JP7189667B2 - ストレッチ性布帛の製造方法 - Google Patents
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(a) 3.0(%)≦A1≦20.0(%)
(b) 100(mg/dtex)≦A2≦200(mg/dtex)
(c) 2.8(cN/dtex)≦原糸強度≦4.2(cN/dtex)
(1)潜在捲縮率(A1)は、下式(I)により計算した値である。
A1=A3-A4-A5 ・・・(I)
(2)熱応力(A2)
(3)荷重下収縮率(A3)
500mmの糸を往復させてカセ巻を作成し、荷重1(デシテックス×0.9×0.1g)を吊り下げて試料長を測定した(L0)。同様に500mmの糸を往復させてカセ巻を作成し、荷重2(デシテックス×0.9×1.2mg)を吊り下げて15分間、98℃の熱水中に浸漬させ、風乾させた後の試料長(L1)を測定し、荷重下収縮率(A3)=(L0-L1)×100/L0を算出した。
(4)顕在捲縮率(A4)
500mmの糸を往復させてカセ巻を作成し、荷重1を吊り下げて試料長を測定した(L0)。同様に500mmの糸を往復させてカセ巻を作成し、荷重2を吊り下げたまま30分後の試料長(L2)を測定した。これらL0とL1の値から顕在捲縮率(A4)=(L0 -L2)×100/L0を算出した。
(5)直線収縮率(A5)
荷重下収縮率(A3)の測定に用いたサンプルに荷重3(デシテックス×0.9×0.35g)の荷重を追加し30秒後の試料長(L3)を測定し、直線収縮率(A5)=(L0-L3)×100/L0を算出した。
また、本発明により規定した収縮性の異なる2種類のポリエステル系樹脂がサイドバイサイド型に貼り合されている複合繊維を配することにより、熱処理後、ポリエステル系立体捲縮糸を配する生地となり、その熱処理後の生地は、ヒートセット加工性が良好で、よって、ヒートセット加工した後、優れたストレッチ性と膨らみと強度のあるストレッチ性布帛を得ることができる。
また、本発明により、仮撚加工糸の使用量を減らすことができるので、工程削除、コスト削減が可能となる。また、上記熱処理は、生地製造における通常工程である染色工程等であり、よって、本発明は、新たな工程を追加することなく、ストレッチ性布帛を得ることができる。
本発明において、「布帛」は、熱処理前の生地を、「ストレッチ性布帛」は、熱処理後ヒートセットしたストレッチ性のある生地をいう。
(a) 3.0(%)≦A1≦20.0(%)
(b) 100(mg/dtex)≦A2≦200(mg/dtex)
(c) 2.8(cN/dtex)≦原糸強度≦4.2(cN/dtex)
(1)潜在捲縮率(A1)は、下式(I)により計算した値である。
A1=A3-A4-A5 ・・・(I)
(2)熱応力(A2)
(3)荷重下収縮率(A3)
500mmの糸を往復させてカセ巻を作成し、荷重1(デシテックス×0.9×0.1g)を吊り下げて試料長を測定した(L0)。同様に500mmの糸を往復させてカセ巻を作成し、荷重2(デシテックス×0.9×1.2mg)を吊り下げて15分間、98℃の熱水中に浸漬させ、風乾させた後の試料長(L1)を測定し、荷重下収縮率(A3)=(L0-L1)×100/L0を算出した。
(4)顕在捲縮率(A4)
500mmの糸を往復させてカセ巻を作成し、荷重1を吊り下げて試料長を測定した(L0)。同様に500mmの糸を往復させてカセ巻を作成し、荷重2を吊り下げたまま30分後の試料長(L2)を測定した。これらL0とL1の値から顕在捲縮率(A4)=(L0 -L2)×100/L0を算出した。
(5)直線収縮率(A5)
荷重下収縮率(A3)の測定に用いたサンプルに荷重3(デシテックス×0.9×0.35g)の荷重を追加し30秒後の試料長(L3)を測定し、直線収縮率(A5)=(L0-L3)×100/L0を算出した。
