JP2021100412A - カゼイン酵素処理物及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
例えば、Met−Lys−Proからなるトリペプチド(配列番号1)には、アンジオテンシン変換酵素阻害作用、ジペプチジルペプチダーゼ−IV阻害作用及びアルツハイマー型認知症等のアミロイド・ベータ蛋白質に起因する脳機能障害に対する予防又は治療が報告されている(特許文献1〜3)。
しかしながら、目的とするオリゴペプチドを工業ベースで製造する場合、化学合成方法では、大量合成方法の確立の他、化学反応で使用する溶媒や化学反応の副生成物の除去等を検討する必要がある。一方で、既知のタンパク質を原料として用いる加水分解方法を採用した場合、大量生産のための原料の量を確保することは容易であるものの、加水分解後、目的とするオリゴペプチドと、目的としていないポリペプチド及びオリゴペプチドとが種々雑多で混在するため、さらに多大な分離・精製工程が必要となる場合が多い。
ところが、本発明者らは、原材料にカゼインを選択し、このカゼインに対してプロリン特異的エンドプロテアーゼを特定量使用して加水分解したところ、Met−Lys−Proからなるトリペプチド(配列番号1;以下、「トリペプチドMKP」ともいう)を高濃度に含むカゼイン酵素処理物を得、このカゼイン酵素処理物は乳化性も有していることを見出した。
このようなことから、意外にも、このカゼイン酵素処理物からトリペプチドMKP(375Da)をより高濃度で含む画分を得ることができることも判明した。
このようにして、本発明者らは、本発明を完成させるに至った。
[1]
Met−Lys−Proからなるトリペプチドを含むカゼイン酵素処理物の製造方法であって、
前記方法は、カゼインを酵素処理することを含み、
前記酵素処理は、タンパク質分解酵素としてプロリン特異的エンドプロテアーゼのみを用い、且つ、前記プロリン特異的エンドプロテアーゼを0.1〜3U/gの濃度で用いる酵素処理である、
前記製造方法。
[2]
前記カゼイン酵素処理物の、Met−Lys−Proからなるトリペプチドの含有量(mg/カゼイン酵素処理物1g)が0.3mg/処理物1g以上である、[1]に記載の製造方法。
[3]
前記酵素処理物の分解率が10%以下となるように前記酵素処理が行われる、[1]又は[2]に記載の製造方法。
[4]
前記プロリン特異的エンドプロテアーゼの使用量が、0.4〜2U/g濃度である、[1]〜[3]のいずれか一つに記載の製造方法。
[5]
MKPモル収率が少なくとも70%である、[1]〜[4]のいずれか一つに記載の製造方法。
[6]
反応pHが、中性領域である、[1]〜[5]のいずれか1つに記載の製造方法。
[7]
[1]〜[6]のいずれか1つに記載の製造方法を行った後に、当該カゼイン酵素処理物から、未分解カゼイン画分又は分子量1,000Da超の画分を除去し、Met−Lys−Proからなるトリペプチドを含む分子量1,000Da以下の画分を得る方法。
[8]
カゼイン酵素処理物であって、
前記カゼイン酵素処理物は、Met−Lys−Proからなるトリペプチドを含み、
前記カゼイン酵素処理物の、Met−Lys−Proからなるトリペプチドの含有量(mg/分子量1,000Da以下の画分1g)が、3mg/g以上である、
前記カゼイン酵素処理物。
[9]
前記カゼイン酵素処理物が、タンパク質分解酵素としてプロリン特異的エンドプロテアーゼのみを用い且つ前記プロリン特異的エンドプロテアーゼを0.1〜3U/gの濃度で用いるカゼイン酵素処理によって得られたものである、[8]に記載のカゼイン酵素処理。
[10]
カゼイン酵素処理物であって、
前記カゼイン酵素処理物は、Met−Lys−Proからなるトリペプチドを含み、
前記カゼイン酵素処理物の、以下に記載する測定方法によって測定された乳化性指標値(OD500)が1以上である、
前記カゼイン酵素処理物。
<乳化性指標値測定方法>
前記カゼイン酵素処理物を脱イオン水に溶解して得られた溶解液1.4mLに0.6mLの大豆油を加え、超音波発生器で20KHz、40W、1分間乳化を行ってエマルジョンを調製する。
調製されたエマルジョンに、脱イオン水8mLを加え、総量を10mLとする。
当該10mLのうちの0.1mLを、10mLの0.1%SDS水溶液と混合し、分光光度計にてOD500を測定する。測定された値(OD500)が、前記乳化性指標値である。
[11]
前記カゼイン酵素処理物の、Met−Lys−Proからなるトリペプチドの含有量(mg/カゼイン酵素処理物1g)が、0.3〜1.3mg/gである、[8]〜[10]のいずれか一つに記載のカゼイン酵素処理物。
[12]
未分解カゼインを含む、[8]〜[11]のいずれか一つに記載のカゼイン酵素処理物。
