JP2022042734A - 磁気抵抗効果デバイス - Google Patents

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Abstract

【課題】出力特性に優れる磁気抵抗効果デバイスを提供する。【解決手段】磁気抵抗効果デバイス100は、複数のユニット10と、複数の信号線路20と、第1ポート30と、直流印加端子40と、を備える。複数のユニット10は、磁気抵抗効果素子11と高周波線路12と磁性体13とを備える。複数のユニットのそれぞれにおいて、第1部分12Aを流れる高周波電流に起因する高周波磁場は磁性体に印加される。磁性体13が生じる高周波磁場は磁気抵抗効果素子の第1強磁性層に印加される。磁気抵抗効果素子11の抵抗変化の正負の符号と磁気抵抗効果素子へ印加する直流電流の流れる方向である印加電流方向の正負の符号との積が正となる正ユニットの数と、抵抗変化の正負の符号と印加電流方向の正負の符号との積が負となる負ユニットの数と、が所定の条件を満たす。【選択図】図1

Description

本発明は、磁気抵抗効果デバイスに関する。
近年、携帯電話等の移動通信端末の高機能化に伴い、無線通信の高速化が進められている。通信速度は使用する周波数の帯域幅に比例するため、通信に必要な周波数バンドは増加している。それに伴い、移動通信端末に必要な高周波部品の搭載数も増加している。
近年、新しい高周波用部品に応用できる可能性のある分野として研究されているのがスピントロニクスである。その中で注目されている現象が、磁気抵抗効果素子による強磁性共鳴現象やスピントランスファートルクによる発振現象である。
例えば特許文献1には、スピントランスファートルクによる発振現象を利用した高周波デバイスである発振器が記載されている。高周波デバイスは、磁気抵抗効果デバイスの一例である。
特開2007-124340号公報
特許文献1に記載の発振器は、発振現象によって変化する磁気抵抗効果素子の抵抗と電流とを掛け合わせることで、高周波信号を出力している。しかしながら、特許文献1に記載の発振器は、出力特性が十分とは言えない。
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、出力特性に優れる磁気抵抗効果デバイスを提供することを目的とする。
複数の信号が重なり合う場合、複数の信号が重なり合った合成信号の振幅は、それぞれの信号の位相によって変化する。一般に、複数の信号の位相が揃うと合成信号の振幅は大きくなり、ずれると振幅は小さくなる。磁気抵抗効果デバイスにおいても、信号線路内を伝搬する信号が他の信号と重なり、合成信号を生み出す場合がある。それぞれの信号の位相が揃わないと、磁気抵抗効果デバイスの出力特性が十分得られない場合がある。上記課題を解決するため、以下の手段を提供する。
(1)第1の態様にかかる磁気抵抗効果デバイスは、磁気抵抗効果素子と、高周波線路と、磁性体と、をそれぞれ備える複数のユニットと、前記複数のユニットのそれぞれの前記磁気抵抗効果素子に接続され、異なるユニットの間をそれぞれ接続する複数の信号線路と、前記複数のユニットのいずれかから出力された信号が出力される第1ポートと、一つの直流印加端子又は複数の直流印加端子と、を備え、前記磁気抵抗効果素子は、第1強磁性層と、第2強磁性層と、前記第1強磁性層と前記第2強磁性層とに挟まれたスペーサ層と、を備え、前記複数のユニットのそれぞれの前記磁気抵抗効果素子は、前記一つの直流印加端子又は前記複数の直流印加端子のうちの一つと接続され、前記一つの直流印加端子又は前記複数の直流印加端子は、接続された前記磁気抵抗効果素子に直流電流又は直流電圧を印加するための電源を接続でき、前記高周波線路は、前記複数の信号線路のいずれかに繋がる第1部分を有し、前記磁気抵抗効果素子と離間し、前記複数の信号線路のそれぞれは、異なるユニットの前記磁気抵抗効果素子と前記第1部分とを繋ぎ、前記複数のユニットは、前記複数の信号線路によって環状に繋がり、前記複数のユニットのそれぞれにおいて、前記第1部分を流れる高周波電流に起因する高周波磁場は前記磁性体に印加され、前記磁性体が生じる高周波磁場は前記第1強磁性層に印加され、前記信号線路を介して繋がっている前記磁気抵抗効果素子と前記第1部分とにおいて、前記磁気抵抗効果素子から前記第1部分に向かう直流電流の流れ方向を第1電流方向とし、前記第1部分から前記磁気抵抗効果素子に向かう電流の流れ方向を第2電流方向とし、前記複数のユニットのそれぞれにおいて、前記磁気抵抗効果素子の抵抗値が、前記第1部分に対して直流電流が流れていない状態から前記第1電流方向に直流電流を流した際に、大きくなる場合の抵抗変化を正、小さくなる場合の抵抗変化を負とし、前記磁気抵抗効果素子に接続された前記直流印加端子から前記磁気抵抗効果素子に印加する直流電流の流れる方向である印加電流方向が、前記第2電流方向の場合を正、前記第1電流方向の場合を負とした際に、前記抵抗変化の正負の符号と前記印加電流方向の正負の符号との積が正となる正ユニットの数と、前記抵抗変化の正負の符号と前記印加電流方向の正負の符号との積が負となる負ユニットの数と、が一致する。
(2)上記態様にかかる磁気抵抗効果デバイスにおいて、前記複数のユニットの数が2つであり、一方のユニットは正ユニットであり、他方のユニットは負ユニットであってもよい。
(3)上記態様にかかる磁気抵抗効果デバイスにおいて、前記正ユニットと前記負ユニットとは、前記印加電流方向の正負が反対であってもよい。
(4)第2の態様にかかる磁気抵抗効果デバイスは、磁気抵抗効果素子と、高周波線路と、磁性体と、をそれぞれ備える複数のユニットと、前記複数のユニットのそれぞれの前記磁気抵抗効果素子に接続され、異なるユニットの間をそれぞれ接続する複数の信号線路と、前記複数のユニットのいずれかから出力された信号が出力される第1ポートと、一つの直流印加端子又は複数の直流印加端子と、を備え、前記磁気抵抗効果素子は、第1強磁性層と、第2強磁性層と、前記第1強磁性層と前記第2強磁性層とに挟まれたスペーサ層と、を備え、前記複数のユニットのそれぞれの前記磁気抵抗効果素子は、前記一つの直流印加端子又は前記複数の直流印加端子のうちの一つと接続され、前記一つの直流印加端子又は前記複数の直流印加端子は、接続された前記磁気抵抗効果素子に直流電流又は直流電圧を印加するための電源を接続でき、前記高周波線路は、前記複数の信号線路のいずれかに繋がる第1部分を有し、前記磁気抵抗効果素子と離間し、前記複数の信号線路のそれぞれは、異なるユニットの前記磁気抵抗効果素子と前記第1部分とを繋ぎ、前記複数のユニットは、前記複数の信号線路によって環状に繋がり、前記複数のユニットのそれぞれにおいて、前記第1部分を流れる高周波電流に起因する高周波磁場は前記磁性体に印加され、前記磁性体が生じる高周波磁場は前記第1強磁性層に印加され、前記信号線路を介して繋がっている前記磁気抵抗効果素子と前記第1部分とにおいて、前記磁気抵抗効果素子から前記第1部分に向かう直流電流の流れ方向を第1電流方向とし、前記第1部分から前記磁気抵抗効果素子に向かう電流の流れ方向を第2電流方向とし、前記複数のユニットのそれぞれにおいて、前記磁気抵抗効果素子の抵抗値が、前記第1部分に対して直流電流が流れていない状態から前記第1電流方向に直流電流を流した際に、大きくなる場合の抵抗変化を正、小さくなる場合の抵抗変化を負とし、前記磁気抵抗効果素子に接続された前記直流印加端子から前記磁気抵抗効果素子に印加する直流電流の流れる方向である印加電流方向が、前記第2電流方向の場合を正、前記第1電流方向の場合を負とした際に、前記抵抗変化の正負の符号と前記印加電流方向の正負の符号との積が正となる正ユニットの数、又は、前記抵抗変化の正負の符号と前記印加電流方向の正負の符号との積が負となる負ユニットの数、が4の倍数である。
(5)上記態様にかかる磁気抵抗効果デバイスにおいて、前記複数のユニットのうちのいくつかの前記磁性体は互いに繋がっており、それぞれの前記第1部分から繋がった前記磁性体に印加される高周波磁場のうち最も大きい高周波磁場は、繋がった前記磁性体の異なる部分に印加されてもよい。
上記態様にかかる磁気抵抗効果デバイスは、出力特性に優れる。
第1実施形態にかかる磁気抵抗効果デバイスの回路構成を模式的に示す図である。 第1実施形態にかかる磁気抵抗効果デバイスの特徴部分の拡大図である。 第1実施形態に係る磁気抵抗効果デバイスの動作を説明するための図である。 第1実施形態に係る磁気抵抗効果デバイスのそれぞれのユニットのS21パラメータの周波数依存性を示す図である。 第1実施形態に係る磁気抵抗効果デバイスのそれぞれのユニットのノイズの周波数依存性を示す図である。 磁性体又は第1強磁性層に印加される高周波磁場の位相と、磁性体の磁化の振動及び第1強磁性層の磁化の振動の位相と、の関係を示す。 第1部分に対して第1電流方向に直流電流を流した際に生じる磁性体の磁化及び第1強磁性層の磁化の変化の挙動の第1の例を示す図である。 第1電流方向に直流電流を流した際に生じる磁性体の磁化及び第1強磁性層の磁化の変化の挙動の第2の例を示す図である。 第1変形例にかかる磁気抵抗効果デバイスの回路構成を模式的に示す図である。 第2変形例にかかる磁気抵抗効果デバイスの回路構成を模式的に示す図である。 第3変形例にかかる磁気抵抗効果デバイスの回路構成を模式的に示す図である。 第4変形例にかかる磁気抵抗効果デバイスの回路構成を模式的に示す図である。 第5変形例にかかる磁気抵抗効果デバイスの回路構成を模式的に示す図である。 第6変形例にかかる磁気抵抗効果デバイスの回路構成を模式的に示す図である。 第7変形例にかかる磁気抵抗効果デバイスの回路構成を模式的に示す図である。 第7変形例にかかる磁気抵抗効果デバイスにおいて、第1部分に対して第1電流方向に直流電流を流した際の磁性体の磁化及び第1強磁性層の磁化の変化の挙動を示す図である。 第8変形例にかかる磁気抵抗効果デバイスの回路構成を模式的に示す図である。 第9変形例にかかる磁気抵抗効果デバイスの回路構成を模式的に示す図である。 第10変形例にかかる磁気抵抗効果デバイスの回路構成を模式的に示す図である。 第2実施形態にかかる磁気抵抗効果デバイスの回路構成を模式的に示す図である。 第2実施形態の別の例にかかる磁気抵抗効果デバイスの回路構成を模式的に示す図である。 第11変形例にかかる磁気抵抗効果デバイスの回路構成を模式的に示す図である。 第12変形例にかかる磁気抵抗効果デバイスの回路構成を模式的に示す図である。
