JPWO2018105296A1 - 品質管理装置及び品質管理方法 - Google Patents
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Abstract
Description
その他の解決手段については、実施形態中に記載する。
(システム構成)
図1は、本実施形態に用いられる品質管理システムの全体構成例を示す図である。
品質管理システムAは、品質管理装置1及び生産システム20を有している。品質管装置1は、例えば、図示しないデータセンタに設置されている。
生産システム20は、製品を生産するための装置である受入装置21、熱処理装置22、洗浄装置23、圧入装置24、溶接装置25、検査装置26を有している。
すなわち、生産システム20で行われる生産工程は、受入装置21による、例えば、2つの材料ロッドの受け入れ(受入工程)から始まり、熱処理装置22による熱処理(熱処理工程)後、洗浄装置23による洗浄工程が行われる。そして、圧入装置24が、ワークを圧入し(圧入工程)、溶接装置25がレーザ溶接により接合する(溶接工程)ことで製品が生産される。生産された製品を検査装置26が製品検査を行った(検査工程)後、出荷される。ここで、ワークとは、熱処理工程から、溶接工程における材料ロッドのことである。ちなみに、溶接工程が完了したワークは「製品」となる。
設計データ131は、ユーザによって入力される製品の設計情報が格納されている。
工程データ132は、製品の生産工程において取得される情報が格納されている。
環境データ133は、製品の生産環境に関する情報が格納されている。
なお、設計データ131、工程データ132、環境データ133については後記する。
図2は、本実施形態で用いられる品質管理装置のハードウェア構成図である。
品質管理装置1は、メモリ11、CPU(Central Processing Unit)12、記憶装置13、入力装置14、表示装置(表示部)15及び通信装置(入力部)16を有している。
メモリ11は、RAM(Random Access Memory)等で構成されている。
記憶装置13は、HD(Hard Disk)等で構成されており、設計データ131、工程データ132及び環境データ133を格納している。設計データ131、工程データ132及び環境データ133については後記する。
入力装置14は、キーボードや、マウス等である。
表示装置15は、ディスプレイ等である。
通信装置16は、生産システム20における各装置21〜26(図1参照)との通信を行う。
判定部102は、判定処理を行う。
計算部103は、計算処理を行う。
再設定処理部104は、値が外れることが予測される場合、稼働条件等の変更が行われる際に、どのように稼働条件等を変更するかを探索し、探索結果で稼働条件等を変更する再設定処理を行う。
原因特定部105は、再設定処理部104における再設定処理にもかかわらず、値が外れている場合、その原因を特定する。
格納処理部106は、計算部103による計算結果や、情報取得部101が取得したデータ等を記憶装置13に格納する。
表示処理部107は、様々な表示画面を表示装置15に表示する。
なお、各部101〜107が行う処理については後記する。
図3は、本実施形態で用いられる製品データの構成例を示す図である。適宜、図1を参照する。
図3に示す製品データ130は、図1や、図2の設計データ131、工程データ132、環境データ133が一緒になっているものである。なお、図3に示す製品データ130は、一例であり、この形式に限定されるものではない。
また、図3に示す製品データ130は、例えば「製品A」に関するデータである。同様の製品データ130が、製品毎にある。
製品データ130は、大きく「設計」、「環境」、「工程」の項目を有している。ここで、「設計」の項目が、図1、図2の設計データ131に相当し、「環境」の項目が図1、図2の環境データ133に相当し、「工程」の項目が図1、図2の工程データ132に相当する。
「設計」は、「図面a」、「部品a」、「寸法a」、「材質a」、「公差a」、「仕様a」、「生産工程a」等の項目を有する。
「図面a」には図面名称や、図面ID等が格納される。「部品a」には部品(材料ロッド)の名称や、部品ID(材料ロッドID)等が格納される。「寸法a」には部品寸法が格納される。「材質a」には、材質名や、材質ID等が格納される。「公差a」には部品寸法に対する公差が格納される。「仕様a」には該当する部品の仕様に関する情報が格納される。「生産工程a」には該当する部品が生産される工程の工程ID等が格納される。「設計」の各項目に入力される情報はユーザによって入力される情報である。
