JP2020152648A - 交感神経活性化用組成物 - Google Patents

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裕 松永
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穏行 坂田
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Abstract

【課題】交感神経を活性化させることが可能な技術を提供する。【解決手段】カゼイン分解物は、血中コレステロールや血中中性脂肪を低減させる作用や、脂質代謝改善作用等を有することが知られており、カゼイン分解物を交感神経活性化用組成物の有効成分とする。前記カゼイン分解物が、タンパク質加水分解酵素による加水分解物であり、カゼイン分解物の平均分子量が220ダルトン以上1000ダルトン以下である。酸素摂取量の向上、眠気改善、脱力感もしくは倦怠感の改善、又は肉体の活動性向上のために用いられる。【選択図】図1

Description

本発明は、交感神経活性化用組成物に関する。該組成物は、医薬、飲食品、又は飼料として利用することができる。
自律神経は、交感神経と副交感神経とから構成される。これら2つの神経系は、各臓器、器官、組織に対してほぼ拮抗的に作用することで、生体の種々の機能を常時調節し、恒常性を維持している。自律神経のうち交感神経は、闘争と逃走の神経ともいわれるように、その活性化によって、脂肪燃焼、体温上昇、心拍数増大、精神や肉体の活動性上昇など、心身の活発な働きを司っている。
これまでに、交感神経を活性化させる成分として、ポリフェノールやオトロ酸等が報告されている(特許文献1〜2)。
ところで、乳などに由来するカゼインを加水分解して得られるカゼイン分解物は、血中コレステロールや血中中性脂肪を低減させる作用や、脂質代謝改善作用等を有することが知られている(特許文献3〜5)。カゼイン分解物は、飲食品としての使用実績があり、安全性の高さも認められている。
国際公開第2018/101231号 特開2012−126683号公報 特許3920933号 特許5972235号 国際公開第2007/142230号
本発明は、交感神経を活性化させることが可能な技術を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意研究を行った結果、カゼイン分解物が優れた交感神経活性化作用を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、カゼイン分解物を有効成分として含有する、交感神経活性化用組成物(以降、本発明の組成物とも記す)である。
好ましい態様において、本発明の組成物は、酸素摂取量の向上、眠気改善、脱力感もしくは倦怠感の改善、又は肉体の活動性向上のために用いられる。
好ましい態様において、前記カゼイン分解物の平均分子量は、220ダルトン以上かつ1000ダルトン以下である。
好ましい態様において、前記カゼイン分解物は、タンパク質加水分解酵素による加水分解物である。
好ましい態様において、本発明の組成物は、飲食品、又は医薬品である。
本発明の別の側面は、交感神経活性化用組成物の製造における、カゼイン分解物の使用である。
本発明の別の側面は、交感神経活性化における、カゼイン分解物の使用である。
本発明の別の側面は、交感神経活性化のために用いられる、カゼイン分解物である。
本発明の別の側面は、カゼイン分解物を動物に投与することを含む、交感神経を活性化する方法である。
本発明によれば、安全性が高い交感神経活性化用組成物が提供される。
交感神経はその働きとして気管支平滑筋を弛緩させ、気管支を拡張させる。そのため、交感神経活動を高めることで、呼吸による酸素の取り込みを容易にし、気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)、運動性喘息といった疾患の治療、また階段の昇降時等にみられる、日常生活での息切れ息苦しさを改善することができる。さらに交感神経活動の亢進に伴う覚醒作用により、集中力もしくは注意力の維持、眠気改善、脱力感もしくは倦怠感の改善、又は肉体の活動性向上など、交感神経の活動低下に起因する症状を改善する効果が得られる。
