JPWO2018123891A1 - フィブリル化ポリビニルアルコール繊維およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、抄紙性が良好であり、抄紙により得られるシートの機械的強度が高い、フィブリル化ポリビニルアルコール繊維を提供することを課題とする。本発明は、平均繊維径が0.1μm以上14μm以下であり、かつアスペクト比が500以上10000以下である、フィブリル化ポリビニルアルコール繊維に関する。

Description

本特許出願は日本国特許出願第2016−256259号(出願日:2016年12月28日)についてパリ条約上の優先権を主張するものであり、ここに参照することによって、その全体が本明細書中へ組み込まれるものとする。
本発明は、フィブリル化ポリビニルアルコール繊維およびその製造方法に関する。
セパレータやフィルターにおいて、細かく微細化した繊維、すなわちフィブリル化繊維から得られるシートを使用するのが有効であると考えられている。このようなフィブリル化繊維としては、例えば、セルロースや特定のポリビニルアルコール単独重合体架橋繊維から得られたフィブリル化繊維が知られている(例えば特許文献1)。
フィブリル化セルロース繊維を含むセパレータは、正極活物質と負極活物質の内部短絡を抑制するのに効果的であるとされる。また、フィブリル化セルロース繊維をフィルターの材料として用いることにより微細粒子の捕捉性能を向上させることが期待されている。
特開2016−30862号公報
一方、ポリビニルアルコール(PVA)繊維からフィブリル化繊維を得ることも試みられてきたが、PVA分子間の水素結合による強い相互作用により、PVA繊維をフィブリル化することは困難であった。具体的には、PVA繊維をフィブリル化する前に座屈が生じたり、繊維同士が絡んで分散不良となったり、またフィブリル化の際に繊維が細かく砕けて溶媒に溶けたりしてしまう場合があった。
特許文献1に記載のフィブリル化繊維は、短繊維の水分散液を高圧で衝突させるというフィブリル化方法の性質上、1mm程度にカットしたPVA繊維の分散水同士を衝突させてフィブリル化するため、製造されるフィブリル化繊維のアスペクト比が低くなった。このようなアスペクト比の低いフィブリル化繊維は、性能上優れた点を多く有するものの、粉末状の形状を有するため、抄紙工程において高い歩留まりを得ることが難しい場合があり、また抄紙により得られる紙の強度が低い場合があった。
そこで本発明は、抄紙性が良好であり、抄紙により得られるシートの機械的強度が高い、フィブリル化ポリビニルアルコール繊維を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決するために、フィブリル化ポリビニルアルコール繊維について詳細に検討を重ねた結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、以下の好適な態様を包含する。
[1]平均繊維径が0.1μm以上14μm以下であり、かつアスペクト比が500以上10000以下である、フィブリル化ポリビニルアルコール繊維。
[2]綿状の形状を有する、前記[1]に記載のフィブリル化ポリビニルアルコール繊維。
[3]フィブリル化ポリビニルアルコール繊維に含まれるポリビニルアルコールのアセタール化度は3〜40モル%である、前記[1]または[2]に記載のフィブリル化ポリビニルアルコール繊維。
[4]CSFが5〜500mlである、前記[1]〜[3]のいずれかに記載のフィブリル化ポリビニルアルコール繊維。
[5]ポリビニルアルコールおよびポリアルキレンオキシドを含む易フィブリル化ポリビニルアルコール繊維をフィブリル化する工程を含む、前記[1]〜[4]のいずれかに記載のフィブリル化ポリビニルアルコール繊維の製造方法。
[6]前記易フィブリル化ポリビニルアルコール繊維における、ポリビニルアルコールおよびポリアルキレンオキシドの総量に対するポリアルキレンオキシドの重量比率が3〜40重量%である、前記[5]に記載のフィブリル化ポリビニルアルコール繊維の製造方法。
[7]前記[1]〜[4]のいずれかに記載のフィブリル化ポリビニルアルコール繊維を含むキャパシタ用セパレータ。
[8]前記セパレータの全重量に基づき、30重量%以上90重量%以下の前記フィブリル化ポリビニルアルコール繊維を含む、前記[7]に記載のキャパシタ用セパレータ。
[9][1]〜[4]のいずれかに記載のフィブリル化ポリビニルアルコール繊維を、前記セパレータの全重量に基づき30重量%以上90重量%以下含むセパレータを含んでなるキャパシタ。
[10]前記[1]〜[4]のいずれかに記載のフィブリル化ポリビニルアルコール繊維を補強材として含むゴム製品。
本発明によれば、抄紙性が良好であり、抄紙により得られるシートの機械的強度が高い、フィブリル化ポリビニルアルコール繊維を提供することができる。
実施例1で得た綿状のフィブリル化PVA繊維(1)の外観を示す写真である。 実施例1で得た綿状のフィブリル化PVA繊維(1)の電子顕微鏡にて観察した写真である。 比較例1で得たフィブリル化PVA繊維(2)電子顕微鏡にて観察した写真である。 実施例2における5%モジュラス測定後の破断面に露出した繊維を電子顕微鏡にて観察した写真である。 比較例2における5%モジュラス測定後の破断面に露出した繊維を電子顕微鏡にて観察した写真である。
本発明の一実施態様であるフィブリル化ポリビニルアルコール繊維(以下、「フィブリル化PVA繊維(A)」ともいう)は、平均繊維径が0.1μm以上14μm以下であり、かつアスペクト比が500以上10000以下である。
本発明において、フィブリル化PVA繊維(A)は、平均繊維径が0.1μm以上、好ましくは0.3μm以上、より好ましくは0.5μm以上、さらに好ましくは0.8μm以上、特に好ましくは0.85μm以上、とりわけ好ましくは0.9μm以上である。また、フィブリル化PVA繊維(A)は、平均繊維径が14μm以下、好ましくは12μm以下、より好ましくは10μm以下、さらに好ましくは8μm以下、特に好ましくは6μm以下、とりわけ好ましくは4μm以下、特に好ましくは2μm以下、非常に好ましくは1μm以下である。さらに、フィブリル化PVA繊維(A)は、アスペクト比が500以上、好ましくは600以上、より好ましくは700以上、さらに好ましくは800以上、特に好ましくは900以上、とりわけ好ましくは1000以上である。また、フィブリル化PVA繊維(A)は、アスペクト比が10000以下、好ましくは5000以下、より好ましくは4000以下、さらに好ましくは3000以下、特に好ましくは2500以下である。フィブリル化PVA繊維(A)の平均繊維径およびアスペクト比がそれぞれ上記下限値以上であると、フィブリル化PVA繊維(A)を抄紙する際(セパレータを抄造時)にフィブリル化PVA繊維(A)が脱落しにくくなり、また抄紙により得られるシート(例えばセパレータ)の機械的強度をさらに向上させることができ、それに伴ってバインダーの含有量を低くすることができる。そのため、このシートをセパレータとして用いる場合にはキャパシタの内部抵抗を低くすることができ、さらにフィブリル化PVA繊維(A)の取扱い性も良好である。フィブリル化PVA繊維(A)の平均繊維径およびアスペクト比がそれぞれ上記上限値以下であると、過度な繊維同士の絡み合いを抑制でき、フィブリル化PVA繊維(A)を抄紙して得られるシート(例えばセパレータ)の地合が良好となる。本発明において、フィブリル化PVA繊維(A)の平均繊維径およびアスペクト比は、例えば、PVA繊維以外の繊維が含まれている場合には繊維の識別方法に準じた溶解法によりPVA繊維以外の繊維を除去した後、フィブリル化PVA繊維を任意に20本選択し、光学顕微鏡により各繊維の巾と長さを測定し、その数値の平均値に基づいて平均繊維径およびアスペクト比を算出することができる。フィブリル化PVA繊維(A)は分岐を有してもよい。なお、フィブリル化PVA繊維(A)が分岐を有する場合、本発明においては、各枝を1本の繊維とし、各枝が有する平均繊維径およびアスペクト比をフィブリル化繊維の平均繊維径およびアスペクト比とすることができる。
