JPWO2017217519A1 - 化粧材及び化粧材の製造方法 - Google Patents

化粧材及び化粧材の製造方法 Download PDF

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Abstract

床鳴りの発生が抑制された床材や軋み音の発生が抑制された壁や天井のパネル材としての化粧材を提供する。
発泡樹脂層と非発泡樹脂層とを備え、平面視多角形状の化粧材であって、上記多角形の少なくとも一の辺の前記非発泡樹脂層に雄実部と、上記多角形の少なくとも他の一の辺の上記非発泡樹脂層に上記雄実部を嵌め入れ可能な雌実部とを備え、一の上記化粧材の雄実部と他の上記化粧材の雌実部とを上記一の化粧材の上記発泡樹脂層と、上記他の化粧材の発泡樹脂層とが接触しない状態で嵌め入れ可能であることを特徴とする化粧材。

Description

本発明は、化粧材及び化粧材の製造方法に関する。
従来、内装用化粧材は、合板、木質繊維板の単体、複合基材等の木質基材上に、化粧シート、化粧紙、突き板等の表面化粧材が貼り合わされたものが一般的に使用されてきた。
これらの内装用化粧材は、断熱性能が低い為に、冬場等の気温が低い場合に、手や足で接触した際に冷たく感じるという問題がある。
また、夏場や冬場において、室内でエアコン等の冷房や暖房を使用する際に、室内表面を目的温度まで冷却したり、加温したりするのに多大なエネルギーを必要とし、電気代が高くなるという問題がある。
上記問題を改善するために、樹脂架橋発泡体と表皮材と補強材とが積層された積層シートからなる建材や(例えば、特許文献1参照)、化粧材と略等形等大の基板を、化粧材の長手方向及び長手方向と直交する方向にずらせて突出部を形成しながら、上記化粧材の裏面に接着する化粧床材の製造方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、特許文献1に記載の建材は、樹脂架橋発泡体の耐衝撃性が低く、耐傷性が充分でないという問題がある。また、建材の側面に実を設けたり、面取り加工をしたりする際に、樹脂架橋発泡体を切削加工すると、当該樹脂架橋発泡体が切削刃に溶着してしまい、切削加工が困難であるという問題がある。更に、上記建材を、床材として床面に施工した場合には、床面上を歩行することによって、隣接する他の床材との間で、実の嵌合部において樹脂架橋発泡体同士が擦れ合い、床鳴りが発生してしまうし、上記建材を壁や天井のパネル材として用いた場合においても、室内の空気の流れや物や人との接触等で床材と同様に実の嵌合部において樹脂架橋発泡体同士が擦れ合い、床鳴りと同様の音(軋み音)が発生するという問題がある。
また、特許文献2の製造方法により製造される化粧床材は、断熱性、床鳴りの抑制等の床材としての性能を充分に発揮するための構成が充分に検討されておらず、これらの性能が充分でないという問題がある。
特開2008−196213号公報 特公平7−96209号公報
本発明は、床鳴りや軋み音の発生が抑制された化粧材、及び、該化粧材の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上述した課題を解決するため鋭意検討した結果、発泡樹脂層と非発泡樹脂層とを有する化粧材において、実加工を非発泡樹脂層に施して雄実部と雌実部とをそれぞれ形成し、一の化粧材と他の化粧材とを雄実部と雌実部とを嵌め入れることで、床材としての床鳴りの発生や壁や天井のパネル材としての軋み音の発生を抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、発泡樹脂層と非発泡樹脂層とを備え、平面視多角形状の化粧材であって、上記多角形の少なくとも一の辺の前記非発泡樹脂層に雄実部と、上記多角形の少なくとも他の一の辺の上記非発泡樹脂層に上記雄実部を嵌め入れ可能な雌実部とを備え、一の上記化粧材の雄実部と他の上記化粧材の雌実部とを上記一の化粧材の上記発泡樹脂層と、上記他の化粧材の発泡樹脂層とが接触しない状態で嵌め入れ可能であることを特徴とする化粧材である。
本発明の化粧材において、一の上記化粧材の雄実部と他の上記化粧材の雌実部とを嵌め入れたときに、上記一の化粧材の上記発泡樹脂層と、上記他の化粧材の発泡樹脂層とが10mm以下の隙間を備えた状態で嵌め入れされていることが好ましい。
また、本発明の化粧材は、上記雄実部の下方の発泡樹脂層の側面が、上記雄実部を有する非発泡樹脂層の側面よりも、平面視多角形状の中心側に来るよう配置されている、若しくは、上記雌実部の下方の発泡樹脂層の側面が、上記雌実部を有する非発泡樹脂層の側面よりも、平面視多角形状の中心側に来るよう配置されている、又は、上記雄実部の下方の発泡樹脂層の側面、及び、上記雌実部の下方の発泡樹脂層の側面のいずれもが、上記非発泡樹脂層の側面よりも、平面視多角形状の中心側に来るよう配置されていることが好ましい。また、本発明の化粧材は、上記雄実部の下方の発泡樹脂層の側面が、上記雄実部を有する非発泡樹脂層の側面よりも、平面視多角形状の中心側に来るよう配置され、上記雌実部の下方の発泡樹脂層の側面が、上記雌実部を有する非発泡樹脂層の側面よりも、平面視多角形状の中心側と反対側に来るよう配置され、上記雄実部の下方の発泡樹脂層の側面と非発泡樹脂層の側面との距離が、上記雌実部の下方の発泡樹脂層の側面と非発泡樹脂層の側面との距離よりも大きいことが好ましい。
また、本発明の化粧材は、上記雄実部の下方の発泡樹脂層の側面と上記非発泡樹脂層の側面とが連続的に面を構成し、上記雌実部の下方の発泡樹脂層の側面と非発泡樹脂層の側面とが連続的に面を構成していることが好ましい。
また、本発明は、発泡樹脂層と非発泡樹脂層とを備え、平面視多角形状の化粧材の製造方法であって、上記多角形の少なくとも一の辺の上記非発泡樹脂層に雄実部を形成し、上記多角形の少なくとも他の一の辺の上記非発泡樹脂層に上記雄実部を嵌め入れ可能な雌実部を形成する工程、上記雄実部と雌実部とを形成した非発泡樹脂層に発泡樹脂層を貼り付ける工程を有し、上記非発泡樹脂層に発泡樹脂層を貼り付ける工程において、一の上記化粧材の雄実部と他の上記化粧材の雌実部とを嵌め入れたときに、上記一の化粧材の上記発泡樹脂層と、上記他の化粧材の発泡樹脂層とが接触しない位置に、上記発泡樹脂層を貼り付けることを特徴とする化粧材の製造方法でもある。