潜在捲縮率が20.0%を超えるサイドバイサイド型複合繊維を使用した布帛は収縮性が強すぎるため、熱処理した後の生地の幅が著しく狭くなる傾向にあり、また、潜在捲縮率が3.0%未満のサイドバイサイド型複合繊維を使用した布帛はほとんどストレッチ性がないものになる傾向にある。
熱応力が200mg/dtexを超えるとサイドバイサイド型複合繊維を使用した布帛を染色加工するときに幅が入りすぎるため、シボ立ち欠点や糸切れが発生する傾向にあり、100mg/dtex未満になるとストレッチ性に乏しいものとなる傾向にある。
中でも、ポリエチレンテレフタレートと高収縮共重合ポリエステルの組み合わせが好ましい。
中でも、2,2ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン及び/又はイソフタル酸を共重合したポリエステルを用いることが好ましい。この場合、両成分の共重合比率は、2,2ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパンはアルコール成分中に2~6mol%、イソフタル酸は酸成分中に4~8mol%とすることが好ましい。
また、高収縮共重合ポリエステルの主成分はテレフタル酸とエチレングリコールよりなるポリエステルが好ましく、更に、その他の成分として染色性改善のモノマーや耐熱性改良の化合物等を含有していてもよい。
また、本発明において、サイドバイサイド型には、その変形接合形態として、偏心芯鞘型を含むものである。
その中で、単糸繊度は0.5~4.0dtexであることが好ましく、中でも0.8~3.0dtexとすることがより好ましい。単糸繊度が0.5dtex未満であると、捲縮性能が発現しにくく、十分なストレッチ性能を得ることができない。一方、単糸繊度が4.0dtexを超えると、糸が縮みすぎてソフトな風合いが出にくくなる。
この布帛を、常法により、染色加工等の熱処理を行うことで、サイドバイサイド型複合繊維からなる潜在捲縮糸(マルチフィラメント)が熱処理により収縮し、コイル状の形態を有するポリエステル立体捲縮糸となる。
収縮率が3%未満であるとストレッチ性が乏しい生地になり、また収縮率が35%を超えるとヒートセット加工時に幅出しが出来にくくなる。
本発明に係る熱処理後の生地は、ヒートセット加工が良好で、よって、優れたストレッチ性、ストレッチバック性と、膨らみ、強度があるストレッチ性布帛を得ることができる。
伸長率が3%未満であると一定荷重がかかったときに生地の伸び(ストレッチ性)が悪くなり、伸長率が60%を超えると生地に適度なハリ感がなくなる。
引張強度が150N未満であると、生地が破れやすくなり使用できない。
伸長回復率が70%未満であると一定荷重がかかったときに生地の戻りが悪くなり(ストレッチバック性)、膨らみ感やソフトな風合いが損なわれる傾向にある。
なお、評価項目に使用した特性値は下記の測定方法による。
JIS L1013に準じて測定した。
潜在捲縮率は、下式により計算した値である。
潜在捲縮率(%)=荷重下収縮率(%)-顕在捲縮率(%)-直線収縮率(%)
熱応力測定機(カネボウエンジニアリング(株)製)を用いて熱を付与したときの最大収縮応力(g/デシテックス)を測定した。
JIS L1096 8.39 B法(沸騰水浸漬法)に準じて測定した。
生地をヒートセッターに通したときに規程幅で加工できたかどうかを評価した。
〇:生地幅(セット幅)が1200mmで加工できるもの
×:生地幅(セット幅)が1200mmで加工できないもの
JIS L1096 8.16.1 D法(編物の定荷重法)に準じて測定した。
※Ep=(L1-L)/L ×100
※Ep=定荷重時の伸び率(%)、L=元の印間の長さ(mm)、L1=一定荷重を加え1min後の印間の長さ(mm)
・「ストレッチ性布帛伸長回復率(伸長弾性率)」の測定法
※JIS L1096 8.16.2 D法(繰返し伸長法)に準じて測定した。
※Ee=(Ln-Ln´)/Ln ×100
※Ee=定伸長時伸長弾性率(%)、Ln=一定伸び(mm)、Ln´=残留伸び(mm)
JIS L1096 8.14 A法(ストリップ法)に準じて測定した。
