JP2021172867A - 水電解用複極式電解槽 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、変動電源や運転停止の頻度が高い条件で使用される場合でも長寿命である水電解用複極式電解槽を提供することを目的とする。【解決手段】陽極を備える陽極ターミナルエレメントと、陰極を備える陰極ターミナルエレメントと、陽極ターミナルエレメントと陰極ターミナルエレメントとの間に位置し、陽極と、陰極と、陽極と陰極とを隔離する隔壁と、隔壁を縁取る外枠とを備える複数の複極式エレメントと、隣接する各エレメントの間に配置される隔膜とがガスケットを介してスタックされたセルスタック(a)と;セルスタック(a)の両端に配置され、ガスケットと隔膜との間、及びガスケットと各エレメントとの間に面圧を与えるプレス板(b)と;セルスタック(a)とプレス板(b)とを締結するタイロッド(c)とを備える水電解用複極式電解槽であり、プレス板(b)とセルスタック(a)との間に断熱部材(d)を備えることを特徴とする、水電解用複極式電解槽。【選択図】図1

Description

本発明は、水電解用複極式電解槽に関する。
近年、二酸化炭素等の温室効果ガスによる地球温暖化、化石燃料の埋蔵量の減少等の問題を解決するため、再生可能エネルギーを利用した風力発電や太陽光発電等の技術が注目されている。
再生可能エネルギーは、出力が気候条件に依存するため、その変動が非常に大きいという性質がある。そのため、再生可能エネルギーによる発電で得られた電力を一般電力系統に輸送することが常に可能とはならず、電力需給のアンバランスや電力系統の不安定化等の社会的な影響が懸念されている。
そこで、再生可能エネルギーから発電された電力を、貯蔵及び輸送が可能な形に代えて、これを利用しようとする研究が行われている。具体的には、再生可能エネルギーから発電された電力を利用した水の電気分解(電解)により、貯蔵及び輸送が可能な水素を発生させ、水素をエネルギー源や原料として利用することが検討されている。
水素は、石油精製、化学合成、金属精製等の場面において、工業的に広く利用されており、近年では、燃料電池車(FCV)向けの水素ステーションやスマートコミュニティ、水素発電所等における利用の可能性も広がっている。このため、再生可能エネルギーから特に水素を得る技術の開発に対する期待は高い。
水の電気分解の方法としては、固体高分子型水電解法、高温水蒸気電解法、アルカリ水電解法等があるが、数十年以上前から工業化されていること、大規模に実施することができること、他の水電解装置に比べると安価であること等から、アルカリ水電解は特に有力なものの一つとされている。
しかしながら、今後水電解をエネルギーの貯蔵及び輸送のための手段として適応させるためには、前述のとおり出力の変動が大きい電力を効率的且つ安定的に利用して水電解を行うことを可能にする必要があり、水電解用の電解セルや装置の諸課題を解決することが求められている。
例えば、装置の長寿命化に関し、特許文献1には、顕著に温度が変化する状況下でも長寿命を示すシーリングデバイスを備えた電気化学システム(燃料電池、電解槽等)を得るために、異なる熱膨張係数を有する終端バイポーラプレート及びエンドプレートと、両プレートの間に配置されるシーリングデバイスとを備える電気化学システムにおいて、シーリングデバイスのシーリング機能が、シーリングデバイスに沿ったエンドプレート及び/又は終端バイポーラプレートの摺動によって与えられるように設計したことが報告されている。
また、特許文献2には、500℃以上の高温においてもシールの耐漏洩性が十分である高温蒸気電解槽又は高温燃料電池を得るため、平均熱膨張係数が異なる2つの構成部材間に配置されて構成部材間をシールするアセンブリにおいて、初期クランプによって達成される各構成部材に対して直交する直交方向の圧縮と、シールを熱膨張差により摺動させることによって達成される半径方向の圧縮との組合せによりアセンブリが封止されるように設計したことが報告されている。
特表第2017−509123号公報 特表第2011−526329号公報
また、特に、タイロッドにより複数の電解セルが直列に接続(スタック)された電解槽においては、電解によりセル温度が高温になると、以下のようにタイロッドの増し締めが必要となり、このタイロッドの増し締めが電解槽の寿命を縮める要因となっている。
(1)セル温度が上昇すると、電解セルを構成する電極エレメント間をシールしているガスケットの弾性率が低下するため、ガスケットと各エレメントとの間の面圧(シール面圧)が低下する。加えて、セルからの熱伝導によりタイロッドも昇温し、セル及びタイロッドが膨張して、電解槽全体としてセルのスタック方向の長さが伸びる。タイロッドのスタック方向の熱膨張量(伸び量)がスタックされたセルの熱膨張量(伸び量)よりも大きいと、タイロッドによる締め付け力が弱くなり、シール面圧は更に低下する。
(2)上記(1)のようにしてシール面圧が低下した場合、電解液及び発生ガスの漏れを防ぐために、タイロッドの増し締めによりシール面圧を確保する(面圧を上げて元の値に調節する)ことが必要となる。タイロッドを増し締めすると、ガスケットはスタック方向に更に圧縮され、締め付け面の外へとガスケットが逃げる(はみ出す)ようになる。
(3)電解が終了し、セル温度が電解前の温度に戻ると、ガスケットの弾性率は回復するが、増し締めされた状態であるため、ガスケットは過圧縮状態となる。このとき、増し締めした分だけタイロッドを緩めても、ガスケットに永久ひずみが残っているため、シール面圧は電解前の元の値には戻らない。
(4)上記(3)のように、ガスケット及びシール面圧が電解前の状態に戻らないため、再び電解を行い、セル温度が高温となった際には、更なる増し締めが必要となる。
(5)(1)〜(4)のようにして増し締めを繰り返し行うと、初期と比べて電解槽のスタック方向の長さは次第に短くなり、ガスケットの圧縮ひずみは次第に増大する。こうして過圧縮状態となったガスケットはやがて破損し、電解液及び発生ガスの漏れが生じる。
上記のように、タイロッドの増し締めは、ガスケットのはみ出しや圧縮ひずみを増加させ、電解液や発生ガスの漏れ、ガスケットの切れや破損を引き起こす。そのため、タイロッドの増し締めの回数を減らすことは、水電解槽及び水電解槽装置の長寿命化、メンテナンス頻度の低減に繋がる。
そこで、本発明は、上述の課題に鑑み、変動電源や運転停止の頻度が高い条件で使用される場合でも長寿命である水電解用複極式電解槽を提供することを目的とする。
即ち、本発明は以下のとおりである。
[1]
陽極を備える陽極ターミナルエレメントと、
陰極を備える陰極ターミナルエレメントと、
前記陽極ターミナルエレメントと前記陰極ターミナルエレメントとの間に位置し、陽極と、陰極と、前記陽極と前記陰極とを隔離する隔壁と、前記隔壁を縁取る外枠とを備える複数の複極式エレメントと、
隣接する前記各エレメントの間に配置される隔膜とが
ガスケットを介してスタックされたセルスタック(a)と;
前記セルスタック(a)の両端に配置され、前記ガスケットと前記隔膜との間、及び前記ガスケットと前記各エレメントとの間に面圧を与えるプレス板(b)と;
前記セルスタック(a)と前記プレス板(b)とを締結するタイロッド(c)とを備える水電解用複極式電解槽であり、
前記プレス板(b)と前記セルスタック(a)との間に断熱部材(d)を備える
ことを特徴とする、水電解用複極式電解槽。
[2]
前記断熱部材(d)の電解温度における熱伝導率Aが、前記プレス板(b)の電解温度における熱伝導率Bよりも小さい、[1]に記載の水電解用複極式電解槽。
[3]
前記断熱部材(d)の100℃における熱伝導率Aが1W/m・K以下である、[1]又は[2]に記載の水電解用複極式電解槽。
[4]
前記断熱部材(d)の電解温度における体積抵抗率が1kΩ・cm以上である、[1]〜[3]のいずれかに記載の水電解用複極式電解槽。
[5]
前記セルスタック(a)、前記プレス板(b)、及び前記断熱部材(d)の電解温度におけるスタック方向の平均熱膨張率αが、前記タイロッド(c)の電解温度における前記スタック方向の平均熱膨張率βよりも大きい、[1]〜[4]のいずれかに記載の水電解用複極式電解槽。
[6]
前記ガスケットの厚さが前記複極式エレメントの厚さの5〜20%である、[1]〜[5]のいずれかに記載の水電解用複極式電解槽。
[7]
前記タイロッド(c)の軸の外周に配置され、前記セルスタック(a)のスタック方向に弾性変形可能なばね部材(e)を更に備え、
前記セルスタック(a)の電解温度におけるスタック方向の膨張長さΔLが、前記ばね部材(e)の前記スタック方向の全たわみTの75%以下である、[1]〜[6]のいずれかに記載の水電解用複極式電解槽。
