JPWO2018159546A1 - Glp−1分泌促進剤及び組成物 - Google Patents

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Abstract

本発明は、乳由来の成分であって、優れたGLP−1分泌促進剤、GLP−1分泌促進用組成物、及びそれを含む飲食品又は医薬を提供することを課題とする。ミセラカゼイン、その加水分解物、その分画物、その精製物、及び配列番号1〜7のいずれかに示されるアミノ酸配列を含むペプチドから選択される何れかを、GLP−1分泌促進剤及びGLP−1分泌促進用組成物の有効成分とする。

Description

本発明は、消化管ホルモンGLP−1(Glucagon-Like Peptide-1)分泌促進剤及びGLP−1分泌促進用組成物に関する。GLP−1分泌促進用組成物は、医薬、飲食品、又は飼料として利用することができる。
GLP−1は、グルカゴン関連の消化管ホルモンの一種であり、糖代謝に重要なインクレチン作用を有している。
GLP−1は、食事を摂取することにより、主に小腸下部に多く局在する腸管分泌細胞であるL細胞から血中に放出され、血中のグルコース濃度依存的に膵β細胞に働きかけてインスリンの分泌を促し、食後の血糖値を低下させる(非特許文献1)。さらに、GLP−1はグルカゴンの分泌を抑制することにより、肝臓からのブドウ糖の放出を低下させ、血糖値を低下させる。これらの他にも、GLP−1は中枢神経系に作用することにより、食欲を抑制させることが報告されている(非特許文献2)。
このようなGLP−1の作用は糖尿病などの生活習慣病の改善に有用であるため、GLP−1アナログ(GLP−1受容体アゴニスト)や血中GLP−1の分解酵素であるジペプチジルペプチダーゼIV(DPP−IV)の阻害薬が、糖尿病治療などにおいて用いられている。
また、GLP−1の分泌促進作用についても研究されており、糖質や脂質による作用の他、たんぱく質によるGLP−1分泌促進作用が種々報告されている(非特許文献3〜8)。摂取されたたんぱく質は、消化酵素によりペプチドやアミノ酸に分解された後、下部消化管に多く分布するGLP−1産生細胞上のプロトン共輸送型ペプチドトランスポーター1(PEPT1)やカルシウム感知受容体(CaSR)への作用や、細胞内カルシウムシグナルや分裂促進因子活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)などの細胞内シグナル伝達を活性化することで、GLP−1の分泌を促進するというメカニズムか示唆されている(非特許文献9〜11)。
乳又は乳由来のたんぱく質についてもGLP−1分泌促進作用が検討されている。例えば、ヒト臨床試験において、牛乳の飲用により血漿中のGLP−1濃度が高まることが報告されている(非特許文献12)。また、乳をレンネットにより加水分解して得たカゼイングリコマクロペプチド(CGMP)が、小腸細胞株においてGLP−1分泌促進活性を示すことが報告されている(特許文献1)。また、脱脂乳をpH4.6で酸沈殿させたときの上清、すなわち酸カゼイン素材を得る際に生じる酸ホエイに含まれるたんぱく質であるミセルカゼインの酸可溶性たんぱく質(特許文献2)、カゼインの加水分解物(特許文献3)、κ−カゼイン(特許文献4)についても、GLP−1分泌促進作用を有することが報告されている。
国際公開第01/37850号パンフレット 特表2007−525404号 特表2009−517464号 国際公開第2007/037413号パンフレット
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GLP−1分泌促進作用を有する成分として、乳由来の成分は、安全性、食品や医薬品としての摂取のしやすさ、消費者の印象等の観点から魅力的である。
しかしながら、従来報告されている乳由来の成分は、乳からの調製工程が煩雑であり、そのために高コストであるといった難点がある。また、それらの調製物が有するGLP−1分泌促進作用は必ずしも十分なものではなく、実用性が高いとはいえない。
かかる状況に鑑みて、乳由来の成分であって、効率的に大量製造が可能なものを有効成分とする、優れたGLP−1分泌促進剤及びGLP−1分泌促進用組成物、好ましくは飲食品又は医薬品の態様に好適な組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、ミセラカゼイン及び/又はその加水分解物が、優れたGLP−1分泌促進作用/GLP−1分泌刺激活性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、ミセラカゼイン及び/又はその加水分解物を有効成分として含有するGLP−1分泌促進剤及び分泌促進用組成物を提供する。前記ミセラカゼインの加水分解物は、その重量平均分子量が400〜5000であるものが好ましい。
また、本発明の別の態様は、ミセラカゼインの加水分解物の分画物又は精製物を有効成分として含有するGLP−1分泌促進剤及びGLP−1分泌促進用組成物を提供する。前記ミセラカゼインの加水分解物の分画物又は精製物は、配列番号1〜7のいずれかに示されるアミノ酸配列を含むペプチドを1種又は複数種含むことが好ましい。
また、本発明の別の態様は、配列番号1〜7のいずれかに示されるアミノ酸配列を含むペプチド1種又は複数種を有効成分として含有するGLP−1分泌促進及びGLP−1分泌促進用組成物を提供する。
また、本発明のGLP−1分泌促進用組成物は、医薬品組成物の態様とすることが好ましい。この態様において、前記医薬品組成物は、高血糖、糖尿病、肥満症、若しくは過食症の予防及び/又は改善用、又は食後血糖値抑制用若しくは食欲抑制用であることが好ましい。
また、本発明のGLP−1分泌促進用組成物は、飲食品組成物の態様とすることが好ましい。
本発明によれば、優れたGLP−1分泌促進剤及びGLP−1分泌促進用組成物が提供される。本発明のGLP−1分泌促進用組成物は、飲食品の態様とすることができる。また、本発明のGLP−1分泌促進用組成物は、医薬の態様とすることができ、糖尿病等の生活習慣病の予防や改善に有用である。
