JP2019134409A - 磁気抵抗効果デバイス及び磁気抵抗効果モジュール - Google Patents

磁気抵抗効果デバイス及び磁気抵抗効果モジュール Download PDF

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Abstract

【課題】遮断特性に優れた磁気抵抗効果デバイスを提供する。【解決手段】この磁気抵抗効果デバイスは、第1のポートと、第2のポートと、前記第1のポートと前記第2のポートとの間に直列に接続された第1回路ユニット及び第2回路ユニットと、基準電位端子と、直流印加端子と、を備え、前記第1回路ユニット及び前記第2回路ユニットは、磁気抵抗効果素子と、その一端に接続された導体と、を備え、前記導体の第1端部は高周波電流の入力側に接続され、前記第1導体の第2端部が前記基準電位端子に接続されている。【選択図】図1

Description

本発明は、磁気抵抗効果デバイス及び磁気抵抗効果モジュールに関する。
近年、携帯電話等の移動通信端末の高機能化に伴い、無線通信の高速化が進められている。通信速度は使用する周波数の帯域幅に比例するため、通信に必要な周波数バンドは増加している。それに伴い、移動通信端末に必要な高周波フィルタの搭載数も増加している。
近年新しい高周波用部品に応用できる可能性のある分野として研究されているのがスピントロニクスである。その中で注目されている現象の一つが、磁気抵抗効果素子による強磁性共鳴現象である。
磁気抵抗効果素子に含まれる強磁性層に交流電流または交流磁場を印加すると、強磁性層の磁化に強磁性共鳴を起こすことができる。強磁性共鳴が生じると、強磁性共鳴周波数で周期的に磁気抵抗効果素子の抵抗値が振動する。強磁性層に印加される磁場の強さによって、この強磁性共鳴周波数は変化し、一般的にその強磁性共鳴周波数は数〜数十GHzの高周波帯域である。
例えば特許文献1には、強磁性共鳴現象を利用した高周波フィルタ等の高周波デバイスとして利用できる磁気抵抗効果デバイスが記載されている。
特開2017−063397号公報
しかしながら、磁気抵抗効果デバイスを用いた高周波フィルタは、遮断特性が充分とは言えなかった。
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、遮断特性に優れた磁気抵抗効果デバイスを提供する。
上記課題を解決するため、複数の回路ユニット(素子)を直列に接続し、それぞれの素子を基準電位端子に接続した。このような接続関係を満たすことで、入力信号の電力を複数回フィルタリングすることで、磁気抵抗効果デバイスの遮断特性が改善されることを見出した。
すなわち、本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を提供する。
(1)第1の態様にかかる磁気抵抗効果デバイスは、第1のポートと、第2のポートと、前記第1のポートと前記第2のポートとの間に直列に接続された第1回路ユニット及び第2回路ユニットと、前記第1回路ユニット及び前記第2回路ユニットに、それぞれ又は共通して接続された基準電位端子と、前記第1回路ユニットの第1磁気抵抗効果素子及び前記第2回路ユニットの第2磁気抵抗効果素子に、直流電流又は直流電圧を印加するための電源をそれぞれ又は共通して接続できる直流印加端子と、を備え、前記第1回路ユニット
は、磁化固定層と磁化自由層とこれらに挟まれたスペーサ層とを備える前記第1磁気抵抗効果素子と、前記第1磁気抵抗効果素子の一端に接続された第1導体と、を備え、前記第1導体は、高周波電流が前記第1磁気抵抗効果素子及び前記基準電位端子に対して分岐して流れるように、前記第1導体の第1端部が高周波電流の入力側に接続され、前記第1導体の第2端部が前記基準電位端子に接続され、前記第2回路ユニットは、磁化固定層と磁化自由層とこれらに挟まれたスペーサ層とを備える前記第2磁気抵抗効果素子と、前記第2磁気抵抗効果素子の一端に接続された第2導体と、を備え、前記第2導体は、高周波電流が前記第2磁気抵抗効果素子及び前記基準電位端子に対して分岐して流れるように、前記第2導体の第1端部が高周波電流の入力側に接続され、前記第2導体の第2端部が前記基準電位端子に接続されている。
(2)上記態様にかかる磁気抵抗効果デバイスは、前記第1磁気抵抗効果素子の前記第1導体と対向する端部に接続される対向電極と、前記第2導体とが、共通した金属層により構成されていてもよい。
(3)上記態様にかかる磁気抵抗効果デバイスは、前記第1磁気抵抗効果素子と前記第2磁気抵抗効果素子とは、前記直流印加端子を基準に並列な接続関係にあってもよい。
(4)上記態様にかかる磁気抵抗効果デバイスは、前記第1磁気抵抗効果素子と前記第2磁気抵抗効果素子とは、前記直流印加端子を基準に直列な接続関係にあってもよい。
(5)第2の態様にかかる磁気抵抗効果モジュールは、上記態様にかかる磁気抵抗効果デバイスと、前記磁気抵抗効果デバイスの前記直流印加端子に接続された直流電流源又は直流電圧源と、を備える。
上記態様にかかる磁気抵抗効果デバイスによれば、優れた遮断特性を得ることができる。
