以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、この実施の形態の構成要素には、発明の同一性を維持しつつ置換可能かつ置換自明なものが含まれる。また、この実施の形態に記載された複数の変形例は、当業者自明の範囲内にて任意に組み合わせが可能である。
[スピンドルシステム]
図1は、この発明の実施の形態にかかるスピンドルシステムを示す構成図である。同図は、スピンドルシステム1の軸方向断面図を示している。なお、図中の軸Xは、スピンドルシステム1の回転軸を示している。
スピンドルシステム1は、スピンドルを出力軸として備える機械要素であり、例えば、特殊環境内搬送装置、半導体製造装置、フラットパネルディスプレイ製造装置などに適用される。ここでは、一例として、スピンドルシステム1が、第一室110と第二室120とを区画する隔壁100に設置された場合について説明する(図1参照)。なお、図1では、V軸が鉛直下方を示し、H軸が水平方向を示している。
このスピンドルシステム1は、スピンドルユニット2と、シールユニット3と、カップリング4とを備える(図1参照)。
スピンドルユニット2は、ハウジング21と、スピンドル22と、軸受23とを有する。ハウジング21は、スピンドル22および軸受23を収容する部材である。スピンドル22は、スピンドルシステム1の出力軸を構成する。軸受23は、ハウジング21とスピンドル22との間に介在してスピンドル22を回転可能に支持する。
例えば、図1の構成では、ハウジング21が、円筒形状を有し、また、一方の端部(スピンドル22の駆動側の端部。シールユニット3側の端部。)に固定用のフランジ部211を有している。また、一対の軸受23、23が、ボールベアリングであり、ハウジング21の内周面に嵌め込まれて固定されている。また、スピンドル22が、ハウジング21に対して軸方向に挿入されて、一対の軸受23、23により回転可能に支持されている。また、スピンドル22が、出力側の端部にフランジ部221を有し、このフランジ部221をハウジング21から突出させて配置されている。このフランジ部221には、例えば、ワークを扱うための作業テーブル(図示省略)などが取り付けられる。
シールユニット3は、ハウジング31と、シャフト32と、軸受33とを有する。ハウジング31は、シャフト32および軸受33を収容する部材である。シャフト32は、スピンドルシステム1の入力軸であり、外部の駆動源(図示省略)に連結される。軸受33は、ハウジング31とシャフト32との間に介在してシャフト32を回転可能に支持する。
例えば、図1の構成では、ハウジング31が、円筒形状を有し、また、一方の端部に幅広なフランジ部311を有している。また、このハウジング31のフランジ部311と、スピンドルユニット2のハウジング21のフランジ部211とが相互かつ同軸上で固定されて、シールユニット3のハウジング31とスピンドルユニット2のハウジング21とが軸方向に連通している。また、一対の軸受33、33が、ボールベアリングであり、ハウジング31の内周面に嵌め込まれて固定されている。また、シャフト32が、ハウジング31に対して軸方向に挿入されて、一対の軸受33、33により回転可能に支持されている。また、シャフト32が、スピンドル22に対して同軸上に配置されている。また、シャフト32が、一方の端部(スピンドルユニット2側の端部)にフランジ部321を有し、このフランジ部321をハウジング31から突出させて配置されている。
カップリング4は、スピンドルユニット2のスピンドル22とシールユニット3のシャフト32とをトルク伝達可能に連結する部材である。このカップリング4は、偏心、偏角、エンドプレイ等の軸心のミスアライメントを許容可能なフレキシブルカップリングであることが好ましい。また、カップリング4は、金属製であることが好ましい。
例えば、図1の構成では、カップリング4が、ベローズ型のフレキシブルカップリングであり、中空部を有している。また、カップリング4が、一方の端部にてスピンドル22の軸方向端部に連結され、他方の端部にてシャフト32のフランジ部321に連結されている。
また、このスピンドルシステム1は、シールユニット3のシャフト32にて、外部の動力源(図示省略)に連結される。この動力源は、特に限定がなく、例えば、サーボモータ、ダイレクトドライブモータなどが採用され得る。
例えば、図1の構成では、シールユニット3のシャフト32に、プーリPが取り付けられている。また、動力源として、ベルト駆動装置(図示省略)が用いられ、このベルト駆動装置とプーリPとが、ベルト(図示省略)を介して動力伝達可能に連結されている。
このスピンドルシステム1では、外部の動力源からの駆動力により、シールユニット3のシャフト32が回転し、駆動力がカップリング4を介してスピンドル22に伝達されて、スピンドル22が回転する。また、動力源がシャフト32への駆動力の入力を調整することにより、スピンドル22の回転速度、回転方向などが自在に制御される。
[シール構造]
図1の構成では、第一室110と第二室120とが、隔壁100を介して区画されている。第一室110と第二室120とは、相互に異なる雰囲気を有する。例えば、半導体製造装置では、第一室110に外気が導入され、第二室120がチャンバで区画されて特殊環境(例えば、減圧環境、真空環境、プロセスガス充填環境など)が形成される。
また、スピンドルシステム1が、隔壁100の開口部101に挿入されて固定されている。具体的には、スピンドルシステム1が、スピンドルユニット2を第二室120側に向け、また、シールユニット3を第一室110側に向けて配置されている。また、スピンドルユニット2が、スピンドル22を第二室120に挿入して隔壁100の壁面から室内に突出させている。また、シールユニット3が、シャフト32を第一室110に有し、第一室110にて、シャフト32と動力源とが連結されている。また、シールユニット3が、ハウジング31のフランジ部311にて隔壁100の開口部101の縁に取り付けられている。これにより、シールユニット3のハウジング31およびスピンドルユニット2のハウジング21が隔壁100に固定されている。
