JP2011504363A - 改良された生理活性ペプチドの生成 - Google Patents

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Abstract

本発明は、トリペプチドIPPおよび/またはトリペプチドVPPを生成するための方法であって、出発原料としてタンパク質を使用することを含み、ここでタンパク質は、適した乳酸菌またはビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)を使用する発酵工程と、プロリン特異的エンドプロテアーゼまたはプロリン特異的オリゴペプチダーゼを使用する酵素インキュベーション工程とに供される、方法に関する。

Description

発明の詳細な説明
[技術分野]
本発明は、生理活性ペプチドの生成に関する。
[背景技術]
高血圧症は、ヒトにおける比較的一般的な病状であり、心臓血管疾患、腎不全および脳卒中の、流行性の危険因子を引き起こす。カルシウム遮断薬、β遮断薬、利尿薬、α遮断薬、中心的なαアンタゴニスト、アンジオテンシンIIアンタゴニストおよびACE阻害薬等の多くの医薬品の利用可能性は、高血圧症の基礎にある生理学的機序が多面的であることを示す。
高血圧症の生理学的機序のうち、特にレニン−アンジオテンシン機序は、多くの科学的注目を受けている。この機序において、アンジオテンシンは肝臓によって分泌され、ペプチダーゼであるレニンによって切断されて、生物学的に不活性なデカペプチドであるアンジオテンシンIを生じる。アンジオテンシンIが肺毛細血管を通過すると、アンジオテンシン変換酵素(以下ACEと呼ぶ)と呼ばれる別のペプチダーゼが、アンジオテンシンIの最後の2つの残基(His−Leu)を除去することによって、アンジオテンシンIに作用して、オクタペプチドであるアンジオテンシンIIを形成する。アンジオテンシンIIオクタペプチドは、強力な血管収縮活性を示し、したがって、血圧を上昇させる。より低いレベルのアンジオテンシンIIにつながるACE阻害は、血管収縮を防ぎ、そのため高血圧を防ぐ。
アンジオテンシンIを切断する他に、ACEはまた、同様に血圧調節に関与するノナペプチドであるブラジキニンを加水分解することもできる。後者の機序において、ACE阻害は、血管拡張を促進し、同様に血圧を降下させる、ブラジキニンレベルの増大につながる。ACEを阻害することは、このようにして、少なくとも2つの別々の機序によって、血圧降下効果につながる。
オクタペプチドであるアンジオテンシンIIが副腎皮質によるアルドステロンの放出を刺激することもまた、公知である。アルドステロンの標的器官は腎臓であり、ここでアルドステロンは、腎細尿管からのナトリウムの再吸収の増大を促進する。この第三の機序によっても、ACE阻害は血圧を減少させるが、この場合はナトリウム再吸収を減少させることによって減少させる。
その多重的な生理学的効果のために、ACEのタンパク質分解活性を阻害することは、血圧を抑制する有効な方法である。この観察から、カプトプリルおよびエナラプリル等のいくつかの有効な血圧降下医薬品が生じた(オンデッティ(Ondetti),M.A.ら、1977年、サイエンス(Science)、ワシントンDC(Washington DC)、196、441〜444頁)。
高血圧症は比較的一般的な病状なので、現代の生活様式の、この望ましくない結果を、穏やかに活性のある天然成分で相殺することは、有利であり、特に、穏やかに活性のある天然成分は、かかる製品は定期的に消費されるので、食品または飲料に組み込むことができる。あるいは、かかる穏やかに活性のある天然成分は、栄養補助食品に組み込むことができるであろう。過去数十年の間に、発酵乳中に存在する特異的ペプチドがACE阻害能力を有し、高血圧症被験者において血圧低下を引き起こすことができることが発見された。最近では、多くのインビトロおよびインビボの試験から、種々のタンパク質源から得られた種々のペプチドのACE阻害効果が示されている。インビトロACE阻害アッセイからは多くの種々のペプチド配列が明らかになっているが、ACE阻害ペプチドは、血液中を循環させてインビボ効果を発揮させる必要があることを、強調しなければならない。効果的なACE阻害ペプチドは、胃腸内タンパク質分解性消化系による分解に抵抗するべきであり、それに続く腸壁を越える輸送の間にインタクトなままであるべきであるようである。
種々のACE阻害ペプチドの構造機能研究から、それらがしばしばそれらのC末端配列にPro−Pro、Ala−ProまたはAla−Hypを有することが示唆されている(マルヤマ(Maruyama),S.およびスズキ(Suzuki),H.、1982年、Agric Biol Chem.、46(5):1393〜1394頁)。この発見は、ACEが、プロリンを伴うペプチド結合を切断することができないペプチジルジペプチダーゼ(EC3.4.15.1)であることによって、部分的に説明される。したがって、Xaa−Pro結合は切断することができないので、構造Xaa−Pro−Proを有するトリペプチドから、ジペプチドPro−Proを除去することはできない。したがって、比較的高濃度で存在する場合、Xaa−Pro−Pro構造を有するトリペプチドは、ACE活性を阻害するであろうと考えることができる。ACEのみでなく、ほぼ全てのタンパク質分解酵素はXaa−ProまたはPro−Pro結合を切断するのが難しいので、ペプチドのカルボキシ末端での(複数の)プロリン残基の存在によって、比較的プロテアーゼ耐性の分子が生じるという考えは、ほとんど自明である。同様に、プロリンの代わりにヒドロキシプロリン(Hyp)を含むペプチドは、比較的プロテアーゼ耐性である。このことから、そのカルボキシ末端に1つ以上の(ヒドロキシ)プロリン残基を保有するペプチドは、胃腸管におけるタンパク質分解を免れるようであると推論することができる。これらの結論は、特異的ACE阻害ペプチドの顕著なインビボ血圧降下効果を理解する助けとなるであろう。これらはACE阻害の構造上の要件を満たすだけでなく、胃腸内のタンパク質分解性消化系による分解に抵抗し、それに続く腸壁を越える輸送の間、インタクトなままである。
トリペプチドLeu−Pro−Pro(LPP;JP0236127)、Val−Pro−Pro(VPP;EP0583074)およびIle−Pro−Pro(IPP;J.Dairy Sci.、78:777〜783頁1995年)について、強力なACE阻害活性が報告されている。最初に、全てのACE阻害ペプチドは、ACE活性に対するそれらのインビトロ効果に基づいて特徴付けられ、トリペプチドIle−Pro−Pro(以下IPPと呼ぶ)Val−Pro−Pro(以下VPPと呼ぶ)およびLeu−Pro−Pro(以下LPPと呼ぶ)が、比較的低いIC50値を生じる、それらの強力なACE阻害効果のために、抜きん出ていた。後に、トリペプチドVPPならびにIPPの、推定される降圧効果を、自然発症高血圧ラットにおいて確かめることができた(ナカムラ(Nakamura)ら、J.Dairy Sci.、78:12531257(1995年))。これらの実験において、阻害トリペプチドは、乳酸菌発酵乳に由来した。乳発酵の間、望ましいペプチドは、増殖する乳酸菌によって産生されるプロテイナーゼによって生成される。この発酵アプローチの欠点は、乳酸菌が生成される酵素の種類および量を制御するのが困難である生きた生物である点である。したがって、ACE阻害ペプチドの生成はほとんど再現性がなく、必要とされるペプチドの最大収率を確実にするだけの最適な酵素セットが生成されているという可能性も低い。また、必要とされる発酵時間は比較的長く、低収率であることとともに生理活性ペプチドにとって好ましくないコスト構造であることを意味する。これらの欠点にもかかわらず、いくつかの発酵乳製品が高血圧症を阻止する天然の生理活性ペプチドを組み込む健康食品として導入されている。さらに、ACE阻害ペプチドは、電気透析法、中空繊維膜透析またはクロマトグラフ法の後に発酵乳製品から濃縮されて、錠剤またはロゼンジ等の、濃縮された栄養補助食品の形態での、それらの市場売買を可能にしている。
発酵生成経路の上記の欠点は、例えば、特許出願の国際公開第01/68115号パンフレット、欧州特許第1231279号明細書、国際公開第06/67163号パンフレットおよび国際公開第07/013426号パンフレットにおいて認識された。国際公開第06/67163号パンフレットでは、乳カゼインからトリペプチドVal−Pro−Pro、Ile−Pro−ProまたはLeu−Pro−Proを回収する純粋に酵素的なプロセスが説明されている。同出願は、中間体ペプチドを介し、乳カゼインを含有する材料をプロテイナーゼおよびペプチダーゼで消化することによって、これらのトリペプチドを生成するための方法を権利請求する。これらの酵素インキュベーションの各々は、12時間もの期間を要し、微生物汚染物質が増殖(outgrowth)に有利な条件下で行われることがある。ペプチダーゼとのインキュベーションに先立ち、中間体ペプチドは好ましくは精製され、中間体ペプチドの追加的なクロマトグラフ精製工程後にやっと、最高濃度のACE阻害ペプチドを得ることができる。
欧州特許第1908354号明細書では、発酵乳は、まずカゼインをパパイン、ブロメラインまたは他の密接な関連があるプロテアーゼで消化後、乳酸菌による発酵によって生成される。欧州特許第1908354号明細書の比較例7〜9は、パパインおよびブロメラインの使用によって発酵乳製品のVPPおよびIPP含量が改善される一方、VPPおよびIPPに対する生成能を有することが公知である他のアスペルギルス(Aspergillus)酵素によってVPPおよびIPP含量が減少することを示す。パパインおよびブロメラインとVPPおよびIPPを生成するラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus Helveticus)との併用のみがそれらの相乗効果故に大量のVPPおよびIPPを生成することができることが結論づけられた。
国際公開第2004/098309号パンフレットでは、アスペルギルス・オリザエ(Aspergillus oryzae)の酵素調製物と組み合わせられたVPPおよびIPPを生成する乳酸菌(ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus Helveticus))が使用される。国際公開第2004/098309号パンフレットは、多数のタンパク質分解酵素調製物が、高いVPPおよびIPP含量を有する発酵乳製品の調製において有用でないことを開示する。さらに、有用であることが見出されているアスペルギルス・オリザエ(Aspergillus oryzae)調製物はカゼインを基準として2〜10重量%の量で添加される必要がある。実施例において5重量%酵素が使用され、また実施例13〜15においてのみ酵素量が変化した。50%より大きいモル収率のVPPまたはIPPは、4重量%より大きい酵素を使用してのみ得られた。さらに、国際公開第2004/098309号パンフレットにおける発酵VPPおよびIPPを含有する製品はすべて、少なくとも37%のDHを有する。一般に、かかる大量のDHを有する加水分解産物に異臭があることは公知である。さらに、大量のDHは、固形食への直接的取り込みとの適合性の低下と相関し、その嗜好性の低さにより、官能受容性が著しく制限される。
したがって、大量のVPPおよびIPPを含み、かつ先行技術の方法の課題を解決する発酵乳製品を生成するための方法に対する要望がある。
[発明の概要]
本発明は、生理活性を有する、好ましくはACE阻害性のトリペプチドが高収率で生成される方法に関する。本発明による方法は、プロテアーゼ、好ましくはプロテアーゼまたはペプチドのアミノ酸配列内に存在するプロリンのカルボキシ末端で切断する、好ましくはエンドプロテアーゼ、より好ましくはプロリン特異的エンドプロテアーゼまたはプロリン特異的オリゴペプチダーゼ、最も好ましくはプロリン特異的エンドプロテアーゼが添加されて使用される酵素インキュベーション工程と組み合わせて、乳酸菌またはビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)を使用する発酵工程を含む。好ましくは、プロリン特異的プロテアーゼは、ペプチドおよびタンパク質をペプチドまたはタンパク質中に存在するプロリンのカルボキシ末端で切断する。場合により、アミノペプチダーゼがプロリン特異的プロテアーゼとともに添加される。好ましくは、アミノペプチダーゼはアスペルギルス(Aspergillus)種から得られる。
