JP4192090B2 - 定量用溶液調製方法、この定量用溶液を用いた定量方法並びに定量用溶液調製器具の使用方法 - Google Patents

定量用溶液調製方法、この定量用溶液を用いた定量方法並びに定量用溶液調製器具の使用方法 Download PDF

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Description

本発明は、臨床診断分野において行われる定量用溶液調製方法に係り、特に、希釈された血液(希釈血液溶液)を用いて、希釈血漿溶液からなる定量用溶液及び/又は希釈細胞画分溶液からなる定量用溶液を調製する方法、調製した定量用溶液を用いて血漿中の被測定物質及び/又は細胞画分中のヘモグロビンA1Cのヘモグロビンに対する割合を定量する方法、並びに、血漿中の被測定物質及び/又は細胞画分中のヘモグロビンA1Cのヘモグロビンに対する割合の定量のための定量用溶液を調製するための器具の使用方法に関する。
従来から一般に行われている臨床診断のシステムは、被検者が病院や検査センターに出向き、看護婦や技師等の一定の資格を有する者が血液を採取し、採取された血液を用いて血漿中の被測定物質や細胞画分中の被測定物質を測定する、というシステムである。
血液はタンパク質や脂質などを多量に含んでおり、血液凝固因子の働きで採取後すぐに凝固が開始されるなど、非常に取扱いが難しく、血液から細胞画分を分離するには例えば高速の遠心分離機を使用する手法が採用される。しかしながら、遠心分離機を使用する手法にあっては、遠心分離機を用いる分離操作は、迅速である一方で、危険性が高い。また、遠心分離にはかなりの量の血液を必要とすることから、血液の取扱いにも細心の注意を払う必要がある。
近年、中空糸や膜等の分離手段により血液を血漿と細胞画分とに分離する方法も報告されているが、この中空糸や膜等による分離方法においては、血液によっては、凝固が早すぎて分離が困難な場合があった。また、中空糸や膜等による分離方法は細胞画分と血漿成分との分子サイズの違いを利用して分離する方法であるため、分子量の大きなタンパク質などは膜をうまく通過できず、得られる血漿中の組成が血液中の組成を正確に反映しない、という問題があった(例えば特開昭53−72691号、特開昭60−11166号公報)。
また、水性媒体等で希釈された血液から、中空糸や膜等の分離手段により調製される希釈された血漿は、血漿中の被測定物質の定量分析には採用できない、と考えられていた。
一方、近年、健康志向の流れから、血糖値の制御等の自己管理を目的に、個人で血液を採取することが多くなりつつある。しかし、個人で採血する場合、採取量が少量に限られているだけでなく、採取した血液の安定な保存・管理の問題があった。すなわち、採取した血液を乾燥状態、または、濾紙などに吸着させた状態で、常温で保存する場合、採取血液の安定性が担保されず、正確な値が得られないという問題があった。
このような状況の下で、採取された少量の血液を血漿と細胞画分とに、迅速、簡便、かつ、安全に分離する方法、得られた血漿及び/又は細胞画分を用いて該血漿中の被測定物質及び/又は該細胞画分中の被測定物質を定量するための器具並びに方法が望まれていた。
本発明は、このような技術的課題を解決するためになされたものであって、採取された少量の血液を血漿と細胞画分とに、迅速、簡便、かつ、安全に分離する定量用溶液調製方法、この定量用溶液を用いた定量方法、並びに定量用溶液調製器具使用方法を提供するものである。
(本発明の概要)
本発明は、希釈された血液(以下、希釈血液溶液とよぶ)を用いて血漿中の被測定物質及び/又は細胞画分中の被測定物質(特に、ヘモグロビンA1C)を定量するための定量用溶液、すなわち、希釈血漿溶液からなる定量用溶液及び/又は希釈細胞画分溶液からなる定量用溶液を調製する方法に関する。
また、本発明は、調製された希釈血漿溶液からなる定量用溶液及び/又は希釈細胞画分溶液からなる定量用溶液を用いて、血漿中の被測定物質及び/又は細胞画分中の被測定物質(特に、ヘモグロビンA1C)を定量する方法に関する。
更に、本発明は、希釈血液溶液を用いて血漿中の被測定物質及び/又は細胞画分中の被測定物質(特に、ヘモグロビンA1C)を定量するための希釈血漿溶液からなる定量用溶液及び/又は希釈細胞画分溶液からなる定量用溶液を調製するための器具及びその使用方法に関する。
(血漿と細胞画分)
血液は、血漿と細胞画分から成り立っており、細胞画分には赤血球、白血球、血小板等が含有される。本発明において、血漿は本来の意味での血漿だけでなく、血液凝固反応によって凝集したフィブリンを除いた本来の意味での血清をも表す。以下、血清および血漿を合わせて、血漿とよぶこととする。また、本発明において、血液凝固反応が起こった場合には、細胞画分は血餅をも表す。以下、細胞画分及び血液凝固反応が起こった場合の血餅を合わせて、細胞画分とよぶこととする。
(血漿中の被測定物質、細胞画分中の被測定物質)
血漿中の被測定物質としては、生化学項目や免疫項目のいずれの項目も適用可能である。生化学項目としては、例えば、グルコース、1,5−アンヒドログルシトール、フコース、尿素、アンモニア、クレアチニン、総コレステロール、HDLコレステロール、LDLコレステロール、RLPコレステロール、トリグリセライド、リン脂質、Na、K、Cl、Ca、総蛋白、アルブミン、グロブリン、ビリルビン、胆汁酸、シアル酸、遊離脂肪酸、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、クレアチンホスホキナーゼ(CPK)、ホスホキナーゼ(PK)、アミラーゼ、リパーゼ、コリンエステラーゼ、γ−グルタミルトランスペプチダーゼ、L−乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)、アルドラーゼ、アルカリフォスファターゼ、酸フォスファターゼ等が挙げられる。免疫項目としては、例えば、IgG、IgM、IgA、IgE、アポ蛋白AI、アポ蛋白AII、アポ蛋白B、アポ蛋白E、リューマチファクター、D−ダイマー、酸化LDL、グリコアルブミン、T3、T4、抗テンカン剤などの薬剤、α−フェトプロテイン(AFP)、癌胎児性抗原(CEA)、CA19−9、CA−125、BNP、トロポニンT、トロポニンI、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)、インスリン、C−ペプタイド、エストロゲン、抗GAD抗体、ペプシノーゲン、HB抗原、抗HB抗体、HCV抗原、抗HCV抗体、HTLV−I抗原、抗HTLV−I抗体、HIV抗体、結核抗体、マイコプラズマ抗体等が挙げられる。細胞画分中の被測定物質としては、例えば、ヘモグロビンA1C等が挙げられる。
(希釈用溶液)
本発明における希釈用溶液は、採取された血液を希釈し溶解するための水性溶液である。希釈用溶液は、血漿中の被測定物質を測定する場合と細胞画分中の被測定物質を測定する場合とで、その組成が異なる。本発明では、血漿中の被測定物質を測定する場合に使用する希釈用溶液を第1希釈用溶液とよび、細胞画分中の被測定物質を測定する場合に使用する希釈用溶液を第2希釈用溶液とよぶ。尚、後述の様に、本発明の定量用溶液調製器具においては、希釈用溶液は第1容器の希釈用溶液収容部に収容される。
(定量用溶液)
本発明の定量用溶液は、希釈血漿溶液からなる定量用溶液及び/又は希釈細胞画分溶液からなる定量用溶液を表す。希釈血漿溶液からなる定量用溶液は、血漿中の被測定物質を定量するための溶液であり、採取された血液から分離された血漿を第1希釈用溶液中に含有する溶液である。希釈細胞画分溶液からなる定量用溶液は、細胞画分中の被測定物質を定量するための溶液であり、採取された血液から分離された細胞画分を第2希釈用溶液中に含有する溶液である。本発明においては、細胞画分中の被測定物質としては特に、ヘモグロビンA1Cを表すので、「細胞画分中の被測定物質を定量する」とは、「細胞画分中のヘモグロビンA1Cのヘモグロビンに対する割合を定量する」ことを表す。
以下、詳述する。
先ず、本発明に関連する参考発明について説明すると、本発明に関連する参考発明は、図1(a)に示すように、採取された血液1を用いて、血漿中の被測定物質を定量するための希釈血漿溶液5からなる定量用溶液を調製する方法であって、(1)採取された血液1を、既知濃度の指示物質を含有する第1希釈用溶液2aで希釈する工程と、(2)該希釈血液溶液3を、分離手段4により血漿と細胞画分とに分離し、希釈血漿溶液5を調製する工程と、を含むものである。
更に、希釈工程としては、結果的に希釈血液溶液3が調製されればよく、第1希釈用溶液2aに採取された血液1を予め添加してもよいし、採取された血液1部分に第1希釈用溶液2aを通過させることで調製してもよい。
更に、希釈工程と、調製工程とは明確に別れている態様に限られず、渾然一体として行われる態様も含む。
例えば、採取された血液1を、一定濃度の指示物質を含有する第1希釈用溶液2aで希釈しつつ、分離手段4により血漿と細胞画分とに分離する態様も含む。
更にまた、分離手段4による分離態様としては、希釈血漿溶液5を通過させるもののほか、内部に希釈血漿溶液5を保持し、後工程でサンプルノズルで取り出す態様(例えばスポンジ等の多孔質ポリマー)のものも含む。
更に、本発明に関連する参考発明の別の態様は、図1(a)に示すように、採取された血液1を用いて、細胞画分中のヘモグロビンA 1C のヘモグロビンに対する割合を定量するための希釈細胞画分溶液6からなる定量用溶液を調製する方法であって、(1)採取された血液1を、第1希釈用溶液2aで希釈する工程と、(2)該希釈血液溶液3を、分離手段4により血漿と細胞画分とに分離する工程と、(3)分離された細胞画分を第2希釈用溶液2bで希釈し、希釈細胞画分溶液6を調製する工程と、を含むものである。
ここでいう第1希釈用溶液2aは、溶血させない溶液ならば特に制限はなく、必ずしも既知濃度の指示物質を含有する必要はないが、既知濃度の指示物質を含有した溶液であってもよい。
次に、本発明について説明すると、本発明、図1(a)に示すように、採取された血液1を用いて、血漿中の被測定物質を定量するための希釈血漿溶液5からなる定量用溶液、及び、細胞画分中のヘモグロビンA1Cのヘモグロビンに対する割合を定量するための希釈細胞画分溶液6からなる定量用溶液を調製する方法であって、(1)採取された血液1を、既知濃度の指示物質を含有する第1希釈用溶液2aで希釈する工程と、(2)該希釈血液溶液3を、分離手段4により血漿と細胞画分とに分離し、希釈血漿溶液5を調製する工程と、(3)希釈血漿溶液5の調製後に残った細胞画分を第2希釈用溶液2bで希釈し、希釈細胞画分溶液6を調製する工程と、を含むことを特徴とするものである。
この態様は、希釈血漿溶液5からなる定量用溶液、及び、希釈細胞画分溶液6からなる定量用溶液を調製する方法である
このような定量用溶液の調製方法において、分離手段4の代表的態様としては、フィルタ、物理的ストレス又はフィルタと物理的ストレスとの組合せが挙げられる。
フィルタとしては、微細繊維集合体、多孔質ポリマー又は微粒子集合体が挙げられる。
微細繊維集合体としては、表面に細胞画分を保持し、血漿を通過させるものであれば適宜選定して差し支えない。多孔質ポリマーとしては、表面に細胞画分を保持し、血漿を内部に保持するものであればよいが、血漿を通過させる機能を備えていてもよいし、水分を吸収し膨張する機能を備えていてもよい。微粒子集合体としては、表面に細胞画分を保持し、血漿を通過させるものであれば適宜選定して差し支えない。
微細繊維集合体、多孔質ポリマー又は微粒子集合体は単独で用いてもよいが、混合して用いてもよい。例えば、微細繊維集合体又は微粒子集合体に多孔質ポリマーを混在させて用いることができる。
また、物理的ストレスとしては、攪拌、振動等が挙げられる。分離手段4が物理的ストレスである態様においては、第1希釈用溶液2aが、血液凝固を促進させるための凝固促進剤を含有していることが好ましい。凝固促進剤を含有させることにより、血液凝固がより促進され、血漿と細胞画分(正確には血清と血餅)との分離効果を高めることができる。
(指示物質)
指示物質は、希釈血漿溶液からなる定量用溶液における血漿の希釈倍率を算出するために用いる物質であり、血漿中の被測定物質の定量に影響を与えない物質であれば特に制限はない。この指示物質は、外因性指示物質と内因性指示物質とに大別される。
(外因性指示物質)
外因性指示物質は、血液中には存在しない物質であり、例えば、色素,還元発色型色原体,酸化発色型色原体(ロイコ型色原体,酸化カップリング発色型色原体),蛍光物質,発光物質等が挙げられるが、酸化カップリング発色型色原体が好ましい。
