JP2019019276A - 立体成型に用いられるシート用硬化性組成物、立体成型用積層シート及びその製造方法、並びに、3次元構造物及びその製造方法 - Google Patents

立体成型に用いられるシート用硬化性組成物、立体成型用積層シート及びその製造方法、並びに、3次元構造物及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】硬化後の耐摩耗性及び高温延伸性に優れる立体成型に用いられるシート用硬化性組成物、立体成型用積層シート及びその製造方法、立体成型用積層シートを立体成型した3次元構造物及びその製造方法の提供。
【解決手段】式1で表される化合物、2官能以上の(メタ)アクリレート化合物、及び、光ラジカル重合開始剤を含み、ウレタン(メタ)アクリレート化合物の含有量が、硬化性組成物の全質量に対し、4質量%未満であり、硬化物の架橋点間分子量が50〜2,000以下g/molである立体成型に用いられるシート用硬化性組成物。

(XはH又はメチル基;Lはエチレン基、1,2−プロピレン基又は1,3−プロピレン基)
【選択図】図1

Description

本開示は、立体成型に用いられるシート用硬化性組成物、立体成型用積層シート及びその製造方法、並びに、3次元構造物及びその製造方法に関する。
従来、硬化性組成物は、重合性化合物と重合開始剤とを含有し、熱や光などにより重合反応を起こすことにより硬化し、様々な用途で幅広く用いられている。
また、硬化性組成物を硬化して得られる硬化物を積層した積層シートは、光学部材、ガスバリアフィルム、保護フィルム、光学フィルタ、反射防止フィルム等、広く利用されている。
更に、硬化性組成物を硬化して得られる硬化物は、反射防止膜、透明画素、透明絶縁膜、平坦化膜などの種々の部材に用いられる。
近年、光学部材の種類は多岐にわたり、上記光学部材における光学構造は、例えば、表面形状が平坦なものに限らず、液晶用バックライトの輝度向上レンズや拡散レンズ、ビデオプロジェクションテレビのスクリーンに用いられるフレネルレンズ、マイクロレンズなどが挙げられる。こうしたデバイスでは主に樹脂材料により微細構造をなすことで所望の幾何光学的な性能を得ている。
また、上記光学構造としては、見る角度によって異なる画像を表示する媒体として、半円筒形の表面を有する凸状レンズが並列したレンチキュラーレンズを用いたレンチキュラーシートが知られている。
レンチキュラーシートは、一般に、レンチキュラーレンズの裏面側(凸状レンズの半円筒形の表面と反対側の面)に、インターレースされた複数の画像を組合せた画像列群(レンチキュラー画像)が配置され、画像列群をレンチキュラーレンズを通して観察した場合に、観察する角度によって画像列群のうちの1種又は2種以上の画像を表示することができる。
そのため、光学材料及び光学スクリーン等をはじめ、様々な商業用途での利用が期待されている。ところが、従来から提案されている用途は、シート又はフィルム等の2次元形態での利用がほとんどであり、立体形状に成形された3次元形態への適用は多くない。
3次元形態への適用が試みられた技術としては、例えば、光学スクリーン用樹脂材料を成型した光学スクリーン用シートに係る発明が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
一方、光学用途の例として、形状精度等に優れた光導波路の作製において、(メタ)アクリロイル基を有するマクロマー、アクリレート、及び重合開始剤等を含有する硬化性組成物を用いる技術が開示されている(例えば、特許文献2参照)。また、フィルム用途において硬化性組成物を適用する例として、多官能アクリレート、シリカ粒子、及び高分子量モノマー等を含有する組成によりハードコート性を付与する技術に関する開示がある(例えば、特許文献3参照)。
また、特許文献4には、ウレタン(メタ)アクリレート化合物を含む光硬化型樹脂組成物が開示されている。
特開2005−206742号公報 特開2008−116971号公報 特開2001−287308号公報 特開2016−74884号公報
しかしながら、従来より提案されているウレタン(メタ)アクリレート化合物を多く含む硬化性組成物では、硬化後の高温延伸性には優れるが、硬化後の耐摩耗性が不足しており、硬化後の耐摩耗性及び高温延伸性を両立できていなかった。また、耐摩耗性については、多官能(メタ)アクリレート化合物によって架橋密度を上げることで達成できるが、従来の硬化性組成物では、基材に対して破断応力が大きく、積層体での延伸性は不足しており、硬化後の耐摩耗性及び高温延伸性を両立できていなかった。
本発明の一実施形態が解決しようとする課題は、硬化後の耐摩耗性及び高温延伸性に優れる立体成型に用いられるシート用硬化性組成物を提供することである。
本発明の他の実施形態が解決しようとする課題は、耐摩耗性及び高温延伸性に優れる立体成型用積層シート及びその製造方法を提供することである。
本発明の更に他の実施形態は、上記立体成型用積層シートを立体成型した3次元構造物及びその製造方法を提供することである。
上記課題を解決するための手段には、以下の態様が含まれる。
<1> 下記式1で表される化合物、2官能以上の(メタ)アクリレート化合物、及び、光ラジカル重合開始剤を含み、ウレタン(メタ)アクリレート化合物を含有しないか、又は、ウレタン(メタ)アクリレート化合物の含有量が、硬化性組成物の全質量に対し、0質量%を超え4質量%未満であり、得られる硬化物の架橋点間分子量が50g/mol以上2,000以下g/molである立体成型に用いられるシート用硬化性組成物。
式1中、Xは水素原子又はメチル基を表し、Lはエチレン基、1,2−プロピレン基又は1,3−プロピレン基を表す。
<2> 硬化物の100℃における破断応力が、0.1MPa以上15MPa以下である上記<1>に記載のシート用硬化性組成物。
<3> 上記式1で表される化合物の含有量が、硬化性組成物の全質量に対し、5質量%以上30質量%以下である上記<1>又は<2>に記載のシート用硬化性組成物。
<4> 上記2官能以上の(メタ)アクリレート化合物が、イソシアヌル環構造を有する2官能以上の(メタ)アクリレート化合物を含む上記<1>〜<3>のいずれか1つに記載のシート用硬化性組成物。
<5> 上記2官能以上の(メタ)アクリレート化合物が、イソシアヌル環構造を有する3官能(メタ)アクリレート化合物を含む上記<1>〜<4>のいずれか1つに記載のシート用硬化性組成物。
<6> 上記2官能以上の(メタ)アクリレート化合物の含有量が、硬化性組成物の全質量に対し、10質量%以上60質量%以下である上記<1>〜<5>のいずれか1つに記載のシート用硬化性組成物。
<7> 上記イソシアヌル環構造を有する2官能以上の(メタ)アクリレート化合物の含有量が、硬化性組成物の全質量に対し、10質量%以上60質量%以下である上記<4>に記載のシート用硬化性組成物。
<8> N−ビニル化合物を更に含む上記<1>〜<7>のいずれか1つに記載のシート用硬化性組成物。
<9> 上記N−ビニル化合物が、N−ビニルピロリドン、及び、N−ビニルカプロラクタムよりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物である上記<8>に記載のシート用硬化性組成物。
<10> 上記N−ビニル化合物の含有量が、硬化性組成物の全質量に対し、5質量%以上40質量%以下である上記<8>又は<9>に記載のシート用硬化性組成物。
<11> 末端に(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリル樹脂を含む上記<1>〜<10>のいずれか1つに記載のシート用硬化性組成物。
<12> 上記<1>〜<11>のいずれか1つに記載のシート用硬化性組成物の硬化物を有する立体成型用積層シート。
<13> 上記<12>に記載の立体成型用積層シートの立体成型物である3次元構造物。
<14> 基材上に上記<1>〜<11>のいずれか1つに記載のシート用硬化性組成物を付与する工程と、付与した上記シート用硬化性組成物を活性放射線を照射して硬化させる工程とを含む立体成型用積層シートの製造方法。
<15> 上記<12>に記載の立体成型用積層シートを立体成型する工程を含む3次元構造物の製造方法。
本発明の一実施形態によれば、硬化後の耐摩耗性及び高温延伸性に優れる立体成型に用いられるシート用硬化性組成物を提供することができる。
また、本発明の他の実施形態によれば、耐摩耗性及び高温延伸性に優れる立体成型用積層シート及びその製造方法を提供することができる。
更に、本発明の更に他の実施形態によれば、上記立体成型用積層シートを立体成型した3次元構造物及びその製造方法を提供することができる。
本開示におけるレンチキュラーシートの一例を示す概略図である。
以下、本開示について詳細に説明する。
なお、本明細書中、「xx〜yy」の記載は、xx及びyyを含む数値範囲を表す。
本明細書において、「(メタ)アクリル」は、アクリル及びメタクリルの両方を包含する概念で用いられる語であり、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイル及びメタクリロイルの両方を包含する概念として用いられる語である。
また、本明細書中の「工程」の用語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても、その工程の所期の目的が達成されれば本用語に含まれる。
本開示におけるアルキル基、アリール基、アルキレン基及びアリーレン基等の炭化水素基は、特に断りのない限り、分岐を有していても、環構造を有していてもよい。
また、本開示において、「質量%」と「重量%」とは同義であり、「質量部」と「重量部」とは同義である。
また、本開示において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
また、本開示における重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、特に断りのない限り、TSKgel GMHxL、TSKgel G4000HxL、TSKgel G2000HxL(何れも東ソー(株)製の商品名)のカラムを使用したゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)分析装置により、溶媒THF(テトラヒドロフラン)、示差屈折計により検出し、標準物質としてポリスチレンを用いて換算した分子量である。