第1実施形態に係る磁気抵抗効果モジュールの回路構成を示した模式図である。 第1回路ユニット及び第2回路ユニットが単独の場合の信号特性と、第1回路ユニット及び第2回路ユニットが直列に接続された場合の信号特性を示す模式図である。 第1実施形態にかかる磁気抵抗効果モジュールの別の例の回路構成を示した模式図である。 第1実施形態にかかる磁気抵抗効果モジュールの別の例の回路構成を示した模式図である。 第1実施形態にかかる磁気抵抗効果モジュールの別の例の回路構成を示した模式図である。 図1に示す磁気抵抗効果モジュールの変形例の回路構成を示した模式図である。 図3に示す磁気抵抗効果モジュールの変形例の回路構成を示した模式図である。 図4に示す磁気抵抗効果モジュールの変形例の回路構成を示した模式図である。 図5に示す磁気抵抗効果モジュールの変形例の回路構成を示した模式図である。
以下、磁気抵抗効果モジュールについて、図を適宜参照しながら詳細に説明する。以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などは実際とは異なっていることがある。以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、本発明の効果を奏する範囲で適宜変更して実施することが可能である。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態にかかる磁気抵抗効果モジュールの回路構成を示した模式図である。磁気抵抗効果デバイスは、第1のポート1と、第2のポート2と、第1回路ユニット10と、第2回路ユニット20と、基準電位端子3A、3Bと、直流印加端子4と、を備える。直流印加端子4に電源90が接続されることで、磁気抵抗効果モジュール100となる。磁気抵抗効果モジュール100は、第1のポート1から信号が入力され、第2のポート2から信号を出力する。
<第1のポート及び第2のポート>
第1のポート1は、磁気抵抗効果モジュール100の入力端子である。第1のポート1に交流信号源(図示略)を接続することで、磁気抵抗効果モジュール100に交流信号(高周波信号)を印加できる。磁気抵抗効果モジュール100に印加される高周波信号は、例えば、100MHz以上の周波数を有する信号である。第2のポート2は、磁気抵抗効果モジュール100の出力端子である。
<第1回路ユニット>
第1回路ユニット10は、第1のポート1と第2のポート2との間に接続される。第1回路ユニット10には、電流分岐型素子11が組み込まれている。電流分岐型素子11は、第1磁気抵抗効果素子12と第1導体14とを備える。第1導体14は第1磁気抵抗効果素子12の積層方向の一端に接続されている。第1導体14の第1端部14aは第1回路ユニット10の高周波電流の入力側に接続され、第1導体14の第2端部14bは基準電位端子3Aに接続されている。第1導体14を流れる高周波電流IRCは、第1磁気抵抗効果素子12及び基準電位端子3Aに分岐して流れる。
<第1導体>
第1導体14は、高周波電流IRCを通電するための配線であると共に、第1磁気抵抗効果素子12の積層方向に設けられた電極として機能する。第1導体14は、導電性を有する材料により構成される。例えば第1導体14には、Ta、Cu、Au、AuCu、Ru、Al等を用いることができる。また第1磁気抵抗効果素子12の積層方向の他端には、対向電極15を設けてもよい。この場合、対向電極15は、第1磁気抵抗効果素子12の第1導体14と対向する端部に接続される。対向電極15には、第1導体14で例示したものと同様のものを用いることができる。第1磁気抵抗効果素子12の積層方向の他端は、対向電極15を介して第1回路ユニット10における高周波電流IRCの出力側に接続されている。
<磁気抵抗効果素子>
第1磁気抵抗効果素子12は、磁化固定層12Aと、磁化自由層12Bと、スペーサ層12Cとを有する。スペーサ層12Cは、磁化固定層12Aと磁化自由層12Bとの間に位置する。磁化固定層12Aの磁化は、磁化自由層12Bの磁化より動きにくく、所定の磁場環境下では一方向に固定される。磁化固定層12Aの磁化の向きに対して磁化自由層12Bの磁化の向きが相対的に変化することで、第1磁気抵抗効果素子12として機能する。
磁化固定層12Aは、強磁性体材料で構成されている。磁化固定層12Aは、Fe、Co、Ni、NiとFeの合金、FeとCoの合金、またはFeとCoとBの合金などの高スピン分極率材料から構成されることが好ましい。これらの材料を用いることで、第1磁気抵抗効果素子12の磁気抵抗変化率が大きくなる。また磁化固定層12Aは、ホイスラー合金で構成されても良い。磁化固定層12Aの膜厚は、1〜20nmとすることが好ましい。
磁化固定層12Aの磁化固定方法は、特に問わない。例えば、磁化固定層12Aの磁化を固定するために磁化固定層12Aに接するように反強磁性層を付加してもよい。また、結晶構造、形状などに起因する磁気異方性を利用して磁化固定層12Aの磁化を固定してもよい。反強磁性層には、FeO、CoO、NiO、CuFeS、IrMn、FeMn、PtMn、CrまたはMnなどを用いることができる。
磁化自由層12Bは、外部印加磁場もしくはスピン偏極電流によってその磁化の方向が変化可能な強磁性体材料で構成されている。
磁化自由層12Bの材料として、CoFe、CoFeB、CoFeSi、CoMnGe、CoMnSi、CoMnAl、FeB、Co、CoCr系合金、Co多層膜、CoCrPt系合金、FePt系合金、希土類を含むSmCo系合金またはTbFeCo合金などを用いることができる。また、磁化自由層12Bは、ホイスラー合金で構成されても良い。
