JPWO2018139616A1 - 電解槽、電解装置、電解方法、水素製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
近年、二酸化炭素等の温室効果ガスによる地球温暖化、化石燃料の埋蔵量の減少等の問題を解決するため、再生可能エネルギーを利用した風力発電や太陽光発電等の技術が注目されている。
[1]陽極と、陰極と、前記陽極と前記陰極とを隔離する隔壁と、前記隔壁を縁取る外枠とを備える複数のエレメントが隔膜を挟んで重ね合わせられ、前記隔膜が前記陽極及び前記陰極と接触してゼロギャップ構造が形成され、前記隔壁と前記外枠と前記隔膜とにより画成される電極室に互いに平行に並べられた複数の整流板が前記隔壁に沿う所与の方向に平行に設けられた電解槽であり、
前記電極室の前記所与の方向の長さAが、0.40m以上4.0m以下であり、前記電極室の前記隔壁に垂直な方向の長さBが、0.0030m以上0.030m以下であり、前記複数の整流板の間隔Cが、0.050m以上0.19m以下である、ことを特徴とする、電解槽。
[2]陽極と、陰極と、前記陽極と前記陰極とを隔離する隔壁と、前記隔壁を縁取る外枠とを備える複数のエレメントが隔膜を挟んで重ね合わせられ、前記隔膜が前記陽極及び前記陰極と接触してゼロギャップ構造が形成され、前記隔壁と前記外枠と前記隔膜とにより画成される電極室に互いに平行に並べられた複数の整流板が前記隔壁に沿う所与の方向に平行に設けられた電解槽であり、
前記電極室の前記所与の方向の長さAが、0.40m以上4.0m以下であり、前記電極室の前記隔壁に垂直な方向の長さBが、0.0030m以上0.030m以下であり、前記複数の整流板の間隔Cが、0.050m以上0.19m以下である、ことを特徴とする、アルカリ水電解用電解槽。
[3]前記電極室の前記所与の方向に垂直な面における断面積Dが、0.00050m2以上0.0050m2以下であり、{(2×D)/(B+C)}が、0.015m以上0.050m以下である、[1]又は[2]に記載の電解槽。
[4]前記整流板の少なくとも一部が導電性を有し、前記整流板が前記電極と物理的及び電気的に接続されている、[1]〜[3]のいずれかに記載の電解槽。
[5]隣接する前記エレメント間において前記外枠同士の間に前記隔膜を有するガスケットが挟持され、前記ガスケットは、厚みが3.0mm〜10mm、100%変形時の弾性率が1.0MPa〜10MPaである、[1]〜[4]のいずれかに記載の電解槽。
[6]前記陽極又は前記陰極と前記隔壁との間に、導電性弾性体及び集電体が、前記導電性弾性体が前記陽極又は前記陰極と前記集電体とに挟まれるように、設けられている、[1]〜[5]のいずれかに記載の電解槽。
[7]前記導電性弾性体が、ニッケル製のクッションマットである、[6]に記載の電解槽。
式(1):Re=Q/(電極室当たりの整流板の数+1)×{(2×D)/(B+C)}/(ν×D)
(式中、Qは、電極室当たりの電解液の流量(m3/秒)を示し、νは、電解液の動粘度(m2/秒)を示す)
から算出される電解液レイノルズ数Reを10〜1800として電解液を循環させることによって電解を行うことを特徴とする、水電解方法。
[10]前記電解槽内の前記電解液の温度を、80℃〜130℃とする、[9]に記載の水電解方法。
前記電解槽は、陽極と、陰極と、前記陽極と前記陰極とを隔離する隔壁と、前記隔壁を縁取る外枠とを備える複数のエレメントが隔膜を挟んで重ね合わせられ、前記隔膜が前記陽極及び前記陰極と接触しており、前記隔壁と前記外枠と前記隔膜とにより画成される電極室に互いに平行に並べられた複数の整流板が前記隔壁に沿う所与の方向に平行に設けられた電解槽であり、
前記電極室の前記所与の方向の長さAが、0.40m以上4.0m以下であり、前記電極室の前記隔壁に垂直な方向の長さBが、0.0030m以上0.030m以下であり、前記複数の整流板の間隔Cが、0.050m以上0.19m以下である、
ことを特徴とする、水素製造方法。
前記陰極と、前記陰極の隔膜側とは反対側に順に設けられた前記導電性弾性体及び陰極集電体とを含む陰極複合体、及び/又は、前記陽極と、前記陽極の隔膜側とは反対側に順に設けられた前記導電性弾性体及び陽極集電体とを含む陽極複合体、を備えており、
前記陽極と前記陰極集電体との距離及び/又は前記陰極と前記陽極集電体との距離が1.0mm以上6.0mm以下であり、
前記導電性弾性体の密度が0.1g/cm3以上4.5g/cm3以下であり、
前記ゼロギャップ構造において、前記隔膜と、前記陽極及び/又は前記陰極との間にかかる面圧が8kN/m2以上100kN/m2以下である、
[1]〜[7]のいずれかに記載の電解槽。
[13]前記導電性弾性体の線径が0.1mm以上0.5mm以下である、[12]に記載の電解槽。
[14]前記隔膜の平均透水孔径が0.01μm以上1.0μm以下である、[12]又は[13]に記載の電解槽。
[15]前記隔膜の厚みが100μm以上600μm以下である、[12]〜[14]のいずれかに記載の電解槽。
[16]前記隔膜の気孔率が30%以上70%以下である、[12]〜[15]のいずれかに記載の電解槽。
[17]前記陰極及び前記陽極を固定するためのリブが複数取り付けられ、リブピッチが50mm以上150mm以下である、[12]〜[16]のいずれかに記載の電解槽。
[18]前記エレメントの通電面の面積S1が0.1m2以上10m2以下である、[12]〜[17]のいずれかに記載の電解槽。
[19]前記エレメントの厚みdが10mm以上100mm以下である、[12]〜[18]のいずれかに記載の電解槽。
[20]電解セルを50個以上500個以下含む、[12]〜[19]のいずれかに記載の電解槽。
図1に、本実施形態のアルカリ水電解用複極式電解槽の一例の全体についての側面図を示す。
図2に、本実施形態のアルカリ水電解用複極式電解槽の一例のゼロギャップ構造を図1に示す破線四角枠の部分についての側面図を示す。
図3に、本実施形態のアルカリ水電解用複極式電解槽の一例の電極室部分についての平面図を示す。
本実施形態のアルカリ水電解用複極式電解槽は、図1に示すとおり、陽極2aと、陰極2cと、陽極2aと陰極2cとを隔離する隔壁1と、隔壁1を縁取る外枠3とを備える複数の複極式エレメント60が隔膜4を挟んで重ね合わせられている複極式電解槽50である。
本実施形態のアルカリ水電解用電解槽50は、単極式であっても、複極式であってもよく、隔膜4を介して複極式エレメント60がスタックされたアルカリ水電解用複極式電解セル65を含む複極式電解槽50であることが好ましい。
単極式とは、1又は複数のエレメントを直接電源に接続する方法であり、並列に並べた陰極2cと陽極2aとを備える各エレメントの陽極2aに隔膜4を挟んで陰極ターミナルエレメント51cを設け、陰極2cに隔膜4を挟んで陽極ターミナルエレメント51aを設け、各ターミナルエレメントに電源をつなぐ並列回路である。
複極式は、多数のセルを電源に接続する方法の1つであり、片面が陽極2a、片面が陰極2cとなる複数の複極式エレメント60を同じ向きに並べて直列に接続し、両端のみを電源に接続する方法である。
複極式電解槽50は、電源の電流を小さくできるという特徴を持ち、電解により化合物や所定の物質等を短時間で大量に製造することができる。電源設備は出力が同じであれば、定電流、高電圧の方が安価でコンパクトになるため、工業的には単極式よりも複極式の方が好ましい。
上記エレメントとしては、単極式電解槽に用いられる単極式エレメントと、複極式電解槽に用いられる複極式エレメント等が挙げられる。中でも、複極式エレメントが好ましい。
一例のアルカリ水電解用複極式電解槽50に用いられる複極式エレメント60は、図1に示すように、陽極2aと陰極2cとを隔離する隔壁1を備え、隔壁1を縁取る外枠3を備えている。より具体的には、隔壁1は導電性を有し、外枠3は隔壁1の外縁に沿って隔壁1を取り囲むように設けられている。
上記エレメントは、陽極2a、陰極集電体2r、導電性弾性体2e、陰極2cをこの順に含み、さらに、隔壁1、リブ6、外枠3、逆電吸収体、陽極集電体等を備えていてもよい。
図1に示す一例では、複極式電解槽50は、一端からファストヘッド51g、絶縁板51i、陽極ターミナルエレメント51aが順番に並べられ、更に、陽極側ガスケット部分7、隔膜4、陰極側ガスケット部分7、複極式エレメント60が、この順番で並べて配置される。このとき、複極式エレメント60は陽極ターミナルエレメント51a側に陰極2cを向けるよう配置する。陽極側ガスケット部分7から複極式エレメント60までは、設計生産量に必要な数だけ繰り返し配置される。陽極側ガスケット部分7から複極式エレメント60までを必要数だけ繰り返し配置した後、再度、陽極側ガスケット部分7、隔膜4、陰極側ガスケット部分7を並べて配置し、最後に陰極ターミナルエレメント51c、絶縁板51i、ルーズヘッド51gをこの順番で配置される。複極式電解槽50は、全体をタイロッド方式51r(図1参照)や油圧シリンダー方式等の締め付け機構により締め付けることによりー体化され、複極式電解槽50となる。
複極式電解槽50を構成する配置は、陽極2a側からでも陰極2c側からでも任意に選択でき、上述の順序に限定されるものではない。
特に、外部ヘッダー型の電解セルである場合、重ね合わせる電解セルの数が500個以下であると、リーク電流が少なくなり、効率が高くなる。また、シール面圧が均一になり易く、電解液の漏れやガス漏洩が起こりにくい。また、電解セルの数が50個以上であると、大電力をためることが可能となり、実質的に電力貯蔵システムとして一層機能することが可能となる。
なお、図1〜図3に示す複極式電解槽50に取り付けられるヘッダー10の配設態様として、代表的には、内部ヘッダー10I型と外部ヘッダー10O型とがあるが、本発明では、いずれの型を採用してもよく、特に限定されない。
上記長さBは、図2に示すように電極室5の厚さを示すものとしてもよく、電極室5内で電極2に垂直な方向の長さに変化がある場合には、その長さの平均としてよい。
上記間隔Cは、複数の整流板6が一定の間隔(ピッチ)で設けられている場合には、その間隔(ピッチ)をいい(図3参照)、複数の整流板6が一定の間隔(ピッチ)で設けられていない場合には、設けられた複数の整流板6同士の間隔の平均をいう。また、隣接する2つの整流板6間においてその間隔が整流板6の延在方向について変化している(一定でない)場合には、当該隣接する2つの整流板6間の間隔の平均としてよい。
ひいては、高電流密度での運転や変動電源での運転で用いてアルカリ水電解を行った際に電解室5出口の高温化を低減することで、電解液の温度の上昇を抑制する、電解室5内における気液の流れの乱れにより電解室5に生じる対流を低減して、局所的な電解液の温度の上昇を抑制することができ、長期に渡って安定して高い電解効率を実現することができる。
