JPWO2018061484A1 - 血液サンプル中の分析対象物を検出するための、方法、組成物およびチップ - Google Patents

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Abstract

本発明は、血液サンプルに由来する成分の分画を必要とせずに、分析対象物を高精度に検出し得る手段を提供する。本発明は、血液サンプルを準備すること、屈折率調整剤を前記血液サンプルに溶解させることにより赤血球と赤血球外液との屈折率差を減少させた分析サンプルを得ること、ならびに分析サンプルを用いて、分析対象物を検出することを含む、血液サンプル中の分析対象物を検出する方法である。
【選択図】図7B

Description

本発明は、血液サンプルに含まれる、グルコース等の分析対象物を検出するために使用される、方法、組成物およびチップに関する。
従来から、血液サンプル中に含まれる分析対象物(例えば、グルコース)を電気化学的手段(電極法)や光学的手段(比色法)により測定する技術が知られている。
例えば、特許文献1には、試料を点着する側の面の細孔の大きさが、発色を検出する側の面の細孔の大きさよりも大きい異方性膜から構成される、血液中のグルコース等を測定するための乾式分析要素に関する発明が記載されている。
特開2008−148656号公報
特許文献1に記載の発明では、試料を点着する側の面に径の大きい孔を有し、発色を検出する側の面に径の小さい孔を有する異方性膜を用いている。これにより、血液に由来する成分のうち、赤血球のようなサイズの大きい成分は、異方性膜の発色を検出する側まで到達できずに濾別される。このため、特許文献1に記載の発明では、赤血球のようなサイズの大きい成分の非存在下で発色反応が行われる。しかしながら、かような異方性膜を用いた場合、試料に由来する成分や夾雑物等によって細孔が目詰まりを起こす可能性があり、これによって測定精度に影響を及ぼし得る。また、かような血液サンプルに由来する成分の分画を必要とする手法では、測定の迅速さの観点から十分でない場合がある。
一方で、血液サンプルに由来する成分の分画をせずに光学的手段により分析対象物の測定を行うとベースラインが高くなり(すなわち、ノイズが強くなり)、高精度での測定が困難となることが知られている。
したがって、本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、血液サンプルに由来する成分の分画を必要とせずに、分析対象物を高精度に検出し得る手段を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の問題を解決すべく、鋭意研究を行った。その結果、屈折率調整剤を用いて赤血球と赤血球外液との屈折率差を減少させた分析サンプルを分析対象物の検出に供することにより、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明の完成に至った。
本発明の第1の側面は、血液サンプル中の分析対象物を検出する方法であって、
(1)前記血液サンプルを準備すること、
(2)屈折率調整剤を前記血液サンプルに溶解させることにより、赤血球と赤血球外液との屈折率差を減少させた分析サンプルを得ること、ならびに
(3)前記分析サンプルを用いて、前記分析対象物を検出すること、
を含む、方法に関する。
本発明の第2の側面は、血液サンプル中の分析対象物を検出するための組成物であって、発色試薬、酸化還元酵素、および屈折率調整剤を含む、組成物に関する。
本発明の第3の側面は、血液サンプル中の分析対象物の検出用チップであって、発色試薬、酸化還元酵素、および屈折率調整剤を含む反応部を有する、チップに関する。
一実施形態に係る検出用チップが装着された検出装置(成分測定装置)を概略的に示す平面図である。 図1の検出用チップと装置本体の測光ブロックとを拡大して示す斜視図である。 分析対象物の検出用チップの一実施形態を模式的に示す図である。 図1の検出用チップと装置本体の装着動作とを示す第1平面図である。 図4Aに続く装着動作を示す第2平面断面図である。 実施例で用いた分析対象物の検出用チップを模式的に示す図である。 実施例で用いた分析対象物の検出用チップを模式的に示す図である。 実施例のスペクトル解析に用いた評価システムの概要である。 実施例、および比較例のスペクトル解析により得られた透過率曲線(血液点着前)を示す。 実施例、比較例、および参考例(血液サンプル)のスペクトル解析により得られた透過率曲線(血液点着後)を示す。 屈折率調整剤としてAcid Yellow 23を用いた実施例2のスペクトル解析により得られた、吸光度の時間変化を示す。 屈折率調整剤としてスクラロースを用いた実施例3のスペクトル解析により得られた、吸光度の時間変化を示す。
本発明の第1の側面は、血液サンプル中の分析対象物を検出する方法であって、
(1)前記血液サンプルを準備すること、
(2)屈折率調整剤を前記血液サンプルに溶解させることにより、赤血球と赤血球外液との屈折率差を減少させた分析サンプルを得ること、ならびに
(3)前記分析サンプルを用いて、前記分析対象物を検出すること、
を含む、方法に関する。
本発明の第2の側面は、血液サンプル中の分析対象物を検出するための組成物であって、発色試薬、酸化還元酵素、および屈折率調整剤を含む、組成物に関する。
本発明の第3の側面は、血液サンプル中の分析対象物の検出用チップであって、発色試薬、酸化還元酵素、および屈折率調整剤を含む反応部を有する、チップに関する。
本明細書において、上記の本発明のある側面についての記載は、他の側面に相互に適宜改変されて適用され得る。
本発明によれば、血液成分の分画を必要とせずに、分析対象物を高精度に検出し得る。本発明者らは、血液サンプルに由来する成分の分画をせずに光学的手段により分析対象物の測定を行った場合にベースラインが高くなる原因を種々検討した。血液サンプルに由来する成分の分画をせずに光学的手段により分析対象物の測定を行うと、赤血球と赤血球外液(すなわち、サンプル中に存在する赤血球以外の成分)との間の屈折率差により光の散乱が起こり、散乱光に由来するベースラインが高くなって測定精度を低下させることを見出した。かような問題に対し、本発明者らは、赤血球と赤血球外液との屈折率差を小さくする化合物を赤血球外液に溶解させることで、分析対象物の測定精度が向上することを、さらに見出した。例えば、浸透圧が高く、且つ、化合物が血液に溶解した際の屈折率も大きい化合物(例えば、実施例におけるAcid Yellow 23など)を血液サンプルに溶解させてから分析対象物の測定を行うことで、浸透圧による収縮で上昇した赤血球自体の屈折率と、赤血球外液の屈折率とがバランスされ、これによって光の散乱が抑制されると考えられる。一方、浸透圧が赤血球と近く、且つ、化合物が血液に溶解した際の屈折率が上記化合物ほどは高くない化合物であっても(例えば、実施例におけるスクラロースなど)血液サンプルに溶解させてから分析対象物の測定を行うことで、浸透圧による赤血球の収縮は抑制しつつ赤血球外液の屈折率を血球内部の屈折率に近づけることにより赤血球/赤血球外液の屈折率差が減少し、結果として光の散乱が抑制されると考えられる。なお、上記メカニズムは推測であり、本発明の技術的範囲を制限するものではない。
以下、本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態のみには限定されない。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
本明細書において、範囲を示す「X〜Y」は「X以上Y以下」を意味する。また、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20〜25℃)/相対湿度40〜50%RHの条件で行う。
<血液サンプル中の分析対象物検出方法>
本発明の一側面は、血液サンプル中の分析対象物を検出する方法であって、
(1)前記血液サンプルを準備すること、
(2)屈折率調整剤を前記血液サンプルに溶解させることにより、赤血球と赤血球外液との屈折率差を減少させた分析サンプルを得ること、ならびに
(3)前記分析サンプルを用いて、前記分析対象物を検出すること、
を含む、方法に関する。本発明の一側面にかかる方法では、赤血球を含む血液サンプルが使用される。本発明の一側面にかかる方法によると、かような赤血球を含むサンプルであっても、血液成分の分画を必要とせずに、分析対象物を高精度に検出し得る。
血液サンプルはヒト、または非ヒト動物に由来するものであってもよい。非ヒト動物としては、マウス、ラット、ハムスター等の実験動物;イヌ、ネコ、ウサギ等のペット;ブタ、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ウマ、ニワトリ等の家畜類や家禽類が例示できるがこれらに限定されない。好ましくは、血液サンプルはヒトに由来する。好ましくは、血液サンプルは全血である。
本明細書における「屈折率調整剤」は、血液に溶解させることで赤血球と赤血球外液との屈折率差を減少させることができるものであれば特に制限されない。なお、「赤血球外液」とは、赤血球以外の血液サンプル由来成分、屈折率調整剤、および任意に用いられ得る発色試薬等のその他の試薬を含む液をいう。
