JPWO2018070538A1 - 硬化性組成物、硬化物及びその製造方法、積層シート、光学部材、レンチキュラーシート、並びに、3次元構造物 - Google Patents

硬化性組成物、硬化物及びその製造方法、積層シート、光学部材、レンチキュラーシート、並びに、3次元構造物 Download PDF

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Abstract

硬化性組成物は、中心骨格が3回対称軸を有する2官能又は3官能(メタ)アクリレート化合物、及び、ホモポリマーのガラス転移温度が0℃以上である単官能(メタ)アクリレート化合物を含有し、ウレタン(メタ)アクリレート化合物を含有しないか、又は、ウレタン(メタ)アクリレート化合物の含有量が、硬化性組成物の全質量に対し、0質量%を超え4質量%未満である。また、上記硬化性組成物の硬化物及びその製造方法、並びに、上記硬化性組成物を硬化してなる硬化物を有する積層シート、光学部材、レンチキュラーシート、及び、3次元構造物が提供される。

Description

本開示は、硬化性組成物、硬化物及びその製造方法、積層シート、光学部材、レンチキュラーシート、並びに、3次元構造物に関する。
従来、硬化性組成物は、重合性樹脂と開始剤とを含有し、熱や光などにより重合反応を起こすことにより硬化し、様々な用途で幅広く用いられている。
また、硬化性組成物を硬化して得られる硬化物を積層した積層シートは、光学部材、ガスバリアフィルム、保護フィルム、光学フィルタ、反射防止フィルム等、広く利用されている。
更に、硬化性組成物を硬化して得られる硬化物は、反射防止膜、透明画素、透明絶縁膜、平坦化膜などの種々の部材に用いられる。
近年、光学部材の種類は多岐にわたり、上記光学部材における光学構造は、例えば、表面形状が平坦なものに限らず、液晶用バックライトの輝度向上レンズや拡散レンズ、ビデオプロジェクションテレビのスクリーンに用いられるフレネルレンズ、マイクロレンズなどが挙げられる。こうしたデバイスでは主に樹脂材料により微細構造をなすことで所望の幾何光学的な性能を得ている。
また、上記光学構造としては、見る角度によって異なる画像を表示する媒体として、半円筒形の表面を有する凸状レンズが並列したレンチキュラーレンズを用いたレンチキュラーシートが知られている。
レンチキュラーシートは、一般に、レンチキュラーレンズの裏面側(凸状レンズの半円筒形の表面と反対側の面)に、インターレースされた複数の画像を組合せた画像列群(レンチキュラー画像)が配置され、画像列群をレンチキュラーレンズを通して観察した場合に、観察する角度によって画像列群のうちの1種又は2種以上の画像を表示することができる。
そのため、光学材料及び光学スクリーン等をはじめ、様々な商業用途での利用が期待されている。ところが、従来から提案されている用途は、シート又はフィルム等の2次元形態での利用がほとんどであり、立体形状に成形された3次元形態への適用は多くない。
3次元形態への適用が試みられた技術としては、例えば、光学スクリーン用樹脂材料を成型した光学スクリーン用シートに係る発明が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
一方、光学用途の例として、形状精度等に優れた光導波路の作製において、(メタ)アクリロイル基を有するマクロマー、アクリレート、及び重合開始剤等を含有する硬化性組成物を用いる技術が開示されている(例えば、特許文献2参照)。また、フィルム用途において硬化性組成物を適用する例として、多官能アクリレート、シリカ粒子、及び高分子量モノマー等を含有する組成によりハードコート性を付与する技術に関する開示がある(例えば、特許文献3参照)。
特開2005−206742号公報 特開2008−116971号公報 特開2001−287308号公報
しかしながら、従来より提案されている硬化性組成物を用いて硬化物、又は、上記硬化物を有する積層シートを作製し、更に真空成型等により立体成型しようとすると、上記硬化物の高温延伸性が十分ではなく、立体成型時に上記硬化物に亀裂(クラック)が生じたり、硬化物自体が破損する場合がある。
また、特許文献1に記載された発明では、成型に供されるレンズ部分には熱可塑性樹脂が使用されているため、例えば真空成形等を施して立体化する場合において、成形時の熱で形状を安定的に保ちにくく、成形後にレンチキュラーシートの構造を維持できない場合がある。
本発明の一実施形態が解決しようとする課題は、得られる硬化物の耐擦傷性及び高温延伸性に優れる硬化性組成物を提供することである。
本発明の他の実施形態が解決しようとする課題は、耐擦傷性及び高温延伸性に優れる硬化物及びその製造方法を提供することである。
本発明の更に他の実施形態は、上記硬化性組成物を硬化してなる硬化物を有する積層シート、光学部材、レンチキュラーシート、及び、3次元構造物を提供することである。
上記課題を解決するための手段には、以下の態様が含まれる。
<1> 中心骨格が3回対称軸を有する2官能又は3官能(メタ)アクリレート化合物、及び、
ホモポリマーのガラス転移温度が0℃以上である単官能(メタ)アクリレート化合物を含有し、
ウレタン(メタ)アクリレート化合物を含有しないか、又は、ウレタン(メタ)アクリレート化合物の含有量が、硬化性組成物の全質量に対し、0質量%を超え4質量%未満である
硬化性組成物。
<2> 上記中心骨格が3回対称軸を有する2官能又は3官能(メタ)アクリレート化合物が、イソシアヌル環構造を有する2官能又は3官能(メタ)アクリレート化合物である上記<1>に記載の硬化性組成物。
<3> 上記中心骨格が3回対称軸を有する2官能又は3官能(メタ)アクリレート化合物が、イソシアヌル環構造を有する3官能(メタ)アクリレート化合物である上記<1>又は<2>に記載の硬化性組成物。
<4> 上記中心骨格が3回対称軸を有する2官能又は3官能(メタ)アクリレート化合物の含有量が、硬化性組成物の全質量に対し、10質量%以上60質量%以下である上記<1>〜<3>のいずれか1つに記載の硬化性組成物。
<5> 上記単官能(メタ)アクリレート化合物のホモポリマーのガラス転移温度が、60℃以上である上記<1>〜<4>のいずれか1つに記載の硬化性組成物。
<6> 上記単官能(メタ)アクリレート化合物が、脂環構造を有する上記<1>〜<5>のいずれか1つに記載の硬化性組成物。
<7> ゴム成分を、硬化性組成物の全質量に対し、1質量%以上30質量%以下更に含む上記<1>〜<6>のいずれか1つに記載の硬化性組成物。
<8> 末端に(メタ)アクリロイル基を有する樹脂を更に含む上記<1>〜<7>のいずれか1つに記載の硬化性組成物。
<9> 上記末端に(メタ)アクリロイル基を有する樹脂の含有量が、硬化性組成物の全質量に対し、5質量%以上45質量%以下である上記<8>に記載の硬化性組成物。
<10> N−ビニル化合物を更に含む上記<1>〜<9>のいずれか1つに記載の硬化性組成物。
<11> 上記N−ビニル化合物が、N−ビニルピロリドン、及び、N−ビニルカプロラクタムよりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物である上記<10>に記載の硬化性組成物。
<12> 上記N−ビニル化合物の含有量が、硬化性組成物の全質量に対し、5質量%以上40質量%以下である上記<10>又は<11>に記載の硬化性組成物。
<13> 光重合開始剤を更に含む上記<1>〜<12>のいずれか1つに記載の硬化性組成物。
<14> 上記<1>〜<13>のいずれか1つに記載の硬化性組成物を硬化してなる硬化物。
<15> 上記<1>〜<13>のいずれか1つに記載の硬化性組成物を準備する工程、及び、上記硬化性組成物を硬化する工程を含む硬化物の製造方法。
<16> 上記<1>〜<13>のいずれか1つに記載の硬化性組成物の硬化物を有する積層シート。
<17> 上記<1>〜<13>のいずれか1つに記載の硬化性組成物の硬化物を有する光学部材。
<18> 上記<1>〜<13>のいずれか1つに記載の硬化性組成物の硬化物を有するレンチキュラーシート。
<19> 上記<18>に記載のレンチキュラーシートの立体成型物である3次元構造物。
本発明の一実施形態によれば、得られる硬化物の耐擦傷性及び高温延伸性に優れる硬化性組成物を提供することができる。
また、本発明の他の実施形態によれば、耐擦傷性及び高温延伸性に優れる硬化物及びその製造方法を提供することができる。
更に、本発明の更に他の実施形態によれば、上記硬化性組成物を硬化してなる硬化物を有する積層シート、光学部材、レンチキュラーシート、及び、3次元構造物を提供することができる。
本開示におけるレンチキュラーシートの一例を示す概略図である。
以下、本開示について詳細に説明する。
なお、本明細書中、「xx〜yy」の記載は、xx及びyyを含む数値範囲を表す。
本明細書において、「(メタ)アクリル」は、アクリル及びメタクリルの両方を包含する概念で用いられる語であり、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイル及びメタクリロイルの両方を包含する概念として用いられる語である。
また、本明細書中の「工程」の用語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても、その工程の所期の目的が達成されれば本用語に含まれる。
本開示におけるアルキル基、アリール基、アルキレン基及びアリーレン基等の炭化水素基は、特に断りのない限り、分岐を有していても、環構造を有していてもよい。
また、本開示において、「質量%」と「重量%」とは同義であり、「質量部」と「重量部」とは同義である。
