JPWO2018037711A1 - 防汚性フィルム - Google Patents

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Abstract

本発明は、防汚性、密着性、耐擦性、及び、信頼性がともに優れた防汚性フィルムを提供する。本発明の防汚性フィルムは、基材と、上記基材の表面上に配置される、複数の凸部が可視光の波長以下のピッチで設けられる凹凸構造を表面に有する重合体層とを備える防汚性フィルムであって、上記重合体層は、重合性組成物の硬化物であり、上記重合性組成物は、有効成分換算で、6官能以上のウレタンアクリレートを15〜40重量%、エチレンオキサイド基を1官能基当たり3〜15個有する4官能以上の多官能アクリレートを35〜60重量%、エチレンオキサイド基を有さない単官能アクリレートを15〜30重量%、パーフルオロポリエーテル基を有し、かつ、フッ素原子濃度が50重量%以下であるフッ素系離型剤を0.5〜10重量%、重合開始剤を0.5〜5重量%含有する。

Description

本発明は、防汚性フィルムに関する。より詳しくは、ナノメートルサイズの凹凸構造を有する防汚性フィルムに関するものである。
反射防止性を有する光学フィルムは、種々検討されている(例えば、特許文献1〜3参照)。特に、ナノメートルサイズの凹凸構造(ナノ構造)を有する光学フィルムは、優れた反射防止性を有することが知られている。このような凹凸構造によれば、空気層から基材にかけて屈折率が連続的に変化するために、反射光を劇的に減少させることができる。
特開2012−52125号公報 国際公開第2007/040159号 特開2005−97371号公報
しかしながら、このような光学フィルムにおいては、優れた反射防止性を有する一方で、その表面の凹凸構造のために、指紋(皮脂)等の汚れが付着すると、付着した汚れが広がりやすく、更に、凸部間に入り込んだ汚れを拭き取ることが困難となることがあった。また、付着した汚れは、その反射率が光学フィルムの反射率と大きく異なるため、視認されやすかった。そのため、ナノメートルサイズの凹凸構造を表面に有し、汚れに対する拭き取り性(例えば、指紋拭き取り性)、すなわち、防汚性に優れた機能性フィルム(防汚性フィルム)が求められていた。
これに対して、本発明者らが検討したところ、従来の防汚性フィルムでは、防汚性に加えて、防汚性フィルムの基材と防汚性フィルムの表面(凹凸構造)を構成する重合体層との密着性も不充分であることが分かった。更に、従来の防汚性フィルムでは、耐擦性及び信頼性も不充分であることが分かった。例えば、重合体層の表面(凹凸構造の表面)を擦ると、凸部同士が引っ付いて元の状態に戻らなかったり(凸部が倒れた後に起き上がらなかったり)、凸部が破損したりすることがあるため、耐擦性を高めることが求められていた。また、高温/高湿の環境下において、重合体層の構成材料がブリードアウトすることによって光学特性が低下することがあるため、信頼性を高めることが求められていた。
以上のように、従来の防汚性フィルムに対しては、防汚性、密着性、耐擦性、及び、信頼性をともに優れたものとする手段が見出されていなかった。例えば、上記特許文献1〜3には、密着性及び信頼性に関する記載はなく、防汚性及び耐擦性を高める点でも改善の余地があった。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、防汚性、密着性、耐擦性、及び、信頼性がともに優れた防汚性フィルムを提供することを目的とするものである。
本発明者らは、防汚性、密着性、耐擦性、及び、信頼性がともに優れた防汚性フィルムについて種々検討したところ、防汚性フィルムの重合体層を構成する重合性組成物が、各特性を高めるような成分を所定の割合で含有する構成を見出した。これにより、上記課題をみごとに解決することができることに想到し、本発明に到達したものである。
すなわち、本発明の一態様は、基材と、上記基材の表面上に配置される、複数の凸部が可視光の波長以下のピッチで設けられる凹凸構造を表面に有する重合体層とを備える防汚性フィルムであって、上記重合体層は、重合性組成物の硬化物であり、上記重合性組成物は、有効成分換算で、6官能以上のウレタンアクリレートを15〜40重量%、エチレンオキサイド基を1官能基当たり3〜15個有する4官能以上の多官能アクリレートを35〜60重量%、エチレンオキサイド基を有さない単官能アクリレートを15〜30重量%、パーフルオロポリエーテル基を有し、かつ、フッ素原子濃度が50重量%以下であるフッ素系離型剤を0.5〜10重量%、重合開始剤を0.5〜5重量%含有する防汚性フィルムであってもよい。
上記重合体層の表面の動摩擦係数は、2.0以下であってもよい。
上記重合体層の表面に対して、水の接触角は130°以上であり、ヘキサデカンの接触角は30°以上であってもよい。
上記単官能アクリレートは、N−アクリロイルモルホリン、及び、N,N−ジメチルアクリルアミドのうちの少なくとも一方を含んでいてもよい。
上記重合体層の厚みは、5.0μm以上、20.0μm以下であってもよい。
上記複数の凸部の平均ピッチは、100nm以上、400nm以下であってもよい。
上記複数の凸部の平均高さは、50nm以上、600nm以下であってもよい。
上記複数の凸部の平均アスペクト比は、0.8以上、1.5以下であってもよい。
本発明によれば、防汚性、密着性、耐擦性、及び、信頼性がともに優れた防汚性フィルムを提供することができる。
実施形態の防汚性フィルムを示す断面模式図である。 図1中の重合体層を示す斜視模式図である。 実施形態の防汚性フィルムの製造方法を説明するための断面模式図である。
以下に実施形態を掲げ、本発明について図面を参照して更に詳細に説明するが、本発明はこの実施形態のみに限定されるものではない。また、実施形態の各構成は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜組み合わされてもよいし、変更されてもよい。
本明細書中、「X〜Y」は、「X以上、Y以下」を意味する。
[実施形態]
実施形態の防汚性フィルムについて、図1及び図2を参照して以下に説明する。図1は、実施形態の防汚性フィルムを示す断面模式図である。図2は、図1中の重合体層を示す斜視模式図である。
防汚性フィルム1は、基材2と、基材2の表面上に配置される重合体層3とを備えている。
基材2の材料としては、例えば、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、メチルメタクリレート(MMA)等の樹脂が挙げられる。基材2は、上記材料に加えて、可塑剤等の添加剤を適宜含んでいてもよい。基材2の表面(重合体層3側の表面)には易接着処理が施されていてもよく、例えば、易接着処理が施されたトリアセチルセルロースフィルムを用いることができる。また、基材2の表面(重合体層3側の表面)にはケン化処理が施されていてもよく、例えば、ケン化処理が施されたトリアセチルセルロースフィルムを用いることができる。防汚性フィルム1が液晶表示装置等の偏光板を備える表示装置に取り付けられるものである場合、基材2は、偏光板の一部を構成するものであってもよい。
基材2の厚みは、透明性及び加工性を確保する観点から、50μm以上、100μm以下であることが好ましい。