(立体成型に用いられるシート用硬化性組成物)
本開示に係る立体成型に用いられるシート用硬化性組成物(以下、単に「硬化性組成物」ともいう。)は、下記式1で表される化合物、2官能以上の(メタ)アクリレート化合物、及び、光ラジカル重合開始剤を含み、ウレタン(メタ)アクリレート化合物を含有しないか、又は、ウレタン(メタ)アクリレート化合物の含有量が、硬化性組成物の全質量に対し、0質量%を超え4質量%未満であり、得られる硬化物の架橋点間分子量が50g/mol以上2,000以下g/molである。
式1中、Xは水素原子又はメチル基を表し、Lはエチレン基、1,2−プロピレン基又は1,3−プロピレン基を表す。
本発明者らが詳細な検討を行った結果、上記硬化性組成物とすることにより、硬化後の耐摩耗性及び高温延伸性(100℃又は150℃)に優れることを見出した。
詳細な機構は不明であるが、上記式1で表される化合物は、ヒドロキシ基を有し、かつ低分子量の単官能(メタ)アクリレート化合物であることから、硬化後の硬化物において、硬化した(メタ)アクリレート化合物等のカルボニル基などと水素結合が生じ、硬化物の強度が向上するとともに、硬化物における架橋密度は上昇しないため、立体成型時の硬化物の破断応力の上昇を抑制でき、高温延伸した際に硬化物中及び基材で応力を分散しつつ延伸できることから、破断無く延伸でき、耐摩耗性と高温延伸性とが両立できるものと推定している。
また、ウレタン(メタ)アクリレート化合物の含有量を抑制し、かつ、得られる硬化物の架橋点間分子量が50g/mol以上2,000以下g/molであることにより、硬化後の耐摩耗性と維持しながら、硬化後の柔軟性を確保し、硬化後の高温延伸性に優れると推定している。
本開示に係る硬化性組成物を硬化して得られる硬化物の架橋点間分子量は、20g/mol以上2,000g/mol以下であり、耐摩耗性及び高温成型性の観点から、50g/mol以上1,400g/mol以下であることが好ましく、100g/mol以上1,200g/mol以下であることがより好ましい。
また、本開示に係る硬化性組成物を硬化して得られる硬化物の架橋点間分子量は、高温延伸性の観点からは、1,000g/mol以上2,000g/mol以下であることが好ましく、1,400g/mol以上2,000g/mol以下であることがより好ましい。
なお、架橋点間分子量とは、架橋構造の網目の大きさを示す。
本開示における架橋点間分子量は、以下の方法により測定するものとする。
硬化性組成物を疎水化処理したガラス板で挟み込み、紫外線(UV)照射装置(EXECURE 3000、HOYA CANDEO OPTRONICS(株)製)を用い、アクリル樹脂フィルム(アクリプレンHBS010P、フィルム厚125μm、三菱レイヨン(株)製)越しに1.0J/cm、表裏を返して上記アクリル樹脂フィルム無しで再度UV照射量1.0J/cmにてUV照射し、硬化物単膜を作製する。上記単膜の膜厚は50μmとする。
23℃50%RHで24時間調湿を行った硬化物単膜を、長さ25mm×幅5mmの大きさで打ち抜き、サンプル片を作製する。サンプル片をゴム領域となる温度(250℃)まで昇温し、DMA(Dynamic Mechanical Analyzer:(株)ユービーエム製Rheogel-E4000HP)を用い、10Hzで0.01%の歪みを与えて測定し貯蔵弾性率(E’)を求める。
続いて、下記式を用い、架橋点間分子量(Mc)を求める。
Mc=3×ρ×R×T/E’
Mc=g/mol、ρ(密度)=g/cm、R(ガス定数)=J/(mol・K)、
T(測定温度)=K、E’=Pa
また、上記硬化物の架橋点間分子量の分布が、1%以上30%以下であることが好ましく、2%以上25%以下であることがより好ましく、3%以上20%以下であることが更に好ましい。上記分布が1%以上であると、立体成型性により優れ、また、上記分布が30%以下であると、耐摩耗性により優れる。
本開示における架橋点間分子量の分布は、以下の方法により測定するものとする。
上記架橋点間分子量の測定に使用するサンプル片10個について上記架橋点間分子量の測定を行い、10個のサンプル片で測定した架橋点間分子量の各値において、最大値と最小値との差を平均値で割り、百分率で示した値を架橋点間分子量の分布とする。
本開示に係る硬化性組成物を硬化して得られる硬化物の100℃における破断応力は、耐摩耗性及び高温成型性の観点から、0.1MPa以上15MPa以下であることが好ましく、1MPa以上15MPa以下であることがより好ましく、5.5MPa以上12MPa以下であることが更に好ましい。
また、本開示に係る硬化性組成物を硬化して得られる硬化物の150℃における破断応力は、耐摩耗性及び高温成型性の観点から、0.1MPa以上15MPa以下であることが好ましく、0.1MPa以上10MPa以下であることがより好ましく、1MPa以上8MPa以下であることが更に好ましい。
本開示における破断応力は、以下の方法により測定するものとする。
硬化性組成物を疎水化処理したガラス板で挟み込み、紫外線(UV)照射装置(EXECURE 3000、HOYA CANDEO OPTRONICS(株)製)を用い、アクリル樹脂フィルム(アクリプレンHBS010P、フィルム厚125μm、三菱レイヨン(株)製)越しに1.0J/cm、表裏を返して上記アクリル樹脂フィルム無しで再度UV照射量1.0J/cmにてUV照射し、硬化物単膜を作製する。上記単膜の膜厚は200μmとする。
23℃50%RHで24時間調湿を行った硬化物単膜を、長さ50mm×幅10mmの大きさで打ち抜き、サンプル片を作製し、引張試験を行う。装置はTENSILON RTC−1225A(エー・アンド・デイ社製)、測定条件:チャック間距離30mm、温度:100℃又は150℃、引張速度:1mm/sec(秒)。
また、本開示に係る硬化性組成物を硬化して得られる硬化物のガラス転移温度(Tg)は、立体成型性及び耐摩耗性の観点から、90℃を超えることが好ましく、95℃以上200℃以下であることがより好ましく、100℃以上180℃以下であることが更に好ましい。
本開示における硬化物や樹脂等のガラス転移温度(Tg)は、ASTMD3418−8に準拠して、示差走査熱量計(パーキンエルマー社製:DSC−7)を用い、測定された主体極大ピークより求めることができる。この装置(DSC−7)の検出部の温度補正はインジウムと亜鉛との融点を用い、熱量の補正にはインジウムの融解熱を用いる。サンプルは、アルミニウム製パンを用い、対照用に空パンをセットする。昇温速度10℃/minで昇温し、200℃で5分間ホールドし、200℃から20℃まで液体窒素を用いて−10℃/分で降温し、20℃で5分間ホールドし、再度20℃から200まで10℃/分で昇温して得られた、2度目の昇温時の吸熱曲線から解析したオンセット温度をTgとした。
以下、本開示に係る硬化性組成物に用いられる各成分について、詳述する。
<式1で表される化合物>
本開示に係る硬化性組成物は、上記式1で表される化合物を含む。
式1におけるLは、耐摩耗性及び高温成型性の観点から、エチレン基又は1,2−プロピレン基であることが好ましく、エチレン基であることがより好ましい。
式1におけるLが1,2−プロピレン基である場合、1,2−プロピレン基における1位は、ヒドロキシ基と結合していてもよいし、(メタ)アクリロキシ基と結合していてもよい。
Xは、水素原子であっても、メチル基であってもよい。すなわち、式1で表される化合物は、アクリロキシ基を有していても、メタクリロキシ基を有していてもよい。
中でも、上記式1で表される化合物は、耐摩耗性及び高温成型性の観点から、2−ヒドロキシエチルアクリレート及び2−ヒドロキシエチルメタクリレートよりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
本開示に係る硬化性組成物は、上記式1で表される化合物を、1種単独で含んでいても、2種以上を含んでいてもよい。
本開示に係る硬化性組成物における上記式1で表される化合物の含有量としては、硬化後の耐摩耗性及び高温延伸性の観点から、硬化性組成物の全質量に対して、1質量%以上50質量%以下が好ましく、5質量%以上30質量%以下がより好ましく、10質量%以上28質量%以下が更に好ましく、15質量%以上28質量%以下が特に好ましい。
<2官能以上の(メタ)アクリレート化合物>
本開示に係る硬化性組成物は、2官能以上の(メタ)アクリレート化合物を含有する。
2官能以上の(メタ)アクリレート化合物としては、硬化後の耐摩耗性及び高温延伸性の観点から、環構造を有する2官能以上の(メタ)アクリレート化合物を含むことが好ましく、イソシアヌル環構造を有する2官能以上の(メタ)アクリレート化合物を含むことがより好ましく、イソシアヌル環構造を有する3官能(メタ)アクリレート化合物を含むことが特に好ましい。
上記環構造としては、特に制限はないが、ヘテロ原子を環員として一部有していてもよい脂肪族炭化水素環構造、及び、ヘテロ原子を環員として一部有していてもよい脂肪族炭化水素環を2以上縮環した縮合環構造が好ましく挙げられる。また、上記脂肪族炭化水素環は、5員環又は6員環であることが好ましい。
上記ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子、及び、硫黄原子が挙げられ、窒素原子が特に好ましい。
中でも、上記環構造としては、硬化後の耐摩耗性及び高温延伸性の観点から、イソシアヌル環構造、トリシクロデカン環構造、トリアジン環、及び、シクロヘキサン環構造よりなる群から選ばれた少なくとも1つの環構造が好ましく、イソシアヌル環構造、又は、トリシクロデカン環構造がより好ましく、イソシアヌル環構造が特に好ましい。
上記環構造を有する2官能以上の(メタ)アクリレート化合物は、2官能以上であれば特に制限はないが、硬化後の耐摩耗性及び高温延伸性の観点から、3官能〜6官能であることが好ましく、3官能又は4官能であることがより好ましく、3官能であることが特に好ましい。
