JPWO2018066591A1 - 接着肉の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
すなわち、本発明は以下の通りである。
(A)プロテアーゼを作用させること、
(B)キレート剤及び/又はタンパク質を添加すること、及び
(C)トランスグルタミナーゼを作用させること
を含み、
前記(A)の実施後に前記(C)が実施される、接着肉の製造方法。
[2]前記(A)、(B)及び(C)が、当該順序で実施される、[1]記載の製造方法。
[3]キレート剤が、リン酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩及びリンゴ酸塩からなる群より選択される1種又は2種以上である、[1]又は[2]記載の製造方法。
[4]タンパク質が、カゼイン及びその塩、乳タンパク質、大豆タンパク質、ゼラチン、卵タンパク質、肉タンパク質、乳清タンパク質、グルテン並びにコラーゲンからなる群より選択される1種又は2種以上である、[1]〜[3]のいずれか一つに記載の製造方法。
[5][1]〜[4]のいずれか一つに記載の製造方法により得られる接着肉を原料として使用することを含む、食品の製造方法。
また本発明によれば、当該接着肉を原料として使用して製造される、軟らかい食感を有する食品を提供できる。
また接着肉の製造に用いられる「肉片」とは、固有の形状を有する肉(例えば、枝肉又は部分肉等から切り出された肉、内臓肉等)を意味し、固有の形状を有しない肉(例えば、ミンチ状、ペースト状等の肉)は含まない概念である。従って、本発明における「接着肉」には、例えば、ミンチ状、ペースト状の肉(例、挽肉、すり身等)のみが混練されて製造される食品素材(例、ハンバーグの種、つくねの種等)等は含まれない。
本発明において「原料肉」とは、接着肉の原料として用いられる肉をいう。
原料肉を複数(例えば、2個以上)の肉片が集合した状態とする時期は、後述のトランスグルタミナーゼ処理(即ち(C))が実施される前が好ましい。原料肉は、後述のプロテアーゼ処理(即ち(A))が実施される前に、予め複数の肉片に分断等してそれらが集合した状態としてもよく、あるいは(A)の実施後等に、複数の肉片に分断等してそれらが集合した状態としてもよい。
本発明の製造方法は、原料肉に対し、(A)プロテアーゼを作用させることを含む。原料肉に対し、プロテアーゼを作用させることによって、原料肉を改質し、軟化された接着肉を得ることができる。
プロテアーゼ処理を、プロテアーゼを含む液に原料肉を浸漬させること又はプロテアーゼを含む液を原料肉に注入することによって実施する場合、プロテアーゼを含む液は、プロテアーゼ以外の成分(例、調味料、タンパク質、澱粉、油脂、保存料、色素、増粘多糖類等)を含んでよい。プロテアーゼを含む液のpHは、通常4〜10である。
プロテアーゼ処理を、プロテアーゼを含む液に原料肉を浸漬させること又はプロテアーゼを含む液を原料肉に注入することによって実施する場合、原料肉は更にタンブリング処理に供してよい。本発明において「タンブリング処理」とは、タンブラー(回転機構を備え、内部に羽がついたドラム)を使用して、酵素等を含む液を原料肉に機械的に浸透させる処理をいう。
尚、本明細書中、「(B)の実施前」とは、実施の順序が(B)より前であることを意味し、必ずしも(B)の実施の直前でなくてもよい。同様に「(C)の実施前」とは、実施の順序が(C)より前であることを意味し、必ずしも(C)の実施の直前でなくてもよい。例えば、「(C)の実施前」に(A)が実施されるとは、(A)及び(C)の実施の順序が、当該順序であることを意味し、この場合(A)と(C)との間に他の工程(例えば、(B)等)が実施されてもよい。
本発明の製造方法は、原料肉に対し、(B)キレート剤及び/又はタンパク質を添加することを含む。原料肉に対し、キレート剤を添加することにより、原料肉中においてタンパク質の溶解度を増加させ、タンパク質の溶出を促進し得る。原料肉から溶出したタンパク質及び原料肉に添加されたタンパク質は、後述のトランスグルタミナーゼ処理において基質となり得、トランスグルタミナーゼによる肉片の接着作用を向上させ得る。
