JPWO2018052062A1 - 磁気抵抗効果デバイスおよび磁気抵抗効果モジュール - Google Patents

磁気抵抗効果デバイスおよび磁気抵抗効果モジュール Download PDF

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Abstract

第1の強磁性層(102)と第2の強磁性層(104)と第1のスペーサ層(103)とを有する第1の磁気抵抗効果素子(101)と,金属層(111)と,第1の電極(107)と,入力端子(108)と,出力端子(109)と,基準電位端子(110)とを有し,前記第1の強磁性層,前記第1のスペーサ層,前記第2の強磁性層および前記第1の電極はこの順で配置され,前記第2の強磁性層は前記第1の電極と電気的に接し,前記第1の電極は高周波信号を出力する出力端子に接続され,前記入力端子から前記金属層に流れる高周波信号が前記基準電位端子に流れるように,前記金属層は前記入力端子と前記基準電位端子に接続され,前記第1の強磁性層は前記基準電位端子と電気的に接し,前記第1の磁気抵抗効果素子に直流電流,もしくは直流電圧を印加するための印加端子(106)を備える磁気抵抗効果デバイス(1000)を提供する。

Description

本発明は、磁気抵抗効果素子を利用した磁気抵抗効果デバイスおよび磁気抵抗効果モジュールに関する。
本願は、2016年9月14日に、日本に出願された特願2016−179124号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
近年、携帯電話等の移動通信端末の高機能化に伴い、無線通信の高速化が進められている。通信速度は使用する周波数の帯域幅に比例するため、通信に必要な周波数バンドは増加している。それに伴い、移動通信端末に必要な高周波フィルタの搭載数も増加している。
また、近年新しい高周波用部品に応用できる可能性のある分野として研究されているのがスピントロニクスである。その中で注目されている現象の一つとして、磁気抵抗効果素子によるスピントルク共鳴現象がある(非特許文献1参照)。
磁気抵抗効果素子に交流電流を流すのと同時に、磁場印加機構によって磁場を印加することで、磁気抵抗効果素子にスピントルク共鳴を起こすことができる。この際、スピントルク共鳴周波数に対応した周波数で周期的に磁気抵抗効果素子の抵抗値が振動する。磁気抵抗効果素子に印加される磁場の強さによって、磁気抵抗効果素子のスピントルク共鳴周波数は変化し、一般的にその共鳴周波数は数〜数十GHzの高周波帯域である。
Nature、Vol.438、No.7066、pp.339−342、17 November 2005
上述のように、スピントルク共鳴現象を利用した高周波発振素子の検討は進められている。しかしながら、スピントルク共鳴現象のその他の応用用途についての具体的な構成については、検討がまだ十分に進んでいない。
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、スピントルク共鳴現象を利用した磁気抵抗効果デバイスおよび磁気抵抗効果モジュールを、高周波フィルタや増幅器として機能させるための構成を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するため、スピン軌道トルク共鳴現象を利用した磁気抵抗効果デバイスおよび磁気抵抗効果モジュールを、高周波フィルタや増幅器として機能させられることを見出した。
すなわち、本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を提供する。
本発明の第1の態様にかかる磁気抵抗効果デバイスは、第1の磁化自由層と第1の磁化固定層と第1のスペーサ層とを有する第1の磁気抵抗効果素子と、金属層と、第1の電極と、入力端子と、出力端子と、基準電位端子とを有し、前記金属層、前記第1の磁化自由層、前記第1のスペーサ層、前記第1の磁化固定層、前記第1の電極はこの順で配置され、前記第1の磁化固定層は前記第1の電極と電気的に接し、前記第1の電極は高周波信号を出力する前記出力端子に接続され、前記金属層は前記第1の磁化自由層の積層方向から見て重なる第1の領域を有し、前記入力端子から前記金属層に流れる高周波信号が前記第1の領域を介して、前記基準電位端子に流れるように、前記金属層は前記入力端子と前記基準電位端子に接続され、前記第1の磁気抵抗効果素子に直流電流、もしくは直流電圧を印加するための印加端子を備えることを特徴とする。
上記態様にかかる磁気抵抗効果デバイスによれば、入力端子からの信号が金属層の第1の領域に流れることでスピンホール効果が発生し、スピン偏極したスピン流が第1の磁化自由層に注入される。スピン偏極したスピン流は第1の磁化自由層の磁化にスピン軌道トルクとして作用し、第1の磁化自由層の磁化は向きを変える。この時、高周波信号が金属層に流れることで第1の磁化自由層に注入されるスピンの向きが高周波で変化する。高周波信号が第1の磁化自由層の共鳴周波数と同じ周波数であれば、第1の磁化自由層の磁化は共鳴し、強く振動する。第1の磁化自由層の磁化が強く振動することで第1の磁化自由層の磁化と第1の磁化固定層の磁化との相対角度が振動し、第1の磁気抵抗効果素子の抵抗値が高周波信号と同じ周波数で振動する。振動する抵抗は第1の磁気抵抗効果素子に印加する直流電流もしくは直流電圧によって、交流信号となって出力端子に出力される。高周波信号が第1の磁化自由層の共鳴周波数から離れた周波数の場合、スピン偏極したスピン流によって第1の磁化自由層の磁化は強く振動せず、第1の磁気抵抗効果素子は上記のような交流信号を発生させない。従って、磁気抵抗効果デバイスは共鳴周波数における信号を伝送し、共鳴周波数から離れた信号を減衰する帯域通過フィルタとして動作する。
さらに、上記態様にかかる磁気抵抗効果デバイスは前記第1の磁気抵抗効果素子のインピーダンスが前記金属層のインピーダンスよりも大きくてもよい。
この磁気抵抗効果デバイスによれば、高周波信号が金属層から基準電位端子により多く流れるので、磁気抵抗効果デバイスに強度の大きな高周波信号を入力しても第1の磁気抵抗効果素子が破壊されにくくなり、磁気抵抗効果デバイスは、入力電力が大きい場合に対応した帯域通過フィルタとして動作する。さらに、高周波信号は基準電位端子により多く流れるので、帯域外の遮断特性が向上する。
さらに、上記態様にかかる磁気抵抗効果デバイスは前記第1の磁化自由層の共鳴周波数を変えることができる周波数設定機構をさらに備えてもよい。
この磁気抵抗効果デバイスによれば、周波数設定機構によって第1の磁化自由層の共鳴周波数を変えることで、磁気抵抗効果デバイスは周波数可変帯域遮断フィルタとして動作する。
さらに、上記態様にかかる磁気抵抗効果デバイスは第2の磁気抵抗効果素子を有し、前記第2の磁気抵抗効果素子は第2の磁化自由層と第2のスペーサ層と第2の磁化固定層とを有し、前記金属層、前記第2の磁化自由層、前記第2のスペーサ層、前記第2の磁化固定層、前記第1の電極はこの順で配置され、前記金属層は第2の磁化自由層の積層方向から見て重なる第2の領域を有し、前記入力端子から前記金属層に流れる高周波信号は前記第2の領域を介して、前記基準電位端子に流れるように、前記金属層は前記入力端子と前記基準電位端子に接続されていてもよい。
この磁気抵抗効果デバイスによれば、複数の磁気抵抗効果素子の磁化自由層が高周波信号によって共鳴することで、より大きな交流信号が発生し、磁気抵抗効果デバイスが出力する信号強度が向上する。
さらに上記態様にかかる磁気抵抗効果デバイスは前記第1の磁化自由層と前記第2の磁化自由層の共鳴周波数が異なってもよい。
この磁気抵抗効果デバイスによれば、複数の磁化自由層の共鳴周波数が異なることで、共鳴する周波数帯域が広がり、磁気抵抗効果デバイスは広帯域の帯域通過フィルタとして動作する。
さらに、上記態様にかかる磁気抵抗効果デバイスは第2の電極と、第3の磁気抵抗効果素子とを有し、前記第3の磁気抵抗効果素子は第3の磁化自由層と第3のスペーサ層と第3の磁化固定層とを有し、前記第3の磁化固定層は前記第2の電極と電気的に接し、前記第1の磁化自由層、前記金属層、前記第3の磁化自由層、前記第3のスペーサ層、前記第3の磁化固定層、前記第2の電極はこの順で配置され、前記金属層は前記第3の磁化自由層の積層方向から見て重なる第3の領域を有し、前記入力端子から前記金属層に流れる高周波信号は前記第3の領域を介して、前記基準電位端子に流れるように、前記金属層は前記入力端子と前記基準電位端子に接続され、前記第2の電極は前記出力端子に接続され、前記第3の磁気抵抗効果素子に直流電流、もしくは直流電圧を印加するための手段を有してもよい。
この磁気抵抗効果デバイスによれば、スピンホール効果によって金属層の上下面にはスピン偏極したスピン流が流れる。上下面に流れるスピン流が第1の磁化自由層と第3の磁化自由層にそれぞれ注入されることで、より大きな交流信号を発生させ、磁気抵抗効果デバイスの出力する信号強度が向上する。
本発明の第2の様態にかかる磁気抵抗効果モジュールは第1の様態にかかる磁気抵抗効果デバイスを具備し、前記印加端子に直流電流源、もしくは直流電圧源を接続したことを特徴とする。
上記態様にかかる磁気抵抗効果モジュールによれば、磁気抵抗効果デバイスに直流電流、もしくは直流電圧を印加し、磁気抵抗効果モジュールは、帯域通過フィルタ、もしくは増幅器として機能する。
本発明の第3の様態にかかる高周波フィルタは、第1の様態にかかる磁気抵抗効果デバイスを使用したものである。
上記態様にかかる磁気抵抗効果デバイスは、前記第1の磁化自由層の磁化の方向と前記金属層に流れる高周波電流の方向との相対角が150度以上180度以下、もしくは0度以上30度以下であってもよい。
上記態様にかかる磁気抵抗効果デバイスは、前記第1の磁化自由層の磁化の方向と前記第1の磁化固定層の磁化の方向との相対角が90度以上150度以下であってもよい。
本発明の第4の態様にかかる磁気抵抗効果デバイスは、第1の強磁性層と第2の強磁性層と第1のスペーサ層とを有する第1の磁気抵抗効果素子と、金属層と、第1の電極と、入力端子と、出力端子と、基準電位端子とを有し、前記第1の強磁性層、前記第1のスペーサ層、前記第2の強磁性層および前記第1の電極はこの順で配置され、前記第2の強磁性層は前記第1の電極と電気的に接し、前記第1の電極は高周波信号を出力する出力端子に接続され、前記入力端子から前記金属層に流れる高周波信号が前記基準電位端子に流れるように、前記金属層は前記入力端子と前記基準電位端子に接続され、前記第1の強磁性層は前記基準電位端子と電気的に接し、前記第1の磁気抵抗効果素子に直流電流、もしくは直流電圧を印加するための印加端子を備えることを特徴とする。
