JPWO2018138841A1 - 焼結磁石の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】良好な歩留りおよび高保磁力を有する焼結磁石の製造方法を提供する。【解決手段】基材であるNd−Fe−B系の焼結磁石に対して希土類元素Rを含む合金粉末を使用して粒界拡散処理を施した後、前記粒界拡散処理が施された前記焼結磁石の表面に存在する残渣物を除去する焼結磁石の製造方法である。前記合金粉末は、RxAyBzで表され、ただし、Rは、ScおよびYを含む希土類元素のうち少なくとも1つ以上、AはCaまたはLiであり、Bは不可避不純物であり、2≦x≦99であり、1≦y<xであり、0≦z<yである。前記残渣物の除去は、投射材を前記焼結磁石の表面に投射することによってによって実施される。【選択図】図4

Description

本発明は、焼結磁石の製造方法に関する。
Nd−Fe−B系焼結磁石に対し、残留磁束密度の低下を最小限に抑制する一方、保磁力を効果的に増加させるため、粒界拡散処理が適用されている。
粒界拡散処理においては、希土類元素を含む合金粉末を焼結磁石の表面に配置し、当該焼結磁石に対して熱処理を施すことによって、NdFe14B主相を取り囲む結晶粒界相に、希土類元素を偏在させている(例えば、特許文献1参照。)。
国際公開第06/043348号
しかし、粒界拡散処理が施された焼結磁石の表面上に存在する(残留している)合金粉末から構成される残渣物を除去するため、切削加工が適用される。
切削加工は、残渣物を除去する際、焼結磁石の表面から高価な焼結磁石基材を削り取るため、焼結磁石の歩留りが低下する問題を有する。また、焼結磁石の表面近傍には、希土類元素の高濃縮領域が存在するため、削り取られる部分に、希土類元素の高濃縮領域が含まれる。希土類元素の高濃縮領域は、高保磁力領域であるため、保磁力の増加量が小さくなる問題を有する。
本発明は、上記従来技術に伴う課題を解決するためになされたものであり、良好な歩留りおよび高保磁力を有する焼結磁石の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明は、基材となるNd−Fe−B系の焼結磁石に対して希土類元素Rを含む合金粉末を使用して粒界拡散処理を施した後、前記粒界拡散処理が施された前記焼結磁石の表面に存在する残渣物を除去する、焼結磁石の製造方法である。前記合金粉末は、Rで表され、ただし、Rは、ScおよびYを含む希土類元素のうち少なくとも1つ以上、AはCaまたはLiであり、Bは不可避不純物であり、2≦x≦99であり、1≦y<xであり、0≦z<yである。前記残渣物の除去は、投射材を前記焼結磁石の表面に投射することによって実施される。
本発明に係る焼結磁石の製造方法においては、投射された投射材は、焼結磁石の表面を切削せず、残渣物のみを除去するため、焼結磁石の歩留りが向上し、また、焼結磁石の表面近傍に存在する希土類元素の高濃縮領域(高保磁力領域)が除去されないため、残渣物の除去に基づく保磁力に対する悪影響が抑制される。したがって、良好な歩留りおよび高保磁力を有する焼結磁石の製造方法を提供することが可能である。
本発明のさらに他の目的、特徴および特質は、以後の説明および添付図面に例示される好ましい実施の形態を参照することによって、明らかになるであろう。
本発明の実施の形態に係る焼結磁石を説明するための概略図である。 焼結磁石の用途の一例を説明するための概略図である。 焼結磁石の用途の別の一例を説明するための概略図である。 焼結磁石の製造方法を説明するためのフローチャートである。 図4に示される粒界拡散処理工程に投入される焼結磁石基材を説明するための斜視図である。 粒界拡散処理に適用される熱処理炉の一例を説明するための断面図である。 焼結磁石が取り付けられ熱処理冶具を説明するための側面図である。 焼結磁石が取り付けられ熱処理冶具を説明するための平面図である。 図4に示されるブラスト処理工程およびエアーブラスト工程に適用される残渣物除去設備の一例を説明するための概略図である。 図9に示されるブラスト処理装置を説明するため斜視図である。 図10に示されるノズル駆動装置を説明するため平面図である。 ブラスト処理による残渣物除去後の寸法変化を示しているテーブルである。 実施例および比較例1〜5における残留磁束密度および保磁力を示しているテーブルである。 実施例および比較例1〜5における保磁力と切削深さとの関係を示している図表である。 本発明の実施の形態の変形例1を説明するためのフローチャートである。 本発明の実施の形態の変形例1を説明するための概略図である。 本発明の実施の形態の変形例2を説明するためのフローチャートである。 本発明の実施の形態の変形例2を説明するための概略図である。 粒界拡散処理後の焼結磁石の表面状態を示している写真である。 本発明の実施の形態の変形例3を説明するためのフローチャートである。 本発明の実施の形態の変形例3を説明するための概略図である。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。なお、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。また、範囲を示す「X〜Y」は、「X以上Y以下」を意味する。さらに、特記しない限り、操作および物性等の測定は、室温(20〜25℃)かつ相対湿度40〜50%RHの条件で測定されている。
図1は、本発明の実施の形態に係る焼結磁石を説明するための概略図である。
図1に示される焼結磁石10は、後述される本発明の実施の形態に係る焼結磁石の製造方法によって製造されるNd−Fe−B系焼結磁石であり、焼結磁石10の表面12は、粒界拡散(粒界改質)処理が施されている。
焼結磁石10の内部は、大きさ約3〜10ミクロンの主相の周囲を粒界相が取り囲んだ構造をしている。主相は、例えば、NdFe14Bである。粒界相は、略10〜100ナノメートルの厚さを有し、主にNd,Fe,Oから構成されており、Ndリッチ相と呼称される。結晶粒界は逆磁区の発生源となりやすいが、粒界拡散処理によって希土類元素を結晶粒界に沿って拡散させることで、結晶粒界部分の結晶磁気異方性を高めて保磁力を増加させている。
次に、焼結磁石10の用途が説明される。
図2および図3は、本発明の実施の形態に係る焼結磁石の用途の一例を説明するための概略図である。
焼結磁石10は、例えば、図2に示される表面焼結磁石型同期モーター(SMP(SPMSM))30や、図3に示される埋込焼結磁石型同期モーター(IMP(IPMSM))40に適用される。
表面焼結磁石型同期モーター30は、焼結磁石10を同期モーター用ロータ32の表面34に直接取り付ける(貼り付ける)ことによって構成される。焼結磁石10は、ロータ32の表面形状に対応するように成形され、あるいは、ロータ32の表面形状に対応するように、切削加工される。埋込焼結磁石型同期モーター40は、焼結磁石10を同期モーター用ロータ42に形成されている埋込溝44に圧入(挿入)して固定化することによって構成される。焼結磁石10は、例えば、埋込溝44と同じ形状および厚さに切断される。
