JP2023087327A - 生体成分濃度測定試薬、測定方法およびセンサ - Google Patents

生体成分濃度測定試薬、測定方法およびセンサ Download PDF

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Abstract

【課題】溶血した全血試料に対しても高精度で全血成分濃度を測定できる手段を提供する。【解決手段】亜硝酸またはその塩、溶血剤、および発色色素を含み、前記発色色素の酸化還元電位が前記亜硝酸またはその塩の酸化還元電位より+0.19Vを超える、生体成分濃度測定試薬。【選択図】なし

Description

本発明は、試薬、測定方法およびセンサに関する。特に、本発明は、全血試料に含まれる、グルコース等の分析対象物の濃度を測定するために使用される試薬、測定方法およびセンサに関する。
従来から、臨床化学検査において、血液や尿等の生体試料中に含まれる分析対象物(例えば、グルコース)を電気化学的手段や光学的手段(比色法)により測定する技術が知られている。
例えば、特許文献1には、特定の構造を有する2-置換ベンゾチアゾリル-3-置換フェニル-5-置換スルホ化フェニル-2H-テトラゾリウム塩が記載される。
国際公開第2018/051822号
上記特許文献1に記載のテトラゾリウム塩から生成するホルマザンは血色素の主な吸収帯と重ならない波長域(600nm以上)に十分な発色ピークを有する。このため、当該テトラゾリウム塩を用いることにより、赤血球などの血球を含む全血試料に対しても十分な感度で生体成分を定量できる。上記特許文献1では、血漿中の生体成分濃度を測定する。一方で、血球内の生体成分濃度を含めた全血試料中の生体成分濃度を測定する方法が求められている。
したがって、本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、溶血した全血試料に対しても高精度で生体成分濃度を測定できる手段を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく、鋭意研究を行った結果、亜硝酸(またはその塩)と当該亜硝酸(またはその塩)に対して特定の酸化還元電位差を有する発色色素とを組み合わせて使用することによって、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、上記目的は、亜硝酸またはその塩、溶血剤、および発色色素を含み、前記発色色素の酸化還元電位が前記亜硝酸またはその塩の酸化還元電位より+0.19Vを超える生体成分濃度測定試薬によって達成できる。
本発明によれば、溶血した全血試料に対しても生体成分濃度を高精度で測定できる。
図1は、本形態に係る測定用センサが装着された血糖計(成分測定装置)を概略的に示す平面図である。 図2は、図1のセンサと装置本体の測光部を拡大して示す斜視図である。 図3は、図1の測定用センサを示す側面図である。 図4Aは、図1の測定用センサと装置本体の装着動作を示す第1平面図である。 図4Bは、図4Aに続く装着動作を示す第2平面断面図である。 図5Aは、実施例で用いた血糖計センサの模式図である。 図5Bは、図5Aの血糖計センサの内面の長さ、幅、厚みを説明するための図である。 図6は、酸化還元電位を測定するための装置を示す図である。 図7は、テトラゾリウム塩1およびWST-4のサイクリックボルタンメトリー(CV)測定結果を示すグラフである。 図8は、亜硝酸ナトリウムのサイクリックボルタンメトリー(CV)測定結果を示すグラフである。 図9は、テトラゾリウム塩1を適用した血糖計センサ(血糖値測定センサ)に異なるグルコース濃度の血液検体を作用させた際のグルコース濃度と、ホルマザンおよびZn2+のキレート化合物の吸光度との関係を示すグラフである。
以下、本開示の実施の形態を説明する。なお、本開示は、以下の実施の形態のみには限定されない。
本開示の第1の態様は、亜硝酸またはその塩、溶血剤、および発色色素を含み、前記発色色素の酸化還元電位が前記亜硝酸またはその塩の酸化還元電位より+0.19Vを超える生体成分濃度測定試薬である。
本開示の第2の態様は、全血試料を本開示の第1の態様に係る生体成分濃度測定試薬と反応させて、発色量を測定し、当該発色量に基づいて前記全血試料中の生体成分の濃度を定量することを有する、生体成分濃度の測定方法である。
本開示の第3の態様は、反応部を有する、全血試料中の生体成分濃度を測定するためのセンサであって、前記反応部は、本開示の第1の態様に係る生体成分濃度測定試薬を含む、センサである。
本開示によれば、溶血した全血試料に対して(すなわち、血球および血漿双方に含まれる)生体成分(分析対象物)の濃度を高精度で測定できる。
本明細書において、亜硝酸またはその塩を、単に「亜硝酸(塩)」とも称する。また、本明細書において、亜硝酸またはその塩の酸化還元電位より+0.19Vを超える酸化還元電位を有する発色色素を、単に「発色色素」または「本開示の発色色素」とも称する。また、本明細書において、生体成分濃度測定試薬を、単に「試薬」または「本開示の試薬」とも称する。
以下、本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態のみには限定されない。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
また、本明細書において、範囲を示す「X~Y」は、XおよびYを含み、「X以上Y以下」を意味する。「M」は、mol/Lを意味する。また、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20~25℃)/相対湿度40~50%RHの条件で行う。
<生体成分濃度測定試薬>
本開示の第1の態様は、亜硝酸またはその塩、溶血剤、および発色色素を含み、前記発色色素の酸化還元電位が前記亜硝酸またはその塩の酸化還元電位より+0.19Vを超える生体成分濃度測定試薬である。以下、試薬を構成する各成分について詳細に説明する。
(亜硝酸またはその塩)
本開示の試薬は、亜硝酸またはその塩(亜硝酸(塩))を含む。全血を試料とする場合、溶血した赤血球からヘモグロビン(Fe(II))が遊離する。例えば、発色色素としてテトラゾリウム塩を使用する場合には、ヘモグロビンがテトラゾリウム塩を非酵素的に還元することにより、着色したホルマザンが生成する(偽発色が発生する)。しかし、本開示の試薬に含まれる亜硝酸(塩)は、ヘモグロビンに含まれる2価の鉄イオン(Fe2+)を3価の鉄イオン(Fe3+)に酸化するメト化剤として作用する。このため、溶血した全血試料を測定の対象としても、亜硝酸(塩)が赤血球から遊離したヘモグロビンに対して発色色素に比べて優先して電子を受け取ることができる。これにより、発色色素の非酵素的な還元(偽発色)を抑制する。
亜硝酸塩としては、例えば、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、亜硝酸カルシウム、亜硝酸アンモニウムなどが使用できる。本発明による効果のさらなる向上、安定性や汎用性の高さの点から、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウムが好ましく、亜硝酸ナトリウムがより好ましい。亜硝酸(塩)は、1種を単独で使用しても、または2種以上を組み合わせて使用してもよい。なお、亜硝酸(塩)を2種以上組み合わせて使用する場合には、酸化還元電位は、一番高い値を採用する。
試薬における亜硝酸(塩)の組成(含有量、ただし、亜硝酸塩の場合は、亜硝酸(NO )に換算した量)(固形分換算)は、例えば、試薬 100質量部に対して、0.8~10.0質量部であり、好ましくは1.5~7.5質量部であり、より好ましくは2.5質量部を超え5.0質量部未満である。このような量であれば、偽発色をさらに効果的に抑制できる。ゆえに、溶血した全血試料に対しても分析対象物濃度(例えば、グルコース濃度)をより高い精度で測定できる。また、全血試料における分析対象物濃度(例えば、グルコース濃度)をより高い感度で測定できる。上記亜硝酸(塩)の含有量は、試薬を調製する際の亜硝酸(塩)の仕込み量の割合と実質的に同等である。また、試薬が2種以上の亜硝酸(塩)を含む場合には、上記亜硝酸(塩)の含有量は配合する亜硝酸(塩)の合計量を意図する。
また、亜硝酸(塩)の含有量は、発色色素 1モルに対して、50モル以下であることが好ましい。すなわち、本発明の好ましい形態では、亜硝酸またはその塩は、発色色素 1モルに対して、50モル以下の割合で含まれる。亜硝酸(塩)の含有量が50モル/(1モル 発色色素)を超えると、亜硝酸(塩)が発色色素と競合するため、発色色素と酵素との反応が阻害される(発色阻害が生じる)可能性がある。特に、発色色素がテトラゾリウム塩であり、試薬が酸化還元酵素をさらに含む場合には、酸化還元酵素と測定対象物との反応によってテトラゾリウム塩からホルマザンが生成する前に、亜硝酸(塩)が酸化還元酵素から電子を奪うため、被測定物に応じた発色量が得られにくくなる。換言すれば、測定精度が低下してしまう可能性がある。亜硝酸(塩)の含有量(亜硝酸塩の場合は、亜硝酸(NO )に換算した量)は、発色色素 1モルに対して、より好ましくは10モル未満、さらに好ましくは5モル未満、特に好ましくは3.0モル未満である。また、亜硝酸(塩)の含有量(亜硝酸塩の場合は、亜硝酸(NO )に換算した量)は、発色色素 1モルに対して、好ましくは0.2モル以上、より好ましくは0.5モルを超え、特に好ましくは1.0モルを超える。このような範囲であれば、非酵素的な偽発色や発色阻害をさらに効果的に抑制できる。また、被測定物の測定のための発色色素による十分な発色量を確保できる。特に、発色色素がテトラゾリウム塩であり、試薬が酸化還元酵素(例えば、グルコースデヒドロゲナーゼ)をさらに含む場合には、発色色素が酸化還元酵素に対して亜硝酸(塩)より優先して電子を奪えることで、亜硝酸(塩)による発色阻害を抑制する(発色反応をより効率的に進行できる)。ゆえに、溶血した全血試料に対しても分析対象物濃度をより高い精度で測定できる。すなわち、本開示の好ましい形態によると、亜硝酸またはその塩は、発色色素 1モルに対して、0.2モル以上10モル未満の割合で含まれる。本開示のより好ましい形態によると、亜硝酸またはその塩は、発色色素 1モルに対して、0.5モルを超え5モル未満の割合で含まれる。本開示の特に好ましい形態によると、亜硝酸またはその塩は、発色色素 1モルに対して、1.0モルを超え3.0モル未満の割合で含まれる。上記亜硝酸(塩)の含有量は、試薬を調製する際の発色色素の合計仕込み量(モル)に対する亜硝酸(塩)の合計仕込み量(モル)の割合と実質的に同等である。また、亜硝酸(塩)の含有量は、試薬を調製する際の、亜硝酸(塩)の合計仕込み量(モル)を発色色素の合計仕込み量(モル)で除した値を、小数点第2位まで求め、四捨五入して小数点第1位まで求めた値を採用する。
(溶血剤)
本開示の試薬は、亜硝酸(塩)に加えて、溶血剤を含む。一般に血漿中のグルコース濃度を測定する場合には、赤血球量(ヘマトクリット値)を考慮する必要がある。通常、光学的な測定の場合、赤血球量は、赤血球中の血色素量で判断する。しかしながら、血色素量を光学的に正確に測定することは難しい。また、実際の赤血球量と血色素量とが一致しないことがある。また、赤血球による光散乱により、赤血球量の測定自体に特別な測定手法が必要な場合がある。これに対して、本開示の試薬は、赤血球を溶血させるので、より簡易な手法で、より正確な血色素量(ヘモグロビン値)を得ることができる。また、通常、赤血球内には、血漿中に含まれるのと同量程度の分析対象物(例えば、グルコース)が存在している。このため、本開示の試薬によれば、より簡便な方法で血色素量を補正することができ、血漿および血球(すなわち、全血試料)中の分析対象物(生体成分)(例えば、グルコース)の濃度を測定できる(すなわち、全血試料中の分析対象物濃度を把握できる)。溶血剤は、1種を単独で使用しても、または2種以上を組み合わせて使用してもよい。