磁化自由層12Bの厚さは、0.5〜20nm程度とすることが好ましい。また磁化自由層12Bとスペーサ層12Cとの間には、高スピン分極率材料を挿入しても良い。高スピン分極率材料を挿入することによって、高い磁気抵抗変化率を得ることが可能となる。
高スピン分極率材料としては、CoFe合金またはCoFeB合金などが挙げられる。CoFe合金またはCoFeB合金いずれの膜厚も0.2〜1.0nm程度とすることが好ましい。
スペーサ層12Cは、磁化固定層12Aと磁化自由層12Bの間に配置される層である。スペーサ層12Cは、導電体、絶縁体もしくは半導体によって構成される層、又は、絶縁体中に導体によって構成される通電点を含む層で構成される。スペーサ層12Cは、非磁性層であることが好ましい。
例えば、スペーサ層12Cが絶縁体からなる場合は、第1磁気抵抗効果素子12はトンネル磁気抵抗(TMR:Tunneling Magnetoresistance)効果素子となり、スペーサ層12Cが金属からなる場合は巨大磁気抵抗(GMR:Giant Magnetoresistance)効果素子となる。
スペーサ層12Cとして絶縁材料を適用する場合、Al、MgO又はMgAl等の絶縁材料を用いることができる。磁化固定層12Aと磁化自由層12Bとの間にコヒーレントトンネル効果が発現するように、スペーサ層12Cの膜厚を調整することで高い磁気抵抗変化率が得られる。TMR効果を効率よく利用するためには、スペーサ層12Cの膜厚は、0.5〜3.0nm程度が好ましい。
スペーサ層12Cを導電材料で構成する場合、Cu、Ag、Au又はRu等の導電材料を用いることができる。GMR効果を効率よく利用するためには、スペーサ層12Cの膜厚は、0.5〜3.0nm程度が好ましい。
スペーサ層12Cを半導体材料で構成する場合、ZnO、In、SnO、ITO、GaO又はGa等の材料を用いることができる。この場合、スペーサ層12Cの膜厚は1.0〜4.0nm程度が好ましい。
スペーサ層12Cとして非磁性絶縁体中の導体によって構成される通電点を含む層を適用する場合、AlまたはMgO等によって構成される非磁性絶縁体中に、CoFe、CoFeB、CoFeSi、CoMnGe、CoMnSi、CoMnAl、Fe、Co、Au、Cu、AlまたはMgなどの導体によって構成される通電点を含む構造とすることが好ましい。この場合、スペーサ層12Cの膜厚は、0.5〜2.0nm程度が好ましい。
磁化自由層12Bと第1導体14との間には、キャップ層を設けてもよい。また第1磁気抵抗効果素子12と対向電極15との間には、シード層またはバッファー層を配設しても良い。キャップ層、シード層またはバッファー層としては、Ru、Ta、Cu、Cr等の金属膜、MgO等の酸化物膜またはこれらの積層膜などが挙げられる。これらの層が酸化物膜からなる場合は、これらの層厚は電流を流すことができる程度に薄い。例えば、第1磁気抵抗効果素子12の積層方向に3Vの電圧を印加した際に電流(トンネル電流を含む)が流れる程度の厚みであることが好ましく、具体的には5nm以下であることが好ましい。
第1磁気抵抗効果素子12の大きさは、第1磁気抵抗効果素子12の平面視形状の長辺を500nm以下にすることが望ましい。また、第1磁気抵抗効果素子12の平面視形状の短辺は50nm以上にすることが望ましい。第1磁気抵抗効果素子12の平面視形状が長方形(正方形を含む)ではない場合は、第1磁気抵抗効果素子12の平面視形状に最小の面積で外接する長方形の長辺を、第1磁気抵抗効果素子12の平面視形状の長辺と定義し、第1磁気抵抗効果素子12の平面視形状に最小の面積で外接する長方形の短辺を、第1磁気抵抗効果素子12の平面視形状の短辺と定義する。
長辺が500nm以下と小さい場合、磁化自由層12Bの体積が小さくなり、高効率な強磁性共鳴現象の実現が可能となる。ここで、「平面視形状」とは、第1磁気抵抗効果素子12を構成する各層の積層方向から見た形状のことである。
<第2回路ユニット>
第2回路ユニット20は、第1のポート1と第2のポート2との間に接続される。図1における第2回路ユニット20は、第1回路ユニット10と第2のポート2との間に接続されており、第1回路ユニット10と第2回路ユニット20とは直列に接続されている。第2回路ユニット20には、第1回路ユニット10に組み込まれている電流分岐型素子11と同様の電流分岐型素子21が組み込まれている。
図1に示す電流分岐型素子21は、第2磁気抵抗効果素子22と第2導体24とを備える。第2導体24は第2磁気抵抗効果素子22の積層方向の一端に接続されている。第2導体24の第1端部24aは第2回路ユニット20における高周波電流IRCの入力側に接続され、第2導体24の第2端部24bは基準電位端子3Bに接続されている。第2導体24を流れる高周波電流IRCは、第2磁気抵抗効果素子22及び基準電位端子3Bに分岐して流れる。第2磁気抵抗効果素子22は、磁化固定層22Aと、磁化自由層22Bと、スペーサ層22Cとを有し、積層方向の一端には第2導体24、積層方向の他端には対向電極25が設けられている。第2磁気抵抗効果素子22、第2導体24及び対向電極25は、第1磁気抵抗効果素子12、第1導体14及び対向電極15で例示したものと同様のものが用いられる。図1では、第2導体24は第1回路ユニット10の対向電極15とビア配線95により接続されている。第2磁気抵抗効果素子22の積層方向の他端は、対向電極25を介して第2回路ユニット20における高周波電流IRCの出力側(第2のポート2)に接続されている。
<基準電位端子>