焼結磁石10の用途は、上記の特定のモーターに限定されず、幅広い分野に適用することが可能であり、焼結磁石10の形状は、用途に応じて適宜変更される。例えば、焼結磁石10は、民生用電子機器分野、OA機器分野、精密機器分野、医療用分野、FA分野、自動車電装分野に適用することが可能である。焼結磁石10は、高保磁力を有するため、上記分野におけるシステムを軽量化および小型化が可能である点で優れている。
具体的には、民生用電子機器分野は、スピーカー、ヘッドホン、カメラの巻上げ用モーター、フォーカス用アクチュエータ、ビデオ機器等の回転ヘッド駆動モーター、ズーム用モーター、フォーカス用モーター、キャプスタンモーター、光ピックアップ(例えば、CD、DVD、ブルーレイ)、空調用コンプレッサー、室外機ファンモーター、電気かみそり用モーター等の分野である。
OA機器分野は、ボイスコイルモーター、スピンドルモーター、ステッピングモーター、プロッター、プリンター用アクチュエータ、ドットプリンター用印字ヘッド、複写機用回転センサー等の分野である。
精密機器分野は、時計用ステッピングモーター、各種メーター、ペジャー、携帯電話用(携帯情報端末を含む)振動モーター、レコーダーペン駆動用モーター、加速器、放射光用アンジュレーター、偏光焼結磁石、イオン源、半導体製造機器の各種プラズマ源、電子偏光用、磁気探傷バイアス用等の分野である。
医療用分野は、永久焼結磁石型MRI(核磁気共鳴画像法)、心電図計、脳波計、歯科用ドリルモーター、歯固定用マグネット、磁気ネックレス等の分野である。
FA分野は、ACサーボモーター、同期モーター、ブレーキ、クラッチ、トルクカップラ、搬送用リニアモーター、リードスイッチ等の分野である。
自動車電装分野は、リターダ、イグニッションコイルトランス、ABS(アンチロックブレーキシステム)センサー、回転、位置検出センサー、サスペンション制御用センサー、ドアロックアクチュエータ、ISCV(アイドルスピードコントロールバルブ)アクチュエータ、電気自動車駆動用モーター、ハイブリッド自動車駆動用モーター、燃料電池自動車駆動用モーター、ブラシレスDCモーター、ACサーボモーター、ACインダクションモーター、パワーステアリング、カーエアコン、カーナビゲーションの光ピックアップ等の分野である。
次に、焼結磁石10の製造方法が説明される。
図4は、焼結磁石の製造方法を説明するためのフローチャート、図5は、図4に示される粒界拡散処理工程に投入される焼結磁石基材を説明するための斜視図である。
本発明の実施の形態に係る焼結磁石の製造方法は、概して、粒界拡散処理工程、ブラスト処理工程およびエアーブラスト工程を有する。
粒界拡散処理工程においては、図5に示される基材となる焼結磁石10に対し、熱処理(粒界拡散処理)が施される。焼結磁石10は、希土類元素Rを含む合金粉末を有する塗布層14を有しており、熱処理が施されることによって、NdFe14B主相を取り囲む結晶粒界相に、希土類元素が偏在させられる。希土類元素Rを含む合金粉末は、R(以下、式1という。)で表される。
塗布層14は、必要に応じて、焼結磁石10の表面全体あるいは一部の表面に配置される。また、塗布層14は、熱処理が施される前に、例えば、20〜80℃で1〜60分、乾燥されていることが好ましい。
ブラスト処理工程においては、粒界拡散処理が施された焼結磁石10の表面に存在する残渣物が、ショット材(投射材)を投射することによって除去される。ショット材の投射条件は、粒界拡散処理が施された焼結磁石の表面を切削せず、残渣物のみを除去するように設定される。投射条件は、例えば、投射圧である。
エアーブラスト工程においては、焼結磁石10に付着しているショット材が除去される。これにより、ショット材のコンタミネイションを削減することが可能である。
ショット材が除去された焼結磁石10は、必要に応じて、所定の形状寸法に裁断され、図1に示される焼結磁石10が得られる。裁断方法は、特に限定されず、例えば、単一の円盤状切断刃による裁断や、複数の刃を有する切断機(マルチソー)による裁断を、適用することが可能である。
本製造方法においては、投射されたショット材は、焼結磁石10の表面を切削せず、残渣物のみを除去するため、焼結磁石10の歩留りが向上し、また、焼結磁石10の表面近傍に存在する希土類元素の高濃縮領域(高保磁力領域)が除去されないため、残渣物の除去に基づく保磁力に対する悪影響が抑制される。したがって、良好な歩留りおよび高保磁力を有する焼結磁石10が製造される。
次に、粒界拡散処理工程に投入される基材であるNd−Fe−B系焼結磁石が詳述される。
粒界拡散が施されるNd−Fe−B系焼結磁石は、特に限定されないが、例えば、希土類元素としてNd元素を必須元素として10〜20原子%含み、B元素を必須元素として1〜12原子%含み、且つ残部がFe元素および不可避的不純物である組成を有する焼結磁石が、好ましい。Nd−Fe−B系焼結磁石は、必要に応じて、プラセオジム(Pr)、ジスプロシウム(Dy)、テルビウム(Tb)などの希土類元素、さらに、Co、Ni、Mn、Al、Cu、Nb、Zr、Ti、W、Mo、V、Ga、Zn、Si等の他の元素をさらに含む組成を有することも可能である。これらの元素は、1種単独であるいは2種以上が併用され、例えば、磁石相の相構造の一部と置換あるいは挿入されることによって、磁石に導入される。
具体的には、粒界拡散が施されるNd−Fe−B系焼結磁石は、NdFe14B、Nd(Fe1−xCo14B(0≦x≦0.5)、Nd15Fe77、Nd11.77Fe82.355.88、Nd1.1Fe、NdFe10、(Nd1−xDy15Fe77(0≦x≦0.4)、(Nd1−xTb15Fe77(0≦x≦0.4)、(Nd0.75Zr0.25)(Fe0.7Co0.3)N(1≦x≦6)、Nd15(Fe0.80Co0.2077−xAl(0≦x≦5)、(Nd0.95Dy0.0515Fe77.5Al0.5、(Nd0.95Tb0.0515Fe77.5Al0.5、(Nd0.95Dy0.0515(Fe0.95Co0.0577.56.5Al0.5Cu0.2、(Nd0.95Tb0.0515(Fe0.95Co0.0577.56.5Al0.5Cu0.2、NdFe8020、Nd4.5Fe73CoGaB18.5、Nd5.5Fe66CrCo18.5、Nd10Fe74Co10SiB、Nd3.5Fe7818.5、NdFe76.518.5、NdFe77.518.5、Nd4.5Fe7718.5、Nd3.5DyFe73CoGaB18.5、Nd3.5TbFe73CoGaB18.5、Nd4.5Fe72CrCo18.5、Nd4.5Fe73SiB18.5、Nd4.5Fe71CrCo18.5、Nd5.5Fe66CrCo18.5等である。なお、エネルギー積(BH)maxが高いこと、および入手容易性の観点から、NdFe14Bが好ましい。
次に、粒界拡散処理工程に投入される基材であるNd−Fe−B系焼結磁石の塗布層14が詳述される。
塗布層14が有する合金粉末は、1種単独あるいは2種以上を混合して適用され、式1(R)で表される。
Rは、スカンジウム(Sc)およびイットリウム(Y)を含む希土類元素のうち少なくとも1つ以上である。具体的には、Rは、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、およびルテチウム(Lu)からなる群から選択される1つ以上である。