酵素インキュベーションは、発酵プロセス前か、あるいは発酵プロセスと同時に、またはさらに発酵プロセスの完了後のいずれかに実施することができる。好ましくは、インキュベーションは発酵プロセスと同時に実施される。最終製品中、例えば特定のヨーグルトまたはプロバイオティクス調製物中での生存微生物の存在が必要とされる用途においては、酵素インキュベーションは好ましくは発酵プロセス前に実施される。本発明によると、発酵は乳酸菌またはビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)を使用して行われる。適した乳酸菌およびビフィドバクテリウム(Bifidobacteria)の例として、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ブルガリア乳酸桿菌(Lactobacillus bulgaricus)、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)、ならびにラクトコッカス(Lactococcus)種、例えばラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)、リューコノストック(Leuconostoc)種、ペディオコッカス(Pediococcus)種、連鎖球菌(Streptococcus)種、ならびにビフィドバクテリウム・アニマリス(Bifidobacterium animalis)、ビフィドバクテリウム・ブレビス(Bifidobacterium brevis)、ビフィドバクテリウム・インファンティス(Bifidobacterium infantis)およびビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)等のビフィドバクテリウム(bifidobacteria)の代表例(representants)が挙げられる。本発明の方法を使用し、ACE阻害または降圧トリペプチド、ならびに免疫調節、抗酸化または抗菌ペプチドを生成することができる。特に好ましくは、トリペプチドIPP、VPPおよびLPPが生成される。発酵と本発明による酵素を組み合わせることにより、発酵プロセスの利点、例えば味、テクスチャまたはプロバイオティクス活性の生成は、生理活性トリペプチドの生成と相まって費用効果が高い。
したがって、本発明は、出発原料として乳タンパク質を使用することを含む、トリペプチドIPPおよび/またはトリペプチドVPPを含む発酵乳製品を生成するための方法を提供し、ここで乳タンパク質は、適した乳酸菌またはビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)を使用した発酵工程、およびプロリン特異的エンドプロテアーゼまたはプロリン特異的オリゴペプチダーゼを使用した酵素インキュベーション工程に供される。本方法は、大量のIPPおよび/またはVPPを有する発酵乳製品を生成する。
有利には、(存在する乳タンパク質の量あたりの酵素タンパク質を基準として)0.05〜1.7重量%のプロリン特異的エンドプロテアーゼまたはプロリン特異的オリゴペプチダーゼが本方法において使用される。好ましくは、(存在する乳タンパク質の量あたりの酵素タンパク質を基準として)0.1〜1.5重量%および最も好ましくは0.2〜1.3重量%のプロリン特異的エンドプロテアーゼまたはプロリン特異的オリゴペプチダーゼが本方法において使用される。使用されるアミノペプチダーゼの量は、(存在する乳タンパク質の量あたりの酵素タンパク質を基準として)好ましくは5重量%未満、より好ましくは3重量%未満、最も好ましくは1重量%未満である。
[発明の詳細な説明]
トリペプチドIPP(Ile−Pro−Pro)、LPP(Leu−Pro−Pro)およびVPP(Val−Pro−Pro)等の生理活性ACE阻害ペプチドを含有するいくつかの発酵乳製品が現在市販されている。すべてのこれら製品が乳製品を周知の乳酸培養物で発酵させることによって調製されるが、得られる最終製品は典型的には非常にレベルが変動しやすいこれらのACE阻害トリペプチドを含有する。これらのレベルが変動しやすいACE阻害トリペプチドは、望ましくない収率の低下をまねき、発酵製品が最終製品として使用される場合、非常に多様な血圧降下効果をもたらす。かかる血圧降下効果は、高血圧ラットを使用するインビボ試験または先行技術において公知のアンジオテンシン転換酵素(ACE)に対するそれらの阻害能の測定によるインビトロ試験により、先行技術において規定された方法に従って試験することができる。変動しやすいレベルのACE阻害トリペプチドおよびそれによる血圧降下効果は、異なる乳タンパク質を含有する出発原料、異なる発酵条件、および使用される乳酸培養物間の差異によって説明することができる。さらに、形成されるACE阻害トリペプチドの性質および量は、適用される特定の発酵条件下で乳酸生成細菌の種類によって発現されるタンパク質分解系の特性に依存する。最近では、ヒトにおいて有意な降下効果を得るため、比較的大量のトリペプチドIPP、VPPまたはLPPが消費される必要があることは公知である。残念なことに、発酵プロセスの間にかかる高レベルのこれらトリペプチドを得ることは容易ではない、すなわち多数の要素が、発酵プロセスの経過、および使用される乳酸菌またはビフィドバクテリウム(Bifidobacteria)によって必要とされるタンパク質分解活性の生成に影響を与える。
乳酸生成細菌が極めて多数の異なるプロテアーゼを生成することは公知である(例えば、サヴィヨキ(Savijoki)ら、Appl Microbiol Biotechnol (2006年) 71:394−406頁を参照)。トリペプチドIPP、VPPおよびLPPを関連タンパク質源から生成するには、多数のこれらプロテアーゼ間での複合体相互作用が求められる。さらに、様々なプロテアーゼが大量に存在する必要がある。徐々に酸性化する乳タンパク質を含有する発酵ブロスによる関連カゼイン画分の凝固は、これらトリペプチドのカゼインからの放出および量的回収をさらに複雑にする。これらの複雑さ故に、特定の所望のトリペプチドが増加され、再生可能な量で形成されるような方法で発酵を誘導することは極めて困難である。発酵プロセスが、例えば、風味の形成、粘度、口腔内感覚を改善する多糖類、ならびに望ましいプロバイオティクスまたはプレバイオティクス成分の生成等の他の目的を同様に果たすことができるという事実もまた、考慮される必要がある。かかる追加的な目標が役割を果たす場合、ACE阻害トリペプチドのレベルを最大化するという観点での発酵プロセスの最適化はさらにより複雑なものになる。
本発明者らは、現在、意外なことに、微生物発酵工程とプロリン特異的エンドプロテアーゼによる乳タンパク質の処理の組み合わせが、最終発酵製品中でのカルボキシ末端プロリンを有する選択されるACE阻害トリペプチドの含量の増加をもたらしうることを見出している。本発明者らは、タンパク質分解能が高いことが公知である培養物を使用して発酵された製品でさえ、より高いレベルのトリペプチドIPP、VPPおよびLPPに達するようにさらに改善できることを見出している。さらに本発明者らは、本発明による方法が、より再現性のある方法で、かかるより高いトリペプチドレベルにつながることを見出している。さらに、所望のACE阻害トリペプチドを生成しないが風味の形成またはプロバイオティクスの品質故に選択された培養物を使用することで、本発明の方法は大量のACE阻害トリペプチドを有する製品をもたらした。この方法では、例えば、風味、多糖類またはプレバイオティクスもしくはプロバイオティクスの生成のために最適化された発酵プロセスの利点は、大量の選択されるACE阻害トリペプチドの生成能と組み合わせることができる。したがって、本発明により、発酵乳の商業生産者が、本発明による酵素工程のそれらプロセスへの単なる組み込みにより、増加され、正規化された量のIPP、VPPおよびLPP等の生理活性トリペプチドを含有する製品を生産することが可能になる。
「ペプチド」または「オリゴペプチド」は、本明細書中でペプチド結合によって連結された少なくとも2つのアミノ酸の鎖として定義される。用語「ペプチド」および「オリゴペプチド」は、同義(一般に認識されるように)と考えられ、各用語は、文脈によって必要な場合、同義的に使用することができる。「生理活性」ペプチドは、哺乳動物における生理的プロセスを調節可能なペプチドを意味する。本発明の方法で生成される好ましい生理活性ペプチドは、プロリンをそのカルボキシ末端に有するペプチドである。他の好ましい生理活性ペプチドは血圧降下効果を有するペプチドである。最も好ましい生理活性ペプチドはIPP、LPPおよびVPPである。
「ポリペプチド」は、本明細書中で30個より多いアミノ酸残基を含む鎖として定義される。本明細書中のすべての(オリゴ)ペプチドおよびポリペプチドの式または配列は、一般的な慣習に従って、左から右に、アミノ末端からカルボキシ末端の方向で記される。本明細書中で使用されるアミノ酸の一文字表記は、当該分野で一般に公知であり、サンブルック(Sambrook)ら(「Molecular Cloning:A Laboratory Manual」、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory、コールドスプリングハーバーラボラトリープレス(Cold Spring Harbor Laboratory Press)(Cold Spring Harbor,NY)、1989年)に認めることができる。
乳タンパク質は、ミルク、スキムミルク、無脂肪乳、バターミルク、ヨーグルト、水に所望のタンパク質濃度まで溶解された乳粉末、さらに水に所望のタンパク質濃度まで溶解されたカゼイン塩、場合によりホエータンパク質を含有するカゼイン塩の溶液または糖マクロペプチド(GMP)の溶液あるいはこれらの成分の組み合わせが、用語、乳タンパク質によって網羅されることは理解される必要がある。
発酵乳製品は、乳酸菌またはビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)またはかかる株の組み合わせによって発酵される乳タンパク質を意味する。
加水分解物(またはタンパク質加水分解物または加水分解タンパク質)はタンパク質の酵素加水分解によって形成される産物を意味し、酸可溶性加水分解物はタンパク質加水分解物の可溶性画分(それはまた本明細書中で可溶性ペプチドを含有する組成物または複数の可溶性ペプチドを含む組成物として記載される)、またはタンパク質加水分解物と酸可溶性加水分解物の混合物である。したがって、加水分解物は、ペプチドを含有する組成物、およびこの場合ではトリペプチドIPPおよびVPPを含有する組成物である。
生理活性ペプチド組成物は、本発明の方法により、したがってタンパク質の酵素加水分解および発酵の後に形成される産物を意味する。酸可溶性生理活性ペプチド組成物は生理活性ペプチド組成物の可溶性画分(それはまた本明細書中で可溶性生理活性ペプチドを含有する組成物または複数の可溶性生理活性ペプチドを含む組成物として記載される)、または生理活性ペプチド組成物と酸可溶性生理活性ペプチド組成物の混合物である。
IUBMBに由来するすべての酵素の分類および命名における国際的に認められているスキームは、プロテアーゼを含む。プロテアーゼEC番号に対して更新されたIUBMBテキストは、インターネットサイト:http://www.chem.qmw/ac.uk/iubmb/enzyme/EC3/4/11/で見ることができる。このシステムでは、酵素は、単一の反応を触媒するという事実によって規定される。これは、数種の異なるタンパク質がすべて同じ酵素として説明され、かつ2つ以上の反応を触媒するタンパク質は2種以上の酵素として扱われるという重要な意味を有する。システムはプロテアーゼをエンド−およびエキソプロテアーゼに分類する。用語「プロテアーゼ」、「プロテイナーゼ」および「ペプチダーゼ」は、本明細書中で同義的に使用される。エンドプロテアーゼは、内部ペプチド結合を加水分解する酵素であり、エキソプロテアーゼは、末端α−アミノ基に隣接するペプチド結合を加水分解するか(「アミノペプチダーゼ」)、または末端カルボキシル基と末端から2番目のアミノ酸との間のペプチド結合を加水分解する(「カルボキシペプチダーゼ」)。エンドプロテアーゼは、触媒機序に基づくサブサブクラスに分類される。セリンエンドプロテアーゼ(EC 3.4.21)、システインエンドプロテアーゼ(EC 3.4.22)、アスパラギン酸エンドプロテアーゼ(EC 3.4.23)、メタロエンドプロテアーゼ(EC 3.4.24)およびスレオニンエンドプロテアーゼ(EC 3.4.25)のサブサブクラスがある。
アミノペプチダーゼはECクラス3.4.11に属する。亜分類は相対効率に基づくものであり、それを用いて20の異なるアミノ酸が除去される。狭い特異性および広い特異性を有するアミノペプチダーゼを区別することができる。アミノペプチダーゼは、単一のアミノ末端アミノ酸をタンパク質およびペプチド基質から連続的に除去することができる。狭い特異性を有するアミノペプチダーゼは、基質ペプチドから遊離されうるP1位置でのアミノ酸残基のタイプに強い特異性を示す。広い特異性のアミノペプチダーゼは、N末端またはP1位置で異なるアミノ酸の範囲を放出することができる(シェヒター(Schechter)の命名法:シェヒター(Schechter) I.およびベルガー(Berger) A.1967年、Biochem Biophys Res Commun 27:157−162頁による)。カルボキシペプチダーゼは、単一のカルボキシ末端アミノ酸をタンパク質およびペプチド基質から連続的に除去することができる。エンドプロテアーゼにおける状況に対応し、カルボキシペプチダーゼは、触媒機序に基づいてサブサブクラスに分類される。セリンタイプカルボキシペプチダーゼはクラスEC 3.4.16、メタロカルボキシペプチダーゼはクラスEC 3.4.17、およびシステインタイプカルボキシペプチダーゼはクラスEC 3.4.18に属する。プロテアーゼにおけるECリストの値は、様々なタイプのプロテアーゼ活性に対して標準用語集を提供することや固有の同定番号および各プロテアーゼに対する推奨名称を割り付けるためにある。
