JPWO2018070228A1 - レンチキュラーシート - Google Patents

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那緒子 吉田
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Abstract

このレンチキュラーシートは、樹脂基材と、樹脂基材の少なくとも一方面に配置されたシリンドリカルレンズと、を有し、シリンドリカルレンズは、樹脂基材の側に配置されるオフセット部と、オフセット部に設けられるレンズ部と、を有し、100℃での破断応力が4.0MPa以上24.0MPa以下である。このレンチキュラーシートは、成形性を付与したレンチキュラーシートであって、製造・印刷時に発生する割れに対処可能なレンチキュラーシートである。

Description

本発明は、レンチキュラーシートに関する。
見る角度によって異なる画像を表示する媒体として、半円筒形の表面を有する凸状レンズが並列したレンチキュラーレンズを用いたレンチキュラーシートが知られている。
レンチキュラーシートは、一般に、レンチキュラーレンズの裏面側(凸状レンズの半円筒形の表面と反対側の面)に、インターレースされた複数の画像を組合せた画像列群(レンチキュラー画像)が配置され、レンチキュラーレンズを通して画像列群を観察した場合に、観察する角度によって画像列群のうちの1種又は2種以上の画像を表示することができる。
そのため、光学材料及び光学スクリーン等をはじめ、様々な商業用途での利用が期待されている。ところが、従来から提案されている用途は、例えば玩具などでも、レンチキュラーシートが使われているが、ポストカードやノート表紙、クリアファイル等のシート又はフィルム等の2次元形態での利用が主流であり、立体形状に成形された3次元形態への適用は多くない。
しかしながら、レンチキュラーシートは、立体視(3D:3次元視)効果、又はチェンジング効果を持ち、加飾性が高いため、平面物だけでなく立体物にもレンチキュラーレンズの効果を持たせたいという要望がある。
3次元形態への適用が試みられた技術としては、例えば玩具等に用いる3次元レンチキュラー及び3次元レンチキュラーを備えた玩具体に係る発明が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に開示の3次元レンチキュラー及び玩具体は、それぞれ、シート状に形成したレンチキュラーレンズの裏面に、それぞれ等間隔に分割した異なる絵柄をレンチキュラーレンズに対応させて交互に印刷した印刷層を形成した後、絵柄が印刷されたレンチキュラーレンズを真空成形で3次元状に成形したもの、及び玩具体の一部の形状と同一形状に成形して玩具体の一部の表面に貼り付けたものである。この3次元レンチキュラー及び玩具体は、レンチキュラーレンズの裏面に直接絵柄を印刷したので3次元状に成形ができるとともに、平面的ではない絵柄の変化を楽しむことができ、玩具体の一部の見え方を変えることができ、従来にない視覚上の変化を楽しむことができ、レンチキュラーレンズの利用範囲が広がり、新たなレンチキュラーレンズの展開を図ることができるというものである。
また、立体効果を持つ印刷加飾フィルム、及び印刷加飾製品に係る発明(特許文献2参照)、立体感や加飾効果に優れるレンズ付き印刷物に係る発明(特許文献3参照)、並びに光学的な視覚効果を有する装飾材及びこれを用い、斬新な電飾効果を有する電飾装置に係る発明(特許文献4参照)も提案されている。
特許文献2に記載の印刷加飾フィルムは、片面、又は両面にレンチキュラーレンズ等のレンズからなる凹凸構造層と印刷層とを備える透明シートを含み、透明シートが熱可塑性プラスチックシートで、且つ凹凸構造材料の熱変形温度が透明シートの熱変形温度より50℃以上高いものであり、印刷加飾フィルムをマッチダイに入れてプラスチック材料を射出して成形して印刷加飾プラスチック製品を形成するものである。このような印刷加飾フィルム、及び印刷加飾製品は、印刷パターンに視覚的な立体感を発生させ、同時にレンズの熱変形を防止し、材料の柔軟度を改善して成形性を増加させるとしている。
特許文献3に記載のレンズ付き印刷物は、透明フィルム基材の片面に紫外線硬化型樹脂からなるレンチキュラーレンズ等のレンズ群を配列し、その反対面にレンズピッチに対応する印刷画像を形成し、凹凸形状が付与されてなる立体視または可変視画像シートの印刷画像面側に、熱可塑性樹脂層を介して、紙基材またはフィルム基材を積層してなるものである。このレンズ付き印刷物は、画像もしくは図柄・模様に独自の変化を与える立体感や加飾効果に優れるとしている。
特許文献4に記載の装飾材及び電飾装置は、それぞれ、合成樹脂製透明シートの片面に繰り返しパターンでレンズ群を設けたレンチキュラーシートを全体として片側に凸で反対側が空洞となる立体形状に成形してなるもの、及びこの装飾材と、その空洞側に配された発光体とを備えるものである。この装飾材及び電飾装置は、従来のローレット等のレンズでは得ることができない、きわめて斬新で優れた電飾効果が得られるとしている。
特許4192071号公報 特表2016−508084号公報 特開2008−064938号公報 特開2005−131891号公報
しかしながら、特許文献1〜4に開示の技術のように、従来より提案されている硬化性を有する樹脂組成物を用いて硬化物であるレンズが配されたレンチキュラーシートを作製し、さらに真空成形等により立体構造に成形加工しようとすると、レンチキュラーレンズ部の基材への密着が不足し、レンチキュラーレンズ部が基材から剥離するばかりか、真空成形等による成形時にレンチキュラーレンズ部に亀裂(クラック)が入り、円筒形の表面を有する凸状レンズが並列したレンチキュラーレンズが破損する場合がある。
また、レンチキュラーシートの製造には、印刷工程、及び成形工程など複数の工程を有するため、延伸性を持たせた材料により成形性を付与させた場合においても、素材が柔らかすぎてもレンズ形状が変形し所望のレンズ効果が得られず、硬すぎてもレンズが割れるなど印刷、及び/又は成形に適さない。
更に、特に2P(光硬化:Photo Porimerization)法で製造する場合、基材(支持体)とレンズ部の屈折率、及び/又は強度とが異なることによりシート、及び/又はレンズが割れるといった欠陥が生じる。
本発明は、上記の事情に鑑みなされたものであり、以下に示す目的を解決することを課題とする。
本発明は、上記従来技術の問題点を解決し、成形性を付与したレンチキュラーシートにおいて、製造・印刷時に発生する割れに対処可能なレンチキュラーシートを提供することを目的とする。
また、本発明は、基材との密着性が良好であり、耐熱性を有し、かつ、(好ましくは高温下で)成形(賦形)した場合の延伸性をそなえたレンチキュラーシートを提供することをも目的とする。
上記目的を達成するために、本発明のレンチキュラーシートは、樹脂基材と、樹脂基材の少なくとも一方面に配置されたシリンドリカルレンズと、を有するレンチキュラーシートであって、シリンドリカルレンズは、樹脂基材の側に配置されるオフセット部と、オフセット部に設けられるレンズ部と、を有し、100℃での破断応力が4.0MPa以上24.0MPa以下であることを特徴とする。
ここで、シリンドリカルレンズのオフセット部の厚みが、4.0μm以上16.0μm以下であることが好ましい。
また、シリンドリカルレンズのレンズ部のレンズ曲率半径が、68μm〜78μmであることが好ましい。
また、破断応力が、6.0MPa以上16.0MPa以下であることが好ましい。
また、シリンドリカルレンズのオフセット部の厚みが、8.0μm以上16.0μm以下であることが好ましい。
また、破断応力が、7.0MPa以上9.0MPa以下であることが好ましい。
また、シリンドリカルレンズのオフセット部の厚みが、10.0μm以上14.0μm以下であることが好ましい。
また、レンズ曲率半径が、72±2.5μmであることが好ましい。
また、シリンドリカルレンズは、架橋構造を有する硬化樹脂と、ピロリドン骨格、及びカプロラクタム骨格から選ばれる少なくとも一方の骨格と、を含むことが好ましい。
また、硬化樹脂は、極性3官能モノマーと、単官能モノマーとを含むことが好ましい。
本発明によれば、成形性を付与したレンチキュラーシートにおいて、破断応力とオフセットの厚みとを適切な範囲にすることで、製造・印刷時に発生する割れを回避し、製造及び/又は印刷時に発生する欠陥に対処可能なレンチキュラーシートを提供することができる。
また、本発明によれば、基材との密着性が良好であり、耐熱性を有し、かつ、(好ましくは高温下で)成形(賦形)した場合の延伸性をそなえたレンチキュラーシートを提供することができる。
本発明の一実施形態に係るレンチキュラーシートの一例を示す概略斜視図である。 図1に示すレンチキュラーシートの部分拡大断面図である。 本発明の実施例における画質評価方法の説明に用いられるレンチキュラーシートのシリンドリカルレンズと2つの線状画像との関係を示す説明図である。 図3に示す2つの線状画像の輝度と視角との関係を示すグラフである。 図3に示す2つの線状画像のクロストーク量と視角との関係を示すグラフである。 本発明のレンチキュラーシートを規定するシリンドリカルレンズのオフセット部と破断応力との関係を示す説明図である。
本発明の一実施形態に係るレンチキュラーシートを、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、以下に詳細に説明する。
なお、本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