「工法b」には使用される工法に関する情報(工法名、工法ID等)が格納される。「設備b」には、使用される設備名や、設備ID等が格納される。「条件b」には、溶接条件に関する情報が格納される。「条件b」に格納される情報は、例えば、レーザ出力、溶接速度、焦点位置等である。溶接速度は、溶接が行われている時におけるワークの移動速度又はレーザの移動速度である。焦点位置はレーザの焦点位置である。「プロセス」の各項目に入力される情報はユーザによって入力される情報である。なお、本実施形態では、「溶接条件」は、「条件b」に含まれる条件を指し、「稼働条件」とは、「溶接条件」を含む、製品データ130に含まれる各条件を示すこととする。
「温度1」には一連の工程が行われた時の気温が格納される。一連の工程が室外で行われれば、外気温が「温度1」に格納され、室内で行われれば室内温度が「温度1」に格納される。「湿度1」には一連の工程が行われた時の湿度が格納される。一連の工程が室外で行われれば「湿度1」には室外の湿度が格納され、室内で行われれば室内の湿度が「湿度1」に格納される。「風量1」は、一連の工程が室外で行われた時の風量を示している。一連の工程が室内で行われた時は、「風量1」には「0」が格納される。「環境」の各項目に入力される情報は、ユーザによって入力されもよいし、図示しない温度センサ、湿度センサ、風量センサから入力されてもよい。
「材料ロッド2」には、受け入れられる材料ロッドのロッド番号等が格納される。「成分2」には、材料ロッドの成分に関する情報が格納される。この成分は、発光分光法等によって計測された炭素量や、硫黄の含有量等である。「寸法2」には、受け入れられる材料ロッドの寸法が格納される。この寸法はレーザ変位計等により所定の箇所について測定することで得られる。「洗浄度2」は、投入される材料ロッドが、どの程度洗浄されているか否かを示す情報が格納されている。「洗浄度2」は、具体的には、材料ロッド表面に付着している油分量によって表わされる情報であり、材料ロッドの表面に付着している油分量が少なければ少ないほど洗浄度が高い(よく洗浄されている)ことを示す。「洗浄度2」は、フーリエ変換赤外分光法等により、油分量が評価されることで得られる。「硬さ2」には投入される材料ロッドの硬さが格納される。この「硬さ2」は、ビッカース硬度計等によって計測された値が格納される。
「温度3」には、熱処理工程でワークに加えられる熱の温度が格納される。この「温度3」はサーモグラフィや、熱電対等が用いられることによって計測される。「冷却速度3」には、熱が加えられた後、冷却される工程における冷却の速度が格納される。この「冷却速度3」はサーモグラフィや、熱電対等によって計測された温度を基に品質管理装置1が計算する。「雰囲気3」には、例えば、熱処理における酸素濃度が格納される。この酸素濃度は、酸素濃度計等により計測される。「装置稼働3」には、熱処理装置22が、いつONして、いつOFFとなったか、処理を行ったワークの数等の情報が格納される。「作業者3」には、熱処理装置22を操作し、熱処理の作業を行った作業者の氏名、作業者ID等が作業者シフト等を基に格納される。「熱処理品質3」には、目視による外観検査の結果や、ビッカース硬度計によって計測された熱処理後のワークの硬さ等が格納される。
「溶液洗浄度4」は、洗浄溶液の汚染量である。すなわち、ワークを洗浄する溶液の汚れ具合である。「溶液洗浄度4」は、具体的には、フーリエ変換赤外分光法によって計測される、ちなみに、洗浄溶液は、ある程度汚れるまで使いまわされる。「油分量4」は、洗浄前において、ワークに付着している油分量であり、例えば、フーリエ変換赤外分光法によって計測される。「装置稼働4」には、洗浄装置23が、いつONして、いつOFFとなったか、処理を行ったワークの数等の情報が格納される。「作業者4」には、洗浄装置23を操作し、洗浄処理の作業を行った作業者の氏名、作業者ID等が作業者シフト等を基に格納される。「洗浄品質4」は、洗浄後におけるワークの表面油分量である。例えば、フーリエ変換赤外分光法によってワークの表面油分量が計測されることにより、「洗浄品質4」が格納される。
「荷重5」には、圧入工程でワークに加えられる力が格納される。「押込量5」には、荷重が加えられた結果、ワークがどのくらい押し込められたかを示す量が格納される。「油分量5」には、圧入工程が行われる前におけるワーク表面の油分量が格納される。例えば、フーリエ変換赤外分光法によって油分量が計測され、格納される。「寸法5」には、圧入処理後における2つのワークの寸法が格納される。「装置稼働5」には、圧入装置24が、いつONして、いつOFFとなったか、処理を行ったワークの数等の情報が格納される。「作業者5」には、圧入装置24を操作し、圧入処理の作業を行った作業者の氏名、作業者ID等が作業者シフト等を基に格納される。「圧入品質5」には、目視による圧入位置・押し込みの結果が格納される。具体的には、押込量等が「圧入品質5」に格納される。