また、本開示において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
また、本開示における重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、特に断りのない限り、TSKgel GMHxL、TSKgel G4000HxL、TSKgel G2000HxL(何れも東ソー(株)製の商品名)のカラムを使用したゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)分析装置により、溶媒THF(テトラヒドロフラン)、示差屈折計により検出し、標準物質としてポリスチレンを用いて換算した分子量である。
(硬化性組成物)
本開示に係る硬化性組成物は、中心骨格が3回対称軸を有する2官能又は3官能(メタ)アクリレート化合物、及び、ホモポリマーのガラス転移温度が0℃以上である単官能(メタ)アクリレート化合物を含有し、ウレタン(メタ)アクリレート化合物を含有しないか、又は、ウレタン(メタ)アクリレート化合物の含有量が、硬化性組成物の全質量に対し、0質量%を超え4質量%未満である。
本開示に係る硬化性組成物は、レンチキュラーシート(特にレンチキュラーシートにおけるレンチキュラーレンズ)形成用硬化性組成物として好適に用いられる。
本発明者らが詳細な検討を行った結果、上記硬化性組成物とすることにより、得られる硬化物の耐擦傷性及び高温延伸性に優れることを見出した。
詳細な機構は不明であるが、中心骨格が3回対称軸を有する2官能又は3官能(メタ)アクリレート化合物は、多官能による架橋点の形成により耐擦傷性が向上するだけでなく、中心骨格間で、双極子―双極子相互作用、又は、π−π相互作用が生じ、より耐擦傷性に優れ、また、中心骨格が3回対称軸を有する2官能又は3官能(メタ)アクリレート化合物であることにより、架橋密度が適度となり、高温延伸性にも優れると推定している。
また、ホモポリマーのガラス転移温度が0℃以上である単官能(メタ)アクリレート化合物を含むことにより、その硬化物の高温における柔軟性から高温延伸性に優れるとともに、中心骨格が3回対称軸を有する2官能又は3官能(メタ)アクリレート化合物により生じる双極子−双極子相互作用と架橋密度とを適度に制御でき、耐擦傷性と高温延伸性とが両立できると推定している。
更に、本発明者らは、機構は不明であるが、ウレタン(メタ)アクリレート化合物の含有量が、硬化性組成物の全質量に対し、4質量%以上であると、得られる硬化物の耐擦傷性に劣ることを見出した。
ウレタン(メタ)アクリレート化合物の含有量を、硬化性組成物の全質量に対し、4質量%未満に抑えることにより、得られる硬化物の耐擦傷性及び高温延伸性に優れる。
以下、本開示に係る硬化性組成物に用いられる各成分について、詳述する。
<中心骨格が3回対称軸を有する2官能又は3官能(メタ)アクリレート化合物>
本開示に係る硬化性組成物は、中心骨格が3回対称軸を有する2官能又は3官能(メタ)アクリレート化合物を含有する。
本開示における化合物の中心骨格が3回対称軸を有する化合物とは、ある分子の中心骨格において、C回転操作を実施した後に、その形が、C回転操作実施前の形と、配座異性体に関係なく、区別がつかないものである場合に、C対称要素を有する化合物であるものをいう。C回転は、角2π/3(ラジアン)又は角360゜/3=120°によって、分子における中心骨格を通過している軸に対しての単一の回転である。
また、本開示における化合物の対称性は、配座異性体等の厳密な立体構造の対称性まで規定するものではなく、例えば、下記に示す構造であれば、それぞれ、中心骨格が3回対称軸を有するものとする。
なお、Rは、化合物の中心骨格が3回対称軸を有していれば、同一の化学構造である基であっても、同一でない化学構造を有する基であってもよい。
上記中心骨格が3回対称軸を有する2官能又は3官能(メタ)アクリレート化合物における中心骨格としては、得られる硬化物の耐擦傷性及び高温延伸性の観点から、環構造を有する骨格であることが好ましく、イソシアヌル環構造、トリアジン環構造、トリフェニレン環構造、及び、ベンゼン環構造よりなる群から選ばれた構造であることがより好ましく、イソシアヌル環構造、トリアジン環構造、及び、トリフェニレン環構造よりなる群から選ばれた構造であることが更に好ましく、イソシアヌル環構造が特に好ましい。
すなわち、上記中心骨格が3回対称軸を有する2官能又は3官能(メタ)アクリレート化合物は、得られる硬化物の耐擦傷性及び高温延伸性の観点から、イソシアヌル環構造を有する2官能又は3官能(メタ)アクリレート化合物であることが特に好ましい。
また、本開示における中心骨格が3回対称軸を有する2官能又は3官能(メタ)アクリレート化合物は、イソシアヌル環構造以外のウレタン結合を含まないことが好ましい。
上記イソシアヌル環構造を有する2官能又は3官能(メタ)アクリレート化合物は、耐擦傷性の観点から、イソシアヌル環構造を有する3官能(メタ)アクリレート化合物であることが好ましい。
上記イソシアヌル環構造を有する2官能又は3官能(メタ)アクリレート化合物としては、得られる硬化物の耐擦傷性及び高温延伸性の観点から、下記式ICT又は式ICDで表される化合物が好ましく挙げられ、下記式ICTで表される化合物がより好ましく挙げられる。
式ICT及び式ICD中、L1C、L2C及びL3Cは互いに異なっていてもよい、アルキレン基、又は、−L4C−(O−L5Cnt−を表し、L4C及びL5Cは互いに異なっていてもよい、アルキレン基を表し、ntは1以上の整数を表し、R1C、R2C及びR3Cは互いに異なっていてもよい、水素原子、又は、メチル基を表し、R4Cは、水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、又は、−L6C−(O−L7Cnd−OHを表し、L6C及びL7Cは互いに異なっていてもよい、アルキレン基を表し、ndは1以上の整数を表す。
上記L1C、L2C及びL3Cは互いに異なっていてもよい、アルキレン基であることが好ましく、炭素数2〜8のアルキレン基であることがより好ましく、エチレン基であることが特に好ましい。
上記L4C及びL6Cは互いに異なっていてもよい、炭素数2〜8のアルキレン基であることが好ましく、エチレン基であることがより好ましい。
上記L5C及びL7Cは互いに異なっていてもよい、エチレン基、又は、プロピレン基であることが好ましく、エチレン基、又は、1,2−プロピレン基であることがより好ましく、エチレン基であることが特に好ましい。
上記nt及びndは互いに異なっていてもよい、1〜20の整数であることが好ましく、1〜8の整数であることがより好ましく、1〜4の整数であることが特に好ましい。
上記R1C、R2C及びR3Cは、水素原子であることが好ましい。
上記R4Cは、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、又は、−L6C−(O−L7Cnd−OHであることが好ましく、ヒドロキシアルキル基、又は、−L6C−(O−L7Cnd−OHであることがより好ましく、ヒドロキシアルキル基であることが更に好ましく、ヒドロキシエチル基であることが特に好ましい。
上記イソシアヌル環構造を有する2官能又は3官能(メタ)アクリレート化合物として具体的には、イソシアヌル酸アルキレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸アルキレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリルオキシアルキル化イソシアヌレート、ジ(メタ)アクリルオキシアルキル化イソシアヌレート、ジ(メタ)アクリル化イソシアヌレート等が挙げられる。
中でも、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、及び、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレートよりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物が好ましく、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレートが特に好ましい。
また、上記イソシアヌル環構造を有する2官能又は3官能(メタ)アクリレート化合物は、市販品である東亞合成(株)製アロニックスM−315、M−313、及び、M−215も好適に用いることができる。
中心骨格が3回対称軸を有する2官能又は3官能(メタ)アクリレート化合物の分子量は、200以上1,500以下であることが好ましい。
本開示に係る硬化性組成物は、中心骨格が3回対称軸を有する2官能又は3官能(メタ)アクリレート化合物を、1種単独で含んでいても、2種以上を含んでいてもよい。
本開示に係る硬化性組成物における中心骨格が3回対称軸を有する2官能又は3官能(メタ)アクリレート化合物の含有量としては、得られる硬化物の耐擦傷性及び高温延伸性の観点から、硬化性組成物の全質量に対して、5質量%以上70質量%以下が好ましく、10質量%以上65質量%以下がより好ましく、10質量%以上60質量%以下であることが更に好ましく、15質量%以上60質量%以下であることが特に好ましい。
<ホモポリマーのガラス転移温度が0℃以上である単官能(メタ)アクリレート化合物>
本開示に係る硬化性組成物は、ホモポリマーのガラス転移温度が0℃以上である単官能(メタ)アクリレート化合物を含有する。
