JPWO2018131500A1 - 多結晶シリコンの製造方法 - Google Patents

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Abstract

フィルターの後に続く工程に配置される分離装置、配管におけるシリコン微粉の堆積およびポンプの破損を防止するとともに、フィルターへのシラン類オリゴマーの付着を抑える方法を実現する。本発明の一実施形態に係る多結晶シリコンの製造方法は、シリコン析出工程と、分離工程と、クロロシラン凝縮液をフィルターへ通すことによって、シリコン微粉を除去する微粉除去工程と、を含む。

Description

本発明は、多結晶シリコンの製造方法に関する。
今後さらなる発展および需要が見込まれる半導体素子および太陽光発電用電池などの原料として、多結晶シリコンが好適に用いられている。この多結晶シリコンの製造においては、クロロシラン類と水素との混合ガスから多結晶シリコンを製造する反応炉と、反応炉で発生する排ガスから水素ガスを抽出して反応炉へ再導入する循環式の精製系統とを備えた多結晶シリコン製造装置が用いられる。
しかしながら、多結晶シリコン製造装置の運転を継続する内に、多結晶シリコンの製造過程で副生されるシリコン微粉が配管に付着し、配管を閉塞させたり、さらにはポンプ等の機器を損傷させたりするという問題があった。
前記問題に対し、配管閉塞の原因となるシリコン微粉を除去する工程を含む多結晶シリコン製造方法が開発されている。例えば、多結晶シリコンを製造する反応炉から発生した排ガスを、フィルターに通過させることによって該シリコン微粉を除去することが提案されている(例えば、特許文献1)。このようにして排ガスからシリコン微粉を除去すれば、フィルターの後工程において、配管および分離装置等にシリコン微粉が堆積することが防止でき、かつ、閉塞によるポンプの破損も防止できる。
前記多結晶シリコンの製造では、運転を長期に継続し、フィルターがシリコン微粉により閉塞した場合には、フィルターの再生が必要になる。ところが、この再生の作業をするために、フィルターを外気に開放した際に、フィルターから発火する危険性があった。これは前記排ガスには、シリコン微粉の他に、シラン類オリゴマー(SiCl)が含まれており、そのフィルター処理では、前記シリコン微粉だけでなく、係るシラン類オリゴマーもフィルターに付着することが原因である。即ち、シラン類オリゴマーは、空気中で発火する非常に危険な性状を呈している。
しかも、斯様にフィルターにシリコン微粉だけでなく、シラン類オリゴマーも同時に付着していると、これらは強固にフィルターに付着するようになる。そのため、前記シリコン微粉のみが付着した場合よりも、フィルターの閉塞を短期間化させ、さらにその除去も格段にし難くする。この結果、前記フィルター再生の作業性を低下させ、引いては前記発火の危険性もより高める。
このため特許文献2では、前記フィルター閉塞時に、これを外気に開放しても発火の危険性が低減できる多結晶シリコンの製造方法として、次の方法を提案している。即ち、反応容器内でクロロシラン類と水素とを加熱下で反応させて、シリコンを析出させるとともに、水素、シラン類オリゴマーおよびシリコン微紛を含む排ガスを排出させる工程1、前記工程1より排出された排ガスを105℃以上の温度に維持しながら搬送する工程2、前記工程2より搬送された排ガスを、105℃以上の温度でフィルターに供給し、かつ、105℃以上の温度でフィルター装置から排出せしめ、当該排ガスからシリコン微紛を除去して、水素およびシラン類オリゴマーを含む混合ガスを得る工程3、前記工程3より得られた混合ガスを冷却し、該混合ガスから水素をガスとして分離する工程4などを含む多結晶シリコンの製造方法である。この方法によれば、フィルターに供給される排ガスは、前記105℃以上の温度に維持されているため、含有される前記シラン類オリゴマーのフィルターへの付着性は低く抑えられる。この結果、閉塞時にフィルターを外気に開放しても、前記発火の心配を大幅に低減できる。
特開2005−8430号公報 特開2009−256143号公報
しかしながら、上述の方法でも、フィルターへのシラン類オリゴマーの付着を防止する効果は十分ではなく、付着をさらに高度に防止することが課題であった。また、この方法において、フィルターを通過する排ガスを、前記105℃以上の温度に維持するには、反応器からの配管およびフィルターに、温度保持のための加熱部を設ける必要がある。このため装置が複雑になり、さらにこれら加熱部を操作して、前記排ガスを105℃以上に温度制御することは煩雑な作業であった。
本発明は、前記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、排ガスに含まれるシリコン微粉をフィルターにより除去して、フィルターの後に続く工程に配置される分離装置、配管におけるシリコン微粉の堆積およびポンプの破損を防止するに際して、簡便な方法により、フィルターへのシラン類オリゴマーの付着を高度に抑制する方法を実現することにある。