本実施形態では、上記長さAについて、0.40m以上3.0m以下であることが好ましく、0.50m以上2.5m以下であることがさらに好ましく、0.60m以上2.0m以下であることがより好ましい。
本実施形態では、上記長さBについて、0.0050m以上0.025m以下であることが好ましく、0.0060m以上0.023m以下であることがさらに好ましく、0.0070m以上0.020m以下であることがより好ましい。
本実施形態では、上記間隔Cについて、0.060m以上0.12m以下であることが好ましく、0.070m以上0.11m以下であることがさらに好ましく、0.080m以上0.10m以下であることがより好ましい。
上記長さAの範囲、上記長さBの範囲、上記間隔Cの範囲は、本発明の効果を好適に得るうえで、それぞれ個別に選択されてもよい。
本実施形態(例えば、上記[1]〜[20]の形態等)のアルカリ水電解用複極式電解槽50では、電極室5の隔壁1に沿う所与の方向D1に垂直な面における断面積Dが、0.00050m2以上0.0050m2以下であり、{(2×D)/(B+C)}が、0.015m以上0.050m以下であることが好ましい。
また、上記{(2×D)/(B+C)}は、一般的に前記断面形状が略矩形である場合、水力直径Dhを示すものであり、断面積Dと合わせて流体の流れ状態に相関する因子である。
ひいては、電解室5出口の高温化を低減することで、電解液の温度の上昇を抑制する、電解室5内における気液の流れの乱れにより電解室5に生じる対流を低減して、局所的な電解液の温度の上昇を抑制するという本発明の効果を、より高い電流密度、より多くのセル数を有する電解槽50においても、安定して高めることができる。
本実施形態では、上記{(2×D)/(B+C)}について、0.020m以上0.045m以下であることがさらに好ましく、0.025m以上0.040m以下であることがさらに好ましい。
上記断面積Dの範囲、上記{(2×D)/(B+C)}の範囲は、本発明の効果を好適に得るうえで、それぞれ個別に選択されてもよい。
本発明において、整流板6の数や整流板6の隔壁1に沿う所与の方向D1に垂直な方向についての一定の間隔(ピッチ)は、本発明の効果が得られる限り、適宜定められてよい。ここで、整流板6の間隔は、一定でなくてもよい。
また、本発明において、整流板6の長さ、整流板6と隔壁1とのなす角度、貫通孔の数や貫通孔の隔壁1に沿う所与の方向D1についての一定の間隔(ピッチ)は、本発明の効果が得られる限り、適宜定められてよい。ここで、貫通孔の間隔は、一定でなくてもよい。
発明者らは上記課題について、陽極と陰極集電体との距離、材料の物性や隔膜・陽極・陰極との間にかかる面圧を適切にコントロールすることで解決できることも見出し、本発明をなすに至った。
より具体的には、再生可能エネルギー由来の電気を水素に変換して貯蔵するといった用途では、従来の装置に較べ精緻な装置構造が求められるわけであるが、例えば、複数のセル間で電解電圧のばらつきを生じ経時的に電解電圧の上昇を起こす場合があるという新たな課題が生じてきたのである。この点についても、鋭意検討を進めた結果、面積の大きなセルを多数スタックして電解槽を構成する場合に、製作精度やセルをスタックする際の組み立てのばらつきなどが原因と推定された。そこで、このようなばらつきを許容して、安定的にセルの性能を発現させる方法についても検討を行った。その結果、電解電圧が製作精度やセルをスタックする際の組み立てのばらつきにより、望ましいセロギャップ構造を必ずしも取れない場合があることと推定され、これを抑制する構成として以下の構成に至った。
なお、「上記陽極と上記陰極集電体との距離」とは、隔膜4を挟んだ、隣り合うエレメントの陽極2aと陰極集電体2rとの距離であって、陰極集電体2rの導電性弾性体2e側の面と、陽極2aと隔膜4とが接する面との距離をいう。また、「上記陰極と上記陽極集電体との距離」とは、隔膜を挟んだ、隣り合うエレメントの陰極と陽極集電体との距離であって、陽極集電体の導電性弾性体側の面と、陰極と隔膜とが接する面との距離をいう。
本実施形態のアルカリ水電解用電解槽は、上記構成を有するため、再生可能エネルギー等の変動電源下等で運転する場合でも、セル電圧が上昇しにくい。
より詳細には、電極・集電体間距離、陽極及び/又は陰極を構成する電極、集電体、弾性体の特性を上記の範囲内とすることで、製作精度やセルをスタックする際の組み立てのばらつきを克服して、望ましいゼロギャップ状態をセルスタック全体で作ることができるものと考えられる。加えて、電解を長期に行うとガス発生時にゼロギャップ構造内での振動を与え続けた際にも、その振動をうまく吸収して長期にわたって安定なゼロギャップ構造を保持することができるようになるものと推定される。
ここで、ゼロギャップ構造Zにおいて、陽極複合体及び陰極複合体を備える場合、上記陽極2aと上記陰極集電体2rとの距離及び上記陰極2cと上記陽極集電体との距離が1.0mm以上6.0mm以下であってもよいし、上記陽極2aと上記陰極集電体2rとの距離及び上記陰極2cと上記陽極集電体との距離の一方の距離が1.0mm以上6.0mm以下であってもよい。図2に示す例では、陽極2aと陰極複合体とを含むゼロギャップ構造において、陽極2aと陰極集電体2rとの距離が1.0mm以上6.0mm以下である。本明細書において、陽極2aと陰極複合体2rとを含むゼロギャップ構造Zにおける、陽極2aと陰極集電体2rとの距離を距離aと称する場合がある。
なお、上記陽極2aと上記陰極集電体2rとの上記距離は、後述の実施例に記載の方法で測定することができる。
上記厚みが0.5mm以上であると、再生可能エネルギー等の変動電源下で運転する場合において、電極によって隔膜が押しつぶされて、電解液流路となる隔膜の孔が閉塞しセル電圧上昇することを抑制することができる。また、上記厚みが5.5mm以下であると電極や隔膜面で発生したガスにより、圧変動で隔膜が振動して、隔膜と電極との極間距離が開くことによるセル電圧上昇を抑制することができる。
なお、上記導電性弾性体の厚みは、上記隔膜4を挟んだ上記陽極2aと上記陰極集電体2rとの距離及び/又は上記陰極2cと上記陽極集電体との距離が上記範囲であるゼロギャップ構造Zにおける、陽極2aと陰極集電体2r間及び/又は陰極2cと陽極集電体間の導電性弾性体の厚みをいう。
上記距離が1mm以上であると、発生したガスを電極裏面への排出しやすくなり、また、電解液を供給しやすくなる。また、上記距離が40mm以下であると、発生したガスによってバックミキシングが生じやすく、隔膜4と電極2の界面に付着したガスの脱泡性に優れる。更に、電極室5内での温度や電解液濃度を均一化することができる。
なお、集電体と隔壁1との上記距離は、同一エレメント内の集電体と隔壁1との距離であって、集電体の隔壁側の面と隔壁1の該集電体側の面との距離をいう。
ここで、「上記隔膜と上記陽極及び/又は上記陰極との間にかかる面圧」とは、上記隔膜4を挟んだ上記陽極2aと上記陰極集電体2rとの距離及び/又は上記陰極2cと上記陽極集電体との距離が上記範囲であるゼロギャップ構造Zにおける、上記隔膜4と上記陽極2a及び/又は上記陰極2cとの間にかかる面圧をいう。
なお、上記面圧は、後述の実施例に記載の方法で測定することができる。
ここで、「導電性弾性体の密度」とは、上記隔膜4を挟んだ上記陽極2aと上記陰極集電体2rとの距離及び/又は上記陰極2cと上記陽極集電体との距離が上記範囲であるゼロギャップ構造における、上記陽極2aと上記陰極集電体2rとの間及び/又は上記陰極2cと上記陽極集電体との間にある、上記導電性弾性体の密度をいう。
なお、上記密度は、後述の実施例に記載の方法で測定することができる。
上記エレメントの通電面の面積S1とは、エレメントの電極(陽極及び陰極)の隔壁に平行な面における面積をいう。なお、陽極、陰極において上記面積が異なる場合には、その平均をいうものとする。
上記エレメントの厚さdとは、隣接する2つのエレメントの隔壁1同士の間の隔壁1に垂直な方向についての距離をいう。
陽極と、陰極と、陽極と陰極とを隔離する隔壁と、隔壁を縁取る外枠とを備える複数の複極式エレメントが隔膜を挟んで重ね合わせられ、隔膜が陽極及び陰極と接触してゼロギャップ構造が形成され、隔壁と外枠と隔膜とにより画成される電極室に隔壁に沿う所与の方向に対して平行に複数の整流板が設けられた複極式電解槽であり、
電極室の隔壁に沿う所与の方向の長さAが、0.40m以上4.0m以下であり、電極室の隔壁に垂直な方向の長さBが、0.0030m以上0.030m以下であり、複数の整流板の間隔Cが、0.050m以上0.19m以下である、
ことを特徴とし、
且つ、
陽極及び陰極を含む複数の複極式エレメントが、多孔膜である隔膜を挟んで重ね合わされ、
陰極と、陰極の隔膜側とは反対側に順に設けられた導電性弾性体及び陰極集電体とを含む陰極複合体、及び/又は、陽極と、陽極の隔膜側とは反対側に順に設けられた導電性弾性体及び陽極集電体とを含む陽極複合体、を備えており、
陽極と陰極集電体との距離及び/又は陰極と陽極集電体との距離が1.0mm以上6.0mm以下であり、
導電性弾性体の密度が0.1g/cm3以上4.5g/cm3以下であり、
ゼロギャップ構造において、隔膜と、陽極及び/又は陰極との間にかかる面圧が8kN/m2以上100kN/m2以下である、
ことを特徴とする
電解槽としてよい。
また、以下では、本発明の効果を高めるための好適形態についても詳述する。
隔壁1は、陰極2cと陽極2aとの間であって、陽極2aと陰極複合体との間及び/又は陰極2cと陽極複合体との間に設けられることが好ましい。
本実施形態における隔壁1の形状は、所定の厚みを有する板状の形状としてよいが、特に限定されない。
隔壁1の平面視形状としては、特に限定されることなく、矩形(正方形、長方形等)、円形(円、楕円等)としてよく、ここで、矩形は角が丸みを帯びていてもよい。
一実施形態において、隔壁1と外枠3とを溶接その他の方法で接合することで一体化してもよく、例えば、隔壁1に、隔壁1の平面に対して垂直な方向に張り出したフランジ部(陽極2a側に張り出した陽極フランジ部、陰極2c側に張り出した陰極フランジ部)を設け、フランジ部を外枠3の一部としてもよい。
特に、隔壁1が板状の形状である場合、隔壁1の厚さは、0.5mm〜5mmとしてよく、縦の長さや横の長さは、特に限定されない。
上記隔壁の厚みは、陽極リブと陰極リブが隔壁に溶接等で接合されて一体構造になっている場合は、陽極リブや陰極リブにより補強されるので、厚くする必要はない。通常は、0.5〜2mmの厚みで十分である。0.5mmより薄いと陽極リブや陰極リブと隔壁との溶接も困難になる上、製作上もハンドリングがし難くなる欠点があり、また2mmより厚い場合は、製作コストが高くなり電解ユニットも重くなるため好ましくない。
本実施形態のアルカリ水電解による水素製造において、エネルギー消費量の削減、具体的には電解電圧の低減は、大きな課題である。この電解電圧は電極2に大きく依存するため、両電極2の性能は重要である。
