JPWO2018038201A1 - 固体電解コンデンサ素子、固体電解コンデンサ、固体電解コンデンサ素子の製造方法、及び、固体電解コンデンサの製造方法 - Google Patents

固体電解コンデンサ素子、固体電解コンデンサ、固体電解コンデンサ素子の製造方法、及び、固体電解コンデンサの製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明の固体電解コンデンサ素子は、多孔質層を表面に有する弁作用金属基体と、上記多孔質層の表面に形成された誘電体層と、上記誘電体層上に設けられた固体電解質層とを備える固体電解コンデンサ素子であって、上記固体電解質層は、上記誘電体層の細孔を充填する内層と、上記誘電体層を被覆する外層とを含み、上記固体電解質層の外層は、導電性ポリマー及びスルホン化ポリエステルを含み、上記固体電解質層の外層中の上記スルホン化ポリエステルのスルホン化率が3mol%以上40mol%以下であることを特徴とする。

Description

本発明は、固体電解コンデンサ素子、固体電解コンデンサ、固体電解コンデンサ素子の製造方法、及び、固体電解コンデンサの製造方法に関する。
固体電解コンデンサは、アルミニウム等の弁作用金属からなる弁作用金属基体と、該弁作用金属基体の表面に形成された誘電体層と、該誘電体層の表面に形成された固体電解質層と、該固体電解質層の表面に形成された導電体層とを有するコンデンサ素子を備えている。このような固体電解コンデンサを構成するコンデンサ素子においては、弁作用金属基体をエッチングによって多孔質化ないし粗面化して表面積を大きくするとともに、誘電体層を酸化皮膜によって形成することで、小型で大容量のコンデンサを得ることができる。
この種の固体電解コンデンサでは、固体電解質として、従来は二酸化マンガンが広く使用されていた。しかし、二酸化マンガンは導電率が小さく高周波領域でのインピーダンスが大きいことから、近年では、高導電性を有するチオフェン類等を骨格とした導電性高分子が多用されてきている。
例えば、特許文献1には、電極物質の多孔質電極体と、上記電極物質の表面を被覆する誘電体と、上記誘電体表面を被覆する導電性物質を含む固体電解質と、上記誘電体により被覆され、さらに上記固体電解質により被覆されているポリマー外層とを含む電解コンデンサが開示されている。特許文献1に記載の電解コンデンサにおいては、ポリマー外層が、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)等のポリチオフェン、ポリスチレンスルホン酸等のポリマーアニオン、及び、スルホン化ポリエステル等の結合剤を含むことによって、低い等価直列抵抗(ESR)及び低い漏れ電流が得られるとされている。
特許文献2には、ポリチオフェン等のπ共役系導電性高分子にドーパント成分をドープした導電性高分子の微粒子であって、ドーパント成分が、少なくとも成分(a)及び成分(b)を含み、成分(a)がスルホン酸基を有するポリエステル樹脂系化合物であり、成分(b)が低分子芳香族スルホン酸化合物である導電性高分子微粒子が開示されている。特許文献2に記載の導電性高分子微粒子は、導電性及び分散性に優れるとされている。
特許第4841131号公報 特許第5607441号公報
上記のとおり、特許文献1に記載の電解コンデンサでは、ESRを低くすることができる。しかし、特許文献1に記載の電解コンデンサのように、ESRの初期値、すなわち、製造直後のESRが低くても、該コンデンサを高温下で長時間使用した場合にESRが増大する場合があることが知られている。このように、ESRの初期値と長期熱安定性には相関がないため、ESRの長期熱安定性に優れた固体電解コンデンサの開発が求められている。
本発明は上記の問題を解決するためになされたものであり、高温下で長時間放置した場合におけるESRの変化が小さい固体電解コンデンサ素子を提供することを目的とする。本発明はまた、該固体電解コンデンサ素子を備える固体電解コンデンサ、該固体電解コンデンサ素子の製造方法、及び、該固体電解コンデンサ素子を用いた固体電解コンデンサの製造方法を提供することを目的とする。
本発明の固体電解コンデンサ素子は、多孔質層を表面に有する弁作用金属基体と、上記多孔質層の表面に形成された誘電体層と、上記誘電体層上に設けられた固体電解質層とを備える固体電解コンデンサ素子であって、上記固体電解質層は、上記誘電体層の細孔を充填する内層と、上記誘電体層を被覆する外層とを含み、上記固体電解質層の外層は、導電性ポリマー及びスルホン化ポリエステルを含み、上記固体電解質層の外層中の上記スルホン化ポリエステルのスルホン化率が3mol%以上40mol%以下であることを特徴とする。
本発明の固体電解コンデンサ素子においては、上記固体電解質層の外層中の上記スルホン化ポリエステルのスルホン化率が8mol%以上40mol%以下であり、上記固体電解質層の外層に占める上記スルホン化ポリエステルの割合が40重量%以上95重量%以下であることが好ましい。
本発明の固体電解コンデンサ素子においては、上記固体電解質層の外層中の上記スルホン化ポリエステルのスルホン化率が20mol%以上40mol%以下であり、上記固体電解質層の外層に占める上記スルホン化ポリエステルの割合が10重量%以上95重量%以下であることが好ましい。
本発明の固体電解コンデンサ素子においては、上記固体電解質層の外層中の上記スルホン化ポリエステルのスルホン化率が3mol%以上8mol%未満であり、上記固体電解質層の外層に占める上記スルホン化ポリエステルの割合が60重量%以上95重量%以下であることが好ましい。
本発明の固体電解コンデンサは、本発明の固体電解コンデンサ素子と、上記固体電解コンデンサ素子を封止する外装樹脂と、上記固体電解コンデンサ素子と電気的に接続された一対の外部電極とを備えることを特徴とする。
本発明の固体電解コンデンサ素子の製造方法は、多孔質層を表面に有し、上記多孔質層の表面に誘電体層が形成された弁作用金属基体を準備する工程と、上記誘電体層上に固体電解質層を形成する工程とを備える固体電解コンデンサ素子の製造方法であって、上記固体電解質層を形成する工程は、上記誘電体層の細孔を充填する内層を形成する工程と、上記誘電体層を被覆する外層を形成する工程とを含み、上記外層を形成する工程では、上記誘電体層上に導電性ポリマー配合液を付与し、上記導電性ポリマー配合液は、導電性ポリマー及びスルホン化ポリエステルを含み、上記導電性ポリマー配合液中の上記スルホン化ポリエステルのスルホン化率が3mol%以上40mol%以下であることを特徴とする。
本発明の固体電解コンデンサ素子の製造方法においては、上記導電性ポリマー配合液中の上記スルホン化ポリエステルのスルホン化率が8mol%以上40mol%以下であり、上記導電性ポリマー配合液中、上記導電性ポリマー及び上記スルホン化ポリエステルの合計に対する上記スルホン化ポリエステルの割合が40重量%以上95重量%以下であることが好ましい。
本発明の固体電解コンデンサ素子の製造方法においては、上記導電性ポリマー配合液中の上記スルホン化ポリエステルのスルホン化率が20mol%以上40mol%以下であり、上記導電性ポリマー配合液中、上記導電性ポリマー及び上記スルホン化ポリエステルの合計に対する上記スルホン化ポリエステルの割合が10重量%以上95重量%以下であることが好ましい。