単官能(メタ)アクリレート化合物のホモポリマーのガラス転移温度(Tg)とは、単官能(メタ)アクリレート化合物を重合して得られるホモポリマー(単独重合体)のガラス転移温度を意味する。具体的には、単官能(メタ)アクリレート化合物に重合開始剤を添加して、重量平均分子量50,000のホモポリマーを得る。ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)は、ASTM D3418−8に準拠して、示差走査熱量計により測定する。
なお、分子量によってガラス転移温度(Tg)が変化するが、重量平均分子量10,000以上の場合には、分子量によるTgの変動は無視できる程度である。
また、上記単官能(メタ)アクリレート化合物におけるホモポリマーのガラス転移温度は、得られる硬化物の耐擦傷性及び高温延伸性の観点から、20℃以上であることが好ましく、60℃以上であることがより好ましく、60℃以上200℃以下であることが更に好ましく、110℃以上200℃以下であることが特に好ましい。
また、ホモポリマーのガラス転移温度が0℃以上である単官能(メタ)アクリレート化合物としては、ベンジル(メタ)アクリレート、1−ナフチル(メタ)アクリレート、2−ナフチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ブチルメタクリレート、メチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート等が挙げられる。
上記ホモポリマーのガラス転移温度が0℃以上である単官能(メタ)アクリレート化合物は、得られる硬化物の耐擦傷性及び高温延伸性の観点から、脂環構造(脂肪族環構造)を有する単官能(メタ)アクリレート化合物であることが好ましく、脂肪族炭化水素環構造を有する単官能(メタ)アクリレート化合物であることがより好ましい。
また、上記ホモポリマーのガラス転移温度が0℃以上である単官能(メタ)アクリレート化合物は、2つ以上の環を有する脂環構造を有する単官能(メタ)アクリレート化合物であることが好ましい。
上記脂環構造としては、得られる硬化物の耐擦傷性及び高温延伸性の観点から、トリシクロデカン環構造、シクロヘキサン環構造、ノルボルネン環構造、及び、アダマンタン環構造よりなる群から選ばれた少なくとも1種の環構造が好ましく、トリシクロデカン環構造がより好ましい。
ホモポリマーのガラス転移温度が0℃以上である脂環構造を有する単官能(メタ)アクリレート化合物として、具体的には、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレートなどのトリシクロデカン環構造を有する(メタ)アクリレート化合物、シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどのシクロヘキサン環構造を有する(メタ)アクリレート化合物、イソボロニル(メタ)アクリレートなどのノルボルネン環構造を有する(メタ)アクリレート化合物、1−アダマンチル(メタ)アクリレートなどのアダマンタン環構造を有する(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。
中でも、得られる硬化物の耐擦傷性及び高温延伸性の観点から、トリシクロデカン環構造を有する(メタ)アクリレート化合物が好ましく、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレートがより好ましい。
本開示に係る硬化性組成物は、ホモポリマーのガラス転移温度が0℃以上である単官能(メタ)アクリレート化合物を、1種単独で含んでいても、2種以上を含んでいてもよい。
本開示に係る硬化性組成物におけるホモポリマーのガラス転移温度が0℃以上である単官能(メタ)アクリレート化合物の含有量としては、得られる硬化物の耐擦傷性及び高温延伸性の観点から、硬化性組成物の全質量に対して、0.5質量%以上50質量%以下が好ましく、10質量%以上40質量%以下がより好ましく、15質量%以上35質量%以下が特に好ましい。
<ウレタン(メタ)アクリレート化合物>
本開示に係る硬化性組成物は、ウレタン(メタ)アクリレート化合物を含有しないか、又は、ウレタン(メタ)アクリレート化合物の含有量が、硬化性組成物の全質量に対し、0質量%を超え4質量%未満である。
本開示におけるウレタン(メタ)アクリレート化合物は、1以上のウレタン結合及び1以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物である。ただし、本開示におけるウレタン(メタ)アクリレート化合物のウレタン結合には、イソシアヌル環構造を含まないものとする。
ウレタン(メタ)アクリレート化合物は、単官能であっても、多官能であってもよいが、2官能〜15官能のものが好ましく挙げられる。
また、ウレタン(メタ)アクリレート化合物の重量平均分子量は、1,000以上100,000以下であることが好ましい。
ウレタン(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチルグリコール等のポリエーテルポリオール;コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、テトラヒドロ(無水)フタル酸、ヘキサヒドロ(無水)フタル酸等の二塩基酸とエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等のジオールの反応によって得られるポリエステルポリオール;ポリε−カプロラクトン変性ポリオール;ポリメチルバレロラクトン変性ポリオール;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等のアルキルポリオール;エチレンオキシド付加ビスフェノールA、プロピレンオキシド付加ビスフェノールA等のビスフェノールA骨格アルキレンオキシド変性ポリオール;エチレンオキシド付加ビスフェノールF、プロピレンオキシド付加ビスフェノールF等のビスフェノールF骨格アルキレンオキシド変性ポリオール、又はそれらの混合物とトリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の有機ポリイソシアネートと2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートから製造されるウレタン(メタ)アクリレート化合物、1,5,5−トリメチル−1−[(1−メタクリロイルオキシプロパン−2−イル)カルバモイルメチル]−3−(1−メタクリロイルオキシプロパン−2−イル)カルバモイルシクロヘキサン、1,5,5−トリメチル−1−[(2−メタクリロイルオキシエチル)カルバモイルメチル]−3−(2−メタクリロイルオキシエチル)カルバモイルシクロヘキサン等が挙げられる。
また、ウレタン(メタ)アクリレート化合物の市販品としては、日本合成化学工業(株)製の紫光シリーズ、新中村化学工業(株)製のU−2PPA、U−4HA、U−6HA、U−6LPA、U−15HA、U−324A、UA−122P、UA5201、UA−512等;サートマー・ジャパン(株)製のCN964A85、CN964、CN959、CN962、CN963J85、CN965、CN982B88、CN981、CN983、CN996、CN9002、CN9007、CN9009、CN9010、CN9011、CN9178、CN9788、CN9893、ダイセル・サイテック(株)製のEB204、EB230、EB244、EB245、EB270、EB284、EB285、EB810、EB4830、EB4835、EB4858、EB1290、EB210、EB215、EB4827、EB4830、EB4849、EB6700、EB204、EB8402、EB8804、EB8800−20R等が挙げられる。
本開示に係る硬化性組成物は、ウレタン(メタ)アクリレート化合物を、1種単独で含んでいても、2種以上を含んでいてもよいが、含まないことが好ましい。
本開示に係る硬化性組成物は、得られる硬化物の耐擦傷性及び高温延伸性の観点から、ウレタン(メタ)アクリレート化合物を、含有しないか、又は、その含有量が、硬化性組成物の全質量に対して、2質量%以下であることが好ましく、含有しないか、又は、その含有量が、硬化性組成物の全質量に対して、1質量%以下であることがより好ましく、含有しないことが特に好ましい。
<ゴム成分>
本開示に係る硬化性組成物は、得られる硬化物の耐擦傷性及び高温延伸性の観点から、ゴム成分を含むことが好ましく、硬化性組成物の全質量に対し、ゴム成分を1質量%以上30質量%以下含むことがより好ましく、3質量%以上25質量%以下であることが更に好ましく、4質量%以上10質量%以下であることが特に好ましい。
本開示におけるゴム成分は、ゴム弾性を有する樹脂、すなわち、エラストマーであればよく、いわゆる、狭義のゴムだけでなく、熱可塑性エラストマーであってもよい。
本開示における「ゴム」とは、ガラス転移温度(Tg)が0℃以下である樹脂である。
具体的には、硬化性組成物又は硬化物を下記条件で示差走査熱分析(DSC)測定し、低温側に現れるTg(比熱の不連続変化点)を求める。
硬化性組成物又は硬化物を10mgサンプリングし200℃まで10℃/分で昇温した後、−50℃で−200℃まで冷却、これを10℃/分で昇温しながらDSC測定しTgを求める。
また、本開示において、硬化物がゴム成分を有することは、硬化物の100℃における破断伸度が100%以上であることからも示すことができる。ゴム成分を含まない硬化物であれば、100℃における破断伸度が100%以上となることはない。