上記環構造を有する2官能以上の(メタ)アクリレート化合物として具体的には、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリロキシアルキル化イソシアヌレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド(以下、エチレンオキサイドを「EO」ともいう。)変性トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
中でも、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレートが特に好ましい。
上記環構造を有する2官能以上の(メタ)アクリレート化合物以外の2官能以上の(メタ)アクリレート化合物の具体例としては、ジエチレングリコールモノエチルエーテルジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エピクロロヒドリン(以下、「ECH」ともいう。)変性1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、アリロキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ECH変性ヘキサヒドロフタル酸ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、EO変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド(以下、「PO」ともいう。)変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ステアリン酸変性ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ECH変性フタル酸ジ(メタ)アクリレート、ECH変性プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、シリコーンジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、EO変性トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリグリセロールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ECH変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、EO変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、PO変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、EO変性リン酸トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジグリセリンエチレンオキサイド(EO)変性(メタ)アクリレート等が挙げられる。
2官能以上の(メタ)アクリレート化合物の分子量は、200以上1,500以下であることが好ましい。
本開示に係る硬化性組成物は、2官能以上の(メタ)アクリレート化合物を、1種単独で含んでいても、2種以上を含んでいてもよい。
本開示に係る硬化性組成物における2官能以上の(メタ)アクリレート化合物の含有量としては、硬化後の耐摩耗性及び高温延伸性の観点から、硬化性組成物の全質量に対して、5質量%以上70質量%以下が好ましく、10質量%以上65質量%以下がより好ましく、10質量%以上60質量%以下であることが更に好ましく、15質量%以上60質量%以下であることが特に好ましい。
また、本開示に係る硬化性組成物におけるイソシアヌル環構造を有する2官能以上の(メタ)アクリレート化合物の含有量としては、硬化後の耐摩耗性及び高温延伸性の観点から、硬化性組成物の全質量に対して、5質量%以上70質量%以下が好ましく、10質量%以上65質量%以下がより好ましく、10質量%以上60質量%以下であることが更に好ましく、15質量%以上60質量%以下であることが特に好ましい。
<光ラジカル重合開始剤>
本開示に係る硬化性組成物は、光ラジカル重合開始剤を含む。
光ラジカル重合開始剤としては、構造上の制限は特になく、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン等を挙げることができる。
光ラジカル重合開始剤は、上市されている市販品を用いてもよく、市販品の具体例として、BASF社製のイルガキュアシリーズ(例:IRGACURE TPO、IRGACURE 819、IRGACURE 651、IRGACURE 184、IRGACURE 1173、IRGACURE 2959、IRGACURE 127、IRGACURE 907等)が挙げられる。
本開示に係る硬化性組成物は、光ラジカル重合開始剤を、1種単独で含んでいても、2種以上を含んでいてもよい。
本開示に係る硬化性組成物における光ラジカル重合開始剤の含有量としては、硬化後の耐摩耗性及び高温延伸性の観点から、硬化性組成物の全質量に対して、0.05質量%以上10質量%以下が好ましく、0.1質量%以上10質量%以下がより好ましく、0.1質量%以上5質量%以下が更に好ましく、0.5質量%以上3質量%以下が特に好ましい。
<ウレタン(メタ)アクリレート化合物>
本開示に係る硬化性組成物は、ウレタン(メタ)アクリレート化合物を含有しないか、又は、ウレタン(メタ)アクリレート化合物の含有量が、硬化性組成物の全質量に対し、0質量%を超え4質量%未満である。
本開示におけるウレタン(メタ)アクリレート化合物は、1以上のウレタン結合及び1以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物である。
ウレタン(メタ)アクリレート化合物は、単官能であっても、多官能であってもよいが、2官能〜15官能のものが好ましく挙げられる。
また、ウレタン(メタ)アクリレート化合物の重量平均分子量は、1,000以上100,000以下であることが好ましい。
ウレタン(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチルグリコール等のポリエーテルポリオール;コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、テトラヒドロ(無水)フタル酸、ヘキサヒドロ(無水)フタル酸等の二塩基酸とエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等のジオールの反応によって得られるポリエステルポリオール;ポリε−カプロラクトン変性ポリオール;ポリメチルバレロラクトン変性ポリオール;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等のアルキルポリオール;エチレンオキシド付加ビスフェノールA、プロピレンオキシド付加ビスフェノールA等のビスフェノールA骨格アルキレンオキシド変性ポリオール;エチレンオキシド付加ビスフェノールF、プロピレンオキシド付加ビスフェノールF等のビスフェノールF骨格アルキレンオキシド変性ポリオール、又はそれらの混合物とトリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の有機ポリイソシアネートと2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートから製造されるウレタン(メタ)アクリレート化合物、1,5,5−トリメチル−1−[(1−メタクリロイルオキシプロパン−2−イル)カルバモイルメチル]−3−(1−メタクリロイルオキシプロパン−2−イル)カルバモイルシクロヘキサン、1,5,5−トリメチル−1−[(2−メタクリロイルオキシエチル)カルバモイルメチル]−3−(2−メタクリロイルオキシエチル)カルバモイルシクロヘキサン等が挙げられる。
また、ウレタン(メタ)アクリレート化合物の市販品としては、日本合成化学工業(株)製の紫光シリーズ、新中村化学工業(株)製のU−2PPA、U−4HA、U−6HA、U−6LPA、U−15HA、U−324A、UA−122P、UA5201、UA−512等;サートマー・ジャパン(株)製のCN964A85、CN964、CN959、CN962、CN963J85、CN965、CN982B88、CN981、CN983、CN996、CN9002、CN9007、CN9009、CN9010、CN9011、CN9178、CN9788、CN9893、ダイセル・サイテック(株)製のEB204、EB230、EB244、EB245、EB270、EB284、EB285、EB810、EB4830、EB4835、EB4858、EB1290、EB210、EB215、EB4827、EB4830、EB4849、EB6700、EB204、EB8402、EB8804、EB8800−20R等が挙げられる。
本開示に係る硬化性組成物は、ウレタン(メタ)アクリレート化合物を、1種単独で含んでいても、2種以上を含んでいてもよいが、含まないことが好ましい。
本開示に係る硬化性組成物は、硬化後の耐摩耗性及び高温延伸性の観点から、ウレタン(メタ)アクリレート化合物を、含有しないか、又は、その含有量が、硬化性組成物の全質量に対して、2質量%以下であることが好ましく、含有しないか、又は、その含有量が、硬化性組成物の全質量に対して、1質量%以下であることがより好ましく、含有しないことが特に好ましい。
<<窒素原子を含む官能基及び重合性基を有する重合性化合物>>
本開示に用いられる硬化性組成物は、硬化後の耐摩耗性及び高温延伸性の観点から、上記2官能以上の(メタ)アクリレート化合物以外の、窒素原子を含む基及び重合性基を有する重合性化合物(以下、「特定重合性化合物」ともいう。)を含有することが好ましい。
ここで、「重合性基」とは、エチレン性不飽和結合を有する基であることが好ましい。
中でも、特定重合性化合物としては、硬化後の耐摩耗性及び高温延伸性の観点から、N−ビニル化合物、及び、後述する式(I)又は式(II)で表される化合物よりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物であることが好ましく、N−ビニル化合物、及び、後述する式(II)で表される化合物よりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物であることがより好ましく、N−ビニル化合物を含むことが更に好ましく、N−ビニルピロリドン、及び、N−ビニルカプロラクタムよりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物であることが特に好ましい。