溶血剤としては、例えば、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、アニオン性界面活性剤などが使用できる。酵素活性を阻害しない観点から、非イオン性界面活性剤が好ましい。
非イオン性界面活性剤としては、11以上15以下(より好ましくは、12以上14以下)のHLB値を有することが好ましい。このような非イオン性界面活性剤としては、オキシエチレン基の平均付加モル数が1以上150以下であり、かつアルキル基の炭素数が1以上18以下であるポリオキシエチレンアルキルエーテル、ノニルフェニルポリエチレングリコールなどが挙げられる。このような非イオン性界面活性剤は、合成しても、または市販品を使用してもよい。市販品としては、ポリオキシエチレン(9)オクチルフェニルエーテル(オクチルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノールまたはオクチルフェニル-ポリエチレングリコール)(Sigma-Aldrich社製、NonidetTM P-40)、Triton(登録商標) X-100(ポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル)、Triton(登録商標) X-114(ポリオキシエチレン(8)オクチルフェニルエーテル)等のポリオキシエチレンp-t-オクチルフェニルエーテル(Triton系界面活性剤);Tween(登録商標) 85等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;Dodecyl-β-D-maltose;Octyl-β-D-glucoside;Nonidet(登録商標)P-40(オクチルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノール、)及びNonidet(登録商標)P-40代替品(HLB=13.5);Tergitol(登録商標) NP-10 Surfactant(Nonylphenol Ethoxylate)(HLB=13.2);IGEPAL(登録商標) CA-630(オクチルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノール)(HLB=13.4);エマルゲン(登録商標) 108(ポリオキシエチレンラウリルエーテル)(HLB=12.1)、エマルゲン(登録商標) 109P;Brij(登録商標) 96ポリエチレングリコールモノオレイルエーテル(n=約2)(HLB=12.4)などが使用できる。
また、両性界面活性剤やアニオン性界面活性剤もまた、合成しても、または市販品を使用してもよい。市販品としては、CHAPS(3-(3-cholamidepropyl)dimethylammonio-1-propanesulphonate)、塩化アルキルポリアミノエチルグリシン;ドデシル硫酸ナトリウムなどが使用できる。その他、サポニンも使用できる。
試薬における溶血剤の組成(含有量)は、サンプル量(全血量)に応じて適切に選択できる。試薬における溶血剤の組成(含有量)(固形分換算)は、例えば、1.0μLの全血試料に対して、1~10容積%である。また、センサ形状にした場合、試薬 100質量部に対して、10~50質量部であり、好ましくは15~40質量部であり、より好ましくは20~30質量部程度である。このような量であれば、十分溶血できる。上記溶血剤の含有量は、試薬を調製する際の溶血剤の仕込み量の割合と実質的に同等である。また、試薬が2種以上の溶血剤を含む場合には、上記溶血剤の含有量は配合する溶血剤の合計量を意図する。
(発色色素)
本開示の試薬は、亜硝酸(塩)および溶血剤に加えて、発色色素を含む。ここで、発色色素の酸化還元電位は、試薬に含まれる亜硝酸(塩)の酸化還元電位に対して+0.19Vを超える(発色色素の酸化還元電位-亜硝酸(塩)の酸化還元電位>+0.19V)。このため、例えば、発色色素がテトラゾリウム塩であり、試薬が酸化還元酵素をさらに含む場合には、発色色素が酸化還元酵素に対して、亜硝酸(塩)より優先して電子を受け取ることができる。これにより、発色反応をより効率的に進行できる。このため、本開示の試薬によれば、全血試料中の分析対象物(生体成分)(例えば、グルコース)を高精度で測定できる。また、本開示の試薬によれば、全血試料中の分析対象物(生体成分)(例えば、グルコース)を十分な感度で測定できる。なお、上記メカニズムは推測であり、本発明の技術的範囲は上記により制限されない。
上記発色色素の酸化還元電位は、試薬中に含まれる亜硝酸またはその塩の酸化還元電位より+0.19Vを超えた値である。ここで、発色色素と亜硝酸(塩)との酸化還元電位差(=発色色素の酸化還元電位-亜硝酸(塩)の酸化還元電位)が+0.19V以下であると、発色色素と酸化還元酵素との反応が亜硝酸により競合され、発色色素の発色が阻害される(発色阻害)。本発明による効果のさらなる向上の点から、発色色素と亜硝酸(塩)との酸化還元電位差(=発色色素の酸化還元電位-亜硝酸(塩)の酸化還元電位)は、好ましくは+0.21Vを超え、より好ましくは+0.25Vを超え、特に好ましくは+0.27V以上である。すなわち、本開示の好ましい形態によると、発色色素の酸化還元電位は、亜硝酸またはその塩の酸化還元電位に対して+0.21Vを超える。本開示のより好ましい形態によると、発色色素の酸化還元電位は、亜硝酸またはその塩の酸化還元電位に対して+0.25Vを超える。本開示の特に好ましい形態によると、発色色素の酸化還元電位は、亜硝酸またはその塩の酸化還元電位より+0.27V以上高い。なお、発色色素と亜硝酸(塩)との酸化還元電位差は、大きいほど好ましいため、上限は特に制限されないが、例えば、酸化還元電位差の上限は、+0.6V以下であり、好ましくは+0.4V未満である。
本開示において、発色色素および亜硝酸(塩)の酸化還元電位は、下記実施例に記載の方法に従って測定された値を採用する。
発色色素は、本発明による効果のさらなる向上の点から、テトラゾリウム塩であることが好ましく、2-ベンゾチアゾリル-3-(4-カルボキシ-2-メトキシフェニル)-5-[4-(2-スルホエチルカルバモイル)フェニル]-2H-テトラゾリウム(2-Benzothiazolyl-3-(4-carboxy-2-methoxyphenyl)-5-[4-(2-sulfoethylcarbamoyl)phenyl]-2H-tetrazolium)、国際公開第2018/051822号パンフレットに記載されるテトラゾリウム塩であることがより好ましく、国際公開第2018/051822号パンフレットに記載されるテトラゾリウム塩であることが特に好ましい。発色色素は、1種を単独で使用しても、または2種以上を組み合わせて使用してもよい。なお、発色色素を2種以上組み合わせて使用する場合には、発色色素の酸化還元電位としては、いずれか一方のうち最も高い値を採用する。
すなわち、本開示の好ましい形態によると、発色色素は、テトラゾリウム塩である。本開示のより好ましい形態によると、発色色素は、2-ベンゾチアゾリル-3-(4-カルボキシ-2-メトキシフェニル)-5-[4-(2-スルホエチルカルバモイル)フェニル]-2H-テトラゾリウムまたは下記式(1)で示されるテトラゾリウム塩のいずれかから選択される少なくとも一種である。本開示の特に好ましい形態によると、発色色素は、下記式(1)で示されるテトラゾリウム塩である。
Figure 2023087327000001
上記式(1)において、Rは、水素原子、水酸基、メトキシ基、およびエトキシ基からなる群から選択されるいずれか一つであり、Rは、ニトロ基、-OR、およびカルボキシル基からなる群から選択されるいずれか一つであり、Rは、水素原子、メチル基またはエチル基であり、少なくとも1はメチル基またはエチル基であり、Rは、メチル基またはエチル基であり、mは、スルホ基(-SO )がテトラゾール骨格の5位のフェニル基に結合する数であり、1または2であり、nは、Rがテトラゾール骨格の3位のフェニル基に結合する数であり、0~2の整数であり、pは、スルホ基(-SO )がテトラゾール骨格の3位のフェニル基に結合する数であり、0または1であり、n+pは1以上であり、qは1または2であり、qが2の場合、各ORは隣接して配置され、この際、各ORが互いに環を形成してもよく、Xは、水素原子またはアルカリ金属を表わす。
式(1)において、テトラゾール骨格の2位には置換ベンゾチアゾリル基が存在する。上記式(1)において、テトラゾール環の2位にベンゾチアゾリル基が存在することにより、遷移金属化合物と効率よくかつ速やかにキレート化合物を形成できる(ホルマザン化合物の極大吸収波長を長波長域にシフトできる)。そして、テトラゾール骨格の2位のベンゾチアゾリル基に、少なくとも1のメトキシ基またはエトキシ基が導入されることで、さらに生成するホルマザンとZn2+等の遷移金属イオンとのキレート時の極大吸収波長が長波長側にシフトする。
また、qは1または2である。好ましくは、qが1である。当該形態によれば、発色色素と亜硝酸(塩)との酸化還元電位差をより大きくすることに寄与できる。ここで、q=1の場合、Rは、メチル基またはエチル基であり、水溶性の観点からはメチル基であることが好ましい。Rが炭素原子数3以上のアルキル基である場合には、テトラゾリウム塩およびテトラゾリウム塩から生じるホルマザンは、水溶性に劣るため好ましくない。
式(1)において、テトラゾール骨格の2位に存在する置換ベンゾチアゾリル基の-ORの少なくとも1がベンゾチアゾリル基の6位に結合することが好ましい。当該形態によれば、Zn2+等の遷移金属イオンとのキレート時の極大吸収波長を長波長側にシフトできる。
q=1の場合、テトラゾール骨格の2位に存在するベンゾチアゾリル基の置換基である-ORの置換位置は特に限定されるものではなく、4位、5位、6位、または7位のいずれであってもよい。-ORの置換位置は、ベンゾチアゾリル基の6位に結合することが好ましい。すなわち、本発明の好ましい形態では、qが1でありかつ-ORがベンゾチアゾリル基の6位に結合することが好ましい。当該形態によれば、発色色素と亜硝酸(塩)との酸化還元電位差をより大きくできる。また、Zn2+等の遷移金属イオンとのキレート時の極大吸収波長を長波長側にシフトできる。
q=2の場合、Rは、水素原子、メチル基またはエチル基であり、少なくとも一がメチル基、またはエチル基である。また、qが2である場合、各ORは隣接して配置され、各ORが互いに環を形成してもよい。この際、好適な組み合わせとしては、Rが、水素原子およびメチル基の組み合わせ、メチル基およびメチル基の組み合わせである。q=2の場合、テトラゾール骨格の2位に存在するベンゾチアゾリル基の置換基である-ORの置換位置は2つの-ORが隣接して配置されれば特に限定されるものではなく、4,5位、5,6位、または6,7位のいずれであってもよい。Zn2+等の遷移金属イオンとのキレート時の長波長側への極大吸収波長のシフトの効果の点では、少なくとも一の-ORの置換位置は、ベンゾチアゾリル基の6位に結合することが好ましく、すなわち、2つの-ORの置換位置は、5,6位、または6,7位であることが好ましい。具体的には、qが2である場合、テトラゾール骨格の2位に存在する置換ベンゾチアゾリル基は以下のいずれかの置換基であることが好ましい。
Figure 2023087327000002
さらには、qが2である場合、テトラゾール骨格の2位に存在する置換ベンゾチアゾリル基は上記いずれかの置換基である場合、テトラゾール骨格の3位に存在する置換スルホ化フェニル基が、4-メトキシ-5-スルホフェニル基であることが、Zn2+等の遷移金属イオンとのキレート時の長波長側への極大吸収波長のシフトの効果の点で好ましい。
本発明の好ましい形態では、発色色素は、Rは、水素原子、水酸基、メトキシ基、およびエトキシ基からなる群から選択されるいずれか一つであり、Rは、ニトロ基、-OR、およびカルボキシル基からなる群から選択されるいずれか一つであり、かつ少なくとも1のRが-OR基であり、Rは、水素原子、メチル基またはエチル基であり、少なくとも1はメチル基またはエチル基であり、Rは、メチル基またはエチル基であり、mは、スルホ基(-SO )がテトラゾール骨格の5位のフェニル基に結合する数であり、1または2であり、nは、Rがテトラゾール骨格の3位のフェニル基に結合する数であり、1または2であり、pは、スルホ基(-SO )がテトラゾール骨格の3位のフェニル基に結合する数であり、0または1であり、n+pは1以上であり、qは1または2であり、qが2の場合、各ORは隣接して配置され、この際、各ORが互いに環を形成してもよく、各ORが互いに環を形成する場合には、テトラゾール骨格の2位に存在する置換ベンゾチアゾリル基は以下で表される置換基のいずれかであり、