本発明の固体電解コンデンサ素子の製造方法においては、上記導電性ポリマー配合液中の上記スルホン化ポリエステルのスルホン化率が3mol%以上8mol%未満であり、上記導電性ポリマー配合液中、上記導電性ポリマー及び上記スルホン化ポリエステルの合計に対する上記スルホン化ポリエステルの割合が60重量%以上95重量%以下であることが好ましい。
本発明の固体電解コンデンサの製造方法は、本発明の固体電解コンデンサ素子の製造方法によって固体電解コンデンサ素子を作製する工程と、上記固体電解コンデンサ素子を外装樹脂によって封止する工程と、上記固体電解コンデンサ素子と一対の外部電極とを電気的に接続する工程とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、高温下で長時間放置した場合におけるESRの変化が小さい固体電解コンデンサ素子を提供することができる。
図1(a)は、本発明の固体電解コンデンサ素子の一例を模式的に示す断面図であり、図1(b)は、図1(a)に示す固体電解コンデンサ素子のA部分を拡大した断面図である。 図2は、本発明の固体電解コンデンサの一例を模式的に示す断面図である。
以下、本発明の固体電解コンデンサ素子及び固体電解コンデンサについて説明する。
しかしながら、本発明は、以下の構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。なお、以下において記載する本発明の個々の望ましい構成を2つ以上組み合わせたものもまた本発明である。
[固体電解コンデンサ素子]
まず、本発明の固体電解コンデンサ素子について説明する。
本発明の固体電解コンデンサ素子は、多孔質層を表面に有する弁作用金属基体と、上記多孔質層の表面に形成された誘電体層と、上記誘電体層上に設けられた固体電解質層とを備える。上記固体電解質層は、上記誘電体層の細孔を充填する内層と、上記誘電体層を被覆する外層とを含む。本発明の固体電解コンデンサ素子において、固体電解質層の内層は、誘電体層の細孔の全体を充填していてもよいし、誘電体層の細孔の一部を充填していてもよい。また、固体電解質層の外層は、誘電体層の全体を被覆していてもよいし、誘電体層の一部を被覆していてもよい。なお、固体電解質層の外層は、誘電体層を直接的に被覆していてもよいし、誘電体層を間接的に被覆していてもよい。
図1(a)は、本発明の固体電解コンデンサ素子の一例を模式的に示す断面図であり、図1(b)は、図1(a)に示す固体電解コンデンサ素子のA部分を拡大した断面図である。
図1(a)に示す固体電解コンデンサ素子1は、弁作用金属基体11と、誘電体層14と、固体電解質層15と、導電体層16とを備えている。図1(a)に示すように、弁作用金属基体11は、金属芯部12を中心に有し、エッチング層等の多孔質層13を表面に有している。誘電体層14は、多孔質層13の表面に形成されている。図1(a)では、弁作用金属基体11上に、絶縁部として、所定幅の絶縁層17が周設されており、絶縁層17によって陽極部21と陰極部22とが分離されている。固体電解質層15は、陰極部22の誘電体層14上に設けられており、導電体層16は、固体電解質層15上に設けられている。なお、誘電体層14は、少なくとも陰極部22に形成されていればよい。
図1(b)に示すように、多孔質層13の表面に形成されている誘電体層14は、多孔質層13の表面状態を反映して多孔質になっており、微細な凹凸状の表面形状を有している。なお、図1(b)では、多孔質層13の表面形状が波線で示されているが、これは多孔質層13の表面形状を模式的に示したものであり、実際の多孔質層13はより複雑な表面形状を有している。
さらに、図1(b)に示すように、固体電解質層15は、誘電体層14の細孔(凹部)を充填する内層15aと、誘電体層14を被覆する外層15bとを含んでいる。
本発明の固体電解コンデンサ素子において、弁作用金属基体は、いわゆる弁作用を示す弁作用金属からなる。弁作用金属としては、例えば、アルミニウム、タンタル、ニオブ、チタン、ジルコニウム等の金属単体、又は、これらの金属を含む合金等が挙げられる。これらの中では、アルミニウム又はアルミニウム合金が好ましい。
弁作用金属基体の形状は特に限定されないが、平板状であることが好ましく、箔状であることがより好ましい。また、弁作用金属基体の表面に形成される多孔質層は、エッチング処理を施すことによって表面が粗面化されたエッチング層であることが好ましい。
本発明の固体電解コンデンサ素子において、誘電体層は、上記弁作用金属の酸化皮膜からなることが好ましい。例えば、多孔質層(エッチング層)を有するアルミニウム箔が弁作用金属基体として用いられる場合、ホウ酸、リン酸、アジピン酸、又は、それらのナトリウム塩、アンモニウム塩等を含む水溶液中で陽極酸化することにより、多孔質層の表面に酸化皮膜を形成することができる。
本発明の固体電解コンデンサ素子においては、陽極部と陰極部とを確実に分離するため、絶縁層が設けられていることが好ましい。絶縁層の材料としては、例えば、ポリフェニルスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、シアン酸エステル樹脂、フッ素樹脂(テトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体等)、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、及び、それらの誘導体又は前駆体等の絶縁性樹脂が挙げられる。
本発明の固体電解コンデンサ素子において、固体電解質層のうち、誘電体層を被覆する外層は、導電性ポリマー及びスルホン化ポリエステルを含んでいる。上記導電性ポリマー及び上記スルホン化ポリエステルは、それぞれ、1種であってもよく、2種以上であってもよい。また、異なるスルホン化ポリエステルを含む外層が2層以上あってもよい。
本発明の固体電解コンデンサ素子において、固体電解質層の外層に含まれるスルホン化ポリエステルは、スルホン酸基で置換されたポリエステル骨格部位を有するポリエステル樹脂であり、中でも線状ポリエステルが好適である。
線状ポリエステルは、エステル形成性官能基を有する化合物からなる反応性原料を重合反応させて得られる。エステル形成性官能基とは、カルボキシル基又はヒドロキシル基と反応してエステル結合を形成する官能基を意味し、具体的には、カルボキシル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基のエステル形成性誘導基及びヒドロキシル基のエステル形成性誘導基が含まれる。カルボキシル基のエステル形成性誘導基とは、カルボキシル基が無水物化、エステル化、酸クロライド化、ハロゲン化されて誘導されたものであって、ヒドロキシル基と反応してエステル結合を形成する基である。ヒドロキシル基のエステル形成性誘導基とは、ヒドロキシル基がアセテート化される等して誘導されたものであって、他のカルボキシル基と反応してエステル結合を形成する基である。特に、エステル形成性官能基が、カルボキシル基又はヒドロキシル基である場合には、ポリエステル樹脂の製造時の反応性が良好となる点で好ましい。