Rは、取扱いの容易さおよび拡散性の観点から、プラセオジム(Pr)、ジスプロシウム(Dy)、テルビウム(Tb)およびホルミウム(Ho)からなる群から選択される1つ以上であることが好ましく、テルビウム(Tb)および/またはジスプロシウム(Dy)であることがより好ましい。保磁力の観点から、テルビウム(Tb)が、特に好ましい。
Aは、CaまたはLiである。CaまたはLiは、酸化物の標準生成自由エネルギーが低いため、酸素ゲッターとして機能し、希土類元素の酸化が抑制される。希土類元素の酸化がより効果的に抑制されるという観点から、Aは、Caであることが好ましい。
Bは、不可避不純物である。不可避不純物は、合金において、原料中に存在したり、製造工程において不可避的に混入したりするものを意味する。不可避不純物は、本来は不要なものであるが、効果を阻害しない程度の微量であり、合金の特性に影響を及ぼさないため、許容されている。例えば、不可避不純物は、Al、Si、Ti、V、Cr、Mn、Ni、Cu、Zn、Ga、Zr、Nb、Mo、Ag、In、Sn、Hf、Ta、W、Pb、Biである。
式1(R)のx、yおよびzの範囲に関し、2≦x≦99、1≦y<x、0≦z<yである。Rとして複数種の希土類元素を含む場合、xの値は、複数種の希土類元素の合計量を示し、AとしてCaおよびLiを含む場合、yの値は、CaとLiの合計量を示す。
残留磁束密度の低下抑制の観点から、xの範囲は、好ましくは2≦x≦20、より好ましくは2≦x≦15、さらに好ましくは2≦x≦10である。保磁力増加の観点から、xの範囲は、特に好ましくは2≦x≦5である。zの範囲は、好ましくは0≦z≦0.1y、さらに好ましくは0≦z≦0.01yである。なお、範囲の組合せに関し、例えば、「2≦x≦20、1≦y<x、0≦z≦0.01y」、「2≦x≦15、1≦y<x、0≦z≦0.01y」、「2≦x≦10、1≦y<x、0≦z≦0.01y」が好ましい。
Bは、不可避不純物であるため、zは小さいほど好ましく、実質的にBは含まれないことが好ましい。Bが「実質的に含まれない」とは、合金全体に対するBの含量が0.1重量%以下の場合をいう。Bの含量は、より好ましくは、合金全体に対して0.01重量%以下である。Bが実質的に含まれない場合、希土類元素Rを含む合金粉末は、Rで表すことが可能である。
具体的には、式1(R)の合金は、Tb20Ca、Tb15Ca、Tb10Ca、TbCa、TbCa、TbCa、TbCa、Tb20Li、Tb10Li、TbLi、TbLi、Dy20Ca、Dy10Ca、DyCa、DyCa、Dy20Li、Dy10Li、DyLi、DyLi、Pr20Ca、Pr10Ca、PrCa、PrCa、Pr20Li、Pr10Li、PrLi、PrLi、Ho20Ca、Ho10Ca、HoCa、HoCa、Ho20Li、Ho10Li、HoLi、HoLi、(Tb20−aDy20Ca(ただし、0.1≦a≦19.9である)、(Tb10−aDy10Ca(ただし、0.1≦a≦9.9である)、(Tb3−aDyCa(ただし、0.1≦a≦2.9である)、(Tb3−aDyCa(ただし、0.1≦a≦2.9である)、(Tb20−aDy20Li(ただし、0.1≦a≦19.9である)、(Tb10−aDy10Li(ただし、0.1≦a≦9.9である)、(Tb3−aDyLi(ただし、0.1≦a≦2.9である)、(Tb3−aDyLi(ただし、0.1≦a≦2.9である)、(Tb20−aPr20Ca(ただし、0.1≦a≦19.9である)、(Tb10−aPr10Ca(ただし、0.1≦a≦9.9である)、(Tb3−aPrCa(ただし、0.1≦a≦2.9である)、(Tb3−aPrCa(ただし、0.1≦a≦2.9である)、(Tb20−aHo20Ca(ただし、0.1≦a≦19.9である)、(Tb10−aHo10Ca(ただし、0.1≦a≦9.9である)、(Tb3−aHoCa(ただし、0.1≦a≦2.9である)、(Tb3−aHoCa(ただし、0.1≦a≦2.9である)等である。これらの合金は、目的効果が阻害されない限りにおいて、不可避不純物を含むものであってもよい。
式1(R)の合金は、合金化手法を使用して製造される。合金化手法は、例えば、メカニカルアロイング法、アーク溶解法、鋳造法、ガスアトマイズ法、液体急冷法、イオンビームスパッタリング法、真空蒸着法、メッキ法、気相化学反応法である。
式1(R)の合金は、適宜組み合わされた粗粉砕機および微粉砕機によって粉末化される。粗粉砕機は、例えば、ジョークラッシャー、ブラウンミル、スタンプミルである。微粉砕機は、例えば、ジェットミル、ボールミル、振動ミル、湿式アトライタ一である。
合金粉末の粒径(直径)は、粒界拡散処理が施される基材である焼結磁石10に対する適用性の観点から、500μm以下、好ましくは200μm以下、より好ましくは100μm以下である。合金粉末の粒径の下限は、0.01μm以上である。合金粉末のメジアン径(直径)は、0.1〜200μm、好ましくは1〜50μm、より好ましくは1〜22μm、さらに好ましくは1〜13μm、特に好ましくは1〜10μmである。
次に、合金粉末Rの塗布層14が詳述される。
塗布層14は、基材となる焼結磁石10に合金粉末と溶媒(分散媒)とを含んでいるスラリーを塗布することによって形成される。スラリーは、必要に応じ、合金粉末の粒子の凝集を防ぐための分散剤等を、さらに含むことが可能である。
スラリー中の合金粉末の含有量は、好ましくは1〜99重量%、より好ましくは5〜80重量%、さらに好ましくは5〜75重量%、特に好ましくは20〜60重量%である。
塗布層14中の合金粉末の存在量は、焼結磁石10と合金粉末との合計重量に対し、好ましくは0.05〜10重量%、より好ましくは0.1〜5重量%、さらに好ましくは0.2〜3重量%である。なお、複数種の合金粉末が用いられる場合、複数種の合金粉末の合計量が、合金粉末の重量として使用される。
スラリーの塗布方法は、特に限定されず、例えば、焼結磁石10をスラリーに浸漬させる方法、スラリー中で焼結磁石10と所定のメディアとを撹持する方法、スラリーを焼結磁石10に滴下する方法を適用することが可能である。なお、焼結磁石10に合金粉末を配置する方法は、上記形態に限定されず、例えば、合金粉末の直接吹き付けを適用することも可能である。
スラリーに用いる溶媒は、合金粉末を均一に分散させるものが好ましい。この場合、焼結磁石10に合金粉末が均一に配置され、後工程の粒界拡散処理における拡散が良好に生じる。また、スラリーに用いる溶媒は、希土類元素や酸素ゲッターの酸化劣化を防止する観点から、水を含まないものが好ましい。
具体的には、スラリーに用いる溶媒は、アルコール、アルデヒド、ケトン等である。ケトンは、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコールである。スラリーに用いる溶媒は、1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
なお、合金粉末Rは、酸素ゲッター(Caおよび/またはLi)を含むため、酸化劣化を防止する観点から、合金粉末を得るための合金化処理から粒界拡散処理工程に供するまでの操作は、低酸素雰囲気下で実施することが好ましい。低酸素雰囲気は、例えば、100ppm以下の酸素濃度雰囲気であり、窒素やアルゴン等の不活性ガスを利用して形成される。