以下、磁気抵抗効果デバイスについて、図を適宜参照しながら詳細に説明する。以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などは実際とは異なっていることがある。以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、本発明の効果を奏する範囲で適宜変更して実施することが可能である。
「第1実施形態」
図1は、第1実施形態にかかる磁気抵抗効果デバイスの回路構成を示す図である。磁気抵抗効果デバイス100は、複数のユニット10と複数の信号線路20と第1ポート30と複数の直流印加端子40を備える。
図1に示す磁気抵抗効果デバイス100は、ユニット10が二つである。ユニット10の数は、後述する所定の条件を満たせば、問わない。ユニット10のそれぞれは、信号線路20によって環状に接続されている。磁気抵抗効果デバイス100は、フィードバックの信号経路を形成している。磁気抵抗効果デバイス100は、第1ポート30から高周波信号を外部に出力する。磁気抵抗効果デバイス100は、例えば、直流印加端子40のそれぞれに電源90が接続されて動作する。
(ユニット)
ユニット10はそれぞれ、例えば、磁気抵抗効果素子11と高周波線路12と磁性体13と分岐部15と周波数設定部16とを有する。
<磁気抵抗効果素子>
磁気抵抗効果素子11は、信号線路20と線路92とにそれぞれ接続されている。信号線路20と線路92はそれぞれ、磁気抵抗効果素子11の積層方向の異なる面に接続されている。例えば、信号線路20は上部電極11Aに接続され、線路92は下部電極11Bに接続される。磁気抵抗効果素子11が積層方向における両端面に電極を有すると、各線路と磁気抵抗効果素子11との接触が面になる。その結果、磁気抵抗効果素子11の面内方向いずれの位置においても、信号(電流)の流れが積層方向に沿い、磁気抵抗効果素子11への通電性が高まる。
線路92は、基準電位端子91に接続される。基準電位端子91は基準電位に接続され、磁気抵抗効果デバイス100の基準電位を決める。図1における基準電位は、グラウンドGDである。グラウンドGDは磁気抵抗効果デバイス100の外部に設けられてもよい。基準電位は、グラウンドGD以外でもよい。
磁気抵抗効果素子11は、第1強磁性層1と第2強磁性層2とスペーサ層3とを備える。スペーサ層3は、第1強磁性層1と第2強磁性層2との間に位置する。第1強磁性層1は、第2強磁性層2より高周波線路12の近くにある。以下、第1強磁性層1、第2強磁性層2及びスペーサ層3の積層方向を単に「積層方向」という場合がある。
第1強磁性層1は、例えば、磁化自由層(第1の磁化自由層)である。第2強磁性層2は、例えば、磁化固定層又は磁化自由層(第2の磁化自由層)である。磁化自由層は、所定の外力が印加された際に磁化の向きが変化する磁性体からなる層であり、磁化固定層は、所定の外力が印加された際に磁化の向きが磁化自由層よりも変化しにくい磁性体からなる層である。所定の外力は、例えば外部磁場により磁化に印加される外力や、スピン偏極電流により磁化に印加される外力である。例えば、磁化固定層の保磁力は磁化自由層の保磁力よりも大きい。磁化固定層の磁化の方向としては、一例として、後述する高周波線路12の第1部分12Aの延在方向(第1部分12Aの内部を高周波電流が流れる方向)に平行な方向や垂直な方向が挙げられる。磁気抵抗効果素子11は、第1強磁性層1の磁化の向きと第2強磁性層2の磁化の向きとの相対角の変化に応じて、積層方向の抵抗値(積層方向に電流を流した場合の抵抗値)が変化する。第2強磁性層2の磁化の向きに対する第1強磁性層1の磁化の向きの相対角が変化すれば、第2強磁性層2は磁化固定層でも磁化自由層でもよい。
第1強磁性層1及び第2強磁性層2は、強磁性体を含む。例えば第1強磁性層1及び第2強磁性層2は、Cr、Mn、Co、Fe、Ni等の金属、または、これらの金属元素を1種以上含む合金を構成材料として用いることができる。また上記の金属元素と、B、C及びNから選択される少なくとも1種以上の元素と、の合金を用いてもよい。例えば、第1強磁性層1及び第2強磁性層2は、磁化自由層として機能する場合にはCoFeB合金を主成分として有するようにしてもよい。
また第1強磁性層1及び第2強磁性層2は、XYZまたはXYZの化学組成で表される金属間化合物(ホイスラー合金)でもよい。Xは周期表上でCo、Fe、Ni又はCuの族の遷移金属元素または貴金属元素である。YはMn、V、Cr又はTiの族の遷移金属またはXで表記される元素である。ZはIII族からV族の典型元素である。例えば、CoFeSi、CoMnSi、CoMn1-aFeAlSi1-b(0≦a≦1、0≦b≦1)等が、ホイスラー合金として知られている。
第2強磁性層2が磁化固定層として機能するように、第2強磁性層2に接するように強磁性層を付加し、第2強磁性層と強磁性層とを磁化結合させてもよい。また、結晶構造、形状などに起因する磁気異方性を利用して第2強磁性層2の磁化を固定してもよい。強磁性層には、FeO、CoO、NiO、CuFeS、IrMn、FeMn、PtMn、CrまたはMnなどを用いることができる。
スペーサ層3は、第1強磁性層1と第2強磁性層2との間に配置される非磁性層である。スペーサ層3は、導電体、絶縁体もしくは半導体によって構成される層、又は、絶縁体中に導体によって構成される通電点を含む層で構成される。
例えば、スペーサ層3が絶縁体からなる場合は、磁気抵抗効果素子11はトンネル磁気抵抗(TMR:Tunnel Magnetoresistance)効果素子となり、スペーサ層3が金属からなる場合は巨大磁気抵抗(GMR:Giant Magnetoresistance)効果素子となる。
スペーサ層3が絶縁材料で構成される場合、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化チタン又は酸化シリコン等の材料を用いることができる。第1強磁性層1と第2強磁性層2との間に高いTMR効果が発現するようにスペーサ層3の膜厚を調整することで、高い磁気抵抗変化率が得られる。TMR効果を効率よく利用するためには、スペーサ層3の膜厚は、0.5~10.0nm程度としてもよい。
スペーサ層3を非磁性導電材料で構成する場合、Cu、Ag、Au又はRu等の導電材料を用いることができる。GMR効果を効率よく利用するためには、スペーサ層3の膜厚は、0.5~3.0nm程度としてもよい。
スペーサ層3を非磁性半導体材料で構成する場合、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化錫、酸化ゲルマニウム、酸化ガリウム又はITO等の材料を用いることができる。この場合、スペーサ層3の膜厚は1.0~4.0nm程度としてもよい。
スペーサ層3として非磁性絶縁体中の導体によって構成される通電点を含む層を適用する場合、酸化アルミニウムまたは酸化マグネシウムによって構成される非磁性絶縁体中に、CoFe、CoFeB、CoFeSi、CoMnGe、CoMnSi、CoMnAl、Fe、Co、Au、Cu、AlまたはMgなどの導体によって構成される通電点を含む構造とすることが好ましい。この場合、スペーサ層3の膜厚は、0.5~2.0nm程度としてもよい。
磁気抵抗効果素子11は、その他の層を有してもよい。例えば、磁気抵抗効果素子11は、第2強磁性層2の第1強磁性層1と反対側の面に、シード層又はバッファ層を有してもよい。また磁気抵抗効果素子11は、第1強磁性層1の第2強磁性層2と反対側の面に、キャップ層を有してもよい。キャップ層、シード層またはバッファ層としては、MgO、W、Mo、Ru、Ta、Cu、Crまたはこれらの積層膜などが挙げられる。これらの層の膜厚は、それぞれ2~10nm程度としてもよい。
磁気抵抗効果素子11と各端子は、線路によって接続されている。線路の形状は、マイクロストリップライン(MSL)型やコプレーナウェーブガイド(CPW)型に規定してもよい。マイクロストリップライン(MSL)型やコプレーナウェーブガイド(CPW)型に設計する場合、線路の特性インピーダンスと、回路系のインピーダンスとが等しくなるように、線路幅や線路とグラウンドとの間の距離を設計してもよい。このように設計することによって線路の伝送損失を抑えることができる。
<高周波線路>
高周波線路12は、信号線路20と第1ポート30又は基準電位端子95とを繋ぐ線路である。図1に示す一方のユニット10Aの高周波線路12は、信号線路20と第1ポート30とを繋ぎ、他方のユニット10Bの高周波線路12は、信号線路20と基準電位端子95とを繋ぐ。図1において、高周波線路12が第1ポート30に繋がるユニット10をユニット10Aと称し、高周波線路12が基準電位端子95に繋がるユニット10をユニット10Bと称する。複数のユニット10の高周波線路12は、いずれも第1ポート30に接続されていてもよい。信号線路20と高周波線路12とは、連続な一体物でもよい。