本発明の組成物は、医薬品又は飲食品組成物に含有させることができ、交感神経活動低下の治療、改善及び/又は予防や交感神経活動の亢進に有効である。
カゼイン分解物を経口投与したマウスの投与から30分間の酸素摂取量を示すグラフ(Con:コントロール群、Pep:カゼイン加水分解物群、Pep+β2b:カゼイン加水分解物+交感神経β2受容体遮断薬群)。
次に、本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されず、本発明の範囲内で自由に変更することができるものである。
本発明の組成物は、カゼイン分解物を有効成分として含有する。
本発明におけるカゼイン分解物の平均分子量は、好ましくは220ダルトン(以下、「Da」)以上1000Da以下であり、より好ましくは250Da以上かつ400Da以下であり、さらに好ましくは300Da以上かつ370Da以下であり、特に好ましくは350Da以上かつ360Da以下である。
本発明におけるカゼイン分解物の平均分子量は、以下の数平均分子量の概念により求めるものである。
数平均分子量(Number Average of Molecular Weight)は、例えば文献(社団法人高分子学会編、「高分子科学の基礎」、第116〜119頁、株式会社東京化学同人、1978年)に記載されているとおり、高分子化合物の分子量の平均値を次のとおり異なる指標に基づき示すものである。
すなわち、タンパク質加水分解物等の高分子化合物は不均一な物質であり、かつ分子量に分布があるため、タンパク質加水分解物の分子量は、物理化学的に取り扱うためには、平均分子量で示す必要があり、数平均分子量(以下、Mnと略記することがある。)は、分子の個数についての平均であり、ペプチド鎖iの分子量がMiであり、その分子数をNiとすると、次の式により定義される。
Figure 2020152648
本明細書において、カゼイン分解物の平均分子量は、以下の方法で測定及び算出したものをいう。すなわち、高速液体クロマトグラフィーを使用して、ポリヒドロキシエチル・アスパルタミド・カラム(Poly Hydroxyethyl Aspartamide Column:ポリ・エル・シー(Poly LC)社製;直径4.6×200mm)を用い、20mM塩化ナトリウム、50mMギ酸により溶出速度0.4mL/分で溶出する(宇井信生ら編、「タンパク質・ペプチドの高速液体クロマトグラフィー」、化学増刊第102号、第241頁、株式会社化学同人、1984年)。検出は、UV検出器(島津製作所社製)を使用して行い、GPC分析システム(島津製作所社製)によりデータ解析して数平均分子量を算出する。なお、分子量算出のための標品は、分子量が既知のタンパク質及び/又はペプチドを適宜用いればよい。
タンパク質分解物には、一般に製造過程において遊離アミノ酸が含まれる。本発明におけるカゼイン分解物のアミノ酸遊離率は、好ましくは40質量%以下であり、より好ましくは35質量%以下であり、さらに好ましくは15質量%以下であり、特に好ましくは10質量%以下である。
本明細書において、アミノ酸遊離率は、カゼイン分解物全体に対する遊離アミノ酸量の割合であり、以下の方法で測定・算定することができる。
トリプトファン、システイン及びメチオニン以外のアミノ酸については、試料を6規定の塩酸で110℃、24時間加水分解し、トリプトファンについては、水酸化バリウムで110℃、22時間アルカリ分解し、システイン及びメチオニンについては、過ギ酸処理後、6規定の塩酸で110℃、18時間加水分解し、それぞれアミノ酸自動分析機(日立製作所製、835型)により分析し、アミノ酸の質量を測定する。
上記の方法により試料中の各アミノ酸の組成を測定し、これを合計して試料中の全アミノ酸の質量を算出する。次いで、スルホサリチル酸で試料を除蛋白し、残留する各遊離アミノ酸の質量を上記の方法により測定し、これを合計して試料中の全遊離アミノ酸の質量を算出する。これらの値から、試料中の遊離アミノ酸含有率を次式により算出する。