このような線状ポリエステルとして、多価カルボン酸成分とグリコール成分とを構成成分とする線状ポリエステルが好適に用いられる。多価カルボン酸成分には、二価以上の多価カルボン酸、および、多価カルボン酸中のカルボキシル基がカルボキシル基から誘導される上記エステル形成性誘導基に置換されたエステル形成性誘導体が包含される。さらに、多価カルボン酸成分には、スルホン酸基を有する多価カルボン酸およびそのエステル形成性誘導体並びにこれらのアルカリ金属塩も包含される。多価カルボン酸としては、例えば芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸等のジカルボン酸が挙げられる。芳香族ジカルボン酸としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ジフェン酸、ナフタル酸、1,2−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸及び2,6−ナフタレンジカルボン酸等を挙げることができ、スルホン酸基を有する芳香族ジカルボン酸としては、5−スルホイソフタル酸、2−スルホイソフタル酸、4−スルホイソフタル酸、スルホテレフタル酸、4−スルホナフタレン−2,6−ジカルボン酸等が挙げられる。一方、脂肪族ジカルボン酸としては例えば直鎖、分岐及び脂環式のシュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、グルタール酸、アジピン酸、ピメリン酸、2,2−ジメチルグルタール酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ジグリコール酸、チオジプロピオン酸等が挙げられる。
上記多価カルボン酸成分は、一種単独で使用してもよく、あるいは複数種を併用してもよいが、スルホン酸基を有する芳香族ジカルボン酸およびそのエステル形成性誘導体並びにこれらのアルカリ金属塩(以下、これらを総称して「スルホン酸基を有する芳香族ジカルボン酸類」ともいう)と、芳香族ジカルボン酸およびそのエステル形成性誘導体(以下、これらを総称して「芳香族ジカルボン酸類」ともいう)を併用することが好ましく、特に、多価カルボン酸成分として、これらのスルホン酸基を有する芳香族ジカルボン酸類および芳香族ジカルボン酸類のみを用いるか、あるいはこれらを主成分として用いることが好ましい。
一方、グリコール成分には、グリコール、および、グリコール中のヒドロキシル基がヒドロキシル基から誘導される上記エステル形成性誘導基に置換されたエステル形成性誘導体が包含される。グリコールとしては、例えばエチレングリコール及びジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ヘキサエチレングリコール、ヘプタエチレングリコール、オクタエチレングリコール等のポリエチレングリコール、並びにプロピレングリコール及びジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール等のポリプロピレングリコール、並びに1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−イソブチル−1,3−プロパンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、4,4’−ジヒドロキシビフェノール、4,4’−メチレンジフェノール、4,4’−イソプロピリデンジフェノール、1,5−ジヒドロキシナフタリン、2,5−ジヒドロキシナフタリン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、ビスフェノールS等が挙げられる。
これらのグリコール及びそのエステル形成性誘導体は一種単独で使用してもよく、あるいは複数種を併用してもよい。特に、エチレングリコール;ジエチレングリコール;1,4−ブタンジオール等のブタンジオール類;1,6−ヘキサンジオール等のヘキサンジオール類;1,4−シクロヘキサンジメタノール類;ネオペンチルグリコール;ビスフェノールA等のグリコール;及びこれらのグリコールのエステル形成性誘導体が好適に使用される。
上記スルホン化ポリエステルとしては、下記一般式(1)及び(2)で示される繰り返し単位を有する共重合体が好ましい。
一般式(1)で示される繰り返し単位は以下のものである。
Figure 2018038201
上記一般式(1)中、Rはグリコール残基を示し、Aは、スルホン酸基を除く置換基を有していてもよい多価カルボン酸残基を示す。nは1あるいは2を示す。ここで、グリコール残基とはグリコール成分のヒドロキシル基を除いた部分を意味し、多価カルボン酸残基とは多価カルボン酸のカルボキシル基を除いた部分を意味する。
Rとして好ましいものは、炭素数1以上6以下のアルキレン基あるいは全炭素数2以上12以下で間にエーテル結合をもつアルキレン基であり、特に好ましくは炭素数1以上4以下のアルキレン基あるいは全炭素数2以上8以下で間にエーテル結合をもつアルキレン基である。
Aとしては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等の芳香環が例示でき、特にナフタレン環が好ましい。また、Aが有する置換基としては、炭素数1以上4以下のアルキル基等を例示できる。
スルホン化ポリエステルが上記一般式(1)で示される繰り返し構造を有することにより、スルホン化ポリエステルの化学構造の安定性が高くなり、機械特性及び生産性も良好になる。
一方、一般式(2)で示される繰り返し単位は以下のものである。
Figure 2018038201
上記一般式(2)中、Rはグリコール残基を示し、Bは芳香環を示す。nは1あるいは2を示す。グリコール残基は上記と同じ意味である。Rとして好ましいのは、炭素数1以上6以下のアルキレン基あるいは全炭素数2以上12以下で間にエーテル結合をもつアルキレン基であり、特に好ましくは炭素数1以上4以下のアルキル基あるいは全炭素数2以上8以下で間にエーテル結合をもつアルキレン基である。
スルホン化ポリエステルが上記一般式(2)で示される繰り返し単位を有することにより、上記一般式(1)の繰り返し単位と同様に、スルホン化ポリエステルの化学構造の安定性が高くなり、機械特性及び生産性も良好になる。また、スルホン酸基を有しているため、導電性ポリマーのドーパントアニオンとしての機能および極性溶媒への溶解性が付与される。
上記一般式(1)及び(2)で示される繰り返し単位を有する共重合体として、特に好ましいものは下記一般式(1a)及び(2a)で示される繰り返し単位を有する共重合体、又は、下記一般式(1b)及び(2b)で示される繰り返し単位を有する共重合体、又は、下記一般式(1c)及び(2c)で示される繰り返し単位を有する共重合体である。なお、上記一般式(1)及び(2)で示される繰り返し単位を有する共重合体としては、下記一般式(1a)、(1b)及び(1c)のいずれかと(2a)、(2b)及び(2c)のいずれかの組み合わせで示される繰り返し単位を有する共重合体でもよい。
Figure 2018038201
(上記一般式(1a)中、nは1あるいは2を示す。)
Figure 2018038201
(上記一般式(1b)中、nは1あるいは2を示す。)
Figure 2018038201
(上記一般式(1c)中、nは1あるいは2を示す。)
Figure 2018038201
(上記一般式(2a)中、nは1あるいは2を示す。)
Figure 2018038201
(上記一般式(2b)中、nは1あるいは2を示す。)
Figure 2018038201
(上記一般式(2c)中、nは1あるいは2を示す。)