また、本発明は、発泡樹脂層と非発泡樹脂層とを備え、平面視多角形状の化粧材の製造方法であって、上記非発泡樹脂層の一方の面の全面に発泡樹脂層を形成する工程、上記発泡樹脂層を形成した非発泡樹脂層の多角形の少なくとも一の辺に雄実部を形成し、上記多角形の少なくとも他の一の辺に上記雄実部を嵌め入れ可能な雌実部を形成する工程を有し、上記雄実部と雌実部とを形成する工程において、一の上記化粧材の雄実部と他の上記化粧材の雌実部とを嵌め入れたときに、上記一の化粧材の上記発泡樹脂層と、上記他の化粧材の発泡樹脂層とが接触しないように、上記雄実部及び雌実部のそれぞれ下方の発泡樹脂層の切削加工を行うことを特徴とする化粧材の製造方法でもある。
本発明の化粧材は、発泡樹脂層と非発泡樹脂層とを備えた化粧材において、実加工を非発泡樹脂層に施して雄実部と雌実部とをそれぞれ形成し、一の化粧材と他の化粧材とを雄実部と雌実部とを嵌め入れることで床鳴りや軋み音の発生を抑制できる。
また、このような化粧材は、非発泡樹脂層に所定の実加工を施した後、発泡樹脂層の貼り付け位置を高度に制御しながら非発泡樹脂層に貼り付ける方法により製造することができ、また、上記非発泡樹脂層と上記発泡樹脂層とを貼り付けた後、非発泡樹脂層に所定の実加工を施すと同時に発泡樹脂層の切削を行うことでも製造することができる。
(a)は、本発明の化粧材の好ましい一例の断面を示す模式図であり、(b)は、本発明の化粧材の好ましい別の一例の断面を示す模式図である。 (a)は、本発明の化粧材の好ましい一例の断面を示す模式図であり、(b)は、本発明の化粧材の好ましい別の一例の断面を示す模式図である。 (a)は、本発明の化粧材の好ましい一例の断面を示す模式図であり、(b)は、本発明の化粧材の好ましい別の一例の断面を示す模式図である。 (a)は、図1(a)に示した本発明の化粧材の好ましい一例の平面を示す模式図であり、(b)は、(a)に示した本発明の化粧材を嵌め合せた状態を示す模式図である。 (a)、(b)は、実施例及び比較例に係る化粧材の施工品質の評価方法を説明する図であり、(c)は、実施例及び比較例に係る化粧材の耐過重試験を説明する図である。
本発明の化粧材は、発泡樹脂層と上記発泡樹脂層上に積層された非発泡樹脂層とを有し、平面視多角形状である。
本発明の化粧材は、平面視多角形状であるが、上記多角形としては、具体的には三角形、四角形、五角形等必要に応じた形状であってよく特に限定されない。
また、本発明の化粧材は、実加工が施されている。
上記実加工としては特に限定されず、例えば、本実加工、相決り(あいじゃくり)加工等公知の加工であってよい。
ここで、一般的に、実(さね)とは、例えば、図4(a)に示したように、床や壁パネル等の木質材等からなる基材の側面に嵌合可能な形状にて形成される突出部や溝状凹部のことをいう。更に、図1(a)に示したように、非発泡樹脂層11の側面に突出部13a(雄実部)と、その突出部に嵌合可能な形状の溝状凹部13b(雌実部)とを備えるものを、一般的に本実(ほんざね)といい、図2(a)に示したように、非発泡樹脂層21の側面に突出部23a(雄実部)と、その突出部に嵌合可能な形状の溝状凹部23b(雌実部)とを備えるものを、一般的に相決り(あいじゃくり)という。そして、このような本実を化粧材に設けることで、図4(b)に示したように、隣接する複数の基材の各々に設けられた雄実と雌実とを嵌合させ、施工することができる。
具体的には、本発明の化粧材は、上記多角形の少なくとも一の辺の上記非発泡樹脂層に雄実部が形成され、上記多角形の少なくとも他の一の辺の上記非発泡樹脂層に上記雄実部を嵌め入れ可能な雌実部が形成されている。
また、本発明の化粧材は、一の上記化粧材の雄実部と他の上記化粧材の雌実部とを嵌め入れたときに、上記一の化粧材の上記発泡樹脂層と、上記他の化粧材の発泡樹脂層とが接触しない。このような態様で本発明の化粧材が設置されることで、発泡樹脂層同士が接触することに起因した床鳴りや軋み音を効果的に抑制できる。
本発明の化粧材において、一の上記化粧材の雄実部と他の上記化粧材の雌実部とを嵌め入れたときに、上記一の化粧材の上記発泡樹脂層と、上記他の化粧材の発泡樹脂層とが10mm以下の隙間を備えた状態で嵌め入れされていることが好ましい。上記隙間が10mmを超えると、本発明の化粧部材の断熱性が低下したり、強度が低下したりすることがある。上記隙間のより好ましい上限は6mmである。なお、上記隙間の下限値としては、0.5mmであることが好ましい。
上記一の化粧材の上記発泡樹脂層と、上記他の化粧材の発泡樹脂層とが接触しない本発明の化粧材は、例えば、上記雄実部の下方の発泡樹脂層の側面が、上記雄実部を有する非発泡樹脂層の側面よりも、平面視多角形状の中心側に来るよう配置されている、若しくは、上記雌実部の下方の発泡樹脂層の側面が、上記雌実部を有する非発泡樹脂層の側面よりも、平面視多角形状の中心側に来るよう配置されている、又は、上記雄実部の下方の発泡樹脂層の側面、及び、上記雌実部の下方の発泡樹脂層の側面のいずれもが、上記非発泡樹脂層の側面よりも、平面視多角形状の中心側に来るよう配置されていることが好ましい。このような構成であることで、一の上記化粧材の雄実部と他の上記化粧材の雌実部とを嵌め入れたときに、上記一の化粧材の上記発泡樹脂層と、上記他の化粧材の発泡樹脂層とが接触しない。なかでも、上記雄実部の下方の発泡樹脂層の側面、及び、上記雌実部の下方の発泡樹脂層の側面のいずれもが、上記非発泡樹脂層の側面よりも、平面視多角形状の中心側に来るよう配置されていることが好ましい。
このような態様の本発明の化粧材としては、例えば、図1(a)に示した態様や図2(a)に示した態様等が挙げられる。
すなわち、図1(a)には、本実加工が施された本発明の化粧材の断面の一例を示し、(b)には、本実加工が施された本発明の化粧材の断面の別の一例を示し、図2(a)には、相決り加工が施された本発明の化粧材の断面の一例を示し、(b)は、相決り加工が施された本発明の化粧材の断面の別の一例を示す。