本発明においてフィブリル化PVA繊維(A)の形状は、特に限定されないが、例えば繊維状(特に綿状)、および粉状である。抄紙により得られるシートの機械的強度を高める観点、特には、機械的強度がさらに高く、同時に内部抵抗のさらに低いキャパシタ用セパレータを得る観点、および取扱い性の向上の観点から、フィブリル化PVA繊維(A)の形状は、好ましくは繊維状であり、より好ましくは綿状である。
本発明において、フィブリル化PVA繊維(A)に含まれるポリビニルアルコールは、配向結晶化の観点から、ビニルアルコール構成単位を、通常70モル%以上、好ましくは90モル%以上、より好ましくは95モル%以上、さらに好ましくは98モル%以上、特に好ましくは99モル%以上、非常に好ましくは99.8モル%以上有する。なお、ポリビニルアルコールは、ビニルアルコール構成単位の他に、エチレン、イタコン酸、ビニルアミン、アクリルアミド、ピパリン酸ビニル、無水マレイン酸およびスルホン酸含有ビニル化合物などの他のモノマーに由来する構成単位を、ポリビニルアルコールに対して30モル%以下の割合で含有する共重合体であってもよい。ケン化度は80モル%以上であることが好ましく、通常100モル%以下である。ポリビニルアルコールの粘度平均重合度は、特に限定されないが、高強度のフィブリル化PVA繊維を得る観点から、好ましくは500以上、より好ましくは1500以上である。ポリビニルアルコールの粘度平均重合度の上限値は、特に限定されないが、例えば4000以下である。また、耐熱水性の向上のため、繊維化後、後反応によりポリビニルアルコールをアセタール化したものであってもよい。なお、ポリビニルアルコールの粘度平均重合度は、JIS K 6726に従って測定することができる。
本発明において、フィブリル化PVA繊維(A)に含まれるポリビニルアルコールのアセタール化度は、好ましくは3モル%以上、より好ましくは6モル%以上、さらに好ましくは10モル%以上である。また、フィブリル化PVA繊維(A)に含まれるポリビニルアルコールのアセタール化度は、好ましくは40モル%以下、より好ましくは35モル%以下、さらに好ましくは30モル%以下、とりわけ好ましくは25モル%以下、特に好ましくは20モル%以下、例えば15モル%以下である。ポリビニルアルコールのアセタール化度が上記下限値以上であると、耐水性に優れるフィブリル化PVA繊維(A)を得ることができる。ポリビニルアルコールのアセタール化度が上記上限値以下であると、フィブリル化PVA繊維(A)が微細構造を有しやすく、力学的処理による繊維の微細化が容易となる。なお、アセタール化度とは、アセタール化合物とポリビニルアルコールの水酸基とが反応して生じるアセタール結合の、ビニルアルコール構成単位に対する割合であり、ポリビニルアルコール繊維中のアセタール結合の存在割合を表す。ポリビニルアルコールのアセタール化度は、H−NMRまたは13C−NMRを用いて求めることができる。
本発明においてフィブリル化PVA繊維(A)のCSF(カナダ標準濾水度、Canadian Standard Freeness)は、好ましくは5〜500ml、より好ましくは10〜400ml、さらに好ましくは50〜350mlである。CSFは、繊維の叩解の程度を表す。フィブリル化PVA繊維(A)のCSFが上記下限値以上であると、フィブリル化PVA繊維(A)を抄紙して得られるシート(例えばセパレータ)自体の地合が良好であり、緻密で均質なシート(例えばセパレータ)を得ることができる。フィブリル化PVA繊維(A)のCSFが上記上限値以下であると、機械的強度がさらに高いシート(例えばセパレータ)を得ることができる。本発明において、CSFは、JIS P 8121「パルプの濾水度試験方法」に従って測定することができる。
本発明においてフィブリル化PVA繊維(A)は、PVA以外に樹脂を実質的に含まないが、本発明の効果を損なわない範囲であれば、無機顔料、有機顔料、耐熱劣化防止剤、pH調整剤、架橋剤および油剤などの添加剤を含有してもよい。また、フィブリル化PVA繊維(A)は樹脂として実質的にポリビニルアルコールのみからなるが、従来、ポリビニルアルコール繊維をフィブリル化する場合、通常、セルロース系フィブリル化助剤またはアクリロニトリル系フィブリル化助剤等が用いられ、かかる助剤等が繊維に含まれていた。セルロース系フィブリル化助剤やアクリロニトリル系フィブリル化助剤の存在により、フィブリル化性が大幅に低下していた。さらに、フィブリル化PVA繊維(A)を抄紙してシートを製造する場合、使用するバインダーとしてはPVA系のバインダーがシートの機械的強度の向上に適しているところ、PVA以外の他のポリマーを使用した場合はシート(例えばセパレータ)の機械的強度が低下することがあった。一方、本発明によれば、フィブリル化PVA繊維(A)を構成する樹脂は実質的にポリビニルアルコールのみからなるため、水分の保持率を抑制でき、さらに機械的強度が高く、且つ内部抵抗の低いキャパシタ用セパレータを得ることができる。なお、キャパシタ中の電解液として有機系電解液を用いる場合、水が不純物となってキャパシタ性能を低下させる。水分の保持率が低い程、乾燥を低エネルギーで行うことができる。本発明の一実施態様であるフィブリル化PVA繊維(A)を用いて得られるキャパシタ用セパレータは、実質的にポリビニルアルコールのみから製造することができるため、水分の保持率が低く、さらに乾燥に十分耐えることができる高い耐熱性を有するため、低エネルギーでの乾燥が可能である。それゆえ、こうして得られるセパレータは、有機系電解液を用いたキャパシタ用セパレータとして好適である。なお、フィブリル化PVA繊維(A)の製造において使用されるフィブリル化助剤(例えば後述するポリアルキレンオキシド)は、その一部がフィブリル化PVA繊維(A)に含まれてもよいが、例えば後述するキャパシタ用セパレータなどに用いられる場合は、実質的に含まれないことが好ましい。
本発明の一実施態様であるフィブリル化PVA繊維(A)の製造方法は、特に限定されない。例えば、ポリビニルアルコール繊維を分散したスラリーを高圧噴射してフィブリル化を行うことによって、フィブリル化PVA繊維(A)を製造してもよく、または、適当なフィブリル化助剤をポリビニルアルコールに配合して、紡糸し、その後、紡糸された繊維を水に分散させ、ビーター、ディスクリファイナーまたは高速叩解機等の製紙用叩解機で所定の濾水度まで叩解することにより、フィブリル化PVA繊維(A)を製造してもよい。本発明の一実施態様においては、下記の通り、ポリビニルアルコールおよびポリアルキレンオキシドを含む易フィブリル化ポリビニルアルコール繊維を、ビーター、ディスクリファイナーまたは高速叩解機等の製紙用叩解機等を用いて叩解することにより、フィブリル化PVA繊維(A)を製造することが好ましい。この場合、比較的長繊維の、特に綿状の、フィブリル化PVA繊維(A)を製造することができるため、該フィブリル化PVA繊維(A)を抄紙して得られるシート(例えばセパレータ)の機械的強度をさらに高くすることができる。