また、本明細書中の「工程」の用語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても、その工程の所期の目的が達成されれば本用語に含まれる。 本明細書において、「(メタ)アクリル」は、アクリル及びメタクリルの両方を包含する概念で用いられる語であり、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイル及びメタクリロイルの両方を包含する概念として用いられる語である。
<レンチキュラーシート>
本発明のレンチキュラーシートは、樹脂基材と、樹脂基材の少なくとも一方面に配置されたシリンドリカルレンズと、を有し、シリンドリカルレンズは、樹脂基材の側に配置されるオフセット部と、オフセット部に設けられるレンズ部と、を有しており、100℃での破断応力が4.0MPa以上24.0MPa以下である。
本発明において、レンチキュラーシートの100℃における破断応力を4.0MPa以上24.0MPa以下に限定するのは、以下の理由からである。破断応力が4.0MPa未満であると、レンチキュラーシートを真空成形等により3次元形状に成形、又は賦形した時に、即ち製造(成形)・印刷時に、強度、又は支持体となる基材との密着性等が不足するからである。その結果、レンチキュラーレンズが基材から離れて、又は脆すぎて、レンチキュラーレンズに亀裂(クラック)が入り、円筒形の表面を有する凸状のシリンドリカルレンズが並列したレンチキュラーレンズが破損する場合があり、印刷、及び/又は成形に適さないからである。
一方、破断応力が24.0MPa超であると、レンチキュラーシートの製造には印刷工程、及び成形工程など複数の工程を有するため、延伸性を持たせた材料により成形性を付与しても、素材が強靭すぎて、レンズ形状が変形し、所望のレンズ効果が得られないなど印刷、及び/又は成形に適さないからである。
なお、本発明における破断応力とは、材料の引っ張り試験をする時の破断時の公称応力のことをいう。ここで、公称応力は、引っ張り荷重を初期断面積で割った値(単位:MPa(=N/mm2))である。
本発明においては、破断応力は、100℃の時の値を用いる。100℃の時の値を用いる理由は、100℃の温度は、レンチキュラーシートが成形中に破断しやすい温度であるため、この100℃の温度での破断応力で評価している。
破断応力の計測方法は、JIS Z2241の「金属材料引張試験方法」に準拠している(http://info.shiga-irc.go.jp/public/data/130/102.pdf参照)。
なお、本発明における具体的な破断応力の計測方法は、以下のように測定方法である。
(1)まず、サンプルをMD方向(Machine Direction 流れ方向又は縦方向)、及びTD方向(Transverse Direction 垂直方向又は横(幅)方向)にそれぞれ5cm×1cmに5本ずつ剃刀を用いて切り出す。
(2)次に、切出サンプルを、環境温度25℃、相対湿度60%RH(relative humidity)に12時間以上調湿した後、この環境下において、引張試験機のチャック間を3cmとして両チャックに取り付けた後、1mm/分の引張速度で引っ張る。
(3)サンプルが破断した時の応力を求める。
(4)MD方向の切出サンプル、及びTD方向の切出サンプルにおいて、それぞれ最大値、及び最小値を除き、合計6点の平均値を求め、破断応力とする。
ここで、本発明においては、レンチキュラーシートの100℃における破断応力は、6.0MPa以上16.0MPa以下であることが好ましく、7.0MPa以上9.0MPa以下であることがより好ましい。
なお、本発明においては、印刷は、レンチキュラーシートの樹脂基材のシリンドリカルレンズとは逆側にレンチキュラー画像を形成するためのものであるが、レンチキュラーシートを3次元形状に成形する前、即ち成型の前であっても良いし、レンチキュラーシートを3次元形状に成形した後、即ち成型の後であっても良い。即ち、レンチキュラー画像は、2次元シート状体のレンチキュラーシートに形成されたものであっても良いし、3次元形状に成形されたレンチキュラーシートに形成されたものであっても良い。
本発明のレンチキュラーシートは、成形性を付与したもので、上述のように、破断応力を適切な範囲にすることで、好ましくは更にオフセットの厚みを適切な範囲にすることで、製造・印刷時に発生する割れを回避し、製造及び/又は印刷に発生する欠陥に対処することができるものである。
なお、本発明のレンチキュラーシートは、好ましくは、樹脂基材のシリンドリカルレンズを有する側の反対側に記録層を有し、記録層に、例えばインクジェット法等の公知の記録方法により画像(以下、加飾画像ともいう。)を付与することができる態様が好ましい。即ち、本発明の一実施形態のレンチキュラーシートは、記録層を付設してレンチキュラー画像が付される構成のレンチキュラー加飾シートであってもよい。レンチキュラー加飾シートは、レンチキュラー表示に適した画像上に、半円筒形の表面を有する凸状のシリンドリカルレンズが並列したレンチキュラーレンズを有することにより、見る角度によって異なる画像を表示する表示媒体(レンチキュラー表示体)である。
本発明のレンチキュラーシートは、このようなレンチキュラー加飾シートとした時に、見る角度によって異なる画像の混在が少なく、画質の優れた画像を表示することができるものである。
図1は、本発明の一実施形態に係るレンチキュラーシートであるレンチキュラー加飾シートの一例を示す概略斜視図である。図2は、図1に示すレンチキュラー加飾シートの部分拡大断面図である。
図1、及び図2に示すレンチキュラー加飾シート10は、半円筒形状の表面を有する凸状レンズ部12A、及び凸状レンズ部12Aの半円筒形状の表面とは反対側(裏面側ともいう)に配置されたオフセット部12Bをそれぞれ備える複数のシリンドリカルレンズ12が並列したレンチキュラーレンズ14と、レンチキュラーレンズ14の複数のシリンドリカルレンズ12のオフセット部12Bの側に配置され、レンチキュラーレンズ14を支持する樹脂基材からなる支持体16と、支持体16のレンチキュラーレンズ14とは反対側(裏面側)に附設されたレンチキュラー画像18からなる記録層20と、を有している。
図1、及び図2では、記録層20のレンチキュラー画像18は、詳細は後述するが、2つの表示用画像をそれぞれ別々に表示するための表示用画像列18A、及び18Bを含む画像列群から構成されている。
ここでは、レンチキュラーレンズ14、及び支持体16を備え、記録層20を備えていない実施形態をレンチキュラーシート11ともいう。したがって、レンチキュラー加飾シート10は、レンチキュラーシート11に、レンチキュラー画像18からなる記録層20を設けたものと言うことができる。
なお、図1において、x方向は、シリンドリカルレンズ12の幅方向を示し、y方向は、シリンドリカルレンズ12の長手方向を示し、z方向は、シリンドリカルレンズ12の厚み方向を示している。
従来、レンチキュラー材料は、シート又はフィルム等の形態で用いられることが多く、立体形状にして用いる試みは少ない。ところが、従来のレンチキュラーシートは、例えば特許文献1、及び4のように、レンズ部分に用いられる樹脂成分は熱可塑性樹脂であることが一般的であり、立体形状に成形する場合の熱で変形しやすく、形状を維持し得る耐熱性が不足しやすい。一方、特許文献2、及び3のように、レンズ用樹脂成分として紫外線、又は電子線硬化性樹脂、又は熱硬化性樹脂を用いる技術も提案されているが、紫外線、電子線、又は熱硬化性樹脂は一般に、架橋構造を有するために変形させる場合の延伸性が乏しい傾向にある。そのため、成形時において高温に曝された場合の熱変形こそ生じにくいが、成形時に延ばされた際に亀裂(クラック)等を招来しやすい懸念がある。
そのため、本発明の実施形態におけるシリンドリカルレンズにおいては、熱変形を防ぐために、多官能単量体(モノマー)、より好ましくは極性3官能単量体(モノマー)、及び単官能単量体(モノマー)を有する光、及び/又は熱で硬化する樹脂、即ち光硬化性樹脂、及び/又は熱硬化性樹脂、好ましくは光硬化性樹脂を用いて架橋構造を導入し、かつ、ピロリドン骨格及びカプロラクタム骨格の少なくとも一方を特定の量的範囲で含めた組成とする。これにより、架橋密度を制御しつつ、真空成形等の成形時に与えられる熱及び外力に耐える耐熱性と延伸性とを兼ね備えることができる。また、ビニル化合物は、シリンドリカルレンズの支持体となる樹脂基材に対する親和性の向上に寄与するため、シリンドリカルレンズの樹脂基材に対する密着性の改善効果も得られる。
(支持体)
まず、支持体について説明する。
支持体16は、図1、及び図2に示すように、その一方の面に配置されたレンチキュラーレンズ14の複数のシリンドリカルレンズ12を支持し、他方の面にはレンチキュラー画像18からなる記録層20を付設してなるもので、本発明の樹脂基材からなる。
(樹脂基材)
本発明の樹脂基材は、支持体16として用いられる樹脂基材であり、任意の樹脂を目的等に応じて選択することができる。樹脂基材は、シート状又はフィルム状の基材を好適に用いることができる。
本実施形態では、樹脂基材の例としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂等のシート又はフィルムが挙げられる。
樹脂基材の厚み、したがって支持体16の厚みは、特に制限はなく、50μm以上300μm以下の範囲が好ましく、高温で均一に成形(賦形)する観点から、50μm以上200μm以下の範囲がより好ましい。
なお、樹脂基材の厚みが50μm以上300μm以下の範囲が好ましい理由は、50μm未満では、非常にレンチキュラーシートが薄くなるため、破れやすく、また、薄すぎると、成型加工時の取扱い中(たとえば運搬中)に割れが発生し易いからである。また、300μm超では、レンチキュラーシートが厚くなるため、3次元真空成型した際に割れ易くなるからであり、特に、厚くなった分、立体形状の曲率が大きいものでは割れなどが生じるからである。即ち、これは、たとえば曲面に成型した場合、外周部は伸ばされ内周部は圧縮されるが、厚みが大きい程両者の差による歪みが大きくなり、3次元成型後に割れ易くなるためである。
