本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
(実施形態1)
図1Aは、実施形態1に係るモータの一例を示す断面図である。図1Bは、図1Aの第1の間隙を拡大して示す拡大断面図である。図1Cは、図1Aの第3の間隙及び第4の間隙を拡大して示す拡大断面図である。図1Aにおいて、モータ1は、減速機構を介さずに、発生した動力を対象物にダイレクトに伝達するダイレクトドライブモータである。図1Aに示すように、モータ1は、対象物を回転させるための動力を発生する駆動部2を備える。駆動部2は、ステータ21と、ステータ21に対して回転可能なロータ22とを有する。ロータ22は、回転軸AXを中心に回転する。
モータ1は、ロータ22の回転を検出する回転検出器3と、駆動部2及び回転検出器3を保持するハウジング4と、ステータ21と接続されるケーブル200Aと、回転検出器3と接続されるケーブル200Bとを備えている。ケーブル200A,200Bは、モータ1を制御するための図示せぬ制御装置に接続される。
本実施形態において、モータ1は、インナーロータ型のモータである。ロータ22は、ステータ21の回転軸AXを中心とする径方向内側に配置される。以下、回転軸AXを中心とする径方向を、単に「径方向」ともいう。
ステータ21は、ステータコア21Aと、ステータコア21Aに支持されるコイル21Bとを有する。ステータコア21Aは、回転軸AXを中心とする周方向に等間隔で複数配置されるティースを有する。以下、回転軸AXを中心とする周方向を、単に「周方向」ともいう。
コイル21Bは、複数設けられる。コイル21Bは、ステータコア21Aの複数のティースのそれぞれに支持される。
ロータ22は、周方向に等間隔で複数配置された永久磁石を含む。ステータ21とロータ22とは、間隙を介して対向する。
回転検出器3は、ステータ21に対するロータ22の回転を検出する。回転検出器3は、レゾルバを含み、駆動部2のロータ22の回転速度、回転方向、及び回転角度の少なくとも一つを検出する。本実施形態において、回転検出器3は、アブソリュートレゾルバ及びインクリメンタルレゾルバの2種類のレゾルバを含む。
ハウジング4は、ステータハウジング41と、ステータハウジング41の径方向内側に配置されるロータハウジング42とを含む。図1Aに示すように、ステータハウジング41及びロータハウジング42はそれぞれ、複数の部材で構成された円筒状の部材である。ステータハウジング41の中心軸と、ロータハウジング42の中心軸と、回転軸AXとは、一致する。以下、回転軸AXと平行な方向を「軸方向」ともいう。
ステータ21及びロータ22を含む駆動部2は、ステータハウジング41とロータハウジング42との間に配置される。ステータ21は、ステータハウジング41と接続される。ステータ21は、ステータハウジング41の外周面に固定される。ロータ22は、ロータハウジング42と接続される。ロータ22は、ロータハウジング42の内周面に固定される。
ステータハウジング41とロータハウジング42との間に軸受5が配置される。軸受5は、内輪5Aと、外輪5Bと、内輪5Aと外輪5Bとの間に配置される転動体5Cとを有する。この軸受5により、ロータハウジング42は、ステータハウジング41に対して、回転軸AXを中心に回転可能に支持される。
ステータハウジング41は、ロータハウジング42との間に、軸受5で仕切られた第1内部空間100A及び第2内部空間100Bを設けて配置される。第1内部空間100Aは、周方向の全周に亘り第1の間隙6Aを隔ててステータハウジング41とロータハウジング42とが軸方向に対向する第1のシール部7Aが設けられており、この第1のシール部7Aでシールされている。第2内部空間100Bは、周方向の全周に亘り第3の間隙6Bを隔ててステータハウジング41とロータハウジング42とが径方向に対向する第2のシール部7Bが設けられており、この第2のシール部7Bでシールされている。第1のシール部7A及び第2のシール部7Bの詳細については後述する。
図1Aに示すように、ステータハウジング41は、第1のステータハウジング部41A、第3のステータハウジング部41B、第2のステータハウジング部41C、第1の円環状部材41D、及び第2の円環状部材41Eを備えている。
第1のステータハウジング部41Aは、円筒状の部材であり、軸受5の外輪5Bを軸方向に挟持する部材41AAと部材41ABとを含む。第1のステータハウジング部41Aは、図1Aに示す実施形態1に係るモータ1の軸方向の上端側から下端側に向けて、部材41AA、部材41ABの順に並び配置される。
第1のステータハウジング部41Aの部材41AAは、内周面に回転検出器3のステータが固定される。第1のステータハウジング部41Aの部材41ABは、内周面に駆動部2のステータ21が固定される。部材41AA及び部材41ABは、軸方向の上端側から下端側に向けて、部材41AA、部材41ABの順に配置され、例えば、周方向に配置された複数本の雄ネジ等の締結部材91Bで締結されている。
第3のステータハウジング部41Bは、第1のステータハウジング部41Aの部材41AAの外周面に面して嵌合する円筒部を有する。第3のステータハウジング部41Bの円筒部の内周面には、周方向の全周に亘り径方向内側に開口した凹形状を成す第1の溝部12Aが設けられている。また、第3のステータハウジング部41Bは、円筒部から径方向内側に延びる円環部を有する。第1の溝部12Aの上端の軸方向位置と、円環部の下面の軸方向位置とは一致している。第1の溝部12Aの詳細については後述する。
第3のステータハウジング部41Bの円環部と、第1のステータハウジング部41Aの部材41AAとの間に、円環状の第1の円環状部材41Dが配置される。第1内部空間100Aは、周方向の全周に亘り第2の間隙8Aを隔てて第1の円環状部材41Dと第3のステータハウジング部41Bの円環部とが軸方向に対向する第1の絞り部9Aが設けられることによって、第3のステータハウジング部41Bに設けられた第1の溝部12Aと連通している。第1の絞り部9Aの詳細については後述する。
第2のステータハウジング部41Cは、第1のステータハウジング部41Aの部材41ABの内周面に面して嵌合し、径方向内側に延びる円環部を有する。第2のステータハウジング部41Cの円環部の第2内部空間100B側には、周方向の全周に亘り軸方向上端側に開口した凹形状を成す第2の溝部12Bが設けられている。第2の溝部12Bの詳細については後述する。
また、第2のステータハウジング部41Cの円環部の第2内部空間100B側には、第2の溝部12Bを軸方向上端側から覆うように第2の円環状部材41Eが配置される。第2内部空間100Bは、周方向の全周に亘り第4の間隙8Bを隔てて第2の円環状部材41Eと第2のステータハウジング部41Cの円環部とが軸方向に対向する第2の絞り部9Bが設けられることによって、第2のステータハウジング部41Cに設けられた第2の溝部12Bと連通している。第2の絞り部9Bの詳細については後述する。
図1Aに示すように、第1のステータハウジング部41Aの部材41AA、第1のステータハウジング部41Aの部材41AB、第3のステータハウジング部41B、第2のステータハウジング部41C、及び第1の円環状部材41Dは、軸方向の上端側から下端側に向けて、第3のステータハウジング部41B、第1の円環状部材41D、第1のステータハウジング部41Aの部材41AA、第1のステータハウジング部41Aの部材41AB、第2のステータハウジング部41Cの順に並び配置されている。第3のステータハウジング部41B、第1の円環状部材41D、及び第1のステータハウジング部41A(部材41AA)は、例えば、周方向に配置された複数本の雄ネジ等の締結部材91Aで締結されている。第1のステータハウジング部41A(部材41AB)及び第2のステータハウジング部41Cは、例えば、周方向に配置された複数本の雄ネジ等の締結部材91Cで締結されている。第2のステータハウジング部41C及び第2の円環状部材41Eは、例えば、複数本の雄ネジ等の締結部材で締結されている。