[8]
前記タイロッド(c)の本数をnとして、前記n本のタイロッド(c)に配置される前記ばね部材(e)のばね定数が5/n〜20/n kN/mmである、[7]に記載の水電解用複極式電解槽。
[9]
電解時の前記ガスケットと前記各エレメントとの間の面圧が、前記電解槽の最大内圧の2倍以上であり、前記セルスタック(a)のスタック方向における前記ガスケットの圧縮率が10〜25%である、[1]〜[8]のいずれかに記載の水電解用複極式電解槽。
本発明によれば、変動電源や運転停止の頻度が高い条件で使用される場合でも長寿命である水電解用複極式電解槽を提供することができる。
本実施形態の水電解用複極式電解槽の一例の全体について示す側面図である。 図1の破線四角枠の部分の電解セル内部のゼロギャップ構造部分の断面を示す図である。 本実施形態の水電解用電解装置の概要を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
〈水電解用複極式電解槽〉
本実施形態の水電解用複極式電解槽は、セルスタック(a)と、セルスタック(a)の両端に位置するプレス板(b)と、セルスタック(a)とプレス板(b)とを締結するタイロッド(c)とを備える電解槽であり、更に、セルスタック(a)とプレス板(b)との間に断熱部材(d)を備えることを特徴とする。
セルスタック(a)は、陽極を備える陽極ターミナルエレメントと、陰極を備える陰極ターミナルエレメントと、陽極ターミナルエレメントと陰極ターミナルエレメントとの間に位置し、陽極と、陰極と、陽極と陰極とを隔離する隔壁と、隔壁を縁取る外枠とを備える複数の複極式エレメントと、隣接する各エレメントの間に配置される隔膜とがガスケットを介してスタック(積層)されてなる。なお、本開示において、セルスタック(a)のスタック(積層)方向を単に「スタック方向」とも称する。
プレス板(b)は、タイロッド(c)によりセルスタック(a)に締結され、ガスケットと隔膜との間、及びガスケットと各エレメントとの間に面圧(シール面圧)を与える。
本実施形態の水電解用複極式電解槽は、セルスタック(a)とプレス板(b)との間に断熱部材(d)を備えることにより、電解中にセルスタック(a)が高温になった際に、セルスタック(a)からタイロッド(c)への熱伝導を低減することができる。これにより、タイロッド(c)が膨張してスタック方向の長さが伸びること、それによりシール面圧が低下することを防ぐことができるため、タイロッド(c)の増し締めの回数を減らすことができ、長寿命の水電解用複極式電解槽を実現できる。
以下、本実施形態の水電解用複極式電解槽の一例の構成について、図を参照しながら説明する。
図1に、本実施形態の水電解用複極式電解槽の一例の全体についての側面図を示す。
図2に、本実施形態の水電解用複極式電解槽の一例のゼロギャップ構造の側面図を、図1に示す破線四角枠の部分について示す。
本実施形態の水電解用複極式電解槽50は、図1及び図2に示す一例では、一端からプレス板(b)、断熱部材(d)、陽極ターミナルエレメント51aが順番に並べられ、更に、陽極側ガスケット7、隔膜4、陰極側ガスケット7、複極式エレメント60が、この順番で並べて配置される。このとき、複極式エレメント60は陽極ターミナルエレメント51a側に陰極2cを向けるよう配置する。陽極側ガスケット7から複極式エレメント60までは、設計生産量に必要な数だけ繰り返し配置される。陽極側ガスケット7から複極式エレメント60までを必要数だけ繰り返し配置した後、再度、陽極側ガスケット7、隔膜4、陰極側ガスケット7を並べて配置し、最後に陰極ターミナルエレメント51c、断熱部材(d)、プレス板(b)をこの順番で配置する。水電解用複極式電解槽50は、全体をタイロッド(c)で締め付けることによりー体化され、複極式電解槽50となる。陽極ターミナルエレメント51aから陰極ターミナルエレメント51cまでをセルスタック(a)と称する。
水電解用複極式電解槽50を構成する配置は、陽極2a側からでも陰極2c側からでも任意に選択でき、上述の順序に限定されるものではない。
また、本実施形態の水電解用複極式電解槽50では、特に限定されないが、図2に示すように、隔膜4が陽極2a及び陰極2cと接触したゼロギャップ構造Zが形成されていることが好ましい。
複極式は、多数のセルを電源に接続する方法の1つであり、片面が陽極2a、片面が陰極2cとなる複数の複極式エレメント60を同じ向きに並べて直列に接続し、両端のみを電源に接続する方法である。
水電解用複極式電解槽50は、電源の電流を小さくできるという特徴を持ち、電解により化合物や所定の物質等を短時間で大量に製造することができる。電源設備は、出力が同じであれば、定電流、高電圧の方が安価でコンパクトになるため、工業的には単極式よりも複極式の方が好ましい。
〈〈セルスタック(a)〉〉
本実施形態の水電解用複極式電解槽50に含まれるセルスタック(a)は、図1に示すように、陽極ターミナルエレメント51aと陰極ターミナルエレメント51cとの間に、複極式エレメント60を必要数スタックすることで構成されている。
セルスタック(a)において、隔膜4は、陽極ターミナルエレメント51aと複極式エレメント60との間、隣接して並ぶ複極式エレメント60同士の間、及び複極式エレメント60と陰極ターミナルエレメント51cとの間に配置されている。
図1に示すように、隣接する各エレメント51a、60、51c同士、及び、各エレメント51a、60、51cと隔膜4とは、ガスケット7を介してスタックされる。
複極式エレメント60は、図1及び図2に示すように、陽極2aと陰極2cとを隔離する隔壁1を備え、隔壁1を縁取る外枠3を備えている。より具体的には、隔壁1は導電性を有し、外枠3は隔壁1の外縁に沿って隔壁1を取り囲むように設けられている。
なお、本実施形態では、複極式エレメント60は、通常、隔壁1に沿う所与の方向D1が、鉛直方向となるように使用してよく、具体的には、図2に示すように隔壁1の平面視形状が長方形である場合、隔壁1に沿う所与の方向D1が、向かい合う2組の辺のうちの1組の辺の方向と同じ方向となるように、使用してよい。そして、本明細書では、上記鉛直方向を電解液通過方向とも称する。
本実施形態における水電解用複極式電解槽50では、図2に示すとおり、隔壁1と外枠3と隔膜4とにより、電解液が通過する電極室5が画成されている。
本実施形態では、特に、水電解用複極式電解槽50における、隣接する2つの複極式エレメント60間の互いの隔壁1間における部分、及び、隣接する複極式エレメント60とターミナルエレメントとの間の互いの隔壁1間における部分を電解セル65と称する。電解セル65は、一方のエレメントの隔壁1、陽極室5a、陽極2a、及び、隔膜4、及び、他方のエレメントの陰極2c、陰極室5c、隔壁1を含む。
なお、図1及び図2に示す例では、隔壁1、陽極2a、陰極2cがいずれも所定の厚みを有する板状の形状であるが、本発明はこれに限定されることなく、断面において全部又は一部がジグザグ状、波状となる形状であってもよく、端部が丸みを帯びている形状であってもよい。
詳細には、電極室5は、外枠3との境界において、電極室5に電解液を導入する電解液入口と、電極室5から電解液を導出する電解液出口とを有する。より具体的には、陽極室5aには、陽極室5aに電解液を導入する陽極電解液入口と、陽極室5aから導出する電解液を導出する陽極電解液出口とが設けられる。同様に、陰極室5cには、陰極室5cに電解液を導入する陰極電解液入口と、陰極室5cから導出する電解液を導出する陰極電解液出口とが設けられる。
本実施形態では、陽極室5a及び陰極室5cにおいて、電解液を水電解用複極式電解槽50内部で、電極面内に均一に分配するための内部ディストリビュータを備えてもよい。また、電極室5は、水電解用複極式電解槽50内部での液の流れを制限する機能を備えるバッフル板を備えてもよい。さらに、陽極室5a及び陰極室5cにおいて、水電解用複極式電解槽50内部での電解液の濃度や温度の均一化、及び、電極2や隔膜4に付着するガスの脱泡の促進のために、カルマン渦を作るための突起物を備えてもよい。
なお、図1及び図2に示した例では、長方形形状の隔壁1と長方形形状の隔膜4とが平行に配置され、また、隔壁1の端縁に設けられた直方体形状の外枠3の隔壁1側の内面が隔壁1に垂直となっているため、電極室5の形状が直方体となっている。電極室5の形状は、これに限定されず、隔壁1や隔膜4の平面視形状、外枠3の隔壁2側の内面と隔壁2とのなす角度等により、適宜変形されてよく、本発明の効果が得られる限り、いかなる形状であってもよい。