これらの理由から、触媒層の厚みは、0.2μm以上1000μm以下が好ましく、より好ましくは0.5μm以上300μm以下である。
なお、触媒層の厚みは、例えば電子顕微鏡にて電極2の断面を観察することにより測定できる。
なお、比表面積は例えばBET法を用いて測定することができる。測定試料を専用セルに入れ、加熱真空排気を行うことにより前処理を行い、細孔表面への吸着物を予め取り除く。その後、−196℃で測定サンプルへのガス吸着の吸脱着等温線を測定する。得られた吸脱着等温線をBET法で解析することにより、測定サンプルの比表面積を求めることができる。
本実施形態における外枠3の形状は、隔壁1を縁取ることができる限り特に限定されないが、隔壁1の平面に対して垂直な方向に沿う内面を隔壁1の外延に亘って備える形状としてよい。
外枠3の形状としては、特に限定されることなく、隔壁1の平面視形状に合わせて適宜定められてよい。
外枠3の寸法としては、特に限定されることなく、電極室5の外寸に応じて設計されてよい。外枠3の幅は、10mm〜40mmとしてよく、15mm〜30mmが好ましく、外枠3の延在長さは、特に限定されない。
一実施形態において、隔壁1と外枠3とを溶接その他の方法で接合することで一体化してもよく、例えば、隔壁1に、隔壁1の平面に対して垂直な方向に張り出したフランジ部(陽極2a側に張り出した陽極フランジ部、陰極2c側に張り出した陰極フランジ部)を設け、フランジ部を外枠3の一部としてもよい。
この場合の陽極フランジ部及び陰極フランジ部の長さとしては、特に限定されないが、それぞれ、5mm〜20mmとしてよく、7.5mm〜15mmが好ましい。
本実施形態のアルカリ水電解用複極式電解槽50において用いられる隔膜4としては、イオンを導通しつつ、発生する水素ガスと酸素ガスを隔離するために、イオン透過性の隔膜4が使用される。このイオン透過性の隔膜4は、イオン交換能を有するイオン交換膜と、電解液を浸透することができる多孔膜が使用できる。このイオン透過性の隔膜4は、ガス透過性が低く、イオン伝導率が高く、電子電導度が小さく、強度が強いものが好ましい。
多孔膜は、複数の微細な貫通孔を有し、隔膜4を電解液が透過できる構造を有する。電解液が多孔膜中に浸透することにより、イオン伝導を発現するため、孔径や気孔率、親水性といった多孔構造の制御が非常に重要となる。一方、電解液だけでなく、発生ガスを通過させないこと、すなわちガスの遮断性を有することが求められる。この観点でも多孔構造の制御が重要となる。
高分子多孔膜の製法例としては、相転換法(ミクロ相分離法)、抽出法、延伸法、湿式ゲル延伸法等が挙げられる。相転換法(ミクロ相分離法)とは、高分子材料を良溶媒に溶解して得られた溶液により製膜し、これを貧溶媒中で相分離させることで多孔質化する方法(非溶媒誘起相分離法)である。抽出法とは、高分子材料に炭酸カルシウム等の無機粉体を混練して製膜した後に、該無機粉体を溶解抽出して多孔質化する方法である。延伸法とは、所定の結晶構造を有する高分子材料のフィルムを所定の条件で延伸して開孔させる方法である。湿式ゲル延伸法とは、高分子材料を流動パラフィン等の有機溶剤で膨潤させてゲル状シートとし、これを所定の条件で延伸したのち有機溶剤を抽出除去する方法である。
無機多孔膜の製法例としては、焼結法等が挙げられる。焼結法は、プレスや押出しによって得られた成形物を焼き、微細孔を残したまま一体化させる方法である。
不織布の製法例としては、スパンボンド法、電界紡糸(エレクトロスピニング)法等が挙げられる。スパンボンド法とは、溶融したペレットから紡糸された糸を熱ロールで圧着し、シート状に一体化させる方法である。電界紡糸(エレクトロスピニング)法とは、溶融ポリマーの入ったシリンジとコレクター間に高電圧を印加しながら射出することで、細く伸長した繊維をコレクター上に集積させる方法である。
高分子材料としては、例えば、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニルスルホン、ポリビニリデンフロライド、ポリカーボネート、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド、ポリテトラフルオロエチレン、パーフルオロスルホン酸、パーフルオロカルボン酸、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール、ポリケトン、ポリイミド、ポリエーテルイミド等が挙げられる。これらの中でも、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニルスルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリテトラフルオロエチレン、であることが好ましく、ポリスルホンであることがより好ましい。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、例えば、非溶媒誘起相分離法等の方法を用いることで、隔膜4を一層簡便に製膜することができる。特にポリスルホンであれば、孔径を一層精度よく制御することができる。
多孔膜の平均孔径が大きいほど、単位面積あたりの多孔膜透過量は大きくなり、特に、電解においては多孔膜のイオン透過性が良好となり、電圧損失を低減しやすくなる傾向にある。また、多孔膜の平均孔径が大きいほど、アルカリ水との接触表面積が小さくなるので、ポリマーの劣化が抑制される傾向にある。
一方、多孔膜の平均孔径が小さいほど、多孔膜の分離精度が高くなり、電解においては多孔膜のガス遮断性が良好となる傾向にある。さらに、後述する粒径の小さな親水性無機粒子を多孔膜に担持した場合、欠落せずしっかりと保持することができる。これにより、親水性無機粒子が持つ高い保持能力を付与でき、長期に亘ってその効果を維持することができる。
また、多孔膜の最大孔径は多孔膜の分離精度を高める為、制御されることが好ましい。具体的には、平均孔径と最大孔径との差が小さいほど、多孔膜の分離性能は高くなる傾向にある。特に、電解においては、多孔膜内の孔径のばらつきを小さく保てる為、ピンホールが発生して両電極室5から発生するガスの純度が低下する可能性を低くできる。
多孔膜の透水平均孔径とは、完全性試験機(ザルトリウス・ステディム・ジャパン社製、「Sartocheck Junior BP−Plus」)を使用して以下の方法で測定した平均透水孔径をいう。まず、多孔膜を芯材も含めて所定の大きさに切り出して、これをサンプルとする。このサンプルを任意の耐圧容器にセットして、容器内を純水で満たす。次に、耐圧容器を所定温度に設定した恒温槽内で保持し、耐圧容器内部が所定温度になってから測定を開始する。測定が始まると、サンプルの上面側が窒素で加圧されていき、サンプルの下面側から純水が透過してくる際の圧力及び透過流量の数値を記録する。平均透水孔径は、圧力が10kPaから30kPaの間の圧力と透水流量との勾配を使い、以下のハーゲンポアズイユの式から求めることができる。
平均透水孔径(m)={32ηLμ0/(εP)}0.5
ここで、ηは水の粘度(Pa・s)、Lは多孔膜の厚み(m)、μ0は見かけの流速であり、μ0(m/s)=流量(m3/s)/流路面積(m2)である。また、εは空隙率、Pは圧力(Pa)である。
最大孔径(m)=4γcosθ/P
ここで、γは水の表面張力(N/m)、cosθは多孔膜表面と水の接触角(rad)、Pはバブルポイント圧力(Pa)である。
ガス遮断性や低電圧損失等を高いレベルで両立させるといった観点から、多孔膜の気孔率の下限は30%以上であることが好ましく、35%以上であることがより好ましく、40%以上であることが更に好ましい。また、気孔率の上限は70%以下であることが好ましく、65%以下であることがより好ましく、60%以下であることが更に好ましく、55%以下であることが更により好ましい。また、隔膜の気孔率は30%以上70%以下であることが好ましい。多孔膜の気孔率が上記下限値以上であれば、セル電圧を低くすることができる。また、上記上限値以下であれば、ガスの遮断性、機械的強度が良好となり、変形しにくくなる。また、長期間使用しても隙間ができにくく、多孔膜中の細孔が潰れにくい。多孔膜の気孔率が上記上限値以下であれば、膜内をイオンが透過しやすく、膜の電圧損失を抑制できる。また、隔膜の気孔率が30%以上であると、セル電圧が高くなりすぎにくい。また、70%以下であれば、ガスの遮断性、機械的強度が良好となり、変形しにくくなる。また、長期間使用しても隙間ができにくく、多孔膜中の細孔が潰れにくい。
気孔率P(%)=ρ/(1+ρ)×100
ここで、ρ=(W3−W1)/(W3−W2)であり、W1は多孔膜の乾燥質量(g)、W2は多孔膜の水中質量(g)、W3は多孔膜の飽水質量(g)である。
多孔膜の厚みが、上記下限値以上であると、突刺し等で破れにくく、電極間がショートしにくい。また、ガス遮断性が良好となる。また、上記上限値以下であると、電圧損失が増大しにくい。また、多孔膜の厚みのばらつきによる影響が少なくなる。
また、隔膜の厚みが、100μm以上であると、突刺し等で破れにくく、電極間がショートしにくい。また、ガス遮断性が良好となる。600μm以下であると、電圧損失が増大しにくい。また、多孔膜の厚みのばらつきによる影響が少なくなる。
多孔膜の厚みが、250μm以上であれば、一層優れたガス遮断性が得られ、また、衝撃に対する多孔膜の強度が一層向上する。この観点より、多孔膜の厚みの下限は、300μm以上であることがより好ましく、350μm以上であることが更に好ましく400μm以上でることがより一層好ましい。一方で、多孔膜の厚みが、700μm以下であれば、運転時に孔内に含まれる電解液の抵抗によりイオンの透過性を阻害されにくく、一層優れたイオン透過性を維持すことができる。かかる観点から、多孔膜の厚みの上限は、600μm以下であることがより好ましく、550μm以下であることが更に好ましく、500μm以下であることがより一層好ましい。特に、高分子樹脂が、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン及びポリフェニルスルホンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含むものである場合に、かかる効果は一層向上する。
なお、隔膜の厚みは、後述の実施例に記載の方法で測定することができる。
多孔膜は、高いイオン透過性及び高いガス遮断性を発現するために親水性無機粒子を含有していることが好ましい。親水性無機粒子は多孔膜の表面に付着していても良いし、一部が多孔膜を構成する高分子材料に埋没していても良い。また親水性無機粒子が多孔膜の空隙部に内包されると、多孔膜から脱離しにくくなり、多孔膜の性能を長時間維持できる。
隔膜4として多孔膜を用いる場合、多孔膜は多孔性支持体と共に用いてよい。好ましくは、多孔膜が多孔性支持体を内在した構造であり、より好ましくは、多孔性支持体の両面に多孔膜を積層した構造である。また、多孔性支持体の両面に対称に多孔膜を積層した構造であってもよい。