図1(a)に示した本発明の床用化粧板10(図2(a)に示した本発明の床用化粧板20)は、非発泡樹脂層11(21)と発泡樹脂層12(22)とを備え、非発泡樹脂層11(21)の一の辺に雄実部13a(23a)が設けられ、他の辺に雌実部13b(23b)が設けられており、発泡樹脂層12(22)は、その側面12a(22a)が非発泡樹脂層11(21)の実構造部分よりも平面視多角形状の中心側(以下、内側ともいう)となるように非発泡樹脂層11(21)に貼り付けられている。
図4(a)は、図1(a)に示した構造の化粧材の平面図であり、図4(b)は、(a)に示した本発明の化粧材を嵌め合せた状態を示す模式図であるが、図4(b)に示したように、一の化粧材の一の辺に設けられた雄実部13aが他の化粧材の一の辺に設けられた雌実部13bに嵌め入れられた嵌合部13cで本発明の化粧材同士は嵌合させられるが、発泡樹脂層12同士は接触せず床鳴りが生じることもない。
また、本発明の化粧材は、例えば、上記雄実部の下方の発泡樹脂層の側面が上記雄実部を有する非発泡樹脂層の側面より内側に来るよう配置され、上記雌実部の下方の発泡樹脂層の側面が上記雌実部を有する非発泡樹脂層の側面よりも、平面視多角形状の中心側と反対側(以下、外側ともいう)に来るよう配置され、上記雄実部の下方の発泡樹脂層の側面と非発泡樹脂層の側面との距離が、上記雌実部の下方の発泡樹脂層の側面と非発泡樹脂層の側面との距離よりも大きいことも好ましい態様である。
具体的には、図1(b)に示した本発明の床用化粧板100(図2(b)に示した本発明の床用化粧板200)のように、非発泡樹脂層101(201)と発泡樹脂層102(202)とを備え、非発泡樹脂層101(201)の一の辺に雄実部103a(203a)が設けられ、他の辺に雌実部103b(203b)が設けられており、雄実部103a(203a)の下方の発泡樹脂層102(202)の側面102a(202a)が非発泡樹脂層101(201)の側面より内側に来るよう配置され、雌実部103b(203b)の下方の発泡樹脂層102(202)の側面102b(202b)が非発泡樹脂層101(201)の側面より外側に来るよう配置されている。
そして、雄実部103a(203a)の下方の発泡樹脂層102(202)の側面102a(202a)と非発泡樹脂層101(201)の側面との距離が、雌実部103b(203b)の下方の発泡樹脂層102(202)の側面102b(202b)と非発泡樹脂層の側面との距離よりも大きい。
そして、図1(b)及び図2(b)に示したように、雄実部103a(203a)が他の化粧材の一の辺に設けられた雌実部103b(203b)に嵌め入れられると、発泡樹脂層102(202)同士は接触せず床鳴りが生じることもない。
また、図3は、更に別の態様に係る本発明の化粧材の一例を示した断面図であり、(a)は、本実加工が施された場合を示し、(b)は、相決り加工が施された場合を示す。図3(a)及び(b)に示したように、本発明の化粧材30(300)は、雄実部33a(303a)の下方の発泡樹脂層32(302)の側面と非発泡樹脂層31(301)の側面とが連続的に面を構成し、雌実部33b(303b)の下方の発泡樹脂層32(302)の側面と非発泡樹脂層31(301)の側面とが連続的に面を構成していることが好ましい。
図3(a)及び(b)に示した本発明の化粧材は、後述するように発泡樹脂層と非発泡樹脂層とを貼り合せた後、非発泡樹脂層に対して実加工を施すと同時に、一の化粧材の雄実部を他の化粧材の雌実部に嵌め入れても互いに発泡樹脂層同士が接触しないように、該発泡樹脂層の切削を行うことで得ることができる。
(発泡樹脂層)
上記発泡樹脂層は、本発明の化粧材に主に断熱性、耐荷重性、及び耐衝撃性を付与する層であり、発泡樹脂組成物を発泡して形成される。
上記発泡樹脂層における発泡倍率は5〜20倍であることが好ましい。当該範囲を外れると、優れた断熱性、耐荷重性、及び耐衝撃性の化粧材が得られないことがある。より優れた断熱性、及び耐荷重性を得る観点から、上記発泡樹脂層の発泡倍率は5〜15倍がより好ましく、5〜12倍が更に好ましい。
また、上記発泡樹脂層の圧縮弾性率は、15MPa以上であることが好ましい。圧縮弾性率が15MPa未満であると、優れた耐荷重性、及び、耐衝撃性の化粧材が得られないことがある。より優れた耐荷重性、及び、耐衝撃性を得る観点から、上記発泡樹脂層の圧縮弾性率は15MPaを超え150MPa以下であることがより好ましく、20MPa以上120MPa以下であることがさらに好ましい。
ここで、上記圧縮弾性率は、発泡樹脂層を用いて、JIS A9511:2009「発泡プラスチック保温材」に記載の方法を用いて試験片を作製し測定を行った値である。
具体的には、上記発泡樹脂層から縦100mm、横100mm、厚さ3mmの直方体形状の試験片を切り出し、引張・圧縮試験機を用いて、厚み方向に対して、垂直の方向から該試験片を圧縮速度10mm/分にて圧縮弾性率の測定を行う。試験片を5個用意し、試験片ごとに上記要領で圧縮弾性率を測定し、それらを相加平均した値を圧縮弾性率とする。なお直方体形状の試験片の厚みはJIS記載の厚みではなく、3mmに変更している。
また、本発明の化粧材は、上記非発泡樹脂層及び上記発泡樹脂層の線膨張係数がいずれも8×10−5/℃以下で、かつ、上記非発泡樹脂層及び上記発泡樹脂層の線膨張係数の差が3×10−5/℃以内であることが好ましい。
上記非発泡樹脂層及び/又は上記発泡樹脂層の線膨張係数が8×10−5/℃を超えると、温度変化に対する化粧材の伸縮が大きい為、伸びる場合には化粧材の反りや勘合部の突き上げ等、縮む場合には勘合部の隙間が開く等の不具合が発生することがある。
また、上記非発泡樹脂層及び上記発泡樹脂層の線膨張係数の差が3×10−5/℃を超えると、温度変化に対し各層の伸縮度合いの差が大きくなるため、本発明の化粧材に大きな反りが発生してしまうことがある。
上記非発泡樹脂層及び上記発泡樹脂層の線膨張係数は、いずれも7×10−5/℃以下であることがより好ましく、6×10−5/℃以下であることが更に好ましい。また、上記非発泡樹脂層及び上記発泡樹脂層の線膨張係数の線膨張係数の差は、2×10−5/℃以内であることがより好ましく、1×10−5/℃以内であることが更に好ましい。
ここで、上記非発泡樹脂層及び上記発泡樹脂層の線膨張係数は、各層部材から縦145mm、横300mmの直方体状の試験片を切り出し、恒温槽を用いて0℃及び40℃に試験片温度を安定させた際の横方向の寸法をそれぞれ測定し、その寸法変化率から得られる単位温度当たりの寸法変化量を線膨張係数とする。