「寸法6」には、溶接部のギャップ量等が格納される。「溶融池形状6」には、溶融池の長さが格納される。この溶融池の長さは、カメラの画像を基に計算されたり、変位計測レーザによって計測されたりするものである。ここで、溶融池の長さとは、例えば溶融池の中で、最も長い長さ等である。「溶融池発光6」には溶融池の発光強度(例えば、赤外光強度)が格納される。この発光強度は、フォトダイオード等により計測されるものでる。「光学系6」には、サーモグラフィ等で計測される保護ガラスの温度上昇値等が格納される。「油分量6」には、溶接工程が行われる前におけるワーク表面の油分量が格納される。「装置稼働6」には、溶接装置25が、いつONして、いつOFFとなったか、処理を行ったワークの数等の情報が格納される。「作業者6」には、溶接装置25を操作し、圧入処理の作業を行った作業者の氏名、作業者ID等が作業者シフト等を基に格納される。「溶接品質6」には、目視による外観観察と断面観察による内部欠陥の評価が格納される。
「性能7」には、溶接の結果、複数のワークから生成される製品の引張強度や、レーザ測定による形状測定の結果が格納される。「目視7」には、目視による検査結果(良否判定の結果)等が格納される。「形状7」には、溶接後の製品の各寸法が格納される。この寸法は、レーザ変位計等で計測される。「装置稼働7」には、検査装置26が、いつONして、いつOFFとなったか、処理を行った製品の数等の情報が格納される。「作業者7」には、検査装置26を操作し、熱処理の作業を行った作業者の氏名、作業者ID等が作業者シフト等を基に格納される。
図4において、「有」で示される項目は熱処理後の硬さと相関を有するデータである。このような相関の有無は、寄与率等を基に予め計算される。図4における各項目は、図3における同名の項目に対応する。後記する図5及び図6も同様である。
なお、図4に示すように、熱処理後の硬さに影響する環境データ133は存在しなかった。そして、これらの項目について、確認用熱処理後硬さを重回帰直線によって計算すると、以下の式(1)のようになる。確認用熱処理後硬さとは、熱処理工程終了後にワークが所定の硬さとなっているか否かを確認するためのものである。
・・・ (1)
熱処理工程では熱処理後の硬さが熱処理工程の品質となるが、規定値を満足せず、不良となることがある。第1実施形態では、式(1)によって、熱処理が行われた後におけるワークの硬さを推定することが可能である。
これにより、熱処理工程前のワークに対して、どのような稼働条件で熱処理すれば、所定の硬さが得られるかを事前に検討することができる。そして、この検討結果、熱処理工程の稼働条件に反映することができる。
・・・ (2)
溶込深さは、溶接工程が終了した後における溶接部の溶込深さである。溶込深さは、溶接工程における溶接品質の指標となるものである。
図5に溶接品質である溶込深さと各データについて、相関分析を実施した結果を示す。
図5において、「有」で示される項目は、溶込深さと相関を有する項目である。これらの項目について、確認用溶込深さを重回帰式で表現すると、以下の式(3)のようになる。確認用溶込深さとは、溶接工程終了後にワークの溶け込みの深さが所定の深さになっているか否かを確認するためのものである。
・・・ (3)
・・・(4)
ブローホール発生確率は、溶接工程が終了した後におけるブローホールの発生確率である。ブローホールの有無は、溶接品質である。
図6に溶接品質であるブローホール発生確率と各データについて、相関分析を実施した結果を示す。
図6において、「有」で示される項目は、ブローホール発生確率と相関を有する項目である。これらの項目について、確認用ブローホール発生確率を重回帰式で表現すると、以下の式(5)のようになる。確認用ブローホール発生確率とは、溶接工程終了後にワークのブローホールがどのくらいの率で発生するか否かを確認するためのものである。
・・・(5)
・・・(6)
図7は、第1実施形態で用いられる品質管理装置の処理手順を示すフローチャートである。適宜、図1、図2を参照する。
まず情報取得部101は、入力装置14を介して設計データ131を取得する(S101)。このとき、環境データ133も取得される。
次に、受入処理後、熱処理が行われる前に、情報取得部101が受入装置21からデータを取得する(S102)。ここで、情報取得部101は、図4〜図6で「有」が付与されている項目のデータのみを取得するようにしてもよい(ステップS111,S123,S131におけるデータ取得も同様)。ちなみに、ステップS102で取得されたデータは図3の工程データ132における「受け入れ」の項目に格納される。