高周波線路12は、第1部分12Aを有する。図2は、第1実施形態にかかる磁気抵抗効果デバイス100の特徴部分の拡大図である。第1部分12Aは、磁気抵抗効果素子11及び磁性体13の近傍に位置する。第1部分12Aは、磁気抵抗効果素子11及び磁性体13と積層方向に離間して配置されている。第1部分12Aと磁気抵抗効果素子11との間、第1部分12Aと磁性体13との間には、例えば、絶縁体がある。第1部分12Aは、磁性体13を挟んで高周波線路12を見た際に、高周波線路12と磁性体13とが重なる部分である。例えば、図2に示す第1部分12Aは、磁気抵抗効果素子11の積層方向から見て、高周波線路12と磁性体13とが重なる部分である。第1部分12Aと磁性体13とは離間していなくてもよい。
ユニット10から出力された高周波信号は、信号線路20に沿って伝わり、高周波線路12へ至る。高周波線路12の内部には、高周波電流が流れる。第1部分12Aを流れる高周波電流に起因する高周波磁場は、磁性体13に印加される。第1部分12Aは、内部を流れる高周波電流が生み出す高周波磁場を磁性体13に印加できる位置に配置されている。磁性体13の磁化は、磁性体13に印加された高周波磁場の周波数が、磁性体13の強磁性共鳴周波数の近傍の場合に大きく振動する。この現象が、強磁性共鳴現象である。
第1部分12Aの信号の伝送方向と直交する断面積は、信号線路20の断面積より小さくてもよい。例えば、第1部分12Aの幅は信号線路20の幅より狭くてもよく、第1部分12Aの厚みは信号線路20の厚みより狭くてもよい。第1部分12Aの電流密度を高めることで、磁性体13に印加される高周波磁場の強度を大きくできる。
<磁性体>
磁性体13は、磁気抵抗効果素子11及び高周波線路12と離間して配置されている。磁性体13と高周波線路12との間及び磁性体13と磁気抵抗効果素子11との間には、例えば、絶縁体がある。磁性体13は、磁気抵抗効果素子11と共に高周波線路12を挟む位置にあってもよく、磁気抵抗効果素子11と高周波線路12との間にあってもよい。図1に示す磁気抵抗効果デバイスは、磁性体13が磁気抵抗効果素子11と共に高周波線路12を挟む位置にある。磁性体13と高周波線路12とは離間していなくてもよい。
磁性体13は、軟磁性体を含む。磁性体13は、例えば、絶縁性を有する磁性体である。磁性体13は、例えば、フェライト等のセラミックスである。磁性体13は、例えば、希土類鉄ガーネット(RIG)である。イットリウム鉄ガーネット(YIG)は、希土類鉄ガーネット(RIG)の一例である。磁性体13は、例えば、パーマロイ等の金属でもよい。
磁性体13には、第1部分12Aで生じた高周波磁場が印加される。磁性体13は、第1部分12Aで生じる高周波磁場を印加できる位置にある。また磁性体13の磁化は、第1部分12Aで生じた高周波磁場を受けて振動し、高周波磁場を生み出す。磁性体13で生じた高周波磁場は、磁気抵抗効果素子11の第1強磁性層1に印加される。磁性体13は、磁性体13で生じた高周波磁場を第1強磁性層1に印加できる位置にある。
<分岐部>
分岐部15は、信号線路20と線路93とが接続される接続点を含む部分である。分岐部15は、例えば、インダクタLとコンデンサCとを有する。インダクタLは、電流の高周波成分をカットし、電流の不変成分を通す。コンデンサCは、電流の高周波成分を通し、電流の不変成分をカットする。インダクタLは高周波電流の流れを抑制したい部分に配設し、コンデンサCは直流電流の流れを抑制したい部分に配設する。インダクタLは、線路93上にあれば、分岐部15に無くてもよい。また直流印加端子40に接続される電源90が、電流の高周波成分をカットすると同時に、電流の不変成分を通す機能を有する場合、インダクタLは無くても良い。コンデンサCは、信号線路20と線路93とが接続される接続点と第1部分12Aとの間にあれば、分岐部15に無くてもよい。
インダクタLは、磁気抵抗効果素子11から出力された高周波電流が、電源90に至ることを抑制する。インダクタLには、チップインダクタ、パターン線路によるインダクタ、インダクタ成分を有する抵抗素子等を用いることができる。インダクタLのインダクタンスは、例えば10nH以上としてもよい。コンデンサCには、公知のものを用いることができる。
<周波数設定部>
周波数設定部16は、磁性体13に静磁場である外部磁場を印加する。周波数設定部16は、磁性体13の近傍に設けられる。磁性体13の強磁性共鳴周波数は外部磁場によって変化する。強磁性共鳴周波数は、例えば1~100GHzである。周波数設定部16は、磁性体13の強磁性共鳴周波数を設定する。磁気抵抗効果デバイス100が出力する信号の周波数は、磁性体13の強磁性共鳴周波数により変動する。つまり、周波数設定部16は、磁気抵抗効果デバイス100の出力信号の周波数を設定できる。
図1では、周波数設定部16が磁性体13の膜面方向に平行な方向にあり、磁性体13に外部磁場を磁性体13の膜面方向と平行な方向に印加する例を示しているが、磁性体13の膜面方向に垂直な方向の成分を有する外部磁場を、磁性体13に印加するようにしても良い。
周波数設定部16は、例えば、電圧又は電流のいずれかにより印加磁場強度を可変制御できる電磁石型又はストリップライン型の磁場印加部である。また周波数設定部16は、例えば、印加磁場強度を可変制御できる電磁石型又はストリップライン型の磁場印加部と、一定磁場のみを供給する永久磁石と、が組み合わされていてもよい。
また周波数設定部16は、電場を印加する電場印加部でもよい。電場印加部により磁性体13に印加される電場を変化させると、磁性体13における異方性磁場が変化し、磁性体13に印加される有効磁場が変化する。そして、磁性体13の強磁性共鳴周波数が設定される。
また周波数設定部16は、圧電体と電場印加部とを組み合わせたものでもよい。磁性体13の近傍に圧電体を設け、その圧電体に電場を印加する。電場が印加された圧電体は変形し、磁性体13を歪ませる。磁性体13が歪むと、磁性体13における異方性磁場が変化し、磁性体13における有効磁場が変化する。そして、磁性体13の強磁性共鳴周波数が設定される。
また周波数設定部16は、反強磁性体又はフェリ磁性体である電気磁気効果を有する制御膜と、制御膜に磁場を印加する磁場印加部と、制御膜に電場を印加する電場印加部を有してもよい。磁性体13と磁気的に結合するように設けられた制御膜に電場及び磁場を印加する。制御膜に印加する電場及び磁場の少なくとも一方を変化させると、磁性体13における交換結合磁場が変化し、磁性体13における有効磁場が変化する。そして、磁性体13の強磁性共鳴周波数が設定される。
また磁性体13の強磁性共鳴周波数が所望の周波数である場合は、周波数設定部16を有さなくてもよい。
(信号線路)
信号線路20はそれぞれ、異なるユニット10の磁気抵抗効果素子11と第1部分12Aとを繋ぐ。以下、ユニット10Aの磁気抵抗効果素子11に接続された信号線路20を信号線路20Aと称し、ユニット10Bの磁気抵抗効果素子11に接続された信号線路20を信号線路20Bと称する。信号線路20Aは、ユニット10Aの磁気抵抗効果素子11とユニット10Bの第1部分12Aとを繋ぐ。信号線路20Bは、ユニット10Bの磁気抵抗効果素子11とユニット10Aの第1部分12Aとを繋ぐ。
(第1ポート)
第1ポート30は、信号線路20又は高周波線路12に接続される。図1に示す第1ポート30は、ユニット10Aの高周波線路12に接続されている。第1ポート30は、ユニット10Aから出力された信号を出力する。第1ポート30は、磁気抵抗効果素子11の抵抗値の変化に応じて磁気抵抗効果素子11から出力される高周波信号を外部に出力する。第1ポート30は、磁気抵抗効果デバイス100の出力端子である。第1ポート30は、一つに限られず、複数のユニット10のそれぞれに接続されていてもよい。
(直流印加端子)
直流印加端子40は、電源90に接続される端子である。図1に示す磁気抵抗効果デバイス100は、直流印加端子40を複数有する。直流印加端子40のそれぞれは、それぞれのユニット10の線路93に接続されている。線路93は、分岐部15において、信号線路20に接続されている。
直流印加端子40は、磁気抵抗効果素子11の積層方向に直流電流又は直流電圧を印加する電源に接続される。本明細書において直流電流とは、時間によって方向が変化しない電流であり、時間によって大きさが変化する電流を含む。また、直流電圧とは、時間によって極性が変化しない電圧であり、時間によって大きさが変化する電圧も含む。
電源90は、磁気抵抗効果デバイス100の外部に設けられてもよい。電源90は、公知の物を用いることができる。電源90は直流電流源でも、直流電圧源でもよい。電源90は、一定の直流電流を発生可能な直流電流源でも、一定の直流電圧を発生可能な直流電圧源でもよい。また、電源90は、発生する直流電流値の大きさが変化可能な直流電流源でもよく、発生する直流電圧値の大きさが変化可能な直流電圧源でもよい。磁気抵抗効果素子11に印加される電流の電流密度は、磁気抵抗効果素子11の発振閾値電流密度よりも小さいことが好ましい。磁気抵抗効果素子11の発振閾値電流密度とは、この値以上の電流密度の電流が印加されることにより、磁気抵抗効果素子11の第1強磁性層1の磁化が一定周波数及び一定の振幅で歳差運動を開始し、磁気抵抗効果素子11が発振する(磁気抵抗効果素子11の出力(抵抗値)が一定周波数及び一定の振幅で変動する)閾値の電流密度のことである。
図1に示す磁気抵抗効果デバイス100は、ユニット10Aとユニット10Bとで、電源90から磁気抵抗効果素子11に印加される直流電流の方向が異なる。それぞれのユニット10における磁気抵抗効果素子11に印加する直流電流の流れる方向である印加電流方向の詳細については、後述する。
<磁気抵抗効果デバイスの動作>
図3は、第1実施形態にかかる磁気抵抗効果デバイス100の動作を説明するための模式図である。