本発明の固体電解コンデンサ素子においては、固体電解質層の外層中の上記スルホン化ポリエステルのスルホン化率が3mol%以上40mol%以下である。なお、2種以上のスルホン化ポリエステルが含まれる場合、又は、外層が2層以上からなる場合、固体電解質層の外層中のスルホン化ポリエステルのスルホン化率が平均して3mol%以上40mol%以下の範囲にあればよい。例えば、固体電解質の外層に占めるスルホン化ポリエステルの割合が同じであり、各外層の厚みが同じ場合、1層目のスルホン化率が6mol%、2層目のスルホン化率が20mol%であれば、スルホン化ポリエステルのスルホン化率は13mol%となる。
本発明の固体電解コンデンサ素子では、固体電解質層の外層に含まれるスルホン化ポリエステルのスルホン化率を3mol%以上40mol%以下にすることにより、高温下で長時間放置した場合におけるESRの変化を小さくすることができ、その結果、ESRの長期熱安定性が良好になる。これは、スルホン化ポリエステルのスルホン化率が高くなることにより、固体電解質層と弁作用金属基体との密着性、又は、固体電解質層とカーボン層等の導電体層との密着性が向上するためではないかと推測される。
なお、特許文献1には、スルホン化ポリエステルのスルホン化率に関する記載はなく、ESRの長期熱安定性についても認識されていない。一方、特許文献2には、スルホン化率が20%以上であることが好ましいと記載されているものの、その目的及び効果は導電性高分子微粒子の分散性及び導電性を向上させることであり、ESRの長期熱安定性を向上させることは認識されていない。さらに、特許文献2では、導電性を向上させるために、低分子芳香族スルホン酸化合物を必要としている。以上より、本発明の効果は、特許文献1及び特許文献2から予測し得るものではない。
本発明の固体電解コンデンサ素子において、固体電解質層の外層中の上記スルホン化ポリエステルのスルホン化率は、20mol%以上40mol%以下であることが好ましい。この場合、ESRの変化をより小さくすることができる。また、上記スルホン化率は、3mol%以上20mol%以下であることも好ましい。この場合、スルホン化ポリエステル自体の安定性が高いため、量産に適している。
スルホン化ポリエステルのスルホン化率とは、スルホン化ポリエステル中のスルホン酸のモル百分率であり、スルホン酸を有する繰り返し単位のモル百分率を意味する。固体電解質層の外層中のスルホン化ポリエステルのスルホン化率は、弁作用金属基体を被覆する固体電解質層の外層を削り出し、超臨界メタノール分解によりスルホン化ポリエステルをモノマーに分解して溶媒に抽出し、H−NMRによる分析を行うことにより求めることができる。
本発明の固体電解コンデンサ素子において、固体電解質層の外層中のスルホン化ポリエステルのスルホン化率が8mol%以上40mol%以下である場合、固体電解質層の外層に占めるスルホン化ポリエステルの割合は、40重量%以上であることが好ましく、50重量%以上であることがより好ましく、60重量%以上であることがさらに好ましい。また、固体電解質層の外層に占めるスルホン化ポリエステルの割合は、95重量%以下であることが好ましい。
固体電解質層の外層中のスルホン化ポリエステルのスルホン化率が8mol%以上40mol%以下である場合、固体電解質層の外層に占めるスルホン化ポリエステルの割合を40重量%以上95重量%以下とすることにより、ESRの変化を小さくすることができる。なお、固体電解質層の外層に占めるスルホン化ポリエステルの割合が95重量%を超えると、ESRの初期値が大きくなるため好ましくない。
また、固体電解質層の外層中のスルホン化ポリエステルのスルホン化率が20mol%以上40mol%以下である場合、固体電解質層の外層に占めるスルホン化ポリエステルの割合は10重量%以上95重量%以下であることが好ましい。
また、固体電解質層の外層中のスルホン化ポリエステルのスルホン化率が3mol%以上8mol%未満である場合、固体電解質層の外層に占めるスルホン化ポリエステルの割合は60重量%以上95重量%以下であることが好ましい。
固体電解質層の外層中のスルホン化ポリエステルのスルホン化率が3mol%以上8mol%未満である場合、固体電解質層の外層に占めるスルホン化ポリエステルの割合を60重量%以上95重量%以下とすることにより、高温下で長時間放置した場合におけるESRの変化を小さくすることができ、その結果、ESRの長期熱安定性が良好になる。これは、固体電解質層の外層に含まれるスルホン化ポリエステルの割合が高くなることにより、固体電解質層と弁作用金属基体との密着性、又は、固体電解質層とカーボン層等の導電体層との密着性が向上するためではないかと推測される。
なお、固体電解質層の外層に占める上記スルホン化ポリエステルの割合は、外層を削り出し、超臨界メタノール分解によりスルホン化ポリエステルをモノマーに分解し、得られたモノマーからスルホン化ポリエステルの重量を計算し、分解前の重量と比較することにより求めることができる。
本発明の固体電解コンデンサ素子において、固体電解質層の外層に含まれる導電性ポリマーは、π共役系導電性高分子であることが好ましい。π共役系導電性高分子としては、特に限定されるものではなく、例えば、ポリピロール類、ポリチオフェン類、ポリアニリン類等を用いることができる。中でも、下記一般式(3)で示される化合物の重合体であることが好ましい。
Figure 2018038201
上記一般式(3)中、Xは酸素原子又は硫黄原子を示す。Zはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい酸素原子又は硫黄原子を示す。Rは炭素数1以上6以下の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基を示す。
上記一般式(3)で示される化合物として、具体的には、3,4−エチレンジオキシチオフェン、メチル−3,4−エチレンジオキシチオフェン、エチル−3,4−エチレンジオキシチオフェン、プロピル−3,4−エチレンジオキシチオフェン、3,4−プロピレンジオキシチオフェン、メチル−3,4−プロピレンジオキシチオフェン、エチル−3,4−プロピレンジオキシチオフェン、プロピル−3,4−プロピレンジオキシチオフェン、3,4−エチレンジオキシフラン、メチル−3,4−エチレンジオキシフラン、エチル−3,4−エチレンジオキシフラン、プロピル−3,4−エチレンジオキシフラン、3,4−プロピレンジオキシフラン、メチル−3,4−プロピレンジオキシフラン、エチル−3,4−プロピレンジオキシフラン、プロピル−3,4−プロピレンジオキシフラン、3,4−エチレンジチアチオフェン、メチル−3,4−エチレンジチアチオフェン、エチル−3,4−エチレンジチアチオフェン、プロピル−3,4−エチレンジチアチオフェン、3,4−プロピレンジチアチオフェン、メチル−3,4−プロピレンジチアチオフェン、エチル−3,4−プロピレンジチアチオフェン、プロピル−3,4−プロピレンジチアチオフェン等が挙げられる。これらの中では、3,4−エチレンジオキシチオフェン、メチル−3,4−エチレンジオキシチオフェン、エチル−3,4−エチレンジオキシチオフェンが好ましい。特に、導電性ポリマーは、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)であることが好ましく、PEDOTと呼ばれる。