このように、樹脂基材(支持体16)の厚みは、50μm未満、又は300μm超では、共に成形する工程で取り扱いが困難になるため、本発明では、50μm以上300μm以下の範囲とすることが好ましい。
樹脂基材は、上市されている市販品を用いてもよく、例えば、三菱レイヨン(株)製のアクリル樹脂フィルム(アクリプレンHBS010P、厚み:125μm)、東レ(株)製のポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム(ルミラーS10、厚み:100μm)、帝人化成(株)製のポリカーボネート樹脂フィルム(ユーピロンH−3000、厚み125μm)等を用いることができる。
(レンチキュラーレンズ)
レンチキュラーレンズ14は、図1、及び図2に示すように、複数のシリンドリカルレンズ12をx方向、即ちシリンドリカルレンズ12の幅方向に並列して、シート状、又はフィルム状に配置したものである。
(シリンドリカルレンズ)
本発明のシリンドリカルレンズ12は、図2に示すように、半円筒形状の表面を有する凸状レンズ部12A、及び凸状レンズ部12Aの半円筒形状の表面とは反対側(裏面側ともいう)に配置されたオフセット部12Bを備えるものである。
ここで、オフセット部12Bは、支持体16と呼ばれる樹脂基材の上に溶融されたレンズ材料を流して、図示しない金型で複数のシリンドリカルレンズ12のレンズ形状の凸状レンズ部12Aを成形してレンチキュラーレンズ14を成形し、レンチキュラーシート11を製造する。この時、即ち金型で複数のシリンドリカルレンズ12のレンズ形状の凸状レンズ部12Aを成形する時、支持体16と金型との間には、隙間が生じ、レンズ形状の凸状レンズ部12Aと支持体16との間にレンズオフセットと呼ぶことができる領域が発生する。本発明では、こうして発生したレンズオフセット領域をオフセット部12Bとして定義する。
なお、レンチキュラーシート11の製造時に、隙間がないと逆に支持体16と金型が接触し、支持体16を削って、傷付ける恐れがある。したがって、本発明のレンチキュラーシート11では、オフセット部12Bは、必須の構成要素である。
このオフセット部12Bは、金型の設置条件を調整することにより、その厚み調整が可能である。
本発明においては、オフセット部12Bは、図2に示すように、1つのシリンドリカルレンズ12において、円筒レンズ形状の凸状レンズ部12Aの両側でその表面と隣接する凸状レンズ部12Aの表面とが接続するそれぞれの接続部を結ぶ平面と、凸状レンズ部12Aと反対側の支持体16表面と接している平面との間に領域として定義され、両平面間の距離をオフセット部12Bの厚みδとして定義することができる。
レンチキュラー加飾シート10のレンチキュラーシート11は、半円筒形状の表面を有する凸状レンズ部12Aを備える複数のシリンドリカルレンズ12が並列したレンチキュラーレンズ14を有している。ここで、シリンドリカルレンズ12の1本当たりの幅は、特に限定されず、目的によってレンズのピッチ幅を選択すればよい。シリンドリカルレンズ12の1本当たりの幅は、通常、1インチ(2.54cm)当たりのレンズ数を表すLPI(Line Per Inch)で表されることが多い。例えば100LPIは、1インチ当たり100本(100列)のシリンドリカルレンズが並列することを示しており、レンズのピッチは254μmである。1インチ当たりの線数(レンズの配列数)は、値が大きいほどレンズのピッチは小さくなり、精細度が向上する。
精細度の低い、例えば60LPI等のレンチキュラーシート11は、観察位置が比較的遠い図柄を表示するポスターなどに使うには適しているが、名刺など小さい文字情報を読ませることを目的とする場合は、レンチキュラーレンズ14を構成するシリンドリカルレンズ12が、2.54cm(1インチ)当たり100列以上並列していることが好ましい。一方、レンチキュラー加飾シート10のレンチキュラー画像18の解像度の観点から、レンチキュラーレンズ14を構成する凸状のシリンドリカルレンズ12の配列数は、2.54cm当たり200列(200LPI)以下であることがより好ましい。
一方、シリンドリカルレンズ12の凸状レンズ部12Aのレンズ形状も、特に限定されず、目的によって、又はレンズのピッチ幅に応じて選択すればよい。例えば、凸状レンズ部12Aは、その断面形状が厳格な半円柱、即ち凸のレンズ面の断面形状が円弧である場合に限定されず、レンズ面の断面形状が放物線、楕円弧、その他の凸の曲線である場合のレンズであっても良い。なお、レンズ面の断面形状が円弧でない場合には、円弧で近似することにより近似的な曲率半径をレンズの曲率半径とすればよい。
例えば、シリンドリカルレンズ12の凸状レンズ部12Aのレンズの曲率半径は、特に限定されないが、レンチキュラー加飾シート10のレンチキュラー画像18の画質の点からは、68μm〜78μmであることが好ましい。
ここで、凸状レンズ部12Aのレンズの曲率半径を68μm〜78μmの範囲に限定することが好ましい理由は、68μm未満、及び78μm超である時には、1つの凸状レンズ部12Aに対して2つの表示用画像列18A、及び18Bが配置されたレンチキュラー画像18を観察する際に、両表示用画像列18A、及び18Bが混在した画像が観察されるクロストークが多く発生し、画質の劣化が見られるからである。
なお、クロストークとは、例えば、立体(3D:three-dimensional)画像において、画像の混在の程度を表わすもので、画像の分離性能を表す評価指標である。
例えば、図3に示すように、2画像A、及びBの切り替え(チェンジング)をするために、1つのレンズ22に対して、2つの画像A、及びB(例えば、それぞれ表示用画像列18A、及び18Bに相当する)を配置した場合を考えると、理想的には、特定の角度、例えばレンズ直上を0度とした場合、−20度でAの画像、+20度でBの画像が切り替わる場合、AからBの画像に瞬間的に切り替わることが望ましいが、切り替わる途中でAとBの画像が混在した画像が発生する。なお、図3においては、説明を簡略化するために支持体16等の図示を省略している。
このような場合、A、及びB画像の各輝度値Y(A)、及びY(B)を角度毎に計測し、例えば、計測した輝度値Y(A)、及びY(B)が図4に示すように表される時、下記式(1)及び(2)により、2つのA画像、及びB画像(例えば、表示用画像列18A、及び18B)の切り替わり(チェンジング)における観察角度による画像の混在の度合いを示すクロストーク量XA(θ)、及びXB(θ)を計算する。ここで、クロストーク量XA(θ)は、A画像に対するB画像の混在の度合いを示し、クロストーク量XB(θ)は、B画像に対するA画像の混在の度合いを示す。
クロストーク量XA(θ)、及びXB(θ)が小さいほど、画像の混在が少ないことを示す。
XA(θ)=YB/YA*100 (YB≦YA) ……(1)
XB(θ)=YA/YB*100 (YA≦YB) ……(2)
こうして計算されたクロストーク量XA(θ)(以下、単にXAともいう)、及びXB(θ)(以下、単にXBともいう)は、例えば、図5に示すように表すことができる。
図5に示すように、クロストーク量XA、及びXBが100%では、A及びBの画像が混在している状態を表している。一方、クロストーク量XA、及びXBが小さい、例えば0%に近い方がA及びBの画像の混在が少ないことを表わしている。
ここで、本発明においては、シリンドリカルレンズ12の凸状レンズ部12Aのレンズの曲率半径は、72±2.5μmであることがより好ましい。
上述した例は、レンチキュラー加飾シート10のレンチキュラー画像18の画質の点から、凸状レンズ部12Aのレンズの曲率半径を所定範囲に限定しているが、レンズのピッチ幅に応じて最適な範囲を決めても良い。
一方、シリンドリカルレンズ12のオフセット部12Bの厚みδは、製造時に金型が支持体16に接触して傷付けることがなければ、特に制限的ではないが、4.0μm超18.0μm以下であることが好ましい。
ここで、オフセット部12Bの厚みδを4.0μm以上16.0μm以下の範囲に限定することが好ましいのは、レンチキュラー加飾シート10は、シリンドリカルレンズ12を通ったレンチキュラー画像18を見るので、レンチキュラーシート11は、破断と画質を両立することが好ましいからであり、課題となるからである。
即ち、オフセット部12Bの厚みδが4.0μm未満であると、レンチキュラーレンズ14の製造時に金型が支持体16に接触して支持体16を削って傷付け、レンチキュラーシート11の強度、又は密着性等が不足するからである。その結果、レンチキュラーレンズ14のシリンドリカルレンズ12が剥がれたり、レンチキュラーレンズ14にクラックが入ったりして、円筒形の表面を有する凸状レンズ部12Aが並列したレンチキュラーレンズ14が破損する恐れがあるからであり、レンチキュラー画像18の画質が劣化する恐れがあるからである。
一方、オフセット部12Bの厚みδが16.0μm超であると、レンチキュラーレンズ14の製造時に支持体16上に製造されるシリンドリカルレンズ12の部分が厚くなり、このシリンドリカルレンズ12は光硬化樹脂などを用いて製造されるため、支持体16に比べ硬くなり、レンチキュラーシート11の製造搬送時や印刷時に割れやすくなる恐れがある。また、オフセット部12Bの厚みδが16.0μm超であると、シリンドリカルレンズ12の凸状レンズ部12Aの曲率半径に対して、レンチキュラーシート11の高さ、即ちシリンドリカルレンズ12の凸状レンズ部12Aの頂点から、凸状レンズ部12A、オフセット部12B、及び支持体16を経て記録層20に至るまでのz方向の距離が長くなるからである。その結果、凸状レンズ部12Aに入射した光線が記録層20のレンチキュラー画像18に合焦せず、レンチキュラー画像18の画質が劣化する恐れがあるからである。