N−ビニル化合物としては、硬化後の耐摩耗性及び高温延伸性の観点から、N−ビニルピロリドン、及び、N−ビニルカプロラクタムよりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
N−ビニルピロリドンの例としては、N−ビニル−2−ピロリドン等が挙げられる。また、N−ビニルカプロラクタムの例としては、N−ビニル−ε−カプロラクタム等が挙げられる。
特定重合性化合物の分子量としては、硬化後の耐摩耗性及び高温延伸性の観点から、300以下が好ましく、250以下がより好ましく、150以下が更に好ましく、100以下が特に好ましい。なお、特定重合性化合物の分子量の下限値は、特に制限はないが、50以上であることが好ましい。
特定重合性化合物の分子量は、化学式から算術計算により求められる。
特定重合性化合物は、SP値の極性項の成分(δp)が5MPa(1/2)〜15MPa(1/2)の範囲であることが好ましい。重合性化合物のδpが、基材のδpと近いと優れた密着性を示す。この場合、基材としては、δpが5MPa(1/2)〜15MPa(1/2)である樹脂基材が好ましい。樹脂基材の詳細については後述する。基材が例えばポリメチルメタクリレート(PMMA)の場合、PMMAのδpは10.5MPa(1/2)であるため、特定重合性化合物を含むことによる、硬化物の基材への密着向上の効果が高い。
特定重合性化合物のδpとしては、7MPa(1/2)〜13MPa(1/2)が好ましく、10.5MPa(1/2)〜11MPa(1/2)が好ましい。
SP値の極性項の成分(δp)は、Hansen溶解度パラメーターにより算出される値である。Hansen溶解度パラメーターは、分子間の分散力エネルギー(δd)、分子間の極性エネルギー(δp)、及び分子間の水素結合性エネルギー(δh)により構成される。算出には、HSPiP(version 4.1.07)ソフトウェアを用いる。
特定重合性化合物としては、硬化後の耐摩耗性及び高温延伸性の観点から、以下の式(I)又は式(II)で表される化合物を好適に挙げることができる。
式(I)において、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を有してもよい炭素数1〜6の炭化水素基を表す。R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を有してもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表す。Xは、水素原子又は置換基を有してもよい炭素数1〜5の炭化水素基を表す。R、R、R、R及びXは、同一でも異なっていてもよく、互いに環を形成してもよい。
及びRにおける、置換基を有してもよい炭素数1〜6の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基等のアルキル基が挙げられる。中でも、炭素数1〜4の炭化水素基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜2の炭化水素基である。炭化水素基としては、アルキル基が好ましい。
上記のうち、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
また、R及びRにおける、置換基を有してもよい炭素数1〜20の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、ヘキシル基等のアルキル基、及びシクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基が挙げられる。R及びRは、互いに結合して環を形成していてもよい。R及びRが結合して形成される環としては、飽和複素環が好ましい。
炭化水素基が有してもよい置換基としては、以下に示す置換基群Tにおける基が挙げられる。
(置換基群T)
アルキル基(好ましくは炭素原子数1〜10、より好ましくは1〜8、特に好ましくは1〜6のものであり、例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル、シクロヘキシル基などが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素原子数2〜10、より好ましくは2〜8、特に好ましくは2〜6であり、例えばビニル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基などが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素原子数2〜10、より好ましくは2〜8、特に好ましくは2〜6であり、例えばプロパルギル基、3−ペンチニル基などが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素原子数6〜20、より好ましくは6〜15、特に好ましくは6〜12であり、例えばフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。)、アミノ基(好ましくは炭素原子数0〜15、より好ましくは0〜10、特に好ましくは0〜6であり、例えばアミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジベンジルアミノ基などが挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素原子数1〜10、より好ましくは1〜8、特に好ましくは1〜6であり、例えばメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素原子数6〜20、より好ましくは6〜15、特に好ましくは6〜12であり、例えばフェニルオキシ基、2−ナフチルオキシ基などが挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素原子数1〜15、より好ましくは1〜10、特に好ましくは1〜8であり、例えばアセチル基、ベンゾイル基、ホルミル基、ピバロイル基などが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素原子数2〜15、より好ましくは2〜10、特に好ましくは2〜8であり、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素原子数7〜20、より好ましくは7〜16、特に好ましくは7〜10であり、例えばフェニルオキシカルボニル基などが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素原子数2〜15、より好ましくは2〜10、特に好ましくは2〜8であり、例えばアセトキシ基、ベンゾイルオキシ基などが挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素原子数2〜15、より好ましくは2〜10、特に好ましくは2〜8であり、例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基などが挙げられる。)、
アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素原子数2〜15、より好ましくは2〜10、特に好ましくは2〜8であり、例えばメトキシカルボニルアミノ基などが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素原子数7〜15、より好ましくは7〜13、特に好ましくは7〜10であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノ基などが挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素原子数1〜15、より好ましくは1〜10、特に好ましくは1〜8であり、例えばメタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基などが挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素原子数0〜15、より好ましくは0〜10、特に好ましくは0〜8であり、例えばスルファモイル基、メチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基などが挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素原子数1〜15、より好ましくは1〜10、特に好ましくは1〜8であり、例えばカルバモイル基、メチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基などが挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素原子数1〜15、より好ましくは1〜10、特に好ましくは1〜8であり、例えばメチルチオ基、エチルチオ基などが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素原子数6〜20、より好ましくは6〜15、特に好ましくは6〜12であり、例えばフェニルチオ基などが挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばメシル基、トシル基などが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばメタンスルフィニル基、ベンゼンスルフィニル基などが挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばウレイド基、メチルウレイド基、フェニルウレイド基などが挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどが挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的には例えばイミダゾリル基、ピリジル基、キノリル基、フリル基、ピペリジル基、モルホリノ基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基などが挙げられる。)。