赤血球と赤血球外液との屈折率差が減少したことは、分析サンプルの長波長領域(例えば、700nm〜950nm)での透過率が、血液サンプルよりも高いことを指標として確認することができる。ある実施形態では、分析サンプルが、透過率50%以上である波長を700nm〜950nmの範囲内に有するように、屈折率調整剤を前記血液サンプルに溶解させる。すなわち、当該実施形態では、
(1)血液サンプルを準備すること、
(2)屈折率調整剤を前記血液サンプルに溶解させて、透過率50%以上である波長を700nm〜950nmの範囲内に有する分析サンプルを調製すること、ならびに
(3)前記分析サンプルを用いて、前記分析対象物を検出すること、
を含む、血液サンプル中の分析対象物を検出する方法が提供される。
好ましい一実施形態では、屈折率調整剤を溶解させた後の血液サンプル(すなわち、分析サンプル)は、透過率60%以上である波長を700nm〜950nmの範囲内に有する。より好ましい一実施形態では、透過率65%以上である波長を700nm〜950nmの範囲内に有する。さらに好ましい一実施形態では、透過率70%以上である波長を700nm〜950nmの範囲内に有する。
なお、本明細書において、血液サンプルや分析サンプルの「透過率」および「吸光度」は光路長50μmで測定される値であり、例えば実施例<スペクトル解析>に記載される方法にて求めることができる。上記の透過率(T(%))の測定方法の一具体例として、実施例に記載される検出用チップを用いて、ヘマトクリット値40の血液を点着してから5秒以降30秒以前の吸光度(Abs)から下記式によって換算することで求めることができる。ある実施形態では、下記式の吸光度(Abs)は、810nmにおける吸光度(Abs)である。
なお、本発明の一側面に係る方法が実施例に記載される検出用チップを用いた手法に限定されるものでは無い。例えば、光路長10mmのセルを用いて分析した場合は、ランベルト・ベールの法則に従い、測定セル内に存在する血液サンプル中の分析対象物の濃度を考慮した補正を行って求めた吸光度から、「透過率(%)」を求めても良い。
一実施形態では、屈折率調整剤を溶解させた後の血液サンプル(すなわち、分析サンプル)は、800nm〜950nmの波長範囲内における透過率が50%以上であり、より好ましくは800nm〜900nmの波長範囲内における透過率が60%以上であり、さらに好ましくは750nm〜900nmの波長範囲内における透過率が65%を超え、さらに好ましくは800nm〜900nmの波長範囲内における透過率が70%以上であり、特に好ましくは750nm〜900nmの波長範囲内における透過率が70%以上である。
一実施形態では、750nm〜850nmの波長領域において、分析サンプルの透過率は、血液サンプルの透過率よりも高い。より好ましい別の実施形態では、650nm〜900nmの波長領域において、分析サンプルの透過率は、血液サンプルの透過率よりも高い。さらに好ましい別の実施形態では、600nm〜950nmの波長領域において、分析サンプルの透過率は、血液サンプルの透過率よりも高い。
一実施形態では、屈折率調整剤として、下記の発色試薬の吸収ピーク波長での透過率が高いものが採用される。すなわち、発色試薬を用いて分析対象物の検出を行う場合は、発色試薬の吸収ピーク波長における屈折率調整剤のモル吸光係数は、200L/(mol・cm)以下であることが好ましい。かような屈折率調整剤を発色試薬と組み合わせて使用することにより、より高精度での分析対象物の検出が可能となる。発色試薬の吸収ピーク波長における屈折率調整剤のモル吸光係数は、より好ましくは150L/(mol・cm)以下であり、さらに好ましくは70L/(mol・cm)以下である(下限は0L/(mol・cm))。
波長545nmおよび575nmはヘモグロビンの吸光ピーク波長である。従って、これらの波長における透過率が高い分析サンプルを用いることで、波長545nmおよび/または575nmにおける吸光度に基づいた分析サンプル中のヘモグロビン量を算出しやすい。したがって、波長545nmおよび575nmにおける透過率が高い分析サンプルを用いることで、ヘモグロビン量に基づいて分析対象物含量の補正を行いやすいという点で利点がある。すなわち、分析サンプルは、545nmおよび575nmの少なくとも一方の波長に下に凸なピークが観察されることが好ましい。なお、本明細書において「545nmに観察されるピーク」は、極小値が545±5nmの波長範囲内に存在する最大ピークをいう。同様に、本明細書において「575nmに観察されるピーク」は、極小値が575±5nmの波長範囲内に存在する最大ピークをいう。また、波長545nmおよび575nmにおける分析サンプルの透過率は、屈折率調整剤の波長545nmおよび575nmにおける透過率を考慮しつつ、屈折率調整剤を任意に選択することで低くすることができる。
具体的には、分析サンプルは、545nmに観察されるピークおよび575nmに観察されるピークの少なくとも一方の透過率が15%以上であることが好ましく、より好ましくは20%以上である。さらに好ましい一実施形態では、分析サンプルは、545nmに観察されるピークおよび575nmに観察されるピークの透過率がいずれも15%以上である。特に好ましい一実施形態では、分析サンプルは、545nmに観察されるピークおよび575nmに観察されるピークの透過率がいずれも20%以上である。545nmに観察されるピークおよび575nmに観察されるピークの透過率もまた、光路長50μmで測定される値であり、例えば実施例に記載の方法により測定することもできる。
屈折率調整剤の溶解度が高い場合、幅広い屈折率に調整できるという利点がある。従って、屈折率調整剤は溶解性が高いものが好ましい。例えば、20℃における水に対する溶解度が50mMを超える屈折率調整剤が用いられてもよい。屈折率調整剤は、20℃における水に対する溶解度が100mM以上であることが好ましく、200mM以上であることがより好ましく、400mM以上であることがより好ましく、1000mM以上であることが特に好ましい。屈折率調整剤の溶解度の上限は特に制限されず、高いほど好ましいが、例えば2M程度でもよい。
屈折率調整剤としては、より具体的には、例えば、下記式(1)で表されるような色素や色原体、水に対する溶解度が200mM以上のベンゾチアゾイル基を有するテトラゾリウム塩、多糖類、糖アルコール、ベンゼンスルホン酸化合物のようなイオン性の官能基を有する芳香族炭化水素化合物などが例示できる。これらの化合物は塩の形態であってもよく、より具体的には、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、メチルアミン塩、エチルアミン塩、ジエチルアミン塩、トリエチルアミン塩、モノエタノールアミン塩、および塩化物等のハロゲン化物等であってもよいが、これらに限定されない。好ましくは、上記の塩は、ナトリウム塩、またはカリウム塩である。
このうち、分析対象物の検出精度の観点から、屈折率調整剤は、下記式(1)で表される化合物、ベンゼンスルホン酸化合物および二糖類、ならびにこれらの塩からなる群から選択される1種以上であることが好ましい:
ただし、上記式(1)において、QおよびQは、それぞれ独立に、1以上の置換基を有していてもよいアリール基または含窒素複素環基を表し;前記置換基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、カルボキシ基、スルホ基、アミノ基、カルバモイル基、スルファモイル基、フェニル基、カルボキシフェニル基、およびスルホフェニル基からなる群から選択される。
式(1)で表される化合物において、「アリール基」としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、およびフェナントリル基等が例示でき、好ましくはフェニル基、およびナフチル基からなる群から選択される。
式(1)で表される化合物において、「含窒素複素環基」としては、ピロリジル基、ピロリル基、ピペリジル基、ピリジル基、イミダゾイル基、ピラゾイル基、ピラゾロニル基、オキサゾイル基、チアゾイル基、ピラジル基、インドイル基、イソインドイル基、およびベンゾイミダゾイル基等が例示でき、好ましくはイミダゾイル基、ピラゾイル基、およびピラゾロニル基からなる群から選択される。
上記のアリール基や含窒素複素環基は、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、ヒドロキシ基、炭素数1〜3のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、およびイソプロピル基)、炭素数1〜3のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポシキ基、およびイソプロポシキ基)、カルボキシ基、スルホ基、アミノ基、カルバモイル基、スルファモイル基、フェニル基、カルボキシフェニル基、およびスルホフェニル基からなる群から選択される置換基を1つ以上有していてもよい。また、アリール基や含窒素複素環基の置換基であるフェニル基は、上記のハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、ヒドロキシ基、炭素数1〜3のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、およびイソプロピル基)、炭素数1〜3のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポシキ基、およびイソプロポシキ基)、カルボキシ基、スルホ基、アミノ基、カルバモイル基、スルファモイル基、フェニル基、カルボキシフェニル基、およびスルホフェニル基からなる群から選択される1以上の置換基によってさらに置換されていてもよい。