ここで、本発明においては、シリンドリカルレンズ12のオフセット部12Bの厚みδは、8.0μm以上16.0μm以下であることがより好ましく、10.0μm以上14.0μm以下であることが最も好ましい。
本発明においては、レンチキュラーシート11は、成形形状を付与すると、即ち3次元形状に成形すると、成形(製造)時に破断する恐れがあるため、伸延性を有している必要があるが、レンチキュラー加飾シート10とした場合には、シリンドリカルレンズ12を通ったレンチキュラー画像18を見ることになるので、耐破断性と画質とを両立させることが好ましい。
このため、本発明では、レンチキュラーシート11の破断応力とシリンドリカルレンズ12のオフセット部12Bの厚みの2つのパレメータが好ましい所定範囲、より好ましくは特定の好適範囲、最も好ましくは最適範囲内に納まるように、レンチキュラーシート11の材料、及びそのシート形状を選択してレンチキュラーシート11を製造することで、耐破断性と画質の課題を解決することが良い。
例えば、破断応力とオフセット部の厚みとの関係が、図6に示す領域R1内にある場合、即ち、破断応力が、7.0MPa以上9.0MPa以下であり、かつオフセット部の厚みが、10.0μm以上14.0μm以下である最も好ましい最適範囲内にある場合には、耐破断性と画質とを最も良好に両立させることができる。
また、破断応力とオフセット部の厚みとの関係が、図6に示す領域R2内にある場合、即ち、破断応力が、6.0MPa以上16.0MPa以下であり、かつオフセット部の厚みが、8.0μm以上16.0μm以下である、より好ましい好適範囲内にある場合には、耐破断性と画質とを少なくともより良好に両立させることができる。
また、破断応力とオフセット部の厚みとの関係が、図6に示す領域R3内にある場合、即ち、破断応力が、4.0MPa以上24.0MPa以下であり、かつオフセット部の厚みが、4.0μm以上16.0μm以下である好まし好適範囲内にある場合には、耐破断性と画質とを少なくとも良好に両立させることができる。
なお、破断応力が、図6に示す領域R4内にある場合、即ち4.0MPa以上24.0MPa以下である範囲内にある場合には、少なくとも耐破断性を良好にすることができる。
シリンドリカルレンズ12は、少なくとも、多官能単量体(モノマー)、より好ましくは極性3官能単量体(モノマー)、及び単官能単量体(モノマー)を含む、架橋構造を有する硬化樹脂と、ピロリドン骨格及びカプロラクタム骨格から選ばれる少なくとも一方の骨格と、を含むものであることが好ましい。なお、ピロリドン骨格及びカプロラクタム骨格の総含有量は、シリンドリカルレンズの全質量に対して8質量%以上の範囲であることが好ましい。また、シリンドリカルレンズは、必要に応じて、更に他の成分を含んでいてもよい。
ピロリドン骨格又はカプロラクタム骨格が含まれていることは、赤外吸収スペクトル(IR)から確認することが可能である。
−硬化樹脂−
シリンドリカルレンズは、架橋構造を有する硬化樹脂を含む。
硬化樹脂は、後述するように、多官能(メタ)アクリル単量体、及び単官能(メタ)アクリル単量体が重合反応して形成される架橋構造を含み、樹脂中には多官能(メタ)アクリル単量体、及び単官能(メタ)アクリル単量体が残存し得、残存する多官能(メタ)アクリル単量体、及び単官能(メタ)アクリル単量体は、光(放射線、紫外線、又は電子線等を含む)照射下、あるいは加熱下で重合反応するため、光硬化性、あるいは熱硬化性を呈する。
硬化樹脂は、架橋構造を含むことで耐熱効果が付与される。
レンチキュラーレンズにおける硬化樹脂の架橋構造の有無は、下記の方法で確認することができる。
レンチキュラーシートからレンチキュラーレンズを削り取り、削り採ったレンチキュラーレンズをテトラヒドロフランに加えて溶解させ、濾過した場合にレンチキュラーレンズが溶解せずに濾過物として残った場合、架橋構造を有すると判断する。
シリンドリカルレンズに含まれる硬化樹脂は、後述するように、末端に(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリル樹脂、2官能以上4官能以下の(メタ)アクリル単量体、単官能(メタ)アクリル単量体、ビニル化合物、及び光ラジカル重合開始剤を含有する硬化性組成物を用い、(メタ)アクリロイル基の重合反応により架橋構造を形成して硬化された樹脂である。ビニル化合物は、硬化樹脂中に取り込まれている。
具体的には、活性エネルギー線を照射した際に光ラジカル重合開始剤から生じたラジカルが(メタ)アクリル樹脂及び(メタ)アクリル単量体の(メタ)アクリロイル基に作用し、(メタ)アクリロイル基が連鎖的に重合反応して硬化されている。
硬化樹脂の原材料となる、末端に(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリル樹脂、2官能以上4官能以下の(メタ)アクリル単量体、単官能(メタ)アクリル単量体、ビニル化合物、及び光ラジカル重合開始剤の詳細については後述する。
硬化樹脂のシリンドリカルレンズ中における含有量としては、シリンドリカルレンズの全質量に対して、70質量%以上100質量%以下が好ましい。
なお、硬化樹脂には、(メタ)アクリル樹脂、多官能(メタ)アクリル単量体並びに単官能(メタ)アクリル単量体を含む単量体成分、及びビニル化合物が含まれていることが好ましい。
−ピロリドン骨格、カプロラクタム骨格−
シリンドリカルレンズは、ビニルピロリドン及びビニルカプロラクタムから選ばれる少なくとも一方のビニル化合物に由来する構造として、ピロリドン骨格及びカプロラクタム骨格から選ばれる少なくとも一方の骨格を含む。
ビニル化合物に由来のピロリドン骨格及びカプロラクタム骨格は、既述の樹脂基材との密着性の向上に寄与し、かつ、硬化物であるシリンドリカルレンズの、成形時における延伸性を向上させる。これにより、硬化物であるシリンドリカルレンズは、樹脂基材から剥がれにくく、成形時に生じやすい亀裂(クラック)等の発生が抑制される。
ピロリドン骨格及びカプロラクタム骨格の、シリンドリカルレンズの全質量に対する総含有量は、8質量%以上の範囲である。ピロリドン骨格及びカプロラクタム骨格の総含有量が上記範囲であることにより、樹脂基材に対する密着性がより優れたものとなり、硬化物であるシリンドリカルレンズの成形時における延伸性が効果的に向上する。
ピロリドン骨格及びカプロラクタム骨格の総含有量としては、15質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、30質量%以上が更に好ましい。また、ビニル化合物の含有量の上限については、特に制限はないが、60質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましい。ビニル化合物の含有量が60質量%以下であることで、耐熱性がより高められ、硬化物であるシリンドリカルレンズの形状保持性を良好に保つことができ、レンズ形状を所望の形状のまま保持しやすい。
ピロリドン骨格及びカプロラクタム骨格の含有量は、赤外吸収スペクトル(IR)から求めることができる。
ピロリドン骨格及びカプロラクタム骨格を与えるビニル化合物は、ビニルピロリドンの例としてはN−ビニル−2−ピロリドン等が挙げられ、ビニルカプロラクタムの例としてはN−ビニル−ε−カプロラクタム等が挙げられる。ビニル化合物の中でも、成形時における高温下での延伸性がより優れたものとなる点で、ビニルピロリドンが好ましい。
−他の成分−
シリンドリカルレンズには、上記の成分以外に、必要に応じて、有機溶剤、無機粒子等の他の成分が含まれてもよい。有機溶剤、無機粒子等の詳細は、後述する。
(記録層)
図1、及び図2に示すように、樹脂基材(支持体16)のシリンドリカルレンズ12を有する側の反対側には、レンチキュラー表示される画像(レンチキュラー画像18)を記録するための記録層20を有していてもよい。
上述したように、記録層20のレンチキュラー画像18は、2つの表示用画像をそれぞれ別々に表示するための表示用画像列18A、及び18Bを含む画像列群から構成されている。具体的には、各表示用画像からストライプ状に抽出された表示用画像列18A、及び18Bが対応する位置の凸状レンズ部12Aごとに隣接して配列されている。
なお、レンチキュラー画像18を構成する画像列群は、更に、隣接する表示用画像列18A、及び18Bの間に挿入される補間画像列を含んでいても良い。具体的には、隣接する表示用画像列18A、及び18Bの間に、隣接する表示用画像列18A、及び18Bの色が互いに異なる位置において、隣接する表示用画像列18A、及び18Bの一方の色と他方の色との間にある色(補間色)を有する補間画像列が挿入されていても良い。
支持体(樹脂基材)16の記録層20が設けられる面は、支持体16と記録層20との接着力を高める観点から、表面処理(例えばコロナ放電処理等)が施されてもよい。記録層20は、例えば、記録層20を形成するための調製液を支持体16の表面に付与することにより設けられてもよい。
調製液の付与は、例えば、塗布により行うことができる。
調製液は、記録層20を形成するための固形成分と溶媒とを含むことが好ましい。記録層20は、樹脂を含むことが好ましく、樹脂の少なくとも一部は架橋剤で架橋されていることが好ましい。したがって、調製液に含まれる固形成分として樹脂及び架橋剤を含む態様が好ましい。
樹脂としては、ポリエステル、アクリル樹脂、及びウレタン樹脂から選択される少なくとも一つの樹脂であることが好ましく、特にオフセット印刷により視差画像を形成する場合に有利である。
<レンチキュラーレンズ用硬化性組成物>