Figure 2023087327000003
Xは、水素原子またはアルカリ金属を表わす、
上記式(1)で示されるテトラゾリウム塩である。
式(1)において、テトラゾール骨格の5位には置換スルホ化フェニル基が存在する。該スルホ化フェニル基の置換基であるRは、水素原子、水酸基、メトキシ基、およびエトキシ基からなる群から選択されるいずれか一つである。テトラゾリウム塩およびテトラゾリウム塩から生じるホルマザンの水溶性を向上させるという観点からは、Rは、水素原子または水酸基であることが好ましく、幅広いpH領域で遷移金属イオンとのキレートを安定的に形成できることから、Rは水素原子であることがより好ましい。また、Rが水酸基、メトキシ基、およびエトキシ基である場合の置換位置は特に限定されないが、4位であることが好ましい。
テトラゾール骨格の5位には、スルホ基(-SO )が少なくとも1個存在する(m=1または2)。これにより、テトラゾリウム塩およびテトラゾリウム塩から生じるホルマザンの水溶性が向上するものと考えられる。式(1)において、mは、スルホ基(-SO )がテトラゾール骨格の5位のフェニル基に結合する数であり、1または2である。特にスルホ基が2位または4位にある場合、さらには、2,4位にある場合には、よりいっそうの水溶性の向上が発揮出来る。さらにスルホ基が2,4位にある場合には合成するためのビルディングブロックの合成が容易である点で、有利である。水溶性が高く、また、幅広いpH領域で遷移金属イオンとのキレート化合物を安定的に形成することができる、または水溶性が向上することから、m=2であることが好ましく、m=2であり、Rが水素原子であることがより好ましい。
この際、m=2である場合には、スルホ基(-SO )がテトラゾール骨格の3位のフェニル基に結合する数であるpが1であることが好ましい。かような置換基数を選択することで、テトラゾリウム塩およびこれから生じるホルマザンの水溶性が一層向上する。
なお、水溶性の観点からは、下記(1)~(4):(1)m=2かつp=1である、(2)m=1かつn=0である、(3)テトラゾール骨格の5位に存在するフェニル基において、Rが水酸基であり、この際、スルホ基(SO )および水酸基が2,4位、または4,6位にある、(4)p=0かつ少なくとも一のRがカルボキシル基である、のいずれかを満たすことが好ましく、(1)m=2かつp=1または、(4):p=0かつ少なくとも一のRがカルボキシル基であることがより好ましい。また、上記(3)では、スルホ基(SO )および水酸基が、ベンゼン環上で隣接した置換基として存在しないため、水素結合することがなく、または少なく、両置換基が効率的に水溶性に寄与できるためであると考えられる。
ここで、テトラゾール骨格の5位に存在するフェニル基へのスルホ基(-SO )の結合位置は特に制限されない。テトラゾリウム塩およびテトラゾリウム塩から生じるホルマザンの水溶性のさらなる向上効果、極大吸収波長を長波長側へシフトすることができることの点から、m=2の場合には、スルホ基(-SO )は、フェニル基の、2,4位、3,5位に存在することが好ましい。フェニル基の2,4位にスルホ基が存在することが特に好ましく、高濃度の遷移金属イオンの存在下でも沈殿が発生しないテトラゾリウム塩化合物とすることができる。すなわち、このテトラゾリウム塩を発色試薬として使用することで、分析対象物(生体成分)が高濃度な場合であっても、定量可能な試薬を調製できる。すなわち、本発明の好ましい形態では、テトラゾール骨格の5位のフェニル基が、スルホ基(-SO )が2,4位に存在するフェニル基であることが好ましい。
式(1)において、テトラゾール骨格の3位には置換フェニル基が存在する。フェニル基は必須に置換されるため、n+pは1以上である。
テトラゾール骨格の3位のフェニル基の置換基としてのRは、ニトロ基、-OR、およびカルボキシル基からなる群から選択されるいずれか一つである。Rは、ホルマザンと遷移金属イオンとのキレート形成性の観点からは、ニトロ基または-ORであることが好ましく、水溶性の観点からは、カルボキシル基であることが好ましい。また、nは、Rがテトラゾール骨格の3位のフェニル基に結合する数であり、0~2の整数である。Rを導入することで、化合物の極大吸収波長を長波長域に移動させることや、化合物の安定性を向上させることが可能となるため、n=1または2であることが好ましい。Rが2存在する場合、すなわち、n=2である場合、Rは同じであっても異なるものであってもよい。
n=1または2である場合、少なくとも一のRが-OR基であることが好ましい。すなわち、本発明の好適な形態は、nが1または2であり、かつ、少なくとも一のRが-OR基である。フェニル基の置換基としてアルコキシ基を導入することで、化合物の安定性が向上する。テトラゾリウム塩およびテトラゾリウム塩から生じるホルマザンの水溶性を向上させるという観点からは、-OR基がメトキシ基であることが好ましい。ここで、Rは、メチル基またはエチル基であり、水溶性の観点からはメチル基であることが好ましい。Rが炭素原子数3以上のアルキル基である場合には、テトラゾリウム塩およびテトラゾリウム塩から生じるホルマザンは、水溶性に劣るため好ましくない。
nが1または2である場合の、Rの置換位置は特に限定されないが、テトラゾール骨格の3位に存在するフェニル基の2位、3位、4位、5位または6位であることが好ましく、少なくとも一のRが2位または4位にあることが好ましく、2位および/または4位であることが好ましい。かような構造とすることで、水溶性が向上するとともに、テトラゾリウム塩およびテトラゾリウム塩から生じるホルマザンの安定性を向上させることができる。
pは、スルホ基(-SO )がテトラゾール骨格の3位のフェニル基に結合する数であり、0または1である。テトラゾリウム塩およびテトラゾリウム塩から生じるホルマザンの水溶性を向上させるという観点からは、p=1であることが好ましい。なお、p=1の場合、スルホ基は電子吸引性基であるため、他の電子吸引性基(例えば、ニトロ基)があると、テトラゾリウム環上の窒素原子のカチオン電荷を不安定化させ、化合物の安定性を低下させる場合がある。上述したとおり、フェニル基の置換基としてアルコキシ基を導入することで、化合物の安定性が向上するが、ニトロ基が同時に導入されると、アルコキシ基導入による安定性の向上が発揮されない場合がある。このため、安定性向上という観点からは、p=1の場合には、nが1または2であり、好ましくは、nが1であり、かつ、Rは、-OR、およびカルボキシル基からなる群から選択されるいずれか一つであることが好ましく、Rは-ORであることがより好ましい。または、テトラゾリウム塩およびテトラゾリウム塩から生じるホルマザンの水溶性を向上させるという観点からは、p=0かつ少なくとも一のRがカルボキシル基であることが好ましい。すなわち、好適な実施形態は、式(1)において、pが1である、またはp=0かつ少なくとも一のRがカルボキシル基である。より好適には、m=2かつp=1である、またはp=0かつ少なくとも一のRがカルボキシル基である。
p=1である場合、テトラゾール骨格の3位のフェニル基を置換するスルホ基(-SO )の置換位置は特に限定されるものではないが、3位または5位であることが好ましい。この位置にスルホ基が置換することで、テトラゾリウム塩およびテトラゾリウム塩から生じるホルマザンの安定性をより有効に向上できる。
また、式(1)において、テトラゾール骨格の3位に存在する置換基が、4-メトキシ-3-スルホフェニル基、2-メトキシ-5-スルホフェニル基、2-メトキシ-4-ニトロ-5-スルホフェニル基、2-メトキシ-4-ニトロフェニル基、4-スルホフェニル基、4-カルボキシ-2-メトキシフェニル基、5-カルボキシ-2-メトキシフェニル基、3-カルボキシ-4-メトキシフェニル基、または4-メトキシ-5-スルホフェニル基が好ましく、4-メトキシ-3-スルホフェニル基、2-メトキシ-5-スルホフェニル基、3-カルボキシ-4-メトキシフェニル基、または4-メトキシ-5-スルホフェニル基であることがより好ましく、4-メトキシ-3-スルホフェニル基、4-メトキシ-5-スルホフェニル基、または、2-メトキシ-5-スルホフェニル基であることが特に好ましい。かような構造とすることで、発色感度が向上し、水溶性が向上するとともに、テトラゾリウム塩およびテトラゾリウム塩から生じるホルマザンの安定性を向上させることができる。また、ホルマザン化合物自体の極大吸収波長をより長波長域にすることができることから、テトラゾール骨格の3位に存在するフェニル基が、4-メトキシ-3-スルホフェニル基であることが特に好ましい。
上記式(1)において、Xは、水素原子またはアルカリ金属を表わす。ここで、Xは、アニオン(スルホ基(-SO ))を中和するために存在する。このため、アルカリ金属の種類は特に制限されず、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムのいずれでもよい。
テトラゾリウム塩の好ましい例としては、以下の構造を有するものが挙げられる。なお、下記構造において、Xは、アルカリ金属を表わす。
Figure 2023087327000004
Figure 2023087327000005
Figure 2023087327000006
Figure 2023087327000007
Figure 2023087327000008
テトラゾリウム塩の特に好ましい例としては、以下の構造がある。すなわち、本発明の好ましい形態では、発色色素は、下記構造を有する。
Figure 2023087327000009
発色色素は、合成しても、または市販品を使用してもよい。例えば、本開示で好ましく使用される2-ベンゾチアゾリル-3-(4-カルボキシ-2-メトキシフェニル)-5-[4-(2-スルホエチルカルバモイル)フェニル]-2H-テトラゾリウム(2-Benzothiazolyl-3-(4-carboxy-2-methoxyphenyl)-5-[4-(2-sulfoethylcarbamoyl)phenyl]-2H-tetrazolium)は、Dojindo Molecular Technologies, Incから、WST-4の商品名で市販されている。また、本開示で好ましく使用される上記式(1)のテトラゾリウム塩は、以下に制限されないが、例えば、国際公開第2018/051822号に記載の方法、または当該方法を適宜修飾した方法によって製造できる。一例としては、アルデヒドとヒドラジンの脱水縮合によりヒドラゾンを合成し、次いで、対応するジアゾニウム塩を水性溶媒中、塩基性条件下で反応させて、ホルマザンを得る。ここで、塩基性化剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが用いられる。次いで得られたホルマザンを亜硝酸エチル、亜硝酸ブチル又は次亜塩素酸ナトリウム等の酸化剤を用いアルコール溶媒(例えば、メタノール、エタノール)中で酸化し、式(1)のテトラゾリウム塩を得ることができる。一実施形態を挙げると、下記構造:
Figure 2023087327000010
を有するヒドラジノ置換ベンゾチアゾールと、下記構造:
Figure 2023087327000011
を有する置換スルホ化ベンズアルデヒドとを反応させて、下記構造:
Figure 2023087327000012
を有するヒドラゾン化合物を得る。一方、下記構造:
Figure 2023087327000013
を有する置換スルホ化アニリンを氷冷しながら塩酸を加え、さらに亜硝酸ナトリウム溶液を滴下して、下記構造:
Figure 2023087327000014