分析対象物の高精度な検出の観点から、好ましい一実施形態では、Qは、
で表される;ただしR11、R12、R13、R21、R22およびR23は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシ基、カルボン酸塩の基、スルホ基、スルホン酸塩の基、カルバモイル基、およびスルファモイル基からなる群から選択される。
分析対象物の高精度な検出の観点から、好ましい一実施形態では、Qは、
で表される;ただしR31、R32およびR41は、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜3のアルキル基、カルボキシ基、カルボン酸塩の基、スルホ基、スルホン酸塩の基、アミノ基、カルバモイル基、およびスルファモイル基からなる群から選択され;R33およびR42は、それぞれ独立に、水素原子、カルボキシ基、カルボン酸塩の基、スルホ基、およびスルホン酸塩の基からなる群から選択され;R51、R52、R53およびR54は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、カルボン酸塩の基、スルホ基、スルホン酸塩の基、カルバモイル基、およびスルファモイル基からなる群から選択される。
より好ましい一実施形態では、Qは、
で表される;ただしR31、R32およびR33は、上述のとおりである。
好ましい一実施形態では、式(1)で表される化合物は
で表される;ただしR11、R12、R13、R31、R32、R33、R41、R42、R51、R52、R53およびR54は、上述のとおりである。
上記の式(1)で表される化合物としては、より具体的には、Acid Yellow 11、Acid Yellow 23、Acid Yellow 49、Acid Yellow 59、Acid Orange 12、Orange G、Acid Red 18、Acid Red 26、Acid Red 27、Acid Red 88、Solvent Yellow 5、Solvent Yellow 6、Solvent Yellow 11、Food Yellow 3、Food Yellow 5等が例示できる。このうち、Acid Yellow 11、Acid Yellow 23、Acid Yellow 49、Acid Yellow 59、およびFood Yellow 3からなる群から選択される化合物が好ましく用いられる。より好ましい一実施形態では、Acid Yellow 23が屈折率調整剤として使用される。
屈折率調整剤として使用されるベンゼンスルホン酸化合物としては、ベンゼンスルホン酸、1,2−ベンゼンジスルホン酸、1,3−ベンゼンジスルホン酸、1,4−ベンゼンジスルホン酸、1,2,4−ベンゼントリスルホン酸、1,3,5−ベンゼントリスルホン酸等が例示できる。このうち、ベンゼンスルホン酸化合物は、1,2−ベンゼンジスルホン酸、1,3−ベンゼンジスルホン酸、および1,4−ベンゼンジスルホン酸からなる群から選択されることが好ましく、より好ましくは1,3−ベンゼンジスルホン酸である。
屈折率調整剤として使用される二糖類としては、例えば、スクロース、マルトース、イソマルトース、ラクトース、トレハロース、スクラロース、セロビオース、ラクツロース、ツラノース、ガラクトスクロース、トレハロサミン、マルチトール、ラクチトール等が例示できるが、これらに限定されない。二糖類としては、スクロース、トレハロース、スクラロース、ガラクトスクロース、トレハロサミン、マルチトール、ラクチトール等の非還元性糖が好ましく、より好ましくはトレハロース、および/またはスクラロースが用いられる。特に、浸透圧の低いスクラロースは赤血球の収縮抑制効果が大きく、分析サンプルに多く溶解させることができるという点から好ましい。
分析サンプルへ溶解させる屈折率調整剤の量は、例えば200〜1500(mmol/L 赤血球外液)であり、好ましくは300〜1500(mmol/L 赤血球外液)であり、より好ましくは330〜800(mmol/L 赤血球外液)である。このような量であれば、散乱光をより有効に抑制し、分析対象物をより高精度に検出できる。なお、上記の屈折率調整剤の量は、実施例に記載の計算方法により求めた値である。
本発明の一側面にかかる方法において、分析対象物の検出は比色法によって行われる。一実施形態では、検出方法は、血液サンプルまたは分析サンプルに発色試薬を溶解させて発色反応を行うことを含み、分析対象物の検出は、発色反応による発色強度に基づいて行われる。例えば、分析対象物の検出は、発色反応による発色試薬の吸収ピークにおける発色強度に基づいて行われ得る。
上記の発色試薬としては、特に制限されるものでは無く、例えば、血液サンプル中の各種の分析対象物を検出するために従来使用されてきたものも使用できる。好ましい一実施形態では、発色試薬は550〜750nmの波長範囲内に吸収ピーク波長を有し、より好ましい一実施形態では、発色試薬は600nm以上700nm未満の波長範囲内に吸収ピーク波長を有する。
発色試薬としては、より具体的には、例えば、テトラゾリウム塩;4−アミノアンチピリン(4AA)、3−メチル−2−ベンゾチアゾリノンヒドラゾン(MBTH)、2−ヒドラゾノ−2,3−ジヒドロ−3−メチル−6−ベンゾチアゾールスルホン酸(SMBTH)等のカプラーと、後述のアニリン化合物やフェノール類等のトリンダー試薬との組み合わせ;N−(カルボキシメチルアミノカルボニル)−4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ジフェニルアミンナトリウム塩(DA−64)等のジフェニルアミン系色原体;10−(カルボキシメチルアミノカルボニル)−3,7−ビス(ジメチルアミノ)フェノチアジンナトリウム塩(DA−67)等のフェノチアジン系色原体等が例示できる。上記発色試薬のうち、測定精度の観点から、テトラゾリウム塩が好ましく使用される。
上記の「テトラゾリウム塩」は、例えば、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、メチルアミン塩、エチルアミン塩、ジエチルアミン塩、トリエチルアミン塩、モノエタノールアミン塩等の形態であり得る。テトラゾリウム塩としては、より具体的には、2−(4−ヨードフェニル)−3−(4−ニトロフェニル)−5−(2,4−ジスルホフェニル)−2H−テトラゾリウム塩、2−(4−ヨードフェニル)−3−(2,4−ジニトロフェニル)−5−(2,4−ジスルホフェニル)−2H−テトラゾリウム塩、2−ベンゾチアゾリル−3−(4−カルボキシ−2−メトキシフェニル)−5−[4−(2−スルホエチルカルバモイル)フェニル]−2H−テトラゾリウム塩、2,2’−ジベンゾチアゾリル−5,5’−ビス[4−ジ(2−スルホエチル)カルバモイルフェニル]−3,3’−(3,3’−ジメトキシ 4,4’−ビフェニレン)ジテトラゾリウム塩、2−(2−メトキシ−4−ニトロフェニル)−3−(4−ニトロフェニル)−5−(2,4−ジスルホフェニル)−2H−テトラゾリウム塩、2−(4−ニトロフェニル)−5−フェニル−3−[4−(4−スルホフェニルアゾ)−2−スルホフェニル]−2H−テトラゾリウム、2−(4−ヨードフェニル)−3−(4−ニトロフェニル)−5−フェニル−2H−テトラゾリウム塩、3−(4,5−ジメチル−2−チアゾリル)−2,5−ジフェニル−2H−テトラゾリウム塩、2,3−ビス−(2−メトキシ−4−ニトロ−5−スルホフェニル)−2H−テトラゾリウム−5−カルボキサニリド塩、2,2’−ジ(4−ニトロフェニル)−5,5’−ジフェニル−(3,3’−ジメトキシ)−4,4’−ビスフェニレンジテトラゾリウム塩などが挙げられ、このうち、ベンゾチアゾリル構造を有するテトラゾリウム塩がより好ましく、2−ベンゾチアゾリル−3−(4−カルボキシ−2−メトキシフェニル)−5−[4−(2−スルホエチルカルバモイル)フェニル]−2H−テトラゾリウムナトリウム塩(WST−4)が好ましい。
テトラゾリウム塩を用いた発色反応は、例えば、後述の酸化還元酵素を用いた反応であってもよい。例えば、分析対象物がグルコースであり、後述のグルコースデヒドロゲナーゼ(GDH)を用いた場合、以下の反応機構によって生じるホルマザンによる吸収波長(例えば、吸収ピーク波長)における吸光度を測定することにより、グルコースを定量的に検出できる。
本明細書において分析対象物は特に制限されず、例えば、グルコース、コレステロール、中性脂肪、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADPH)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)、乳酸、アルコール、尿酸などの検出に好適に用いられうる。このうち、本発明の好ましい形態によると、分析対象物は、グルコース、コレステロール、中性脂肪、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド、および尿酸からなる群から選択される。
<血液サンプル中の分析対象物検出用組成物>
本発明の別の側面は、血液サンプル中の分析対象物を検出するための組成物であって、発色試薬、酸化還元酵素、および屈折率調整剤を含む、組成物に関する。
