JPWO2017221713A1 - 高熱収縮性ポリアミド複合繊維および加工糸およびそれらを一部に用いた織編物 - Google Patents

高熱収縮性ポリアミド複合繊維および加工糸およびそれらを一部に用いた織編物 Download PDF

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Abstract

高熱収縮性を有するポリアミド複合繊維によって、経糸方向に高い張力をかけた状態で湿熱・乾熱しても、織編物拘束力に勝る応力で収縮し、捲縮性を十分に発現することができ良好なストレッチ性を有するふくらみ感のある織編物を提供する。組成が互いに異なる2種のポリアミド(A)およびポリアミド(B)からなる貼合型または偏心芯鞘型のポリアミド複合繊維であって、ポリアミド(A)が非晶性ポリアミドを含有し、かつポリアミド(B)が結晶性ポリアミドであり、複合繊維の熱収縮応力が0.15cN/dtex以上であることを特徴とする高熱収縮性ポリアミド複合繊維。

Description

本発明は高熱収縮性ポリアミド複合繊維および加工糸およびそれらを一部に用いた織編物に関するものである。
従来からポリアミド繊維は、ポリエステルと比べて柔らかく触感(タッチ)も良好であり、衣料用途に幅広く用いられている。衣料用ポリアミド繊維であるナイロン6やナイロン66等単一成分からなる単独糸は繊維に捲縮性がないため、仮撚加工等を行い、捲縮性を付与し、ストレッチ性を有する織編物用途に用いられる。しかしながら、単独糸に仮撚加工等を施したものでは、良好なストレッチ性を有する織編物を得ることは困難であった。
従来から性質の異なる二成分のポリアミドを併用して、同一フィラメントの横断面において貼合され、または偏心的に複合されてなるポリアミド複合繊維とすることによって、繊維に潜在捲縮性を付与し、ストレッチ性を有する織編物を得る方法が提案されている。
例えば特許文献1には、一つの成分がナイロン12またはナイロン610である貼合型または偏心芯鞘型ポリアミド複合繊維が開示されている。
また、特許文献2には、二成分のポリアミドの相対粘度差が0.4以上1.6以下である貼合型ポリアミド複合繊維が開示されている。
日本国特開2001−159030号公報 日本国特開2002−363827号公報
しかしながら、特許文献1及び2に開示されているポリアミド複合繊維は、原糸や加工糸において捲縮性に優れ、密度の粗い織編物においては良好なストレッチ性を得ることができるが、一般的な織編物では十分なストレッチ性が得られない。すなわちポリアミド複合繊維は繊維が柔らかい為、織編物製造の際、染色などの湿熱工程においてシワが発生し易く、仕上げセットなどの乾熱工程でシワが取れ難い。織編物をシワの無いきれいな生地に仕上げるために、経糸方向に高い張力をかけた状態で製造されることが一般的である。特に織物の場合は、交錯点が多いため、経糸方向に高い張力をかけた状態で製造すると、特許文献1および2に開示されているポリアミド複合繊維では、経糸方向に対して織物拘束力が勝るため、捲縮性を十分に発現することができず、十分なストレッチ性が得られていなかった。また、経糸方向に対して十分に捲縮が発現していないため、ふくらみ感に劣る織物であった。特に、織編物の密度が高くなる程その傾向は顕著であった。
そこで、本発明では上記問題点を解決するものであり、良好なストレッチ性を有するふくらみ感のある織編物が得られる高熱収縮性ポリアミド複合繊維を提供することを課題とする。
上記目的を達成するために、本発明の高熱収縮性ポリアミド複合繊維は、主として、次の構成を有する。
(1)組成が互いに異なる2種のポリアミド(A)およびポリアミド(B)からなる貼合型または偏心芯鞘型複合繊維において、ポリアミド(A)が非晶性ポリアミドを含有し、かつポリアミド(B)が結晶性ポリアミドであり、複合繊維の熱収縮応力が0.15cN/dtex以上であることを特徴とする高熱収縮性ポリアミド複合繊維。
(2)非晶性ポリアミドが、イソフタル酸/テレフタル酸/ヘキサメチレンジアミンの重縮合体であることを特徴とする(1)記載の高熱収縮性ポリアミド複合繊維。
(3)複合繊維の剛直非晶量が17〜35%であることを特徴とする(1)または(2)記載の高熱収縮性ポリアミド複合繊維。
(4)複合繊維の伸長伸縮率が20〜80%であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の高熱収縮性ポリアミド複合繊維。
(5)(1)〜(4)のいずれかに記載の高熱収縮性ポリアミド複合繊維からなるポリアミド加工糸。
(6)(1)〜(4)のいずれかに記載の高熱収縮性ポリアミド複合繊維または(5)記載のポリアミド加工糸を少なくとも一部に含むことを特徴とする織編物。
本発明の高熱収縮性ポリアミド複合繊維またはそれからなる加工糸は、経糸方向に高い張力をかけた状態で湿熱・乾熱しても、織編物の拘束力に勝る応力で収縮し、経糸方向に対して捲縮性を十分に発現することができ、良好なストレッチ性を有するふくらみ感のある織編物を提供できる。
本発明の高熱収縮性を有するポリアミド複合繊維は、貼合型または偏心芯鞘型の複合繊維であり、非晶性ポリアミドを含有するポリアミド(A)および結晶性ポリアミドからなるポリアミド(B)により構成される。貼合型複合繊維とは、主として2種類以上のポリアミドが繊維長さ方向に沿って貼り合わされた複合繊維をいう。偏心芯鞘型複合繊維とは、2種類以上のポリアミドが偏心した芯鞘構造を形成している複合繊維をいう。