及びRは、炭素数1〜15の炭化水素基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜10の炭化水素基であり、更に好ましくは炭素数1〜6の炭化水素基である。炭化水素基としては、アルキル基が好ましい。飽和複素環としては、ピロリジン環、ピペリジン環、モルホリン環等が挙げられる。
上記のうち、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基がより好ましく、R及びRが互いに結合して形成されたモルホリン環も好ましい。
における、置換基を有してもよい炭素数1〜5の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基が挙げられる。中でも、炭素数1〜4の炭化水素基が好ましく、より好ましくは炭素数1又は2の炭化水素基である。炭化水素基としては、アルキル基が好ましい。炭化水素基が有してもよい置換基については、既述の置換基群Tにおける基が挙げられる。
上記のうち、Xは、水素原子又は炭素数1若しくは2のアルキル基が好ましい。
式(II)において、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を有してもよい炭素数1〜6の炭化水素基を表す。Rは、水素原子又は置換基を有してもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表す。Xは、水素原子又は置換基を有してもよい炭素数1〜5の炭化水素基を表す。R、R及びRの少なくとも一つは、炭化水素基の炭素原子と結合する窒素原子を含む。X、R、R及びRは、同一でも異なっていてもよく、互いに環を形成してもよい。
及びRにおける、置換基を有してもよい炭素数1〜6の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基等のアルキル基が挙げられる。中でも、炭素数1〜4の炭化水素基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜2の炭化水素基である。炭化水素基としては、アルキル基が好ましい。
上記のうち、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基が好ましい。
また、Rにおける、置換基を有してもよい炭素数1〜20の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、等のアルキル基が挙げられる。中でも、Rは、炭素数1〜15の炭化水素基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜10の炭化水素基である。炭化水素基としては、アルキル基が好ましい。
上記のうち、Rは、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基が好ましい。
上記の炭化水素基が有してもよい置換基としては、既述の置換基群Tにおける基が挙げられる。
ここで、R、R及びRの少なくとも一つは、窒素原子を含む基であり、すなわち、炭化水素基の炭素原子と結合する窒素原子を含み、R、R及びRの少なくとも一つは、窒素含有基で置換された炭化水素基、又はシアノ基が好ましい。窒素含有基で置換された炭化水素基としては、窒素含有基で置換された炭素数1〜10のアルキル基が好ましい。
、R及びRにおける、窒素含有基で置換された炭化水素基は、−C2nNR1112が好適に挙げられる。R11及びR12は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、又は−COOR13を表し、R13は炭素数1〜4のアルキル基を表す。R11及びR12は、互いに結合して環を形成していてもよい。R11、R12及びR13における炭素数1〜4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基が挙げられる。
窒素含有基で置換された炭素数1〜10のアルキル基としては、例えば、1−シアノエチル基、シアノメチル基、N,N−ジメチルアミノエチル基、メトキシカルボニルアミノエチル基等が挙げられる。
における、置換基を有してもよい炭素数1〜5の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基が挙げられ、中でも、炭素数1〜4の炭化水素基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜2の炭化水素基である。炭化水素基としては、アルキル基が好ましい。
上記のうち、Xは、水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基が好ましい。
本開示における特定重合性化合物の具体例を以下に示す。ただし、本開示における特定重合性化合物は、以下の具体例に制限されるものではない。
本開示に係る硬化性組成物は、特定重合性化合物を、1種単独で含んでいても、2種以上を含んでいてもよい。
特定重合性化合物の含有量は、硬化後の耐摩耗性及び高温延伸性の観点から、硬化性組成物の全質量に対し、3質量%以上60質量%以下が好ましく、5質量%以上50質量%以下がより好ましく、5質量%以上40質量%以下が更に好ましく、20質量%以上35質量%以下が特に好ましい。
また、N−ビニル化合物の含有量は、硬化後の耐摩耗性及び高温延伸性の観点から、硬化性組成物の全質量に対し、3質量%以上60質量%以下が好ましく、5質量%以上50質量%以下がより好ましく、5質量%以上40質量%以下が更に好ましく、20質量%以上35質量%以下が特に好ましい。
<末端に(メタ)アクリロイル基を有する樹脂>
本開示に係る硬化性組成物は、末端に(メタ)アクリロイル基を有する樹脂を含有することが好ましい。上記樹脂は、分子鎖の末端に(メタ)アクリロイル基を有しているため、2官能以上の(メタ)アクリレート化合物と併用することで、硬化性組成物全体における架橋密度を制御し、硬化後の耐摩耗性及び高温延伸性により優れる。
上記樹脂としては、末端に(メタ)アクリロイル基を有するポリマーであればよく、例えば、(メタ)アクリル樹脂、ポリスチレン、ポリスチレン・メタクリレート(MS樹脂)、ポリスチレン・アクリロニトリル(AS樹脂)、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル(PVC)、熱可塑性エラストマー、又は、これらの共重合体、シクロオレフィンポリマー等の、主鎖構造の末端に(メタ)アクリロイル基を少なくとも1つ有するポリマーを挙げることができる。中でも、硬化後の耐摩耗性及び高温延伸性の観点から、末端に(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリル樹脂、又は、末端に(メタ)アクリロイル基を有するポリスチレンが好ましく、末端に(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリル樹脂がより好ましい。
また、末端に(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリル樹脂としては、硬化後の耐摩耗性の観点から、末端に(メタ)アクリロイル基を有するポリメチルメタクリレートが好ましい。
更に、末端に(メタ)アクリロイル基を有する樹脂は、末端にメタクリロイル基を有することが好ましい。
また、末端に(メタ)アクリロイル基を有する樹脂は、主鎖の末端に(メタ)アクリロイル基を有する樹脂であることが好ましく、主鎖の片末端に(メタ)アクリロイル基を有する樹脂であることがより好ましい。
なお、本開示において、「主鎖」とは樹脂を構成する高分子化合物の分子中で相対的に最も長い結合鎖を表し、「側鎖」とは主鎖から枝分かれしている炭素鎖を表す。
末端に(メタ)アクリロイル基を有する樹脂としては、例えば、東亞合成(株)製のマクロモノマーシリーズ(例:マクロモノマーAA−6(メタクリロイル基を有するポリメチルメタクリレート)、マクロモノマーAS−6又はAS−6S(メタクリロイル基を有するポリスチレン)、マクロモノマーAN−6S(メタクリロイル基を有するポリスチレン・アクリロニトリル)、マクロモノマーAB−6(メタクリロイル基を有するポリブチルメタクリレート)等を用いることができる。
末端に(メタ)アクリロイル基を有する樹脂の数平均分子量としては、硬化後の高温延伸性の観点から、1,000以上10,000以下が好ましく、3,000以上10,000以下がより好ましく、5,000以上10,000以下が更に好ましい。
なお、本開示における樹脂は、数平均分子量1,000以上のものであることが好ましい。
末端に(メタ)アクリロイル基を有する樹脂のガラス転移温度(Tg)としては、得られる硬化物の耐摩耗性の観点から、50℃以上が好ましく、80℃以上がより好ましい。また、硬化後の密着性及び高温延伸性の観点から、Tgは250℃未満が好ましく、200℃以下がより好ましい。
本開示においては、末端に(メタ)アクリロイル基を有する樹脂等のガラス転移温度(Tg)は、ASTM D3418−8に準拠して、示差走査熱量計により測定するものとする。
本開示に係る硬化性組成物は、末端に(メタ)アクリロイル基を有する樹脂を、1種単独で含んでいても、2種以上を含んでいてもよい。
本開示に係る硬化性組成物における末端に(メタ)アクリロイル基を有する樹脂の含有量としては、硬化後の耐摩耗性及び高温延伸性の観点から、硬化性組成物の全質量に対して、0.5質量%以上50質量%以下が好ましく、5質量%以上45質量%以下がより好ましく、15質量%以上35質量%以下が特に好ましい。
また、本開示に係る硬化性組成物は、上述した以外の他のエチレン性不飽和化合物を含んでいてもよい。