組成物に含まれる発色試薬および屈折率調整剤としては、本明細書に上記した発色試薬および屈折率調整剤が使用できる。
組成物における屈折率調整剤の含有量は特に制限されないが、屈折率調整剤は、発色試薬1モルに対して0.1〜10モルの比率で配合する。赤血球と赤血球外液との屈折率差のさらなる低減効果の観点から、屈折率調整剤は、発色試薬1モルに対して好ましくは0.1〜8モルであり、より好ましくは0.2〜4モルの比率で配合する。
組成物に含まれる酸化還元酵素は特に制限されず、分析対象物の種類によって適切に選択されうる。酸化還元酵素の例としては、具体的には、グルコースデヒドロゲナーゼ(GDH)(例えば、ピロロキノリンキノン(PQQ)を補酵素とするグルコースデヒドロゲナーゼ(PQQ−GDH)、フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)を補酵素とするグルコースデヒドロゲナーゼ(GDH−FAD)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)を補酵素とするグルコースデヒドロゲナーゼ(GDH−NAD)およびニコチンアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP)を補酵素とするグルコースデヒドロゲナーゼ(GDH−NADP)等)、グルコースオキシダーゼ(GOD)、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ、コレステロールデヒドロゲナーゼ、コレステロールオキシダーゼ、グリセロリン酸デヒドロゲナーゼ、グリセロリン酸オキシダーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)、乳酸オキシダーゼ、アルコールデヒドロゲナーゼ、アルコールオキシダーゼ、ウリカーゼ、尿酸デヒドロゲナーゼなどが挙げられる。ここで、酸化還元酵素は、1種を単独で使用しても、または2種以上を組み合わせてしてもよい。例えば、生体成分がグルコースである場合には、酸化還元酵素がグルコースデヒドロゲナーゼやグルコースオキシダーゼであることが好ましい。また、生体成分がコレステロールである場合には、酸化還元酵素がコレステロールデヒドロゲナーゼやコレステロールオキシダーゼであることが好ましい。ここで、酸化還元酵素は、1種を単独で使用しても、または2種以上を組み合わせてしてもよい。
例えば、分析対象物がグルコースである場合には、酸化還元酵素がグルコースデヒドロゲナーゼやグルコースオキシダーゼであることが好ましい。分析対象物がコレステロールである場合には、酸化還元酵素がコレステロールデヒドロゲナーゼやコレステロールオキシダーゼであることが好ましい。分析対象物が中性脂肪である場合には、酸化還元酵素がグリセロリン酸デヒドロゲナーゼやグリセロリン酸オキシダーゼであることが好ましい。上記酸化還元酵素に加えて、分析対象物や発色反応機構に応じてジアホラーゼ、ペルオキシダーゼ、リポプロテインリパーゼ、およびグリセロールキナーゼ等の他の酵素が組み合わせて使用され得る。
組成物における酸化還元酵素の含有量もまた特に制限されず、用いる酵素によって適宜設定できるが、例えば、発色試薬1モルに対して1×10〜5×10μkat(すなわち、6×10〜3×10U)であり、好ましくは5×10〜1×10μkat(すなわち、3×10〜6×10U)であり、より好ましくは1×10〜5×10μkat(すなわち、6×10〜3×10U)である。
組成物は、必要に応じて、電子キャリアーを含んでいてもよい。組成物に使用され得る電子キャリアーとしては、フェナジンメトサルフェート(PMS)、1−メトキシ−5−メチルフェナジニウムメチルサルフェート(m−PMS)、メルドラブルー、ジアホラーゼ、ジクロロフェノールインドフェノール、フェリシアン化カリウム、フェロセン、ルテニウム錯体、オスミウム錯体、ベンゾキノン等が挙げられるが、これらに限定されない。
酸化還元酵素と電子キャリアーとの組み合わせは特に制限されず、目的に応じて適宜設定され得るが、例えば、GDH/フェナジンメトサルフェートの組み合わせ、GDH/1−メトキシ−5−メチルフェナジニウムメチルサルフェートの組み合わせ、GDH/フェリシアン化カリウムの組み合わせ、GDH/ルテニウム錯体の組み合わせ、GOD/フェリシアン化カリウムの組み合わせ、コレステロールデヒドロゲナーゼ/フェロセンの組み合わせ、グリセロリン酸デヒドロゲナーゼ/ジアホラーゼの組み合わせ等が例示できる。
組成物における電子キャリアーの含有量もまた特に制限されないが、たとえば、発色試薬1モルに対して1×10−3〜1モルであり、好ましくは2×10−3〜1×10−1モルであり、より好ましくは1×10−2〜5×10−2モルである。
組成物は、必要に応じて、補酵素を含んでいてもよい。組成物に使用され得る補酵素としては、ピロロキノリンキノン(PQQ)、フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、ニコチンアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP)、アデノシン三リン酸(ATP)等が挙げられるが、これらに限定されない。
このほか、組成物は、本発明の目的効果が損なわれない程度において、任意に、緩衝剤(例えば、リン酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、クエン酸−リン酸緩衝剤、トリス塩酸緩衝剤(トリスヒドロキシメチルアミノメタン−HCl緩衝剤)、MES緩衝剤(2−モルホリノエタンスルホン酸緩衝剤)、TES緩衝剤(N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸緩衝剤)、酢酸緩衝剤、MOPS緩衝剤(3−モルホリノプロパンスルホン酸緩衝剤)、MOPS−NaOH緩衝剤、HEPES緩衝剤(4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸緩衝剤)、HEPES−NaOH緩衝剤などのGOOD緩衝剤、グリシン−塩酸緩衝剤、グリシン−NaOH緩衝剤、グリシルグリシン−NaOH緩衝剤、グリシルグリシン−KOH緩衝剤などのアミノ酸系緩衝剤、トリス−ホウ酸緩衝剤、ホウ酸−NaOH緩衝剤、ホウ酸緩衝剤などのホウ酸系緩衝剤、イミダゾール緩衝剤等)、酵素(例えば、ジアホラーゼ、ペルオキシダーゼ、グルコキナーゼ、ヘキソナーゼ、リポプロテインリパーゼ、グリセロールキナーゼ等)、アニリン化合物(例えば、N−(3−スルホプロピル)アニリン、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3−メチルアニリン、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメチルアニリン、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3−メトキシアニリン、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメトキシアニリン、N−エチル−N−スルホプロピル−3−メチルアニリン、N−エチル−N−スルホプロピル−3−メトキシアニリン、N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメトキシアニリン等)、フェノール類(例えば、フェノール、4−クロロフェノール、3−メチルフェノール、3−ジメチルアミノ安息香酸、3−ヒドロキシ−2,4,6−トリヨード安息香酸等)、界面活性剤などを含んでいてもよい。
組成物の調製方法は特に制限されず、発色試薬、酸化還元酵素、屈折率調整剤、および任意に含まれるその他の成分を任意の手段で混合すればよい。組成物の各成分を混合する際は、水、メタノール、エタノール、グリセリン、ジメチルスルホキシド等の任意の溶媒や分散媒中で行ってもよい。
<血液サンプル中の分析対象物検出用チップ>
本発明の第3の側面は、血液サンプル中の分析対象物の検出用チップであって、発色試薬、酸化還元酵素、および屈折率調整剤を含む反応部を有する、チップに関する。
以下、本発明の一実施形態に係る分析対象物検出用チップ12(以下、分析対象物検出用チップ12を、単に「検出用チップ12」とも称する。)、および検出用チップ12を用いた分析対象物の検出に用いられる分析対象物検出装置10(以下、分析対象物検出装置10を、単に「検出装置10」とも称する。)を例に、図1〜図4を参照しつつ本発明の第3の側面についてより詳細に説明するが、本発明が以下の実施形態に限定されるものでは無い。
検出装置10は、図1に示すように、血液サンプル中の分析対象物(例えば、グルコース図)を測定する機器として構成されている。この検出装置10は、主に、ユーザ(被験者)が操作するパーソナルユースとして用いられ得る。例えば、分析対象物がグルコースの場合、ユーザは、食前の血糖を測定して自身の血糖管理を行うこともできる。また、医療従事者が被検者の健康状態を評価するために検出装置10を使用することもでき、この場合、検出装置10を適宜改変して医療施設等に設置可能な構成としてもよい。
検出装置10は、血液サンプル中に含まれる分析対象物の含有量を光学的に測定する、比色法の原理を採用している。特に、この検出装置10は、所定波長の測定光を分析サンプルに照射し、分析サンプルを透過した光を受光する、透過タイプの測定部14により分析対象物を検出する。