次に、本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されず、本発明の範囲内で自由に変更することができるものである。
<GLP−1分泌促進剤及びGLP−1分泌促進用組成物>
本発明のGLP−1分泌促進剤及びGLP−1分泌促進用組成物は、ミセラカゼイン及び/又はその加水分解物を有効成分として含有する。なお本発明のGLP−1分泌促進用組成物は、GLP−1分泌刺激促進用組成物とも表現され、GLP−1分泌促進剤、GLP−1分泌刺激剤とも表現されることがある。
本発明において、「ミセラカゼイン(micellar casein)」は、カゼインたんぱく質が形成するミセルコロイド(いわゆるカゼインミセル)を含む組成物をいう。ミセラカゼインは、一般的には乳又は脱脂乳などの乳製品に含まれており、例えば、脱脂乳を膜分離処理することによって得られる。当該膜分離処理の結果、脱脂乳から得られる乳たんぱく濃縮物が、ミセラカゼイン素材として使用される。ミセラカゼインは、膜分離処理により得られることから、例えば、カゼインナトリウム素材等のカゼイネートの製造工程において行われるような酸沈殿及び/又はアルカリ溶解処理に晒されることがない。よって、当該ミセラカゼインは、乳中においてカゼインが保持しているとされる“ミセル構造”を維持していることが考えられる。
ミセラカゼインを構成するカゼインたんぱく質は、α−、β−、及びκ−カゼインで、通常は乳中で存在しているカゼインと同様の組成である。また、ミセラカゼインの形態は、通常は乳中で存在しているカゼインのミセルコロイドと同様の形態であり、平均粒子径が20〜600nmのコロイド粒子である。
なお、後述の実施例に示されるように、ミセルコロイドを形成していないκ−カゼインそのものとは、本発明におけるミセラカゼインは区別される。
また、本発明におけるミセラカゼインは、乳由来であることが好ましく、より好ましくはウシの乳由来のものである。
本発明におけるミセラカゼインは、特定の方法で生乳から脂質を除去した脱脂乳(スキムミルク)から製造したものであることが好ましい。すなわち、脱脂乳から粒子径が好ましくは0.1μm以下の成分を除くことにより得た、脱脂乳の特定の分画物を、ミセラカゼインとして取得することができる。通常、脱脂乳に含まれる粒子径0.1μm以下の成分は、ホエイたんぱく質や、糖質等の種々の成分である。
かかる、粒子径0.1μm以下の成分を除く処理は、例えば細孔径0.1〜0.2μmの精密ろ過膜(Microfiltration Membrane、MF膜)に、脱脂乳を通過させることにより行うことができ、処理後の膜上に残った成分をミセラカゼインとすればよい。取得したミセラカゼインは、必要に応じて濃縮やスプレー乾燥等の処理を行ってもよい。また、ミセラカゼインの調製工程において、酸又はアルカリ処理、たんぱく質分解酵素の添加、及び70℃以上の加熱処理等の、たんぱく質変性を生じさせる処理は、行わないことが好ましい。
このようにして製造されたミセラカゼインは、通常の乳中に存在しているカゼインのミセルコロイドの組成や形態を保持したものである。また、膜処理などの操作の性質上、通常はミセラカゼインと共にホエイたんぱく質も存在する態様で取得されうるが、本発明の効果を妨げない限りにおいてかかる混入は許容される。このような混入たんぱく質の混入量は、ミセラカゼイン全体に対して、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。
なお、乳中のカゼインとホエイたんぱく質の含有比率は、一般的に約8:2であることが知られているが、本発明で用いられるミセラカゼイン中のカゼインとホエイたんぱく質の含有比率は、カゼイン:ホエイたんぱく質=8:2が好ましく、9:1がより好ましい。
本発明におけるミセラカゼインとしては、市販のものを用いてもよい。例えば、Milei(ミライ、ドイツ)社において前述のような膜処理で製造されるミセラカゼインや、Ingredia社製(例えば、Prodiet 87B Fluid)のミセラカゼインを好ましく挙げられる。
脱脂乳からカゼイン素材を取得することは従来行われていたが、従来の方法で脱脂乳から調製したカゼイン素材は、ミセルコロイドの形態を保持しておらず、本発明における有効成分とは区別される。
例えば、従来は、生乳から脂質を除去した脱脂乳から、硫酸等の酸を添加することによる酸凝固反応や、レンネットを添加することによる酵素反応を行い、ゲル化したたんぱく質を分離するために予備加熱工程や、沈殿させたカゼインを水酸化ナトリウム等のアルカリによって可溶化するための加温工程を経て、カゼイネートとしてカゼインを調製してきた。なお、酸凝固反応によりホエイと分離して得たカゼインを本明細書において、「酸カゼイン素材」と記す。また、酸カゼインに対して水酸化ナトリウム処理を施して得たカゼインを本明細書において「カゼインナトリウム素材」と記す。
本発明のGLP−1分泌促進剤及びGLP−1分泌促進用組成物の有効成分であるミセラカゼインの加水分解物は、たんぱく質分解酵素等による酵素分解物であることが好ましい。当該酵素分解物に用いられる酵素としては、たんぱく質分解酵素等の酵素であればいずれの酵素でもよく、ミセラカゼインを体内に摂取したときに消化管で受ける消化の状態を模すことができる胃内酵素が好ましく、例えば、ペプシンやパンクレアチン等が挙げられる。また、それらのたんぱく質分解酵素による分解は、通常体内において消化管で受ける消化の条件(pH、反応温度、反応時間、酵素濃度等)で行われるものでよい。
また、ミセラカゼインの酵素分解物としては、ミセラカゼインをたんぱく質分解酵素等で分解したときの粗分解物、分解物の分画物、及び精製物のいずれでもよい。
本発明におけるミセラカゼインの加水分解物は、その重量平均分子量(Mw)が、400〜5000であるものが好ましく、500〜3500であるものがより好ましく、1000〜2000であるものが特に好ましい。かかる加水分解物は、通常、ミセラカゼインを体内に摂取したときにたんぱく質分解酵素による分解を受けた場合の消化物の大きさ及び構造を有するものであり、後述の実施例で示されるように他のカゼイン素材の同条件での消化物とはその大きさ、構造、そしてGLP−1分泌促進作用及び/又はGLP−1分泌刺激活性において区別されるものである。