また、本技術に係る製造方法において、前記プロリン特異的エンドプロテアーゼの使用量が、0.4U/g以上2U/g以下の濃度とすることができる。
また、本技術に係る製造方法において、MKPモル収率が少なくとも70%とすることができる。
また、本技術に係る製造方法において、反応pHは特に限定されないが、中性領域とすることができる。
前記カゼイン酵素処理物の製造方法を行った後に、当該カゼイン酵素処理物から、未分解カゼイン画分又は分子量1,000Da超の画分を除去し、Met−Lys−Proからなるトリペプチドを含む分子量1,000Da以下の画分を得る方法を提供することができる。
Met−Lys−ProからなるトリペプチドMKP含有量(mg/カゼイン酵素処理物1g)が、0.9〜1.3mg/gであるカゼイン酵素処理物を提供することができる。
本技術に係るカゼイン酵素処理物において、Met−Lys−ProからなるトリペプチドMKP含有量(mg/分子量1,000Da以下の画分1g)が、3mg/g以上とすることができる。
本技術に係るカゼイン酵素処理物は、未分解カゼインを含むことができる。
なお、ここに記載された効果は、必ずしも限定されるものではなく、本技術中に記載されたいずれかの効果であってもよい。
前記Met−Lys−Proからなるトリペプチドは、Met−Lys−Proのみからなるアミノ酸配列(配列番号1)であり、原料であるカゼインから切り出されるトリペプチドである。
原料であるカゼインは、乳由来のタンパク質を主成分とするものである。当該カゼインは特に限定されないが、当該カゼインとして、市販品を使用してもよいし、乳からの分離精製品を使用してもよい。
前記カゼインとして、例えば、各種カゼイン、カゼイネート、レンネットカゼイン等が挙げられ、これらを1種又は2種以上組み合わせて使用することができる。
具体的には、乳酸カゼイン、硫酸カゼイン、塩酸カゼイン等の酸カゼイン;ナトリウムカゼイネート、カリウムカゼイネート、カルシウムカゼイネート、マグネシウムカゼイネート等のカゼイネート等又はこれらのうち2種以上組み合わせた混合物等が挙げられる。
また、牛乳、脱脂乳、全脂粉乳、脱脂粉乳等から常法により分離精製したウシ由来のカゼイン等を利用することもできる。
本技術の製造方法において用いるプロリン特異的エンドプロテアーゼは、ペプチドのプロリン残基のカルボキシ末端側で切断し得るエンドプロテアーゼである。
前記プロリン特異的エンドプロテアーゼの由来は、特に限定されず、動物由来、植物由来、微生物由来の何れでもよい。また、これら動物等から、プロリン特異的エンドプロテアーゼを、常法により分離精製して使用してもよいし、通常、医薬品・食品において用いることができる市販品を使用してもよい。
これらのうち、微生物由来が好ましい。
微生物由来として、アスペルギルス(Aspergillus)属、フラボバクテリウム(Flavobacterium)属、アエロモナス(Aeromonas)属、ザントモナス(Xanthomonas)属、バクテロイド(Bacteroides)属等が挙げられ、これら由来を単独で又は複数組み合わせて使用することができる。
これら微生物由来のうち、アスペルギルス(Aspergillus)属由来が好ましく、さらにアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)由来が好ましい。
前記酵素の作用は、ほぼ可溶性状態の動植物由来タンパク質に存在するプロリンのC末端を特異的に切断することが、好ましい。
前記酵素の作用は、タンパク質及びポリペプチドに存在するペプチド結合間を切断することが、好ましい;苦味形成なし又は過剰な加水分解なしで、タンパク質及びポリペプチドの大きさ、形状、鎖の長さを減少させることが、好ましい。
前記酵素の特性は、当該酵素がセリンプロテアーゼであることが、好ましい;当該酵素は、正規のプロテアーゼ阻害剤によって阻害されないことが、好ましい。
前記酵素は、真菌由来であることが好ましい。
前記酵素の至適pHは、中性領域〜酸性領域(pH8付近〜1.5付近)であることが好ましい。
アスペルギルス属由来のエンドプロテアーゼの場合、至適pHは、酸性領域(pH1.5付近〜7付近)であることが好ましく、このエンドプロテアーゼのさらに具体的な至適pHは、7より低い酸性領域であることが好ましく、より好ましくは3.5〜6.5である。
前記酵素の作用するpH範囲は、1.5〜7であることが好ましい。
前記酵素の至適温度は、55℃付近(50〜60℃)であることが好ましい。
前記酵素の作用する温度範囲は、0〜75℃であることが好ましい。