○:タテ方向およびヨコ方法の引張強度が150N以上
×:タテ方向およびヨコ方法の引張強度が150Nに満たない
JIS L1096 8.16 B-1法(定荷重法)にて初荷重を加えたときの生地厚み(S)と定荷重を加えたときの生地厚み(T)を測定して評価した。
○:生地厚みが1.00mm以上
×:生地厚みが1.00mmに未満
熱収縮性の大きなポリエステル系樹脂(q)として、テレフタル酸を主成分として酸成分に対しイソフタル酸を5モル%、エチレングリコールを主成分としてグリコール成分に対し2,2-ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパンを5モル%共重合したポリエステル(粘度:0.686)を、熱収縮特性の小さなポリエステル系樹脂を(p)として、ポリエチレンテレフタレート(粘度:0.64)を、50:50の質量比率で複合紡糸装置を用いて、44dtex/12fのサイドバイサイド型複合マルチフィラメント(繭断面)を紡出した。
得られたサイドバイサイド型複合マルチフィラメントと220dtex/72fのポリエチレンテレフタレート仮撚加工糸(セミダル:チタン分0.4重量%)とを20ゲージの丸編機を用いて編立を行い、布帛(丸編物生地)を得た。なお、丸編組織はモックロディ(ダブルジャージ)であり、表糸およびつなぎ糸には220dtex/72fのポリエチレンテレフタレート仮撚加工糸(セミダル:チタン分0.4重量%)、裏糸には44dtex/12fのサイドバイサイド型複合マルチフィラメントを用いた。
(サイドバイサイド型複合マルチフィラメントの混率=9重量%)
得られた丸編物生地を用い、常法に従って染色加工を行い、次に、ヒートセット加工を行い、本発明のストレッチ性布帛を得た。
丸編組織の表糸には330dtex/96fのポリエチレンテレフタレート仮撚加工糸(セミダル:チタン分0.4重量%)、つなぎ糸には84dtex/24fのサイドバイサイド型複合マルチフィラメント、裏糸には44dtex/12fのサイドバイサイド型複合マルチフィラメントを用いた以外は実施例1と同様にした。
(サイドバイサイド型複合マルチフィラメントの混率=28重量%)
丸編組織の表糸には167dtex/48fのポリエチレンテレフタレート仮撚加工糸(セミダル:チタン分0.4重量%)、つなぎ糸には220dtex/48fのサイドバイサイド型複合マルチフィラメント、裏糸には130dtex/24fのサイドバイサイド型複合マルチフィラメントを用いた以外は実施例1と同様にした。
(サイドバイサイド型複合マルチフィラメントの混率=68重量%)
丸編組織の表糸には84dtex/36f仮撚加工糸(セミダル:チタン分0.4重量%)、つなぎ糸および裏糸には220dtex/48fのサイドバイサイド型複合マルチフィラメントを用いた以外は実施例1と同様にした。
(サイドバイサイド型複合マルチフィラメントの混率=84重量%)
熱収縮特性の小さなポリエステル系樹脂(p)を、低粘度ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート)(粘度:0.47)へ変更した以外は実施例3と同様にした。
熱収縮特性の大きなポリエステル系樹脂(q)を、高粘度ポリエステル(粘度:0.700)に変更した以外は比較例2と同様にした。
[実施例1~3]
実施例1の丸編物生地は、共重合ポリエステルと低収縮ポリエステルとのポリマー構成のサイドバイサイド型複合マルチフィラメントの潜在捲縮率=6%、熱応力=110cN/dtex、原糸強度=4.0cN/dtexで、前記サイドバイサイド複合マルチフィラメントの丸編物生地中の混率が9質量%であり、染色加工時の生地収縮率が制限されて、その後工程のセット加工性および生地膨らみ感が良好であり、ストレッチ性とストレッチバック性に優れたストレッチ性布帛であった。
実施例2と実施例3の丸編物生地も同様に、染色時の生地収縮率が制限されてその後の工程のセット加工性および生地膨らみ感が良好であり、ストレッチ性とストレッチバック性に優れたストレッチ性布帛であった。