イオン交換膜としては、カチオンを選択的に透過させるカチオン交換膜とアニオンを選択的に透過させるアニオン交換膜があり、いずれの交換膜でも使用することができる。
イオン交換膜の材質としては、特に限定されず、公知のものを用いることができる。例えば、含フッ素系樹脂やポリスチレン・ジビニルベンゼン共重合体の変性樹脂が好適に使用できる。特に耐熱性及び耐薬品性等に優れる点で、含フッ素系イオン交換膜が好ましい。
この当量質量EWは、イオン交換膜を塩置換し、その溶液をアルカリ又は酸溶液で逆滴定することにより測定することができる。当量質量EWは、原料であるモノマーの共重合比、モノマー種の選定等により調整することができる。
イオン交換膜の当量質量EWは、親水性、膜の耐水性の観点から300以上であることが好ましく、親水性、イオン交換能の観点から1300以下であることが好ましい。
イオン交換膜の平衡含水率は、樹脂組成物を水とアルコール系溶媒での分散液から成膜し、160℃以下で乾燥した膜を基準とし、23℃、50%関係湿度(RH)での平衡(24Hr放置)飽和吸水率(Wc)で表す。
イオン交換膜の平衡含水率が5質量%以上であると、膜の電気抵抗や電流効率、耐酸化性、イオン選択透過性が良好となる傾向にある。一方、平衡含水率が60質量%以下であると、膜の寸法安定性や強度が良好となり、また水溶解性成分の増加を抑制できる傾向にある。
ここで、膜最大含水率は、前記平衡含水率測定の際に測定される含水率のうち最大値をいう。
ゼロギャップ型セルにおける複極式エレメント60では、極間距離を小さくする手段として、電極2と隔壁1との間に弾性体であるバネを配置し、このバネで電極2を支持する形態をとることが好ましい。例えば、第1の例では、隔壁1に導電性の材料で製作されたバネを取り付け、このバネに電極2を取り付けてよい。また、第2の例では、隔壁1に取り付けた電極リブ6にバネを取り付け、そのバネに電極2を取り付けてよい。なお、このような弾性体を用いた形態を採用する場合には、電極2が隔膜4に接する圧力が不均一にならないように、バネの強度、バネの数、形状等必要に応じて適宜調節する必要がある。
本明細書において、電極、導電性弾性体、集電体の3層積層構造を電極複合体(陽極複合体、陰極複合体)と称する場合がある。
集電体としては、例えば、陰極集電体、陽極集電体が挙げられる。
集電体2rは、その上に積層される導電性弾性体2eや電極2へ電気を伝えるとともに、それらから受ける荷重を支え、電極2から発生するガスを隔壁1側に支障なく通過させる役割がある。従って、この集電体2rの形状は、エキスパンドメタルや打ち抜き多孔板等が好ましい。この場合の集電体2rの開口率は、電極2から発生した水素ガスを支障なく隔壁1側に抜き出せる範囲であることが好ましい。しかし、あまり開口率が大きいと強度が低下する、或いは導電性弾性体2eへの導電性が低下する等の問題が生ずる場合があり、小さすぎるとガス抜けが悪くなる場合がある。
導電性弾性体2eは、集電体2rと電極2の間にあって集電体2r及び電極2と接しており、電気を電極2に伝えること、電極2から発生したガスの拡散を阻害しないことが必須要件である。ガスの拡散が阻害されることにより、電気的抵抗が増加し、また電解に使用される電極2面積が低下することで、電解効率が低下するためである。そして最も重要な役割は、隔膜4を損傷させない程度の適切な圧力を電極2に均等に加えることで、隔膜4と電極2とを密着させることである。
材質は限定されるものではないが、導電性、耐アルカリ性の面からニッケル、ニッケル合金又はステンレススチール又は軟鋼にニッケルメッキを施したものが好ましい。
またこのような導電性弾性体2eの厚みは、通常1mm〜20mm程度のものが使用できる。
なお、50%圧縮変形時の反発力は、JIS K6400に準拠して、測定することができる。例えば、島津製作所社製の品番:AGS−1kNXの卓上形精密万能試験機を、常温、大気圧で、圧縮試験モードの条件下で用いてよい。
導電性弾性体2eの上に、直接電極2を重ねてもよく、或いは、別の導電性シートを介して電極2を重ねてもよい。
本実施形態における複極式電解槽50では、図2に示すとおり、隔壁1と外枠3と隔膜4とにより、電解液が通過する電極室5が画成されている。
図6に、本実施形態の外部ヘッダー型のアルカリ水電解用複極式電解槽の例を平面図で示す。図7に、図6に示すアルカリ水電解用複極式電解槽の例を図6の線B−Bに沿う面により切断したときの断面の一部を示す。
本実施形態においては、複極式電解槽のヘッダー10の配設態様としては、内部ヘッダー10I型(図4及び図5)及び外部ヘッダー10O型(図6及び図7)を採用できるところ、例えば、図4〜図7に示す例の場合、陽極及び陰極自身が占める空間も電極室5の内部にある空間であるものとしてよい。また、特に、図6及び図7に示す例の場合、気液分離ボックスが設けられているが、気液分離ボックスが占める空間も電極室5の内部にある空間であるものとしてよい。
本実施形態のアルカリ水電解用複極式電解槽50では、隔壁1に整流板6(陽極整流板6a、陰極整流板6c)が取り付けられ、整流板6が電極2と物理的に接続されていることが好ましい。かかる構成によれば、整流板6が電極2の支持体(リブ)となり、ゼロギャップ構造Zを維持しやすい。また、整流板6は隔壁1と電気的につながっていることが好ましい。また、整流板6を設けることでは、電極室5内における気液の流れの乱れにより電極室に生じる対流を低減して、局所的な電解液の温度の上昇を抑制することができる。
ここで、整流板6に、電極2が設けられていてもよく、整流板6に、集電体2r、導電性弾性体2e、電極2がこの順に設けられていてもよい。
前述の一例のアルカリ水電解用複極式電解槽50では、陰極室5cにおいて、整流板6−集電体2r−導電性弾性体2e−電極2の順に重ね合わせられた構造が採用され、陽極室5aにおいて、整流板6−電極2の順に重ね合わせられた構造が採用されている。
すなわち、前述の間隔Cの範囲で導電性の整流板6が電極2を支持するように配置することにより、電極2が押圧や電極室5内の液及びガスの圧力によってたわんでしまい、局所的にゼロギャップ構造を損うという現象を、予防することができる。また、上記構成によれば、電極2に均一に電流を伝達させやすく、より高電密の運転においても、より高い効率を維持することが容易になる。
隣接する整流板間の間隔Cは、50mm以上190mm以下であり、より好ましくは50mm以上150mm以下であり、さらに好ましくは60mm以上120mm以下である。陽極整流板6a同士の間隔、又は隣接する陰極整流板6c同士の間隔が狭すぎれば電解液やガスの流動を阻害するだけでなくコストも高くなる欠点がある。整流板を電極と接続されたリブとする場合、リブピッチが50mm以上であると、電極裏面へのガス抜けが良好となる。また広すぎると、陽極室5aと陰極室5cとのわずかな差圧で保持している電極2(陽極2aや陰極2c)が変形する等の欠点が生じる。リブピッチが150mm以下であると電極がたわみにくくなる。
リブピッチは、複数の整流板が一定の間隔(ピッチ)で設けられている場合には、その間隔(ピッチ)をいい(図3参照)、複数の整流板が一定の間隔(ピッチ)で設けられていない場合には、設けられた複数の整流板同士の間隔の平均をいう。また、隣接する2つの整流板間においてその間隔が整流板の延在方向について変化している(一定でない)場合には、当該隣接する2つの整流板間の間隔の平均としてよい。
整流板の数、整流板の長さ、整流板と隔壁とのなす角度、貫通孔の数や貫通孔の隔壁に沿う所与の方向についての間隔(ピッチ)は、本発明の効果が得られる限り、適宜定められてよい。整流板は、隔壁に沿う所与の方向(例えば、鉛直方向としてもよいし、図3に示すように隔壁の平面視形状が略長方形である場合、向かい合う2組の辺のうちの1組の辺の方向と同じ方向としてもよいし、電極の入口ヘッダーが設けられる側の辺と出口ヘッダーが設けられる側の辺との対向方向としてもよい(図3))に対して平行に設けられることが好ましい。陽極整流板のリブピッチと、陰極整流板のリブピッチとは、同一であってもよいし異なっていてもよく、陽極整流板のリブピッチ及び陰極整流板のリブピッチが共に上記範囲を満たすことが好ましい。
陽極整流板6aや陰極整流板6cの隔壁1への取り付けについてはレーザー溶接等が用いられる。
整流板6の高さは、隔壁1から各フランジ部までの距離、ガスケット7の厚さ、電極2(陽極2a、陰極2c)の厚さ、陽極2aと陰極2cとの間の距離等に応じて、適宜に定められてよいが、前述の長さBの0.7倍〜1.0倍としてよく、1.0倍が最も好ましい。
また、整流板6の厚みは、コストや製作性、強度等も考慮して、0.5mm〜5mmとしてよく、1mm〜2mmのものが用いやすいが、特に限定されない。
整流板6の高さは、隔壁1から各フランジ部までの距離、ガスケットの厚さ、電極2(陽極2a、陰極2c)の厚さ、陽極2aと陰極2cとの間の距離等に応じて、適宜に定められてよいが、電極室5の隔壁1に垂直な方向の長さの0.7倍〜1.0倍としてよく、1.0倍が最も好ましい。
整流板6には、特に限定されないが、適宜貫通孔を設けてよく、整流板6の延在方向について等間隔に貫通孔を設けることが好ましい。貫通孔の平面視形状としては、特に限定されないが、矩形としても円形としてもよく、例えば、半径0.5mm〜30mm、特には半径0.5mm〜10mmの半円形状としてよい。また、整流板6の面積に対する貫通孔の面積の割合としては、5%〜95%としてよく、10%〜80%であることが好ましく、20%〜60%であることがより好ましい。貫通孔の面積が、5%以上になると、電解液の槽内の水平方向への通水が円滑化する。95%を超えると機械的な強度が得られず、陽極や陰極集電体の変形が生じる。
本実施形態のアルカリ水電解用複極式電解槽50では、隔壁1を縁取る外枠3同士の間に隔膜4を有するガスケット7が挟持されることが好ましい。
ガスケット7は、複極式エレメント60と隔膜4の間、複極式エレメント60間を電解液と発生ガスに対してシールするために使用され、電解液や発生ガスの電解槽外への漏れや両極室間におけるガス混合を防ぐことができる。
ゴム材料や樹脂材料としては、具体的には、天然ゴム(NR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、シリコーンゴム(SR)、エチレン−プロピレンゴム(EPT)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、フッ素ゴム(FR)、イソブチレン−イソプレンゴム(IIR)、ウレタンゴム(UR)、クロロスルホン化ポリエチレンゴム(CSM)等のゴム材料、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)やテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)、クロロトリフルオエチレン・エチレン共重合体(ECTFE)等のフッ素樹脂材料や、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエチレン、ポリイミド、ポリアセタール等の樹脂材料を用いることができる。これらの中でも、弾性率や耐アルカリ性の観点でエチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、フッ素ゴム(FR)が特に好適である。