国際公開第02/45524号パンフレットは、黒色アスペルギルス(Aspergillus niger)から得ることができるプロリン特異的エンドプロテアーゼを説明しており、それは有利には本発明で使用することができる。黒色アスペルギルス(A.niger)由来の酵素は、プロリンのカルボキシ末端で選択的に切断するが、ヒドロキシプロリンのカルボキシ末端でも切断することができ、より低い効率ではあるが、アラニンのカルボキシ末端でも切断することができる。国際公開第2002/45524号パンフレットはまた、この黒色アスペルギルス(A.niger)由来酵素と他の微生物または哺乳動物供給源由来の公知のプロリルオリゴペプチダーゼとの間に明らかな相同性がないことを教示している。公知のプロリルオリゴペプチダーゼと対照的に、黒色アスペルギルス(A.niger)酵素は酸性の最適pHを有する。分泌される黒色アスペルギルス(A.niger)酵素は、大部分の細胞質プロリルオリゴペプチダーゼがグループ分けされるS9ファミリーよりむしろ、セリンペプチダーゼのS28ファミリーのメンバーであるようである(ローリングス(Rawlings) N.D.およびBarrett A.J.;Biochim.Biophys.Acta 1298(1996年) 1−3頁)。好ましくは、黒色アスペルギルス(A.niger)由来の酵素調製物は純粋な酵素として使用される。結果として、非常に高いプロリン含量によって特徴付けられる高度に濃縮されたACE阻害ペプチド混合物が得られる。
・プロリン特異的エンドプロテアーゼ活性を有し、かつ
・国際公開第2002/45523号パンフレットの配列番号2に対して同一のアミノ酸配列または国際公開第2002/45523号パンフレットの配列番号2のアミノ酸1〜526と少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を有する
酵素が本発明に特に適する。アミノ酸配列間の同一性のレベルは国際公開第2002/45523号パンフレット、15頁に記載の方法によって判定される。
発酵工程と併用することのない、乳タンパク質からトリペプチドIPPおよびVPPを得るためのアミノペプチダーゼの使用については、国際公開第2006/005757号パンフレットに説明されている。国際公開第2006/005757号パンフレットは、アミノペプチダーゼ活性を組み込んだ3種の商用酵素調製物、すなわちフレーバーザイム(Flavourzyme)(登録商標)1000L(Novozymes,Denmark)、スミザイム(Sumizyme)(登録商標)FP(新日本化学工業(Shin Nihon),日本)およびコロラーゼ(Corolase)(登録商標)LAP Ch.:4123(ABエンザイムス(AB Enzymes)(UK))を説明している。3種の酵素調製物のすべてがアスペルギルス(Aspergillus)種から得られる。フレーバーザイム(登録商標)およびスミザイム(登録商標)FPの双方は、非特異的な細胞内タンパク質分解およびカルボキシペプチド分解(carboxypeptidolytic)活性以外のいくつかのアミノペプチド分解酵素活性を有する複合酵素調製物であることが公知である。コロラーゼ(登録商標)LAPは、比較的純粋なクローン化され、過剰発現されたロイシンアミノペプチダーゼ活性を示す。プロリン特異的エンドプロテアーゼと組み合わされ、3種すべての上記酵素調製物は、カゼイン塩からの血圧降下トリペプチドIPPおよびVPPの収率を最大化することができる。しかし、アミノペプチド分解活性に比較的富む他の酵素調製物、例えばペプチダーゼ(Peptidase)(商標)436P−P436Pおよびペプチダーゼ433P−P433P等の酵素調製物(双方ともバイオキャタリスツ(Biocatalysts)(Wales,UK)から市販されている)を同様に使用してもよい。さらに、黒色アスペルギルス(A.niger)由来の、クローン化され、過剰発現されたアミノペプチダーゼ「ZBH」(国際公開第02/068623号パンフレットに記載の配列番号57を参照、本明細書中で「ZBH」と称される)。アミノペプチダーゼはまたコウジカビ(Aspergilli)以外の微生物によって生成されることが知られており、例えば桿菌(Bacilli)および乳酸菌(Lactobacilli)は様々なアミノペプチダーゼを生成することが公知である。しかし、本発明による方法においては、コウジカビ(Aspergilli)から得られるアミノペプチダーゼが好ましい。
有効なACE阻害ペプチドは、ペプチドのカルボキシ末端に1つもしくは2つのプロリン残基を組み込む可能性が高い。同じ構造的要件はまた、タンパク質分解性分解に対する耐性が増大したペプチドをもたらし、それによりインタクトなペプチドが最終的に血流中に入ることになる確率が増加する。少なくとも単一であるが、好ましくは複数のプロリン残基をカルボキシ末端に有するペプチドを得るため、プロリン残基のカルボキシ末端側で切断可能なプロテアーゼの使用が興味深い選択肢をもたらす。いわゆるプロリルオリゴペプチダーゼ(EC 3.4.21.26)は、プロリン残基のカルボキシル側でペプチドを選択的に切断するという独特の可能性を有する。哺乳動物ならびに微生物供給源から単離された、全ての十分特徴付けられたプロリン特異的プロテアーゼにおいて、酵素の活性部位から大きいペプチドを排除する、独特のペプチダーゼドメインが同定されている。実際は、これらの酵素は、約30より多いアミノ酸残基を含むペプチドを分解することができないので、これらの酵素は、現在、「プロリルオリゴペプチダーゼ」と呼ばれている(ファロップ(Fulop)ら、セルCell、第94巻、161〜170頁、1998年7月24日)。結果として、これらのプロリルオリゴペプチダーゼは、それらがそれらの加水分解作用を示すことができる前に、他のエンドプロテアーゼでの広範囲の前加水分解を必要とする。しかしながら、国際公開第02/45523号パンフレットに記載されているように、プロリルオリゴペプチダーゼとかかる別のエンドプロテアーゼとの組み合わせであっても、カルボキシ末端プロリン残基を有する有意に増強された割合のペプチドによって特徴付けられる加水分解物を生じる。このために、かかる加水分解物または発酵加水分解物は、インビトロACE阻害効果ならびに胃腸内タンパク質分解に対する改善された抵抗性を有するペプチドの単離のための、優れた出発点を形成する。これらの可能性に利点があるにもかかわらず、本発明者らは、トリペプチドIPP、VPPおよびLPPの選択的生成は言うまでもなくACE阻害ペプチドの回収のための発酵プロセスに関連したプロリン特異的プロテアーゼの使用を特定する用途について認識していない。
発酵工程においては、多数の工業利用または市販されている乳業用スターター培養物およびいわゆる付加培養物は、本方法に従って使用してもよい。乳酸菌として、乳酸桿菌(Lactobacillus)属のメンバー、例えばラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)およびラクトバチルス・デルブリュッキ亜種ブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii ssp.bulgaricus)、ラクトコッカス(Lactococcus)、例えばラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)、リューコノストック(Leuconostoc)、ペディオコッカス(Pediococcus)および連鎖球菌(Streptococcus)が挙げられる。ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)および乳酸桿菌(Lactobacillus)の種由来の微生物は、しばしばプロバイオティクス調製物中に使用される。乳酸菌のタンパク質分解系は、細胞壁に結合されたエンドプロテイナーゼおよび多数の異なる細胞内ペプチダーゼ、例えばエンドペプチダーゼ、および多種多様なアミノペプチダーゼ、例えばジ−およびトリ−アミノペプチダーゼからなる。かなり意外なことであるが、乳酸菌はカルボキシペプチダーゼを利用しない。乳酸菌(Lactobacilli)のタンパク質分解系は、乳発酵中でスターターとして使用される場合、乳タンパク質を加水分解し、それにより培地中で数種のペプチドを形成する。これらペプチド全部が細菌の成長のために細菌によって使用されるのではないことから、これらペプチドの一部は発酵の間に蓄積する。しかし、タンパク質分解能が様々な乳酸菌の中で非常に様々であることは公知である(例えば、山本(Yamamoto)ら、Biosci.Biotech.Biochem.、58(4)、776−778頁、1994年を参照)。エメンタールチーズ等の伝統的な発酵乳製品の製造における乳業用スターターとして広く使用されるラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)が比較的高いタンパク質分解活性を有することは公知である。先行技術とは、多数の高度にタンパク質分解性のラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)株、例えば、CNRZ 244(Centre National de recherches Zootechniques(Jouy−en−Josas,France))、LKB−16H(米国特許第6890529号明細書)、R211およびR389(ローゼルインスティチュート(Institut Rosell)(Montreal,Canada))、CM4(米国特許第6534304号明細書)、JCM 1006およびJCM 1004(微生物材料開発室(Japanese Collection of Microorganisms)(埼玉、日本))、CHCC637およびCHCC641(Chr.Hansen Culture Collection(Horsholm,Denmark))を指す。許容され得るレベルのACE阻害ペプチドを得るため、極めて高いタンパク質分解活性を有するラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)株が必要とされうる。多くの出版物において、かかる株に対するスクリーニングについて報告がなされている。最もよく知られたACE阻害ペプチドであるVal−Pro−Pro(VPP)、Leu−Pro−Pro(LPP)およびIle−Pro−Pro(IPP)は、かかる高度にタンパク質分解性のラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)株で発酵されたミルク中で同定されている。さらに、かかる乳酸菌による免疫調節性の抗酸化および抗微生物ペプチドの生成は、胃腸粘膜表面上の健康な微生物叢の維持に対するかかる乳酸菌の役割ととともに説明されている(http://en.wikipedia.org/wiki/Lactic acid bacteria)。乳酸桿菌(Lactobacillus)およびビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)の属に属する細菌はまたプロバイオティクスとして使用される。プロバイオティクスは、「適切な量で投与される場合、宿主上で健康上の利益を与える生存微生物」として定義される。したがって、プロバイオティクス調製物であれば非常に多くの生存微生物を含有する必要がある。本発明による好ましい適用例では、付加される酵素活性は穏やかな熱処理によって不活化される。かかる熱処理が存在する微生物を同様に不活化することになることから、非常に多くの生存乳酸菌(Lactobacilli)を必要とするプロバイオティクス製品または他の製品においては、酵素インキュベーションが微生物発酵前に行われるのが最適であることは明らかである。第一に、乳タンパク質の酵素加水分解は、例えば本願の実施例3に記載の条件下で行われる。次いで、酵素は、例えば120℃の熱交換機で2〜7秒間の穏やかな熱処理によって不活化されるが、この場合にそれは、冷却され、場合によりろ過された液体が、適したプロバイオティクス株の接種を受け、プロバイオティクス製品に必要とされる高力価、典型的には10〜1010コロニー形成単位(CFU)/mlに達しているまで成長できた後である。このアプローチに関するより詳細な情報は本願の実施例5に認めることができる。
乳酸菌が多種多様なプロテアーゼを生成し、また高度にタンパク質分解性の乳酸菌(Lactobacilli)が血圧降下ペプチドの商業的生産のために使用されるが、本発明者らは、プロセスの酵素処理段階の間での、場合によってアミノペプチダーゼと組み合わされたプロリン特異的プロテアーゼの補充により、ACE阻害ペプチドIPP、VPPおよびLPPの収率がさらに上昇することを見出している。特に、限られたタンパク質分解能を有する乳酸菌またはビフィドバクテリウム(Bifidobacteria)が使用される、プロバイオティクス活性の味、テクスチャの生成を目的とした発酵プロセスにおいては、場合によってアミノペプチダーゼと組み合わされたプロリン特異的プロテアーゼの補充の結果、ACE阻害ペプチドのレベルが大幅に高まることになる。本発明の一実施形態では、アミノペプチダーゼがプロリン特異的プロテアーゼと同時に添加され、別の実施形態では、アミノペプチダーゼとのインキュベーションがプロリン特異的プロテアーゼとのインキュベーションとは別に行われる。一般に、アミノペプチダーゼとのインキュベーションよりは、プロリン特異的プロテアーゼとのインキュベーションが先行する。
乳発酵物、および特に最適以下のタンパク質分解活性を有する乳酸菌を使用する乳発酵物は、部分的なタンパク質加水分解の結果として、苦味のある異臭につながりやすい。プロリン特異的プロテアーゼおよびアミノペプチダーゼがかかる苦味のある異臭を最小化するという説明がなされている。したがって、これら酵素の使用は、ACE阻害トリペプチドのレベルを上昇させうるだけでなく、有利にはより苦味の少ない発酵製品を生成することができる。かかる苦味の低減の可能性については、本願の実施例5に記載されうる。