硬化物の100℃における破断伸度が100%以上であることを示す方法としては、後述する破断伸度の測定方法により測定してもよいし、下記に示す方法により確認してもよい。
硬化物を、膜厚50μm×長さ50mm×幅10mmの大きさとしたサンプル片を作製し、得られたサンプル片を180度折り曲げる。これにより外周部は100%伸長される。この状態で包埋し、断面を切削し、0.5質量%四酸化ルテニウム水溶液に25℃で15時間浸漬してルテニウム染色し、透過型電子顕微鏡(TEM)により3万倍で撮影する。撮影した像を観察し、外周部の内部に破壊が発生していないものは、破断伸度が100%以上である。
本開示における破断伸度は、以下の方法により測定するものとする。
硬化性組成物を入手できる場合は、硬化性組成物を、疎水化処理された2枚のガラス板間に挟み込み、下記条件にて紫外線(UV)照射、又は、熱硬化するまで加熱し、ガラス板から剥がして膜厚50μmの樹脂硬化膜(単膜)を作製する。
UV照射は、紫外線(UV)照射装置(EXECURE 3000、HOYA CANDEO OPTRONICS(株)製)を用い、UV照射量1.0J/cmの条件にて硬化するまで照射する。
得られた樹脂硬化膜(単膜)を、長さ50mm×幅10mmの大きさに打ち抜いてサンプル片を作製し、TENSILON RTC−1225A((株)エー・アンド・デイ製)を用い、下記の条件にて引張試験を行って下記式で表される破断伸度を測定した。
樹脂硬化膜(単膜)を、長さ50mm×幅10mmの大きさに打ち抜いてサンプル片を作製し、TENSILON RTC−1225A(エー・アンド・デイ社製)を用い、下記の条件にて引張試験を行って下記式で表される破断伸度を測定した。破断伸度を3回測定し、それらの平均値を破断伸度とした。測定結果を表1又は表2に示す。
破断伸度(%)=100×(延伸で破断した長さ−チャック間距離)/(チャック間距離)
−条件−
・チャック間距離:30mm
・サンプル片の温度:100℃
・引張速度:1mm/秒
硬化物から破断伸度を測定する場合は、硬化物を長さ50mm×幅10mmの大きさに加工し、サンプル片を作製して、上記と同様の方法により、100℃における破断伸度を測定する。この測定において、下記の本開示における硬化膜の好ましい厚みの範囲では、厚みの破断伸度への影響はない。
なお、本開示に係る硬化性組成物を膜状に硬化した硬化膜の厚みは、10μm以上100μm以下が好ましく、15μm以上80μm以下がより好ましく、20μm以上60μm以下が更に好ましい。上記範囲であると、取扱い性に優れるとともに、成型加工性に優れる。
上記ゴム成分に用いられるゴムとしては、例えば、スチレンブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエン共重合ゴム(EPDM)、エチレンブテンゴム、エチレンオクテンゴム、ブチルゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、塩素化ポリエチレン等の化学的に合成された合成ゴム、天然ゴム等を挙げることができる。
また、上記ゴム成分に用いられる熱可塑性エラストマーとしては、例えば、ウレタン系熱可塑性エラストマー、エステル系熱可塑性エラストマー、アミド系熱可塑性エラストマー、シリコーン系熱可塑性エラストマー等を挙げることができる。
更に、ゴム成分としては、国際公開第2014/162369号の段落0124〜0285の記載のもの、国際公開第2015/156323号の段落0024〜0068に記載のもの、及び、特許第5401029号公報の段落0016〜0020に記載のものも使用できる。
本開示に係る硬化性組成物は、ゴム成分を1種単独で含んでいても、2種以上含んでいてもよい。
中でも、ゴム成分としては、分散安定性、並びに、得られる硬化物の耐擦傷性及び高温延伸性の観点から、アクリルゴムを含むことが好ましく、アクリルゴムを、ゴム成分の全質量に対し、50質量%以上100質量%以下含むことがより好ましい。
また、本開示に係る硬化性組成物において、ゴム成分は、分散安定性の観点から、粒子形状で含まれることが好ましい。すなわち、本開示に係る硬化性組成物は、ゴム成分として、ゴム粒子を含むことが好ましい。ゴム成分を粒子状で添加すると、ゴム粒子どうしの接触点が生成し連続相を形成すると考えられ、これがネットワークを形成し網目状になり、これがクッション層となって成型加工時の衝撃を和らげ、高温延伸性に優れるものと推定される。
ゴム粒子の算術平均粒径は、分散安定性の観点から、0.05μm以上10μm以下であることが好ましく、0.1μm以上1μm以下であることがより好ましく、0.1μm以上0.8μm以下であることが更に好ましく、0.1μm以上0.5μm以下であることが特に好ましい。
上記ゴム粒子の算術平均粒径は、硬化性組成物からはゴム粒子を分離して、顕微鏡(例えば、走査型電子顕微鏡)を用いて撮影された画像から任意に選択した100個の微粒子の粒径(円相当径)を測定し、それらを算術平均して求めることができる。なお、円相当径とは、観察時の粒子の投影面積と同じ投影面積をもつ真円を想定したときの円の直径である。
また、硬化物から上記ゴム粒子の算術平均粒径を求める方法としては、後述するゴム成分の定量方法における断面観察において、観察されるゴム粒子のうち、粒径の大きい100個のゴム粒子の粒径(円相当径)を測定し、平均をとることにより算出することができる。
本開示に係る硬化性組成物におけるゴム成分の定量は、ゴム成分を分離して、測定する方法で実施できる。
また、硬化物におけるゴム成分の定量は、下記の方法で実施できる。
硬化物、又は、硬化物から採取したサンプルを切削して断面切片を作製し、0.5質量%四酸化ルテニウム水溶液に25℃で15時間浸漬してルテニウム染色し、透過型電子顕微鏡(TEM)により、3万倍で断面切片を観察する。
ゴム成分は、ルテニウム染色により暗く染色されるため、この面積を観測し、観測視野の面積で割りゴム成分の含有率を求める。
任意に選んだ10視野において、上記測定を行い、この平均値をゴム成分の含有率とする。
このような特定量のゴム成分を含む硬化膜(硬化樹脂層)は、基材の上に形成して使用することが好ましく、例えば、基材上に成型せずにフラットな膜を形成すると、ハードコート膜として使用できる。また、本開示に係る硬化性組成物を硬化した本開示に係る硬化物は、伸長性に優れるため、フラット膜を立体成型することも好ましい。
更に、基材上に本開示に係る硬化性組成物を塗布した後、凹凸等の形状を付与することも好ましい。例えば、半円柱状に賦型するとレンチキュラーレンズとして使用でき、三角柱状に賦型するとプリズムシート又は輝度向上膜として使用でき、半球状に多数賦型するとマイクロレンズシートとして使用でき、また、国際公開第2015/102100号の図4Aのようなノコギリ刃状の形状を同心円状に形成するとプリズムシートとして利用できる。
<N−ビニル化合物>
本開示に係る硬化性組成物は、N−ビニル化合物を含有することが好ましい。N−ビニル化合物は、基材との密着性の向上に寄与し、かつ、硬化物の、成型時における高温延伸性をより向上させる。
上記N−ビニル化合物としては、単官能N−ビニル化合物であることが好ましく、また、環構造を有することが好ましい。
中でも、N−ビニル化合物としては、得られる硬化物の耐擦傷性及び高温延伸性の観点から、N−ビニルピロリドン、及び、N−ビニルカプロラクタムよりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物であることが好ましく、N−ビニルピロリドンがより好ましい。
N−ビニル化合物のうち、N−ビニルピロリドンの例としては、N−ビニル−2−ピロリドン等が挙げられる。また、N−ビニルカプロラクタムの例としては、N−ビニル−ε−カプロラクタム等が挙げられる。
本開示に係る硬化性組成物は、N−ビニル化合物を、1種単独で含んでいても、2種以上を含んでいてもよい。
本開示に係る硬化性組成物におけるN−ビニル化合物の含有量としては、得られる硬化物の耐擦傷性及び高温延伸性、並びに、シリンドリカルレンズの形状保持性の観点から、硬化性組成物の全質量に対して、3質量%以上60質量%以下が好ましく、5質量%以上50質量%以下がより好ましく、5質量%以上40質量%以下が更に好ましく、20質量%以上35質量%以下が特に好ましい。
<末端に(メタ)アクリロイル基を有する樹脂>
本開示に係る硬化性組成物は、末端に(メタ)アクリロイル基を有する樹脂を含有することが好ましい。上記樹脂は、分子鎖の末端に(メタ)アクリロイル基を有しているため、イソシアヌル環構造を有する2官能又は3官能(メタ)アクリレート化合物等の多官能重合性化合物と併用することで、硬化性組成物全体における架橋密度を制御し、得られる硬化物の耐擦傷性及び高温延伸性により優れる。
上記樹脂としては、末端に(メタ)アクリロイル基を有するポリマーであればよく、例えば、(メタ)アクリル樹脂、ポリスチレン、ポリスチレン・メタクリレート(MS樹脂)、ポリスチレン・アクリロニトリル(AS樹脂)、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル(PVC)、熱可塑性エラストマー、又は、これらの共重合体、シクロオレフィンポリマー等の、主鎖構造の末端に(メタ)アクリロイル基を少なくとも1つ有するポリマーを挙げることができる。中でも、得られる硬化物の耐擦傷性及び高温延伸性の観点から、末端に(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリル樹脂、又は、末端に(メタ)アクリロイル基を有するポリスチレンが好ましく、末端に(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリル樹脂がより好ましい。