この磁気抵抗効果デバイスによれば、磁気抵抗効果素子にスピントルク共鳴を起こすために、入力端子からの高周波電流が金属層を流れることでスピンホール効果に基づき生成した、高周波でスピンの向きが変わる純スピン流がスピン軌道トルク(SOT)として強磁性層の磁化に作用する効果(高周波SOTの効果)、入力端子からの高周波電流が金属層を流れることで生成する高周波の磁場が強磁性層の磁化に作用する効果(高周波磁場(RF磁場)の効果)、磁気抵抗効果素子の抵抗の振動を高周波信号として出力端子から取り出すための直流電流又は直流電圧がスピントランスファトルク(STT)として強磁性層の磁化に作用する効果(直流STTの効果)、入力端子からの高周波電流が磁気抵抗効果素子に流れることでスピントランスファトルク(STT)として強磁性層の磁化に作用する効果(高周波STTの効果)、磁気抵抗効果素子の抵抗の振動を高周波信号として出力端子から取り出すための直流電流が金属層に流れることで発生するスピン軌道トルク(SOT)として強磁性層の磁化に作用する効果(直流SOTの効果)を利用することができる。
上記態様にかかる磁気抵抗効果デバイスは、前記入力端子と前記出力端子間のインピーダンスが前記入力端子と前記基準電位端子間のインピーダンスよりも高くてもよい。
上記態様にかかる磁気抵抗効果デバイスは、前記入力端子から前記第1の磁気抵抗効果素子を介して、前記出力端子に高周波信号が流れるように前記磁性層1が前記金属層と電気的に接続され、第1の磁気抵抗効果素子の抵抗RMTJ、前記金属層の抵抗Rlead、特性インピーダンスZ0が式(1)を満たしてもよい。
上記態様にかかる磁気抵抗効果デバイスは、前記金属層は前記磁性層1の積層方向から見て重なる第1の領域を有し、前記入力端子から前記金属層に流れる高周波電流のうち、前記磁性層1の前記第1の領域以外の第2の領域の電流密度が前記第1の領域の電流密度よりも大きくてもよい。
上記態様にかかる磁気抵抗効果デバイスは、前記金属層がコンデンサを介して前記基準電位端子と接続されていてもよい。
上記態様にかかる磁気抵抗効果デバイスは、前記金属層は前記第1の強磁性層の積層方向から見て重なる第1の領域を有し、前記入力端子から前記金属層に流れる高周波信号が前記第1の領域を介して、前記基準電位端子に流れるように、前記金属層は前記入力端子と前記基準電位端子に接続され、前記入力端子から入力される高周波電流が前記金属層が前記コンデンサと電気的に接続される接続点へ流れる方向に対して、第2の強磁性層の磁化の方向が反時計回りに90度傾いていてもよい。
上記態様にかかる磁気抵抗効果デバイスは、前記第1の磁気抵抗効果素子の共鳴周波数を変えることができる周波数設定手段をさらに備えてもよい。
上記態様にかかる磁気抵抗効果デバイスは、第3の強磁性層と第4の強磁性層と第2のスペーサ層とを有する第2の磁気抵抗効果素子を有し、前記金属層、前記第3の強磁性層、前記第2のスペーサ層、前記第4の強磁性層および前記第1の電極はこの順で配置され、前記第4の強磁性層は前記第1の電極と電気的に接し、前記第3の強磁性層は前記基準電位端子と電気的に接していてもよい。
上記態様にかかる磁気抵抗効果デバイスは、第2の電極と、第3の磁気抵抗効果素子とを有し、前記第3の磁気抵抗効果素子は第5の強磁性層層、第3のスペーサ層、第6の強磁性層を有し、前記金属層、前記第5の強磁性層、前記第2のスペーサ層、前記第6の強磁性層、前記第2の電極はこの順に配置され、前記第6の強磁性層は前記第2の電極と電気的に接し、前記第2の電極は前記出力端子に接続され、前記第3の磁気抵抗効果素子に直流電流、もしくは直流電圧を印加するための手段を有してもよい。
上記態様にかかる磁気抵抗効果デバイスは、前記第1の強磁性層、前記第2の強磁性層、前記第3の強磁性層、前記第4の強磁性層、前記第5の強磁性層、前記第6の強磁性層の共鳴周波数のうち、少なくとも1つが他のものと異なってもよい。
本発明の第5の様態にかかる高周波フィルタは、第4の様態にかかる磁気抵抗効果デバイスを使用したものである。
本発明の第6の様態にかかる磁気抵抗効果モジュールは、第4の様態にかかる磁気抵抗効果デバイスと、直流電流源、もしくは直流電圧源を有し、前記印加端子に前記直流電流源、もしくは前記直流電圧源を接続したものである。
本発明によれば、高周波のスピン軌道トルク(SOT)共鳴現象を利用した磁気抵抗効果デバイスおよび、磁気抵抗効果モジュールを、高周波フィルタや増幅器として用いることができる。
本発明によれば、高周波のスピン軌道トルク(SOT)共鳴現象、高周波磁場共鳴現象、高周波のスピントランスファトルク(STT)共鳴現象、直流電流に基づくスピントランスファトルク(STT)、直流電流に基づくスピン軌道トルク(SOT)を利用した磁気抵抗効果デバイスおよび、磁気抵抗効果モジュールを、高周波フィルタや増幅器として用いることができる。
第1実施形態に係る磁気抵抗効果デバイスの模式図である。 第2実施形態に係る磁気抵抗効果デバイスの模式図である。 第3実施形態に係る磁気抵抗効果デバイスの模式図である。 第3実施形態に係る磁気抵抗効果デバイスの変形例の模式図である。 LLGシミュレーションによって、磁化固定層及び磁化自由層が膜面内方向に磁化容易軸を有する場合に、磁気抵抗効果素子の抵抗値の振動の大きさについて、SOTスピンの方向と磁化自由層の磁化の向きとの相対角、及び、磁化固定層の磁化の向きと磁化自由層の磁化の向きとの相対角、に対する依存性を調べた結果である。 LLGシミュレーションによって、磁化固定層及び磁化自由層が膜面直方向に磁化容易軸を有する場合に、磁気抵抗効果素子の抵抗値の振動の大きさについて、SOTスピンの方向と磁化自由層の磁化の向きとの相対角、及び、磁化固定層の磁化の向きと磁化自由層の磁化の向きとの相対角、に対する依存性を調べた結果である。 第4実施形態に係る磁気抵抗効果デバイスの一例の模式図である。 図7で示した例の磁気抵抗効果デバイスにおいて、高周波電流の流れる方向、及び、直流電流の流れる方向を示した模式図である。 磁気抵抗効果デバイスの簡易的な等価回路である。 第4実施形態に係る磁気抵抗効果デバイスの他の例の模式図である。 磁化自由層の磁化に対して、直流電流によるSTTの効果と直流電流によるSOTの効果とが強め合う条件を説明するための模式図であり、(a)は時計回りに直流電流を流した場合(磁化自由層から磁化固定層に直流電流を流した場合)、(b)は反時計回りに直流電流を流した場合(磁化固定層から磁化自由層に直流電流を流した場合)である。 磁化自由層の磁化に対して、高周波電流によるSTTの効果と高周波電流によるSOTの効果とが強め合う条件を説明するための模式図であり、(a)は時計回りに瞬間的に高周波電流が流れるとき(磁化自由層から磁化固定層に瞬間的に高周波電流がとき)、(b)は反時計回りに瞬間的に高周波電流が流れるとき(磁化固定層から磁化自由層に瞬間的に高周波電流が流れるとき)である。 第5実施形態に係る磁気抵抗効果デバイスの一例の模式図である。 第6実施形態に係る磁気抵抗効果デバイスの一例の模式図である。
以下、磁気抵抗効果デバイスについて、図を適宜参照しながら詳細に説明する。以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などは実際とは異なっていることがある。以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、本発明の効果を奏する範囲で適宜変更して実施することが可能である。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態にかかる磁気抵抗効果デバイスの回路構成を示した模式図である。図1に示す磁気抵抗効果デバイス100は、磁気抵抗効果素子(第1の磁気抵抗効果素子)1と、金属層11と、電極(第1の電極)7と、入力端子8と、出力端子9と、基準電位端子10と、印加端子6とを備える。磁気抵抗効果素子1は磁化自由層2、スペーサ層3、磁化固定層4を有する。
<磁化自由層>
磁化自由層は、外部印加磁場もしくはスピン偏極電子によってその磁化の方向が変化可能であり、強磁性材料で構成されている。磁化自由層は、膜面内方向に磁化容易軸を有する材料の場合、材料としてはCoFe、CoFeB、CoFeSi、CoMnGe、CoMnSiまたはCoMnAlなどが挙げられ、厚さは1〜10nm程度とすることが好ましい。磁化自由層は、膜面法線方向(膜面直方向)に磁化容易軸を有する材料の場合、材料としてはCo、CoCr系合金、Co多層膜、CoCrPt系合金、FePt系合金、希土類を含むSmCo系合金またはTbFeCo合金などが挙げられる。また、磁化自由層は、ホイスラー合金で構成されても良い。また、磁化自由層とスペーサ層との間に、高スピン分極率材料を挿入しても良い。これによって、高い磁気抵抗変化率を得ることが可能となる。高スピン分極率材料としては、CoFe合金またはCoFeB合金などが挙げられる。CoFe合金またはCoFeB合金いずれの膜厚も0.2〜1.0nm程度とすることが好ましい。
<磁化固定層>
磁化固定層は、強磁性体材料で構成されており、その磁化方向が実質的に一方向に固定されている。磁化固定層は、Fe、Co、Ni、NiとFeの合金、FeとCoの合金、またはFeとCoとBの合金などの高スピン分極率材料から構成されることが好ましい。これにより、高い磁気抵抗変化率を得ることが出来る。また、磁化固定層は、ホイスラー合金で構成されても良い。また、磁化固定層の膜厚は、1〜10nmとすることが好ましい。また、磁化固定層の磁化を固定するために磁化固定層に接するように反強磁性層を付加してもよい。或いは、磁化固定層、中間層、強磁性層、反強磁性層をこの順に配置して積層体を成し、磁化固定層と強磁性層のRKKY相互作用によって磁化固定層の磁化を固定してもよい。或いは結晶構造、形状などに起因する磁気異方性を利用して磁化固定層の磁化を固定してもよい。反強磁性層には、FeO、CoO、NiO、CuFeS、IrMn、FeMn、PtMn、CrまたはMnなどを用いることが出来る。
<スペーサ層>
スペーサ層は、磁化自由層と磁化固定層の間に配置され、磁化自由層の磁化と磁化固定層の磁化が相互作用して磁気抵抗効果が得られる。スペーサ層としては、導電体、絶縁体、半導体によって構成される層、もしくは、絶縁体中に導体によって構成される通電点を含む層で構成される。
スペーサ層として非磁性導電材料を適用する場合、材料としてはCu、Ag、AuまたはRuなどが挙げられ、磁気抵抗効果素子には巨大磁気抵抗(GMR:Giant Magnetoresistance)効果が発現する。GMR効果を利用する場合、スペーサ層の膜厚は、0.5〜3.0nm程度とすることが好ましい。
スペーサ層として非磁性絶縁材料を適用する場合、材料としてはAlまたはMgOなどが挙げられ、磁気抵抗効果素子にはトンネル磁気抵抗(TMR:Tunneling
Magnetoresistance)効果が発現する。磁化固定層と磁化自由層との間にコヒーレントトンネル効果が発現するように、スペーサ層の膜厚を調整することで高い磁気抵抗変化率が得られる。TMR効果を利用する場合、スペーサ層の膜厚は、0.5〜3.0nm程度とすることが好ましい。