水電解用複極式電解槽50には、通常、電解液を配液又は集液する管であるヘッダーが取り付けられ、隔壁1の端縁にある外枠3のうちの下方に、陽極室5aに電解液を入れる陽極入口ヘッダーと、陰極室5cに電解液を入れる陰極入口ヘッダーとを備えている。また、同様に、隔壁1の端縁にある外枠3のうちの上方に、陽極室5aから電極液を出す陽極出口ヘッダーと、陰極室5cから電解液を出す陰極出口ヘッダーとを備えている。
なお、水電解用複極式電解槽50に取り付けられるヘッダーの配設態様として、代表的には、内部ヘッダー型と外部ヘッダー型とがあるが、本発明では、いずれの型を採用してもよく、特に限定されない。
本実施形態の水電解用複極式電解槽50では、陽極入口ヘッダーで配液された電解液が、陽極電解液入口を通って陽極室5aに導入され、陽極室5aを通過し、陽極電解液出口を通って陽極室5aから導出され、陽極出口ヘッダーで集液される。
本実施形態の水電解用複極式電解槽50では、電解室5内における気液の流れの乱れにより電解室5に生じる対流を低減して、局所的な電解液の温度の上昇を抑制するため、隔壁1に沿う所与の方向D1に対して平行に配置される複数の整流板6を備えていてもよい(図2参照)。
セルスタック(a)において、ガスケット7の厚さは、複極式エレメントの厚さの5〜20%であることが好ましく、より好ましくは5〜15%であり、更に好ましくは5〜10%である。
後述するように、複極式エレメント60の外枠や隔壁等の材質は、ステンレス鋼(SUS)、鉄鋼、ニッケル等であり、ガスケット7の材質はゴム等であるため、複極式エレメント60の熱膨張率よりもガスケット7の熱膨張率の方が高く、ガスケット7の厚さが大きい(スタック方向の長さが長い)ほど、セルスタック(a)全体の平均熱膨張率は高くなる。そのため、ガスケット7の厚さを上記範囲にすることで、セルスタック(a)の平均熱膨張率を低減することができ、シール面圧の低下を防ぐことができる。
ガスケット7の具体的な厚さは、水電解用複極式電解槽50の大きさや形状に応じて定まるが、例えば、0.5〜10mmであることが好ましく、より好ましくは2〜7mmであり、更に好ましくは3〜6mmである。
また、電解時のガスケット7と各エレメントと51a、60、51cの間の面圧(シール面圧)が、水電解用複極式電解槽50の最大内圧の2倍以上であり、且つ、セルスタック(a)のスタック方向におけるガスケット7の圧縮率が10〜30%であることが好ましい。シール面圧及びガスケット7の圧縮率が上記範囲であると、電解液や発生ガスの漏れがなく、ガスケットの切れや破損が生じ難い。
シール面圧は、より好ましくは、水電解用複極式電解槽50の最大内圧の5倍以上であり、更に好ましくは10倍以上である。
なお、上記水電解用複極式電解槽50の最大内圧は、発生ガスの出口流路に設けた圧力計により測定することができる。また、シール面圧は、プレス板(b)と断熱部材(d)の間にロードセルを挿入してスタック方向荷重を測定することにより求めることができる。
また、スタック方向におけるガスケット7の圧縮率は、より好ましくは13〜25%であり、更に好ましくは15〜20%である。
なお、ガスケット7の圧縮率とは、電解の前後で比較したガスケット7のスタック方向の長さの収縮率を指す。
〈〈プレス板(b)〉〉
本実施形態の水電解用複極式電解槽50において、プレス板(b)は、セルスタック(a)の両端に配置される。プレス板(b)は、タイロッド(c)によりセルスタック(a)に締結され、タイロッド(c)の締結荷重によりガスケット7と隔膜4との間、及びガスケット7と各エレメント51a、60、51cとの間に面圧(シール面圧)を与える。プレス板(b)により面圧を掛けられたガスケット7が各複極式エレメントと隔膜4との間、及び隣接する各複極式エレメント間を電解液と発生ガスに対してシールすることにより、電解液や発生ガスが水電解用複極式電解槽50の外へ漏れることや両極室間において発生ガスが混合することを防ぐ。
プレス板(b)の材質としては、特に制限されるものではなく、従来公知のものを使用することができる。具体的には、ステンレス鋼、機械構造用炭素鋼、ニッケル等が挙げられる。
〈〈タイロッド(c)〉〉
本実施形態の水電解用複極式電解槽50において、タイロッド(c)は、プレス板(b)に取り付けられ、セルスタック(a)とプレス板(b)とを締結することにより、水電解用複極式電解槽50を一体化させる。
タイロッド(c)の材質としては、熱膨張率が小さいものが好ましく、具体的には、チタン等が挙げられる。
タイロッド(c)の電解温度におけるスタック方向の平均熱膨張率βは、12×10−6−1以下であることが好ましく、より好ましくは8×10−6−1以下であり、更に好ましくは3×10−6−1以下である。
なお、本開示において、電解温度とは、電解中の電解液の温度であり、80±30℃としてよい。
〈〈断熱部材(d)〉〉
本実施形態の水電解用複極式電解槽50において、断熱部材(d)板は、セルスタック(a)とプレス板(b)との間に配置されて、電解中のセルスタック(a)からプレス板(b)への熱伝導を低減する。これにより、プレス板(b)に接触しているタイロッド(c)が膨張してスタック方向の長さが伸びること、それによりシール面圧が低下することを防ぐことができ、タイロッド(c)の増し締めの回数を減らすことができるため、長寿命の水電解用複極式電解槽を実現できる。
断熱部材(d)の材質としては、熱伝導率が小さいものが好ましく、具体的には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ塩化ビニル、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリオキシメチレン(POM)等が挙げられる。
断熱部材(d)は、100℃における熱伝導率Aが、10W/m・K以下であることが好ましく、より好ましくは1W/m・K以下であり、更に好ましくは0.5W/m・K以下であり、より更に好ましくは0.3W/m・K以下であり、特に好ましくは0.1W/m・K以下である。
また、本実施形態の水電解用複極式電解槽50の好適例では、断熱部材(d)の電解温度における熱伝導率Aは、上記プレス板(b)の電解温度における熱伝導率Bよりも小さい。熱伝導率Aが熱伝導率Bよりも小さいことにより、プレス板(b)に接触しているタイロッド(c)への熱伝導が低減し、タイロッド(c)の温度上昇を低減することができるため、タイロッド(c)の熱膨張の低減し、シール面圧の低下を防ぐことができる。
なお、上記熱伝導率は、具体的には後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
また、断熱部材(d)は、電気絶縁性であることが好ましい。そのため、断熱部材(d)の電解温度における体積抵抗率は、1kΩ・cm以上であることが好ましく、より好ましくは1MΩ・cm以上であり、更に好ましくは1GΩ・cm以上である。
〈〈ばね部材(e)〉〉
本実施形態の水電解用複極式電解槽50は、タイロッド(c)の軸の外周に、セルスタック(a)のスタック方向に弾性変形可能なばね部材(e)を更に備えていてもよい。ばね部材(e)を備えると、セルスタック(a)が熱膨張した(スタック方向の長さが伸びた)際に、ばね部材(e)が圧縮することによりセルスタック(a)の熱膨張量をばね部材(e)が吸収するため、シール面圧の低下を防ぐことができる。
ばね部材(e)は、特に限定されず、従来公知のものを使用することができ、好適例として皿ばねが挙げられる。また、ばね部材(e)の材質は、特に限定されず、例えば、ステンレス鋼、ばね鋼、機械構造用炭素鋼等が挙げられる。
また、ばね部材(e)のセルスタック(a)のスタック方向の全たわみをTとして、セルスタック(a)の電解温度におけるスタック方向の膨張長さΔLが、全たわみTの75%以下となるようなばね部材(e)を用いることが好ましい。より好ましくは、ΔLが全たわみTの50%以下となるばね部材であり、更に好ましくは25%以下である。上記膨張長さΔLと上記全たわみTとの関係が上記範囲であると、セルスタック(a)の熱膨張量をばね部材(e)が良好に吸収することができる。
なお、全たわみTとは、ばねの自由長さから密着時のばねの長さを引いた値を指す。
また、ばね部材(e)は、ばね定数が、5/n〜20/n kN/mmであることが好ましく、より好ましくは5/n〜15/n kN/mmであり、更に好ましくは5/n〜10/n kN/mmである。なお、nは、ばね部材(e)が取り付けられるタイロッド(c)の本数である。ばね定数が上記範囲であると、セルスタック(a)の熱膨張量をばね部材(e)が良好に吸収することができる。