また、末端に(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリル樹脂としては、耐擦傷性の観点から、末端に(メタ)アクリロイル基を有するポリメチルメタクリレートが好ましい。
更に、末端に(メタ)アクリロイル基を有する樹脂は、末端にメタクリロイル基を有することが好ましい。
また、末端に(メタ)アクリロイル基を有する樹脂は、主鎖の末端に(メタ)アクリロイル基を有する樹脂であることが好ましく、主鎖の片末端に(メタ)アクリロイル基を有する樹脂であることがより好ましい。
なお、本開示において、「主鎖」とは樹脂を構成する高分子化合物の分子中で相対的に最も長い結合鎖を表し、「側鎖」とは主鎖から枝分かれしている炭素鎖を表す。
末端に(メタ)アクリロイル基を有する樹脂としては、例えば、東亞合成(株)製のマクロモノマーシリーズ(例:マクロモノマーAA−6(メタクリロイル基を有するポリメチルメタクリレート)、マクロモノマーAS−6又はAS−6S(メタクリロイル基を有するポリスチレン)、マクロモノマーAN−6S(メタクリロイル基を有するポリスチレン・アクリロニトリル)、マクロモノマーAB−6(メタクリロイル基を有するポリブチルメタクリレート)等を用いることができる。
末端に(メタ)アクリロイル基を有する樹脂の数平均分子量としては、得られる硬化物の高温延伸性の観点から、1,000以上10,000以下が好ましく、3,000以上10,000以下がより好ましく、5,000以上10,000以下が更に好ましい。
なお、本開示における樹脂は、数平均分子量1,000以上のものであることが好ましい。
末端に(メタ)アクリロイル基を有する樹脂のガラス転移温度(Tg)としては、得られる硬化物の耐擦傷性の観点から、50℃以上が好ましく、80℃以上がより好ましい。また、得られる硬化物の樹脂基材への密着性及び高温延伸性の観点から、Tgは250℃未満が好ましく、200℃以下がより好ましい。
本開示においては、末端に(メタ)アクリロイル基を有する樹脂等のガラス転移温度(Tg)は、ASTM D3418−8に準拠して、示差走査熱量計により測定するものとする。
本開示に係る硬化性組成物は、末端に(メタ)アクリロイル基を有する樹脂を、1種単独で含んでいても、2種以上を含んでいてもよい。
本開示に係る硬化性組成物における末端に(メタ)アクリロイル基を有する樹脂の含有量としては、得られる硬化物の耐擦傷性及び高温延伸性の観点から、硬化性組成物の全質量に対して、0.5質量%以上50質量%以下が好ましく、5質量%以上45質量%以下がより好ましく、15質量%以上35質量%以下が特に好ましい。
また、本開示に係る硬化性組成物は、上述した以外の他のエチレン性不飽和化合物を含んでいてもよい。
他のエチレン性不飽和化合物としては、公知の重合性化合物、特に公知のエチレン性不飽和化合物を用いることができる。
本開示に係る硬化性組成物は、他のエチレン性不飽和化合物を、1種単独で含んでいても、2種以上を含んでいてもよい。
本開示に係る硬化性組成物は、得られる硬化物の高温延伸性の観点から、他のエチレン性不飽和化合物を、含有しないか、又は、その含有量が、硬化性組成物の全質量に対して、20質量%以下であることが好ましく、含有しないか、又は、その含有量が、硬化性組成物の全質量に対して、10質量%以下であることがより好ましく、含有しないか、又は、その含有量が、硬化性組成物の全質量に対して、5質量%以下であることが更に好ましく、含有しないか、又は、その含有量が、硬化性組成物の全質量に対して、1質量%以下であることが特に好ましい。
<重合開始剤>
本開示に係る硬化性組成物は、硬化性の観点から、重合開始剤を含むことが好ましい。
重合開始剤としては、公知の光重合開始剤、及び、公知の熱重合開始剤を用いることができる。
中でも、得られる硬化物の耐擦傷性及び高温延伸性の観点から、光重合開始剤が好ましく、光ラジカル重合開始剤がより好ましい。
光ラジカル重合開始剤としては、構造上の制限は特になく、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)ベンジル]フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン等を挙げることができる。
光ラジカル重合開始剤は、上市されている市販品を用いてもよく、市販品の具体例として、BASF社製のイルガキュアシリーズ(例:IRGACURE TPO、IRGACURE 819、IRGACURE 651、IRGACURE 184、IRGACURE 1173、IRGACURE 2959、IRGACURE 127、IRGACURE 907等)が挙げられる。
熱重合開始剤としては、公知のアゾ系化合物、公知の過酸化物系化合物等が挙げられる。上記アゾ系化合物としては、アゾビス系化合物を挙げることができる。また、上記過酸化物系化合物としては、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネート等を挙げることができる。
本開示に係る硬化性組成物は、重合開始剤を、1種単独で含んでいても、2種以上を含んでいてもよい。
本開示に係る硬化性組成物における重合開始剤の含有量としては、得られる硬化物の耐擦傷性及び高温延伸性の観点から、硬化性組成物の全質量に対して、0.05質量%以上10質量%以下が好ましく、0.1質量%以上10質量%以下がより好ましく、0.1質量%以上5質量%以下が更に好ましく、0.5質量%以上3質量%以下が特に好ましい。
−他の成分−
本開示に係る硬化性組成物は、上記の成分以外に、必要に応じて、有機溶剤、無機粒子等の他の成分が含まれていてもよい。
有機溶剤としては、トルエン、メチルエチルケトン等が挙げられる。本開示に係る硬化性組成物は、上記の(メタ)アクリル化合物等の重合性化合物を含有するため、重合性化合物が溶剤としての機能を兼ね、別途有機溶剤を含有していなくてもよい。
無機粒子としては、二酸化珪素(シリカ)等のいわゆるフィラーと称される粒子が挙げられる。無機粒子の例として、上市されている市販品として日産化学工業(株)製のオルガノシリカゾルMEK−STシリーズ(例:MEK−ST−40、MEK−ST−L等)が挙げられる。
本開示に係る硬化性組成物は、活性エネルギー線により硬化可能な組成物であることが好ましい。「活性エネルギー線」とは、その照射により硬化性組成物中に重合開始種を発生させるエネルギーを付与できる放射線であり、α線、γ線、X線、紫外線、可視光線、電子線などを包含する。中でも、硬化感度及び装置の入手容易性の観点から、紫外線及び電子線が好ましく、紫外線がより好ましい。
また、本開示に係る硬化性組成物は、水及び揮発性溶剤をできるだけ含有しないことが好ましく、含有していたとしても、硬化性組成物の全質量に対し、5質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以下であることが更に好ましい。
また、本開示における硬化性組成物は、得られる硬化物のガラス転移温度(Tg)が、得られる硬化物の耐擦傷性及び高温延伸性の観点から、90℃を超えることが好ましく、95℃以上200℃以下であることがより好ましく、100℃以上180℃以下であることが更に好ましい。
(硬化物、及び、光学部材)
本開示に係る硬化物は、本開示に係る硬化性組成物を硬化してなる硬化物(本開示に係る硬化性組成物の硬化物)である。
本開示に係る硬化物は、光学部材として好適に用いることができ、凸状レンズとしてシリンドリカルレンズ、プリズム、半球状のマイクロレンズ、フレネルレンズなどがより好適に用いることができ、複数の凸状レンズ(シリンドリカルレンズ)が並列したレンチキュラーレンズとして特に好適に用いることができる。
また、本開示に係る光学部材は、本開示に係る硬化物を有するものである。
本開示に係る硬化物の製造方法は、特に制限はなく、本開示に係る硬化性組成物を準備する工程、及び、上記硬化性組成物を硬化する工程を含む製造方法であることが好ましい。また、例えば、本開示に係る硬化性組成物の硬化は、光硬化(活性エネルギー線の照射による硬化)であっても、熱硬化であってもよいが、光硬化であることが好ましい。
(積層シート、及び、レンチキュラーシート)
本開示に係る積層シートは、本開示に係る硬化性組成物の硬化物を有する積層シートであればよく、具体的には、基材及び基材上に本開示に係る硬化性組成物の硬化物を少なくとも有するものであることが好ましい。
また、本開示に係る積層シートは、本開示に係る硬化物を有する積層シートである。
中でも、本開示に係る積層シートは、樹脂基材と、上記樹脂基材の少なくとも一方の面に設けられた本開示に係る硬化性組成物の硬化物とを有することが好ましい。
本開示に係る積層シートが有する本開示に係る硬化性組成物の硬化物の形状は、特に制限はなく、所望の形状であればよく、膜状であっても、後述するシリンドリカルレンズのような半円柱状のものが並んだ形状であっても、マイクロレンズのように半球状のものが並んだ形状であってもよい。
本開示に係る積層シートは、ハードコート膜を有する積層シート、立体成型用積層シート、輝度向上膜を有する積層シート、レンチキュラーシート、プリズムシート、マイクロレンズシート、フレネルレンズシート、フライアイレンズ等として好適に用いることができる。
本開示に係るレンチキュラーシートは、本開示に係る硬化性組成物を硬化してなる硬化物を有する。
本開示に係るレンチキュラーシートにおける上記硬化物は、レンチキュラーレンズであることが好ましい。