本発明の好適な実施態様においては、上記フィブリル化PVA繊維(A)は、ポリビニルアルコールおよびポリアルキレンオキシドを含む易フィブリル化ポリビニルアルコール繊維をフィブリル化する工程を含む方法によって製造することができる。
本発明の好適な実施態様において、上記易フィブリル化ポリビニルアルコール繊維はポリビニルアルコールおよびポリアルキレンオキシドを含む。上記易フィブリル化ポリビニルアルコール繊維に含まれるポリアルキレンオキシドは、アルキレンオキシドを構成単位とするポリマーである。本発明において、ポリアルキレンオキシドは単一のアルキレンオキシドを構成単位とするポリマーであってもよく、複数のアルキレンオキシドを構成単位とする共重合体であってもよい。ポリアルキレンオキシドとしては、例えば、2〜6個の炭素原子を有するアルキレンオキシドを構成単位とするポリマーが挙げられ、具体的には、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリブチレンオキシド、ポリイソブチレンオキシドおよびこれらの共重合体、ならびに混合物などが挙げられる。本発明におけるポリアルキレンオキシドは、本発明の効果を損なわない範囲であれば他のモノマーとの共重合体であってもよく、また変性されていてもよい。なお、ポリアルキレンオキシドが共重合体である場合、共重合体の重合形態は特に限定されず、ランダム状、ブロック状、グラフト状、またはテイパード状のいずれであってもよい。本発明において、易フィブリル化性向上の観点から、ポリアルキレンオキシドは、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドおよびエチレンオキシド/プロピレンオキシド共重合体からなる群から選択される少なくとも1種であることがより好ましい。なお、ポリアルキレンオキシドがエチレンオキシド/プロピレンオキシド共重合体である場合、エチレンオキシド/プロピレンオキシド共重合体を構成するエチレンオキシド単量体単位とプロピレンオキシド単量体単位とのモル比率(エチレンオキシド単量体単位[モル]/プロピレンオキシド単量体単位[モル])は、易フィブリル化性向上の観点から、好ましくは80/20〜99/1、より好ましくは85/15〜95/5、さらに好ましくは88/12〜92/8である。なお、易フィブリル化性が向上すると、比較的長い繊維長を有するフィブリル化繊維を得やすいため、このフィブリル化繊維を含むシート(例えばセパレータ)の機械的強度を高くすることができる。
ポリアルキレンオキシドの重量平均分子量Mwは、好ましくは50000以上、より好ましくは60000以上、さらに好ましくは70000以上であり、好ましくは3000000以下、より好ましくは200000以下、さらに好ましくは150000以下である。ポリアルキレンオキシドの重量平均分子量Mwが上記下限値以上であると、易フィブリル化ポリビニルアルコール繊維におけるポリアルキレンオキシドの分散状態が良好であり、また易フィブリル化性も向上し、このフィブリル化繊維を含むシート(例えばセパレータ)の機械的強度を高めることができ、さらに紡糸工程において紡糸原液の粘度調整が容易となるため工業的観点からも望ましい。ポリアルキレンオキシドの重量平均分子量Mwが上記上限値以下であると、易フィブリル化ポリビニルアルコール繊維におけるポリアルキレンオキシドの分散状態が良好であり、また易フィブリル化性も向上し、さらに紡糸工程においてポリアルキレンオキシドの脱落が抑制されるため、毛羽(単糸切れ)が少ない繊維を得ることができ、このフィブリル化繊維を含むシート(例えばセパレータ)の機械的強度をさらに高くすることができる。なお、本発明において、重量平均分子量Mwは、ポリスチレン標準を用いてゲルパーミエーションクロマトグラフィによって測定することができる。
本発明において、ポリビニルアルコール繊維に含まれるポリアルキレンオキシドは、フィブリル化助剤として機能すると考えられる。ポリビニルアルコールおよびポリアルキレンオキシドを含む上記ポリビニルアルコール繊維においては、ポリビニルアルコールおよびポリアルキレンオキシドの少なくとも一部が、互いに相溶せず、相分離を起こす。相分離の構造は特に限定されず、例えば海島構造、相互連結構造または層状構造が挙げられる。上記ポリビニルアルコール繊維においてポリビニルアルコールおよびポリアルキレンオキシドの少なくとも一部が相分離を起こすことによって、その界面において剥離が生じ易くなる結果、当該繊維がフィブリル化を起こし易くなると考えている。
上記易フィブリル化ポリビニルアルコール繊維において、ポリビニルアルコールおよびポリアルキレンオキシドの総量に対するポリアルキレンオキシドの重量比率は、好ましくは3重量%以上、より好ましくは5重量%以上、さらに好ましくは7重量%以上であり、好ましくは40重量%以下、より好ましくは35重量%以下、さらに好ましくは30重量%以下、特に好ましくは25重量%以下、とりわけ好ましくは20重量%以下、非常に好ましくは15重量%以下、例えば10重量%以下である。ポリアルキレンオキシドの重量比率が上記下限値以上であると、ポリビニルアルコール繊維の易フィブリル化性がさらに向上する。ポリアルキレンオキシドの重量比率が上記上限値以下であると、ポリビニルアルコール繊維内におけるポリアルキレンオキシドの割合が低く抑えられる結果、パルプとの高い接着性、耐アルカリ性および適度な吸水性といったポリビニルアルコールに由来する性質を発揮することが容易となり、機械的強度が高いシート(例えばセパレータ)を得ることができ、さらに易フィブリル化ポリビニルアルコール繊維の紡糸性を向上させることもできる。なお、デンプンやセルロース等のフィブリル化助剤を用いた場合には、フィブリル化を生じさせるためにはポリビニルアルコール繊維に対してフィブリル化助剤を多量に添加しなければならない。この場合、得られる繊維におけるポリビニルアルコールの含有量が低下するため、ポリビニルアルコールが本来的に有する性質が低下し、例えばポリビニルアルコール系バインダーとの親和性の低下が生じ得、このフィブリル化繊維を含むシート(例えばセパレータ)の機械的強度が低下することがある。
上記易フィブリル化ポリビニルアルコール繊維の繊維真円換算直径は、好ましくは5μm以上、より好ましくは7μm以上、さらに好ましくは10μm以上であり、好ましくは50μm以下、より好ましくは30μm以下、さらに好ましくは20μm以下である。易フィブリル化ポリビニルアルコール繊維の繊維真円換算直径が上記下限値以上であると、紡糸の際に単糸膠着が発生し難く、工業的に有利である。易フィブリル化ポリビニルアルコール繊維の繊維真円換算直径が上記上限値以下であると、繊維叩解時のフィブリル化効率が高くなるため、機械的強度が高いシート(例えばセパレータ)を得ることができる。なお、本発明において、繊維真円換算直径とは、繊維断面の面積と同じ面積を有する真円の直径を意味する。