(内因性指示物質)
内因性指示物質は、血液中に極微量(血液中の濃度が0.1mmol/L以下)存在し、それ自身または誘導されて生成する物質に対応する酸化酵素(オキシターゼ)が存在する物質である。内因性指示物質としては、例えば、コリン、グルコース−3−リン酸、キサンチン、D−アミノ酸、N−アセチルグルコサミン、1,5−アンヒドログルシトール等が挙げられる。希釈倍率の算出に際して内因性指示物質を用いる場合には、外因性指示物質の場合と同様に、外部から添加する必要がある。
(第2希釈用溶液)
第2希釈用溶液は、細胞画分中の被測定物質を測定する場合に使用する、溶血用の水性溶液であり、希釈倍率算出のための指示物質を必ずしも含有しなくてもよい。第2希釈用溶液としては、細胞膜を破壊し、細胞画分中の成分を安定に保存する溶液であれば特に制限はない。第2希釈用溶液には、ヘモグロビン安定化剤が含有されることが好ましい。
また、本発明は、上述したように調製された定量用溶液を用いた定量方法をも対象とする。
この場合、本発明に係る定量方法は、血液を用いて、血漿中の被測定成分、及び、細胞画分中のヘモグロビンA 1C のヘモグロビンに対する割合を定量する方法であって、血漿中の被測定成分を定量する方法が、(1)上述した本発明に係る定量用溶液調製方法にて希釈血漿溶液からなる定量用溶液を調製する工程と、(2)該定量用溶液中の指示物質の濃度と、第1希釈用溶液中の指示物質の濃度とから、該定量用溶液中の血漿の希釈倍率を算出する工程と、(3)該定量用溶液中の被測定物質の濃度を測定する工程と、(4)(2)で算出した希釈倍率と、(3)で測定した定量用溶液中の被測定物質の濃度とから、該血漿中の被測定物質の濃度を定量する工程と、を含み、細胞画分中のヘモグロビンA1Cのヘモグロビンに対する割合を定量する方法が、)上述した本発明に係る定量用溶液調製方法にて希釈細胞画分溶液からなる定量用溶液を調製する工程と、()()で調製された定量用溶液におけるヘモグロビンA1Cのヘモグロビンに対する割合を定量する工程と、を含むことを特徴とするものである。
更に、本発明は、上述した本発明に係る定量用溶液調製方法を具現化するための定量用溶液調製器具の使用方法をも対象とする。
この場合、本発明で用いられる定量用溶液調製器具は、例えば図1(b)に示すように、互いに嵌合可能な第1容器7及び第2容器8を具備し、第1容器7が、所定量の希釈用溶液2が収容される希釈用溶液収容部9を備え、一方、第2容器8が、定量用溶液5(又は6)が収容される定量用溶液収容部10と、この定量用溶液収容部10に隣接して設けられ且つ第1容器7の希釈用溶液収容部9に嵌合する嵌合部11と、この嵌合部11に設けられ且つ定量用溶液収容部10と第1容器7の希釈用溶液収容部9との間を相互に連通接続する連通部12と、この連通部12内に設けられて血漿と細胞画分とを分離する分離体13と、前記定量用溶液収容部10の連通部12以外の一部に設けられる大気開放口14とを少なくとも備えていればよい。
そして、この定量用溶液調製器具を使用するには、第2容器8に嵌合する前の第1容器7の希釈用溶液収容部9に所定量の希釈用溶液2を収容した後に、第1容器7及び第2容器8を嵌合させ、第1容器7の希釈用溶液2を分離体13を介して第2容器8の定量用溶液収容部10側に向かって移動させ、希釈用溶液2と採取された血液1若しくは分離体13に付着した細胞画分とに基づいて希釈血漿溶液5若しくは希釈細胞画分溶液6からなる定量用溶液を調製するようにすればよい。
このような技術的手段において、希釈用溶液2(第1希釈用溶液2a又は第2希釈用溶液2b)が収容される側を第1容器7とし、分離調製された定量用溶液(希釈血漿溶液5又は希釈細胞画分溶液6)が収容される側を第2容器8とした。
そして、両容器7,8の関係については嵌合可能であればよい。ここでいう嵌合は、ネジ部による係合に限られず、凹凸による係合をも含む。
第1容器7は少なくとも希釈用溶液収容部(希釈用溶液収容室を区画する部分に相当)9を備えていればよい。
一方、第2容器8は定量用溶液収容部(定量用溶液収容室を区画する部分に相当)10を備えている。
ここで、定量用溶液は、希釈用溶液+血漿(又は細胞画分)からなるものであるが、分離体13に一部保持されることもあり得るため、定量用溶液収容部10は希釈用溶液2よりも容積が大きいことを必ずしも必要としない。
また、第2容器8は、定量用溶液収容部10に加えてこれに隣接した部位に、第1容器7の希釈用溶液収容部9に嵌合する嵌合部11を備えていることが必要である。
更に、第2容器8としては、連通部12、分離体13及び大気開放口14が必要である。ここでいう連通部(相互に連なって通じ合う部分)12が溶液の通路であり、分離体13が血漿と細胞画分とを分離するものであればよいが、代表的には、希釈血液溶液3が通過する条件下で少なくとも細胞画分が捕獲可能なフィルタ(微細繊維集合体、多孔質ポリマー、微粒子集合体等)であるものが挙げられる。
更に、大気開放口14は、第1容器7、第2容器8を嵌合させ、希釈用溶液2を移動させる上で必要である。
そして、「第1容器7の希釈用溶液2を分離体13を介して第2容器8の定量用溶液収容部10側に向かって移動させ」とは、通常は定量用溶液を定量用溶液収容部10に収容させることを意味するが、分離体13が多孔質ポリマーのように高吸水性のものであれば、分離体13の内部に血漿が保持され、定量用溶液収容部10に定量用溶液が収容されないこともあり得ることを考慮したものである。
このような定量用溶液調製器具としては、自動分析装置への設置性を良好に保つという観点からすれば、第2容器8は、自動分析装置への設置個所に支持可能な支持片を備えていることが好ましい。
ここでいう支持片には、フランジ、リムなど第2容器8を支持する態様を広く含む。
また、希釈用溶液2を全て分離体13側に効果的に導くには、第2容器8の嵌合部11は、第1容器7の希釈用溶液収容部9との間が液密に保たれるシール部材を備えていることが好ましい。
更に、定量用溶液調製器具の運搬時の安全性(定量用溶液のこぼれ防止)を確保するには、第2容器8の大気開放口14が開放可能に閉鎖せしめられる閉鎖手段15を備えていることが好ましい。
この閉鎖手段15の代表的態様としては、第2容器8から取り外し自在に取り付けられているものが好ましい。この態様によれば、閉鎖手段を取り外すことにより定量用溶液収容部10の定量用溶液を直接サンプリングすることが可能になる。
また、閉鎖手段15の代表的な態様の他の例としては、第2容器8の大気開放口14に面して設けられ、常時は大気開放口14を連通状態に保ち、定量用溶液に接した条件下で膨張して大気開放口14を閉鎖する吸水性膨張材(高吸水性ポリマーなど)にて構成されるものが挙げられる
次に、本発明の定量用溶液調製器具の使用方法について説明する。
先ず、定量用溶液調製器具の使用方法のうち、希釈血漿溶液からなる定量用溶液を調製する代表的態様としては、第2容器8側に採取した血液1を保持する態様が挙げられる。
これは、上述した定量用溶液調製器具を使用するに際し、第1容器7の希釈用溶液収容部9に所定量の既知濃度の指示物質を含有する第1希釈用溶液2aを収容すると共に、第1容器7と第2容器8とが嵌合される前において、第2容器8の連通部12のうち分離体13の入口部に採取された血液1を保持させ、しかる後、第1容器7と第2容器8とを嵌合させ、第2容器8の定量用溶液収容部10に希釈血漿溶液5からなる定量用溶液を調製するものである。
ここで、指示物質としては、外因性指示物質(例えば酸化カップリング発色型色原体)であってもよいし、内因性指示物質(例えばコリン、グリセロール−3−リン酸、キサンチン、D−アミノ酸、N−アセチルグルコサミン及び1,5−アンヒドログルシトールからなる群より選ばれる内因性指示物質)であっても差し支えない。以下の定量用溶液調製器具の使用方法においても同様である。
また、定量用溶液調製器具の使用方法のうち、希釈血漿溶液5からなる定量用溶液を調製する他の代表的態様としては、第1容器7側に採取した血液1を保持する態様が挙げられる。
これは、定量用溶液調製器具を使用するに際し、第1容器7の希釈用溶液収容部9に所定量の既知濃度の指示物質を含有する第1希釈用溶液2aを収容すると共に、前記第1希釈用溶液2aに採取された血液1を添加し、しかる後、第1容器7と第2容器8とを嵌合させ、第2容器8の定量用溶液収容部10に希釈血漿溶液5からなる定量用溶液を調製するものである。
更に、定量用溶液調製器具の使用方法のうち、希釈血漿溶液5からなる定量用溶液を調製する別の態様としては、分離体13内部に定量用溶液を保持する態様が挙げられる。
これは、定量用溶液調製器具を使用するに際し、第1容器7の希釈用溶液収容部9に所定量の既知濃度の指示物質を含有する第1希釈用溶液2aを収容すると共に、第1容器7と第2容器8とが嵌合される前において、第2容器8の連通部12のうち分離体13の入口部に採取された血液1を保持させ又は第1希釈用溶液2aに採取された血液を添加し、しかる後、第1容器7と第2容器8とを嵌合させ、第2容器8の分離体13内部に希釈血漿溶液5からなる定量用溶液を調製するものである。
このとき、分離体13としては、多孔質ポリマーなどのフィルタを使用し、内部に保持した希釈血漿溶液5からなる定量用溶液を後工程でサンプルノズル等で取り出すようにすればよい。
また、定量用溶液調製器具の使用方法のうち、希釈血漿溶液5及び希釈細胞画分溶液6からなる両方の定量用溶液を調製する代表的態様としては、以下のものが挙げられる。
これは、定量用溶液調製器具の使用方法において、第1容器7の希釈用溶液収容部9に所定量の既知濃度の指示物質を含有する第1希釈用溶液2aを収容すると共に、第1容器7と第2容器8とが嵌合される前において、第2容器8の連通部12のうち分離体13の入口部に採取された血液1を保持させ又は第1希釈用溶液2aに採取された血液1を添加し、しかる後、第1容器7と第2容器8とを嵌合させ、第2容器8の定量用溶液収容部10に希釈血漿溶液5からなる定量用溶液を調製し、次いで、第1容器7及び第2容器8の嵌合状態を解除した後に、前記第2容器8の定量用溶液収容部10から前記希釈血漿溶液5からなる定量用溶液を取り除き、一方、第1容器7の希釈用溶液収容部9に所定量の第2希釈用溶液2bを収容し、しかる後、第1容器7と第2容器8とを嵌合させ、第2容器8の定量用溶液収容部10に希釈細胞画分溶液6からなる定量用溶液を調製するものである。
本使用方法においては、希釈細胞画分溶液6を調製する段階において、第2容器8の定量用溶液収容部10については、希釈血漿溶液5の影響が及ばないように、洗浄した後に使用することが好ましく、また、第1容器7としては、別パーツのものを使用してもよい。
また、定量用溶液調製器具の使用方法のうち、希釈細胞画分溶液6からなる定量用溶液を調製する代表的態様としては、以下のものが挙げられる。
これは、定量用溶液調製器具の使用方法において、第2容器8の分離体13に採取された血液1のうち細胞画分を分離保持させ、第1容器7と第2容器8とが嵌合する前に、第1容器7の希釈用溶液収容部9に所定量の第2希釈用溶液2bを収容し、しかる後、第1容器7と第2容器8とを嵌合させ、第2容器8の定量用溶液収容部10に希釈細胞画分溶液6からなる定量用溶液を調製するものである。
本態様では、分離体13による細胞画分の分離保持手法としては、例えば希釈血液溶液3(図1(a)参照)が通過する条件下で少なくとも細胞画分が捕獲可能なフィルタを用いるようにすればよい。
そして、本態様においては、希釈血漿溶液5からなる定量用溶液を調製することは要件にならない。
また、本発明の定量用溶液調製器具を用いて調製された定量用溶液を用いた定量方法としては、以下のものが挙げられる。
すなわち、本発明に係る定量方法は、血液を用いて血漿中の被測定成分を定量する方法であって、(1)上述した定量用溶液調製器具を使用する方法にて希釈血漿溶液5からなる定量用溶液を調製する工程と、(2)該定量用溶液5中の指示物質の濃度と、第1希釈用溶液2a中の指示物質の濃度とから、該定量用溶液5中の血漿の希釈倍率を算出する工程と、(3)該定量用溶液5中の被測定物質の濃度を測定する工程と、(4)(2)で算出した希釈倍率と、(3)で測定した定量用溶液5中の被測定物質の濃度とから、該血漿中の被測定物質の濃度を定量する工程と、を含むものである。
ここで、指示物質としては、外因性指示物質(例えば酸化カップリング発色型色原体)であってもよいし、内因性指示物質(例えばコリン、グリセロール−3−リン酸、キサンチン、D−アミノ酸、N−アセチルグルコサミン及び1,5−アンヒドログルシトールからなる群より選ばれる内因性指示物質)であっても差し支えない。