上記発泡樹脂組成物の発泡の手法は特に限定されず、公知の手法のいずれも採用することができるが、均質な発泡樹脂層を得る観点からビーズ法による発泡が好ましい。上記ビーズ法は、発泡樹脂粒子(予備発泡粒子)を原料とし、該発泡樹脂粒子を金型のキャビティ内に充填し、該充填された予備発泡粒子を蒸気で二次発泡させつつ、予備発泡粒子同士を熱融着により一体化させることで発泡樹脂層を得るという手法である。
上記発泡樹脂粒子に用いられる樹脂としては、好ましくは熱可塑性樹脂が挙げられる。
上記熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、スチレン改質ポリオレフィン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)、エチレン−(メタ)アクリル酸系樹脂などのポリオレフィン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂などのポリビニル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET樹脂)などのポリエステル樹脂、ナイロン、ポリアセタール樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂などの熱可塑性樹脂の単体及び共重合体、あるいは、これらの混合樹脂が好ましく挙げられる。
これらのなかでも、樹脂自体の強度を考慮すると、ポリオレフィン樹脂が好ましく、特にポリスチレン樹脂が好ましい。
上記ポリスチレン樹脂を形成するスチレンモノマーとしては、特に限定されず、公知のスチレンモノマーのいずれも使用することができる。例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ジメチルスチレン、ブロモスチレンなどが挙げられる。これらスチレン系モノマーは、一種類でも、複数種の混合物であってもよい。好ましいスチレンモノマーは、スチレンである。
上記発泡樹脂粒子は、通常、該発泡樹脂粒子を形成する樹脂からなる種粒子に、スチレンモノマーなどのモノマーを、必要に応じて可塑剤とともに吸収させて重合させることで樹脂粒子とし、重合と同時又は重合後に、該樹脂粒子に発泡剤を含浸させた後、発泡させることで得られる。また、発泡樹脂粒子は、水性媒体中でスチレンモノマーなどのモノマーを懸濁重合して得られる粒子に、発泡剤を含浸させる方法や、ポリスチレン系樹脂を押出機に投入し、発泡剤とともに溶融混練したのち、小孔を有するダイを通して加圧循環水中に押出し、ダイに接触する回転カッターを用いて切断して得られる粒子を発泡させることでも得ることができる。
上記発泡剤としては、例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウムなどの無機発泡剤;N,N’−ジメチル−N,N’−ジニトロソテレフタルアミド、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミンなどのニトロソ化合物;アゾジカルボンアミド、アゾビスホルムアミド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾシクロヘキシルニトリル、アゾジアミノベンゼンなどのアゾ化合物;ベンゼンスルホニルヒドラジド、トルエンスルホニルヒドラジドなどのスルホニルヒドラジド化合物;カルシウムアジド、4,4’−ジフェニルジスルホニルアジド、p−トルエンスルホニルアジドなどのアジド化合物などが好ましく挙げられる。
また、発泡剤としては、物理発泡剤としてプロパン、ノルマルブタン、イソペンタン、ノルマルペンタン、ネオペンタンなどの脂肪族炭化水素類のほか、ジフルオロエタン、テトラフルオロエタンなどのオゾン破壊係数がゼロであるフッ化炭化水素類などの揮発性発泡剤も好ましく挙げられる。
これらの発泡剤は、単独又は複数を組み合わせて用いることができる。
上記発泡剤の添加量は、所望する発泡倍率や圧縮弾性率に応じて適宜決めればよいが、樹脂100質量部に対して、0.5〜15質量部が好ましく、1〜10質量部がより好ましい。
上記可塑剤としては、例えば、プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなどの脂肪酸エステル化合物;ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジイソノニルフタレート(DINP)などのフタル酸エステル化合物;ジイソブチルアジペート、ジオクチルアジペートなどのアジピン酸エステル化合物;ジブチルセバケート、ジ2−エチルヘキシルセバケートなどのセバシン酸エステル化合物;グリセリントリステアレート、グリセリントリカプリレートなどのグリセリン脂肪酸エステル化合物;流動パラフィン、ヤシ油、パーム油、菜種油などの天然油脂類が好ましく挙げられる。
上記可塑剤は、モノマーを重合する際に添加してもよいし、発泡剤を含浸させる際に添加してもよい。
上記可塑剤の添加量は、所望する発泡倍率や圧縮弾性率に応じて適宜決めればよいが、樹脂100質量部に対して、0.2質量部以上3質量部未満が好ましく、0.4質量部以上1.6質量部未満がより好ましい。上記可塑剤の添加量が0.2質量部以上であると二次転移温度が低くなるので低温での予備発泡及び成形に優位であり、3質量部未満であると発泡体が収縮し難く、良好な見栄えが得られる。
また、上記発泡樹脂粒子には、物性を損なわない範囲内において、難燃剤、難燃助剤、滑剤、結合防止剤、融着促進剤、帯電防止剤、展着剤、気泡調整剤、架橋剤、充填剤、着色剤、断熱性向上剤(輻射抑制剤等)等の添加剤が含まれていてもよい。
上記ビーズ法では、例えば、上記の発泡樹脂粒子を金型のキャビティ内に充填し、該充填された予備発泡粒子を100〜150℃、好ましくは100〜120℃の蒸気などの熱媒体を用いて、10〜40秒の加熱時間で二次発泡させつつ、予備発泡粒子同士を熱融着により一体化させることで発泡樹脂層を得ることができる。この場合、一般に用いられる発泡樹脂粒子の平均粒径は0.2〜4mmが好ましく、より好ましくは0.5〜2mmである。なお、上記発泡樹脂粒子の平均粒径とは、JIS Z8801−1「試験用ふるい−第1部:金属製網ふるい」に規定された、異なる目開きを有する複数種の篩を、目開きの小さな篩から大きな篩となるように上に積み重ね、最上部の篩に発泡樹脂粒子100gを投入し、篩を振動させて発泡粒子を分級することで得られる。