本実施形態の水電解用複極式電解槽50において、上記セルスタック(a)、上記プレス板(b)、及び上記断熱部材(d)をスタックしたもの全体の電解温度におけるスタック方向の平均熱膨張率αは、上記タイロッド(c)の電解温度における前記スタック方向の平均熱膨張率βよりも大きいことが好ましい。言い換えれば、セルスタック(a)、プレス板(b)、及び断熱部材(d)をスタックしたもの全体の熱膨張量(スタック方向の長さが伸び)の方が、タイロッド(c)の熱膨張量(スタック方向の長さが伸び)よりも大きいことが好ましい。これにより、電解中にセルスタック(a)、プレス板(b)、及び断熱部材(d)、並びにタイロッド(c)が熱膨張した際に、タイロッド(c)による締め付け力の低下を防ぐことができる。
セルスタック(a)、プレス板(b)、及び断熱部材(d)の電解温度におけるスタック方向の平均熱膨張率αは、10×10−6−1以上であることが好ましく、より好ましくは30×10−6−1以上であり、更に好ましくは50×10−6−1以上である。
なお、上記平均熱膨張率αは、後述の実施例に記載の方法により求めることができる。
以下、プレス板(b)、タイロッド(c)、断熱部材(d)、ばね部材(e)以外の本実施形態の水電解用複極式電解槽50の各構成要素について、詳細に説明する。
また、以下では、本発明の効果を高めるための好適形態についても詳述する。
−隔壁−
本実施形態における隔壁1の形状は、所定の厚みを有する板状の形状としてよいが、特に限定されない。
隔壁1の平面視形状としては、特に限定されることなく、矩形(正方形、長方形等)、円形(円、楕円等)としてよく、ここで、矩形は角が丸みを帯びていてもよい。
一実施形態において、隔壁1と外枠3とを溶接その他の方法で接合することで一体化してもよく、例えば、隔壁1に、隔壁1の平面に対して垂直な方向に張り出したフランジ部(陽極2a側に張り出した陽極フランジ部、陰極2c側に張り出した陰極フランジ部)を設け、フランジ部を外枠3の一部としてもよい。
なお、隔壁1は、通常、隔壁1に沿う所与の方向D1が、鉛直方向となるように、使用してよく、具体的には、図2に示すように隔壁1の平面視形状が長方形である場合、隔壁1に沿う所与の方向D1が、向かい合う2組の辺のうちの1組の辺の方向と同じ方向となるように、使用してよい。そして、本明細書では、上記鉛直方向を電解液通過方向とも称する。
隔壁1の材料としては、電力の均一な供給を実現する観点から、導電性を有する材料が好ましく、耐性や耐熱性といった面から、ステンレス鋼、鉄鋼、ニッケル、ニッケル合金、軟鋼、ニッケル合金上にニッケルメッキを施したものが好ましい。
−電極−
本実施形態の水電解による水素製造において、エネルギー消費量の削減、具体的には電解電圧の低減は、大きな課題である。この電解電圧は電極2に大きく依存するため、両電極2の性能は重要である。
水電解の電解電圧は、理論的に求められる水の電気分解に必要な電圧の他に、陽極反応(酸素発生)の過電圧、陰極反応(水素発生)の過電圧、陽極2aと陰極2cとの電極2間距離による電圧とに分けられる。ここで、過電圧とは、ある電流を流す際に、理論分解電位を越えて過剰に印加する必要のある電圧のことを言い、その値は電流値に依存する。同じ電流を流すとき、過電圧が低い電極2を使用することで消費電力を少なくすることができる。
低い過電圧を実現するために、電極2に求められる要件としては、導電性が高いこと、酸素発生能(或いは水素発生能)が高いこと、電極2表面で電解液の濡れ性が高いこと等が挙げられる。
水電解の電極2として、過電圧が低いこと以外に、再生可能エネルギーのような不安定な電流を用いても、電極2の基材及び触媒層の腐食、触媒層の脱落、電解液への溶解、隔膜4への含有物の付着等が起きにくいことが挙げられる。
本実施形態における電極2としては、電解に用いられる表面積を増加させるため、また、電解により発生するガスを効率的に電極2表面から除去するために、多孔体が好ましい。特に、ゼロギャップ電解槽の場合、隔膜4との接触面の裏側から発生するガスを脱泡する必要があるため、電極2の膜に接する面と反対に位置する面が、貫通していることが好ましい。
多孔体の例としては、平織メッシュ、パンチングメタル、エキスパンドメタル、金属発泡体等が挙げられる。
本実施形態における電極2は、基材そのものとしてもよく、基材の表面に反応活性の高い触媒層を有するものとしてもよいが、基材の表面に反応活性の高い触媒層を有するものが好ましい。
基材の材料は、特に制限されないが、使用環境への耐性から、軟鋼、ステンレス、ニッケル、ニッケル基合金が好ましい。
陽極2aの触媒層は、酸素発生能が高いものであることが好ましく、ニッケルやコバルト、鉄もしくは白金族元素等を使用することができる。これらは、所望の活性や耐久性を実現するために、金属単体や、酸化物等の化合物、複数の金属元素からなる複合酸化物や合金、或いはそれらの混合物として、触媒層を形成できる。耐久性や基材との接着性を向上させるために高分子等の有機物が含まれていてもよい。
陰極2cの触媒層は、水素発生能が高いものであることが好ましく、ニッケルやコバルト、鉄もしくは白金族元素等を使用することができる。これらは、所望の活性や耐久性を実現するために、金属単体や、酸化物等の化合物、複数の金属元素からなる複合酸化物や合金、或いはそれらの混合物として、触媒層を形成できる。耐久性や基材との接着性を向上させるために高分子材料等の有機物が含まれていてもよい。
基材上に触媒層を形成させる方法としては、めっき法、プラズマ溶射法等の溶射法、基材上に前駆体層溶液を塗布した後に熱を加える熱分解法、触媒物質をバインダー成分と混合して基材に固定化する方法、及び、スパッタリング法等の真空成膜法といった手法が挙げられる。
−外枠−
本実施形態における外枠3の形状は、隔壁1を縁取ることができる限り特に限定されないが、隔壁1の平面に対して垂直な方向に沿う内面を隔壁1の外延に亘って備える形状としてよい。
外枠3の形状としては、特に限定されることなく、隔壁1の平面視形状に合わせて適宜定められてよい。
外枠3の材料としては、導電性を有する材料が好ましく、耐アルカリ性や耐熱性といった面から、ステンレス鋼、鉄鋼、ニッケル、ニッケル合金、軟鋼、ニッケル合金上にニッケルメッキを施したものが好ましい。
−隔膜−
本実施形態の水電解用複極式電解槽50において用いられる隔膜4としては、イオンを導通しつつ、発生する水素ガスと酸素ガスを隔離するために、イオン透過性の隔膜4が使用される。このイオン透過性の隔膜4は、イオン交換能を有するイオン交換膜と、電解液を浸透することができる多孔膜が使用できる。このイオン透過性の隔膜4は、ガス透過性が低く、イオン伝導率が高く、電子電導度が小さく、強度が強いものが好ましい。
−−多孔膜−−
多孔膜は、複数の微細な貫通孔を有し、隔膜4を電解液が透過できる構造を有する。電解液が多孔膜中に浸透することにより、イオン伝導を発現するため、孔径や気孔率、親水性といった多孔構造の制御が非常に重要となる。一方、電解液だけでなく、発生ガスを通過させないこと、すなわちガスの遮断性を有することが求められる。この観点でも多孔構造の制御が重要となる。
多孔膜は、複数の微細な貫通孔を有するものであるが、高分子多孔膜、無機多孔膜、織布、不織布等が挙げられる。これらは公知の技術により作製することができる。
高分子多孔膜の製法例としては、相転換法(ミクロ相分離法)、抽出法、延伸法、湿式ゲル延伸法等が挙げられる。
多孔膜は、高分子材料と親水性無機粒子とを含むことが好ましく、親水性無機粒子が存在することによって多孔膜に親水性を付与することができる。
−−−高分子材料−−−
高分子材料としては、例えば、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニルスルホン、ポリビニリデンフロライド、ポリカーボネート、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド、ポリテトラフルオロエチレン、パーフルオロスルホン酸、パーフルオロカルボン酸、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール、ポリケトン、ポリイミド、ポリエーテルイミド等が挙げられる。これらの中でも、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニルスルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリテトラフルオロエチレン、であることが好ましく、ポリスルホンであることがより好ましい。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
多孔膜は、分離能、強度等適切な膜物性を得る為に、孔径を制御することが好ましい。また、水電解に用いる場合、陽極2aから発生する酸素ガス及び陰極2cから発生する水素ガスの混合を防止し、かつ電解における電圧損失を低減する観点から、多孔膜の孔径を制御することが好ましい。