更に、本発明に係る定量方法の別の態様は、細胞画分中のヘモグロビンA1Cのヘモグロビンに対する割合を定量する方法であって、(1)上述した定量用溶液調製器具を使用する方法にて希釈細胞画分溶液6からなる定量用溶液を調製する工程と、(2)(1)で調製された定量用溶液6におけるヘモグロビンA1Cのヘモグロビンに対する割合を定量する工程と、を含むものである。
図1(a)は本発明及び本発明に関連する参考発明に係る定量用溶液調製方法の概要を示す説明図、(b)は本発明に係る定量用溶液調製器具の使用方法の概要を示す説明図である。 図2(a)(b)は実施の形態1,2に係る希釈血漿溶液からなる定量用溶液の調製方法を示す説明図である。 図3(a)(b)は実施の形態3,4に係る希釈細胞画分溶液からなる定量用溶液の調製方法を示す説明図である。 図4 実施の形態5に係る希釈細胞画分溶液からなる定量用溶液の調製方法を示す説明図である。 図5(a)は実施の形態6に係る希釈血漿溶液からなる定量用溶液を用いた定量方法を示す説明図、(b)は実施の形態7に係る希釈細胞画分溶液からなる定量用溶液を用いた定量方法を示す説明図である。 図6(a)は実施の形態8で用いられる定量用溶液調製器具の第1容器の正面図及び平面図、(b)は同定量用溶液調製器具の第2容器の正面図及び平面図である。 図7実施の形態8で用いられる定量用溶液調製器具の両容器の嵌合状態を示す説明図である。 図8実施の形態8で用いられる定量用溶液調製器具の斜視説明図である。 図9(a)〜(d)は実施の形態8で用いられる定量用溶液調製器具の使用方法(1)を示す説明図である。 図10(a)〜(d)は実施の形態8で用いられる定量用溶液調製器具の使用方法(2)を示す説明図である。 図11(a)(b)は実施の形態8で用いられる定量用溶液調製器具の変形形態の使用方法を示す説明図である。
実施の形態1
図2(a)は、本発明が適用された定量用溶液調製方法の実施の形態1を示す。
これは、図2(a)に示すように、採取された血液21を用いて、血漿中の被測定物質を定量するための希釈血漿溶液25からなる定量用溶液を調製する方法であって、採取された血液21を、既知濃度の指示物質を含有する第1希釈用溶液22で希釈する工程と、該希釈血液溶液23を、分離手段としてのフィルタ24により血漿と細胞画分とに分離し、希釈血漿溶液25からなる定量用溶液を調製する工程と、を含むものである。
このような定量用溶液調製方法においては、各要件は以下のようになっている。
(第1希釈用溶液)
第1希釈用溶液は、血漿中の被測定物質を測定する場合に使用する、血液を希釈・溶解するための水性溶液であり、希釈倍率算出のための指示物質が一定濃度で含有される水性溶液である。
(第1希釈用溶液調製用水性媒体)
第1希釈用溶液を調製するために使用する水性媒体としては、溶血させずに血液を安定に保存するものであれば特に制限はないが、例えば、等張液、生理食塩水、緩衝液等が挙げられる。等張液としては、例えば、ロック液、リンガー液、タイロード液、アール液、クレブス液、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)等が挙げられる。生理食塩水中の塩化ナトリウムの濃度は、0.1〜0.2mol/Lである。緩衝液に用いる緩衝剤としては、緩衝能を有するものならば特に制限されないが、pH2〜11の例えば、乳酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、酢酸緩衝剤、コハク酸緩衝剤、フタル酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、トリエタノールアミン緩衝剤、ジエタノールアミン緩衝剤、リジン緩衝剤、バルビツール緩衝剤、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝剤、イミダゾール緩衝剤、リンゴ酸緩衝剤、シュウ酸緩衝剤、グリシン緩衝剤、ホウ酸緩衝剤、炭酸緩衝剤、グリシン緩衝剤、MES(2−モルホリノエタンスルホン酸)緩衝剤、ビス−トリス[ビス(2−ヒドロキシエチル)イミノトリス(ヒドロキシメチル)メタン]緩衝剤、ADA[N−(2−アセトアミド)イミノ二酢酸]緩衝剤、PIPES[ピペラジン−N,N’−ビス(2−エタンスルホン酸)]緩衝剤、ACES{2−[N−(2−アセトアミド)アミノ]エタンスルホン酸}緩衝剤、MOPSO(3−モルホリノ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸)緩衝剤、BES{2−[N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]エタンスルホン酸}緩衝剤、MOPS(3−モルホリノプロパンスルホン酸)緩衝剤、TES〈2−{N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]アミノ}エタンスルホン酸〉緩衝剤、HEPES[N−(2−ヒドロキシエチル)−N’−(2−スルホエチル)ピペラジン]緩衝剤、DIPSO{3−[N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸}緩衝剤、TAPSO〈2−ヒドロキシ−3−{[N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル]アミノ}プロパンスルホン酸〉緩衝剤、POPSO[ピペラジン−N,N’−ビス(2−ヒドロキシプロパン−3−スルホン酸)]緩衝剤、HEPPSO[N−(2−ヒドロキシエチル)−N’−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)ピペラジン]緩衝剤、EPPS[N−(2−ヒドロキシエチル)−N’−(3−スルホプロピル)ピペラジン]緩衝剤、トリシン[N−トリス(ヒドロキシメチル)メチルグリシン]緩衝剤、ビシン[N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン]緩衝剤、TAPS{3−[N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル]アミノプロパンスルホン酸}緩衝剤、CHES[2−(N−シクロヘキシルアミノ)エタンスルホン酸]緩衝剤、CAPSO[3−(N−シクロヘキシルアミノ)−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸]緩衝剤、CAPS[3−(N−シクロヘキシルアミノ)プロパンスルホン酸]緩衝剤等のグッド緩衝剤等が挙げられる。緩衝液の濃度は特に制限はされないが、0.1〜1000mmol/Lが好ましく1〜500mmol/Lがより好ましい。
(第1希釈用溶液中の添加物)
第1希釈用溶液には必要に応じて、キレート剤、酵素安定化剤、防腐剤、凝固促進剤等の添加物が含有されてもよい。キレート剤としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)等が挙げられ、酵素安定化剤としては、例えば、CPKの安定化剤としてのN−アセチルシステイン(NAC)、ALT、AST、CPKの安定化剤としてのα−ケトグルタル酸等が挙げられる。防腐剤としては、例えば、アジ化ナトリウム等が挙げられる。凝固促進剤としては、例えば、トロンビン、レクチン等が挙げられる。レクチンの由来としては、例えば、アブリン、トウアズキ、モクワンジュ、シベリア豆、海緑藻、タチナタ豆、大豆、スイートピー、レンズ豆、カブトガニ、トマト、オセージオレンジ、アボガド、ベニバナインゲンハナササゲ、赤インゲン豆、アメリカヤマゴボウ、エンドウ豆、ウィングビーン、ヒマ、ジャガイモ、コムギ麦芽、ソラ豆、ヨーロッパヤドリギ等が挙げられる。
外因性指示物質としては、例えば、色素、還元発色型色原体、酸化発色型色原体、蛍光物質、発光物質等が挙げられる。酸化発色型色原体としては、ロイコ型色原体、酸化カップリング発色型色原体が挙げられる。これらのうち、酸化カップリング発色型色原体が好ましい。
(色素)
色素としては、例えば、アシッドイエロー3、アシッドイエロー23、アシッドイエロー25、アシッドイエロー36、アシッドオレンジ5、アシッドオレンジ6、アシッドオレンジ7、アシッドオレンジ10、アシッドオレンジ19、アシッドオレンジ52、アシッドグリーン16、アシッドグリーン25、アシッドバイオレット43、アシッドブルー3、アシッドブルー9(ブリリアントブルーFCF)、アシッドブルー40、アシッドブルー45、アシッドブルー47、アシッドブルー59、アシッドブルー74、アシッドブルー113、アシッドブルー158、アシッドレッド1、アシッドレッド2、アシッドレッド14、アシッドレッド18、アシッドレッド27、アシッドレッド37、アシッドレッド51、アシッドレッド52、アシッドレッド87、アシッドレッド88、アシッドレッド92、アシッドレッド94、アシッドレッド95、アシッドレッド111、フードレッド17、フードイエロー3、ベーシックイエロー1、ベーシックイエロー2、ベーシックイエロー11、ベーシックオレンジ1、ベーシックオレンジ22、ベーシックグリーン4(マラカイトグリーン)、ベーシックバイオレット3、ベーシックバイオレット4、ベーシックバイオレット10、ベーシックブルー1、ベーシックブルー3、ベーシックブルー9、ベーシックブルー24、ベーシックレッド1、ベーシックレッド2、ベーシックレッド5、ベーシックレッド9、ベーシックレッド18等が挙げられる。
(還元発色型色原体)
還元発色型色原体としては、例えば、3−(4,5−ジメチル−2−チアゾリル)−2,5−ジフェニル−2H−テトラゾリウム ブロミド(MTT)、2−(4−ヨードフェニル)−3−(4−ニトロフェニル)−5−(2,4−ジスルホフェニル)−2H−テトラゾリウム モノナトリウム塩(WST−1)、2−(4−ヨードフェニル)−3−(2,4−ジニトロフェニル)−5−(2,4−ジスルホフェニル)−2H−テトラゾリウム モノナトリウム塩(WST−3)等が挙げられる。
(酸化発色型色原体〜ロイコ型色原体)
ロイコ型色原体は、過酸化水素およびペルオキシダーゼ等の過酸化活性物質の共存下、単独で色素へ変換される色原体であり、例えば、10−N−カルボキシメチルカルバモイル−3,7−ビス(ジメチルアミノ)−10H−フェノチアジン(CCAP)、10−N−メチルカルバモイル−3,7−ビス(ジメチルアミノ)−10H−フェノチアジン(MCDP)、N−(カルボキシメチルアミノカルボニル)−4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ジフェニルアミン ナトリウム塩(DA−64)、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ジフェニルアミン、ビス[3−ビス(4−クロロフェニル)メチル−4−ジメチルアミノフェニル]アミン(BCMA)等が挙げられる。
(酸化発色型色原体〜酸化カップリング発色型色原体)
酸化カップリング発色型色原体は、過酸化水素およびペルオキシダーゼ等の過酸化活性物質の共存下、2つの化合物が酸化的カップリングして色素を生成する色原体である。2つの化合物の組み合わせとしては、カプラーとアニリン類との組み合わせ、カプラーとフェノール類との組み合わせが挙げられる。カプラーとしては、例えば、4−アミノアンチピリン(4−AA)、3−メチル−2−ベンゾチアゾリノンヒドラジン等が挙げられる。アニリン類としては、N−エチル−N−(3−メチルフェニル)−N’サクシニルエチレンジアミン(EMSE)、N−(3,5−ジメトキシフェニル)−N’サクシニルエチレンジアミン・ナトリウム塩(DOSE)、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−m−トルイジン、N−エチル−N−スルホプロピルアニリン、N−エチル−N−スルホプロピル−3,5−ジメトキシアニリン、N−スルホプロピル−3,5−ジメトキシアニリン、N−エチル−N−スルホプロピル−3,5−ジメチルアニリン、N−エチル−N−スルホプロピル−m−トルイジン、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−m−アニシジン、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)アニリン、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3−メチルアニリン・ナトリウム塩2水和物(TOOS)、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメトキシアニリン、N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメトキシアニリン・ナトリウム塩(HSDA)、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメチルアニリン、N−スルホプロピルアニリン、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−4−フルオロ−3,5−ジメトキシアニリン・ナトリウム塩(F−DAOS)等が挙げられる。フェノール類としては、フェノール、3−ヒドロキシ−2,4,6−トリヨウド安息香酸等が挙げられる。