ここで、図1の構成では、第一室110と第二室120とが相互に異なる雰囲気を有するため、スピンドルシステム1が、次のシール構造を有している。すなわち、(1)シールユニット3のハウジング31のフランジ部311と、隔壁100の壁面との接触面にOリング312が配置されている。これにより、ハウジング31と隔壁100との接触面がシールされている。また、(2)スピンドルユニット2の軸受23およびシールユニット3の軸受33が、潤滑油として、真空グリースを採用している。
[ガス通路]
図1の構成では、上記のように、相互に異なる雰囲気を有する第一室110と第二室120とが隔壁100により区画されている。また、スピンドルシステム1が隔壁100を貫通してスピンドルユニット2を第二室120に挿入されている。かかる構成では、(1)スピンドルシステム1を介して、第一室110側にある気体を第二室120側に漏れなく供給すべき要請がある。逆に、(2)スピンドルシステム1を介して、第二室120側にある気体を第一室110側に漏れなく回収すべき要請もある。
そこで、このスピンドルシステム1では、かかる気体の供給あるいは回収のためのガス通路を実現するために、以下の構成を採用する。
図2は、図1に記載したスピンドルシステムの要部を示すA−A視断面図である。同図は、シールユニット3の密閉空間Cにおける径方向断面図を示している。
このスピンドルユニット2では、図1および図2に示すように、シールユニット3が、ハウジング31とシャフト32とのクリアランス(ハウジング31の内周面とシャフト32の外周面との隙間)に、シール部材34を有する。
このシール部材34は、シールユニット3のハウジング31とシャフト32とのクリアランスを封止して、クリアランス内に密閉空間Cを形成する。したがって、密閉空間Cは、ハウジング31の内周面と、シャフト32の外周面と、少なくとも2つのシール部材34とに区画された空間である。
また、シール部材34は、シャフト32の回転を許容しつつ、ハウジング31とシャフト32とのクリアランスを封止できることを要する。かかるシール部材34としては、例えば、磁性流体シール、Oリング、ラビリンスシールなどを採用できる。
例えば、図1および図2の構成では、シール部材34が環状の磁性流体シールから成り、ハウジング31の内周面に固定されてシャフト32の外周面を囲んで配置されている。また、一対のシール部材34、34が、シャフト32の軸方向に所定間隔をあけて配置されることにより、一対のシール部材34、34の間に、密閉空間Cが形成されている。また、一対の軸受33、33が、シャフト32の軸方向に所定間隔をあけて配置され、これらの軸受33、33の間に、一対のシール部材34、34が配置されている。
また、図1および図2に示すように、ハウジング31が、ハウジング31の外部と密閉空間Cとを連通する第一通気孔51を有する。また、シャフト32が、シャフト32の内部に形成された内部通路52を有する。この内部通路52は、止まり穴であり、一方の端部にて、シャフト32の出力側端部(スピンドル22側の端部)に開口し、他方の端部にて、シャフト32の内部に終端する。また、シャフト32が、密閉空間Cと内部通路52とを連通する第二通気孔53とを有する。
また、図1に示すように、スピンドル22が、スピンドル22の内部に形成された内部通路54を有する。この内部通路54は、スピンドル22を軸方向に貫通して、スピンドル22の両端部に開口する。
また、図1に示すように、カップリング4が、カップリング4の内部に形成された内部通路55を有する。この内部通路55は、カップリング4を軸方向に貫通して、カップリング4の両端部に開口する。そして、シールユニット3のシャフト32の内部通路52と、スピンドル22の内部通路54とが、このカップリング4の内部通路55を介して連結される。
例えば、図1および図2の構成では、ハウジング31の第一通気孔51が、ハウジング31の側壁を径方向に貫通する孔であり、ハウジング31の外周面と内周面とを連通している。また、ハウジング31の外周面における第一通気孔51の開口部には、ガス導入用のプラグ6が設置されている。第一通気孔51へは、このプラグ6を介して、第一室110内の気体あるいは第一室110側に設置されたガスタンク(図示省略)の気体が供給される。
また、シャフト32の内部通路52が、シャフト32の出力側端部から回転軸に沿って開けられた穴と、シャフト32のフランジ部321の中心に開けられた孔とから構成されている。これにより、シャフト32が、回転軸に沿って延在する1本の内部通路52を有している。また、この内部通路52が、一方の端部にて、シャフト32の出力側端部に開口し、他方の端部にて、シャフト32の内部に終端している。なお、内部通路52は、円筒部材から成るシャフト32の中空部の一方の端部を封止して構成されても良い。
また、シャフト32の第二通気孔53が、シャフト32の側面から径方向に開けられた孔であり、シャフト32の内部通路52に開口している。また、シャフト32が一対の第二通気孔53を有し、これらの第二通気孔53、53が、シャフト32の軸方向の同位置かつ周方向の対向する位置(180度ずれた位置)に配置されている。したがって、密閉空間Cと内部通路52とが、2本の第二通気孔53、53により連通している。なお、シャフト32は、さらに3本以上の第二通気孔53を有しても良い(図示省略)。
また、スピンドル22の内部通路54が、スピンドル22を軸方向に貫通する孔から構成されている。また、内部通路54が、スピンドル22の出力側端部および入力側端部の回転中心にそれぞれ開口している。なお、スピンドル22の出力側端部における内部通路54の開口径は、スピンドルシステム1の仕様により適宜設計される。
また、カップリング4の内部通路55は、カップリング4がベローズ構造を有する管状部材から成るので、その中空部により構成されている。
上記の構成では、シールユニット3のハウジング31の外部から第一通気孔51、密閉空間C、シャフト32の第二通気孔53および内部通路52、カップリング4の内部通路55、ならびに、スピンドル22の内部通路54を通って、スピンドル22の出力側端部に至るガス通路が形成される。したがって、このガス通路を用いることにより、(1)第一室110側にある気体をスピンドル22の出力側端部から第二室120側に供給できる(図1参照)。また、逆に、(2)第二室120側にある気体をスピンドル22の出力側端部から第一室110側に回収できる(図示省略)。