具体的には、各目開きの篩上に残留した発泡樹脂粒子の平均粒子径に、その個数比率を乗じた値を算出し、それらの値の総和を発泡樹脂粒子の平均粒子径とする。
平均粒子径 = Σ(各篩上の個数比率 × 各篩上粒子の平均粒子径)
ここで、個数比率とは各篩上に残留した発泡粒子の重量比率及び各篩の目開きの大きさから得られる値である。
また、本発明において発泡樹脂層は、上記のビーズ法に限らず、発泡樹脂層用樹脂、発泡剤、可塑剤、無機充填剤、その他必要に応じた添加剤を含む発泡樹脂層形成用樹脂組成物を、Tダイによる押出製膜法やカレンダー製膜法などの製膜法により未発泡樹脂層を製膜してから、加熱発泡炉を用いて220〜250℃程度で発泡させて得ることもできる。
また、上記発泡樹脂層として、所定の発泡倍率、及び圧縮弾性率の範囲内であれば、市販される断熱ボード、例えば、ビーズ法ポリスチレンフォーム保温板、押出法ポリスチレンフォーム保温板などを用いることもできる。
上記発泡樹脂層の厚さは、発泡倍率などにより多少はあるが、3〜15mmであることが好ましく、5〜15mmであることがより好ましく、7〜12mmであることがさらに好ましい。上記発泡樹脂層の厚さが上記範囲内であると、優れた断熱性、耐荷重性、及び耐衝撃性が得られる。
また、上記発泡樹脂層の厚さは、後述する支持体層より厚いことが好ましい。支持体層より厚いことで、優れた断熱性、耐荷重性、及び耐衝撃性が得られ、また支持体層などの他の層との湿気などによる伸びの違いに起因する応力反りが生じにくくなる。
(非発泡樹脂層)
上記非発泡樹脂層は、上述した実加工が施され、本発明の化粧材に主に形状安定性、耐水性、防湿性、耐衝撃性、及び、耐傷性を付与する層であり、引張弾性率が180MPa以上である層であることが好ましい。引張弾性率が180MPa未満であると、耐傷性が得られない。優れた耐水性、防湿性、及び耐傷性を得る観点から、引張弾性率は180MPa以上3000MPa以下であることが好ましく、1000MPa以上3000MPa以下であることがより好ましく、2000MPa以上2500MPa以下であることがさらに好ましい。
また、引張弾性率が上記範囲内であると、発泡樹脂層などの他の層との温度などによる伸びの違いに起因する応力反りが生じにくくなる。ここで、引張弾性率(E)は、JIS K6732(1996)に記載されたダンベル型試験片に打ち抜いた非発泡樹脂層を用意し、20℃の温度条件下にて、引張圧縮試験機を用い、引張速度50mm/分、チャック間距離80mmの条件で測定して得られた引張応力−ひずみ曲線の初めの直線部分から、次の式によって計算した。
E=△p/△E
E:引張弾性率
△p:直線上の2点間の元の平均断面積による応力差
△E:同じ2点間のひずみ差
上記非発泡樹脂層は、熱可塑性樹脂を含有することが好ましい。
上記熱可塑性樹脂としては、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂などのポリビニル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、スチレン改質ポリオレフィン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)、エチレン−(メタ)アクリル酸系樹脂などのポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET樹脂)などのポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエンースチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン共重合体などの熱可塑性樹脂の単体及び共重合体、あるいは、これらの混合樹脂が好ましく挙げられる。なかでも、ポリオレフィン樹脂やアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリ塩化ビニル樹脂が好ましい。
本発明において、上記非発泡樹脂層は、無機化合物を含むことが好ましい。無機化合物を含むことで上記非発泡樹脂層の線膨張係数を低減させることができ、結果として本発明の化粧材の反りを抑制することができる。
上記無機化合物としては、例えば、タルク、炭酸カルシウム、シリカ、マイカ等が挙げられる。
上記無機化合物の含有量としては、非発泡樹脂層中の樹脂成分100質量部に対し、10〜70質量部であることが好ましい。10質量部未満であると非発泡樹脂層の線膨張係数を充分に低減させることができないことがあり、70質量部を超えると、非発泡樹脂層の引張弾性率が不充分となることがある。上記無機化合物の含有量のより好ましい範囲は10〜65質量部である。
また、上記非発泡樹脂層は、1層により構成されていてもよいし、2層以上の層により構成される積層体でもよいが、2層以上の層により構成される積層体であり、少なくとも1層がガラス成分を含むものであることが好ましい。すなわち、非発泡樹脂層は、2層以上の層により構成される積層体であり、少なくとも1層が熱可塑性樹脂層であり、他の1層がガラス成分を含むガラス成分層であることが好ましい。このような構成とすることで優れた耐衝撃性が得られ、また形状安定性が向上する。
ガラス成分を含むガラス成分層は、例えばガラス繊維により構成される層などが好ましく挙げられる。
本発明においては、非発泡樹脂層は、熱可塑性樹脂層とガラス成分層とが交互に積層した積層体であることが好ましく、なかでも、第1熱可塑性樹脂層、ガラス成分層、第2熱可塑性樹脂層を順に有する積層体であることが好ましい。
非発泡樹脂層が複数の熱可塑性樹脂層を有する場合、該複数の熱可塑性樹脂層を形成する樹脂の種類は同じであっても異なっていてもよく、また複数の熱可塑性樹脂層の厚さは同じであっても異なっていてもよい。