多孔膜の平均孔径が大きいほど、単位面積あたりの多孔膜透過量は大きくなり、特に、電解においては多孔膜のイオン透過性が良好となり、電圧損失を低減しやすくなる傾向にある。また、多孔膜の平均孔径が大きいほど、アルカリ水との接触表面積が小さくなるので、ポリマーの劣化が抑制される傾向にある。
一方、多孔膜の平均孔径が小さいほど、多孔膜の分離精度が高くなり、電解においては多孔膜のガス遮断性が良好となる傾向にある。更に、後述する粒径の小さな親水性無機粒子を多孔膜に担持した場合、欠落せずしっかりと保持することができる。これにより、親水性無機粒子が持つ高い保持能力を付与でき、長期に亘ってその効果を維持することができる。
かかる観点から、本実施形態の多孔膜においては、平均孔径は、0.1〜1.0μmの範囲であることが好ましい。多孔膜は、孔径がこの範囲であれば、優れたガス遮断性と高いイオン透過性とを両立することができる。また、多孔膜の孔径は実際に使用する温度域において制御されることが好ましい。したがって、例えば90℃の環境下での電解用隔膜4として使用する場合は、90℃で上記の孔径の範囲を満足させることが好ましい。また、多孔膜は、水電解用隔膜4として、より優れたガス遮断性と高いイオン透過性とを発現できる範囲として、平均孔径が0.1〜0.5μmであることがより好ましい。
多孔膜の平均孔径は、以下の方法で測定することができる。
多孔膜の平均孔径とは、完全性試験機(ザルトリウス・ステディム・ジャパン社製、「Sartocheck Junior BP−Plus」)を使用して以下の方法で測定した平均透水孔径をいう。まず、多孔膜を芯材も含めて所定の大きさに切り出して、これをサンプルとする。このサンプルを任意の耐圧容器にセットして、容器内を純水で満たす。次に、耐圧容器を所定温度に設定した恒温槽内で保持し、耐圧容器内部が所定温度になってから測定を開始する。測定が始まると、サンプルの上面側が窒素で加圧されていき、サンプルの下面側から純水が透過してくる際の圧力及び透過流量の数値を記録する。平均透水孔径は、圧力が10kPaから30kPaの間の圧力と透水流量との勾配を使い、以下のハーゲンポアズイユの式から求めることができる。
平均透水孔径(m)={32ηLμ/(εP)}0.5
ここで、ηは水の粘度(Pa・s)、Lは多孔膜の厚み(m)、μは見かけの流速であり、μ(m/s)=流量(m/s)/流路面積(m)である。また、εは空隙率、Pは圧力(Pa)である。
隔膜4は、ガス遮断性、親水性の維持、気泡の付着によるイオン透過性低下の防止、更には長時間安定した電解性能(低電圧損失等)が得られるといった観点から、多孔膜の気孔率を制御することが好ましい。
ガス遮断性や低電圧損失等を高いレベルで両立させるといった観点から、多孔膜の気孔率の下限は30%以上であることが好ましく、35%以上であることがより好ましく、40%以上であることが更に好ましい。また、気孔率の上限は70%以下であることが好ましく、65%以下であることがより好ましく、55%以下であることが更に好ましい。多孔膜の気孔率が上記上限値以下であれば、膜内をイオンが透過しやすく、膜の電圧損失を抑制できる。
多孔膜の気孔率とは、アルキメデス法により求めた開気孔率をいい、以下の式により求めることができる。
気孔率P(%)=ρ/(1+ρ)×100
ここで、ρ=(W3−W1)/(W3−W2)であり、W1は多孔膜の乾燥質量(g)、W2は多孔膜の水中質量(g)、W3は多孔膜の飽水質量(g)である。
気孔率の測定方法としては、純水で洗浄した多孔膜を3cm×3cmの大きさで3枚に切出して、測定サンプルとする。まず、サンプルのW2及びW3を測定する。その後、多孔膜を50℃に設定された乾燥機で12時間以上静置して乾燥させて、W1を測定する。そして、W1、W2、W3の値から気孔率を求める。3枚のサンプルについて気孔率を求め、それらの算術平均値を気孔率Pとする。
多孔膜の厚みは、特に限定されないが、100〜700μmであることが好ましく、より好ましくは100〜600μm、更に好ましくは200〜600μmである。
多孔膜の厚みが、上記下限値以上であると、突刺し等で破れにくく、電極間がショートしにくい。また、ガス遮断性が良好となる。また、上記上限値以下であると、電圧損失が増大しにくい。また、多孔膜の厚みのばらつきによる影響が少なくなる。
また、隔膜の厚みが、100μm以上であると、突刺し等で破れにくく、電極間がショートしにくい。また、ガス遮断性が良好となる。600μm以下であると、電圧損失が増大しにくい。また、多孔膜の厚みのばらつきによる影響が少なくなる。
多孔膜の厚みが、250μm以上であれば、一層優れたガス遮断性が得られ、また、衝撃に対する多孔膜の強度が一層向上する。この観点より、多孔膜の厚みの下限は、300μm以上であることがより好ましく、350μm以上であることが更に好ましく400μm以上でることがより一層好ましい。一方で、多孔膜の厚みが、700μm以下であれば、運転時に孔内に含まれる電解液の抵抗によりイオンの透過性を阻害されにくく、一層優れたイオン透過性を維持すことができる。かかる観点から、多孔膜の厚みの上限は、600μm以下であることがより好ましく、550μm以下であることが更に好ましく、500μm以下であることがより一層好ましい。
−−−親水性無機粒子−−−
多孔膜は、高いイオン透過性及び高いガス遮断性を発現するために親水性無機粒子を含有していることが好ましい。親水性無機粒子は多孔膜の表面に付着していても良いし、一部が多孔膜を構成する高分子材料に埋没していても良い。また親水性無機粒子が多孔膜の空隙部に内包されると、多孔膜から脱離しにくくなり、多孔膜の性能を長時間維持できる。
親水性無機粒子としては、例えば、ジルコニウム、ビスマス、セリウムの酸化物又は水酸化物;周期律表第IV族元素の酸化物;周期律表第IV族元素の窒化物、及び周期律表第IV族元素の炭化物からなる群より選ばれる少なくとも1種の無機物が挙げられる。これらの中でも、化学的安定性の観点から、ジルコニウム、ビスマス、セリウムの酸化物、周期律表第IV族元素の酸化物がより好ましく、ジルコニウム、ビスマス、セリウムの酸化物が更に好ましく、酸化ジルコニウムがより更に好ましい。
親水性無機粒子の形態は、微粒子形状であることが好ましい。
−−多孔性支持体−−
隔膜4として多孔膜を用いる場合、多孔膜は多孔性支持体と共に用いてよい。好ましくは、多孔膜が多孔性支持体を内在した構造であり、より好ましくは、多孔性支持体の両面に多孔膜を積層した構造である。また、多孔性支持体の両面に対称に多孔膜を積層した構造であってもよい。
多孔性支持体としては、例えば、メッシュ、多孔質膜、不織布、織布、不織布及びこの不織布に内在する織布とを含む複合布等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。多孔性支持体のより好適な態様としては、例えば、ポリフェニレンサルファイドのモノフィラメントで構成されるメッシュ基材、又は不織布及び該不織布内に内在する織布とを含む複合布等が挙げられる。
−−イオン交換膜−−
イオン交換膜としては、カチオンを選択的に透過させるカチオン交換膜とアニオンを選択的に透過させるアニオン交換膜があり、いずれの交換膜でも使用することができる。
イオン交換膜の材質としては、特に限定されず、公知のものを用いることができる。例えば、含フッ素系樹脂やポリスチレン・ジビニルベンゼン共重合体の変性樹脂が好適に使用できる。特に耐熱性及び耐薬品性等に優れる点で、含フッ素系イオン交換膜が好ましい。
含フッ素系イオン交換膜としては、電解時に発生するイオンを選択的に透過する機能を有し、かつイオン交換基を有する含フッ素系重合体を含むもの等が挙げられる。ここでいうイオン交換基を有する含フッ素系重合体とは、イオン交換基、又は、加水分解によりイオン交換基となり得るイオン交換基前駆体、を有する含フッ素系重合体をいう。例えば、フッ素化炭化水素の主鎖を有し、加水分解等によりイオン交換基に変換可能な官能基をペンダント側鎖として有し、かつ溶融加工が可能な重合体等が挙げられる。
含フッ素系共重合体の分子量は、特に限定されないが、該前駆体を、ASTM:D1238に準拠して(測定条件:温度270℃、荷重2160g)測定されたメルトフローインデックス(MFI)の値で0.05〜50(g/10分)であることが好ましく、0.1〜30(g/10分)であることがより好ましい。
イオン交換膜が有するイオン交換基としては、スルホン酸基、カルボン酸基、リン酸基等のカチオン交換基、4級アンモニウム基等のアニオン交換基が挙げられる。