上記易フィブリル化ポリビニルアルコール繊維のフィブリル化方法は、特に限定されない。通常、易フィブリル化繊維は、化学的膨潤力および機械的応力の各々単独利用または両者の併用によりフィブリル化することができる。化学的膨潤力とは、ポリビニルアルコールやポリアルキレンオキシド等の繊維の構成成分を膨潤させる能力を表す。これらの構成成分を膨潤させる膨潤剤は、特に限定されないが、例えば水が挙げられる。機械的応力は、ポリビニルアルコール繊維に剪断力を与えるミキサー、ビーター、リファイナーおよび/またはスクリューなどによって付与することができる。
上記易フィブリル化ポリビニルアルコール繊維のフィブリル化方法としては、例えば、繊維を切断して短繊維の状態でフィブリル化を行う方法等が挙げられる。繊維を切断して短繊維の状態でフィブリル化を行う方法においては、例えば、繊維を1〜30mmに切断し、水中に浸漬・分散し、ミキサー等を用いて機械的応力を加えることによって、フィブリル化を行い、フィブリル化PVA繊維(A)を得ることができる。
上記易フィブリル化ポリビニルアルコール繊維は、例えば、
ポリビニルアルコール、ポリアルキレンオキシドおよび水を含む紡糸原液を調製する調製工程、
紡糸原液を用いて紡糸を行うことによって繊維を得る紡糸工程、
繊維を延伸する延伸工程、および
繊維に含まれるポリビニルアルコールをアセタール化するアセタール化工程
を含む方法によって製造することができる。
上記調製工程において、必要に応じて加熱しながら、ポリビニルアルコールおよびポリアルキレンオキシドを水に溶解させて、紡糸原液を調製する。必要に応じて、硼酸、アルカリ成分(例えば水酸化ナトリウム)、消泡剤などを紡糸原液に配合してもよい。紡糸原液におけるポリビニルアルコールの濃度は、通常10〜20重量%である。また、ポリビニルアルコールおよびポリアルキレンオキシドの総量に対するポリアルキレンオキシドの重量比率は、上述される易フィブリル化ポリビニルアルコール繊維におけるポリビニルアルコールおよびポリアルキレンオキシドの総量に対するポリアルキレンオキシドの重量比率と同様である。
紡糸工程において、上記調製工程で得られた紡糸原液を用いて紡糸を行うことによって繊維が得られる。具体的には、紡糸原液を紡糸口金から凝固浴中に紡出させて脱水凝固させる。紡糸口金は円形のものであっても、円形以外の異形、例えば偏平状、十字型、T字型、Y字型、L字型、三角型、四角型または星型等であってもよい。凝固浴としては、ポリビニルアルコール繊維の湿式紡糸に従来から用いられている脱水能を有する無機塩類の水溶液を使用することができる。なかでも、凝固浴として、芒硝(硫酸ナトリウム十水和物)水溶液が好ましく用いられる。得られるフィブリルの機械的強度を高め、機械的強度が高いシート(例えばセパレータ)を得る観点から、紡糸原液中にホウ酸を溶解させ、さらにアルカリを含有してもよい。凝固浴の温度は、特に制限されないが、低温の方が繊維の膠着が生じにくいため、通常30〜50℃程度の温度が好ましい。
この紡糸工程において、紡糸原液に硼酸を添加し、アルカリを含有する芒硝水溶液からなる凝固浴中に紡出してゲル紡糸を行う場合は、紡糸原液における硼酸の添加量は、ポリビニルアルコールおよびポリアルキレンオキシドの総量に基づいて、好ましくは1重量%以下である。紡糸原液における硼酸の添加量が上記範囲内であると、後で行う乾熱延伸時に硼酸による架橋が生じ難く延伸を円滑に行うことができる。また、この紡糸工程を、アルカリを含有する芒硝水溶液からなる凝固浴を用いてゲル紡糸ではなく通常の湿式凝固法によって行う場合は、紡糸して得られる繊維に対して硼酸の洗浄処理を行うと、ポリビニルアルコール中に含まれるカルボキシル基の強い親水性によって繊維の溶解や膠着を引き起こし易いので硼酸の洗浄を行わない方が好ましい。特に、ポリビニルアルコールにおけるカルボキシル基の割合が10モル%を超えると膠着が生じ易くなる。
次に、延伸工程において、上記紡糸工程において得られた繊維を延伸する。具体的には、ローラーを用いて凝固浴から繊維を空気中へ引き出して延伸を行う。この延伸工程は、ガイドを使用する方法、ローラーを使用する方法などのいずれで行ってもよい。さらに、延伸は、空気中で行っても、高温の塩類水溶液中で行っても(湿熱延伸)、または両者を併用して行ってもよい。一般には、空気中でローラーを用いて繊維を延伸した後に湿熱延伸する方法を採用することが好ましく、湿熱延伸においては、飽和芒硝水溶液浴を用いて約40〜90℃程度の温度で行うのが好ましい。その際に湿熱延伸浴を酸性側に維持しておくと繊維の膠着を防止できるのでより好ましい。延伸倍率は、通常2〜5倍、好ましくは3〜4倍程度になるようにして行う。なお、延伸倍率とは、延伸前の繊維の長さに対する延伸後の繊維の長さの倍数をいう。
その後、このようにして得られた繊維を、乾燥して水分を除去し、次いでその延伸倍率が約2〜3倍程度になるようにして乾熱延伸を行う。ここで、乾熱延伸は、トータル延伸倍率が6倍以上、好ましくは7倍以上、より好ましくは7〜13倍程度になるように行う。乾燥は、通常、紡糸延伸時の張力を緩めないで80〜140℃程度の温度で水分が十分に除去されるまで行い、その後の乾熱延伸は空気中で200〜240℃程度に加熱して行うのが好ましい。なお、ここでいう乾熱延伸の延伸倍率とは延伸後で且つ乾熱延伸を行う前の繊維の長さに対する乾熱延伸後の繊維の長さの倍数をいい、またトータル延伸倍率とは、延伸を行う前の繊維の長さに対する乾熱延伸後の繊維の長さの倍数をいう。
次に、アセタール化工程において、上記延伸工程において得られた繊維を、アセタール化合物を用いてアセタール化する。アセタール化合物としては、例えば、ホルムアルデヒドおよびアセトアルデヒドなどのモノアルデヒド;グルタルアルデヒド、ヘキサンジアールおよびノナンジアールなどのジアルデヒド、およびこれらのジアルデヒドのアルデヒド基をメタノール、エタノールやエチレングリコールでアセタール化してマスキングしたアセタール類などが挙げられる。特に、アセタール化合物は、既設製造設備への流用が容易であり、工業的観点から有利であるため、ホルムアルデヒドが好ましい。なお、ホルムアルデヒドを用いたアセタール化は、特にホルマール化と称される。
アセタール化は、硫酸等の鉱酸およびアセタール化合物および必要に応じて少量の鉱酸塩を含む組成液を用いて行われる。鉱酸としては、例えば、硫酸、りん酸、硝酸およびクロム酸などの無機酸、ならびにカルボン酸およびスルホン酸などの有機酸が挙げられる。組成液における鉱酸の濃度は通常0.3〜3モル/l、アセタール化合物の濃度は通常0.6〜7モル/lである。また、アセタール化工程における組成液の温度は、通常50〜90℃、好ましくは60〜80℃である。
アセタール化工程における繊維のアセタール化度は、好ましくは3モル%以上、より好ましくは6モル%以上、さらに好ましくは8モル%以上、さらにより好ましくは10モル%以上であり、好ましくは40モル%以下、より好ましくは30モル%以下、さらに好ましくは20モル%以下、さらにより好ましくは15モル%以下である。ポリビニルアルコールのアセタール化度が上記下限値以上であると、耐水性に優れる易フィブリル化ポリビニルアルコール繊維を得ることができる。ポリビニルアルコールのアセタール化度が上記上限値以下であると、得られるポリビニルアルコール繊維の易フィブリル化性がさらに向上する。