アミノ酸遊離率(質量%)=(全遊離アミノ酸の質量/全アミノ酸の質量)×100
上記のようなカゼイン分解物は、通常はカゼインを分解処理、好ましくは加水分解することにより好適に取得できる。カゼインの分解処理としては、特に限定されないが、例えば酵素処理、酸処理、アルカリ処理、熱処理等が挙げられ、これらの2種以上の処理を適宜組み合わせてもよい。
カゼイン分解物を取得するにあたり出発原料となるカゼインは、例えば、市販品の各種カゼイン、乳酸カゼイン、ミセラーカゼイン、塩酸カゼイン等の酸カゼイン;ナトリウムカゼイネイト、カリウムカゼイネイト、カルシウムカゼイネイト等のカゼイネイト等から選ばれる1種のもの又は2種以上の混合物が挙げられる。当該混合物は任意の割合で混合すればよい。また、前記カゼインは牛乳、脱脂乳、全脂粉乳、脱脂粉乳等から公知の方法によって単離されたカゼインであることが好ましい。
以下にカゼイン分解物の好適な取得方法を説明するが、特にこれに限定されるものではない。
原料カゼインを水又は温湯に分散し、溶解してカゼイン水溶液を調製する。当該カゼイン水溶液の濃度は、特に限定されないが、通常、タンパク質濃度として2質量%以上、さらに好ましくは5〜15質量%程度の濃度範囲に設定するのが好適である。
さらに、前記カゼイン水溶液を、ナトリウム型又はカリウム型陽イオン交換樹脂(好適には強酸性陽イオン交換樹脂)を用いたイオン交換法、電気透析法、限界濾過膜法、ルーズ逆浸透膜法等で脱塩し、適宜pH調整やカルシウム濃度調整を行うのが好適である。脱塩の際には、カラム式やバッチ式の何れを採用してもよい。また、カゼイン水溶液を、脱
塩前等に適宜、加熱殺菌をおこなってもよい。
次いで、前記カゼイン水溶液を、加水分解処理する。当該加水分解処理として、例えば酵素処理、酸処理、アルカリ処理、熱処理等が挙げられ、これらの2種以上の処理を適宜組み合わせてもよい。
本開示のタンパク質分解酵素は、例えば、植物由来、動物由来、微生物由来等が挙げられ、これらから1種又は2種以上組み合わせて使用できる。当該タンパク質分解酵素としては、エンドプロテアーゼが好適である。
前記エンドプロテア−ゼとしては、例えば、セリンプロテアーゼ、メタロプロテアーゼ、システインプロテアーゼ、アスパラギン酸プロテアーゼが挙げられ、これらを1種又は2種以上選択して用いることができる。このうち、セリンプロテアーゼ及び/又はメタロプロテアーゼを用いるのが好適である。
また、プロテアーゼは、アルカリ性プロテアーゼ、中性プロテアーゼ及び酸性プロテアーゼに分類される。このうち中性プロテアーゼを用いるのが好適である。
前記タンパク質分解酵素は、市販品を用いることができる。前記タンパク質分解酵素として、例えば、ビオプラーゼ(長瀬生化学工業社製)、プロレザー(天野エンザイム社製)、プロテアーゼS(天野エンザイム社製)、PTN6.0S(ノボザイムズ社製)、サビナーゼ(ノボザイムズ社製)、GODO B.A.P(合同酒精社製)、プロテアーゼN(天野エンザイム社製)、GODO B.N.P(合同酒精社製)、ニュートラーゼ(ノボザイムズ社製)、アルカラーゼ(ノボザイムズ社製)、トリプシン(ノボザイムズ社製)、キモトリプシン(ノボザイムズ社製)、スブチリシン(ノボザイムズ社製)、パパイン(天野エンザイム社製)、ブロメライン(天野エンザイム社製)等が挙げられ、これらから1種又は2種以上の酵素を選択して用いてもよい。
これらのうち、スブチリシン(subtilisin:例えば、ビオプラーゼ)、トリプシン(trypsin:例えばPTN6.0S)、及びバシロシン(bachillolysin:例えばプロテアーゼN)から選ばれる1種又は2種以上の中性プロテアーゼが好ましく、より好ましくはこれら3種を組み合わせて用いる。
前記カゼインに対するエンドプロテア−ゼの使用量は、特に限定されず、基質濃度、酵素力価、反応温度及び反応時間等により適宜調整すればよいが、一般的には、カゼイン中のタンパク質1g当り2,000〜11,000活性単位の割合で添加することが好ましい。
前記タンパク質分解酵素による加水分解条件を適宜調整することにより、本発明に係る特定の平均分子量の範囲のカゼイン分解物を得ることができる。