ポリアミド複合繊維を構成するポリアミド(A)に含有される非結晶性ポリアミドは、結晶を形成せず融点をもたないポリアミドであり、例えば、イソフタル酸/テレフタル酸/ヘキサメチレンジアミンの重縮合体、イソフタル酸/テレフタル酸/ヘキサメチレンジアミン/ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタンの重縮合体、イソフタル酸/2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミンの重縮合体、テレフタル酸/2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミンの重縮合体、イソフタル酸/テレフタル酸/2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミンの重縮合体、イソフタル酸/ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン/ω−ラウロラクタムの重縮合体、テレフタル酸/ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン/ω−ラウロラクタムの重縮合体等が挙げられる。また、これらの重縮合体を構成するテレフタル酸成分及び/又はイソフタル酸成分のベンゼン環が、アルキル基やハロゲン原子で置換されたものも含まれる。さらに、これらの非晶性ポリアミドは一種類でも二種類以上を併用してもよい。本発明の高熱収縮性ポリアミド複合繊維に用いる非晶性ポリアミドはいかなるものでもよいが、製造コスト、繊維の収縮特性の両面からイソフタル酸/テレフタル酸/ヘキサメチレンジアミンの重縮合体が好ましい。
本発明の高熱収縮性ポリアミド複合繊維を構成するポリアミド(B)は結晶性ポリアミド、すなわち結晶を形成し融点を有するポリアミドであり、いわゆる炭化水素基が主鎖にアミド結合を介して連結されたポリマーで、ポリカプラミド、ポリヘキサメチレンアジパミド、ポリヘキサメチレンセバカミド、ポリテトラメチレンアジパミド、1,4−シクロヘキサンビスと、線状脂肪族ジカルボン酸との縮合重合型ポリアミドなど、及び、これらの共重合体もしくはこれらの混合物が挙げられる。ただし、均一な系を再現しやすく、安定した機能発現の点からホモのポリアミドを用いることが好ましい。
結晶性ポリアミドは、ジアミン類および二塩基酸類からなることが好ましく、具体的なジアミン類としてはテトラメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、ビス−(4,4’−アミノシクロヘキシル)メタン、メタキシリレンジアミンなどがあげられる。二塩基酸類としてはグルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジオン酸、ドデカジオン酸、ヘキサデカジオン酸、ヘキサデセンジオン酸、エイコサンジオン酸、ジグリコール酸、2,2,4−トリメチルアジピン酸、キシリレンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などが挙げられる。本発明の高熱収縮性ポリアミド複合繊維に用いる結晶性ポリアミドはいかなるものでもよいが、製造コスト、繊維の強度保持の両面からポリカプラミド、ポリヘキサメチレンアジパミドが好ましい。
本発明の高熱収縮性ポリアミド複合繊維は、ポリアミド(A)が非晶性ポリアミドを含有するポリアミド、ポリアミド(B)が結晶性ポリアミドから成る複合繊維である。その複合形態は貼合型または偏心芯鞘型である。貼合型または偏心芯鞘型とすることにより、ポリアミド(A)とポリアミド(B)の粘度差や収縮差によって捲縮が発現し、捲縮性が高くなり、織物のふくらみ感は良好となる。
本発明の高熱収縮性ポリアミド複合繊維は、熱収縮応力が0.15cN/dtex以上である。ここでいう熱収縮応力とは、カネボウエンジニアリング社製KE−2型熱収縮応力測定機を用い、測定する繊維糸条を結び周長16cmのループとし、糸条の繊度(デシテックス)の1/30gの初荷重を掛け、室温から210℃まで昇温速度100℃/分で温度変化させたときの荷重を測定して、得られた熱応力曲線のピーク値を最大熱応力(cN/dtex)として測定されるものである。高熱収縮性ポリアミド複合繊維の熱収縮応力をかかる範囲とすることにより、経糸方向に高い張力をかけた状態で湿熱・乾熱しても、織物拘束力に勝る応力で収縮するため、経糸方向に対して捲縮性を十分に発現することができ、良好なストレッチ性を有するふくらみ感のある織物を得ることができる。熱収縮応力が0.15cN/dtex未満の場合、高い張力をかける湿熱工程において、十分な捲縮が発現しないため、ストレッチ性およびふくらみ感に劣る織物となる。熱収縮応力は、好ましくは0.20cN/dtex以上、より好ましくは0.25cN/dtex以上である。また、熱収縮応力が高すぎると、織物の交錯点での目が詰まりやすくなり、ストレッチ性が阻害されるため、熱収縮応力の上限は0.50cN/dtexであることが好ましい。