上記非発泡樹脂層の厚さは、0.3〜10mmであることが好ましく、1〜5mmであることがより好ましい。非発泡樹脂層の厚さが上記範囲内であると、優れた耐水性、防湿性、耐衝撃性、及び耐傷性が得られる。また、発泡樹脂層などの他の層との温度などによる伸びの違いに起因する応力反りが生じにくくなる。
また、非発泡樹脂層の厚さは、上記したように、発泡樹脂層よりも薄いことが好ましい。発泡樹脂層層などの他の層との温度などによる伸びの違いに起因する応力反りが生じにくくなる。
(装飾層)
上記装飾層は、本発明の化粧材に装飾性を付与する層であり、例えば、均一に着色が施された隠蔽層(ベタ印刷層)でもよいし、種々の模様をインキと印刷機を使用して印刷することにより形成される絵柄層であってもよいし、隠蔽層と絵柄層とを組み合わせた層(以下、模様層)であってもよい。上記装飾層としては、その他、転写法等で設けられた模様でもよいし、木材を薄くスライスした突板や挽き板でもよいし、着色されたベース樹脂層やベース樹脂層に模様を設けた化粧シートでもよい。そして、その中でも以下に示す化粧シートがより好ましい。なお、上記「化粧シート」とは、以下に示すように、ベース樹脂層及び模様層と、後述する透明樹脂層や表面保護層等の任意の層と、模様層及び透明樹脂層を接着する接着剤層とからなる積層構造のものが好ましい。
上記隠蔽層を設けることにより、本発明の化粧材を設ける下地を隠蔽することができ、また、発泡樹脂層や非発泡樹脂層等が着色していたり色ムラがある場合に、意図した色彩を与えて表面の色を整えることができる。
また、上記絵柄層を設けることで、木目模様、大理石模様(例えばトラバーチン大理石模様) などの岩石の表面を模した石目模様、布目や布状の模様を模した布地模様、タイル貼模様、煉瓦積模様など、あるいはこれらを複合した寄木、パッチワークなどの模様を化粧シートに付与することができる。これらの模様は通常の黄色、赤色、青色、及び黒色のプロセスカラーによる多色印刷によって形成される他、模様を構成する個々の色の版を用意して行う特色による多色印刷などによっても形成される。
上記装飾層に用いるインキ組成物としては、バインダー樹脂に顔料、染料などの着色剤、体質顔料、溶剤、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤などを適宜混合したものが使用される。該バインダー樹脂としては特に制限はなく、例えば、ウレタン樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル/アクリル共重合体樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ニトロセルロース樹脂などが好ましく挙げられる。
上記バインダー樹脂としてはこれらの中から任意のものを、1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
また、上記着色剤としては、カーボンブラック(墨)、鉄黒、チタン白、アンチモン白、黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青、コバルトブルーなどの無機顔料、キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルーなどの有機顔料、又は染料、アルミニウム、真鍮などの鱗片状箔片からなる金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛などの鱗片状箔片からなる真珠光沢(パール)顔料などが好ましく挙げられる。
上記装飾層の厚さは、通常5μm以上3mm以下程度が好ましい。
上記装飾層が隠蔽層(ベタ印刷層)や絵柄層、隠蔽層と絵柄層とを組み合わせた模様層、転写法等で設けられた模様である場合、厚みは20μm以下程度であることが好ましく、上記装飾層が突板や挽き板である場合、厚みは0.5mm以上3mm以下程度であることが好ましく、上記装飾層が化粧シートである場合、厚みは500μm以下程度であることが好ましい。
上記装飾層の厚さが上記範囲内にあれば、本発明の化粧材に優れた意匠を付与することができ、また隠蔽性を付与することができる。
(ベース樹脂層)
ベース樹脂層は所望に応じて設けられる層であり、好ましくは熱可塑性樹脂により形成される層である。上記熱可塑性樹脂としては、上記発泡樹脂層に設けられる熱可塑性樹脂として例示したものを好ましく挙げることができる。なかでも、ポリオレフィン樹脂が好ましく、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂がより好ましい。
上記ベース樹脂層は、透明でも着色されていてもよく、化粧材を設ける下地を隠蔽する観点から着色されていることが好ましい。用いられる着色剤としては、上記装飾層で用いられる着色剤として例示したものを好ましく挙げることができる。
ベース樹脂層の厚さは、10〜150μmが好ましく、30〜100μmがより好ましく、40〜80μmがさらに好ましい。上記ベース樹脂層の厚さが上記範囲内であると、取り扱いが容易であり、また必要以上に本発明の化粧材が厚くなることがない。
また、ベース樹脂層には、必要に応じ、充填剤、難燃剤、滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の各種の添加剤を添加してもよい。
(透明樹脂層)
上記透明樹脂層は装飾層を保護するために設けられる任意の層であり、好ましくは熱可塑性樹脂により形成される層である。熱可塑性樹脂としては、上記の発泡樹脂層に設けられる熱可塑性樹脂として例示したものを好ましく挙げることができる。なかでも、ポリオレフィン樹脂が好ましく、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アイオノマー樹脂がより好ましい。
上記透明樹脂層は、上記装飾層が透視可能な様に、透明の樹脂層である。ここで、透明とは、無色透明のほか、着色透明や半透明をも含む概念である。
また、上記透明樹脂層には、その透明性を損なわない範囲で必要に応じ、充填剤、難燃剤、滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の各種の添加剤を添加してもよい。