前記タンパク質分解酵素による加水分解前に、前記原料乳タンパク質溶液のpHを、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム等の食品上使用可能な塩類を用いて、使用酵素の至適pHに調整することもできる。前記原料乳タンパク質溶液のpHは、好ましくは5〜10、より好ましくは7〜10に調整する。
前記タンパク質分解酵素の反応温度は、使用酵素の最適温度の範囲で行うことが望ましく、好ましくは30〜60℃、より好ましくは40〜60℃で行う。
前記タンパク質分解酵素の反応保持時間は、前記特定の非タンパク態窒素比率になるように適宜調整すればよく、例えば0.5〜24時間で行うことが可能であり、好ましくは1〜15時間、より好ましくは3〜10時間である。
前記タンパク質分解酵素による加水分解は、当該酵素を加熱して失活させて終了させればよい。例えば、100℃以上(好適には110〜130℃)で失活させる場合には1〜3秒間、100℃未満60℃以上で失活させる場合には3〜40分間で行うことが好適である。
加水分解終了後、必要に応じて分解液のpHを、好ましくは6〜8、より好ましくは7.0±0.5、さらに好ましくは7.0±0.3とするのが好適である。
なお、本発明に係るカゼイン分解物の製造において、カルシウム濃度未調整の溶液を加水分解した場合には、得られた分解液を、前記のような脱塩処理し、カルシウム濃度を調整してもよい。次いで、常法により加熱して酵素を失活させる。反応加熱温度と反応保持時間は使用した酵素の熱安定性を配慮し、十分に失活できる条件を適宜設定することができる。加熱失活後、常法により冷却し、そのまま利用することもでき、必要に応じて濃縮して濃縮液を得ることもでき、更に濃縮液を乾燥し、粉末製品を得ることも可能である。
また、前記カゼイン水溶液を酸処理又はアルカリ処理にて加水分解する際には、カゼイン水溶液のpHを調整して処理すればよい。当該pH調整による処理の場合には、カゼイン水溶液のpHが、好ましくはpH5以下又はpH9以上であり、より好ましくはpH4以下又はpH10以上である。このようにpH処理された水溶液は、室温にて数分以上、好ましくは5分〜1時間、放置又は撹拌することによって、酸処理又はアルカリ処理の加水分解物を得ることができる。ここで、「室温」とは、4〜40℃程度であるが、10〜30℃が好適である。
また、前記カゼイン水溶液を、熱処理にて加水分解してもよい。このカゼイン水溶液は、pH未調整でもよく、またpH調整(具体的には、酸性(pH5以下)、中性(pH6〜8)、アルカリ性(pH8以上))してもよい。熱処理は、4〜100℃程度で、上記酸アルカリ処理のような条件にて行えばよい。
得られたカゼイン加水分解物は、未精製のままの状態で使用しても効能を発揮することが可能であるが、さらに、適宜公知の分離精製を行ってもよい。例えば、得られたカゼイン加水分解物に対して分子量分画を行い、本発明に係る平均分子量及びアミノ酸遊離率の範囲を満たすカゼイン分解物を得ることができる。
分子量分画として、例えば、限外濾過、ゲル濾過等の方法が採用でき、これにより不要な分子量のペプチドや遊離アミノ酸の除去率を高めることができる。
限外濾過の場合には、所望の限外濾過膜を使用すればよく、ゲル濾過の場合には、所望のサイズ排除クロマトグラフィーに用いるゲルろ過剤を使用すればよい。
さらに、脱塩や不純物を除去したり、純度を高めたりするために、公知の分離精製方法(例えば、イオン交換樹脂等)を用いてもよい。
本発明に係るカゼイン分解物は、上述のように製造し取得することができるが、市販品を本発明の組成物に用いてもよい。
本発明の組成物は、交感神経活性化作用を有する。
交感神経が活性化していることは、酸素摂取量が増加することや血中アドレナリン量が増加することにより確認することができる。また、周知の電気生理学的手法により自律神経活動を測定することによっても確認できる。
また、本発明において、交感神経の「活性化」とは、通常の交感神経の活動レベルから増強させて活動量を増大させること、諸々の原因により低下した交感神経の活動レベルを回復させて交感神経の活動量を通常又はそれ以上にまで増大させること、及び/又は、副交感神経に比して交感神経の活動量を亢進させることを含む。