なお、上記のガス通路を介した気体の流通は、(a)第一室110と第二室120との気圧差、(b)第一室110あるいは第二室120に設置された圧力ポンプの稼動などにより実現できる。
また、上記の構成では、ガス通路の気密性を高めることにより、中途でのガス漏れを低減できる。例えば、図1の構成では、ベローズ型のカップリング4を採用するので、スピンドル22とシールユニット3のシャフト32との軸方向および回転方向の変位差によりカップリング4が変形したときにも、カップリング4からのガス漏れが低減される。
さらに、図1の構成では、(a)スピンドル22とカップリング4との接合面、(b)カップリング4とシャフト32のフランジ部321との接合面、および、(c)シャフト32の本体部とフランジ部321との接合面に研削加工が施されて、これらの接合面の密着性が確保されることにより、これらの接合面におけるガス漏れが低減される。さらに、これらの接合面に、それぞれOリングなどのシール部材(図示省略)が配置されることにより、これらの接合面におけるガス漏れがより低減される。
[変形例1]
図3は、図1に記載したスピンドルシステムの変形例1を示す説明図である。同図は、単体のシールユニット3の軸方向断面図を示している。
図1の構成では、一対の軸受33、33が、シャフト32の軸方向に所定間隔をあけて配置され、これらの軸受33、33の間に、一対のシール部材34、34が配置されている。
しかし、これに限らず、図3に示すように、軸受33が、一対のシール部材34、34に対してシャフト32の軸方向の片側のみに配置されても良い。かかる構成では、一対のシール部材34、34が磁性流体シールから成るときに、これらのシール部材34、34に対して、軸受33が配置されていない側から磁性流体を注ぎ得る。これにより、シール部材34、34への磁性流体の供給が容易となる。
例えば、図3の構成では、一対のシール部材34、34が相互に隣り合って配置され、これらのシール部材34、34の隣りに、一対の軸受33、33が相互に隣り合って配置されている。また、一対の軸受33、33が、一対のシール部材34、34よりもシールユニット3の開口部(第一室110側にあるハウジング31の開口部。スピンドルユニット2に対して逆側にあるハウジング31の開口部)側に配置されている。したがって、一対の軸受33、33としてSUJ2材から成る軸受を採用できる。また、一対の軸受33、33に対して、第一室110に用いられているグリースを使用できる点で好ましい。
なお、図1および図3の構成では、シールユニット3が、一対の軸受33、33を有している。
しかし、これに限らず、シールユニット3が、単一の軸受33のみを有しても良い(図示省略)。かかる場合には、単一の軸受33が、一対のシール部材34、34に対してシャフト32の軸方向のいずれの位置に配置されても良いし、一対のシール部材34、34の間に配置されても良い。
[変形例2]
図4および図5は、図1に記載したスピンドルシステムの変形例2を示す説明図である。これらの図において、図4は、スピンドルシステム1の軸方向断面図を示し、図5は、図4に記載したスピンドルシステム1のB−B視断面図を示している。
図1および図2の構成では、スピンドルシステム1が、シールユニット3の第一通気孔51、密閉空間C、シャフト32の内部通路52および第二通気孔53、カップリング4の内部通路55、ならびに、スピンドル22の内部通路54から成る1本のガス通路を備えている。
これに対して、スピンドルシステム1が、複数本のガス通路を備えても良い(図4および図5参照)。これにより、複数種類のガスを第一室110と第二室120との間で流通させ得る。
例えば、図4および図5の構成では、3つのシール部材34がシャフト32の軸方向に所定間隔をあけて配置され、これらのシール部材34間に、2段の密閉空間C、Cが区画されている。また、シールユニット3のハウジング31が相互に独立した2本の第一通気孔51、51を有し、これらの第一通気孔51、51が対応する密閉空間C、Cにそれぞれ開口している。また、シャフト32が、相互に独立した2本の内部通路52、52と、相互に独立した2本の第二通気孔53、53とを有している。また、各第二通気孔53、53が、対応する密閉空間Cと内部通路52とをそれぞれ連通している。また、スピンドル22が、相互に独立した2本の内部通路54、54を有している。また、管材から成る2本の内部通路55、55がカップリング4の内部に配置され、これらの内部通路55、55を介して、対応するシャフト32の内部通路52とスピンドル22の内部通路54とがそれぞれ接続されている。また、各内部通路55、55からのガスの漏出を低減するために、各内部通路55、55が、シャフト32の内部通路52およびスピンドル22の内部通路54に対してOリングを介して嵌め込まれている。
[変形例3]
図6および図7は、図1に記載したスピンドルシステムの変形例3を示す説明図である。これらの図において、図6は、スピンドルシステム1の軸方向断面図を示し、図7は、スピンドルユニット2におけるラビリンス構造を示している。これらの図において、図1に記載した構成要素と同一の構成要素には、同一の符号を付して、その説明を省略する。
図1の構成では、上記のように、スピンドルシステム1における第一室110から第二室120へのガス通路が、シールユニット3の第一通気孔51と、密閉空間Cと、シャフト32の第二通気孔53および内部通路52と、カップリング4の内部通路55と、スピンドル22の内部通路54とから構成されている。また、第一通気孔51が、シールユニット3のハウジング31の一方の側壁を径方向に貫通し、第二通気孔53が、シャフト32に対して径方向に穿設されてシャフト32の内部通路52に連通している(図2参照)。また、シャフト32の内部通路52が、シャフト32の軸方向に穿設され、スピンドル22の内部通路54が、スピンドル22の軸方向に穿設されている。かかる図1の構成では、ガス通路を構成する第一通気孔51、第二通気孔53、シャフト32の内部通路52およびスピンドル22の内部通路54の加工が容易な点で好ましい。
これに対して、図6の構成では、第一室110から第二室120へのガス通路が、次のように構成される。