このような補強材は公知の金属材料、樹脂材料及び炭素材料等が使用でき、具体的には、ニッケル、ステンレス等の金属、ナイロン、ポリプロピレン、PVDF、PTFE、PPS等の樹脂、カーボン粒子や炭素繊維等の炭素材料が挙げられる。
補強材の形状としては、織布、不織布、短繊維、多孔膜等の形状のものが好適である。さらに、ガスケット7の表面に保護層が設けられていてもよい。これにより、ガスケット7とエレメント間の密着性を向上させることや、ガスケット7の耐アルカリ性を向上させることもできる。このような保護層の材質としても、ガスケット7の材質の中から選択できる。
また、前記の突出部を設ける際の突出部の高さも、特に制限されるものではないが、十分な押し圧を発現するために、0.5mm〜5mmであることが好ましい。
なお、引張応力は、JIS K6251に準拠して、測定することができる。例えば、島津製作所社製のオートグラフAGを用いてよい。
アルカリ水電解用複極式電解槽50は、電解セル65毎に、陰極室5c、陽極室5aを有する。電解槽50で、電気分解反応を連続的に行うためには、各電解セル65の陰極室5cと陽極室5aとに電気分解によって消費される原料を十分に含んだ電解液を供給し続ける必要がある。
内部ヘッダー10I型とは、複極式電解槽50とヘッダー10(電解液を配液又は集液する管)とが一体化されている形式をいう。
外部ヘッダー10O型とは、複極式電解槽50とヘッダー10(電解液を配液又は集液する管)とが独立している形式をいう。
図6及び図7に示す外部ヘッダー10O型の例では、隔壁1の端縁にある外枠3のうちの下方に位置する部分に設けられたヘッダー10用貫通孔に、管腔状部材が設置され、管腔状部材が、陽極入口ヘッダー10Oai及び陰極入口ヘッダー10Ociに接続されており、また、同様に、隔壁1の端縁にある外枠3のうちの上方に位置する部分に設けられたヘッダー10用貫通孔に、管腔状部材(例えば、ホースやチューブ等)が設置され、かかる管腔状部材が、陽極出口ヘッダー10Oao及び陰極出口ヘッダー10Ocoに接続されている。
図8に、本実施形態のアルカリ水電解用電解装置の概要を示す。
本実施形態のアルカリ水電解用電解装置70は、本実施形態のアルカリ水電解用複極式電解槽50と、電解液を循環させるための送液ポンプ71と、電解液と水素及び/又は酸素とを分離する気液分離タンク72と、電解により消費した水を補給するための水補給器73とを有する。
すなわち、本実施形態によれば、高電流密度での運転や変動電源での運転で用いてアルカリ水電解を行った際に、電解室出口の高温化を低減することで、電解液の温度の上昇を抑制し、電解室内における気液の流れの乱れにより電解室に生じる対流を低減して、局所的な電解液の温度の上昇を抑制することが可能となる。
本実施形態において用いられる送液ポンプ71としては、特に限定されず、適宜定められてよい。
本実施形態において用いられる気液分離タンク72は、電解液と水素ガスとを分離する水素分離タンク72hと、電解液と酸素ガスとを分離する酸素分離タンク72oとを含む。
水素分離タンク72hは陰極室5cに接続され、酸素分離タンク72oは陽極室5aに接続されて用いられる。
本実施形態において用いられる水補給器73としては、特に限定されず、適宜定められてよい。
水としては、一般上水を使用してもよいが、長期間に渡る運転を考慮した場合、イオン交換水、RO水、超純水等を使用することが好ましい。
−その他−
本実施形態のアルカリ水電解用電解装置70は、複極式電解槽50、気液分離タンク72、水補給器73以外にも、整流器74、酸素濃度計75、水素濃度計76、流量計77、圧力計78、熱交換器79、圧力制御弁80を備えてよい。
本実施形態のアルカリ水電解方法は、本実施形態のアルカリ水電解用電解装置70を用いて、下記式(3)から算出される電解液レイノルズ数Reを10〜1800として、電解液を循環させて電解を行う、
式(3):Re=Q/(電極室当たりの整流板の数+1)×{(2×D)/(B+C)}/(ν×D)
(式中、Qは、電極室当たりの電解液の流量(m3/秒)を示し、νは、電解液の動粘度(m2/秒)を示す)
そして、A、B、C、Dの好適範囲は、本実施形態の複極式電解槽50について前述のとおりとしてよい。すなわち、電解セルのA、B、C、Dの設計に応じて、電極室当たりの電解液の流量Qを、電解液レイノルズ数Reが10〜1800の範囲になるように、制御すればよい。
すなわち、本実施形態によれば、高電流密度での運転や変動電源での運転で用いてアルカリ水電解を行った際に、電解室出口の高温化を低減することで、電解液の温度の上昇を抑制し、電解室内における気液の流れの乱れにより電解室に生じる対流を低減して、局所的な電解液の温度の上昇を抑制することができることに加えて、気液比の変動による圧力の変動を抑制することができる。
アルカリ塩の濃度としては、20質量%〜50質量%が好ましく、25質量%〜40質量%がより好ましい。
本実施形態では、イオン導電率、動粘度、冷温化での凍結の観点から、25質量%〜40質量%のKOH水溶液が特に好ましい。
電解液の動粘度νは、電解液の種類、濃度、温度によって決まるものである。
上記温度範囲とすれば、高い電解効率を維持しながら、ガスケット7、隔膜4等の電解装置70の部材が熱により劣化することを効果的に抑制することができる。
本実施形態の水素製造方法は、アルカリを含有する水を電解槽により水電解し、水素を製造するものであり、本実施形態の電解槽、本実施形態の電解装置、本実施形態の水電解方法を用いて実施されてよい。
電解槽は、陽極と、陰極と、陽極と陰極とを隔離する隔壁と、隔壁を縁取る外枠とを備える複数の複極式エレメントが隔膜を挟んで重ね合わせられ、隔膜が陽極及び陰極と接触しており、隔壁と外枠と隔膜とにより画成される電極室に隔壁に沿う所与の方向に対して平行に複数の整流板が設けられた電解槽である。かかる電解槽はゼロギャップ構造を形成していてもよい。
電解槽は、電極室の隔壁に沿う所与の方向の長さAが、0.40m以上4.0m以下であり、電極室の隔壁に垂直な方向の長さBが、0.0030m以上0.030m以下であり、複数の整流板の間隔Cが、0.050m以上0.19m以下である。
実施例A1では、下記に説明するとおり、水電解中に発生するガスの流れを視認可能なモデル電解槽を使用して、アルカリ水電解を行った。
図9に、本実施例Aのモデル電解槽の概要を示す。(A)に、モデル電解槽の正面図(左図)及び側面図(右図)を示し、(B)に、モデル電解槽の電極室を形成したアクリル板を斜視図で示し、(C)に、モデル電解槽におけるゼロギャップ構造を示す。
モデル電解槽を構成する隔壁及び外枠3として、電解セル内部を視認できる透明な材質(アクリル)で構成されているセル枠を用いた。
まず、厚みQ:75mm、横幅R:300mm、縦幅P:1.45m又は2.65mのアクリル板を用意した。
次いで、このアクリル板を、図9(B)に示すように、片面側から電極室となる空間の分(所定の厚み、横幅:250mm、所定の縦幅)だけ削り、所望の長さA及び長さBを有する所望のサイズの電極室を有する箱型のセル枠を準備した。
例えば、長さAを1.2mとした例では、縦幅P:1.45mのアクリル板を用意し、長さAを2.4mとした例では、縦幅P:2.65mのアクリル板を用意した。いずれの場合にも、平面視において、電極室がアクリル板の中央に位置するように、配置した。
そして、整流板として、厚さ3mmのアクリル板を、横幅Rの方向に沿って所望の間隔Cで、2枚〜4枚設けた。このとき、2〜4枚の整流板は、電極室の横幅Rの方向の中心に関して対称となるように配置した。また、整流板の延在方向の端と電極室との縦幅Pの方向の間隔は、両端において100mmとした。
陽極としては、あらかじめブラスト処理を施したニッケルエキスパンド基材を用い、酸化ニッケルの造粒物をプラズマ溶射法によって導電性基材の両面に吹き付けて製作した。
陽極のサイズは、電解室のサイズと同様とした。
導電性基材として、直径0.15mmのニッケルの細線を40メッシュの目開きで編んだ平織メッシュ基材上に白金を担持したものを用いた。なお、陰極の厚さは、0.3mmであった。
陰極のサイズは、電解室のサイズと同様とした。
酸化ジルコニウム(「EP酸化ジルコニウム」、第一稀元素化学工業社製)とN−メチル−2−ピロリドン(和光純薬工業社製)を、粒径0.5mmのSUSボールが入ったボールミルポットに投入した。これらを回転数70rpmで3時間撹拌して、分散させて混合物を得た。得られた混合物を、ステンレス製のざる(網目30メッシュ)により濾過し、混合物からボールを分離した。ボールを分離した混合物にポリスルホン(「ユーデル」(登録商標)、ソルベイアドバンストポリマーズ社製)及びポリビニルピロリドン(重量平均分子量(Mw)900000、和光純薬工業社製)を加え、スリーワンモータを用いて12時間撹拌して溶解させ、以下の成分組成の塗工液を得た。
ポリスルホン:15質量部
ポリビニルピロリドン:6質量部
N−メチル−2−ピロリドン:70質量部
酸化ジルコニウム:45質量部
蒸気下への晒し時間と、凝固浴中への浸漬時間を調整することで、平均透水孔径及び、気孔率を調整し、平均透水孔径0.2μm、厚み500μm、気孔率50%の多孔膜である隔膜を得た。
実施例Aでは、前述のとおり、発明の効果をよりよく理解する目的で、図9(B)に示すように、アクリル板を片面側から削って得られた空間を電極室とした。
電極室の電解液通過方向の長さA、電極室の隔壁に垂直な方向の長さBは、表1に示すとおりとした。
ガスケットとして、EPDMゴムを材質とし、100%変形時の弾性率が4.0MPaであるものを用いた。
セル枠と電極との間に挿入したガスケットは、厚みが4.0mmであり、平面視での開口部の寸法がアクリル製のセル枠の電極室の寸法であるものを使用した。
特に、陰極と陽極との間に挿入したガスケットは、厚みが4.0mmであり、平面視での開口部の寸法がアクリル製のセル枠の電極室の寸法であり、ここで、開口部の内壁の厚み方向中央部分に、隔膜を挿入することでこれを保持するための、厚み0.4mmのスリット構造を有するものを使用した。
モデル電解槽では、図9(C)に示すように、前述の隔膜を保持したガスケットを介してスタックさせることで、陰極と陽極とを隔膜の両側から押し付けて接触させ、ゼロギャップ構造Zを形成した。
陽極側では陽極のみを用い、陰極側は「陰極−導電性弾性体−集電体」の組み合わせを用いた。