キレート剤及び/又はタンパク質の添加を、キレート剤及び/又はタンパク質を含む液に原料肉を浸漬させること、あるいは、キレート剤及び/又はタンパク質を含む液を原料肉に注入することによって実施する場合、キレート剤及び/又はタンパク質を含む液は、キレート剤及びタンパク質以外の成分(例、調味料、タンパク質、澱粉、油脂、保存料、色素、増粘多糖類等)を含んでよい。キレート剤及び/又はタンパク質を含む液のpHは、通常4〜10である。
キレート剤及び/又はタンパク質の添加を、キレート剤及び/又はタンパク質を含む液に原料肉を浸漬させること、あるいは、キレート剤及び/又はタンパク質を含む液を原料肉に注入することによって実施する場合、原料肉は更にタンブリング処理に供してよい。
尚、本明細書中、「(A)の実施後」とは、実施の順序が(A)より後であることを意味し、必ずしも(A)の実施の直後でなくてもよい。例えば、「(A)の実施後」に(C)が実施されるとは、(A)及び(C)の実施の順序が、当該順序であることを意味し、この場合(A)と(C)との間に他の工程(例えば、(B)等)が実施されてもよい。
本発明の製造方法は、原料肉に対し、(C)トランスグルタミナーゼを作用させることを含む。原料肉(又は、原料肉及びタンパク質)に対し、トランスグルタミナーゼを作用させることによって、複数の原料肉の肉片を接着することができる。
すなわち、温度37℃、pH6.0のトリス緩衝液中、ベンジルオキシカルボニル−L−グルタミルグリシン及びヒドロキシルアミンを基質とする反応系で、トランスグルタミナーゼを作用せしめ、生成したヒドロキサム酸をトリクロロ酢酸存在下で鉄錯体を形成させた後、525nmにおける吸光度を測定し、ヒドロキサム酸量を検量線により求め、1分間に1μモルのヒドロキサム酸を生成せしめる酵素量を1ユニット(1U)とする(特開昭64−27471号公報参照)。
トランスグルタミナーゼ処理を、トランスグルタミナーゼを含む液に原料肉を浸漬させること又はトランスグルタミナーゼを含む液を原料肉に注入することによって実施する場合、トランスグルタミナーゼを含む液は、トランスグルタミナーゼ以外の成分(例、調味料、タンパク質、澱粉、油脂、保存料、色素、増粘多糖類等)を含んでよい。トランスグルタミナーゼを含む液のpHは、通常4〜10である。
トランスグルタミナーゼ処理を、トランスグルタミナーゼを含む液に原料肉を浸漬させること又はトランスグルタミナーゼを含む液を原料肉に注入することによって実施する場合、原料肉は更にタンブリング処理に供してよい。
尚、本明細書中、「(A)の実施後」とは、上述の通り、実施の順序が(A)より後であることを意味し、必ずしも(A)の実施の直後でなくてもよい。例えば、「(A)の実施後」に(C)が実施されるとは、(A)及び(C)の実施の順序が、当該順序であることを意味し、この場合(A)と(C)との間に他の工程(例えば、(B)等)が実施されてもよい。
尚、本明細書中、「(B)の実施後」とは、実施の順序が(B)より後であることを意味し、必ずしも(B)の実施の直後でなくてもよい。
接着肉における肉同士の接着の程度は、例えば、後述の実施例に示されるように、テクスチャーアナライザー(Stable Micro Systems社製「TA−XT plus」)による引張強度試験よって評価し得る。具体的には、針のついたアダプターに試料(縦9mm×横25mmの短冊状の接着肉)を装着し、引張速度1mm/s及び引張距離30mmで上下に引っ張った時の応力(引張強度)を測定すること等によって評価し得る。当該引張強度は、30g/cm2以上であることが好ましく、40g/cm2以上であることがより好ましく、70g/cm2以上であることが特に好ましい。
接着肉の軟化の程度は、例えば、後述の実施例に示されるように、専門パネルによる官能試験によって評価し得る。