ワックス類やウレタン樹脂は、合金粉末の酸化を防止する安定化剤として利用することが可能である。したがって、スラリーに用いる溶媒に、ワックス類およびウレタン樹脂からなる群から選択される1種以上の安定化剤を、添加することによって、スラリーの調整から粒界拡散処理工程に供するまでの操作を、大気中等の高酸素雰囲気下で実施することも可能である。スラリー中の安定化剤の含有量は、例えば1〜99重量%であり、好ましくは5〜60重量%である。
ワックス類は、ワックスエステルおよび脂肪族炭化水素を指している。具体的には、ワックス類は、パラフィンワックス、流動パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、モンタンワックス、セレシン、オゾケライト、ワセリン、ミツロウ、鯨ロウ、モクロウ、カルナウバロウ、米糠ロウ、サトウキビロウ等である。良好な酸化防止効果の観点から、パラフィンワックス、流動パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、セレシン、オゾケライト、およびワセリンからなる群から選択される炭化水素が好ましく、流動パラフィンがより好ましい。ワックス類は、1種単独あるいは2種以上を混合して用いることが可能である。
ウレタン樹脂は、ポリオールとポリイソシアネートとの共重合により得られる化合物であれば特に制限されず、1種単独あるいは2種以上を混合して用いることが可能である。
次に、粒界拡散処理工程、ブラスト処理工程およびエアーブラスト工程が、順次詳述される。
図6は、粒界拡散処理に適用される熱処理炉の一例を説明するための断面図である。
粒界拡散処理に適用される熱処理炉100は、例えば、図6に示されるように、チャンバー110、真空装置120および制御装置130を有する。
チャンバー110は、台座部112およびヒーター114を有する。台座部112には、冶具140が配置される。冶具140は、粒界拡散処理が施されていない基材である焼結磁石10を保持するために使用される。焼結磁石10の表面12は、希土類元素を含む合金粉末を有する塗布層14(図5参照)を有する。
ヒーター114は、例えば、モリブデン抵抗体等の抵抗発熱体を有し、チャンバー110の内部を昇温するために使用される。
真空装置120は、チャンバー110内部の空気を吸引するための配管系122を有する真空ポンプからなり、焼結磁石10の塗布層14に含まれる希土類元素の酸化防止のため、チャンバー110内部を低酸素環境とするために使用される。低酸素環境は、例えば、酸素濃度が10ppm以下の環境である。
制御装置130は、プログラムにしたがって各部の制御や各種の演算処理を実施するマイクロプロセッサー等から構成される制御回路を有しており、熱処理炉100の各機能は、それに対応するプログラムを制御装置130が実行することにより発揮される。例えば、制御装置130は、ヒーター114および真空装置120が接続されており、ヒーター114および真空装置120を制御し、チャンバー110内部を所定の真空度および温度に維持することが可能である。
図7および図8は、焼結磁石が取り付けられ熱処理冶具を説明するための側面図および平面図である。
冶具140は、カーボンから形成されており、基部142、側壁部144および上部プレート146を有する。
上部プレート146は、焼結磁石10の形状と対応する開口部147を有する。開口部147は、焼結磁石10の外形形状に対応しており、焼結磁石10を着脱自在に嵌合する。側壁部144は、段差部145を有する。段差部145は、上部プレート146の端部を支持する。基部142は、開口部147から突出する焼結磁石10の下面を支持する。したがって、焼結磁石10の側面方向は、開口部147の内周によって固定され、焼結磁石10の上下方向は、焼結磁石10の自重に基づいて固定される。
上部プレート146は、自重に基づいて段差部145に支持されており、固定されていない。そのため、焼結磁石10の形状が変化した場合、上部プレート146のみを変更することによって、容易に対応すること可能である。
冶具140に保持(固定)される焼結磁石10は、サイクルタイムを短縮する観点から、複数であることが好ましい。
次に、熱処理炉100が適用される粒界拡散処理が詳述される。
まず、塗布層14を有する焼結磁石10が取り付けられた冶具140が、チャンバー110の台座部112に配置されると、チャンバー110が密閉される。塗布層14は、必要に応じて、熱処理が施される前に、例えば、20〜80℃で1〜60分、乾燥されている。
真空装置120は、チャンバー110内部を減圧し、低酸素雰囲気とする。チャンバー110の内圧を、例えば、5.0×10−2Pa以下、好ましくは1.0×10−2Pa以下、より好ましくは1.0×10−3Pa以下である。
ヒーター114は、チャンバー110内部の温度を粒界拡散処理のための熱処理温度まで上昇させる。
熱処理温度は、700〜1000℃、好ましくは800〜1000℃が、より好ましくは900℃以上1000℃未満である。熱処理時間は、1分〜30時間であり、好ましくは1〜10時間である。熱処理温度および熱処理時間の組合せとしては、例えば、200℃以上1050℃以下で1分〜30時間、好ましくは700〜1000℃で1〜10時間である。熱処理温度は、希土類元素が焼結磁石10の主相結晶に取り込まれることを防止する観点から、焼結磁石10の焼結温度未満以下が好ましい。
希土類金属が拡散する深さは、焼結磁石10表面から20〜1000μm位である。粒界相の厚さは、10〜200nm位である。
粒界拡散処理後において、焼結磁石10に対して時効処理を施し、粒界のNdリッチ相の均一な生成を助長することも可能である。これにより、焼結磁石10の保磁力がさらに向上する。
時効処理は、操作の簡略化の観点から、熱処理炉100を利用して実施することが好ましいが、別途、時効処理用の設備を用意することも可能である。時効処理温度は、200〜700℃、好ましくは500〜650℃である。時効処理時間は、10分〜3時間、好ましくは30分〜2時間である。時効処理は、真空あるいは不活性ガス中で実施することも可能である。
なお、焼結磁石10の表面に水素化カルシウムを存在させた状態で粒界拡散処理(熱処理)が実施される場合、保磁力の増加効果が一層顕著となる。これは、合金粉末に優先して水素化カルシウムが酸化され、希土類元素の拡散がより一層促進されるためではないかと考えられる。
したがって、粒界拡散処理の前に、水素化カルシウムを焼結磁石10の表面に配置することが好ましい。この場合、作業性および偏在を低減する観点から、塗布層14を形成するためのスラリーに水素化カルシウムを添加することが好ましい。しかし、スラリーを焼結磁石10に塗布する前あるいは後に、水素化カルシウムを含む塗布液を焼結磁石10に塗布することも可能である。
保磁力強化の観点から、焼結磁石10表面における水素化カルシウムの存在量は、焼結磁石10と水素化カルシウムとの合計重量に対し、好ましくは0.001〜5重量%、より好ましくは0.01〜3重量%、さらに好ましくは0.25〜1重量%である。保磁力の増加効果を効果的に発揮するためには、水素化カルシウムの存在量は、合金粉末の重量を100重量部としたとき、好ましくは0.5〜80重量部、より好ましくは1〜60重量部、さらに好ましくは5〜50重量部である。