重合体層3は、複数の凸部(突起)4が可視光の波長(780nm)以下のピッチ(隣接する凸部4の頂点間の距離)Pで設けられる凹凸構造、すなわち、モスアイ構造(蛾の目状の構造)を表面に有している。よって、防汚性フィルム1は、モスアイ構造による優れた反射防止性(低反射性)を示すことができる。
重合体層3の厚みTは、後述するフッ素系離型剤中のフッ素原子を重合体層3の表面(基材2とは反対側の表面)に高濃度で配向させる観点から、薄いことが好ましい。具体的には、重合体層3の厚みTは、5.0μm以上、20.0μm以下であることが好ましく、8.0μm以上、12.0μm以下であることがより好ましい。重合体層3の厚みTは、図1に示すように、基材2側の表面から凸部4の頂点までの距離を指す。
凸部4の形状としては、例えば、柱状の下部と半球状の上部とによって構成される形状(釣鐘状)、錐体状(コーン状、円錐状)等の、先端に向かって細くなる形状(テーパー形状)が挙げられる。図1中、隣接する凸部4の間隙の底辺は傾斜した形状となっているが、傾斜せずに水平な形状であってもよい。
複数の凸部4の平均ピッチは、モアレ、虹ムラ等の光学現象の発生を充分に防止する観点から、100nm以上、400nm以下であることが好ましく、100nm以上、200nm以下であることがより好ましい。複数の凸部4の平均ピッチは、具体的には、走査型電子顕微鏡で撮影された平面写真の1μm角の領域内における、すべての隣接する凸部のピッチの平均値を指す。
複数の凸部4の平均高さは、後述する複数の凸部4の好ましい平均アスペクト比と両立させる観点から、50nm以上、600nm以下であることが好ましく、100nm以上、300nm以下であることがより好ましい。複数の凸部4の平均高さは、具体的には、走査型電子顕微鏡で撮影された断面写真における、連続して並んだ10個の凸部の高さの平均値を指す。ただし、10個の凸部を選択する際は、欠損や変形した部分(測定用試料を準備する際に変形させてしまった部分等)がある凸部を除く。
複数の凸部4の平均アスペクト比は、0.8以上、1.5以下であることが好ましく、1.0以上、1.3以下であることがより好ましい。複数の凸部4の平均アスペクト比が0.8未満である場合、モアレ、虹ムラ等の光学現象の発生を充分に防止することができず、優れた反射防止性が得られない懸念がある。複数の凸部4の平均アスペクト比が1.5よりも大きい場合、凹凸構造の加工性が低下し、スティッキングが発生したり、凹凸構造を形成する際の転写具合が悪化したりする(後述する金型6が詰まったり、巻き付いてしまう、等)懸念がある。複数の凸部4の平均アスペクト比は、上述した複数の凸部4の平均高さと平均ピッチとの比(高さ/ピッチ)を指す。
凸部4は、ランダムに配置されていても、規則的(周期的)に配置されていてもよい。凸部4の配置には周期性があってもよいが、その周期性に起因する不要な回折光が発生しない等の利点から、図2に示すように、凸部4の配置には周期性がない(ランダムである)ことが好ましい。
重合体層3は、重合性組成物の硬化物である。重合体層3としては、例えば、活性エネルギー線硬化性の重合性組成物の硬化物、熱硬化性の重合性組成物の硬化物等が挙げられる。ここで、活性エネルギー線は、紫外線、可視光線、赤外線、プラズマ等を指す。重合体層3は、活性エネルギー線硬化性の重合性組成物の硬化物であることが好ましく、紫外線硬化性の重合性組成物の硬化物であることがより好ましい。
重合性組成物は、有効成分換算で、6官能以上のウレタンアクリレート(以下、成分Aとも言う。)を15〜40重量%、エチレンオキサイド基を1官能基当たり3〜15個有する4官能以上の多官能アクリレート(以下、成分Bとも言う。)を35〜60重量%、エチレンオキサイド基を有さない単官能アクリレート(以下、成分Cとも言う。)を15〜30重量%、パーフルオロポリエーテル基を有し、かつ、フッ素原子濃度が50重量%以下であるフッ素系離型剤(以下、成分Dとも言う。)を0.5〜10重量%、重合開始剤(以下、成分Eとも言う。)を0.5〜5重量%含有する。
重合性組成物の有効成分(成分A〜Eの有効成分)は、硬化後に重合体層3の構成成分となるものを指し、硬化反応(重合反応)に寄与しない成分(例えば、溶剤)を除く。例えば、成分Dの有効成分は、分子内にフッ素原子を有する化合物を指す。
重合性組成物は、成分A〜Eを上述した割合で含有するものであれば、その他の成分を含有していてもよい。
成分A〜Eについて、以下に説明する。
(成分A)
成分Aによれば、ウレタン結合の凝集力によって重合体層3の架橋密度が高まり、適度な硬度(弾性)が付与されるため、耐擦性が高まる。更に、ウレタン結合の凝集力によって、基材2と重合体層3との密着性(以下、単に、密着性とも言う。)が高まる。
成分Aにおいて、ウレタンアクリレートの官能基数は、6以上であり、好ましくは8以上、より好ましくは10以上である。ウレタンアクリレートの官能基数が5以下である場合、重合体層3の架橋密度が高まらず、硬度が低くなり過ぎてしまうため、耐擦性が低下する。一方、ウレタンアクリレートの官能基数が多過ぎると、ウレタンアクリレートの粘度が高くなり過ぎてしまい、他の成分との相溶性が低下するため、耐擦性が低下する懸念がある。このような観点から、ウレタンアクリレートの官能基数の好ましい上限値は15である。ここで、ウレタンアクリレートの官能基数は、1分子当たりのアクリロイル基の個数を指す。
重合性組成物中の成分Aの含有率は、有効成分換算で、15〜40重量%であり、好ましくは20〜35重量%、より好ましくは25〜30重量%である。成分Aの含有率が有効成分換算で15重量%未満である場合、重合体層3の架橋密度が高まらず、硬度が低くなり過ぎてしまうため、耐擦性が低下する。また、ウレタン結合の量が少なくなり過ぎてしまうため、密着性が低下する。成分Aの含有率が有効成分換算で40重量%よりも高い場合、重合体層3の架橋密度が高くなり過ぎてしまい、その弾性が不足する(柔軟性が低下する)ため、耐擦性が低下する。重合性組成物が成分Aを複数種類含有する場合、複数の成分Aの含有率の合計が有効成分換算で上記範囲内であればよい。
成分Aの公知例としては、共栄社化学社製の「UA−306H」、「UA−306T」、「UA−306I」、及び、「UA−510H」中のウレタンアクリレート成分(官能基数:6)、ケーエスエム社製の「KUA−9N」(官能基数:9)、「KUA−10N」(官能基数:10)、「KUA−15N」(官能基数:15)、新中村化学工業社製の「U−6LPA」、「UA−1100H」(官能基数:6)、「UA−33H」(官能基数:9)、「U−10HA」、「U−10PA」(官能基数:10)、「UA−53H」(官能基数:15)、ダイセル・オルネクス社製の「EBECRYL(登録商標)1290」、「EBECRYL5129」(官能基数:6)、「KRM(登録商標)8904」(官能基数:9)、「KRM8452」(官能基数:10)等が挙げられる。
(成分B)