基準電位端子3A、3Bのそれぞれは、第1回路ユニット10及び第2回路ユニット20のぞれぞれに接続される。基準電位端子3A、3Bは基準電位に接続され、磁気抵抗効果モジュール100の基準電位を決める。図1では、基準電位としてグラウンドGNDに接続している。グラウンドGNDは磁気抵抗効果モジュール100の外部に設けられる。図1では、基準電位端子3Aはコンデンサ94を介して第1回路ユニット10に接続されて(交流的に(高周波的に)接続されて)おり、基準電位端子3Bは第2回路ユニット20に接続されている。また図1では、基準電位端子3Bは、第2回路ユニット20を介して第1回路ユニット10に接続されている。第1のポート1に入力される高周波電流IRCは、基準電位との電位差に応じて、第1回路ユニット10及び第2回路ユニット20内を流れる。図1では、基準電位端子3を第1回路ユニット10及び第2回路ユニット20のそれぞれに対して分けて設けているが、第1回路ユニット10及び第2回路ユニット20に対して共通して一つにまとめてもよい(例えば、後述する変形例)。
<直流印加端子>
直流印加端子4は、電源90に接続され、第1磁気抵抗効果素子12及び第2磁気抵抗効果素子22の積層方向に直流電流又は直流電圧を印加する。第1磁気抵抗効果素子12は、第1磁気抵抗効果素子12に直流電流又は直流電圧を印加するための電源90を接続できる直流印加端子4に接続されている。第2磁気抵抗効果素子22は、第2磁気抵抗効果素子22に直流電流又は直流電圧を印加するための電源90を接続できる直流印加端子4に接続されている。本明細書において直流電流とは、時間によって方向が変化しない電流であり、時間によって大きさが変化する電流を含む。また、直流電圧とは、時間によって方向が変化しない電圧であり、時間によって大きさが変化する電圧も含む。電源90は直流電流源でも、直流電圧源でもよい。電源90は、一定の直流電流を発生可能な直流電流源でも、一定の直流電圧を発生可能な直流電圧源でもよい。また、電源90は、発生する直流電流値の大きさが変化可能な直流電流源でもよく、発生する直流電圧値の大きさが変化可能な直流電圧源でもよい。図1に示す磁気抵抗効果モジュール100において、第1磁気抵抗効果素子12と第2磁気抵抗効果素子22との内部を流れる直流電流の流れ方向は同じであり、直流電流は、磁化自由層12B、22B、スペーサ層12C、22C、磁化固定層12A、22Aの順で流れる。
第1磁気抵抗効果素子12及び第2磁気抵抗効果素子22に印加される直流電流の電流密度は、第1磁気抵抗効果素子12及び第2磁気抵抗効果素子22の発振閾値電流密度よりも小さいことが好ましい。第1磁気抵抗効果素子12及び第2磁気抵抗効果素子22の発振閾値電流密度とは、この値以上の電流密度の電流が印加されることにより、磁化自由層12B、22Bの磁化が一定周波数及び一定の振幅で歳差運動を開始し、第1磁気抵抗効果素子12及び第2磁気抵抗効果素子22が発振する(第1磁気抵抗効果素子12及び第2磁気抵抗効果素子22の出力(抵抗値)が一定周波数及び一定の振幅で変動する)閾値の電流密度のことである。
<その他の構成>
磁気抵抗効果モジュール100には、インダクタ92及びコンデンサ94が配設されている。インダクタ92は、電流の高周波成分をカットし、電流の不変成分を通す。コンデンサ94は、電流の高周波成分を通し、電流の不変成分をカットする。インダクタ92は高周波電流IRCの流れを抑制したい部分に配設し、コンデンサ94は直流電流の流れを抑制したい部分に配設する。図1においてインダクタ92は、第1のポート1から印加された高周波電流が基準電位に流れ、散逸することを抑制する。またコンデンサ94は、電源90から印加された直流電流が、第1のポート1及び第2のポート2に流れ、散逸することを抑制するととともに、電源90から印加された直流電流が、基準電位端子3Aから第1導体14に流れることを抑制する。
インダクタ92には、チップインダクタ、パターン線路によるインダクタ、インダクタ成分を有する抵抗素子等を用いることができる。インダクタ92のインダクタンスは10nH以上であることが好ましい。コンデンサ94には、公知のものを用いることができる。
各回路ユニット及び各端子は、信号線路によって接続されている。信号線路の形状は、マイクロストリップライン(MSL)型やコプレーナウェーブガイド(CPW)型に規定することが好ましい。マイクロストリップライン(MSL)型やコプレーナウェーブガイド(CPW)型に設計する場合、信号線路の特性インピーダンスと、回路系のインピーダンスとが等しくなるように、線路幅やグラウンド間距離を設計することが好ましい。このように設計することによって信号線路の伝送損失を抑えることができる。
また磁気抵抗効果モジュール100は、周波数設定機構80を有することが好ましい。周波数設定機構80は、第1磁気抵抗効果素子12及び第2磁気抵抗効果素子22に静磁場である外部磁場を印加する磁場印加機構である。周波数設定機構80は、第1磁気抵抗効果素子12及び第2磁気抵抗効果素子22の磁化自由層12B、22Bの強磁性共鳴周波数を設定する。磁気抵抗効果モジュール100が出力する信号の周波数は、磁化自由層12B、22Bの強磁性共鳴周波数により変動する。つまり、周波数設定機構80により出力信号の周波数を設定できる。