ロータハウジング42には、モータ1を用いた半導体製造装置やフラットディスプレイ製造装置で製造される被製造物への電源ケーブルや信号ケーブルを挿通するための中空穴23が設けられている。
図1Aに示すように、ロータハウジング42は、第1のロータハウジング部42A、第2のロータハウジング部42B、及び第3のロータハウジング部42Cを備えている。第1のロータハウジング部42A、第2のロータハウジング部42B、及び第3のロータハウジング部42Cは、それぞれ円環状または円筒状の部材である。第1のロータハウジング部42A及び第2のロータハウジング部42Bは、軸受5の内輪5Aを軸方向に挟持する。
第1のロータハウジング部42Aは、外周面に回転検出器3のロータが固定されている。第2のロータハウジング部42Bは、外周面にロータ22が固定されている。第1のロータハウジング部42A、第2のロータハウジング部42B、及び第3のロータハウジング部42Cは、図1Aに示す実施形態1に係るモータ1の軸方向の上端側から下端側に向けて、第3のロータハウジング部42C、第1のロータハウジング部42A、第2のロータハウジング部42Bの順に配置されている。第3のロータハウジング部42C及び第1のロータハウジング部42Aは、例えば、周方向に配置された複数本の雄ネジ等の締結部材92Aで締結されている。第1のロータハウジング部42A及び第2のロータハウジング部42Bは、例えば、周方向に配置された複数本の雄ネジ等の締結部材92Bで締結されている。
なお、ステータハウジング41及びロータハウジング42は、上述した構成に限るものではない。ステータハウジング41は、例えば、第1の溝部12Aを設けた部材、第1の溝部12Aを設けた部材と共に第2の間隙8Aを構成する部材、第2の溝部12Bを設けた部材、第2の溝部12Bを設けた部材と共に第4の間隙8Bを構成する部材を含む複数の部材で構成されていれば良い。また、ロータハウジング42は、例えば、1つの部材であってもよいし、2つ以上の部材で構成されていてもよい。
実施形態1に係るモータ1は、ステータ21及びロータ22を含む駆動部2、軸受5、及び回転検出器3が軸方向に並び配置される。これにより、回転軸AXに対する放射方向に関するモータ1の寸法の増大が抑制され、ハウジング4の設置面積(フットプリント)の増大が抑制される。
上述した構成の実施形態1に係るモータ1は、ステータ21に対してロータ22が回転することにより、ステータハウジング41に対してロータハウジング42が回転軸AXを中心に回転する。
ロータハウジング42にワーク(不図示)が載置される。駆動部2の作動によりロータハウジング42が回転すると、ロータハウジング42とともにワークが回転する。ロータハウジング42は、駆動部2の作動により回転軸AXを中心に回転する出力軸として機能する。
ここで、第1のシール部7Aについて説明する。本実施形態において、第1のシール部7Aは、第3のステータハウジング部41Bと、第3のロータハウジング部42Cとが、周方向の全周に亘り、例えば0.1mmから0.5mm程度の第1の間隙6Aを隔てて軸方向に対向している。図1Aに示すように、本実施形態では、第3のステータハウジング部41Bの内径r1は、第3のロータハウジング部42Cの外径r2よりも小さい。従って、第1のシール部7Aは、第3のステータハウジング部41Bと第3のロータハウジング部42Cとが、第1の間隙6Aを隔てて軸方向に対向するW1の範囲で設けられる。
次に、第1の絞り部9Aについて説明する。本実施形態において、第1の絞り部9Aは、第1のステータハウジング部41Aの部材41AAと、第3のステータハウジング部41Bとが、例えば数μmから数十μm程度の第2の間隙8Aを隔てて軸方向に対向し構成される。
図2Aは、実施形態1に係る第1の円環状部材を図1AのA矢視方向に見た平面図である。図2Bは、図2AのIIB−IIB’矢視断面図である。図2Cは、第3のステータハウジング部と第1の円環状部材とが固定された状態において、図2Bと同じ断面を示す断面図である。図2Aにおいて、第1のステータハウジング部41Aと第3のステータハウジング部41Bとで第1の円環状部材41Dを挟み固定するため、第1の円環状部材41Dにはネジ穴41Hが6つ設けられている。第1の円環状部材41Dのネジ穴41Hの数はこれに限るものではない。
図2A及び図2Bに示すように、第1の円環状部材41Dには、第1の円環状部材41Dの基準面41Dsに、突出部41Dpが設けられている。図2Cに示すように、第1の円環状部材41Dに対向する第3のステータハウジング部41Bの第2面(対向面)41Bsは平坦である。そして、第3のステータハウジング部41Bの第2面41Bsと、突出部41Dpとが当接している。第3のステータハウジング部41Bに対向する突出部41Dpの面と、第1の円環状部材41Dの基準面41Dsとの間に段差がある。これにより、第1の円環状部材41Dの基準面41Dsと、第3のステータハウジング部41Bの第2面41Bsとが、第2の間隙8Aを介して対向している。具体的には、突出部41Dpは、第1の円環状部材41Dに設けたネジ穴41Hの周辺の軸方向の厚みを、他の箇所(第1の円環状部材41Dの基準面41Ds)よりも第2の間隙8Aに相当する分だけ厚くしている。これにより、第3のステータハウジング部41Bと第1の円環状部材41Dとを組み合わせた際に、第1の円環状部材41Dと第3のステータハウジング部41Bとが第2の間隙8Aを隔てて軸方向に対向する第1の絞り部9Aが設けられる。図1Aに示すように、本実施形態において、第1の絞り部9Aは、第1の円環状部材41Dの外径r3と内径r4との径方向幅W2の範囲で設けられる。
図2Dは、実施形態1の第1変形例に係る第3のステータハウジング部と第1の円環状部材とが固定された状態において、部分断面を示す断面図である。図2Dに示す位置は、図2Cと同じ断面である。図2Dに示すように、実施形態1の第1変形例において、第3のステータハウジング部41Bに対向する第1の円環状部材41Dの基準面41Dsは、平坦面である。第1の円環状部材41Dには、第3のステータハウジング部41Bとの間に第2の間隙8Aを設けるための段差が設けられていない。第1の円環状部材41Dに対向する、第3のステータハウジング部41Bの対向面41Bsには、突出部41Bpが設けられている。突出部41Bpは、第3のステータハウジング部41Bに設けた穴の周辺の軸方向の厚みを、第2面41Bsよりも第2の間隙8Aに相当する分だけ厚くしている。そして、第1の円環状部材41Dの基準面41Dsと、突出部41Bpとが当接している。第3のステータハウジング部41Bには、第1の円環状部材41Dに対向する突出部41Bpの面と、第2面41Bsとの間に段差がある。これにより、第1の円環状部材41Dの基準面41Dsと、第3のステータハウジング部41Bの第2面41Bsとが、第2の間隙8Aを介して対向している。第3のステータハウジング部41Bは、第1の円環状部材41Dとの間に第2の間隙8Aを設けるための段差を設けている。以上説明したように、第2の間隙8Aは、ステータハウジング41の第3のステータハウジング部41Bと、第1の円環状部材41Dとが対向する位置にあり、第1の円環状部材41Dに対向する第3のステータハウジング部41Bの対向面または第1の円環状部材41Dに段差を有している。