そして、品質管理装置1は、熱処理後硬さ予測処理を行う(S103)。熱処理後硬さ予測処理については後記する。
そして、判定部102が、熱処理装置22から取得したデータのうち、熱処理後硬さ(熱処理工程の品質)について良否判定を行う(S112)。良否判定は、ステップS111で取得したデータと計算部103によって式(1)とを用いて算出された値が、過去において、式(1)から算出された確認用熱処理後硬さの値から所定値以上外れているか否かを判定する。所定値は、例えば、σだけ離れているか否かである。ここで、σは標準偏差の値である。
判定部102が、ステップS121の結果として外れ度が小さいと出力した場合(S121→No)、情報取得部101は、洗浄工程及び圧入工程が終了するのを待って、洗浄装置23及び圧入装置24からデータを取得する(S123)。ステップS123で取得されたデータは図3の工程データ132における「洗浄」、「圧入」の各項目に格納される。
そして、品質管理装置1は、溶込深さ予測処理を行い(S124)、続いて、ブローホール発生確率予測処理を行う(S125)。溶込深さ予測処理及びブローホール発生確率予測処理については後記する。
そして、品質管理装置1は処理を終了する。
そして、判定部102は、溶接装置25から取得したデータのうち、溶込深さと、ブローホールの発生の有無(溶接工程の品質)について良否判定を行う(S132)。良否判定は、ステップS131で取得したデータと、計算部103によって式(3)とを用いて算出された値が、過去において、式(3)から算出された確認用溶込深さの値から所定値以上外れているか否かと、ブローホールが発生しているかを判定する。所定値は、例えば、σ(σは標準偏差)だけ離れているか否かである。
ここで、溶込深さが、式(3)で示される確認用溶込深さの相関式で示される値から所定値以上外れているか、又は、ブローホールが発生している場合、ステップS132で「否」と判定される。
溶込深さが、式(3)で示される確認用溶込深さの相関式で示される値から所定値外れおらず、かつ、ブローホールが発生していない場合、ステップS132で「良」と判定される。
判定部102が、ステップS132の結果として「良」と出力した場合(S132→良)、品質管理装置1は処理を終了する。なお、ステップS132の結果として「良」が出力された場合、表示処理部107が、その旨を表示装置15に表示してもよい。
なお、本実施形態では、検査装置26からのデータは使用しない。
図8は、本実施形態で用いられる予測処理の手順を示すフローチャートである。図8の処理は、図7のステップS103,S124,S125で用いられる処理である。
まず、計算部103は、予測値を計算する(S201)。予測値は、ステップS103であれば、式(2)で示される予測用熱処理後硬さであり、ステップS124であれば、式(4)で示される予測用溶込深さであり、ステップS125であれば、式(6)の予測用ブローホール発生確率である。このとき、ステップS102,S123で取得された各データが用いられる。
ステップS202の結果、「否」と判定された場合(S202→否)、判定部102は、以前において値の再設定が行われた(再設定済み)か否かを判定する(S211)。値の再設定は、ステップS214で後記する処理のことである。
ステップS211の結果、再設定が行われていない場合(S211→No)、再設定処理部104が、各稼働条件の値を探索する条件探索を行う(S212)。条件探索は、再設定処理部104が、使用した相関式の各稼働条件(変数)を変更し、予測値が適切な値となるようにする。ここで、所望の値とは、過去の履歴から得られる実測値の平均値等である。このような場合、稼働条件、特に溶接条件(図3の「条件b」)が異なる値に設定されていることが考えられる。このような状態は、ある製品を溶接している状態から、別の製品の溶接に切り替えられる際によく生じる。
このようにすることで、工程品質を適切に保つことができるとともに、他の工程への影響を最小限に抑えることができる。
ステップS213の結果、各予測値が所望の値内で収まるような稼働条件の組み合わせが見つかった(成功した)場合(S213→Yes)、再設定処理部104は探索された稼働条件の値を再設定する(S214)。
ステップS213の結果、各予測値が所望の値内で収まるような稼働条件の組み合わせが見つからなかった(失敗した)場合(S213→No)、表示処理部107は「溶接不可」のエラー表示を表示装置15に行い(S215)、処理を終了する。作業員は、原因を探る。