周波数設定機構80は、第1磁気抵抗効果素子12と第2磁気抵抗効果素子22のそれぞれに設けてもよいし、共通して設けてもよい。周波数設定機構80は、例えば、電圧又は電流のいずれかにより印加磁場強度を可変制御できる電磁石型又はストリップライン型の磁場印加機構で構成される。また、印加磁場強度を可変制御できる電磁石型又はストリップライン型の磁場印加機構と、一定磁場のみを供給する永久磁石と、の組み合わせにより構成されてもよい。
<磁気抵抗効果デバイスの機能>
磁気抵抗効果モジュール100に第1のポート1から高周波信号が入力されると、高周波信号に対応する高周波電流IRCが第1回路ユニット10に流れる。高周波電流IRCは、第1磁気抵抗効果素子12と基準電位端子3Aとに分岐して流れる。
磁化自由層12Bの磁化は、主に、第1導体14を流れる高周波電流IRCが生み出す高周波磁場を受けて振動する。強磁性共鳴現象により磁化自由層12Bの磁化は、高周波電流IRCの周波数が、磁化自由層12Bの強磁性共鳴周波数の近傍の場合に大きく振動する。磁化自由層12Bの磁化の振動が大きくなると、第1磁気抵抗効果素子12における抵抗値変化が大きくなる。この抵抗値変化は、第1磁気抵抗効果素子12の積層方向に直流電流を印加することで、第1磁気抵抗効果素子12(第1回路ユニット10)から出力される。この強磁性共鳴現象に起因した抵抗値変化による出力と、第1磁気抵抗効果素
子12に分岐して流れる高周波電流IRCによる出力との和が、第1磁気抵抗効果素子12(第1回路ユニット10)から出力される。
次いで、第1回路ユニット10から出力された高周波電流IRCは、第2回路ユニット20に流れる。第2回路ユニット20においても第1回路ユニット10と同様に、高周波電流IRCは、第2磁気抵抗効果素子22と基準電位端子3Bとに分岐して流れる。そして、磁化自由層22Bの磁化は、高周波電流IRCの周波数が、磁化自由層22Bの強磁性共鳴周波数の近傍の場合に大きく振動する。
磁化自由層22Bの磁化の振動が大きくなると、第2磁気抵抗効果素子22における抵抗値変化が大きくなる。この抵抗値変化は、第2磁気抵抗効果素子22の積層方向に直流電流を印加することで、第2磁気抵抗効果素子22(第2回路ユニット20)から出力される。この強磁性共鳴現象に起因した抵抗値変化による出力と、第2磁気抵抗効果素子22に分岐して流れる高周波電流IRCによる出力との和が、第2磁気抵抗効果素子22(第2回路ユニット20)から出力され、第2のポート2から出力される。
すなわち、第1のポート1から入力された高周波信号の周波数が磁化自由層12B、22Bの強磁性共鳴周波数近傍の場合は、第1磁気抵抗効果素子12及び第2磁気抵抗効果素子22の抵抗値の変動量が大きく、第2のポート2から大きな信号が出力される。これに対し、高周波信号の周波数が磁化自由層12B、22Bの強磁性共鳴周波数から外れている場合は、第1磁気抵抗効果素子12及び第2磁気抵抗効果素子22の抵抗値の変動量が小さく、強磁性共鳴現象に起因した抵抗値変化による出力は第2のポート2からほとんど出力されない。
図2は、第1回路ユニット10及び第2回路ユニット20が単独の場合の信号特性と、第1回路ユニット10と第2回路ユニット20とが直列に接続された磁気抵抗効果モジュール100の信号特性を示す模式図である。信号特性は、入力電力に対する出力電力の比に対応する。図2に示すように、第1回路ユニット10及び第2回路ユニット20は、単独ではアンチローレンチアン状の信号特性を示す。アンチローレンチアンの信号特性とは、反対称型のコーシー・ローレンツ分布によりフィッティングできる信号特性であり、アンチローレンチアン状の信号特性とは、通過特性が向上するピークと低下するピークとの二つのピークを有する信号特性である。
図2に示すように、第1回路ユニット10と第2回路ユニット20とが直列に接続された磁気抵抗効果モジュール100の信号特性は、第1回路ユニット10及び第2回路ユニット20を単独で用いた場合の信号特性と比較して遮断特性に優れる。これは第1導体14の第2端部14b及び第2導体24の第2端部24bが、それぞれ基準電位端子3A、3Bに接続されていることに起因すると考えられる。
磁化自由層12Bの強磁性共鳴周波数から外れている周波数については、第1磁気抵抗効果素子12に分岐して流れる高周波電流IRCによる出力が、第1回路ユニット10から出力され第2回路ユニット20に入力される。第2回路ユニット20に入力される高周波電流IRCは、第2磁気抵抗効果素子22と基準電位端子3Bとに分岐して流れる。磁化自由層22Bの強磁性共鳴周波数から外れている周波数については、第2磁気抵抗効果素子22に分岐して流れる高周波電流IRCによる出力が、第2回路ユニット20から出力され第2のポート2から出力される。
磁化自由層12Bの強磁性共鳴周波数および磁化自由層22Bの強磁性共鳴周波数から外れている周波数の高周波電流IRCは、第1回路ユニット10(電流分岐型素子11)および第2回路ユニット20(電流分岐型素子12)において分岐する度に小さくなる。その結果、磁化自由層12Bの強磁性共鳴周波数および磁化自由層22Bの強磁性共鳴周波数から外れている周波数については、第2のポート2からの出力が小さくなる。このように、高周波電流IRCの分岐が繰り返されることで、磁気抵抗効果モジュール100の遮断特性が向上する。磁気抵抗効果モジュール100の信号特性は、通過帯域以外の周波数領域での遮断特性に優れたものとなる。この信号特性を利用して、磁気抵抗効果モジュール100(または磁気抵抗効果デバイス)は、特定の周波数の高周波信号を選択的に通過させることができる高周波フィルタとして用いることができる。