上記のようにして、上記易フィブリル化ポリビニルアルコール繊維を製造することができる。上記易フィブリル化ポリビニルアルコール繊維は、セルロース系ポリマー等を用いず水溶性であるポリアルキレンオキシドを用いるため、有機溶剤ではなく水性溶液を用いて紡糸することができる。有機溶剤を用いた紡糸の場合においては、溶剤回収等を含めたトータルの製造コストが高くなるが、本発明の一実施態様においては、上記のとおり、水性溶液を用いた水系紡糸を行うことが可能であり、有機溶剤を回収することなく紡糸することができるため、製造コストを低く抑えることが可能となる。さらに、本発明の一実施態様においては、セルロース系ポリマーを用いないため、アセタール化処理によるポリビニルアルコール/ポリアルキレンオキシドの界面において架橋が進行せず、アセタール化度が高い場合であっても、易フィブリル化性が大きく低下することなく、耐水性を付与することが可能である。
本発明の別の実施態様においては、上記フィブリル化PVA繊維(A)を含むキャパシタ用セパレータが提供される。このキャパシタ用セパレータは、該セパレータの全重量に基づいて、好ましくは30重量%以上、より好ましくは35重量%以上、さらに好ましくは40重量%以上、とりわけ好ましくは50重量%以上のフィブリル化PVA繊維(A)を含み、好ましくは90重量%以下、より好ましくは80重量%以下、さらに好ましくは70重量%以下のフィブリル化PVA繊維(A)を含む。上記キャパシタ用セパレータにおけるフィブリル化PVA繊維(A)の含有量が上記下限値以上であると、セパレータの機械的強度を高めることができ、製造上における不具合を抑制することができる。上記キャパシタ用セパレータにおけるフィブリル化PVA繊維(A)の含有量が上記上限値以下であると、セパレータ中の各成分の均一性が良好であるため、セパレータ中の強度ムラを抑制することができる。
本発明の一実施態様に係るキャパシタ用セパレータは、上記フィブリル化PVA繊維(A)の他に、バインダー(B)を含有してもよい。本発明においてバインダー(B)は、ポリビニルアルコール系バインダーであることが好ましく、この場合、フィブリル化PVA繊維(A)を構成する樹脂の種類が共通するため、フィブリル化PVA繊維(A)との接着性に優れ、機械的強度にさらに優れるセパレータを得ることができる。さらに、バインダー(B)がポリビニルアルコール系バインダーであると、耐電解液性および吸液性に優れる。なお、ポリビニルアルコール系バインダーとは、上記ポリビニルアルコールからなるバインダーである。
バインダー(B)の形状としては、例えば繊維状、粉末状、および溶液状が挙げられるが、繊維状が好ましい。湿式抄造によってセパレータを抄造する場合、バインダー(B)が繊維状であると、乾燥前の持ち込み水分を下げる等の手段により、バインダー(B)を完全に溶解させず、繊維形態を残したままバインダー繊維と主体繊維との交点のみを点接着させることが可能であり、電解液吸液性の低下、内部抵抗の上昇を招くことなくセパレータの機械的強度を高めることができるので特に好ましい。バインダー(B)が繊維状である場合、セパレータの機械的強度の向上、電解液吸液性の低下の抑制、および内部抵抗の低下の観点から、その繊度は、好ましくは0.4〜3dtex、より好ましくは0.7〜2dtex、さらに好ましくは0.8〜1.5dtexであり、繊維長は好ましくは0.5〜7mm、より好ましくは1〜5mm、さらに好ましくは2〜4mmである。
本発明において、ポリビニルアルコール系バインダーの水中溶解温度は、好ましくは60〜90℃、より好ましくは70〜90℃である。また、ポリビニルアルコール系バインダーは、平均重合度が500〜3000程度、ケン化度が97〜99モル%のポリビニルアルコールから構成された繊維であることが好ましい。ポリビニルアルコール系バインダーは、他のポリマーとの複合紡糸繊維、混合紡糸繊維(海島繊維)であってもよい。ポリビニルアルコール系バインダーを構成するポリビニルアルコールは上記他のモノマーに由来する構成単位を含む共重合体であってもよい。ポリビニルアルコール系バインダーは、電解液吸液性、機械的性能等の点から、ビニルアルコール構成単位を好ましくは30重量%以上、より好ましくは50重量%以上、さらに好ましくは80重量%以上含み、通常100重量%以下含む。
上記キャパシタ用セパレータは、該セパレータの全重量に基づいて、好ましくは1重量%以上、より好ましくは3重量%以上、さらに好ましくは4重量%以上、特に好ましくは5重量%以上のバインダー(B)を含み、好ましくは15重量%以下、より好ましくは13重量%以下、さらに好ましくは10重量%以下のバインダー(B)を含む。上記キャパシタ用セパレータにおけるバインダー(B)の含有量が上記下限値以上であると、セパレータの機械的強度をさらに高めることができ、製造上における不具合を抑制することができる。上記キャパシタ用セパレータにおけるバインダー(B)の含有量が上記上限値以下であると、吸液性に優れ、さらにバインダーの被膜化を抑制することができるため、セパレータのキャパシタの内部抵抗を低くし、さらに電解液吸液性の低下を抑えることができる。なお、本発明の一実施態様であるフィブリル化PVA繊維(A)は機械的強度が高いため、このフィブリル化PVA繊維(A)を含むセパレータにおいては、バインダー量を低減することができる。そのため、このセパレータでは、キャパシタの内部抵抗を低くすることができる。
本発明の一実施態様に係るキャパシタ用セパレータは、上記フィブリル化PVA繊維(A)以外の他のフィブリル化繊維(C)を含有してもよい。他のフィブリル化繊維とは、例えばフィブリル化セルロース繊維、フィブリル化ポリオレフィン繊維(例えば、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン/ポリエチレン複合繊維)、フィブリル化ポリアミド繊維、およびフィブリル化ポリエステル繊維等が挙げられる。なかでも、キャパシタ用セパレータの構成成分であるフィブリル化PVA繊維(A)の分散性が良好となり、その結果、地合が良好で、緻密で均質なセパレータを得ることができる観点から、キャパシタ用セパレータはフィブリル化セルロース繊維を含むことが好ましい。
フィブリル化セルロース繊維は、セルロース繊維をフィブリル化処理することにより得ることができる。セルロース繊維としては、例えばレーヨン繊維(ポリノジックレーヨン繊維、有機溶剤系セルロース繊維を含む)、アセテート系繊維、および天然パルプ(木材パルプ、コットンリンターパルプ、麻、パルプ等)等の天然セルロース系繊維が挙げられる。これらのセルロース繊維はマーセル化されていてもよい。1種または2種以上のこれらのセルロース繊維を水に分散させ、ビーター、ディスクリファイナーまたは高速叩解機等の製紙用叩解機で所定の濾水度まで叩解することにより、フィブリル化セルロース繊維を得ることができる。
他のフィブリル化繊維(C)の叩解の程度に関して、他のフィブリル化繊維(C)のCSFは、フィブリル化繊維(C)の種類によるが、例えば0〜700ml、好ましくは0〜600ml、より好ましくは5〜500ml、さらに好ましくは10〜400mlである。特に、他のフィブリル化繊維(C)がフィブリル化セルロース繊維である場合、フィブリル化セルロース繊維のCSFは好ましくは0〜700ml、より好ましくは0〜550mlである。フィブリル化繊維(C)のCSFが上記範囲内であると、セパレータ自体の地合が良好であり、緻密で均質なセパレータを得ることができる。