まずいずれかの信号線路20に高周波信号である最初の信号Ssが流れる。図3は、信号線路20Bに最初の信号Ssが生じた例である。高周波信号は、例えば、100MHz以上の周波数を有する信号である。高周波信号は信号線路20B内を高周波電流として流れる。最初の信号Ssは、例えば、ノイズである。ノイズは、例えば、電源90をオンにした際に生じる。信号Ssは、ユニット10Aの第1部分12Aを伝わり、第1ポート30に至る。ユニット10Aの第1部分12Aを通過する信号Ssは、高周波磁場HA1を生じる。
高周波磁場HA1は、磁性体13に印加される。磁性体13の磁化は、高周波磁場HA1を受けて振動する。磁性体13の磁化は、高周波磁場HA1が磁性体13の強磁性共鳴周波数の近傍の周波数の信号を含む場合に、その周波数で大きく振動する。磁性体13の磁化の振動は、高周波磁場HA2を生じる。高周波磁場HA2は、磁気抵抗効果素子11の第1強磁性層1に印加される。
第1強磁性層1の磁化は、高周波磁場HA2を受けて振動する。磁気抵抗効果素子11の抵抗値は、第1強磁性層1の磁化の振動により変化する。電源90は、磁気抵抗効果素子11に直流電流を印加する。直流電流は、磁気抵抗効果素子11の積層方向に流れる。直流電流は、線路92を通りグラウンドGDへ流れる。磁気抵抗効果素子11の電位は、オームの法則に従い変化する。磁気抵抗効果素子11の電位の変化(抵抗値の変化)に応じて高周波信号である信号SgAが生じる。信号SgAは、磁気抵抗効果素子11から信号線路20Aに出力される。
信号SgAは、ユニット10Bに入力される。ユニット10Bの動作は、ユニット10Aの動作と同様である。信号SgAは、高周波磁場HB1を生じ、高周波磁場HB1が印加された磁性体13は高周波磁場HB2を生じる。高周波磁場HB2は、ユニット10Bの第1強磁性層1に印加される。ユニット10Bは、信号SgBを信号線路20Bに出力する。
信号SgBは、ユニット10Aの第1部分12Aを通過し、高周波磁場HA1を生じる。高周波磁場HA1は、磁性体13に印加され、磁性体13の磁化の振動は、高周波磁場HA2を生じる。高周波磁場HA2は、ユニット10Aの第1強磁性層1に印加される。第1強磁性層1の磁化が振動することで、磁気抵抗効果素子11の電位が変化(抵抗値の変化)し、高周波信号である信号SgAが生じる。磁気抵抗効果デバイス100は、このサイクルを繰り返す。
図4は、それぞれのユニット10のS21パラメータ(以下、S21と称する)の周波数依存性を示す図である。図4の横軸は、それぞれのユニット10の第1部分12Aを流れる信号の周波数であり、縦軸はS21である。S21は、入力信号と出力信号との比である。入力信号は、それぞれのユニット10の第1部分12Aを通過する信号である。出力信号は、それぞれのユニット10の磁気抵抗効果素子11から出力される信号である。S21は、[S21(dB)]=10×log10([出力信号強度]/[入力信号強度])で表される。以下、各ユニット10において第1部分12Aを通過する入力信号(例えば、信号SgB)と磁気抵抗効果素子11から出力される出力信号(例えば、信号SgA)との比を、第1Sパラメータ(第1部分12A及び磁気抵抗効果素子11のS21)と称する。
S21は、磁気抵抗効果素子11の抵抗変化が大きいと、大きくなる。磁気抵抗効果素子11の抵抗変化は、第1強磁性層1の磁化が大きく振動すると大きくなる。第1強磁性層1の磁化は、磁性体13の強磁性共鳴周波数f13の近傍又は第1強磁性層1の強磁性共鳴周波数fの近傍の周波数で大きく振動する。これに対し、第1強磁性層1の磁化は、これらの強磁性共鳴周波数f13、fの近傍から外れた周波数ではあまり振動しない。そのため、S21は、磁性体13の強磁性共鳴周波数f13の近傍又は第1強磁性層1の強磁性共鳴周波数fの近傍の周波数で大きくなる。
第1強磁性層1の磁化が磁性体13の強磁性共鳴周波数f13の近傍の周波数で大きく振動する理由は、高周波磁場HA2、HB2が磁性体13の強磁性共鳴周波数f13の近傍で大きくなるためである。高周波磁場HA2、HB2は、磁性体13の磁化の振動により生じる。磁性体13の磁化は強磁性共鳴周波数の近傍で大きく振動し、強磁性共鳴周波数の近傍から外れた周波数ではあまり振動しない。そのため、高周波磁場HA2、HB2は、磁性体13の強磁性共鳴周波数f13の近傍で大きくなる。第1強磁性層1の磁化は、高周波磁場HA2、HB2によって振動する。
第1強磁性層1の磁化が第1強磁性層1の強磁性共鳴周波数fの近傍の周波数で大きく振動する理由は、第1強磁性層1の磁化が共振するためである。
図5は、それぞれのユニット10のノイズの周波数依存性を示す図である。図5の横軸は、第1部分12Aを流れる信号の周波数であり、縦軸はノイズの大きさである。図5に示すように、それぞれのユニット10のノイズは、第1強磁性層1の強磁性共鳴周波数fの近傍の周波数で大きくなる。これに対し、磁性体13の強磁性共鳴周波数f13の近傍の周波数では、それぞれのユニット10のノイズは大きくならない。
図6は、磁性体13又は第1強磁性層1に印加される高周波磁場の位相と、磁性体13の磁化の振動及び第1強磁性層1の磁化の振動の位相と、の関係を示す。図6の横軸は、磁性体13又は第1強磁性層1に印加される高周波磁場の周波数であり、縦軸は磁性体13又は第1強磁性層1に印加される高周波磁場の位相と、磁性体13の磁化の振動又は第1強磁性層1の磁化の振動の位相と、の位相差Δθである。
磁性体に入力される高周波磁場の位相と磁性体の磁化の振動の位相とは、その磁性体の強磁性共鳴周波数より十分小さい周波数域で一致し(Δθ=0°)、強磁性共鳴周波数でπ/2ずれ(Δθ=90°)、強磁性共鳴周波数より十分大きい周波数域でπずれる(Δθ=180°)。図6に示すように、磁性体13の磁化の振動の位相は、印加される高周波磁場HA1、HB1の周波数が、強磁性共鳴周波数f13より十分小さい場合に一致し(Δθ=0°)、強磁性共鳴周波数f13の近傍の場合にπ/2ずれ(Δθ=90°)、強磁性共鳴周波数f13より十分大きい場合にπずれる(Δθ=180°)。同様に図6に示すように、第1強磁性層1の磁化の振動の位相は、高周波磁場HA2、HB2の周波数が強磁性共鳴周波数fより十分小さい場合に一致し(Δθ=0°)、強磁性共鳴周波数fの近傍の場合にπ/2ずれ(Δθ=90°)、強磁性共鳴周波数fより十分大きい場合にπずれる(Δθ=180°)。
ここで、それぞれのユニット10の入力信号と出力信号との位相の関係を、入力信号が、強磁性共鳴周波数f13の近傍の周波数の場合を例に説明する。
入力信号は、第1部分12Aを通過する信号であり、高周波磁場HA1、HB1を生み出す。入力信号の位相と高周波磁場HA1、HB1の位相とは一致する。高周波磁場HA1、HB1は、磁性体13に印加される。磁性体13の磁化は、高周波磁場HA1、HB1を受けて振動する。磁性体13の磁化の振動は、図6に示すように、高周波磁場HA1、HB1の位相に対してπ/2ずれる。
磁性体13の磁化の振動は、高周波磁場HA2、HB2を生じる。高周波磁場HA2、HB2は、磁気抵抗効果素子11の第1強磁性層1に印加される。第1強磁性層1に印加される高周波磁場HA2、HB2の周波数は、磁性体13の強磁性共鳴周波数f13の近傍の周波数である。高周波磁場HA2、HB2は、第1強磁性層1に印加される。第1強磁性層1の磁化は、高周波磁場HA2、HB2を受けて振動する。第1強磁性層1の磁化の振動の位相は、図6に示すように、強磁性共鳴周波数f13の近傍の周波数を有する高周波磁場HA2、HB2の位相と一致する(Δθ=0°)。
磁気抵抗効果素子11の抵抗値は、第1強磁性層1の磁化の振動により変化し、それぞれのユニット10は出力信号を出力する。すなわち、それぞれのユニット10からの出力信号の位相は、入力信号に対してπ/2(Δθ=90°)ずれる。
出力信号の位相が、それぞれのユニット10の構成によって、入力信号の位相に対してπ/2進む、又は、π/2遅れる。以下、出力信号の位相が入力信号の位相に対してπ/2進むユニット10を正ユニット、出力信号の位相が入力信号の位相に対してπ/2遅れるユニット10を負ユニットと称する。
正ユニットまたは負ユニットを規定する要素は2つある。第1の要素は、所定の条件における磁気抵抗効果素子11の抵抗変化である。第2の要素は、磁気抵抗効果素子11へ印加する直流電流の流れる方向(印加電流方向)である。
まず第1の要素について説明する。所定の条件とは、直流電流が流れていない状態から第1部分12Aに対して第1電流方向に直流電流を流すことである。第1電流方向は、磁気抵抗効果素子11から第1部分12Aに向かう直流電流の流れ方向である。第1電流方向は、第1部分12Aにおいては、信号線路20との接続点から第1ポート30又は基準電位端子95へ向かう方向である。実際の動作において第1部分12Aには直流電流は流れなくてもよいため、この直流電流は仮想的に印加すればよい。第1の要素では、第1部分12Aに対して第1電流方向に直流電流を印加した際に、磁気抵抗効果素子11の抵抗値が大きくなるか小さくなるかを検討する。
図7は、第1部分12Aに対して第1電流方向に直流電流を流した際に生じる磁性体13の磁化M13及び第1強磁性層1の磁化Mの変化の挙動の第1の例を示す図である。図7において、図1の紙面奥から手前に向かう方向を+y方向、手前から奥に向かう方向を-y方向、磁気抵抗効果素子11の積層方向をz方向、±y方向及びz方向と直交する方向をx方向と称する。
図1のそれぞれのユニット10の第1部分12Aに対して第1電流方向に直流電流を印加すると、第1部分12Aを中心に右ねじ方向に磁場H12Aが生じる。図1に示すユニット10のように、磁性体13が磁気抵抗効果素子11と共に、第1部分12Aを挟む位置にある場合、+y方向に磁性体13の磁化M13の向きが変化する。