本発明の一実施形態のレンチキュラーレンズ用硬化性組成物は、レンチキュラーシートにおけるシリンドリカルレンズの作製に用いられる光硬化性を有する組成物である。既述の本発明の一実施形態のレンチキュラーシートの作製に好適に用いられる。
本発明の一実施形態のレンチキュラーレンズ用硬化性組成物は、末端に(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリル樹脂と、2つ以上4つ以下の(メタ)アクリロイル基を含む多官能(メタ)アクリル単量体(以下、「2官能以上4官能以下の(メタ)アクリル単量体」ともいう。)と、1つの(メタ)アクリロイル基を含む単官能(メタ)アクリル単量体(以下、「単官能(メタ)アクリル単量体」ともいう。)と、ビニルピロリドン及びビニルカプロラクタムから選ばれる少なくとも一方のビニル化合物と、光ラジカル重合開始剤と、を含有し、ビニル化合物の含有量を、レンチキュラーレンズ用硬化性組成物の全質量に対して10質量%を超える範囲としたものである。
本発明の一実施形態のレンチキュラーレンズ用硬化性組成物は、必要に応じて、更に、有機溶剤、無機粒子等の他の成分を含有してもよい。
本発明の一実施形態のレンチキュラーレンズ用硬化性組成物は、2官能以上4官能以下の(メタ)アクリル単量体、単官能(メタ)アクリル単量体、及び光ラジカル重合開始剤を含有することで、架橋構造が形成されて耐熱性の付与に寄与するところ、更に、末端に(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリル樹脂と予め定めた量の特定のビニル化合物とを含有していることで、成形(賦形)の際に延ばされることで生じやすい亀裂(クラック)等の発生が抑制され、かつ、樹脂基材に対する密着性も向上する。すなわち、本発明の一実施形態のレンチキュラーレンズ用硬化性組成物は、光硬化によって優れた耐熱性を保ちながら、成形の際の延伸性に優れ、かつ、樹脂基材に対する密着性にも優れている。
−(メタ)アクリル樹脂
レンチキュラーレンズ用硬化性組成物は、末端に(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリル樹脂の少なくとも1種を含有する。(メタ)アクリル樹脂は、分子鎖の末端に(メタ)アクリロイル基を有しているので、後述の(メタ)アクリル単量体と併用することで組成物全体における架橋密度を制御し、硬化物とした際の耐熱性と成形時の延伸性との両立に好適である。
(メタ)アクリル樹脂としては、末端に(メタ)アクリロイル基を有するポリマーであれば主鎖構造に特に制限はなく、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリスチレン、ポリスチレン・メタクリレート(MS樹脂)、ポリスチレン・アクリロニトリル(AS樹脂)、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル(PVC)、熱可塑性エラストマー、又はこれらの共重合体、シクロオレフィンポリマー等の、主鎖構造の末端に(メタ)アクリロイル基を少なくとも1つ有するポリマーを挙げることができる。中でも、耐熱性の観点から、末端に(メタ)アクリロイル基を有するポリメチルメタクリレート、末端に(メタ)アクリロイル基を有するポリスチレンが好ましい。
(メタ)アクリル樹脂は、上市されている市販品を用いてもよく、市販品の例として、東亞合成(株)製のマクロモノマーシリーズ(例:マクロモノマーAA−6(メタクリロイル基を有するポリメチルメタクリレート)、マクロモノマーAS−6もしくはAS−6S(メタクリロイル基を有するポリスチレン)、マクロモノマーAN−6S(メタクリロイル基を有するポリスチレン・アクリロニトリル)、マクロモノマーAB−6(メタクリロイル基を有するポリブチルメタクリレート)等を用いることができる。
(メタ)アクリル樹脂の数平均分子量としては、延伸性の付与に寄与する組成物粘度のバランスの観点から、1000以上10000以下の範囲が好ましく、3000以上10000以下の範囲がより好ましく、5000以上10000以下の範囲がさらに好ましい。
数平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフ(GPC)により測定される値である。
具体的には、GPCは、測定装置として、HLC(登録商標)−8220GPC(東ソー(株)製)を用い、カラムとして、TSKgel、Super Multipore HZ−H(東ソー(株)製、4.6mmID×15cm)を3本用い、溶離液として、THF(テトラヒドロフラン)を用いて行う。また、条件としては、試料濃度を0.45質量%とし、流速を0.35ml/minとし、サンプル注入量を10μlとし、測定温度を40℃として、示唆屈折計(RI)検出器を用いる。また、検量線は、東ソー(株)製の「標準試料TSK standard,polystyrene」:「F−40」、「F−20」、「F−4」、「F−1」、「A−5000」、「A−2500」、「A−1000」、「n−プロピルベンゼン」の8サンプルから作製する。
(メタ)アクリル樹脂のガラス転移温度(Tg)としては、50℃以上が好ましい。Tgが50℃以上であると、耐熱性に優れたものとなる。Tgは、同様の観点から、80℃以上が好ましい。また、樹脂基材への密着性及び成形時の延伸性の観点から、Tgは250℃未満が好ましく、200℃以下がより好ましい。
Tgは、示差走査熱量測定(DSC)により、(メタ)アクリル樹脂を含む試料を調製し、試料を液体窒素で20℃に冷却した後に昇温し、20℃〜250℃の温度域に現れるピークから求められる。
末端に(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリル樹脂は、一種単独で用いるほか、二種以上を混合して用いてもよい。
末端に(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリル樹脂の、レンチキュラーレンズ用硬化性組成物中における含有量としては、レンチキュラーレンズ用硬化性組成物の総含有量100質量部に対して、5質量部以上60質量部以下が好ましく、5質量部以上40質量部以下がより好ましく、10質量部以上30質量部以下が更に好ましく、15質量部以上25質量部以下が更に好ましい。
(メタ)アクリル樹脂の含有量が上記範囲内であると、耐熱性及び成形時の延伸性により優れる。また、(メタ)アクリル樹脂の含有量はレンチキュラーレンズ用硬化性組成物の粘度の増減にも寄与し、(メタ)アクリル樹脂の含有量が上記範囲内であると、レンチキュラーレンズの樹脂基材の表面からみた高さを確保しやすい。中でも、(メタ)アクリル樹脂の含有量が5質量%以上であると、成形時の延伸性が良好になり、成形後における亀裂(クラック)等の発生がより抑えられる。また、(メタ)アクリル樹脂の含有量が40質量%以下であると、耐熱性に優れ、かつ、形状保持性に優れたものとなる。
−(メタ)アクリル単量体−
レンチキュラーレンズ用硬化性組成物は、2つ以上4つ以下の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリル単量体(2官能以上4官能以下の(メタ)アクリル単量体)の少なくとも一種を含有し、多官能(メタ)アクリル単量体に加えて単官能の(メタ)アクリル単量体を含有してもよいのは、上述した通りである。
(メタ)アクリロイル基を複数有する単量体(モノマー)を含有するので、(メタ)アクリロイル基が重合反応して架橋構造を形成し、架橋構造の形成による耐熱性の向上に寄与している。
(2官能以上4官能以下の(メタ)アクリル単量体)
レンチキュラーレンズ用硬化性組成物は、(メタ)アクリル単量体として、一分子中に含まれる(メタ)アクリロイル基の数が2〜4である多官能(メタ)アクリル単量体を含有する。
分子中の(メタ)アクリロイル基の数が1つのみである場合、架橋構造を形成し得ないため、分子中の(メタ)アクリロイル基の数が2つ以上とすることで架橋構造が得られ、耐熱性が良好になる。また、分子中の(メタ)アクリロイル基の数が4つ以下であると、架橋密度の均一性が高く、局所的に架橋し過ぎることもないので、延伸性を確保しやすく、樹脂基材に対する密着性にも優れたものとなる。
(メタ)アクリル単量体の中でも、上記と同様の観点から、2官能又は3官能の(メタ)アクリル単量体が好ましい。
(メタ)アクリル単量体としては、(メタ)アクリロイル基の数が2〜4である(メタ)アクリル単量体であれば、特に制限はなく、例えば以下の化合物が挙げられる。
分子中にアクリロイル基を2つ有する2官能(メタ)アクリル単量体の具体例としては、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリル化イソシアヌレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド(以下、「EO」と略記する。)変性1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エピクロロヒドリン(以下「ECH」という)変性1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、アリロキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド(以後「PO」という。)変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、ECH変性ヘキサヒドロフタル酸ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、EO変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、PO変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ステアリン酸変性ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ECH変性フタル酸ジ(メタ)アクリレート、ECH変性プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、シリコーンジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、EO変性トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリグリセロールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、等が挙げられる。上市されている市販品の例としては、新中村化学工業製のA−DCP(トリシクロデカンメタノールジアクリレート)、新中村化学工業(株)製のA−HD−N(1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート)等を用いることができる。