(蛍光物質及び発光物質)
蛍光物質としては、例えば、4−ヒドロキシフェニル酢酸、3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸、クマリン等が挙げられる。発光物質としては、例えば、ルミノール、イソルミノール、ルシゲニン、アクリジニウムエステル等が挙げられる。
(フィルタ)
本実施の形態では、分離手段としてフィルタ24が用いられている。このフィルタ24としては、微細繊維集合体、多孔質ポリマー又は微粒子集合体が挙げられる。
(微細繊維集合体)
微細繊維集合体としては、例えば、ガラス繊維集合体、セルロース繊維集合体、合成繊維集合体等が挙げられる。合成繊維集合体の材質としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリスルホン、ポリウレタン、ポリビニルホルマール、ポリ塩化ビニル、ポリエステル類等が挙げられる。必要に応じて、親水処理が施された微細繊維集合体も用いることができる。
(多孔質ポリマー及び微粒子集合体)
多孔質ポリマーとしては、例えば、熱硬化性ポリマー(フェノール系、尿素系、メラミン系、アルキド系、ポリエステルイソシアナート系)、熱可塑性ポリマー(ポリビニルホルマール、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエチレン)、セルロース誘導体(エステル体、エーテル体、ビスコース)等が挙げられる。微粒子集合体としては、例えば、シリカ微粒子集合体等が挙げられる。
ここで、フィルタ24として多孔質ポリマーを使用する場合には、フィルタ24内に希釈血漿溶液25が保持されるため、図2(a)に仮想線で示すように、例えばサンプルノズルなどを用いてフィルタ24内から希釈血漿溶液25からなる定量用溶液を取り出すことが必要である。
実施の形態2
図2(b)は、本発明が適用された定量用溶液調製方法の実施の形態2を示す。
これは、図2(b)に示すように、採取された血液21を用いて、血漿中の被測定物質を定量するための希釈血漿溶液25からなる定量用溶液を調製する方法であって、採取された血液21を、既知濃度の指示物質を含有する第1希釈用溶液22で希釈する工程と、該希釈血液溶液23を、分離手段としての物理的ストレス26により血漿と細胞画分とに分離し、希釈血漿溶液25からなる定量用溶液を調製する工程と、を含むものである。
このような定量用溶液調製方法においては、各要件は基本的に実施の形態1と同様であるが、一部異なっている。
(物理的ストレス)
物理的ストレス26としては、例えば、攪拌や振動等が挙げられる。
採取された血液を第1希釈用溶液22で希釈して調製された希釈血液溶液23を例えば攪拌すると、血液凝固が促進される。この際、血液凝固をより促進させるため、「凝固促進剤」(例えばトロンビンやレクチン等)を第1希釈用溶液22に含有させることが好ましい。
そして、攪拌や振動等の物理的ストレス26により生成した、血漿と細胞画分とを含有する混合物から、希釈血漿溶液25を取得する方法としては、例えばサンプルノズルで吸引する方法や、フィルタを用いて分離・取得する方法等が挙げられる。ここで、後者のフィルタを用いて分離・取得する方法は、物理的ストレス26とフィルタ24(図2(a)参照)との組合せに相当する。
実施の形態3
図3(a)は、本発明が適用された定量用溶液調製方法の実施の形態3を示す。
これは、図3(a)に示すように、採取された血液21を用いて、血漿中の被測定物質を定量するための希釈血漿溶液25からなる定量用溶液、及び、細胞画分中のヘモグロビンA1Cのヘモグロビンに対する割合を定量するための希釈細胞画分溶液27からなる定量用溶液を調製する方法であって、採取された血液21を、既知濃度の指示物質を含有する第1希釈用溶液22で希釈する工程と、該希釈血液溶液23を、分離手段としてのフィルタ24により血漿と細胞画分とに分離し、希釈血漿溶液25からなる定量用溶液を調製する工程と、希釈血漿溶液25の調製後に残った細胞画分を第2希釈用溶液28で希釈し、希釈細胞画分溶液27を調製する工程と、を含むものである。
このような定量用溶液調製方法においては、各要件は実施の形態1と略同様であるが、それ以外は以下のようになっている。
第2希釈用溶液28としては、例えば、蒸留水や塩濃度の低い水溶液等の低張液が挙げられる。第2希釈用溶液28には、必要に応じて、ヘモグロビン安定化剤、界面活性剤、脂質加水分解酵素等が含有され、特に、ヘモグロビン安定化剤が含有されることが好ましい。
(ヘモグロビン安定化剤)
ヘモグロビン安定化剤としては、例えば、糖類、アミノ酸類、プロテアーゼ阻害剤、キレート剤、鉄プロトポルフィリン、フッ化ナトリウム、アルブミン類、ハプトグロブリン等が挙げられる。界面活性剤としては、例えば、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。脂質加水分解酵素としては、例えば、ホスホリパーゼ類やリポプロテインリパーゼ等が挙げられる。
実施の形態4
図3(b)は、本発明が適用された定量用溶液調製方法の実施の形態4を示す。
これは、図3(b)に示すように、採取された血液21を用いて、血漿中の被測定物質を定量するための希釈血漿溶液25からなる定量用溶液、及び、細胞画分中のヘモグロビンA1Cのヘモグロビンの割合を定量するための希釈細胞画分溶液27からなる定量用溶液を調製する方法であって、採取された血液21を、既知濃度の指示物質を含有する第1希釈用溶液22で希釈する工程と、該希釈血液溶液23を、分離手段としての物理的ストレス26により血漿と細胞画分とに分離し、希釈血漿溶液25からなる定量用溶液を調製する工程と、希釈血漿溶液25の調製後に残った細胞画分を第2希釈用溶液28で希釈し、希釈細胞画分溶液27を調製する工程と、を含むものである。
このような定量用溶液調製方法においては、各要件は実施の形態2及び実施の形態3と略同様である。
実施の形態5
図4は、本発明が適用された定量用溶液調製方法の実施の形態5を示す。
これは、図4に示すように、採取された血液21を用いて、細胞画分中のヘモグロビンA1Cのヘモグロビンに対する割合を定量するための希釈細胞画分溶液27からなる定量用溶液を調製する方法であって、採取された血液21を、第1希釈用溶液22で希釈する工程と、該希釈血液溶液23を、分離手段としてのフィルタ24により血漿と細胞画分とに分離する工程と、分離された細胞画分を第2希釈用溶液28で希釈し、希釈細胞画分溶液27を調製する工程と、を含むものである。
このような定量用溶液調製方法においては、希釈血漿溶液を調製する必要がないため、第1希釈用溶液22としては既知濃度の指示物質を含有することは必ずしも必要ではない。
また、フィルタ24としては、希釈血液溶液23から血漿と細胞画分とを分離し、細胞画分を保持すると共に、この保持された細胞画分を第2希釈用溶液28で希釈可能なものであれば、微細繊維集合体、多孔質ポリマー又は微粒子集合体など適宜選定して差し支えない。
実施の形態6
図5(a)は本発明が適用された定量用溶液を用いた定量方法の実施の形態6を示す。
これは、図5(a)に示すように、血液を用いて血漿中の被測定成分を定量する方法であって、
(1)上述した定量用溶液調製方法にて希釈血漿溶液からなる定量用溶液を調製する工程と、
(2)該定量用溶液中の指示物質の濃度と、第1希釈用溶液中の指示物質の濃度とから、該定量用溶液中の血漿の希釈倍率を算出する工程と、
(3)該定量用溶液中の被測定物質の濃度を測定する工程と、
(4)(2)で算出した希釈倍率と、(3)で測定した定量用溶液中の被測定物質の濃度とから、該血漿中の被測定物質の濃度を定量する工程と、
を含むものである。
以下、本実施の形態における定量方法について詳述する。
血漿中の被測定物質の濃度(X)は、上述の2つの方法により調製された定量用溶液中の被測定物質の濃度(Y)と、該定量用溶液中の血漿の希釈倍率(a)とから式1により求めることができる。
X=a×Y …(式1)
(定量用溶液中の血漿の希釈倍率を算出する方法)
第1希釈用溶液中の指示物質の量をM1、該第1希釈用溶液の容量をV1とすると、該第1希釈用溶液中の指示物質の濃度C1は、
C1=M1/V1 …(式2)
で表される。
一方、血漿を含有する定量用溶液中の指示物質の濃度C2は、該血漿の容量をV2(但し、V2は測定されない)とすると、
C2=M1/(V1+V2) …(式3)
で表される。
定量用溶液中の血漿の希釈倍率(a)は、
希釈倍率(a)=(V1+V2)/V2 …(式4)
であることから、従って、希釈倍率(a)は、C1及びC2の値から式5により求めることができる。
希釈倍率(a)=C1/(C1−C2) …(式5)
ここで、指示物質の濃度C1とC2は、指示物質が色素、色原体である場合には吸光度で、指示物質が発光物質である場合には発光強度で、指示物質が蛍光物質の場合には蛍光強度を計測することにより求められる。
指示物質を吸光度により定量する場合には濃度と吸光度は比例するので、血液希釈用溶液及び定量用溶液における指示物質の濃度と吸光度をそれぞれC1とE1、及びC2とE2とすると、
C2/C1=E2/E1 …(式6)
が成り立つ。
よって、希釈倍率(a)は、
希釈倍率(a)=C1/(C1−C2)=E1/(E1−E2)
…(式7)
として求めることもできる。
以上のように希釈倍率は、C1及びC2値またはE1及びE2値により計算されうる。
尚、C1またはE1はあらかじめ既知の値に設定されていてもよいが、新たに調製した第1希釈用溶液を用いて定量することもできる。
この場合、指示物質と該指示物質由来の情報との関係を表した検量線を作成すれば、既知になることによる。
(指示物質の定量方法)
指示物質の定量方法としては、指示物質の濃度が定量できる方法であれば特に限定はない。指示物質が色素の場合は、定量用溶液そのものの吸光度を定量することができる。また、その他の場合には、定量用溶液から一定量の試料を取り出し、該試料中の指示物質の濃度を、指示物質の然るべき定量方法で定量する。定量に際し、吸光度を用いる場合には、指示物質の濃度に換算することなく直接、吸光度の値を用いることが出来る。
本例において指示物質の濃度を測定する方法としては、比色法、発光法、蛍光法などが挙げられるが、比色法が特に好ましい。
比色法に用いる指示物質としては、例えば、前述の色素、還元発色型色原体及び酸化発色型色原体が挙げられる。酸化発色型色原体としては、ロイコ型色原体、酸化カップリング発色型色原体が挙げられる。還元発色型色原体を用いた場合の比色法としては、還元発色型色原体を、NAD(P)H等の還元型補酵素、ジアホラーゼ及び1−メトキシー5−メチルフェナジウムメチルサルフェート等の電子キャリアーの作用により色素に変換し、生成色素の吸光度を分光光度計で測定する方法が挙げられる。酸化発色型色原体を用いた場合の比色法としては、酸化発色型色原体を過酸化水素及びペルオキシダーゼ等の過酸化活性物質の作用により色素に変換し、生成色素の吸光度を分光光度計で測定する方法が挙げられる。
蛍光法としては、過酸化水素及びペルオキシダーゼ等の過酸化活性物質により前述の蛍光物質から生じた蛍光を蛍光光度計で測定する方法が挙げられる。
発光法としては、過酸化水素及びペルオキシダーゼ等の過酸化活性物質により前述の発光物質から生じた光(フォトン)をルミノメータで測定する方法が挙げられる。
尚、酸化発色型色原体として酸化カップリング発色型色原体を用いる場合には、定量用溶液中の指示物質として発色に与る2つの化合物のうちの一方の化合物が含有され、もう一方の化合物は別に保存される。