図3Aは、実施形態1の第2変形例に係る第1の円環状部材を図1AのA矢視方向に見た平面図である。図3Bは、図3AのIIIB−IIIB’矢視断面図である。図3Cは、第3のステータハウジング部、スペーサ部材及び第1の円環状部材が固定された状態において、図3Bと同じ断面を示す断面図である。実施形態1の構成要素と同じ構成要素については、同じ符号を付して、説明を省略する。なお、図1Aに示すように、第1のステータハウジング部41Aと第3のステータハウジング部41Bとで第1の円環状部材41Dを挟み固定するため、第1の円環状部材41Dにはネジ穴41Hが6つ設けられている。第1の円環状部材41Dのネジ穴41Hの数はこれに限るものではない。スペーサ部材11は、軸方向に第2の間隙8Aに相当する一定の厚みを有する平座金形状の部材である。図3A及び図3Bに示すように、スペーサ部材11は、スペーサ部材11に設けられた貫通穴の中心と、ネジ穴41Hの中心とが一致するように、ネジ穴41Hの周囲にそれぞれ配置されている。図3Cに示すように、第1の円環状部材41Dと第3のステータハウジング部41Bとの間に、第2の間隙8Aを設けるためのスペーサ部材11が挟まれる。
図1Aに示すように、第3のステータハウジング部41Bは、軸方向に直交し、ロータハウジング42の軸方向の面42Csと対向して第1の間隙6A(第1の吸気側間隙)に面する第1面41Bt(図1B参照)と、第2の間隙8A(第1の排気側間隙)に面し、かつ上記第1面41Btと反対側の第2面41Bs(図2C参照)と、第1の溝部12Aとを備える。これにより、上記第1面41Btの平面度、上記第2面41Bsの平面度、及び、第1の円環状部材41Dと第3のステータハウジング部41Bとの間の第2の間隙8Aを設けるための段差の寸法を管理項目として設けていれば良く、部品精度の管理項目が少なくなるという利点がある。その結果、歩留りが向上する。ここで、実施形態1において第2の間隙8Aを設けるための段差の寸法は、突出部41Dpの厚みである。実施形態1の第1変形例において第2の間隙8Aを設けるための段差の寸法は、突出部41Bpの厚みである。実施形態1の第1変形例において第2の間隙8Aを設けるための段差の寸法は、スペーサ部材11の厚みである。
第3のステータハウジング部41Bの外径r6は、第1のステータハウジング部41Aの外径r5よりも大きく、第3のステータハウジング部41Bの円筒部は、第1のステータハウジング部41Aの径方向外側に面して嵌合する嵌合部を有している。第1の溝部12Aは、第3のステータハウジング部41Bの円筒部の周方向の全周に亘り設けられ、第1の絞り部9Aの第2の間隙8Aを介して、周方向の全周に亘り第1内部空間100Aと連通している。
また、第3のステータハウジング部41Bには、第1のステータハウジング部41Aの外径r5と第3のステータハウジング部41Bの外径r6との径方向幅W3の範囲で軸方向下端部に開口し、継手14Aを介して、例えば真空ポンプ等である吸引排気装置P1の排気用チューブ15Aが接続される第1の排気穴13Aが第1の溝部12Aに連通して設けられている。そして、第3のステータハウジング部41Bには、第1のステータハウジング部41Aの部材41AAと径方向に重なる嵌合面に周方向の全周に亘り凹部16が設けられ、この凹部16にOリング17が設けられている。このOリング17が第3のステータハウジング部41Bと、他の構成部材、例えば第1のステータハウジング部41Aの部材41AAとの間に介在することで、第1のステータハウジング部41Aの部材41AAと第3のステータハウジング部41Bとが径方向に重なる嵌合面の気密性が保たれる。なお、第1のステータハウジング部41Aの部材41AAと第3のステータハウジング部41Bとが高精度に嵌合する場合には、第3のステータハウジング部41Bの凹部16の加工とOリング17とを省略可能であるが、これら凹部16及びOリング17を設けることで、第1のステータハウジング部41Aの部材41AAと第3のステータハウジング部41Bとの嵌合面の加工精度を粗くでき、許容範囲を広くできる。その結果、歩留りが向上する。
ここで、第2のシール部7Bについて説明する。本実施形態において、第2のシール部7Bは、第2のステータハウジング部41Cと、第2のロータハウジング部42Bとが、周方向の全周に亘り、径方向に例えば0.1mmから0.5mm程度の第3の間隙6Bを隔てて重なり構成される。本実施形態において、第2のシール部7Bは、図1Aに示すように、第2のステータハウジング部41Cと第2のロータハウジング部42Bとが、第3の間隙6Bを隔てて径方向に対向するL1の範囲で設けられる。
次に、第2の絞り部9Bについて説明する。本実施形態において、第2の絞り部9Bは、第2のステータハウジング部41Cと、第2の円環状部材41Eとが、軸方向に例えば数μmから数十μm程度の第4の間隙8Bを隔てて重なり構成される。
図4は、実施形態1における第2の円環状部材の一例を示す図である。図4は、第2の円環状部材41Eを図1AのA矢視方向に見た平面図を示している。図5は、実施形態1における第2のステータハウジング部の一例を示す図である。図5は、第2のステータハウジング部41Cを図1AのA矢視方向に見た平面図を示している。なお、図4及び図5において、第2のステータハウジング部41Cに第2の円環状部材41Eを固定するためのネジ穴を6つ設けているが、ネジ穴の数はこれに限るものではない。
図1C、図4及び図5において、第2のステータハウジング部41Cに対向する第2の円環状部材41Eの面41Esは平坦である。上述したように、第2のステータハウジング部41Cの円環部の第2内部空間100B側には、全周に亘り第2の溝部12Bが設けられている。溝部12Bは、径方向において、面41C1と面41C2との間に設けられる。また、図1C、図4及び図5において、第2のステータハウジング部41Cの第2の円環状部材41Eに対向する面41C1と面41C2とで第2の円環状部材である第2の円環状部材41Eとの間に第4の間隙8Bを設けるための段差が設けられている。これにより、第2のステータハウジング部41Cと第2の円環状部材41Eとを組み合わせた際に、周方向の全周に亘り、第2の円環状部材41Eと第2のステータハウジング部41Cとが第4の間隙8Bを隔てて軸方向に対向する第2の絞り部9Bが設けられる。
本実施形態では、図1Aに示すように、第2の円環状部材41Eの内径r8は、第2のステータハウジング部41Cに設けられた第2の溝部12Bの内径r7よりも小さい。従って、第2の絞り部9Bは、第2のステータハウジング部41Cに設けられた第2の溝部12Bの内径r7と第2の円環状部材41Eの内径r8との径方向幅W4の範囲で設けられる。第2の溝部12Bは、第2の絞り部9Bの第4の間隙8Bを介して、周方向の全周に亘り第2内部空間100Bと連通している。
なお、上述した例とは異なり、第2のステータハウジング部41Cの第2の円環状部材41Eに対向する面41C1と面41C2とで段差を設けず、第2の円環状部材41Eの第2のステータハウジング部41Cに対向する面に、第2のステータハウジング部41Cとの間に第4の間隙8Bを構成するための段差を設けるようにしてもよい。また、図1Aに示す例では、第2のステータハウジング部41Cと第2の円環状部材41Eとが重なる径方向内側の領域に第2の絞り部9Bを設ける例を示したが、第2のステータハウジング部41Cの第2の円環状部材41Eに対向する面に段差を設け、第2のステータハウジング部41Cと第2の円環状部材41Eとが重なる径方向外側の領域に第2の絞り部9Bを設けてもよいし、第2の円環状部材41Eの第2のステータハウジング部41Cに対向する面に段差を設け、第2のステータハウジング部41Cと第2の円環状部材41Eとが重なる径方向外側の領域に第2の絞り部9Bを設けてもよい。さらには、ネジ穴周辺のみで第2のステータハウジング部41Cと第2の円環状部材41Eとが接する構成とし、第2のステータハウジング部41Cと第2の円環状部材41Eとが重なる径方向両側に第2の絞り部9Bを設けてもよい。
また、第2のステータハウジング部41Cと第2の円環状部材41Eとの間に、第4の間隙8Bを構成するためのスペーサ部材を設けるようにしてもよい。さらには、このスペーサ部材は、軸方向に第4の間隙8Bに相当する厚みを有する平座金形状の部材とし、第2のステータハウジング部41Cと第2の円環状部材41Eとが重なる径方向両側に第2の絞り部9Bを設けてもよい。