イオン交換膜は、イオン交換基の当量質量EWを調整することによって、優れたイオン交換能と親水性を付与することができる。また、より小さなクラスター(イオン交換基が水分子を配位及び/又は吸着した微小部分)を数多く有するように制御でき、耐アルカリ性やイオン選択透過性を向上する傾向にある。
この当量質量EWは、イオン交換膜を塩置換し、その溶液をアルカリ又は酸溶液で逆滴定することにより測定することができる。当量質量EWは、原料であるモノマーの共重合比、モノマー種の選定等により調整することができる。
イオン交換膜の当量質量EWは、親水性、膜の耐水性の観点から300以上であることが好ましく、親水性、イオン交換能の観点から1300以下であることが好ましい。
イオン交換膜の厚みは特に制限されないが、イオン透過性や強度の観点から、5〜300μmの範囲が好ましい。
イオン交換膜の表面の親水性を向上させる目的で、表面処理を施してもよい。具体的には、酸化ジルコニウム等の親水性無機粒子をコーティングする方法や、表面に微細な凹凸を付与する方法が挙げられる。
イオン交換膜は、膜強度の観点から、補強材と共に用いることが好ましい。補強材としては、特に限定されず、一般的な不織布や織布、各種素材からなる多孔膜が挙げられる。この場合の多孔膜としては、特に限定されないが、延伸されて多孔化したPTFE系膜が好ましい。
((ゼロギャップ構造))
ゼロギャップ型セルにおける複極式エレメント60では、極間距離を小さくする手段として、電極2と隔壁1との間に弾性体であるバネを配置し、このバネで電極2を支持する形態をとることが好ましい。例えば、第1の例では、隔壁1に導電性の材料で製作されたバネを取り付け、このバネに電極2を取り付けてよい。また、第2の例では、隔壁1に取り付けた電極リブにバネを取り付け、そのバネに電極2を取り付けてよい。なお、このような弾性体を用いた形態を採用する場合には、電極2が隔膜4に接する圧力が不均一にならないように、バネの強度、バネの数、形状等必要に応じて適宜調節する必要がある。
−電極室−
本実施形態における水電解用複極式電解槽50では、図2に示すとおり、隔壁1と外枠3と隔膜4とにより、電解液が通過する電極室5が画成されている。
本実施形態においては、複極式電解槽のヘッダー10の配設態様としては、内部ヘッダー型及び外部ヘッダー型を採用できるところ、例えば、図示の例の場合、陽極2a及び陰極2c自身が占める空間も電極室5の内部にある空間であるものとしてよい。また、特に、気液分離ボックスが設けられている場合、気液分離ボックスが占める空間も電極室5の内部にある空間であるものとしてよい。
−整流板−
本実施形態の水電解用複極式電解槽50では、隔壁1に整流板6(陽極整流板、陰極整流板)が取り付けられ、整流板6が電極2と物理的に接続されていることが好ましい。かかる構成によれば、整流板6が電極2の支持体となり、ゼロギャップ構造Zを維持しやすい。
ここで、整流板6に、電極2が設けられていてもよく、整流板6に、集電体2r、導電性弾性体2e、電極2がこの順に設けられていてもよい。
前述の一例の水電解用複極式電解槽50では、陰極室5cにおいて、整流板6−集電体2r−導電性弾性体2e−電極2の順に重ね合わせられた構造が採用され、陽極室5aにおいて、整流板6−電極2の順に重ね合わせられた構造が採用されている。
なお、前述の一例の水電解用複極式電解槽50では、陰極室5cにおいて上記「整流板6−集電体2r−導電性弾性体2e−電極2」の構造が採用され、陽極室5aにおいて上記「整流板6−電極2」の構造が採用されているが、本発明ではこれに限定されることなく、陽極室5aにおいても「整流板6−集電体2r−導電性弾性体2e−電極2」構造が採用されてもよい。
整流板6(陽極整流板、陰極整流板)には、陽極2a又は陰極2cを支える役割だけでなく、電流を隔壁1から陽極2a又は陰極2cへ伝える役割を備えることが好ましい。
本実施形態の水電解用複極式電解槽50では、整流板6の少なくとも一部が導電性を備えことが好ましく、整流板6全体が導電性を備えことが更に好ましい。かかる構成によれば、電極たわみによるセル電圧の上昇を抑制することができる。
整流板6の材料としては、一般的に導電性の金属が用いられる。例えば、ニッケルメッキを施した軟鋼、ステンレススチール、ニッケル等が利用できる。
隣接する陽極整流板同士の間隔、又は隣接する陰極整流板同士の間隔は、電解圧力や陽極室5aと陰極室5cの圧力差等を勘案して決められる。
整流板6(陽極整流板、陰極整流板)の長さは、隔壁1のサイズに応じて、適宜に定められてよい。
整流板6の高さは、隔壁1から各フランジ部までの距離、ガスケット7の厚さ、電極2(陽極2a、陰極2c)の厚さ、陽極2aと陰極2cとの間の距離等に応じて、適宜に定められてよい。
また、整流板6の厚みは、コストや製作性、強度等も考慮して、0.5〜5mmとしてよく、1〜2mmのものが用いやすいが、特に限定されない。
−ガスケット−
本実施形態の水電解用複極式電解槽50では、隔壁1を縁取る外枠3同士の間に隔膜4を有するガスケット7が挟持されることが好ましい。
ガスケット7は、複極式エレメント60と隔膜4の間、複極式エレメント60間を電解液と発生ガスに対してシールするために使用され、電解液や発生ガスの電解槽外への漏れや両極室間におけるガス混合を防ぐことができる。
ガスケット7の一般的な構造としては、エレメントの枠体に接する面に合わせて、電極面をくり抜いた四角形状又は環状である。このようなガスケット2枚で隔膜4を挟み込む形でエレメント間に隔膜4をスタックさせることができる。更に、ガスケット7は、隔膜4を保持できるように、隔膜4を収容することが可能なスリット部を備え、収容された隔膜4がガスケット7両表面に露出することを可能にする開口部を備えることも好ましい。これにより、ガスケット7は、隔膜4の縁部をスリット部内に収容し、隔膜4の縁部の端面を覆う構造がとれる。したがって、隔膜4の端面から電解液やガスが漏れることをより確実に防止できる。
ガスケット7の材質としては、特に制限されるものではなく、絶縁性を有する公知のゴム材料や樹脂材料等を選択することができる。
ゴム材料や樹脂材料としては、具体的には、天然ゴム(NR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、シリコーンゴム(SR)、エチレン−プロピレンゴム(EPT)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、フッ素ゴム(FR)、イソブチレン−イソプレンゴム(IIR)、ウレタンゴム(UR)、クロロスルホン化ポリエチレンゴム(CSM)等のゴム材料、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)やテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)、クロロトリフルオエチレン・エチレン共重合体(ECTFE)等のフッ素樹脂材料や、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエチレン、ポリイミド、ポリアセタール等の樹脂材料を用いることができる。これらの中でも、弾性率や耐アルカリ性の観点でエチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、フッ素ゴム(FR)が特に好適である。
ガスケット7は、補強材が埋設されていてもよい。これにより、スタック時に枠体に挟まれて押圧されたときに、ガスケット7が潰れることを抑制でき、破損を防止し易くできる。
このような補強材は公知の金属材料、樹脂材料及び炭素材料等が使用でき、具体的には、ニッケル、ステンレス等の金属、ナイロン、ポリプロピレン、PVDF、PTFE、PPS等の樹脂、カーボン粒子や炭素繊維等の炭素材料が挙げられる。
ガスケット7のサイズは、特に制限されるものではなく、電極室5や膜の寸法に合わせて設計すればよいが、幅が10〜40mmにするのがよい。
この場合、ガスケット7がスリット部を備える場合、スリット部のサイズはスリットの内寸が膜のサイズより縦横で0.5〜5mm大きくなるようにするのがよい。
ガスケット7の厚みは、上述のとおりである。
また、ガスケット7がスリット部を備える場合、スリット部の開口幅としては、膜の厚みの0.5〜1.0倍としてよい。
ガスケット7の弾性率は、特に制限されるものではなく、電極2の材質やセル面積に応じて設計される。好ましい弾性率の範囲としては、100%変形時の引張応力で、0.20〜20MPaの範囲がより好ましく、シーリング特性やスタック時のセル強度の観点から、1.0〜10MPaの範囲がより好ましい。