なお、ここで重量平均分子量は、以下の方法で測定及び算出したものをいう。すなわち、高速液体クロマトグラフィーを使用して、ポリヒドロキシエチル・アスパルタミド・カラム(Poly Hydroxyethyl Aspartamide Column:ポリ・エル・シー(Poly LC)社製;直径4.6×200mm)を用い、20mM塩化ナトリウム、50mMギ酸により溶出速度0.4mL/分で溶出する(宇井信生ら編、「タンパク質・ペプチドの高速液体クロマトグラフィー」、化学増刊第102号、第241頁、株式会社化学同人、1984年)。検出は、UV検出器(島津製作所社製)を使用して行い、GPC分析システム(島津製作所社製)によりデータ解析して重量平均分子量を算出する。なお、分子量算出のための標品は、分子量が既知のたんぱく質及び/又はペプチドを適宜用いればよく、例えば後述の実施例で使用した参照標品を用いることができる。
本発明のGLP−1分泌促進剤及び分泌促進用組成物の有効成分は、前述の通りミセラカゼインの加水分解物の分画物又は精製物でもよい。この場合、加水分解物のうち選択される分画物又は精製物は、ミセラカゼインを体内に摂取したときにたんぱく質分解酵素による分解を受けた場合の消化物に多く含まれるペプチド断片を有し、またGLP−1分泌促進作用及び/又はGLP−1分泌刺激活性を有するものである。
前記ミセラカゼインの加水分解物の分画物又は精製物は、配列番号1〜7のいずれかに示されるアミノ酸配列を含むペプチドを含むことが好ましい。配列番号1〜7のいずれかに示されるアミノ酸配列を含むペプチドは、1つでもよいし、複数種含まれていてもよい。
また、配列番号1〜7のいずれかに示されるアミノ酸配列を含むペプチドは、GLP−1分泌促進作用及び/又はGLP−1分泌刺激活性を有するため、ミセラカゼインの加水分解物又はその分画物若しくは精製物に含まれる態様の他に、化学合成又は生合成により取得されたペプチドの態様でGLP−1分泌促進用組成物に含有されてもよい。したがって、配列番号1〜7のいずれかに示されるアミノ酸配列を含むペプチド1種又は複数種を有効成分として含有するGLP−1分泌促進用組成物も、本発明に含まれる。
ここで、配列番号1〜7のいずれかに示されるアミノ酸配列を含むペプチドはその塩類の形態で含まれていてもよい。また、前記ペプチドは、配列番号1〜7のいずれかに示されるアミノ酸配列を含む限りにおいて、そのC末端及び/又はN末端側に1又は複数個の任意のアミノ酸が付加したものであってもよい。ここで複数個とは、好ましくは2〜10個をいうが特に限定されない。
これらのペプチドは、たんぱく質分解酵素により消化を受けたミセラカゼイン加水分解物中に存在が多くみられ、かつGLP−1分泌促進への寄与が推測されるペプチド断片である。特に、配列番号1〜5で示されるアミノ酸配列からなるペプチドは、ミセラカゼイン加水分解物には存在がみとめられるが、カゼインを加水分解した場合には生じないペプチドである。また、配列番号6〜7で示されるアミノ酸配列からなるペプチドは、ミセラカゼイン加水分解物にもカゼイン加水分解物にも存在がみとめられるものである。これらの加水分解物中の存在の違いは、カゼインのミセル構造の有無による消化パターンの違いに起因するものと推測される。
本発明のGLP−1分泌促進剤及び分泌促進用組成物は、GLP−1分泌促進作用及び/又は分泌刺激活性を有する。具体的には、GLP−1分泌促進剤又はGLP−1分泌促進用組成物を摂取することにより、未摂取の場合に比べて、消化管において腸内分泌細胞L細胞からのGLP−1の分泌量を増加させることができる。
そのため、GLP−1分泌が促進することにより予防又は改善しうる疾患や病態、あるいはGLP−1分泌不全に起因する疾患や病態の対象者に対して、有用である。例えば、高血糖、糖尿病、肥満症、又は過食症の患者に対して、その予防及び/又は改善のために用いることができ、また食餌療法における食欲抑制のために用いることもできる。また、本発明のGLP−1分泌促進剤及びGLP−1分泌促進用組成物の適用は、治療的使用であっても非治療的使用であってもよい。なお、「非治療的」とは、医療行為、すなわち治療による人体への処置行為を含まない概念である。
すなわち、本発明の別の態様は、本発明のGLP−1分泌促進剤又はGLP−1分泌促進用組成物を対象に投与する工程を含む、GLP−1分泌を促進する方法である。さらには、GLP−1分泌を促進することにより、前述した疾患又は病態を治療、改善及び/又は予防する方法であってもよく、また、対象の食後血糖値上昇及び/又は食欲を抑制する方法であってもよい。
また、本発明の別の側面は、GLP−1分泌促進剤又はGLP−1分泌促進用組成物の製造における、ミセラカゼイン、その加水分解物、その分画物、その精製物、及び配列番号1〜7のいずれかに示されるアミノ酸配列を含むペプチドから選択される何れかの使用である。
また、別の側面は、GLP−1分泌促進における、ミセラカゼイン、その加水分解物、その分画物、その精製物、及び配列番号1〜7のいずれかに示されるアミノ酸配列を含むペプチドから選択される何れかの使用である。
<医薬品組成物>
本発明のGLP−1分泌促進用組成物の好ましい形態は、GLP−1分泌促進用医薬品組成物である。
かかる医薬品組成物の投与形態は、経口投与及び非経口投与のいずれでもよいが、経口投与が好ましい。非経口投与としては、例えば、胃又は小腸への直接投与等が好ましく挙げられる。
かかる医薬品組成物は、投与方法に応じて、適宜所望の剤形に製剤化することができる。例えば、経口投与の場合、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤等の固形製剤;溶液剤、シロップ剤、懸濁剤、乳剤等の液剤等に製剤化することができる。また、非経口投与の場合、座剤、軟膏剤等に製剤化することができる。