上記透明樹脂層の厚さは、10〜400μmが好ましく、30〜250μmがより好ましく、50〜100μmがさらに好ましい。上記透明樹脂層の厚さが上記範囲内であると、装飾層を保護することができ、取り扱いが容易であり、また必要以上に化粧材が厚くなることがない。
(表面保護層)
上記表面保護層は、本発明の化粧材に耐衝撃性、耐荷重性、及び耐傷性などの表面特性を付与する、所望に応じて設けられる層である。表面保護層は、本発明の化粧材の最表面に設けられる。
上記表面保護層は、上記装飾層、あるいは好ましく設けられる透明樹脂層、接着剤層の上に、硬化性樹脂を含有する樹脂組成物を塗布し、これを硬化したもので構成されることが好ましい。架橋硬化された硬化性樹脂を含有することで、本発明の化粧材の表面特性を向上させることができる。
上記表面保護層の形成に用いられる硬化性樹脂としては、電離放射線硬化性樹脂、及び、熱硬化性樹脂が好ましく挙げられ、これらを複数用いる、例えば、電離放射線硬化性樹脂と熱硬化性樹脂を併用する、いわゆるハイブリッドタイプであってもよい。
これらのうち、上記表面保護層を形成する樹脂の架橋密度を高め、表面特性を向上させる観点から、電離放射線硬化性樹脂が好ましく、また、無溶媒で塗布することができるものもあり、取り扱いが容易との観点から、電子線硬化性樹脂がさらに好ましい。
上記電離放射線硬化性樹脂とは、電磁波または荷電粒子線の中で分子を架橋、重合させ得るエネルギー量子を有するもの、すなわち、紫外線または電子線などを照射することにより、架橋、硬化する樹脂を指す。具体的には、従来電離放射線硬化性樹脂として慣用されている重合性モノマー及び重合性オリゴマーないしはプレポリマーの中から適宜選択して用いることができる。
上記重合性モノマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレート系モノマーが好適であり、中でも多官能性(メタ)アクリレートが好ましい。多官能性(メタ)アクリレートとしては、分子内にエチレン性不飽和結合を2個以上有する(メタ)アクリレートであればよく、特に制限はない。これらの多官能性(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
次に、上記重合性オリゴマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つオリゴマー、例えばエポキシ(メタ)アクリレート系、ウレタン(メタ)アクリレート系、ポリエステル(メタ)アクリレート系、ポリエーテル(メタ)アクリレート系などが挙げられる。
さらに、上記重合性オリゴマーとしては、他にポリブタジエンオリゴマーの側鎖に(メタ)アクリレート基をもつ疎水性の高いポリブタジエン(メタ)アクリレート系オリゴマー、主鎖にポリシロキサン結合をもつシリコーン(メタ)アクリレート系オリゴマー、小さな分子内に多くの反応性基をもつアミノプラスト樹脂を変性したアミノプラスト樹脂(メタ)アクリレート系オリゴマー、あるいはノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、脂肪族ビニルエーテル、芳香族ビニルエーテルなどの分子中にカチオン重合性官能基を有するオリゴマーなどがある。
本発明においては、上記多官能性(メタ)アクリレートなどとともに、その粘度を低下させるなどの目的で、単官能性(メタ)アクリレートを、本発明の目的を損なわない範囲で適宜併用することができる。これらの単官能性(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、水酸基官能性アクリル樹脂、カルボキシル官能性アクリル樹脂、アミド官能性共重合体、ウレタン樹脂などが好ましく挙げられる。
また、上記熱硬化性樹脂として、2液硬化性の樹脂も好ましく挙げられ、具体的には、ポリオールとイソシアネートとの2液硬化性の樹脂が好ましい。
ここで、上記ポリオールとしては、例えば、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、エポキシポリオールなどが好ましく挙げられる。
また、上記イソシアネートとしては、例えば、分子中に2個以上のイソシアネート基を有する多価イソシアネートであればよく、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート(TDI)、キシレンジイソシアネート(XDI)、ナフタレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートなどの芳香族イソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、メチレンジイソシアネート(MDI)、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネートなどの脂肪族(乃至は脂環式)イソシアネートなどのポリイソシアネートが用いられる。あるいは、これら各種イソシアネートの付加体又は多量体、例えば、トリレンジイソシアネートの付加体、トリレンジイソシアネート3量体(trimer)なども用いられる。
また、上記表面保護層を構成する樹脂組成物中には、その性能を阻害しない範囲で、各種添加剤を含有することができる。
上記各種添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤(UVA)、光安定剤(HALSなど)、重合禁止剤、架橋剤、帯電防止剤、接着性向上剤、酸化防止剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、溶剤などが挙げられる。
上記表面保護層の厚さは、3〜40μmが好ましく、5〜20μmがより好ましい。上記表面保護層の厚さが上記範囲内であると、優れた表面特性が得られる。
(接着剤層)
上記接着剤層は、上記ベース樹脂層と上記透明樹脂層とを設ける場合に、該樹脂層をラミネートする際に必要に応じて設けられる層である。
上記接着剤層に用いられる接着剤としては、例えば、ウレタン接着剤、アクリル接着剤、アクリル/ウレタン接着剤、ポリエステル接着剤、ポリエステルウレタン接着剤、ポリアミド接着剤、ポリスチレン接着剤、セルロース接着剤などが好ましく挙げられる。これらの接着剤は、1種単独で、あるいは2種以上の混合物として使用することができる。