本発明の高収縮性ポリアミド繊維は、剛直非晶量が17〜35%であることが好ましい。剛直非晶量は、以下のとおり算出される値である。通常のDSC測定から得られた融解熱量と冷結晶化熱量の差(ΔHm−ΔHc)、温度変調DSC測定から得られた比熱差(ΔCp)を用いて、結晶性ポリアミド含有率を100%と仮定し、式(1)、(2)に基づいて、結晶化度(Xc)および可動非晶量(Xma)を求めた。さらに、式(3)より剛直非晶量(Xra)を算出した。なお、剛直非晶量は、温度変調DSCおよびDSCを2回測定し、その平均値より算出した。
Xc(%)=(ΔHm−ΔHc)/ΔHm×100(1)
Xma(%)=ΔCp/ΔCp×100(2)
Xra(%)=100−(Xc+Xma)(3)
ここで、ΔHmおよびΔCpはそれぞれ、結晶性ポリアミドの融解熱量および非晶性ポリアミドのTg前後での比熱差である。
本発明の高熱収縮性ポリアミド複合繊維の熱収縮応力は、繊維構造を形成した際の剛直非晶鎖の拘束力と、熱処理を施した際に発現する可動性をもつ非晶鎖の収縮性に依存する。高熱収縮性ポリアミド複合繊維の剛直非晶量をかかる範囲とすることにより、熱収縮応力を発現させることができる。剛直非晶量を17%以上とすることで、剛直非晶鎖の拘束力が発現し、可動性をもつ非晶鎖の収縮性を損なうことなく、所望の熱収縮応力を得ることができる。また、35%以下とすることで、剛直非晶鎖の拘束力が発現し、可動性をもつ非晶鎖の収縮力を保持することができ、所望の熱収縮応力を得ることができる。剛直非晶量は20〜32%であることがより好ましい。
本発明の高熱収縮性ポリアミド複合繊維は、伸長伸縮率が20〜80%であることが好ましい。ポリアミド複合繊維の伸長伸縮率をかかる範囲とすることにより、十分な捲縮が発現して、良好なストレッチ性を有するふくらみ感のある織物を得ることができる。伸長伸縮率は高くなるほど捲縮性は増すが、シワ抑制のため経糸方向により高い張力をかけた状態で製造することになり、織物のストレッチ性およびふくらみ感を阻害しやすくなるため、伸長伸縮率は20〜70%であることがより好ましい。
本発明の高熱収縮性ポリアミド複合繊維は、総繊度が20〜120dtexであることが好ましい。特に、スポーツウエア、ダウンジャケット、アウター、およびインナー用途として用いる場合は、布帛の強度の観点から、40〜90dtexであることがより好ましい。
本発明の高熱収縮性ポリアミド複合繊維の強伸度は、衣料用途の場合、通常使用される強伸度であればよく、高次加工の観点から伸度25〜50%、強度2.5cN/dtex以上がより好ましい。
ここで、高熱収縮性ポリアミド複合繊維の沸騰水収縮率が25〜50%であることが好ましい。かかる範囲とすることにより、十分な捲縮が発現して、良好なストレッチ性を有するふくらみ感のある織物を得ることができる。
本発明の高熱収縮性ポリアミド複合繊維の溶融紡糸による製造方法について説明する。本発明の高熱収縮性ポリアミド複合繊維の製造方法において、ポリアミド(A)とポリアミド(B)の溶融粘度比(A/B)は0.7〜1.5とすることが好ましい。かかる範囲とすることにより、ポリアミド(A)とポリアミド(B)に収縮差が発現し、捲縮性が高くなるため、織物のふくらみ感は良好となる。
本発明の高熱収縮性ポリアミド複合繊維において、貼合型におけるポリアミド(A)とポリアミド(B)の界面の形状は、特に限定されるものではない。また、偏心芯鞘型においては、芯成分ポリアミドが鞘成分ポリアミドで覆われており、かつ芯成分と鞘成分のポリアミドとの重心間の距離が両成分の重心を結ぶ直線によって切り取られる断面の長さの1/8〜1/2であることが好ましい。また、ポリアミド(A)とポリアミド(B)の複合比率は、ポリアミド(A):ポリアミド(B)=2:1〜1:2(重量比)であることが好ましい。
本発明の高熱収縮性ポリアミド複合繊維を構成するポリアミド(A)において、非晶性ポリアミドの重量比率は10%以上である。かかる範囲とすることにより、高い熱収縮応力を得ることができる。ポリアミド(A)中の非結晶性ポリアミドの重量比率が10%未満の場合、熱収縮応力が小さく、ストレッチ性およびふくらみ感の良好な織物が得られない。また、非晶性ポリアミドの重量比率が高くなるほど熱収縮応力だけでなく沸騰水収縮率も高くなる。そのため、寸法変化が大きくなり、織物の交錯点での目が詰まりやすくなるので、ストレッチ性が阻害される虞がある。織物のストレッチ性の点からポリアミド(A)中、非晶性ポリアミドの重量比率は10〜50%以下であることが好ましく、さらに好ましくは20〜40%である。
ここでいうポリアミド(A)中の非晶性ポリアミドの重量比率とは、ポリアミド(A)高熱収縮性ポリアミド複合繊維のうちポリアミド(A)を分取し、そのプロトンNMRを測定し、アミド結合を形成するカルボキシル基のα位の水素に由来するシグナル(通常3ppm付近)のピーク面積(A)と、芳香族炭化水素に由来するシグナル(通常7ppm付近)のピーク面積(B)から結晶性ポリアミドと非晶性ポリアミドの繰り返し比を求める(A=非晶性ポリアミドの繰り返し数×2+結晶性ポリアミドの繰り返し数×2、B=非晶性ポリアミドの繰り返し数×4)。同じ高熱収縮性ポリアミド複合繊維を構成するポリアミド(A)について、質量分析を行うことで、ポリアミドの繰り返し単位の質量数を測定する。求めた繰り返し比とそれぞれのポリアミドの繰り返し単位の質量数の積から重量比率を算出されるものである。