このようにして、原因特定部105は、稼働条件の値を変更したにもかかわらず、ステップS202の良否判定の結果、不良(「否」)と判定された場合、不良と判定された原因となる稼働条件を特定する。
ステップS222の結果、「不良」の原因が特定できた場合(S222→Yes)、表示処理部107は、原因特定画面を表示装置15に表示する(S223)。
図9に示される原因特定画面200は、図8のステップS223で表示される処理で表示装置15に表示される画面である。
原因特定画面200は、不良情報表示領域201と、原因表示領域202とを有する。
不良情報表示領域201には、ステップS202で「不良」と判定された値に関する情報が表示される。図9の例では、「熱処理後硬さ予測値」に不良判定がなされていることが表示されている。
原因表示領域202には、ステップS221で特定された原因に関する情報が表示される。図9の例では、式(2)の「洗浄度2」の値が異常であるため、「洗浄度」を確認することを促す表示がなされている。
このようにすることで、ユーザはワークが「不良」と判定された際において、その原因を絞り込んで調査することができる。
ステップS222の後、ユーザは、図9に示す原因特定画面200に従って稼働条件の値を見直し、稼働条件の再設定を行う(S224)。
そこで、表示処理部107は、図3の製品データ130に格納されていない条件と、その条件に関するリスクと、を対応付けたリスク表示画面を表示装置15に表示する(S225)。つまり、表示処理部107は、稼働条件の値を変更したにもかかわらず、ステップS202の良否判定の結果、不良(「否」)と判定された場合、リスク表示画面を表示装置15に表示する。
図10に支援されるリスク表示画面300では、ブローホールが発生した場合に表示されるリスク表示の例を示している。
例えば、ステップS214で溶接条件を調整したのにも関わらず、ブローホールが発生した場合、ブローホールは溶接工程で発生するものであるので、リスクデータのうち、溶接工程までのリスクデータが表示される。このようにすることで、現状、計測していない項目をリスト化し、関連リスクとともに表示することで、原因究明に役立てることが可能である。
図10では、リストのうち、不良が発生したものに関連するもののみが表示される。例えば、図10の例では、作成されていたリストのうち、ブローホールに関連するものが表示されている。どのような不良が発生したら、どの項目を表示させるかは、ユーザによって予め設定されている。
なお、リスク表示画面300において、これまでに実際に発生した不良に関するリスクが表示されてもよい。
このようにすることで、製品データ130に格納されている稼働条件以外の要因で、ワーク品質の予測値が不良と判定されても、対処することが可能となる。
ユーザは、ステップS225の後、図10に示すリスク表示画面を参考して、各装置の値を点検する。
図11は、第1実施形態で用いられる相関係数設定処理の手順を示すフローチャートである。
図11に示す処理は、オフライン、つまり、生産システム20が停止している間に行われる処理である。また、図11は、定期的に行われる処理である。
まず、情報取得部101は、これまで蓄積された設計データ131、工程データ132、環境データ133のすべてを取得する(S301)。
そして、計算部103は、ステップS301で取得したデータを用いて、重回帰分析を行う(S302)。この結果、式(1)〜式(6)の各係数が計算される。
そして、格納処理部106は、ステップS302で計算された各係数を記憶装置13に格納する(S303)。
このようにして、相関式が更新される。
次に、図12を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。
図12は、第2実施形態で用いられる稼働条件変更処理の手順を示すフローチャートである。
図12の処理は、オフライン、つまり、生産管理システム20が稼働していない間に行われる処理である。そして、図12のステップS401〜S404の処理は、図8のステップS212〜S215の処理と同様の処理であるので、それぞれの処理の説明をここでは省略する。
第2実施形態によれば、オフライン中の処理であるので、生産システム20への影響を小さくすることができる。
また、図12のステップS401の処理の前に、熱処理後硬さや、溶込深さや、ブローホールの有無について実績値の履歴で外れ値があるか否かを判定し、外れ値がある場合、その外れ値が生じた値についてステップS401〜S404の処理が行われてもよい。