陽極としては、前述のものを用いた。集電体として、あらかじめブラスト処理を施したニッケルエキスパンド基材を用いた。基材の厚みは1mmであり、開口率は54%であった。陰極としては前述のものを用い、導電性弾性体として、線径0.15mmのニッケル製ワイヤーの織物を波高さ5mmになるように波付け加工したものを使用した。厚みは5mmであり、50%圧縮変形時の反発力は150g/cm2、目開きは5メッシュ程度、密度は0.708g/cm3であった。導電性弾性体を集電体上にスポット溶接して固定した。この時、隔膜を挟んだ陽極と陰極集電体との距離aが1mmであり、隔膜が陽極及び陰極と接触しゼロギャップ構造を形成していた。面圧は29.4kN/m2であった。
ゼロギャップ構造Zを有するモデル電解槽においては、図9(A)に示すように、モデル電解槽では筐体となるアクリル製のセル枠に、電解液を通過させるホース(陽極入口側ホース10Oai、陽極出口側ホース10Oao、陰極入口側ホース10Oci、陰極出口側ホース10Oco)を、外部から取り付けて、外部ヘッダー型の電解槽とした。
陰極入口側ホース10Ociを介して陰極室5cへ、陰極室5cから陰極出口側ホース10Ocoを介して、電解液を流した。
また、陽極入口側ホース10Oaiを介して陽極室5aへ、陽極室5aから陽極出口側ホース10Oaoを介して、電解液を流した。
入口側ホースはセル枠の下側中央に、出口側ホースはセル枠の上側中央に、それぞれ接続されているため、電解液は、鉛直方向の下方から上方へ流れ、電極面に沿って上昇した。
モデル電解槽では、陽極室5aや陰極室5cの入口側ホースから、陽極室5aや陰極室5cに、電解液が流入し、陽極室5aや陰極室5cの出口側ホースから、電解液と生成ガスとが、電解槽外へ流出する構造とした。
陰極室5cでは、電解により水素ガスが発生し、陽極室5aでは、電解により酸素ガスが発生するため、前述した、陰極出口側ホース10Ocoでは、電解液と水素ガスとの混相流となり、陽極出口側ホース10Oaoでは、電解液と酸素ガスとの混相流となった。
整流器からモデル電解槽に対して、モデル電解槽の陰極及び陽極の面積に対して、10kA/m2となるように通電をした。実施例A及び比較例Aにおいて、電極面積が250mm×1200mmである場合には、3.0kAを通電し、電極面積が250mm×2400mmである場合には、6.0kAを通電した。
電極室当たりの電解液の流量Q(m3/秒)は、横河電機(株)社製の電磁流量計AXF025で測定した。
電解液レイノルズ数Reを、下記式(1)
式(1):Re=Q/(電極室当たりの整流板の数+1)×{(2×D)/(B+C)}/(ν×D)
(式中、Qは、電極室当たりの電解液の流量(m3/秒)を示し、νは、電解液の動粘度(m2/秒)を示す)
から算出した。
電解液の温度は、モデル電解槽の入口においてK熱電対で測定した。
気液分離タンクの液量は、それぞれ設計容積の50%程度とした。
電解中の電解セルにおける液・ガス滞留性の評価として、モデル電解槽の目視評価により、電極室内のバックミキシング現象の発生度合を、以下の評価基準で評価した。結果を表1に示す。
<評価基準>
A(優れる):発生頻度は少なく、数秒ですぐに消失する
B(良好):発生頻度は多いが、数秒ですぐに消失する
C(実用可能):発生頻度は多く、5分以上消失しない
D(不良):常に発生しており、消失しない
電解中の電解セルにおいて複極式エレメントの電極室内の上下に均等配置した6箇所に挿入した熱電対により電解液の温度を計測し、6箇所における温度差の最大値を算出した。そして、温度差の最大値について以下の評価基準で評価した。結果を表1に示す。
<評価基準>
A(優れる):4℃未満
B(良好):4℃以上25℃未満
C(実用可能):25℃以上50℃未満
D(不良):50℃以上
圧力変動の評価として、陰極側出側ホース内の液・ガスの二相流状態を目視により評価した。結果を表1に示す。
<評価基準>
A(優れる):層状流で二相が分離している、連続的な流れを形成している
B(良好):波状流で二相が分離している、連続的な流れを形成している
C(実用可能):スラグ流で二相は分離しておらず、断続的な流れが見られる
D(不良):乱れた間欠流で常に断続的な流れが発生している
電解後の陽極を取り出し、電極のたわみ量を計測した。結果を表1に示す。
<評価基準>
A(優れる):0.03mm未満
B(良好):0.03mm以上0.13mm未満
C(実用可能):0.13mm以上2.0mm未満
D(不良):2.0mm以上
通電開始から60分後の時点でのセル電圧(V)を測定した。結果を表1に示す。
モデル電解槽の構成及び水電解の条件を表1に示すとおりとした以外は実施例A1と同様にアルカリ水電解を行った。
特に、比較例A5においては、長さAが2.4m、長さBが0.015m、間隔Cが0.06m、断面積Dが0.0009、2×D/(B+C)が0.024、であるモデル電解槽を2つ用意した。そして、1つ目のモデル電解槽に取り付けた陰極出口側ホースを2つ目のモデル電解槽の陰極入口側ホースと連結させ、また、1つ目のモデル電解槽の陽極出口側ホースを2つ目のモデル電解槽の陽極入口側ホースと連結させて、2つのモデル電解槽を長さAの方向に関して連なるように並べて、長さAが4.8mに相当するモデル電解槽を用意した。
アルカリ水電解用複極式セル及びそれを用いたアルカリ水電解用電解装置は、下記のとおり作製した。
複極式エレメントとして、陽極と陰極とを区画する隔壁と隔壁を取り囲む外枠とが一体化されたニッケル製の部材を用いた。隔壁の平面視でのサイズは、縦500mm×横580mmとし、厚みは2mmとした。
隔壁の陽極室側に、高さ25mm、厚み1.5mmのニッケル製の陽極側整流板(陽極側リブ)を5枚、隔壁の陰極室側に、高さ25mm、厚み1.5mmのニッケル製の陰極側整流板(陰極側リブ)を5枚、溶接により、95mmの間隔(外枠−整流板距離は95.5mm)で、取り付けた。
整流板には、隔壁に溶接された側に、半径10mmの半円形状の穴を、整流板の延在方向について等間隔に、12か所設けた。
実施例A1において使用した陽極、陰極、隔膜、ガスケットと同様のものを使用した。
陽極及び陰極の平面視でのサイズは、500mm×580mmとした。
複極式エレメントを5個使用し、図1に示すように、一方の端側で、ファストヘッド、絶縁板、陽極ターミナルエレメントを配置し、さらに、陽極側ガスケット部分、隔膜、陰極側ガスケット部分、複極式エレメントをこの順に並べたものを5組配置し、さらに、陽極側ガスケット部分、隔膜、電陰極側ガスケット部分を配置し、もう一方の端側で、陰極ターミナルエレメント、絶縁板、ルーズヘッドを配列し、その後、これらをファストヘッド及びルーズヘッドの両側から8本のタイロッドを使用し、各タイロッドをトルクレンチにより締め付けトルク59N・mで締め付けることでスタックし、複極式電解槽を組み立てた。
この実施例においては、陰極室及び陽極室が、それぞれ5室ある5対の直列接続構造を有していた。
ゼロギャップ型の複極式エレメントは、隔壁に垂直な方向にみて、縦540mm×横620mmの長方形の形状を有していた。
電極室の隔壁に垂直な方向の長さ(電極室の深さ)は、陽極室で25mmであり、陰極室で25mmであった。
前述のとおり、複極式電解槽を組み立てることによって、図2に示すような、陰極と陽極とを隔膜の両側から押し付けて接触させ、ゼロギャップ構造を形成した。
陽極側では陽極のみを用い、陰極側は「陰極−導電性弾性体−集電体」の組み合わせを用い、ゼロギャップ構造の詳細は、実施例A1と同様とした。
この実施例の複極式電解槽50では、図6に示すように、この実施例の複極式電解槽50では、電解槽50の筐体の外方に、電解液を配液及び集液するための導管20(陽極用配液管20Oai、陰極用配液管20Oci、陽極用集液管20Oao、陰極用集液管20Oco)が設けられている。
更に、この電解槽50では、これらの導管20から電解室5に電解液を通過させるホース(陽極入口側ホース10Oai、陽極出口側ホース10Oao、陰極入口側ホース10Oci、陰極出口側ホース10Oco)を、外部から取り付けた。
なお、各ホース(10Oai、10Oao、10Oci、10Oco)には、それぞれ熱電対を設置し、電極室を通過する前後での電解液の温度差を測定した。
こうして、外部ヘッダー型の電解槽を作製した。
陰極入口側ホース10Ociを介して陰極室5cへ、陰極室5cから陰極出口側ホース10Ocoを介して、電解液を流した。
また、陽極入口側ホース10Oaiを介して陽極室5aへ、陽極室5aから陽極出口側ホース10Oaoを介して、電解液を流した。
図6に示すように、入口側ホースは平面視で長方形の外枠の下辺の一方端側に、出口側ホースは平面視で長方形の外枠の下辺の他方端側に繋がる側辺の上側に、それぞれ接続されている。ここでは、入口側ホースと出口側ホースとを、平面視で長方形の電解室において電極室の電極室の中央部を挟んで向かい合うように、設けた。電解液は、鉛直方向に対して傾斜しながら下方から上方へ流れ、電極面に沿って上昇した。
この実施例の複極式電解槽では、陽極室5aや陰極室5cの入口側ホースから、陽極室5aや陰極室5cに、電解液が流入し、陽極室5aや陰極室5cの出口側ホースから、電解液と生成ガスとが、電解槽外へ流出する構造とした。
陰極室5cでは、電解により水素ガスが発生し、陽極室5aでは、電解により酸素ガスが発生するため、前述した、陰極出口側ホース10Ocoでは、電解液と水素ガスとの混相流となり、陽極出口側ホース10Oaoでは、電解液と酸素ガスとの混相流となった。
図10に、本実施例Aの外部ヘッダー型の複極式電解槽の側面図の一部を電解液の流れと共に示す。
送液ポンプ、気液分離タンク、水補給器等としても、実施例A1において使用したものと同様のものを用いて、アルカリ水電解装置を作製した(図8参照)。
整流器から複極式電解槽に対して、複極式電解槽の陰極及び陽極の面積に対して、10kA/m2となるように通電をした。
送液ポンプにより、陽極室、酸素分離タンク(陽極用気液分離タンク)、陽極室1aの循環を、また、陰極室、水素分離タンク(陰極用気液分離タンク)、陰極室、の循環を行った。
詳細な条件は表2に示すとおりとした。
整流器から電解槽に対して、電流密度が10kA/m2となるように連続で通電し、水電解を行った。
この際、実施例A8では、表2に示すような3つの条件で、水電解を行った。それぞれの条件において、100時間ずつ運転し、80時間経過時に、前述の(1)〜(5)の評価のうち、特に(2)〜(5)の評価を行った。
詳細な条件及び結果を表2に示す。
アルカリ水電解用電解槽を下記の通りに作製した。
複極式エレメントとして、陽極と陰極とを区画する隔壁と、隔壁を取り囲む外枠と、を備えたものを用いた。隔壁及び複極式エレメントのフレーム等の電解液に接液する部材の材料は、全てニッケルとした。
実施例A1と同じものを用いた。
この電極を、50cm角に切断加工したものを陽極とした。