前記の課題を解決するために、本発明者が鋭意研究を行った結果、反応炉で発生する排ガスを、シリコン微粉を含有するクロロシラン凝縮液とガス成分とに分離した後、該クロロシラン凝縮液をフィルターへ通すことにより、フィルターの後に続く工程の分離装置、配管におけるシリコン微粉の堆積およびポンプの破損を防止するとともに、フィルターへのシラン類オリゴマーの付着を高度に抑えられることを見出し、本発明を完成させるに至った。即ち、本発明は以下の方法を含む。
本発明の一実施形態に係る多結晶シリコンの製造方法は、クロロシラン化合物と水素とを反応させることによって多結晶シリコンを析出させるシリコン析出工程と、前記シリコン析出工程から排出される排ガスを、シリコン微粉を含有するクロロシラン凝縮液とガス成分とに分離する分離工程と、前記シリコン微粉を含有するクロロシラン凝縮液をフィルターへ通すことによって該シリコン微粉を除去する微粉除去工程と、を含むことを特徴とする。
本発明の一実施形態によれば、クロロシラン凝縮液をフィルターにかけることで、クロロシラン凝縮液中に含有されるシリコン微粉がフィルターで濾過分離される。これにより、シリコン微粉が後段まで配送されることを防ぎ、フィルターの後に続く工程の分離装置および配管におけるシリコン微粉の堆積およびポンプの破損を防止することができる。
また、前記構成によれば、シラン類オリゴマーがクロロシラン凝縮液に溶解する。このため、フィルターへのシラン類オリゴマーの付着を高度に抑えることができ、フィルター閉塞時のシリコン微粉の除去性にも優れる。この結果、フィルターの交換または再生をするための開放作業をより安全、かつ簡便に実施することができる。
多結晶シリコンの製造における各工程を示す概略図である。
本発明の一実施形態について以下に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、以下に説明する各構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能である。即ち、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。また、本明細書中に記載された特許文献の全てが、本明細書中において参考文献として援用される。また、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A〜B」は、「A以上(Aを含みかつAより大きい)B以下(Bを含みかつBより小さい)」を意味する。
本発明の一実施形態に係る多結晶シリコンの製造方法(以下、「本製造方法」と称する。)は、クロロシラン化合物と水素とを反応させて多結晶シリコンを析出させるシリコン析出工程と、前記シリコン析出工程から排出される排ガス(ガス成分A)を、シリコン微粉を含有するクロロシラン凝縮液(以下、「クロロシラン凝縮液A」と称する。)とガス成分(以下、「ガス成分B」と称する。)とに分離する分離工程と、前記シリコン微粉を含有するクロロシラン凝縮液Aをフィルターへ通すことによって該シリコン微粉を除去する微粉除去工程とを含む。
以下に、本製造方法に含まれる各工程について、図1を参照しながら詳しく説明する。図1は、多結晶シリコンの製造における各工程を示す概略図である。
<1.シリコン析出工程1>
本製造方法は、クロロシラン化合物と水素とを反応させることによって多結晶シリコンを析出させるシリコン析出工程1を有する。シリコン析出工程1では、排ガスとしてガス成分A10が排出される。
シリコン析出工程1にて用いられる反応装置の構造および反応条件は特に制限されず、公知の反応装置および反応条件を採用することができる。シリコン析出工程1は、具体的には、例えばシーメンス法(ベルジャー法)、または溶融析出法(VLD法、Vapor to Liquid Deposition法)等によって行うことが可能である。
シーメンス法は、以下のような方法である。まず、反応器(ベルジャー)内に、加熱基材として多結晶シリコン芯線を設置し、該多結晶シリコン芯線を、多結晶シリコン析出温度以上の温度に通電加熱する。次に、加熱された多結晶シリコン芯線に、クロロシラン化合物および水素を含有する原料ガスを接触させる。これによって、該多結晶シリコン芯線の表面に多結晶シリコンを析出させて、その結果、成長した多結晶シリコンロッドを得る。
シーメンス法では、通電加熱された多結晶シリコン芯線の温度としては、多結晶シリコン析出温度以上であれば、特に制限されないが、多結晶シリコンを効率的に析出させるために、好ましくは600℃〜1250℃であり、より好ましくは900℃〜1200℃である。