また、必要に応じて、顔料、熱安定剤、酸化防止剤、耐候剤、難燃剤、可塑剤、離型剤、滑剤、発泡剤、帯電防止剤、成形性改良剤、強化剤等をポリアミド(A)に添加してもよい。
本発明の高熱収縮性ポリアミド複合繊維のポリアミド(A)は、非晶性ポリアミドと結晶性ポリアミドが互いに相溶している相溶系である。相溶性と非相溶性の判断は、3000倍のTEM観察結果において、直径10nm以上の分散相を有する海島の相分離構造が観察されたときは非相溶系、直径10nm以上の分散相を有する海島の相分離構造が観察されなかったときは相溶系と判定した。相溶系においては、非晶性ポリアミドと結晶性ポリアミドとが絡まりあうことにより剛直非晶鎖の拘束力が発現し、可動性をもつ非晶鎖の収縮性を損なうことなく、高い熱収縮応力を得ることができる。一方、非相溶系においては、剛直非晶鎖の拘束力が弱いため、高い熱収縮応力は得られない。
ポリアミド(A)である非晶性ポリアミドチップと結晶性ポリアミドチップを混合する方法には、プレッシャーメルター、単軸エクストルーダーや二軸エクストルーダーを使用する溶融混練法がある。ポリアミド(A)が相溶系を形成し、高い熱収縮応力を得るためには、単軸エクストルーダーを用いることが好ましい。プレッシャーメルターを使用すると、チップ同士は均一に混合されないため、海島の相分離構造を形成し、高い熱収縮応力を得られない。また、二軸エクストルーダーを用いた場合、非晶性ポリアミドと結晶性ポリアミドが反応し過ぎてしまい、剛直非晶量が少なくなり、高い熱収縮応力が得られない。
本発明の高熱収縮性ポリアミド複合繊維の製造プロセスについて、紡糸−延伸工程を連続して行う方法(直接紡糸延伸法)、未延伸糸を一旦巻き取った後に延伸する方法(2工程法)、あるいは紡糸速度を3000m/min以上のように高速として実質的に延伸工程を省略する方法(高速紡糸法)等、いずれの方法においても製造可能であるが、高効率生産、製造コストの面から直接紡糸延伸法、高速紡糸法の一工程法が好ましい。
以下、溶融紡糸の直接紡糸延伸法での製造について例示する。
結晶性ポリアミドの融点より20〜60℃高い温度でポリアミド(A)、ポリアミド(B)をそれぞれ溶融し、貼合型または偏心芯鞘型複合繊維用口金を用いて、口金から吐出する。吐出されたポリアミド複合糸条は、通常の溶融紡糸と同様、冷却、固化され、給油した後に第一ゴデットローラーにて1500〜4000m/minで引き取り、第一ゴデットローラーと第二ゴデットローラー間にて1.0〜3.0倍で延伸を行った後で、3000m/min以上、好ましくは3500〜4500m/minでパッケージに巻き取る。
この際、第一ゴデットローラーと第二ゴデットローラー間の周速度の比率(延伸倍率)や、巻き取り速度(ワインダー速度)を適切に設計することにより、狙いとするポリアミド複合糸条の強伸度を得ることが可能となる。
また、第一ゴデットローラーを加熱ローラーとして熱延伸を施すことで、ポリマーの流動性が高まり、ポリアミド(A)の剛直非晶量が増加し、熱収縮応力が向上する。熱延伸温度は、130〜160℃であることが好ましく、140〜160℃であることがより好ましい。
また、第二ゴデットローラーを加熱ローラーとして熱セットを施すことで、糸条の熱収縮応力を適切に設計することができる。熱セット温度は130〜180℃であることが好ましい。
また、巻き取りまでの工程で公知の交絡装置を用い、交絡を施すことも可能である。必要であれば複数回交絡を付与することで交絡数を上げることも可能である。
さらには、巻き取り直前に、追加で油剤を付与するのも可能である。
本発明の加工糸は、本発明の高熱収縮性ポリアミド複合繊維を少なくとも一部に用いる。加工糸は、公知の方法に従って糸加工することが可能である。糸加工の方法は限定されるものではないが、例示すると、混繊法や仮撚加工法が挙げられる。混繊法としては、エア混繊、合撚、複合仮撚等が適用可能であるが、エア混繊が混繊の制御をし易くまた製造コストも低く好ましい。仮撚加工法としては、繊度や撚り数に応じてピンタイプ、フリクションタイプ及びベルトタイプ等を用いて、仮撚を施すことが好ましい。
本発明の織編物は、本発明の高熱収縮性ポリアミド複合繊維または加工糸を少なくとも一部に用いる。湿熱工程で経糸方向に対して高い張力をかけた場合であっても十分に捲縮を発現することができ、良好なストレッチ性を有するふくらみ感のある織編物を提供できる。
本発明の織編物は、公知の方法に従い製織、製編可能である。また、織編物の組織は限定されるものではない。織物の場合、その組織は、使用される用途によって平組織、綾組織、朱子組織やそれらの変化組織、混合組織のいずれであっても構わないが、織物の地合いがしっかりしたふくらみ感のある織物とするには、拘束点の多い平組織、平組識と石目、ナナコ組識を組み合わせたリップストップ組識が好ましい。編物の場合、その組織は、使用される用途によって丸編地の天竺組織、インターロック組織、経編地のハーフ組織、サテン組織、ジャカード組織やそれらの変化組織、混合組織のいずれであっても構わないが、編地が薄くて安定性が有り、かつ、伸長率にも優れる点からシングルトリコット編地のハーフ組織地などが好ましい。
本発明の織編物の用途は限定されるものでないが、衣料用が好ましく、より好ましくは、ダウンジャケット、ウインドブレイカー、ゴルフウエアー、レインウエアなどに代表されるスポーツ、カジュアルウェアや婦人紳士衣料である。特にスポーツウエア、ダウンジャケットに好適に用いることができる。