上述した構成により、第2のステータハウジング部41Cの第2の円環状部材41Eに対向する面の平面度、第2の円環状部材41Eの第2のステータハウジング部41Cに対向する面の平面度、及び、第2の円環状部材41Eと第2のステータハウジング部41Cとの間の第4の間隙8Bを構成するための段差の寸法を管理項目として設けていれば良く、部品精度の管理項目が少なくなるという利点がある。その結果、歩留りが向上する。
また、図1A及び図5において、第2のステータハウジング部41Cには、軸方向に貫通して開口し、継手14Bを介して、例えば真空ポンプ等である吸引排気装置P2の排気用チューブ15Bが接続される第2の排気穴13Bが第2の溝部12Bに連通して設けられている。
また、図1Aに示すように、第1のステータハウジング部41Aには、ケーブル200A,200Bを挿通させるための第1ケーブル挿通孔19が軸方向に設けられる。第2のステータハウジング部41Cには、第1ケーブル挿通孔19に連通してケーブル200A,200Bを挿通させるための第2ケーブル挿通孔20が軸方向に設けられている。なお、図1Aに示す例では、ケーブル200A用の第1ケーブル挿通孔19及び第2ケーブル挿通孔20を省略している。なお、第2ケーブル挿通孔20を有する部材が、第1ケーブル挿通孔19を有する部材と軸方向に重ねて固定される位置関係にある部材であれば、第1のステータハウジング部41Aと、第2のステータハウジング部41Cに限られず、第2ケーブル挿通孔20を有する部材と第1ケーブル挿通孔19を有する部材とは、ステータハウジング41を構成するどの部材でもよい。
図5に示すように、第1ケーブル挿通孔19と第2ケーブル挿通孔20とは、軸方向に重なる位置が互いにずれて設けられている。具体的には、第1のステータハウジング部41Aと第2のステータハウジング部41Cとが軸方向に嵌合したとき、第1ケーブル挿通孔19と第2ケーブル挿通孔20とが軸方向に重なる開口面積がケーブル200A,200Bの断面積と略一致するように、第1ケーブル挿通孔19の径方向中心位置X1と第2ケーブル挿通孔20の径方向中心位置X2とが異なっている。これにより、第1ケーブル挿通孔19と第2ケーブル挿通孔20とが軸方向に重なる開口部の気密性が保たれる。
半導体製造装置やフラットパネルディスプレイ製造装置に用いられることが想定されるモータや、このモータを用いて構成されたアクチュエータには、高い信頼性が要求される。また、半導体素子やフラットパネルディスプレイ等の製造においては、製造物へのダスト混入を避けるため、クリーン環境下における製造工程が必要となる。このようなクリーン環境下で用いられるモータやアクチュエータは、高い信頼性を確保するためにモータやアクチュエータの内部で発生する発塵が外部に流出するのを防ぐ必要がある。
モータやアクチュエータの内部で発生する発塵としては、軸受等で用いられる潤滑グリースの発塵が考えられる。潤滑グリースから発生する発塵粒子は、半導体素子やフラットパネルディスプレイのクリーン環境下での製造工程における汚染源となり、製品価値を失うような欠陥を生じる要因となる。このため、半導体素子やフラットパネルディスプレイ等の製造工程で用いられるモータやアクチュエータでは、軸受等に使用する潤滑グリースとして、発塵性が低い低発塵グリースが用いられることが一般的である。
本実施形態では、上述した構成において、第3のステータハウジング部41Bに設けられた第1の排気穴13Aに、吸引排気装置P1を接続する。また、第2のステータハウジング部41Cに設けられた第2の排気穴13Bに、吸引排気装置P2を接続する。そして、吸引排気装置P1,P2を作動させると、第1の溝部12Aの空気が吸い出され、第2の溝部12Bの空気が吸い出される。
実施形態1に係るモータ1では、第1の絞り部9A及び第2の絞り部9Bが周方向の全周に亘り設けられており、この第1の絞り部9Aの第2の間隙8A、及び、第2の絞り部9Bの第4の間隙8Bが数μmから数十μm程度と極めて小さいので、吸引排気装置P1,P2の空気の吸引力が小さく、排気量が少なくても、第1の絞り部9A及び第2の絞り部9Bの周方向の全周に亘り、吸引圧力を均一にすることができる。これにより、第1内部空間100A及び第2内部空間100Bが効果的にシールされる。
また、上述したように、実施形態1に係るモータ1では、第1のシール部7Aの第1の間隙6A、及び、第2のシール部7Bの第3の間隙6Bが、例えば0.1mmから0.5mm程度であり、第1の絞り部9Aの第2の間隙8A、及び、第2の絞り部9Bの第4の間隙8Bよりも大きい場合でも、上述した第1の絞り部9A及び第2の絞り部9Bにより吸引圧力を均一にすることができるので、第1内部空間100A及び第2内部空間100Bを効果的にシールすることができる。すなわち、実施形態1に係るモータ1では、それぞれ第1のシール部7A及び第2のシール部7Bの周方向の全周に亘って均一に空気が流入することで、第1内部空間100A及び第2内部空間100Bが効果的にシールされるので、第1内部空間100A及び第2内部空間100Bで発生する発塵が外部に流出するのを確実に防ぐことができる。
このように、実施形態1に係るモータ1は、少ない排気量で効果的に第1のシール部7A及び第2のシール部7Bを機能させることができ、モータ1の内部の第1内部空間100A及び第2内部空間100Bで発生する発塵が外部に流出するのをより確実に防ぐことができる。
また、モータ1の内部で発生する発塵が第1のシール部7A及び第2のシール部7Bから外部に流出するのを防ぐことができるので、実施形態1に係るモータ1においては、軸受5として、例えば転がり軸受や滑り軸受等のように、電源や圧縮空気のような外部動力源を必要としない機械式の軸受を用いることができる。
また、軸受5等の可動部を潤滑する潤滑グリースとして、発塵性が低い低発塵グリースを用いる必要がなく、駆動条件に応じて最適な潤滑グリースを使用することが可能である。
また、第1の絞り部9Aにおいて、第2の間隙8Aの精度を管理するためには、第3のステータハウジング部41Bの第1の円環状部材41Dに対向する面の平面度、第1の円環状部材41Dの第3のステータハウジング部41Bに対向する面の平面度、及び、第1の円環状部材41Dと第3のステータハウジング部41Bとの間の第2の間隙8Aを構成する段差の寸法を管理項目として設けていれば良い。また、第2の絞り部9Bを構成する第4の間隙8Bの精度を管理するためには、第2のステータハウジング部41Cの第2の円環状部材41Eに対向する面の平面度、第2の円環状部材41Eの第2のステータハウジング部41Cに対向する面の平面度、及び、第2の円環状部材41Eと第2のステータハウジング部41Cとの間の第4の間隙8Bを構成する段差の寸法を管理項目として設けていれば良い。このため、部品精度の管理項目が少なくなり、その結果として、モータ1の歩留りを向上することができる。
以上説明したように、実施形態1に係るモータ1は、コイル21B及びステータコア21Aを備えるステータ21と、ステータ21の径方向内側に配置され、ステータ21に対して相対回転するロータ22と、ロータ22と共に回転するロータハウジング42と、ステータハウジング41に対しロータハウジング42を回転自在に支持する軸受5と、ステータ21を固定すると共に、ロータハウジング42との間の内部を軸受5で仕切った第1内部空間100A及び第2内部空間100Bを設けて配置されるステータハウジング41と、を備える。