溶融析出法には、以下のように、逐次方法および連続方法がある。逐次方法は、まず、反応器内に設置した基材を多結晶シリコン析出温度以上の高温(例えば600℃以上)に加熱する。次に、前記基材上にクロロシラン化合物および水素を含有する原料ガスを流通することによって接触させる。これによって、該基材の表面に多結晶シリコンを析出させる。その後、前記基材を多結晶シリコンの融点以上の高温(例えば1450℃〜1700℃)に維持することによって、前記析出した多結晶シリコンを溶融落下させて回収する。連続方法は、まず、反応器内に設置した基材を多結晶シリコンの融点以上の高温(例えば1450℃〜1700℃)に加熱する。次に、前記基材上にクロロシラン化合物および水素を含有する原料ガスを流通することによって接触させる。これによって、該基材の表面に多結晶シリコンを析出させるとともに、溶融落下させて多結晶シリコンを得る。
シリコン析出工程1は、多結晶シリコンを効率的に析出させるために、シーメンス法によって行われることが好ましい。
本明細書においてクロロシラン化合物とは、塩素元素とケイ素元素とを含む化合物を意味する。シーメンス法および溶融析出法ともに、原料ガスに含有されるクロロシラン化合物としては、例えばトリクロロシランおよびジクロロシラン等を挙げることができる。
シリコン析出工程1では、原料ガスに含有されるクロロシラン化合物としては、後述の蒸留工程7より得られるクロロシラン化合物16が使用され得るが、不足分は、公知の方法によって製造されたものが供給されて用いられ得る(図示せず)。クロロシラン化合物として用いられる得るトリクロロシランとしては、一般に、金属シリコンと塩化水素との公知の反応により製造することができる。当該反応による生成物を蒸留して得られたトリクロロシランからホウ素およびリン等の不純物を除去するために、該トリクロロシランを、さらに蒸留することが好ましい。蒸留することによって、高純度なトリクロロシランを得ることが可能である。シリコン析出工程1に用いるトリクロロシランは、高純度の多結晶シリコンを得る観点から、純度が99.9%以上であることが好ましい。
シリコン析出工程1において、原料ガスとしての水素の供給量は、クロロシラン化合物に対して過剰量である限りは特に制限されないが、多結晶シリコンを効率的に析出させるために、クロロシラン化合物の1モルに対して3モル以上とすることが好ましい。
シリコン析出工程1では、原料ガスに含有される水素としては、水素ガス19により、その殆どが補われ得るが、不足分は、公知の製造方法により得られる水素(図示せず)が用いられ得る。例えば、かかる水素は、水の電気分解によって製造され得る。具体的には、無機酸金属塩および/または金属水酸化物を電解質とする電解質水溶液(即ち、無機酸金属塩および/または金属水酸化物を溶質として含む水溶液)に電流を通じせしめて水を電気分解することが可能である。電気分解によって得られた水素から金属不純物を取り除くために、該水素を水洗し、さらにミストフィルターに通すことが好ましい。水洗およびミストフィルターへ該水素を通すことにより、実質的に金属不純物を含まない水素を得ることが可能である。前記水素は、さらに、酸素および水蒸気のような気体不純物を含まないことが好ましい。酸素および水蒸気の除去方法は、工業用水素を得る際に知られている公知の方法が採用できる。シリコン析出工程1に用いる水素は、高純度の多結晶シリコンを得る観点から、純度が99.99vol%以上であることが好ましい。
これら高純度のトリクロロシランおよび水素を用いることにより、純度11N以上の高純度の多結晶シリコンを得ることが可能である。
<2.分離工程2>
本製造方法は、シリコン析出工程1から排出される排ガス(ガス成分A10)を、クロロシラン凝縮液A11とガス成分B17とに分離する分離工程2を有する。
ガス成分A10中には、クロロシラン化合物、水素、塩化水素およびシリコン微粉が含有され、さらに、シラン類オリゴマーも含有され得る。ガス成分A10中に含まれるクロロシラン化合物は、原料ガス中に含有されていたクロロシラン化合物の熱分解生成物および未反応のクロロシラン化合物からなり、例えばテトラクロロシラン、トリクロロシラン、ジクロロシラン、モノクロロシラン、ヘキサクロロジシランおよびペンタクロロジシラン等のうちの1種以上を含む。ガス成分A10中に含まれる水素は、原料ガス中に含有されていたクロロシラン化合物の熱分解により生ずる水素および未反応の水素を含む。ガス成分A10中に含まれる塩化水素は、多結晶シリコンの析出反応から副生される塩化水素である。ガス成分A10中の塩化水素濃度は、例えば0.1モル%〜6モル%、特に0.2モル%〜3モル%である。
本明細書において、シリコン微粉とは、粒子径40μm以下、好ましくは3〜30μmのシリコン微粒子をいう。シリコン微粉の平均粒子径は、通常、5〜15μmである。これらシリコン微粉は、前記多結晶シリコンの製造過程で主に副生する。特に、反応装置へ供給されるガス中の水素およびテトラクロロシランの比率が変動し、その結果テトラクロロシラン量が水素量に対して過剰になった場合にシリコン微粉の発生は顕著になる。また、シリコン微粉は、シリコン析出工程1において得られた多結晶シリコンロッドの一部の倒壊等によっても発生し、ガス成分A10中に含まれる。
ガス成分A10中に含まれるシラン類オリゴマーとしては、前記多結晶シリコンの製造過程で副生するものであり、具体的にSiHCl、SiClおよびSiCl等が挙げられる。なお、これらの沸点は、テトラクロロシランよりも高く、凝縮しやすい。