酸化発色型色原体を指示物質として用いる場合には、該酸化発色型色原体のモル数は過酸化水素のモル数よりも小さくすることが必要である。また、酸化カップリング発色型色原体を指示物質として用いる場合には、該色原体のモル数は過酸化水素ともう一方の化合物のそれぞれのモル数よりも小さくすることが必要である。
酸化発色型色原体の色素への変換に使用する過酸化水素は、過酸化水素そのものであっても、物質から酵素により直接または間接的に生成するものであってもよい。過酸化水素を直接または間接的に生成するような物質と酵素の組み合わせとしては、例えば、以下の組み合わせが挙げられる。
・コリン−コリンオキシダーゼ
・コレステロール−コレステロールオキシダーゼ、
・尿酸−ウリカーゼ、
・トリグリセライド−リポプロテインリパーゼおよびグリセロールオキシダーゼ、
・遊離脂肪酸−アシル−CoAシンセターゼおよびアシル−CoAオキシダーゼ、
・グルコース−ピラノースオキシダーゼ、
・リン脂質−ホスホリパーゼDおよびコリンオキシダーゼ、
・クレアチン−クレアチナーゼおよびザルコシンオキシダーゼ、
・クレアチニン−クレアチニナーゼ、クレアチナーゼおよびザルコシンオキシダーゼ、
・乳酸−ラクトースオキシダーゼ、
・無機リン−プリンヌクレオシドホスホリラーゼおよびキサンチンオキシダーゼ、
・オルトトルオイルコリン−コリンエステラーゼおよびコリンオキシダーゼ、
・モノアミン類(アリルアミン等)−モノアミンオキシダーゼ。
(希釈倍率算出用試薬)
酸化発色型色原体を指示物質として用いた場合、該色原体を定量するための試薬は、該色原体を色素に変換する試薬を表す。この酸化発色型色原体を定量するための試薬は、1試薬系または複数の試薬系での保存が可能である。複数の試薬系での保存が好ましく、2試薬系での保存がより好ましい。過酸化水素そのものを用いる場合は、過酸化水素とペルオキシダーゼ等の過酸化活性物質との共存を避けるような2試薬系が好ましい。また、過酸化水素が物質から酵素により直接または間接的に生成する場合には、該物質と該物質と直接反応する酵素との共存を避けるような2試薬系が好ましい。
(希釈倍率算出用試薬の具体的保存形態)
酸化発色型色原体を定量するための試薬の具体的保存形態を以下に記す。しかし、保存形態はこれらの具体例に限定されるものではない。
定量用溶液中の指示物質:EMSE
第1試薬
MOPS緩衝液(pH7.1) 20mmol/L
ペルオキシダーゼ 10U/mL
塩化コリン 0.05mg/mL
アスコルビン酸オキシダーゼ 3U/mL
ノニオンHS−210 0.1%
第2試薬
MOPS緩衝液(pH7.0) 20mmol/L
4−アミノアンチピリン 0.5g/L
コリンオキシダーゼ 10U/mL
(希釈血漿溶液からなる定量用溶液中の被測定物質の定量)
該被測定物質としては、血漿中の成分であれば特に限定はないが、例えば、前述の生化学項目や免疫項目が挙げられる。該被測定物質の定量は、該被測定物質の定量法として確立されている一般的な方法により実施可能であり特に制限はないが、指示物質により実質的に影響されない定量方法が好ましい。また、希釈血漿溶液からなる定量用溶液中の被測定物質の定量に際しては、該定量用溶液を希釈して用いてもよい。
実施の形態7
図5(b)は本発明が適用された定量用溶液を用いた定量方法の実施の形態7を示す。
これは、血液を用いて、細胞画分中のヘモグロビンA1Cのヘモグロビンに対する割合を定量する方法であって、
(1)上述した定量用溶液調製方法にて希釈細胞画分溶液からなる定量用溶液を調製する工程と、
(2)(1)で調製された定量用溶液におけるヘモグロビンA1Cのヘモグロビンに対する割合(比率)を測定する工程と、を含むものである。
(希釈細胞画分溶液からなる定量用溶液中の被測定物質の定量)
該被測定物質としては、細胞画分中の成分であれば特に限定はないが、特に、ヘモグロビンA1Cが好ましく挙げられる。該被測定物質の定量は、該被測定物質の定量法として確立されている一般的な方法により実施可能である。
実施の形態8
図6〜図8は本発明が適用された定量用溶液調製方法を具現化した定量用溶液調製器具の実施の形態8を示す。
尚、図6(a)は第1容器30の正面図及び平面図、図6(b)は第2容器40の正面図及び平面図、図7は両容器の嵌合状態を示す説明図、図8は第1容器30及び第2容器40の斜視説明図である。
本実施の形態において、定量用溶液調製器具は、血漿中の被測定物質または細胞画分中の被測定物質を定量するための定量用溶液を調製するための器具であり、図6〜図8に示すように、相互に嵌合可能な第1容器30及び第2容器40からなる。
ここで、第1容器30及び第2容器40は、プラスチック製が望ましく、材質としては、ポリエチレンやポリプロピレン、ポリカーボネイト、塩化ビニル、ポリエステル、ナイロン、ポリブデン、ポリブタジエン、あるいは、これらの共重合体などが挙げられる。
先ず、第1容器30について説明すると、第1容器30は、例えば円柱状の容器本体31を有し、この容器本体31には希釈用溶液(第1希釈用溶液22又は第2希釈用溶液28)が収容せしめられる希釈用溶液収容部32(希釈用溶液収容室33を区画する部分に相当)を設け、希釈用溶液収容部32の内壁、言い換えれば、希釈用溶液収容室33壁面入口側には雌ねじ部34を形成する一方、前記容器本体31の底部には下方へ突出する固定スタッド35を形成し、この固定スタッド35を図示外の固定ホルダのねじ孔部に係合固定することにより、固定ホルダに固定設置されるようになっている。
尚、容器本体31の入口部には後述する第2容器40の定量用溶液収容部42と嵌合部44との段差部が当接するフランジ部36が設けられている。
一方、第2容器40は、例えば円柱状の容器本体41を有し、この容器本体41には定量用溶液(希釈血漿溶液又は希釈細胞画分溶液)が収容せしめられる定量用溶液収容部42(定量用溶液収容室43を区画する部分に相当)を設け、更に、この定量用溶液収容部42に隣接した箇所には第1容器30側に向かって突出し且つ前記第1容器30の希釈用溶液収容部32に嵌合する嵌合部44を設け、この嵌合部44には先端から定量用溶液収容部42に向かって連通する連通部45を形成したものである。
本実施の形態において、定量用溶液収容部42は、円柱状形状にくりぬかれた収容室部分と、この下方に隣接して下方に向かって窄まるように円錐状形状にくりぬかれた収容室部分とからなる定量用溶液収容室43を備えている。
また、前記嵌合部44は定量用溶液収容部42よりも小さな外径を有し、その周壁には第1容器30の希釈用溶液収容部32の雌ねじ部34に螺合する雄ねじ部46を形成したものである。
更に、連通部45は、嵌合部44の先端側から所定の内径に形成されるフィルタ保持孔47と、このフィルタ保持孔47よりも小径で前記定量用溶液収容室43の下端部に連通接続される小径接続孔48とを備えたものである。
また、本実施の形態において、第2容器40のフィルタ保持孔47にはフィルタ60が挿入保持されており、このフィルタ60はフィルタ保持孔47より所定量m突出して配設されている。
本実施の形態において、フィルタ60は例えば前述したような微細繊維集合体、多孔質ポリマー又は微粒子集合体にて構成されており、例えば微細繊維集合体又は微粒子集合体を使用する態様にあっては、血漿以外の細胞画分が捕獲され、多孔質ポリマー、多孔質ポリマーが混在する微細繊維集合体又は多孔質ポリマーが混在する微粒子集合体を使用する態様にあっては、表面に細胞画分を保持し、内部に希釈血漿溶液を保持するようになっている。
尚、多孔質ポリマーのうち、特に、高吸水性に優れたものとしては、例えばポリアクリル酸樹脂、ポリエチレンオキシド樹脂、酢酸ビニル共重合体系樹脂、アクリル酸グラフト共重合体系樹脂などが挙げられる。
特に、本実施の形態では、嵌合部44の長さ寸法k及びフィルタ60の嵌合部44からの突出部寸法mの合計は、第1容器30の希釈用溶液収容部32の深さ寸法nに対応して設定されている。
更に、前記嵌合部44の先端側周囲には周辺シール部材としてのOリング(オーリング)49が設けられている。
更にまた、本実施の形態では、第2容器40の定量用溶液収容部42の上方側には当該定量用溶液収容部42の上方を開放可能に覆う蓋部材50が設けられている。
この蓋部材50は、定量用溶液収容部42の上方突出部42aに嵌合する凹部51を有し、この凹部51の内面には前記上方突出部42aに形成された雄ねじ部42bに螺合する雌ねじ部52を備えている。
そして、この蓋部材50は大気に連通する微小な大気開放口53を有しているが、この蓋部材50は例えば高吸水性ポリマーにて構成されており、例えば希釈血漿溶液などの定量用溶液が接触した時点で膨張し、前記大気開放口53を閉鎖する閉鎖系になっている。
尚、蓋部材50そのものを高吸水性ポリマーにて構成しなくても、例えば定量用溶液収容部42の頂部に大気開放口53を設けておき、この頂部の大気開放口53を取外し自在な蓋部材50で開閉自在に閉鎖するようにしてもよい。
更にまた、本実施の形態では、容器本体41の定量用溶液収容部42の外周にはフランジ状の支持片54が設けられている。
この支持片54は、例えば自動分析装置に本件の調製器具を設置する際にサンプルテーブルの設置個所に調製器具を支えるためのものである。
また、本実施の形態に係る定量用溶液調製器具には、血液を皮膚より出す場合に使用する針などを備えた器具を別個、添付または連結することも可能である。
このような状況下では、例えば針などを備えた器具を連結させる場合、危険性の無いように針部分が外部から触れない様、例えば第1容器30の下端に下を向いて取り付け、さらにキャップなどを被せるようにするか、キャップ部分に上を向いて装着し、第1容器30の下端にキャップするときに針が第1容器30の内部に隠れるようにすればよい。また、その他の部分に針を装着する方法も可能である。
次に、本実施の形態に係る定量用溶液調製器具の使用方法について説明する。
(希釈血漿溶液からなる定量用溶液の調製方法1)
今、第2容器40のフィルタ保持孔47にフィルタ60として微細繊維集合体を挿入保持させた実施の形態モデルを使用する場合を想定する。
この場合、図9(a)に示すように、第1容器30の希釈用溶液収容部32に所定量の既知濃度の指示物質を含有する第1希釈用溶液22(例えば実施の形態1参照)を収容すると共に、第1容器30と第2容器40とが嵌合される前において、第2容器40の連通部45のうちフィルタ60の先端部に採取された血液21を保持させ、しかる後、図9(b)(c)に示すように、第1容器30と第2容器40とを嵌合させ、第2容器40の定量用溶液収容部42に希釈血漿溶液25からなる定量用溶液を調製する。
本例の場合、第2容器40の嵌合部44が第1容器30の希釈用溶液収容部32に嵌合していき、前記フィルタ60の先端が第1希釈用溶液22に浸漬すると、フィルタ60の先端の血液21は第1希釈用溶液22に徐々に希釈される。
この状態において、更に、第1容器30に第2容器40を順次嵌合させていくと、第1容器30に第2容器40を押し込んでいる間、蓋部材50の大気開放口53が開放されているため、この大気開放口53から空気が逃げ、第1希釈用溶液22は血液21を希釈しつつ、フィルタ60を介して定量用溶液収容部42側へと移動する。
このとき、希釈血液溶液中の細胞画分Sはフィルタ60である微細繊維集合体の表面に保持されるため、希釈血液溶液のうち、血漿がフィルタ60を透過して定量用溶液収容部42に移動する。
このため、定量用溶液収容部42には希釈血漿溶液25からなる定量用溶液が調製される。
特に、本実施の形態では、第2容器40の定量用溶液収容部42を覆う蓋部材50は高吸水性ポリマーにて構成されているため、図9(c)に示すように、定量用溶液収容部42内に希釈血漿溶液25からなる定量用溶液が充満し、蓋部材50に接触すると、蓋部材50が膨張して前記大気開放口53を閉鎖してしまい(図中×印は、大気開放口53部分を閉鎖した状態を示す)、定量用溶液収容部42を密封する。
また、連通部45のうち、小径接続孔48はフィルタ保持孔47に保持されているフィルタ60と定量用溶液収容部42とを連通接続するが、その径が非常に細いため、定量用溶液収容部42内の定量用溶液とフィルタ60に残っている液とが混在することはない。
また、第2容器40の定量用溶液収容部42に希釈血漿溶液25からなる定量用溶液が充満収容されると、上述したように、蓋部材50が大気開放口53を閉鎖する。
それゆえ、第1容器30と第2容器40とを嵌合させたままの状態で、定量用溶液調製器具を搬送したとしても、蓋部材50が定量用溶液収容部42を閉鎖状態に保つため、定量用溶液収容部42内の定量用溶液が不必要にこぼれる虞れはない。
よって、例えば各個人が、本件の定量用溶液調製器具を用いて希釈血漿溶液25からなる定量用溶液を調製したとしても、これを検査センターなど、自動分析装置のある場所に搬送させることが可能である。