を有する塩化ベンゼンジアゾニウム化合物を得る。上記にて得られたヒドラゾン化合物と塩化ベンゼンジアゾニウム化合物とを塩基性条件(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム存在)下で反応させて、下記構造:
Figure 2023087327000015
を有するホルマザン化合物を得る。次いで、このようにして得られたホルマザン化合物を、酸化剤(例えば、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸エチル、亜硝酸ブチル等の亜硝酸エステル)を用いてアルコール溶媒(例えば、メタノール、エタノール)中で酸化することによって、上記式(1)のテトラゾリウム塩が得られる。
試薬における発色色素の組成(含有量)(固形分換算)は、例えば、試薬 100質量部に対して、10~40質量部であり、好ましくは15~35質量部であり、より好ましくは20質量部を超え30質量部未満である。このような量であれば、発色色素(例えば、テトラゾリウム塩)は、分析対象物に対して、十分な発色量を呈することができる。ゆえに、溶血サンプルにおける分析対象物濃度(例えば、グルコース濃度)をより高い精度で測定できる。上記発色色素の含有量は、試薬を調製する際の発色色素の仕込み量の割合と実質的に同等である。また、試薬が2種以上の発色色素を含む場合には、上記発色色素の含有量は配合する発色色素の合計量を意図する。
上記式(1)のテトラゾリウム塩から生成するホルマザン、またはホルマザンと遷移金属イオンとのキレート化合物は、単独でまたは遷移金属化合物とのキレート化合物を形成することにより、血色素の主な吸収帯と重ならない波長域(600nm以上)に大きな吸収波長帯を有する。また、上記式(1)のテトラゾリウム塩は、高い水溶性を有する。このため、上記式(1)のテトラゾリウム塩を用いることによって、溶血した全血試料に対しても感度よく生体成分濃度を測定できる。具体的には、上記式(1)のテトラゾリウム塩から生成したホルマザン、またはホルマザンと遷移金属イオンとのキレート化合物の600nm以上800nm以下における、最大吸光度(200mg/dLのグルコース水溶液中、セル長=0.045mm)は、0.3以上、より好ましくは0.5以上である。このような吸収を有するホルマザンまたはホルマザンと遷移金属イオンとのキレート化合物(ゆえに、このようなホルマザンを生成できるテトラゾリウム塩)であれば、血液の吸収の影響を受けにくく、生体成分濃度をより正確にかつ良好な感度で測定できる。なお、本明細書において、特記しない限り、ホルマザンと遷移金属イオンとのキレート化合物の最大吸収波長(λmax)は、下記方法に従って測定された値を採用する。
-ホルマザンと遷移金属イオンとのキレート化合物の最大吸収波長(λmax)の評価-
ホルマザン化合物の終濃度が50~200mMとなるように、10mM MOPS水溶液を加えて、試料を作製した。別途、1Mの遷移金属イオン(例えば、ニッケルイオン)を含む水溶液を作製した。
上記試料 100μLに、別途調製した遷移金属イオンを含む水溶液を10μL加え、素早く攪拌し、混合液を調製した。この混合溶液について、スペクトルを、分光光度計(測定セル長:10mm)にて測定する。スペクトルに基づいて、600nm以上における最大吸収及びその波長(最大吸収波長(λmax))を求める。なお、最大吸収波長(λmax)として、600nm以上において最大吸光度(0.3以上)を満たす範囲において、任意の波長を選択することができる。
(酸化還元酵素)
本開示の試薬は、亜硝酸(塩)、発色色素および溶血剤を必須に含む。本開示の試薬は、上記に加えて、分析対象物と特異的に反応する酵素を含んでもよい。本開示の試薬は、(特に発色色素がテトラゾリウム塩である場合には)酸化還元酵素を含むことが好ましい。すなわち、本発明の好ましい形態では、生体成分濃度測定試薬は、さらに酸化還元酵素を含む。また、本発明のより好ましい形態では、生体成分濃度測定試薬は、発色色素としてテトラゾリウム塩(特に上記式(1)のテトラゾリウム塩)を含み、さらに酸化還元酵素を含む。
ここで、酸化還元酵素は、特に制限されず、測定される対象である生体成分の種類によって適切に選択されうる。具体的には、グルコースデヒドロゲナーゼ(GDH)、ピロロキノリンキノン(PQQ)を補酵素とするグルコースデヒドロゲナーゼ(PQQ-GDH)、フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)を補酵素とするグルコースデヒドロゲナーゼ(FAD-GDH)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)を補酵素とするグルコースデヒドロゲナーゼ(NAD-GDH)およびニコチンアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP)を補酵素とするもの(NADP-GDH)等のグルコースデヒドロゲナーゼ(GDH)、グルコースオキシダーゼ(GOD)、乳酸脱水素酵素(LDH)、コレステロールデヒドロゲナーゼ、コレステロールオキシダーゼ、尿酸デヒドロゲナーゼなどが挙げられる。ここで、酸化還元酵素は、1種を単独で使用しても、または2種以上を組み合わせてもよい。例えば、分析対象物(生体成分)がグルコースである場合には、酸化還元酵素がグルコースデヒドロゲナーゼやグルコースオキシダーゼであることが好ましい。また、分析対象物(生体成分)がコレステロールである場合には、酸化還元酵素がコレステロールデヒドロゲナーゼやコレステロールオキシダーゼであることが好ましい。これらのうち、酸化還元酵素としてのグルコースデヒドロゲナーゼおよびテトラゾリウム塩(発色色素)を用いる場合には、グルコースデヒドロゲナーゼは、細菌または真菌由来のフラビンアデニンジヌクレオチド依存性グルコースデヒドロゲナーゼ(FAD-GDH)であることが好ましい。生体成分濃度測定試薬が酸化還元酵素を含む場合の、酸化還元酵素の含有量は、特に制限されず、テトラゾリウム塩の量に応じて適宜選択できる。
(その他の成分)
本開示の試薬は、亜硝酸(塩)、発色色素および溶血剤を必須に含む。好ましくは、本開示の試薬は、亜硝酸(塩)、発色色素、溶血剤および酸化還元酵素を含む。本開示の試薬は、上記に加えて、他の成分を含んでもよい。ここで、他の成分としては、通常、測定対象である生体成分の種類に応じて適切に選択され、生体成分濃度を測定するために添加される成分が同様にして使用できる。具体的には、遷移金属化合物、二糖類またはその誘導体、糖アルコール、電子伝達体、pH緩衝剤などが挙げられる。ここで、上記他の成分は、それぞれ、1種を単独で使用しても、または2種以上を組み合わせてしてもよい。また、上記他の成分のそれぞれは、1種を単独で使用しても、または2種以上を併用してもよい。なお、本開示の試薬は、溶血剤以外の界面活性剤は含まない。
本開示の試薬が上記式(1)のテトラゾリウム塩を発色色素として含む場合には、当該テトラゾリウム塩の還元反応により生成したホルマザンは、長波長側に極大吸収波長を有する。特に、上記式(1)のテトラゾリウム塩は、遷移金属イオンとキレート化合物を生成することにより、極大吸収波長をさらに長波長側にシフトすることができる。このため、本開示の試薬は、遷移金属化合物を含むことが好ましい。すなわち、本発明の好ましい形態では、試薬は、さらに遷移金属化合物を含む。本発明のより好ましい形態では、生体成分濃度測定試薬は、発色色素としてテトラゾリウム塩(特に上記式(1)のテトラゾリウム塩)を含み、さらに遷移金属化合物を含む。本発明のさらにより好ましい形態では、生体成分濃度測定試薬は、発色色素としてテトラゾリウム塩(特に上記式(1)のテトラゾリウム塩)を含み、さらに酸化還元酵素および遷移金属化合物を含む。当該形態によると、全血試料中の生体成分濃度を測定する場合であっても、ホルマザンが血色素の主な吸収帯と重ならない波長域(600nm以上)に極大吸収波長を有する。このため、生体試料、特に全血試料に対しても、生体成分濃度の測定感度をさらに向上できる。試薬が遷移金属化合物を含む場合に使用できる遷移金属化合物としては、特に制限されない。具体的には、ニッケルイオン(Ni2+)、コバルトイオン(Co2+)、亜鉛イオン(Zn2+)、銅イオン(Cu2+)などの遷移金属イオンを生成できる化合物が使用できる。このようなイオンであれば、ホルマザンの極大吸収波長をより長波長側にシフトできる。これらのうち、ニッケルイオンまたは亜鉛イオンが好ましい。また、上記遷移金属イオンを生成する化合物は特に制限されないが、水性液体(例えば、水、緩衝液、血液、体液)中でイオンを生成するものであることが好ましい。例えば、上記遷移金属の、塩化物、臭化物、硫酸塩、酢酸塩などの有機酸塩などが挙げられる。これらのうち、塩化ニッケル、酢酸ニッケル、塩化亜鉛、酢酸亜鉛が好ましく、塩化ニッケル、酢酸亜鉛がより好ましく、酢酸亜鉛が特に好ましい。上記遷移金属化合物は、1種を単独で使用しても、または2種以上を併用してもよい。また、本形態において、遷移金属化合物の含有量は、特に制限されないが、例えば、発色色素がテトラゾリウム塩である場合には、ホルマザン化合物の所望の極大吸収波長に応じて適切に選択できる。具体的には、遷移金属化合物の含有量は、遷移金属(遷移金属イオン)が、テトラゾリウム塩 1モルに対して、好ましくは0.1~10モル、より好ましくは0.5~4モル、特に好ましくは1.0モルを超えて2.0モル未満となるような量である。または、本形態において、遷移金属化合物の含有量(固形分換算)は、試薬 100質量部に対して、好ましくは5~30質量部、より好ましくは5~15質量部、特に好ましくは5質量部を超えて12質量部未満となるような量である。このような量であれば、ホルマザン化合物の極大吸収波長を所望の波長域にまでシフトできる。また、このような量であれば、経時的、ヘマトクリット値などによる発色特性の変化をより抑制できる。上記遷移金属化合物の含有量は、試薬を調製する際の遷移金属化合物の仕込み量の割合と実質的に同等である。また、試薬が2種以上の遷移金属化合物を含む場合には、上記遷移金属化合物の含有量は配合する遷移金属化合物の合計量を意図する。
本開示の試薬は、(特に発色色素がテトラゾリウム塩である場合には)二糖類またはその誘導体を含むことが好ましい。これにより、亜硝酸(塩)や(含む場合には)遷移金属化合物の析出を抑え、試薬(特に乾燥試薬)の透明化を図ることができる。ゆえに、試薬(特に乾燥試薬)と試料とが速やかに均一に溶解して混合できるため、分析対象物(生体成分)濃度をより高精度で測定できる。二糖類またはその誘導体としては、スクラロース(1’,4,6’-トリクロロガラクトスクロース)、スクロース、トレハロースが好ましく使用できる。上記二糖類またはその誘導体は、1種を単独で使用しても、または2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらのうち、スクラロースが好ましい。すなわち、本発明の好ましい形態では、生体成分濃度測定試薬は、発色色素としてテトラゾリウム塩(特に上記式(1)のテトラゾリウム塩)を含み、さらにスクラロース(1’,4,6’-トリクロロガラクトスクロース)、スクロース、トレハロースからなる群より選択される少なくとも一種を含む。本発明のより好ましい形態では、生体成分濃度測定試薬は、発色色素としてテトラゾリウム塩(特に上記式(1)のテトラゾリウム塩)を含み、さらにスクラロースならびに酸化還元酵素および遷移金属化合物の少なくとも一方を含む。本発明の特に好ましい形態では、生体成分濃度測定試薬は、発色色素としてテトラゾリウム塩(特に上記式(1)のテトラゾリウム塩)を含み、さらにスクラロース、酸化還元酵素および遷移金属化合物を含む。本形態において、二糖類またはその誘導体の含有量は、特に制限されないが、試薬の組成などに応じて適切に選択できる。具体的には、二糖類またはその誘導体の含有量(固形分換算)は、試薬 100質量部に対して、好ましくは10~45質量部、より好ましくは15~40質量部、特に好ましくは20質量部を超えて35質量部未満となるような量である。このような量であれば、亜硝酸(塩)や(含む場合には)遷移金属化合物の析出をさらに効果的に抑え、乾燥後の試薬を非晶質として透明性を効果的に高めることができる。