分離工程2において得られるクロロシラン凝縮液A11は、シリコン微粉を含有し得る。例えば、クロロシラン凝縮液A11におけるシリコン微粉の含有量は、0.01質量%〜0.3質量%、特には0.05質量%〜0.2質量%であり得る。クロロシラン凝縮液A11は、後述される塩化水素除去工程6等の工程に供給されてもよく、本製造方法以外の用途に用いられてもよい。
また、分離工程2において得られるガス成分B17は、水素ガスおよび塩化水素を主成分として含む。ガス成分B17はさらに、クロロシラン凝縮液A11として凝縮分離されずに残存しているクロロシラン化合物を、数体積%程度の量で含有しており、また極微量ではあるが、金属シリコン由来のホウ素およびリンを含み得る。
分離工程2では、先ず、ガス成分A10が冷却されることが好ましい。ガス成分A10の温度は、シリコン析出工程1から排出された直後は通常、200〜270℃である。これを移送する配管を、前記特許文献2のように温度維持のための加熱部を格別に設ける等しなければ、該分離工程2に供給された際には105℃未満に温度低下しているのが一般的である。従って、シリコン析出工程1から分離工程2を繋ぐ該配管の途中にフィルターを配することによって排ガスに含まれるシリコン微粉の除去を試みた場合には、該シリコン微粉と共に、前記低温度下では付着性状が高まるシラン類オリゴマーの付着も顕著に生じる結果を引き起こす。
分離工程2において、ガス成分A10の冷却温度は、クロロシラン化合物が凝縮する温度以下であれば特に制限されず、用いられる冷却装置の冷却能力等を勘案して適宜決定することが可能である。冷却温度が低いほど、クロロシラン化合物の凝縮効果が高い傾向にある。分離工程2では、ガス成分A10の冷却温度は、クロロシラン凝縮液A11とガス成分B17とをより効率的および効果的に分離する観点から、好ましくは−10℃以下、より好ましくは―30℃以下である。ガス成分A10の冷却温度はまた、生産コストの観点から、−60℃を上回ることが好ましい。
分離工程2で用いられる、分離方法としては、クロロシラン凝縮液A11とガス成分B17とに分離できる限り特に制限されないが、凝縮除去法を用いることが好ましい。凝縮除去法は、ガス成分A10を冷却することによりクロロシラン化合物を凝縮させることによって、クロロシラン凝縮液A11とガス成分B17とを分離する方法である。
分離工程2においてガス成分A10を冷却する場合に用いられる冷却方法としては、ガス成分A10を前述の冷却温度に冷却することが可能である限り特に制限されず、公知の冷却方法が用いられることが可能である。かかる冷却方法として具体的には、冷却された熱交換器にガス成分A10を通過させることによって冷却させる冷却方法、または、凝縮され、かつ、冷却された凝縮物によってガス成分A10を冷却する冷却方法等が挙げられる。これらの方法をそれぞれ単独で、または併用して採用することも可能である。
分離工程2は、次に、例えば耐圧容器内で、高圧力下で行われることが好ましい。分離工程2における圧力としては、クロロシラン化合物が十分に除去可能であれば特に制限されず、用いられる凝縮除去装置の能力等を勘案して適宜決定することが可能である。該圧力としては、クロロシラン凝縮液A11とガス成分B17との分離効果を高くするために、400kPaG以上であることが好ましく、500kPaG以上であることがより好ましい。
本製造方法では、分離工程2に供給するガス成分A10の圧力を上昇させることを目的に、分離工程2に先だって、加圧機が設置されることも可能である。本製造方法はまた、該加圧機の保護のため、加圧機より上流側にて、予備的なクロロシラン凝縮が行われることが好ましい。これらの点は、工業的なプロセス設計の常法として採用することが可能である。
<3.微粉除去工程5>
本製造方法は、シリコン微粉を含有するクロロシラン凝縮液A11をフィルターへ通すことによって該シリコン微粉を除去する微粉除去工程5を有する。クロロシラン凝縮液A11をフィルターにかけることで、クロロシラン凝縮液A11中に含有されるシリコン微粉がフィルターで濾過分離される。その結果、シリコン微粉が後段まで配送されることを防ぎ、かつ、フィルターの後に続く工程の分離装置および配管への堆積およびポンプの破損を防止することができる。
また、前記微粉除去工程5は、分離工程2の後に行われる。分離工程2の後、シラン類オリゴマーはクロロシラン凝縮液に溶解している。このため、フィルターへのシラン類オリゴマーの付着を抑えることができる。シラン類オリゴマーは空気中で発火するために非常に危険な化合物であり、さらに、フィルターに付着すると固着し簡単には除去できなくなる。本発明によれば、斯様にフィルターへの付着を高度に抑えることができるため、フィルターの開放洗浄をより安全、かつ簡便に実施することができる。これに対し、フィルターを分離工程2の前に配置した場合、上述の排ガスに含まれるシラン類オリゴマーが固形物としてフィルターに付着するおそれがある。これらのことを本発明者らは独自に見出した。