他のエチレン性不飽和化合物としては、公知の重合性化合物、特に公知のエチレン性不飽和化合物を用いることができる。
本開示に係る硬化性組成物は、他のエチレン性不飽和化合物を、1種単独で含んでいても、2種以上を含んでいてもよい。
本開示に係る硬化性組成物は、硬化後の高温延伸性の観点から、他のエチレン性不飽和化合物を、含有しないか、又は、その含有量が、硬化性組成物の全質量に対して、20質量%以下であることが好ましく、含有しないか、又は、その含有量が、硬化性組成物の全質量に対して、10質量%以下であることがより好ましく、含有しないか、又は、その含有量が、硬化性組成物の全質量に対して、5質量%以下であることが更に好ましく、含有しないか、又は、その含有量が、硬化性組成物の全質量に対して、1質量%以下であることが特に好ましい。
−他の成分−
本開示に係る硬化性組成物は、上記の成分以外に、必要に応じて、有機溶剤、無機粒子等の他の成分が含まれていてもよい。
有機溶剤としては、トルエン、メチルエチルケトン等が挙げられる。本開示に係る硬化性組成物は、上記の(メタ)アクリル化合物等の重合性化合物を含有するため、重合性化合物が溶剤としての機能を兼ね、別途有機溶剤を含有していなくてもよい。
無機粒子としては、二酸化珪素(シリカ)等のいわゆるフィラーと称される粒子が挙げられる。無機粒子の例として、上市されている市販品として日産化学工業(株)製のオルガノシリカゾルMEK−STシリーズ(例:MEK−ST−40、MEK−ST−L等)が挙げられる。
本開示に係る硬化性組成物は、活性放射線により硬化可能な組成物であることが好ましい。「活性放射線」とは、その照射により硬化性組成物中に重合開始種を発生させるエネルギーを付与できる放射線であり、α線、γ線、X線、紫外線、可視光線、電子線などを包含する。中でも、硬化感度及び装置の入手容易性の観点から、紫外線及び電子線が好ましく、紫外線がより好ましい。
また、本開示に係る硬化性組成物は、水及び揮発性溶剤をできるだけ含有しないことが好ましく、含有していたとしても、硬化性組成物の全質量に対し、5質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以下であることが更に好ましい。
(立体成型用硬化物、及び、立体成型用光学部材)
本開示に係る立体成型用硬化物は、本開示に係る硬化性組成物を硬化してなる硬化物(単に「硬化物」ともいう。)である。
本開示に係る硬化物は、立体成型用光学部材として好適に用いることができ、凸状レンズとしてシリンドリカルレンズ、プリズム、半球状のマイクロレンズ、フレネルレンズなどがより好適に用いることができ、複数の凸状レンズ(シリンドリカルレンズ)が並列したレンチキュラーレンズとして特に好適に用いることができる。
また、本開示に係る立体成型用光学部材は、本開示に係る立体成型用硬化物を有するものである。
本開示に係る硬化物の製造方法は、特に制限はなく、本開示に係る硬化性組成物を準備する工程、及び、活性放射線の照射により上記硬化性組成物を硬化する工程を含む製造方法であることが好ましい。
(立体成型用積層シート、及び、その製造方法)
本開示に係る立体成型用積層シート(単に「積層シート」ともいう。)は、本開示に係る硬化性組成物の硬化物を有する積層シートであればよく、具体的には、基材及び基材上に本開示に係る硬化性組成物の硬化物を少なくとも有するものであることが好ましい。
また、本開示に係る積層シートは、本開示に係る硬化物を有する積層シートである。
中でも、本開示に係る積層シートは、樹脂基材と、上記樹脂基材の少なくとも一方の面に設けられた本開示に係る硬化性組成物の硬化物とを有することが好ましい。
本開示に係る立体成型用積層シートの製造方法は、特に制限はないが、基材上に本開示に係る硬化性組成物を付与する工程と、付与した上記硬化性組成物を活性放射線を照射して硬化させる工程とを含むことが好ましい。
本開示に係る硬化性組成物を基材上に付与する方法としては、特に制限はなく、公知の塗布方法等の付与方法を用いることができる。
付与した上記硬化性組成物を活性放射線を照射して硬化させる方法としては、後述する活性放射線の照射方法を好適に用いることができる。
本開示に係る積層シートが有する本開示に係る硬化性組成物の硬化物の形状は、特に制限はなく、所望の形状であればよく、膜状であっても、後述するシリンドリカルレンズのような半円柱状のものが並んだ形状であっても、マイクロレンズのように半球状のものが並んだ形状であってもよい。
本開示に係る積層シートは、ハードコート膜を有する積層シート、輝度向上膜を有する積層シート、レンチキュラーシート、プリズムシート、マイクロレンズシート、フレネルレンズシート、フライアイレンズ等として好適に用いることができる。
本開示に係る立体成型用積層シートは、立体成型用レンチキュラーシートとして好適に用いることができる。
本開示に係る立体成型用レンチキュラーシート(以下、単に「レンチキュラーシート」ともいう。)は、本開示に係る硬化性組成物の硬化物を有する。
本開示に係るレンチキュラーシートにおける上記硬化物は、レンチキュラーレンズであることが好ましい。
また、本開示に係るレンチキュラーシートは、樹脂基材と、樹脂基材の少なくとも一方面に配置されたシリンドリカルレンズと、を有することが好ましく、上記樹脂基材のシリンドリカルレンズを有する側の反対側に記録層を有することがより好ましい。また、記録層に例えばインクジェット法や印刷版等の公知の記録方法により画像(以下、加飾画像ともいう。)を付与することができる態様が好ましい。
本開示に係るレンチキュラーシートは、例えば図1に示すように、記録層を付設してレンチキュラー画像が付される構成のレンチキュラー加飾シートであってもよい。レンチキュラー加飾シートは、レンチキュラー表示に適した画像上に、半円筒形の表面を有する凸状のシリンドリカルレンズが並列したレンチキュラーレンズを有することにより、見る角度によって異なる画像を表示する表示媒体(レンチキュラー表示体)である。図1は、レンチキュラー加飾シート(レンチキュラーシート)の一例を示す概略図である。
図1に示すレンチキュラー加飾シート10は、半円筒形状の表面を有する複数の凸状レンズ(シリンドリカルレンズ)12Aが並列したレンチキュラーレンズ12と、レンチキュラーレンズ12の凸状レンズ12Aの半円筒形状の表面とは反対側(裏面側ともいう。)に配置されたレンチキュラー画像14と、を有している。
なお、x方向は、レンズの幅方向を示し、y方向は、レンズの長手方向を示している。
本開示に係るレンチキュラーシートは、半円筒形状の表面を有する複数の凸状レンズ(シリンドリカルレンズ)が並列したレンチキュラーレンズ層を有していることが好ましい。シリンドリカルレンズ1本当たりの幅は、特に限定されず、目的によってレンズのピッチ幅を選択すればよい。シリンドリカルレンズ1本当たりの幅は、通常、1インチ(2.54cm)当たりのレンズ数を表すLPI(Line Per Inch)で表されることが多い。例えば100LPIは、1インチ当たり100本(100列)のシリンドリカルレンズが並列することを示しており、レンズのピッチは254μmである。1インチ当たりの線数(レンズの配列数)は、値が大きいほどレンズのピッチは小さくなり、精細度が向上する。
精細度の低いレンチキュラーシート(例えば60LPIなど)は、観察位置が比較的遠い図柄を表示するポスターなどに使うには適している。名刺など小さい文字情報を読ませることを目的とする場合は、レンチキュラーレンズ層を構成するレンズが、2.54cm(1インチ)当たり100列以上並列していることが好ましい。一方、レンチキュラー画像の解像度の観点から、レンチキュラーレンズ層を構成する凸状レンズの配列数は、2.54cm当たり200列(200LPI)以下であることがより好ましい。
従来、レンチキュラー材料は、シート又はフィルム等の形態で用いられることが多く、立体形状にして用いる試みは少ない。ところが、従来のレンチキュラーシートは、例えばレンズ部分に用いられる樹脂成分は熱可塑性樹脂であることが一般的であり、立体形状に成型する場合の熱で変形しやすく、形状を維持し得る耐熱性が不足しやすい。一方、樹脂成分として熱硬化性樹脂を用いる技術も提案されているが、熱硬化性樹脂は一般に、架橋構造を有するために変形させる場合の延伸性が乏しい傾向にある。そのため、立体成型時において高温に曝された場合の熱変形こそ生じにくいが、立体成型時に延ばされた際に亀裂(クラック)等を招来しやすい懸念がある。
本開示に係るレンチキュラーシートは、本開示に係る硬化性組成物を硬化してなるレンチキュラーレンズを有することにより、高温延伸性に優れ、立体成型性に優れる。
<基材>
本開示に用いられる基材は、支持材としての基材であり、任意の樹脂を目的等に応じて選択することができる。
基材は、シート状又はフィルム状の基材を好適に用いることができる。
基材としては、高温延伸性の観点から、樹脂基材が好ましく挙げられる。
樹脂基材の例としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂等のシート又はフィルムが挙げられる。
樹脂基材の厚みは、特に制限はなく、50μm以上300μm以下の範囲が好ましく、高温で均一に成型(賦形)する観点から、50μm以上200μm以下の範囲がより好ましい。上記範囲であると、樹脂基材が破れにくく、成型加工時における取扱い中(例えば、運搬中)に割れが発生しにくく、3次元成型時にも割れにくい。
樹脂基材は、上市されている市販品を用いてもよく、例えば、三菱レイヨン(株)製のアクリル樹脂フィルム(アクリプレンHBS010P、厚み:125μm)、東レ(株)製のポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム(ルミラーS10、厚み:100μm)、帝人化成(株)製のポリカーボネート樹脂フィルム(ユーピロンH−3000、厚み125μm)等を用いることができる。
<記録層>
本開示に係るレンチキュラーシートにおいて、樹脂基材のシリンドリカルレンズを有する側の反対側には、レンチキュラー表示される画像(レンチキュラー画像)を記録するための記録層を有していてもよい。
樹脂基材の記録層が設けられる面は、樹脂基材と記録層との接着力を高める観点から、表面処理(例えばコロナ放電処理等)が施されてもよい。記録層は、例えば、記録層を形成するための調製液を樹脂基材に付与することにより設けられてもよい。