本発明によるプロリン特異的プロテアーゼを使用する利点は、乳タンパク質を含むブロス中で成長する乳酸菌またはビフィドバクテリウム(Bifidobacteria)の発酵と、このブロスとプロリン特異的プロテアーゼとのインキュベーションを組み合わせることによって得ることができる。後者の酵素インキュベーションは、発酵プロセスの前または発酵プロセスの間に行ってもよい。好ましいプロリン特異的エンドプロテアーゼの最適pHが非常に低いことから、酵素インキュベーションは発酵がなされた後であっても、すなわち完全に酸性化されたブロス中または細菌もしくは凝固した乳タンパク質等の不溶性物質が除去されている完全に酸性化されたブロス中で行ってもよい。酵素インキュベーションは、さらに追加的なブロス濃縮工程後に行ってもよい。すべてのかかるプロセスにおいては、酵素インキュベーションは高く正規化されたレベルのACE阻害トリペプチドを生成することができる。本発明による方法は、一般に24時間未満の酵素インキュベーション時間を有し、好ましくはインキュベーション時間は10時間未満、およびより好ましくは4時間未満である。酵素インキュベーションが発酵工程とは別に行われる場合、インキュベーション温度は、一般に30℃〜60℃の間、好ましくは30℃超、より好ましくは40℃超、および最も好ましくは50℃超である。乳酸菌またはビフィドバクテリウム(Bifidobacteria)の培養または発酵時間は、一般に3〜30時間の間、好ましくは6〜16時間の間である。培養または発酵温度は、一般に20〜42℃の間、好ましくは25〜38℃の間である。一般に、発酵の開始時、タンパク質を含有するブロスのpHは6〜7の間である。一般に、発酵の開始時、乳酸菌(またはビフィドバクテリウム(Bifidobacterium))の好ましくは10〜10個の間、より好ましくは10〜10個の間の細胞が、タンパク質を含有するブロス1mlあたりに存在することになる。これらの細菌は通常、最適な乳酸菌(またはビフィドバクテリウム(Bifidobacterium))が接種されたプレインキュベーション培地から得られる。発酵終了時での細胞数は典型的には10〜1010個の細胞/mlである。乳業においては、いわゆる「スターター」培養物は主にミルクの酸性化に関与する。かかるスターター培養物の典型例として、チーズ生成のためのラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)、ならびに伝統的ヨーグルト用のストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)およびラクトバチルス・デルブリュッキ亜種ブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii subsp bulgaricus)が挙げられる。いわゆる「付加」培養物は、乳業において、風味、テクスチャまたはアイの形成等の最終製品に特定の特性を提供するために使用される。後者の培養物の典型例として、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)、プロピオニバクテリウム属の種(Propionibacterium spp.)およびラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)が挙げられる。プロバイオティクス培養物の有名な株として、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)およびビフィズス属の種(Bifidobacterium ssp.)が挙げられる。かかるプロバイオティクス培養物の約10個の生存細胞が日常的に消費されることが推奨されている。
IPPおよびVPPの生成の間、有利にはACE阻害トリペプチドLPPもまた形成される。乳製品のタンパク質配列内に存在する−I−P−P−配列の、好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%、またはさらにより好ましくは少なくとも60%および最も好ましくは少なくとも70%がトリペプチドIPPに変換される。タンパク質配列内に存在する−V−P−P−配列の、好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%、またはさらにより好ましくは少なくとも60%および最も好ましくは少なくとも70%がトリペプチドVPPに変換される。タンパク質配列内に存在する−L−P−P−配列の、好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%、またはさらにより好ましくは少なくとも60%および最も好ましくは少なくとも70%がトリペプチドLPPに変換される。プロリン特異的プロテアーゼは、好ましくはポリペプチドおよびオリゴペプチドのような大きいタンパク質分子を加水分解することができる。
さらに、本発明は、血圧低下活性を有する食品に関すること以外では、健康の改善または疾患の予防および/もしくは治療のためのニュートラシューティカル(nutraceutical)、好ましくは薬剤の製造、あるいは、高い血圧(高血圧症)、心不全、プレ糖尿病または糖尿病、肥満、腎不全、血流循環障害、グルコース耐性障害、あるいはストレスの治療または予防のためのニュートラシューティカル、好ましくは薬剤の製造を目的としたこれらのペプチド組成物の使用に関する。好ましくは、本ペプチド組成物は、栄養補助食品の形態で、ローション、ジェル、もしくはエマルジョンの形態での局所適用を含むパーソナルケア用途の形態で、または食料、飲料、飼料もしくはペットフード成分として使用される。
本発明は、
−酸沈降プロセスによって得られる高血圧症の治療にとって適切であり、乾燥物質に対して15〜30%(w/w)、好ましくは18%超(w/w)、より好ましくは20%超(w/w)のプロリン含量を有するペプチド組成物となるペプチド組成物
−5〜20mg/g VPP(乾燥物質およびタンパク質に対する)、5〜20mg/g IPP(乾燥物質およびタンパク質に対する)および場合により5〜20mg/g LPP(乾燥物質およびタンパク質に対する)を含むペプチド組成物、ならびに
−少なくとも1つのカルボキシ末端でプロリンを含有する15〜50%(乾燥物質重量)ペプチドを含み、かつ少なくとも5mg/g VPP(乾燥物質およびタンパク質に対する)、少なくとも5mg/g IPP(乾燥物質およびタンパク質に対する)および場合により少なくとも5mg/g LPP(乾燥物質およびタンパク質に対する)を含むペプチド組成物
をさらに開示する。
さらに、本発明は、プロリン特異的プロテアーゼを有するタンパク質を5〜38%の加水分解度(DH)まで加水分解することによって生成される、可溶性ペプチドを含む組成物を生成するための方法に関する。本発明によると、大量のトリペプチドIPPおよびVPPを得るための方法は、好ましくは10〜38の間のDH、より好ましくは15〜35の間のDHおよび最も好ましくは20〜30の間のDHで得ることができる。本方法で使用されるタンパク質は、好ましくは乳タンパク質、より好ましくはカゼインまたはカゼイン塩である。ナトリウムは高血圧症において重要な役割を果たすことが公知であるので、ACE阻害ペプチドの生成のための好ましい基質は、これらのタンパク質のナトリウム塩よりむしろ、アンモニア、カルシウム、マグネシウムおよびカリウムである。
有利には、乳タンパク質は本方法において使用される前に発酵されることがなく、酵素処理はプロリン特異的プロテアーゼとアミノペプチダーゼの結合によって行ってもよい。場合により、アミノペプチダーゼは、加水分解タンパク質の不溶性部分の分離後にはじめて添加される。好ましくは、加水分解タンパク質の不溶性部分は、選択されるpH条件下で可溶性部分から分離される。
欧州特許第1231279号明細書では、トリペプチドVPPおよびIPPを乳カゼインから回収するための純粋に酵素的なプロセスが説明される。同出願は、乳カゼインを含有する物質を、配列Val−Pro−Proを有するがこの配列内のこれら以外にはProを全く有しないペプチド、および配列Ile−Pro−Proを有するがこの配列内のこれら以外にはProを全く有しないペプチドからなる群から選択されるいわゆる「中間体ペプチド」を介し、プロテイナーゼおよびペプチダーゼで消化することによってトリペプチドを生成するための方法を権利請求する。欧州特許第1231279号明細書の実施例に記載のように、この方法は2工程プロセスを伴う。第1に、Val−Pro−ProまたはIle−Pro−Proのいずれかを包含する中間体ペプチドが生成される。これは、カゼインを、実施例の1つに記載の適したプロテイナーゼとともに37℃で12時間インキュベートすることによって行われる。次いで、使用されるプロテイナーゼは、この第1の加水分解物を100℃まで3分間加熱することで不活化され、再び冷却後、別の酵素調製物(実際にはエキソタンパク質分解(exoproteolytic)活性を有する調製物)が添加される。この他の酵素調製物とともに37℃でさらに12時間インキュベートした後、トリペプチドVal−Pro−ProおよびIle−Pro−Proの存在を示すことができる。これらACE阻害ペプチドのより高い収率を得るため、欧州特許第1231279号明細書は、エキソタンパク質分解活性への暴露前に中間体ペプチドを精製し、濃縮することをさらに提案する。欧州特許第1231279号明細書はまた、中間体ペプチドを得た後、また中間体ペプチドが手順においてペプチダーゼと接触される前、場合により、例えば5000〜20000rpmで3〜10分間の遠心分離による未反応タンパク質の除去等の様々な操作を行ってもよいことを提案する。したがって、所望のトリペプチドは、工業的にはかなり扱いにくい2工程酵素プロセスにおいて得られる。酵素インキュベーションの各々がpH4.5〜7.0および25〜50℃の温度で12時間も要する場合があることから、この手順が微生物学的観点からも許容されないことは明らかである。25〜50℃の低いインキュベーション温度と組み合わされたこれらの長いインキュベーション時間は、タンパク質を含有する溶液の感染を容易にもたらしうる。したがって、本発明によると、IPPおよびVPP等の生理活性ペプチドが中間体産物の精製を行うことなく生成される。欧州特許第1231279号明細書は、乳タンパク質がプロテイナーゼで消化される場合での中間体ペプチドの形成を説明しており、ここで中間体ペプチドはそれぞれIle−Pro−ProまたはVaI−Pro−Pro配列以外のProを全く有しない。次いで、この中間体ペプチドは別の酵素により、それぞれIPPまたはVPPに変換される。高収率を得るため、この中間体ペプチドは、トリペプチドへの変換前にクロマトグラフィーにより精製される。本発明によると、中間体ペプチドを精製することなく高収率を得ることができる。
国際公開第07/013426号パンフレットは、ACE阻害ペプチドVPP、IPPおよびYPを生成するための2工程プロセスを説明する。このアプローチでは、ACE阻害ペプチドの収率が、乳酸菌による発酵プロセスを酵素インキュベーションと組み合わせることによって最大化される。この酵素インキュベーションは、発酵プロセスの前または発酵プロセスと同時に実施してもよい。最適な酵素は、パパイン、ブロメライン、またはパパインもしくはブロメラインと類似の活性を有するプロテアーゼである。基本的にこれらすべての酵素はIUBMBクラスEC 3.4.22に属するシステインプロテアーゼと称される。この特定のクラスの酵素とのインキュベーションの目的は、乳タンパク質の分解を改善し、それによりACE阻害ペプチドの形成を乳酸菌(Lactobacilli)によって生成されるプロテアーゼによって容易にすることである。IPPおよびVPPの最終的収率を比較することにより、これらのシステインエンドプロテアーゼは多数の他の市販酵素の中から選択された。システインエンドプロテアーゼは広範な切断特異性が公知であるが、C末端(「後方」)のアミノ酸残基Arg、Lys、PheおよびTyrを切断するという選択性を有する(アドラー−ニッセン(Adler−Nissen) J. 「In Enzymatic Hydrolysis of Food Proteins」、第1版;アドラー−ニッセン(Adler−Nissen) J.編、エルスビア・アプライド・サイエンス・パブリッシャー(Elsevier Appl.Sci Publ.)(London,UK)、1986年を参照)。注意すべきことは、本発明によるプロリン特異的プロテアーゼと異なり、これらのシステインエンドプロテアーゼが有するタンパク質またはペプチドのプロリン残基のC末端を切断する能力は、全くないかまたは極くわずかにすぎないことである。逆もまた同じく、システインエンドプロテアーゼと異なり、本発明によるプロリン特異的プロテアーゼが示す、Arg、Lys、PheおよびTyr残基のC末端を切断するという選択性は、極くわずかである。したがって、本発明による方法は、中性最適pHを有するプロリン特異的オリゴペプチダーゼであっても酸性最適pHを有するプロリン特異的エンドプロテアーゼであっても、プロリン特異的エンド型活性の活性に依存する。いずれの場合であっても、さらにアミノペプチダーゼを使用してもよい。黒色アスペルギルス(A.niger)由来のプロリン特異的エンドプロテアーゼの最適pHは約4.3である。この低い最適pHのために、牛乳カゼイン塩を黒色アスペルギルス(A.niger)由来プロリルエンドプロテアーゼとともにインキュベートすることは自明ではない。