ステータハウジング41は、第1の排気穴13A及び第2の排気穴13Bを有している。実施形態1に係るモータ1は、第1内部空間100Aと外部との間に、ステータハウジング41とロータハウジング42とが周方向の全周に亘り第1の間隙6A(第1の吸気側間隙)を隔てて対向する第1のシール部7Aを備える。実施形態1に係るモータ1は、この第1のシール部7Aとは異なる位置にあり、第1内部空間100Aと第1の排気穴13Aとを繋げる第2の間隙8A(第1の排気側間隙)を有する第1の絞り部9Aを備える。
図1A及び図1Cに示すように、実施形態1に係るモータ1は、第2内部空間100Bと外部との間に、ステータハウジング41とロータハウジング42とが周方向の全周に亘り第3の間隙6B(第2の吸気側間隙)を隔てて対向する第2のシール部7Bを備える。実施形態1に係るモータ1は、第1のシール部7A、第2のシール部7B及び第2の間隙8Aとは異なる位置にあり、第2内部空間100Bと第2の排気穴13Bとを繋げる第4の隙間8B(第2の排気側間隙)を有する第2の絞り部9Bと、を備える。
上記構成により、第1の排気穴13Aに吸引排気装置P1を接続して吸引排気装置P1を作動させることにより、モータ1の内部の第1内部空間100Aで発生する発塵が外部に流出する可能性を抑制することができる。また、第2の排気穴13Bに吸引排気装置P2を接続して吸引排気装置P2を作動させることにより、モータ1の内部の第2内部空間100Bで発生する発塵が外部に流出する可能性を抑制することができる。
実施形態1に係るモータ1は、第2の間隙8Aと第1の排気穴13Aとの間に介在し、第2の間隙8Aに沿って周方向の全周に亘りステータハウジング41の第3のステータハウジング部41Bに設けられた第1の溝部12Aを備える。第1の排気穴13Aに吸引排気装置P1が接続され、吸引排気装置P1が作動することにより、空気が第1のシール部7Aから均一に吸気され、第1の絞り部9Aから第1の排気穴13Aへ第1の溝部12Aを介して、空気が均一に排気される。これにより、モータ1の内部の第1内部空間100Aが効果的にシールされるので、第1内部空間100Aで発生する発塵が外部に流出するのを確実に防ぐことができる。
また、実施形態1に係るモータ1は、第4の間隙8Bと第2の排気穴13Bとの間に介在し、第4の間隙8Bに沿って周方向の全周に亘りステータハウジング41の第2のステータハウジング部41Cに設けられた第2の溝部12Bを備える。第2の排気穴13Bに吸引排気装置P2が接続されて、吸引排気装置P2が作動することにより、空気が第2のシール部7Bから均一に吸気され、第2の絞り部9Bから第2の排気穴13Bへ第2の溝部12Bを介して、空気が均一に排気される。これにより、モータ1の内部の第2内部空間100Bが効果的にシールされるので、第2内部空間100Bで発生する発塵が外部に流出するのを確実に防ぐことができる。
また、第1の絞り部9Aにおける第2の間隙8A及び第2の絞り部9Bにおける第4の間隙8Bの精度を管理するための管理項目が少なくて済み、その結果、モータ1の製造の際の歩留まりを向上することができる。
また、実施形態1に係るモータ1は、転がり軸受や滑り軸受等のように、電源や圧縮空気のような外部動力源を必要としない機械式の軸受を用いることができる。
また、実施形態1に係るモータ1は、可動部を潤滑する潤滑グリースとして、発塵性が低い低発塵グリースを用いる必要がなく、駆動条件に応じて最適な潤滑グリースを使用することが可能である。
(実施形態2)
図6は、実施形態2に係るモータの一例を示す断面図である。図7は、実施形態2に係るモータの図6とは異なる一例を示す断面図である。なお、上述した実施形態1と同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図6に示す実施形態2に係るモータ1aは、実施形態1に係るモータ1と同様に、インナーロータ型のモータである。
図6に示すように、ステータハウジング41は、第3のステータハウジング部41B、第2のステータハウジング部41C、第1の円環状部材41D、第2の円環状部材41E、軸受支持部材41F、及び回転検出器固定部41Gを備えている。第3のステータハウジング部41B、第2のステータハウジング部41C、第1の円環状部材41D、第2の円環状部材41E、軸受支持部材41F、及び回転検出器固定部41Gは、それぞれ円環状または円筒状の部材である。本実施形態において、第1の円環状部材41Dは、第1のステータハウジング部を兼ねている。
また、図6に示すように、ロータハウジング42は、第1のロータハウジング部42A、第2のロータハウジング部42B、第3のロータハウジング部42C、及び第4のロータハウジング部42Dを備えている。第1のロータハウジング部42A、第2のロータハウジング部42B、第3のロータハウジング部42C、及び第4のロータハウジング部42Dは、それぞれ円環状または円筒状の部材である。第1のロータハウジング部42A及び第2のロータハウジング部42Bは、軸受5の外輪5Bを軸方向に挟持する。第2のロータハウジング部42Bは、内周面に回転検出器3のロータが固定されている。第1のロータハウジング部42A及び第2のロータハウジング部42Bは、図6の軸方向の上端側から下端側に向けて、第2のロータハウジング部42B、第1のロータハウジング部42Aの順に配置されている。第2のロータハウジング部42Bと第1のロータハウジング部42Aとは、例えば、周方向に配置された複数本の雄ネジ等の締結部材92Cで締結されている。第4のロータハウジング部42Dは、外周面にロータ22が固定されている。第2のロータハウジング部42B及び第3のロータハウジング部42Cは、図6の軸方向の上端側から下端側に向けて、第2のロータハウジング部42B、第4のロータハウジング部42Dの順に配置されている。第2のロータハウジング部42Bと、第4のロータハウジング部42Dとは、例えば、周方向に配置された複数本の雄ネジ等の締結部材(不図示)で締結されている。第2のロータハウジング部42B及び第4のロータハウジング部42Dは、図6の軸方向の上端側から下端側に向けて、第4のロータハウジング部42D、第2のロータハウジング部42Bの順に配置されている。第2のロータハウジング部42Bと、第4のロータハウジング部42Dとは、例えば、複数本の雄ネジ等の締結部材92Dで締結されている。
ステータハウジング41の第1の円環状部材41Dは、駆動部2のステータ21が内周面に固定される円筒部41Daを有する。また、第1の円環状部材41Dは、軸受支持部材41Fと共に軸受5の内輪5Aを軸方向に挟持する。回転検出器固定部41Gは、外周面に回転検出器3のステータが固定されている。第1の円環状部材41D及び軸受支持部材41Fは、図6の軸方向の上端側から下端側に向けて、軸受支持部材41F、第1の円環状部材41Dの順に配置されている。軸受支持部材41Fと、第1の円環状部材41Dとは、例えば、周方向に配置された複数本の雄ネジ等の締結部材91Cで締結されている。第1の円環状部材41D及び回転検出器固定部41Gは、図6の軸方向の上端側から下端側に向けて、回転検出器固定部41G、第1の円環状部材41Dの順に配置され、例えば、周方向に配置された複数本の雄ネジ等の締結部材(不図示)で締結されている。
第3のステータハウジング部41Bの外周面には、周方向の全周に亘り径方向外側に開口した凹形状を成す第1の溝部12Aが設けられている。また、第3のステータハウジング部41Bは、径方向外側に張り出した顎部41Bbを有する。第3のステータハウジング部41Bは、顎部41Bbが第1の円環状部材41Dの凹部41Dbに嵌め合わされ、第3のステータハウジング部41Bの外周面と第1の円環状部材41Dの内周面との間に、周方向の全周に亘り径方向に第2の間隙8Aを隔てて径方向に対向する第1の絞り部9Aが設けられる。これにより、第1内部空間100Aは、第3のステータハウジング部41Bの円筒部41Bcの外周面に設けられた第1の溝部12Aと連通している。