交感神経は、気管支平滑筋を弛緩させ、気管支を拡張させる働きを有する。そのため、交感神経活動を高めることで、呼吸による酸素の取り込みを容易にすることができる。したがって、本発明の組成物は、酸素摂取量の向上のために用いることができる。また、気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)や運動性喘息といった疾患の治療又は予防、階段の昇降時等にみられる日常生活での息切れ息苦しさの改善のために用いることもできる

さらに、交感神経の活性化によりアドレナリンの分泌が促されるため、覚醒作用により、集中力もしくは注意力が維持されたり、眠気が改善したり、脱力感もしくは倦怠感を改善したり、肉体の活動性を向上したりする効果が得られる。ここで、肉体の活動性とは、運動能力の量的又は時間的な維持、反射能力の低下の抑制などが含まれる。
なお、本明細書において、「改善」とは、疾患、症状又は状態の好転;疾患、症状又は状態の悪化の防止、遅延若しくは疾患又は症状の進行の逆転、防止又は遅延をいう。
また、本明細書において、「予防」とは、適用対象における疾患若しくは症状の発症の防止又は遅延、或いは適用対象の疾患若しくは症状の発症の危険性を低下させることをいう。
好ましくは、本発明の組成物の使用目的からは、エネルギー消費を促進する目的で用いる態様を除く。
ここで、エネルギー消費とは、基礎代謝によるエネルギー消費、食事に起因する食事誘発性熱産生によるエネルギー消費、日常的な身体活動に起因する非運動性活動熱産生によるエネルギー消費、及び運動に起因する熱産生・体温上昇を含む。
前述した疾患又は状態に対する本発明の組成物の適用は、適用対象であるヒト又はヒト以外の動物(特に、哺乳動物)に対するものとすることができる。また、その適用は、治療的使用であっても非治療的使用であってもよい。なお、「非治療的」とは、医療行為、すなわち治療による人体への処置行為を含まない概念である。
したがって、本発明の別の側面は、カゼイン分解物を動物に投与することを含む、交感神経を活性化する方法である。
本発明の組成物における、カゼイン分解物の含有量は、組成物の最終物に対し、少なくとも0.001質量%であることが好ましい。
本明細書の組成物におけるカゼイン分解物の摂取量又は投与量は、年齢、症状、投与目的等により異なるが、通常、0.001g〜0.5g/kg体重/日、好ましくは0.006g〜0.334g/kg体重/日であり、さらに好ましくは0.015g〜0.167g/kg体重/日であり、特に好ましくは0.03g〜0.1g/kg体重/日であり、1日1回から3回に分けて投与してもよい。
なお、カゼイン分解物はタンパク質又はペプチドであることから、1日のタンパク質摂取量と前記カゼイン分解物摂取量の比からヒトへの投与の際の用量を推測することができる。
カゼイン分解物のマウスへの投与量(タンパク質換算量)は、マウスの体重を22gとして算出すると約11〜22mg/個体であり、接餌量を3.5g/日、餌に対するタンパク質量を20.7%として算出すると、食餌によって摂取するタンパク質の約1.5〜3.0質量%に相当する。これをヒトに換算した場合、一日のタンパク質摂取量を成人男性60g、成人女性50gとして算出すると、成人男性約0.9〜1.8g、成人女性約0.75〜1.5gとなる。
本発明の組成物は、医薬品の態様とすることが好ましい。
本発明の医薬品は、経口投与及び非経口投与の何れでもよいが、経口投与が望ましい。非経口投与として、静注、直腸投与、吸入等が挙げられる。かかる医薬は、投与方法に応じて、適宜所望の剤形に製剤化することができる。例えば、経口投与の場合、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤等の固形製剤;溶液剤、シロップ剤、懸濁剤、乳剤等の液剤等に製剤化することができる。また、非経口投与の場合、座剤、軟膏剤等に製剤化することができる。