そして、本実施の形態では、図9(d)に示すように、定量用溶液調製器具は前記調製器具そのものを前記支持片54にて自動分析装置への設置個所に支持することができ、しかも、蓋部材50を取り外すことにより、定量用溶液収容部42内の希釈血漿溶液25からなる定量用溶液を直接サンプリングすることが可能である。
(希釈血漿溶液からなる定量用溶液の調製方法2)
希釈血漿溶液25からなる定量用溶液の調製方法1と同様な実施の形態モデルを想定し、図9(a)に仮想線で示すように、第1容器30の希釈用溶液収容部32に所定量の既知濃度の指示物質を含有する第1希釈用溶液22を収容すると共に、前記第1希釈用溶液22に採取された血液21を添加し、しかる後、図9(b)(c)に示すように、第1容器30と第2容器40とを嵌合させ、第2容器40の定量用溶液収容部42に希釈血漿溶液25からなる定量用溶液を調製する。
この調製方法では、第1容器30の希釈用溶液収容部32内で希釈血液溶液を予め調製している点が、前記調製方法1とは異なるが、それ以降の動作過程は略同様である。
(希釈血漿溶液からなる定量用溶液の調製方法3)
今、第2容器40のフィルタ保持孔47にフィルタ60として多孔質ポリマー(特に高吸収性ポリマー)を挿入保持させた実施の形態モデルを使用する場合を想定する。
この場合、図11(a)に示すように、第1容器30の希釈用溶液収容部32に所定量の既知濃度の指示物質を含有する第1希釈用溶液22を収容すると共に、第1容器30と第2容器40とが嵌合される前において、第2容器40の連通部45のうちフィルタ60の先端部に採取された血液21を保持させ又は第1希釈用溶液22に採取された血液21を添加し、しかる後、図11(b)に示すように、第1容器30と第2容器40とを嵌合させ、第2容器40のフィルタ60としての多孔質ポリマー内部に希釈血漿溶液25からなる定量用溶液を調製する。
この調製方法では、フィルタ60としての多孔質ポリマー内部に保持した希釈血漿溶液25からなる定量用溶液を後工程でサンプルノズル等で取り出すようにすればよい。
(希釈細胞画分溶液からなる定量用溶液の調製方法1)
今、第2容器40のフィルタ保持孔47にフィルタ60として微細繊維集合体を挿入保持させた実施の形態モデルを使用する場合を想定する。
この場合、図9(a)に示すように、第1容器30の希釈用溶液収容部32に所定量の既知濃度の指示物質を含有する第1希釈用溶液22を収容すると共に、第1容器30と第2容器40とが嵌合される前において、第2容器40の連通部45のうちフィルタ60の先端部に採取された血液21を保持させ又は第1希釈用溶液22に採取された血液21を添加し、しかる後、図9(b)(c)に示すように、第1容器30と第2容器40とを嵌合させ、第2容器40の定量用溶液収容部42に希釈血漿溶液25からなる定量用溶液を調製し、次いで、図10(a)に示すように、第1容器30及び第2容器40の嵌合状態を解除した後に、前記第2容器40の定量用溶液収容部42から前記希釈血漿溶液25からなる定量用溶液を取り除き、一方、第1容器30の希釈用溶液収容部32に所定量の第2希釈用溶液28を収容し、しかる後、図10(b)(c)に示すように、第1容器30と第2容器40とを嵌合させ、第2容器40の定量用溶液収容部42に希釈細胞画分溶液27からなる定量用溶液を調製する。
このような調製方法において、希釈細胞画分溶液27を調製する段階において、第2容器40の定量用溶液収容部42については、希釈血漿溶液25の影響が及ばないように、洗浄した後に使用することが好ましい。
また、第1容器30には第2希釈用溶液28を収容することになるが、第1希釈用溶液22の影響が及ばないようにするには第1容器30も洗浄後に第2希釈用溶液28を収容させるようにするか、あるいは、第1容器30として別パーツのものを使用することが好ましい。
この調製方法では、図10(b)(c)のように、第1容器30と第2容器40とを嵌合させると、第2希釈用溶液28がフィルタ60表面に保持された細胞画分Sを希釈し、定量用溶液収容部42へと移動していく。
そして、定量用溶液収容部42に希釈細胞画分溶液27からなる定量用溶液が充満すると、例えば蓋部材50が膨張し、大気開放口53を閉鎖状態にし、定量用溶液収容部42を密封する。
このため、定量用溶液収容部42内の希釈細胞画分溶液27からなる定量用溶液が不必要にこぼれることはなく、また、蓋部材50を取り外すことで、図10(d)に示すように、定量用溶液調製器具自体を用いて直接サンプリングを行うことができる。
(希釈細胞画分溶液からなる定量用溶液の調製方法2)
調製方法1では、希釈血漿溶液25からなる定量用溶液をも調製するようにしているが、希釈細胞画分溶液27からなる定量用溶液のみを調製するようにしてもよいことは勿論である。
この場合、図10(a)に示すように、第2容器40のフィルタ60に採取された血液のうち細胞画分を分離保持させ、第1容器30と第2容器40とが嵌合する前に、第1容器30の希釈用溶液収容部32に所定量の第2希釈用溶液28を収容し、しかる後、図10(b)(c)に示すように、第1容器30と第2容器40とを嵌合させ、第2容器40の定量用溶液収容部42に希釈細胞画分溶液27からなる定量用溶液を調製する。
この調製方法において、フィルタ60への細胞画分の分離保持手法については、フィルタ60として微細繊維集合体を用いるなど適宜選定して差し支えないが、希釈血漿溶液25からなる定量用溶液を調製する必要性がないため、例えばフィルタ60として多孔質ポリマーなどを使用し、フィルタ60内に希釈血漿溶液25を保持したまま、希釈細胞画分溶液27からなる定量用溶液を調製するようにしてもよい。
(希釈血漿溶液からなる定量用溶液を用いた定量方法)
これは、本件の定量用溶液調製器具にて調製された希釈血漿溶液からなる定量用溶液を用いた定量方法であり、(1)本件の定量用溶液調製器具を用いて希釈血漿溶液からなる定量用溶液を調製する工程と、(2)該定量用溶液中の指示物質の濃度と、第1希釈用溶液中の指示物質の濃度とから、該定量用溶液中の血漿の希釈倍率を算出する工程と、(3)該定量用溶液中の被測定物質の濃度を測定する工程と、(4)(2)で算出した希釈倍率と、(3)で測定した定量用溶液中の被測定物質の濃度とから、該血漿中の被測定物質の濃度を定量する工程と、を含むものである(図5(a)参照)。
(希釈細胞画分溶液からなる定量用溶液を用いた定量方法)
これは、本件の定量用溶液調製器具にて調製された希釈細胞画分溶液からなる定量用溶液を用いた定量方法であり、(1)本件の定量用溶液調製器具を用いて希釈細胞画分溶液からなる定量用溶液を調製する工程と、(2)(1)で調製された定量用溶液におけるヘモグロビンA1Cのヘモグロビンに対する割合を測定する工程と、を含むものである(図5(b)参照)。
実施例1
(希釈血漿溶液からなる定量用溶液の攪拌による調製)
3.8%クエン酸ナトリウム0.5mLをその中に含有するベノジェクトII真空採血管(テルモ社製)を用いて、健常人より血液4.5mLを採取した。このベノジェクトII真空採血管に採取された血液をクエン酸ナトリウム全血とよぶこととする。
トロンビンおよび塩化カルシウムをそれぞれ3.0g/L、0.125mol/Lの濃度で含有するpH7.0の10mmol/L MOPS緩衝液50μLを、シリコーン変性オイルSF8427(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)で血餅付着防止処理した試験管(Rohren Tubes No./REF 55.476)に添加し、次いで、上記のクエン酸ナトリウム全血450μLを添加した。ここで得られた血液溶液をトロンビン含有全血とよぶこととする。
第1希釈用溶液として、塩化ナトリウムおよびEMSEをそれぞれ5.0mg/mL、0.1mg/mLの濃度で含有するpH7.5の50mmol/L HEPES緩衝液を調製した。
上記トロンビン含有全血100μLと、上記第1希釈用溶液500μLとを混合した後、得られた混合液をVoltex Mixer(LAB−MIXER HM−10H)で3分間攪拌し、さらに3分間静置した。上清をエッペンドルフピペットで取り出し、希釈血漿溶液からなる定量用溶液を得た。
実施例2
(コリンを指示物質として含有する第1希釈用溶液を用いた希釈血漿溶液からなる定量用溶液の調製)
総コレステロール濃度が153mg/dLである血液(=血清中の総コレステロール濃度が153mg/dLである血液)100μLと、下記組成からなる第1希釈用溶液500μLとを混合した後、得られた混合液をガラス繊維(AP25タイプ;ミリポア社製)に通すことにより、希釈血漿溶液からなる定量用溶液を調製した。
第1希釈用溶液
PIPES緩衝液(pH7.0) 50mmol/L
アジ化ナトリウム 0.3g/L
塩化コリン 0.2g/L
α−ケトグルタル酸 1.5g/L
塩化ナトリウム 5.0g/L
実施例3
(実施例2の希釈血漿溶液からなる定量用溶液を用いた血漿中の総コレステロールの定量)
(1)希釈倍率算出
実施例2で調製した希釈血漿溶液からなる定量用溶液における血漿の希釈倍率を、下記の希釈度算出用試薬を用いた吸光度測定により算出した。吸光度測定は、自動分析装置 東芝200FRを用いて、下記の測定パラメータにより行った。その結果、該定量用溶液における血漿の希釈倍率は10.3と算出された。
希釈度算出用試薬
第1試薬
PIPES緩衝液(pH7.2) 50mmol/L
トリトンX−100 1.0g/L
TOOS 0.2g/L
アジ化ナトリウム 0.3g/L
第2試薬
リン脂質測定試薬 デタミナーL PL(協和メデックス社製)の試薬R2
希釈倍率算出用測定パラメータ
サンプル容量:5μL
R1:150μL
R2:50μL
主波長/副波長:604nm/700nm
測光ポイント:(14〜16)−(31〜33)
(2)該定量用溶液中の総コレステロール濃度の測定
実施例2で調製した希釈血漿溶液からなる定量用溶液における総コレステロールの濃度を、総コレステロール測定試薬 デタミナーL TC2(協和メデックス社製)のR1およびR2を用いて測定した。測定は、自動分析装置 東芝200FRを用いて、下記の測定パラメータにより行った。その結果、該定量用溶液中の総コレステロール濃度は15.1mg/dLであった。
総コレステロール濃度測定用測定パラメータ
サンプル容量:10μL
R1:150μL
R2:50μL
主波長/副波長:604nm/804nm
測光ポイント:(14〜16)−(31〜33)
(3)血漿中の総コレステロールの定量
(1)で算出された希釈倍率10.3と、(2)で測定した該定量用溶液中の総コレステロール濃度15.1mg/dLとから、血漿中の総コレステロール濃度は156mg/dLとなり、用いた血液の総コレステロール濃度153mg/dLと極めて近い値が得られた。
実施例4
(実施の形態8の調製器具を用いた希釈血漿溶液からなる定量用溶液の調製)
下記の組成からなる第1希釈用溶液(150μL)を収容した第1容器、および、ガラス繊維集合体を連通部内に装着させた第2容器を具備する器具を用いて、採取された血液から希釈血漿溶液からなる定量用溶液を調製した。
第1希釈用溶液
PIPES緩衝液(pH7.5) 50mmol/L
EMSE 0.1g/L
塩化ナトリウム 5.0g/L
血液を第2容器のガラス繊維集合体の先端に付けて、ガラス繊維集合体に保持させた。次いで、上記第1希釈用溶液を収容する第1容器と該第2容器とを嵌合させ、第1容器内の第1希釈用溶液をガラス繊維集合体を介して第2容器の定量用溶液収容部へ移動させ、希釈血漿溶液からなる定量用溶液を該定量用溶液収容部に調製した。希釈血漿溶液からなる定量用溶液が該定量用溶液収容部に充満すると、閉鎖手段内の高吸水性ポリマーが該定量用溶液との接触により膨張し、器具全体が閉鎖系となった。
実施例5
(実施例4で調製した希釈血漿溶液からなる定量用溶液を用いたコレステロールの定量)
(1)希釈倍率算出
実施例4で調製した希釈血漿溶液からなる定量用溶液における血漿の希釈倍率を、下記の希釈度算出用試薬を用いた吸光度測定により算出した。吸光度測定は、自動分析装置 日立7170Sを用いて、下記の測定パラメータにより行った。その結果、該定量用溶液における血漿の希釈倍率は4.60と算出された。
希釈度算出用試薬
第1試薬
MOPS緩衝液(pH7.1) 20mmol/L
ペルオキシダーゼ 10U/mL
塩化コリン 0.05mg/mL
アスコルビン酸オキシダーゼ 3U/mL
ノニオンHS−210 1.0g/L
第2試薬
MOPS緩衝液(pH7.0) 20mmol/L