本開示の試薬は、(特に発色色素がテトラゾリウム塩である場合には)糖アルコールを含むことが好ましい。これにより、濡れ性を向上できる。ゆえに、分析対象物(生体成分)が素早く反応部全体にいきわたるため、分析対象物(生体成分)は反応部全体で反応できるため、濃度をより高精度で測定できる。すなわち、本発明の好ましい形態では、生体成分濃度測定試薬は、さらに糖アルコールを含む。また、本発明のより好ましい形態では、生体成分濃度測定試薬は、発色色素としてテトラゾリウム塩(特に上記式(1)のテトラゾリウム塩)を含み、さらに糖アルコールを含む。本発明のさらにより好ましい形態では、生体成分濃度測定試薬は、発色色素としてテトラゾリウム塩(特に上記式(1)のテトラゾリウム塩)を含み、さらに糖アルコールならびに酸化還元酵素、遷移金属化合物および二糖類またはその誘導体からなる群より選択される少なくとも一種を含む。本発明の特に好ましい形態では、生体成分濃度測定試薬は、発色色素としてテトラゾリウム塩(特に上記式(1)のテトラゾリウム塩)を含み、さらに糖アルコール、酸化還元酵素、遷移金属化合物およびスクラロースを含む。ここで、糖アルコールとしては、例えば、ラクチトール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マンニトール、マルチトール、マルトトリオースなどが挙げられる。上記糖アルコールは、1種を単独で使用しても、または2種以上を併用してもよい。これらのうち、濡れ性のさらなる向上などの観点から、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マンニトールが好ましく、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マンニトールがより好ましく、ソルビトールが特に好ましい。本形態において、糖アルコールの含有量は、特に制限されないが、試薬の組成などに応じて適切に選択できる。具体的には、糖アルコールの含有量(固形分換算)は、試薬 100質量部に対して、好ましくは0.1~15質量部、より好ましくは0.5~5質量部、特に好ましくは1.0質量部を超えて3.0質量部未満となるような量である。このような量であれば、濡れ性をより効果的に向上できる。ゆえに、分析対象物(生体成分)がより素早く反応部全体にいきわたるため、分析対象物(生体成分)は反応部全体でより確実に反応できるため、濃度をさらにより高精度で測定できる。
本開示の試薬が二糖類またはその誘導体および糖アルコールを含む場合の、二糖類またはその誘導体および糖アルコールの混合比は、糖アルコールが、二糖類またはその誘導体 100モルに対して、例えば、1モル以上であり、好ましくは10モルを超える割合で含まれるような割合である。また、糖アルコールは、二糖類またはその誘導体 100モルに対して、例えば、60モル以下であり、好ましくは25モル未満の割合で含まれる。このような混合比であれば、二糖類またはその誘導体による効果および糖アルコールによる効果がバランスよく両立できる。
試薬の使用形態は、特に制限されず、固体、ゲル状、ゾル状、または液体のいずれの形態であってもよい。試薬は、さらに水、バッファー(pH緩衝剤)等を含んでもよい。ここで、バッファーは、特に制限されず、一般的に生体成分濃度を測定する際に使用されるバッファーを同様にして使用してもよい。具体的には、リン酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、クエン酸-リン酸緩衝剤、トリスヒドロキシメチルアミノメタン-HCl緩衝剤(トリス塩酸緩衝剤)、MES緩衝剤(2-モルホリノエタンスルホン酸緩衝剤)、TES緩衝剤(N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル-2-アミノエタンスルホン酸緩衝剤)、酢酸緩衝剤、MOPS緩衝剤(3-モルホリノプロパンスルホン酸緩衝剤)、MOPS-NaOH緩衝剤、HEPES緩衝剤(4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸緩衝剤)、HEPES-NaOH緩衝剤などのGOOD緩衝剤、グリシン-塩酸緩衝剤、グリシン-NaOH緩衝剤、グリシルグリシン-NaOH緩衝剤、グリシルグリシン-KOH緩衝剤などのアミノ酸系緩衝剤、トリス-ホウ酸緩衝剤、ホウ酸-NaOH緩衝剤、ホウ酸緩衝剤などのホウ酸系緩衝剤、またはイミダゾール緩衝剤などを用いてもよい。これらのうち、リン酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、クエン酸-リン酸緩衝剤、トリス塩酸緩衝剤、MES緩衝剤、酢酸緩衝剤、MOPS緩衝剤、HEPES-NaOH緩衝剤が好ましい。ここで、緩衝剤の濃度としては、特に制限されないが、0.01~1.0Mであるのが好ましい。なお、本発明において緩衝剤の濃度とは、水性溶液中(塗布液中)に含まれる緩衝剤の濃度(M、mol/L)をいう。上記観点から、緩衝液のpHは、中性付近、例えば、5.0~8.0程度であることが好ましい。なお、生体成分濃度測定試薬が液状である場合の、テトラゾリウム塩の濃度は、所望の生体成分濃度を測定できる濃度であれば特に制限されないが、テトラゾリウム塩が所望の生体成分の存在量に対して十分量含まれることが好ましい。上記観点及び通常測定すべき生体成分濃度などを考慮すると、テトラゾリウム塩の濃度は、試薬において、好ましくは0.01~0.2mol/L、より好ましくは0.05~0.1mol/Lである。このような量であれば、テトラゾリウム塩は、生体試料に含まれる実質的にすべて(例えば、95モル%以上、好ましくは98モル%以上、特に好ましくは100モル%)の生体成分の量に応じて反応する。このため、所望の生体成分濃度を正確にかつ良好な感度で速やかに測定できる。
好ましくは、試薬は、固体(乾燥状態)で使用される。すなわち、本発明の好ましい形態では、試薬は、乾燥試薬である。
本開示の試薬を用いることにより、全血試料中に含まれる特定の生体成分濃度を高精度に測定できる。また、本開示の試薬を用いることにより、溶血した全血試料に対して(すなわち、血球および血漿双方に含まれる)生体成分(分析対象物)の濃度を高精度で測定できる。
したがって、本発明は、全血試料を、本開示の生体成分濃度測定試薬と接触(反応)させて、発色量を測定し、当該発色量に基づいて前記全血試料中の生体成分の濃度を定量することを有する、生体成分濃度の測定方法をも提供する。
本開示において、試料は全血である。全血試料を、本開示の生体成分濃度測定試薬または当該色素を含むセンサもしくは成分測定装置(例えば、血糖計)に取り付けられたセンサ内に導入して、全血試料を試薬と接触(反応)させることにより、測定する。また、生体成分は、特に制限されず、通常、比色法または電極法により測定される生体成分が同様にして使用できる。具体的には、グルコース、コレステロール、中性脂肪、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADPH)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)、尿酸などが挙げられる。すなわち、本発明の好ましい形態によると、本開示の試薬は、全血中の、グルコース、コレステロール、中性脂肪、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADPH)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)または尿酸の濃度の測定のために使用される。また、本発明の好ましい形態によると、生体成分は、グルコース、コレステロール、中性脂肪、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADPH)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)または尿酸である。
本開示において、測定方法は、特に制限されず、測定対象となる生体成分の種類に応じて適宜選択できる。例えば、発色色素がテトラゾリウム塩であり、生体成分がβ-D-グルコースであり、酸化還元酵素がグルコースデヒドロゲナーゼ(GDH)である場合には、グルコースがGDHによって酸化されてグルコン酸を生成する。その際にGDHの補酵素または電子伝達物質が還元されることを利用し、具体的には結果として還元されたテトラゾリウム塩(ゆえにホルマザンまたはホルマザンと遷移金属イオンとのキレート化合物)の呈色度合を光学的に測定する方法(比色法)、および酸化還元反応によって生じた電流を測定する方法(電極法)に大別される。上記方法のうち、比色法による血糖値の測定は、血糖値の算出の際にヘマトクリット値を用いた補正を行ないやすい、製造工程が簡易である等の利点を有している。このため、生体成分濃度測定試薬は比色法に好適に使用できる。特に全血試料中のグルコース濃度を測定する場合には、比色法が好ましく使用される。
本開示の試薬は、各成分を混合した形態で生体成分濃度の測定に使用されてもよいが、センサ(生体成分濃度測定用センサ)に組み込まれてもよい。すなわち、本発明は、反応部を有する、全血試料中の生体成分濃度を測定するためのセンサであって、前記反応部は、本開示の生体成分濃度測定試薬を含む、センサ(以下では、単に「センサ」とも称する)をも提供する。また、本開示の試薬や方法は、自動分析機や測定キット、簡易血糖計等に組み込まれ、日常的な臨床検査に使用できる。また、本開示の試薬を市販のバイオセンサに組み込むことも可能である。なお、本開示の試薬をセンサに組み込む場合には、1センサ当たりの試薬の含有量は、特に制限されず、通常当該分野において使用される量が同様にして採用できるが、発色色素(特に、式(1)のテトラゾリウム塩)が所望の生体成分の存在量に対して十分量で含まれることが好ましい。上記観点及び通常測定すべき生体成分濃度などを考慮すると、発色色素の濃度は、1センサ当たり、好ましくは3~50nmol、より好ましくは10~40nmol、特に好ましくは20~30nmolである。このような量であれば、発色色素は、全血試料に含まれる実質的にすべての生体成分の量に応じて反応する。このため、所望の生体成分濃度を正確にかつ良好な感度で速やかに測定できる。
以下では、比色法により血糖値を測定するに使用される本開示の測定用センサ(比色式血糖計)の形態を、図を参照しながら説明する。しかしながら、本発明は、本開示の生体成分濃度測定試薬を使用することを特徴とし、センサの構造は特に制限されない。このため、本開示の生体成分濃度測定試薬を、市販の測定用センサまたはチップならびに国際公開第2016/051930号、国際公開第2018/51822号、国際公開第2020/137532号等の公報に記載されるセンサまたはチップに適用してもよい。同様にして、下記実施形態では、血糖値の測定を目的としたセンサの具体的な形態を説明するが、測定用センサは当該用途に限定されず、他の用途にも同様にしてまたは適切に修飾して適用できる。
図1は、本実施形態に係る測定用センサを用いたグルコース(血糖)の検出に用いられる血糖計を概略的に示す平面図である。
図1において、血糖計10は、全血試料中のグルコース(血糖)を測定する機器として構成されている。この血糖計10は、主に、ユーザ(被検者)が操作するパーソナルユースとして用いられ得る。ユーザは、食前の血糖を測定して自身の血糖管理を行うこともできる。また、医療従事者が被検者の健康状態を評価するために血糖計10を使用することもでき、この場合、血糖計10を適宜改変して医療施設等に設置可能な構成としてもよい。
血糖計10は、全血試料中に含まれるグルコースの含有量(血糖値)を光学的に測定する、比色法の原理を採用している。特に、この血糖計10は、所定波長の測定光を照射し、測定用センサ12の測定エリアを透過した光を受光する、透過タイプの測定部14により血糖測定を行う。