スペーサ層として非磁性半導体材料を適用する場合、材料としてはZnO、In、SnO、ITO、GaOまたはGaなどが挙げられ、スペーサ層の膜厚は1.0〜4.0nm程度とすることが好ましい。
スペーサ層として非磁性絶縁体中の導体によって構成される通電点を含む層を適用する場合、AlまたはMgOによって構成される非磁性絶縁体中に、CoFe、CoFeB、CoFeSi、CoMnGe、CoMnSi、CoMnAl、Fe、Co、Au、Cu、AlまたはMgなどの導体によって構成される通電点を含む構造とすることが好ましい。この場合、スペーサ層の膜厚は、0.5〜2.0nm程度とすることが好ましい。
また、電極と磁気抵抗効果素子との間、もしくは金属層11と磁気抵抗効果素子との間にキャップ層、シード層またはバッファー層を配設しても良い。キャップ層、シード層またはバッファー層としては、Ru、Ta、Cu、Crまたはこれらの積層膜などが挙げられ、これらの層の膜厚は2〜10nm程度とすることが好ましい。
<磁気抵抗効果素子>
磁気抵抗効果素子の大きさは、平面視形状が長方形(正方形を含む)の場合、長辺を300nm以下にすることが望ましい。また、平面視形状が長方形ではない場合は、平面視形状に最小の面積で外接する長方形の長辺を、磁気抵抗効果素子の長辺と定義する。長辺が100nm程度と小さい場合、磁化自由層の磁区の単磁区化が可能となり、高効率なスピントルク共鳴現象の実現が可能となる。ここで、「平面視形状」とは、磁気抵抗効果素子を構成する各層の積層方向に垂直な平面で見た形状のことである。
磁気抵抗効果素子は、磁化自由層と、磁化固定層と、磁化自由層と磁化固定層との間に挟持されたスペーサ層とを有する。
磁化固定層の磁化は一方向に固定されている。磁化固定層の磁化の向きに対して、磁化自由層の磁化の向きが相対的に変化することで、磁気抵抗効果素子として機能する。
入力端子8から入力される高周波信号は金属層11の領域(第1の領域)5を介して、基準電位端子10に流れる。
<高周波信号>
高周波信号は、100MHz以上の周波数成分を持つ信号である。高周波信号の電力は概ね−150dBmから40dBmの範囲である。高周波信号は変調信号であり、振幅や周波数、位相、もしくは振幅と位相の組み合わせ等によって変調される。
<電極>
電極7および金属層11は、一対の電極としての役目を有し、磁気抵抗効果素子1を構成する各層の積層方向に磁気抵抗効果素子1を介して配設されている。つまり、電極7および金属層11は、信号(電流)を磁気抵抗効果素子1に対して、構成する各層の面と交差する方向、例えば、構成する各層の面に対して垂直な方向(積層方向)に流すための一対の電極としての機能を有している。電極7は、Ta、Cu、Au、AuCu、Ru、もしくはこれらの材料のいずれか2つ以上の膜で構成されることが好ましい。
<端子>
磁気抵抗効果素子1は、一端(磁化自由層2側)が金属層11を介して入力端子8、基準電位端子10に電気的に接続され、他端(磁化固定層4側)が電極7を介して出力端子9と印加端子6に電気的に接続されている。
電気的な接続を次のように定義する。他端と出力端子9間に電位差が生じた際に、他端と出力端子9に電流が流れることを他端と出力端子9が電気的に接続されていると定義する。例えば他端と出力端子9間に絶縁物が配置されていたり、空間的な隔たりがあったとしても、その厚みが非常に薄く、他端と出力端子9間に電流が流れる場合は他端と出力端子9が電気的に接続されているとする。
<直流電流源、電圧源>
印加端子6に直流電流源12もしくは直流電圧源が接続されることで、磁気抵抗効果素子1に直流電流を印加することが可能になる。また、直流入力端子6と直流電流源12との間に、高周波信号をカットするための、インダクタまたは抵抗素子が直列に接続されてもよい。また、直流電流源12からの直流電流が磁気抵抗効果素子1に効率的に印加されるように入力端子8と電極7の間と、金属層11と出力端子9の間に直流信号をカットするコンデンサを直列に接続してもよい。直流電流源12は、一定の直流電流を発生可能な、固定抵抗と直流電圧源との組み合わせの回路により構成されてもよい。また直流電流源12に変えて、直流電圧源を接続し、磁気抗効果素子1に直流電圧を印加してもよい。
<基準電位端子>
基準電位端子10は、基準電位として機能する。例えば、基準電位端子10をグラウンドと接続することで、基準電位が決定する。基準電位端子10は金属層11に接続される。
電極7、金属層11及び基準電位端子10の形状は、マイクロストリップライン(MSL)型やコプレーナウェーブガイド(CPW)型に規定することが好ましい。マイクロストリップライン(MSL)型やコプレーナウェーブガイド(CPW)型に設計する場合、電極7、金属層11、基準電位端子10で構成される特性インピーダンスと、回路系のインピーダンスとが等しくなるように、信号線路幅やグラウンド間距離を設計することが好ましい。このように設計することによって伝送損失を抑えることができる。
<金属層>
金属層11には磁気抵抗効果素子1が磁化自由層2、スペーサ層3、磁化固定層4の順で配置され、積層体を成す。金属層11は磁化自由層2の積層方向から見て重なる領域5を有する。
ここで、スピン軌道トルク共鳴について説明する。入力端子8から入力される高周波信号が金属層11に流れることでスピンホール効果が発生し、スピン偏極した電流を伴わないスピン流であるスピン流(純スピン流)が高周波信号の流れる向きと直交する方向、例えば、図1中の金属層11から上方向と、下方向にそれぞれ流れる。この高周波信号が金属層11の領域5に流れることで、上方向に流れる純スピン流は磁化自由層2に注入される。
スピン流のスピン偏極の向きは電流の向きで変化する。例えば、入力端子8から基準電位端子10の向きに直流電流を印加した場合、上向きにスピン偏極されたスピン流が磁化自由層2に注入される。一方、基準電位端子10から入力端子8の向きに直流電流を印加した場合、下向きにスピン偏極されたスピン流が磁化自由層2に注入される。
金属層11は磁化自由層2に直接接続していてもよいが、金属層11から磁化自由層2に純スピン流が流れ込む限り、金属層11と磁化自由層2の間に他の層が配置されていてもよい。
金属層11は電流が流れるとスピンホール効果によって純スピン流が生成される材料からなる。かかる材料としては、金属層11中にスピン流が生成される構成のものであれば足りる。従って、単体の元素からなる材料に限らないし、純スピン流が生成される材料で構成される部分と純スピン流が生成されない材料で構成される部分とからなるもの等であってもよい。
また、金属層11は非磁性の重金属を含んでもよい。重金属は、スピン軌道相互作用の大きい重金属、例えば、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Pb、あるいは、これらの合金から構成される。また、重金属として、導電性の材料に、これらの重金属又は合金をドープしたものを使用してもよい。また、所望の電気特性や構造を得るため、適宜、B、C、N、O、Al、Si、P、Ga、Ge等の材料を重金属に添加してもよい。金属層11は、最外殻にd電子又はf電子を有する原子番号39以上の原子番号が大きい非磁性金属だけからなってもよい。
また、金属層11は磁性金属を含んでもよい。磁性金属とは、強磁性金属、あるいは、反強磁性金属を指す。非磁性金属に微量な磁性金属が含まれるとスピン軌道相互作用が増強され、金属層11に流す電流に対するスピン流生成効率を高くできるからである。金属層11は反強磁性金属だけからなってもよい。
スピン偏極したスピン流は磁化自由層2の磁化にスピン軌道トルク(Spin Orbit Torque:SOT)として作用し、磁化自由層2の磁化は向きを変えることができる。高周波信号を金属層11に流すことで磁化自由層2に注入されるスピンの向きが高周波で変化し、磁化自由層2の磁化の向きが高周波で変化する。磁化自由層2の磁化が強く振動することで磁化自由層2の磁化と磁化固定層4の磁化との相対角度が振動し、磁気抵抗効果素子1の抵抗値が高周波信号と同じ周波数で振動する。振動する抵抗は磁気抵抗効果素子1に印加する直流電流、もしくは直流電圧によって交流信号となる。例えば磁気抵抗効果素子1に直流電流を印加した場合、交流信号の強度は振動する抵抗値と印加した直流電流の値との積で表される。交流信号は出力端子9に出力される。
この時、高周波信号の周波数が磁化自由層2の共鳴周波数に近ければ、磁化自由層2の磁化は高周波信号に共鳴し、強く振動するスピン軌道トルク共鳴が発生する。磁化自由層2の磁化が強く振動することで、大きな交流信号が出力端子9に出力される。
一方、高周波信号の周波数が磁気抵抗効果素子1の共鳴周波数から離れている場合、スピン軌道トルクによって磁化自由層2の磁化は強く振動せず、上記のような大きな交流信号を発生させない。
従って、磁気抵抗効果デバイス100は共鳴周波数付近における信号を伝送し、共鳴周波数から離れた信号を減衰する帯域通過フィルタとして動作する。
帯域通過フィルタの挿入損は磁気抵抗効果素子1によって出力される交流信号の強度に依存し、交流信号の強度が大きいほど、挿入損は小さくなる。
また、磁気抵抗効果素子1によって出力される交流信号の強度が入力端子8から入力した高周波信号の強度よりも大きい場合、磁気抵抗効果デバイス100は入力した信号を増幅する増幅器として動作する。
磁気抵抗効果素子1に印加する直流電流、もしくは直流電圧は磁化自由層2の磁化にスピントランスファトルクとしても作用する。
磁化自由層2の磁化と磁化固定層4の磁化との相対角度が概ね90度以上の場合、磁化自由層2から磁化固定層4の向きに電流を印加するほうが好ましい。この場合、スピントランスファトルクは磁化自由層2の磁化のダンピングを小さくするように作用し、磁化自由層2の磁化の振動が大きくなる。
また、磁化自由層2の磁化と磁化固定層4の磁化との相対角度が概ね90度未満の場合、磁化固定層4から磁化自由層2の向きに電流を印加するほうが好ましい。この場合、スピントランスファトルクは磁化自由層2の磁化のダンピングを小さくするように作用し、磁化自由層2の磁化の振動が大きくなる。
また、磁化自由層2の磁化と磁化固定層4の磁化との相対角度が概ね90度の時、単位磁化振幅あたりの抵抗の振動の大きさは最大となる。
<磁場供給機構(手段)>
磁気抵抗効果デバイス100の動作時には、磁気抵抗効果素子1に外部磁場を印加してもよい。つまり、磁気抵抗効果素子1に外部磁場を印加する磁場供給機構13をさらに設けてもよい。磁場供給機構13は、磁気抵抗効果素子1に外部磁場を印加し、磁気抵抗効果素子1にスピン軌道トルク共鳴現象を誘起する。