成分Bによれば、重合体層3の架橋密度が高まり、適度な硬度(弾性)が付与されるため、耐擦性が高まる。更に、エチレンオキサイド基の高い極性によって基材2との相互作用が高まるため、密着性が高まる。耐擦性は、重合体層3の架橋密度及びガラス転移温度と相関すると考えられ、架橋密度を上げ、かつ、ガラス転移温度を下げれば、耐擦性を顕著に高めることができる。例えば、重合性組成物がプロピレンオキサイド基を有する多官能アクリレートを含有すれば、エチレンオキサイド基を有する多官能アクリレートを含有する場合と比較して、ガラス転移温度が高くなってしまう。これは、プロピレンオキサイド基が有する分岐状の−CHによって、分子運動が束縛されるためである。また、プロピレンオキサイド基(炭化水素基も同様)はエチレンオキサイド基よりも極性が低く、基材2との相互作用が低下するため、密着性が低下してしまう。そのため、本実施形態では、耐擦性及び密着性の観点から、エチレンオキサイド基を選定している。
成分Bにおいて、多官能アクリレートの官能基数は、4以上であり、好ましくは6以上、より好ましくは9以上である。多官能アクリレートの官能基数が3以下である場合、重合体層3の架橋密度が高まらず、硬度が低くなり過ぎてしまうため、耐擦性が低下する。一方、多官能アクリレートの官能基数が多過ぎると、重合体層3の架橋密度が高くなり過ぎてしまい、その弾性が不足するため、耐擦性が低下する懸念がある。このような観点から、多官能アクリレートの官能基数の好ましい上限値は15である。ここで、多官能アクリレートの官能基数は、1分子当たりのアクリロイル基の個数を指す。
成分Bにおいて、エチレンオキサイド基の個数は、1官能基当たり3〜15個であり、好ましくは1官能基当たり4〜12個、より好ましくは1官能基当たり6〜9個である。エチレンオキサイド基の個数が1官能基当たり3個未満である場合、重合体層3の弾性が不足するため、耐擦性が低下する。エチレンオキサイド基の個数が1官能基当たり15個よりも多い場合、重合体層3の架橋密度が低くなり過ぎてしまうため、耐擦性が低下する。ここで、1官能基当たりのエチレンオキサイド基の個数は、(1分子当たりのエチレンオキサイド基の個数)/(1分子当たりのアクリロイル基の個数)を指す。
重合性組成物中の成分Bの含有率は、有効成分換算で、35〜60重量%であり、好ましくは40〜55重量%、より好ましくは45〜50重量%である。成分Bの含有率が有効成分換算で35重量%未満である場合、重合体層3の弾性が不足するため、耐擦性が低下する。成分Bの含有率が有効成分換算で60重量%よりも高い場合、重合体層3の架橋密度が低くなり過ぎてしまうため、耐擦性が低下する。重合性組成物が成分Bを複数種類含有する場合、複数の成分Bの含有率の合計が有効成分換算で上記範囲内であればよい。
成分Bとしては、例えば、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、エトキシ化ポリグリセリンポリアクリレート等が挙げられる。エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレートの公知例としては、新中村化学工業社製の「ATM−35E」(官能基数:4、エチレンオキサイド基の個数:1官能基当たり8.75個)等が挙げられる。エトキシ化ポリグリセリンポリアクリレートの公知例としては、新中村化学工業社製の「NK ECONOMER(登録商標) A−PG5027E」(官能基数:9、エチレンオキサイド基の個数:1官能基当たり3個)、「NK ECONOMER A−PG5054E」(官能基数:9、エチレンオキサイド基の個数:1官能基当たり6個)等が挙げられる。
(成分C)
成分Cによれば、成分A、B、Dの相溶性が高まるため、耐擦性が高まる。更に、重合性組成物の硬化収縮を抑制し、基材2との凝集力が高まるため、密着性が高まる。成分A、Bは、分子量が大きいために互いの相溶性が低く、多官能であるために硬化収縮により互いの密着性が低くなる。また、成分Dは長鎖構造を有していることがあり、成分A、Bとの相溶性が低い。そのため、成分Cは、基材2との凝集力を高める役割だけではなく、成分A、B、Dの反応性希釈剤(相溶化剤)の役割も担っている。
成分Cにおいては、エチレンオキサイド基が含有されていない。エチレンオキサイド基を有する単官能アクリレートによれば、その長鎖構造のためにガラス転移温度が下がるものの反応性が低いため、多量に含有すればブリードアウトしやすくなる。また、エチレンオキサイド基を有する単官能アクリレートは成分Dとの相溶性が低いため、少量では相溶性を高めることができず、多量であれば相溶性を高めることができるものの、ブリードアウトしやすくなる。このような不具合は、例えば、プロピレンオキサイド基を有するモノマー、長鎖の炭化水素基を有するモノマー等によっても同様に生じる。
重合性組成物中の成分Cの含有率は、有効成分換算で、15〜30重量%であり、好ましくは18〜28重量%、より好ましくは20〜25重量%である。成分Cの含有率が有効成分換算で15重量%未満である場合、滑り性が低下し、その結果、耐擦性が低下する。また、重合性組成物の硬化収縮が抑制されず、密着性が低下する。成分Cの含有率が有効成分換算で30重量%よりも高い場合、重合体層3の架橋密度が低くなり過ぎてしまうため、耐擦性が低下する。重合性組成物が成分Cを複数種類含有する場合、複数の成分Cの含有率の合計が有効成分換算で上記範囲内であればよい。
成分Cとしては、例えば、N−アクリロイルモルホリン、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、N−n−ブトキシメチルアクリルアミド等のアミド基含有モノマー;テトラヒドロフランアクリレート等のエーテル基含有モノマー;4−ヒドロキシブチルアクリレート等の水酸基含有モノマー、等が挙げられる。N−アクリロイルモルホリンの公知例としては、KJケミカルズ社製の「ACMO(登録商標)」等が挙げられる。N,N−ジメチルアクリルアミドの公知例としては、KJケミカルズ社製の「DMAA(登録商標)」等が挙げられる。N,N−ジエチルアクリルアミドの公知例としては、KJケミカルズ社製の「DEAA(登録商標)」等が挙げられる。N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミドの公知例としては、KJケミカルズ社製の「HEAA(登録商標)」等が挙げられる。ダイアセトンアクリルアミドの公知例としては、日本化成社製の「DAAM(登録商標)」等が挙げられる。N−n−ブトキシメチルアクリルアミドの公知例としては、MRCユニテック社製の「NBMA」等が挙げられる。テトラヒドロフランアクリレートの公知例としては、大阪有機化学工業社製の「ビスコート#150」等が挙げられる。4−ヒドロキシブチルアクリレートの公知例としては、日本化成社製の「4HBA」等が挙げられる。
成分Cは、N−アクリロイルモルホリン、及び、N,N−ジメチルアクリルアミドのうちの少なくとも一方を含むことが好ましい。このような構成によれば、成分Cの粘度が低くなり、成分A、B、Dとの相溶性がより高まる。また、基材2がトリアセチルセルロースフィルムである場合、密着性がより高まる。
(成分D)
成分Dによれば、フッ素原子が重合体層3の表面(基材2とは反対側の表面)に均一に配向し、重合体層3の表面自由エネルギーが低くなるため、防汚性が高まる。更に、滑り性が高まり、その結果、耐擦性が高まる。
成分Dにおいて、フッ素原子濃度は、50重量%以下である。フッ素原子濃度が50重量%よりも高い場合、成分A〜Cとの相溶性が低くなり過ぎてしまい、フッ素原子が重合体層3の表面(基材2とは反対側の表面)に均一に配向しないため、防汚性及び耐擦性が低下する。また、高温/高湿の環境下においてブリードアウトしやすくなり、信頼性が低下する。一方、フッ素原子濃度が低過ぎると、重合体層3の表面(基材2とは反対側の表面)に配向するフッ素原子の量が少なくなり過ぎてしまうため、防汚性及び耐擦性が低下する懸念がある。このような観点から、フッ素原子濃度の好ましい下限値は20重量%である。