4−アミノアンチピリン 0.5mg/mL
コリンオキシダーゼ 10U/mL
希釈倍率算出用測定パラメータ
サンプル容量:10μL
R1:150μL
R2:50μL
主波長/副波長:546nm/700nm
測光ポイント:16−34
(2)該定量用溶液中の総コレステロール濃度の測定
実施例2で調製した希釈血漿溶液からなる定量用溶液における総コレステロールの濃度を、総コレステロール測定試薬 デタミナーL TC2(協和メデックス社製)のR1およびR2を用いて測定した。測定は、自動分析装置 日立7170Sを用いて、下記の測定パラメータにより行った。その結果、該定量用溶液中の総コレステロール濃度は35.1mg/dLであった。
総コレステロール濃度測定用測定パラメータ
サンプル容量:3μL
R1:300μL
R2:100μL
主波長/副波長:600nm/800nm
測光ポイント:16−34
(3)血漿中の総コレステロールの定量
(1)で算出された希釈倍率4.6と、(2)で測定した該定量用溶液中の総コレステロール濃度35.1mg/dLとから、血漿中の総コレステロール濃度は160mg/dLと定量された。
一方、実施例4で用いた血液の提供者から別個血液(5mL)をヘパリン含有試験管に採取し、該ヘパリン含有血液を遠心分離(3000rpm、10分間)し、血漿を得た。該血漿中の総コレステロールの濃度を、前記と同様に、総コレステロール測定試薬 デタミナーL TC2(協和メデックス社製)のR1およびR2を用いて測定した。その結果、該血漿中の総コレステロールの濃度は164mg/dLであり、本発明の方法で定量した総コレステロールの濃度160mg/dLと極めて近い値であることから、本発明の方法による血漿中の総コレステロールの定量方法は、従来の総コレステロールの定量方法と何ら遜色のない方法であることが判明した。
実施例6
(希釈細胞画分溶液からなる定量用溶液の調製)
実施例4に記載された方法により希釈血漿溶液からなる定量用溶液を調製した後、第2容器の定量用溶液収容部に収容された希釈血漿溶液からなる定量用溶液を取り除き、該収容部を蒸留水で洗浄した。器具から第1容器を取り外し、蒸留水で該第1容器の希釈用溶液収容部を洗浄し、該収容部に蒸留水(150μL)を第2希釈用溶液として充填した。この蒸留水を含有する第1容器と、定量用溶液収容部が蒸留水で洗浄された第2容器とを嵌合させ、第1容器内の第2希釈用溶液(=蒸留水)をガラス繊維集合体を介して第2容器の定量用溶液収容部へ移動させ、希釈細胞画分溶液からなる定量用溶液を該定量用溶液収容部に調製した。
実施例7
(実施例6で調製した希釈細胞画分溶液からなる定量用溶液を用いたヘモグロビンA1Cのヘモグロビンに対する割合の定量)
実施例6で調製した希釈細胞画分溶液からなる定量用溶液を蒸留水で20倍希釈し、この20倍希釈溶液を用いて、ヘモグロビンA1Cのヘモグロビンに対する割合を、ヘモグロビンA1C濃度測定試薬 デタミナーHbA1C(協和メデックス社製)のR1およびR2を用いて測定した。測定は、自動分析装置 日立7170Sを用いて下記の測定パラメータにより行った。
ヘモグロビンA1Cのヘモグロビンに対する割合の定量用測定パラメータ
サンプル容量:6.4μL
R1:240μL
R2:80μL
主波長/副波長:660nm/800nm
測光ポイント:19−34
検量線:スプライン
キャリブレータ点:4.2、7.7、11.5、14.9
その結果、該20倍希釈溶液におけるヘモグロビンA1Cのヘモグロビンに対する割合は6.35%であった。一方、実施例4で用いた血液の提供者から別個血液(5mL)をヘパリン含有試験管に採取し、該ヘパリン含有血液を遠心分離(3000rpm、10分間)し、細胞画分を得た。該細胞画分を蒸留水で100倍希釈し、この100倍希釈溶液を用いて、ヘモグロビンA1Cのヘモグロビンに対する割合を前記と同様の条件で測定したところ6.26%であり、本発明の方法での値6.35%と極めて近い値であることから、本発明の方法によるヘモグロビンA1Cのヘモグロビンに対する割合方法は、従来の定量方法と何ら遜色のない方法であることが判明した。
実施例8
(TOOSを指示物質として含有する第1希釈用溶液および本発明の器具を用いた希釈血漿溶液からなる定量用溶液の調製)
下記の組成からなる第1希釈用溶液(150μL)を収容した第1容器、および、ガラス繊維集合体を連通部内に装着させた第2容器を具備する器具を用いて、肝疾患患者の血液から、実施例4と同様の方法により希釈血漿溶液からなる定量用溶液を調製した。
第1希釈用溶液
HEPES緩衝液(pH7.5) 50mmol/L
TOOS 0.12g/L
塩化ナトリウム 5.0g/L
α−ケトグルタル酸 1.0g/L
EDTA 0.25g/L
実施例9
(実施例8の希釈血漿溶液からなる定量用溶液を用いた血漿中のアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)の定量)
(1)希釈倍率算出
実施例8で調製した希釈血漿溶液からなる定量用溶液における血漿の希釈倍率を、実施例5の場合と同じ希釈度算出用試薬を用いて算出した。吸光度測定は、自動分析装置 日立7170Sを用いて、下記の測定パラメータにより行った。その結果、該定量用溶液における血漿の希釈倍率は6.02と算出された。
希釈倍率算出用測定パラメータ
サンプル容量:10μL
R1:150μL
R2:50μL
主波長/副波長:546nm/700nm
測光ポイント:16−34
(2)該定量用溶液中のALT濃度の測定
実施例8で調製した希釈血漿溶液からなる定量用溶液におけるALTの濃度を、ALT測定試薬 デタミナーALT(協和メデックス社製)を用いて測定した。測定は、自動分析装置 日立7170Sを用いて、下記の測定パラメータにより行った。その結果、該定量用溶液中のALT濃度は117U/Lであった。
ALT測定用測定パラメータ
サンプル容量:10μL
R1:210μL
R2:70μL
測定主波長:340nm
測定副波長:405nm
測光ポイント:20−34
(3)血漿中のALTの定量
(1)で算出された希釈倍率6.02と、(2)で測定した該定量用溶液中のALT濃度117U/Lとから、血漿中のALT濃度は704U/Lと定量された。
一方、実施例8で用いた血液の提供者(肝疾患患者)から別個血液(6mL)をヘパリン含有試験管に採取し、該ヘパリン含有血液を遠心分離(3000rpm、10分間)し、血漿を得た。該血漿中のALT濃度を、前記と同様に、ALT測定試薬 デタミナーALT(協和メデックス社製)を用いて測定した。その結果、該血漿中のALTの濃度は719U/Lであり、本発明の方法で定量したALT濃度704U/Lと極めて近い値であることから、本発明の方法による血漿中のALTの定量方法は、従来のALTの定量方法と何ら遜色のない方法であることが判明した。
実施例10
(フェノールを指示物質として含有する第1希釈用溶液および本発明の器具を用いた希釈血漿溶液からなる定量用溶液の調製)
下記の組成からなる第1希釈用溶液(200μL)を収容した第1容器、および、ガラス繊維集合体を連通部内に装着させた第2容器を具備する器具を用いて、炎症患者の血液から、実施例4と同様の方法により希釈血漿溶液からなる定量用溶液を調製した。
第1希釈用溶液
HEPES緩衝液(pH7.5) 50mmol/L
フェノール 0.1g/L
塩化ナトリウム 5.0g/L
実施例11
(実施例10の希釈血漿溶液からなる定量用溶液を用いた血漿中のC−反応性タンパク(CRP)の定量)
(1)希釈倍率算出
実施例10で調製した希釈血漿溶液からなる定量用溶液における血漿の希釈倍率を、実施例5の場合と同じ希釈度算出用試薬を用いて算出した。吸光度測定は、自動分析装置 日立7170Sを用いて、下記の測定パラメータにより行った。その結果、該定量用溶液における血漿の希釈倍率は5.2と算出された。
希釈倍率算出用測定パラメータ
サンプル容量:10μL
R1:150μL
R2:50μL
主波長/副波長:505nm/700nm
測光ポイント:16−34
(2)該定量用溶液中のCRP濃度の測定
実施例10で調製した希釈血漿溶液からなる定量用溶液を生理食塩水でさらに100倍希釈し、この100倍希釈定量用溶液におけるCRPの濃度を、CRP測定試薬 エクステルCRP(協和メデックス社製)を用いて測定した。測定は、自動分析装置 EL−1060(協和メデックス社製)を用いて、下記の測定パラメータにより行った。その結果、該100倍希釈定量用溶液中のCRP濃度は0.033mg/dLであった。
CRP測定用測定パラメータ
サンプル容量:6μL
緩衝液I:90μL
抗体感作ラテックス液:150μL
測光ポイント:22−35
(3)血漿中のCRPの定量
(1)で算出された希釈倍率5.2と、(2)で測定した該100倍希釈定量用溶液中のCRP濃度0.033mg/dLとから、血漿中のCRP濃度は17.1mg/dLと定量された。
一方、実施例10で用いた血液の提供者(炎症患者)から別個血液(6mL)をヘパリン含有試験管に採取し、該ヘパリン含有血液を遠心分離(3000rpm、10分間)し、血漿を得た。該血漿を生理食塩水で100倍希釈した後、該100倍希釈血漿溶液中のCRP濃度を、前記と同様に、CRP測定試薬 エクステルCRP(協和メデックス社製)および自動分析装置 EL−1060(協和メデックス社製)を用いて測定した。その結果、遠心分離により得られた該血漿中のCRPの濃度は17.6mg/dL(すなわち、100倍希釈血漿溶液中のCRPの濃度は0.176mg/dL)であり、本発明の方法で定量したCRP濃度17.1mg/dLと極めて近い値であることから、本発明の方法による血漿中のCRPの定量方法は、従来のCRPの定量方法と何ら遜色のない方法であることが判明した。
実施例12
(希釈細胞画分溶液からなる定量用溶液の調製)
第2希釈用溶液として蒸留水(150μL)を収容した第1容器、および、高吸水性ポリマーを混在させたセルロース繊維集合体(ヘパリンが薄く塗布されたセルロース繊維集合体)を連通部内に装着させた第2容器を具備する器具を用いて、採取された血液から希釈細胞画分溶液からなる定量用溶液を調製した。
例えば、第1容器に第1希釈用溶液を収容した後、血液を第2容器の該セルロース繊維集合体の先端に付け、第1容器と第2容器とを嵌合させることで、該セルロース繊維集合体の表面に細胞画分を保持させた。次いで、蒸留水(第2希釈用溶液)を収容する第1容器と該第2容器とを嵌合させ、第1容器内の蒸留水を該セルロース繊維集合体を介して第2容器の定量用溶液収容部へ移動させ、希釈細胞画分溶液からなる定量用溶液を該定量用溶液収容部に調製した。希釈細胞画分溶液からなる定量用溶液が該定量用溶液収容部に充満すると、閉鎖部材である高吸水性ポリマーからなる蓋部材が該定量用溶液との接触により膨張し、器具全体が閉鎖系となった。
実施例13
(実施例12で調製した希釈細胞画分溶液からなる定量用溶液を用いたヘモグロビンA1Cのヘモグロビンに対する割合の定量)
実施例12で調製した希釈細胞画分溶液からなる定量用溶液を蒸留水で20倍希釈し、この20倍希釈溶液を用いて、ヘモグロビンA1Cのヘモグロビンに対する割合を、ヘモグロビンA1C測定試薬 デタミナーHbA1C(協和メデックス社製)のR1およびR2を用いて定量した。測定は、自動分析装置 日立7170Sを用いて実施例7の場合と同じ測定パラメータにより行った。
その結果、該20倍希釈溶液におけるヘモグロビンA1Cのヘモグロビンに対する割合は6.31%であった。一方、実施例12で用いた血液の提供者から別個血液(5mL)をヘパリン含有試験管に採取し、該ヘパリン含有血液を遠心分離(3000rpm、10分間)し、細胞画分を得た。該細胞画分を蒸留水で100倍希釈し、この100倍希釈溶液を用いて、ヘモグロビンA1Cのヘモグロビンに対する割合を前記と同様の条件で測定したところ6.38%であり、本発明の方法での値6.31%と極めて近い値であることから、本発明の方法によるヘモグロビンA1Cのヘモグロビンに対する割合の定量方法は、従来の定量方法と何ら遜色のない方法であることが判明した。
産業上の利用の可能性
以上説明してきたように、本発明に係る定量用溶液調製方法は、採取された血液を希釈した後に、分離手段にて血漿と細胞画分とに分離し、希釈血漿溶液若しくは希釈細胞画分溶液からなる定量用溶液を調製する方法なので、採取された少量の血液を秤量することなく、迅速、簡便、かつ、安全に、希釈血漿溶液若しくは希釈細胞画分溶液からなる定量用溶液を調製することが可能となる。従って、希釈血漿溶液若しくは希釈細胞画分溶液からなる定量用溶液を用いた、血漿中の被測定物質若しくは細胞画分中の被測定物質(特に、ヘモグロビンA1C)の定量が可能となる。