まず、シールユニット3のハウジング31が、ハウジング31の壁部を通ってスピンドルユニット2のハウジング21に囲まれた密閉空間Dに開口する通気孔56を有する。また、スピンドル22が、スピンドル22の内部に形成された内部通路54と、スピンドル22の内部を通って密閉空間Dおよび内部通路54を連通させる通気孔57とを有する。そして、第一室110から第二室120へのガス通路が、これらの通気孔56、57および密閉空間Dを含んで構成される。
具体的には、上記のように、スピンドルユニット2のハウジング21と、シールユニット3のハウジング31とが、スピンドルシステム1の回転軸Xの軸方向に接続されて相互に固定されている。このとき、スピンドルユニット2のハウジング21のフランジ部211が、シールユニット3のハウジング31のフランジ部311に対してインロー構造で嵌め込まれてボルト締結(図示省略)により固定されている。また、シールユニット3のハウジング31が、隔壁100の開口部101の縁部にボルト締結(図示省略)により固定され、また、ハウジング31と隔壁100との接合部の隙間が、Oリング312により封止されている。また、シールユニット3では、ハウジング31とシャフト32とのクリアランスが、シール部材34により封止されている。したがって、スピンドルユニット2のハウジング21の内部にある密閉空間Dは、第一室110に対して密閉されている。
また、図7に示すように、スピンドルユニット2が、ハウジング21とスピンドル22とのクリアランスに、ラビリンス構造を有している。このラビリンス構造は、ハウジング21と、スピンドル22のフランジ部221との間に形成された隙間25を含んで構成されている。この隙間25が、回転軸Xの軸方向に微少な幅W1を有することによりラビリンス構造として機能して、密閉空間Dが、第二室120に対して略密封されている。なお、隙間25の幅W1は、5[μm]≦W1≦30[μm]の範囲にあることが好ましく、5[μm]≦W1≦15[μm]の範囲にあることがより好ましい。また、幅W1は、回転軸Xの軸方向の幅として測定される。
また、シールユニット3のハウジング31の通気孔56が、ハウジング31を貫通する孔であり、ハウジング31の軸方向断面視にて、ハウジング31の径方向および軸方向に延在するL字型の屈曲形状を有している。また、通気孔56が、一方の開口部にてハウジング31の側壁の外周面に開口し、他方の開口部にてハウジング31の軸方向の端面に開口している。具体的には、通気孔56が、ハウジング31の側壁の外周面からハウジング31の径方向に延在し、ハウジング31の側壁の内部でL字状に屈曲してハウジング31の軸方向に延在し、ハウジング31の端面からスピンドルユニット2の内部の密閉空間Dに開口している。これにより、シールユニット3の外部(第一室110側)と、スピンドルユニット2の内部の密閉空間Dとが、通気孔56を介して連通している。なお、かかる通気孔56は、例えば、ハウジング31に対するドリル加工により、容易に形成できる。
また、スピンドル22の通気孔57が、スピンドル22に開けられた孔であり、一方の開口部にてスピンドル22の軸方向の端面に開口し、他方の開口部にてスピンドル22の内部通路54に開口している。これにより、スピンドルユニット2のハウジング21の密閉空間Dと、スピンドル22の内部通路54とが、通気孔57を介して連通している。
なお、図6の構成では、通気孔57が、スピンドル22の軸方向断面視にて、スピンドル22の径方向および軸方向に延在するL字型の屈曲形状を有している。しかし、これに限らず、通気孔57が、スピンドル22の密閉空間D側の端面からスピンドル22の内部通路54に向かって直線状に延在しても良い。かかる通気孔57は、例えば、スピンドル22に対するドリル加工により、容易に形成できる。
図6の構成では、第一室110からシールユニット3のハウジング31の通気孔56、スピンドルユニット2の内部の密閉空間D、スピンドル22の通気孔57およびスピンドル22の内部通路54を通って、スピンドル22の第二室120側の端部に至るガス通路が形成される。したがって、このガス通路を用いることにより、(1)第一室110側にある気体をスピンドル22の出力側端部から第二室120側に供給できる(図6参照)。また、逆に、(2)第二室120側にある気体をスピンドル22の出力側端部から第一室110側に回収できる(図示省略)。このように、ガス通路が、シールユニット3におけるハウジング31とシャフト32とのクリアランスを迂回して形成されても良い。
また、図6の構成では、上記のように、スピンドルユニット2の内部の密閉空間Dが、第一室110側に対してシール部材34により封止され、また、第二室120側に対してラビリンス構造(隙間25)により封止される。これにより、シールユニット3側の通気孔56から密閉空間Dを通ってスピンドル22の通気孔57に至るガス通路の気密性が適正に確保される。
特に、上記の構成では、(3)第一室110側から通気孔56を介して密閉空間Dに高圧ガスを供給することにより、密閉空間Dにおける気体の圧力を高め得る。これにより、密閉空間Dから通気孔57を通って内部通路54に供給される気体の供給圧力を適正に確保できる。一方で、(4)第一室110側から通気孔56を介して密閉空間Dの気体を吸引することにより、密閉空間Dにおける気体の圧力を低減できる。これにより、例えば、スピンドル22が真空チャックとして使用される場合に、内部通路54の圧力を適正に維持して、真空チャックの吸引力を適正に確保できる。
また、図1の構成では、スピンドル22とシャフト32とが、密閉された中空構造を有するベローズ型のカップリング4を介して連結されている。しかし、図6の構成のように、第一室110側と第二室120側とに連通するガス通路がカップリング4を迂回する構成では、カップリング4が密閉構造を有する必要がない。したがって、カップリング4の構造の選択肢が拡大する点で好ましい。
[変形例4]
図8および図9は、図1に記載したスピンドルシステムの変形例4を示す説明図である。これらの図において、図8は、スピンドルシステム1の軸方向断面図を示し、図9は、シールユニット3のハウジング31の支持構造を示している。これらの図において、図1に記載した構成要素と同一の構成要素には、同一の符号を付して、その説明を省略する。