加えて、製剤化は剤形に応じて適宜公知の方法により実施できる。製剤化に際しては、適宜、製剤担体を配合して製剤化してもよい。
製剤におけるミセラカゼイン及び/又はその加水分解物の含有量は特に限定されず、剤形に合わせて一日あたりの摂取量又は投与量に基づいて適宜選択することができる。例えば、経口投与製剤の場合、成人の1日の摂取量又は投与量は、ミセラカゼインのたんぱく質量換算又はミセラカゼインの加水分解物のペプチド量換算で、0.1〜4g/kg体重/日が好ましく、0.2〜2g/kg体重/日がより好ましく、0.4〜1.2g/kg体重/日がさらに好ましい。
製剤化に際しては、本発明のGLP−1分泌促進用組成物の有効成分の他に、剤形に応じて、本発明の効果を損なわない限り、薬理学上許容可能な各種有機又は無機の担体を用いることができる。固形製剤の場合の担体としては、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、安定剤、矯味矯臭剤等が挙げられる。また、通常製剤化に用いられているpH調整剤、着色剤、矯味剤等の成分も含有させることができる。
賦形剤としては、例えば、乳糖、白糖、ブドウ糖、マンニット、ソルビット等の糖誘導体;トウモロコシデンプン、馬鈴薯デンプン、α−デンプン、デキストリン、カルボキシメチルデンプン等のデンプン誘導体;結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム等のセルロース誘導体;アラビアゴム;デキストラン;プルラン;軽質無水珪酸、合成珪酸アルミニウム、メタ珪酸アルミン酸マグネシウム等の珪酸塩誘導体;リン酸カルシウム等のリン酸塩誘導体;炭酸カルシウム等の炭酸塩誘導体;硫酸カルシウム等の硫酸塩誘導体等が挙げられる。
結合剤としては、例えば、上記賦形剤の他、ゼラチン;ポリビニルピロリドン;マクロゴール等が挙げられる。
崩壊剤としては、例えば、上記賦形剤の他、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、架橋ポリビニルピロリドン等の化学修飾されたデンプン又はセルロース誘導体等が挙げられる。
滑沢剤としては、例えば、タルク;ステアリン酸;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等のステアリン酸金属塩;コロイドシリカ;ピーガム、ゲイロウ等のワックス類;硼酸;グリコール;フマル酸、アジピン酸等のカルボン酸類;安息香酸ナトリウム等のカルボン酸ナトリウム塩;硫酸ナトリウム等の硫酸塩類;ロイシン;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム等のラウリル硫酸塩;無水珪酸、珪酸水和物等の珪酸類;デンプン誘導体等が挙げられる。
安定剤としては、例えば、メチルパラベン、プロピルパラベン等のパラオキシ安息香酸エステル類;クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール等のアルコール類;塩化ベンザルコニウム;無水酢酸;ソルビン酸等が挙げられる。
矯味矯臭剤としては、例えば、甘味料、酸味料、香料等が挙げられる。
なお、経口投与用の液剤の場合に使用する担体としては、水等の溶剤等が挙げられる。
本発明のGLP−1分泌促進用医薬品組成物は、前述の通り消化管におけるGLP−1分泌を促進させる作用を有し、GLP−1は血糖値降下作用を有する。そのため、本発明の医薬品組成物を摂取するタイミングは、特に限定されないが、例えば食前2時間〜食後2時間の範囲内で摂取又は投与することが好ましく、食前1時間〜食後1時間がより好ましい。
本発明の医薬品組成物は、GLP−1分泌が促進することにより予防又は改善しうる疾患や病態、あるいはGLP−1分泌不全に起因する疾患や病態の対象者に対して、有用である。例えば、高血糖、糖尿病、肥満症、若しくは過食症の予防及び/又は改善用とすることができる。また食後血糖値上昇抑制用、又は食欲抑制用とすることができる。
本発明の別の側面は、高血糖、糖尿病、肥満症、若しくは過食症の予防及び/又は改善用、又は食後血糖値抑制用若しくは食欲抑制用の医薬品組成物の製造における、ミセラカゼイン、その加水分解物、その分画物、その精製物、及び配列番号1〜7のいずれかに示されるアミノ酸配列を含むペプチドから選択される何れかの使用である。
また別の側面は、高血糖、糖尿病、肥満症、若しくは過食症の予防及び/又は改善、又は食後血糖値抑制若しくは食欲抑制における、ミセラカゼイン、その加水分解物、その分画物、その精製物、及び配列番号1〜7のいずれかに示されるアミノ酸配列を含むペプチドから選択される何れかの使用である。
また別の側面は、高血糖、糖尿病、肥満症、若しくは過食症の予防及び/又は改善、又は食後血糖値抑制若しくは食欲抑制のために用いられる、ミセラカゼイン、その加水分解物、その分画物、その精製物、及び配列番号1〜7のいずれかに示されるアミノ酸配列を含むペプチドから選択される何れかである。
<飲食品組成物>
本発明のGLP−1分泌促進用組成物の他の好ましい形態は、GLP−1分泌促進用の飲食品組成物である。
この形態において、本発明のGLP−1分泌促進剤又はGLP−1分泌促進用組成物を有効成分として飲食品に配合してもよいし、GLP−1分泌促進用組成物自体を飲食品組成物の態様としてもよい。
本発明の飲食品組成物は、液状、ペースト状、固体、粉末等の形態を問わず、錠菓、流動食、飼料(ペット用を含む)等のほか、例えば、小麦粉製品、即席食品、農産加工品、水産加工品、畜産加工品、乳・乳製品、油脂類、基礎調味料、複合調味料・食品類、冷凍食品、菓子類、飲料、これら以外の市販品等が挙げられる。
また、本発明の飲食品組成物には、本発明のGLP−1分泌促進用組成物の有効成分の他に、食品衛生法などの食品規定で飲食品への使用が認められているものであれば本発明の効果を損なわない限りにおいて、特に制限なく含有させることができる。たとえば、デキストリン、デンプン等の炭水化物;ゼラチン、大豆タンパク、トウモロコシタンパク等のたんぱく質;アラニン、グルタミン、イソロイシン等のアミノ酸類;セルロース、アラビアゴム等の多糖類;大豆油、中鎖脂肪酸トリグリセリド等の油脂類等を含有させることができる。特に炭水化物を含有する場合に、血糖値をコントロールしつつ栄養を摂取できる本発明の効果の意義が大きいため、好ましい。