磁性体13の磁化M13の向きの変化により、磁性体13から生じる磁場H13の向きが変化し、磁場H13は、第1強磁性層1の位置において、-y方向に印加される。第1強磁性層1の磁化Mの向きは、磁場H13の向きの変化により変化する。例えば、磁気抵抗効果素子11の第2強磁性層2の磁化Mが+y方向に配向している場合、磁化Mと磁化Mの相対角は、第1強磁性層1に印加される磁場H13の向きが変化することで大きくなる。すなわち、図7の構成を満たす場合、磁気抵抗効果素子11の抵抗値は、第1部分12Aに対して第1電流方向に直流電流を印加することで大きくなる。以下、直流電流が流れていない状態から第1部分12Aに対して第1電流方向に直流電流を印加した際に、磁気抵抗効果素子11の抵抗値が大きくなる場合の抵抗変化を正とする。
これに対し、図8は、第1電流方向に直流電流を流した際に生じる磁性体13の磁化M13及び第1強磁性層1の磁化Mの変化の挙動の第2の例を示す図である。図8において、図1の紙面奥から手前に向かう方向を+y方向、手前から奥に向かう方向を-y方向、磁気抵抗効果素子11の積層方向をz方向、±y方向及びz方向と直交する方向をx方向と称する。
図8に示す第2の例は、第1部分12Aに第1電流方向に直流電流を流した際の、磁化M13に加わる磁場H12A及び磁化Mに加わる磁場H13の方向が、第1の例と反対である。第1部分12Aに第1電流方向に直流電流を流した際の、磁化M13に加わる磁場H12A及び磁化Mに加わる磁場H13の方向は、例えば、磁性体13が磁気抵抗効果素子11と第1部分12Aとの間にある場合に、第1の例と反対となる。
第2の例において、磁気抵抗効果素子11の第2強磁性層2の磁化Mが+y方向に配向している場合、磁化Mと磁化Mの相対角は、第1強磁性層1に印加される磁場H13の向きが変化することで小さくなる。すなわち、図8の構成を満たす場合、磁気抵抗効果素子11の抵抗値は、第1部分12Aに対して第1電流方向に直流電流を印加することで小さくなる。以下、直流電流が流れていない状態から第1部分12Aに対して第1電流方向に直流電流を印加した際に、磁気抵抗効果素子11の抵抗値が小さくなる場合の抵抗変化を負とする。
直流電流が流れていない状態から第1部分12Aに対して第1電流方向に直流電流を印加した際における磁気抵抗効果素子11の抵抗変化の正負の符号が、正ユニット又は負ユニットを決定する第1の要素である。磁性体13、磁気抵抗効果素子11及び第1部分12Aのそれぞれの位置関係、第1部分12Aへ流す直流電流の流れる方向、磁気抵抗効果素子11の磁化固定層(例えば、第2強磁性層)の磁化の配向方向によって、第1部分12Aに直流電流を印加した際に、磁気抵抗効果素子11の抵抗値が大きくなるか小さくなるかは変わる。
次いで、第2の要素について説明する。上述のように、第2の要素は、磁気抵抗効果素子11へ印加する直流電流の流れる方向(印加電流方向)である。磁気抵抗効果素子11へ印加する直流電流の流れる方向は、2方向ある。
磁気抵抗効果素子11へ印加する直流電流の流れる方向(印加電流方向)の一つは、磁気抵抗効果素子11から直流印加端子40へ向かって流れる方向である。この方向は、信号線路20を介して繋がっている磁気抵抗効果素子11と第1部分12Aとにおいて、磁気抵抗効果素子11から第1部分12Aに向かう直流電流の流れ方向とも言え、第1電流方向である。
磁気抵抗効果素子11へ印加する直流電流の流れる方向(印加電流方向)のもう一つは、先の印加電流方向と反対であり、直流印加端子40から磁気抵抗効果素子11へ向かって流れる方向である。この方向は、信号線路20を介して繋がっている磁気抵抗効果素子11と第1部分12Aとにおいて、第1部分12Aから磁気抵抗効果素子11に向かう直流電流の流れ方向とも言え、この方向を第2電流方向と称する。
正ユニット又は負ユニットを決定する第2の要素は、磁気抵抗効果素子11へ印加する直流電流の流れる方向である。直流電流が、直流印加端子40から磁気抵抗効果素子11へ向かう場合(第2電流方向に流れる場合)を正、磁気抵抗効果素子11から直流印加端子40へ向かう場合(第1電流方向に流れる場合)を負と規定する。
正ユニットは、第1の要素の正負の符号と第2の要素の正負の符号との積の符号が、正となるユニットである。負ユニットは、第1の要素の正負の符号と第2の要素の正負の符号との積の符号が、負となるユニットである。例えば、図1に示すユニット10Aは、第1の要素の符号が正であり、第2の要素の符号も正である。したがって、ユニット10Aは、正ユニットである。これに対し、図1に示すユニット10Bは、第1の要素の符号が正であり、第2の要素の符号は負である。したがって、ユニット10Bは、負ユニットである。
図1に示す磁気抵抗効果デバイス100は、正ユニットと負ユニットを一つずつ有する。図1に示す正ユニットと負ユニットとは、磁気抵抗効果素子11へ印加する直流電流の流れる方向が反対である。
ユニット10Aは正ユニットであるため、ユニット10Aに入力される信号Ssの位相に対してユニット10Aから出力される信号SgAの位相はπ/2進む。これに対し、ユニット10Bは負ユニットであるため、ユニット10Bに入力される信号SgAの位相に対してユニット10Bから出力される信号SgBの位相はπ/2遅れる。その結果、信号線路20Bを流れる信号Ssと信号SgBの位相は一致する。また、信号線路20Aを流れる信号SgAと信号SgAの位相は一致する。すなわち、磁気抵抗効果デバイス100は、サイクルを1周した際に、信号の位相のずれが抑制される。
それぞれの信号線路20において、複数の信号の位相が一致すると、合成信号の振幅は大きくなる。そのため、第1実施形態に係る磁気抵抗効果デバイス100は、信号の出力を大きくできる。
また第1実施形態に係る磁気抵抗効果デバイス100は、磁性体13の強磁性共鳴周波数f13の近傍の周波数で動作できる。磁性体13の強磁性共鳴周波数f13の近傍の周波数において、磁気抵抗効果デバイス100はS21が大きく、ノイズが少ない。
また磁気抵抗効果デバイス100は、強磁性共鳴周波数f13の近傍又は第1強磁性層1の強磁性共鳴周波数fの近傍の周波数で出力が大きく、その他の周波数では出力が小さい。したがって、各サイクルを行うたびに、出力信号及び入力信号において、強磁性共鳴周波数f13、fの近傍から外れた周波数の信号に対する強磁性共鳴周波数f13、f近傍の周波数の信号の相対強度が増大する(周波数のフィルタリングがされる)。したがって、磁気抵抗効果デバイス100が強磁性共鳴周波数f13の近傍の周波数で動作すると、周波数選択性が向上する。
ここで、各ユニット10において第1部分12Aを通過する入力信号に対して磁気抵抗効果素子11から出力される出力信号が大きくなる場合は、第1Sパラメータは正となる。反対に、各サイクルにおいて第1部分12Aを通過する入力信号に対して磁気抵抗効果素子11から出力される出力信号が小さくなる場合は、第1Sパラメータは負となる。
第1Sパラメータが正の場合、第1部分12Aを通過する入力信号及び磁気抵抗効果素子11から出力される出力信号は、各ユニットを通過するごとに大きくなる。第1Sパラメータは、例えば、直流印加端子40から磁気抵抗効果素子11に印加する直流電流量を調整することで調整できる。磁気抵抗効果素子11からの出力信号の強度は、入力信号の強度が大きくなるほど、ある一定値まで大きくなり、次第に飽和する。これに伴い、第1部分12Aを通過する入力信号の強度も次第に飽和する。
第1Sパラメータが負の場合、入力信号及び出力信号は、各ユニットを通過するごとに小さくなり減衰する。磁気抵抗効果デバイス100は、各ユニットを通過するごとに、入力信号及び出力信号において、強磁性共鳴周波数f13、f近傍の周波数の信号のその他の周波数の信号に対する相対強度が増大する。強磁性共鳴周波数f13近傍において第1Sパラメータが正となり、強磁性共鳴周波数f13近傍から外れた周波数において第1Sパラメータを負となるように調整することで、強磁性共鳴周波数f13近傍の周波数の信号のその他の周波数の信号に対する相対強度は増大する。磁気抵抗効果デバイス100は、各ユニット10を通過するごとに、選択的に強磁性共鳴周波数f13近傍の周波数の信号の強度を磁気抵抗効果素子11の出力飽和値まで増幅することができる。
磁気抵抗効果デバイス100は、出力信号(例えば、信号Sg(nは2以上の自然数))の強度が磁気抵抗効果素子11の出力飽和値に至ると、強磁性共鳴周波数近傍の周波数において安定した強度の信号を第1ポート30から出力する。このように、磁気抵抗効果デバイス100は、発振帯域とその他の帯域の出力特性の差が大きい発振器として機能する。
以上、第1実施形態について図面を参照して詳述したが、第1実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。
(第1変形例)
図9は、第1変形例にかかる磁気抵抗効果デバイス101の回路構成を模式的に示す図である。図9に示す第1変形例にかかる磁気抵抗効果デバイス101は、信号線路20が分岐部21を有し、第1ポート30が分岐部21に接続されている点が、図1に示す磁気抵抗効果デバイス100と異なる。図9に示す磁気抵抗効果デバイス101において、図1に示す磁気抵抗効果デバイス100と同一の構成については同一の符号を付す。また第1変形例にかかる磁気抵抗効果デバイス101において、磁気抵抗効果デバイス100と共通の構成については説明を省く。
分岐部21は、信号線路20にある。分岐部21は、信号線路20と線路94とが接続する接続点を含む部分である。分岐部21は、信号を分岐できるものであればよい。分岐部21は、例えば、方向性結合器である。一方のユニット10の高周波線路12は、第1ポート30に変えて、基準電位端子95に接続されている。磁気抵抗効果素子11から出力された信号は、信号線路20を流れ、その一部は分岐部21で第1ポート30に至る。
第1変形例に係る磁気抵抗効果デバイス101は、磁気抵抗効果デバイス100と同様の効果が得られる。