焼結磁石10の表面に遷移元素フッ化物等を存在させた状態で粒界拡散処理が実施される場合、保磁力の増加効果が一層顕著となる。これは、遷移元素フッ化物等を存在により、希土類元素の粒界部への拡散が促進されたためではないかと考えられる。したがって、水素化カルシウムの場合と同様に、粒界拡散処理の前に、遷移元素フッ化物等を焼結磁石10の表面に配置することが好ましい。
遷移元素フッ化物等は、Al、B、Cu、Ni、Co、ZnまたはFeからなる群から選択される遷移元素の酸化物、フッ化物および酸フッ化物である。具体的には、遷移元素フッ化物等は、AlF、BF、CuF、CuF、NiF、CoF、CoF、ZnF、FeF、Al、B、CuO、CuO、NiO、Ni、CoO、Co、Co、ZnO、FeO、Fe、AlOF(アルミニウムフルオリドオキシド)等である。
保磁力強化の観点からはAlFが好ましい。残留磁束密度維持の観点からはNiFが好ましい。遷移元素フッ化物等は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることが可能である。
保磁力と残留磁束密度とのバランスの観点から、遷移元素フッ化物等の存在量は、焼結磁石10と遷移元素フッ化物等との合計重量に対し、好ましくは0.01〜3重量%、より好ましくは0.03〜1重量%である。なお、複数種の遷移元素フッ化物等が用いられる場合、複数種の遷移元素フッ化物等の合計量が、遷移元素フッ化物等の重量として使用される。
保磁力の増加効果を効果的に発揮するためには、遷移元素フッ化物等の存在量は、合金粉末の重量を100重量部としたとき、好ましくは1〜80重量部、より好ましくは5〜50重量部である。
なお、水素化カルシウムおよび遷移元素フッ化物等は、適宜組み合わせて適用することも可能である。
次に、ブラスト処理工程およびエアーブラスト工程に適用される残渣物除去設備の一例が説明される。
図9は、図4に示されるブラスト処理工程およびエアーブラスト工程に適用される残渣物除去設備の一例を説明するための概略図、図10は、図9に示されるブラスト処理装置を説明するため斜視図、図11は、図10に示されるノズル駆動装置を説明するため平面図である。
残渣物除去設備150は、例えば、図9に示されるように、ブラスト処理装置160、エアーブラスト装置170、搬送装置180および制御装置185を有する。
ブラスト処理装置160は、ノズル161、ノズル駆動装置162、ホッパー167、ショット材回収部168および高圧エアー源169を有する。
ノズル161は、高圧エアーを利用してショット材を投射し、粒界拡散処理が施された焼結磁石10の表面に存在する残渣物を除去するために使用される。
ノズル駆動装置162は、図10および図11に示されるように、回動駆動部163および往復動部164を有する。
回動駆動部163は、ノズル161が連結されており、ショット材(ノズル161)の投射角度を変更可能に構成されている。往復動部164は、支持体165およびリニアアクチュエーター166を有する。支持体165は、回動駆動部163を介してノズル161を支持している。リニアアクチュエーター166は、焼結磁石10の搬送方向Cと直交する方向Mに延長しており、ノズル161を方向Mに沿って直線移動させることが可能に構成されている。リニアアクチュエーター166は、搬送方向Cと直交する方向Mに延長する形態に限定されない。
ショット材(ノズル161)の投射角度を変更(回動)させながらのショット材の投射は、ブラスト処理範囲に対応する投射範囲が増加することによるサイクルタイムの短縮化や、投射したショット材同士の干渉や投射したショット材と跳ね返ったショット材との衝突等が抑制されることによるショット材の高寿命化によるコストの削減をもたらすため、好ましい。
ノズル駆動装置162の設置数は、焼結磁石10の数や形状に対応させて適宜増加させることも可能である。例えば、ノズル161の複数設置は、サイクルタイムの短縮の点で、好ましい。
ホッパー167は、ノズル161から投射されるショット材を保持しており、ショット材をノズル161に供給可能に構成されている。ショット材回収部168は、ロート形状を有し、ショット材が投射される焼結磁石10の下方に位置し、焼結磁石10の残渣物を除去した後のショット材を回収するために使用される。高圧エアー源169は、ショット材を投射するための駆動源であり、高圧エアーをノズル161に供給可能に構成されている。
エアーブラスト装置170は、ノズル171、ノズル駆動装置172、ショット材回収部178および高圧エアー源179を有する(図9)。ノズル171は、高圧エアーを噴射し、焼結磁石10に付着しているショット材を除去し、ショット材のコンタミネイションを削減するために使用される。
ノズル駆動装置172は、ブラスト処理装置160のノズル駆動装置162と略同一の構成を有する。ショット材回収部178は、ロート形状を有し、高圧エアーが噴射される焼結磁石10の下方に位置し、焼結磁石10から分離されたショット材を回収するために使用される。高圧エアー源169は、例えば、コンプレッサーを有しており、ノズル171から噴射される高圧エアーを供給可能に構成されている。つまり、エアーブラスト装置170は、高圧エアーのみを噴射する(ショット材を投射しない)点を除き、ブラスト処理装置160と略同一の構成を有する。
搬送装置180は、コンベアベルト182および搬送モーター184を有する。コンベアベルト182は、搬送モーター184によって駆動され、粒界拡散処理が施された焼結磁石10を有する冶具140を、ブラスト処理装置160およびエアーブラスト装置170に投入するために使用される。搬送装置180は、コンベアベルト182を利用する形態に限定されず、例えば、必要に応じて、ターンテーブルを利用することも可能である。
制御装置185は、例えば、プログラムにしたがって各部の制御や各種の演算処理を実施するマイクロプロセッサー等から構成される制御回路を有しており、残渣物除去設備150の各機能は、それに対応するプログラムを制御装置185が実行することにより発揮される。
例えば、制御装置185は、ノズル駆動装置162,172、高圧エアー源169,179および搬送モーター184が接続されており、ノズル駆動装置162を制御し、ショット材(ノズル161)の投射角度を調整し、高圧エアー源169を制御し、ショット材の投射時間および投射圧力を調整し、ノズル駆動装置172を制御し、ノズル171の噴射角度を調整し、高圧エアー源179を制御し、高圧エアーの投射時間および投射圧力を調整することが可能である。
ショット材回収部168,178は、ショット材に加えて、焼結磁石10から除去された残渣物も回収される。したがって、残渣物除去設備150は、ショット材と残渣物を分離する選別装置を有することが好ましい。これにより、分離した残渣物およびショット材をリサイクルすることによって、材料費を削減することが可能である。