血糖計10は、血液を取り込んだ測定用センサ12を装着して、または測定用センサ12を装着した状態で測定用センサ12内に血液を導入し、測定部14によりグルコースを検出する。測定用センサ12は、1回の測定毎に廃棄するディスポーザブルタイプに構成されてもよい。一方、血糖計10は、ユーザが測定を簡易に繰り返すことができるように、携帯可能且つ頑強な機器に構成されることが好ましい。
測定用センサ12は、図2に示すように、板状に形成されたセンサ本体部18と、センサ本体部18の内部で板面の面方向に延びる空洞部20(液体用空洞部)とを備える。
センサ本体部18は、図1及び図2に示すように、血糖計10の挿入および離脱方向(血糖計10の先端および基端方向、すなわちB方向)に長辺22を有すると共に、A方向に短い短辺24を有する長方形状に形成されている。例えば、センサ本体部18の長辺22の長さは、短辺24の2倍以上の長さに設定されるとよい。これにより測定用センサ12は、血糖計10に対して充分な挿入量が確保される。
また、センサ本体部18の厚みは、長方形状に形成された側面に比べて極めて小さく(薄く)形成される(図2では、敢えて十分な厚みを有するように図示している)。例えば、センサ本体部18の厚みは、上述した短辺24の1/10以下に設定されることが好ましい。このセンサ本体部18の厚みについては、血糖計10の挿入孔58の形状に応じて適宜設計されるとよい。
測定用センサ12は、空洞部20を有するように、一対の板片30と、一対のスペーサ32とによりセンサ本体部18を構成している。
図3は、図1の測定用センサを示す上面視図である。図3中では、センサ本体部18の角部が尖っているが、例えば角部は丸角に形成されてもよい。また、センサ本体部18は、薄板状に限定されるものではなく、その形状を自由に設計してよいことは勿論である。例えば、センサ本体部18は、上面視で、正方形状や他の多角形状、または円形状(楕円形状を含む)等に形成されてもよい。
センサ本体部18の内部に設けられる空洞部20は、センサ本体部18の短軸方向中間位置にあり、センサ本体部18の長手方向にわたって直線状に形成される。この空洞部20は、センサ本体部18の先端辺24aに形成された先端口部20aと、基端辺24bに形成された基端口部20bにそれぞれ連なり、センサ本体部18の外側に連通している。空洞部20は、先端口部20aからユーザの血液を取り込むと、毛細管現象に基づき延在方向に沿って血液を流動させ得る。空洞部20を流動する血液は少量であり、基端口部20bまで移動しても張力により漏れが抑止される。なお、センサ本体部18の基端辺24b側には、血液を吸収する吸収部(例えば、後述するスペーサ32を基端側のみ多孔質体としたもの等)が設けられていてもよい。
また、空洞部20の所定位置(例えば、図3中に示す先端口部20aと基端口部20bの中間点よりも若干基端寄りの位置)には、血液中のグルコース(血糖)と反応することにより血液中のグルコース(血糖)濃度に応じた色に呈色する試薬(発色試薬)26が塗布され、血糖計10により測定がなされる測定対象部28が設定されている。空洞部20を基端方向に流動する血液が測定対象部28に塗布された試薬26と接触し、血液と試薬26とが反応することで呈色する。なお、空洞部20の長手方向上において、試薬26の塗布位置と測定対象部28は互いにずれていてもよく、例えば試薬26が塗布された反応部を測定対象部28の血液流動方向上流側に設けてもよい。
測定用センサ12は、以上の空洞部20を有するように、一対の板片30と、一対のスペーサ32とによりセンサ本体部18を構成している。一対の板片30は、側面視でそれぞれ上述した長方形状に形成され、互いに積層方向に配置される。つまり、一対の板片30は、センサ本体部18の両側面(上面および下面)を構成している。各板片30の板厚は、非常に小さく、例えば、5~50μm程度の同一寸法に設定されるとよい。2つ(一組)の板片30の厚みは、相互に異なっていてもよい。
一対の板片30は、面方向と直交する方向からある程度の押圧力が加えられても、板形状を維持して塑性変形しない強度を有する。また、各板片30は、測定光が透過可能となるように透明部又は半透明部分を備える。さらに、各板片30は、空洞部20において血液を流動させ得るように適度な親水性を有する平坦状の板面に形成されていることが好ましい。
各板片30を構成する材料は、特に限定されるものではないが、熱可塑性樹脂材料、ガラス、石英等を適用するとよい。熱可塑性樹脂材料としては、例えば、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプ口ピレンなど)、シクロオレフィンポリマー、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレートなど)、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド、フッ素樹脂等の高分子材料又はこれらの混合物が挙げられる。
また、一対のスペーサ32は、一対の板片30の間に挟まれるように配置され、所定の接合手段(接着剤等)よりに各板片30の対向面に強固に接着される。つまり各スペーサ32は、一対の板片30同士を離間させるように間に配置されることで、一対の板片30と一対のスペーサ32自体の間に空洞部20を形成させる部材である。この場合、一方のスペーサ32は、図3中のセンサ本体部18の上側長辺22aに接し、この上側長辺22aに沿って先端および基端方向に延びるように配置される。他方のスペーサ32は、図3中のセンサ本体部18の下側長辺22bに接し、この下側長辺22bに沿って先端および基端方向に延びるように配置される。
一対のスペーサ32を構成する材料(基材)は、特に限定されるものではないが、例えば、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマーが挙げられる。または、熱可塑性エス卜ラマ一以外にも、弾性変形可能な種々の材料を適用してもよく、また弾性変形可能な多孔質体(例えばスポンジ)等の構造体を適用してもよい。さらに、一対の板片30の間で硬化状態又は半硬化状態となることにより板片30同士を接着する接着剤を基材の一方または両面に有するスペーサ32として適用してもよい。またさらに、スペーサ32は、試薬26を含有することで、空洞部20に試薬26を溶出する構成であってもよい。
板片30やスペーサ32は、親水化処理されたものであってもよい。親水化処理の方法としては、例えば界面活性剤、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ヒドロキシプロピルセルロース、水溶性シリコーンの他、ポリアクリル酸、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド等の親水性高分子を含有した水溶液を浸漬法またはスプレー法等により塗布する方法や、プラズマ照射、グロー放電、コロナ放電、紫外線照射(例えば、エキシマ光照射)等の方法等が挙げられ、これらの方法を単独又は組み合わせてもよい。
次に血糖計10の装置本体16について説明する。図1に示すように、血糖計10は、外観を構成する筐体40を有する。筐体40は、ユーザが把持操作し易い大きさでその内部に血糖計10の制御部42を収容する箱体部44と、箱体部44の一辺(先端側)から先端方向に突出し内部に光学系の測定部14を収容する筒状の測光部46とを含む。また、箱体部44の上面には、電源ボタン48、操作ボタン50、ディスプレイ52が設けられ、測光部46の上面にはイジェクトレバー54が設けられている。
電源ボタン48は、ユーザの操作下に、血糖計10の起動と起動停止を切り換える。操作ボタン50は、起動状態となった血糖計10において、ユーザの操作に基づき、血糖値の測定や表示を行う、測定結果(過去の測定結果を含む)の表示を切り換える等の操作部として機能する。ディスプレイ52は、液晶や有機EL等により構成され、測定結果の表示やエラー表示等のように測定操作においてユーザに提供する情報を表示する。
イジェクトレバー54は、先端および基端方向に移動可能に設けられ、測光部46内に設けられる図示しないイジェク卜ピンのロックを解除して、イジェクトピンを先端方向に進出可能とする。
一方、装置本体16の測光部46は、ユーザの指等に先端を押し当てるために、箱体部44から先端方向に長く延出している。図2に示すように、この測光部46には、挿入孔58を有するセンサ装着部60と、血中のグルコース(血糖)を光学的に検出する測定部14とが設けられる。
センサ装着部60は、高い硬質性(剛性)を有する材料(例えば、ステンレス)により、外方向に突出するフランジ部60aを先端側に備え、軸方向に所定長さを有する筒状に形成される。このセンサ装着部60は、樹脂材料で構成された測光部46の先端面と軸心部(中心部)にわたって位置決め固定される。測光部46の内面には、図4Aに示すように、センサ装着部60を強固に固定する固定壁46aが突出形成されている。
センサ装着部60を構成する材料としては、例えば、ステンレスやチタン等の金属、アルマイト皮膜処理をしたアルミニウム、液晶ポリマー、ガラスやマイカ等のフィラーを添加したプラスティック、ニッケルめっき等で表面を硬化皮膜したプラスティック、カーボンファイバー、ファインセラミック等、硬質で安易に寸法が変化せず、また繰り返し測定用センサの抜き差しをしても摩耗しにくく、且つ寸法精度良く加工可能な材料が挙げられる。この中でも金属材料を適用すれば、センサ装着部60の製造(射出成形やプレス成形等)時に、高い寸法精度且つ容易に挿入孔58を成形することができる。なお、装置本体16は、測光部46自体を硬質な材料(例えば、金属材料)により構成することで、センサ装着部60を一体成形していてもよい。
センサ装着部60の軸心部には、このセンサ装着部60の壁部62に囲われることにより挿入孔58が設けられる。挿入孔58は、挿入方向(B方向)に長く、左右幅方向(A方向)に短い断面長方形状に形成されている。挿入孔58は、センサ装着部60が測光部46に固着された状態で、その先端面から奥部(基端方向)に向かって所定深さを有する。
センサ装着部60の先端側には、挿入孔58に連なると共に、外部に連通する挿入開口部58aが形成される。この挿入開口部58aの挿入方向(B方向)の寸法は、測定用センサ12の短辺24の寸法(A方向の長さ)に一致している。また、挿入開口部58aの左右幅方向の寸法、すなわち挿入孔58の側面を構成する一対の壁部62の間隔は、図4Aに示すように、測定用センサ12の積層方向の厚み(図4A中のTall)と実質的に同じである。
センサ装着部60は、挿入孔58(測定用孔部59)が延在する途中位置に、測光部46の固定壁46aと協働して一対の素子収容空間64を形成している。一対の素子収容空間64は、測定部14の一部であり、挿入孔58を挟んで互いに対向位置に設けられ、センサ装着部60により形成された各導光部66を介して測定用孔部59に連通している。
測定部14は、一方の素子収容空間64に発光素子68を収容することで発光部70を構成し、他方の素子収容空間64に受光素子72を収容することで受光部74を構成している。センサ装着部60の導光部66は、適宜な直径を有する円形状の穴に形成されることで、所謂アパーチャの役割を果たしている。
発光部70の発光素子68は、第1の波長を有する測定光を測定用センサ12に照射する第1発光素子68aと、第1の波長とは異なる第2の波長を有する測定光を測定用センサ12に照射する第2発光素子68bとを含む(図2中では図示を省略する)。第1発光素子68aと第2発光素子68bは、素子収容空間64の導光部66を臨む位置に並設されている。
発光素子68(第1及び第2発光素子68a、68b)は、発光ダイオード(LED)で構成され得る。第1の波長は、血糖量に応じた試薬26の呈色濃度を検出するための波長であり、例えば、600nm~680nmである。第2の波長は、血液中の血色素濃度を検出するための波長であり、例えば、510nm~540nmである。箱体部44内の制御部42は、駆動電流を供給して、第1及び第2発光素子68a、68bをそれぞれ所定タイミングで発光させる。この場合、呈色濃度から得られる血糖値を赤血球濃度から得られるヘマトクリット値を用いて補正し、血糖値を求める。なお、さらに他の測定波長で測定することで、血球に起因するノイズを補正してもよい。