調製液の付与は、例えば、塗布により行うことができる。
調製液は、記録層を形成するための固形成分と溶媒とを含むことが好ましい。記録層は、樹脂を含むことが好ましく、樹脂の少なくとも一部は架橋剤で架橋されていることが好ましい。したがって、調製液に含まれる固形成分として樹脂及び架橋剤を含む態様が好ましい。
樹脂としては、ポリエステル、アクリル樹脂及びウレタン樹脂よりなる群から選択された少なくとも1種の樹脂であることが好ましく、特にオフセット印刷により視差画像を形成する場合に有利である。
図1では、レンチキュラー画像14は、2つの表示用画像をそれぞれ別々に表示するための表示用画像列14A,14Bと、隣接する表示用画像列14A,14Bの間に挿入された補間画像列14Cと、を含む画像列群から構成されている。
具体的には、各表示用画像からストライプ状に抽出された表示用画像列14A,14Bが対応する位置の凸状レンズ12Aごとに隣接して配列されており、隣接する表示用画像列14A,14Bの間に、隣接する表示用画像列14A,14Bの色が互いに異なる位置において、隣接する表示用画像列14A,14Bの一方の色と他方の色との間にある色(補間色)を有する補間画像列14Cが挿入されている。
(3次元構造物、及び、その製造方法)
本開示に係る3次元構造物は、本開示に係る積層シートの(好ましくは、熱成型又は真空成型などの手法により立体成型した)立体成型物である。
また、本開示に係る3次元構造物は、本開示に係るレンチキュラーシートの立体成型物であることが好ましい。
本開示に係る3次元構造物は、本開示に係る積層シートを用いて製造されたものであれば、立体成型方法に特に制限されるものではない。
すなわち、本開示に係る3次元造形物の製造方法は、本開示に係る立体成型用積層シートを立体成型する工程を含む製造方法であればよい。
また、本開示に係るレンチキュラーシートを用いる3次元構造物の製造方法としては、例えば、本開示に係る硬化性組成物を成型し、活性放射線を照射して硬化させ、樹脂基材上にシリンドリカルレンズを有するレンチキュラーシートを作製する工程(以下、「レンチキュラーシート作製工程」ともいう。)と、作製されたレンチキュラーシートを立体成型(好ましくは真空成型或いは加圧成型)することでレンチキュラーの立体成型体を得る工程(以下、「立体成型工程」ともいう。)とを含む方法が好ましく挙げられる。
比較的高い温度に曝される成型に際して、高温延伸性に優れる本開示に係るレンチキュラーシートが用いられるので、成型の際の熱で溶融して形状変形を生じにくく、かつ、成型時に延ばされた際に生じやすい亀裂(クラック)等の発生も抑えられる。
−レンチキュラーシート作製工程−
上記レンチキュラーシート作製工程では、本開示に係る硬化性組成物を成型し、活性放射線を照射して硬化させ、樹脂基材上にシリンドリカルレンズを有するレンチキュラーシートを作製する。
本開示に係る硬化性組成物の詳細については、既述の通りであり、好ましい態様も同様である。
また、本開示に係る硬化性組成物は、光ラジカル重合開始剤を含有することが好ましい。活性放射線が照射されることでラジカルが発生し、重合性化合物の重合反応が進行することによって硬化する。これにより、本開示に係る硬化性組成物の硬化物であるシリンドリカルレンズが形成される。
シリンドリカルレンズの成型に当たり、硬化性組成物を硬化させる前にあらかじめ樹脂基材を硬化性組成物と接触させた後、硬化性組成物の硬化を行うようにしてもよい。樹脂基材と硬化性組成物とを接触させた状態で硬化させることで、硬化収縮による密着性の向上がより期待でき、組成に由来する密着効果に加え、樹脂基材に対する密着性の向上がより効果的に図られる。
シリンドリカルレンズの樹脂基材に対する密着の観点から、樹脂基材に接触された硬化性組成物を硬化させることで、密着性により優れたシリンドリカルレンズを有するレンチキュラーシートが得られる。
本工程では、硬化前にまず、硬化性組成物を、目的とするシリンドリカルレンズの形状に成型する。成型は、目的とする形状が得られる方法であれば特に制限されないが、成型効率及び成型精度の観点から、金型又は木型等の型を用いた成型が好ましい。
具体的には、例えば、所望とするレンズ形状に加工された金型を用意し、金型に硬化性組成物を流し込み、必要に応じて乾燥させた後、硬化性組成物を硬化させてもよい。これにより、目的とする形状に成型された成型物が安定的に得られる。
活性放射線を発生させるための光源としては、水銀ランプ、メタルハライドランプ、UV蛍光灯、ガスレーザー、固体レーザー等が広く知られている。また、光源として半導体紫外発光デバイスを適用してもよく、小型、高寿命、高効率、及び低コストの点で、LED(Light Emitting Diode)及びLD(Laser Diode)も好適である。
光源としては、メタルハライドランプ、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、水銀キセノンランプ、LED又は青紫レーザーが好ましい。中でも、波長365nm、405nm若しくは436nmの光照射が可能な超高圧水銀ランプ、波長365nm、405nm若しくは436nmの光照射が可能な高圧水銀ランプ、波長365nm、405nm若しくは436nmの光照射が可能な水銀キセノンランプ、又は、波長355nm、365nm、385nm、395nm若しくは405nmの光照射が可能なLEDがより好ましく、波長355nm、365nm、385nm、395nm又は405nmの光照射が可能なLEDが特に好ましい。
活性放射線の照射量は、レンチキュラーレンズ用硬化性組成物の組成及び使用量により適宜選択すればよく、0.3J/cm以上5J/cm以下とすることが好ましい。
活性放射線の照射には、上記の活性放射線を照射可能な光源を備えた公知の装置を選択して行うことができる。例えば、HOYA CANDEO OPTRONICS(株)製のEXECURE 3000等の紫外線(UV)照射装置を用いてもよい。
−立体成型工程−
上記立体成型工程では、レンチキュラーシート作製工程で作製されたレンチキュラーシートを立体成型する。本工程では、レンチキュラーシートを成型できればよく、金型等の型を用いた成型加工に供されてもよい。
立体成型は、熱成型又は真空成型などが好適に挙げられる。
真空成型する方法としては、特に制限されるものではないが、立体成型を、真空下の加熱した状態で行う方法が好ましい。
真空とは、室内を真空引きし、100Pa以下の真空度とした状態を指す。
立体成型する際の温度は、60℃以上の温度域が好ましく、80℃以上の温度域がより好ましく、100℃以上の温度域が更に好ましい。立体成型する際の温度の上限は、一般に200℃が好ましい。
立体成型する際の温度とは、立体成型に供されるレンチキュラーシートの温度を指し、レンチキュラーシートの表面に熱電対を付すことで測定される。
上記の真空成型は、成型分野で広く知られている真空成型技術を利用して行うことができ、例えば、日本製図器工業(株)製のFormech508FSを用いて真空成型してもよい。
以下、本発明の実施形態を実施例により更に具体的に説明するが、本開示はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
以下に実施例及び比較例で使用した化合物を示す。
<ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物>
・HEA(2−ヒドロキシエチルアクリレート、大阪有機化学工業(株)製、上記式1で表される化合物)
・HEMA(2−ヒドロキシエチルメタクリレート、三菱ガス化学(株)製、上記式1で表される化合物)
・HPA(2−ヒドロキシプロピルアクリレートと2−ヒドロキシ−1−メチルエチルアクリレート(1−ヒドロキシ−2−プロピルアクリレート)との混合物、東京化成工業(株)製、上記式1で表される化合物)
・4HBA(4−ヒドロキシブチルアクリレート、日本化成(株)製)
・CHDMMA(1,4−シクロヘキシルジメタノールモノアクリレート、日本化成(株)製)
<2官能以上の(メタ)アクリレート化合物>
・M−315(イソシアヌル酸EO変性トリアクリレート(イソシアヌル環構造を有する3官能アクリレート化合物)、東亞合成(株)製)
・M−215(イソシアヌル酸EO変性ジアクリレート(イソシアヌル環構造を有する2官能アクリレート化合物)、東亞合成(株)製)
・M−211B(ビスフェノールAのEO変性ジアクリレート、東亞合成(株)製)
・kayaradDPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、日本化薬(株)製)
・A−DCP(トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、新中村化学工業(株)製)
<単官能(メタ)アクリレート化合物>
・エチルアクリレート(東亞合成(株)製)
・エチルメタクリレート(ライトエステルE、共栄社化学(株)製)
・BR−31(EO変性トリブロモフェニルアクリレート、ニューフロンティアBR31、第一工業製薬(株)製)
<ウレタン(メタ)アクリレート化合物>
・KUA−4I(4官能ウレタン(メタ)アクリレート(シクロヘキシル環を有する4官能ウレタンアクリレート、ケーエスエム(株)製)
・8UX−015A(ウレタン(メタ)アクリレート、大成ファインケミカル(株)製)
<特定重合性化合物>
・NVP(N−ビニル−2−ピロリドン、和光純薬工業(株)製)
・NVC(N−ビニル−ε−カプロラクタム、東京化成工業(株)製)
・ジメチルアクリルアミド(和光純薬工業(株)製)
<末端に(メタ)アクリロイル基を有する樹脂>
・AA−6(末端にメタクリロイル基を有するメタクリル樹脂(ポリメチルメタクリレート)、Mn=6,000、東亞合成(株)製)
・AS−6(末端にメタクリロイル基を有するポリスチレン、Mn=6,000、東亞合成(株)製)
・AN−6S(末端にメタクリロイル基を有するスチレン−アクリロニトリル共重合体、Mn=6,000、東亞合成(株)製)
<光重合開始剤>
・イルガキュア184(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、BASF社製)