ブラスト処理装置160およびエアーブラスト装置170に設けられるノズル161,171の設置数およびノズル駆動装置172の配置位置は、上記形態に限定されず、適宜変更することが可能である。ノズル161,171は、必要に応じて固定式として、回動しないように構成することも可能である。ブラスト処理装置160およびエアーブラスト装置170を適宜一体化することも可能である。ブラスト処理装置160およびエアーブラスト装置170を、バッチ式とすることも可能である。
次に、残渣物除去設備150が適用されたブラスト処理工程およびエアーブラスト工程が詳述される。
まず、熱処理炉100(図6)から取り出された冶具140が、コンベアベルト182に配置される。冶具140の上部プレート146の開口部147には、粒界拡散処理が施された焼結磁石10が固定されている。つまり、ブラスト処理時(ショット材の投射時)の治具と粒界拡散処理時の治具とが同一である。したがって、焼結磁石10の脱着に要する段取り時間を削減し、サイクルタイムを短縮することが可能である。
コンベアベルト182は、搬送モーター184に駆動され、焼結磁石10(冶具140)をブラスト処理装置160に搬入する。
ブラスト処理装置160のノズル161は、焼結磁石10の表面に対して高圧エアーを利用してショット材を投射する。この際、ノズル161は、回動駆動部163によって回動を繰り返し(図10)かつリニアアクチュエーター166によって搬送方向Cと直交する方向Mに関して往復動する。これによって、ブラスト処理装置160を通過する間に、冶具140に固定されている全ての焼結磁石10の表面から、残渣物が除去される。
例えば、ショット材は、アルミナであり、ショット材の粒度分布の平均粒径D50は、約50μm、投射圧力は、0.8barである。ショット材は、アルミナに限定されず、炭化ケイ素、ジルコニア等を適宜利用することが可能である。
なお、焼結磁石10の形状(サイズ)に応じて、ショット材(ノズル161)の投射角度、投射時間および投射圧力を適宜変更することが好ましい。この場合、サイクルタイム(ショット材の投射時間)の短縮化、焼結磁石へのダメージの低減および残渣物の除去性の向上を図ることが可能である。
コンベアベルト182は、搬送モーター184によって駆動され、残渣物が除去された焼結磁石10(冶具140)を、エアーブラスト装置170に搬入する。
エアーブラスト装置170のノズル171は、焼結磁石10の表面に対して高圧エアーを噴射する。この際、ノズル171は、ブラスト処理装置160のノズル161と同様に、回動駆動部によって回動を繰り返しかつリニアアクチュエーターによって搬送方向と直交する方向に関して往復動する。これによって、エアーブラスト装置170を通過する間に、冶具140に固定されている全ての焼結磁石10の表面から、ショット材が除去される。
なお、焼結磁石10の形状(サイズ)に応じて、高圧エアー(ノズル171)の噴射角度、噴射時間および噴射圧力を適宜変更することが好ましい。この場合、ショット材を確実かつ効率的に除去することが可能である。
次に、焼結磁石10の寸法変化が説明される。
図12は、ブラスト処理(ショット材の投射)による残渣物除去後の寸法変化を示しているテーブルである。
焼結磁石10の寸法変化は、ノギスを使用し、長さ、幅および厚さに関し、n=80で実施した。焼結磁石10の寸法変化は、図14に示されるように、誤差の範囲内であり、焼結磁石の表面は切削されずに、残渣物のみが除去された。なお、幅の寸法変化の平均の値が、「+0.01mm」となっているが、これは、粒界拡散処理によって焼結磁石10に歪みが生じたことに起因すると想定される。
なお、寸法変化を測定した焼結磁石10は、以下のようにして得た。
市販のNd−Fe−B系焼結磁石を、基材として使用した。焼結磁石の寸法は、70mm×13mm×3.5mmであり、残留磁束密度(B)は、1.38[T]、保磁力(Hcj)は、1.35[MA/m]であった。
希土類元素を含む合金は、TbメタルおよびCaメタルをアーク溶解することにより得られたTb20Caである。合金粉末は、Tb20Caを、ボールミルを使用して粒径50μm以下に粉砕することにより得られた。合金粉末の粒径は、レーザー回析式粒子径分布測定装置により測定した。Tb20Ca粉末は、1−ブタノール(無水)に添加され、Tb20Caが50重量%のスラリーが調製された。
スラリーは、ゴム刷毛によって焼結磁石の1面(75m×13mm)に塗布され、30℃で10分間乾燥させた。Tb20Caの塗布量は、焼結磁石とTb20Caの全重量に対して約0.5重量%(存在率)の割合になるように、設定された。なお、TbメタルとCaメタルとの合金化から、塗布されたスラリーの乾燥まで、Ar雰囲気下で実施した。
Tb20Caの塗布層を有する焼結磁石は、1.0×10−3Pa以下の真空下において、900℃で6.5時間の粒界拡散処理が施された。その後、継続して、550℃で2時間の時効処理が実施された。
粒界拡散処理が施された焼結磁石の表面に対して、ブラスト処理(ショット材の投射)が施され、焼結磁石の表面に存在する残渣物が除去され、実施例に係る焼結磁石が得られた。ショット材は、アルミナであり、粒度分布の平均粒径D50は、約50μm、投射圧力は、0.8bar、投射時間は、60秒であった。
次に、焼結磁石10の磁気特性評価が説明される。
図13は、実施例および比較例1〜5における残留磁束密度および保磁力を示しているテーブル、図14は、実施例および比較例1〜5における保磁力と切削深さとの関係を示している図表である。
実施例における基材となった焼結磁石は、市販のNd−Fe−B系焼結磁であり、焼結磁石の寸法は、7mm×7mm×3mmであり、残留磁束密度(B)は、1.420[T]、保磁力(Hcj)は、1015.3[kA/m]であった。その他の条件は、上述の寸法変化を測定した場合と同一である。
比較例1〜5は、残渣物を研削によって除去している点を除けば、他の条件は、実施例と同一である。なお、比較例1、2、3、4および5の研削深さは、0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.4mmおよび0.5mmに設定された。
磁気特性は、日本電磁測器製パルスB−Hカーブトレーサーを使用して、保磁力(Hcj)および残留磁束密度(B)に関して評価した。
図13に示されるように、実施例の残留磁束密度(B)は、1604.0[kA/m]であり、比較例1〜5の残留磁束密度(B)は、1475.2〜1526.3[kA/m]であった。つまり、図14に明確に示されるように、実施例は、比較例1〜5に比較して良好な保磁力を呈し、また、比較例1〜5の保磁力は、研削深さの増加に対応し、減少する傾向が見られた。
一方、実施例の残残留磁束密度(Br)は、1.403[T]であり、比較例1〜5の残残留磁束密度(Br)は、1.408〜1.420[T]であった。つまり、実施例は、比較例1〜5に比較して良好な保磁力を呈しているが、残残留磁束密度(Br)の低下は限定的であった。
次に、本発明の実施の形態の変形例1〜3が順次説明される。
図15および図16は、本発明の実施の形態の変形例1を説明するためのフローチャートおよび概略図である。
焼結磁石10の重量は、残渣物を除去することによって減少するため、焼結磁石10の重量減少と残渣物の除去量とは対応している。したがって、焼結磁石10の重量変化に基づいて、焼結磁石10の不良品を検出することが可能である。例えば、重量変化が少な過ぎる場合、残渣物の除去が不十分であり、重量変化が大き過ぎる場合、焼結磁石基材が削り取られており、保磁力の増加量が不十分である。