なお、引張応力は、JIS K6251に準拠して、測定することができる。例えば、島津製作所社製のオートグラフAGを用いてよい。
特に、本実施形態では、ガスケット7の厚みが3.0〜10mmであり、100%変形時の引張応力で1.0〜10MPaであることが、電極たわみによるセル電圧の上昇を抑制する観点、また、シーリング特性やスタック時のセル強度の観点から、好ましい。
本実施形態においては、ガスケット7の表面を絶縁性の樹脂シート(例えば、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂等)で覆うことが好ましい。このようにすることにより、複数のエレメント60間では相互に絶縁された状態となるので、通電工程(電解液の電気分解が行われる工程)でそれぞれのエレメント60に蓄積された電荷が、停止工程(電解液の電気分解が停止している工程)において他のエレメント60に影響することを抑制することができる。
−ヘッダー−
水電解用複極式電解槽50は、電解セル65毎に、陰極室5c、陽極室5aを有する。水電解用複極式電解槽50で、電気分解反応を連続的に行うためには、各電解セル65の陰極室5cと陽極室5aとに電気分解によって消費される原料を十分に含んだ電解液を供給し続ける必要がある。
電解セル65は、複数の電解セル65に共通するヘッダーと呼ばれる電解液の給排配管と繋がっている。一般に、陽極用配液管は陽極入口ヘッダー、陰極用配液管は陰極入口ヘッダー、陽極用集液管は陽極出口ヘッダー、陰極用集液管は陰極出口ヘッダーと呼ばれる。電解セル65はホース等を通じて各電極用配液管及び各電極用集液管と繋がっている。
ヘッダーの材質は特に限定されないが、使用する電解液の腐食性や、圧力や温度等の運転条件に十分耐えうるものを採用する必要がある。ヘッダーの材質に、鉄、ニッケル、コバルト、PTFE、ETFE,PFA、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン等を採用しても良い。
本実施形態において、電極室5の範囲は、隔壁1の外端に設けられる外枠3の詳細構造により、変動するところ、外枠3の詳細構造は、外枠3に取り付けられるヘッダー(電解液を配液又は集液する管)の配設態様により異なることがある。水電解用複極式電解槽50のヘッダーの配設態様としては、内部ヘッダー型及び外部ヘッダー型が代表的である。
−−内部ヘッダー−−
内部ヘッダー型とは、水電解用複極式電解槽50とヘッダー(電解液を配液又は集液する管)とが一体化されている形式をいう。
内部ヘッダー型複極式電解槽では、より具体的には、陽極入口ヘッダー及び陰極入口ヘッダーが、隔壁1内及び/又は外枠3内の下部に設けられ、且つ、隔壁1に垂直な方向に延在するように設けられ、また、陽極出口ヘッダー及び陰極出口ヘッダーが、隔壁1内及び/又は外枠3内の上部に設けられ、且つ、隔壁1に垂直な方向に延在するように設けられる。
内部ヘッダー型複極式電解槽が内在的に有する、陽極入口ヘッダーと、陰極入口ヘッダーと、陽極出口ヘッダーと、陰極出口ヘッダーを総称して、内部ヘッダーと呼ぶ。
内部ヘッダー型の例では、隔壁1の端縁にある外枠3のうちの下方に位置する部分の一部に、陽極入口ヘッダーと陰極入口ヘッダーとを備えており、また、同様に、隔壁1の端縁にある外枠3のうちの上方に位置する部分の一部に、陽極出口ヘッダーと陰極出口ヘッダーとを備えている。
−−外部ヘッダー−−
外部ヘッダー型とは、水電解用複極式電解槽50とヘッダー(電解液を配液又は集液する管)とが独立している形式をいう。
外部ヘッダー型複極式電解槽は、陽極入口ヘッダーと、陰極入口ヘッダーとが、電解セル65の通電面に対し、垂直方向に、水電解用複極式電解槽50と並走する形で、独立して設けられる。この陽極入口ヘッダー及び陰極入口ヘッダーと、各電解セル65が、ホースで接続される。
外部ヘッダー型複極式電解槽に外在的に接続される、陽極入口ヘッダーと、陰極入口ヘッダーと、陽極出口ヘッダーと、陰極出口ヘッダーを総称して、外部ヘッダーと呼ぶ。
外部ヘッダー型の例では、隔壁1の端縁にある外枠3のうちの下方に位置する部分に設けられたヘッダー用貫通孔に、管腔状部材が設置され、管腔状部材が、陽極入口ヘッダー及び陰極入口ヘッダーに接続されており、また、同様に、隔壁1の端縁にある外枠3のうちの上方に位置する部分に設けられたヘッダー用貫通孔に、管腔状部材(例えば、ホースやチューブ等)が設置され、かかる管腔状部材が、陽極出口ヘッダー及び陰極出口ヘッダーに接続されている。
なお、内部ヘッダー型及び外部ヘッダー型の水電解用複極式電解槽50において、その内部に電解によって発生した気体と、電解液を分離する気液分離ボックスを有してもよい。気液分離ボックスの取付位置は、特に限定されないが、陽極室5aと陽極出口ヘッダーとの間や、陰極室5cと陰極出口ヘッダーとの間に取付けられてもよい。
気液分離ボックスの表面は、電解液の腐食性や、圧力や温度等の運転条件に十分耐えうる材質のコーティング材料で、被覆されていても良い。コーティング材料の材質は、電解槽内部での漏洩電流回路の電気抵抗を大きくする目的で、絶縁性のものを採用してもよい。コーティング材料の材質に、EPDM、PTFE、ETFE、PFA、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン等を採用してもよい。
〈水電解用電解装置〉
図3に、本実施形態の水電解用複極式電解槽50を用いた水電解用電解装置70の概要を示す。
本実施形態の水電解用電解装置70は、本実施形態の水電解用複極式電解槽50と、電解液を循環させるための送液ポンプ71と、電解液と水素及び/又は酸素とを分離する気液分離タンク72と、電解により消費した水を補給するための水補給器73とを有する。
本実施形態の水電解用電解装置70によれば、本実施形態の水電解用複極式電解槽50の効果を得ることができる。
すなわち、本実施形態によれば、変動電源や運転停止の頻度が高い条件で使用される場合でも長寿命である水電解用複極式電解装置を得ることができる。
以下、本実施形態の水電解用電解装置70の構成要素について説明する。
−送液ポンプ−
本実施形態において用いられる送液ポンプ71としては、特に限定されず、適宜定められてよい。
−気液分離タンク−
本実施形態において用いられる気液分離タンク72は、陰極室5cで発生した水素ガスと電解液とを分離する水素分離タンク72hと、陽極室5aで発生した酸素ガスと電解液とを分離する酸素分離タンク72oとを含む。
水素分離タンク72hは陰極室5cに接続され、酸素分離タンク72oは陽極室5aに接続されて用いられる。
電解セル65から電解液と発生ガスが混合した状態で排出されたものを、気液分離タンク72に流入させる。気液分離が適切に行われなかった場合は、陰極室5cと陽極室5aの電解液が混合したときに、酸素ガス、水素ガスが混合されてしまい、ガスの純度が低下する。最悪の場合、爆鳴気を形成してしまう危険性がある。
気液分離タンク72に流入したガスと電解液は、ガスはタンク上層の気相へ、電解液はタンク下層の液相に分かれる。気液分離タンク72内での電解液の線束と、発生したガス気泡の浮遊する速度と、気液分離タンク72内の滞留時間によって、気液分離の度合いが決まる。
ガスが分離された後の電解液は、タンク下方の流出口から流出し、電解セル65に再び流入することで循環経路を形成する。タンク上方の排出口から排出された酸素、及び水素ガスは、いずれもアルカリミストを含んだ状態であるため、排出口の下流に、ミストセパレーターや、クーラー等の、余剰ミストを液化し気液分離タンク72に戻すことが可能な装置を取り付けることが好ましい。
気液分離タンク72には、内部に貯留する電解液の液面高さを把握するために、液面計を備えることも可能である。
また、前記気液分離タンク72は、圧力解放弁を備えることが好ましい。これにより電解で発生するガスによる圧力の上昇を受けても、設計圧力を超えた場合、安全に圧力を下げることが可能となる。
気液分離タンク72への流入口は、気液分離性を向上させる上で、電解液面よりも上面に位置することが好ましいが、これに限定されるものではない。
循環停止時の電解槽中の液面の低下を防ぐ目的で、気液分離タンク72内の電解液面を電解槽上面よりも高いことが好ましいが、これに限定されるものではない。
電解セル65と気液分離タンク72との間に遮断弁を付けることが好ましいが、これに限定されるものではない。
気液分離タンク72の材料には、ニッケル等の耐アルカリ性金属が用いられる。一方、鉄等の汎用金属をタンク筐体材料として用いる場合においては、タンク内部の電解液接触面に、フッ素系樹脂等で被覆処理を施したものを用いることもあるが、本発明における気液分離タンク72の素材を限定するものではない。