図1の構成では、上記のように、シールユニット3のハウジング31が、フランジ部311を有し、このフランジ部311にて隔壁100の開口部101の縁部にボルト締結(図示省略)により固定されている。また、スピンドルユニット2のハウジング21が、シールユニット3のハウジング31に対してボルト締結(図示省略)により固定されている。したがって、シールユニット3のハウジング31とスピンドルユニット2のハウジング21との相対的な位置関係が固定されている。
ここで、スピンドルシステム1では、一般に、スピンドルユニット2のハウジング21やシールユニット3のハウジング31が加工精度や組み付け誤差を有することにより、スピンドル22とシャフト32との間に、偏心、偏角、エンドプレイなどのミスアライメントが生じ得る。このため、図1の構成では、スピンドルシステム1の稼働時におけるスピンドル22とシャフト32との間のミスアライメントを吸収するために、スピンドル22とシャフト32とが、ベローズ型のフレキシブルカップリング4を介して連結されている。
これに対して、図8の構成では、スピンドル22とシャフト32とが相互に固定して連結される。また、スピンドルシステム1が、弾性支持構造7を備え、この弾性支持構造7が、シールユニット3のハウジング31とスピンドルユニット2のハウジング21との間に介在してシールユニット3のハウジング31を弾性変位可能に支持する。
具体的には、スピンドル22とシャフト32とが、同軸上に配置され、ボルト締結(図示省略)により軸方向に連結されて相互に固定されている。また、スピンドルシステム1が、ベース部材24を備えている。また、ベース部材24が、プレート状部材から成り、隔壁100の開口部101を第一室110側から塞いで配置されて、開口部101の縁にボルト締結(図示省略)により固定されている。また、ベース部材24の第二室120側の面がざぐり部を有している。そして、スピンドルユニット2のハウジング21が、フランジ部211をベース部材24のざぐり部に嵌め込みつつ、ベース部材24にボルト締結(図示省略)により固定されている。このため、スピンドルユニット2のハウジング21が、ベース部材24を介して隔壁100の開口部101に固定されている。
また、シールユニット3のハウジング31が、スピンドルユニット2のハウジング21に挿入されて配置されている。また、ベース部材24が、スピンドルユニット2のハウジング21の第一室110側の開口部を覆うことにより、シールユニット3のハウジング31が、スピンドルユニット2のハウジング21およびベース部材24から成る構造物の内部に収容されている。また、ベース部材24が開口部241を有し、シールユニット3がシャフト32をベース部材24の開口部241から第一室110側に突出させて配置されている。
また、図9に示すように、弾性支持構造7が、第一弾性部材71および第二弾性部材72から構成されている。
また、第一弾性部材71が、ゴム製のOリングであり、スピンドルユニット2のハウジング21とシールユニット3のハウジング31との間に挟み込まれて配置されている。具体的には、スピンドルユニット2のハウジング21が、内径差により形成された段状の係止部73を内壁面に有し、また、シールユニット3のハウジング31が、第二室120側の軸方向端部の外周縁部に段状(あるいは溝状)の保持部74を有している。そして、第一弾性部材71が、シールユニット3のハウジング31の保持部74に嵌め合わされて保持され、シールユニット3のハウジング31とスピンドルユニット2のハウジング21との間で軸方向から挟み込まれている。
また、第二弾性部材72が、ゴム製のOリングであり、ベース部材24とシールユニット3のハウジング31との間に挟み込まれて配置されている。具体的には、シールユニット3のハウジング31が、第一室110側の軸方向端部の外周縁部に段状(あるいは溝状)の保持部75を有している。そして、第二弾性部材72が、シールユニット3のハウジング31の保持部74に嵌め合わされて保持され、シールユニット3のハウジング31とベース部材24の平面との間に軸方向から挟み込まれている。
したがって、一対の弾性部材71、72が、シールユニット3のハウジング31と慣性系であるスピンドルユニット2のハウジング21およびベース部材24との間に介在して配置されて、シールユニット3のハウジング31を軸方向から挟み込んで支持している。また、シールユニット3のハウジング31とスピンドルユニット2のハウジング21およびベース部材24との間には、回転軸Xの軸方向および径方向に微少な隙間が設けられている。したがって、一対の弾性部材71、72が弾性変形することにより、シールユニット3のハウジング31が軸方向および径方向に微少変位できる。
図8および図9の構成において、スピンドルユニット2では、上記のように、スピンドル22が、シャフト32に対して軸方向に連結されて固定される。このため、スピンドルシステム1の稼動時には、スピンドル22とシャフト32とが一体となって同位相で回転する。また、スピンドル22が、軸受23を介して慣性系であるハウジング21に支持されて、回転軸X上にて安定的に回転でき、また、バネ要素であるカップリング4を有する構成(図1参照)と比較して、スピンドル22のねじり剛性が向上する。
一方、シールユニット3では、上記のように、ハウジング31が、慣性系であるスピンドルユニット2のハウジング21およびベース部材24との間に第一弾性部材71および第二弾性部材72を介して支持される。すると、スピンドルシステム1の稼動時にて、第一弾性部材71および第二弾性部材72が弾性変形することにより、ハウジング31が回転軸Xの軸方向および径方向に弾性変位できる。これにより、スピンドル22とシャフト32との偏心および偏角、シャフト32とのエンドプレイなどのミスアライメントが吸収される。また、熱膨張によるスピンドル22およびシャフト32の伸縮が吸収される。
また、図9の構成では、第一弾性部材71が、シールユニット3のハウジング31とスピンドルユニット2のハウジング21との隙間を封止するシール部材として機能し、また、第二弾性部材72が、シールユニット3のハウジング31とベース部材24との隙間を封止するシール部材として機能する。また、Oリング312が、ベース部材24と隔壁100との接合面に配置されて、これらの隙間が封止される。また、上記のように、シール部材34が、シールユニット3のハウジング31とシャフト32との間に配置されて、これらのクリアランスが封止される。これにより、第一室110と第二室120との気密性が確保される。