また、第3のステータハウジング部41Bの内周面は、第3のロータハウジング部42Cとの間に、周方向の全周に亘り径方向に第1の間隙6Aを隔てて径方向に対向する第1のシール部7Aが設けられる。第3のステータハウジング部41Bと、第1の円環状部材41Dとは、例えば、周方向に配置された複数本の雄ネジ等の締結部材91Dで締結されている。
図6において、第2のステータハウジング部41Cの第2の円環状部材41Eに対向する面41C1と面41C2とで第2の円環状部材である第2の円環状部材41Eとの間に第4の間隙8Bを設けるための段差が設けられている。これにより、第2のステータハウジング部41Cと第2の円環状部材41Eとを組み合わせた際に、周方向の全周に亘り、第2の円環状部材41Eと第2のステータハウジング部41Cとが第4の間隙8Bを隔てて軸方向に対向する第2の絞り部9Bが設けられる。第2のステータハウジング部41Cの第2の円環状部材41E側には、面41C1よりも軸方向に突出する突出部41Caが環状に設けられる。突出部41Caの外周面が第1の円環状部材41Dの円筒部41Daの内周面に嵌め合わされ、突出部41Caの内周面が第2の円環状部材41Eの外周面と接して、第2の円環状部材41Eの径方向の位置決めをする。突出部41Caの外周面には、周方向の全周に亘り凹部16aが設けられ、この凹部16aにOリング17が設けられている。このOリング17aが第3のステータハウジング部41Bと、第1の円環状部材41Dの円筒部41Daの内周面との間に介在することで、気密性が保たれる。また、第2のステータハウジング部41Cは、第2の円環状部材41Eが設けられる側の面に、周方向の全周に亘り軸方向下端側に開口した凹形状を成す第2の溝部12Bが設けられている。
第2の円環状部材41Eは、第2のステータハウジング部41Cに設けられた第2の溝部12Bを軸方向下側から覆うように配置され、第2の円環状部材41Eと第2のステータハウジング部41Cとの間に、周方向の全周に亘り軸方向に第4の間隙8Bを隔てて軸方向に対向する第2の絞り部9Bが設けられる。これにより、第2内部空間100Bは、第2のステータハウジング部41Cに設けられた第2の溝部12Bと連通している。
また、第2のステータハウジング部41Cの軸方向上端面は、第3のロータハウジング部42Cとの間に、周方向の全周に亘り軸方向に第3の間隙6Bを隔てて軸方向に対向する第2のシール部7Bが設けられる。第2のステータハウジング部41C及び第1の円環状部材41Dは、第2のステータハウジング部41Cに設けられた円環部の外周面が第1の円環状部材41Dの円筒部の内周面に外周面が嵌め合わされ、例えば、周方向に配置された複数本の雄ネジ等の締結部材92Eで締結されている。
なお、ステータハウジング41及びロータハウジング42は、上述した構成に限るものではない。ステータハウジング41は、例えば、第1の溝部12Aを設けた部材、第1の溝部12Aを設けた部材と共に第2の間隙8Aを構成する部材、第2の溝部12Bを設けた部材、第2の溝部12Bを設けた部材と共に第4の間隙8Bを構成する部材を含む複数の部材で構成されていれば良い。また、ロータハウジング42は、例えば、1つの部材であってもよいし、2つ以上の部材で構成されていてもよい。
また、図7に示すモータ1bでは、第3のステータハウジング部41Baの軸方向上端面に、周方向の全周に亘り軸方向上端側に開口した凹形状を成す第1の溝部12Aが設けられている。また、第3のステータハウジング部41Baは、径方向外側に張り出した顎部を有する。第3のステータハウジング部41Baは、顎部が第1の円環状部材41Dに嵌め合わされ、第3のステータハウジング部41Baと第1の円環状部材41Dとの間に、周方向の全周に亘り軸方向に第2の間隙8Aを隔てて軸方向に対向する第1の絞り部9Aが設けられる。これにより、第1内部空間100Aは、第3のステータハウジング部41Baの軸方向上端面に設けられた第1の溝部12Aと連通している。
図6及び図7に示すように、実施形態2に係るモータ1a,1bは、ステータ21及びロータ22を含む駆動部2と軸受5とが径方向に並び配置され、軸受5と回転検出器3とが軸方向に並び配置される。これにより、軸方向に関するモータ1a,1bの寸法、つまり、軸方向の高さの増大が抑制される。
上述した構成の実施形態2に係るモータ1a,1bは、実施形態1に係るモータ1と同様に、ステータ21に対してロータ22が回転することにより、ステータハウジング41に対してロータハウジング42が回転軸AXを中心に回転する。
ロータハウジング42にワーク(不図示)が載置される。駆動部2の作動によりロータハウジング42が回転すると、ロータハウジング42とともにワークが回転する。ロータハウジング42は、駆動部2の作動により回転軸AXを中心に回転する出力軸として機能する。
なお、第1のシール部7Aおける第1の間隙6A、第2のシール部7Bにおける第3の間隙6B、第1の絞り部9Aにおける第2の間隙8A、及び第2の絞り部9Bにおける第4の間隙8Bの各構成については、実施形態1に係るモータ1と同様である。
すなわち、本実施形態に係るモータ1a,1bにおいても、実施形態1に係るモータ1と同様に、第1の絞り部9A及び第2の絞り部9Bが周方向の全周に亘り設けられており、この第1の絞り部9Aの第2の間隙8A、及び、第2の絞り部9Bの第4の間隙8Bが数μmから数十μm程度と極めて小さくすることで、吸引排気装置P1,P2の空気の吸引力が小さく、排気量が少なくても、第1の絞り部9A及び第2の絞り部9Bの周方向の全周に亘り、吸引圧力を均一にすることができる。これにより、第1内部空間100A及び第2内部空間100Bが効果的にシールされる。
また、実施形態2に係るモータ1a,1bにおいても、実施形態1に係るモータ1と同様に、第1のシール部7A及び第2のシール部7Bの第1の間隙6A及び第3の間隙6Bが例えば0.1mmから0.5mm程度であり、第1の絞り部9A及び第2の絞り部9Bの第2の間隙8A及び第4の間隙8Bよりも大きい場合でも、上述した第1の絞り部9A及び第2の絞り部9Bにより吸引圧力を均一にすることができるので、第1内部空間100A及び第2内部空間100Bを効果的にシールすることができる。すなわち、実施形態2に係るモータ1a,1bにおいても、実施形態1に係るモータ1と同様に、それぞれ第1のシール部7A及び第2のシール部7Bの周方向の全周に亘って均一に空気が流入することで、第1内部空間100A及び第2内部空間100Bが効果的にシールされるので、第1内部空間100A及び第2内部空間100Bで発生する発塵が外部に流出するのを確実に防ぐことができる。
このように、実施形態2に係るモータ1a,1bは、実施形態1に係るモータ1と同様に、少ない排気量で効果的に第1のシール部7A及び第2のシール部7Bを機能させることができ、モータ1a,1bの内部の第1内部空間100A及び第2内部空間100Bで発生する発塵が外部に流出するのをより確実に防ぐことができる。
また、実施形態1に係るモータ1と同様に、モータ1a,1bの内部で発生する発塵が第1のシール部7A及び第2のシール部7Bから外部に流出するのを防ぐことができるので、実施形態2に係るモータ1a,1bにおいても、軸受5として、例えば転がり軸受や滑り軸受等のように、電源や圧縮空気のような外部動力源を必要としない機械式の軸受を用いることができる。
また、実施形態1に係るモータ1と同様に、軸受5等の可動部を潤滑する潤滑グリースとして、発塵性が低い低発塵グリースを用いる必要がなく、駆動条件に応じて最適な潤滑グリースを使用することが可能である。