具体的には、変形例1に係る残渣物除去設備150Aは、図16に示されるように、制御装置185に接続されている重量測定装置190,192を有する。
重量測定装置190および192は、搬送装置180に隣接して搬送方向Cの上流側および下流側に配置され、残渣物が除去される前後における冶具140の重量を測定するために使用される。
重量測定装置190,192が接続されている制御装置185は、残渣物が除去される前後における、冶具140が保持する焼結磁石10全体の重量変化を検出し、残渣物の除去が十分であるか否かを判定するように構成されている。なお、焼結磁石10を冶具140から取り外して焼結磁石10の重量を測定することにより、残渣物が除去される前後における焼結磁石10の重量変化を、個別かつ直接的に検出することも可能である。
残渣物除去設備150Aが適用される変形例1に係る焼結磁石の製造方法は、図15に示されるように、概して、粒界拡散処理工程、第1重量測定工程、ブラスト処理工程、エアーブラスト工程、第2重量測定工程および良否判定工程を有する。
粒界拡散処理工程とブラスト処理工程との間に位置する第1重量測定工程においては、搬送装置180に隣接して搬送方向Cの上流側に配置される重量測定装置190によって、残渣物が除去される前における冶具140の重量が測定される。
エアーブラスト工程と良否判定工程との間に位置する第2重量測定工程においては、搬送装置180に隣接して搬送方向Cの下流側に配置される重量測定装置192によって、残渣物が除去された後における冶具140の重量が測定される。
第2重量測定工程の後に位置する良否判定工程においては、残渣物が除去される前後における重量変化に基づき、焼結磁石10が不良品であるか否かが判定される(焼結磁石10の良否判定が行われる)。
例えば、重量変化が許容範囲の下限以下であり、残渣物の除去が不十分であると判定された焼結磁石10(焼結磁石10を保持する冶具140)は、ブラスト処理工程に再投入される。重量変化が許容範囲の上限以上であり、焼結磁石基材が削り取られていると判定された焼結磁石10は、除去される。したがって、焼結磁石10の不良品が次工程に流れることが抑制される。
なお、重量測定装置190,192による判定結果は、ブラスト処理の条件設定に反映させられる(フィードバックされる)。例えば、焼結磁石10の重量変化が小さく、焼結磁石10の表面に残渣物が存在すると判定される場合、ショット材の投射圧力および/又は投射圧力を増加させるように、ブラスト処理の条件設定が変更される。したがって、焼結磁石10の不良率を低減し、材料費を削減することが可能である。
図17および図18は、本発明の実施の形態の変形例2を説明するためのフローチャートおよび概略図、図19は、粒界拡散処理後の焼結磁石の表面状態を示している写真である。
焼結磁石10の不良品の検出は、焼結磁石10の重量に基づく形態に限定されない。例えば、図19に示されるように、粒界拡散処理後の焼結磁石10の表面は、濃淡を有し、残渣物は、濃い色として検出され、残渣物が存在しない部位は、白色として検出される。したがって、残渣物を除去した後に焼結磁石10の表面を光学的に観測することにより、残渣物の除去が不十分である不良品を検出することが可能である。例えば、焼結磁石10の表面画像において濃い色が占める領域が大き過ぎる場合、残渣物の除去が不十分である。
具体的には、変形例2に係る残渣物除去設備150Bは、図18に示されるように、制御装置185に接続されているカメラ195を有する。
カメラ195は、例えば、画像センサー(イメージセンサーあるいは撮像素子)を有し、搬送装置180に隣接して搬送方向Cの下流側の上方に配置され、冶具140が保持する焼結磁石10の表面画像をキャプチャーするために使用される。
カメラ195が接続されている制御装置185は、キャプチャーされた画像に対して画像処理を施し、残渣物が存在するか否か(残渣物の除去が十分であるか否か)を判定するように構成されている。画像処理は、例えば、濃淡のある画像を白と黒の2階調に変換する処理である二値化である。二値化は、焼結磁石10の表面画像からの検出対象(残渣物の画像)の抽出が容易かつ判定処理が高速に実行できる点で好ましい。
残渣物除去設備150Bが適用される変形例2に係る焼結磁石の製造方法は、図17に示されるように、概して、粒界拡散処理工程、ブラスト処理工程、エアーブラスト工程、画像処理工程および良否判定工程を有する。
エアーブラスト工程と良否判定工程の間に位置する画像処理工程においては、搬送装置180に隣接して搬送方向Cの下流側の上方に配置されるカメラ195によって、エアーブラスト工程後の冶具140が保持する焼結磁石10の表面画像がキャプチャーが測定される。
画像処理工程の後に位置する良否判定工程においては、キャプチャーされた表面画像に基づいて、焼結磁石10が不良品であるか否かが判定される(焼結磁石の良否判定が行われる)。
例えば、キャプチャーされた表面画像において残渣物の画像が占める領域の割合が許容値より大きく、残渣物の除去が不十分であると判定された焼結磁石10(焼結磁石10を保持する冶具140)は、ブラスト処理工程に再投入される。したがって、残渣物の除去が不十分である不良品が次工程に流れることが抑制される。
なお、カメラ195によるキャプチャー画像の判定結果は、ブラスト処理の条件設定に反映させられる(フィードバックされる)。例えば、残渣物の除去が不十分であるため、ショット材の投射圧力および/又は投射圧力を増加させるように、ブラスト処理の条件設定が変更される。したがって、焼結磁石10の不良率を低減し、材料費を削減することが可能である。
なお、残渣物の存在を検出するための方法は、画像の二値化に限定されない。
図20および図21は、本発明の実施の形態の変形例3を説明するためのフローチャートおよび概略図である。
変形例1と変形例2とを組み合わせることも可能である。例えば、変形例3に係る残渣物除去設備150Cは、図21に示されるように、制御装置185に接続されている重量測定装置190,192およびカメラ195を有する。
残渣物除去設備150Cが適用される変形例3に係る焼結磁石の製造方法は、図20に示されるように、概して、粒界拡散処理工程、第1重量測定工程、ブラスト処理工程、エアーブラスト工程、第2重量測定工程、画像処理工程および良否判定工程を有する。
粒界拡散処理工程とブラスト処理工程との間に位置する第1重量測定工程においては、重量測定装置190によって、残渣物が除去される前における冶具140の重量が測定される。エアーブラスト工程と画像処理工程との間に位置する第2重量測定工程においては、重量測定装置192によって、残渣物が除去された後における冶具140の重量が測定される。画像処理工程と良否判定工程との間に位置する画像処理工程においては、カメラ195によって、エアーブラスト工程後の冶具140が保持する焼結磁石10の表面画像がキャプチャーが測定される。
良否判定工程においては、残渣物が除去される前後における重量変化とキャプチャーされた画像とに基づき、焼結磁石10が不良品であるか否かが判定される。