検出装置10は、血液を取り込んだ検出用チップ12を装着して、または検出用チップ12を装着した状態で検出用チップ12に血液を取り込み、測定部14により分析対象物を検出する。検出用チップ12は、1回の測定毎に廃棄するディスポーザブルタイプに構成されてもよい。一方、検出装置10は、ユーザが測定を簡易に繰り返すことができるように、携帯可能且つ頑強な機器に構成されることが好ましい。
検出用チップ12は、図2に示すように、板状に形成されたチップ本体部18と、チップ本体部18の内部で板面の面方向に延びる空洞部20(液体用空洞部)とを備える。検出用チップ12は、好ましくは、グルコース検出用チップである。
チップ本体部18は、側面視で、検出装置10の挿入および離脱方向(検出装置10の先端および基端方向)に長い長辺22を有すると共に、上下方向に短い短辺24を有する長方形状に形成されている。例えば、チップ本体部18の長辺22の長さは、短辺24の2倍以上の長さに設定されるとよい。これにより検出用チップ12は、検出装置10に対して充分な挿入量が確保される。
また、チップ本体部18の厚みは、長方形状に形成された側面に比べて極めて小さく(薄く)形成される(図2では、敢えて十分な厚みを有するように図示している)。例えば、チップ本体部18の厚みは、上述した短辺24の1/10以下に設定されることが好ましい。このチップ本体部18の厚みについては、検出装置10の挿入孔58の形状に応じて適宜設計されるとよい。
検出用チップ12は、空洞部20を有するように、一対の板片30と、一対のスペーサ32とによりチップ本体部18を構成している。
図3は、図1の検出用チップを示す側面図である。図3では、チップ本体部18の角部が尖っているが、例えば角部は丸角に形成されてもよい。また、チップ本体部18は、薄板状に限定されるものではなく、その形状を自由に設計してよいことは勿論である。例えば、チップ本体部18は、側面視で、正方形状や他の多角形状、または円形状(楕円形状を含む)等に形成されてもよい。
チップ本体部18の内部に設けられる空洞部20は、チップ本体部18の上下方向中間位置にあり、チップ本体部18の長手方向にわたって直線状に形成される。この空洞部20は、チップ本体部18の先端辺24aに形成された先端口部20aと、基端辺24bに形成された基端口部20bにそれぞれ連なり、チップ本体部18の外側に連通している。空洞部20は、先端口部20aからユーザの血液を取り込むと、毛細管現象に基づき延在方向に沿って血液を流動させ得る。空洞部20を流動する血液は少量であり、基端口部20bまで移動しても張力により漏れが抑止される。なお、チップ本体部18の基端辺24b側には、血液を吸収する吸収部(例えば、後述するスペーサ32を基端側のみ多孔質体としたもの等)が設けられていてもよい。
また、空洞部20の所定位置(例えば、図3中に示す先端口部20aと基端口部20bの中間点よりも若干基端寄りの位置)には、発色反応が行われる反応部26および検出装置10により測定がなされる測定対象部28が設定されている。反応部26は、発色試薬、酸化還元酵素、および屈折率調整剤を含む。空洞部20を基端方向に流動する血液が反応部26と接触し、反応部26の試薬成分が血液中に溶解して発色反応が進行することで呈色する。なお、空洞部20の長手方向上において、反応部26の塗布位置と測定対象部28は互いにずれていてもよく、例えば反応部26を測定対象部28の血液流動方向上流側に設けてもよい。
反応部に含まれる各試薬成分の量は、一回の測定あたりに使用される血液サンプル量(チップ当たりの血液量)に応じて適宜設定され得る。なお、下記の反応部に含まれる各試薬成分の含有量は、実施例に記載の計算方法に準じて求めた値である。
反応部における屈折率調整剤の含有量は、例えば、200〜1500(mmol/L 赤血球外液)であり、好ましくは300〜1500(mmol/L 赤血球外液)であり、より好ましくは330〜800(mmol/L 赤血球外液)である。反応部における屈折率調整剤の含有量を上記のような範囲にすることで、血球由来の散乱光の発生がより一層抑制され、分析対象物の検出精度が向上する。なお、屈折率調整剤は1種単独で用いることができ、または、本発明の目的効果が達成される限りにおいて、2種以上を混合して用いてもよい。2種以上の屈折率調整剤を用いる場合、上記数値範囲はその合計量である。
反応部における発色試薬の含有量は、例えば、110〜825(mmol/L 赤血球外液)であり、好ましくは165〜825(mmol/L 赤血球外液)であり、より好ましくは180〜450(mmol/L 赤血球外液)である。なお、発色試薬は1種単独で用いることができ、または、本発明の目的効果が達成される限りにおいて、2種以上を混合して用いてもよい。2種以上の発色試薬を用いる場合、上記数値範囲はその合計量である。
反応部における酸化還元酵素の含有量は、例えば、3×10〜2.5×10(μkat/L 赤血球外液)(すなわち、1.8×10〜1.5×10(U/L 赤血球外液))であり、好ましくは4.5×10〜2.5×10(μkat/L 赤血球外液)(すなわち、2.7×10〜1.5×10(U/L 赤血球外液))であり、より好ましくは5×10〜1.2×10(μkat/L 赤血球外液)(すなわち、3×10〜7.2×10(U/L 赤血球外液))である。なお、酸化還元酵素は1種単独で用いることができ、または、本発明の目的効果が達成される限りにおいて、2種以上を混合して用いてもよい。2種以上の酸化還元酵素を用いる場合、上記数値範囲はその合計量である。
反応部は、使用する酸化還元酵素に応じて、電子キャリアーを含んでいてもよい。反応部における電子キャリアーの含有量は、例えば、2〜15(mmol/L 赤血球外液)であり、好ましくは3〜15(mmol/L 赤血球外液)であり、より好ましくは3〜8(mmol/L 赤血球外液)である。なお、電子キャリアーは1種単独で用いることができる。または、本発明の目的効果が達成される限りにおいて、電子キャリアーを添加しなくてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。2種以上の電子キャリアーを用いる場合、上記数値範囲はその合計量である。
本発明の目的効果が損なわれない程度において、反応部には、上記の発色試薬、酸化還元酵素、および屈折率調整剤以外の試薬、例えば、上記の補酵素や、緩衝剤(例えば、Tris緩衝剤、Tricine緩衝剤、HEPES緩衝剤、リン酸緩衝剤、酢酸緩衝剤等)、酵素(例えば、ジアホラーゼ、ペルオキシダーゼ、グルコキナーゼ、ヘキソナーゼ、リポプロテインリパーゼ、グリセロールキナーゼ等)、アニリン化合物(例えば、N−(3−スルホプロピル)アニリン、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3−メチルアニリン、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメチルアニリン、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメトキシアニリン、N−エチル−N−(3−スルホプロピル)−3−メチルアニリン、N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメトキシアニリン等)、フェノール類(例えば、フェノール、4−クロロフェノール、3−メチルフェノール、3−ジメチルアミノ安息香酸、3−ヒドロキシ−2,4,6−トリヨード安息香酸等)、界面活性剤などが含まれていてもよい。
反応部26の形成方法は特に制限されない。例えば、板片30のいずれか一方または両方に、発色試薬、酸化還元酵素、屈折率調整剤、および必要に応じて使用されるその他の試薬を含む塗布液(例えば、本発明の第2の側面に係る組成物)を塗布し、必要に応じて塗膜を乾燥させて形成することができる。反応部26の形成に用いられる塗布液は、任意に溶媒を含んでもよい。かような溶媒としては、例えば、水、低級アルコール(例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール等)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール等)、ジメチルスルホキシド、グリセリンなどから選択される1種または2種以上の混合物が例示できるが、これらに限定されない。
検出用チップ12は、以上の空洞部20を有するように、一対の板片30と、一対のスペーサ32とによりチップ本体部18を構成している。一対の板片30は、側面視でそれぞれ上述した長方形状に形成され、互いに積層方向に配置される。つまり、一対の板片30は、チップ本体部18の両側面(左側面および右側面)を構成している。各板片30の板厚は、非常に小さく、例えば、5μm〜50μm程度の同一寸法に設定されるとよい。2つ(一組)の板片30の厚みは、相互に異なっていてもよい。
一対の板片30は、面方向と直交する方向からある程度の押圧力が加えられても、板形状を維持して塑性変形しない強度を有する。また、各板片30は、測定光が透過可能となるように透明又は半透明に構成される。さらに、各板片30は、空洞部20において血液を流動させ得るように適度な親水性を有する平坦状の板面に形成されている(又は板面に塗布剤が塗布されている)ことが好ましい。