成分Dにおいては、パーフルオロポリエーテル基が含有されている。パーフルオロポリエーテル基を有さない離型剤(例えば、パーフルオロアルキル基を有するフッ素系離型剤、シリコン系離型剤等)によれば、重合体層3の防汚性及び耐擦性が充分に高まらない。
重合性組成物中の成分Dの含有率は、有効成分換算で、0.5〜10重量%であり、好ましくは1〜5重量%、より好ましくは1.5〜3重量%である。成分Dの含有率が有効成分換算で0.5重量%未満である場合、重合体層3の表面(基材2とは反対側の表面)に配向するフッ素原子の量が少なくなり過ぎてしまうため、防汚性が低下する。また、滑り性が低下し、その結果、耐擦性が低下する。成分Dの含有率が有効成分換算で10重量%よりも高い場合、成分A〜Cとの相溶性が低くなり過ぎてしまい、フッ素原子が重合体層3の表面(基材2とは反対側の表面)に均一に配向しないため、防汚性及び耐擦性が低下する。また、高温/高湿の環境下においてブリードアウトしやすくなり、信頼性が低下する。重合性組成物が成分Dを複数種類含有する場合、複数の成分Dの含有率の合計が有効成分換算で上記範囲内であればよい。
成分Dの公知例としては、ソルベイ社製の「フォンブリン(登録商標)MT70」(フッ素原子濃度:43重量%)、「フォンブリンAD1700」(フッ素原子濃度:24重量%)等が挙げられる。
(成分E)
成分Eによれば、重合性組成物の硬化性が高まる。
重合性組成物中の成分Eの含有率は、有効成分換算で、0.5〜5重量%であり、好ましくは1〜4重量%、より好ましくは1.5〜3重量%である。成分Eの含有率が有効成分換算で0.5重量%未満である場合、重合性組成物の硬化不足が生じてしまう。成分Eの含有率が有効成分換算で5重量%よりも高い場合、高温/高湿の環境下においてブリードアウトしやすくなり、信頼性が低下する。重合性組成物が成分Eを複数種類含有する場合、複数の成分Eの含有率の合計が有効成分換算で上記範囲内であればよい。
成分Eとしては、例えば、光重合開始剤、熱重合開始剤等が挙げられる。成分Eは、光重合開始剤であることが好ましい。光重合開始剤は、活性エネルギー線に対して活性であり、モノマーを重合する重合反応を開始させるために添加されるものである。
光重合開始剤としては、例えば、ラジカル重合開始剤、アニオン重合開始剤、カチオン重合開始剤等が挙げられる。このような光重合開始剤としては、例えば、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、2,2’−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等のアセトフェノン類;ベンゾフェノン、4,4’−ビスジメチルアミノベンゾフェノン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン等のケトン類;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル類;ベンジルジメチルケタール、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のベンジルケタール類;2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド類;1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン等のアルキルフェノン類、等が挙げられる。2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイドの公知例としては、BASF社製の「LUCIRIN(登録商標) TPO」、「IRGACURE(登録商標) TPO」等が挙げられる。ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイドの公知例としては、BASF社製の「IRGACURE 819」等が挙げられる。1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンの公知例としては、BASF社製の「IRGACURE 184」等が挙げられる。
重合性組成物は、更に、溶剤(有効成分以外の成分)を含有していてもよい。この場合、溶剤は、成分A〜E中に有効成分とともに含有されていてもよく、成分A〜Eとは別に含有されていてもよい。
溶剤としては、例えば、アルコール(炭素数1〜10:例えば、メタノール、エタノール、n−又はi−プロパノール、n−、sec−、又は、t−ブタノール、ベンジルアルコール、オクタノール等)、ケトン(炭素数3〜8:例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、ジブチルケトン、シクロヘキサノン等)、エステル又はエーテルエステル(炭素数4〜10:例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル等)、γ−ブチロラクトン、エチレングリコールモノメチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルアセテート、エーテル(炭素数4〜10:例えば、EGモノメチルエーテル(メチルセロソロブ)、EGモノエチルエーテル(エチルセロソロブ)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソロブ)、プロピレングリコールモノメチルエーテル等)、芳香族炭化水素(炭素数6〜10:例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等)、アミド(炭素数3〜10:例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等)、ハロゲン化炭化水素(炭素数1〜2:例えば、メチレンジクロライド、エチレンジクロライド等)、石油系溶剤(例えば、石油エーテル、石油ナフサ等)等が挙げられる。
以上より、本実施形態によれば、防汚性、密着性、耐擦性、及び、信頼性がともに優れた防汚性フィルム1を実現することができる。
防汚性の観点から、重合体層3の表面(基材2とは反対側の表面)に対して、水の接触角は130°以上であり、ヘキサデカンの接触角は30°以上であることが好ましい。
耐擦性の観点から、重合体層3の表面(基材2とは反対側の表面)の動摩擦係数は、好ましくは2.0以下、より好ましくは1.5以下、更に好ましくは1.0以下である。
防汚性フィルム1の用途は、その優れた防汚性を活用するものであれば特に限定されず、例えば、反射防止フィルム等の光学フィルム用途であってもよい。このような反射防止フィルムは、表示装置の内部又は外部に取り付けることで、視認性の向上に寄与する。
防汚性フィルム1の防汚性は、重合体層3の表面(基材2とは反対側の表面)に付着した汚れが容易に除去可能なことを意味していてもよく、重合体層3の表面(基材2とは反対側の表面)に汚れが付着しにくいことを意味していてもよい。