一方では、牛乳カゼイン塩は、pHが6.0未満に低下する場合、沈殿することになり、すなわちプロリン特異的エンドプロテアーゼがその完全な活性を発揮することができるpH値では、基質が沈殿されかつ容易に接近できず、他方では、6.0より大きいpH値では、プロリン特異的エンドプロテアーゼは部分的に不安定化され、わずかな活性があるにすぎないことを想定することができる。ここで本発明者らは、双方のむしろ望ましくない条件下で、黒色アスペルギルス(A.niger)由来のプロリン特異的エンドプロテアーゼとのインキュベーションが数種のACE阻害ペプチドまたはそれらの前駆体を生じうることを示す。本発明によると、ACE阻害トリペプチドIPPおよびLPPはそれぞれ、カゼイン中に存在する理論量の少なくとも30%、有利には少なくとも40%、より有利には少なくとも50%に対応する収量で生成される。本発明の別の態様は、ACE阻害ペプチドを乳タンパク質加水分解物から濃縮するための方法である。国際公開第07/013426号パンフレットに従ったアプローチと異なり、かかる乳タンパク質加水分解物は、好ましくは非システインプロテアーゼ、より好ましくはセリンプロテアーゼ、さらにより好ましくはプロリン特異的プロテアーゼによって加水分解される。システインエンドペプチダーゼは、IUBMBクラスEC 3.4.22に属するすべての酵素を組み込むことが理解されている。本発明によるプロリン特異的プロテアーゼによって加水分解される乳タンパク質の部分は、選択されるpH条件下で沈殿することになる。濃縮方法は、部分的に沈殿された加水分解タンパク質を発酵ブロスから除去し、それにより沈殿タンパク質を溶液中のACE阻害ペプチドから分離する工程を含む。ACE阻害ペプチドの効率的かつ便利な回収のさらなる実施形態では、形成されるカゼイン沈殿物を部分的に溶解するため、発酵ブロスのpH値はより中性のpH値に調整され、これによってプロリン特異的プロテアーゼの接近性が改善され、場合により添加されるアミノペプチダーゼの有効性が増大する。本願中に記載されているように、両方の効果がACE阻害トリペプチドの収量の増加につながる。高すぎる血圧を患う個体を治療するために得られる発酵液をさらに最適化するため、その後の処理の間、残存するあらゆる未溶解物質を除去し、その後のナノろ過等の処理により、単糖類、乳酸、ナトリウムおよび塩化物等の小分子を除去することができる。所望の場合、ナノろ過の保持液に、カルシウム、カリウムおよびマグネシウム等の血圧低下イオンを添加してもよい。
酵素処理と組み合わされた発酵という同じ原則が、ホエータンパク質からカゼインカードを分離するためのチーズ製造プロセスにおいて使用され、チーズ製造プロセスの使用におけるチーズ熟成はアスパラギン酸エンドプロテアーゼ(EC 3.4.23)のみからなる。この酵素クラスは、キモシンのような周知のチーズ製造酵素および哺乳動物ペプシンのような様々なペプシン、ならびにアスペルギロペプシンおよびムコールペプシンのような様々な微生物ペプシンを組み込む。本願では、チーズ製造プロセスまたはチーズ製造におけるカード生成は本発明の方法によって含められないように規定される。
好ましくは、プロリン特異的プロテアーゼには混入しているエンドプロテアーゼ活性が存在しない。場合により、アミノペプチド分解活性がプロリン特異的プロテアーゼとともに存在し、VPPおよびIPPをほぼ100%の収率で生成することができる。好ましくは、アミノペプチド分解活性にも混入しているエンドプロテアーゼ活性が存在しない。
本発明は、食品としてまたはかかる食品中で所望のレベルのACE阻害活性を得るために食品に添加することができる濃縮物として使用するための、加水分解物またはペプチドを含有する組成物に関する。あるいは、本発明による加水分解物またはペプチドを含有する組成物は、ニュートラシューティカル、好ましくは薬剤として使用される。本発明はまた、ニュートラシューティカル、好ましくは薬剤としての本加水分解物またはペプチドを含有する組成物の使用、ニュートラシューティカル、好ましくは薬剤を製造するための本加水分解物またはペプチドを含有する組成物の使用、健康の改善または疾患の予防および/もしくは治療のための本加水分解物またはペプチドを含有する組成物の使用、ニュートラシューティカル、好ましくは薬剤を製造するための本加水分解物またはペプチドを含有する組成物の使用、高血圧症および心不全等の心臓血管疾患の治療または予防のための本加水分解物またはペプチドを含有する組成物の使用、腎不全の治療または予防のための本加水分解物またはペプチドを含有する組成物の使用、栄養補助食品の形態である本加水分解物またはペプチドを含有する組成物の使用、ストレスの影響に対する治療処置用の機能性食品を製造するための本加水分解物またはペプチドを含有する組成物の使用、局所適用、好ましくはパーソナルケア用途における本加水分解物またはペプチドを含有する組成物の使用、ならびに飼料およびペットフードにおける本加水分解物またはペプチドを含有する組成物の使用に関する。
さらに、本発明は、1型および2型糖尿病の治療と、2型糖尿病にしばしば随伴する心臓血管合併症、プレ糖尿病またはグルコース耐性障害(IGT)を有する個体の予防の方法であって、かかる治療を必要とする被験体に本加水分解物またはペプチドを含有する組成物を投与することを含む、方法、ならびに、高血圧症または心不全を患う人々の治療あるいはその予防の方法であって、かかる治療を必要とする被験体に本加水分解物またはペプチドを含有する組成物を投与し、それにより血圧低下効果を示すことを含む、方法に関する。ACEの阻害は、血管収縮の低下、血管拡張の促進、ナトリウムおよび水の排出の改善をもたらし、次いで末梢血管の抵抗性および血圧の低下、局所的血流の改善につながる。したがって、ペプチドを含む本生理活性ペプチドは、限定はされないが、高血圧症、心不全、狭心症、心筋梗塞、脳卒中、末梢動脈閉塞疾患、アテローム硬化症、腎症、腎不全、勃起機能障害、内皮機能障害、左室肥大、糖尿病性血管障害、体液鬱滞、および高アルドステロン症を含む、ACE阻害による影響を受けうる疾患の予防および治療に特に有効である。
ストレス関連疾患および身体に対するストレスの負の効果が多くの人々に対して大きな影響を与えることは一般に認められている。近年では、ストレスの効果および様々な疾患および症状の様々な発生に対するその寄与については医学界および科学界においてより広い支持を得ている。消費者は、現在これらの潜在的課題をますます認識しつつあり、彼らの健康に対してストレスが与える可能性のある負の影響を低減または予防することにますます関心を抱くようになっている。したがって、身体でのストレスの効果への対処を補助する上での使用に適した食品またはその中に組み込まれうる成分を提供することが本発明のさらなる目的である。例えば身体でのストレスの負の効果への対処を補助するといった健康上の利益を提供する、本加水分解物またはペプチドを含有する組成物を含む食品を提供することがさらなる目的である。
用語、ニュートラシューティカルは、本明細書中で使用される場合、栄養学および薬学分野の用途の双方で有用性があることを意味する。したがって、新規ニュートラシューティカル組成物は、食料および飲料に対する栄養補給物として、また、カプセル剤もしくは錠剤等の固体製剤、または溶液もしくは懸濁液等の液体製剤でありうる、経腸または非経口適用における医薬製剤または薬剤としての用途を見出すことができる。上記から明らかになるように、用語、ニュートラシューティカル組成物はまた、本加水分解物またはペプチドを含有する組成物および場合により炭水化物ならびに上記の活性成分を含む栄養補給物組成物、例えば栄養補助食品を含む食料および飲料を含む。
用語、栄養補助食品は、本明細書中で使用される場合、食餌に栄養補給することが意図された「食餌成分」を含有する、経口摂取される製品を意味する。これら製品中の「食餌成分」は、ビタミン、ミネラル、ハーブもしくは他の植物、アミノ酸、ならびに酵素、器官組織、腺、および代謝産物等の物質を含んでもよい。栄養補助食品はまた、抽出物または濃縮物であってもよく、かつ錠剤、カプセル剤、軟質ゲル、ジェルキャップ、液体、または散剤等の多数の形態で見出すことができる。それらはまた、他の形態、例えばバーで存在しうるが、そうである場合、栄養補助食品のラベル上の情報は、一般に、製品を従来の食品としては表示せず、単独で食事もしくは食餌となる品目としても表示しない。
マルチビタミンおよびミネラル栄養補給物を本発明のニュートラシューティカル組成物に添加することで、一部の食餌において欠乏しているかまたは比較的低いことが公知である必須栄養素の十分な量を得ることができる。マルチビタミンおよびミネラル栄養補給物はまた、糖尿病において認められることがある生活スタイルおよび共通の不適切な食事パターンに起因する栄養損失および欠乏に対する疾患の予防および保護にとって有用でありうる。さらに、酸化ストレスはインスリン抵抗性の発生に関与している。反応性酸素種は、インスリン受容体シグナル伝達カスケードの阻害により、インスリン刺激性グルコース取り込みを阻害することができる。α−トコフェロール(ビタミンE)、アスコルビン酸(ビタミンC)等の抗酸化剤による酸化ストレスの制御は糖尿病の治療において有用でありうる。したがって、マルチビタミン栄養補給物の摂取が上記活性物質に添加されることで、バランスのよい栄養を維持することができる。
さらに、本加水分解物またはペプチドを含有する組成物とマグネシウム(Mg2+)、カルシウム(Ca2+)および/またはカリウム(K)等のミネラルとの組み合わせは、健康の改善、ならびに限定はされないが、心臓血管疾患および糖尿病を含む疾患の予防および/または治療のために使用することができる。
本発明の好ましい態様では、本発明のニュートラシューティカル組成物は、本加水分解物またはペプチドを含有する組成物を含有する。IPPおよびVPPの双方は、適切には本発明による組成物中に、投与されるべき被験体の体重1kgあたり約0.001g〜体重1kgあたり約1gの1日投与量を提供する量で存在する。食料または飲料はそれぞれ、適切には一回あたり約0.05g〜一回あたり約50gのIPPおよびVPPを含有する。ニュートラシューティカル組成物が医薬製剤である場合、かかる製剤はそれぞれ、IPPおよびVPPを約0.001g〜約1g/用量単位(例えばカプセル剤もしくは錠剤)、または液体製剤の約0.035g/1日投与量〜約70g/1日投与量の量で含有することができる。本加水分解物またはペプチドを含有する組成物は、適切には、本発明による組成物中に、投与されるべき被験体の体重1kgあたり約0.01g〜体重1kgあたり約3gの1日投与量で提供する量で存在する。食料または飲料は、適切には生理活性ペプチドを一回あたり約0.1g〜一回あたり約100g含有する。ニュートラシューティカル組成物が医薬製剤である場合、かかる製剤は、加水分解物またはペプチドを含有する組成物を、約0.01g〜約5g/用量単位(例えばカプセル剤もしくは錠剤)、または液体製剤には約0.7g/1日投与量〜約210g/1日投与量の量で含有することができる。
本発明のさらに別の好ましい態様では、組成物は上で規定されるような本ペプチド、および場合により炭水化物を含む。炭水化物は、適切には、本発明による組成物中に、投与されるべき被験体の体重1kgあたり約0.01g〜体重1kgあたり約7gの1日投与量で提供する量で存在する。食料または飲料は、適切には炭水化物を一回あたり約0.5g〜一回あたり約200g含有する。ニュートラシューティカル組成物が医薬製剤である場合、かかる製剤は、炭水化物を、約0.05g〜約10g/用量単位(例えばカプセル剤もしくは錠剤)、または液体製剤には約0.7g/1日投与量〜約490g/1日投与量の量で含有することができる。
(70kgの個人に対する)用量範囲
VPPおよびIPP:0.005〜70g/日(各々)
生理活性ペプチド組成物:0.07〜210g/日
非加水分解タンパク質:0.07〜210g/日
炭水化物:0.1〜490g/日
食用物質を提供し、またその使用により、それを消費する被験体に健康上の利益を提供できることが本発明の目的である。さらに、便宜的に単離された形態で摂取するかまたは食品中に組み込むことができるかかる食用物質を提供することも本発明の目的である。
体重コントロールプログラムにおける使用に適切である、食品またはその中に組み込むことができる成分を提供することが本発明のさらなる目的である。
例えばACE阻害を通じた心臓血管の健康の維持を補助するのに適した食品またはその中に組み込むことができる成分を提供することが本発明のさらなる目的である。
許容され得る安定性および/または官能受容特性、特においしさ、例えば苦味がないか、または許容され得るレベルである食品またはその中に組み込むことができる成分を提供することが本発明のさらなる目的である。
健康上の利益、例えば肥満の防止/体重コントロールの補助および/または心臓血管の健康の維持の補助をもたらす高濃度の成分を有する食品を提供することがさらなる目的である。
意外なことに、これらの目的の1つ以上は、本発明に従い、消費時に健康上の利益を提供する食品の調製のために本加水分解物またはペプチドを含有する組成物を使用することによって達成される。
第1の態様によると、本発明は、肥満の防止または体重コントロールを目的とした機能性食品の製造のため、本加水分解物またはペプチドを含有する組成物の使用を提供する。
第2の態様によると、本発明は、心臓血管の健康維持を目的とした機能性食品の製造のため、本加水分解物またはペプチドを含有する組成物の使用を提供する。