また、本実施形態に係るモータ1a,1bにおいて、第1の絞り部9Aにおける第2の間隙8Aの精度を管理するためには、第3のステータハウジング部41B,41Baの第1の円環状部材41Dに対向する面の精度、第1の円環状部材41Dの第3のステータハウジング部41B,41Baに対向する面の精度、及び、第1の円環状部材41Dと第3のステータハウジング部41B,41Baとの間の第2の間隙8Aを構成する段差の寸法を管理項目として設けていれば良い。また、第2の絞り部9Bにおける第4の間隙8Bの精度を管理するためには、第2のステータハウジング部41Cの第2の円環状部材41Eに対向する面の精度、第2の円環状部材41Eの第2のステータハウジング部41Cに対向する面の精度、及び、第2の円環状部材41Eと第2のステータハウジング部41Cとの間の第4の間隙8Bを構成する段差の寸法を管理項目として設けていれば良い。このため、部品精度の管理項目が少なくなり、その結果として、モータ1a,1bの歩留りを向上することができる。
以上説明したように、実施形態2に係るモータ1a,1bは、実施形態1に係るモータ1と同様に、空気が第1のシール部7Aから均一に吸気され、第1の絞り部9Aから第1の排気穴13Aを介して均一に排気される。これにより、モータ1a,1bの内部の第1内部空間100Aが効果的にシールされるので、第1内部空間100Aで発生する発塵が外部に流出するのを確実に防ぐことができる。
また、第2の排気穴13Bに吸引排気装置P2を接続して吸引排気装置P2を作動させることにより、空気が第2のシール部7Bから均一に吸気され、第2の絞り部9Bから第2の排気穴13Bを介して均一に排気される。これにより、モータ1a,1bの内部の第2内部空間100Bが効果的にシールされるので、第2内部空間100Bで発生する発塵が外部に流出するのを確実に防ぐことができる。
また、実施形態2に係るモータ1a,1bは、実施形態1に係るモータ1と同様に、第1の絞り部9Aにおける第2の間隙8A及び第2の絞り部9Bにおける第4の間隙8Bの精度を管理するための管理項目が少なくて済み、その結果、モータ1a,1bの製造の際の歩留まりを向上することができる。
また、実施形態2に係るモータ1a,1bは、実施形態1に係るモータ1と同様に、転がり軸受や滑り軸受等のように、電源や圧縮空気のような外部動力源を必要としない機械式の軸受を用いることができる。
また、実施形態2に係るモータ1a,1bは、実施形態1に係るモータ1と同様に、可動部を潤滑する潤滑グリースとして、発塵性が低い低発塵グリースを用いる必要がなく、駆動条件に応じて最適な潤滑グリースを使用することが可能である。
また、実施形態2に係るモータ1a,1bは、ステータ21及びロータ22を含む駆動部2と軸受5とが径方向に並び配置され、軸受5と回転検出器3とが軸方向に並び配置される。これにより、軸方向に関するモータ1a,1bの寸法、つまり、軸方向の高さの増大を抑制することができる。
(実施形態3)
図8は、実施形態3に係るモータの一例を示す断面図である。なお、上述した実施形態1と同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図8に示す実施形態3に係るモータ1cは、実施形態1に係るモータ1、及び実施形態2に係るモータ1a,1bと同様に、インナーロータ型のモータである。
図8に示すように、ステータハウジング41は、第3のステータハウジング部41B、第2のステータハウジング部41C、第1の円環状部材41D、及び第2の円環状部材41Eを備えている。第3のステータハウジング部41B、第2のステータハウジング部41C、第1の円環状部材41D、及び第2の円環状部材41Eは、それぞれ円環状または円筒状の部材である。実施形態3において、第2のステータハウジング部41Cは、第1のステータハウジング部を兼ねている。
また、図8に示すように、ロータハウジング42は、2つの第1のロータハウジング部42A及び第2のロータハウジング部42Bを備えている。第1のロータハウジング部42A及び第2のロータハウジング部42Bは、それぞれ円環状または円筒状の部材である。第1のロータハウジング部42A及び第2のロータハウジング部42Bは、軸受5の外輪5Bを軸方向に挟持する。第2のロータハウジング部42Bは、外周面にロータ22が固定されている。また、第2のロータハウジング部42Bは、内周面に回転検出器3のロータが固定されている。第1のロータハウジング部42A及び第2のロータハウジング部42Bは、図8に示す実施形態3に係るモータ1cの軸方向の上端側から下端側に向けて、第1のロータハウジング部42A、第2のロータハウジング部42Bの順に配置され、例えば、周方向に配置された複数本の雄ネジ等の締結部材92Eで締結されている。
第3のステータハウジング部41Bには、周方向の全周に亘り軸方向上端側に開口した凹形状を成す第1の溝部12Aが設けられている。第3のステータハウジング部41Bの内周面には、回転検出器3のステータが固定される。
第1の円環状部材41Dは、第3のステータハウジング部41Bに設けられた第1の溝部12Aを軸方向上端側から覆うように配置され、第1の円環状部材41Dと第3のステータハウジング部41Bとの間に、周方向の全周に亘り径方向に第2の間隙8Aを隔てて径方向に対向する第1の絞り部9Aが設けられる。これにより、第1内部空間100Aは、第3のステータハウジング部41Bに設けられた第1の溝部12Aと連通している。
また、第1の円環状部材41Dの軸方向上端面は、第1のロータハウジング部42Aとの間に、周方向の全周に亘り軸方向に第1の間隙6Aを隔てて軸方向に対向する第1のシール部7Aが設けられる。第3のステータハウジング部41B及び第1の円環状部材41Dは、図8に示す実施形態3に係るモータ1cの軸方向の上端側から下端側に向けて、第1の円環状部材41D、第3のステータハウジング部41Bの順に配置され、例えば、周方向に配置された複数本の雄ネジ等の締結部材91Fで締結されている。
第2のステータハウジング部41Cは、第3のステータハウジング部41Bと共に軸受5の内輪5Aを軸方向に挟持する。第2のステータハウジング部41Cと、第3のステータハウジング部41Bとは、例えば、周方向に配置された複数本の雄ネジ等の締結部材91Eで締結されている。また、第2のステータハウジング部41Cは、軸受5の内輪5Aの固定部から径方向に延びる円環部を有し、この円環部の径方向端部に、ステータ21が固定される。また、第2のステータハウジング部41Cの円環部には、周方向の全周に亘り軸方向上端側に開口した凹形状を成す第2の溝部12Bが設けられている。
第2の円環状部材41Eは、第2のステータハウジング部41Cに設けられた第2の溝部12Bを軸方向上端側から覆うように配置され、第2の円環状部材41Eと第2のステータハウジング部41Cとの間に、周方向の全周に亘り軸方向に第4の間隙8Bを隔てて軸方向に対向する第2の絞り部9Bが設けられる。これにより、第2内部空間100Bは、第2のステータハウジング部41Cに設けられた第2の溝部12Bと連通している。
また、第2の円環状部材41Eの軸方向上端面は、第2のロータハウジング部42Bとの間に、周方向の全周に亘り軸方向に第3の間隙6Bを隔てて軸方向に対向する第2のシール部7Bが設けられる。第2のステータハウジング部41C及び第2の円環状部材41Eは、図8に示す実施形態3に係るモータ1cの軸方向の上端側から下端側に向けて、第2の円環状部材41E、第2のステータハウジング部41Cの順に配置され、例えば、周方向に配置された複数本の雄ネジ等の締結部材(不図示)で締結されている。
なお、ステータハウジング41及びロータハウジング42は、上述した構成に限るものではない。ステータハウジング41は、例えば、第1の溝部12Aを設けた部材、第1の溝部12Aを設けた部材と共に第2の間隙8Aを構成する部材、第2の溝部12Bを設けた部材、第2の溝部12Bを設けた部材と共に第4の間隙8Bを構成する部材を含む複数の部材で構成されていれば良い。また、ロータハウジング42は、例えば、1つの部材であってもよいし、3つ以上の部材で構成されていてもよい。