防汚性フィルム1は、例えば、以下の製造方法によって製造される。図3は、実施形態の防汚性フィルムの製造方法を説明するための断面模式図である。
(プロセス(1):重合性組成物の塗布)
図3(a)に示すように、重合性組成物5を基材2の表面上に塗布する。
重合性組成物5の塗布方法としては、例えば、スプレー方式、グラビア方式、スロットダイ方式、バーコート方式等で塗布する方法が挙げられる。重合性組成物5の塗布方法としては、膜厚を均一にし、生産性を向上する観点から、グラビア方式又はスロットダイ方式で塗布する方法が好ましい。
重合性組成物5は、成分A〜Eを上述した割合で含有するものである。ここで、重合性組成物5が溶剤(有効成分以外の成分)を更に含有する場合、重合性組成物5の塗布後に、溶剤を除去する加熱処理(乾燥処理)を行ってもよい。加熱処理は、溶剤の沸点以上の温度で行われることが好ましい。
(プロセス(2):凹凸構造の形成)
図3(b)に示すように、重合性組成物5を間に挟んだ状態で、基材2を金型6に押し当てる。その結果、凹凸構造が重合性組成物5の表面(基材2とは反対側の表面)に形成される。
(プロセス(3):重合性組成物の硬化)
凹凸構造を表面に有する重合性組成物5を硬化させる。その結果、図3(c)に示すように、重合体層3が形成される。
重合性組成物5の硬化方法としては、例えば、活性エネルギー線の照射、加熱等による方法が挙げられる。重合性組成物5の硬化は、活性エネルギー線の照射によって行われることが好ましく、紫外線の照射によって行われることがより好ましい。活性エネルギー線の照射は、重合性組成物5の基材2側から行ってもよく、重合性組成物5の金型6側から行ってもよい。また、重合性組成物5に対する活性エネルギー線の照射回数は、1回のみであってもよいし、複数回であってもよい。重合性組成物5の硬化(上記プロセス(3))は、重合性組成物5への凹凸構造の形成(上記プロセス(2))と同じタイミングで行ってもよい。
(プロセス(4):金型の剥離)
図3(d)に示すように、金型6を重合体層3から剥離する。その結果、防汚性フィルム1が完成する。
上述した製造プロセスにおいて、例えば、基材2をロール状にすれば、上記プロセス(1)〜(4)を連続的かつ効率的に行うことができる。
金型6としては、例えば、下記の方法で作製されるものを用いることができる。まず、金型6の材料となるアルミニウムを、支持基材の表面上にスパッタリング法によって成膜する。次に、成膜されたアルミニウムの層に対して、陽極酸化及びエッチングを交互に繰り返すことによって、モスアイ構造の雌型(金型6)を作製することができる。この際、陽極酸化を行う時間、及び、エッチングを行う時間を調整することによって、金型6の凹凸構造を変化させることができる。
支持基材の材料としては、例えば、ガラス;ステンレス、ニッケル等の金属;ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、環状オレフィン系高分子(代表的には、ノルボルネン系樹脂等である、日本ゼオン社製の「ゼオノア(登録商標)」、JSR社製の「アートン(登録商標)」)等のポリオレフィン系樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、トリアセチルセルロース等の樹脂、等が挙げられる。また、支持基材の表面上にアルミニウムを成膜したものの代わりに、アルミニウム製の基材を用いてもよい。
金型6の形状としては、例えば、平板状、ロール状等が挙げられる。
金型6の表面は、離型処理が施されていることが好ましい。これにより、金型6を重合体層3から容易に剥離することができる。また、金型6の表面自由エネルギーが低くなるため、上記プロセス(2)において、基材2を金型6に押し当てる際に、成分D中のフッ素原子を重合性組成物5の表面(基材2とは反対側の表面)に均一に配向させることができる。更に、重合性組成物5を硬化させる前に、成分D中のフッ素原子が重合性組成物5の表面(基材2とは反対側の表面)から離れてしまうことを防止することができる。その結果、防汚性フィルム1において、成分D中のフッ素原子を重合体層3の表面(基材2とは反対側の表面)に均一に配向させることができる。
金型6の離型処理に用いられる材料としては、例えば、フッ素系材料、シリコン系材料、リン酸エステル系材料等が挙げられる。フッ素系材料の公知例としては、ダイキン工業社製の「オプツール(登録商標)DSX」、ダイキン工業社製の「オプツールAES4」等が挙げられる。
[実施例及び比較例]
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
実施例及び比較例において、防汚性フィルムを製造するために用いた材料は以下の通りである。
(基材)
富士フイルム社製の「TAC−TD80U」を用い、その厚みは80μmであった。
(重合性組成物)
表1〜13に示すような組成の重合性組成物R1〜R38を用いた。重合性組成物の各成分名の略称は、以下の通りである。
<ウレタンアクリレート>
・「A1」
共栄社化学社製の「UA−306H」
官能基数:6
ウレタンアクリレート成分(有効成分):70重量%
多官能アクリレート成分(有効成分):30重量%
・「A2」
ケーエスエム社製の「KUA−9N」
官能基数:9
有効成分:100重量%
・「A3」
ケーエスエム社製の「KUA−10N」
官能基数:10
有効成分:100重量%
・「A4」
ケーエスエム社製の「KUA−15N」
官能基数:15
有効成分:100重量%
・「A5」
ダイセル・オルネクス社製の「EBECRYL4858」
官能基数:2
有効成分:100重量%
・「A6」
ダイセル・オルネクス社製の「EBECRYL8465」
官能基数:3
有効成分:100重量%
・「A7」
ダイセル・オルネクス社製の「EBECRYL8210」
官能基数:4
有効成分:100重量%
<多官能アクリレート>
・「B1」
新中村化学工業社製の「ATM−35E」
官能基数:4
エチレンオキサイド基の個数:1官能基当たり8.75個
有効成分:100重量%
・「B2」
新中村化学工業社製の「NK ECONOMER A−PG5027E」
官能基数:9
エチレンオキサイド基の個数:1官能基当たり3個
有効成分:100重量%
・「B3」
新中村化学工業社製の「NK ECONOMER A−PG5054E」
官能基数:9
エチレンオキサイド基の個数:1官能基当たり6個
有効成分:100重量%
・「B4」
新中村化学工業社製の「A−600」
官能基数:2
エチレンオキサイド基の個数:1官能基当たり7個
有効成分:100重量%
・「B5」
新中村化学工業社製の「A−TMPT−9EO」
官能基数:3
エチレンオキサイド基の個数:1官能基当たり3個
有効成分:100重量%
・「B6」
新中村化学工業社製の「AT−30E」
官能基数:3
エチレンオキサイド基の個数:1官能基当たり10個
有効成分:100重量%
・「B7」
日本化薬社製の「KAYARAD(登録商標) DPEA−12」
官能基数:6
エチレンオキサイド基の個数:1官能基当たり2個
有効成分:100重量%
<単官能アクリレート>
・「C1」
大阪有機化学工業社製の「ビスコート#150」
エチレンオキサイド基:有さない
有効成分:100重量%
・「C2」
KJケミカルズ社製の「ACMO」
エチレンオキサイド基:有さない
有効成分:100重量%
・「C3」
KJケミカルズ社製の「DMAA」