前記酵素の活性状態について、当該酵素は、5〜10分間80〜85℃保持で失活すること;酵素の不活性は、pH及び基質濃度によって著しく影響されること;これら全てにおいて、酵素不活性化を確実にするため残存活性の測定を行うことが好ましい。
本技術に係るカゼイン酵素処理物の製造方法は、原料であるカゼインに対してプロリン特異的エンドプロテアーゼを用い、Met−Lys−Proからなるトリペプチド(配列番号1)を含むカゼイン酵素処理物を得ることができれば、詳細な工程については特に限定されない。
本技術に係る製造方法は、公知のカゼイン酵素処理物の製造方法で用いられている様々な工程を自由に選択して採択することができる。
以下、製造方法の一例について、具体的に説明する。
カゼインを含む原料を、水等の溶媒に溶解又は分散させ、カゼイン含有溶液を調製する。
ガゼイン以外の原料として、例えば、pH調整剤、界面活性剤等が挙げられ、このうち、1種又は2種以上を選択することができる。
溶媒として、特に限定されないが、水として蒸留水等を用いることが好ましい。
また、前記カゼイン含有溶液中のカゼイン濃度は、特に限定されないが、通常、タンパク質換算で5〜15質量%前後の濃度範囲とすることが、効率性及び操作性の点から、好ましい。
pHの酸調整には、塩酸、硫酸等の無機酸;酢酸等の有機酸等を用いることができる。pHのアルカリ調整には、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属塩;水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属塩等を用いることができる。これらを単独で又は複数組み合わせて使用することができる。
次に、前記カゼイン含有溶液に、プロリン特異的エンドプロテアーゼを添加する。
本技術において、プロリン特異的エンドプロテアーゼは、他の性質のタンパク質酵素と併用をせず、単独で用いることが特徴である。
従来、タンパク質分解酵素を複数併用しないと、目的のオリゴペプチドを多く効率よく生成できないと考えられていた。しかし、本技術では、プロリン特異的エンドプロテアーゼ以外のタンパク質分解酵素と併用すると、かえってカゼイン酵素処理物中に目的とするトリペプチドMKP含有比率が低下し、また、目的物を高含有画分で回収することも困難となる。通常であれば、さらに異なる酵素同士の組み合わせに固執し検討し続けるところ、本発明者らは、偶然にもプロリン特異的エンドプロテアーゼ単独で用いたことで、カゼインに対して高い効率でトリペプチドMKPを切り出し、カゼイン酵素処理物中で高濃度化することができた。
さらに、前記プロリン特異的エンドプロテアーゼの使用量は、下限値として、好ましくは0.3U/g濃度以上、より好ましくは0.4U/g濃度以上、さらに好ましくは0.5U/g濃度以上である。また、上限値として、好ましくは2.5U/g濃度以下、より好ましくは2U/g濃度以下、さらに好ましくは1.5U/g濃度以下である。
また、前記プロリン特異的エンドプロテアーゼの使用量は、0.4〜2U/g濃度であることが好ましく、0.5〜1U/g濃度であることがより好ましい。この濃度範囲内により、原料であるカゼインに存在する−M−K−P−のアミノ酸配列を含むアミノ酸配列から、このアミノ酸配列(M−K−P)部分を効率よくトリペプチドMKPとして切り出すことができ、またトリペプチドMKP含有量(mg/分子量1,000Da以下の画分1g)の含有量も高くすることができる。
例えば、酵素反応をモニターすることにより、カゼイン酵素処理物の理化学的性質が所望の値になるように反応継続時間を決定することもできる。
なお、酵素反応のモニタリング方法としては、例えば、前記反応溶液の一部を採取し、タンパク質の分解率、MKPモル収率、トリペプチドMKP含有量等を測定する方法等が挙げられる。採取した反応溶液のまま測定して反応継続時間を決定してもよい。
また、反応時間は、好ましくは1〜24時間であり、より好ましくは1〜20時間であり、さらに好ましくは2〜16時間であり、特に好ましくは4〜15時間、極めて好ましくは6〜15時間、より極めて好ましくは9〜15時間である。
また、反応温度は、好ましくは20〜65℃であり、より好ましくは40〜60℃であり、さらに好ましくは50〜60℃であり、特に好ましくは50〜55℃である。反応温度は、カゼインの熱変性を抑制するため、60℃以下が望ましい。
酵素反応の停止は、加水分解液中の酵素を失活させることにより行われる。失活処理は、常法、例えば、加熱失活処理等により実施することができる。
加熱失活処理の条件(加熱温度、加熱時間等)は、使用した酵素の熱安定性を考慮し、十分に失活できる条件を適宜設定することができる。
本技術において、一例として、5〜10分間80〜85℃保持で酵素失活させることができる。