本発明によると、心臓血管の健康維持がアンジオテンシン変換(ACE)酵素の阻害および/または血液グルコースレベルの制御を含むことは特に好ましい。
第3の態様によると、本発明は、消費者に、肥満の防止、体重コントロールおよび心臓血管の健康維持から選択される健康上の利益を提供することができ、かつ本加水分解物またはペプチドを含有する組成物を含む機能性食品を提供する。
本発明による加水分解物またはペプチドを含有する組成物のさらなる利点は、本加水分解物またはペプチドを含有する組成物が食品に便宜的に組み込まれることで、機能性食品がその安定性および/または官能受容特性に許容できないほどに作用することなく生成することができる点である。
本発明による「健康上の利益のある作用物質(health benefit agent)」は、健康上の利益を提供する物質であり、それは摂取される場合、健康の局面に対して正の効果を有するかまたは良好な健康の局面の維持を補助し、ここで良好な健康のこれら局面は肥満の防止、体重コントロールおよび心臓血管の健康維持である。「健康上の利益」は、健康の局面に対して正の効果を有するかまたは良好な健康の局面の維持を補助することを意味する。
本発明による「機能性食品」は、ヒトの消費にとって適した(疑いのある(doubt)飲料の回避のためを含む)食品として定義され、ここで本発明の加水分解物またはペプチドを含有する組成物は、食品の消費者に対する顕著な健康上の利益が得られるように、有効量で成分として使用される。
用語「含む(comprising)」は、本明細書中で使用される場合、後述されるいずれの要素に限定するものでなく、機能的重要性が大きいまたは小さい不特定の要素を包含することを意味する。換言すれば、列挙される工程、要素または選択肢が網羅的である必要はない。用語「含む(including)」または「有する(having)」が使用される場合には常に、これらの用語は、上で定義されるような「含む(comprising)」に相当することを意味する。
本発明の方法の製品は、そのままで、または場合により乾燥後でのニュートラシューティカル(neutraceutical)もしくは栄養製品の成分として使用してもよい。
本発明の別の態様に対し、本方法の製品はさらに濃縮または精製することができる。製品は、例えば徐々に酸性化され、4.5まで、もしくは少なくとも5.0未満までのpHの低下が実現されうる。このpH値では、カゼイン塩等のタンパク質基質由来のすべての大きいペプチドは沈殿し、より小さいペプチドのみが溶液中に残存することになる。好ましくは、できるだけ多数のタンパク質および大きいペプチドが沈殿するように、酸性混合物は低温で数時間保持される。沈殿したペプチドおよびタンパク質を、傾瀉またはろ過工程または低速(すなわち5000rpm未満)遠心分離によって容易に除去することができることから、水性相は存在するタンパク質の量に対して高い割合の生理活性ペプチドを含有する。ケルダールデータによると、80〜70%のタンパク質が低速遠心分離工程によって除去され、これは生理活性ペプチドの4倍〜5倍精製を示唆する。場合により、精製はそれに続く限外ろ過工程によってさらに改善することができる。
ニュートラシューティカル用途ならびに食品および飲料用途においては、本発明の製品は有利に使用される。生理活性ペプチド、その酸可溶性画分ならびにその混合物は、ニュートラシューティカル用途、食料用途または飲料において使用してもよい。好ましくは、酸可溶性生理活性ペプチドが、活性ペプチドが高い含量で存在することから、ニュートラシューティカル用途、食品用途または飲料において使用される。
発酵プロセスの間に形成される沈殿物を除去するための傾瀉、ろ過または低速遠心分離の後、生理活性ペプチドを含有する上清を回収することができる。その後の蒸発、場合により追加的なろ過工程とその後のスプレー乾燥工程と組み合わせることで、高い生理活性および良好な水溶性を有する食品グレードのペーストまたは散剤を得るための経済的な経路が生じることになる。
追加的な濃縮工程の前または後のいずれかに得ることができる生理活性ペプチドは、そのままで使用するか、または定期的に広く消費される食品への組み込みに使用してもよい。かかる製品の例として、マーガリン、スプレッド、バターもしくはヨーグルトもしくはミルクもしくはホエーを含有する飲料等の様々な乳製品、好ましくはヨーグルトおよびミルク等のヨーグルトもしくはミルクをベースとする製品が挙げられる。また、果実飲料もしくは大豆飲料もしくはさらにミネラルウォーターもしくはショット等の他の飲料においては、本発明の生理活性ペプチドを使用してもよい。別の選択肢が、乾燥果物、プロテインバー、エネルギーバー、シリアルベースの製品、例えば朝食シリアル等の健康製品における生理活性ペプチドの使用である。好ましくは、食品または飲料製品または栄養補助食品は、マーガリン、スプレッド、バター、乳製品またはホエー含有飲料、好ましくはヨーグルトもしくはミルク等のヨーグルトもしくはミルクをベースとする製品からなる群から選択され、ここで前記食品または飲料製品または栄養補助食品は、上で示された生理活性ペプチドの量を含む。
ヒトの高血圧症を緩和するのに使用される本明細書、上記の食品または飲料製品または栄養補助食品が特に好ましい。食料または飲料または栄養補助食品における好ましい一日あたりのサイズは、例えば一回あたり5〜350g、例えば5〜150gである。好ましくは、一日あたりの摂取回数は1〜10、例えば2〜5回である。
かかる組成物は、典型的にはヒトに投与されるが、これらはまた、高血圧症を軽減するために、動物、好ましくは哺乳動物に投与されてもよい。さらに、得られる製品中の高濃度の生理活性ペプチドによって、これらの製品は、丸剤、錠剤または高度に濃縮された溶液もしくはペーストまたは散剤の形態の栄養補助食品への組み込みに非常に有用になる。生理活性ペプチドの継続的放出を確実にする持続放出性栄養補助食品が、特に重要である。本発明による生理活性ペプチドは、例えば丸剤、錠剤、顆粒剤、小袋またはカプセル剤中の乾燥粉末として製剤化されてもよい。あるいは、本発明による生理活性ペプチドは、例えばシロップ剤またはカプセル剤中の液体として製剤化されてもよい。種々の製剤中で使用され、本発明による生理活性ペプチドを含む組成物はまた、生理学的に許容され得る担体、佐剤、賦形剤、安定剤、バッファーおよび希釈剤からなる群の少なくとも1つの化合物を組み込んでもよく、これらの用語は、それらの元来の意味で使用されて、包装、送達、吸収、安定化を補助するか、または佐剤の場合、酵素の生理学的効果を増強する、物質を示す。粉末形態の本発明による酵素と組み合わせて使用することができる種々の化合物に関する関連のあるバックグラウンドは、「Pharmaceutical Dosage Forms」、第2版、第1、2および3巻、ISBN0−8247−8044−2マルセルデッカー社(Marcel Dekker,Inc.)に見ることができる。乾燥粉末として製剤化された、本発明によるACE阻害ペプチドは、やや長期間保存することができるが、例えばアルミニウムブリスター等の適した包装を選択することによって、湿気または湿った空気への接触は避けるべきである。比較的新しい経口適用形態は、種々の型のゼラチンカプセル剤またはゼラチンベースの錠剤の使用である。
高血圧症に対抗するための天然のACE阻害ペプチドの関連性の観点から、本発明の、新しく費用効果の高い経路は、穏やかな降圧性の食事またはさらには動物用製品のための、魅力的な出発点を提供する。
本発明による方法は、任意のプロリン特異的オリゴペプチダーゼまたはエンドプロテアーゼを使用して実施することができる。本発明に説明されるかまたは本発明に従って使用されるプロリン特異的オリゴペプチダーゼは、EC 3.4.21.26に属する酵素を意味する。本発明による、または本発明に従って使用される、プロリン特異的エンドプロテアーゼによって、国際公開第02/45524号パンフレットの請求項1〜5、11および13で言及されているポリペプチドを意味する。好ましくは、ポリペプチドは単離された形態である。
本発明による方法は、バリン(「V」)残基ならびにグルタミン(「Q」)およびアスパラギン(「N」)残基を放出しうる任意のアミノペプチド分解酵素調製物を使用して実施することができる。かかる酵素の活性を測定するために適したアッセイは、国際公開第2006/005757号パンフレットの実施例12に詳述されている。好ましくは、アミノペプチド分解活性はアスペルギルス(Aspergillus)種から得られる。
アスペルギルス(Aspergillus)属の株は、食品グレードの状態を有し、これらの微生物由来の酵素は、疑われていない食品グレードの供給源に由来する。別の好ましい実施形態によると、酵素は、分泌されない、いわゆる細胞質酵素よりむしろ、その産生細胞によって分泌される。このようにして、酵素を、高価な精製工程なしに、本質的に純粋な状態で、細胞ブロスから回収することができる。好ましくは、酵素は、一般のpHおよび温度条件下で、その基質に対して、高い親和性を有する。
実施例2に記載される条件下での発酵スキムミルク中のIPP濃度の増加。横軸は、発酵期間後のプロリン特異的エンドプロテアーゼとのインキュベーション期間を時間で示す。示される単位は、乳タンパク質1gあたりのPPUを示す。 実施例2に記載される条件下での発酵スキムミルク中のLPP濃度の増加。横軸は、発酵期間後のプロリン特異的エンドプロテアーゼとのインキュベーション期間を時間で示す。示される単位は、乳タンパク質1gあたりのPPUを示す。 実施例3に記載される条件下でのカゼイン塩溶液からのIPPの放出。横軸は、プロリン特異的エンドプロテアーゼとのインキュベーション期間を時間で示す。縦軸は、インキュベーション液体中のIPP濃度をμg/mlで提供する。示される単位は、乳タンパク質1gあたりのPPUを示す。 実施例3に記載される条件下でのカゼイン塩溶液からのLPPの放出。横軸は、プロリン特異的エンドプロテアーゼとの数時間にわたるインキュベーション期間を時間で示す。縦軸は、インキュベーション液体中のLPP濃度をμg/mlで提供する。示される単位は、乳タンパク質1gあたりのPPUを示す。 実施例3に記載される条件下でのGMP溶液からのIPPの放出。横軸は、プロリン特異的エンドプロテアーゼとのインキュベーション期間を時間で示す。縦軸は、インキュベーション液体中のIPP濃度をμg/mlで提供する。示される単位は、乳タンパク質1gあたりのPPUを示す。
[材料および方法]
カゼインカリウムはDMV International(The Netherlands)から、糖マクロペプチド(「Bio−PURE GMP」)はダビスコ・フーズ・インターナショナル(Davisco Foods International,Inc.)(US)から入手し、UHTスキムミルク、ヤクルト(Yakult)およびビフィット(Vifit)製品(後者2つはそれぞれヤクルト(The Netherlands)およびカンピーナ(Campina)(The Netherlands)から)は地元のスーパーマーケットから入手した。アミノペプチダーゼコロラーゼLAP Ch.:4123(「LAP」)はABエンザイムス(UK)から入手し、アミノペプチダーゼ活性が高い調製物ペプチダーゼ436P(「P436P」)はバイオキャタリスツ(Biocatalysts Ltd)(Wales,UK))から入手した。アミノペプチダーゼ「ZBH」の過剰生成については国際公開第02/068623号パンフレットおよび国際公開第98/46772号パンフレットに説明されている。そのクロマトグラフ精製を、Q−セファロース(Q−Sepharose)FF XK上でのアニオン交換クロマトグラフィー、次いでSP−セファロース(SP−Sepharose)XK上でのカチオンクロマトグラフィーによって行った。黒色アスペルギルス(Aspergillus niger)由来のプロリン特異的エンドプロテアーゼ(「PSE」)の過剰生成およびそのクロマトグラフ精製を、国際公開第02/45524号パンフレットに記載のように行った。後者の酵素の活性を、クエン酸塩/二リン酸ナトリウム緩衝液(pH4.6)中、合成ペプチドZ−Gly−Pro−pNA上、37℃で試験した。反応産物を405nMで分光測定でモニタリングした。1単位(PPU)は、これらの試験条件下で1分あたり1μモルのp−ニトロアニリドを遊離させる酵素の量として定義される。黒色アスペルギルス(A.niger)由来のプロリン特異的エンドプロテアーゼの1PPUは、酵素タンパク質の10mgに対応する。
[ケルダール窒素]
全ケルダール窒素をフローインジェクション分析によって測定した。TKN法カセット5000−040を備えたテカター(Tecator)FIASTAR5000フローインジェクションシステム、SOFIAソフトウエアを有するペンティアム(Pentium)4コンピュータ、およびテカター(Tecator)5027オートサンプラーを使用して、タンパク質含有溶液から放出されたアンモニアを590nmで定量した。方法のダイナミックレンジ(0.5〜20mgのN/l)に対応する試料の量を、95〜97%硫酸およびケルダールとともに消化チューブに入れ、200℃で30分間と、それに続く360℃で90分間の消化プログラムに供する。FIASTAR5000システムへの注入の後、測定されたタンパク質の量を推定することができる窒素ピークを測定する。
[アミノ酸分析]