製剤化に際しては、本明細書に係るカゼイン分解物の他に、通常製剤化に用いられている賦形剤、pH調整剤、着色剤、矯味剤等の成分を用いることができる。また、公知の又は将来的に見出される交感神経活性化作用等を有する薬を併用することも可能である。
加えて、製剤化は剤形に応じて適宜公知の方法により実施できる。製剤化に際しては、適宜、製剤担体を配合して製剤化してもよい。
賦形剤としては、例えば、乳糖、白糖、ブドウ糖、マンニット、ソルビット等の糖誘導体;トウモロコシデンプン、馬鈴薯デンプン、α−デンプン、デキストリン、カルボキシメチルデンプン等のデンプン誘導体;結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム等のセルロース誘導体;アラビアゴム;デキストラン;プルラン;軽質無水珪酸、合成珪酸アルミニウム、メタ珪酸アルミン酸マグネシウム等の珪酸塩誘導体;リン酸カルシウム等のリン酸塩誘導体;炭酸カルシウム等の炭酸塩誘導体;硫酸カルシウム等の硫酸塩誘導体等が挙げられる。
結合剤としては、例えば、上記賦形剤の他、ゼラチン;ポリビニルピロリドン;マクロゴール等が挙げられる。
崩壊剤としては、例えば、上記賦形剤の他、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、架橋ポリビニルピロリドン等の化学修飾されたデンプン又はセルロース誘導体等が挙げられる。
滑沢剤としては、例えば、タルク;ステアリン酸;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等のステアリン酸金属塩;コロイドシリカ;ピーガム、ゲイロウ等のワックス類;硼酸;グリコール;フマル酸、アジピン酸等のカルボン酸類;安息香酸ナトリウム等のカルボン酸ナトリウム塩;硫酸ナトリウム等の硫酸塩類;ロイシン;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム等のラウリル硫酸塩;無水珪酸、珪酸水和物等の珪酸類;デンプン誘導体等が挙げられる。
安定剤としては、例えば、メチルパラベン、プロピルパラベン等のパラオキシ安息香酸エステル類;クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール等のアルコール類;塩化ベンザルコニウム;無水酢酸;ソルビン酸等が挙げられる。
矯味矯臭剤としては、例えば、甘味料、酸味料、香料等が挙げられる。
なお、経口投与用の液剤の場合に使用する担体としては、水等の溶剤等が挙げられる。
本発明の医薬品を摂取するタイミングは、例えば食前、食後、食間、就寝前など特に限定されない。
本発明の組成物は、飲食品の態様とすることが好ましい。
本発明の組成物を飲食品の態様とする場合は、交感神経の活性化のための用途、あるいは上述の交感神経の活動低下に起因する各種疾患等の予防、改善又は治療用途が表示された飲食品として提供・販売されることが可能である。また、本明細書に係るカゼイン分解物は、これら食品等の製造のために使用可能である。
かかる「表示」行為には、需要者に対して前記用途を知らしめるための全ての行為が含まれ、前記用途を想起・類推させうるような表現であれば、表示の目的、表示の内容、表示する対象物・媒体等の如何に拘わらず、全て本発明の「表示」行為に該当する。
また、「表示」は、需要者が上記用途を直接的に認識できるような表現により行われることが好ましい。具体的には、飲食品に係る商品又は商品の包装に前記用途を記載したも
のを譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引き渡しのために展示し、輸入する行為、商品に関する広告、価格表若しくは取引書類に上記用途を記載して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に上記用途を記載して電磁気的(インターネット等)方法により提供する行為等が挙げられる。
一方、表示内容としては、行政等によって認可された表示(例えば、行政が定める各種制度に基づいて認可を受け、そのような認可に基づいた態様で行う表示等)であることが好ましい。また、そのような表示内容を、包装、容器、カタログ、パンフレット、POP等の販売現場における宣伝材、その他の書類等へ付することが好ましい。