磁場供給機構13は、磁気抵抗効果素子1の近傍に配設されることが好ましい。磁場供給機構13は、例えば、電圧又は電流のいずれかにより印加磁場強度を可変制御できる電磁石型又はストリップライン型で構成される。また、印加磁場強度を可変制御できる電磁石型又はストリップライン型と、一定磁場のみを供給する永久磁石と、の組み合わせにより構成されてもよい。
さらに、上記態様にかかる磁気抵抗効果デバイス100は磁気抵抗効果素子1のインピーダンスが金属層11のインピーダンスよりも大きくてもよい。
磁気抵抗効果素子1のインピーダンスを金属層11のインピーダンスよりも大きくするには、磁気抵抗効果素子1の面積抵抗を大きくする、素子サイズを小さくする、もしくはスペーサ層3に非磁性絶縁材料を用いて磁気抵抗効果素子1のインピーダンスを大きくしてもよい。
また、金属層11の膜厚を厚くしたり、面積を大きくして金属層11のインピーダンスを小さくしてもよい。
これによって入力端子8からの高周波信号が金属層11から基準電位端子10により多く流れるので、磁気抵抗効果デバイス100は以下の2つの効果を有する。
強度の大きな高周波信号を磁気抵抗効効果デバイス100に入力しても磁気抵抗効果素子1が破壊されにくい。高周波信号を磁気抵抗効果デバイス100に入力した際に、入力端子8からの高周波信号は磁気抵抗効果素子1に流れるよりも基準電位端子10の方により多く流れ、磁気抵抗効果素子1に大きな強度の信号が流れにくいため、磁気抵抗効果素子1が破壊されにくい。
さらに、高周波信号は磁気抵抗効果素子1に流れるよりも基準電位端子10により多く流れるので、帯域通過フィルタの帯域外の遮断特性を向上させることができる。高周波信号の周波数が磁化自由層2の共鳴周波数から離れている時、入力した高周波信号は磁気抵抗効果素子1に流れにくいため、出力端子9に出力される信号を小さくすることができ、帯域外の遮断特性を向上させることができる。
さらに、上記態様にかかる磁気抵抗効果デバイス100は磁化自由層2の共鳴周波数を変化させる周波数設定機構を備える。
<周波数設定機構(手段)>
周波数設定機構として、磁場供給機構13を利用してもよい。磁化自由層2の共鳴周波数は、磁場供給機構13から供給される外部磁場の周波数等を変更することで、自由に設定することができる。すなわち、磁場供給機構13は、周波数設定機構として機能する。
共鳴周波数は、外部磁場以外の方法によっても変えることができる。例えば、以下のような方法を用いることができる。
一つの例として、磁気抵抗効果素子1に電場を印加し、その電場を変化させてもよい。印加する電場を変化させることにより、磁化自由層2における異方性磁場Hkが変化する。その結果、磁化自由層2における有効磁場が変化し、磁化自由層2の共鳴周波数を変化させることができる。この場合、磁気抵抗効果素子1に電場を印加する機構が、周波数設定機構(有効磁場設定機構)となる。
また別の例として、磁化自由層2の近傍に圧電体を設けてもよい。圧電体に電場を印加し、圧電体を変形させ、磁化自由層2を歪ませる。その結果、磁化自由層2における異方性磁場Hkが変化し,磁化自由層2における有効磁場が変化し、磁化自由層2の共鳴周波数を変化させることができる。この場合、圧電体に電場を印加する機構および圧電体が、周波数設定機構(有効磁場設定機構)となる。
また別の例として、電気磁気効果を有する反強磁性体またはフェリ磁性体である制御膜を磁化自由層2に磁気的に結合するように設けてもよい。制御膜に磁場と電場を印加し、制御膜に印加する磁場と電場の少なくとも一方を変化させることにより、磁化自由層2における交換結合磁場HEXを変化させる。その結果、磁化自由層2における有効磁場が変化し、磁化自由層2の共鳴周波数を変化させることができる。この場合、制御膜に磁場を印加する機構、制御膜に電場を印加する機構および制御膜が、周波数設定機構(有効磁場設定機構)となる。
このように磁気抵抗効果デバイス100は、磁化自由層2と磁化固定層4とスペーサ層3とを有する磁気抵抗効果素子1と、金属層11と、電極7と、入力端子8と、出力端子9と、基準電位端子10とを有し、金属層11、磁化自由層2、スペーサ層3、磁化固定層4、電極7はこの順で配置され、磁化固定層4は電極7と電気的に接し、電極7は高周波信号を出力する出力端子9に接続され、金属層11は磁化自由層2の積層方向からみて重なる領域(第1の領域)5を有し、入力端子8から金属層11に流れる高周波信号が領域5を介して、基準電位端子10に流れるように、金属層11は入力端子8と基準電位端子10に接続され、磁気抵抗効果素子1に直流電流、もしくは直流電圧を印加するための印加端子6を備える。
したがって、入力端子8からの信号が金属層11の領域5に流れることでスピンホール効果が発生し、スピン偏極したスピン流が磁化自由層2に注入される。スピン偏極したスピン流は磁化自由層2の磁化にスピン軌道トルクとして作用し、磁化自由層2の磁化は向きを変える。高周波信号を金属層11に流すことで磁化自由層2に注入されるスピンの向きが高周波で変化する。高周波信号が磁化自由層2の共鳴周波数と同じ周波数であれば、磁化自由層2の磁化は共鳴し、強く振動する。磁化自由層2の磁化が強く振動することで磁化自由層2の磁化と磁化固定層4の磁化との相対角度が振動し、磁気抵抗効果素子1の抵抗値が高周波信号と同じ周波数で振動する。振動する抵抗は磁気抵抗効果素子1に印加する直流電流、もしくは直流電圧によって交流信号となって出力端子9に出力される。高周波信号が磁気抵抗効果素子1の共鳴周波数から離れた周波数の場合、スピン偏極したスピン流によって磁化自由層2の磁化は強く振動せず、上記のような交流信号を発生させない。つまり、磁気抵抗効果デバイス100は共鳴周波数における信号を伝送し、共鳴周波数から離れた信号を減衰する帯域通過フィルタとして動作する。
さらに、磁気抵抗効果デバイス100は磁気抵抗効果素子1のインピーダンスが金属層11のインピーダンスよりも大きくてもよい。
この場合、高周波信号は金属層11から基準電位端子10により多く流れるので、強度の大きな高周波信号を磁気抵抗効果デバイス100に入力しても、磁気抵抗効果素子1が破壊されにくくなり、磁気抵抗効果デバイス100は入力電力が大きい場合に対応した帯域通過フィルタとして動作する。さらに、高周波信号は基準電位端子10により多く流れるので、帯域外の遮断特性が向上する。
さらに、磁気抵抗効果デバイス100は磁化自由層2の共鳴周波数を変化させる周波数設定機構をさらに備えてもよい。
この場合、磁化自由層2の共鳴周波数を変えることができ、磁気抵抗効果デバイス100は周波数可変帯域遮断フィルタとして動作する。
(第2実施形態)
図2は、本発明の第2の実施形態に係る磁気抵抗効果デバイス200の模式図である。磁気抵抗効果デバイス200において、第1実施形態の磁気抵抗効果デバイス100と異なる点について主に説明し、共通する事項は適宜説明を省略する。第1実施形態の磁気抵抗効果デバイス100と共通している要素は同じ符号を用いており、共通している要素の説明は省略する。磁気抵抗効果デバイス200は、第1実施形態の磁気抵抗効果デバイス100に対し、さらに、第2の磁気抵抗効果素子21を有する。第2の磁気抵抗効果素子21は第2の磁化自由層22と、第2のスペーサ層23と、第2の磁化固定層24を有する。磁気抵抗効果デバイス200のその他の構成は、第1実施形態の磁気抵抗効果デバイス100と同じである。
金属層11は第2の磁化自由層22、第2のスペーサ層23、第2の磁化固定層24、電極7がこの順で配置され、積層体を成す。金属層11は第2の磁化自由層22の積層方向から見て重なる第2の領域25を有する。
<電極>
電極7および金属層11は、一対の電極としての役目を有し、第2の磁気抵抗効果素子21を構成する各層の積層方向に第2の磁気抵抗効果素子21を介して配設されている。つまり、電極7および金属層11は、信号(電流)を第2の磁気抵抗効果素子21に対して、構成する各層の面と交差する方向、例えば、構成する各層の面に対して垂直な方向(積層方向)に流すための一対の電極としての機能を有している。
<端子>
第2の磁気抵抗効果素子21は、一端(第2の磁化自由層22側)が金属層11を介して入力端子8、基準電位端子10に電気的に接続され、他端(第2の磁化固定層24側)が電極7を介して出力端子9と印加端子6に電気的に接続されている。入力端子8から入力される高周波信号は第2の領域25を介して基準電位端子10に流れるように金属層11は入力端子8と基準電位端子10に接続される。
第2の磁気抵抗効果素子21には磁気抵抗効果素子1と同様に高周波信号が第2の領域25に流れることで、スピン偏極したスピン流が第2の磁化自由層22に注入されて、スピン軌道トルク共鳴が発生し、第2の磁気抵抗効果素子21の抵抗が振動し、磁気抵抗効果素子21に印加する直流電流もしくは直流電圧によって交流信号を発生させる。磁気抵抗効果素子1と第2の磁気抵抗効果素子21による交流信号が出力端子9に出力されるので、磁気抵抗効果デバイス200の出力する信号強度が向上する。
さらに、上記態様にかかる磁気抵抗効果デバイス200は磁化自由層2と第2の磁化自由層22の共鳴周波数が異なってもよい。
共鳴周波数は各磁化自由層の有効磁場によって変化する。磁化自由層2と第2の磁化自由層22の共鳴周波数を異なるようにするには、例えば周波数設定機構が活用できる。磁気抵抗効果素子(第1の磁気抵抗効果素子)1と第2の磁気抵抗効果素子21の一方、または両方に周波数設定機構を設け、それぞれの有効磁場をずらすことで共鳴周波数が異なるように周波数を設定する。
または、磁気抵抗効果素子の素子サイズで共鳴周波数を変化させてもよい。磁気抵抗効果素子の素子サイズを変化させると、磁化自由層の形状磁気異方性が変化し、有効磁場が変化する。例えば第2の磁気抵抗効果素子21の素子サイズを磁気抵抗効果素子1よりも小さくすることでそれぞれの共鳴周波数が異なるように設定することができる。
磁化自由層2と第2の磁化自由層22の共鳴周波数が異なることによって、磁化自由層2と第2の磁化自由層22は入力した高周波信号のうち、異なる周波数で強く共鳴し、交流信号を出力端子9に出力するため、磁気抵抗効果デバイス200は広帯域の帯域通過フィルタとして動作する。
このように、磁気抵抗効果デバイス200は第2の磁気抵抗効果素子21を有し、第2の磁気抵抗効果素子21は第2の磁化自由層22と第2のスペーサ層23と第2の磁化固定層24とを有し、金属層11、第2の磁化自由層22、第2のスペーサ層23、第2の磁化固定層24、電極7はこの順で配置され、金属層11は第2の磁化自由層22の積層方向から見て重なる第2の領域25を有し、入力端子8から金属層11に流れる高周波信号は第2の領域25を介して、基準電位端子10に流れるように金属層11は入力端子8と基準電位端子10に接続されていることを特徴とする。
したがって、複数の磁気抵抗効果素子の磁化自由層が高周波信号によって共鳴し、より大きな交流信号を発生させることで磁気抵抗効果デバイス200の信号強度が向上する。
さらに、磁気抵抗効果デバイス200は磁化自由層2と第2の磁化自由層22の共鳴周波数が異なってもよい。