実施例A1と同じものを用いた。
導電性弾性体は、線径0.15mmのニッケル製ワイヤーを織ったものを、波高さ5mmになるように波付け加工したものを使用した。厚みは5mmであり、密度は4.249g/cm3であった。50%圧縮変形時の反発力は150g/cm2、目開きは5メッシュ程度であった。
実施例A1と同じものを用いた。
ガスケットは、厚み4.0mm、幅18mmの内寸504mm角の四角形状のもので、内側に平面視で電極室と同じ寸法の開口部を有し、隔膜を挿入することで保持するためのスリット構造を有するものを使用した。スリット構造は、開口部の内壁の厚み方向の中央部分に、隔壁を挿入することでこれを保持するための、0.4mmの隙間を設けた構造とした。このガスケットは、EPDMゴムを材質とし、100%変形時の弾性率が4.0MPaであった。
隔壁に対して陰極側に陰極リブ、陰極集電体、上記導電性弾性体、上記陰極がこの順に重ねられ、隔壁に対して陽極側に陽極リブ、上記陽極がこの順に重ねられた複極式エレメントを作製した(図4参照)。
また、陽極ターミナルフレームに上記陽極を取り付けたものを陽極ターミナルエレメント、陰極ターミナルフレームに上記陰極を取り付けたものを陰極ターミナルエレメントとした。
そして、上記複極式エレメントを9枠、上記陽極ターミナルエレメント及び上記陰極ターミナルエレメントを各々1枠ずつ用意し、全ての複極式エレメントと陽極ターミナルエレメントと陰極ターミナルエレメントの金属フレーム部分に上記ガスケットを貼り付けた。
上記陽極ターミナルエレメントと、上記複極式エレメントの陰極との間に、隔膜を一枚挟み込んだ。更に、9枠の複極式エレメントを、陽極と陰極とが対向するように、直列に並べ、各々の複極式エレメントの間に、8枚の隔膜を1枚ずつ挟み込んだ。更に、9枠目の複極式エレメントの陽極側と、陰極ターミナルエレメントの間に隔膜を一枚挟み込んだ。これらをプレス機で締付けたものを、複極式電解槽とした。複極式電解槽は、図1に示すように、一方の端側で、ファストヘッド、絶縁板、陽極ターミナルユニットの順に配置し、もう一方の端側で、陰極ターミナルユニット、絶縁板、ルーズヘッドの順で配置した。
なお、上記複極式電解槽において、複極式エレメントの通電面の面積S1は、0.25m2に調整した。また、ゼロギャップ構造において、隔膜を挟んだ陽極と陰極集電体との距離aが1mmになるように、陰極リブ及び陽極リブの高さを調整した。隔膜が陽極及び陰極と接触してゼロギャップ構造を形成していた。
また、導電性弾性体の線径は0.15mmであった。導電性弾性体の密度は4.249g/cm3であった。ゼロギャップ構造において、隔膜と陰極との間にかかる面圧は98.1kN/m2であった。
内部ヘッダー型の複極式エレメントを採用した。
そして、図3、図4に示すように、ヘッダー(陽極入口ヘッダー10ai、陰極入口ヘッダー10ci、陽極出口ヘッダー10ao、陰極出口ヘッダー10co)を、複極式エレメントの外枠に配置した。各ヘッダーは、導管(陽極用配液管、陰極用配液管、陽極用集液管、陰極用集液管)のいずれもが、複極式エレメントの隔壁に垂直な方向に延びるように、配置した。
こうして、内部ヘッダー型の電解槽を作製した。
陰極入口ヘッダー10ciを介して陰極室5cへ、陰極室5cから陰極出口ヘッダー10coを介して、電解液を流した。また、陽極入口ヘッダー10aiを介して陽極室5aへ、陽極室5aから陽極出口ヘッダー10coを介して、電解液を流した。
複極式電解槽では、陽極室5aや陰極室5cの電解液入口から、陽極室5aや陰極室5cに、電解液が流入し、陽極室5aや陰極室5cの電解液出口から、電解液と生成ガスとが、電解槽外へ流出する構造とした。
陰極室5cでは、電解により水素ガスが発生し、陽極室5aでは、電解により酸素ガスが発生するため、陰極出口ヘッダー10coでは、電解液と水素ガスとの混相流となり、陽極出口ヘッダー10coでは、電解液と酸素ガスとの混相流となった。
ゼロギャップ構造において、陽極と陰極集電体との距離aが2mmになるように、陰極リブ及び陽極リブの高さを調整したこと以外は、実施例B1と同様にして複極式電解槽を得た。隔膜が陽極及び陰極と接触してゼロギャップ構造を形成していた。
また、導電性弾性体の線径は0.15mmであった。導電性弾性体の密度は0.708g/cm3であった。ゼロギャップ構造において、隔膜と陰極との間にかかる面圧は29.4kN/m2であった。
ゼロギャップ構造において、陽極と陰極集電体との距離aが5.8mmになるように、陰極リブ及び陽極リブの高さを調整したこと以外は、実施例B1と同様にして複極式電解槽を得た。隔膜が陽極及び陰極と接触してゼロギャップ構造を形成していた。
また、導電性弾性体の線径は0.15mmであった。導電性弾性体の密度は0.170g/cm3であった。ゼロギャップ構造において、隔膜と陰極との間にかかる面圧は9.81kN/m2であった。
ゼロギャップ構造において、陽極と陰極集電体との距離aが1mmになるように、陰極リブ及び陽極リブの高さを調整したこと以外は、実施例B1と同様にして複極式電解槽を得た。隔膜が陽極及び陰極と接触してゼロギャップ構造を形成していた。
また、導電性弾性体の線径は0.1mmであった。導電性弾性体の密度は2.833g/cm3であった。ゼロギャップ構造において、隔膜と陰極との間にかかる面圧は88.3kN/m2であった。
ゼロギャップ構造において、陽極と陰極集電体との距離aが2mmになるように、陰極リブ及び陽極リブの高さを調整したこと以外は、実施例B1と同様にして複極式電解槽を得た。隔膜が陽極及び陰極と接触してゼロギャップ構造を形成していた。
また、導電性弾性体の線径は0.1mmであった。導電性弾性体の密度は0.472g/cm3であった。ゼロギャップ構造において、隔膜と陰極との間にかかる面圧は24.5kN/m2であった。
ゼロギャップ構造において、陽極と陰極集電体との距離が5.8mmになるように、陰極リブ及び陽極リブの高さを調整したこと以外は、実施例B1と同様にして複極式電解槽を得た。隔膜が陽極及び陰極と接触してゼロギャップ構造を形成していた。
また、導電性弾性体の線径は0.1mmであった。導電性弾性体の密度は0.113g/cm3であった。ゼロギャップ構造において、隔膜と陰極との間にかかる面圧は9.81kN/m2であった。
ゼロギャップ構造において、陽極と陰極集電体との距離が2mmになるように、陰極リブ及び陽極リブの高さを調整したこと以外は、実施例B1と同様にして複極式電解槽を得た。隔膜が陽極及び陰極と接触してゼロギャップ構造を形成していた。
また、導電性弾性体の線径は0.5mmであった。導電性弾性体の密度は2.361g/cm3であった。ゼロギャップ構造において、隔膜と陰極との間にかかる面圧は93.2kN/m2であった。
ゼロギャップ構造において、陽極と陰極集電体との距離が0.95mmになるように、陰極リブ及び陽極リブの高さを調整したこと以外は、実施例B1と同様にして複極式電解槽を得た。隔膜が陽極及び陰極と接触してゼロギャップ構造を形成していた。
また、導電性弾性体の線径は0.15mmであった。導電性弾性体の密度は5.665g/cm3であった。ゼロギャップ構造において、隔膜と陰極との間にかかる面圧は147kN/m2であった。
ゼロギャップ構造において、陽極と陰極集電体との距離が6.8mmになるように、陰極リブ及び陽極リブの高さを調整したこと以外は、実施例B1と同様にして複極式電解槽を得た。隔膜が陽極及び陰極と接触してゼロギャップ構造を形成していた。
また、導電性弾性体の線径は0.15mmであった。導電性弾性体の密度は0.142g/cm3であった。ゼロギャップ構造において、隔膜と陰極との間にかかる面圧は0.981kN/m2であった。
(陽極と陰極集電体との距離)
実施例B、比較例Bで得られた複極式電解槽において、陰極集電体と導電性弾性体とが接する面と、陽極と隔膜と接する面間の距離a(図2)(mm)を測定した。
島津製作所のオートグラフの圧縮測定モードを用いて測定した。
10cm角の開口部を持った、深さ2cmのポリ塩化ビニル製の受け用治具に、陰極集電体、導電性弾性体、陰極、隔膜、陽極の順で重ね入れた。9.9cm角の正方形の押し器を、オートグラフに取付けた。押し器を用いて、垂直に押し込みながら、陽極と陰極集電体との距離が表1の値となる時の、隔膜と陰極との間にかかる面圧(kN/m2)を測定した。
導電性弾性体を10cm角に切断加工し、電子天秤にて質量を測定した。この導電性弾性体に、上記隔膜と陰極との間にかかる面圧を測定した際に導電性弾性体にかかる圧力と同じ圧力をかけ、導電性弾性体が圧縮された時の容積を測定した。そして、導電性弾性体の質量を圧縮時の導電性弾性体の容積で除して、導電性弾性体の密度(g/cm3)を求めた。
実施例B、比較例Bで得られた複極式電解槽から、導電性弾性体を切り出し、切り出した導電性弾性体断面に見られる100本の繊維の線径を測定し、その平均値を線径(mm)とした。
実施例B、比較例Bで得られた複極式電解槽から、隔膜を切り出し、完全性試験機(ザルトリウス・ステディム・ジャパン社製、「Sartocheck Junior BP−Plus」)を使用して、以下の方法で測定した。
まず、隔膜(多孔膜)を芯材も含めて所定の大きさに切り出して、これをサンプルとした。このサンプルを測定用の耐圧容器(透過部面積12.57cm2)にセットして、容器内を150mLの純水で満たした。次に、耐圧容器を90℃に設定した恒温槽内で保持し、耐圧容器内部が90℃になってから測定を開始した。測定が始まると、サンプルの上面側が窒素で加圧されていき、サンプルの下面側から純水が透過してくるので、圧力及び透過流量の数値を記録した。平均透水孔径は、圧力が10kPaから30kPaの間の圧力と透水流量との勾配を使い、以下のハーゲンポアズイユの式から求めた。
平均透水孔径(m)=32ηLμ0/(εP)
ここで、ηは水の粘度(Pa・s)、Lは多孔膜の厚み(m)、μ0は見かけの流速であり
μ0(m/s)=流量(m3/s)/流路面積(m2)
の関係を満たす。また、εは空隙率、Pは圧力(Pa)である。
実施例B、比較例Bで得られた複極式電解槽の全ての隔膜の厚さを測定し、その平均値を隔膜の厚み(mm)とした。
隔膜の気孔率は、電子天秤精密比重計(島津製作所社製、「AUX120+SMK−401」)を用いて測定した。アルキメデス法により求めた多孔膜の開気孔率をアルカリ水電解用隔膜の気孔率とし、以下の式により求めた。まず、実施例B、比較例Bで得られた複極式電解槽から、隔膜を切り出し、純水で洗浄して、多孔膜を3cm×3cmの大きさで3枚に切出して、測定サンプルとし、サンプルのW2及びW3を測定した。その後、多孔膜を50℃に設定された乾燥機で12時間以上静置して乾燥させて、W1を測定した。そして、W1、W2、W3の値から、気孔率を求めた。3枚のサンプルを用意して、気孔率Pを求め、それらの算術平均値を気孔率とした。
気孔率P(%)=ρ/(1+ρ)×100