本実施形態では、軸受5は、転動体5Cとして円筒形のクロスローラを用いたクロスローラ軸受であることが好ましい。クロスローラ軸受は、クロスローラと内輪5A及び外輪5Bとが線接触するため、大きな荷重に耐え得るという利点がある。また、隣り合うクロスローラで回転軸が互いに90°傾斜しているため、いずれの方向に対する荷重にも強く、高い剛性を保つことができる。
図8に示すように、実施形態3に係るモータ1cは、駆動部2、軸受5、及び回転検出器3が径方向に並び配置される。具体的には、回転軸AXに近い方から、回転検出器3、軸受5、駆動部2、の順に並び配置される。これにより、実施形態2に係るモータ1a,1bよりも、モータ1cの軸方向の寸法、つまり、軸方向の高さの増大が抑制される。
また、図8に示すように、実施形態3に係るモータ1cは、ステータ21の軸方向一端部(上端部)及び回転検出器3の軸方向他端部(下端部)からの異物の侵入を防ぐために、第1保護用カバー部材18aと第2保護用カバー部材18bとを設けている。
なお、上述した本実施形態に係るモータ1cは、軸受5で発生する発塵が外部に流出するのを防ぐことを目的としている。すなわち、駆動部2や回転検出器3では発塵が発生しないことを前提としている。このため、実施形態1及び実施形態2に示すようなモータ1cの内部の空間全体をシールする構造とする必要がなく、モータ1cを大型化することなく、クリーン環境下での使用に耐え得るモータ1cを得ることができる。
上記したように構成されたモータ1cは、ステータ21に対してロータ22が回転することにより、ステータハウジング41に対してロータハウジング42が回転軸AXを中心に回転する。
ロータハウジング42にワーク(不図示)が載置される。駆動部2の作動によりロータハウジング42が回転すると、ロータハウジング42とともにワークが回転する。ロータハウジング42は、駆動部2の作動により回転軸AXを中心に回転する出力軸として機能する。
なお、第1のシール部7Aにおける第1の間隙6A、第2のシール部7Bにおける第3の間隙6B、第1の絞り部9Aにおける第2の間隙8A、及び第2の絞り部9Bにおける第4の間隙8Bの構成については、実施形態1に係るモータ1、及び実施形態2に係るモータ1a,1bと同様である。
すなわち、本実施形態に係るモータ1cにおいても、実施形態1に係るモータ1、及び実施形態2に係るモータ1a,1bと同様に、第1の絞り部9A及び第2の絞り部9Bが周方向の全周に亘り設けられており、この第1の絞り部9Aの第2の間隙8A、及び、第2の絞り部9Bの第4の間隙8Bが数μmから数十μm程度と極めて小さくすることで、吸引排気装置P1,P2の空気の吸引力が小さく、排気量が少なくても、第1の絞り部9A及び第2の絞り部9Bの周方向の全周に亘り、吸引圧力を均一にすることができる。これにより、第1内部空間100A及び第2内部空間100Bが効果的にシールされる。
また、実施形態3に係るモータ1cにおいても、実施形態1に係るモータ1、及び実施形態2に係るモータ1a,1bと同様に、第1のシール部7A及び第2のシール部7Bの第1の間隙6A及び第3の間隙6Bが例えば0.1mmから0.5mm程度であり、第1の絞り部9A及び第2の絞り部9Bの第2の間隙8A及び第4の間隙8Bよりも大きい場合でも、上述した第1の絞り部9A及び第2の絞り部9Bにより吸引圧力を均一にすることができるので、第1内部空間100A及び第2内部空間100Bを効果的にシールすることができる。すなわち、実施形態3に係るモータ1cにおいても、実施形態1に係るモータ1、及び実施形態2に係るモータ1a,1bと同様に、それぞれ第1のシール部7A及び第2のシール部7Bの周方向の全周に亘って均一に空気が流入することで、第1内部空間100A及び第2内部空間100Bが効果的にシールされるので、第1内部空間100A及び第2内部空間100Bで発生する発塵が外部に流出するのを確実に防ぐことができる。
以上説明したように、実施形態3に係るモータ1cは、実施形態1に係るモータ1及び実施形態2に係るモータ1a,1bと同様に、空気が第1のシール部7Aから均一に吸気され、第1の絞り部9Aから第1の排気穴13Aを介して均一に排気される。これにより、モータ1cの内部の第1内部空間100Aが効果的にシールされるので、第1内部空間100Aで発生する発塵が外部に流出するのを確実に防ぐことができる。
また、第2の排気穴13Bに吸引排気装置P2を接続して吸引排気装置P2を作動させることにより、空気が第2のシール部7Bから均一に吸気され、第2の絞り部9Bから第2の排気穴13Bを介して均一に排気される。これにより、モータ1cの内部の第2内部空間100Bが効果的にシールされるので、第2内部空間100Bで発生する発塵が外部に流出するのを確実に防ぐことができる。
また、実施形態3に係るモータ1cは、実施形態1に係るモータ1及び実施形態2に係るモータ1a,1bと同様に、第1の絞り部9Aにおける第2の間隙8A及び第2の絞り部9Bにおける第4の間隙8Bの精度を管理するための管理項目が少なくて済み、その結果、モータ1cの製造の際の歩留まりを向上することができる。
また、実施形態3に係るモータ1cは、実施形態1に係るモータ1及び実施形態2に係るモータ1a,1bと同様に、転がり軸受や滑り軸受等のように、電源や圧縮空気のような外部動力源を必要としない機械式の軸受を用いることができる。
また、実施形態3に係るモータ1cは、実施形態1に係るモータ1及び実施形態2に係るモータ1a,1bと同様に、可動部を潤滑する潤滑グリースとして、発塵性が低い低発塵グリースを用いる必要がなく、駆動条件に応じて最適な潤滑グリースを使用することが可能である。
さらに、実施形態3に係るモータ1cは、軸受5をクロスローラ軸受とすることで、いずれの方向に対する荷重にも強く、高い剛性を保つことができる。
また、実施形態3に係るモータ1cは、駆動部2、軸受5、及び回転検出器3が径方向に並び配置される。これにより、実施形態2に係るモータ1a,1bよりも、モータ1cの軸方向の寸法、つまり、軸方向の高さの増大を抑制することができる。
さらに、駆動部2や回転検出器3では発塵が発生しないことを前提としたモータに対し、実施形態3に係るモータ1cにおける構造を適用することで、モータ1cを大型化することなく、クリーン環境下での使用に耐え得るモータ1cを得ることができる。
図9は、本実施形態に係るモータの適用例を示す図である。本実施形態に係るモータ1,1a,1b,1cは、例えば、クリーン環境400のもとで半導体製造装置401やフラットディスプレイ製造装置402で用いられる。モータ1,1a,1b,1cは、ハウジング(筐体)の一部(ステータハウジング)が締結部材で基台500に支持されている。なお、締結部材はネジ、ボルト、ピン等である。これにより、モータ1,1a,1b,1cは、基台500に固定される。
アクチュエータ700は、モータ1,1a,1b,1cのいずれかと、モータ1,1a,1b,1cにより駆動される被駆動物600とを備える。被駆動物600は、モータ1,1a,1b,1cのハウジング(筐体)の一部(ステータハウジング)に締結部材で支持されている。なお、締結部材はネジ、ボルト、ピン等である。これにより、被駆動物600は、モータ1,1a,1b,1cに固定される。
被駆動物600の上部には、被製造物800が配置される。基台500には、中空穴501が設けられ、被駆動物600には、中空穴601が設けられている。
被製造物800に電源や信号を供給するケーブル900は、基台500の中空穴501、モータ1,1a,1b,1cの中空穴23、被駆動物600の中空穴601に挿通され、被製造物800に接続される。
上述したように、本実施形態に係るモータ1,1a,1b,1cは、内部で発生した発塵が外部に流出するのを確実に防ぐことができるので、この実施形態に係るモータ1,1a,1b,1cや、この実施形態に係るモータ1,1a,1b,1cを用いて構成したアクチュエータ700は、例えば、図9に示すようなクリーン環境400のもとで半導体製造装置401やフラットディスプレイ製造装置402に用いるのに適している。