次に実施例によって本発明を具体的に説明する。
A.融点
TA Instrument社製Q1000を用いて熱分析を行い、Universal Analysis2000にてデータ処理を実施した。熱分析は窒素流下(50mL/min)で、温度範囲−50〜300℃、昇温速度10℃/min、チップ試料重量約5g(熱量データは測定後重量で規格化)にて測定を実施した。融解ピークから融点を測定した。
B.相対粘度
ポリアミドのチップ試料0.25gを、濃度98質量%の硫酸25mlに対して1g/100mlになるように溶解し、オストワルド型粘度計を用いて25℃での流下時間(T1)を測定した。引き続き、濃度98質量%の硫酸のみの流下時間(T2)を測定した。T2に対するT1の比、すなわちT1/T2を硫酸相対粘度とした。
C.溶融粘度
ポリアミドのチップ試料1.0gを、ダイφ0.5×2.0mm、プランジャ1cm、温度275℃、荷重200Nの条件下で、島津製作所社製フローテスタCFT−500型を用いて測定した。
D.総繊度
JIS L1013に準じた。繊維試料を、1/30(g)の張力で枠周1.125mの検尺機にて200回巻かせを作成する。105℃で60分乾燥しデシケーターに移し、20℃、55%RH環境下で30分放冷し、かせの重量を測定して得られた値から10000m当たりの重量を算出し、公定水分率を4.5%として繊維の総繊度を算出した。測定は4回行い、平均値を総繊度とした。
E.沸騰水収縮率
繊維試料を50cmのループにし、繊度の1/30(g)の初荷重を掛けて長さAを求め、次いでフリーにして沸騰水中に30分間浸漬した後、自然乾燥し、再び繊度の1/30(g)の初荷重を掛けて長さBを求め、次の式で算出するものである。
沸騰水収縮率(%)=〔(A−B)/A〕×100
F.熱収縮応力
カネボウエンジニアリング社製KE−2型熱収縮応力測定機を用い、測定する繊維試料(糸条)を結び周長16cmのループとし、糸条の繊度の1/30gの初荷重を掛け、室温から210℃まで昇温速度100℃/分で温度変化させたときの荷重を測定して、得られた熱応力曲線のピーク値を熱収縮応力とした。
G.伸長伸縮率
繊維試料をかせ取りし、沸騰水に15分浸した後、風乾し、0.002cN/dtexの荷重を掛けて長さAを求め、次いで0.3cN/dtexの荷重を掛けて長さBを求め、次の式で算出するものである。
伸長伸縮率(%)=〔(B−A)/B〕×100
H.剛直非晶量
通常のDSC測定から得られた融解熱量と冷結晶化熱量の差(ΔHm−ΔHc)、温度変調DSC測定から得られた比熱差(ΔCp)を用いて、結晶性ポリアミド含有率を100%と仮定し、式(1)、(2)に基づいて、結晶化度(Xc)および可動非晶量(Xma)を求めた。さらに、式(3)より剛直非晶量(Xra)を算出した。なお、剛直非晶量は、温度変調DSCおよびDSCの2回測定の平均値より算出した。
Xc(%)=(ΔHm−ΔHc)/ΔHm×100(1)
Xma(%)=ΔCp/ΔCp×100(2)
Xra(%)=100−(Xc+Xma)(3)
ここで、ΔHmおよびΔCpはそれぞれ、結晶性ポリアミドの融解熱量および非晶性ポリアミドのTg前後での比熱差である。
また、通常DSCおよび温度変調DSCの測定条件は以下の条件で実施した。
(a)通常DSC
示差走査熱量計(DSC)にTA Instrument社製Q1000を用いて熱分析を行い、Universal Analysis2000にてデータ処理を実施した。熱分析は窒素流下(50mL/min)で、温度範囲−50〜300℃、昇温速度10℃/min、繊維試料重量約5g(熱量データは測定後重量で規格化)にて測定を実施した。
(b)温度変調DSC
示差走査熱量計(DSC)にTA Instrument社製Q1000を用いて熱分析を行い、Universal Analysis2000にてデータ処理を実施した。熱分析は窒素流下(50mL/min)で、温度範囲−50〜270℃、昇温速度2℃/min、温度変調周期60秒、温度変調振幅±1℃、繊維試料重量約5g(熱量データは測定後重量で規格化)にて測定を実施した。
該手法は、加熱と冷却を一定の周期および振幅で繰り返しながら平均的に昇温して測定する方法であり、全体のDSC シグナル(Total Heat Flow:全熱流)を、ガラス転移などの可逆的な成分(Reversing Heat Flow)と、エンタルピー緩和、硬化反応、脱溶媒などの不可逆的な成分(Nonreversing Heat Flow)とに分離できる。ただし結晶の融解ピークは、可逆成分と、不可逆成分のどちらにも現れる。
I.非晶性ポリアミド、結晶性ポリアミドの重量比率
(a)NMR測定
核磁気共鳴分光法(H−NMR)を用いテトラメチルシラン(TMS)を内部標準物質(0ppm)として測定した。アミド結合を形成するカルボキシル基のα位の水素に由来するシグナル(通常3ppm付近)のピーク面積(A)と、芳香族炭化水素に由来するシグナル(通常7ppm付近)のピーク面積(B)から非晶性ポリアミドと結晶性ポリアミドの繰り返し比を求める(A=非晶性ポリアミドの繰り返し数×2+結晶性ポリアミドの繰り返し数×2、B=非晶性ポリアミドの繰り返し数×4)。
(b)質量分析
マトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析(MALDI−MS)、飛行時間型質量分析法(TOF−MS)、飛行時間型マトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析(MALDI−TOF−MS)を用い、非晶性ポリアミド、結晶性ポリアミドの繰り返し単位の質量数を決定した。
(c)重量比率
非晶性ポリアミドの重量比率(%)=(A/2−B/4)×(非晶性ポリアミドの質量数)
結晶性ポリアミドの重量比率(%)=(A/2)×(結晶性ポリアミドの質量数)。
J.相溶性
繊維糸条をRuO蒸気に曝し、糸と包埋樹脂との境界を明確にするためのコートをする。その後、樹脂に包埋し、薄切片を製作、リンタングステン酸(PTA)水溶液で15min染色する。以上のようにして得られた観察対象物を、透過型電子顕微鏡(日立製作所社製H−7100)を用い、加圧電圧100kVで薄切片を観察した。観察倍率は3000倍で繊維横断面を観察した。TEM観察結果において、直径10nm以上の分散相を有する海島の相分離構造が観察されたときは非相溶系(×)、直径10nm以上の分散相を有する海島の相分離構造が観察されなかったときは相溶系(○)と判定した。
K.強度および伸度
繊維試料をオリエンテック社製TENSILON(登録商標)、UCT−100でJIS L1013(化学繊維フィラメント糸試験方法、2010年)に示される定速伸長条件で測定した。伸度は、引張強さ−伸び曲線における最大強力を示した点の伸びから求めた。また、強度は、最大強力を繊度で除した値を強度とした。測定は10回行い、平均値を強度および伸度とした。
L.加工糸の製造
(a)ナイロン6糸条の製造
ポリカプロラクタム(N6)(相対粘度2.70、融点222℃)を使用し、口金吐出孔を60個有する紡糸口金を用いて、275℃で溶融吐出した。溶融吐出させた後、口金から吐出された糸条は、糸条冷却装置で糸条を冷却固化し、給油装置により非含水油剤を給油後、流体交絡ノズル装置で交絡を付与した後、第一ゴデッドローラー(延伸温度:室温)で引き取り、加熱第二ゴデッドローラー(熱セット温度:155℃)間で1.7倍に延伸を行った後で、巻取速度4000m/minでパッケージに巻き取りをおこない、80dtex60フィラメントのナイロン6糸条を得た。なお、得られたナイロン6糸条は、強度4.0cN/dtex、伸度59%、沸騰水収縮率10%、熱収縮応力0.09cN/dtexであった。
(b)加工糸の製造
上記(a)で得られたナイロン6糸条と実施例1〜7および比較例1〜7で得られたポリアミド複合糸条を、インターレース加工機を用いて、交絡圧2.0kg/cmの交絡処理を施して混繊加工を行い、150dtexの加工糸を得た。
M.織物評価
(a)緯糸の製造
ポリカプロラクタム(N6)(相対粘度2.70、融点222℃)を使用し、口金吐出孔を12個有する紡糸口金を用いて、275℃で溶融吐出させた。溶融吐出させた後、糸条を冷却、給油、交絡した後に2560m/minのゴデッドローラーで引き取り、続いて1.7倍に延伸した後に155℃で熱固定し、巻取速度4000m/minで70dtex12フィラメントのナイロン6糸条を得た。
(b)織物の製造
実施例1〜7および比較例1〜7で得られたポリアミド複合糸条を経糸(経糸密度90本/2.54cm)として用い、上記(a)で得られたナイロン6糸条を緯糸(緯糸密度90本/2.54cm)に用い、平織物(経糸/複合繊維)を製織した(目付け40g/cm)。
また、実施例1〜7および比較例1〜7で得られたポリアミド複合糸条を含む加工糸を経糸(経糸密度90本/2.54cm)として用い、上記(a)で得られたナイロン6糸条を緯糸(緯糸密度90本/2.54cm)に用い、平織物(経糸/加工糸)を製織した(目付け40g/cm)。
得られた織物を80℃で20分精練を行い、続いてKayanol Yellow N5G 1%owf、酢酸を用いてpH4に調整し、100℃で30分間染色を行い、その後、80℃で20分間Fix処理を行い、最後に風合いの改良のため170℃で30秒間熱処理を行った。
(c)織物の経糸方向の伸長率(ストレッチ性)
引張試験機を用いて、幅50mm×300mmの織物試料を、つかみ間隔200mmで織物の経糸方向に対して引張速度200mm/分、14.7Nまで伸長したときの伸長率を測定し、以下の5段階で評価した。3点以上をストレッチ性ありとした。
5点:25%以上
4点:20%以上25%未満
3点:15%以上20%未満
2点:10%以上15%未満
1点:10%未満
(d)織物のふくらみ感の評価
熟練技術者(5名)の触感により織物のふくらみ感について、以下の5段階で評価し、各技術者の評価点の平均値の小数点一桁を四捨五入した。3点以上をふくらみ感ありとした。
5点:非常に優れる
4点:優れる
3点:やや優れる
2点:やや劣る
1点:劣る
[実施例1]
非晶性ポリアミドとしてイソフタル酸(6I)/テレフタル酸(6T)/ヘキサメチレンジアミンの重縮合体でイソフタル酸/テレフタル酸の共重合比率が7/3の共重合体と結晶性ポリアミドとしてポリカプロラクタム(N6)(相対粘度ηr:2.70、融点222℃)を、重量比率が30/70となるように混合したポリアミドをポリアミド(A)とした。結晶性ポリアミドとしてポリカプロラクタム(N6)(相対粘度ηr:2.63、融点222℃)をポリアミド(B)とした。ポリアミド(A)のチップ、ポリアミド(B)のチップをそれぞれ単軸エクストルーダーを使用して275℃で溶融し、貼合型複合糸用口金(12孔、丸孔)を用いて、ポリアミド(A)とポリアミド(B)の複合比率をポリアミド(A):ポリアミド(B)=1:1で溶融吐出した(紡糸温度275℃)。ポリアミド(A)/ポリアミド(B)の溶融粘度比は1.25であった。