(式中、ρ=(W3−W1)/(W3−W2)であり、W1は多孔膜の乾燥質量(g)、W2は多孔膜の水中質量(g)、W3は多孔膜の飽水質量(g)である。)
実施例B、比較例Bで得られた複極式電解槽を用いて、図5に示す電解装置を作製した。
酸素濃度計、水素濃度計、圧力計、整流器、送液ポンプ、気液分離タンク、水補給器等は、いずれも当該技術分野において通常使用されるものを用いて、アルカリ水電解装置を作製した。
電解装置は、複極式電解槽50と、電解液を循環させるための送液ポンプ71と、電解液と水素及び/又は酸素とを分離する気液分離タンク72とを備え、気液分離タンク72及び複極式電解槽50には30%KOH水溶液である電解液が封入されており、送液ポンプ71により、複極式電解槽50の陽極室5a、陽極用の気液分離タンク72、陽極室5aを循環し、また、複極式電解槽50の陰極室5b、陰極用の気液分離タンク72、陰極室5cを循環している。温度は90℃に調整した。
なお、上記電解装置は、気液分離タンク72で分離した気体が圧力計78、圧力制御弁80、酸素濃度計75又は水素濃度計76、を通して回収される。また、整流器74により電力は制御可能である。また、循環する電解液の流路には、流量計77、熱交換器79が備えられている。また、図5中の矢印は、循環液(電解液)及び気体が流れる方向を示している。
循環流路は電解液接液部には、SGP炭素鋼配管にテフロン(登録商標)ライニング内面処理を施し、20Aの配管を用いた。気液分離タンク72は、高さ1400mm、容積1m3のものを用いた。
各気液分離タンク72の液量は、設計容積の50%程度とした。
図3に、セル電圧の測定に用いる電解装置の内部ヘッダー式の複極式電解槽中の、電解液の流れる方向を模式的に示す。図3に示すように、複極式エレメントを平面視すると、陽極側及び陰極側において、それぞれ、入口ヘッダーから出口ヘッダーに向かう方向に電解液を流した。また、複極式電解槽の断面では、隔壁に沿う方向に電解液を流した(図4)。
整流器74から、複極式電解槽50に対して、陰極及び陽極の幾何面積に対して、6kA/m2となるように電流を流した。なお、電極面(通電面)は500mm×500mmであるため、1.5kAを通電した。
上記の電解装置を用いて、電流密度が6kA/m2となるように連続で100時間通電して水電解を行い、各セルの電圧を測定し、セル電圧の相加平均値Vを計算により求めた。
本発明によれば、アルカリ水電解において、再生可能エネルギー等の変動電源下等で運転する場合でも、セル電圧の上昇を抑制することができる。
本発明により、電解装置に与えられる電流密度を大幅に高め、電解設備のスループットを高めて、電解設備について建設コストの削減やフットプリントの改善を実現することが可能になる。
2 電極
2a 陽極
2c 陰極
2e 導電性弾性体
2r 集電体
3 外枠
4 隔膜
5 電極室
5a 陽極室
5c 陰極室
5i 電解液入口
5o 電解液出口
5ai 陽極電解液入口
5ao 陽極電解液出口
5ci 陰極電解液入口
5co 陰極電解液出口
6 整流板(リブ)
6a 陽極整流板(陽極リブ)
6c 陰極整流板(陰極リブ)
7 ガスケット
10 ヘッダー
10ai 陽極入口ヘッダー
10ao 陽極出口ヘッダー
10ci 陰極入口ヘッダー
10co 陰極出口ヘッダー
10I 内部ヘッダー
10O 外部ヘッダー
10Oai 陽極入口ヘッダー(陽極入口側ホース)
10Oao 陽極出口ヘッダー(陽極出口側ホース)
10Oci 陰極入口ヘッダー(陰極入口側ホース)
10Oco 陰極出口ヘッダー(陰極出口側ホース)
20 導管
20ai 陽極用配液管
20ao 陽極用集液管
20ci 陰極用配液管
20co 陰極用集液管
20Oai 陽極用配液管
20Oao 陽極用集液管
20Oci 陰極用配液管
20Oco 陰極用集液管
50 複極式電解槽
51g ファストヘッド、ルーズヘッド
51i 絶縁板
51a 陽極ターミナルエレメント
51c 陰極ターミナルエレメント
51r タイロッド
60 複極式エレメント
65 電解セル
70 電解装置
71 送液ポンプ
72 気液分離タンク
72h 水素分離タンク
72o 酸素分離タンク
73 水補給器
74 整流器
75 酸素濃度計
76 水素濃度計
77 流量計
78 圧力計
79 熱交換器
80 圧力制御弁
D1 隔壁に沿う所与の方向(電解液通過方向)
A 電極室の隔壁に沿う所与の方向の長さ
B 電極室の隔壁に垂直な方向の長さ
C 複数の整流板の間隔
P アクリル板の縦幅
Q アクリル板の横幅
R アクリル板の厚み
Z ゼロギャップ構造
Claims (20)
- 陽極と、陰極と、前記陽極と前記陰極とを隔離する隔壁と、前記隔壁を縁取る外枠とを備える複数のエレメントが隔膜を挟んで重ね合わせられ、前記隔膜が前記陽極及び前記陰極と接触してゼロギャップ構造が形成され、前記隔壁と前記外枠と前記隔膜とにより画成される電極室に互いに平行に並べられた複数の整流板が前記隔壁に沿う所与の方向に平行に設けられた電解槽であり、
前記電極室の前記所与の方向の長さAが、0.40m以上4.0m以下であり、前記電極室の前記隔壁に垂直な方向の長さBが、0.0030m以上0.030m以下であり、前記複数の整流板の間隔Cが、0.050m以上0.19m以下である、
ことを特徴とする、電解槽。 - 陽極と、陰極と、前記陽極と前記陰極とを隔離する隔壁と、前記隔壁を縁取る外枠とを備える複数のエレメントが隔膜を挟んで重ね合わせられ、前記隔膜が前記陽極及び前記陰極と接触してゼロギャップ構造が形成され、前記隔壁と前記外枠と前記隔膜とにより画成される電極室に互いに平行に並べられた複数の整流板が前記隔壁に沿う所与の方向に平行に設けられた電解槽であり、
前記電極室の前記所与の方向の長さAが、0.40m以上4.0m以下であり、前記電極室の前記隔壁に垂直な方向の長さBが、0.0030m以上0.030m以下であり、前記複数の整流板の間隔Cが、0.050m以上0.19m以下である、
ことを特徴とする、アルカリ水電解用電解槽。 - 前記電極室の前記所与の方向に垂直な面における断面積Dが、0.00050m2以上0.0050m2以下であり、{(2×D)/(B+C)}が、0.015m以上0.050m以下である、請求項1又は2に記載の電解槽。
- 前記整流板の少なくとも一部が導電性を有し、前記整流板が前記電極と物理的及び電気的に接続されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の電解槽。
- 隣接する前記エレメント間において前記外枠同士の間に前記隔膜を有するガスケットが挟持され、前記ガスケットは、厚みが3.0mm〜10mm、100%変形時の弾性率が1.0MPa〜10MPaである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の電解槽。
- 前記陽極又は前記陰極と前記隔壁との間に、導電性弾性体及び集電体が、前記導電性弾性体が前記陽極又は前記陰極と前記集電体とに挟まれるように、設けられている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の電解槽。
- 前記導電性弾性体が、ニッケル製のクッションマットである、請求項6に記載の電解槽。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載のアルカリ水電解用電解槽と、電解液を循環させるための送液ポンプと、電解液と水素及び/又は酸素とを分離する気液分離タンクと、水を補給するための水補給器とを含むことを特徴とする、電解装置。
- 請求項8に記載の電解装置を用いて、下記式(1)
式(1):Re=Q/(電極室当たりの整流板の数+1)×{(2×D)/(B+C)}/(ν×D)
(式中、Qは、電極室当たりの電解液の流量(m3/秒)を示し、νは、電解液の動粘度(m2/秒)を示す)
から算出される電解液レイノルズ数Reを10〜1800として電解液を循環させることによって電解を行う
ことを特徴とする、水電解方法。 - 前記電解槽内の前記電解液の温度を、80℃〜130℃とする、請求項9に記載の水電解方法。
- アルカリを含有する水を電解槽により水電解し、水素を製造する水素製造方法において、
前記電解槽は、陽極と、陰極と、前記陽極と前記陰極とを隔離する隔壁と、前記隔壁を縁取る外枠とを備える複数のエレメントが隔膜を挟んで重ね合わせられ、前記隔膜が前記陽極及び前記陰極と接触しており、前記隔壁と前記外枠と前記隔膜とにより画成される電極室に互いに平行に並べられた複数の整流板が前記隔壁に沿う所与の方向に平行に設けられた電解槽であり、
前記電極室の前記所与の方向の長さAが、0.40m以上4.0m以下であり、前記電極室の前記隔壁に垂直な方向の長さBが、0.0030m以上0.030m以下であり、前記複数の整流板の間隔Cが、0.050m以上0.19m以下である、
ことを特徴とする、水素製造方法。 - 前記陽極及び前記陰極を含む複数の前記エレメントが、多孔膜である前記隔膜を挟んで重ね合わされ、
前記陰極と、前記陰極の隔膜側とは反対側に順に設けられた前記導電性弾性体及び陰極集電体とを含む陰極複合体、及び/又は、前記陽極と、前記陽極の隔膜側とは反対側に順に設けられた前記導電性弾性体及び陽極集電体とを含む陽極複合体、を備えており、
前記陽極と前記陰極集電体との距離及び/又は前記陰極と前記陽極集電体との距離が1.0mm以上6.0mm以下であり、
前記導電性弾性体の密度が0.1g/cm3以上4.5g/cm3以下であり、
前記ゼロギャップ構造において、前記隔膜と、前記陽極及び/又は前記陰極との間にかかる面圧が8kN/m2以上100kN/m2以下である、
ことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の電解槽。 - 前記導電性弾性体の線径が0.1mm以上0.5mm以下である、請求項12に記載の電解槽。
- 前記隔膜の平均透水孔径が0.01μm以上1.0μm以下である、請求項12又は13に記載の電解槽。
- 前記隔膜の厚みが100μm以上600μm以下である、請求項12〜14のいずれか1項に記載の電解槽。
- 前記隔膜の気孔率が30%以上70%以下である、請求項12〜15のいずれか1項に記載の電解槽。
- 前記陰極及び前記陽極を固定するためのリブが複数取り付けられ、リブピッチが50mm以上150mm以下である、請求項12〜16のいずれか1項に記載の電解槽。
- 前記エレメントの通電面の面積S1が0.1m2以上10m2以下である、請求項12〜17のいずれか1項に記載の電解槽。
- 前記エレメントの厚みdが10mm以上100mm以下である、請求項12〜18のいずれか1項に記載の電解槽。
- 電解セルを50個以上500個以下含む、請求項12〜19のいずれか1項に記載の電解槽。
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