・イルガキュアTPO(2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、BASF社製)
・イルガキュア651(2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、BASF社製)
<他の成分>
・シリカ(MEK−ST)(シリカ粒子、平均粒径10nm〜15nm、日産化学工業(株)製)
・トルエン(有機溶剤、東京化成工業(株)製)
・メチルエチルケトン(有機溶剤、東京化成工業(株)製)
(実施例1〜18、及び、比較例1〜9)
1.硬化性組成物の調製
表1〜表3に示す各成分を混合し、各硬化性組成物をそれぞれ調製した。
2.レンチキュラーシートの作製
基材であるアクリル樹脂フィルム(アクリプレンHBS010P、フィルム厚125μm、三菱レイヨン(株)製)上に上記光硬化性樹脂を下記レンズ高さになるように塗布した後、図1に示すように半円筒形状の表面を有する複数本の凸レンズ部12Aを持つシリンドリカルレンズ12が並列したレンチキュラーレンズの形状〔高さ60μm、長手方向yの長さ80mm、1本のレンズ幅(レンズのピッチ)200LPI(Line Per Inch)〕に加工された金型(幅100mm×奥行100mm)を押し付け、上記光硬化性樹脂を成型しながら、アクリル樹脂フィルムを通して紫外線(UV)を、UV照射装置(EXECURE 3000、HOYA CANDEO OPTRONICS(株)製)を用いて、UV照射量1.0J/cmにて照射した。照射後、脱型して、レンチキュラーシートを作製した。
なお、レンチキュラーレンズ(シリンドリカルレンズ)の高さの測定は、以下の方法により行った。
レンチキュラーシートのシリンドリカルレンズを図1のxy平面と垂直方向に裁断し、光学顕微鏡で高さを測定する。ランダムに10個のシリンドリカルレンズを測定し、平均を高さとした。
レンチキュラーレンズ(シリンドリカルレンズ)を形成する金型における高さ60μmにおいて、レンチキュラーレンズの高さの好ましい範囲は60μm±5μmである。上記範囲であると、チェンジング等のレンチキュラーレンズの効果がより鮮明に生じる。
3.硬化物の作製
3−1.硬化物積層シートの作製
硬化性組成物をアクリル樹脂フィルム(アクリプレンHBS010P、フィルム厚125μm、三菱レイヨン(株)製)と疎水化処理したガラス板とで挟み込み、上記UV照射装置を用い、上記アクリル樹脂フィルム越しに1.0J/cm照射し、表裏を返して再度UV照射量1.0J/cmにてUV照射し、硬化物の積層シートを作製した。上記積層シートにおける硬化物(硬化膜)の膜厚は60μmとした。
3−2.硬化物単膜の作製
硬化性組成物を疎水化処理したガラス板で挟み込み、上記UV照射装置を用い、上記アクリル樹脂フィルム越しに1.0J/cm、表裏を返して上記アクリル樹脂フィルム無しで再度UV照射量1.0J/cmにてUV照射し、硬化物単膜を作製した。上記単膜の膜厚は50μmとした。
4.物性値の測定方法及び評価方法
<架橋点間分子量>
23℃50%RHで24時間調湿を行った硬化物単膜を、長さ25mm×幅5mmの大きさで打ち抜いた。ゴム領域となる温度(250℃)まで昇温し、DMA(Dynamic Mechanical Analyzer:(株)ユービーエム製Rheogel-E4000HP)を用い、10Hzで0.01%の歪みを与えて測定し貯蔵弾性率(E’)を求めた。
続いて、下記式を用い、架橋点間分子量(Mc)を求めた。
Mc=3×ρ×R×T/E’
Mc=g/mol、ρ(密度)=g/cm、R(ガス定数)=J/(mol・K)、
T(測定温度)=K、E’=Pa
<破断応力>
23℃50%RHで24時間調湿を行った硬化物単膜を、長さ50mm×幅10mmの大きさで打ち抜いた。引張試験を行った。装置はTENSILON RTC−1225A(エー・アンド・デイ社製)、測定条件:チャック間距離30mm、温度は100℃と150℃とにおいて各々行った。引張速度:1mm/sec。
<耐摩耗性>
23℃50%RHで24時間調湿を行ったレンチキュラーシート又は積層シートに対して、テーバー摩耗試験(JIS K7204:1999)を実施した。測定前後での質量変化量をもとに以下の基準で判定をした。質量変化量が小さいほど、耐摩耗性に優れる。A又はBであれば、実用上問題のないレベルである。
A:5mg未満
B:5mg以上10mg未満
C:10mg以上500mg未満
D:500mg以上。
<高温延伸性>
23℃50%RHで24時間調湿を行ったレンチキュラーシート又は積層シートを、長さ50mm×幅10mmの大きさで打ち抜いた。引張試験を行い、破断伸度を測定した。装置はTENSILON RTC−1225A(エー・アンド・デイ社製)、測定条件:チャック間距離30mm、温度は100℃と150℃とにおいて各々行った。引張速度:30mm/sec。なお、レンチキュラーシートの場合は、図1のy方向に引っ張り、破断伸度を測定した。
得られた破断伸度の値に基づき、以下の基準で評価した。得られた破断伸度の値が大きいほど、高温延伸性に優れ、立体成型性に優れる。A又はBであれば、実用上問題のないレベルである。
A:150%以上
B:100%以上150%未満
C:50%以上100%未満
D:50%未満
表1〜表3の結果から明らかなように、比較例1〜比較例9の硬化性組成物と比較し、本開示に係るシート用硬化性組成物を用いた場合、硬化後の耐摩耗性及び高温延伸性の両方に優れていることが分かる。
また、実施例2及び実施例3を比較すると、N−ビニルピロリドンを含む場合、硬化後の高温延伸性により優れる。
実施例2、実施例6及び実施例7を比較すると、ウレタン(メタ)アクリレート化合物を含まないほうが、硬化後の高温延伸性により優れる。
(実施例19)
10mmの直径を有する半球形状を有する型を用いて、100℃において、実施例2で得られたレンチキュラーシートを上記半球形状に真空成型した。得られた成型体(3次元構造物)には、割れが生じておらず、実施例2で得られたレンチキュラーシートは、立体成型性に優れるものであった。
10・・・レンチキュラー加飾シート(レンチキュラーシート)
12・・・レンチキュラーレンズ
12A・・・凸状レンズ
14・・・レンチキュラー画像
14A,14B・・・表示用画像列
14C・・・補間画像列
x・・・レンズの幅方向
y・・・レンズの長手方向

Claims (15)

  1. 下記式1で表される化合物、
    2官能以上の(メタ)アクリレート化合物、及び、
    光ラジカル重合開始剤を含み、
    ウレタン(メタ)アクリレート化合物を含有しないか、又は、ウレタン(メタ)アクリレート化合物の含有量が、硬化性組成物の全質量に対し、0質量%を超え4質量%未満であり、
    得られる硬化物の架橋点間分子量が50g/mol以上2,000以下g/molである
    立体成型に用いられるシート用硬化性組成物。

    式1中、Xは水素原子又はメチル基を表し、Lはエチレン基、1,2−プロピレン基又は1,3−プロピレン基を表す。
  2. 硬化物の100℃における破断応力が、0.1MPa以上15MPa以下である請求項1に記載のシート用硬化性組成物。
  3. 前記式1で表される化合物の含有量が、硬化性組成物の全質量に対し、5質量%以上30質量%以下である請求項1又は請求項2に記載のシート用硬化性組成物。
  4. 前記2官能以上の(メタ)アクリレート化合物が、イソシアヌル環構造を有する2官能以上の(メタ)アクリレート化合物を含む請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のシート用硬化性組成物。
  5. 前記2官能以上の(メタ)アクリレート化合物が、イソシアヌル環構造を有する3官能(メタ)アクリレート化合物を含む請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のシート用硬化性組成物。
  6. 前記2官能以上の(メタ)アクリレート化合物の含有量が、硬化性組成物の全質量に対し、10質量%以上60質量%以下である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のシート用硬化性組成物。
  7. 前記イソシアヌル環構造を有する2官能以上の(メタ)アクリレート化合物の含有量が、硬化性組成物の全質量に対し、10質量%以上60質量%以下である請求項4に記載のシート用硬化性組成物。
  8. N−ビニル化合物を更に含む請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のシート用硬化性組成物。
  9. 前記N−ビニル化合物が、N−ビニルピロリドン、及び、N−ビニルカプロラクタムよりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物である請求項8に記載のシート用硬化性組成物。
  10. 前記N−ビニル化合物の含有量が、硬化性組成物の全質量に対し、5質量%以上40質量%以下である請求項8又は請求項9に記載のシート用硬化性組成物。
  11. 末端に(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリル樹脂を含む請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載のシート用硬化性組成物。
  12. 請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載のシート用硬化性組成物の硬化物を有する立体成型用積層シート。
  13. 請求項12に記載の立体成型用積層シートの立体成型物である3次元構造物。
  14. 基材上に請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載のシート用硬化性組成物を付与する工程と、
    付与した前記シート用硬化性組成物を活性放射線を照射して硬化させる工程とを含む
    立体成型用積層シートの製造方法。
  15. 請求項12に記載の立体成型用積層シートを立体成型する工程を含む3次元構造物の製造方法。
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