上記キャパシタ用セパレータは、該セパレータの全重量に基づいて、好ましくは10重量%以上、より好ましくは20重量%以上、さらに好ましくは30重量%以上のフィブリル化セルロース繊維を含み、好ましくは70重量%以下、より好ましくは65重量%以下、さらに好ましくは60重量%以下のフィブリル化セルロース繊維を含む。上記キャパシタ用セパレータにおけるフィブリル化セルロース繊維の含有量が上記下限値以上であると、フィブリル化セルロース繊維のみならず、フィブリル化PVA繊維(A)の分散性が良好となるため、均一で緻密なセパレータを得ることができる。上記キャパシタ用セパレータにおけるフィブリル化セルロース繊維の含有量が上記上限値以下であると、機械的強度にさらに優れたセパレータとなり、またキャパシタの内部抵抗を低くすることができる。
本発明の一実施態様に係るキャパシタ用セパレータは、上記フィブリル化PVA繊維(A)の他に、セルロース繊維(D)を含有してもよい。キャパシタ用セパレータがセルロース繊維(D)を含むと、セルロース繊維がセパレータ中で骨格として機能することにより、機械的強度を保持することができる。セルロース繊維は、マーセル化されていてもよい。マーセル化パルプに使用するパルプとしては、広葉樹パルプ、針葉樹パルプ、ユーカリパルプ、エスパルトパルプ、コットンリンターパルプ、パイナップルパルプ、マニラ麻パルプ、およびサイザル麻パルプ等が挙げられる。これらのパルプから選択された一種または複数種のものを使用することができ、また、マーセル化処理が行われていてもよい。
上記キャパシタ用セパレータは、該セパレータの全重量に基づいて、好ましくは3重量%以上、より好ましくは5重量%以上、さらに好ましくは10重量%以上のセルロース繊維(D)を含み、好ましくは70重量%以下、より好ましくは60重量%以下、さらに好ましくは50重量%以下、特に好ましくは40重量%以下、とりわけ好ましくは30重量%以下、非常に好ましくは20重量%以下のセルロース繊維(D)を含む。上記キャパシタ用セパレータにおけるセルロース繊維(D)の含有量が上記下限値以上であると、セパレータ中に適度な空間を保持することが出来、セパレータは一定以上の厚さを維持可能である。上記キャパシタ用セパレータにおけるセルロース繊維(D)の含有量が上記上限値以下であると、電解液中での収縮率および膨潤度をそれぞれ低く抑えることができる。
セルロース繊維(D)のCSFは、通常450ml以上、好ましくは500ml以上、より好ましくは600ml以上である。セルロース繊維(D)のCSFが上記下限値以上であると、セパレータの遮蔽性を一定水準以上に維持でき、またセパレータの厚さを所定の範囲内に維持することができる。セルロース繊維(D)のCSFは、通常800ml以下である。
上記キャパシタ用セパレータの厚さは、好ましくは20〜80μm、より好ましくは24〜70μm、さらに好ましくは28〜60μmである。キャパシタ用セパレータの厚さが上記下限値以上であると、セパレータの機械的強度をさらに高くすることができる。キャパシタ用セパレータの厚さが上記上限値以下であると、電極間の通路を短くできるため、キャパシタの内部抵抗を低くすることができる。
上記キャパシタ用セパレータの坪量は、好ましくは12〜30g/m、より好ましくは14〜26g/m、さらに好ましくは16〜24g/mである。キャパシタ用セパレータの坪量が上記下限値以上であると、セパレータの機械的強度をさらに高くすることができる。キャパシタ用セパレータの坪量が上記上限値以下であると、キャパシタの内部抵抗を低くすることができる。
上記キャパシタ用セパレータの比引張強さは、好ましくは30N・m/g以上、より好ましくは30.5N・m/g以上、さらに好ましくは31N・m/g以上である。上記キャパシタ用セパレータの比引張強さが上記上限値以下であると、製造工程において不具合が生じにくい。また、キャパシタ用セパレータの比引張強さは、通常50N・m/g以下、特に40N・m/g以下、例えば38N・m/g以下である。なお、本発明において、比引張強さとは、JIS P 8113に従って測定される、セパレータの縦方向(MD方向)および横方向(TD方向)の比引張強さの合計値を2で割って得られる数値である。
本発明の一実施態様に係るキャパシタ用セパレータの製造方法は、特に限定されない。例えば、上記フィブリル化PVA繊維(A)、ならびに必要に応じてバインダー(B)、他のフィブリル化繊維(C)およびセルロース繊維(D)を用いて湿式不織布とすることにより、上記セパレータを得ることができる。例えば一般の湿式抄紙機を用いることにより効率的に所望の湿式不織布を製造できる。こうして、上記フィブリル化PVA繊維(A)、ならびに必要に応じてバインダー(B)、他のフィブリル化繊維(C)およびセルロース繊維(D)から構成されるキャパシタ用セパレータを得ることができる。
本発明の好適な実施態様においては、上記キャパシタ用セパレータは、
易フィブリル化ポリビニルアルコール繊維をフィブリル化して得られたフィブリル化繊維(即ち、フィブリル化PVA繊維(A))、ならびに必要に応じてバインダー(B)、他のフィブリル化繊維(C)およびセルロース繊維(D)を、湿式抄紙機において、水に分散させ、抄造する工程
を含む方法によって製造することができる。
この場合、上記フィブリル化された易フィブリル化ポリビニルアルコール繊維に含まれるポリアルキレンオキシドが、叩解工程および/または抄造工程において水に溶出するため、叩解工程および/または抄造工程を経ることで、実質的にポリビニルアルコールのみからなるフィブリル化PVA繊維(A)を容易に調製することが可能である。
上記易フィブリル化ポリビニルアルコール繊維に含まれるポリビニルアルコールとしては、上記フィブリル化PVA繊維(A)を構成するポリビニルアルコールと同様のものが挙げられる。
上記のように得られたフィブリル化PVA繊維、ならびに必要に応じてバインダー(B)、他のフィブリル化繊維(C)およびセルロース繊維(D)を、湿式抄紙機において、水に分散させ、抄造してもよい。湿式抄紙機には抄き網が用いられるが、抄き網としては、円網、短網、長網等が挙げられ、これらの抄き網を単独で用いて単層としても、また抄き網の組み合わせによる複数層の抄き合せとしてもよい。地合斑のない均質で電気特性に優れた紙(シート)を得る点からは複数層の抄き合せとすることが好ましく、中でも短網−円網抄紙機にて2層抄き合せ紙(シート)とするのが好ましい。湿式抄紙機により抄き上げた後にヤンキー型乾燥機等で乾燥することでキャパシタ用セパレータが得られる。勿論、必要に応じて熱プレス加工等をさらに行うこともできる。さらには、界面活性剤処理等の親水化処理を行うことで、電解液吸液性を向上させることも可能である。また、セパレータへの電解液の浸透性を高めるために、セパレータにグラビア加工および/またはエンボス加工を施すこともできる。
本発明の別の実施態様においては、上記セパレータを含むキャパシタ、特に電気二重層キャパシタを提供することもできる。キャパシタは、上記セパレータを正極と負極との間に配置して素子を形成し、当該素子に電解液を含浸させることによって、製造することができる。上記キャパシタにおける正極および負極の種類、および電解液の種類などは特に限定されず、キャパシタ、特に電気二重層キャパシタにおいて従来から採用されているものを用いることができる。例えば、電解液として水系電解液(例えば硝酸水溶液)または有機系電解液(非水系電解液)を用いることができる。特に、本発明の別の実施態様であるセパレータは、炭素質の正極および負極を備え、電解液として有機系電解液(非水系電解液)を用いる電気二重層キャパシタ用のセパレータとして適している。有機系電解液としては、例えばテトラアルキルアンモニウムカチオンとBF4 -、PF6 -、SO3CF3 -、AsF6 -、N(SO2CF32 -、ClO4 などのアニオンとの塩をプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、スルホラン、メチルスルホランなどの有機溶剤に溶解した電解液が挙げられる。