クロロシラン凝縮液A11中には、クロロシラン化合物、シラン類オリゴマーおよびシリコン微粉が含有され得る。クロロシラン凝縮液A11中に含まれるクロロシラン化合物は特に制限されないが、例えば、トリクロロシラン、ジクロロシランおよびテトラクロロシラン等が挙げられる。
クロロシラン凝縮液A11中に含まれるシラン類オリゴマーおよびシリコン微粉は、シリコン析出工程1中で説明したものと同様の物質である。
フィルターの種類としては、シリコン微粉を捕集可能なものであれば特に限定されず、エレメントまたはサイクロン等が制限無く使用できる。フィルターの孔径は、クロロシラン凝縮液A11中に含まれるシリコン微粉の粒径および除去率を考慮して、1μm〜5μmであることが好ましく、特には2μm〜4μmであることが好ましい。また、該フィルターの材質は、耐熱性および耐腐食性の観点から、ポリプロピレンおよびポリエチレン等のポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、並びにフッ素樹脂等の樹脂材料、またはステンレス等の金属材料であることが好ましく、ポリプロピレンであることがより好ましい。
本製造方法においては、長期の使用によりフィルターの性能が低下した場合、製造を止めることなく取替えを行なうため、複数のフィルター(図示せず)を並列に配置しておくことが好ましい。これらのフィルター装置を切り替えることにより、かかるフィルターの取替えができる。
また、前記微粉除去工程5の前に、クロロシラン凝縮液A11をスラリーポンプ4によって前記フィルターへ配送する工程を設けることが好ましい。前記構成によれば、固体と液体とが混合しているクロロシラン凝縮液A11が流入しても、スラリーポンプ4が故障することがなく、フィルターへクロロシラン凝縮液を配送することができる。
なお、上述のように、クロロシラン凝縮液A11におけるシリコン微粉の含有量は、0.01質量%〜0.3質量%、特には0.05質量%〜0.2質量%であり得る。このシリコン微粉の濃度は、スラリーポンプに通常適用されるスラリーの固形分濃度(1〜5質量%程度)よりも低いが、通常のポンプを用いてクロロシラン凝縮液A11の配送を行った場合には、シリコン微粉によりポンプ部材が摩耗し早期に破損し易い。このため前記固形分濃度としては、通常のスラリーポンプに適用する濃度よりも低いにもかかわらず、該スラリーポンプを適用することで、前記の問題を懸念する必要がなくなり好ましい。
スラリーポンプ4としては、固体と液体との混合物、または粘性がある液体を移送するためのポンプであれば特に限定されず、公知のものを用いてよい。スラリーポンプ4としては、例えば、キャンドポンプおよび遠心ポンプ等が挙げられる。
前記微粉除去工程5へ運ばれる前記クロロシラン凝縮液A11(即ち、スラリーポンプから排出されたクロロシラン凝縮液A13)の一部を前記分離工程2に循環させる工程を含むことが好ましい。この構成によれば、フィルターが詰まった場合にもポンプを支障なく動作させることができるようになり好ましい。なお、後述のフィルターを通過した後のクロロシラン凝縮液を循環させてもよいが、フィルターを通過する前のクロロシラン凝縮液を循環させるほうが、前記フィルターが詰まった場合における効果をより発揮させることができ好ましい。
また、クロロシラン凝縮液の一部を分離工程2に循環させることにより、分離工程2に用いられる装置の洗浄を行うことができる。例えば、クロロシラン凝縮液の一部をシャワー状に噴霧することによって、分離工程2に用いられる装置に付着した固形物を洗い落とすことができる。
また、クロロシラン凝縮液A11をストレーナ3に通した後に、スラリーポンプ4へ配送することがより好ましい。前記構成によれば、前記クロロシラン凝縮液A11に含まれる粗大なシリコン粒およびシリコン以外の粗大異物を予め除去したうえで、クロロシラン凝縮液A11をスラリーポンプ4へ配送することができる。そのため、スラリーポンプ4の破損を防ぐことができる。
ストレーナ3は、シリコン微粉より大きい異物を除去するための濾し器である。ストレーナ3は、前記微粉除去工程に用いられるフィルターよりも目の粗いものであれば特に制限されず、使用するポンプに許容できる異物の大きさに応じて選定すれば良い。例えば、ストレーナ3の孔径は、0.1mm〜0.25mmであることが好ましく、0.1mm〜0.2mmであることがより好ましい。
なお、図1では、ストレーナ3を通過した後のクロロシラン凝縮液A11をクロロシラン凝縮液A12と表し、スラリーポンプ4を通過した後のクロロシラン凝縮液A11をクロロシラン凝縮液A13と表し、微粉除去工程5により得られたクロロシラン凝縮液をクロロシラン凝縮液B14と表している。
<4.塩化水素除去工程6>
本製造方法は、ガス成分B17をクロロシラン液と接触させることによって塩化水素を除去して、ガス成分C18を得る塩化水素除去工程6を有していてもよい。