また、本発明の飲食品組成物は、GLP−1分泌促進が有効な疾患の予防又は治療の用途等の保健用途が表示された飲食品として提供・販売されることが可能である。
「表示」行為には、需要者に対して前記用途を知らしめるための全ての行為が含まれ、前記用途を想起・類推させうるような表現であれば、表示の目的、表示の内容、表示する対象物・媒体等の如何に拘わらず、全て本発明の「表示」行為に該当する。
また、「表示」は、需要者が上記用途を直接的に認識できるような表現により行われることが好ましい。具体的には、飲食品に係る商品又は商品の包装に前記用途を記載したものを譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引き渡しのために展示し、輸入する行為、商品に関する広告、価格表若しくは取引書類に上記用途を記載して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に上記用途を記載して電磁気的(インターネット等)方法により提供する行為等が挙げられる。
一方、表示内容としては、行政等によって認可された表示(例えば、行政が定める各種制度に基づいて認可を受け、そのような認可に基づいた態様で行う表示等)であることが好ましい。また、そのような表示内容を、包装、容器、カタログ、パンフレット、POP等の販売現場における宣伝材、その他の書類等へ付することが好ましい。
また、「表示」には、健康食品、機能性食品、経腸栄養食品、特別用途食品、保健機能食品、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品、医薬用部外品等としての表示も挙げられる。この中でも特に、消費者庁によって認可される表示、例えば、特定保健用食品、栄養機能食品、若しくは機能性表示食品に係る制度、又はこれらに類似する制度にて認可される表示等が挙げられる。具体的には、特定保健用食品としての表示、条件付き特定保健用食品としての表示、身体の構造や機能に影響を与える旨の表示、疾病リスク減少表示、科学的根拠に基づいた機能性の表示等を挙げることができ、より具体的には、健康増進法に規定する特別用途表示の許可等に関する内閣府令(平成二十一年八月三十一年内閣府令第五十七号)に定められた特定保健用食品としての表示(特に保健の用途の表示)及びこれに類する表示が典型的な例である。
なお、飲食品組成物を製造する際におけるミセラカゼイン及び/又はその加水分解物の含有量は特に限定されず、一日あたりの摂取量に基づいて適宜選択することができる。例えば、成人の1日の摂取量は、ミセラカゼインのたんぱく質量換算又はミセラカゼインの加水分解物のペプチド量換算で、0.1〜4g/kg体重/日が好ましく、0.2〜2g/kg体重/日がより好ましく、0.4〜1.2g/kg体重/日がさらに好ましい。
本発明のGLP−1分泌促進剤及びGLP−1分泌促進用組成物は、前述の通り消化管におけるGLP−1分泌を刺激し分泌を促進させる作用を有し、GLP−1は血糖値降下作用を有する。本発明のGLP−1分泌促進用組成物を飲食品組成物の態様とすることにより、食事の際にGLP−1分泌を促進させることができ、その結果食事による血糖値の上昇を抑制することが可能となる。
そのため、本発明の飲食品組成物は、GLP−1分泌が促進することにより予防又は改善しうる疾患や病態、あるいはGLP−1分泌不全に起因する疾患や病態の対象者に対して、有用である。例えば、高血糖、糖尿病、肥満症、若しくは過食症の患者に対して、その予防及び/又は改善のために用いることができ、また食後血糖値上昇の抑制のためや、食餌療法における食欲抑制のために用いることもできる。
本発明の別の側面は、高血糖、糖尿病、肥満症、若しくは過食症の予防及び/又は改善用、又は食後血糖値抑制用若しくは食欲抑制用の飲食品組成物の製造における、ミセラカゼイン、その加水分解物、その分画物、その精製物、及び配列番号1〜7のいずれかに示されるアミノ酸配列を含むペプチドから選択される何れかの使用である。
以下に実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
以下の実施例により、ミセラカゼインのGLP−1分泌促進活性(分泌刺激活性)を検討した。
<実施例1>ミセラカゼインと酸カゼイン素材又はカゼインナトリウム素材とのGLP−1分泌促進活性(分泌刺激活性)の比較
(1)試料の調製
ミセラカゼインとして、Milei社によって製造されたミセラカゼインを使用した。比較として従前の方法で脱脂乳から調製した、酸カゼイン素材(Lactic Casein 720、Fonterra社製)及びカゼインナトリウム素材(Tatua100、Tatua社製)を、それぞれ試料として用意した。
各試料をMiliQ水に溶解し、Bradford法を用いて、たんぱく質濃度7.5 mg/mLに調製した。これらの各溶液について、1mol/Lの塩酸を用いてヒト胃内と同じくpH2.0に調整した後、ペプシン (Pep、Sigma-Aldrich; in 1mM HCL) をたんぱく質量の1/12.5 (w/w)量添加し、37℃の恒温槽にて、140rpm で 30 分間振盪した。その後、1mol/Lの炭酸水素ナトリウムを用いて、pHを7.0に調整し、ペプシンによる消化反応を停止させた。続いて、パンクレアチン(Pan、Sigma-Aldrich; in 0.1M NaHCO3) をたんぱく質量の1/62.5 (w/w)量添加し、37℃の恒温槽にて、140rpmで目的の時間(5分間,10分間,15分間,30分間,45分間,60分間,120分間又は終夜反応)振盪させた。その後、90℃で3分間加温することにより、パンクレアチンによる消化反応を停止させた。これらの消化後溶液を凍結乾燥し、4℃で保存した。これらの消化反応は、ミセラカゼイン及び各種カゼイン素材を体内に摂取したときに消化管で受ける消化の状態を模すものである。