上記導電性ポリマーには、ドーパントが使用される。ドーパントとしては、ドーピング能がある化合物であれば特に限定されず、ポリマーアニオンでもよいし、モノマーアニオンでもよい。ポリマーアニオンとしては、例えば、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリマレイン酸等のポリマーカルボン酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸等のポリマースルホン酸のアニオン等が挙げられる。また、ドーパントとして、上述したスルホン化ポリエステルのアニオンを用いることもできる。モノマーアニオンとしては、炭素数1以上20以下のアルカンスルホン酸(例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、ブタンスルホン酸、ドデカンスルホン酸等)、炭素数1以上20以下のカルボン酸(例えば、2−エチルヘキシルカルボン酸等)、任意に炭素数1以上20以下のアルキル基により置換されている芳香族スルホン酸(例えば、ベンゼンスルホン酸、o−トルエンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、アントラセンスルホン酸、アントラキノンスルホン酸等)のアニオン等が挙げられる。これらの中では、ポリスチレンスルホン酸(PSS)のアニオンが好ましい。
本発明の固体電解コンデンサ素子において、固体電解質層の外層は、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)及びポリスチレンスルホン酸からなるPEDOT:PSSを導電性ポリマーとして含み、さらにスルホン化ポリエステルを含むことが好ましい。
本発明の固体電解コンデンサ素子において、固体電解質層のうち、多孔質層の表面に形成された誘電体層の細孔を充填する内層の構成は、外層の構成と同じであってもよく、異なっていてもよい。
本発明の固体電解コンデンサ素子は、固体電解質層上に導電体層を備えることが好ましい。導電体層は、下地であるカーボン層と、その上の銀層からなることが好ましいが、カーボン層のみでもよく、銀層のみでもよい。
[固体電解コンデンサ素子の製造方法]
以下、本発明の固体電解コンデンサ素子の製造方法について説明する。
本発明の固体電解コンデンサ素子の製造方法は、多孔質層を表面に有し、上記多孔質層の表面に誘電体層が形成された弁作用金属基体を準備する工程と、上記誘電体層上に固体電解質層を形成する工程とを備える。上記固体電解質層を形成する工程は、上記誘電体層の細孔を充填する内層を形成する工程と、上記誘電体層を被覆する外層を形成する工程とを含む。本発明の固体電解コンデンサ素子の製造方法において、固体電解質層の内層は、誘電体層の細孔の全体を充填していてもよいし、誘電体層の細孔の一部を充填していてもよい。また、固体電解質層の外層は、誘電体層の全体を被覆していてもよいし、誘電体層の一部を被覆していてもよい。なお、固体電解質層の外層は、誘電体層を直接的に被覆していてもよいし、誘電体層を間接的に被覆していてもよい。
本発明の固体電解コンデンサ素子は、好ましくは、以下のように製造される。
まず、エッチング層等の多孔質層を表面に有する弁作用金属基体を準備する。弁作用金属基体については、[固体電解コンデンサ素子]で説明したとおりである。弁作用金属基体は、陽極引出部と、陰極層形成部と、陽極引出部及び陰極層形成部を分画する絶縁層形成部と、を有する。
次に、弁作用金属基体の少なくとも陰極層形成部の表面に、酸化皮膜からなる誘電体層を形成する。酸化皮膜は、弁作用金属基体の表面に対して陽極酸化処理(化成処理ともいう)を行うことにより多孔質層の表面に形成される。
また、弁作用金属基体の絶縁層形成部の表面に絶縁層を形成することにより、陽極部と陰極部に分離することが好ましい。絶縁層の材料としては、[固体電解コンデンサ素子]で説明したものを使用することができる。絶縁層は、絶縁性樹脂等の材料を絶縁層形成部の表面に塗布し、加熱等によって固化または硬化させて形成される。なお、絶縁層の形成は、誘電体層を形成する前に行ってもよい。
その後、陰極部の誘電体層上に固体電解質層を形成する。具体的には、誘電体層の細孔を充填する内層を形成した後、誘電体層を被覆する外層を形成する。
固体電解質層の内層を形成する方法としては、例えば、導電性ポリマーを含む液を誘電体層に含浸させる方法、導電性ポリマーとなるモノマーを含む液を誘電体層に含浸させた後、導電性ポリマーを化学重合させる方法等が挙げられる。
内層を形成するための導電性ポリマーとしては、[固体電解コンデンサ素子]で説明したものを使用することができる。上記導電性ポリマーを含む液として、例えば、市販のPEDOT:PSS(例えば、Sigma−Aldrich社製Orgacon HIL−1005)、合成により得られるPEDOT:PSS等を用いることができる。市販のPEDOT:PSSは、解砕により誘電体層内に含浸できるものであれば特に限定されない。PEDOT:PSSを合成する場合、例えば、3,4−エチレンジオキシチオフェン(EDOT、Sigma−Aldrich社製)からなるモノマー、ポリスチレンスルホン酸(PSS、Sigma−Aldrich社製、Mw7,5000以下)からなるドーパント、過硫酸ナトリウム(ナカライテスク社製、ペルオキソ二硫酸ナトリウム)、硫酸鉄(III)(ナカライテスク社製、硫酸鉄(III)n水和物)を用い、水中で所定時間化学酸化重合することにより得ることができる。
固体電解質層の外層を形成する際には、誘電体層上に導電性ポリマー配合液を付与する。導電性ポリマー配合液を付与する方法は特に限定されないが、例えば、浸漬法、静電塗装法、スプレーコート法、刷毛塗り法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、スピンコート法、ドロップキャスト法、インクジェットプリント法等が挙げられる。
本発明の固体電解コンデンサ素子の製造方法において、外層を形成するための導電性ポリマー配合液は、導電性ポリマー及びスルホン化ポリエステルを含む。上記導電性ポリマー及び上記スルホン化ポリエステルは、それぞれ、1種であってもよく、2種以上であってもよい。また、異なるスルホン化ポリエステルを含む導電性ポリマー配合液を用いて、固体電解質層の外層を2層以上形成してもよい。
外層を形成するための導電性ポリマーとしては、[固体電解コンデンサ素子]で説明したものを使用することができる。外層を形成するための導電性ポリマーは、内層を形成するための導電性ポリマーと同じであってもよく、異なっていてもよい。導電性ポリマー配合液は、例えば、市販のPEDOT:PSS(例えば、Sigma−Aldrich社製Orgacon HIL−1005)又は上記の方法で合成した導電性ポリマー液に、スルホン化ポリエステルを配合することにより得られる。市販のPEDOT:PSSは特に限定されず、上記導電性ポリマー配合液には、分散媒としての水又は有機溶剤、界面活性剤、導電率向上剤としての高沸点溶剤を含んでいてもよい。また、外層を形成するための導電性ポリマー配合液は、内層を形成するための導電性ポリマーを含む液と同じであってもよく、異なっていてもよい。外層を形成するための導電性ポリマー配合液が内層を形成するための導電性ポリマーを含む液と同じである場合、外層と内層を同時に形成してもよい。
導電性ポリマー配合液に含まれる導電性ポリマーには、ドーパントが使用される。導電性ポリマーのドーパントとしては、[固体電解コンデンサ素子]で説明したものが挙げられ、PSS以外にスルホン化ポリエステル等のポリマーアニオンでもよく、p−トルエンスルホン酸等のモノマーアニオンでもよい。