受光部74は、素子収容空間64の導光部66を臨む位置に1つの受光素子72を配置
して構成される。この受光部74は、測定用センサ12からの透過光を受光するものであり、例えば、フォトダイオード(PD)で構成され得る。
また、挿入孔58の底部(基端面)には、イジェクトレバー54に連結されたイジェクトピン56(イジェクト部)が設けられている。イジェクトピン56は、測光部46の軸方向に沿って延びる棒部56aと、棒部56aの先端部で径方向外側に大径な受部56bとを備える。受部56bには、挿入孔58に挿入された測定用センサ12の基端辺24bが接触する。また、挿入孔58の底部とイジェクトピン56の受部56bの間には、イジェクトピン56を非接触に囲うコイルバネ76が設けられている。コイルバネ76は、イジェクトピン56の受部56bを弾性的に支持する。
測定用センサ12の挿入が完了すると、図4Bに示すように、測定用センサ12の測定対象部28が導光部66に重なる位置に配置される。
イジェクトピン56は、ユーザによる測定用センサ12の挿入に伴い受部56bが押されることで基端方向に変位し、筐体40内に設けられた図示しないロック機構によりロック(固定)される。コイルバネ76は、受部56bの変位に従って弾性的に収縮する。そして、ユーザのイジェクトレバー54の操作により、イジェクトピン56が多少移動するとロック機構のロックが解除され、コイルバネ76の弾性復元力により先端方向にスライドする。これにより、測定用センサ12がイジェクトピン56に押し出されて、挿入孔58から取り出される。
図1に戻り、装置本体16の制御部42は、例えば、図示しない演算部、記憶部、入出力部を有する制御回路によって構成される。この制御部42は、周知のコンピュータを適用することが可能である。制御部42は、例えば、ユーザの操作ボタン50の操作下に、測定部14を駆動制御して血中のグルコースを検出及び算出し、ディスプレイ52に算出した血糖値を表示する。
例えば、測定用センサ12に対し測定光を透過させて分析対象物(例えば、グルコース)を測定する血糖計10において、制御部42は、以下の式(A)で示すBeer-Lambert則に基づいて測定結果を算出する。
Figure 2023087327000016
上記式(A)において、lは全血試料に入射する前の光の強度、lは全血試料から出射した後の光の強度、αは吸光係数、Lは測定光が通過する距離(セル長)である。
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。なお、下記実施例において、特記しない限り、操作は室温(25℃)で行われた。また、特記しない限り、「%」および「部」は、それぞれ、「質量%」および「質量部」を意味する。
合成例1:テトラゾリウム塩1の合成
下記方法に従って、下記構造を有する化合物(テトラゾリウム塩1)を合成した。
Figure 2023087327000017
1.ヒドラゾン化合物1の合成
4-ホルミルベンゼン-1,3-ジスルホン酸二ナトリウム(Disodium 4-Formylbenzene-1,3-disulfonate)(東京化成工業株式会社製)1.59g及び(6-メトキシベンゾチアゾール-2-イル)ヒドラジン(2-Hydrazino-6-methoxy-1,3-benzothiazole)(Santa Cruz Biotechnology社製)1.0gをRO水60mLに懸濁させた。この懸濁液を、酢酸酸性下、ウォーターバスにて60℃で2時間、加熱・攪拌した。加熱攪拌終了後、溶媒を除去した。この残渣をイソプロパノールで洗浄した後、沈殿を濾別した。この沈殿をドラフト中で乾燥させて、ヒドラゾン化合物1を得た。
2.ホルマザン化合物1の合成
上記1.のヒドラゾン化合物1 0.76gをRO水10mLおよびDMF10mLの混合液に溶解して、ヒドラゾン化合物1溶液を調製した。p-アニシジン-3-スルホン酸(p-anisidin-3-sulfonic acid)(東京化成工業株式会社製)0.264gをRO水4.09mLに懸濁させ、10N NaOH 130μLを加え溶解させた。この溶液を0℃に保持しつつ、9.6N HCl 280μLを加え、亜硝酸ナトリウム溶液を滴下し、ジアゾ化を行った。このジアゾ化溶液を-20℃に保持し、ヒドラゾン化合物1溶液に滴下した。滴下終了後、10N NaOH300μLを滴下し、2時間室温(25℃)で攪拌して、ホルマザン化合物1を含む溶液(ホルマザン化合物1溶液)を調製した。このホルマザン化合物1溶液を、9.6N HClにてpHを中性に調整し、溶媒を除去した。得られた残渣をイソプロパノールで洗浄した後、沈殿を濾別した。この沈殿を乾燥させ、ホルマザン化合物1を得た。
3.ホルマザン化合物1の精製およびテトラゾリウム塩1の合成
上記2.のホルマザン化合物1をRO水10mLに溶解して、ホルマザン化合物1溶液を調製した。ディスポーザブルカラム(大きさ:20cm×5cm)に、カラムクロマトグラフィー用充填剤(ナカライテスク株式会社製、COSMOSIL 40C18-PREP)を充填し、カラム分取システム(日本ビュッヒ社製、商品名:セパコア)にセットした。このカラムシステムを用いて、ホルマザン化合物1溶液を精製した。採取したフラクションの溶媒を除去し、得られた固形成分にメタノール15mL、9.6N HCl 250μL、15%亜硝酸エチル(CHCHNO)-エタノール溶液5mLを加えて、72時間、室温(25℃)遮光にて攪拌した。
4.テトラゾリウム塩1の回収
上記3.の反応溶液に対し、ジエチルエーテル加えて、テトラゾリウム塩1を沈殿させた。この沈殿を遠心分離し、上澄みを除去後、さらにジエチルエーテルで洗浄した。得られた沈殿をドラフト内で乾燥させ、テトラゾリウム塩1を得た。なお、得られたテトラゾリウム塩1から生成したホルマザンの600nm以上800nm以下における、最大吸光度(200mg/dLのグルコース水溶液中、セル長=0.045mm)を測定したところ、0.5以上であった。また、テトラゾリウム塩1から生成したホルマザンと遷移金属イオン(Zn2+)とのキレート化合物の最大吸収波長(λmax)を測定したところ、550nmであった。
参考例1:酸化還元電位の測定
上記合成例1で得られたテトラゾリウム塩1、2-ベンゾチアゾリル-3-(4-カルボキシ-2-メトキシフェニル)-5-[4-(2-スルホエチルカルバモイル)フェニル]-2H-テトラゾリウム(2-Benzothiazolyl-3-(4-carboxy-2-methoxyphenyl)-5-[4-(2-sulfoethylcarbamoyl)phenyl]-2H-tetrazolium)(Dojindo Molecular Technologies, Inc製、商品名:WST-4)、3-(4,5-ジメチル-チアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロミド((3-(4,5-di-methylthiazol-2-yl)-2,5-diphenyltetrazolium bromide)(MTT)および亜硝酸ナトリウムの酸化還元電位を下記方法に従って測定した。結果を下記表1に示す。なお、下記表1において、「酸化還元電位差」は、各化合物の酸化還元電位と亜硝酸ナトリウムの酸化還元電位との差(V)[=(各化合物の酸化還元電位(V))-(亜硝酸ナトリウムの酸化還元電位(V))]を示す。
Figure 2023087327000018
Figure 2023087327000019
[酸化還元電位の測定]
PBS溶液(リン酸バッファ:pH 7.5)10mLを準備する。また、このPBS溶液に、各化合物を1mMの濃度となるように添加して、測定試料(テトラゾリウム塩1を含む測定試料のpH=7.5、WST-4を含む測定試料のpH=7.2、亜硝酸ナトリウムを含む測定試料のpH=7.5)を調製する。
PBS溶液および各測定試料について、図6に示される三電極測定により、掃引速度 0.1V/s、印加電圧範囲:-1V~+1Vの条件で、下記3電極を用いて、サイクリックボルタンメトリー(CV)を行い、各化合物の酸化還元電位を測定した。
(電極)
参照電極:飽和KCl銀-塩化銀電極
作用電極:GCEガラス状カーボン電極
対極:Ptカウンター電極。
テトラゾリウム塩1およびWST-4のCV測定結果を図7に示し、亜硝酸ナトリウムのCV測定結果を図8に示す。なお、図7及び図8中、PBS溶液をベースとした。また、図7中、テトラゾリウム塩1およびWST-4の還元電位は2つのピークを示している。図中、還元電位のピークが高いほど電子を奪いやすいことが示される。1段階目のピーク(電位の高い方のピーク)における電位は、発色色素の発色(テトラゾリウムからホルマザンへの変化)が始まる際の電位を表す。このため、本明細書における「酸化還元電位」は、この1段階目のピーク(電位の高い方のピーク)における電位を意図する。
参考例2:テトラゾリウム塩1と亜硝酸ナトリウムとの競合評価
グルコース濃度測定における、テトラゾリウム塩1と亜硝酸ナトリウムとの競合を、下記方法に従って、評価した。結果を下記表2-1に示す。
テトラゾリウム塩1が52.1mMまたは104.2mM、酢酸亜鉛が203.6mM、およびグルコースデヒドロゲナーゼ(FAD-GDH)(東洋紡株式会社、商品名:GLD-351(D-Glucose:(flavine adenine dinucleotide)-dehydrogenase))(酸化還元酵素)が9.1g/Lとなるように、それぞれ、RO水に溶解して、溶液2-Aおよび溶液2-Bを調製した。別途、グルコースが5g/dL、亜硝酸ナトリウムが0M(無配合)、2.5Mまたは5.0Mの濃度となるように、RO水に溶解して、溶液2-C、溶液2-F、溶液2-Eを調製した。次に、表2-1に示される組成(終濃度)になるように、溶液2-Aまたは溶液2-Bと、溶液2-C、溶液2-Fまたは溶液2-Eとを混合して、混合溶液2-1~2-6を調製した。なお、表2-1に記載の濃度は、各混合溶液中の亜硝酸ナトリウムまたはテトラゾリウム塩1の終濃度である。また、各混合溶液中のテトラゾリウム塩1および亜硝酸ナトリウム以外の各成分の終濃度は、酢酸亜鉛が195.4mM、酸化還元酵素(FAD-GDH)=8.8g/L、およびグルコース=200mg/dLである。
混合してから1分後の各混合溶液の605nmでの吸光度を測定した。次に、テトラゾリウム塩1濃度が100mMでかつ亜硝酸ナトリウム濃度が0mMである時の吸光度を100.0%とした際の、各混合溶液の発色比率を算出し、結果を下記表2-1に示す。
参考例3:WST-4と亜硝酸ナトリウムとの競合評価
グルコース濃度測定における、WST-4と亜硝酸ナトリウムとの競合を、下記方法に従って、評価した。結果を下記表2-2に示す。
WST-4(最大吸収波長(λmax)=600nm)が52.1mMまたは104.2mM、およびグルコースデヒドロゲナーゼ(FAD-GDH)(東洋紡株式会社、商品名:GLD-351(D-Glucose:(flavine adenine dinucleotide)-dehydrogenase))(酸化還元酵素)が9.1g/Lとなるように、それぞれ、RO水に溶解して、溶液3-Aおよび溶液3-Bを調製した。別途、グルコースが5g/dL、亜硝酸ナトリウムが0M(無配合)、2.5Mまたは5.0Mの濃度となるように、RO水に溶解して、溶液3-C、溶液3-F、溶液3-Eを調製した。次に、表2-2に示される組成(終濃度)になるように、溶液3-Aまたは溶液3-Bと、溶液3-C、溶液3-Fまたは溶液3-Eとを混合して、混合溶液3-1~3-6を調製した。なお、表2-2に記載の濃度は、各混合溶液中の亜硝酸ナトリウムまたはテトラゾリウム塩1の終濃度である。また、各混合溶液中のテトラゾリウム塩1および亜硝酸ナトリウム以外の各成分の終濃度は、酸化還元酵素(GDH)=8.8g/L、およびグルコース=200mg/dLである。
混合してから1分後の各混合溶液の650nmでの吸光度を測定した。次に、WST-4濃度が100mMでかつ亜硝酸ナトリウム濃度が0mMである時の吸光度を100.0%とした際の、各混合溶液の発色比率を算出し、結果を下記表2-2に示す。
Figure 2023087327000020