各板片30を構成する材料は、特に限定されるものではないが、熱可塑性樹脂材料、ガラス、石英等を適用するとよい。熱可塑性樹脂材料としては、例えば、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプ口ピレンなど)、シクロオレフィンポリマー、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテフタレート、ポリエチレンナフタレートなど)、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド、フッ素樹脂等の高分子材料又はこれらの混合物が挙げられる。
また、一対のスペーサ32は、一対の板片30の間に挟まれるように配置され、所定の接合手段(接着剤等)よりに各板片30の対向面に強固に接着される。つまり各スペーサ32は、一対の板片30同士を離間させるように間に配置されることで、一対の板片30と一対のスペーサ32自体の間に空洞部20を形成させる部材である。この場合、一方のスペーサ32は、図3中のチップ本体部18の上側長辺22aに接し、この上側長辺22aに沿って先端および基端方向に延びるように配置される。他方のスペーサ32は、図3中のチップ本体部18の下側長辺22bに接し、この下側長辺22bに沿って先端および基端方向に延びるように配置される。
一対のスペーサ32を構成する材料は、特に限定されるものではないが、例えば、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマーが挙げられる。または、熱可塑性エス卜ラマ一以外にも、弾性変形可能な種々の材料を適用してもよく、また弾性変形可能な多孔質体(例えばスポンジ)等の構造体や両面テープを適用してもよい。さらに、一対の板片30の間で硬化状態又は半硬化状態となることにより板片30同士を接着する接着剤を基材の一方または両面に有するスペーサ32として適用してもよい。またさらに、スペーサ32は、反応部26を含有することで、血液サンプルの流入に伴い空洞部20に反応部26を溶出する構成であってもよい。
板片30やスペーサ32は、親水化処理されたものであってもよい。親水化処理の方法としては、例えば界面活性剤、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ヒドロキシプロピルセルロース、水溶性シリコーンの他、ポリアクリル酸、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド等の親水性高分子を含有した水溶液を浸漬法またはスプレー法等により塗布する方法や、プラズマ照射、グロー放電、コロナ放電、紫外線照射等の方法等が挙げられ、これらの方法を単独又は組み合わせてもよい。
スペーサ32により形成される一対の板片30間の距離は、例えば5μm〜200μmであり、好ましくは10μm〜100μmである。
検出用チップ12は以上のように構成される。次に検出装置10の装置本体16について説明する。
図1に示すように、検出装置10は、外観を構成する筐体40を有する。筐体40は、ユーザが把持操作し易い大きさでその内部に検出装置10の制御部42を収容する箱体部44と、箱体部44の一辺(先端側)から先端方向に突出し内部に光学系の測定部14を収容する筒状の測光ブロック46とを含む。また、箱体部44の上面には、電源ボタン48、操作ボタン50、ディスプレイ52が設けられ、測光ブロック46の上面にはイジェク卜レバー54が設けられている。
電源ボタン48は、ユーザの操作下に、検出装置10の起動と起動停止を切り換える。操作ボタン50は、起動状態となった検出装置10において、ユーザの操作に基づき、分析対象物の測定や表示を行う、測定結果(過去の測定結果を含む)の表示を切り換える等の操作部として機能する。ディスプレイ52は、液晶や有機EL等により構成され、測定結果の表示やエラー表示等のように測定操作においてユーザに提供する情報を表示する。
イジェク卜レバー54は、先端および基端方向に移動可能に設けられ、測光ブロック46内に設けられるイジェク卜ピン56のロックを解除して、イジェク卜ピン56を先端方向に進出可能とする(図2参照)。
一方、装置本体16の測光ブロック46は、ユーザの指等に先端を押し当てるために、箱体部44から先端方向に長く延出している。図2に示すように、この測光ブロック46には、挿入孔58を有するチップ装着部60と、血中の分析対象物を光学的に検出する測定部14とが設けられる。
チップ装着部60は、高い硬質性(剛性)を有する材料(例えば、ステンレス)により、外方向に突出するフランジ部60aを先端側に備え、軸方向に所定長さを有する筒状に形成される。このチップ装着部60は、樹脂材料で構成された測光ブロック46の先端面と軸心部(中心部)にわたって位置決め固定される。測光ブロック46の内面には、図4Aに示すように、チップ装着部60を強固に固定する固定壁46aが突出形成されている。
チップ装着部60を構成する材料としては、例えば、ステンレスやチタン等の金属、アルマイト皮膜処理をしたアルミニウム、液晶ポリマー、ガラスやマイカ等のフィラーを添加したプラスティック、ニッケルめっき等で表面を硬化皮膜したプラスティック、カーボンファイバー、ファインセラミック等、硬質で安易に寸法が変化せず、また繰り返し検出用チップ12の抜き差しをしても摩耗しにくく、且つ寸法精度良く加工可能な材料が挙げられる。この中でも金属材料を適用すれば、チップ装着部60の製造(射出成形やプレス成形等)時に、高い寸法精度且つ容易に挿入孔58を成形することができる。なお、装置本体16は、測光ブロック46自体を硬質な材料(例えば、金属材料)により構成することで、チップ装着部60を一体成形していてもよい。
チップ装着部60の軸心部には、このチップ装着部60の壁部62に囲われることにより挿入孔58が設けられる。挿入孔58は、上下方向に長く、左右幅方向に短い断面長方形状に形成されている。挿入孔58は、チップ装着部60が測光ブロック46に固着された状態で、その先端面から奥部(基端方向)に向かって所定深さを有する。
チップ装着部60の先端側には、挿入孔58に連なると共に、外部に連通する挿入開口部58aが形成される。この挿入開口部58aの上下方向の寸法は、検出用チップ12の短辺24の寸法(上下方向の長さ)に一致している。また、挿入開口部58aの左右幅方向の寸法、すなわち挿入孔58の側面を構成する一対の壁部62の間隔は、図4Aに示すように、測定用チップ12の積層方向の厚み(図4A中のTall)と実質的に同じである。
チップ装着部60は、図4Aに示すように、挿入孔58(測定用孔部59)が延在する途中位置に、測光ブロック46の固定壁46aと協働して一対の素子収容空間64を形成している。一対の素子収容空間64は、測定部14の一部であり、挿入孔58を挟んで互いに対向位置に設けられ、チップ装着部60により形成された各導光部66を介して測定用孔部59に連通している。
測定部14は、一方の素子収容空間64に発光素子68を収容することで発光部70を構成し、他方の素子収容空間64に受光素子72を収容することで受光部74を構成している。チップ装着部60の導光部66は、適宜な直径を有する円形状の穴に形成されることで、所謂アパーチャの役割を果たしている。
発光部70の発光素子68は、第1の波長を有する測定光を検出用チップ12に照射する第1発光素子68aと、第1の波長とは異なる第2の波長を有する測定光を検出用チップ12に照射する第2発光素子68bとを含む(図2中では図示を省略する)。第1発光素子68aと第2発光素子68bは、素子収容空間64の導光部66を臨む位置に並設されている。
発光素子68(第1及び第2発光素子68a、68b)は、発光ダイオード(LED)で構成され得る。第1の波長は、血糖量に応じた試薬26の呈色濃度を検出するための波長であり、例えば、600nm〜680nmである。第2の波長は、例えば、血液中の赤血球濃度を検出するための波長であり、例えば、510nm〜540nmである。箱体部44内の制御部42は、駆動電流を供給して、第1及び第2発光素子68a、68bをそれぞれ所定タイミングで発光させる。この場合、呈色濃度から得られる測定値を赤血球濃度から得られるヘマトクリット値を用いて補正し、分析対象物の含有量(例えば、血糖値)を求める。なお、さらに他の測定波長で測定することで、血球に起因するノイズを補正してもよい。
受光部74は、素子収容空間64の導光部66を臨む位置に1つの受光素子72を配置して構成される。この受光部74は、検出用チップ12からの透過光を受光するものであり、例えば、フォトダイオード(PD)で構成され得る。
また、挿入孔58の底部(基端面)には、イジェクトレバー54に連結されたイジェクトピン56(イジェクト部)が設けられている。イジェクトピン56は、測光ブロック46の軸方向に沿って延びる棒部56aと、棒部56aの先端部で径方向外側に大径な受部56bとを備える。受部56bには、挿入孔58に挿入された検出用チップ12の基端辺24bが接触する。また、挿入孔58の底部とイジェクトピン56の受部56bの間には、イジェクトピン56を非接触に囲うコイルバネ76が設けられている。コイルバネ76は、イジェクトピン56の受部56bを弾性的に支持する。
イジェクトピン56は、ユーザによる検出用チップ12の挿入に伴い受部56bが押されることで基端方向に変位し、筐体40内に設けられた図示しないロック機構によりロック(固定)される。コイルバネ76は、受部56bの変位に従って弾性的に収縮する。そして、ユーザのイジェクトレバー54の操作により、イジェクトピン56が多少移動するとロック機構のロックが解除され、コイルバネ76の弾性復元力により先端方向にスライドする。これにより、検出用チップ12がイジェクトピン56に押し出されて、挿入孔58から取り出される。