例えば、焼結磁石10の重量変化が許容範囲内に含まれている場合であっても、キャプチャーされた表面画像において残渣物の画像が占める領域の割合が許容値より大きいと、焼結磁石10が不良品であると判定される。また、キャプチャーされた表面画像において残渣物の画像が占める領域の割合が許容値以下である場合であっても、焼結磁石10の重量変化が許容範囲内に含まれていないと、焼結磁石10が不良品であると判定される。
したがって、残渣物が除去される前後における重量変化のみに基づく判定や、キャプチャーされた表面画像のみに基づく判定に比較し、より正確に焼結磁石10が不良品であるか否かを判定することが可能である。なお、画像処理工程を第2重量測定工程の前に位置するように構成することも可能である。
以上のように、本発明の実施の形態に係る焼結磁石の製造方法においては、粒界拡散処理が施された焼結磁石の表面に存在する残渣物は、ショット材(投射材)を焼結磁石の表面に投射することによって除去される。投射されたショット材は、焼結磁石の表面を切削せず、残渣物のみを除去するため、焼結磁石の歩留りが向上し、また、焼結磁石の表面に存在する希土類元素の高濃縮領域(高保磁力領域)が除去されないため、残渣物の除去に基づく保磁力に対する悪影響が抑制される。したがって、良好な歩留りおよび高保磁力を有する焼結磁石の製造方法を提供することが可能である。
希土類元素Rは、ジスプロシウム(Dy)およびテルビウム(Tb)を含んでいる場合、粒界拡散処理によって焼結磁石の表面にジスプロシウム(Dy)およびテルビウム(Tb)の高濃縮領域が形成されるため、良好な高保磁力を得ることが可能である。
ショット材の投射時の治具と粒界拡散処理時の治具とが同一である場合、焼結磁石の脱着に要する段取り時間を削減し、サイクルタイムを短縮することが可能である。前記冶具がカーボンから形成されている場合、良好な耐熱性を有するため、粒界拡散処理に適用することが容易である。
残渣物を除去する際、焼結磁石の形状に応じて、ショット材の投射条件を変更する場合、サイクルタイム(ショット材の投射時間)の短縮化、焼結磁石へのダメージを削減、残渣物の除去性を向上させることが可能である。
残渣物の除去の前後における焼結磁石の重量変化に基づいて、焼結磁石の良否判定を実施する場合、焼結磁石の不良品が次工程に流れることを抑制することが可能である。また、残渣物の除去の後における焼結磁石の表面画像に基づいても、焼結磁石の良否判定を実施することが可能である。
良否判定の結果がショット材の投射条件にフィードバックされる場合、焼結磁石の不良率を低減し、材料費を削減することが可能である。
残渣物の除去が不十分のため焼結磁石は不良であると判定された場合、再度のショット材の投射を実施することによって、焼結磁石の不良率を低減し、材料費を削減することが可能である。
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲で種々改変することができる。
例えば、粒界拡散処理は、真空下で実施する形態に限定されず、不活性ガス下で実施することも可能である。この場合も、低酸素環境となるため、希土類元素の酸化を抑制することが可能である。不活性ガスは、例えば、窒素、アルゴン、窒素とアルゴンとの混合ガス等である。また、粒界拡散処理は、バッチ式で実施する形態に限定されず、例えば、不活性ガス下において粒界拡散処理を連続的に実施することも可能である。
10 粒界拡散処理が施された焼結磁石、
12 表面、
14 塗布層、
30 表面焼結磁石型同期モーター、
32 同期モーター用ロータ、
34 表面、
40 埋込焼結磁石型同期モーター、
42 同期モーター用ロータ、
44 埋込溝、
100 熱処理炉、
110 チャンバー、
112 台座部、
114 ヒーター、
120 真空装置、
122 配管系、
130 制御装置、
140 冶具、
142 基部、
144 側壁部、
145 段差部、
146 上部プレート、
147 開口部、
150,150A,150B,150C 残渣物除去設備、
160 ブラスト処理装置、
161 ノズル、
162 ノズル駆動装置、
163 回動駆動部、
164 往復動部、
165 支持体、
166 リニアアクチュエーター、
167 ホッパー、
168 ショット材回収部、
169 高圧エアー源、
170 エアーブラスト装置、
171 ノズル、
172 ノズル駆動装置、
178 ショット材回収部、
179 高圧エアー源、
180 搬送装置、
182 コンベアベルト、
184 搬送モーター、
185 制御装置、
190,192 重量測定装置、
195 カメラ、
C 搬送方向
M 搬送方向と直交する方向。

Claims (9)

  1. 基材となるNd−Fe−B系の焼結磁石に対して希土類元素Rを含む合金粉末を使用して粒界拡散処理を施した後、前記粒界拡散処理が施された前記焼結磁石の表面に存在する残渣物を除去し、
    前記合金粉末は、Rで表され、
    ただし、Rは、ScおよびYを含む希土類元素のうち少なくとも1つ以上、AはCaまたはLiであり、Bは不可避不純物であり、2≦x≦99であり、1≦y<xであり、0≦z<yであり、
    前記残渣物の除去は、投射材を前記焼結磁石の表面に投射することによって実施される、焼結磁石の製造方法。
  2. 前記希土類元素Rは、DyおよびTbを含んでいる、請求項1に記載の焼結磁石の製造方法。
  3. 前記焼結磁石は、冶具に取り付けられて前記粒界拡散処理が施されており、前記粒界拡散処理が施された後、前記冶具から取り外されることなく、前記残渣物が除去される、請求項1又は請求項2に記載の焼結磁石の製造方法。
  4. 前記冶具は、カーボンから形成されている、請求項3に記載の焼結磁石の製造方法。
  5. 前記残渣物が除去される際、前記焼結磁石の形状に応じて、前記投射材の投射条件が変更され、
    前記投射条件は、前記投射材の投射角度、投射時間および投射圧力のうち少なくとも1つ以上を含んでいる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の焼結磁石の製造方法。
  6. 前記残渣物の除去の前後における前記焼結磁石の重量変化に少なくとも基づいて、前記焼結磁石の良否判定を実施する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の焼結磁石の製造方法。
  7. 前記残渣物の除去の後における前記焼結磁石の表面画像に少なくとも基づいて、前記焼結磁石の良否判定が実施される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の焼結磁石の製造方法。
  8. 前記良否判定の結果は、投射条件にフィードバックされ、
    前記投射条件は、前記投射材の投射角度、投射時間および投射圧力のうち少なくとも1つ以上を含んでいる、請求項6又は請求項7に記載の焼結磁石の製造方法。
  9. 前記良否判定において前記残渣物の除去が不十分であると判定された前記焼結磁石の表面に存在する残渣物は、再度の投射材の投射によって除去される、請求項6〜8のいずれか1項に記載の焼結磁石の製造方法。
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