(2)マウス下部消化管由来腸管分泌細胞株(GLUTag細胞)を用いたセルアッセイ
GLUTag 細胞(例えば、Food Funct., 2015, vol.6, p.2525-2534参照)を10%の牛胎児血清を含む培地(Dulbecco's Modified Eagle's Medium(DMEM)、GIBCO社)にて、2〜3日間サブコンフルエントになるまで、37℃、5% CO2インキュベーター中にて培養した。その後培地を除き、HEPESバッファー(20mM HEPES(Sigma)、140mM NaCl(Wako)、4.5mM KCl(Wako)、10mM Glucose(Wako)、1.2mM MgCl2(Wako)、1.2mM CaCl2(Wako)、0.1% BSA(Sigma)、pH7.4)にて細胞を2度懸濁した。
前記(1)の凍結乾燥試料を各5mg/mLの濃度になるようにHEPESバッファーで溶解し、GLUTag細胞を培養した48ウェル培養用プレートの各ウェルに80μLずつ添加し、37°Cて分間インキュベーションした。処置後、培養上清を回収し、800g, 4℃, 5分間にて遠心分離し、その上清をELISA測定用サンプルとして、-80℃で保存した。上清中のGLP−1量は、メーカー推奨のプロトコルに従って、ELISA (Millipore)を用いて測定した。GLP−1量は、HEPESバッファーのみ処置した群(ブランク群)を100%とした相対量として表した。サンプル数はいずれも、n=3で行った。
各試料を処置することにより分泌されたGLP−1量の測定結果を表1に示す。ミセラカゼインは、従来のカゼイン素材である酸カゼイン素材及びカゼインナトリウム素材と比較して、GLUTag細胞に対するGLP−1分泌刺激活性が、いずれの消化条件においても有意に高かった。一方で、酸カゼイン素材とカゼインナトリウム素材との間のGLP−1分泌刺激活性に有意な差は認められなかった。さらに、両者のGLP−1分泌刺激活性の差はカゼインの消化が進むにつれて、顕著となる傾向が見られた。なお、これらのデータの有意差検定にはTukey-Kramer法を用いた。
なお、特許文献4においてGLP−1分泌刺激活性が確認されているκ−カゼイン試料は、本実施例における酸カゼイン素材を含有するものである。
<実施例2>ミセラカゼインとカゼインナトリウム素材及びホエイたんぱく質の混合物とのGLP−1分泌促進活性(分泌刺激活性)の比較
膜処理等によって、脱脂乳から粒子径0.1〜0.2μm以下の成分を除くことにより得られるミセラカゼインは、カゼインと共に10%程度のホエイたんぱく質が存在する形態で取得される。実施例1で使用したミセラカゼインのロット品のカゼイン:ホエイたんぱく質の質量比を測定したところ、90.6:9.4であった。
ところで、ホエイたんぱく質についても、未分解物および分解物においてGLP−1分泌刺激活性を有することが知られている(Food Chemistry, 189, 2015, p.120-128)。
そこで、実施例1で確認されたミセラカゼインのGLP−1分泌刺激活性が、ホエイたんぱく質に起因するものだけではないことを確認するために、以下の試験を行った。
(1)試料の調製
実施例1で使用したミセラカゼイン、及び、カゼインナトリウム素材(Tatua100、Tatua社)とホエイたんぱく質精製物(Whey Protein Isolate:WPI、WPI8855、Fonterra社)とを質量比90.6:9.4で混合した組成物を、試料として用意した。各試料について、パンクレアチンの反応時間を30分間,60分間又は120分間とする以外は実施例1と同様の方法・条件でペプシン及びパンクレアチンによる消化反応を行い、消化後の溶液を凍結乾燥し、4℃で保存した。
(2)マウス下部消化管由来腸管分泌細胞株(GLUTag細胞)を用いたセルアッセイ
前記(1)の凍結乾燥試料について、実施例1と同様の方法・条件でGLUTag細胞を用いたアッセイを行い、GLP−1分泌量はブランク群を100%とした相対量として表した。サンプル数はいずれも、n=3で行った。
各試料を処置することにより分泌されたGLP−1量の測定結果を表2に示す。
ミセラカゼインの方が、カゼインナトリウム素材とホエイたんぱく質精製物との混合物と比較して、GLP−1分泌刺激活性が高い傾向が見られた。なかでも、ペプシン及びパンクレアチン60分、又はペプシン及びパンクレアチン120分の消化条件において、有意に高かった。このことは、ミセラカゼインによる高いGLP−1分泌刺激活性が、膜処理による調製で混入する10%程度のホエイたんぱく質に起因するもののみではないことを示唆している。なお、これらのデータの有意差検定にはTukey-Kramer法を用いた。
<実施例3>ミセラカゼインとκ−カゼイン又はκ−カゼイン酵素分解物とのGLP−1分泌刺激活性の比較
ミセラカゼインと、GLP−1分泌刺激活性を有することが既に知られていたたんぱく質であるκ−カゼイン、又はκ−カゼイン酵素分解物であるグリコマクロペプチドとのGLP−1分泌刺激活性を比較するために、以下の試験を行った。
(1)試料の調製
実施例1で使用したミセラカゼイン、及び、κ−カゼインである「κ-casein from bovine milk」(Sigma-Aldrich社)を、試料として用意した。各試料について、実施例2と同様の方法・条件でペプシン及びパンクレアチンによる消化反応を行い、消化後の溶液を凍結乾燥し、4℃で保存した。
(2)マウス下部消化管由来腸管分泌細胞株(GLUTag細胞)を用いたセルアッセイ
前記(1)の凍結乾燥試料について、実施例1と同様の方法・条件でGLUTag細胞を用いたアッセイを行い、GLP−1分泌量はブランク群を100%とした相対量として測定した。ただし、κ−カゼイン素材の試料の消化物については、HEPESバッファーへの溶解の際に5mg/mL又は0.5mg/mLの濃度とした。また、グリコマクロペプチド(CGMP:Arla社)も試料として用意し、標品をそのままHEPESバッファーに5mg/mLの濃度となるように溶解した。また、アッセイにおいては70mM KClでGLUTag細胞に脱分極刺激を与えたものを陽性対照とした。GLP−1分泌量はブランク群を100%とした相対量として表した。サンプル数はいずれも、n=3〜4で行った。