気液分離タンク72の容量は、設置容積を考慮すると、小さい方が好ましいが、容積が小さすぎると、陰極2cと陽極2aの圧力差が大きくなった場合や電解電流値に変動が生じた場合、タンク内の液面が変動するため、この変動分を考慮する必要がある。
また、タンク高さも同様に、高さが低い場合は、上記変動の影響を受けやすいため、高くすることが好ましい。
−水補給器−
本実施形態において用いられる水補給器73としては、特に限定されず、適宜定められてよい。
水としては、一般上水を使用してもよいが、長期間に渡る運転を考慮した場合、イオン交換水、RO水、超純水等を使用することが好ましい。
−その他−
本実施形態の水電解用電解装置70は、水電解用複極式電解槽50、送液ポンプ71、気液分離タンク72、水補給器73以外にも、整流器74、酸素濃度計75、水素濃度計76、流量計77、圧力計78、熱交換器79、圧力制御弁80を備えてよい。
また、本実施形態の水電解用電解装置70は、更に、電力供給の停止時に、電力供給の停止を検知する検知器、及び、送液ポンプを自動停止する制御器を更に備えることが好ましい。検知器及び制御器を備えることで、再生可能エネルギーのように、変動が激しい電力源下でも、人為的な操作なしに、自己放電の影響を効率的に低減することが可能になる。
以上、図面を参照して、本発明の実施形態の水電解用複極式電解槽、水電解用電解装置について例示説明したが、本発明の水電解用複極式電解槽、水電解用電解装置は、上記の例に限定されることはなく、上記実施形態には、適宜変更を加えることができる。
以下、本発明を実施例、比較例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々変形して実施することができることはいうまでもない。
(実施例1)
図3に示す構成の水電解用複極式電解装置を用いた。具体的には、水電解用複極式電解槽には、セルスタック(a)として、陽極ターミナルエレメント1個、複極式エレメント4個、陰極ターミナルエレメント1個、及び隔膜5枚が、ゴム製ガスケット(電解前の圧縮率:20%)5個を介して図1に示すようにスタックされたセルスタック(5個の電解セル)を用いた。いずれのエレメントも、隔壁及び外枠等の電解液に接液する部材の材料は全てニッケルとした。陽極にはニッケル(触媒層はコバルト)を用い、陰極にはニッケル(触媒層は白金及びパラジウム)を用いた。その他の構成部材としては、SUS製プレス板(b)2枚、チタン製タイロッド(c)6本(プレス板(b)1枚に対して各3本)、PTFE製断熱部材(d)2枚、SUS製ばね部材(e)(皿ばね)6個(タイロッド(c)1本に対して各1個)を用いた。また、電解液には、水酸化カリウム水溶液を用いた。
電流密度6000A/mにて7時間運転した。雰囲気温度は10℃、電解中の電解槽の温度は100℃であり、電解中の電解槽の内圧は0.01MPaに調整した。
水電解用複極式電解槽の構成及び各測定結果を表1に示す。
なお、セルスタック(a)、プレス板(b)、及び断熱部材(d)の平均熱膨張率αは、下記式により求めた。
α=(t(a)α(a)+t(b)α(b)+t(d)α(d))/(t(a)+t(b)+t(d)
(式中、t(a)、t(b)、及びt(d)は、それぞれセルスタック(a)、プレス板(b)、及び断熱部材(d)のスタック方向の長さ(厚み)を表し、α(aα(b)、α(d)は、それぞれセルスタック(a)、プレス板(b)、及び断熱部材(d)の熱膨張率を表す。)
また、電解槽の内圧及びシール面圧は、それぞれ、電解槽の出口ヘッダーに設けた圧力計、及びプレス板(b)と断熱部材(d)との間に設置したロードセルにより測定した。
(実施例2)
タイロッド(c)の材質をSUSとした以外は、実施例1と同様にして実施した。
水電解用複極式電解槽の構成及び各測定結果を表1に示す。
(比較例1)
断熱部材(d)の代わりにSUS製の部材(d’)を用い、タイロッド(c)の材質をSUSとした以外は、実施例1と同様にして実施した。
水電解用複極式電解槽の構成及び各測定結果を表1に示す。
Figure 2021172867
比較例1では、シール面圧(ガスケットと各エレメントとの間に掛かる面圧)が電解前の2MPaから電解中には1.9MPaに低下したため、タイロッドを増し締めする必要があった。一方、実施例1及び2では、シール面圧が電解前の2MPaから電解中にはそれぞれ2.3MPa、2.1MPaに上昇し、タイロッドの増し締めは不要であった。
本発明の水電解用複極式電解槽は、変動電源や運転停止の頻度が高い条件で使用される場合でも長寿命であるため、再生可能エネルギー等の変動電源下で運転する場合でも、長期にわたり安定して運転することができる。
(a) セルスタック
(b) プレス板
(c) タイロッド
(d) 断熱部材
(e) ばね部材
1 隔壁
2 電極
2a 陽極
2c 陰極
2e 導電性弾性体
2r 集電体
3 外枠
4 隔膜
5 電極室
5a 陽極室
5c 陰極室
6 整流板
7 ガスケット
50 水電解用複極式電解槽
51a 陽極ターミナルエレメント
51c 陰極ターミナルエレメント
60 複極式エレメント
65 電解セル
70 電解装置
71 送液ポンプ
72 気液分離タンク
72h 水素分離タンク
72o 酸素分離タンク
73 水補給器
74 整流器
75 酸素濃度計
76 水素濃度計
77 流量計
78 圧力計
79 熱交換器
80 圧力制御弁
D1 隔壁に沿う所与の方向(電解液通過方向)
Z ゼロギャップ構造

Claims (9)

  1. 陽極を備える陽極ターミナルエレメントと、
    陰極を備える陰極ターミナルエレメントと、
    前記陽極ターミナルエレメントと前記陰極ターミナルエレメントとの間に位置し、陽極と、陰極と、前記陽極と前記陰極とを隔離する隔壁と、前記隔壁を縁取る外枠とを備える複数の複極式エレメントと、
    隣接する前記各エレメントの間に配置される隔膜とが
    ガスケットを介してスタックされたセルスタック(a)と;
    前記セルスタック(a)の両端に配置され、前記ガスケットと前記隔膜との間、及び前記ガスケットと前記各エレメントとの間に面圧を与えるプレス板(b)と;
    前記セルスタック(a)と前記プレス板(b)とを締結するタイロッド(c)とを備える水電解用複極式電解槽であり、
    前記プレス板(b)と前記セルスタック(a)との間に断熱部材(d)を備える
    ことを特徴とする、水電解用複極式電解槽。
  2. 前記断熱部材(d)の電解温度における熱伝導率Aが、前記プレス板(b)の電解温度における熱伝導率Bよりも小さい、請求項1に記載の水電解用複極式電解槽。
  3. 前記断熱部材(d)の100℃における熱伝導率Aが1W/m・K以下である、請求項1又は2に記載の水電解用複極式電解槽。
  4. 前記断熱部材(d)の電解温度における体積抵抗率が1kΩ・cm以上である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の水電解用複極式電解槽。
  5. 前記セルスタック(a)、前記プレス板(b)、及び前記断熱部材(d)の電解温度におけるスタック方向の平均熱膨張率αが、前記タイロッド(c)の電解温度における前記スタック方向の平均熱膨張率βよりも大きい、請求項1〜4のいずれか一項に記載の水電解用複極式電解槽。
  6. 前記ガスケットの厚さが前記複極式エレメントの厚さの5〜20%である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の水電解用複極式電解槽。
  7. 前記タイロッド(c)の軸の外周に配置され、前記セルスタック(a)のスタック方向に弾性変形可能なばね部材(e)を更に備え、
    前記セルスタック(a)の電解温度におけるスタック方向の膨張長さΔLが、前記ばね部材(e)の前記スタック方向の全たわみTの75%以下である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の水電解用複極式電解槽。
  8. 前記タイロッド(c)の本数をnとして、前記n本のタイロッド(c)に配置される前記ばね部材(e)のばね定数が5/n〜20/n kN/mmである、請求項7に記載の水電解用複極式電解槽。
  9. 電解時の前記ガスケットと前記各エレメントとの間の面圧が、前記電解槽の最大内圧の2倍以上であり、前記セルスタック(a)のスタック方向における前記ガスケットの圧縮率が10〜25%である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の水電解用複極式電解槽。
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