塩化水素除去工程6で用いるクロロシラン液は、クロロシラン化合物を含む液体である。該クロロシラン化合物としては、特に制限されないが、例えば、トリクロロシラン、ジクロロシランおよびテトラクロロシラン等が挙げられる。
塩化水素除去工程6で用いるクロロシラン液はまた、分離工程2で得られるクロロシラン凝縮液A11の一部を含んでいてもよい。また、塩化水素除去工程6で用いるクロロシラン液は、微粉除去工程5から得られるクロロシラン凝縮液B14を含んでいてもよい。
塩化水素除去工程6では、ガス成分B17に含まれる塩化水素を、接触させるクロロシラン液に吸収させることによって、ガス成分B17に含まれる塩化水素が除去される。
塩化水素除去工程6では、ガス成分B17から効率的に塩化水素を除去するために、冷却されたクロロシラン液を用いることが好ましい。かかるクロロシラン液の温度は、ガス成分B17から効率的に塩化水素を除去するために、−40℃以下であることが好ましく、−50℃以下であることがより好ましい。
塩化水素除去工程6では、ガス成分B17と接触させるクロロシラン液に含まれるクロロシラン化合物の量としては、効率的に塩化水素を除去するために、クロロシラン化合物に含まれるシランの合計量が、ガス成分B17中に含有される塩化水素の1モルに対して、130モル以上となる量とすることが好ましく、140モル以上となる量とすることがより好ましい。また、該クロロシラン化合物の合計量としては、ランニングコスト低減の観点から、クロロシラン化合物に含まれるシランの合計量をガス成分B17中に含有される塩化水素の1モルに対して、150モル以下とすることが好ましい。
塩化水素除去工程6において、ガス成分B17とクロロシラン液とを接触させる方法としては、特に制限されないが、例えば、バブリング方式、充填塔方式、またはシャワー方式などの公知の方法を採用することができる。また、塩化水素除去工程6は、気液接触塔などの公知の設備で行われ得る。
ガス成分B17とクロロシラン液とを接触させた後のガス成分を、ガス成分C18とする。塩化水素除去工程6で得られるガス成分C18は、水素ガスを主成分として含む。ガス成分C18はさらに、クロロシラン化合物を数体積%程度の量で含有するとともに、除去されずに残存している塩化水素を含む。ガス成分C18に含まれる塩化水素の濃度は、1ppm以下であることが好ましく、0.1ppm以下であることがより好ましい。
<5.蒸留工程7>
本製造方法は、微粉除去工程5を経たクロロシラン凝縮液B14を蒸留して得られたクロロシラン化合物16をシリコン析出工程1へと循環させる蒸留工程7を含んでいることが好ましい。これにより、蒸留後に得られたクロロシラン化合物16をシリコン析出工程1の原料として再利用することができる。蒸留工程においては、図1に示すように、塩化水素除去工程6を経たクロロシラン凝縮液C15を蒸留してもよい。
なお、蒸留後のクロロシラン化合物16をシリコン析出工程1に供給する前に、必要であれば精製工程を備えてもよい。
<6.水素精製工程8>
本製造方法は、ガス成分C18を活性炭と接触させてクロロシラン化合物を除去することによって、水素ガス19を得る水素精製工程8を有していてもよい。
水素精製工程8は、例えば活性炭の層または活性炭を充填した吸着塔にガス成分C18を供給することによって行なわれる。該吸着塔内で、ガス成分C18を活性炭と接触させることによって、ガス成分C18中のクロロシラン化合物が、活性炭によって吸着除去され、その結果、水素ガス19を得ることが可能である。
水素精製工程8で用いられる活性炭としては、ガス成分C18からクロロシラン化合物を除去することが可能な活性炭であれば特に制限なく、公知の活性炭を用いることができる。
活性炭は、一般に空気中の水分を吸着し易い。水分を吸着した活性炭を水素精製工程8に供すると、該水分がガス成分C18中のクロロシラン化合物と反応して活性炭上にケイ素酸化物を生成する場合がある。活性炭上にケイ素酸化物が生成すると、配管の閉塞、またはコンタミネーション等の不都合が生じるため好ましくない。従って、水素精製工程8で用いられる活性炭は、吸着した水分を除去した後に水素精製工程8に供することが好ましい。水分の除去方法としては、減圧処理および加熱処理のうちの少なくとも一方を挙げることができる。
前記減圧処理は、活性炭中の水分を十分に除去するために、絶対圧として、好ましくは1×10Pa以下、より好ましくは1×10Pa以下の減圧度で、一定時間保持することにより行うことができる。
前記加熱処理は、活性炭中の水分を十分に除去するために、好ましくは80℃〜130℃において、一定時間保持することにより行うことができる。この加熱処理は、活性炭中の水分を十分に除去するために、不活性ガスの流通下または減圧下で行うことが好ましい。使用される不活性ガスとしては、例えば窒素、ヘリウムおよびアルゴン等を挙げることができる。減圧下で行う場合の好ましい減圧度としては、前記減圧処理における減圧度と同じである。