導電性ポリマー配合液に含まれるスルホン化ポリエステルとしては、[固体電解コンデンサ素子]で説明したものを使用することができる。スルホン化ポリエステルは、合成により得ることができる。スルホン化ポリエステルは、例えば、2−スルホテレフタル酸ナトリウム等の芳香族ジカルボキシスルホン酸とテレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸とを目的のスルホン化率となるように配合し、その後、エチレングリコール等の脂肪族ジオールと三酸化アンチモン等の触媒下で縮合重合することにより得られる。
本発明の固体電解コンデンサ素子の製造方法においては、導電性ポリマー配合液中のスルホン化ポリエステルのスルホン化率が3mol%以上40mol%以下である。なお、2種以上のスルホン化ポリエステルが含まれる場合、又は、外層が2層以上からなる場合、導電性ポリマー配合液中のスルホン化ポリエステルのスルホン化率が平均して3mol%以上40mol%以下の範囲にあればよい。例えば、導電性ポリマー配合液中のスルホン化ポリエステルの配合量が同じであり、弁作用金属基体を被覆した後の各外層の厚みが同じ場合、1層目のスルホン化率が6mol%、2層目のスルホン化率が20mol%であれば、スルホン化ポリエステルのスルホン化率は13mol%となる。
本発明の固体電解コンデンサ素子の製造方法では、外層を形成するための導電性ポリマー配合液に含まれるスルホン化ポリエステルのスルホン化率を3mol%以上40mol%以下にすることにより、高温下で長時間放置した場合におけるESRの変化が小さく、ESRの長期熱安定性が良好な固体電解コンデンサ素子を製造することができる。
本発明の固体電解コンデンサ素子の製造方法において、導電性ポリマー配合液中のスルホン化ポリエステルのスルホン化率は、20mol%以上40mol%以下であることが好ましい。この場合、ESRの変化をより小さくすることができる。また、上記スルホン化率は、3mol%以上20mol%以下であることも好ましい。この場合、スルホン化ポリエステル自体の安定性が高いため、量産に適している。
導電性ポリマー配合液中のスルホン化ポリエステルのスルホン化率は、合成後にH−NMRによる分析を行うことにより求めることができる。
本発明の固体電解コンデンサ素子の製造方法において、導電性ポリマー配合液中のスルホン化ポリエステルのスルホン化率が8mol%以上40mol%以下である場合、導電性ポリマー配合液中、導電性ポリマー及びスルホン化ポリエステルの合計に対するスルホン化ポリエステルの割合は、40重量%以上であることが好ましく、50重量%以上であることがより好ましく、60重量%以上であることがさらに好ましい。また、導電性ポリマー及びスルホン化ポリエステルの合計に対するスルホン化ポリエステルの割合は、95重量%以下であることが好ましい。
導電性ポリマー配合液中のスルホン化ポリエステルのスルホン化率が8mol%以上40mol%以下である場合、導電性ポリマー配合液中のスルホン化ポリエステルの割合を40重量%以上95重量%以下とすることにより、ESRの変化を小さくすることができる。なお、導電性ポリマー配合液中のスルホン化ポリエステルの割合が95重量%を超えると、ESRの初期値が大きくなるため好ましくない。
また、導電性ポリマー配合液中のスルホン化ポリエステルのスルホン化率が20mol%以上40mol%以下である場合、導電性ポリマー配合液中、導電性ポリマー及びスルホン化ポリエステルの合計に対するスルホン化ポリエステルの割合は10重量%以上95重量%以下であることが好ましい。
また、導電性ポリマー配合液中のスルホン化ポリエステルのスルホン化率が3mol%以上8mol%未満である場合、導電性ポリマー配合液中、導電性ポリマー及びスルホン化ポリエステルの合計に対するスルホン化ポリエステルの割合は60重量%以上95重量%以下であることが好ましい。
なお、導電性ポリマー配合液中の各成分の割合は、導電性ポリマー配合液の固形分の重量を100としたときの各成分の固形分としての重量割合を意味する。
本発明の固体電解コンデンサ素子の製造方法においては、固体電解質層上に導電体層を形成することが好ましい。導電体層は、カーボン層及び銀層を順次積層することにより形成されることが好ましいが、カーボン層のみでもよく、銀層のみでもよい。カーボン層及び銀層は、例えば、カーボンペーストを塗布及び乾燥させた後に、銀ペーストを塗布及び乾燥させることにより形成される。以上により、固体電解コンデンサ素子が得られる。
[固体電解コンデンサ]
以下、本発明の固体電解コンデンサについて説明する。
本発明の固体電解コンデンサは、[固体電解コンデンサ素子]で説明した固体電解コンデンサ素子と、上記固体電解コンデンサ素子を封止する外装樹脂と、上記固体電解コンデンサ素子と電気的に接続された一対の外部電極とを備える。本発明の固体電解コンデンサが複数の固体電解コンデンサ素子を備える場合、[固体電解コンデンサ素子]で説明した固体電解コンデンサ素子以外の固体電解コンデンサ素子を備えてもよい。
図2は、本発明の固体電解コンデンサの一例を模式的に示す断面図である。
図2に示す固体電解コンデンサ100は、複数の固体電解コンデンサ素子1(以下、単にコンデンサ素子1ともいう)と外装樹脂31とを備えており、さらに、外部電極としての陽極端子32及び陰極端子33を備えている。
外装樹脂31は、コンデンサ素子1の全体と陽極端子32の一部と陰極端子33の一部とを覆うように形成されている。外装樹脂31の材質としては、例えば、エポキシ樹脂等が挙げられる。
第1のコンデンサ素子積層体10a及び第2のコンデンサ素子積層体10bは、それぞれ、図2に示すように、複数のコンデンサ素子1が積層され、コンデンサ素子1同士の陰極部22間に、銀ペースト等の導電性ペースト(図示せず)によって一体的に接合されて形成される。図2に示す固体電解コンデンサ100では、第1のコンデンサ素子積層体10a及び第2のコンデンサ素子積層体10bは、それぞれ、3枚のコンデンサ素子1が積層されることによって形成されている。なお、固体電解コンデンサとしては、単一のコンデンサ素子でもコンデンサ素子積層体の場合でも同様の効果が得られるため、本発明の固体電解コンデンサを構成するコンデンサ素子の数は特に限定されない。
陽極端子32は、金属材料からなり、陽極部21側のリードフレームとして形成されている。コンデンサ素子1の陽極部21同士、及び、コンデンサ素子1の陽極部21と陽極端子32とは、例えば、抵抗溶接等の溶接や圧着等によって一体的に接合されている。なお、図2に示すように、コンデンサ素子1の陽極部21の表面にも誘電体層14が形成されている場合、溶接時の発熱によって、コンデンサ素子1の陽極部21同士、及び、コンデンサ素子1の陽極部21と陽極端子32とを一体的に接合することができる。図2では、このことを模式的に示すため、誘電体層14の該当箇所を破線で示している。
陰極端子33は、金属材料からなり、陰極部22側のリードフレームとして形成されている。コンデンサ素子1の陰極部22と陰極端子33とは、例えば、銀ペースト等の導電性ペースト(図示せず)によって一体的に接合されている。
なお、本発明の固体電解コンデンサにおいて、外部電極の形態はリードフレームに限定されず、任意の形態の外部電極を採用することができる。
[固体電解コンデンサの製造方法]