除脂された牛肉2000gに、プロテアーゼ(商品名:「食品用精製パパイン」、長瀬産業社製)水溶液を300g(プロテアーゼの添加量は、原料肉100g当たり300U)注入した後、手作業にて、複数の肉片(2cm角サイズ、1個当たり2〜5g)に切断した。得られた複数の肉片を、600gに小分けして真空袋に収容し、真空タンブラー(株式会社トーニチ社製、3連ロータリー)を用いて、2時間連続してタンブリング処理(15rpm、5℃)を行った後、当該真空袋に重合リン酸塩(商品名:「ポリゴンM」、千代田商工株式会社製)を3.0g添加し、手撹拌を5分間行った。次いで、肉片にトランスグルタミナーゼ(商品名:「アクティバ」TG、味の素株式会社製、100U/g)を6g添加して(トランスグルタミナーゼの添加量は、原料肉100g当たり100U)、複数の肉片を接着させた後、ボール内(5℃)に30分間静置した。接着された肉片を、ビニールケーシングに充填した後(300g/本)、5℃で90分間静置し、次いで−30℃で急速凍結して、実施例1の接着肉を調製した。
重合リン酸塩を添加することに代えて、4.5gのカゼインナトリウムを添加したこと以外は、実施例1と同様の手順で、実施例2の接着肉を調製した。
重合リン酸塩を添加することに代えて、9.0gのカゼインナトリウムを添加したこと以外は、実施例1と同様の手順で、実施例3の接着肉を調製した。
プロテアーゼ水溶液を注入しなかったこと及び重合リン酸塩を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様の手順で、比較例1の接着肉を調製した。
重合リン酸塩を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様の手順で、比較例2の接着肉を調製した。
解凍した実施例1〜3及び比較例1、2の接着肉を、それぞれ厚さ9mmにスライスした後、縦9mm×横25mmの短冊状に切断し、下記の引張強度試験及び官能試験の試料を調製した。
テクスチャーアナライザー(Stable Micro Systems社製「TA−XT plus」)を用いて、針のついたアダプターに試料(短冊状の接着肉)を装着し、引張速度1mm/s、引張距離30mmで上下に引っ張った時の応力を測定した。
実施例1〜3及び比較例1、2の接着肉から調製した各試料を、スチームコンベクションオーブンを用いて、250℃で5分間加熱して焼成した。3名の専門パネルが焼成した試料を食して、下記の評価基準に基づいて評点付けし、その平均点を算出した。
5点:スジもなく、容易に噛み切れる。
4点:スジを感じるが、噛むと容易に噛み切れる。
3点:スジを感じるが、噛み切れる。
2点:噛み切れるが、スジが残りやや硬い。
1点:歯が入らない。スジが噛み切れない。
実施例1〜3及び比較例1、2の接着肉から調製した各試料の焼成歩留りを、それぞれ下記式より算出した。
焼成歩留り(%)=[焼成後の試料の重量]÷[焼成前の試料の重量]×100
一方、比較例1の接着肉は、焼成後の食感がやや硬く、軟化されていなかった。また比較例2の接着肉は、引張強度が30g/cm2未満であり、肉同士が全く接着されていなかった。
また本発明によれば、当該接着肉を原料として使用して製造される、軟らかい食感を有する食品を提供できる。
Claims (5)
- 原料肉に対し、
(A)プロテアーゼを作用させること、
(B)キレート剤及び/又はタンパク質を添加すること、及び
(C)トランスグルタミナーゼを作用させること
を含み、
前記(A)の実施後に前記(C)が実施される、接着肉の製造方法。 - 前記(A)、(B)及び(C)が、当該順序で実施される、請求項1記載の製造方法。
- キレート剤が、リン酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩及びリンゴ酸塩からなる群より選択される1種又は2種以上である、請求項1又は2記載の製造方法。
- タンパク質が、カゼイン及びその塩、乳タンパク質、大豆タンパク質、ゼラチン、卵タンパク質、肉タンパク質、乳清タンパク質、グルテン並びにコラーゲンからなる群より選択される1種又は2種以上である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法により得られる接着肉を原料として使用することを含む、食品の製造方法。
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