また、本発明に係る定量用溶液調製器具の使用方法によれば、上述した定量用溶液の調製を簡単に実現することができる。

Claims (26)

  1. 採取された血液を用いて、血漿中の被測定物質を定量するための希釈血漿溶液からなる定量用溶液、及び、細胞画分中のヘモグロビンA1Cのヘモグロビンに対する割合を定量するための希釈細胞画分溶液からなる定量用溶液を調製する方法であって、
    (1)採取された血液を、既知濃度の指示物質を含有する第1希釈用溶液で希釈する工程と、
    (2)該希釈血液溶液を、分離手段により血漿と細胞画分とに分離し、希釈血漿溶液を調製する工程と、
    (3)希釈血漿溶液の調製後に残った細胞画分を第2希釈用溶液で希釈し、希釈細胞画分溶液を調製する工程と、
    を含むことを特徴とする定量用溶液調製方法。
  2. 請求項記載の定量用溶液調製方法において、
    分離手段が、フィルタ、物理的ストレス又はフィルタと物理的ストレスとの組合せであることを特徴とする定量用溶液調製方法。
  3. 請求項記載の定量用溶液調製方法において、
    フィルタが、微細繊維集合体、多孔質ポリマー又は微粒子集合体であることを特徴とする定量用溶液調製方法。
  4. 請求項記載の定量用溶液調製方法において、
    物理的ストレスが、攪拌又は振動であることを特徴とする定量用溶液調製方法。
  5. 請求項記載の定量用溶液調製方法において、分離手段が物理的ストレスである態様において、
    第1希釈用溶液が、血液凝固を促進させるための凝固促進剤を含有していることを特徴とする定量用溶液調製方法。
  6. 請求項1ないし5のいずれかに記載の定量用溶液調製方法において、
    指示物質が、外因性指示物質であることを特徴とする定量用溶液調製方法。
  7. 請求項記載の定量用溶液調製方法において、
    外因性指示物質が、酸化カップリング発色型色原体であることを特徴とする定量用溶液調製方法。
  8. 請求項1ないし5のいずれかに記載の定量用溶液調製方法において、
    指示物質が、内因性指示物質であることを特徴とする定量用溶液調製方法。
  9. 請求項記載の定量用溶液調製方法において、
    内因性指示物質が、コリン、グリセロール−3−リン酸、キサンチン、D−アミノ酸、N−アセチルグルコサミン及び1,5−アンヒドログルシトールからなる群より選ばれる内因性指示物質であることを特徴とする定量用溶液調製方法。
  10. 請求項1ないし9のいずれかに記載の定量用溶液調製方法において、
    第2希釈用溶液が、ヘモグロビン安定化剤を含有する溶液であることを特徴とする定量用溶液調製方法。
  11. 血液を用いて、血漿中の被測定成分、及び、細胞画分中のヘモグロビンA 1C のヘモグロビンに対する割合を定量する方法であって、
    血漿中の被測定成分を定量する方法が、
    (1)請求項1記載の方法にて希釈血漿溶液からなる定量用溶液を調製する工程と、
    (2)(1)の定量用溶液中の指示物質の濃度と、第1希釈用溶液中の指示物質の濃度とから、該定量用溶液中の血漿の希釈倍率を算出する工程と、
    (3)該定量用溶液中の被測定物質の濃度を測定する工程と、
    (4)(2)で算出した希釈倍率と、(3)で測定した定量用溶液中の被測定物質の濃度とから、該血漿中の被測定物質の濃度を定量する工程と、
    を含み、
    細胞画分中のヘモグロビンA 1C のヘモグロビンに対する割合を定量する方法が、
    (5)請求項1記載の方法にて希釈細胞画分溶液からなる定量用溶液を調製する工程と、
    (6)(5)で調製された定量用溶液におけるヘモグロビンA 1C のヘモグロビンに対す る割合を定量する工程と、
    を含むことを特徴とする定量方法。
  12. 互いに嵌合可能な第1容器及び第2容器を具備し、
    第1容器は、所定量の希釈用溶液が収容される希釈用溶液収容部を備え、
    一方、第2容器は、定量用溶液が収容される定量用溶液収容部と、この定量用溶液収容部に隣接して設けられ且つ第1容器の希釈用溶液収容部に嵌合する嵌合部と、この嵌合部に設けられ且つ定量用溶液収容部と第1容器の希釈用溶液収容部との間を相互に連通接続する連通部と、この連通部内に設けられて血漿と細胞画分とを分離する分離体と、前記定量用溶液収容部の連通部以外の一部に設けられる大気開放口とを少なくとも備える定量用溶液調製器具を使用するに際し、
    第1容器の希釈用溶液収容部に所定量の既知濃度の指示物質を含有する第1希釈用溶液を収容すると共に、
    第1容器と第2容器とが嵌合される前において、第2容器の連通部のうち分離体の入口部に採取された血液を保持させ、
    しかる後、第1容器と第2容器とを嵌合させ、第2容器の定量用溶液収容部に希釈血漿溶液からなる定量用溶液を調製することを特徴とする定量用溶液調製器具の使用方法。
  13. 互いに嵌合可能な第1容器及び第2容器を具備し、
    第1容器は、所定量の希釈用溶液が収容される希釈用溶液収容部を備え、
    一方、第2容器は、定量用溶液が収容される定量用溶液収容部と、この定量用溶液収容部に隣接して設けられ且つ第1容器の希釈用溶液収容部に嵌合する嵌合部と、この嵌合部に設けられ且つ定量用溶液収容部と第1容器の希釈用溶液収容部との間を相互に連通接続する連通部と、この連通部内に設けられて血漿と細胞画分とを分離する分離体と、前記定量用溶液収容部の連通部以外の一部に設けられる大気開放口とを少なくとも備える定量用溶液調製器具を使用するに際し、
    第1容器の希釈用溶液収容部に所定量の既知濃度の指示物質を含有する第1希釈用溶液を収容すると共に、
    前記第1希釈用溶液に採取された血液を添加し、
    しかる後、第1容器と第2容器とを嵌合させ、第2容器の定量用溶液収容部に希釈血漿溶液からなる定量用溶液を調製することを特徴とする定量用溶液調製器具の使用方法。
  14. 互いに嵌合可能な第1容器及び第2容器を具備し、
    第1容器は、所定量の希釈用溶液が収容される希釈用溶液収容部を備え、
    一方、第2容器は、定量用溶液が収容される定量用溶液収容部と、この定量用溶液収容部に隣接して設けられ且つ第1容器の希釈用溶液収容部に嵌合する嵌合部と、この嵌合部に設けられ且つ定量用溶液収容部と第1容器の希釈用溶液収容部との間を相互に連通接続する連通部と、この連通部内に設けられて血漿と細胞画分とを分離する分離体と、前記定量用溶液収容部の連通部以外の一部に設けられる大気開放口とを少なくとも備える定量用溶液調製器具を使用するに際し、
    第1容器の希釈用溶液収容部に所定量の既知濃度の指示物質を含有する第1希釈用溶液を収容すると共に、
    第1容器と第2容器とが嵌合される前において、第2容器の連通部のうち分離体の入口部に採取された血液を保持させ又は第1希釈用溶液に採取された血液を添加し、
    しかる後、第1容器と第2容器とを嵌合させ、第2容器の分離体内部に希釈血漿溶液からなる定量用溶液を調製することを特徴とする定量用溶液調製器具の使用方法。
  15. 互いに嵌合可能な第1容器及び第2容器を具備し、
    第1容器は、所定量の希釈用溶液が収容される希釈用溶液収容部を備え、
    一方、第2容器は、定量用溶液が収容される定量用溶液収容部と、この定量用溶液収容部に隣接して設けられ且つ第1容器の希釈用溶液収容部に嵌合する嵌合部と、この嵌合部に設けられ且つ定量用溶液収容部と第1容器の希釈用溶液収容部との間を相互に連通接続する連通部と、この連通部内に設けられて血漿と細胞画分とを分離する分離体と、前記定量用溶液収容部の連通部以外の一部に設けられる大気開放口とを少なくとも備える定量用溶液調製器具の使用方法において、
    第1容器の希釈用溶液収容部に所定量の既知濃度の指示物質を含有する第1希釈用溶液を収容すると共に、
    第1容器と第2容器とが嵌合される前において、第2容器の連通部のうち分離体の入口部に採取された血液を保持させ又は第1希釈用溶液に採取された血液を添加し、
    しかる後、第1容器と第2容器とを嵌合させ、第2容器の定量用溶液収容部に希釈血漿溶液からなる定量用溶液を調製し、
    次いで、第1容器及び第2容器の嵌合状態を解除した後に、前記第2容器の定量用溶液収容部から前記希釈血漿溶液からなる定量用溶液を取り除き、
    一方、第1容器の希釈用溶液収容部に所定量の第2希釈用溶液を収容し、
    しかる後、第1容器と第2容器とを嵌合させ、第2容器の定量用溶液収容部に希釈細胞画分溶液からなる定量用溶液を調製することを特徴とする定量用溶液調製器具の使用方法。
  16. 互いに嵌合可能な第1容器及び第2容器を具備し、
    第1容器は、所定量の希釈用溶液が収容される希釈用溶液収容部を備え、
    一方、第2容器は、定量用溶液が収容される定量用溶液収容部と、この定量用溶液収容部に隣接して設けられ且つ第1容器の希釈用溶液収容部に嵌合する嵌合部と、この嵌合部に設けられ且つ定量用溶液収容部と第1容器の希釈用溶液収容部との間を相互に連通接続する連通部と、この連通部内に設けられて血漿と細胞画分とを分離する分離体と、前記定量用溶液収容部の連通部以外の一部に設けられる大気開放口とを少なくとも備える定量用溶液調製器具の使用方法において、
    第2容器の分離体に採取された血液のうち細胞画分を分離保持させ、
    第1容器と第2容器とが嵌合する前に、第1容器の希釈用溶液収容部に所定量の第2希釈用溶液を収容し、
    しかる後、第1容器と第2容器とを嵌合させ、第2容器の定量用溶液収容部に希釈細胞画分溶液からなる定量用溶液を調製することを特徴とする定量用溶液調製器具の使用方法。
  17. 請求項12ないし15のいずれかに記載の定量用溶液調製器具の使用方法において、
    指示物質が、外因性指示物質であることを特徴とする定量用溶液調製器具の使用方法。
  18. 請求項17記載の定量用溶液調製器具の使用方法において、
    外因性指示物質が、酸化カップリング発色型色原体であることを特徴とする定量用溶液調製器具の使用方法。
  19. 請求項12ないし15のいずれかに記載の定量用溶液調製器具の使用方法において、
    指示物質が、内因性指示物質であることを特徴とする定量用溶液調製器具の使用方法。
  20. 請求項19記載の定量用溶液調製器具の使用方法において、
    内因性指示物質が、コリン、グリセロール−3−リン酸、キサンチン、D−アミノ酸、N−アセチルグルコサミン及び1,5−アンヒドログルシトールからなる群より選ばれる内因性指示物質であることを特徴とする定量用溶液調製器具の使用方法。
  21. 血液を用いて血漿中の被測定成分を定量する方法であって、
    (1)請求項12ないし15のいずれかに記載の方法にて希釈血漿溶液からなる定量用溶液を調製する工程と、
    (2)該定量用溶液中の指示物質の濃度と、第1希釈用溶液中の指示物質の濃度とから、該定量用溶液中の血漿の希釈倍率を算出する工程と、
    (3)該定量用溶液中の被測定物質の濃度を測定する工程と、
    (4)(2)で算出した希釈倍率と、(3)で測定した定量用溶液中の被測定物質の濃度とから、該血漿中の被測定物質の濃度を定量する工程と、
    を含むことを特徴とする定量方法。
  22. 請求項21記載の定量方法において、
    指示物質が、外因性指示物質であることを特徴とする定量方法。
  23. 請求項22記載の定量方法において、
    外因性指示物質が、酸化カップリング発色型色原体であることを特徴とする定量方法。
  24. 請求項21記載の定量方法において、
    指示物質が、内因性指示物質であることを特徴とする定量方法。
  25. 請求項24記載の定量方法において、
    内因性指示物質が、コリン、グリセロール−3−リン酸、キサンチン、D−アミノ酸、N−アセチルグルコサミン及び1,5−アンヒドログルシトールからなる群より選ばれる内因性指示物質であることを特徴とする定量方法。
  26. 血液を用いて、細胞画分中のヘモグロビンA1Cのヘモグロビンに対する割合を定量する方法であって、
    (1)請求項15又は16記載の方法にて希釈細胞画分溶液からなる定量用溶液を調製する工程と、
    (2)(1)で調製された定量用溶液におけるヘモグロビンA1Cのヘモグロビンに対する割合を定量する工程と、
    を含むことを特徴とする定量方法。
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