分子中にアクリロイル基を3つ有する3官能(メタ)アクリル単量体の具体例としては、イソシアヌル酸エチレンオキサイド(EO)変性トリアクリレート、ECH変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、EO変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、PO変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、EO変性リン酸トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、等が挙げられる。上市されている市販品の例としては、東亞合成(株)製のM−315(イソシアヌル酸エチレンオキサイド(EO)変性トリアクリレート)、新中村化学工業(株)製のA−TMPT(トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート)等を用いることができる。
分子中にアクリロイル基を4つ有する4官能(メタ)アクリル単量体の具体例としては、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジグリセリンエチレンオキサイド(EO) 変性(メタ)アクリレート等が挙げられる。 上市されている市販品の例としては、新中村化学工業(株)製のA−TMMTペンタエリスリトールテトラアクリレート、新中村化学工業(株)製のAD−TMP(ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート)等を用いることができる。
2官能以上4官能以下の(メタ)アクリル単量体は、一種単独で用いるほか、二種以上を混合して用いてもよい。
2官能以上4官能以下の(メタ)アクリル単量体の、レンチキュラーレンズ用硬化性組成物中における含有量としては、レンチキュラーレンズ用硬化性組成物の総含有量100質量部に対して、1質量部以上75質量部以下が好ましく、10質量部以上70質量部以下がより好ましく、20質量部以上60質量部以下が更に好ましい。
2官能以上4官能以下の(メタ)アクリル単量体の含有量が1質量部以上であると、耐熱性に優れ、かつ、形状保持性に優れたものとなる。また、2官能以上4官能以下の(メタ)アクリル単量体の含有量が75質量部以下であると、成形時の延伸性が良好になり、成形後における亀裂(クラック)等の発生がより抑えられる。
(単官能(メタ)アクリル単量体)
レンチキュラーレンズ用硬化性組成物は、(メタ)アクリル単量体として、上記の2官能以上4官能以下の(メタ)アクリル単量体に加え、更に、単官能の(メタ)アクリル単量体を含有してもよい。
単官能の(メタ)アクリル単量体を2官能以上4官能以下の(メタ)アクリル単量体と併用することで、2官能以上4官能以下の(メタ)アクリル単量体を用いた場合の特性、特に延伸性及び密着性をより向上させることが可能である。
単官能の(メタ)アクリル単量体の具体例としては、1−アダマンチル(メタ)アクリレートなどのアダマンチル(メタ)アクリレート化合物、イソボロニル(メタ)アクリレートなどのノルボルニル(メタ)アクリレート化合物、ジシクロペンタニルメタクリレートなどのトリシクロデカン(メタ)アクリレート化合物、2−エチル−2−ブチルプロパンジオール(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルカルビトール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、1−又は2−ナフチル(メタ)アクリレート、ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、エチレンオキシド(EO)変性クレゾール(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシ化フェニル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロヘンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールベンゾエート(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、ECH変性フェノキシ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、EO変性コハク酸(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、EO変性トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、トリドデシル(メタ)アクリレート、等が挙げられる。上市されている市販品の例としては、日立化成(株)製のFA−513AS(ジシクロペンタニルアクリレ−ト)、共栄社化学(株)製のライトアクリレートIB−XA(イソボロニルアクリレート)等を用いることができる。
単官能の(メタ)アクリル単量体のレンチキュラーレンズ用硬化性組成物中における含有量は、本発明の実施形態における効果を損なわない範囲であればよく、2官能以上4官能以下の(メタ)アクリル単量体の含有量にもよるが、例えば、レンチキュラーレンズ用硬化性組成物の総含有量100質量部に対して、1質量部以上50質量部以下の範囲とすることができる。
−ビニル化合物−
レンチキュラーレンズ用硬化性組成物は、ビニルピロリドン及びビニルカプロラクタムから選ばれる少なくとも一方のビニル化合物を含有する。ビニル化合物は、既述の樹脂基材との密着性の向上に寄与し、かつ、硬化物であるシリンドリカルレンズの、成形時における延伸性を向上させる。
これにより、硬化物であるシリンドリカルレンズは、樹脂基材から剥がれにくく、成形時に生じやすい亀裂(クラック)等の発生が抑制される。
ビニル化合物のレンチキュラーレンズ用硬化性組成物の全質量に対する含有量は、10質量%を超える範囲とする。ビニル化合物の含有量が上記範囲であることにより、樹脂基材に対する密着性がより優れたものとなり、硬化物(シリンドリカルレンズ)とした際の延伸性により優れたものとなる。
ビニル化合物の含有量としては、15質量%以上60質量%以下が好ましい。ビニル化合物の含有量の下限は、20質量%以上がより好ましく、25質量%以上が更に好ましく、30質量%以上が更に好ましい。また、ビニル化合物の含有量の上限については、40質量%以下がより好ましい。ビニル化合物の含有量は60質量%以下であることで、耐熱性がより高められ、硬化物であるシリンドリカルレンズの形状保持性を良好に保つことができ、レンズ形状を所望の形状のまま保持しやすい。
ビニル化合物のうち、ビニルピロリドンの例としては、N−ビニル−2−ピロリドン等が挙げられる。また、ビニルカプロラクタムの例としては、N−ビニル−ε−カプロラクタム等が挙げられる。
ビニル化合物の中でも、成形時における高温下での延伸性がより優れたものとなる点で、ビニルピロリドンが好ましい。
−光ラジカル重合開始剤−
レンチキュラーレンズ用硬化性組成物は、光ラジカル重合開始剤の少なくとも1種を含有する。光ラジカル重合開始剤は、光に曝されると、(メタ)アクリロイル基の重合反応を開始させる活性種としてラジカルを発生する化合物である。
光ラジカル重合開始剤としては、構造上の制限は特になく、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン 、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン等を挙げることができる。
光ラジカル重合開始剤は、上市されている市販品を用いてもよく、市販品の具体例として、BASF社製のイルガキュアシリーズ(例:IRGACURE TPO、IRGACURE 819、IRGACURE 651、IRGACURE 184、IRGACURE 1173、IRGACURE 2959、IRGACURE 127、IRGACURE 907等)が挙げられる。
光ラジカル重合開始剤は、一種単独で用いるほか、二種以上を混合して用いてもよい。 光ラジカル重合開始剤のレンチキュラーレンズ用硬化性組成物の全質量に対する含有量は、0.1質量部以上5質量部以下の範囲が好ましい。
光ラジカル重合開始剤の含有量が0.1質量部以上であると、重合反応が良好に進行し、耐熱性により優れた硬化物が得られる。また、光ラジカル重合開始剤は、含有量が5質量部を越える範囲で多く含有させても、含有量に見合う効果が期待できないため、5質量部以下であることが好ましい。