この場合、共鳴する周波数帯域を広げることができ、磁気抵抗効果デバイス200は広帯域の帯域通過フィルタとして動作する。
(第3実施形態)
図3は、本発明の第3実施形態に係る磁気抵抗効果デバイス300の模式図である。磁気抵抗効果デバイス300において、第1の実施形態の磁気抵抗効果デバイス100と異なる点について主に説明し、共通する事項は適宜説明を省略する。第1の実施形態の磁気抵抗効果デバイス100と共通している要素は同じ符号を用いており、共通している要素の説明は省略する。磁気抵抗効果デバイス300は、第1の実施形態の磁気抵抗効果デバイス100に対し、さらに、第3の磁気抵抗効果素子31と、第2の電極37とを有する。第3の磁気抵抗効果素子31は第3の磁化自由層32と、第3のスペーサ層33と、第3の磁化固定層34を有する。磁気抵抗効果デバイス300のその他の構成は、第1の実施形態の磁気抵抗効果デバイス100と同じである。
磁化自由層2、金属層11、第3の磁化自由層32、第3のスペーサ層33、第3の磁化固定層34、第2の電極37がこの順で配置され、積層体を成す。金属層11は第3の磁化自由層32の積層方向から見て重なる第3の領域35を有する。
第3の磁気抵抗効果素子31は、一端(第3の磁化自由層32側)が金属層11を介して入力端子8、基準電位端子10に電気的に接続され、他端(第3の磁化固定層34側)が第2の電極37を介して出力端子9と印加端子6に電気的に接続されている。入力端子8から入力される高周波信号は第3の領域35を介して基準電位端子10に流れるように金属層11は入力端子8と基準電位端子10に接続される。
第3の磁気抵抗効果素子31に直流電流もしくは直流電圧を印加するために、第2の電極37は印加端子6に接続される。印加端子6に直流電流源12を接続し、磁気抵抗効果素子1と第3の磁気抵抗効果素子31に直流電流を印加する。
一方、磁気抵抗効果素子1と第3の磁気抵抗効果素子31に印加する電流値を個別に調整するために図4のように磁気抵抗効果デバイス300は第2の印加端子36をさらに有し、第2の電極37は第2の印加端子36に接続されていてもよい。印加端子6に直流電流源12を接続し、第2の印加端子36に第2の直流電流源38を接続し、各直流電流源を制御することで各磁気抵抗効果素子に印加する直流電流を個別に調整することができる。また、第2の印加端子36に直流電流源12を接続し、第2の印加端子36と直流電流源12の間に可変抵抗を接続してもよく、可変抵抗の抵抗値を調整することでも各磁気抵抗効果素子に印加する直流電流を個別に調整することができる。
また、直流電流源の代わりに直流電圧源を接続し、各磁気抵抗効果素子に直流電圧を印加してもよい。
磁気抵抗効果デバイス300の入力端子8に高周波信号を入力すると、高周波信号は金属層11を流れ、領域5と第3の領域35にはスピンホール効果が発生する。領域5において図3中の上方向に流れるスピン偏極したスピン流は磁化自由層2に注入され、さらに第3の領域35において下方向に流れるスピン偏極したスピン流は第3の磁化自由層32に注入されることで、各磁化自由層にはスピン軌道トルクが作用する。これによって磁気抵抗効果素子1と第3の磁気抵抗効果素子31はそれぞれ交流信号を発生させ、出力端子9に出力されるので、磁気抵抗効果デバイス300の信号強度が向上する。
領域5と第3の領域35は重なっていてもよい。入力端子8から入力される高周波信号は金属層11でスピンホール効果が発生し、金属層11の図3中の上方向と下方向にスピン偏極したスピン流が流れるため、領域5と第3の領域35が重なっていても、効果的に磁化自由層2と第3の磁化自由層32の磁化にスピン軌道トルクを作用させることができる。
このように、磁気抵抗効果デバイス300は第3の磁気抵抗効果素子31と、第2の電極37とを有し、第3の磁気抵抗効果素子31は第3の磁化自由層32と第3のスペーサ層33と第3の磁化固定層34とを有し、磁化自由層2、金属層11、第3の磁化自由層32、第3のスペーサ層33、第3の磁化固定層34、第2の電極37はこの順で配置され、金属層11は第3の磁化自由層32の積層方向から見て重なる第3の領域35を有し、入力端子8から金属層11に流れる高周波信号は第3の領域35を介して、基準電位端子10に流れるように金属層11は入力端子8と基準電位端子10に接続され、第3の磁化固定層34は第2の電極37と電気的に接し、第2の電極37は出力端子9に接続され、第3の磁気抵抗効果素子31に直流電流、もしくは直流電圧を印加する手段を有する。
したがって、スピンホール効果によって金属層11の上下面にはスピン偏極したスピン流が流れ、上下面に流れるスピン流をそれぞれ磁気抵抗効果素子の磁化自由層に注入することで、より大きな交流信号を発生させ、磁気抵抗効果デバイス300の信号強度が向上する。
(磁気抵抗効果モジュール)
本発明の磁気抵抗効果モジュールについて説明する。この磁気抵抗効果モジュールは第1実施形態から第3実施形態の磁気抵抗効果デバイスの少なくとも一つの磁気抵抗効果デバイスと、直流電流源を有する。直流電流源は直流電流印加端子に接続され、磁気抵抗効果素子に直流電流を印加する。
直流電流源の代わりに直流電圧源を接続し、磁気抵抗効果素子に直流電圧を印加してもよい。
また、磁気抵抗効果モジュールは複数の直流電流源を有してもよい。例えば、磁気抵抗効果モジュールは第3実施形態の磁気抵抗効果デバイス300と、直流電流源12と、第2の直流電流源38を有し、直流電流源12は印加端子6と、第2の直流電流源38は第2の印加端子36と接続されてもよい。もしくは、磁気抵抗効果モジュールはさらに第2の直流電流源38を有し、直流電流源12は直流電流印加端子6に接続され、第2の直流電流源38は第2の直流電流印加端子36に接続されてもよい。
したがって、磁気抵抗効果モジュールでは、磁気抵抗効果デバイスに直流電流、もしくは直流電圧を印加し、帯域通過フィルタ、もしくは増幅器の機能を有する磁気抵抗効果モジュールとして機能する。
図5に、LLGシミュレーションを用いて、磁化固定層及び磁化自由層が膜面内方向に磁化容易軸を有する場合に、磁気抵抗効果素子の抵抗値の振動の大きさ(スピントルク共鳴の大きさ)について、金属層に電流が流れることで生成された純スピン流の電子のスピン(以下、「SOTスピン」ということがある)の方向と磁化自由層の磁化の向きとの相対角、及び、磁化固定層の磁化の向きと磁化自由層の磁化の向きとの相対角、に対する依存性を調べた結果を示す。
図5において、横軸はSOTスピンの方向と磁化自由層の磁化の向きとの相対角、縦軸は磁化固定層の磁化の向きと磁化自由層の磁化の向きとの相対角を示し、濃淡が磁気抵抗効果素子の抵抗値の振動の大きさを示す。
シミュレーションは、以下の条件で行った。
磁気抵抗効果素子の形状:120nmφ、円柱形状
磁化自由層の厚さ:2nm
ダンピング定数α:0.02
磁化自由層の飽和磁化Ms:1.31×10A/m
磁化自由層の垂直磁気異方性磁場H:1.19×10A/m
磁化自由層に印加される静磁場の外部磁場:870Oe
磁化固定層のスピン分極率P:0.51
磁気抵抗効果素子に印加する直流電流:10−4
純スピン電流:10−6
図5に示す結果から、SOTスピンの方向と磁化自由層の磁化の向きとの相対角が90°のときに最もスピントルク共鳴が大きいことがわかった。また、磁化固定層の磁化の向きと磁化自由層の磁化の向きとの相対角が120°のときに最もスピントルク共鳴が大きいことがわかった。
図6に、磁化固定層及び磁化自由層が膜面直方向に磁化容易軸を有する場合についても、LLGシミュレーションを用いて、図5と同様の依存性を調べた結果を示す。
図5の場合と異なるシミュレーションの条件は、以下の通りである。
磁化自由層の垂直磁気異方性磁場H:1.31×10A/m
磁化自由層に印加される静磁場の外部磁場:1000Oe
図6に示す結果から、磁化固定層及び磁化自由層が膜面直方向に磁化容易軸を有する場合についても、SOTスピンの方向と磁化自由層の磁化の向きとの相対角が90°のときに最もスピントルク共鳴が大きいこと、また、磁化固定層の磁化の向きと磁化自由層の磁化の向きとの相対角が120°のときに最もスピントルク共鳴が大きいことがわかった。
図5及び図6の結果から、より強いトルクが働き、磁化が大きく振動し、通過特性が改善されるためには、SOTスピンの方向と磁化自由層の磁化の向きとの相対角が60°以上120°以下であることが好ましいことがわかった。
金属層に流れる高周波電流の方向はSOTスピンの方向から90°回転しているので、SOTスピンの方向と磁化自由層の磁化の向きとの相対角が60°以上120°以下の場合とは、金属層に流れる高周波信号(電流)の方向と磁化自由層の磁化の方向との相対角が150°以上180°以下、又は、0°以上30°以下の場合に相当する。
図5及び図6の結果から、より共鳴の強度が強まり、通過特性が改善されるためには、磁化固定層の磁化の向きと磁化自由層の磁化の向きとの相対角が90°以上150°以下であることが好ましいことがわかった。
(第4実施形態)
図7は、第4実施形態にかかる磁気抵抗効果デバイスの回路構成の一例を示した模式図である。
図7に示す磁気抵抗効果デバイス1000は、第1の磁気抵抗効果素子101と、金属層111と、第1の電極107と、入力端子108と、出力端子109と、基準電位端子110と、印加端子106とを備える。第1の磁気抵抗効果素子101は第1の強磁性層102、第1のスペーサ層103、第2の強磁性層104を有する。
第1の強磁性層及び第2の強磁性層は一方が磁化自由層、他方が磁化固定層である構成や両方が磁化自由層である構成であってもよいが、以下では、第1の強磁性層が磁化自由層、第2の強磁性層が磁化固定層の場合を例に説明する。
図7に示す磁気抵抗効果デバイス1000は、金属層111、第1の強磁性層102、第1のスペーサ層103、第2の強磁性層104および第1の電極107はこの順で配置されている。また、第2の強磁性層104は第1の電極107と電気的に接し、第1の電極107は高周波信号を出力する出力端子109に接続されている。また、高周波電流印加手段(図示せず)に接続された入力端子108から金属層111に流れる高周波信号が基準電位端子110に流れるように、金属層111は入力端子108と基準電位端子110とに接続されている。また、第1の強磁性層102は基準電位端子110と電気的に接している。また、第1の磁気抵抗効果素子101に直流電流又は直流電圧を印加するための印加端子106を備える。符号112は、直流電流源である。また、符号113は、磁場印加機構(周波数設定機構)である。
図7に示す磁気抵抗効果デバイス1000では、入力端子108から入力される高周波信号が金属層111に流れることでスピンホール効果が発生し、スピン偏極した、電流を伴わないスピン流であるスピン流(純スピン流)が高周波信号の流れる向きと直交する方向、例えば、図7中の金属層111から上方向と、下方向にそれぞれ流れる。純スピン流も入力端子108から入力される高周波信号と同じ周波数を有する。上方向に流れた純スピン流は磁化自由層である第1の強磁性層102に注入される。