ここで、第1磁気抵抗効果素子12の磁化自由層12B及び第2磁気抵抗効果素子22の磁化自由層22Bの強磁性共鳴周波数の関係(周波数の大小関係)は特に問わない。2つの強磁性共鳴周波数が同じ又は近い場合は、通過帯域幅は狭くなり、通過特性と遮断特性との差(ΔS21)が大きくなる。他方、2つの強磁性共鳴周波数が離れると、通過帯域幅は広くなり、ΔS21は小さくなる。そのため、求められる用途、使用態様に応じて、適宜設計できる。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。
図1では、第1回路ユニット10と第2回路ユニット20とを直列に接続したが、三つ以上の電流分岐型素子(電流分岐型素子を備える三つ以上の回路ユニット)を直列に接続してもよい。当該構成では、高周波電流IRCの分岐がより繰り返されるため、磁気抵抗効果モジュールの遮断特性がより向上する。
図3は、第1実施形態にかかる磁気抵抗効果モジュールの別の例の回路構成を示した模式図である。図3において、図1と同様の構成には同一の符号を付す。図3に示す磁気抵抗効果モジュール101は、第1磁気抵抗効果素子12と第2磁気抵抗効果素子22とで、直流印加端子4及び電源90を共有している点が、図1に示す磁気抵抗効果モジュール100と異なる。磁気抵抗効果モジュール101は、直流印加端子4及び電源90が共有されていることで、素子構成が簡素化され、小型化が可能である。
図3に示す磁気抵抗効果モジュール101において、対向電極25は、インダクタ92を介して基準電位端子3Cと接続されている。また、第1のポート1と第1導体14の第1端部14aとの間、第1導体14の第2端部14bと基準電位端子3Aとの間、第2導体24の第2端部24bと基準電位端子3Bとの間及び対向電極25と第2のポート2との間にはコンデンサ94が設けられている。図3では、基準電位端子3Aはコンデンサ94を介して第1回路ユニット10に接続されて(交流的に(高周波的に)接続されて)おり、基準電位端子3Bはコンデンサ94を介して第2回路ユニット20に接続されている(交流的に(高周波的に)接続されている)。また図3では、基準電位端子3Cは、インダクタ92を介して第2回路ユニット20に接続されている(直流的に接続されている)。また図3では、基準電位端子3Cは、インダクタ92及び第2回路ユニット20を介して第1回路ユニット10に接続されている(直流的に接続されている)。電源90から印加された直流電流は、コンデンサ94により、基準電位端子3Aから第1導体14に流れることが抑制され、基準電位端子3Bから第2導体24に流れることが抑制され、第1磁気抵抗効果素子12及び第2磁気抵抗効果素子22に流れる。第1磁気抵抗効果素子12及び第2磁気抵抗効果素子22は直流印加端子4を基準に直列な接続関係にあり、電源90から印加された直流電流は、対向電極25、第2磁気抵抗効果素子22、第2導体24、ビア配線95、対向電極15、第1磁気抵抗効果素子12の順に流れる。また高周波電流IRCの流れは、図1に示す構成と同様である。従って、図3に示す磁気抵抗効果モジュール101は遮断特性に優れる。
また図4は、第1実施形態にかかる磁気抵抗効果モジュールの別の例の回路構成を示した模式図である。図4において、図3と同様の構成には同一の符号を付す。図4に示す磁気抵抗効果モジュール102は、第1磁気抵抗効果素子12の対向電極15と第2磁気抵抗効果素子22の第2導体24とが共通した金属層30である点が、図3に示す磁気抵抗効果モジュール101と異なる。図4では、基準電位端子3Aは第1回路ユニット10に接続されており、基準電位端子3Bはコンデンサ94を介して第2回路ユニット20に接続されている(交流的に(高周波的に)接続されている)。また図4では、基準電位端子3Cは、インダクタ92を介して第2回路ユニット20に接続されている(直流的に接続されている)。
図4に示す磁気抵抗効果モジュール102は、対向電極15と第2導体24とが共通しているため、これらをビア配線95(図1参照)で接続する必要がない。ビア配線95は、素子抵抗を増大させる一因となりうる。対向電極15と第2導体24とが共通した金属層30となることで、素子抵抗の増大を抑制できる。またビア配線95を設けるためのスペースが不要になり、磁気抵抗効果モジュール102の小型化が可能となる。
図4に示す磁気抵抗効果モジュール102において、第1磁気抵抗効果素子12及び第2磁気抵抗効果素子22は、金属層30の同一面に積層されている。第1磁気抵抗効果素子12と第2磁気抵抗効果素子22とは、金属層30の異なる面に接続されていてもよいが、金属層30の同一面に積層されていることが好ましい。
金属層30の同一面に第1磁気抵抗効果素子12及び第2磁気抵抗効果素子22が積層されていると、磁気抵抗効果モジュール102の製造が容易になる。第1磁気抵抗効果素子12と第2磁気抵抗効果素子22とは、磁化固定層12A,22A、スペーサ層12C,22C、磁化自由層12B,22Bの積層順が同じである。すなわち、対向電極15と第2導体24とが共通した金属層30上に第1磁気抵抗効果素子12及び第2磁気抵抗効果素子22となる層を積層し、フォトリソグラフィー等の技術により不要部を除去することで、第1磁気抵抗効果素子12及び第2磁気抵抗効果素子22を一度に製造できる。