光ラジカル重合開始剤の含有量は、0.5質量部以上3質量部以下がより好ましく、1質量部以上3質量部以下が更に好ましい。
本発明の一実施形態のレンチキュラーレンズ用硬化性組成物では、本発明の実施形態における効果(耐熱性、延伸性及び密着性)の観点から、レンチキュラーレンズ用硬化性組成物の総含有量100質量部に対して、(メタ)アクリル樹脂の含有量が5質量部以上40質量部以下であり、多官能(メタ)アクリル単量体、及び単官能(メタ)アクリル単量体の合計含有量が1質量部以上75質量部以下であり、好ましくは、多官能(メタ)アクリル単量体の含有量が10質量部以上70質量部以下であり、単官能(メタ)アクリル単量体の含有量が15質量部以上75質量部以下であり、ビニル化合物の含有量が15質量部以上50質量部以下であり、かつ、光ラジカル重合開始剤の含有量が0.1質量部以上5質量部以下である組成に調製されることが好ましい。
また、本発明の一実施形態のレンチキュラーレンズ用硬化性組成物において、本発明の実施形態における効果(耐熱性、延伸性及び密着性)の観点から、特に、ビニル化合物としてビニルピロリドンを含有し、かつ、末端に(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリル樹脂の含有量を20質量部以上40質量部とした組成に調製されることがより好ましい。
−他の成分−
シリンドリカルレンズには、上記の成分以外に、必要に応じて、有機溶剤、無機粒子等の他の成分が含まれてもよい。
有機溶剤としては、トルエン、メチルエチルケトン等が挙げられる。本発明の実施形態では、上記の(メタ)アクリル単量体を含むため、(メタ)アクリル単量体が溶剤としての機能を兼ね、別途有機溶剤を含有していなくてもよい。
無機粒子としては、二酸化珪素(シリカ)等のいわゆるフィラーと称される粒子が挙げられる。無機粒子の例として、上市されている市販品として日産化学工業(株)製のオルガノシリカゾルMEK−STシリーズ(例:MEK−ST−40、MEK−ST−L等)が挙げられる。
<レンチキュラー成形体及びその製造方法>
本発明の実施形態のレンチキュラー成形体は、既述の本発明の実施形態のレンチキュラーシートを(好ましくは、熱成形又は真空成形などの手法により)成形して製造された成形体である。
本発明の一実施形態のレンチキュラー成形体は、既述のレンチキュラーシートを用いた方法であれば、成形方法に特に制限されるものではなく、好ましくは、レンチキュラーレンズ用硬化性組成物を成形し、かつ、活性エネルギー線を照射して硬化させ、樹脂基材上にシリンドリカルレンズを有するレンチキュラーシートを作製する工程(以下、「レンチキュラーシート作製工程」ともいう。)と、作製されたレンチキュラーシートを成形(好ましくは真空成形)することでレンチキュラー成形体を得る工程(以下、「成形工程」ともいう。)と、を有する方法(本発明の一実施形態のレンチキュラー成形体の製造方法)により製造される。
比較的高い温度に曝される成形に際して、既述の本発明の一実施形態のレンチキュラーシートが用いられるので、成形の際の熱で溶融して形状変形を生じにくく、かつ、成形時に延ばされた際に生じやすい亀裂(クラック)等の発生も抑えられる。
−レンチキュラーシート作製工程−
本実施形態におけるレンチキュラーシート作製工程では、レンチキュラーレンズ用硬化性組成物を成形し、かつ、活性エネルギー線を照射して硬化させ、樹脂基材上にシリンドリカルレンズを有するレンチキュラーシートを作製する。
レンチキュラーレンズ用硬化性組成物の詳細については既述の通りであり、好ましい態様も同様である。
レンチキュラーレンズ用硬化性組成物は、光ラジカル重合開始剤を含有するので、活性エネルギー線が照射されることでラジカルが発生し、(メタ)アクリル樹脂、多官能(メタ)アクリル単量体、及び単官能(メタ)アクリル単量体における(メタ)アクリロイル基の重合反応が進行することによって硬化する。これにより、レンチキュラーレンズ用硬化性組成物の硬化物であるシリンドリカルレンズが成形される。
シリンドリカルレンズの成形に当たり、レンチキュラーレンズ用硬化性組成物を硬化させる前にあらかじめ樹脂基材をレンチキュラーレンズ用硬化性組成物と接触させた後、レンチキュラーレンズ用硬化性組成物の硬化を行うようにしてもよい。樹脂基材とレンチキュラーレンズ用硬化性組成物とを接触させた状態で硬化させることで、硬化収縮による密着性の向上がより期待でき、組成に由来する密着効果に加え、樹脂基材に対する密着性の向上がより効果的に図られる。
シリンドリカルレンズの樹脂基材に対する密着の観点から、樹脂基材に接触されたレンチキュラーレンズ用硬化性組成物を硬化させることで、密着性により優れたシリンドリカルレンズを有するレンチキュラーシートが得られる。
本工程では、硬化前にまず、レンチキュラーレンズ用硬化性組成物を、目的とするシリンドリカルレンズの形状に成形する。成形は、目的とする形状が得られる方法であれば特に制限されないが、成形効率及び成形精度の観点から、金型又は木型等の型を用いた成形が好ましい。
具体的には、例えば、所望とするレンズ形状に加工された金型を用意し、金型にレンチキュラーレンズ用硬化性組成物を流し込み、必要に応じて乾燥させた後、レンチキュラーレンズ用硬化性組成物を硬化させてもよい。これにより、目的とする形状に成形された成形物が安定的に得られる。
活性エネルギー線としては、γ線、β線、電子線、紫外線、可視光線等が含まれる。
活性エネルギー線を発生させるための光源としては、水銀ランプ、メタルハライドランプ、UV蛍光灯、ガスレーザー、固体レーザー等が広く知られている。また、光源として半導体紫外発光デバイスを適用してもよく、小型、高寿命、高効率、及び低コストの点で、LED(Light Emitting Diode)及びLD(Laser Diode)も好適である。
光源としては、メタルハライドランプ、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、LED、又は青紫レーザーが好ましい。中でも、波長365nm、405nmもしくは436nmの光照射が可能な超高圧水銀ランプ、波長365nm、405nmもしくは436nmの光照射が可能な高圧水銀ランプ、又は、波長355nm、365nm、385nm、395nmもしくは405nmの光照射が可能なLEDがより好ましく、波長355nm、365nm、385nm、395nmもしくは405nmの光照射が可能なLEDが最も好ましい。
活性エネルギー線の照射量は、レンチキュラーレンズ用硬化性組成物の組成及び使用量により適宜選択すればよく、例えば、0.3J/cm2以上5J/cm2以下とすることができる。
活性エネルギー線の照射には、上記の活性エネルギー線を照射可能な光源を備えた公知の装置を選択して行うことができる。例えば、HOYA CANDEO OPTRONICS(株)製のEXECURE 3000等の紫外線(UV)照射装置を用いてもよい。
−成形工程−
本実施形態における成形工程では、レンチキュラーシート作製工程で作製されたレンチキュラーシートを成形する。本工程では、レンチキュラーシートを成形できればよく、金型等の型を用いた成型加工に供されてもよい。
成形は、熱成形又は真空成形などが好適に挙げられる。
真空成形する方法としては、特に制限されるものではないが、成形を、真空下の加熱した状態で行う方法による場合に、本発明の一実施形態のレンチキュラー成形体の製造方法で成形する効果が顕著に現れる。
真空とは、室内を真空引きし、100Pa以下の真空度とした状態を指す。
成形する際の温度は、60℃以上の高温の温度域が好ましく、80℃以上の温度域がより好ましく、100℃以上の温度域がさらに好ましい。成形する際の温度の上限は、一般に200℃が望ましい。
成形する際の温度とは、成形に供されるレンチキュラーシートの温度を指し、レンチキュラーシートの表面に熱電対を付すことで測定される。
上記の真空成形は、成形分野で広く知られている真空成形技術を利用して行うことができ、例えば、日本製図器工業(株)製のFormech508FSを用いて真空成形してもよい。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
(実施例1)
−硬化性組成物の調製−
以下に示す組成中の各成分を、表1に示す配合量で混合し、シリンドリカルレンズを作製するための硬化組成物を調製した。
<組成>
<多官能(メタ)アクリレート化合物>
・M−315(東亞合成(株)製:イソシアヌル酸EO変性トリアクリレート(イソシアヌル環構造を有する3官能アクリレート化合物))
<単官能(メタ)アクリレート化合物>
・FA−513AS(日立化成工業(株)製ファンクリルFA−513AS、ジシクロペンタニルアクリレート、ホモポリマーのTg=120℃)
<N−ビニル化合物>
・NVP(和光純薬工業(株)製:N−ビニルピロリドン)
<末端に(メタ)アクリロイル基を有する樹脂>
・AA−6(東亞合成(株)製:末端にメタクリロイル基を有するメタクリル樹脂(ポリメチルメタクリレート:PMMA)、Mn=6,000))
<光重合開始剤>
・イルガキュア184(Irg.184)(BASF社製:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)
・イルガキュアTPO(Irg.TPO)(BASF社製:2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド)(アシルフォスフィンオキサイド系の光ラジカル重合開始剤)
−レンチキュラーシートの作製−
まず、支持体16となる基材であるアクリル樹脂フィルム(アクリプレンHBS010P、フィルム厚125μm、三菱レイヨン(株)製)上に光硬化性樹脂を下記レンズ高さになるように塗布して、平坦な膜を形成した。