本発明の別の実施態様においては、キャパシタにおける上記セパレータの使用および使用方法も提供することができる。
本発明の一実施態様である上記フィブリル化PVA繊維(A)は、電池セパレータ、キャパシタセパレータ、フィルター類、バインダー繊維、製紙用カットファイバー、乾式不織布用ステープル、紡績用ステープル、織物用マルチフィラメント、編物用マルチフィラメント、セメント補強材、包装材、衛生材料、メディカル用ディスポーザブル製品、農業用被履材、ワイパー類、絶縁紙、人工皮革、またはマジックインキの芯などの用途に用いることができる。また、上記フィブリル化PVA繊維(A)はゴム製品の補強材としても好適に使用することができ、中でもタイヤ、ベルト、ホース等のゴム製品の補強材として有用である。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。なお、本実施例における各物性値は下記の方法にて測定した。
[繊度]
試料繊維の繊度(dtex)は、JIS L 1013(「化学繊維フィラメント糸試験方法」8.3.1 正量繊度 b)B法)に準じて測定した。
[平均繊維径およびアスペクト比]
フィブリル化PVA繊維の平均繊維径およびアスペクト比は、フィブリル化PVA繊維を任意に20本選択し、光学顕微鏡により各繊維の幅と長さを測定し、その数値の平均値に基づいて算出した。PVA繊維以外の繊維が含まれている場合には、繊維の識別方法に準じた溶解法によりフィブリル化したPVA繊維以外の繊維を除去した後、フィブリル化したPVA繊維を任意に20本選択し、光学顕微鏡により各繊維の幅と長さを測定し、その数値の平均値に基づいて平均繊維径およびアスペクト比を算出した。
[繊維真円換算直径]
易フィブリル化ポリビニルアルコール繊維の繊度(dtex)から換算することによって、繊維真円換算直径を求めた。具体的には、JIS L 1013(「化学繊維フィラメント糸試験方法」8.3.1 正量繊度 b)B法)に準じて繊度を測定し、その繊度から次の計算式に従って、繊維真円換算直径を算出した。
直径(μm)=10√繊度(dtex)
[アセタール化度]
固体13C−NMRを用いて、ホルムアルデヒド(アセタール化合物)とポリビニルアルコールとのアセタール結合に由来するピーク面積とポリビニルアルコールのメチン炭素ピーク面積との比から、試料のアセタール化度(モル%)を求めた。
[水中溶解温度]
400ccの水(20℃)に試料繊維2.6gを投入し、昇温速度1℃/分、攪拌速度280rpmの条件で攪拌しながら昇温し、繊維が完全に溶解したときの温度を測定し、水中溶解温度(℃)とした。
[叩解度(濾水度) CSF]
JIS P 8121「パルプの濾水度試験方法」に準じて、試料のカナダ標準濾水度(ml)を測定した。
[厚さ]
JIS P 8118「紙及び板紙の厚さと密度の試験方法」に準じて、試料の厚さ(mm)を測定した。
[坪量]
JIS P 8124「紙のメートル坪量測定方法」に準じて、試料の坪量(g/m)を測定した。
[引張強さ、比引張強さ]
JIS P 8113「紙及び板紙の引張強さ試験方法」に準じて、試料(セパレータ)の縦方向および横方向の引張強さ(kN/m)を測定した。本発明においては、セパレータの縦方向および横方向の引張強さの合計値を2で割った数値を引張強さとした。また、測定した引張強さおよび坪量に基づいて、JIS P 8113「紙及び板紙の引張強さ試験方法」に準じて、試料の比引張強さ(N・m/g)を算出した。比引張強さは30N・m/g以上であることが好ましい。
[内部抵抗値]
以下の実施例および比較例で作製した電気二重層キャパシタを、充電電流20mAにて2.7Vまで充電後、2.7Vの定電圧条件にて2時間充電を行い、放電電流20mAにて0Vまで放電を行った。内部抵抗値(Ω)は、前記したサイクルの放電直後の電圧低下から求めた。内部抵抗値は1.4Ω以下であることが好ましい。
[実施例1]
[フィブリル化PVA繊維(1)の調製]
ポリビニルアルコール(粘度平均重合度:1700、ケン化度:99.9モル%)を水に溶解させ、15重量%のポリビニルアルコール水溶液を調製した。次に、ポリエチレンオキシド(重量平均分子量Mw:80000)を、ポリビニルアルコールおよびポリエチレンオキシドの総量に対して10重量%添加し、紡糸原液を調製した。紡糸原液には、紡糸性向上の目的で界面活性剤(ミヨシ油化製、VL-22)0.003重量%および消泡剤(新日化成製、ジョルシンLB-D)0.002重量%を添加した。この紡糸原液を用いて、90℃において、穴数1000、穴径80μmφ(円形)の紡糸口金より45℃の飽和硫酸ナトリウム水溶液からなる凝固浴中に吐出させ、第1ローラーで引き取った後、第2ローラーを経て乾燥ローラーまで段階的に4倍の湿熱延伸を行い、その後130℃で乾燥を行った。引き続き2倍の延伸を行った。その後、2モル/lの硫酸(鉱酸)および1モル/lのホルムアルデヒドを含む組成液を用いて、70℃においてアセタール化処理を行い、ポリビニルアルコールのアセタール化度(ホルマール化度)を10モル%とし、易フィブリル化ポリビニルアルコール繊維を得た。得られた易フィブリル化ポリビニルアルコール繊維の繊維真円換算直径は14μm(叩解前のサイズ)であった。
次に、得られた易フィブリル化ポリビニルアルコール繊維を2mmに切断し、この繊維5gを20℃の水1000ml中に分散させ、ミキサー(松下電器産業製、MX−152S、回転数:9700rpm)を用いて5分間叩解した。得られた叩解液を濾過して、綿状のフィブリル化PVA繊維(1)を得た。このフィブリル化PVA繊維(1)のCSFは10mlであり、平均繊維径は0.91μm、アスペクト比は1100であった。綿状のフィブリル化PVA繊維の外観写真を図1に、電子顕微鏡写真を図2に示す。
[キャパシタ用セパレータの作製]
上記のフィブリル化PVA繊維(1)40重量%、マーセル化パルプ(マーセル化LBKP(未叩解))15重量%、およびポリビニルアルコール系バインダー繊維(クラレ社製、ビニロンバインダー:VPB105−1×3、繊度:1.1dtex、繊維長:3mm、水中溶解温度:74℃)5重量%を、水中に分散させて、スラリーを調製した。このスラリーを用いて、短網−円網抄紙機にて2層抄き合わせ抄紙を行い、ヤンキー型乾燥機にて乾燥し、坪量18.8g/m、厚さ0.030mmのセパレータを得た。得られたセパレータの地合を目視で評価したところ、非常に良好であった。得られたセパレータについて、フィブリル化PVA繊維(1)、マーセル化パルプおよびポリビニルアルコール系バインダー繊維の含有比率を測定したところ、フィブリル化PVA繊維(1):マーセル化パルプ:ポリビニルアルコール系バインダー繊維=12.5:4.7:1.6であり、抄紙工程におけるスラリーの配合比率とほぼ一致し、抄紙性は良好であった。なお、セパレータ中のフィブリル化PVA繊維(1)、マーセル化パルプおよびポリビニルアルコール系バインダー繊維の含有比率は、セパレータを水で20分煮沸させることでポリビニルアルコール系バインダー繊維を溶解させて定量し、さらに20%塩酸溶液でフィブリル化PVA繊維(1)を溶解させて定量することにより求めた。このセパレータについて、各種評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例1]