上述の酵素反応を行った酵素反応物を、常法の分離・精製法にて、分離・精製してもよい。酵素処理物は、溶液の状態であってもよい。
これにより、本技術の酵素処理物から、不純物を除去してもよい。本技術の酵素処理物から、所望の画分又は所望のペプチドを回収してもよい。
分離・精製法として、例えば、ろ過法、精密ろ過法、限界濾過膜等の膜分離処理法、樹脂吸着分離法、カラムクロマトグラフィー法、HPLC分離精製法、沈殿法、結晶法等が挙げられ、これらから1種又は2種以上の組み合わせを選択することができる。
樹脂吸着分離法は、これらの樹脂をカラムに充填して前記酵素処理物を連続的に流入させ、流出させることによる連続方式で行うこともでき、また、前記酵素処理物中に樹脂を投入し、一定時間接触させた後、酵素処理物と樹脂とを分離するバッチ方式で行うこともできる。
本技術において、上述のカゼイン酵素処理物の製造方法を行った後に、当該製造方法にて得られた酵素処理物から、未分解カゼイン等を含む高分子画分又は分子量1,000Da超の画分を除去し、トリペプチドMKPを含む分子量1,000Da以下の画分を得ることもできる。
これにより、トリペプチドMKPをさらに高含有にした画分を得ることができる。
本技術における未分解カゼインを含む高分子画分として、概ね分子量10,000Da超のタンパク質及びポリペプチド等が挙げられる。
遠心分離法は、簡便であるので、作業性及びコストの点で、好適である。遠心分離後に、上清を回収することで、トリペプチドMKPをさらに高濃度に含む画分を得ることができる。
さらに、膜分離処理法を行う前に、未分解カゼインを含む高分子画分を除去することが、作業効率及びコストの点で好ましい。具体的には、酸沈殿法、遠心分離法、膜分離法の順に行うのが好適である。これにより、トリペプチドMKPを高濃度に含む画分を効率よく得ることができる。
また、得られたカゼイン酵素処理物を殺菌してもよい。
殺菌方法は、常法による加熱処理方法等を用いることができる。
加熱処理時の加熱温度と保持時間は、充分に殺菌できる条件を適宜設定すればよく、例えば、70〜140℃で2秒間〜30分間加熱処理することにより殺菌できる。
加熱殺菌の方式は、バッチ方式、連続方式のいずれの方式も可能であり、連続方式においてもプレート熱交換方式、インフュージョン方式、インジェクション方式等の方式を用いることができる。
更に、得られたカゼイン酵素処理物は、そのままの溶液の状態で使用することもでき、また、必要に応じて、該溶液を公知の方法により、濃縮した濃縮液として使用することもできる。また、該濃縮液を公知の方法により乾燥し、粉末にして使用することもできる。
本技術に係るカゼイン酵素処理物は、上述のカゼイン酵素処理物の製造方法によって得ることができる。本技術のカゼイン酵素処理物は、軽度の分解条件によって、トリペプチドMKPを高含有し、かつ乳化性を有するものであり、新規なものである。
カゼインは水に溶けにくいが、本技術のカゼイン酵素処理物は、未分解物画分を有するものの、水溶性を有する。さらに、本技術のカゼイン酵素処理物は、タンパク質の乳化性を高いまま維持することができる。このため本技術のカゼイン酵素処理物は、種々の食品添加剤又は乳化剤としても利用可能である。
このように苦味を感じないカゼイン酵素処理物は、苦味除去を行う工程が必要ないため、低コストである。さらに、苦味除去は栄養学上重要なアミノ酸が欠乏する可能性があるが、本技術のカゼイン酵素処理物は苦味除去工程を行わなくともよいため、この欠乏の点も改善できる。
前記カゼイン酵素処理物から分離・精製された画分(以下、「分離・精製画分」ともいう)の固形分1g中のトリペプチドMKP含有量を、上述の「前記カゼイン酵素処理物中のトリペプチドMKP含有量(mg/画分1g)」又はそれ以上に調整することが可能である。
例えば、タンパク質及びポリペプチド等の高分子画分を除去し、トリペプチドMKPをより高含有にした画分を得、これを機能性食品等として用いることもできる。また、このトリペプチドMKP高含有画分は、酸性下でも水溶性であるので種々の食品に使用することができる
本技術に係る製造方法により得られたカゼイン酵素処理物及び各分離・精製画分は、様々な医薬品、飲食品、飼料等に使用することができる。
本技術に係る製造方法により得られたカゼイン酵素処理物又は各分離・精製画分は、乳由来の原料を用いているため、生体への安全性が高く、長期間、連続的な投与又は摂取にも適している。加えて、生体材料として比較的安価な乳由来の原料から生産しているため、安定して簡便に、しかも大量に製造することができ、需要者に対して安価に提供することも可能である。
なお、経口投与用の液剤の場合に使用する担体としては、水等の溶剤、矯味矯臭剤等が挙げられる。