ミセラカゼインとκ−カゼインとを処置することにより分泌されたGLP−1量の測定結果を表3に示す。
その結果、ミセラカゼインの方が、κ−カゼインと比較して、いずれの消化条件においても有意に高い、GLP−1分泌刺激活性を示した。また、この差は未分解物よりも、人工消化物(表3中のpep only、pep+pan30、pep+pan60)において顕著となる傾向が認められた。なお、これらのデータの有意差検定にはTukey-Kramer法を用いた。
ミセラカゼインとκ−カゼイン酵素分解物とを処置することにより分泌されたGLP−1量の測定結果を表4に示す。
その結果、ミセラカゼインの方が、グリコマクロペプチドと比較して、あらゆる消化条件において、GLP−1分泌刺激活性が有意に高かった。なお、これらのデータの有意差検定にはStudent t-test法を用いた。
なお、特許文献3においてGLP−1分泌促進活性(分泌刺激活性)が確認されているカゼイン加水分解物試料は、本実施例におけるカゼイン酵素分解物(グリコマクロペプチド)を含有するものである。
<実施例4>ミセラカゼインと酸ホエイ素材とのGLP−1分泌刺激活性の比較
ミセラカゼインと、酸カゼイン素材を得る際に生じる酸可溶性たんぱく質を含有する酸ホエイ素材とのGLP−1分泌刺激活性を比較するために、以下の試験を行った。
(1)試料の調製
実施例1で使用したミセラカゼイン、及び、酸可溶性たんぱく質を含有する酸ホエイとしてホエイたんぱく質精製物(WPI8855、Fonterra社)を、試料として用意した。各試料について、実施例2と同様の方法・条件でペプシン及びパンクレアチンによる消化反応を行い、消化後の溶液を凍結乾燥し、4℃で保存した。
(2)マウス下部消化管由来腸管分泌細胞株(GLUTag細胞)を用いたセルアッセイ
前記(1)の凍結乾燥試料について、実施例1と同様の方法・条件でGLUTag細胞を用いたアッセイを行い、GLP−1分泌量はブランク群を100%とした相対量として表した。サンプル数はいずれも、n=3で行った。
ミセラカゼインと酸ホエイ素材の測定結果を表5に示す。
その結果、ミセラカゼインの方が、酸可溶性たんぱく質を含有する酸ホエイ素材と比較して、GLP−1分泌刺激活性が高い傾向が見られた。なかでも、ペプシン及びパンクレアチン60分、又はペプシン及びパンクレアチン120分の消化条件において、有意に高かった。なお、これらのデータの有意差検定にはTukey-Kramer法を用いた。
なお、特許文献2においてGLP−1遊離刺激活性が確認されている、酸カゼイン素材を取得する際に生じる酸ホエイに含まれるたんぱく質であるミセルカゼインの酸可溶性たんぱく質試料は、本実施例における酸ホエイ試料に相当するものである。
<実施例5>ミセラカゼインと牛乳又は生乳とのGLP−1分泌刺激活性の比較
ミセラカゼインと、市販牛乳又は生乳とのGLP−1分泌刺激活性を比較するために、以下の試験を行った。
(1)試料の調製
実施例1で使用したミセラカゼイン、及び市販牛乳として「よつ葉牛乳(UHT殺菌済)」4ロット分を、及び生乳4ロット分を、それぞれ試料として用意した。各試料について、実施例2と同様の方法・条件でペプシン及びパンクレアチンによる消化反応を行い、消化後の溶液を凍結乾燥し、4℃で保存した。
(2)マウス下部消化管由来腸管分泌細胞株(GLUTag細胞)を用いたセルアッセイ
前記(1)の凍結乾燥試料について、実施例1と同様の方法・条件でGLUTag細胞を用いたアッセイを行い、GLP−1分泌量はブランク群を100%とした相対量として表した。サンプル数はいずれも、n=3〜4で行った。
ミセラカゼイン、市販牛乳、および生乳の測定結果を表6に示す。
その結果、ミセラカゼインの方が、市販牛乳及び生乳と比較して、GLP−1分泌刺激活性が高い傾向が見られた。なかでも、ペプシン及びパンクレアチン60分の消化条件において、有意に高かった。なお、これらのデータの有意差検定にはTukey-Kramer法を用いた。
<実施例6>GLP−1分泌促進活性(分泌刺激活性)を示すミセラカゼイン消化物(酵素分解物)の検討
GLP−1分泌促進活性(分泌刺激活性)を示すミセラカゼインの酵素分解物、及び当該酵素分解物と同条件で消化した酸カゼイン素材並びにカゼインナトリウム素材の各酵素分解物の分子量分布を検討するために試験を行った。
(1)試料の調製
実施例1で使用したミセラカゼイン、酸カゼイン素材、及びカゼインナトリウム素材の各酵素分解物(ペプシン30分及びパンクレアチン60分で消化したもの)を1mg/mlの濃度となるように、50mM ギ酸、20mM 塩化ナトリウム溶液に溶解して試料を調製した。
(2)分子量分布の測定
(1)で調製した試料を、poly-hydroxyethyl-aspartamideゲルを充填したカラムを用いた高速液体クロマトグラフィー(島津製作所社製)で分析した。得られたクロマトグラムは、GPC software(島津製作所社製)で分析し、酵素分解物の割合を分子量範囲毎に解析した。
なお、分子量算出のための参照標品として、IgG(分子量:160,000ダルトン、Sigma-Aldrich社製)、ラクトパーオキシダーゼ(分子量:93,000ダルトン、Sigma-Aldrich社製)、卵白アルブミン(分子量:43,000ダルトン、Sigma-Aldrich社製)、キモトリプシノーゲン(分子量:25,000、Pharmacia社製)、リボヌクレアーゼ(分子量:13,700ダルトン、Pharmacia社製)、インスリン(分子量:5,740ダルトン、和光純薬工業社製)、バシトラシン(分子量:1,427ダルトン、Sigma-Aldrich社製)、オキシトシン(分子量:1,007ダルトン、Bachem Americas社製)、エンケファリナミド(分子量:588ダルトン、Bachem Americas社製)、L−メチオニン(分子量:149ダルトン、協和発酵バイオ社製、L−グルタミン(分子量:146ダルトン、協和発酵バイオ社製)をそれぞれ用いた。
