とが、等しいことを特徴とする請求項4に記載のパターン形成方法。
  6. 光ナノインプリント法を用いたパターン形成方法であって、
    基板の表面の複数のショット領域のそれぞれに対し、
    少なくとも重合性化合物である成分(a)を含む硬化性組成物(A)の液滴を離散的に滴下して積層する積層工程(1)、
    前記硬化性組成物(A)とモールドとを接触させる型接触工程(2)、
    前記硬化性組成物(A)を、前記モールドの側から光を照射することにより硬化させる光照射工程(3)、および
    前記硬化性組成物(A)の硬化物から前記モールドを引き離す離型工程(4)、
    をこの順に実施することからなり、
    前記型接触工程(2)から前記離型工程(4)までの工程を合わせてインプリント工程(Im)とよぶとき、
    前記複数のショット領域から選択される一のショット領域に対する積層工程(1)と、該複数のショット領域のうち既に積層工程(1)が実施された他のショット領域に対するインプリント工程(Im)とを、同時に開始し、同時に終了することを特徴とするパターン形成方法。
  7. 前記複数のショット領域から選択される第1の複数のショット領域(S(1),S(2),・・・,S(n))(nは2以上の整数)に対して積層工程(1)を順次実施した後に、前記複数のショット領域から同数選択される第2の複数のショット領域(S(n+1)、S(n+2),・・・,S(2n))に対する積層工程(1)と前記第1の複数のショット領域(S(1),S(2),・・・,S(n))に対するインプリント工程(Im)とを同時並行的に順次実施することを特徴とする請求項6に記載のパターン形成方法。
  8. 複数の前記基板に対して1つのディスペンサと1つのインプリントヘッドを用いて前記積層工程(1)および前記インプリント工程(Im)を実施し、第1の基板上の一のショット領域に対する前記積層工程(1)と、第2の基板上の一のショット領域に対する前記インプリント工程(Im)を同時に開始し、同時に終了することを特徴とする請求項6又は7に記載のパターン形成方法。
  9. 1つのディスペンサと1つのインプリントヘッドに対して、前記基板を搭載するステージを2つ以上有し、請求項6〜8のいずれか1項に記載のパターン形成方法が実施されることを特徴とするインプリント装置。
  10. 請求項1〜8のいずれか1項に記載のパターン形成方法において、
    前記積層工程(1)で液滴が離散的に滴下されて積層された後、前記型接触工程(2)で前記モールドが接触するまでの体積減少率が10%であることを特徴とする硬化性組成物(A)。
  11. 請求項1〜8のいずれか1項に記載のパターン形成方法において、
    前記積層工程(1)で、液滴が離散的に滴下されて積層された後、10秒後の硬化性組成物(A)の溶剤である成分(d)を除く成分の組成物の重量減少率が10%以下であることを特徴とする硬化性組成物(A)。
  12. 20℃における硬化性組成物(A)の溶剤である成分(d)を除く成分の組成物の蒸気圧が0.5kPa以下であり、請求項1〜8のいずれか1項に記載のパターン形成方法に使用されることを特徴とする硬化性組成物(A)。


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