口金から吐出された糸条は、糸条冷却装置で糸条を冷却固化し、給油装置により非含水油剤を給油後、流体交絡ノズル装置で交絡を付与した後、加熱第一ゴデッドローラー(延伸温度:140℃)で引き取り、加熱第二ゴデットローラー(熱セット温度:150℃)間で2.4倍に延伸を行った後で、巻取速度4000m/minでパッケージに巻き取りをおこない、70dtex12フィラメントのポリアミド複合糸条を得た。
[実施例2]
非晶性ポリアミドとしてイソフタル酸(6I)/テレフタル酸(6T)/ヘキサメチレンジアミンの重縮合体でイソフタル酸/テレフタル酸の共重合比率が7/3の共重合体と結晶性ポリアミドとしてポリカプロラクタム(N6)(相対粘度ηr:2.70、融点222℃)を、重量比率が30/70となるように混合したポリアミド(A)を芯成分とした。結晶性ポリアミドとしてポリカプロラクタム(N6)(相対粘度ηr:2.63、融点222℃)を鞘成分とした。偏心芯鞘型複合用口金(12孔、丸孔)を用い、芯成分であるポリアミド(A)が鞘成分であるポリアミド(B)で覆われており、かつ芯成分と鞘成分のポリアミドの重心間距離が両成分の重心を結ぶ直線によって切り取られる断面の長さの1/4とした以外は、実施例1と同様に紡糸し、70dtex12フィラメントのポリアミド複合糸条を得た。
[実施例3]
結晶性ポリアミドとしてポリヘキサメチレンセバシミド(N610)(相対粘度2.66、融点218℃)をポリアミド(B)とした。ポリアミド(A)は実施例1と同様とし、ポリアミド(A)/ポリアミド(B)の溶融粘度比は1.15であった。また、加熱第一ゴデッドローラー(延伸温度:140℃)で引き取り、加熱第二ゴデットローラー(熱セット温度:150℃)間で2.7倍に延伸を行った以外は、実施例1と同様に紡糸し、70dtex12フィラメントのポリアミド複合糸条を得た。
[実施例4]
非晶性ポリアミドとしてテレフタル酸(6T)/2、2、4−トリメチルヘキサメチレンジアミンの重縮合体と結晶性ポリアミドとしてポリカプロラクタム(N6)(相対粘度ηr:2.70、融点222℃)をポリアミド(A)とした。ポリアミド(B)は実施例1と同様とし、ポリアミド(A)/ポリアミド(B)の溶融粘度比は1.20であった。また、加熱第一ゴデッドローラー(延伸温度:130℃)で引き取った以外は、実施例1と同様に紡糸し、70dtex12フィラメントのポリアミド糸条を得た。
[実施例5]
非晶性ポリアミドと結晶性ポリアミドの重量比率が10/90となるように混合したポリアミドをポリアミド(A)とした。ポリアミド(A)/ポリアミド(B)の溶融粘度比は1.15であった。非加熱第一ゴデッドローラー(延伸温度:140℃)で引き取ったこと以外は、実施例1と同様に紡糸し、70dtex12フィラメントのポリアミド複合糸条を得た。
[実施例6]
非晶性ポリアミドと結晶性ポリアミドの重量比率が50/50となるように混合したポリアミドをポリアミド(A)とした。ポリアミド(A)/ポリアミド(B)の溶融粘度比は1.30であった。加熱第一ゴデッドローラー(延伸温度:140℃)で引き取ったこと以外は、実施例1と同様に紡糸し、70dtex12フィラメントのポリアミド複合糸条を得た。
[実施例7]
非晶性ポリアミドと結晶性ポリアミドの重量比率が60/40となるように混合したポリアミドをポリアミド(A)とした。ポリアミド(A)/ポリアミド(B)の溶融粘度比は1.35であった。加熱第一ゴデッドローラー(延伸温度:140℃)で引き取ったこと以外は、実施例1と同様に紡糸し、70dtex12フィラメントのポリアミド複合糸条を得た。
[比較例1]
非結晶性ポリアミドとしてイソフタル酸(6I)/テレフタル酸(6T)/ヘキサメチレンジアミンの重縮合体でイソフタル酸/テレフタル酸の共重合比率が7/3の共重合体と結晶性ポリアミドとしてポリカプロラクタム(N6)(相対粘度ηr:2.70、融点222℃)を、重量比率が30/70となるように混合したポリアミドをポリアミド(A)とした。ポリアミド(A)のチップをプレッシャーメルターを使用して275℃で溶融した以外は、実施例1と同様に紡糸し、70dtex12フィラメントのポリアミド複合糸条を得た。
[比較例2]
非結晶性ポリアミドとしてイソフタル酸(6I)/テレフタル酸(6T)/ヘキサメチレンジアミンの重縮合体でイソフタル酸/テレフタル酸の共重合比率が7/3の共重合体と結晶性ポリアミドとしてポリカプロラクタム(N6)(相対粘度ηr:2.70、融点222℃)を、重量比率が30/70となるように混合したポリアミドをポリアミド(A)とした。ポリアミド(A)のチップを二軸エクストルーダーを使用して275℃で溶融した以外は、実施例1と同様に紡糸し、70dtex12フィラメントのポリアミド複合糸条を得た。
[比較例3]