即席食品類としては、例えば、即席めん、カップめん、レトルト・調理食品、調理缶詰め、電子レンジ食品、即席スープ・シチュー、即席みそ汁・吸い物、スープ缶詰め、フリーズ・ドライ食品、その他の即席食品等が挙げられる。
農産加工品としては、例えば、農産缶詰め、果実缶詰め、ジャム・マーマレード類、漬物、煮豆類、農産乾物類、シリアル(穀物加工品)等が挙げられる。
水産加工品としては、例えば、水産缶詰め、魚肉ハム・ソーセージ、水産練り製品、水産珍味類、つくだ煮類等が挙げられる。
畜産加工品としては、例えば、畜産缶詰め・ペースト類、畜肉ハム・ソーセージ等が挙げられる。
乳・乳製品としては、例えば、加工乳、乳飲料、ヨーグルト類、乳酸菌飲料類、チーズ、アイスクリーム類、調製粉乳類、クリーム、その他の乳製品等が挙げられる。
油脂類としては、例えば、バター、マーガリン類、植物油等が挙げられる。
基礎調味料としては、例えば、しょうゆ、みそ、ソース類、トマト加工調味料、みりん類、食酢類等が挙げられ、前記複合調味料・食品類として、調理ミックス、カレーの素類、たれ類、ドレッシング類、めんつゆ類、スパイス類、その他の複合調味料等が挙げられる。
冷凍食品としては、例えば、素材冷凍食品、半調理冷凍食品、調理済冷凍食品等が挙げられる。
菓子類としては、例えば、キャラメル、キャンディー、チューインガム、チョコレート、クッキー、ビスケット、ケーキ、パイ、スナック、クラッカー、和菓子、米菓子、豆菓子、デザート菓子、その他の菓子等が挙げられる。
飲料類としては、例えば、炭酸飲料、天然果汁、果汁飲料、果汁入り清涼飲料、果肉飲料、果粒入り果実飲料、野菜系飲料、豆乳、豆乳飲料、コーヒー飲料、お茶飲料、粉末飲料、濃縮飲料、スポーツ飲料、栄養飲料、アルコール飲料、その他の嗜好飲料等が挙げられる。
上記以外の市販食品としては、例えば、ベビーフード、ふりかけ、お茶潰けのり等が挙げられる。
「表示」行為には、需要者に対して前記用途を知らしめるための全ての行為が含まれ、前記用途を想起・類推させうるような表現であれば、表示の目的、表示の内容、表示する対象物・媒体等の如何に拘わらず、全て本技術の「表示」行為に該当する。
したがって、トリペプチドMKPは、高血圧に由来する種々の疾患(例えば脳出血、脳梗塞、狭心症、心筋梗塞、腎不全等)に対する予防剤又は治療剤(具体的には血圧降下剤等)として使用することができる。
また、アンジオテンシン変換酵素阻害剤は、原因不明の本態性高血圧にも効果があることが知られており、トリペプチドMKPも本態性高血圧に対する治療又は予防効果を示すことが期待される。その他、アンジオテンシン変換酵素阻害剤が有効であることが知られている心肥大、狭心病等の疾患に対しても、治療、予防薬として、トリペプチドMKPは使用することができる(特許文献1参照)。また、トリペプチドMKPは、これら疾患の予備軍にも有益であると考える。
したがって、トリペプチドMKPは、高血糖に由来する種々の疾患(例えば高血糖症、糖尿病、糖尿病合併症、血管内皮障害、血管障害等)に対する予防剤又は治療剤(具体的には、血糖低下、血管内皮障害抑制及び抗糖尿病等)として、使用することもできる。
トリペプチドMKPは、アンジオテンシン変換酵素阻害作用及びジペプチジルペプチダーゼ−IV阻害作用の両方を併せ持つ、すなわち血糖低下作用及び血圧降下作用の2つの効能を併せ持つ非常に有益な化合物と言える(特許文献2)。
また、トリペプチドMKPは、高血圧及び/又は高血糖等のこれら疾患の予備軍にも有益であると考える。
トリペプチドMKPは、アミロイド・ベータ蛋白質に起因する脳機能障害を改善する作用を有するので、アルツハイマー型認知症等のアミロイド・ベータ蛋白質に起因する脳機能障害に対する予防剤又は治療剤として、使用することもできる(特許文献3)。
また、本技術のトリペプチドMKP高含有のカゼイン酵素処理物及びトリペプチドMKP含有の各分離・精製画分は、効能が期待できる各種疾患(予備軍含む)に対する予防法、改善法又は治療法のために使用することができ、又はこれら各種疾患に対する予防等のための成分として使用することができ、又はこれら各種疾患に対する予防等のための薬や食品の含有成分として使用することができ、又はこれら各種疾患に対する薬や食品等を製造するために使用することも可能である。
酵素処理物を製造する方法。
〔2〕 前記プロリン特異的エンドプロテアーゼの使用量が、0.4〜2U/g濃度である、前記〔1〕記載のカゼイン酵素処理物を製造する方法。
〔3〕 MKPモル収率が少なくとも70%である、前記〔1〕又は〔2〕記載のカゼイン酵素処理物を製造する方法。
〔4〕 反応pHが、中性領域である、〔1〕〜〔3〕の何れか1つ記載のカゼイン酵素処理物を製造する方法。
〔5〕 反応時間が、4〜15時間である、〔1〕〜〔4〕の何れか1つ記載のカゼイン酵素処理物を製造する方法。前記反応時間は、好ましくは6〜15時間、より好ましくは9〜15時間である。