図1に戻り、装置本体16の制御部42は、例えば、図示しない演算部、記憶部、入出力部を有する制御回路によって構成される。この制御部42は、周知のコンピュータを適用することが可能である。制御部42は、例えば、ユーザの操作ボタン50の操作下に、測定部14を駆動制御して分析対象物を検出および算出し、ディスプレイ52に算出した値(分析対象物の含有量)を表示する。
例えば、検出用チップ12に対し測定光を透過させて分析対象物(例えば、グルコース)を測定する検出装置10において、制御部42は、以下の式(A)で示すBeer−Lambert則に基づいて測定結果を算出する。
上記式(A)において、lは血液サンプルに入射する前の光の強度、lは血液サンプルから出射した後の光の強度、αは吸光係数、Lは測定光が通過する距離(セル長)である。
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。
<屈折率調整剤の屈折率上昇能力>
0〜350mg/mlの範囲内で複数の濃度に調製した水溶液を、各屈折率調整剤について用意した。屈折計PAL−RI(株式会社アタゴ)で、各水溶液の屈折率を求めた。横軸に各水溶液の濃度を、縦軸に屈折率を屈折率調整剤毎にプロットした図を作成し、近似直線の傾きを求めた(表1「屈折率上昇能力」の値は、1[mg/ml]あたりの屈折率増加量を指し、傾きが大きいほど屈折率調整剤の屈折率上昇能力が高いことを表す)。その結果を表1に示す。なお、表1において「測定不可」とは、沈殿の発生により水溶液を作製できなかったことを意味する。
<屈折率調整剤の赤血球縮小能力>
1.0mlの血液サンプル(ヘマトクリット値:40)から、400μL分の血漿を回収した。回収した400μLの血漿に対して、濃度が125mMとなるように屈折率調整剤を添加した。屈折率調整剤添加後の血漿を元の血液サンプルと合一して、転倒混和した(血液サンプル中の屈折率調整剤の濃度は50mMとなる)。転倒混和から5分後のサンプルをヘマトクリット管に充填し、ヘマトクリット遠心器にて11×10rpmで5分間遠心分離した。遠心分離後のヘマトクリット値(Ht)を読み取った。屈折率調整剤添加前のヘマトクリット値(=40)から遠心分離後のヘマトクリット値(Ht)を差し引いてヘマトクリット値変化量(ΔHt)を求めた(ΔHtが大きいほど、屈折率調整剤の赤血球縮小能力が高いことを表す)。その結果を表1に示す。なお、表1中、「測定不可」は、屈折率調整剤の溶解度が低く測定できなかったことを示す。
<スペクトル測定>
スペクトル測定に用いた評価システムの概要を以下に示す。また、評価システムの概要を図6に示す:
光源 ハロゲン光源 SPL−2H(ケイエルブイ株式会社)
ファイバコネクタ SMA
適合ファイバ:コア径=200μ以上
分光計 小型ファイバ光学分光器 USB2000+(Ocean Optics社)
ディテクタ範囲 200〜1100nm。
各実施例および比較例で得られた血糖値検出用チップを用いて、スペクトル解析を行った。なお、血糖値検出用チップのスペーサ厚さが50μmであるため、光路長は50μmとなる。各実施例および比較例間での血液点着量の違いをノーマライズするため、各測定波長における吸光度(実測値)をクリアランス35μmの場合に補正し、補正後の吸光度から透過率を求めた。点着前のスペクトル解析から得られた透過率曲線を図7Aに示す。なお、吸光度の補正は、各測定波長における吸光度(実測値)を各チップにおいて実測したクリアランス(CL)(μm)の値で除し、さらに35(μm)を乗じることで行った。
次いで、上記の血糖値検出用チップに血液サンプル(ヘマトクリット値:40)を点着し、点着後10〜15秒におけるスペクトル解析を行った。得られたスペクトル解析結果を元に、点着前と同様にして吸光度を補正して透過率を求めた。点着後のスペクトル解析から得られた透過率曲線を図7Bに示す。また、赤血球と赤血球外液との屈折率差が減少したことを示す指標として、810nmにおける透過率を表1に示す。
点着後の透過率曲線から、545nmに観察されるピーク極小値の透過率および575nmに観察されるピーク極小値の透過率を求めた。その結果を表1に示す。なお、表1において、「◎」は、545nmおよび575nmに観察される両ピーク極小値の透過率が15%以上であることを示す。表1において、「○」は、545nmおよび575nmに観察されるいずれかの一方のピーク極小値の透過率が15%以上であることを示す。表1において、「×」は、545nmおよび575nmにおいてピークが観察されないか、または545nmおよび575nmに観察される両ピーク極小値の透過率が15%未満であることを示す。なお、比較例2におけるWst−1、および比較例3におけるWst−8は、NaOH水溶液によって処理した還元体の値を表1に記載した。
各実施例および比較例の条件では、点着前のチップを用いて測定される650nm(WST−4の吸収ピーク波長)における吸光度の値は、屈折率調整剤を水に溶解させて光路長50μmとして測定される吸光度値と実質的に相違しない。従って、点着前の透過率曲線から、WST−4の吸収ピーク波長である650nmにおける屈折率調整剤の透過率を求めた。その結果を表1に示す。なお、表1において、「◎」は650nmにおける透過率が60%以上100%以下であること、「○」は650nmにおける透過率が40%以上60%未満であること、「×」は650nmにおける透過率が40%未満であることを示す。
<析出物>
血糖値検出用チップの製造工程において、塗膜形成後乾燥前に、目視にて析出物の有無を確認した。
<溶解度>
表1に示す屈折率調整剤の溶解度は、20℃における水に対する溶解度である。なお、表1における「×」は、20℃における水に対する溶解度が50mM以下を意味する。
(実施例1−1)
35μkat(2104U)のグルコースデヒドロゲナーゼ(酸化還元酵素;FAD−GDH GDL−351、東洋紡株式会社)、12.5μmolの2−ベンゾチアゾリル−3−(4−カルボキシ−2−メトキシフェニル)−5−[4−(2−スルホエチルカルバモイル)フェニル]−2H−テトラゾリウムナトリウム塩(発色試薬;WST−4、吸収ピーク波長 650nm)、0.25μmolの1−メトキシ−5−メチルフェナジニウムメチルサルフェート(電子キャリアー;m−PMS)、および22.5μmolのAcid Yellow 23(屈折率調整剤;AY23)を162.5μlの純水に溶解させ、塗布液を調製した。
次いで、上記塗布液を用いて図5に示す血糖値検出用チップを作製した。具体的には、親水化処理をしたポリエチレンテレフタレート製の板片30a’に対して、1.5mm×3mmのサイズで乾燥後厚さが約15μmとなるように上記の塗布液を塗布し、25℃で12時間塗膜を乾燥させ、反応部26’を形成した。次いで、板片30a’の両端に沿うように、反応部26’の左右に、一対のスペーサ32’(ポリエステルフィルム基材、厚さ50μm)を粘着剤にて板片30a’に貼り付けた。最後に、板片30a’と同じ大きさの板片30b’を、上記一対のスペーサ32’の板片30a’と反対の面に粘着剤にて貼り付けた。こうして、血糖値検出用チップ12’を得た。実際に得られたチップにおける反応部26’の厚さは、Optical MicroGauge 厚み計(C11011−01、浜松ホトニクス株式会社)により測定した。板片30b’と反応部26’との間のクリアランス(CL)は、スペーサ32’の厚さ(50μm)から反応部26’の厚さを差し引いて求めた。
(実施例1−2)
実施例1−1におけるWST−4の量を49.9μmolに変更し、Acid Yellow 23に代えて27.1μmolの1,3−ベンゼンジスルホン酸(DSB)を用いた以外は実施例1−1と同様にして、血糖値検出用チップを得た。
(実施例1−3)
実施例1−1におけるAcid Yellow 23に代えて30.2μmolのスクラロースを用いた以外は実施例1−1と同様にして、血糖値検出用チップを得た。
(実施例1−4)
実施例1−1におけるAcid Yellow 23に代えて35.1μmolのトレハロースを用いた以外は実施例1−1と同様にして、血糖値検出用チップを得た。
(実施例1−5)
実施例1−1におけるAcid Yellow 23に代えて26.5μmolのOrange G(OG)を用いた以外は実施例1−1と同様にして、血糖値検出用チップを得た。
(実施例1−6)
実施例1−1におけるAcid Yellow 23に代えて19.9μmolのAcid Red 27(AR27)を用いた以外は実施例1−1と同様にして、血糖値検出用チップを得た。
(比較例1)
実施例1−1におけるAcid Yellow 23に代えて20.5μmolのAcid Fuchsin(AF)を用いた以外は実施例1−1と同様にして、血糖値検出用チップを得た。
(比較例2)
実施例1−1におけるAcid Yellow 23に代えて18.4μmolの2−(4−ヨードフェニル)−3−(4−ニトロフェニル)−5−(2,4−ジスルホフェニル)−2H−テトラゾリウムナトリウム塩を塗布液の調製に用いたが、血液サンプルに対する溶解性が低くスペクトル解析を行うことができなかった。
(比較例3)