また、「表示」には、健康食品、機能性食品、経腸栄養食品、特別用途食品、保健機能食品、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品、医薬用部外品等としての表示も挙げられる。この中でも特に、消費者庁によって認可される表示、例えば、特定保健用食品、栄養機能食品、若しくは機能性表示食品に係る制度、又はこれらに類似する制度にて認可される表示等が挙げられる。具体的には、特定保健用食品としての表示、条件付き特定保健用食品としての表示、身体の構造や機能に影響を与える旨の表示、疾病リスク減少表示、科学的根拠に基づいた機能性の表示等を挙げることができ、より具体的には、健康増進法に規定する特別用途表示の許可等に関する内閣府令(平成二十一年八月三十一年内閣府令第五十七号)に定められた特定保健用食品としての表示(特に保健の用途の表示)及びこれに類する表示が典型的な例である。
かかる表示としては、例えば、喘息気味の人や気管支が弱い人を対象として、「日常生活での息切れを緩和させたい方に」、「呼吸を楽にするために」等と表示することが挙げられる。
また、「集中力・注意力を上げたい方へ」、「眠気改善のために」、「気持ちや体がだるいときに」等の表示も例示できる。
また、本明細書に係るカゼイン分解物を有効成分として飲食品中に含有させ、本明細書に係るカゼイン分解物及びこれを有効成分として含有する上述の各種製剤の一態様として、上述の交感神経活性化作用等を有する食品として加工することも可能である。
このような食品として、液状、ペースト状、固体、粉末等の形態を問わず、錠菓、流動食、飼料(ペット用を含む)等のほか、例えば、小麦粉製品、即席食品、農産加工品、水産加工品、畜産加工品、乳・乳製品、油脂類、基礎調味料、複合調味料・食品類、冷凍食品、菓子類、飲料類、これら以外の市販食品等が挙げられる。
前記小麦粉製品として、パン、マカロニ、スパゲッティ、めん類、ケーキミックス、から揚げ粉、パン粉等が挙げられる。
前記即席食品類として、即席めん、カップめん、レトルト・調理食品、調理缶詰め、電子レンジ食品、即席スープ・シチュー、即席みそ汁・吸い物、スープ缶詰め、フリーズ・ドライ食品、その他の即席食品等が挙げられる。
前記農産加工品として、農産缶詰め、果実缶詰め、ジャム・マーマレード類、漬物、煮豆類、農産乾物類、シリアル(穀物加工品)等が挙げられる。
前記水産加工品として、水産缶詰め、魚肉ハム・ソーセージ、水産練り製品、水産珍味類、つくだ煮類等が挙げられる。
前記畜産加工品として、畜産缶詰め・ペースト類、畜肉ハム・ソーセージ等が挙げられる。
前記乳・乳製品として、加工乳、乳飲料、ヨーグルト類、乳酸菌飲料類、チーズ、アイスクリーム類、調製粉乳類、クリーム、その他の乳製品等が挙げられる。
前記油脂類として、バター、マーガリン類、植物油等が挙げられる。
前記基礎調味料として、しょうゆ、みそ、ソース類、トマト加工調味料、みりん類、食酢類等が挙げられる。
前記複合調味料・食品類として、調理ミックス、カレーの素類、たれ類、ドレッシング類、めんつゆ類、スパイス類、その他の複合調味料等が挙げられる。例えば、前記冷凍食品として、素材冷凍食品、半調理冷凍食品、調理済冷凍食品等が挙げられる。
前記菓子類として、キャラメル、キャンディー、チューインガム、チョコレート、クッキー、ビスケット、ケーキ、パイ、スナック、クラッカー、和菓子、米菓子、豆菓子、デザート菓子、その他の菓子等が挙げられる。
前記飲料類として、炭酸飲料、天然果汁、果汁飲料、果汁入り清涼飲料、果肉飲料、果粒入り果実飲料、野菜系飲料、豆乳、豆乳飲料、コーヒー飲料、お茶飲料、粉末飲料、濃縮飲料、スポーツ飲料、栄養飲料、アルコール飲料、その他の嗜好飲料等が挙げられる。
上記以外の市販食品として、ベビーフード、ふりかけ、お茶漬けのり等が挙げられる。
以下に実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<1>カゼイン分解物の取得