入力端子108から金属層111に流れる高周波電流が第1の強磁性層102(および/または第2の強磁性層104)の磁化自由層の共鳴周波数と同じ周波数であれば、第1の強磁性層102(および/または第2の強磁性層104)の磁化は共鳴し、強く振動する。第1の磁気抵抗効果素子の抵抗値は第1の強磁性層102と第2の強磁性層104との相対角度で変化するので、磁化が強く振動することで第1の第1磁気抵抗効果素子101の抵抗値が大きく変化しながら振動する。この時、第1の第1磁気抵抗効果素子101の抵抗値は高周波信号と同じ周波数で振動する。振動する抵抗値は第1の磁気抵抗効果素子に印加する直流電流もしくは電圧によって、交流信号となって出力端子109に出力される。高周波信号が前記共鳴周波数から離れた周波数の場合、磁化は強く振動せず、大きな交流信号を発生させない。さらに入力端子から磁気抵抗効果デバイスに入力した高周波信号は基準電位端子に流れるため、出力端子に流れる信号の強度は減衰する。従って磁気抵抗効果デバイスは共鳴周波数における信号を伝送し、共鳴周波数から離れた信号を減衰する帯域通過フィルタとして動作する。
高周波信号が金属層に流れる際に電流による磁場が第1の強磁性層102の磁化に印加されることで第1の強磁性層102の磁化の有効磁場が高周波で変化し、第1の強磁性層102の磁化が振動する強磁性共鳴が起こり、入力端子から入力した高周波信号が磁性層1の共鳴周波数と一致した時、大きな交流が出力端子に出力され、フィルタの通過特性が改善される。
図7に示す磁気抵抗効果デバイス1000では、入力端子108と金属層111との間にコンデンサC1と、このコンデンサC1と金属層111との間と基準電位端子110との間にインダクタL1とを備えており、また、第1の電極107と出力端子109との間にコンデンサC2と、このコンデンサC2と第1の電極107との間と印加端子106との間にインダクタL2とを備えた例を示している。インダクタL1、L2は、電流の高周波成分をカットし、電流の直流成分のみを通す。コンデンサC1、C2は、電流の直流成分を通さず、交流成分のみを通す。
コンデンサC1及びインダクタL1と、コンデンサC2及びインダクタL2とを備える構成によって、図8に示すように、入力端子108から入力された高周波電流は1点鎖線で示したように流れ、また、直流電流源112から印加端子106を介して印加された直流電流は2点鎖線で示したように流れる。
また、入力端子108と出力端子109間のインピーダンスが入力端子108と基準電位端子110間のインピーダンスよりも高いことが好ましい。
この構成では、入力端子からの高周波信号は基準電位端子に流れやすくなり、フィルタの遮断特性が改善される。
また、入力端子108から第1の磁気抵抗効果素子101を介して、出力端子109に高周波信号が流れるように第1の強磁性層102が金属層111と電気的に接続され、第1の磁気抵抗効果素子101の抵抗RMTJ、金属層111の抵抗Rlead、特性インピーダンスZ 0が式(1)を満たすことが好ましい。
式(1)は以下のようにして得られる。
磁気抵抗効果デバイスの簡易的な等価回路は図9のように表される。第1の磁気抵抗効果素子101の抵抗RMTJが入力端子、出力端子間に直列に接続される。さらに入力端子と第1の磁気抵抗効果素子101の抵抗RMTJ間には金属層111の抵抗Rleadの一端が結線され、金属層111の抵抗Rleadの他端は接地している。入力端子には高周波信号源Vsと特性インピーダンスに対応した抵抗Zが接続され、出力端子には特性インピーダンスに対応した抵抗Zが接続されている。伝送特性S21は式(2)で計算される。式(2)より、S21が−20dB以上の良好な遮断特性を得るためには式(3)の値が18以上であればよい。
第1の磁気抵抗効果素子101に純スピン流が流れることで第1の強磁性層102(および/または第2の強磁性層104)はスピントランスファトルクによる強磁性共鳴現象が発生し、入力端子108から入力した高周波信号が第1の強磁性層102(および/または第2の強磁性層104)の共鳴周波数と一致したとき、大きな交流電流が出力端子109に出力され、通過特性が改善される。
金属層111の抵抗は金属層の厚みや幅、長さを変化させたり、金属層の材料によって調整することができる。例えば金属層の抵抗が下がるように調整する場合は、金属層を薄くしたり、材料として抵抗率の低いAu、Cu等を用いてもよく、一方、抵抗が上がるように調整する場合は金属層を厚くしたり、材料として抵抗率の高いW、Ta等を用いてもよい。
さらにフィルタの通過特性を向上させるには入力端子より磁気抵抗効果デバイスに入力される高周波電流が第1の磁気抵抗効果素子101により多く流れ込めばよい。このとき、より大きなスピントランスファトルクが第1の強磁性層102の磁化に働き、磁化はより強く共鳴し、第1の磁気抵抗効果素子101の振動する抵抗成分が大きくなって、出力が向上する。
式(3)の値が小さければ良く、38以下であれば最大値の0.5倍以上の電流が流れ、通過特性の向上が見込める。
また、金属層111は第1の強磁性層102の積層方向から見て重なる第1の領域(図1参照)を有し、入力端子108から金属層111に流れる高周波電流のうち、第1の強磁性層102の第1の領域以外の第2の領域の電流密度が第1の領域の電流密度よりも大きいこと、すなわち、第2の領域が第1の領域よりも電気抵抗が小さいことが好ましい。
金属層111に流れる高周波電流の電流密度は第1の領域の方が第2の領域よりも小さいので、第1の領域における発熱が抑えられ、直上の磁気抵抗効果素子が高温になることで素子特性が劣化することを抑制できる。
また、金属層111がコンデンサC3(図10参照)を介して基準電位端子110と接続されていることが好ましい。
金属層111と基準電位端子110間にコンデンサC3を挟むことで、直流電流が基準電位端子110と入力端子108に分流せず、入力端子108側にだけ直流電流が流れることで、その直流電流によって生成したSOTスピンが第1の強磁性層102の磁化に働き、共鳴の強度を高められ、信号強度が向上する。
また、金属層111がコンデンサC3(図10参照)を介して基準電位端子110と接続されている場合において、金属層111は第1の強磁性層102の積層方向から見て重なる第1の領域を有し、入力端子108から金属層111に流れる高周波信号が第1の領域を介して基準電位端子110に流れるように、金属層111は入力端子108と基準電位端子110とに接続され、入力端子108から入力される高周波電流が金属層111がコンデンサC3と電気的に接続される接続点へ流れる方向に対して、第2の強磁性層104の磁化の方向が反時計回りに90度傾いていることが好ましい。
この構成によって、STTの効果とSOTの効果とが強め合うからである。
この理由を、まず直流電流(DC成分)について図11を用いて説明する。次いで、RF成分について図12を用いて説明する。なお、図11及び図12において、図10と同じ部材については符号を省略している。
図11(a)は、第1の強磁性層102から第2の強磁性層104に直流電流を印加した場合である。図11(a)において、左側の図は断面図であり、右側の図は平面図である。
電子は第2の強磁性層104を通り、第1の強磁性層102に流れる。その際に、第2の強磁性層104の磁化方向に偏極されたスピンが第1の強磁性層102に注入されSTTが第1の強磁性層102の磁化に働く(直流STTの効果)。
また、直流電流が金属層111に流れることでスピンホール効果によって偏極したスピンが第1の強磁性層102に注入され、スピン軌道相互作用によるトルクが第1の強磁性層102の磁化に働く(直流SOTの効果)。
この2つのトルクが強め合う条件は偏極方向が同じことであり、第2の強磁性層104の磁化の方向が金属層111に流れる直流電流の方向に対して、反時計周りに90度傾いているときである。
図11(b)は、第2の強磁性層104から第1の強磁性層102に直流電流を印加した場合である。図11(b)において、左側の図は断面図であり、右側の図は平面図である。
電子は第1の強磁性層102を通り、第2の強磁性層104に流れる。その際に、第2の強磁性層104の磁化方向に偏極されたスピンは電極に流れ出るが、第2の強磁性層104の磁化方向と逆向きのスピンは第1の強磁性層102の方向に反射し、第1の強磁性層102に注入されSTTが第1の強磁性層102の磁化に働く(直流STTの効果)。
また、直流電流が金属層に流れることでスピンホール効果によって偏極したスピンが第1の強磁性層102に注入され、スピン軌道相互作用によるトルクが第1の強磁性層102の磁化に働く(直流SOTの効果)。
この2つのトルクが強め合う条件は、偏極方向が同じことであり、第2の強磁性層104の磁化の方向が金属層に流れる直流電流の方向に対して、時計周りに90度傾いているときである。
図12(a)は、入力端子108より磁気抵抗効果デバイスに入力される高周波電流について、瞬間的に金属層111において電子が右から左へ流れている場合である。図12(a)において、左側の図は断面図であり、右側の図は平面図である。
このとき、第2の強磁性層104から第1の強磁性層102に向かって電子が流れ、その際に、第2の強磁性層104の磁化方向に偏極されたスピンが第1の強磁性層102に注入されSTTが第1の強磁性層102の磁化に働く(高周波STTの効果)。
また、電子が金属層に流れることでスピンホール効果によって偏極したスピンが第1の強磁性層102に注入され、スピン軌道相互作用によるトルクが第1の強磁性層102の磁化に働く(高周波SOTの効果)。
この2つのトルクが強め合う条件は、偏極方向が同じことであり、第2の強磁性層104の磁化の方向が金属層111に流れる電子の方向に対して、時計周りに90°傾いている時である。
図12(b)は、入力端子108より磁気抵抗効果デバイスに入力される高周波電流について、瞬間的に金属層111において電子が左から右へ流れている場合である。図12(b)において、左側の図は断面図であり、右側の図は平面図である。
このとき、電子は第1の強磁性層102を通り、第2の強磁性層104に流れる。その際に、第2の強磁性層104の磁化方向に偏極されたスピンは電極に流れ出るが、第2の強磁性層104の磁化方向と逆向きのスピンは第1の強磁性層102の方向に反射し、第1の強磁性層102に注入されSTTが第1の強磁性層102の磁化に働く(高周波STTの効果)。
また、電子が金属層111に流れることでスピンホール効果によって偏極したスピンが第1の強磁性層102に注入され、スピン軌道相互作用によるトルクが第1の強磁性層102の磁化に働く(高周波SOTの効果)。