上記表2から、テトラゾリウム塩1およびWST-4は、80%を超える発色比率を示し、亜硝酸ナトリウム不存在の場合とほぼ同等の発色を示すことが分かる。
特に、テトラゾリウム塩1では、亜硝酸ナトリウムを加えた混合溶液2-2、2-3、2-5および2-6は、亜硝酸ナトリウムが存在しない混合溶液2-1、2-4と比較して、発色がほとんど阻害されなかった。今回は、このような競合反応が進みやすい水溶液で評価をした。反応条件が厳しい溶液系の評価においても、発色色素の発色が阻害されなかったことから、乾燥試薬でも同様の効果が得られると考察される。
なお、上記表には示さなかったが、MTTを使用した際の発色比率は、テトラゾリウム塩1およびWST-4の場合に比べて、有意に低かった。
実施例1:血糖計センサでの評価
1M 酢酸亜鉛水溶液(1M=183.48g/L) 46.8μL(遷移金属化合物としての酢酸亜鉛=8.6mg相当、酢酸亜鉛が水和物の場合には、水の分子量を除外して計算する)およびRO水 339.6μL(339.6mg)を混合して、混合液1を調製した。次に、この混合液1に、亜硝酸ナトリウム(1M=68.995g/L) 3.6mgを加えて、混合液2を調製した。次に、この混合液2に、スクラロース(1M=397.64g/L) 33.4mgを加えて、混合液3を調製した。次に、この混合液3に、糖アルコールとしてのソルビトール(1M=182.17g/L) 2.5mgを加えて、混合液4を調製した。次に、この混合液4に、発色色素としての合成例1のテトラゾリウム塩1(1M=693g/L) 28.1mgを加えて、混合液5を調製した。
別途、溶血剤としての非イオン性界面活性剤(ポリオキシエチレン(9)オクチルフェニルエーテル、Sigma-Aldrich社製、NonidetTM P-40、比重=1.06g/mL;以下、単に「Nonidet」または「Nonidet P-40」とも称する) 100.2mgをRO水 246.4μL(246.4mg)に加えて、30質量% Nonidet水溶液を調製した。
上記で調製した混合液5、30質量% Nonidet水溶液およびグルコースデヒドロゲナーゼ(FAD-GDH)(東洋紡株式会社、商品名:GLD-351)(酸化還元酵素)を、下記表3の組成になるように、混合して、塗布液(合計量=731.3μL)を試薬として調製した。
Figure 2023087327000021
以下のようにして図5に示される血糖計センサ(血糖値測定センサ)を作製した。まず、ステージ上に載置されたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム40(製造会社名:東レ株式会社、商品名:ルミラーT60、厚み188μm、8mm×80mm)上に(図5A中の「試薬塗布面3」側に)、上記にて調製した塗布液3.15μLをインクジェット(マイクロジェット社製、Labojet-500Bio)を用いて、±8μm以内のパターニング精度および1pL~1000pLの吐出液量のヘッドを用いて塗布し、25℃で10分間乾燥することにより、試薬層をPETフィルム40に形成した(試薬層付PET)。この試薬層付PETを所定の大きさ(8mm×1.6mm)に切り出してフィルム片(図5A中の「フィルム片2」)を作製した。このフィルム片には、1個あたり0.063μLの塗布液が塗布されていた。血糖値測定センサ1個あたりの試薬質量(塗布液 0.063μL)は、塗布液を調製する際に添加した各試薬成分の組成(質量)と、調製した塗布液(試薬液)の最終容量(731.3μL)および試薬層付PETから作製したフィルム片2の個数から、算出できる。例えば、このフィルム片は、1個あたり、2.4μgのテトラゾリウム塩1(発色色素)、0.7μgの酢酸亜鉛(遷移金属化合物)、0.3μgの亜硝酸ナトリウム、2.9μgのスクラロース、0.2μgのソルビトール(糖アルコール)、0.7μgの酸化還元酵素(FAD-GDH)、2.6μgのNonidet(溶血剤)を乾燥試薬の形態で含む。
第2基材としての親水処理ポリエステルフィルム(3M社製、商品名:親水処理ポリエステルフィルム9901P、厚み:100μm)(図5A中の「ポリエステルフィルム5」)の両側に、両面テープ(製造会社名:日東電工、商品名:5605BN、厚み:50μm)(図5A中の「両面テープ4」)をスペーサ及び接着部として設けた(センサ土台)。このセンサ土台に、上記にて作製したフィルム片(図5A中の「フィルム片2」)を、試薬層(図5A中の「試薬塗布面3」)がセンサ土台と対向し、かつ、流路(図5A中の「流路6」)の中心となるように貼り付けた。フィルム片を貼り付ける際には、フィルム片が両面テープに所定量埋め込まれるように押圧した。さらに、フィルム片が貼り付けられたセンサ土台に、親水処理ポリエステルフィルムに両面テープ(製造会社名:3M社、商品名:ポリエステルフィルム基材、両面粘着テープ9965、厚み:80μm)が貼り付けられたフィルム片(図5A中の「ポリエステルフィルム7」)を被せて、血糖計センサ(血糖値測定センサ)を作製した。
作製した血糖計センサ(血糖値測定センサ)は、流路部と測定部(試薬部)とを有する。図5B中の流路部において、流路長さ(図5B中の「L1」)は9mmであり、幅(図5B中の「W」)は1.1mmであり、厚み(図5B中の「t1」)は0.13mmであった。図5B中の測定部において、試薬長さ(図5B中の「L2」)は1.6mmであり、幅(図5B中の「W」)は1.1mmであり、厚み(図5B中の「t2」)は0.05mmであった。
なお、流路部におけるセンサ厚み方向に対して直交する方向(流路長手方向)の長さL1としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5~10mmが好ましい。ここで、長さL1は、長いと、成分測定装置への装着(挿入)が容易となる点、および光学測定部への外乱光の進入が減少するという点で有利である。長さL1が短いと、検体量を少なくできる点で有利となる。よって、成分測定装置への装着(挿入)のしやすさ、外乱光の影響、及び検体量のバランスを考慮して、長さL1の上限と下限が決定される。試薬部における流路のセンサ厚み方向に対して直交する方向(流路長手方向)の長さL2としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1~4mmが好ましい。ここで、長さL2は、長い方が、照射スポットの面積を長さ方向に大きく取れるため、精度良く測定ができる点で有利であるが、短い方が、検体量を少なくできる点で有利となる。よって、測定精度と検体量とのバランスを考慮して、長さL2の上限と下限が決定される。
血液(全血、ヘマトクリット値(Ht)40)に、高濃度のグルコース溶液(40g/dL)を添加して、グルコース濃度(BG)が100mg/dLの血液検体(BG100)、200mg/dLの血液検体(BG200)、400mg/dLの血液検体(BG400)および550mg/dLの血液検体(BG550)を調製した。また、対照として、血液(全血、ヘマトクリット値(Ht)40)に、グルコース分解酵素を添加して、グルコース濃度(BG)が0mg/dLの血液検体(BG0)を調製した。
作製した血糖値測定センサの流路入口に、BG0、BG100、BG200、BG400およびBG550を点着した。各検体を試薬部に点着してから9秒後に、ファイバー分光光度計を用いて605nmでの吸光度を測定した。結果を図9に示す。図9は各サンプルを血糖値測定センサで測定した際のグルコース濃度と、ホルマザンと遷移金属イオン(Zn2+)とのキレート化合物の605nmでの吸光度との関係を示すグラフである。
図9に示されるように、吸光度とグルコース濃度とは直線関係(比例関係)を示す。これから、本開示のセンサを用いることにより、吸光度に基づき血糖値を正確に測定できることが考察される。
これらのことから、本開示の試薬(血糖値測定センサ)に全血の溶血試料を適用して発色量を測定し、当該発色量に基づいて検量線を作製することにより、全血試料中の生体成分の濃度を正確に算出できる。
1 試薬リボン、
2 フィルム片、
3 試薬塗布面、
4 両面テープ、
5 ポリエステルフィルム、
6 流路、
7 ポリエステルフィルム、
10 血糖計、
12 測定用センサ、
14 測定部、
16 装置本体、
18 センサ本体部、
20 空洞部、
20a 先端口部、
20b 基端口部、
22 長辺、
22a 上側長辺、
22b 下側長辺、
24 短辺、
24a 先端辺、
24b 基端辺、
26 試薬、
28 測定対象部、
30 板片、
32 スペーサ、
40 筐体、
42 制御部、
44 箱体部、
46 測光部、
48 電源ボタン、
50 操作ボタン、
52 ディスプレイ、
54 イジェクトレバー、
56 イジェクトピン、
56a 棒部、
56b 受部、
58 挿入孔、
58a 挿入開口部、
59 測定用孔部、
60 センサ装着部、
60a フランジ部、
62 壁部、
64 素子収容空間、
66 導光部、
68 発光素子、
70 発光部、
72 受光素子、
74 受光部、
76 コイルバネ。

Claims (10)

  1. 亜硝酸またはその塩、溶血剤、および発色色素を含み、前記発色色素の酸化還元電位が前記亜硝酸またはその塩の酸化還元電位より+0.19Vを超える、生体成分濃度測定試薬。
  2. 前記発色色素の酸化還元電位が前記亜硝酸またはその塩の酸化還元電位に対して+0.21Vを超える、請求項1に記載の生体成分濃度測定試薬。
  3. さらに酸化還元酵素を含む、請求項1または2に記載の生体成分濃度測定試薬。
  4. 前記亜硝酸またはその塩は、前記発色色素 1モルに対して、50モル以下の割合で含まれる、請求項1~3のいずれか1項に記載の生体成分濃度測定試薬。
  5. 前記発色色素は、下記式(1):
    Figure 2023087327000022

    上記式(1)中、Rは、水素原子、水酸基、メトキシ基、およびエトキシ基からなる群から選択されるいずれか一つであり、Rは、ニトロ基、-OR、およびカルボキシル基からなる群から選択されるいずれか一つであり、Rは、水素原子、メチル基またはエチル基であり、少なくとも1はメチル基またはエチル基であり、Rは、メチル基またはエチル基であり、mは、スルホ基(-SO )がテトラゾール骨格の5位のフェニル基に結合する数であり、1または2であり、nは、Rがテトラゾール骨格の3位のフェニル基に結合する数であり、0~2の整数であり、pは、スルホ基(-SO )がテトラゾール骨格の3位のフェニル基に結合する数であり、0または1であり、n+pは1以上であり、qは1または2であり、qが2の場合、各ORは隣接して配置され、この際、各ORが互いに環を形成してもよく、Xは、水素原子またはアルカリ金属を表わす;
    で示されるテトラゾリウム塩である、請求項1~4のいずれか1項に記載の生体成分濃度測定試薬。
  6. 前記発色色素は、下記構造:
    Figure 2023087327000023

    を有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の生体成分濃度測定試薬。
  7. 乾燥試薬である、請求項1~6のいずれか1項に記載の生体成分濃度測定試薬。
  8. 全血試料を、請求項1~7のいずれか1項に記載の生体成分濃度測定試薬と接触させて、発色量を測定し、当該発色量に基づいて前記全血試料中の生体成分の濃度を定量することを有する、生体成分濃度の測定方法。
  9. 前記生体成分が、グルコース、コレステロール、中性脂肪、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADPH)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)、尿酸である、請求項8に記載の方法。
  10. 反応部を有する、全血試料中の生体成分濃度を測定するためのセンサであって、
    前記反応部は、請求項1~7のいずれか1項に記載の生体成分濃度測定試薬を含む、センサ。
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