図4に示す磁気抵抗効果モジュール102において、金属層30の第1端部30aが直流印加端子4に接続されている。また、コンデンサ94は、第1のポート1と第1導体14の第1端部14aとの間、金属層30の第2端部30bと基準電位端子3Bとの間および対向電極25と第2のポート2との間に設けられている。当該位置にコンデンサ94が配設されていることで、電源90から印加された直流電流は、基準電位端子3Aから第1導体14、第1磁気抵抗効果素子12及び金属層30を介して直流印加端子4に流れるとともに、基準電位端子3Cからインダクタ92、対向電極25、第2磁気抵抗効果素子22及び金属層30を介して直流印加端子4に流れる。つまり、直流印加端子4を基準に、第1磁気抵抗効果素子12と第2磁気抵抗効果素子22とは並列な接続関係にあり、電源90から印加された直流電流は第1磁気抵抗効果素子12と第2磁気抵抗効果素子22とに分岐して流れる。第1磁気抵抗効果素子12と第2磁気抵抗効果素子22との内部を流れる直流電流の流れ方向は同じであり、直流電流は、磁化自由層12B、22B、スペーサ層12C、22C、磁化固定層12A、22Aの順で流れる。
図5は、第1実施形態にかかる磁気抵抗効果モジュールの別の例の回路構成を示した模式図である。図5において、図4と同様の構成には同一の符号を付す。図5に示す磁気抵抗効果モジュール103は、第1磁気抵抗効果素子12及び第2磁気抵抗効果素子22が直流印加端子4を基準に直列な接続関係にある点が、図4に示す磁気抵抗効果モジュール102と異なる。図5では、基準電位端子3Aはコンデンサ94を介して第1回路ユニット10に接続されて(交流的に(高周波的に)接続されて)おり、基準電位端子3Bはコンデンサ94を介して第2回路ユニット20に接続されている(交流的に(高周波的に)接続されている)。また図5では、基準電位端子3Cは、インダクタ92を介して第2回路ユニット20に接続されている(直流的に接続されている)。また図5では、基準電位端子3Cは、インダクタ92及び第2回路ユニット20を介して第1回路ユニット10に接続されている(直流的に接続されている)。
図5に示す磁気抵抗効果モジュール103において、第1導体14の第1端部14aが直流印加端子4に接続されている。また、コンデンサ94は、第1のポート1と第1導体14の第1端部14aとの間、第1導体14の第2端部14bと基準電位端子3Aとの間、金属層30の第2端部30bと基準電位端子3Bとの間および対向電極25と第2のポート2との間に設けられている。当該位置にコンデンサ94が配設されていることで、電源90から印加された直流電流は、第1磁気抵抗効果素子12、金属層30、第2磁気抵抗効果素子22の順に流れる。第1磁気抵抗効果素子12と第2磁気抵抗効果素子22との内部を流れる直流電流の流れ方向は反対であり、第1磁気抵抗効果素子12では磁化自由層12B、スペーサ層12C、磁化固定層12Aの順に流れ、第2磁気抵抗効果素子22では磁化固定層22A、スペーサ層22C、磁化固定層22Aの順で流れる。
図4と図5に示す磁気抵抗効果モジュール102、103においてインダクタ92は、いずれも第1のポート1と直流印加端子4との間および第2のポート2と基準電位端子3Cとの間に設けられている。第1のポート1から入力された高周波電流IRCは第1導体14の第2端部14b及び金属層30の第2端部30bでそれぞれ基準電位端子3A、3B側に分岐しながら、第1磁気抵抗効果素子12及び第2磁気抵抗効果素子22のそれぞれの内部を流れる。そのため、図4及図5に示す磁気抵抗効果モジュール102、103においても、高周波電流IRCの分岐が繰り返され、遮断特性が向上する。
また図6は、図1に示す磁気抵抗効果モジュール100の変形例の回路構成を示した模式図である。図7は、図3に示す磁気抵抗効果モジュール101の変形例の回路構成を示した模式図である。図8は、図4に示す磁気抵抗効果モジュール102の変形例の回路構成を示した模式図である。図9は、図5に示す磁気抵抗効果モジュール103の変形例の回路構成を示した模式図である。図6〜9に示す磁気抵抗効果モジュール100A、101A、102A、103Aは、第1回路ユニット10及び第2回路ユニット20に対して、基準電位端子3が共通して一つにまとめられている。また電源90が、磁気抵抗効果モジュール100A、101A、102A、103Aの回路内に組み込まれている。これらの変形例の構成でも、高周波電流IRCの分岐が繰り返され、遮断特性が向上する。
上記実施形態におけるインダクタ92は、抵抗素子に変えることができる。この抵抗素子は、抵抗成分により電流の高周波成分をカットする機能を有する。この抵抗素子は、チップ抵抗またはパターン線路による抵抗のいずれでもよい。この抵抗素子の抵抗値は、磁気抵抗効果素子から出力される信号線路の特性インピーダンス以上であることが好ましい。例えば、信号線路の特性インピーダンスが50Ωであり、抵抗素子の抵抗値が50Ωの場合は、45%の高周波電力が抵抗素子によりカットできる。また信号線路の特性インピーダンスが50Ωであり、抵抗素子の抵抗値が500Ωの場合は、90%の高周波電力を抵抗素子によりカットできる。この場合でも、磁気抵抗効果素子から出力された出力信号を第2のポート2に効率的に流すことができる。
また、上記実施形態において、直流印加端子4に接続される電源90が、電流の高周波成分をカットすると同時に電流の不変成分を通す機能を有する場合、インダクタ92は無くても良い。この場合でも、磁気抵抗効果素子から出力された出力信号を第2のポート2に効率的に流すことができる。