この後、形成された平坦な膜に、図1に示すように半円筒形状の表面を有する複数本の凸状レンズ部12Aを持つシリンドリカルレンズ12が並列したレンチキュラーレンズ14の形状〔高さ38μm、長手方向yの長さ80mm、1本のレンズ幅(レンズのピッチ)200LPI(Line Per Inch)〕に加工された金型(幅100mm×奥行100mm)を押し付けカマボコ(シリンドリカル)型に成型しながら、同時に、アクリル樹脂フィルムの上から紫外線(UV)を、UV照射装置(EXECURE 3000、HOYA CANDEO OPTRONICS(株)製)を用いて、UV照射量1.0J/cm2にて照射(露光)した。照射後、金型から剥ぎ取って脱型した。
脱型されたシリンドリカル成型物を、再度レンチキュラーレンズ14のシリンドリカルレンズ12の側からUV照射量1.0J/cm2を照射(露光)し、レンチキュラーシート11を作製した。こうして、レンズフィルム成型物の両面から露光して、架橋が十分に進んだシリンドリカルレンズ12が形成されたレンチキュラーシート11を作成できた。
なお、レンチキュラーレンズ14の高さは、以下の測定方法によって測定した。
本発明では、シリンドリカルレンズ12の曲率形状が確認できる範囲で凸状レンズ部12Aの高さを定義するので、レンチキュラーシート11のシート断面を切削して、光学顕微鏡で高さを測定する。なお、レンチキュラーシート11をシリンドリカルレンズ12と垂直方向に裁断して、光学顕微鏡で高さを測定しても良い。ランダムに10本(N=10)のシリンドリカルレンズ12についてレンチキュラーシート11の高さを測定し、その平均を高さとした。
レンチキュラーシート11の高さの好ましい範囲は、レンチキュラーレンズ14の形状によって異なるが、本発明においては、レンチキュラーレンズ14の高さ38μmにおいて好ましい範囲は38μm±5μmである。これによりチェンジング等の効果がより鮮明に起こる。
(実施例2〜4、比較例1〜2)
実施例1において、露光量としてのUV照射量を1.0J/cm2から、表1に示す照射量に変更して、表2に示すように、破断応力を調整した以外は、実施例1と同様にして、レンチキュラーシート11を作製した。
(実施例5)
−硬化性組成物の調製−
以下に示す組成中の各成分を、表1に示す配合量で混合し、シリンドリカルレンズを作製するための硬化組成物を調製した。
<組成>
<多官能(メタ)アクリレート化合物>
・M−315(東亞合成(株)製:イソシアヌル酸EO変性トリアクリレート(イソシアヌル環構造を有する3官能アクリレート化合物))
<単官能(メタ)アクリレート化合物>
・M−106(東亞合成(株)製:o−フェニルフェノールEO変性(n≒1)アクリレート)
<N−ビニル化合物>
・NVP(和光純薬工業(株)製:N−ビニルピロリドン)
<光重合開始剤>
・イルガキュア184(Irg.184)(BASF社製:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)
・イルガキュアTPO(Irg.TPO)(BASF社製:2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド)(アシルフォスフィンオキサイド系の光ラジカル重合開始剤)
−レンチキュラーシートの作製−
調整した硬化性組成物を変えた以外は、実施例1と同様の金型を用い、実施例1と同様にして、表2に示すように、実施例1と屈折率が異なるレンチキュラーシートを作製した。
(実施例6〜12)
実施例1において、支持体(樹脂基材)16に対する金型の設置条件を変更・調整して、シリンドリカルレンズ12のオフセット部12Bの厚みを、表2に示すように調整した以外は、実施例1と同様にして、レンチキュラーシートを作製した。
(実施例13〜16)
表2に示すように、シリンドリカルレンズ12の凸状レンズ部12Aの曲率半径を調整した金型を用いた以外は、実施例1と同様にして、レンチキュラーシートを作製した。
(評価)
上記で作製した実施例1〜16、及び比較例1〜2のレンチキュラーシート11に対して、それぞれ以下の評価を行った。評価結果は、下記表2に示す。
−1.耐破断性(さばきに対する破断性)−
各実施例、又は各比較例の複数のレンチキュラーシート間に空気を入れる「さばき」を行い、さばきにより発生したレンチキュラーシートの破断率を計算し、破断応力とレンズオフセットの両方を踏まえた上での耐破断性を評価した。
手順
100枚のレンチキュラーシートを重ねて持った。両側から用紙を内側に曲げ用紙の広がった部分を人差し指で押えた。人差し指で押えたまま、親指で内側の用紙を押えた。 人差し指・親指で用紙を押えたまま用紙を立てると、用紙と用紙の間にすき間ができ、空気が入り、シートがさばくことができた。そのまま落して用紙を揃えた。
逆側も同様の手順でさばきを行った。破断が生じた枚数をカウントして、100枚で割って破断率を計算した。
評価基準
A:破断率が3%未満
B:破断率が3%以上5%未満
C:破断率が5%以上8%未満
D:破断率が8%以上10%未満
E:破断率が10%以上
−2.画質(クロストーク量)−
各実施例、又は各比較例のレンチキュラーシートのシリンドリカルレンズ12毎に対して、図3に示すように、A(表示用画像列18A)とB(表示用画像列18B)の画像を形成し、シリンドリカルレンズ12を通して、AとBの画像の輝度値Y(A)、及びY(B)を角度毎に計測し、下記式(1)、及び(2)からクロストーク量XA(θ)、及びXB(θ)を計算して、評価した。
XA(θ)=YB/YA*100 (YB≦YA) ……(1)
XB(θ)=YB/YA*100 (YA≦YB) ……(2)
クロストーク量XA(θ)、及びXB(θ)が小さいほど、画像の混在が少ないことを示す。
評価基準
A :10%未満
B :10%以上15%未満
C :25%以上20%未満
D :20%以上25%未満
E :25%以上
表2に示すように、比較例1及び2では、耐破断性1の評価がEで破断率が10%以上であるのに対し、本発明の実施例1〜16においては、耐破断性1の評価はA〜Dであり破断率が10%未満であることから、本発明の効果は明らかである。
また、表2に示すように、本発明の実施例1〜10、及び13〜16のように、破断応力は、本発明の範囲にあり、オフセット部の厚みも本発明の好ましい範囲にある場合には、耐破断性1の評価はA〜Cであり破断率が8%未満であることから、本発明の効果は明らかである。
また、表2に示すように、本発明の実施例1、及び7のように、破断応力及びオフセット部の厚みが共に最適範囲にあり、曲率半径も適切な値である場合には、耐破断性及び画質の評価はともにAであり、耐破断性と画質との両立が図れていることが分かる。
以上から、本発明の効果は明らかである。
本発明のレンチキュラーシートは、平面物だけでなく立体物にもレンチキュラーレンズの効果を持たせ、立体視(3D)効果、又はチェンジング効果を持ち、加飾性が高い玩具等の玩具体、印刷加飾フィルム等の印刷物、印刷加飾製品、装飾材、または電飾装置等に用いることができる。
10 レンチキュラー加飾シート
11 レンチキュラーシート
12、22 シリンドリカルレンズ
12A 凸状レンズ部
12B オフセット部
14 レンチキュラーレンズ
16 支持体(樹脂基材)
18 レンチキュラー画像
18A、18B・・・表示用画像列
20 記録層
A、B 画像
x レンズの幅方向
y レンズの長手方向
z レンズの高さ方向
δ オフセット部の厚み

Claims (10)

  1. 樹脂基材と、
    前記樹脂基材の少なくとも一方面に配置されたシリンドリカルレンズと、を有するレンチキュラーシートであって、
    前記シリンドリカルレンズは、前記樹脂基材の側に配置されるオフセット部と、該オフセット部に設けられるレンズ部と、を有し、
    100℃での破断応力が4.0MPa以上24.0MPa以下であることを特徴とするレンチキュラーシート。
  2. 前記シリンドリカルレンズの前記オフセット部の厚みが、4.0μm以上16.0μm以下である請求項1に記載のレンチキュラーシート。
  3. 前記シリンドリカルレンズの前記レンズ部のレンズ曲率半径が、68μm〜78μmである請求項1又は2に記載のレンチキュラーシート。
  4. 前記破断応力が、6.0MPa以上16.0MPa以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載のレンチキュラーシート。
  5. 前記シリンドリカルレンズの前記オフセット部の厚みが、8.0μm以上16.0μm以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載のレンチキュラーシート。
  6. 前記破断応力が、7.0MPa以上9.0MPa以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載のレンチキュラーシート。
  7. 前記シリンドリカルレンズの前記オフセット部の厚みが、10.0μm以上14.0μm以下である請求項1〜6のいずれか1項に記載のレンチキュラーシート。
  8. 前記レンズ曲率半径が、72±2.5μmである請求項1〜7のいずれか1項に記載のレンチキュラーシート。
  9. 前記シリンドリカルレンズは、架橋構造を有する硬化樹脂と、ピロリドン骨格、及びカプロラクタム骨格から選ばれる少なくとも一方の骨格と、を含む請求項1〜8のいずれか1項に記載のレンチキュラーシート。
  10. 前記硬化樹脂は、極性3官能モノマーと、単官能モノマーとを含む請求項9に記載のレンチキュラーシート。
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