また、本開示に係るレンチキュラーシートは、樹脂基材と、樹脂基材の少なくとも一方面に配置されたシリンドリカルレンズと、を有することが好ましく、上記樹脂基材のシリンドリカルレンズを有する側の反対側に記録層を有することがより好ましい。また、記録層に例えばインクジェット法等の公知の記録方法により画像(以下、加飾画像ともいう。)を付与することができる態様が好ましい。
本開示に係るレンチキュラーシートは、例えば図1に示すように、記録層を付設してレンチキュラー画像が付される構成のレンチキュラー加飾シートであってもよい。レンチキュラー加飾シートは、レンチキュラー表示に適した画像上に、半円筒形の表面を有する凸状のシリンドリカルレンズが並列したレンチキュラーレンズを有することにより、見る角度によって異なる画像を表示する表示媒体(レンチキュラー表示体)である。図1は、レンチキュラー加飾シート(レンチキュラーシート)の一例を示す概略図である。
図1に示すレンチキュラー加飾シート10は、半円筒形状の表面を有する複数の凸状レンズ(シリンドリカルレンズ)12Aが並列したレンチキュラーレンズ12と、レンチキュラーレンズ12の凸状レンズ12Aの半円筒形状の表面とは反対側(裏面側ともいう。)に配置されたレンチキュラー画像14と、を有している。
なお、x方向は、レンズの幅方向を示し、y方向は、レンズの長手方向を示している。
本開示に係るレンチキュラーシートは、半円筒形状の表面を有する複数の凸状レンズ(シリンドリカルレンズ)が並列したレンチキュラーレンズ層を有していることが好ましい。シリンドリカルレンズ1本当たりの幅は、特に限定されず、目的によってレンズのピッチ幅を選択すればよい。シリンドリカルレンズ1本当たりの幅は、通常、1インチ(2.54cm)当たりのレンズ数を表すLPI(Line Per Inch)で表されることが多い。例えば100LPIは、1インチ当たり100本(100列)のシリンドリカルレンズが並列することを示しており、レンズのピッチは254μmである。1インチ当たりの線数(レンズの配列数)は、値が大きいほどレンズのピッチは小さくなり、精細度が向上する。
精細度の低いレンチキュラーシート(例えば60LPIなど)は、観察位置が比較的遠い図柄を表示するポスターなどに使うには適している。名刺など小さい文字情報を読ませることを目的とする場合は、レンチキュラーレンズ層を構成するレンズが、2.54cm(1インチ)当たり100列以上並列していることが好ましい。一方、レンチキュラー画像の解像度の観点から、レンチキュラーレンズ層を構成する凸状レンズの配列数は、2.54cm当たり200列(200LPI)以下であることがより好ましい。
従来、レンチキュラー材料は、シート又はフィルム等の形態で用いられることが多く、立体形状にして用いる試みは少ない。ところが、従来のレンチキュラーシートは、例えばレンズ部分に用いられる樹脂成分は熱可塑性樹脂であることが一般的であり、立体形状に成型する場合の熱で変形しやすく、形状を維持し得る耐熱性が不足しやすい。一方、樹脂成分として熱硬化性樹脂を用いる技術も提案されているが、熱硬化性樹脂は一般に、架橋構造を有するために変形させる場合の延伸性が乏しい傾向にある。そのため、立体成型時において高温に曝された場合の熱変形こそ生じにくいが、立体成型時に延ばされた際に亀裂(クラック)等を招来しやすい懸念がある。
本開示に係るレンチキュラーシートは、本開示に係る硬化性組成物を硬化してなるレンチキュラーレンズを有することにより、高温延伸性に優れ、立体成型性に優れる。
<樹脂基材>
本開示に用いられる樹脂基材は、支持材としての基材であり、任意の樹脂を目的等に応じて選択することができる。樹脂基材は、シート状又はフィルム状の基材を好適に用いることができる。
樹脂基材の例としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂等のシート又はフィルムが挙げられる。
樹脂基材の厚みは、特に制限はなく、50μm以上300μm以下の範囲が好ましく、高温で均一に成型(賦形)する観点から、50μm以上200μm以下の範囲がより好ましい。上記範囲であると、樹脂基材が破れにくく、成型加工時における取扱い中(例えば、運搬中)に割れが発生しにくく、3次元成型時にも割れにくい。
樹脂基材は、上市されている市販品を用いてもよく、例えば、三菱レイヨン(株)製のアクリル樹脂フィルム(アクリプレンHBS010P、厚み:125μm)、東レ(株)製のポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム(ルミラーS10、厚み:100μm)、帝人化成(株)製のポリカーボネート樹脂フィルム(ユーピロンH−3000、厚み125μm)等を用いることができる。
<記録層>
本開示に係るレンチキュラーシートにおいて、樹脂基材のシリンドリカルレンズを有する側の反対側には、レンチキュラー表示される画像(レンチキュラー画像)を記録するための記録層を有していてもよい。
樹脂基材の記録層が設けられる面は、樹脂基材と記録層との接着力を高める観点から、表面処理(例えばコロナ放電処理等)が施されてもよい。記録層は、例えば、記録層を形成するための調製液を樹脂基材に付与することにより設けられてもよい。
調製液の付与は、例えば、塗布により行うことができる。
調製液は、記録層を形成するための固形成分と溶媒とを含むことが好ましい。記録層は、樹脂を含むことが好ましく、樹脂の少なくとも一部は架橋剤で架橋されていることが好ましい。したがって、調製液に含まれる固形成分として樹脂及び架橋剤を含む態様が好ましい。
樹脂としては、ポリエステル、アクリル樹脂及びウレタン樹脂よりなる群から選択された少なくとも1種の樹脂であることが好ましく、特にオフセット印刷により視差画像を形成する場合に有利である。
図1では、レンチキュラー画像14は、2つの表示用画像をそれぞれ別々に表示するための表示用画像列14A,14Bと、隣接する表示用画像列14A,14Bの間に挿入された補間画像列14Cと、を含む画像列群から構成されている。
具体的には、各表示用画像からストライプ状に抽出された表示用画像列14A,14Bが対応する位置の凸状レンズ12Aごとに隣接して配列されており、隣接する表示用画像列14A,14Bの間に、隣接する表示用画像列14A,14Bの色が互いに異なる位置において、隣接する表示用画像列14A,14Bの一方の色と他方の色との間にある色(補間色)を有する補間画像列14cが挿入されている。
(3次元構造物)
本開示に係る3次元構造物は、本開示に係る積層シートの(好ましくは、熱成型又は真空成型などの手法により立体成型した)立体成型物である。
また、本開示に係る3次元構造物は、本開示に係るレンチキュラーシートの立体成型物であることが好ましい。
本開示に係る3次元構造物は、本開示に係る積層シートを用いて製造されたものであれば、立体成型方法に特に制限されるものではない。
本開示に係るレンチキュラーシートを用いる3次元構造物の製造方法としては、例えば、本開示に係る硬化性組成物を成型し、活性エネルギー線を照射して硬化させ、樹脂基材上にシリンドリカルレンズを有するレンチキュラーシートを作製する工程(以下、「レンチキュラーシート作製工程」ともいう。)と、作製されたレンチキュラーシートを立体成型(好ましくは真空成型或いは加圧成型)することでレンチキュラーの立体成型体を得る工程(以下、「立体成型工程」ともいう。)とを含む方法が好ましく挙げられる。
比較的高い温度に曝される成型に際して、立体成型性に優れる本開示に係るレンチキュラーシートが用いられるので、成型の際の熱で溶融して形状変形を生じにくく、かつ、成型時に延ばされた際に生じやすい亀裂(クラック)等の発生も抑えられる。
−レンチキュラーシート作製工程−
上記レンチキュラーシート作製工程では、本開示に係る硬化性組成物を成型し、活性エネルギー線を照射して硬化させ、樹脂基材上にシリンドリカルレンズを有するレンチキュラーシートを作製する。
本開示に係る硬化性組成物の詳細については、既述の通りであり、好ましい態様も同様である。
また、本開示に係る硬化性組成物は、光ラジカル重合開始剤を含有することが好ましい。活性エネルギー線が照射されることでラジカルが発生し、重合性化合物の重合反応が進行することによって硬化する。これにより、本開示に係る硬化性組成物の硬化物であるシリンドリカルレンズが形成される。
シリンドリカルレンズの成型に当たり、硬化性組成物を硬化させる前にあらかじめ樹脂基材を硬化性組成物と接触させた後、硬化性組成物の硬化を行うようにしてもよい。樹脂基材と硬化性組成物とを接触させた状態で硬化させることで、硬化収縮による密着性の向上がより期待でき、組成に由来する密着効果に加え、樹脂基材に対する密着性の向上がより効果的に図られる。
シリンドリカルレンズの樹脂基材に対する密着の観点から、樹脂基材に接触された硬化性組成物を硬化させることで、密着性により優れたシリンドリカルレンズを有するレンチキュラーシートが得られる。
本工程では、硬化前にまず、硬化性組成物を、目的とするシリンドリカルレンズの形状に成型する。成型は、目的とする形状が得られる方法であれば特に制限されないが、成型効率及び成型精度の観点から、金型又は木型等の型を用いた成型が好ましい。
具体的には、例えば、所望とするレンズ形状に加工された金型を用意し、金型に硬化性組成物を流し込み、必要に応じて乾燥させた後、硬化性組成物を硬化させてもよい。これにより、目的とする形状に成型された成型物が安定的に得られる。
活性エネルギー線を発生させるための光源としては、水銀ランプ、メタルハライドランプ、UV蛍光灯、ガスレーザー、固体レーザー等が広く知られている。また、光源として半導体紫外発光デバイスを適用してもよく、小型、高寿命、高効率、及び低コストの点で、LED(Light Emitting Diode)及びLD(Laser Diode)も好適である。