市販のカゼイン(ニュージーランドデーリーボード製)100gに水900gを加え、よく分散させ、水酸化ナトリウムを添加して溶液のpHを7.0に調整し、カゼインを完全に溶解し、濃度約10質量%のカゼイン水溶液を調製した。該カゼイン水溶液を85℃で10分間加熱殺菌し、50℃に温度調整し、水酸化ナトリウムを添加してpHを9.5に調整した後、ビオプラーゼsp−20(長瀬生化学工業社製)100,800活性単位(タンパク質1g当り1,200活性単位)、プロテアーゼN(天野エンザイム社製)168,000活性単位(タンパク質1g当り2,000活性単位)、及びPTN6.0S(ノボザイムズ・ジャパン社製)588,000活性単位(タンパク質1g当り7,000活性単位)を添加して、加水分解反応を開始した。カゼインの分解率が24.1%に達した時点で、80℃で6分間加熱して酵素を失活させて酵素反応を停止し、10℃に冷却した。この加水分解液を分画分子量3,000の限外ろ過膜(旭化成社製)で限外ろ過し、濃縮後凍結乾燥し、凍結乾燥品を得た。
得られた加水分解物の分子量及び遊離アミノ酸量を前述の方法にて測定したところ、平均分子量は360Da、アミノ酸遊離率は10質量%以下、分子量200〜500のペプチドが53質量%含まれているカゼイン加水分解物を得た。
<2>カゼイン加水分解物の投与
カゼイン加水分解物としては、<1>で調製した加水分解ペプチドを用いた。
雄性C57BL/6Jマウスを、コントロール群(Con群)、カゼイン加水分解物群(Pep群)、カゼイン加水分解物+交感神経β2受容体遮断薬群(Pep+β2b群)の3群に分けた(n=8〜9)。マウスを90分間絶食させたのちに、Con群およびPep群には生理食塩水を、Pep+β2b群にはButoxiamine(4.0mg/g体重)を腹腔内投与した。腹腔内投与から30分後に、水またはカゼイン加水分解物(1.0mg/g体重)を経口投与し、経口投与から30分間のマウスの呼気ガスを回収した。交感神経は、その活性化と共に代謝が亢進する。そのため、経口投与から30分間で得られた呼気ガスから酸素摂取量を測定し、交感神経活動活性化の指標として用いた。また、統計処理には一元配置分散分析およびDunnett検定を用いた。
酸素摂取量の測定結果を図1に示す。Con群と比較し、Pep群では、交感神経活動の指標となる酸素摂取量が有意に高値を示した(p<0.05)。さらに、交感神経β2受容体遮断薬を用い、交感神経活動を抑制した群(Pep+β2b群)においては、カゼイン加水分解物を摂取しても酸素摂取量が増加しなかった。
この結果から、Pep群における酸素摂取量の増加は、カゼイン加水分解物の摂取により交感神経活動が活性化されたことによることがわかる。

Claims (10)

  1. カゼイン分解物を有効成分として含有する、交感神経活性化用組成物。
  2. 酸素摂取量の向上、眠気改善、脱力感もしくは倦怠感の改善、又は肉体の活動性向上のために用いられる、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記カゼイン分解物の平均分子量が220ダルトン以上かつ1000ダルトン以下である、請求項1又は2に記載の組成物。
  4. 前記カゼイン分解物が、タンパク質加水分解酵素による加水分解物である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
  5. 飲食品である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
  6. 医薬品である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
  7. 交感神経活性化用組成物の製造における、カゼイン分解物の使用。
  8. 交感神経活性化における、カゼイン分解物の使用。
  9. 交感神経活性化のために用いられる、カゼイン分解物。
  10. カゼイン分解物を動物に投与することを含む、交感神経を活性化する方法。
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