サイドバイサイド型複合マルチフィラメントの布帛中の混率が84質量%のとき染色加工時の生地収縮率が大きくなり、その後工程のセット加工時に幅出しが出来にくく、無理して引っ張ればセット加工できたもののセット後の生地は膨らみ感がなく、またストレッチ性に乏しいものとなった。
セット後の生地は、ストレッチ性、膨らみはあったが、目標とする生地強度にならなかった。
染色加工時の生地収縮率が大きく、その後工程のセット加工時に幅出しが出来にくくなり、無理して引っ張ればセット加工できたものの、セット後の生地は、目標とする生地強度にならなかった。
Claims (4)
- 収縮性の異なる2種のポリエステル系樹脂がサイドバイサイド型に貼り合されている立体捲縮糸を用いてなる、伸長率が3~60%および引張強度が150N以上であるストレッチ性布帛の製造方法において、下記(a)、(b)、(c)の値を同時に満足する複合繊維を80重量%以下の混率で用いて編物を製編した後、熱処理することにより、前記複合繊維を熱収縮させて前記立体捲縮糸とする工程を含むことを特徴とするストレッチ性布帛の製造方法。
(a) 3.0(%)≦A1≦20.0(%)
(b) 100(mg/dtex)≦A2≦200(mg/dtex)
(c) 2.8(cN/dtex)≦原糸強度≦4.2(cN/dtex)
(1)潜在捲縮率(A1)は、下式(I)により計算した値である。
A1=A3-A4-A5 ・・・(I)
(2)熱応力(A2)
(3)荷重下収縮率(A3)
500mmの糸を往復させてカセ巻を作成し、荷重1(デシテックス×0.9×0.1g)を吊り下げて試料長を測定した(L0)。同様に500mmの糸を往復させてカセ巻を作成し、荷重2(デシテックス×0.9×1.2mg)を吊り下げて15分間、98℃の熱水中に浸漬させ、風乾させた後の試料長(L1)を測定し、荷重下収縮率(A3)=(L0-L1)×100/L0を算出した。
(4)顕在捲縮率(A4)
500mmの糸を往復させてカセ巻を作成し、荷重1を吊り下げて試料長を測定した(L0)。同様に500mmの糸を往復させてカセ巻を作成し、荷重2を吊り下げたまま30分後の試料長(L2)を測定した。これらL0とL1の値から顕在捲縮率(A4)=(L0 -L2)×100/L0を算出した。
(5)直線収縮率(A5)
荷重下収縮率(A3)の測定に用いたサンプルに荷重3(デシテックス×0.9×0.35g)の荷重を追加し30秒後の試料長(L3)を測定し、直線収縮率(A5)=(L0-L3)×100/L0を算出した。 - 前記立体捲縮糸の収縮性の大なるポリエステル系樹脂が、2,2ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン及び/又はイソフタル酸を第三成分とする共重合ポリエステル系樹脂であり、収縮性の小なるポリエステル系樹脂がポリエチレンテレフタレートであることを特徴とする請求項1記載のストレッチ性布帛の製造方法。
- 前記ストレッチ性布帛の編組織がトリコット、ラッセル、天竺またはダブルジャージからなることを特徴とする請求項1又は2記載のストレッチ性布帛の製造方法。
- 車両用内装材用の請求項1~3記載いずれか1項に記載のストレッチ性布帛の製造方法。
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JP2016191171A (ja) | 2015-03-31 | 2016-11-10 | Kbセーレン株式会社 | 難燃性車両資材用布帛 |
WO2016190202A1 (ja) | 2015-05-27 | 2016-12-01 | 東レ株式会社 | 筒状織物構造体 |
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---|---|---|---|---|
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