減圧処理および加熱処理ともに、活性炭中の水分が十分に除去されるまで行うことが好ましい。水分が十分に除去されたかどうかは、雰囲気の露点測定によって確認することが可能である。水分の除去は、活性炭中の水分を十分に除去するために、雰囲気の露点が−30℃以下となるまで行うことが好ましく、−40℃以下となるまで行うことがより好ましい。
水素精製工程8では、ガス成分C18を活性炭と接触させてクロロシラン化合物を吸着除去する際の、吸着温度および吸着圧力としては、クロロシラン化合物が十分に吸着除去できる温度および圧力であれば特に制限されない。該吸着温度としては、好ましくは−30℃〜50℃であり、より好ましくは−10℃〜40℃である。該吸着圧力としては、1300kPaG以上であることが好ましく、1500kPaG以上であることがより好ましい。前記吸着温度および吸着圧力が前記範囲内であれば、ガス成分C18からクロロシラン化合物を十分に吸着除去することが可能である。
水素精製工程8では、ガス成分C18を、活性炭の層または活性炭を充填した吸着塔内を通過させる際の速度(即ち、通過速度)は、ガス成分C18中のクロロシラン化合物が十分に吸着除去できる速度であれば特に制限されず、クロロシラン化合物の吸着除去を行う吸着塔の能力を勘案して適宜決定すれば良い。水素精製工程8におけるガス成分C18の前記通過速度は、空間速度(SV)としては、50Hr−1〜500Hr−1であることが好ましく、50Hr−1〜150Hr−1であることがより好ましい。
ガス成分C18は、微量の塩化水素を含む場合があるが、その微量の塩化水素は、水素精製工程8において、クロロシラン化合物とともに、活性炭に吸着される。
水素精製工程8で得られる水素ガス19は、純度99.99体積%以上の水素ガスであることが好ましい。また、水素精製工程8で得られる水素ガス19に含まれるクロロシラン化合物の含有量は、シランの合計量を3ppm以下とすることが好ましく、1ppm以下とすることがより好ましい。前記構成とすることにより、水素精製工程8で得られる水素ガス19は、高純度の水素ガスとなる。
水素精製工程8で得られる水素ガス19は、高純度の水素ガスであるため、シリコン析出工程1の原料として、そのまま循環利用することが可能である。水素ガス19は更に、テトラクロロシランからトリクロロシランへの還元反応において用いる水素としても、またはテトラクロロシランを原料とするシリカの製造における水素源としても、用いることが可能である(図示せず)。
本製造方法は、水素精製工程8より得られる水素ガス19をシリコン析出工程1に循環させる工程を含むことが好ましい。前記構成によれば、水素ガスを再利用するため、環境負荷が少なく、生産コストが低い、多結晶シリコンの製造方法を提供することができる。
<まとめ>
本発明の一実施形態は、以下のような構成であってもよい。
〔1〕クロロシラン化合物と水素とを反応させることによって多結晶シリコンを析出させるシリコン析出工程と、前記シリコン析出工程から排出される排ガスを、シリコン微粉を含有するクロロシラン凝縮液とガス成分とに分離する分離工程と、前記シリコン微粉を含有するクロロシラン凝縮液をフィルターへ通すことによって該シリコン微粉を除去する微粉除去工程と、を含むことを特徴とする多結晶シリコンの製造方法。
〔2〕前記クロロシラン凝縮液をスラリーポンプによって前記フィルターへ配送することを特徴とする、〔1〕に記載の多結晶シリコンの製造方法。
〔3〕前記スラリーポンプから排出されたクロロシラン凝縮液の一部を前記分離工程に循環させる工程を含むことを特徴とする、〔2〕に記載の多結晶シリコンの製造方法。
〔4〕前記クロロシラン凝縮液をストレーナに通した後に、前記スラリーポンプへ配送することを特徴とする、〔2〕または〔3〕に記載の多結晶シリコンの製造方法。
〔5〕前記シリコン微粉を含有するクロロシラン凝縮液において、シリコン微粉の含有量が0.01質量%〜0.3質量%であることを特徴とする、〔1〕〜〔4〕のいずれか1つに記載の多結晶シリコンの製造方法。
〔6〕前記フィルターの孔径は、1μm〜5μmであることを特徴とする、〔1〕〜〔5〕のいずれか1つに記載の多結晶シリコンの製造方法。
〔7〕前記微粉除去工程を経たクロロシラン凝縮液を蒸留して得られたクロロシラン化合物をシリコン析出工程へと循環させることを特徴とする、〔1〕〜〔6〕のいずれか1つに記載の多結晶シリコンの製造方法。
以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
図1に示した各工程に従って多結晶シリコンを製造した。シリコン析出工程1では、シーメンス法により多結晶シリコンの析出を行った。内容積10mのベルジャー(反応器)内には、逆U字型の多結晶シリコン芯線50セットを底盤に設けられた電極に設置した。前記ベルジャー内の温度は、多結晶シリコン芯線の温度が約1000℃で維持されるように、多結晶シリコン芯線への通電量により調整された。前記条件下で、ベルジャー内に、原料ガスとして、水素ガスA19およびガス状にしたクロロシラン化合物16を、水素比7となるように供給することによって、多結晶シリコンの析出を行った。ここで、クロロシラン化合物16の大部分は、トリクロロシランであった。