エチレンオキサイド基:有さない
有効成分:100重量%
・「C4」
新中村化学工業社製の「AM−90G」
エチレンオキサイド基:有する
有効成分:100重量%
<離型剤>
・「D1」
ソルベイ社製の「フォンブリンMT70」
パーフルオロポリエーテル基:有する
フッ素原子濃度:43重量%
有効成分:80重量%
・「D2」
ソルベイ社製の「フォンブリンAD1700」
パーフルオロポリエーテル基:有する
フッ素原子濃度:24重量%
有効成分:70重量%
・「D3」
ソルベイ社製の「フォンブリンMD700」
パーフルオロポリエーテル基:有する
フッ素原子濃度:52重量%
有効成分:100重量%
・「D4」
ビックケミー・ジャパン社製の「BYK(登録商標)−UV3575」
パーフルオロポリエーテル基:有さない(シリコン系離型剤)
有効成分:50重量%
・「D5」
信越化学工業社製の「X−22−2445」
パーフルオロポリエーテル基:有さない(シリコン系離型剤)
有効成分:100重量%
・「D6」
エボニック社製の「TEGO(登録商標)Rad 2700」
パーフルオロポリエーテル基:有さない(シリコン系離型剤)
有効成分:100重量%
・「D7」
JNC社製の「FM−0711」
パーフルオロポリエーテル基:有さない(シリコン系離型剤)
有効成分:100重量%
・「D8」
ユニマテック社製の「CHEMINOX(登録商標) FAAC−6」
パーフルオロポリエーテル基:有さない(パーフルオロアルキル基を有する)
有効成分:100重量%
・「D9」
ネオス社製の「フタージェント(登録商標)601AD」
パーフルオロポリエーテル基:有さない(パーフルオロアルキル基を有する)
有効成分:25重量%
・「D10」
DIC社製の「メガファック(登録商標)RS−76−NS」
パーフルオロポリエーテル基:有さない(パーフルオロアルキル基を有する)
有効成分:20重量%
<重合開始剤>
・「E1」
BASF社製の「LUCIRIN TPO」
有効成分:100重量%
表1〜13中の「有効成分比率」は、重合性組成物中の各成分(ウレタンアクリレート等)の含有率を有効成分換算したもの、すなわち、重合性組成物中の有効成分の全量100重量%に対する、各成分の有効成分の含有率を示す(単位:重量%)。なお、重合性組成物R2において、成分Bに該当しない多官能アクリレート(区分:その他)の含有率は有効成分換算で8.1重量%であるが、これは、ウレタンアクリレートA1に含まれる多官能アクリレート成分の有効成分比率である。また、重合性組成物R19において、成分Bに該当しない多官能アクリレート(区分:その他)の含有率は有効成分換算で5.4重量%であるが、これは、ウレタンアクリレートA1に含まれる多官能アクリレート成分の有効成分比率である。
Figure 2018037711
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(金型)
下記の方法で作製したものを用いた。まず、金型の材料となるアルミニウムを、10cm角のガラス基板上にスパッタリング法によって成膜した。成膜されたアルミニウムの層の厚みは、1.0μmであった。次に、成膜されたアルミニウムの層に対して、陽極酸化及びエッチングを交互に繰り返すことによって、多数の微小な穴(隣り合う穴(凹部)の底点間の距離が可視光の波長以下)が設けられた陽極酸化層を形成した。具体的には、陽極酸化、エッチング、陽極酸化、エッチング、陽極酸化、エッチング、陽極酸化、エッチング、及び、陽極酸化を順に行う(陽極酸化:5回、エッチング:4回)ことによって、アルミニウムの層の内部に向かって細くなる形状(テーパー形状)を有する微小な穴(凹部)を多数形成し、その結果、凹凸構造を有する金型が得られた。陽極酸化は、シュウ酸(濃度:0.03重量%)を用いて、液温5℃、印加電圧80Vの条件下で行った。1回の陽極酸化を行う時間は、25秒とした。エッチングは、リン酸(濃度:1mol/l)を用いて、液温30℃の条件下で行った。1回のエッチングを行う時間は、25分とした。金型を走査型電子顕微鏡で観察したところ、凹部の深さは290nmであった。なお、金型の表面には、ダイキン工業社製の「オプツールAES4」によって事前に離型処理を施した。
(実施例1)
実施例1の防汚性フィルムを、以下の製造方法によって製造した。
(プロセス(1):重合性組成物の塗布)
重合性組成物R1を基材2の表面上に、帯状に滴下(塗布)した。その後、バーコーターを用いて、重合性組成物R1を基材2の表面全体に広げた。その後、基材2の表面上に重合性組成物R1が塗布された状態のものをオーブンに入れて、温度80℃で1分間加熱処理し、重合性組成物R1から溶剤を揮発させた。
(プロセス(2):凹凸構造の形成)
重合性組成物R1(溶剤揮発後)を間に挟んだ状態で、基材2を金型6にハンドローラーで押し当てた。その結果、凹凸構造が重合性組成物R1の表面(基材2とは反対側の表面)に形成された。
(プロセス(3):重合性組成物の硬化)
凹凸構造を表面に有する重合性組成物R1に、基材2側から紫外線(照射量:200mJ/cm)を照射して硬化させた。その結果、重合体層3が形成された。
(プロセス(4):金型の剥離)
金型6を重合体層3から剥離した。その結果、防汚性フィルム1が完成した。重合体層3の厚みTは、9.8μmであった。
防汚性フィルム1の表面仕様は、下記の通りであった。
凸部4の形状:釣鐘状
凸部4の平均ピッチ:200nm
凸部4の平均高さ:200nm
凸部4の平均アスペクト比:1.0
防汚性フィルム1の表面仕様の評価は、日立ハイテクノロジーズ社製の走査型電子顕微鏡「S−4700」を用いて行われた。なお、評価時には、メイワフォーシス社製のオスミウムコーター「Neoc−ST」を用いて、重合体層3の表面(基材2とは反対側の表面)上に和光純薬工業社製の酸化オスミウムVIII(厚み:5nm)が塗布されていた。
(実施例2〜15、及び、比較例1〜23)
表14〜21に示すような組成に変更したこと以外、実施例1と同様にして、各例の防汚性フィルムを製造した。
[評価]
各例の防汚性フィルムについて、以下の評価を行った。結果を表14〜21に示す。
(重合性組成物の透明性)
各例で用いた重合性組成物(加熱処理前の状態)を透明な試験管に入れ、その状態を照度100lx(蛍光灯)の環境下で目視観察した。判定基準は、下記の通りとした。
○:透明又はごくわずかに白濁していた。
△:わずかに白濁しているが、1日間放置した後であっても沈降物は見られなかった。
×:白濁しており、1日間放置した後に沈降物が見られた。
ここで、重合性組成物の透明性が高いほど、重合性組成物中の離型剤の相溶性が高いと判断した。
(防汚性)
防汚性としては、撥水性、撥油性、及び、指紋拭き取り性を評価した。
撥水性としては、各例の防汚性フィルムの表面に対する水の接触角を評価した。具体的には、各例の防汚性フィルムの重合体層の表面(基材とは反対側の表面)に対して水を滴下し、滴下直後の接触角を測定した。
撥油性としては、各例の防汚性フィルムの表面に対するヘキサデカンの接触角を評価した。具体的には、各例の防汚性フィルムの重合体層の表面(基材とは反対側の表面)に対してヘキサデカンを滴下し、滴下直後の接触角を測定した。