この2つのトルクが強め合う条件は、偏極方向が同じことであり、第2の強磁性層104の磁化の方向が金属層に流れる電子の方向に対して、反時計周りに90°傾いている時である。
第1の磁気抵抗効果素子の共鳴周波数を変えることができる周波数設定手段(機構)113をさらに備えることができる。
周波数設定手段によって磁化自由層の共鳴周波数を変えることで、磁気抵抗効果デバイスは周波数可変帯域遮断フィルタとして動作する。
(第5実施形態)
図13は、本発明の第5実施形態に係る磁気抵抗効果デバイス2000の模式図である。磁気抵抗効果デバイス2000において、第4実施形態の磁気抵抗効果デバイス1000と異なる点について主に説明し、共通する事項は適宜説明を省略する。第4実施形態の磁気抵抗効果デバイス1000と共通している要素は同じ符号を用いており、共通している要素の説明は省略する。磁気抵抗効果デバイス2000は、第4実施形態の磁気抵抗効果デバイス1000に対し、さらに、第2の磁気抵抗効果素子121を有する。第2の磁気抵抗効果素子121は第3の強磁性層122と、第2のスペーサ層123と、第4の強磁性層124を有する。磁気抵抗効果デバイス2000のその他の構成は、第1の実施形態の磁気抵抗効果デバイス1000と同じである。
第3の強磁性層及び第4の強磁性層は一方が磁化自由層、他方が磁化固定層である構成や両方が磁化自由層である構成であってもよいが、以下では、第3の強磁性層が磁化自由層(第2の磁化自由層)、第4の強磁性層が磁化固定層(第2の磁化固定層)の場合を例に説明する。
金属層111は第2の磁化自由層122、第2のスペーサ層123、第2の磁化固定層124、第1の電極107がこの順で配置され、積層体を成す。
<電極>
第1の電極107および金属層111は、一対の電極としての役目を有し、第2の磁気抵抗効果素子121を構成する各層の積層方向に第2の磁気抵抗効果素子121を介して配設されている。つまり、第1の電極107および金属層111は、信号(電流)を第2の磁気抵抗効果素子121に対して、構成する各層の面と交差する方向、例えば、構成する各層の面に対して垂直な方向(積層方向)に流すための一対の電極としての機能を有している。
<端子>
第2の磁気抵抗効果素子121は、一端(第2の磁化自由層122側)が金属層111を介して入力端子108、基準電位端子110に電気的に接続され、他端(第2の磁化固定層124側)が第1の電極107を介して出力端子9と印加端子6に電気的に接続されている。入力端子108から入力される高周波信号は基準電位端子110に流れるように金属層111は入力端子108と基準電位端子110に接続される。
第2の磁気抵抗効果素子121には磁気抵抗効果素子1と同様に高周波信号が流れることで、スピン偏極したスピン流が第2の磁化自由層122に注入されて、スピン軌道トルク共鳴が発生し、第2の磁気抵抗効果素子121の抵抗が振動し、第2の磁気抵抗効果素子121に印加する直流電流もしくは直流電圧によって交流信号を発生させる。第1の磁気抵抗効果素子101と第2の磁気抵抗効果素子121による交流信号が出力端子109に出力されるので、磁気抵抗効果デバイス2000の出力する信号強度が向上する。
さらに、上記態様にかかる磁気抵抗効果デバイス200は第1の磁化自由層102と第2の磁化自由層122の共鳴周波数が異なってもよい。
共鳴周波数は各磁化自由層の有効磁場によって変化する。第1の磁化自由層102と第2の磁化自由層122の共鳴周波数を異なるようにするには、例えば周波数設定機構が活用できる。磁気抵抗効果素子1と第2の磁気抵抗効果素子121の一方、または両方に周波数設定機構を設け、それぞれの有効磁場をずらすことで共鳴周波数が異なるように周波数を設定する。
または、磁気抵抗効果素子の素子サイズで共鳴周波数を変化させてもよい。磁気抵抗効果素子の素子サイズを変化させると、磁化自由層の形状磁気異方性が変化し、有効磁場が変化する。例えば第2の磁気抵抗効果素子121の素子サイズを磁気抵抗効果素子1よりも小さくすることでそれぞれの共鳴周波数が異なるように設定することができる。
第1の磁化自由層102と第2の磁化自由層122の共鳴周波数が異なることによって、第1の磁化自由層102と第2の磁化自由層122は入力した高周波信号のうち、異なる周波数で強く共鳴し、交流信号を出力端子109に出力するため、磁気抵抗効果デバイス2000は広帯域の帯域通過フィルタとして動作する。
このように、磁気抵抗効果デバイス2000は第2の磁気抵抗効果素子121を有し、第2の磁気抵抗効果素子121は第2の磁化自由層122と第2のスペーサ層123と第2の磁化固定層124とを有し、金属層111、第2の磁化自由層122、第2のスペーサ層123、第2の磁化固定層124、第1の電極107はこの順で配置され、第2の磁化固定層124は第1の電極107と電気的に接し、第2の磁化自由層122は基準電位端子110と電気的に接続されている。
したがって、複数の磁気抵抗効果素子の磁化自由層が高周波信号によって共鳴し、より大きな交流信号を発生させることで磁気抵抗効果デバイス2000の信号強度が向上する。
さらに、磁気抵抗効果デバイス2000は第1の磁化自由層102と第2の磁化自由層122の共鳴周波数が異なってもよい。
この場合、共鳴する周波数帯域を広げることができ、磁気抵抗効果デバイス2000は広帯域の帯域通過フィルタとして動作する。
(第6実施形態)
図14は、本発明の第6実施形態に係る磁気抵抗効果デバイス3000の模式図である。磁気抵抗効果デバイス3000において、第4実施形態の磁気抵抗効果デバイス1000と異なる点について主に説明し、共通する事項は適宜説明を省略する。第4実施形態の磁気抵抗効果デバイス1000と共通している要素は同じ符号を用いており、共通している要素の説明は省略する。磁気抵抗効果デバイス3000は、第4実施形態の磁気抵抗効果デバイス1000に対し、さらに、第3の磁気抵抗効果素子131と、第2の電極137とを有する。第3の磁気抵抗効果素子131は第5の強磁性層32と、第3のスペーサ層33と、第6の強磁性層34を有する。磁気抵抗効果デバイス3000のその他の構成は、第4実施形態の磁気抵抗効果デバイス1000と同じである。
第5の強磁性層及び第6の強磁性層は一方が磁化自由層、他方が磁化固定層である構成や両方が磁化自由層である構成であってもよいが、以下では、第5の強磁性層が磁化自由層(第3の磁化自由層)、第6の強磁性層が磁化固定層(第3の磁化固定層)の場合を例に説明する。
磁化自由層102、金属層111、第3の磁化自由層132、第3のスペーサ層133、第3の磁化固定層134、第2の電極137がこの順で配置され、積層体を成す。
第3の磁気抵抗効果素子131は、一端(第3の磁化自由層132側)が金属層111を介して入力端子108、基準電位端子110に電気的に接続され、他端(第3の磁化固定層134側)が第2の電極137を介して出力端子109と印加端子6に電気的に接続されている。入力端子108から入力される高周波信号は第3の領域35を介して基準電位端子110に流れるように金属層111は入力端子108と基準電位端子110に接続される。
第3の磁気抵抗効果素子131に直流電流もしくは直流電圧を印加するために、第2の電極137は印加端子136に接続される。
磁気抵抗効果素子101と第3の磁気抵抗効果素子131に印加する電流値を個別に調整するために、磁気抵抗効果デバイス3000は第2の印加端子136をさらに有し、第2の電極137は第2の印加端子136に接続されている。印加端子106に直流電流源112を接続し、第2の印加端子136に第2の直流電流源138を接続し、各直流電流源を制御することで各磁気抵抗効果素子に印加する直流電流を個別に調整することができる。また、第2の印加端子136に直流電流源112を接続し、第2の印加端子136と直流電流源112の間に可変抵抗を接続してもよく、可変抵抗の抵抗値を調整することでも各磁気抵抗効果素子に印加する直流電流を個別に調整することができる。
また、直流電流源の代わりに直流電圧源を接続し、各磁気抵抗効果素子に直流電圧を印加してもよい。
磁気抵抗効果デバイス3000の入力端子108に高周波信号を入力すると、高周波信号は金属層111を流れ、スピンホール効果が発生する。図14中の上方向に流れるスピン偏極したスピン流は磁化自由層102に注入され、さらに下方向に流れるスピン偏極したスピン流は第3の磁化自由層132に注入されることで、各磁化自由層にはスピン軌道トルクが作用する。これによって磁気抵抗効果素子101と第3の磁気抵抗効果素子131はそれぞれ交流信号を発生させ、出力端子109に出力されるので、磁気抵抗効果デバイス3000の信号強度が向上する。
磁気抵抗効果素子101と第3の磁気抵抗効果素子131とは積層方向で重なった位置で配しているが、ずれた位置に配置してもよい。入力端子108から入力される高周波信号は金属層111でスピンホール効果が発生し、金属層111の図14中の上方向と下方向にスピン偏極したスピン流が流れるため、効果的に磁化自由層102と第3の磁化自由層132の磁化にスピン軌道トルクを作用させることができる。
このように、磁気抵抗効果デバイス3000は第3の磁気抵抗効果素子131と、第2の電極137とを有し、第3の磁気抵抗効果素子131は第3の磁化自由層132と第3のスペーサ層133と第3の磁化固定層134とを有し、磁化自由層102、金属層111、第3の磁化自由層132、第3のスペーサ層133、第3の磁化固定層134、第2の電極137はこの順で配置され、第3の磁化固定層134は第2の電極137と電気的に接し、第2の電極137は出力端子109に接続され、第3の磁気抵抗効果素子131に直流電流、もしくは直流電圧を印加する手段を有する。
したがって、スピンホール効果によって金属層111の上下面にはスピン偏極したスピン流が流れ、上下面に流れるスピン流をそれぞれ磁気抵抗効果素子の磁化自由層に注入することで、より大きな交流信号を発生させ、磁気抵抗効果デバイス3000の信号強度が向上する。
第4実施形態から第6実施形態の磁気抵抗効果デバイスにおいて、含まれる複数の強磁性層の共鳴周波数のうち、少なくとも1つが他のものと異なっていてもよい。
この場合、強磁性層の共鳴周波数が異なることで、共鳴する周波数帯域を広げることができ、帯域通過フィルタの通過帯域が広がる。
第1実施形態から第6実施形態の磁気抵抗効果デバイスおよび、磁気抵抗効果モジュールを、高周波フィルタや増幅器として用いることができる。
(磁気抵抗効果モジュール)
本発明の磁気抵抗効果モジュールについて説明する。この磁気抵抗効果モジュールは第4実施形態から第6実施形態の磁気抵抗効果デバイスの少なくとも一つの磁気抵抗効果デバイスと、直流電流源を有する。直流電流源は直流電流印加端子に接続され、磁気抵抗効果素子に直流電流を印加する。
直流電流源の代わりに直流電圧源を接続し、磁気抵抗効果素子に直流電圧を印加してもよい。