正確に計量したタンパク質性物質の試料を希酸中で溶解させ、エッペンドルフ(Eppendorf)遠心分離機による遠心分離によって沈殿を除去した。ウォーターズ(Waters)(米国マサチューセッツ州ミルフォード(Milford MA,USA))のアミノ酸分析システムの操作手引きで特定されているようなピコタグ(PicoTag)法に従って、透明な上清でアミノ酸分析を行った。そのため、適した試料を液体から得、次いで、乾燥させ、気相酸加水分解に供し、フェニルイソチオシアネートを用いて誘導体化した。存在する、種々の誘導体化されたアミノ酸を、HPLC法を用いて定量し、合計して、計量された試料中の遊離アミノ酸の総レベルを計算した。アミノ酸CysおよびTrpは、この分析で得られるデータに含まれない。
[LC/MS/MS分析]
P4000ポンプ(サーモクエスト(Thermoquest)(登録商標)(Breda,the Netherlands))に結合されたイオントラップ質量分析計(サーモクエスト(登録商標)(Breda,the Netherlands))を使用するHPLCを、本発明の酵素混合物によって生成される酵素タンパク質加水分解産物中での目的のペプチド、特にトリペプチドIPP、LPPおよびVPPの定量において使用した。形成されたペプチドを、溶出においてイナートシル(Inertsil)3 ODS 3、3mm、1502.1mm(バリアン(Varian)(Belgium,Belgium))のカラムを、Milli Q水(ミリポア(Millipore)(Bedford,MA,USA);溶液A)中0.1%ギ酸およびアセトニトリル(溶液B)中0.1%ギ酸を勾配をつけて併用して分離した。勾配は100%の溶液Aから開始し、5分間そのまま保持し、10分間で5%のBに線形増加させ、次いで30分間で45%の溶液Bに線形増加させた直後、開始時の条件にし、安定化のためそのまま15分間保持した。使用した注射容量は50μL、流速は200μL/分であり、またカラム温度は55℃で維持した。注入試料のタンパク質濃度は約50μg/mLであった。
個別のペプチドに関する詳細な情報は、約30%の最適な衝突エネルギーを用い、目的のペプチドに対して専用のMS/MSの使用によって得られた。各ペプチドの定量は、MS/MSモードで観察される最も豊富に存在するフラグメントイオンの使用により、外部較正を用いて行った。
トリペプチドLPP(M=325.2)を使用し、MSモードにおける最適な感度およびMS/MSモードにおける最適なフラグメンテーションについて調整し、5mg/mlの持続注入を行い、結果的にMSモードでプロトン化分子およびMS/MSモードで約30%の最適な衝突エネルギーを得、B−およびY−イオンシリーズを生成した。
LC/MS/MSに先立ち、酵素タンパク質加水分解産物または生理活性ペプチド組成物を周囲温度および13000rpmで10分間遠心分離し、0.22μmのフィルタを通してろ過し、上清をMilliQ水で1:100に希釈した。
[加水分解度]
様々なタンパク質分解混合物とのインキュベーションの間に得られる加水分解度(DH)を、迅速OPA試験を使用してモニタリングした(ニールセン(Nielsen) P.M.;ピーターセン(Petersen) D.;ダンマン(Dambmann) C.「Improved method for determining food protein degree of hydrolysis.」 Journal of Food Science 2001年、66、642−646頁)。加水分解度は、ペプチド結合が酵素加水分解反応によって破壊される程度についての尺度である。
[実施例]
[実施例1]
[場合により乳酸桿菌(Lactobacillus)の発酵と組み合わされた、スキムミルクとプロリン特異的プロテアーゼのインキュベーションによる血圧降下トリペプチドの放出]
黒色アスペルギルス(Aspergillus niger)由来のプロリン特異的エンドプロテアーゼの、公知の血圧降下ペプチドIPP、VPPおよびLPPの放出に対する効果を試験するため、スキムミルクを6つの異なる条件下でインキュベートした。3つの実験の第1のセットでは、そのままのスキムミルクをプロリン特異的エンドプロテアーゼとともに、およびプロリン特異的エンドプロテアーゼと純粋なアミノペプチダーゼとの組み合わせとともに、インキュベートした。3つの実験の第2のセットでは、最初にスキムミルクを高度にタンパク質分解性のラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)株(LKB−16H)とともに37℃でインキュベートし、次いでpHが約5.7に低下した時、プロリン特異的エンドプロテアーゼ、またはプロリン特異的エンドプロテアーゼと純粋なアミノペプチダーゼとの組み合わせのいずれかを添加し、インキュベーションを振とう下でさらに24時間続行した。これらすべての実験では、比較的高い酵素濃度を使用し、酵素の用量が低すぎると酵素の添加が全く効果を有しないという結論に達することを防いだ。酵素反応の終結後、凝固した反応混合物を遠心分離し、トリペプチドの定量前に上清をLC/MSによってろ過した(材料および方法を参照)。アミノペプチダーゼを添加することの有益な効果は、国際公開第2006/005757号パンフレット中に説明されている。つまり、牛乳カゼインは、β−カゼインおよびκ−カゼインを含むいくつかの異なるタンパク質を組み込む。公知のアミノ酸配列によると、β−カゼインはACE阻害トリペプチドIPP、VPPおよびLPPを包含する。β−カゼインでは、IPPは配列−P71−Q72−N73−I74−P75−P76−内に含まれ、VPPは配列−P81−V82−V83−V84−P85−P86−内に含まれ、またLPPは配列−P150−L151−P152−P153−内に含まれる。酸沈殿カゼイン塩調製物中にモル濃度でほぼ50%のβ−カゼイン濃度で存在するκ−カゼインは、IPPのみを包含する。κ−カゼインでは、IPPは配列−A107−I108−P109−P110−内に含まれる。プロリン特異的エンドプロテアーゼがプロリンおよびアラニンのC末端(但しP−P配列内ではない)でペプチド結合を切断しうることから、スキムミルクとプロリン特異的エンドプロテアーゼとのインキュベーションにより、κ−カゼインからIPPおよびβ−カゼインからLPPが放出される。さらに、ペンタペプチドQNIPPおよびVVVPP(それぞれIPPおよびVPPを組み込む)がβ−カゼインから生成される。IPPおよびVPPをこれらのペンタペプチドから放出するため、アミノペプチダーゼ活性が必要とされる。理論的には、このアミノペプチダーゼ活性は、発酵プロセスの間に生成された溶解乳酸菌(Lactobacilli)によってもたらされうる。しかし、かかるアミノペプチダーゼ活性が低すぎる可能性があることから、本発明によると、同活性を外部酵素として提供することができる。本実験では、このアミノペプチダーゼ活性は商用製品コロラーゼLAPの形態で提供される。
表1で明らかなように、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)を伴わないインキュベーションでは、プロリン特異的エンドプロテアーゼとアミノペプチダーゼの組み合わせは最高レベルの3つの血圧降下トリペプチドをもたらす。また、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)株の存在下では、IPP、LPPおよびVPPレベルは追加的なエンドプロテアーゼと添加されるアミノペプチダーゼの組み合わせにおいて最高である。追加的なプロリン特異的エンドプロテアーゼおよびアミノペプチダーゼに添加されたラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)株の存在が最高レベルの3つの血圧降下トリペプチドをもたらすという事実は、高度にタンパク質分解性のラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)株単独によって提供されるタンパク質分解酵素活性が、乳発酵の間に血圧降下トリペプチドの収率を最大化するのに不十分であることを示す。
Figure 2011504363

[実施例2]
[乳酸桿菌(Lactobacillus)の発酵の完了後でのプロリン特異的エンドプロテアーゼを添加する効果]
実施例1に記載されているように、高度にタンパク質分解性のラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)株での発酵の間に使用可能になるタンパク質分解活性は、実際、血圧降下トリペプチドをミルクから高効率で遊離させるのに不十分である。また、プロリン特異的エンドプロテアーゼ、または好ましくはプロリン特異的エンドプロテアーゼと適したアミノペプチダーゼの組み合わせを添加することで、これを補うことができることが実施例1に示される。後者の酵素は、血圧降下トリペプチドの収率を高め、かつ再生可能な最終製品を得るため、発酵プロセスの前、間または後に添加してもよい(実施例4および5を参照)。本実施例は、発酵プロセスの完了後にプロリン特異的エンドプロテアーゼを添加する効果を説明する。
37℃でのスキムミルク発酵の完了後、得られた酸性乳製品をまず熱処理し、存在する乳酸菌(Lactobacilli)を殺菌し、その後に懸濁液のpHをKOHの添加によって4.7もしくは5.9のいずれかに上昇させた。その後の酵素インキュベーションの間でより高いpH条件であれば、発酵の間でのミルクの酸性化の結果として形成される多数のカゼインの塊の溶解が促進されることになるか否かを試験するため、pH5.9への調整を組み入れた。pHの調整後、黒色アスペルギルス(A.niger)由来のプロリン特異的エンドプロテアーゼを0.5もしくは3.0PPU/gのいずれかの乳タンパク質の濃度で添加し、インキュベーションを50℃で2、4、6もしくは23時間続行した。各インキュベーション期間の終了時、エンドプロテアーゼを95℃、10分間の熱処理によって不活化し、不溶性物質を遠心分離によって除去した。清澄な上清中で、血圧降下トリペプチドIPPおよびLPPの濃度を、材料および方法セクションに記載のLC/MS手順に従って測定した。結果から(図1および2を参照)、酵素インキュベーションの結果として特にLPPの収率(図2)が有意に高まることを結論づけることができる。最高のpH値でのインキュベーションが最高のLPPの収率につながるという事実は、プロリン特異的酵素がかかる比較的高いpH値で活性が低めであることから、実は、酵素活性が高まることではなく、カゼインの塊の溶解が、役割を果たすことを示唆する。IPPの生成については、同様であるがさほど極端でない観察結果が得られた(図1)。得られたデータはまた、高い酵素用量(3PPU/gの乳タンパク質)はより高いLPPおよびIPPの収率につながるが、約10倍低い酵素用量(0.5PPU/gの乳タンパク質)の場合との差異がわずかであり、低い酵素用量の使用がより費用効果的でありうる程度であることを示す。
[実施例3]
[カゼイン塩および糖マクロペプチドからの最大レベルの血圧降下ペプチドの放出に必要とされる酵素用量]
本願で詳述される本発明の利点は、種々の製品が、異なる乳タンパク質を含有する製品から開始し、異なる発酵株を使用して製造することができ、存在する乳タンパク質から最高量の血圧降下ペプチドを生じる点である。ペプチドの収率の観点で最適な結果を得るため、酵素用量は使用される基質および発酵プロセスのタイプに応じて最適化されなけらばならない。しかし、一旦最適化されると、低レベルの外因性酵素が最高量の血圧降下ペプチドを生成するのに十分である、高度に再生可能な生成プロセスが得られる。スキムミルクから最高のIPP、VPPおよびLPPレベルを生成するのに必要とされる酵素用量を実施例1および2に示す。本実施例は、カゼインカリウムおよび糖マクロペプチドからの関連血圧降下ペプチドの酵素的放出を示し、かつペプチドの収率を最適化するのに必要とされる酵素/乳タンパク質比を説明する。これら基質の各々において理論的に存在する血圧降下ペプチドについては実施例1に記載した。糖マクロペプチド(GMP)は、キモシンでの切断後にκ−カゼインから放出される可溶性断片であり、単一のIPP配列(I108−P109−P110)を組み込む。添加酵素の効果に着目するため、この実験では、発酵が全く生じないように、カゼイン塩およびGMP溶液に微生物を接種しなかった。
カゼインカリウム(DMV,The Netherlands)を水に溶解し、約8%(w/w)のタンパク質を含有し、約6.6のpHを組み込む液体を得た。次いで、pHを5.9に下げ、液体を多数の振とうフラスコに分け、純粋なプロリン特異的エンドプロテアーゼを存在する乳タンパク質1gあたり5、7.5および10mgの酵素タンパク質の濃度で添加した。インキュベーションを振とう下、55℃で最大で24時間の期間行った。試料を定期的に採取し、90℃で30分間加熱し、すべての微生物および酵素の活性を停止させた。次いで、これらの加熱試料を、エッペンドルフ(Eppendorf)遠心分離機において6000rpmで10分間遠心分離し、その後、上清画分を「ビバスピン(Vivaspin)」遠心濃縮機(ビバサイエンス(Vivascience)、Sartorius Biolab Products(Germany))を通じてさらに精製し、スウイング−アウト(swing−out)ローターにおいて3200gで30分間遠心分離した。得られた透過液をLC/MSによって直接分析し、各試料中に存在するIPP、VPPおよびLPPのレベルを定量した。IPPについて得られた結果を図3に、LPPについては図4に図示する。