なお、図9の構成では、上記のように、第一弾性部材71および第二弾性部材72が、弾性変形可能な弾性シール部材(ここでは、ゴム製のOリング)から構成されている。かかる構成では、第一弾性部材71および第二弾性部材72が、シールユニット3のハウジング31とスピンドルユニット2のハウジング21との隙間を封止するシール部材を兼ねるので、別個のシール部材が不要となり、部品点数を低減できる点で好ましい。
しかし、これに限らず、第一弾性部材71および第二弾性部材72が、例えば、コイルバネ、板バネ、空気バネなどから構成されても良い(図示省略)。かかる構成としても、スピンドル22とシャフト32との偏心、偏角、エンドプレイなどのミスアライメントを吸収できる。一方で、かかる構成では、例えば、第一弾性部材71および第二弾性部材72の配置位置の隙間(図9におけるシールユニット3のハウジング31とスピンドルユニット2のハウジング21との隙間、ならびに、シールユニット3のハウジング31とベース部材24との隙間)に、別途、シール部材を配置することにより、これらの隙間を封止できる。
また、図9の構成では、上記のように、スピンドルユニット2のハウジング21が内壁に係止部73を有し、第一弾性部材71が、この係止部73とシールユニット3のハウジング31との間に挟み込まれて配置されている。かかる構成では、スピンドルユニット2のハウジング21自身が係止部73を有する(一体構造を有する)ことにより、係止部73が別部品から成る構成と比較して、部品点数を低減できる点で好ましい。
しかし、これに限らず、例えば、係止部73を有する別部材(例えば、筒状のホルダ)が、スピンドルユニット2のハウジング21の内周面に嵌め込まれて配置されても良い(図示省略)。かかる構成としても、同様の機能を実現できる。
また、図8の構成では、第一室110から第二室120へのガス通路が、次のように構成される。
まず、ベース部材24およびスピンドルユニット2のハウジング21が、ベース部材24を貫通し、スピンドルユニット2のハウジング21に囲まれた密閉空間Eに連通する通気孔58を有する。また、スピンドル22が、スピンドル22の内部に形成された内部通路54を有し、また、スピンドル22およびシャフト32が、スピンドル22およびシャフト32の内部を通って密閉空間Eと内部通路54とを連通させる通気孔59を有する。そして、第一室110から第二室120へのガス通路が、これらの通気孔58、59および密閉空間Eを含んで構成される。
具体的には、上記のように、スピンドルユニット2のハウジング21が、ベース部材24の第二室120側の面にボルト締結(図示省略)により固定されている。また、スピンドル22とシャフト32とが、ボルト締結(図示省略)により一体化されている。また、シールユニット3のハウジング31が、スピンドルユニット2のハウジング21に収容されて、第一弾性部材71および第二弾性部材72を介して弾性変位可能に支持されている。また、シールユニット3のハウジング31とスピンドルユニット2のハウジング21との隙間ならびにシールユニット3のハウジング31とベース部材24との隙間が、第一弾性部材71および第二弾性部材72により封止され、また、シールユニット3のハウジング31とシャフト32とのクリアランスが、シール部材34により封止されている。したがって、スピンドルユニット2のハウジング21の内部にある密閉空間Eは、第一室110に対して密閉されている。
また、図6および図7の構成と同様に、スピンドルユニット2が、ハウジング21とスピンドル22とのクリアランスに、ラビリンス構造(隙間25。図7参照。)を有している。このラビリンス構造により、密閉空間Dが、第二室120に対して略密封されている。
また、ベース部材24およびスピンドルユニット2のハウジング21の通気孔58が、回転軸Xの軸方向断面視にて、第一室110側からベース部材24を軸方向に貫通し、ハウジング21の側壁の内部を軸方向に延在してL字状に屈曲し、ハウジング21の内部に開口して密閉空間Eに連通している。これにより、第一室110と、スピンドルユニット2の密閉空間Eとが、通気孔58を介して連通している。なお、かかる通気孔58は、例えば、ベース部材24およびハウジング21に対するドリル加工と埋め栓などにより、形成できる。
スピンドル22およびシャフト32の通気孔59が、スピンドル22およびシャフト32に開けられた孔であり、一方の開口部にて、スピンドル22およびシャフト32の一体構造物の側面に開口し、他方の開口部にて、スピンドル22の内部通路54に開口している。これにより、スピンドルユニット2の密閉空間Eと、スピンドル22の内部通路54とが、通気孔59を介して連通している。
図8の構成では、第一室110からベース部材24およびスピンドルユニット2のハウジング21の通気孔58、スピンドルユニット2の密閉空間E、スピンドル22およびシャフト32の通気孔59、ならびに、スピンドル22の内部通路54を通って、スピンドル22の第二室120側の端部に至るガス通路が形成される。したがって、このガス通路を用いることにより、(1)第一室110側にある気体をスピンドル22の出力側端部から第二室120側に供給できる(図8参照)。また、逆に、(2)第二室120側にある気体をスピンドル22の出力側端部から第一室110側に回収できる(図示省略)。このように、ガス通路が、シールユニット3を迂回して形成されても良い。
また、図8の構成では、上記のように、スピンドルユニット2の内部の密閉空間Eが、第一室110側に対してシール部材34により封止され、また、第二室120側に対してラビリンス構造(図7の隙間25)により封止される。これにより、シールユニット3側の通気孔58から密閉空間Eを通ってスピンドル22の通気孔59に至るガス通路の気密性が適正に確保される。
特に、上記の構成では、(3)第一室110側から通気孔58を介して密閉空間Eに高圧ガスを供給することにより、密閉空間Eにおける気体の圧力を高め得る。これにより、密閉空間Eから通気孔59を通って内部通路54に供給される気体の供給圧力を適正に確保できる。一方で、(4)第一室110側から通気孔58を介して密閉空間Eの気体を吸引することにより、密閉空間Eにおける気体の圧力を低減できる。これにより、例えば、スピンドル22が真空チャックとして使用される場合に、内部通路54の圧力を適正に維持して、真空チャックの吸引力を適正に確保できる。