以下、本発明の固体電解コンデンサの製造方法について説明する。
本発明の固体電解コンデンサの製造方法は、[固体電解コンデンサ素子の製造方法]で説明した方法によって固体電解コンデンサ素子を作製する工程と、上記固体電解コンデンサ素子を外装樹脂によって封止する工程と、上記固体電解コンデンサ素子と一対の外部電極とを電気的に接続する工程とを備える。
本発明の固体電解コンデンサは、好ましくは、以下のように製造される。
まず、[固体電解コンデンサ素子の製造方法]で説明した方法により、1又は複数の固体電解コンデンサ素子を作製する。
複数の固体電解コンデンサ素子を備える固体電解コンデンサを製造する場合には、複数の固体電解コンデンサ素子を積層する。このとき、コンデンサ素子の陽極部を互いに対向させて積層する。陽極部を互いに接合するとともに、陽極部に陽極端子を接合する。接合方法としては、例えば、溶接や圧着等が挙げられる。また、絶縁層、導電体層に対応する部分同士もそれぞれ接するように積層し、導電体層に陰極端子を接合する。これにより、陰極部は互いに電気的に接続されることになる。
続いて、コンデンサ素子の全体と陰極端子の一部と陽極端子の一部とを覆うように外装樹脂で封止する。外装樹脂は、例えば、トランスファーモールドによって形成する。以上により、固体電解コンデンサが得られる。
以下、本発明の固体電解コンデンサ素子をより具体的に開示した実施例を示す。なお、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
まず、弁作用金属基体として、表面にエッチング層を有するアルミニウム化成箔を準備した。アルミニウム化成箔を覆うように、酸化皮膜からなる誘電体層を形成した。具体的には、アルミニウム化成箔の表面をアジピン酸アンモニウム水溶液に浸漬して電圧を印加することで、アルミニウム化成箔のエッチング層の表面に誘電体層を形成した。
次に、陽極部と陰極部の短絡を防止するために、アルミニウム化成箔の長軸方向の一端から所定の間隔を隔てた位置において、アルミニウム化成箔を一周するように帯状の絶縁層を形成した。
その後、絶縁層で分割されたアルミニウム化成箔のうち、面積の大きい部分(陰極部)に導電性ポリマー液を含浸させ、エッチング層の表面に形成された誘電体層の細孔を充填する固体電解質層の内層を形成した。内層用の導電性ポリマー液として、超音波ホモジナイザー(日本精機社製 US−300T)により2時間解砕した市販のPEDOT:PSS(Sigma−Aldrich社製Orgacon HIL−1005)を用いた。
続いて、アルミニウム化成箔の陰極部を導電性ポリマー配合液に浸漬することにより、固体電解質層の外層を形成し、誘電体層を固体電解質層によって被覆した。外層用の導電性ポリマー配合液として、市販のPEDOT:PSS(Sigma−Aldrich社製Orgacon HIL−1005)と下記スルホン化ポリエステルとを含む配合液を用いた。導電性ポリマー配合液には分散媒として水、高沸点溶剤としてDMSOを使用し、固形分濃度を3wt%とした。
実施例1では、2−スルホテレフタル酸ナトリウムとテレフタル酸とエチレングリコールとから合成したスルホン化ポリエステルを用いた。合成後のスルホン化ポリエステルのスルホン化率をH−NMRにより求めたところ、8mol%であった。
固体電解質層の表面をカーボンペーストに浸漬した後、乾燥させることにより、カーボン層を形成した。得られたカーボン層の表面を銀ペーストに浸漬した後、乾燥させることにより、銀層を形成した。このようにして得られた固体電解コンデンサ素子の弁作用金属基体の露出部分を外部接続端子(陽極端子)と抵抗溶接で接合し、銀層と別の外部接続端子(陰極端子)とを導電性接着剤で接合した。
(実施例2、実施例3、実施例4及び実施例5)
PEDOT:PSS及びスルホン化ポリエステルの配合量を一定とし、スルホン化ポリエステルのスルホン化率を表1に示す値に変更した以外は、実施例1と同様に固体電解コンデンサ素子を作製した。
(実施例6及び実施例7)
PEDOT:PSS及びスルホン化ポリエステルの配合量を表2に示す値に変更した以外は、実施例5と同様に固体電解コンデンサ素子を作製した。
(実施例8、実施例9及び実施例10)
スルホン化ポリエステルのスルホン化率を表2に示す値に変更した以外は、それぞれ実施例5、実施例6及び実施例7と同様に固体電解コンデンサ素子を作製した。
(実施例11、実施例12、実施例13、実施例14及び実施例15)
PEDOT:PSS及びスルホン化ポリエステルの配合量を表3に示す値に変更した以外は、実施例2と同様に固体電解コンデンサ素子を作製した。
(比較例1)
スルホン化ポリエステルを配合せず、PEDOT:PSSのみを含む導電性ポリマー配合液を使用した以外は、実施例2と同様に固体電解コンデンサ素子を作製した。
(実施例16、実施例17及び実施例18)
PEDOT:PSSに代えて、3,4−エチレンジオキシチオフェン(EDOT)とスルホン化ポリエステル(SPE)とを用いて合成したPEDOT:SPEを使用した。具体的には、実施例2のスルホン化ポリエステル(スルホン化率:20mol%)をドーパントとして、EDOTに対して固形分比で2.5倍量になるように用いて、PEDOT:SPEを合成した。上記PEDOT:SPEに実施例2のスルホン化ポリエステル(スルホン化率:20mol%)を配合した導電性ポリマー配合液を使用し、PEDOT:SPE及びスルホン化ポリエステルの配合量を表4に示す値に変更した以外は、実施例2と同様に固体電解コンデンサ素子を作製した。
(実施例19)
表5に示すように、ジカルボン酸としてイソフタル酸を用いて合成したスルホン化ポリエステルと市販のPEDOT:PSSとを含む導電性ポリマー配合液を使用した以外は、実施例2と同様に固体電解コンデンサ素子を作製した。
(実施例20)
表5に示すように、ジカルボン酸として2,6−ナフタレンジカルボン酸を用いて合成したスルホン化ポリエステルと市販のPEDOT:PSSとを含む導電性ポリマー配合液を使用した以外は、実施例2と同様に固体電解コンデンサ素子を作製した。
(実施例21)
表5に示すように、ジアルコールとしてジエチレングリコールを用いて合成したスルホン化ポリエステルと市販のPEDOT:PSSとを含む導電性ポリマー配合液を使用した以外は、実施例2と同様に固体電解コンデンサ素子を作製した。
このようにして得られた固体電解コンデンサ素子について、LCRメーターを用いて、100kHzにおける等価直列抵抗(ESR)を測定し、この値を初期ESRとした。さらに、これらの固体電解コンデンサ素子に対して125℃/500時間の高温放置試験を行い、試験後に100kHzにおけるESRを測定した。125℃/500時間後のESRが初期ESRに比べて2.5倍未満のものを◎(優)、2.5倍以上5倍未満のものを○(良)、5倍以上15倍未満のものを△(可)、15倍以上のものを×(不良)と判定した。
また、各固体電解コンデンサ素子を切断し、弁作用金属基体を被覆する固体電解質層(外層用の導電性ポリマー配合液からなる被膜)を削り出し、超臨界メタノール分解によりスルホン化ポリエステルをモノマーに分解して溶媒に抽出し、H−NMRによりスルホン化率を求めた。