[フィブリル化PVA繊維(2)の調製]
けん化度99.9モル%、粘度平均重合度1750のPVA単独重合体を水に溶解した紡糸原液を芒硝凝固浴中で凝固させ、熱延伸(湿熱延伸後に乾熱延伸を行った)、熱固定、ホルマール化(ホルマール化度:27モル%)することによって、繊度0.3デニール(平均繊維径5μm)、繊維長1mm、水中溶解温度100℃以上のPVA繊維を得た。その後、スターバースト処理装置(スギノマシン社製、スターバースト70)を用いて、このPVA繊維にフィブリル化処理を施すことにより、フィブリル化PVA繊維(2)を得た。このフィブリル化PVA繊維(2)電子顕微鏡写真を図3に示す。フィブリル化PVA繊維(2)の形態は粉砕状であり、CSFは950ml、平均繊維径は1.4μm、アスペクト比は100であった。
[キャパシタ用セパレータの作製]
フィブリル化PVA繊維(1)に代えて上記のフィブリル化PVA繊維(2)を用いた以外は、実施例1と同様にしてセパレータを得た。得られたセパレータの坪量は12.5g/mであり、実施例1から得られたセパレータの坪量よりも低い値であった。得られたセパレータについて、フィブリル化PVA繊維(2)、マーセル化パルプおよびポリビニルアルコール系バインダー繊維の含有比率を測定したところ、フィブリル化PVA繊維(2):マーセル化パルプ:ポリビニルアルコール系バインダー繊維=6.2:4.7:1.6であり、抄紙工程におけるスラリーの配合比率と比較してフィブリル化PVA繊維(2)の比率が低かった。これは、フィブリル化PVA繊維(2)が抄紙機の網を通過して欠落したためであり、フィブリル化PVA繊維(2)はフィブリル化PVA繊維(1)よりも抄紙性に劣るものであった。また、得られたセパレータの地合はムラがあり、不良であった。このセパレータについて、各種評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2018123891
表1の結果から、本発明に係る実施例1においては、抄紙性に優れ、得られたセパレータは高い比引張強さを有し、さらに、内部抵抗値が低く抑制されたことが分かる。一方、比較例1においては、抄紙性が不十分で、得られたセパレータは比引張強さが低く、本発明の課題を達成することができなかった。また、比較例1において得られたセパレータは内部抵抗が高かった。
[実施例2]
[繊維ゴム複合体の作製]
実施例1で作製した易フィブリル化ポリビニアルアルコール繊維を2mmに切断し、この繊維20gを未加硫ゴム(天然ゴム「RSS#3」100g、SBRゴム「Nipol 1500」100g、カーボンブラック「ダイアブラックH」90g)に添加および混合し、MS式加圧型ニーダー(株式会社モリヤマ製、DS1−5MHB−S、回転数F/R=57/42rpm)を用いて20分間混練した。得られた繊維複合ゴムをカレンダーロールで形を整え厚さ約1.1mmの繊維複合ゴムシートを作製した。厚さ1mmの金型に繊維複合ゴムシートを入れ、加熱加圧下(温度150℃、圧力50kg/cmの条件下にて30分間)にて繊維複合ゴムシートの加硫を行った。加硫した繊維複合ゴムシートをJIS K6251「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−引張特性の求め方」に記載のダンベル状1号形で切り出し、繊維ゴム複合体を得た。
[所定伸び引張応力(モジュラス)の測定]
JIS K6251「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−引張特性の求め方」に準じて、繊維ゴム複合体に対して、所定の伸び(5%)を与えたときの引張力を測定し、試験片の初期断面積で除した値を5%モジュラスとした。結果を表2に示す。
[比較例2]
易フィブリル化ポリビニアルアルコール繊維に代えてポリビニルアルコール繊維糸として株式会社クラレ製ビニロンフィラメント(2000dtex/1000f、単繊維の平均繊維径:14μm)を用いたこと以外は実施例2と同様に繊維ゴム複合体を作製し、実施例2と同様にして5%モジュラスを測定した。結果を表2に示す
[比較例3]
繊維を添加しない以外は実施例2と同様にゴム体を作製し、実施例2と同様にして5%モジュラスを測定した。結果を表2に示す。
Figure 2018123891
実施例2および比較例2において、5%モジュラス測定後の破断面に露出した繊維を電子顕微鏡にて観察した結果を、それぞれ図4および図5に示す。図4(実施例2)では直径0.5μm前後の繊維が観察され、ゴム添加後の混練によりフィブリル化したことが確認できる。図5(比較例2)では直径14μm前後の繊維しか観察されずフィブリル化は認められなかった。表2の結果から、実施例2においては繊維がフィブリル化することにより比表面積が増加し、繊維ゴム複合体が高いモジュラスを有することが分かる。一方、比較例2においてはフィブリル化が生じなかったため、繊維を添加しなかった実施例3のゴム体に対する5%モジュラスの向上効果は、実施例2の場合に比べて半分にも満たなかった。

Claims (10)

  1. 平均繊維径が0.1μm以上14μm以下であり、かつアスペクト比が500以上10000以下である、フィブリル化ポリビニルアルコール繊維。
  2. 綿状の形状を有する、請求項1に記載のフィブリル化ポリビニルアルコール繊維。
  3. フィブリル化ポリビニルアルコール繊維に含まれるポリビニルアルコールのアセタール化度は3〜40モル%である、請求項1または2に記載のフィブリル化ポリビニルアルコール繊維。
  4. CSFが5〜500mlである、請求項1〜3のいずれかに記載のフィブリル化ポリビニルアルコール繊維。
  5. ポリビニルアルコールおよびポリアルキレンオキシドを含む易フィブリル化ポリビニルアルコール繊維をフィブリル化する工程を含む、請求項1〜4のいずれかに記載のフィブリル化ポリビニルアルコール繊維の製造方法。
  6. 前記易フィブリル化ポリビニルアルコール繊維における、ポリビニルアルコールおよびポリアルキレンオキシドの総量に対するポリアルキレンオキシドの重量比率が3〜40重量%である、請求項5に記載のフィブリル化ポリビニルアルコール繊維の製造方法。
  7. 請求項1〜4のいずれかに記載のフィブリル化ポリビニルアルコール繊維を含むキャパシタ用セパレータ。
  8. 前記セパレータの全重量に基づき、30重量%以上90重量%以下の前記フィブリル化ポリビニルアルコール繊維を含む、請求項7に記載のキャパシタ用セパレータ。
  9. 請求項1〜4のいずれかに記載のフィブリル化ポリビニルアルコール繊維を、前記セパレータの全重量に基づき30重量%以上90重量%以下含むセパレータを含んでなるキャパシタ。
  10. 請求項1〜4のいずれかに記載のフィブリル化ポリビニルアルコール繊維を補強材として含むゴム製品。
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