図10および図11は、図8に記載したスピンドルシステムの変形例5および変形例6を示す説明図である。これらの図は、スピンドル22およびシャフト32における通気孔59の変形例を示している。これらの図において、図8に記載した構成要素と同一の構成要素には、同一の符号を付して、その説明を省略する。
図8の構成では、通気孔59が、スピンドル22の軸方向断面視にて、スピンドル22の径方向および軸方向にステップ状に延在する屈曲形状を有している。
しかし、これに限らず、通気孔59が、図10および図11に示すように、スピンドル22もしくはシャフト32の側面からスピンドル22の内部通路54に向かって直線状に延在しても良い。例えば、図10の構成では、内部通路54が、スピンドル22を軸方向に貫通してシャフト32まで延在している。また、直線状の通気孔59が、シャフト32の側面からシャフト32の径方向に開けられて、シャフト32にて内部通路54に開口している。また、例えば、図11の構成では、スピンドル22が長尺構造を有することにより、スピンドル22の第一室110側の端部が密閉空間Eに所定の軸方向長さをもって露出している。そして、直線状の通気孔59が、この露出したスピンドル22の端部に対して径方向から開けられて、スピンドル22の内部通路54に開口している。図10および図11の通気孔59は、例えば、シャフト32に対するドリル加工により、容易に形成できる。
図12および図13は、図8に記載したスピンドルシステムの変形例7および変形例8を示す説明図である。これらの図は、弾性支持構造7の変形例を示している。これらの図において、図8に記載した構成要素と同一の構成要素には、同一の符号を付して、その説明を省略する。
図8の構成では、第一弾性部材71および第二弾性部材72が、シールユニット3のハウジング31の軸方向端部の外周縁部に配置されている。
しかし、これに限らず、図12に示すように、第一弾性部材71および第二弾性部材72が、シールユニット3のハウジング31の側面に配置されても良い。例えば、図12の構成では、一対の保持部74、75が、ハウジング31の側面(径方向の周面)に形成された環状の周溝であり、相互にハウジング31の軸方向に所定間隔を隔てて配置されている。また、第一弾性部材71および第二弾性部材72が、ゴム製のOリングであり、これらの保持部74、75に嵌め合わされて配置されている。そして、第一弾性部材71および第二弾性部材72が、シールユニット3のハウジング31とスピンドルユニット2のハウジング21との間に挟み込まれることにより、シールユニット3のハウジング31が、径方向に弾性変位可能に保持されている。
さらに、図13の構成では、図12の構成において、ベース部材24が省略され、また、スピンドルユニット2のハウジング21が、幅広なフランジ部211を有している。そして、スピンドルユニット2のハウジング21が、フランジ部211にて隔壁100の開口部101の縁部に当接してボルト締結(図示省略)により固定されている。また、フランジ部211と隔壁100との間にOリング312が配置されて、これらの隙間が封止されている。このように、スピンドルユニット2のハウジング21が直接的に隔壁100に取り付けられる構造においても、上記したシールユニット3のハウジング31の弾性支持構造7を実現でき、また、部品点数を低減できる。
なお、図13の構成では、ベース部材24が省略されるので、スピンドルユニット2のハウジング21(のフランジ部211)が、第一室110に露出する。したがって、図8の構成におけるハウジング21の通気孔58が第一室110に直接的に開口し、プラグ6がこの通気孔58の開口部に取り付けられている。
[効果]
以上説明したように、このスピンドルシステム1は、ハウジング31と、シャフト32と、シャフト32をハウジング31に対して回転可能に支持する軸受33とを備える(図1参照)。また、スピンドルシステム1は、ハウジング31とシャフト32とのクリアランスを封止してクリアランス内に密閉空間Cを形成するシール部材34を備える。また、ハウジング31が、ハウジング31の外部と密閉空間Cとを連通する第一通気孔51を有する(図1および図2参照)。また、シャフト32が、シャフト32の内部に形成された内部通路52と、密閉空間Cと内部通路52とを連通する第二通気孔53とを有する。
かかる構成では、ハウジング31の外部から第一通気孔51および密閉空間Cを通ってシャフト32の内部通路52に至るガス通路が形成される。したがって、このガス通路を用いることにより、(1)ハウジング31の外部にある気体をシャフト32の内部通路52に供給できる利点がある(図1参照)。また、逆に、(2)シャフト32の内部通路52にある気体をハウジング31の外部側に回収できる利点がある(図示省略)。
また、このスピンドルシステム1では、一対のシール部材34、34が、シャフト32の軸方向に所定間隔をあけて配置されることにより、密閉空間Cが一対のシール部材34、34の間に形成される(図1参照)。かかる構成では、密閉空間Cが一対のシール部材34、34の間に形成されるので、密閉空間Cのシール性が向上する利点がある。
また、このスピンドルシステム1では、一対の軸受33、33が、シャフト32の軸方向に所定間隔をあけて配置されると共に、一対のシール部材34、34が一対の軸受33、33の間に配置される(図1参照)。かかる構成では、シャフト32が一対の軸受33、33により安定的に支持されるので、これらの軸受33、33間におけるクリアランスが安定する。これにより、一対のシール部材34、34のシール性が向上して、密閉空間Cが好適に確保される利点がある。
また、このスピンドルシステム1では、軸受33が、一対のシール部材34、34に対してシャフト32の軸方向の片側のみに配置される(図3参照)。かかる構成では、シール部材34、34に対して、軸受33が配置されていない側から潤滑油を注ぎ得る。これにより、シール部材34、34への潤滑油の供給が容易となる利点があり、また、一対の軸受33、33としてSUJ2材から成る軸受を採用できる利点がある。