(第2変形例)
図10は、第2変形例にかかる磁気抵抗効果デバイス102の回路構成を模式的に示す図である。図10に示す第2変形例にかかる磁気抵抗効果デバイス102は、信号線路20が増幅器22を有する点が、図1に示す磁気抵抗効果デバイス100と異なる。図10に示す磁気抵抗効果デバイス102において、図1に示す磁気抵抗効果デバイス100と同一の構成については同一の符号を付す。また第2変形例にかかる磁気抵抗効果デバイス102において、磁気抵抗効果デバイス100と共通の構成については説明を省く。
増幅器22は、信号線路20にある。増幅器22は、例えば、一方のユニット10の磁気抵抗効果素子11と他方のユニット10の第1部分12Aとの間にある。増幅器22は、信号を増幅する機器、装置等である。増幅器22は、公知のものを用いることができる。増幅器22が信号を増幅することで、磁気抵抗効果デバイス102は、早く出力が飽和し、安定した強度の信号を第1ポート30から出力する。また、強磁性共鳴周波数f13近傍における第1Sパラメータが負の場合でも、増幅器22が信号を増幅することで、強磁性共鳴周波数近傍における入力信号および出力信号をサイクルごとに大きくできる。
また、磁気抵抗効果デバイス102は、増幅器22を有することにより、周波数選択性を向上させることができる。強磁性共鳴周波数f13近傍において、入力信号の強度が大きくなり磁気抵抗効果素子11からの出力信号の強度が磁気抵抗効果素子11の出力飽和値に至ると、強磁性共鳴周波数f13近傍における第1Sパラメータが小さくなり、周波数選択性が低くなる。強磁性共鳴周波数f13近傍において、磁気抵抗効果素子11から出力される出力信号よりも増幅器22から出力される信号が先に出力飽和値に至るように、磁気抵抗効果素子11の出力飽和値、増幅器22の出力飽和値及び、第1Sパラメータを設定すると、磁気抵抗効果素子11からの出力信号の強度が磁気抵抗効果素子11の出力飽和値に至らないので、磁気抵抗効果デバイス102の周波数選択性は向上する。例えば、第1Sパラメータが負の場合に、増幅器22の出力飽和値を磁気抵抗効果素子11の出力飽和値より小さくする。磁気抵抗効果素子11の出力飽和値と増幅器22の出力飽和値との関係は、例えば、増幅器22を選択することで自由に調整できる。
また第2変形例に係る磁気抵抗効果デバイス102は、磁気抵抗効果デバイス100と同様の効果が得られる。
(第3変形例)
図11は、第3変形例にかかる磁気抵抗効果デバイス103の回路構成を模式的に示す図である。図11に示す第3変形例にかかる磁気抵抗効果デバイス103は、信号線路20がフィルタ23を有する点が、図1に示す磁気抵抗効果デバイス100と異なる。図11に示す磁気抵抗効果デバイス103において、図1に示す磁気抵抗効果デバイス100と同一の構成については同一の符号を付す。また第3変形例にかかる磁気抵抗効果デバイス103において、磁気抵抗効果デバイス100と共通の構成については説明を省く。
フィルタ23は、信号線路20内に位置する。フィルタ23は、例えば、一方のユニット10の磁気抵抗効果素子11と他方のユニット10の第1部分12Aとの間にある。フィルタ23は、公知のフィルタを用いることができる。フィルタ23は、例えば、ハイパスフィルタ、ローパスフィルタ、バンドパスフィルタ又はバンドエリミネーションフィルタである。フィルタ23は、例えば、磁性体13の強磁性共鳴周波数f13の近傍の周波数の信号を通過させ、第1強磁性層1の強磁性共鳴周波数fの近傍の周波数の信号をカットする。フィルタ23でノイズが発生しやすい周波数の信号をカットすることで、ノイズの発生をより低減できる。
また第3変形例に係る磁気抵抗効果デバイス103は、磁気抵抗効果デバイス100と同様の効果が得られる。
(第4変形例)
図12は、第4変形例にかかる磁気抵抗効果デバイス104の回路構成を模式的に示す図である。図12に示す第4変形例にかかる磁気抵抗効果デバイス104は、ユニット50の構成が、図1に示す磁気抵抗効果デバイス100と異なる。図12に示す磁気抵抗効果デバイス104において、図1に示す磁気抵抗効果デバイス100と同一の構成については同一の符号を付す。また第4変形例にかかる磁気抵抗効果デバイス104において、磁気抵抗効果デバイス100と共通の構成については説明を省く。
ユニット50は、磁気抵抗効果素子11を複数有する点が、第1実施形態に係るユニット10と異なる。磁気抵抗効果素子11のそれぞれは、信号線路20と線路92との間にある。磁気抵抗効果素子11のそれぞれは、信号線路20と線路92との間で、互いに直列な接続関係を有しても並列な接続関係を有してもよい。磁気抵抗効果素子11のそれぞれの第1強磁性層1は、磁性体13で生じた高周波磁場を印加できる位置にある。また磁気抵抗効果素子11のそれぞれには、電源90から印加される直流電流又は直流電圧を印加できる。
信号線路20には、それぞれの磁気抵抗効果素子11からの出力を重ね合わせた信号が出力される。それぞれの磁気抵抗効果素子11の出力を重ね合わせることで、磁気抵抗効果デバイス104はより大きな信号を出力できる。
また第4変形例に係る磁気抵抗効果デバイス104は、磁気抵抗効果デバイス100と同様の効果が得られる。
(第5変形例)
図13は、第5変形例にかかる磁気抵抗効果デバイス105の回路構成を模式的に示す図である。図13に示す第5変形例にかかる磁気抵抗効果デバイス105は、ユニット10Bがユニット10B1となっている点が、図1に示す磁気抵抗効果デバイス100と異なる。図13に示す磁気抵抗効果デバイス105において、図1に示す磁気抵抗効果デバイス100と同一の構成については同一の符号を付す。また第5変形例にかかる磁気抵抗効果デバイス105において、磁気抵抗効果デバイス100と共通の構成については説明を省く。
ユニット10B1は、磁性体13の磁気抵抗効果素子11及び第1部分12Aに対する位置関係が、ユニット10Bと異なる。ユニット10B1において、磁性体13は、第1部分12Aと磁気抵抗効果素子11の間にある。
直流電流が流れていない状態からユニット10B1の第1部分12Aに対して第1電流方向に直流電流を印加すると、磁化M13に加わる磁場H12A及び磁化Mに加わる磁場H13の方向が図8に示す第2の例となる。すなわち、ユニット10B1は、第1の要素の符号が負である。
またユニット10B’は、磁気抵抗効果素子11へ印加する直流電流の流れる方向が、ユニット10Bと反対である。ユニット10B1は、直流印加端子40から磁気抵抗効果素子11へ向かう方向に直流電流が印加されており、第2の要素の符号が正である。
ユニット10B1は、第1の要素の符号が負であり、第2の要素の符号は正である。したがって、ユニット10B1は、負ユニットである。
磁気抵抗効果デバイス105は、正ユニットと負ユニットを一つずつ有する。従って、磁気抵抗効果デバイス105は、磁気抵抗効果デバイス100と同様の効果が得られる。
(第6変形例)
図14は、第6変形例にかかる磁気抵抗効果デバイス106の回路構成を模式的に示す図である。図14に示す第6変形例にかかる磁気抵抗効果デバイス106は、ユニット10Bがユニット10B2となっている点が、図1に示す磁気抵抗効果デバイス100と異なる。図14に示す磁気抵抗効果デバイス106において、図1に示す磁気抵抗効果デバイス100と同一の構成については同一の符号を付す。また第6変形例にかかる磁気抵抗効果デバイス106において、磁気抵抗効果デバイス100と共通の構成については説明を省く。
ユニット10B2は、第1部分12Aに直流電流を第1電流方向に流した際に、磁気抵抗効果素子11から見た場合の第1部分12Aを流れる直流電流の方向が、磁気抵抗効果デバイス100とは反対である。
直流電流が流れていない状態からユニット10B2の第1部分12Aに対して第1電流方向に直流電流を印加すると、磁化M13に加わる磁場H12A及び磁化Mに加わる磁場H13の方向が図8に示す第2の例となる。すなわち、ユニット10B2は、第1の要素の符号が負である。
またユニット10B2は、磁気抵抗効果素子11へ印加する直流電流の流れる方向が、ユニット10Bと反対である。ユニット10B2は、直流印加端子40から磁気抵抗効果素子11へ向かう方向に直流電流が印加されており、第2の要素の符号が正である。
ユニット10B2は、第1の要素の符号が負であり、第2の要素の符号は正である。したがって、ユニット10B2は、負ユニットである。
磁気抵抗効果デバイス106は、正ユニットと負ユニットを一つずつ有する。従って、磁気抵抗効果デバイス106は、磁気抵抗効果デバイス100と同様の効果が得られる。
(第7変形例)
図15は、第7変形例にかかる磁気抵抗効果デバイス107の回路構成を模式的に示す図である。図15に示す第7変形例にかかる磁気抵抗効果デバイス107は、ユニット10Bがユニット10B3となっている点が、図1に示す磁気抵抗効果デバイス100と異なる。図15に示す磁気抵抗効果デバイス107において、図1に示す磁気抵抗効果デバイス100と同一の構成については同一の符号を付す。また第7変形例にかかる磁気抵抗効果デバイス107において、磁気抵抗効果デバイス100と共通の構成については説明を省く。
ユニット10B3は、磁気抵抗効果素子11の第2強磁性層2の磁化Mの向きが、磁気抵抗効果デバイス100のユニット10Bの磁気抵抗効果素子11とは反対である。
図16は、第1部分12Aに対して第1電流方向に直流電流を流した際に生じる磁性体13の磁化M13及び第1強磁性層1の磁化Mの変化の挙動を示す図である。図16において、図15の紙面奥から手前に向かう方向を+y方向、手前から奥に向かう方向を-y方向、磁気抵抗効果素子11の積層方向をz方向、±y方向及びz方向と直交する方向をx方向と称する。