〔6〕 〔1〕〜〔5〕の何れか1つ記載のカゼイン酵素処理物の製造方法を行った後に、当該カゼイン酵素処理物から、未分解カゼイン画分又は分子量1,000Da超の画分を除去し、Met−Lys−Proからなるトリペプチドを含む分子量1,000Da以下の画分を得る方法。
〔7〕 Met−Lys−ProからなるトリペプチドMKP含有量(mg/カゼイン酵素処理物1g)が、0.9〜1.3mg/処理物1gであるカゼイン酵素処理物。
〔8〕 Met−Lys−ProからなるトリペプチドMKP含有量(mg/分子量1,000Da以下の画分1g)が、3mg/画分1g以上である、〔7〕記載のカゼイン酵素処理物。
〔9〕 未分解カゼインを含む、〔7〕又は〔8〕記載のカゼイン酵素処理物。
〔10〕 〔7〕〜〔9〕の何れか1つ記載のカゼイン酵素処理物から得られたMet−Lys−Proからなるトリペプチドを含む分子量1,000Da以下の画分。
(1)分解率の測定
試料粉末を10%w/wの濃度で脱イオン水に溶解し、溶解液8mLに脱イオン水30mLを加え、スターラーで撹拌しながら、pHメーターを用いて0.1M水酸化ナトリウム溶液あるいは0.1M塩酸溶液を滴下して、pHを6.80に調整する。これに、pH8.0に調整した37%ホルマリン溶液5mLを加えた後、0.1M水酸化ナトリウム溶液で滴定し、pH7.90とした。(xmL)それと同時に、糖度計を用いて、ペプチド溶液のBrix値(25℃)を測定する。(z%)
上記測定値をもとに、下記計算式より、ペプチドの分解率を数値化する。
分解率(%)=ホルモール態窒素量÷全窒素量×100
ホルモール態窒素量(mgN/dl)=1.4×x×f(水酸化ナトリウムの力価)×100/8
全窒素量(mgN/dl)=z×0.7×1000/6.38
試料粉末を、1.0mg/mLとなるように、0.2%ギ酸水溶液に希釈溶解し、10分間超音波破砕したのち、0.22μm口径のPVDFフィルター(Millipore社製)でろ過して粉末溶液を調製する。これら調整サンプルに、C13ラベルした化学合成内部標準ペプチド(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)を0.5μg/mLの濃度で添加し、下記測定条件によるLC/MS分析を実施する。一方、トリペプチドMKPの化学合成標準ペプチド(ペプチド研究所社製)の溶解液を0.2、0.6、1.0μg/mLの濃度で作成する。これらにC13ラベルした化学合成内部標準ペプチドを0.5μg/mLの濃度で添加し、下記測定条件によるLC/MS分析を実施し、検量線を作成する。前記粉末溶液の分析におけるピークのうち、標準ペプチドと分子量及びリテンションタイムが一致するものを、標準ペプチドと同一の配列として同定する。標準ペプチドのピークとピーク面積を対比することにより、前記粉末溶液中にトリペプチドMKPの含有量を求める。
<LC/MS使用機器>
質量分析計:TSQ Quantum Discovery MAX(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)。
高速液体クロマトグラフ構成:システムコントローラー:CBM−20A、オートインジェクター:SIL−20AC、送液ポンプ:LC−20AD×2、カラムオーブン:CTO−20AC、UV/VIS検出器:SPD−20A、オンラインデガッサ:DGU−20A5 (以上、島津製作所社製)、カラム:TSKgel ODS−100V 5μm(2.0mm I.D.×250mm L)(東ソー社製)。
移動相A:0.2重量% ギ酸−水溶液
移動相B:0.2重量% ギ酸−アセトニトリル溶液
タイムプログラム:2%B(0.0分)−25%B(5.0分)−65%B(5.1分)−65%B(10分)−85%B(10.1分)−85%B(13.0%)−2%B(13.1分)−STOP(30.0分)。
試料注入量:10μL、
カラム温度:40℃、
イオン化モード:ESI(+)、
液体流量:200μL/min、
スプレー電圧:+4.5kV、
キャピラリー温度:320℃、
シースガス圧:30Arb、
補助ガス圧:4Arb、
分析モード:SRM測定、
Product Mass:m/z=260.10(Parent m/z = 375.21)、
(C13内部標準 Product Mass:m/z=260.10(Parent m/z=381.22))
MKPモル収率(%)=(ペプチドMKP測定値/ペプチドMKP論理値)×100
〔ペプチドMKP測定値〕は、上記(3)「LC/MS」にて、試料中のペプチドMKPの測定を行った値である。