ミセラカゼインと、酸カゼイン素材及びカゼインナトリウム素材との消化物(酵素分解物)の分子量分布の結果を表7に示す。
その結果、ミセラカゼインの酵素分解物は、酸カゼイン素材酵素分解物及びカゼインナトリウム素材酵素分解物に比して、2000ダルトン以上の分子量を有する分解物が多い傾向が確認された。
各酵素分解物の重量平均分子量(Mw)を測定した結果、ミセラカゼイン酵素分解物は1554であったのに対して、酸カゼイン素材酵素分解物は742であり、カゼインナトリウム素材酵素分解物は733であり、ミセラカゼインの酵素分解物は、酸カゼイン素材酵素分解物及びカゼインナトリウム素材酵素分解物に比して、約2倍の重量平均分子量を示した。
このように、ミセラカゼイン酵素分解物は、その他のたんぱく質素材酵素分解物と比較して、大きな重量平均分子量を有していたことから、これらの各たんぱく質素材を人工消化に供した場合、分解物として生じるペプチドには構造的な差が生じている可能性が考えられ、この差が人工消化物のGLP−1分泌刺激活性の差を生じさせている可能性が示唆された。さらに、分解物として生じるペプチドが異なることについては、各たんぱく質素材に係る乳素材からの調製方法の違いが、各たんぱく質素材の熱履歴の違いを生じさせ、その結果、素材中に含まれるたんぱく質の変性や凝集の度合いが異なったため、消化性に影響を及ぼしている可能性が示唆された。
<実施例7>合成ペプチドのGLP−1分泌刺激活性の比較
ミセラカゼインの消化物が有する高いGLP−1分泌刺激活性の効果本体を同定するために、以下の試験を行った。
(1)ペプチドの合成
実施例2で使用した“ミセラカゼイン”と“カゼインナトリウム素材とホエイたんぱく質精製物を混合した組成物”の消化物を、それぞれナノ液体クロマトグラフ−質量分析装置(Thermo Scientific)を用いて分析することにより、消化物中に含まれるペプチド断片を網羅的に解析した。検出されたペプチド断片の中で、量的に多く含まれ、GLP−1分泌刺激活性に対する寄与が高いと推察された7本のペプチド断片(配列番号1〜7)について、Biosynthesis社に合成を依頼した。合成ペプチド(凍結乾燥品)は、納入後-80℃にて保存した。
(2)マウス下部消化管由来腸管分泌細胞株(GLUTag細胞)を用いたセルアッセイ
前記(1)の合成ペプチドを1mM又は5mMの濃度なるようにHEPESバッファーで溶解し、実施例1と同様の方法でGLUTag細胞を用いたアッセイを行った。GLP−1分泌量はブランク群を100%とした相対量として表した。サンプル数はいずれも、n=3で行った。
各合成ペプチドを処理した後、培地中に分泌された遊離GLP-1量の測定結果を表8に示す。その結果、配列番号1のペプチド(5mM)、配列番号2のペプチド(5mM)、配列番号3のペプチド(1mM)は、ブランク群との比較において、有意に高いGLP-1分泌刺激活性を示した。なお、これらのデータの有意差検定には、Dunnett t-test法を用いた。
(*)はブランク群との比較において、P<0.05で有意差ありを表す。

Claims (13)

  1. ミセラカゼイン及び/又はその加水分解物を有効成分として含有するGLP−1分泌促進用組成物。
  2. 前記ミセラカゼインの加水分解物の重量平均分子量が400〜5000である、請求項1に記載のGLP−1分泌促進用組成物。
  3. ミセラカゼインの加水分解物の分画物又は精製物を有効成分として含有するGLP−1分泌促進用組成物。
  4. 前記ミセラカゼインの加水分解物の分画物又は精製物が、配列番号1〜7のいずれかに示されるアミノ酸配列を含むペプチドを1種又は複数種含む、請求項3に記載のGLP−1分泌促進用組成物。
  5. 配列番号1〜7のいずれかに示されるアミノ酸配列を含むペプチド1種又は複数種を有効成分として含有するGLP−1分泌促進用組成物。
  6. 医薬品組成物である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のGLP−1分泌促進用組成物。
  7. 飲食品組成物である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のGLP−1分泌促進用組成物。
  8. 高血糖、糖尿病、肥満症、若しくは過食症の予防及び/又は改善用、又は食後血糖値抑制用若しくは食欲抑制用である、請求項6又は7に記載のGLP−1分泌促進用組成物。
  9. 高血糖、糖尿病、肥満症、若しくは過食症の予防及び/又は改善用、又は食後血糖値抑制用若しくは食欲抑制用の飲食品組成物の製造における、ミセラカゼイン、その加水分解物、その分画物、その精製物、及び配列番号1〜7のいずれかに示されるアミノ酸配列を含むペプチドから選択される何れかの使用。
  10. 高血糖、糖尿病、肥満症、若しくは過食症の予防及び/又は改善用、又は食後血糖値抑制用若しくは食欲抑制用の医薬品組成物の製造における、ミセラカゼイン、その加水分解物、その分画物、その精製物、及び配列番号1〜7のいずれかに示されるアミノ酸配列を含むペプチドから選択される何れかの使用。
  11. GLP−1分泌促進、高血糖、糖尿病、肥満症、若しくは過食症の予防及び/又は改善、又は食後血糖値抑制若しくは食欲抑制のために用いられる、ミセラカゼイン、その加水分解物、その分画物、その精製物、及び配列番号1〜7のいずれかに示されるアミノ酸配列を含むペプチドから選択される何れかを含む組成物。
  12. ミセラカゼイン、その加水分解物、その分画物、その精製物、及び配列番号1〜7のいずれかに示されるアミノ酸配列を含むペプチドから選択される何れかを、対象に投与することを含む、GLP−1分泌が促進することにより予防若しくは改善しうる疾患又は病態、又はGLP−1分泌不全に起因する疾患又は病態を予防及び/又は改善する方法。
  13. 前記疾患又は病態が、高血糖、糖尿病、肥満症、又は過食症である、請求項12に記載の方法。
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