接触角としては、協和界面科学社製のポータブル接触角計「PCA−1」を用いて、θ/2法(θ/2=arctan(h/r)、θ:接触角、r:液滴の半径、h:液滴の高さ)で測定された、3箇所の接触角の平均値を示した。ここで、1箇所目の測定点としては、各例の防汚性フィルムの中央部分を選択し、2箇所目及び3箇所目の測定点としては、1箇所目の測定点から20mm以上離れ、かつ、1箇所目の測定点に対して互いに点対称な位置にある2点を選択した。
指紋拭き取り性は、下記の方法によって評価された。まず、各例の防汚性フィルムに対して、基材の重合体層とは反対側の表面に、光学粘着層を介して、黒アクリル板を貼り付けた。そして、各例の防汚性フィルムの重合体層の表面(基材とは反対側の表面)に指紋を付着させた後、旭化成せんい社製の「ベンコット(登録商標)S−2」で10往復擦り、指紋が拭き取れるかどうかを、照度100lx(蛍光灯)の環境下で目視観察した。判定基準は、下記の通りとした。
○:指紋が完全に拭き取れ、拭き残りが見えなかった。
△:指紋は目立たないが、蛍光灯を映り込ませると拭き残りがわずかに見えた。
×:指紋が全く拭き取れなかった。
ここで、判定が○又は△である場合を、許容可能なレベル(指紋拭き取り性が優れている)と判断した。
(密着性)
密着性は、下記の方法によって評価された。まず、各例の防汚性フィルムの重合体層の表面(基材とは反対側の表面)に対して、カッターナイフで、碁盤目状に縦11本、横11本の切り込みを1mm間隔で入れて、100個の正方形状の升目(1mm角)を刻んだ。そして、日東電工社製のポリエステル粘着テープ「No.31B」を升目部分に圧着した後、粘着テープを升目部分の表面に対して90°の方向に、100mm/sの速度で剥がした。その後、基材上の重合体層の剥離状態を目視観察し、基材上の重合体層が剥がれずに残った升目の個数「M」(単位:個)を数えた。判定基準は、下記の通りとした。
○:M=100
△:M=95〜99
×:M=0〜94
ここで、判定が○又は△である場合を、許容可能なレベル(密着性が優れている)と判断した。
(耐擦性)
耐擦性としては、滑り性及びスチールウール耐性を評価した。
滑り性としては、各例の防汚性フィルムの表面の動摩擦係数を評価した。具体的には、まず、各例の防汚性フィルムを新東科学社製の表面性測定機「HEIDON(登録商標)−14FW」のステージ上に固定し、水平状態を確認した。その後、各例の防汚性フィルムの重合体層の表面(基材とは反対側の表面)上にプローブをセットし、荷重400gを加えた状態で20mm擦った。そして、得られたチャートの安定した部分を抽出して、動摩擦係数を算出した。
スチールウール耐性は、下記の方法によって評価された。まず、各例の防汚性フィルムの重合体層の表面(基材とは反対側の表面)を、日本スチールウール社製のスチールウール「#0000」に荷重400gを加えた状態で擦った。そして、照度100lx(蛍光灯)の環境下で目視観察しながら、各例の防汚性フィルムの重合体層の表面(基材とは反対側の表面)に付いた傷の本数「N」(単位:本)を数えた。なお、スチールウールで擦る際、試験機として新東科学社製の表面性測定機「HEIDON−14FW」を用い、ストローク幅を30mm、速度を100mm/s、擦る回数を10往復とした。判定基準は、下記の通りとした。
◎:N=0
○:N=1〜3
△:N=4〜10
×:N=11〜20
××:N≧21
ここで、判定が◎、○、又は、△である場合を、許容可能なレベル(スチールウール耐性が優れている)と判断した。
(信頼性)
信頼性としては、各例の防汚性フィルムにおけるブリードアウトの発生具合を評価した。具体的には、まず、各例の防汚性フィルムに対して、温度60℃、湿度95%の環境下で1000時間放置する高温/高湿試験を行った。その後、各例の防汚性フィルムの重合体層の白濁具合を、照度100lx(蛍光灯)の環境下で目視観察した。目視観察の結果、重合体層が白濁していないものについては、ブリードアウトが発生していないと判断し、信頼性がOKであると判定した。これに対して、重合体層が白濁していたものについては、ブリードアウトが発生していると判断し、信頼性がNGであると判定した。一方、目視観察による判定が困難である場合は、高温/高湿試験の前後で測定された入射光5°における正反射スペクトルを重ね合わせ、両者のスペクトルのずれの有無で判定した。具体的には、高温/高湿試験前後のスペクトルにおける反射率を比較して、両者にずれが生じていない場合を信頼性がOKであると判定し、両者にずれが生じている場合(高温/高湿試験後で全体的に反射率が増加している場合)を信頼性がNGであると判定した。なお、入射光5°における正反射スペクトルは、下記の通り測定された。まず、各例の防汚性フィルムに対して、基材の重合体層とは反対側の表面に黒アクリル板を貼り付けた。その後、各例の防汚性フィルムの重合体層の表面(基材とは反対側の表面)に対して極角5°の方位から光源を照射し、島津製作所社製の「UV−3100PC」を用いて、380〜780nmの波長領域で正反射スペクトルを測定した。
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表14〜16に示すように、実施例1〜15はいずれも、防汚性、密着性、耐擦性、及び、信頼性がともに優れていた。一方、表17〜21に示すように、比較例1〜23はいずれも、防汚性、密着性、耐擦性、及び、信頼性のうちの少なくとも1つが低かった。
比較例1は、重合性組成物R16中のウレタンアクリレートA5の官能基数が6未満であるため、耐擦性(スチールウール耐性)が低かった。
比較例2は、重合性組成物R17中のウレタンアクリレートA6の官能基数が6未満であるため、耐擦性(スチールウール耐性)が低かった。
比較例3は、重合性組成物R18中のウレタンアクリレートA7の官能基数が6未満であるため、耐擦性(スチールウール耐性)が低かった。
比較例4は、重合性組成物R19中のウレタンアクリレートA1由来のウレタンアクリレート成分の含有率が有効成分換算で15重量%未満であるため、耐擦性(スチールウール耐性)が低かった。
比較例5は、重合性組成物R20において、ウレタンアクリレートA3の含有率が有効成分換算で40重量%よりも高く、多官能アクリレートB3の含有率が有効成分換算で35重量%未満であるため、耐擦性(スチールウール耐性)が低かった。
比較例6は、重合性組成物R21中の多官能アクリレートB4の官能基数が4未満であるため、耐擦性(スチールウール耐性)が低かった。
比較例7は、重合性組成物R22中の多官能アクリレートB5の官能基数が4未満であるため、耐擦性(スチールウール耐性)が低かった。
比較例8は、重合性組成物R23中の多官能アクリレートB6の官能基数が4未満であるため、耐擦性(スチールウール耐性)が低かった。
比較例9は、重合性組成物R24中の多官能アクリレートB7において、エチレンオキサイド基の個数が1官能基当たり3個未満であるため、耐擦性(スチールウール耐性)が低かった。
比較例10は、重合性組成物R25において、ウレタンアクリレートA3の含有率が有効成分換算で15重量%未満であり、多官能アクリレートB3の含有率が有効成分換算で60重量%よりも高いため、耐擦性(スチールウール耐性)が低かった。
比較例11は、重合性組成物R26中の単官能アクリレートC4がエチレンオキサイド基を有するため、他の成分との相溶性が低下し、重合性組成物R26の透明性が低かった。更に、防汚性、密着性、及び、耐擦性(スチールウール耐性)も低かった。