〔ペプチドMKP理論値〕=〔カゼイン酵素処理物1000mgあたり〕×〔酵素処理物中のカゼインタンパク含量(86.9g/100g)〕×〔カゼインタンパク中のαs2−カゼイン含量(10g/100g)〕×〔αs2−カゼイン中のペプチドMKPの質量比(375:25200)〕
=1000×0.869×0.1×375÷25200
=1.293 mg/g
MKP含有量(mg/カゼイン酵素処理物1g)=〔得られたカゼイン酵素処理物中のトリペプチドMKP測定値(mg)〕/〔得られたカゼイン酵素分解物の質量(g)〕
〔得られたカゼイン酵素処理物中のトリペプチドMKP測定値(mg)〕は、上記(3)「LC/MS」による、試料中のトリペプチドMKPの測定値である。
MKP含有量(mg/分子量1,000Da以下の画分1g)=〔得られたカゼイン酵素処理物中のトリペプチドMKP測定値(mg)〕/〔得られたカゼイン酵素処理物(g)×分子量1,000Da以下の画分割合〕
〔分子量1,000Da以下の画分割合〕=〔分子量分布における分子量1,000Da以下の画分エリア〕/〔分子量分布におけるカゼイン酵素処理物の全エリア〕
〔得られたカゼイン酵素処理物中のトリペプチドMKP測定値(mg)〕は、上記(3)「LC/MS」による、試料中のトリペプチドMKPの測定値(mg)である。
分子量分布は、下記「(7)分子量分布の測定」により、求める。
高速液体クロマトグラフィーにより分子量分布を測定する(宇井信生ら編、「タンパク質・ペプチドの高速液体クロマトグラフィー」、化学増刊第102号、第241頁、株式会社化学同人、1984年)。
具体的には、ポリハイドロキシエチル・アスパルタミド・カラム[Poly Hydroxyethyl Aspartamide Column:ポリ・エル・シー(Poly LC社製)。直径4.6mm及び長さ220mm]を用い、20mM塩化ナトリウム、50mMギ酸により溶出速度0.5mL/minで溶出する。
検出はUV検出器(島津製作所社製)を用い、データ解析はGPC分析システム(島津製作所社製)を使用する。
〔各分子量範囲の割合(%)〕=〔分子量分布における各分子量範囲の面積/分子量分布におけるカゼイン酵素処理物の全面積(全エリア)〕
試料粉末を5%w/wの濃度で常温の脱イオン水に溶解し、6名の風味パネラーによる苦味の官能評価を実施する。苦味強度の評価は下記基準で数値化し、平均値を算出する。
・数値1:苦みを感じない(水と同等)
・数値2:わずかに苦味を感じる(0.05%カフェイン水溶液と同等)
・数値3:苦味を感じる (0.10%カフェイン水溶液と同等)
・数値4:苦みをやや強く感じる(0.15%カフェイン水溶液と同等)
・数値5:苦味をかなり強く感じる(0.20%カフェイン水溶液と同等)
試料粉末を1%w/wの濃度で脱イオン水に溶解し、この1.4mLに0.6mLの大豆油を加え、超音波発生器で20KHz、40W、1分間乳化を行ってエマルジョンを調整する。
調整したエマルジョンに、脱イオン水8mLを加え、総量を10mLとした。これを0.1mLとり、さらに10mLの0.1%SDS水溶液に混合し、分光光度計にてOD500を測定する。濁度の値が高いものほど、高い乳化性を示す。(日本食品工業学会誌第27巻第12号,1980年12月,「超音波処理と濁度による大豆蛋白質乳化性の微量測定法」に記載の方法に従う)
牛乳由来の乳酸カゼイン(フォンテラ社製)10gに、約60℃に調整した蒸留水90gを加えて充分に撹拌した後、水酸化ナトリウムを添加してpH6.2〜7とし、基質溶液を調製した。得られた基質溶液に、プロリン特異的プロテアーゼ(DSM社製)を、カゼインに対して0.3〜2U/g濃度(0.3、0.4、0.5、1.0、2.0[U/g])で添加し、55℃で15時間インキュベートした。次いで85℃で10分間加熱して酵素を失活させたのち、得られた酵素処理物溶液を凍結乾燥し、粉末化した。
各粉末中のMKP含有量をLC/MSで測定した。その結果を表1に示す。
牛乳由来の乳酸カゼイン(フォンテラ社製)10gに、約60℃に調整した蒸留水90gを加えて充分に撹拌した後、水酸化ナトリウムを添加してpH9.0とし、基質溶液を調製した。得られた基質溶液に、セリンエンドプロテアーゼ(天野エンザイム社製)を、カゼインに対して1,500U/g濃度で添加し、直後に、プロリン特異的プロテアーゼ(DSM社製)を、カゼインに対して0.5U/g濃度で添加し、55℃で15時間インキュベートした。次いで85℃で10分間加熱して酵素を失活させたのち、得られた酵素処理物溶液を凍結乾燥し、粉末化した。