図16に示すように、ユニット10B3において、第1電流方向に直流電流を流した際の磁性体13の磁化M13及び第1強磁性層1の磁化Mの変化の挙動は、図7に示す第1の例と同じである。これに対し、図16に示す第2強磁性層2の磁化Mは-y方向に配向しており、この点が図7と異なる。
図16に示す場合、磁化Mと磁化Mの相対角は、第1強磁性層1に印加される磁場H13の向きが変化することで小さくなる。すなわち、図16の構成を満たす場合、磁気抵抗効果素子11の抵抗値は、第1部分12Aに対して第1電流方向に直流電流を印加することで小さくなる。すなわち、ユニット10B3は、第1の要素の符号が負である。
またユニット10B3は、磁気抵抗効果素子11へ印加する直流電流の流れる方向が、ユニット10Bと反対である。ユニット10B3は、直流印加端子40から磁気抵抗効果素子11へ向かう方向に直流電流が印加されており、第2の要素の符号が正である。
ユニット10B3は、第1の要素の符号が負であり、第2の要素の符号は正である。したがって、ユニット10B3は、負ユニットである。
磁気抵抗効果デバイス107は、正ユニットと負ユニットを一つずつ有する。従って、磁気抵抗効果デバイス107は、磁気抵抗効果デバイス100と同様の効果が得られる。
(第8変形例)
図17は、第8変形例にかかる磁気抵抗効果デバイス108の回路構成を模式的に示す図である。図17に示す第8変形例にかかる磁気抵抗効果デバイス108は、図1に示す磁気抵抗効果デバイス100の2つの磁性体13が互いに繋がったものである。図17に示す磁気抵抗効果デバイス108において、図1に示す磁気抵抗効果デバイス100と同一の構成については同一の符号を付す。また第8変形例にかかる磁気抵抗効果デバイス108において、磁気抵抗効果デバイス100と共通の構成については説明を省く。
磁性体13Aは、ユニット10Aとユニット10Bに亘っている。ユニット10Aの第1部分12Aは、磁性体13Aの第1領域A1に高周波磁場を印加し、ユニット10Bの第1部分12Aは、磁性体13Aの第2領域A2に高周波磁場を印加する。第1領域A1は、ユニット10Aの第1部分12Aから磁性体13Aに印加される高周波磁場のうち最も大きな高周波磁場が印加される領域である。ユニット10Aの第1部分12Aから高周波磁場が印加された際に、磁性体13A内における第1領域A1の磁化が振動する。第2領域A2は、ユニット10Bの第1部分12Aから磁性体13Aに印加される高周波磁場のうち最も大きな高周波磁場が印加される領域である。第2領域A2は、ユニット10Bの第1部分12Aから高周波磁場が印加された際に、磁性体13A内における第2領域A2の磁化が振動する。第1領域A1と第2領域A2とは十分に離れており、第1領域A1内の磁化と第2領域A2内の磁化とはそれぞれ独立に振動する。十分に離れているとは、第1領域A1と第2領域A2とが10μm以上離れていることを意味する。第1領域A1と第2領域A2とは、100μm以上離れていることが好ましい。
また第8変形例に係る磁気抵抗効果デバイス108は、磁気抵抗効果デバイス100と同様の効果が得られる。また磁気抵抗効果デバイス108は、磁気抵抗効果デバイス100より部品点数(磁性体の数)が少ない。また図17では、磁性体13Aが2つのユニット10A、10Bに亘っている例を示したが、ユニット10の数が2以上の場合は、磁性体が3つ以上のユニットに亘っていてもよい。
(第9変形例)
図18は、第9変形例にかかる磁気抵抗効果デバイス109の回路構成を模式的に示す図である。図18に示す第9変形例にかかる磁気抵抗効果デバイス109は、直流印加端子40が一つであり、直流印加端子40が複数のユニット10A、10B1に亘って接続されている点が、第5変形例に係る磁気抵抗効果デバイス105と異なる。図18に示す磁気抵抗効果デバイス109において、図13に示す磁気抵抗効果デバイス105と同一の構成については同一の符号を付す。また第9変形例にかかる磁気抵抗効果デバイス109において、磁気抵抗効果デバイス105と共通の構成については説明を省く。
ユニット10A、10B1は、同じ電源90に接続されている。電源90は、直流印加端子40を介して、それぞれのユニット10A、10B1に接続されている。
また第9変形例に係る磁気抵抗効果デバイス109は、磁気抵抗効果デバイス105と同様の効果が得られる。また磁気抵抗効果デバイス109は、磁気抵抗効果デバイス105より部品点数(電源90の数)が少ない。
(第10変形例)
図19は、第10変形例にかかる磁気抵抗効果デバイス110の回路構成を模式的に示す図である。図19に示す第10変形例にかかる磁気抵抗効果デバイス110は、ユニット10の数が4つである点が磁気抵抗効果デバイス100と異なる。図19に示す磁気抵抗効果デバイス110において、図1に示す磁気抵抗効果デバイス100と同一の構成については同一の符号を付す。また第10変形例にかかる磁気抵抗効果デバイス110において、磁気抵抗効果デバイス100と共通の構成については説明を省く。
磁気抵抗効果デバイス110は、ユニット10を4つ有する。ユニット10はそれぞれ、信号線路20で接続されている。それぞれの信号線路は、あるユニット10の磁気抵抗効果素子11と異なるユニット10の第1部分12Aとを繋ぐ。複数のユニット10は、信号線路20によって環状に接続されている。
直流電流が流れていない状態からユニット10の第1部分12Aに対して第1電流方向に直流電流を印加すると、いずれのユニット10も磁化M13に加わる磁場H12A及び磁化Mに加わる磁場H13の方向が図7に示す第1の例となる。すなわち、ユニット10A、10B、10C、10Dは、いずれも第1の要素の符号が正である。
ユニット10A、10Dは、直流印加端子40から磁気抵抗効果素子11へ向かう方向に直流電流が印加されており、第2の要素の符号が正である。これに対し、ユニット10B、10Cは、磁気抵抗効果素子11から直流印加端子40へ向かう方向に直流電流が印加されており、第2の要素の符号が負である。
したがって、ユニット10A及びユニット10Dは正ユニットであり、ユニット10B及びユニット10Cは負ユニットである。すなわち、磁気抵抗効果デバイス110は、正ユニットの数と負ユニットの数が同じである。従って、磁気抵抗効果デバイス110は、磁気抵抗効果デバイス100と同様の効果が得られる。
「第2実施形態」
図20は、第2実施形態にかかる磁気抵抗効果デバイス120の回路構成を示す図である。図20において、第1実施形態にかかる磁気抵抗効果デバイス100と同一の構成については同一の符号を付す。また第1実施形態にかかる磁気抵抗効果デバイス100と共通の構成については説明を省く。
磁気抵抗効果デバイス120は、複数のユニット10を有する。ユニット10はそれぞれ、信号線路20で接続されている。それぞれの信号線路は、あるユニット10の磁気抵抗効果素子11と異なるユニット10の第1部分12Aとを繋ぐ。複数のユニット10は、信号線路20によって環状に接続されている。
直流電流が流れていない状態からユニット10の第1部分12Aに対して第1電流方向に直流電流を印加すると、いずれのユニット10も磁化M13に加わる磁場H12A及び磁化Mに加わる磁場H13の方向が図7に示す第1の例となる。すなわち、ユニット10A、10B、10C、10Dは、いずれも第1の要素の符号が正である。
またユニット10A、10B、10C、10Dは、直流印加端子40から磁気抵抗効果素子11へ向かう方向に直流電流が印加されており、第2の要素の符号が正である。
したがって、ユニット10A、10B、10C、10Dはいずれも正ユニットである。すなわち、磁気抵抗効果デバイス120は、正ユニットを4つ有し、正ユニットの数が4の倍数である。ここで、4の倍数とは、4と0又は正の整数との掛け算したものであり、0を含む。
ユニット10A、10B、10C、10Dはそれぞれ、入力信号の位相に対して出力信号の位相をπ/2進める。すなわち、それぞれのユニット10A、10B、10C、10Dにおいて、第1部分12Aを流れる高周波電流の位相に対して、磁気抵抗効果素子11から出力される高周波電流の位相はπ/2進んでいる。したがって、磁気抵抗効果デバイス120は、サイクルを1周した際に、信号の位相が2π進み、信号の位相のずれがなくなる。
それぞれの信号線路20において、複数の信号の位相が一致すると、合成信号の振幅は大きくなる。そのため、第2実施形態に係る磁気抵抗効果デバイス120は、第1実施形態に係る磁気抵抗効果デバイス100と同様に、信号の出力を大きくできる。
また第2実施形態に係る磁気抵抗効果デバイス120は、磁性体13の強磁性共鳴周波数f13の近傍の周波数で動作することで、第1実施形態に係る磁気抵抗効果デバイス100と同様に、ノイズを低減し、周波数選択性を高めることができる。
以上、第2実施形態について図面を参照して詳述したが、第2実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。
例えば、第1実施形態における変形例の特徴的な構成のそれぞれは、第2実施形態にかかる磁気抵抗効果デバイスにも適用できる。例えば、信号線路20の一つ以上が、増幅器、フィルタ、第1ポート30へ至る分岐部のいずれかを有してもよい。またユニット10A、10B、10C、10Dのうちの一つ以上が、磁気抵抗効果素子11を複数有してもよい。また第8変形例と同様に、磁性体13Aが複数のユニットに亘っていてもよい。図21に示す磁気抵抗効果デバイス121における磁性体13Aは、ユニット10Aとユニット10Dに亘っている。
(第11変形例)
図22は、第11変形例にかかる磁気抵抗効果デバイス122の回路構成を模式的に示す図である。図22に示す第11変形例にかかる磁気抵抗効果デバイス122は、それぞれの磁気抵抗効果素子11に印加される直流電流の方向が、図20に示す磁気抵抗効果デバイス120と異なる。図22に示す磁気抵抗効果デバイス122において、図20に示す磁気抵抗効果デバイス120と同一の構成については同一の符号を付す。また第11変形例にかかる磁気抵抗効果デバイス122において、磁気抵抗効果デバイス110と共通の構成については説明を省く。