外層用の導電性ポリマーとしてPEDOT:PSSを使用した場合に、スルホン化ポリエステルの配合量を一定とし、スルホン化率を変化させたときの評価結果を表1に、スルホン化ポリエステルのスルホン化率を3mol%又は7mol%とし、配合量を変化させたときの評価結果を表2に、スルホン化ポリエステルのスルホン化率を一定とし、配合量を変化させたときの評価結果を表3に示す。また、導電性ポリマーのドーパントにスルホン化ポリエステルを用いた評価結果を表4に示す。さらに、異なる構造のスルホン化ポリエステルをPEDOT:PSSに配合した場合(スルホン化ポリエステルのスルホン化率:20mol%、割合:50%)の評価結果を表5に示す。
なお、表1、表2、表3及び表4中の「割合」欄には、外層用の導電性ポリマー配合液の固形分を100としたときの各成分の固形分としての配合割合を示している。また、表4には、ドーパントとして配合されているスルホン化ポリエステルと、追加で配合したスルホン化ポリエステルの合計量も示している。
Figure 2018038201
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表1より、スルホン化ポリエステルのスルホン化率が3mol%以上40mol%以下である場合、125℃/500時間後のESRが初期ESRに比べて15倍未満となること、特に、スルホン化ポリエステルのスルホン化率が8mol%以上40mol%以下である場合、125℃/500時間後のESRが初期ESRに比べて2.5倍未満となることが確認された。これは、スルホン化率が高くなる、すなわち、スルホン酸の密度が高くなるにつれて、固体電解質層と弁作用金属基体との密着性、又は、固体電解質層とカーボン層との密着性が向上したため、ESRの長期熱安定性が向上したのではないかと考えられる。
表2及び表3より、スルホン化ポリエステルの配合量を増やすことにより、ESRの長期熱安定性が向上することが確認された。表2及び表3の結果から、スルホン化ポリエステルの配合量は、スルホン化ポリエステルのスルホン化率が3mol%以上8mol%未満の場合は60重量%以上95重量%以下、スルホン化ポリエステルのスルホン化率が8mol%以上40mol%以下の場合は40重量%以上95重量%以下であることが好ましいと考えられる。なお、スルホン化ポリエステルの配合量が95重量%を超えると、ESRの初期値が大きくなるため好ましくない。
さらに、表4より、PEDOT:PSS以外の導電性ポリマーを用いてもESRの長期熱安定性が向上すること、及び、表5より、異なる構造のスルホン化ポリエステルを用いてもESRの長期熱安定性が向上することが確認された。
なお、スルホン化率が40mol%を超えるスルホン化ポリエステルは、化学構造の安定性が低く、材料が得られなかったため、評価することができなかった。
1 固体電解コンデンサ素子
11 弁作用金属基体
12 金属芯部
13 多孔質層(エッチング層)
14 誘電体層
15 固体電解質層
15a 固体電解質層の内層
15b 固体電解質層の外層
16 導電体層
17 絶縁層
21 陽極部
22 陰極部
10a 第1のコンデンサ素子積層体
10b 第2のコンデンサ素子積層体
31 外装樹脂
32 陽極端子(陽極部側のリードフレーム)
33 陰極端子(陰極部側のリードフレーム)
100 固体電解コンデンサ

Claims (10)

  1. 多孔質層を表面に有する弁作用金属基体と、
    前記多孔質層の表面に形成された誘電体層と、
    前記誘電体層上に設けられた固体電解質層とを備える固体電解コンデンサ素子であって、
    前記固体電解質層は、前記誘電体層の細孔を充填する内層と、前記誘電体層を被覆する外層とを含み、
    前記固体電解質層の外層は、導電性ポリマー及びスルホン化ポリエステルを含み、
    前記固体電解質層の外層中の前記スルホン化ポリエステルのスルホン化率が3mol%以上40mol%以下であることを特徴とする固体電解コンデンサ素子。
  2. 前記固体電解質層の外層中の前記スルホン化ポリエステルのスルホン化率が8mol%以上40mol%以下であり、
    前記固体電解質層の外層に占める前記スルホン化ポリエステルの割合が40重量%以上95重量%以下である請求項1に記載の固体電解コンデンサ素子。
  3. 前記固体電解質層の外層中の前記スルホン化ポリエステルのスルホン化率が20mol%以上40mol%以下であり、
    前記固体電解質層の外層に占める前記スルホン化ポリエステルの割合が10重量%以上95重量%以下である請求項1に記載の固体電解コンデンサ素子。
  4. 前記固体電解質層の外層中の前記スルホン化ポリエステルのスルホン化率が3mol%以上8mol%未満であり、
    前記固体電解質層の外層に占める前記スルホン化ポリエステルの割合が60重量%以上95重量%以下である請求項1に記載の固体電解コンデンサ素子。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサ素子と、
    前記固体電解コンデンサ素子を封止する外装樹脂と、
    前記固体電解コンデンサ素子と電気的に接続された一対の外部電極とを備えることを特徴とする固体電解コンデンサ。
  6. 多孔質層を表面に有し、前記多孔質層の表面に誘電体層が形成された弁作用金属基体を準備する工程と、
    前記誘電体層上に固体電解質層を形成する工程とを備える固体電解コンデンサ素子の製造方法であって、
    前記固体電解質層を形成する工程は、前記誘電体層の細孔を充填する内層を形成する工程と、前記誘電体層を被覆する外層を形成する工程とを含み、
    前記外層を形成する工程では、前記誘電体層上に導電性ポリマー配合液を付与し、
    前記導電性ポリマー配合液は、導電性ポリマー及びスルホン化ポリエステルを含み、
    前記導電性ポリマー配合液中の前記スルホン化ポリエステルのスルホン化率が3mol%以上40mol%以下であることを特徴とする固体電解コンデンサ素子の製造方法。
  7. 前記導電性ポリマー配合液中の前記スルホン化ポリエステルのスルホン化率が8mol%以上40mol%以下であり、
    前記導電性ポリマー配合液中、前記導電性ポリマー及び前記スルホン化ポリエステルの合計に対する前記スルホン化ポリエステルの割合が40重量%以上95重量%以下である請求項6に記載の固体電解コンデンサ素子の製造方法。
  8. 前記導電性ポリマー配合液中の前記スルホン化ポリエステルのスルホン化率が20mol%以上40mol%以下であり、
    前記導電性ポリマー配合液中、前記導電性ポリマー及び前記スルホン化ポリエステルの合計に対する前記スルホン化ポリエステルの割合が10重量%以上95重量%以下である請求項6に記載の固体電解コンデンサ素子の製造方法。
  9. 前記導電性ポリマー配合液中の前記スルホン化ポリエステルのスルホン化率が3mol%以上8mol%未満であり、
    前記導電性ポリマー配合液中、前記導電性ポリマー及び前記スルホン化ポリエステルの合計に対する前記スルホン化ポリエステルの割合が60重量%以上95重量%以下である請求項6に記載の固体電解コンデンサ素子の製造方法。
  10. 請求項6〜9のいずれか1項に記載の方法によって固体電解コンデンサ素子を作製する工程と、
    前記固体電解コンデンサ素子を外装樹脂によって封止する工程と、
    前記固体電解コンデンサ素子と一対の外部電極とを電気的に接続する工程とを備えることを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
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