GMPの場合、同様のアプローチに従った。GMPを溶解させ、濃度を水中で7%(w/w)にし、その後、pHを5.9に調整した。存在する乳タンパク質1gあたり5、7.5および10mgの酵素タンパク質の濃度での純粋なプロリン特異的エンドプロテアーゼとのインキュベーションを、振とう下、55℃で最大で8時間の期間行った。試料をカゼイン塩について記載のように処理し、IPPおよびLPP濃度について分析し、図5に図示される結果を得た。得られた結果に基づき、存在する(乳)タンパク質1gあたり約10mgのプロリン特異的プロテアーゼの用量が、存在するすべての血圧降下ペプチドを放出するのに適切であることを結論づけることができる。
[実施例4]
[様々な酵素の存在下で様々な微生物によって発酵されるスキムミルク、カゼインカリウムおよび糖マクロペプチド溶液中の血圧降下ペプチド]
実施例1および2に図示のように、選択される高度にタンパク質分解性の乳酸桿菌(Lactobacillus)種を使用しても、発酵の間でのすべての血圧降下ペプチドの放出が保証されない可能性がある。その意味は、より低いタンパク質分解能を有する多数の微生物が乳タンパク質を含有する基質上で成育される場合、血圧降下ペプチドを全く生成できないことになる点である。しかし、かかる微生物とともに乳タンパク質を発酵することは、例えばこれらの微生物がプロバイオティクスとして適切であるか、または製品をテクスチャまたは味の観点で改善することから、他の局面にとって望ましい可能性があろう。本発明による酵素的アプローチによると、乳タンパク質からの血圧降下ペプチドの放出は使用される発酵株の性質にもはや依存しない。したがって、本発明による酵素的アプローチは、単一の製品におけるいくつかの便益の組み合わせ、すなわち血圧降下活性と改善された味、テクスチャ、プロバイオティクス活性との組み合わせを可能にする。
本実施例では、本発明者らは、さらに異なる乳タンパク質を含有する基質が伴う場合、本発明の方法に従う血圧降下ペプチドの放出が高度に再現可能であることを説明する。さらに、本発明者らは、血圧降下ペプチドがこれらのあらゆる環境下で、また広範な産業用微生物と組み合わせることで生成することができることを説明する。この実験で使用される乳酸菌またはビフィドバクテリウム(Bifidobacteria)の同一性および特性が表2に詳述される。
Figure 2011504363

使用される株を、25mlのUHTスキムミルク中、37℃で22時間の期間プレインキュベートし、それに対して0.1%酵母抽出物を添加した。株UX−21Bを接種した液体を常時30℃でインキュベートした。「ヤクルト(Yakult)」および「Vivit」株を、0.5mlの市販製品を接種することによって得た。
実際の試験においては、3つの異なる成長培地(各々が異なる乳タンパク質成分を組み込む)、すなわち、UHTスキムミルク、脱塩水中35g/lのカゼインカリウム溶液および脱塩水中35g/lのGMP溶液を調製した。3つ全部の液体を追加的な0.1%(w/w)酵母抽出物の添加によって富化した。カゼイン塩およびGMP溶液にさらに0.1%(w/w)の乳糖を添加した。
カゼイン塩およびGMP溶液を、90℃で15分間、次いで85℃で30分間予熱することで水槽内で低温殺菌した。次いで、UHTミルク、カゼイン塩およびGMP培地をそれぞれ3つの部分、すなわち酵素が添加されないもの、プロリン特異的エンドプロテアーゼが添加されるもの(15mgの酵素タンパク質/g乳タンパク質)、およびプロリン特異的エンドプロテアーゼ+アミノペプチダーゼ(コロラーゼLAP)が添加されるもの(125μL/g乳タンパク質)に分けた。そのようにして得られた9つのタンパク質/酵素培地試料全部に、表2に示される6つの株の各々の0.5mlのプレ培養物(50mlの成長培地あたり0.5mlのプレ培養物)を個別に接種した。9つの各培地の1つの試料は接種を受けずに参照としての役割を果たした。培地を37℃で24時間継続的にインキュベートする一方、株UX−21Bを接種した培地を30℃でインキュベートした。
インキュベーションの終了時、少量の試料を各インキュベーションバイアルから採取し、90℃で30分間加熱して、すべての微生物および酵素の活性を停止させた。次いで、これらの加熱試料を実施例3に記載のように処理し、LC/MSによって分析し、各試料中に存在するトリペプチドIPP、VPPおよびLPPのレベルについて定量した。得られた結果を表3(UHT乳)、表4(カゼインカリウム)および表5(GMP)に示す。後の3つの表に示される結果に基づき、本発明による酵素および発酵技術の組み合わせにより、高レベルの血圧降下ペプチドを組み込む乳タンパク質ベースの消費者製品を調製する効率的方法が提供されることを結論づけることができる。
Figure 2011504363

Figure 2011504363

Figure 2011504363

[実施例5]
[発酵スキムミルク加水分解産物中の血圧降下ペプチド]
本発明による酵素的アプローチによると、乳タンパク質からの血圧降下ペプチド放出は、使用される発酵株の性質にもはや依存しない場合がある。したがって、本発明による酵素的アプローチは、単一の製品における2つの便益の組み合わせ、すなわち血圧降下活性と組み合わされた改善された味、テクスチャ、プロバイオティクス活性(選択される発酵株によってもたらされる)を可能にする。酵素的アプローチは、酵素が高収率の血圧降下ペプチドを確実にすることから、プロセス全体をより多目的なものにし、それにより発酵工程は柔軟なものになる、すなわち発酵プロセスは酵素インキュベーションの前、間またはさらに後に実施することができる。発酵プロセス前に乳タンパク質を含有する基質を酵素とともにインキュベートすることは、これが酵素の不活化を可能にすることから特に興味深く、それにより血圧降下ペプチドを組み込む最終産物は生存微生物を含有することができる。後者の特徴は、プロバイオティクス製品ならびに特選ヨーグルトにとって重要でありうる。
本実施例では、本発明者らは、スキムミルクの酵素処理後に実施される発酵プロセスについて説明する。さらに、血圧降下ペプチドの収率に対する様々な種類のアミノペプチダーゼの効果を説明する。市販のUHTスキムミルクから10mlの試料を参照物質として採取した。残存する990mlのスキムミルクに対し、まず35PPUのプロリン特異的プロテアーゼを添加し、速やかに混合した。この物質から、10mlの11の部分を得た。これら部分のうち10に、アミノペプチダーゼ調製物を、表6に明記されるスケジュールに従って添加した。残存部分は参照としての役割を果たし、アミノペプチダーゼを全く添加しなかった。これら全部の試料のインキュベーションを振とう下、55℃で4時間行い、その後、存在する酵素を95℃で15分間の熱処理によって不活化した。次いで、各部分の1mlの試料を遠心分離し、上清を実施例3に記載のように処理し、LC/MSによって分析して、各試料中に存在するIPP、VPPおよびLPPのレベルを定量した。得られた結果を表6に示し、それは、プロリン特異的エンドプロテアーゼ単独(チューブ2)とのプレインキュベーション時、有意なレベルの血圧降下ペプチドを得ることができることを示す。しかし、アミノペプチダーゼ活性の添加(チューブ3〜13)はこれらのレベルを上昇させ、チューブ13中には、理論的に存在する全IPPの約90%が放出される。
残存する9mlの部分(チューブ1〜13)を冷却し、あらゆるタンパク質沈殿物を遠心分離によって除去し、得られた上清全部に従来のヨーグルト培養物CY−340(DSMフードスペシャリティーズ(DSM−Food Specialities)(Delft,The Netherlands)から入手可能)を接種した。37℃で10時間のインキュベーション後、様々な最終産物を粘度、味および細胞成長の観点から評価した。非プロテアーゼ処理のUHT乳を有するチューブ(チューブ1)以外では、様々なインキュベート物の粘度が、発酵の結果としてわずかに増加し、それによりそれらが例えば飲料ヨーグルトとして適したものになった。すべての接種された産物は、かなりの微生物成長、典型的には約10cfu/mlを示した。さらに、すべての産物はわずかなヨーグルト様の味を有した。P436P酵素製品で前処理した産物のみが苦味を呈し、これはおそらくはこの酵素製品がそのアミノペプチド分解活性の他に、有意な量の細胞内タンパク質分解活性を組み込んでいることが理由である。
Figure 2011504363

Claims (15)

  1. トリペプチドIPPおよび/またはトリペプチドVPPを含む発酵乳製品を生成するための方法であって、出発原料として乳タンパク質を使用することを含み、ここで前記乳タンパク質は、適した乳酸菌またはビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)を使用する発酵工程と、プロリン特異的エンドプロテアーゼまたはプロリン特異的オリゴペプチダーゼを使用する酵素インキュベーション工程とに供される、方法。
  2. アスペルギルス(Aspergillus)、好ましくは黒色アスペルギルス(Aspergillus niger)から得られるプロリン特異的エンドプロテアーゼが使用される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記プロリン特異的エンドプロテアーゼまたはプロリン特異的オリゴペプチダーゼが乳タンパク質を基準として0.05〜1.7重量%の量で添加される、請求項1または2に記載の方法。
  4. アミノペプチダーゼが前記酵素インキュベーション工程においてさらに使用される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記アミノペプチダーゼはアスペルギルス(Aspergillus)から得られる、請求項4に記載の方法。
  6. 前記アミノペプチダーゼは乳タンパク質を基準として1重量%未満の量で添加される、請求項4または5に記載の方法。
  7. LPPもまた生成される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記発酵乳製品は、5〜38%、好ましくは10〜38%、およびより好ましくは15〜35%の加水分解度(DH)を有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記発酵工程においては、乳酸菌またはビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)は、乳酸桿菌(Lactobacillus)、例えばラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)、ブルガリア乳酸桿菌(Lactobacillus Bulgaricus)またはラクトバチルス・デルブリュッキ亜種ブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii ssp.bulgaricus)、ラクトコッカス(Lactococcus)、例えばラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)、リューコノストック(Leuconostoc)、ペディオコッカス(Pediococcus)または連鎖球菌(Streptococus)であるか、あるいはビフィドバクテリウム・アニマリス(Bifidobacterium animalis)、ビフィドバクテリウム・ブレビス(Bifidobacterium brevis)、ビフィドバクテリウム・インファンティス(Bifidobacterium infantis)およびビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)等のビフィドバクテリウム(Bifidobacteria)の代表例である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記酵素工程は前記発酵工程に先行する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記酵素工程は前記発酵工程の間に行われる、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記酵素工程は前記発酵工程の後に行われる、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
  13. 食品、飼料、ペットフード、ニュートラシューティカルもしくは栄養成分、または食品、飼料、ペットフード、もしくはニュートラシューティカル中に使用されるべき成分を生成するための方法であって、前記食品、飼料、ペットフード、ニュートラシューティカルもしくは栄養成分またはそれらの成分中に、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法で生成される前記トリペプチドIPPおよび/または前記トリペプチドVPPを含む発酵乳製品を組み込むことを含む、方法。
  14. 請求項13に記載の方法によって得ることができる、食品、飼料、ペットフード、ニュートラシューティカルもしくは栄養成分、または食品、飼料、ペットフード、もしくはニュートラシューティカル中で使用されるべき成分。
  15. 食品、飼料、ペットフード、ニュートラシューティカルもしくは栄養成分、または食品、飼料、ペットフード、もしくはニュートラシューティカル中で使用されるべき成分の調製における、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法で生成されるトリペプチドIPPおよび/またはVPPを含む発酵乳製品の使用。
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