実施例1−1におけるAcid Yellow 23に代えて20.0μmolの2−(2−メトキシ−4−ニトロフェニル)−3−(4−ニトロフェニル)−5−(2,4−ジスルホフェニル)−2H−テトラゾリウムナトリウム塩を塗布液の調製に用いたが、血液サンプルに対する溶解性が低くスペクトル解析を行うことができなかった。
(比較例4)
実施例1−1におけるAcid Yellow 23に代えて22.0μmolのAcid Blue 1を塗布液の調製に用いたが、水に対する溶解性が低く塗布液から析出物を生じた。また、血液サンプルに対する溶解性が低くスペクトル解析を行うことができなかった。
(参考例1)
反応部26’を有しない以外は実施例1−1と同様のチップを作製した。当該チップを用いて、血液サンプルのスペクトル解析を行った。なお、波長810nmにおける血液(ヘマトクリット値:40)の透過率は、25%であった。
上記表1および図7Bから、実施例では長波長領域での透過率が血液サンプルより向上している。このことから、赤血球と赤血球外液との屈折率差が低下していることで、ノイズとなる赤血球による散乱を低下させていることが分かる。ゆえに、本発明によれば、血液サンプルに由来する成分の分画を必要とせずに、分析対象物を高精度に検出し得る。
(実施例2)
35μkat(2104U)のグルコースデヒドロゲナーゼ(酸化還元酵素;FAD−GDH GDL−351、東洋紡株式会社)、12.5μmolのWST−4(発色試薬)、0.25μmolのm−PMS(電子キャリアー)、および22.5μmolのAcid Yellow 23(屈折率調整剤;AY23)を190μlの純水に溶解させ、塗布液を調製した。
塗膜の厚さを下記表2のように変更した以外は実施例1−1と同様の手法により、血糖値検出用チップを作製した。なお、反応部26’の厚さは塗布回数を増減させることにより調整した。反応部26’の厚さはOptical MicroGauge 厚み計(C11011−01、浜松ホトニクス株式会社)により測定した。板片30b’と反応部26’との間のクリアランス(CL)は、スペーサ32’の厚さ(50μm)から反応部26’の厚さを差し引いて求めた。下記式により血液点着後の赤血球外液の体積、ならびに血液サンプル点着後の発色試薬および屈折率調整剤それぞれの濃度(点着時濃度)を算出した。
上記の血糖値検出用チップに血液サンプル(ヘマトクリット値:40)を点着し、810nmの吸光度(実測値)を測定した。各血糖値検出用チップ間での血液サンプル点着量をノーマライズして比較するため、吸光度(実測値)を各チップのクリアランス(μm)の値で除し、さらに35(μm)を乗じることでクリアランスを35μmに補正した。補正後の吸光度Absを図8に示す。また、各チップのクリアランス(実測値)を、点着から25秒後の吸光度(35μm補正前の実測値)で除した値(CL/Abs810)を表2に示す。CL/Abs810はクリアランスに対する散乱光の影響度を表しており、この値の値が大きいほど、散乱光の発生が効率的に抑制されていることを示す。
(実施例3)
実施例2におけるAcid Yellow 23をスクラロースに変更した以外は実施例2と同様に血糖値検出用チップを作製した。吸光度(実測値)をクリアランス35μmの場合に補正した結果を図9に示す。なお、図9の吸光度Absもまた、実施例2と同様の手法により補正した。また、各チップのクリアランス(実測値)を、点着から25秒後の吸光度(35μm補正前の実測値)で除した値(CL/Abs810)を表3に示す。CL/Abs810はクリアランスに対する散乱光の影響度を表しており、この値の値が大きいほど、散乱光の発生が効率的に抑制されていることを示す。
本出願は、2016年9月28日に出願された日本特許出願第2016−190379号に基づいており、その開示内容は、参照により全体として本開示に引用される。
10 検出装置、
12,12’ 検出用チップ、
14 測定部、
16 装置本体、
18 チップ本体部、
20 空洞部、
20a 先端口部、
20b 基端口部、
22 長辺、
22a 上側長辺、
22b 下側長辺、
24 短辺、
24a 先端辺、
24b 基端辺、
26,26’ 反応部、
28 測定対象部、
30,30’ 板片、
32,32’ スペーサ、
40 筺体、
42 制御部、
44 箱体部、
46 測光ブロック、
48 電源ボタン、
50 操作ボタン、
52 ディスプレイ、
54 イジェクトレバー、
56 イジェクトピン、
56a 棒部、
56b 受部、
58 挿入口、
58a 挿入開口部
59 測定用孔部、
60 チップ装着部、
60a フランジ部、
62 壁部、
64 素子収容空間、
66 導光部、
68 発光素子、
70 発光部、
72 受光素子、
74 受光部、
76 コイルバネ。

Claims (17)

  1. 血液サンプル中の分析対象物を検出する方法であって、
    (1)前記血液サンプルを準備すること、
    (2)屈折率調整剤を前記血液サンプルに溶解させることにより、赤血球と赤血球外液との屈折率差を減少させた分析サンプルを得ること、ならびに
    (3)前記分析サンプルを用いて、前記分析対象物を検出すること、
    を含む、方法。
  2. 前記(2)において、前記分析サンプルが透過率50%以上である波長を700nm〜950nmの範囲内に有するように、前記屈折率調整剤を前記血液サンプルに溶解させる、請求項1に記載の方法。
  3. 前記血液サンプルまたは前記分析サンプルに発色試薬を溶解させて発色反応を行うことを含み、
    前記分析対象物の検出は、前記発色反応による発色強度に基づいて行われる、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記発色試薬の吸収ピーク波長における前記屈折率調整剤のモル吸光係数は、200L/(mol・cm)以下である、請求項3に記載の方法。
  5. 前記発色試薬は、テトラゾリウム塩である、請求項3または4に記載の方法。
  6. 前記屈折率調整剤の20℃における水に対する溶解度は、100mM以上である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 750nm〜850nmの波長領域において、前記分析サンプルの透過率は、前記血液サンプルの透過率よりも高い、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記屈折率調整剤は、下記式(1)で表される化合物、ベンゼンスルホン酸化合物および二糖類、ならびにこれらの塩からなる群から選択される1種以上である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法:
    ただし、上記式(1)において、QおよびQは、それぞれ独立に、1以上の置換基を有していてもよいアリール基または含窒素複素環基を表し;前記置換基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、カルボキシ基、スルホ基、アミノ基、カルバモイル基、スルファモイル基、フェニル基、カルボキシフェニル基、およびスルホフェニル基からなる群から選択される。
  9. 前記分析対象物は、グルコース、コレステロール、中性脂肪、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド、および尿酸からなる群から選択される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 血液サンプル中の分析対象物を検出するための組成物であって、
    発色試薬、酸化還元酵素、および屈折率調整剤を含む、組成物。
  11. 前記発色試薬の吸収ピーク波長における前記屈折率調整剤のモル吸光係数は、200L/(mol・cm)以下である、請求項10に記載の組成物。
  12. 前記発色試薬は、テトラゾリウム塩である、請求項10または11に記載の組成物。
  13. 前記屈折率調整剤は、下記式(1)で表される化合物、ベンゼンスルホン酸化合物および二糖類、ならびにこれらの塩からなる群から選択される1種以上である、請求項10〜12のいずれか1項に記載の組成物:
    ただし、上記式(1)において、QおよびQは、それぞれ独立に、1以上の置換基を有していてもよいアリール基または含窒素複素環基を表し;前記置換基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、カルボキシ基、スルホ基、アミノ基、カルバモイル基、スルファモイル基、フェニル基、カルボキシフェニル基、およびスルホフェニル基からなる群から選択される。
  14. 前記屈折率調整剤の含有量は、前記発色試薬1モルに対して0.2〜5モルである、請求項10〜13のいずれか1項に記載の組成物。
  15. 前記分析対象物は、グルコース、コレステロール、中性脂肪、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド、および尿酸からなる群から選択される、請求項10〜14のいずれか1項に記載の組成物。
  16. 血液サンプル中の分析対象物の検出用チップであって、
    発色試薬、酸化還元酵素、および屈折率調整剤を含む反応部を有する、チップ。
  17. 前記反応部における前記屈折率調整剤の含有量は、330〜800(mmol/L 赤血球外液)である、請求項16に記載のチップ。
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