光源としては、メタルハライドランプ、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、水銀キセノンランプ、LED又は青紫レーザーが好ましい。中でも、波長365nm、405nm若しくは436nmの光照射が可能な超高圧水銀ランプ、波長365nm、405nm若しくは436nmの光照射が可能な高圧水銀ランプ、波長365nm、405nm若しくは436nmの光照射が可能な水銀キセノンランプ、又は、波長355nm、365nm、385nm、395nm若しくは405nmの光照射が可能なLEDがより好ましく、波長355nm、365nm、385nm、395nm又は405nmの光照射が可能なLEDが特に好ましい。
活性エネルギー線の照射量は、レンチキュラーレンズ用硬化性組成物の組成及び使用量により適宜選択すればよく、0.3J/cm以上5J/cm以下とすることが好ましい。
活性エネルギー線の照射には、上記の活性エネルギー線を照射可能な光源を備えた公知の装置を選択して行うことができる。例えば、HOYA CANDEO OPTRONICS(株)製のEXECURE 3000等の紫外線(UV)照射装置を用いてもよい。
−立体成型工程−
上記立体成型工程では、レンチキュラーシート作製工程で作製されたレンチキュラーシートを立体成型する。本工程では、レンチキュラーシートを成型できればよく、金型等の型を用いた成型加工に供されてもよい。
立体成型は、熱成型又は真空成型などが好適に挙げられる。
真空成型する方法としては、特に制限されるものではないが、立体成型を、真空下の加熱した状態で行う方法が好ましい。
真空とは、室内を真空引きし、100Pa以下の真空度とした状態を指す。
立体成型する際の温度は、60℃以上の温度域が好ましく、80℃以上の温度域がより好ましく、100℃以上の温度域が更に好ましい。立体成型する際の温度の上限は、200℃が好ましい。
立体成型する際の温度とは、立体成型に供されるレンチキュラーシートの温度を指し、レンチキュラーシートの表面に熱電対を付すことで測定される。
上記の真空成型は、成型分野で広く知られている真空成型技術を利用して行うことができ、例えば、日本製図器工業(株)製のFormech508FSを用いて真空成型してもよい。
以下、本発明の実施形態を実施例により更に具体的に説明するが、本開示はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
以下に実施例及び比較例で使用した化合物を示す。
<中心骨格が3回対称軸を有する2官能又は3官能(メタ)アクリレート化合物>
・M−315(東亞合成(株)製:イソシアヌル酸EO変性トリアクリレート(イソシアヌル環構造を有する3官能アクリレート化合物)
・M−215(東亞合成(株)製:イソシアヌル酸EO変性ジアクリレート(イソシアヌル環構造を有する2官能アクリレート化合物)
・TP−A(合成物、下記化合物)
TP−Aは以下の手順で合成した。
1.ブロモアクリレートの合成
6−ブロモ−1−ヘキサノール7.2g、及び、酢酸エチルの溶液20mlの溶液を内温5℃以下に冷却したのち、トリエチルアミン2.8mlを添加した。その後、塩化アクリロイル4.0g(3.6ml)及び酢酸エチル5mlの溶液を、内温0〜8℃にて滴下したのち、内温を25℃まで上げ、4時間撹拌した。
水40ml、及び、濃塩酸4mlを加え、洗浄した。有機層を飽和食塩水50mlで洗浄、分液し、続いて、飽和食塩水50ml、7.5質量%重曹水5mlで洗浄、分液した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、60分間撹拌した。硫酸マグネシウム濾別した後、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)を125g添加し、酢酸エチル溶媒を減圧留去することで、化合物ブロモアクリレートのDMAc溶液を得た。
2.TP−Aの合成
ブロモアクリレートのDMAc溶液129gに2,3,6,7,10,11−ヘキサヒドロキシトリフェニレン0.92g及び炭酸カリウム2.9gを添加し、窒素雰囲気下で内温を100℃まで上げ、48時間撹拌した。酢酸エチル100mlで洗浄、分液した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、60分間撹拌した。硫酸マグネシウム濾別した後、酢酸エチル溶媒を減圧留去しTP−Aを得た。H−NMRでトリフェニレン骨格とアクリロキシ基とのモル当量が1:3であることを確認した。
上記式中、6つのRのうち、平均3つがヒドロキシ基を表し、平均3つが6−アクリロキシヘキシル基を表す。
<他の多官能(メタ)アクリレート化合物>
・M−211B(東亞合成(株)製:EO変性ビスフェノールAのジアクリレート体)
・A−TMPT(新中村化学工業(株)製:トリメチロールプロパントリアクリレート)
・kayaradDPHA(日本化薬(株)製:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)
・A−DCP(新中村化学工業(株)製:トリシクロデカンジメタノールジアクリレート)
・エポキシエステル3000A(共栄社化学(株)製:ビスフェノールAジグリシジルエーテルのアクリル酸付加物)
<単官能(メタ)アクリレート化合物>
・FA−513AS(日立化成工業(株)製ファンクリルFA−513AS、ジシクロペンタニルアクリレート、ホモポリマーのTg=120℃)
・IB−XA(共栄社化学(株)製ライトアクリレートIB−XA、イソボルニルアクリレート、ホモポリマーのTg=94℃)
・TB(共栄社化学(株)製ライトエステルTB、t−ブチルメタクリレート、ホモポリマーのTg=107℃)
・NB(共栄社化学(株)製ライトエステルNB、n−ブチルメタクリレート、ホモポリマーのTg=20℃)
・HEA(大阪有機化学工業(株)製、ヒドロキシエチルアクリレート、ホモポリマーのTg=−15℃)
・PO−A(共栄社化学(株)製ライトアクリレートPO−A、フェノキシエチルアクリレート、ホモポリマーのTg=−22℃)
<ウレタン(メタ)アクリレート化合物>
・KUA−4I(ケーエスエム(株)製:4官能ウレタン(メタ)アクリレート(シクロヘキシル環を有する4官能ウレタンアクリレート)
・8UX−015A(大成ファインケミカル(株)製ウレタン(メタ)アクリレート)
<N−ビニル化合物>
・NVP(和光純薬工業(株)製:N−ビニル−2−ピロリドン)
・NVC(東京化成工業(株)製:N−ビニル−ε−カプロラクタム)
<他の単官能エチレン性不飽和化合物>
・ACMO(KJケミカルズ(株)製:アクリロイルモルホリン)
<ゴム成分>
・ゴムA(アクリルゴム、カネカ(株)製カネエースM−210、Tg=−20℃、破断伸度>100%)
・ゴムB(下記作製方法により作製したゴム状重合体、Tg=−30℃、破断伸度>100%)
−ゴムBの作製−
ガラス製反応容器に、イオン交換水1,700部、炭酸ナトリウム0.7部、過硫酸ナトリウム0.3部を仕込み、窒素気流下で撹拌後、ペレックスOT−P((株)花王製)4.46部、イオン交換水150部、メチルメタクリレート150部、アリルメタクリレート0.3部を仕込んだ後、75℃に昇温し150分間撹拌を続けた。
続いて、ブチルアクリレート689部、スチレン162部及びアリルメタクリレート17部の混合物と、過硫酸ナトリウム0.85部、ペレックスOT−P7.4部及びイオン交換水50部の混合物とをそれぞれ別の入口から90分間にわたり添加し、更に90分間重合を続けた。
重合を完了後、更にメチルアクリレート326部及びエチルアクリレート14部の混合物と、過硫酸ナトリウム0.34部を溶解させたイオン交換水30部とをそれぞれ別々の口から30分間にわたって添加した。
添加終了後、更に60分間保持し重合を完了した。得られたラテックスを0.5質量%塩化アルミニウム水溶液に投入して重合体を凝集させた。これを温水にて5回洗浄後、乾燥してアクリル系多層弾性体(ゴムB)を得た。
<末端に(メタ)アクリロイル基を有する樹脂>
・AA−6(東亞合成(株)製:末端にメタクリロイル基を有するメタクリル樹脂(ポリメチルメタクリレート)、Mn=6,000)
・AS−6(東亞合成(株)製:末端にメタクリロイル基を有するポリスチレン、Mn=6,000)
・AN−6S(東亞合成(株)製:末端にメタクリロイル基を有するスチレン−アクリロニトリル共重合体、Mn=6,000)
<樹脂>
・ポリスチレン(アルドリッチ社製、Mw=35,000)
<光重合開始剤>
・イルガキュア184(BASF社製:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)
・イルガキュアTPO(BASF社製:2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド)
<他の成分>
・シリカ(MEK−ST)(日産化学工業(株)製シリカ粒子、平均粒径10nm〜15nm)
・トルエン(有機溶剤、東京化成工業(株)製)
・メチルエチルケトン(有機溶剤、東京化成工業(株)製)
(実施例1〜12、及び、比較例1〜7)
1.硬化性組成物の調製
表1〜表3に示す各成分を混合し、各硬化性組成物をそれぞれ調製した。
2.レンチキュラーシートの作製(耐擦傷性評価用)