比較例12は、重合性組成物R27中の単官能アクリレートC3の含有率が有効成分換算で15重量%未満であるため、密着性が低かった。
比較例13は、重合性組成物R28中の単官能アクリレートC3の含有率が有効成分換算で30重量%よりも高いため、耐擦性(スチールウール耐性)が低かった。
比較例14は、重合性組成物R29中の離型剤D3のフッ素原子濃度が50重量%よりも高いため、他の成分との相溶性が低下し、重合性組成物R29の透明性が低かった。更に、防汚性、耐擦性、及び、信頼性も低かった。
比較例15は、重合性組成物R30がフッ素系離型剤(成分D)を含有していないため、防汚性及び耐擦性が低かった。
比較例16は、重合性組成物R31中の離型剤D1の含有率が有効成分換算で10重量%よりも高いため、耐擦性(スチールウール耐性)及び信頼性が低かった。
比較例17は、重合性組成物R32中の離型剤D4がパーフルオロポリエーテル基を有さないシリコン系離型剤であるため、防汚性が低かった。
比較例18は、重合性組成物R33中の離型剤D5がパーフルオロポリエーテル基を有さないシリコン系離型剤であるため、防汚性、耐擦性、及び、信頼性が低かった。更に、重合性組成物R33の透明性も低かった。
比較例19は、重合性組成物R34中の離型剤D6がパーフルオロポリエーテル基を有さないシリコン系離型剤であるため、防汚性、耐擦性、及び、信頼性が低かった。更に、重合性組成物R34の透明性も低かった。
比較例20は、重合性組成物R35中の離型剤D7がパーフルオロポリエーテル基を有さないシリコン系離型剤であるため、防汚性、耐擦性、及び、信頼性が低かった。更に、重合性組成物R35の透明性も低かった。
比較例21は、重合性組成物R36中の離型剤D8がパーフルオロポリエーテル基を有さないフッ素系離型剤であるため、防汚性(撥水性)及び耐擦性が低かった。
比較例22は、重合性組成物R37中の離型剤D9がパーフルオロポリエーテル基を有さないフッ素系離型剤であるため、防汚性(撥水性)及び耐擦性が低かった。
比較例23は、重合性組成物R38中の離型剤D10がパーフルオロポリエーテル基を有さないフッ素系離型剤であるため、防汚性(撥水性)及び耐擦性が低かった。
[付記]
本発明の一態様は、基材と、上記基材の表面上に配置される、複数の凸部が可視光の波長以下のピッチで設けられる凹凸構造を表面に有する重合体層とを備える防汚性フィルムであって、上記重合体層は、重合性組成物の硬化物であり、上記重合性組成物は、有効成分換算で、6官能以上のウレタンアクリレートを15〜40重量%、エチレンオキサイド基を1官能基当たり3〜15個有する4官能以上の多官能アクリレートを35〜60重量%、エチレンオキサイド基を有さない単官能アクリレートを15〜30重量%、パーフルオロポリエーテル基を有し、かつ、フッ素原子濃度が50重量%以下であるフッ素系離型剤を0.5〜10重量%、重合開始剤を0.5〜5重量%含有する防汚性フィルムであってもよい。この態様によれば、防汚性、密着性、耐擦性、及び、信頼性がともに優れた防汚性フィルムを実現することができる。
上記重合体層の表面の動摩擦係数は、2.0以下であってもよい。このような構成によれば、耐擦性が好ましく高まる。
上記重合体層の表面に対して、水の接触角は130°以上であり、ヘキサデカンの接触角は30°以上であってもよい。このような構成によれば、防汚性が好ましく高まる。
上記単官能アクリレートは、N−アクリロイルモルホリン、及び、N,N−ジメチルアクリルアミドのうちの少なくとも一方を含んでいてもよい。このような構成によれば、上記単官能アクリレートの粘度が低くなり、上記ウレタンアクリレート、上記多官能アクリレート、及び、上記フッ素系離型剤との相溶性がより高まる。また、上記基材がトリアセチルセルロースフィルムである場合、密着性がより高まる。
上記重合体層の厚みは、5.0μm以上、20.0μm以下であってもよい。このような構成によれば、上記フッ素系離型剤中のフッ素原子が上記重合体層の表面(上記基材とは反対側の表面)により高濃度で配向する。
上記複数の凸部の平均ピッチは、100nm以上、400nm以下であってもよい。このような構成によれば、モアレ、虹ムラ等の光学現象の発生が充分に防止される。
上記複数の凸部の平均高さは、50nm以上、600nm以下であってもよい。このような構成によれば、上記複数の凸部の好ましい平均アスペクト比と両立させることができる。
上記複数の凸部の平均アスペクト比は、0.8以上、1.5以下であってもよい。このような構成によれば、モアレ、虹ムラ等の光学現象の発生が充分に防止され、優れた反射防止性を実現することができる。更に、上記凹凸構造の加工性の低下による、スティッキングの発生、及び、上記凹凸構造を形成する際の転写具合の悪化が充分に防止される。
1:防汚性フィルム
2:基材
3:重合体層
4:凸部
5:重合性組成物
6:金型
P:ピッチ
T:重合体層の厚み

Claims (8)

  1. 基材と、
    前記基材の表面上に配置される、複数の凸部が可視光の波長以下のピッチで設けられる凹凸構造を表面に有する重合体層とを備える防汚性フィルムであって、
    前記重合体層は、重合性組成物の硬化物であり、
    前記重合性組成物は、有効成分換算で、6官能以上のウレタンアクリレートを15〜40重量%、エチレンオキサイド基を1官能基当たり3〜15個有する4官能以上の多官能アクリレートを35〜60重量%、エチレンオキサイド基を有さない単官能アクリレートを15〜30重量%、パーフルオロポリエーテル基を有し、かつ、フッ素原子濃度が50重量%以下であるフッ素系離型剤を0.5〜10重量%、重合開始剤を0.5〜5重量%含有することを特徴とする防汚性フィルム。
  2. 前記重合体層の表面の動摩擦係数は、2.0以下であることを特徴とする請求項1に記載の防汚性フィルム。
  3. 前記重合体層の表面に対して、水の接触角は130°以上であり、ヘキサデカンの接触角は30°以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の防汚性フィルム。
  4. 前記単官能アクリレートは、N−アクリロイルモルホリン、及び、N,N−ジメチルアクリルアミドのうちの少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の防汚性フィルム。
  5. 前記重合体層の厚みは、5.0μm以上、20.0μm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の防汚性フィルム。
  6. 前記複数の凸部の平均ピッチは、100nm以上、400nm以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の防汚性フィルム。
  7. 前記複数の凸部の平均高さは、50nm以上、600nm以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の防汚性フィルム。
  8. 前記複数の凸部の平均アスペクト比は、0.8以上、1.5以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の防汚性フィルム。
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