また、このスピンドルシステム1では、スピンドル22を有するスピンドルユニット2と、ハウジング31とシャフト32と軸受33とを有するシールユニット3と、スピンドル22とシャフト32とを連結するカップリング4とを備える(図1参照)。これにより、スピンドルユニット2と、シールユニット3とを連結した構成が実現される利点がある。
また、このスピンドルシステム1では、スピンドル22が、スピンドル22の内部に形成された内部通路54を有する(図1参照)。また、カップリング4が、カップリング4の内部に形成された内部通路55を有する。また、シャフト32の内部通路52と、スピンドル22の内部通路54とが、カップリング4の内部通路55を介して連結される。かかる構成では、シールユニット3のハウジング31の外部から第一通気孔51、密閉空間C、シャフト32の第二通気孔53および内部通路52、ならびに、カップリング4の内部通路55を通ってスピンドル22の内部通路54に至るガス通路が形成される。したがって、このガス通路を用いることにより、(1)ハウジング31の外部にある気体をスピンドル22の内部通路54に供給できる利点がある(図1参照)。また、逆に、(2)スピンドル22の内部通路54にある気体をハウジング31の外部側に回収できる利点がある(図示省略)。
また、このスピンドルシステム1は、第一ハウジング21(図6では、ハウジング21)と、スピンドル22と、スピンドル22を第一ハウジング21に対して回転可能に支持する軸受23とを有するスピンドルユニット2と、第二ハウジング31(図6では、ハウジング31)と、シャフト32と、シャフト32を第二ハウジング31に対して回転可能に支持する軸受33と、第二ハウジング31およびシャフト32の間を封止するシール部材34とを有するシールユニット3と、スピンドル22とシャフト32とを連結するカップリング4とを備える(図6参照)。また、第一ハウジング21が、第一ハウジング21およびシール部材34により区画された密閉空間Dを有する。また、第二ハウジング31が、第二ハウジング31の壁部を通って密閉空間Dに連通する第一通気孔56を有する。また、スピンドル22が、スピンドル22の内部に形成された内部通路54と、スピンドル22の内部を通って密閉空間Dおよび内部通路54を相互に連通させる第二通気孔57とを有する。
かかる構成では、第二ハウジング31の外部から第二ハウジング31の通気孔56、スピンドルユニット2の内部の密閉空間Dおよびスピンドル22の通気孔57を通ってスピンドル22の内部通路54に至るガス通路が形成される。したがって、このガス通路を用いることにより、(1)第二ハウジング31の外部にある気体をスピンドル22の内部通路54に供給できる利点がある(図6参照)。また、逆に、(2)スピンドル22の内部通路54にある気体を第二ハウジング31の外部に回収できる利点がある(図示省略)。
また、カップリング4が、フレキシブルカップリングである(図1、図4および図6参照)。これにより、スピンドルシステム1の稼働時におけるスピンドル22とシャフト32との間のミスアライメントがフレキシブルカップリング4により効果的に吸収される利点がある。
また、このスピンドルシステム1は、第一ハウジング21(図8では、ハウジング21)と、スピンドル22と、スピンドル22を第一ハウジング21に対して回転可能に支持する軸受23とを有するスピンドルユニット2と、第二ハウジング31(図8では、ハウジング31)と、スピンドル22に連結されるシャフト32と、シャフト32を第二ハウジング31に対して回転可能に支持する軸受33と、第二ハウジング31およびシャフト32の間を封止するシール部材34とを有するシールユニット3と、第一ハウジング21と第二ハウジング31との間に介在して第二ハウジング31を弾性変位可能に支持する弾性支持構造7(図8では、弾性部材71、72)とを備える(図8参照)。また、第一ハウジング21が、第一ハウジング21およびシール部材34により区画された密閉空間Eを有する。また、第一ハウジング21が、第一ハウジング21の壁部を通って密閉空間Eに連通する第一通気孔58を有する。また、スピンドル22が、スピンドル22の内部に形成された内部通路54と、スピンドル22の内部を通って密閉空間Eおよび内部通路54を相互に連通させる第二通気孔59とを有する。
かかる構成では、外部(図8では、ベース部材24を隔てた第一室110)から第一ハウジング21の通気孔58、スピンドルユニット2の内部の密閉空間Eおよびスピンドル22の通気孔59を通ってスピンドル22の内部通路54に至るガス通路が形成される。したがって、このガス通路を用いることにより、(1)外部にある気体をスピンドル22の内部通路54に供給できる利点がある(図8参照)。また、逆に、(2)スピンドル22の内部通路54にある気体を外部に回収できる利点がある(図示省略)。また、(3)第二ハウジング31が、第一ハウジング21に対して弾性変位可能に支持されるので、スピンドル22とシャフト32との偏心、偏角、エンドプレイなどのミスアライメントが吸収される利点があり、また、熱膨張によるスピンドル22およびシャフト32の伸縮を弾性支持構造により吸収できる利点がある。
また、このスピンドルシステム1では、第一ハウジング21を支持するベース部材24を備える(図8および図9参照)。また、弾性支持構造7が、第一ハウジング21と第二ハウジング31との間に介在して第二ハウジング31を弾性変位可能に支持する第一弾性部材(第一弾性部材71)と、第二ハウジング31とベース部材24との間に介在して第二ハウジング31を弾性変位可能に支持する第二弾性部材(第二弾性部材72)とを有する。これにより、第二ハウジング31が弾性変位可能に安定的に支持される利点がある。
また、このスピンドルシステム1では、弾性支持構造7が、第一ハウジング21と第二ハウジング31との隙間を封止するシール構造を兼ねる(図9参照)。これにより、別個のシール部材が不要となり、部品点数を低減できる利点がある。
また、このスピンドルシステム1では、スピンドルユニット2が、第一ハウジング21とスピンドル22とのクリアランスを封止するクリアランスシール部25(図6および図8では、ラビリンスシールを構成する隙間25)を有する(図6および図8参照)。また、密閉空間D、Eが、スピンドルユニット2のシール部25と、第一ハウジング21と、シールユニット3のシール部材34とに区画される。これにより、密閉空間D、Eを形成できる利点がある。