ポリアミド(A)を結晶性ポリアミドのみのポリヘキサメチレンセバシミド(N610)(相対粘度2.66、融点218℃)とした。ポリアミド(A)/ポリアミド(B)の溶融粘度比は1.10であった。また、加熱第一ゴデッドローラー(延伸温度:140℃)で引き取り、加熱第二ゴデットローラー(熱セット温度:170℃)間で2.7倍に延伸を行った以外は、実施例1と同様に紡糸し、70dtex12フィラメントのポリアミド複合糸条を得た。
[比較例4]
非晶性ポリアミドと結晶性ポリアミドの重量比率が5/95となるように混合したポリアミドをポリアミド(A)とした。ポリアミド(A)/ポリアミド(B)の溶融粘度比は1.05であった。非加熱第一ゴデッドローラー(延伸温度:140℃)で引き取ったこと以外は、実施例1と同様に紡糸し、70dtex12フィラメントのポリアミド複合糸条を得た。
[比較例5]
非晶性ポリアミドと結晶性ポリアミドの重量比率が30/70となるように混合したポリアミドをポリアミド(A)とし、第一ゴデッドローラー(延伸温度:室温)で引き取ったこと以外、実施例1と同様に紡糸し、70dtex12フィラメントのポリアミド複合糸条を得た。
[比較例6]
非晶性ポリアミドと結晶性ポリアミドの重量比率が30/70となるように混合したポリアミドをポリアミド(A)とし、第一ゴデッドローラー(延伸温度:80℃)で引き取ったこと以外、実施例1と同様に紡糸し、70dtex12フィラメントのポリアミド複合糸条を得た。
[比較例7]
結晶性ポリアミドとしてポリカプロラクタム(N6)(相対粘度ηr:2.40、融点222℃)をポリアミド(B)とした。ポリアミド(A)は実施例1と同様とし、ポリアミド(A)/ポリアミド(B)の溶融粘度比は1.40であった。また、第一ゴデッドローラー(延伸温度:80℃)で引き取ったこと以外は、実施例1と同様に紡糸し、70dtex12フィラメントのポリアミド複合糸条を得た。
Figure 2017221713
Figure 2017221713
表2の結果から明らかなように、本発明の実施例1〜7のポリアミド複合糸条または加工糸を経糸に用いた織物では、経糸方向に高い張力をかけた状態で湿熱・乾熱しても、織物拘束力に勝る応力で収縮するため、捲縮性を十分に発現することができ、良好なストレッチ性およびふくらみ感が得られた。
比較例1は、ポリアミド(A)の非晶性ポリアミドチップと結晶性ポリアミドチップとをプレッシャーメルターを使用して溶融したため、ポリアミド(A)が非相溶系となり、熱収縮応力が0.15cN/dtex未満であり、剛直非晶量、経糸方向に高い張力をかけた状態で湿熱・乾熱しても、織物拘束力が勝るので、捲縮性を十分に発現することができず、ストレッチ性およびふくらみ感が得られなかった。
比較例2は、ポリアミド(A)の非晶性ポリアミドチップと結晶性ポリアミドチップとを二軸エクストルーダーを使用して溶融したため、熱収縮応力が0.15cN/dtex未満であり、剛直非晶量が低くなり、経糸方向に高い張力をかけた状態で湿熱・乾熱しても、織物拘束力が勝るので、捲縮性を十分に発現することができず、ストレッチ性およびふくらみ感が得られなかった。
比較例3は、ポリアミド(A)のポリアミドが結晶性ポリアミドのみであるため、熱収縮応力が0.15cN/dtex未満であり、剛直非晶量が低くなり、経糸方向に高い張力をかけた状態で湿熱・乾熱しても、織物拘束力が勝るので、捲縮性を十分に発現することができず、ストレッチ性およびふくらみ感が得られなかった。
比較例4は、ポリアミド(A)の非晶性ポリアミドの重量比率が低いため、熱収縮応力が0.15cN/dtex未満であり、剛直非晶量が低くなり、熱収縮応力が低く、経糸方向に高い張力をかけた状態で湿熱・乾熱しても、織物拘束力が勝るので、捲縮性を十分に発現することができず、ストレッチ性およびふくらみ感が得られなかった。
比較例5、6、および7は、延伸温度が低いため、熱収縮応力が0.15cN/dtex未満であり、剛直非晶量が低くなり、経糸方向に高い張力をかけた状態で湿熱・乾熱しても、織物拘束力が勝るので、捲縮性を十分に発現することができず、ストレッチ性およびふくらみ感が得られなかった。

Claims (6)

  1. 組成が互いに異なる2種のポリアミド(A)およびポリアミド(B)からなる貼合型または偏心芯鞘型複合繊維において、ポリアミド(A)が非晶性ポリアミドを含有し、かつポリアミド(B)が結晶性ポリアミドであり、複合繊維の熱収縮応力が0.15cN/dtex以上であることを特徴とする高熱収縮性ポリアミド複合繊維。
  2. 非晶性ポリアミドが、イソフタル酸/テレフタル酸/ヘキサメチレンジアミンの重縮合体であることを特徴とする請求項1記載の高熱収縮性ポリアミド複合繊維。
  3. 複合繊維の剛直非晶量が17〜35%であることを特徴とする請求項1または2に記載の高熱収縮性ポリアミド複合繊維。
  4. 複合繊維の伸長伸縮率が20〜80%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の高熱収縮性ポリアミド複合繊維。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の高熱収縮性ポリアミド複合繊維からなるポリアミド加工糸。
  6. 請求項1〜4のいずれかに記載の高熱収縮性ポリアミド複合繊維または請求項5記載のポリアミド加工糸を少なくとも一部に含むことを特徴とする織編物。
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