シリコン析出工程1では、前記ベルジャーから、ガス成分A10が24000Nm/時間の量で得られた。このガス成分A10のベルジャーから排出時の温度は230℃であった。
前記ガス成分A10は、温度100℃に温度低下した状態で分離工程2に送られた。次いで、ガス成分A10を、チラー(冷却器)により−15℃に冷却して、表1に示す組成のガス成分B17とクロロシラン凝縮液A11とを得た。なお、ガス成分B17およびクロロシラン凝縮液A11におけるシリコン微粉以外の組成は、ガスクロマトグラフィにより分析して得た値である。また、レーザー回折により、粒子径40μm以下のシリコン微粒子の存在状態を確認したところ、3〜30μmの範囲にあるものが表1に示した量の通り存在していた(平均粒子径10μm)。
Figure 2018131500
なお、表1において、TCSはトリクロロシラン、STCはテトラクロロシラン(四塩化ケイ素)、DCSはジクロロシランを表す。
微粉除去工程5において、分離工程2で得られたシリコン微粉を含有するクロロシラン凝縮液A13を通すフィルターは、孔径3μmのポリプロピレン製ろ材(富士フィルター工業株式会社製)であった。該フィルターに供給される、クロロシラン凝縮液A13の液温は−15℃であった。また、前記フィルターにクロロシラン凝縮液A11を供給するスラリーポンプとしては、キャンドポンプを使用した。
多結晶シリコンの製造は、フィルター差圧が初期の約50kPaから約200kPaに上昇するまでの100時間において、微粉除去工程5の後段に位置する配管および設備(塩化水素除去工程6等)に対し、シリコン微粉の堆積およびスラリーポンプ4の破損はなく安定的に運転できた。100時間運転後、シリコン微粉によりフィルターが閉塞したため、フィルター開放作業を実施した。フィルターには、シラン類オリゴマーの付着は確認されず、払落しと簡単な洗浄により安全にフィルターの再生作業を行うことができた。
(比較例1)
実施例1において、微粉除去工程5を、クロロシラン凝縮液A13の流路ではなく、シリコン析出工程1で排出されたガス成分A10の流路の途中に設ける以外、該実施例1と同様に操作した。なお、この多結晶シリコンの製造において、フィルターに供給されるガス成分A10の温度は100℃であった。
前記多結晶シリコンの製造は、フィルター差圧が初期の約5kPaから約15kPaに上昇するまで、僅か2時間であり、その後も急激なフィルター差圧上昇が生じた。また、フィルターの再生時、フィルターの開放作業は、フィルターへのシラン類オリゴマーの付着による発火の危険性から、精巧な洗浄作業を慎重に繰り返す必要があった。
本発明は、多結晶シリコンの製造方法に好適に利用することができる。
1 シリコン析出工程
2 分離工程
3 ストレーナ
4 スラリーポンプ
5 微粉除去工程
6 塩化水素除去工程
7 蒸留工程
8 水素精製工程
10 ガス成分A
11、12、13 クロロシラン凝縮液A
14 クロロシラン凝縮液B
15 クロロシラン凝縮液C
16 クロロシラン化合物
17 ガス成分B
18 ガス成分C
19 水素ガス

Claims (7)

  1. クロロシラン化合物と水素とを反応させることによって多結晶シリコンを析出させるシリコン析出工程と、
    前記シリコン析出工程から排出される排ガスを、シリコン微粉を含有するクロロシラン凝縮液とガス成分とに分離する分離工程と、
    前記シリコン微粉を含有するクロロシラン凝縮液をフィルターへ通すことによって該シリコン微粉を除去する微粉除去工程と、を含むことを特徴とする多結晶シリコンの製造方法。
  2. 前記クロロシラン凝縮液をスラリーポンプによって前記フィルターへ配送することを特徴とする、請求項1に記載の多結晶シリコンの製造方法。
  3. 前記スラリーポンプから排出されたクロロシラン凝縮液の一部を前記分離工程に循環させる工程を含むことを特徴とする、請求項2に記載の多結晶シリコンの製造方法。
  4. 前記クロロシラン凝縮液をストレーナに通した後に、前記スラリーポンプへ配送することを特徴とする、請求項2または3に記載の多結晶シリコンの製造方法。
  5. 前記シリコン微粉を含有するクロロシラン凝縮液において、シリコン微粉の含有量が0.01質量%〜0.3質量%であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の多結晶シリコンの製造方法。
  6. 前記フィルターの孔径は、1μm〜5μmであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の多結晶シリコンの製造方法。
  7. 前記微粉除去工程を経たクロロシラン凝縮液を蒸留して得られたクロロシラン化合物をシリコン析出工程へと循環させることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の多結晶シリコンの製造方法。
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