基材であるアクリル樹脂フィルム(アクリプレンHBS010P、フィルム厚125μm、三菱レイヨン(株)製)上に上記光硬化性樹脂を下記レンズ高さになるように塗布した後、図1に示すように半円筒形状の表面を有する複数本の凸レンズ部12Aを持つシリンドリカルレンズ12が並列したレンチキュラーレンズの形状〔高さ60μm、長手方向yの長さ80mm、1本のレンズ幅(レンズのピッチ)200LPI(Line Per Inch)〕に加工された金型(幅100mm×奥行100mm)を押し付け、上記光硬化性樹脂を成型しながら、アクリル樹脂フィルムを通して紫外線(UV)を、UV照射装置(EXECURE 3000、HOYA CANDEO OPTRONICS(株)製)を用いて、UV照射量1.0J/cmにて照射した。照射後、脱型して、レンチキュラーシートを作製した。
なお、レンチキュラーレンズ(シリンドリカルレンズ)の高さの測定は、以下の方法により行った。
レンチキュラーシートのシリンドリカルレンズを図1のxy平面と垂直方向に裁断し、光学顕微鏡で高さを測定する。ランダムに10個のシリンドリカルレンズ測定し、平均を高さとした。
レンチキュラーレンズ(シリンドリカルレンズ)を形成する金型における高さ60μmにおいて、レンチキュラーレンズの高さの好ましい範囲は60μm±5μmである。上記範囲であると、チェンジング等のレンチキュラーレンズの効果がより鮮明に生じる。
3.硬化物の作製
3−1.硬化物積層シートの作製(耐擦傷性評価用)
硬化性組成物をアクリル樹脂フィルム(アクリプレンHBS010P、フィルム厚125μm、三菱レイヨン(株)製)と疎水化処理したガラス板とで挟み込み、上記UV照射装置を用い、上記アクリル樹脂フィルム越しに1.0J/cm照射し、表裏を返して再度UV照射量1.0J/cmにてUV照射し、硬化物の積層シートを作製した。上記積層シートにおける硬化物(硬化膜)の膜厚は60μmとした。
3−2.硬化物の単膜の作製(高温延伸性評価用)
硬化性組成物を疎水化処理したガラス板で挟み込み、上記UV照射装置を用い、上記アクリル樹脂フィルム越しに1.0J/cm、表裏を返して上記アクリル樹脂フィルム無しで再度UV照射量1.0J/cmにてUV照射し、硬化物の単膜を作製した。上記単膜の膜厚は50μmとした。
4.評価方法
<耐擦傷性>
スチールウール#0000を用いて、200gの荷重で上記レンチキュラーシートの表面を10往復し、キズの付き具合で評価した。擦る方向は、レンチキュラーシート又は積層シートに対し、x方向、及び、y平行方向の両方でそれぞれ行った。評価基準を以下に示す。なお、x方向のほうが、より厳しい評価となる。
A:傷が確認できない
B:傷は確認できるがシートの後ろの景色が透けて見える
C:傷が激しく、白化してしまい後ろの景色が見えない
<高温延伸性>
作製した硬化物の単膜を、長さ50mm×幅10mmで打ち抜いて、サンプルとし、引張試験を行い、破断伸度を測定した。下記式で表される破断伸度を測定した。破断伸度を3回測定し、それらの平均値を破断伸度とした。
破断伸度(%)=100×(延伸で破断した長さ−チャック間距離)/(チャック間距離)
装置はTENSILON RTC−1225A((株)エー・アンド・デイ製)、測定条件:チャック間距離30mm、温度は100℃と120℃とを各々行い、引張速度1mm/secとした。評価基準を以下に示す。
AAA:破断伸度が50%以上のもの
AA:破断伸度が25%以上50%未満のもの
A:破断伸度が20%以上25%未満のもの
B:破断伸度が15%以上20%未満のもの
C:破断伸度が15%未満のもの
なお、B以上が実用上問題のない範囲である。
表1〜表3の結果から明らかなように、比較例1〜比較例7の硬化性組成物と比較し、本開示に係る硬化性組成物を用いた場合、得られる硬化物の耐擦傷性及び高温延伸性に優れていることが分かる。
また、実施例1、実施例3及び実施例5を比較すると、ウレタン(メタ)アクリレート化合物を含有しないほうが、耐擦傷性により優れる。
実施例3及び実施例7を比較すると、イソシアヌル環構造を有する3官能(メタ)アクリレート化合物を含む場合、耐擦傷性により優れる。
実施例3、実施例8及び実施例9を比較すると、脂環構造を有する単官能(メタ)アクリレート化合物を用いると、耐擦傷性及び高温延伸性により優れる。
実施例3、実施例10及び実施例11を比較すると、中心骨格が3回対称軸を有する2官能又は3官能(メタ)アクリレート化合物の含有量が、硬化性組成物の全質量に対し、15質量%以上60質量%以下である場合、耐擦傷性及び高温延伸性により優れる。
実施例3及び実施例12を比較すると、末端に(メタ)アクリロイル基を有する樹脂を更に含むことにより、耐擦傷性及び高温延伸性により優れる。
実施例1、実施例14及び実施例15を比較すると、ゴム成分を更に含むことにより、高温延伸性により優れる。
(実施例17)
10mmの直径を有する半球形状を有する型を用いて、使用した硬化性組成物の硬化物の100℃において、実施例3で得られたレンチキュラーシートを上記半球形状に真空成型した。得られた成型体(3次元構造物)には、割れが生じておらず、実施例3で得られたレンチキュラーシートは、立体成型性に優れるものであった。
2016年10月13日に出願された日本国特許出願第2016−201892号、及び、2017年2月13日に出願された日本国特許出願第2017−024373号の開示は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、及び、技術規格は、個々の文献、特許出願、及び、技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
10・・・レンチキュラー加飾シート(レンチキュラーシート)
12・・・レンチキュラーレンズ
12A・・・凸状レンズ
14・・・レンチキュラー画像
14A,14B・・・表示用画像列
14C・・・補間画像列
x・・・レンズの幅方向
y・・・レンズの長手方向

Claims (19)

  1. 中心骨格が3回対称軸を有する2官能又は3官能(メタ)アクリレート化合物、及び、
    ホモポリマーのガラス転移温度が0℃以上である単官能(メタ)アクリレート化合物を含有し、
    ウレタン(メタ)アクリレート化合物を含有しないか、又は、ウレタン(メタ)アクリレート化合物の含有量が、硬化性組成物の全質量に対し、0質量%を超え4質量%未満である
    硬化性組成物。
  2. 前記中心骨格が3回対称軸を有する2官能又は3官能(メタ)アクリレート化合物が、イソシアヌル環構造を有する2官能又は3官能(メタ)アクリレート化合物である請求項1に記載の硬化性組成物。
  3. 前記中心骨格が3回対称軸を有する2官能又は3官能(メタ)アクリレート化合物が、イソシアヌル環構造を有する3官能(メタ)アクリレート化合物である請求項1又は請求項2に記載の硬化性組成物。
  4. 前記中心骨格が3回対称軸を有する2官能又は3官能(メタ)アクリレート化合物の含有量が、硬化性組成物の全質量に対し、10質量%以上60質量%以下である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  5. 前記単官能(メタ)アクリレート化合物のホモポリマーのガラス転移温度が、60℃以上である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  6. 前記単官能(メタ)アクリレート化合物が、脂環構造を有する請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  7. ゴム成分を、硬化性組成物の全質量に対し、1質量%以上30質量%以下更に含む請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  8. 末端に(メタ)アクリロイル基を有する樹脂を更に含む請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  9. 前記末端に(メタ)アクリロイル基を有する樹脂の含有量が、硬化性組成物の全質量に対し、5質量%以上45質量%以下である請求項8に記載の硬化性組成物。
  10. N−ビニル化合物を更に含む請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  11. 前記N−ビニル化合物が、N−ビニルピロリドン、及び、N−ビニルカプロラクタムよりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物である請求項10に記載の硬化性組成物。
  12. 前記N−ビニル化合物の含有量が、硬化性組成物の全質量に対し、5質量%以上40質量%以下である請求項10又は請求項11に記載の硬化性組成物。
  13. 光重合開始剤を更に含む請求項1〜請求項12のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  14. 請求項1〜請求項13のいずれか1項に記載の硬化性組成物を硬化してなる硬化物。
  15. 請求項1〜請求項13のいずれか1項に記載の硬化性組成物を準備する工程、及び、
    前記硬化性組成物を硬化する工程を含む
    硬化物の製造方法。
  16. 請求項1〜請求項13のいずれか1項に記載の硬化性組成物の硬化物を有する積層シート。
  17. 請求項1〜請求項13のいずれか1項に記載の硬化性組成物の硬化物を有する光学部材。
  18. 請求項1〜請求項13のいずれか1項に記載の硬化性組成物の硬化物を有するレンチキュラーシート。
  19. 請求項18に記載のレンチキュラーシートの立体成型物である3次元構造物。
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