また、磁気抵抗効果モジュールは複数の直流電流源を有してもよい。例えば、磁気抵抗効果モジュールは第6実施形態の磁気抵抗効果デバイス3000と、直流電流源112と、第2の直流電流源138を有し、直流電流源112は印加端子106と、第2の直流電流源138は第2の印加端子136と接続されてもよい。もしくは、磁気抵抗効果モジュールはさらに第2の直流電流源138を有し、直流電流源112は直流電流印加端子106に接続され、第2の直流電流源138は第2の直流電流印加端子136に接続されてもよい。
したがって、磁気抵抗効果モジュールでは、磁気抵抗効果デバイスに直流電流、もしくは直流電圧を印加し、帯域通過フィルタ、もしくは増幅器の機能を有する磁気抵抗効果モジュールとして機能する。
100…磁気抵抗効果デバイス、1…磁気抵抗効果素子、2…磁化自由層、3…スペーサ層、4…磁化固定層、5…領域、6…印加端子、7…電極、8…入力端子、9…出力端子、10…基準電位端子、11…金属層、12…直流電流源、13…磁場印加機構、200…磁気抵抗効果デバイス、21…第2の磁気抵抗効果素子、22…第2の磁化自由層、23…第2のスペーサ層、24…第2の磁化固定層、25…第2の領域、300…磁気抵抗効果デバイス、31…第3の磁気抵抗効果素子、32…第3の磁化自由層、33…第3のスペーサ層、34…第3の磁化固定層、35…第3の領域、36…第2の印加端子、37…第2の電極、38…第2の直流電流源、1000…磁気抵抗効果デバイス、101…磁気抵抗効果素子、102…磁化自由層、103…スペーサ層、104…磁化固定層、106…印加端子、107…電極、108…入力端子、109…出力端子、110…基準電位端子、111…金属層、112…直流電流源、113…磁場印加機構、2000…磁気抵抗効果デバイス、121…第2の磁気抵抗効果素子、122…第2の磁化自由層、123…第2のスペーサ層、124…第2の磁化固定層、3000…磁気抵抗効果デバイス、131…第3の磁気抵抗効果素子、132…第3の磁化自由層、133…第3のスペーサ層、134…第3の磁化固定層、136…第2の印加端子、137…第2の電極、138…第2の直流電流源

Claims (22)

  1. 第1の磁化自由層と第1の磁化固定層と第1のスペーサ層とを有する第1の磁気抵抗効果素子と、金属層と、第1の電極と、入力端子と、出力端子と、基準電位端子とを有し、
    前記金属層、前記第1の磁化自由層、前記第1のスペーサ層、前記第1の磁化固定層および前記第1の電極はこの順で配置され、
    前記第1の磁化固定層は前記第1の電極と電気的に接し、
    前記第1の電極は高周波信号を出力する出力端子に接続され、
    前記金属層は前記第1の磁化自由層の積層方向から見て重なる第1の領域を有し、
    前記入力端子から前記金属層に流れる高周波信号が前記第1の領域を介して、前記基準電位端子に流れるように、前記金属層は前記入力端子と前記基準電位端子に接続され、
    前記第1の磁気抵抗効果素子に直流電流、もしくは直流電圧を印加するための印加端子を備えることを特徴とする磁気抵抗効果デバイス。
  2. 前記第1の磁気抵抗効果素子のインピーダンスが前記金属層のインピーダンスよりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の磁気抵抗効果デバイス。
  3. 前記第1の磁気抵抗効果素子の共鳴周波数を変えることができる周波数設定機構をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の磁気抵抗効果デバイス。
  4. 第2の磁気抵抗効果素子を有し、
    前記第2の磁気抵抗効果素子は第2の磁化自由層と第2のスペーサ層と第2の磁化固定層とを有し、
    前記金属層、前記第2の磁化自由層、前記第2のスペーサ層、前記第2の磁化固定層、前記第1の電極はこの順で配置され、
    前記金属層は第2の磁化自由層の積層方向から見て重なる第2の領域を有し、
    前記入力端子から前記金属層に流れる高周波信号は前記第2の領域を介して、前記基準電位端子に流れるように、前記金属層は前記入力端子と前記基準電位端子に接続されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の磁気抵抗効果デバイス。
  5. 前記第1の磁化自由層と前記第2の磁化自由層の共鳴周波数が異なることを特徴とする請求項4に記載の磁気抵抗効果デバイス。
  6. 第2の電極と、第3の磁気抵抗効果素子とを有し、
    前記第3の磁気抵抗効果素子は第3の磁化自由層と第3のスペーサ層と第3の磁化固定層とを有し、
    前記第3の磁化固定層は前記第2の電極と電気的に接し、
    前記第1の磁化自由層、前記金属層、前記第3の磁化自由層、前記第3のスペーサ層、前記第3の磁化固定層、前記第2の電極はこの順で配置され、
    前記金属層は前記第3の磁化自由層の積層方向から見て重なる第3の領域を有し、
    前記入力端子から前記金属層に流れる高周波信号は前記第3の領域を介して、前記基準電位端子に流れるように、前記金属層は前記入力端子と前記基準電位端子に接続され、
    前記第2の電極は前記出力端子に接続され、
    前記第3の磁気抵抗効果素子に直流電流、もしくは直流電圧を印加するための手段を有することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の磁気抵抗効果デバイス。
  7. 請求項1から6のいずれか一項に記載の磁気抵抗効果デバイスと、
    直流電流源、もしくは直流電圧源を有し、
    前記印加端子に前記直流電流源、もしくは前記直流電圧源を接続した磁気抵抗効果モジュール。
  8. 請求項1から6のいずれか1項に記載の磁気抵抗効果デバイスを使用した高周波フィルタ。
  9. 前記第1の磁化自由層の磁化の方向と前記金属層に流れる高周波電流の方向との相対角が150度以上180度以下、もしくは0度以上30度以下であることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の磁気抵抗効果デバイス。
  10. 前記第1の磁化自由層の磁化の方向と前記第1の磁化固定層の磁化の方向との相対角が90度以上150度以下であることを特徴とする請求項9に記載の磁気抵抗効果デバイス。
  11. 第1の強磁性層と第2の強磁性層と第1のスペーサ層とを有する第1の磁気抵抗効果素子と、金属層と、第1の電極と、入力端子と、出力端子と、基準電位端子とを有し、
    前記第1の強磁性層、前記第1のスペーサ層、前記第2の強磁性層および前記第1の電極はこの順で配置され、
    前記第2の強磁性層は前記第1の電極と電気的に接し、前記第1の電極は高周波信号を出力する出力端子に接続され、
    前記入力端子から前記金属層に流れる高周波信号が前記基準電位端子に流れるように、前記金属層は前記入力端子と前記基準電位端子に接続され、前記第1の強磁性層は前記基準電位端子と電気的に接し、
    前記第1の磁気抵抗効果素子に直流電流、もしくは直流電圧を印加するための印加端子を備えることを特徴とする磁気抵抗効果デバイス。
  12. 前記入力端子と前記出力端子間のインピーダンスが前記入力端子と前記基準電位端子間のインピーダンスよりも高いことを特徴とする請求項11に記載の磁気抵抗効果デバイス。
  13. 前記入力端子から前記第1の磁気抵抗効果素子を介して、前記出力端子に高周波信号が流れるように前記磁性層1が前記金属層と電気的に接続され、第1の磁気抵抗効果素子の抵抗RMTJ、前記金属層の抵抗Rlead、特性インピーダンスZ0が式(1)を満たすことを特徴とする請求項11又は12のいずれかに記載の磁気抵抗効果デバイス。
  14. 前記金属層は前記磁性層1の積層方向から見て重なる第1の領域を有し、
    前記入力端子から前記金属層に流れる高周波電流のうち、前記磁性層1の前記第1の領域以外の第2の領域の電流密度が前記第1の領域の電流密度よりも大きいことを特徴とする請求項11又は12のいずれかに記載の磁気抵抗効果デバイス。
  15. 前記金属層がコンデンサを介して前記基準電位端子と接続されていることを特徴とする請求項11又は12のいずれかに記載の磁気抵抗効果デバイス。
  16. 前記金属層は前記第1の強磁性層の積層方向から見て重なる第1の領域を有し、
    前記入力端子から前記金属層に流れる高周波信号が前記第1の領域を介して、前記基準電位端子に流れるように、前記金属層は前記入力端子と前記基準電位端子に接続され、前記入力端子から入力される高周波電流が前記金属層が前記コンデンサと電気的に接続される接続点へ流れる方向に対して、前記第2の強磁性層の磁化の方向が反時計回りに90度傾いていることを特徴とする請求項15に記載の磁気抵抗効果デバイス。
  17. 前記第1の磁気抵抗効果素子の共鳴周波数を変えることができる周波数設定手段をさらに備えることを特徴とする請求項11から16のいずれか1項に記載の磁気抵抗効果デバイス。
  18. 第3の強磁性層と第4の強磁性層と第2のスペーサ層とを有する第2の磁気抵抗効果素子を有し、
    前記金属層、前記第3の強磁性層、前記第2のスペーサ層、前記第4の強磁性層および前記第1の電極はこの順で配置され、
    前記第4の強磁性層は前記第1の電極と電気的に接し、前記第3の強磁性層は前記基準電位端子と電気的に接することを特徴とする請求項11から17のいずれか1項に記載の磁気抵抗効果デバイス。
  19. 第2の電極と、第3の磁気抵抗効果素子とを有し、
    前記第3の磁気抵抗効果素子は第5の強磁性層層、第3のスペーサ層、第6の強磁性層を有し、
    前記金属層、前記第5の強磁性層、前記第2のスペーサ層、前記第6の強磁性層、前記第2の電極はこの順に配置され、
    前記第6の強磁性層は前記第2の電極と電気的に接し、
    前記第2の電極は前記出力端子に接続され、
    前記第3の磁気抵抗効果素子に直流電流、もしくは直流電圧を印加するための手段を有することを特徴とする請求項11から18のいずれか1項に記載の磁気抵抗効果デバイス。
  20. 前記第1の強磁性層、前記第2の強磁性層、前記第3の強磁性層、前記第4の強磁性層、前記第5の強磁性層、前記第6の強磁性層の共鳴周波数のうち、少なくとも1つが他のものと異なることを特徴とする請求項18又は19のいずれかに記載の磁気抵抗効果デバイス。
  21. 請求項11から20のいずれか1項に記載の磁気抵抗効果デバイスを使用した高周波フィルタ。
  22. 請求項11から20のいずれか1項に記載の磁気抵抗効果デバイスと、直流電流源、もしくは直流電圧源を有し、前記印加端子に前記直流電流源、もしくは前記直流電圧源を接続した磁気抵抗効果モジュール。
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