牛乳由来の乳酸カゼイン(フォンテラ社製)10gに、約60℃に調整した蒸留水90gを加えて充分に撹拌した後、水酸化ナトリウムを添加してpH9.0とし、基質溶液を調製した。得られた基質溶液に、セリンエンドプロテアーゼ(天野エンザイム社製)を、カゼインに対して1,500U/g濃度で添加し、55℃で15時間インキュベートした。次いで85℃で10分間加熱して酵素を失活させたのち、得られた酵素処理物溶液を凍結乾燥し、粉末化した。
また、各粉末の分子量分布を表3に示す。
さらに、本発明品1は、良好な風味と乳化性をもたらす高分子画分がより多く残っていることがわかる。本発明品1中に存在するカゼインは、分子量分布からすると、未分解かほとんど分解されておらず、また易水溶性と考える。
さらに、本発明品1は、分子量分布からすると、分子量10,000Da超の高分子画分約60%となっているため、高分子画分を除去しやすく、分子量1,000Da以下の低分子画分を回収しやすい。そして、本発明品1では、比較品1及び2と比較しても、分子量1,000Da以下の低分子画分中のトリペプチドMKPの含有量も4倍以上高い。一方の比較品1は、分子量分布からすると、分子量1,000Da以下の低分子画分約80%であり、数多のペプチドが雑多に混在するため、この中からトリペプチドMKPを回収しにくく、さらに高濃度にすることも難しい。
また、得られたカゼイン酵素処理物は、苦味がないか少ない、かつ乳化性が高いため、食品(例えば、機能性食品等)等として使用することもでき、さらに食品添加剤(例えば、風味向上剤、乳化剤等)として使用することもできる。
Claims (12)
- Met−Lys−Proからなるトリペプチドを含むカゼイン酵素処理物の製造方法であって、
前記製造方法は、カゼインを酵素処理することを含み、
前記酵素処理は、タンパク質分解酵素としてプロリン特異的エンドプロテアーゼのみを用い、且つ、前記プロリン特異的エンドプロテアーゼを0.1〜3U/gの濃度で用いる酵素処理である、
前記製造方法。 - 前記カゼイン酵素処理物の、Met−Lys−Proからなるトリペプチドの含有量(mg/カゼイン酵素処理物1g)が0.3mg/処理物1g以上である、請求項1に記載の製造方法。
- 前記酵素処理物の分解率が10%以下となるように前記酵素処理が行われる、請求項1又は2に記載の製造方法。
- 前記プロリン特異的エンドプロテアーゼの使用量が、0.4〜2U/g濃度である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
- MKPモル収率が少なくとも70%である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法。
- 反応pHが、中性領域である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法を行った後に、当該カゼイン酵素処理物から、未分解カゼイン画分又は分子量1,000Da超の画分を除去し、Met−Lys−Proからなるトリペプチドを含む分子量1,000Da以下の画分を得る方法。
- カゼイン酵素処理物であって、
前記カゼイン酵素処理物は、Met−Lys−Proからなるトリペプチドを含み、
前記カゼイン酵素処理物の、Met−Lys−Proからなるトリペプチドの含有量(mg/分子量1,000Da以下の画分1g)が、3mg/g以上である、
前記カゼイン酵素処理物。 - 前記カゼイン酵素処理物が、タンパク質分解酵素としてプロリン特異的エンドプロテアーゼのみを用い且つ前記プロリン特異的エンドプロテアーゼを0.1〜3U/gの濃度で用いるカゼイン酵素処理によって得られたものである、請求項8に記載のカゼイン酵素処理物。
- カゼイン酵素処理物であって、
前記カゼイン酵素処理物は、Met−Lys−Proからなるトリペプチドを含み、
前記カゼイン酵素処理物の、以下に記載する測定方法によって測定された乳化性指標値(OD500)が1以上である、
前記カゼイン酵素処理物。
<乳化性指標値測定方法>
前記カゼイン酵素処理物を脱イオン水に溶解して得られた溶解液1.4mLに0.6mLの大豆油を加え、超音波発生器で20KHz、40W、1分間乳化を行ってエマルジョンを調製する。
調製されたエマルジョンに、脱イオン水8mLを加え、総量を10mLとする。
当該10mLのうちの0.1mLを、10mLの0.1%SDS水溶液と混合し、分光光度計にてOD500を測定する。測定された値(OD500)が、前記乳化性指標値である。 - 前記カゼイン酵素処理物の、Met−Lys−Proからなるトリペプチドの含有量(mg/カゼイン酵素処理物1g)が、0.3〜1.3mg/gである、請求項8〜10のいずれか一項に記載のカゼイン酵素処理物。
- 未分解カゼインを含む、請求項8〜11のいずれか一項に記載のカゼイン酵素処理物。
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