図22におけるユニット10A、10B、10C、10Dの第1の要素の符号は、図20と同様に正である。また図22におけるユニット10A、10B、10C、10Dは、磁気抵抗効果素子11から直流印加端子40へ向かう方向に直流電流が印加されており、第2の要素の符号が負である。
したがって、ユニット10A、10B、10C、10Dは負ユニットである。すなわち、磁気抵抗効果デバイス111は、負ユニットを4つ有し、負ユニットの数が4の倍数である。
ユニット10A、10B、10C、10Dはそれぞれ、入力信号の位相に対して出力信号の位相をπ/2遅れさせる。すなわち、それぞれのユニット10A、10B、10C、10Dにおいて、第1部分12Aを流れる高周波電流の位相に対して、磁気抵抗効果素子11から出力される高周波電流の位相はπ/2遅れる。したがって、磁気抵抗効果デバイス111は、サイクルを1周した際に、信号の位相が2π遅れ、信号の位相のずれがなくなる。
第11変形例に係る磁気抵抗効果デバイス122は、第2実施形態に係る磁気抵抗効果デバイス120と同様の効果が得られる。
(第12変形例)
図23は、第12変形例にかかる磁気抵抗効果デバイス123の回路構成を模式的に示す図である。図23に示す第12変形例にかかる磁気抵抗効果デバイス123は、ユニットの数が、図20に示す磁気抵抗効果デバイス120と異なる。図23に示す磁気抵抗効果デバイス123において、図20に示す磁気抵抗効果デバイス120と同一の構成については同一の符号を付す。また第12変形例にかかる磁気抵抗効果デバイス123において、磁気抵抗効果デバイス120と共通の構成については説明を省く。
図23におけるユニット10はいずれも、図20と同様に、第1の要素の符号は正である。
またユニット10A、10B、10G、10Hは、直流印加端子40から磁気抵抗効果素子11へ向かう方向に直流電流が印加されており、第2の要素の符号が正である。これに対し、ユニット10C、10D、10E、10Fは、磁気抵抗効果素子11から直流印加端子40へ向かう方向に直流電流が印加されており、第2の要素の符号が負である。
したがって、ユニット10A、10B、10G、10Hは正ユニットであり、ユニット10C、10D、10E、10Fは負ユニットである。すなわち、磁気抵抗効果デバイス123は、正ユニット及び負ユニットをそれぞれ4つ有し、正ユニット及び負ユニットの数が4の倍数である。また磁気抵抗効果デバイス123は、正ユニットの数と負ユニットの数が同じでもある。
磁気抵抗効果デバイス123は、正ユニット及び負ユニットの数が4の倍数なので、サイクルを1周するごとに、信号の位相のずれがなくなる。
第12変形例に係る磁気抵抗効果デバイス123は、第2実施形態に係る磁気抵抗効果デバイス120と同様の効果が得られる。
なお、第2実施形態及びその変形例では、ユニット10の数が4個または8個の例を提示したが、ユニットの数はこの場合に限られない。正ユニット及び負ユニットの数はそれぞれ、4の倍数個(0を含む)であればよい。
1 第1強磁性層
2 第2強磁性層
3 スペーサ層
10、10A、10B、10B1、10B2、10B3、10C、10D、10E、10F、10G、10H、50 ユニット
11 磁気抵抗効果素子
11A 上部電極
11B 下部電極
12 高周波線路
12A 第1部分
13、13A 磁性体
15、21 分岐部
16 周波数設定部
20、20A、20B 信号線路
22 増幅器
23 フィルタ
30 第1ポート
40 直流印加端子
90 電源
91、95 基準電位端子
92、93、94 線路
100、101、102、103、104、105、106、107、108、110、120、121、122、123 磁気抵抗効果デバイス
A1 第1領域
A2 第2領域
C コンデンサ
GD グラウンド
L インダクタ

Claims (5)

  1. 磁気抵抗効果素子と、高周波線路と、磁性体と、をそれぞれ備える複数のユニットと、
    前記複数のユニットのそれぞれの前記磁気抵抗効果素子に接続され、異なるユニットの間をそれぞれ接続する複数の信号線路と、
    前記複数のユニットのいずれかから出力された信号が出力される第1ポートと、
    一つの直流印加端子又は複数の直流印加端子と、を備え、
    前記磁気抵抗効果素子は、第1強磁性層と、第2強磁性層と、前記第1強磁性層と前記第2強磁性層とに挟まれたスペーサ層と、を備え、
    前記複数のユニットのそれぞれの前記磁気抵抗効果素子は、前記一つの直流印加端子又は前記複数の直流印加端子のうちの一つと接続され、
    前記一つの直流印加端子又は前記複数の直流印加端子は、接続された前記磁気抵抗効果素子に直流電流又は直流電圧を印加するための電源を接続でき、
    前記高周波線路は、前記複数の信号線路のいずれかに繋がる第1部分を有し、前記磁気抵抗効果素子と離間し、
    前記複数の信号線路のそれぞれは、異なるユニットの前記磁気抵抗効果素子と前記第1部分とを繋ぎ、前記複数のユニットは、前記複数の信号線路によって環状に繋がり、
    前記複数のユニットのそれぞれにおいて、前記第1部分を流れる高周波電流に起因する高周波磁場は前記磁性体に印加され、前記磁性体が生じる高周波磁場は前記第1強磁性層に印加され、
    前記信号線路を介して繋がっている前記磁気抵抗効果素子と前記第1部分とにおいて、前記磁気抵抗効果素子から前記第1部分に向かう直流電流の流れ方向を第1電流方向とし、前記第1部分から前記磁気抵抗効果素子に向かう電流の流れ方向を第2電流方向とし、
    前記複数のユニットのそれぞれにおいて、
    前記磁気抵抗効果素子の抵抗値が、前記第1部分に対して直流電流が流れていない状態から前記第1電流方向に直流電流を流した際に、大きくなる場合の抵抗変化を正、小さくなる場合の抵抗変化を負とし、
    前記磁気抵抗効果素子に接続された前記直流印加端子から前記磁気抵抗効果素子に印加する直流電流の流れる方向である印加電流方向が、前記第2電流方向の場合を正、前記第1電流方向の場合を負とした際に、
    前記抵抗変化の正負の符号と前記印加電流方向の正負の符号との積が正となる正ユニットの数と、前記抵抗変化の正負の符号と前記印加電流方向の正負の符号との積が負となる負ユニットの数と、が一致する、磁気抵抗効果デバイス。
  2. 前記複数のユニットの数が2つであり、
    一方のユニットは正ユニットであり、他方のユニットは負ユニットである、請求項1に記載の磁気抵抗効果デバイス。
  3. 前記正ユニットと前記負ユニットとは、前記印加電流方向の正負が反対である、請求項2に記載の磁気抵抗効果デバイス。
  4. 磁気抵抗効果素子と、高周波線路と、磁性体と、をそれぞれ備える複数のユニットと、
    前記複数のユニットのそれぞれの前記磁気抵抗効果素子に接続され、異なるユニットの間をそれぞれ接続する複数の信号線路と、
    前記複数のユニットのいずれかから出力された信号が出力される第1ポートと、
    一つの直流印加端子又は複数の直流印加端子と、を備え、
    前記磁気抵抗効果素子は、第1強磁性層と、第2強磁性層と、前記第1強磁性層と前記第2強磁性層とに挟まれたスペーサ層と、を備え、
    前記複数のユニットのそれぞれの前記磁気抵抗効果素子は、前記一つの直流印加端子又は前記複数の直流印加端子のうちの一つと接続され、
    前記一つの直流印加端子又は前記複数の直流印加端子は、接続された前記磁気抵抗効果素子に直流電流又は直流電圧を印加するための電源を接続でき、
    前記高周波線路は、前記複数の信号線路のいずれかに繋がる第1部分を有し、前記磁気抵抗効果素子と離間し、
    前記複数の信号線路のそれぞれは、異なるユニットの前記磁気抵抗効果素子と前記第1部分とを繋ぎ、前記複数のユニットは、前記複数の信号線路によって環状に繋がり、
    前記複数のユニットのそれぞれにおいて、前記第1部分を流れる高周波電流に起因する高周波磁場は前記磁性体に印加され、前記磁性体が生じる高周波磁場は前記第1強磁性層に印加され、
    前記信号線路を介して繋がっている前記磁気抵抗効果素子と前記第1部分とにおいて、前記磁気抵抗効果素子から前記第1部分に向かう直流電流の流れ方向を第1電流方向とし、前記第1部分から前記磁気抵抗効果素子に向かう電流の流れ方向を第2電流方向とし、
    前記複数のユニットのそれぞれにおいて、
    前記磁気抵抗効果素子の抵抗値が、前記第1部分に対して直流電流が流れていない状態から前記第1電流方向に直流電流を流した際に、大きくなる場合の抵抗変化を正、小さくなる場合の抵抗変化を負とし、
    前記磁気抵抗効果素子に接続された前記直流印加端子から前記磁気抵抗効果素子に印加する直流電流の流れる方向である印加電流方向が、前記第2電流方向の場合を正、前記第1電流方向の場合を負とした際に、
    前記抵抗変化の正負の符号と前記印加電流方向の正負の符号との積が正となる正ユニットの数、又は、前記抵抗変化の正負の符号と前記印加電流方向の正負の符号との積が負となる負ユニットの数、が4の倍数である、磁気抵抗効果デバイス。
  5. 前記複数のユニットのうちのいくつかの前記磁性体は互いに繋がっており、
    それぞれの前記第1部分から繋がった前記磁性体に印加される高周波磁場のうち最も大きい高周波磁場は、繋がった前記磁性体の異なる部分に印加される、請求項1~4のいずれか一項に記載の磁気抵抗効果デバイス。
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