第1実施形態及び第2実施形態では、生産システム20が稼働している時に得られるデータを基に処理が行われているが、図13に示すように、生産システム20を試験的に稼働(試験稼働)させた時に得られるデータが使用されてもよい。
図13は、第3実施形態で用いられる品質管理装置1の処理手順を示すフローチャートである。
図13では、図7のステップS102,S111,S123,S131において取得されるデータが、試験データとなっている(S102a,S111a,S123a,S131a)。
つまり、第1実施形態では、実際に生産システム20が稼働している時のデータを基に処理を行っているのに対し、第3実施形態では、生産システム20の試験を行っている時のデータ(試験データ)を基に処理が行われる。
その他の処理は、第1実施形態と同様の処理であるので、ここでの説明を省略する。
試験データに限らず、過去の文献等に記載のデータが試験値の代わりに入力されてもよい。
また、各実施形態において、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしもすべての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には、ほとんどすべての構成が相互に接続されていると考えてよい。
13 記憶装置
14 入力装置
15 表示装置(表示部)
16 通信装置(入力部)
20 生産システム
100 処理部
101 情報取得部
102 判定部
103 計算部(相関式更新部)
104 再設定処理部(条件変更部)
105 原因特定部
106 格納処理部
107 表示処理部(出力部)
130 製品データ
131 設計データ
132 工程データ
133 環境データ
Claims (12)
- 製品を生産するための各装置の稼働条件が入力される入力部と、
予め設定されている相関式に、前記稼働条件の値を代入し、前記相関式から導出される値を計算する計算部と、
前記計算部で計算された結果を基に、前記製品を生産するための装置における工程の品質について良否判定を行った結果を出力する出力部と、
を有することを特徴とする品質管理装置。 - 前記良否判定の結果、不良と判定された場合、前記不良と判定された品質の値が、適切な品質の値となるよう、前記稼働条件の値を変更する条件変更部
を有することを特徴とする請求項1に記載の品質管理装置。 - 前記条件変更部は、
各相関式において、前記稼働条件の値を変更する際、他の相関式における影響が最も小さい値を検索する
ことを特徴とする請求項2に記載の品質管理装置。 - 前記稼働条件に含まれていない条件のリストが記憶装置に格納されており、
前記稼働条件の値を変更したにもかかわらず、前記良否判定の結果、不良と判定された場合に、前記リストを表示部に表示する表示処理部
を有することを特徴とする請求項2に記載の品質管理装置。 - 前記稼働条件の値を変更したにもかかわらず、前記良否判定の結果、不良と判定された場合に、前記不良と判定された原因となる前記稼働条件を特定する原因特定部と、
前記原因特定部が、特定した原因を表示部に表示する表示処理部と、
を有することを特徴とする請求項2に記載の品質管理装置。 - 前記稼働条件の値は、前記各装置から取得された値を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の品質管理装置。 - 前記稼働条件の値は、前記各装置の試験稼働において得られる情報である
ことを特徴とする請求項1に記載の品質管理装置。 - 新たに取得された前記値を基に、前記相関式を更新する相関式更新部
を有することを特徴とする請求項1に記載の品質管理装置。 - 前記入力部は、前記相関式で用いられる前記稼働条件の値を入力する
ことを特徴とする請求項1に記載の品質管理装置。 - 前記製品を生産するための各装置が稼働していない間に、前記良否判定の結果、不良と判定された値が、適切な値となるよう、前記稼働条件の値を変更する条件変更部
を有することを特徴とする請求項1に記載の品質管理装置。 - 前記相関式は、該相関式に該当する工程の前の工程における前記稼働条件の値を用いて、前記相関式に該当する工程の品質を予測するものである
ことを特徴とする請求項1に記載の品質管理装置。 - 製品を生産する工程における生産物の品質を管理する品質管理装置が、
前記製品を生産するための各装置の稼働条件が、入力部を介して入力され、
予め設定されている相関式に、前記稼働条件の値を代入し、
前記相関式から導出される値を計算し、
前記計算の結果を基に、前記製品を生産するための装置における工程の品質について良否判定を行った結果を出力する
ことを特徴とする品質管理方法。
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