また、上記実施形態では、周波数設定機構80を磁場印加機構とする例を基に説明したが、周波数設定機構80には以下のような他の例も用いることができる。例えば、周波数設定機構として磁気抵抗効果素子に電場を印加する電場印加機構を用いてもよい。電場印加機構により、磁気抵抗効果素子の磁化自由層に印加される電場を変化させると、磁化自由層における異方性磁場が変化し、磁化自由層における有効磁場が変化する。そして、磁化自由層の強磁性共鳴周波数が設定される。
また例えば、周波数設定機構として圧電体と電場印加機構を組み合わせてもよい。磁気抵抗効果素子の磁化自由層の近傍に圧電体を設け、その圧電体に電場を印加する。電場が印加された圧電体は変形し、磁化自由層を歪ませる。磁化自由層が歪むと、磁化自由層における異方性磁場が変化し、磁化自由層における有効磁場が変化する。そして、磁化自由層の強磁性共鳴周波数が設定される。
また例えば、周波数設定機構として、電気磁気効果を有する反強磁性体又はフェリ磁性体である制御膜、制御膜に磁場を印加する機構、及び、制御膜に電場を印加する機構を用いてもよい。磁化自由層と磁気的に結合するように設けられた制御膜に電場及び磁場を印加する。制御膜に印加する電場及び磁場の少なくとも一方を変化させると、磁化自由層における交換結合磁場が変化し、磁化自由層における有効磁場が変化する。そして、磁化自由層の強磁性共鳴周波数が設定される。
また周波数設定機構80が無くても(磁場印加機構から静磁場が印加されなくても)、磁気抵抗効果素子の磁化自由層の強磁性共鳴周波数が所望の周波数である場合は、周波数設定機構80を有さなくてもよい。
<他の用途>
また上記では磁気抵抗効果デバイスを高周波フィルタとして用いる場合を例に提示したが、磁気抵抗効果デバイスは増幅器(アンプ)等の高周波デバイスとしても利用できる。
また磁気抵抗効果デバイスを増幅器として用いる場合は、電源90から印加する直流電流又は直流電圧を所定の大きさ以上にする。このようにすることで、第1のポート1から入力される信号より第2のポート2から出力される信号が大きくなり、増幅器として機能する。
上述のように、磁気抵抗効果デバイスは、増幅器等の高周波デバイスとして機能できる。
1 第1のポート
2 第2のポート
3A、3B、3C 基準電位端子
4 直流印加端子
10 第1回路ユニット
20 第2回路ユニット
11、21 電流分岐型素子
12 第1磁気抵抗効果素子
22 第2磁気抵抗効果素子
12A、22A 磁化固定層
12B、22B 磁化自由層
12C、22C スペーサ層
14 第1導体
24 第2導体
30 金属層
14a、24a、30a 第1端部
14b、24b、30b 第2端部
15、25 対向電極
80 周波数設定機構
90 電源
92 インダクタ
94 コンデンサ
100、101、102、103、100A、101A、102A、103A 磁気抵抗効果モジュール

Claims (5)

  1. 第1のポートと、
    第2のポートと、
    前記第1のポートと前記第2のポートとの間に直列に接続された第1回路ユニット及び第2回路ユニットと、
    前記第1回路ユニット及び前記第2回路ユニットに、それぞれ又は共通して接続された基準電位端子と、
    前記第1回路ユニットの第1磁気抵抗効果素子及び前記第2回路ユニットの第2磁気抵抗効果素子に、直流電流又は直流電圧を印加するための電源をそれぞれ又は共通して接続できる直流印加端子と、を備え、
    前記第1回路ユニットは、磁化固定層と磁化自由層とこれらに挟まれたスペーサ層とを備える前記第1磁気抵抗効果素子と、前記第1磁気抵抗効果素子の一端に接続された第1導体と、を備え、
    前記第1導体は、高周波電流が前記第1磁気抵抗効果素子及び前記基準電位端子に対して分岐して流れるように、前記第1導体の第1端部が高周波電流の入力側に接続され、前記第1導体の第2端部が前記基準電位端子に接続され、
    前記第2回路ユニットは、磁化固定層と磁化自由層とこれらに挟まれたスペーサ層とを備える前記第2磁気抵抗効果素子と、前記第2磁気抵抗効果素子の一端に接続された第2導体と、を備え、
    前記第2導体は、高周波電流が前記第2磁気抵抗効果素子及び前記基準電位端子に対して分岐して流れるように、前記第2導体の第1端部が高周波電流の入力側に接続され、前記第2導体の第2端部が前記基準電位端子に接続されている、磁気抵抗効果デバイス。
  2. 前記第1磁気抵抗効果素子の前記第1導体と対向する端部に接続される対向電極と、前記第2導体とが、共通した金属層により構成されている、請求項1に記載の磁気抵抗効果デバイス。
  3. 前記第1磁気抵抗効果素子と前記第2磁気抵抗効果素子とは、前記直流印加端子を基準に並列な接続関係にある、請求項1又は2に記載の磁気抵抗効果デバイス。
  4. 前記第1磁気抵抗効果素子と前記第2磁気抵抗効果素子とは、前記直流印加端子を基準に直列な接続関係にある、請求項1又は2に記載の磁気抵抗効果デバイス。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の磁気抵抗効果デバイスと、
    前記磁気抵抗効果デバイスの前記直流印加端子に接続された直流電流源又は直流電圧源と、を備える、磁気抵抗効果モジュール。
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