上記接着剤層の厚さは、1〜30μmが好ましく、3〜15μmがより好ましい。上記接着剤層の厚さが上記範囲内であると、良好な接着性が得られ、かつ必要以上に本発明の化粧材が厚くなることがない。
上記の各層を有する本発明の化粧材は、耐衝撃性に優れ、断熱性、耐水性、防湿性、耐荷重性に優れ、更に耐傷性にも優れ、かつ、施工容易性にも優れるものであり、住居用の床材や住居用の壁や天井のパネル材、とりわけトイレ、洗面、台所などの水廻り用途に好適である。本発明の床化粧材の厚さは、優れた耐衝撃性、断熱性、耐水性、防湿性、耐荷重性、及び耐傷性を得る観点から、5mm以上であることが好ましく、6〜30mmがより好ましく、10〜20mmが更に好ましい。
また、施工容易性を考慮すると、リビングや廊下などの水廻り以外の箇所に設けられる木質フローリング材と同じ厚さとすることが好ましい。
木質フローリング材の厚さは、通常8mm、12mm、15mmなどがあり、12mmが標準的な厚さである。
〔化粧材の製造方法〕
本発明の化粧材は、例えば、以下の工程を経て製造することができる。
(発泡樹脂層の準備工程)
まず、上記発泡樹脂層を準備する。
上記発泡樹脂層は、上述した通り、ビーズ法、あるいは発泡樹脂層形成用樹脂組成物を用いたTダイによる押出製膜法やカレンダー製膜法などの成膜法により、好ましくは発泡倍率5倍以上20倍以下で発泡させて、圧縮弾性率が15MPa以上となるように作製する。
上記発泡樹脂層の発泡倍率や圧縮弾性率は、発泡させる際の発泡温度、樹脂の種類、発泡剤及び可塑剤の使用量などにより適宜調整することが可能である。
(非発泡樹脂層の準備工程)
次に、上記非発泡樹脂層を準備する。
上記非発泡樹脂層は、Tダイによる押出製膜法やカレンダー製膜法などの製膜法により製膜し、引張弾性率が180MPa以上となるように作製する。
上記非発泡樹脂層の引張弾性率は、樹脂の種類、無機化合物の種類や使用量などにより適宜調整することが可能である。
(装飾層の形成工程)
上記非発泡樹脂層、または必要に応じて設けられるベース樹脂層上に、インキ組成物を用いて、装飾層を形成する。インキ組成物は、例えば、グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷、インクジェット印刷などの方法により塗布すればよい。また、隠蔽層(ベタ印刷層)を形成する場合には、例えば、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコートなどの各種コーティング法などにより形成すればよい。
(透明樹脂層の積層工程)
上記透明樹脂層は、上記装飾層を形成した後、必要に応じて接着剤層を介して形成することが好ましい。上記接着剤層は、例えば、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコートなどの各種コーティング法、Tダイによる押出製膜法などにより形成すればよい。そして上記透明性樹脂はTダイによる押出製膜法で製膜と同時に積層させる方法、Tダイによる押出製膜法やカレンダー製膜法などの製膜法により予め製膜したものをドライラミネーション法や熱ラミネーション法により積層させる方法などにより形成すればよい。
(表面保護層の形成工程)
上記表面保護層は、上記の装飾層の形成工程の後、あるいは透明樹脂層を積層する場合は該樹脂層の積層工程の後、装飾層の上、あるいは透明樹脂層の上に、硬化性樹脂組成物を塗布し、硬化後の厚さが3〜40μm程度になるように、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコート等の公知の方式により塗布して未硬化樹脂層を形成し、次いで該未硬化樹脂層に、熱を加えるか又は電子線、紫外線等の電離放射線を照射して該未硬化樹脂層を硬化させることにより形成することができる。
熱硬化の場合の加熱温度は用いる樹脂に応じて適宜決定される。
また、電離放射線として電子線を用いる場合、その加速電圧については、用いる樹脂や層の厚みに応じて適宜選定し得るが、通常加速電圧70〜300kV程度で未硬化樹脂層を硬化させることが好ましい。照射線量は、樹脂層の架橋密度が飽和する量が好ましく、通常5〜300kGy(0.5〜30Mrad)、好ましくは10〜50kGy(1〜5Mrad)の範囲で選定される。
電子線源としては特に制限はなく、例えば、コックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器を用いることができる。
電離放射線として紫外線を用いる場合には、波長190〜380nmの紫外線を含むものを放射する。
紫外線源としては特に制限はなく、例えば、高圧水銀燈、低圧水銀燈、メタルハライドランプ、カーボンアーク燈等が用いられる。
(非発泡樹脂層と装飾層との貼着工程)
装飾層が化粧シートである場合、上記非発泡樹脂層と前記装飾層との貼着は、例えば、感熱接着剤、感圧接着剤のほか、ホットメルト接着剤などを用いて行うことができる。ホットメルト接着剤としては、例えばウレタン系反応型ホットメルト(以下、「PUR系接着剤」という。)などの反応型ホットメルト接着剤が好ましく挙げられる。このPUR系接着剤は、成分の中に水分と反応する官能基(イソシアネート基)を含んでおり、冷却硬化後、基板や化粧シートに付着している水分やそれらを通して与えられる水分と反応する。
反応後は、加熱をしても溶融せず、高い接着強度を有するという特徴を有するものである。
(発泡樹脂層と非発泡樹脂層との貼着工程)
上記発泡樹脂層の準備工程で得られた発泡樹脂層と、装飾層を形成した非発泡樹脂層との貼着は、上記非発泡樹脂層と装飾層との貼着工程で示した接着剤を用いることができる。
このようにして非発泡樹脂層の一方の面の全面に発泡樹脂層を形成する工程の後、上記発泡樹脂層を形成した非発泡樹脂層の多角形の少なくとも一の辺に雄実部を形成し、上記多角形の少なくとも他の一の辺に前記雄実部を嵌め入れ可能な雌実部を形成する。
上記雄実部及び雌実部を設ける方法としては特に限定されず、従来公知の方法が挙げられる。
当該雄実部と雌実部とを形成する工程において、一の上記化粧材の雄実部と他の上記化粧材の雌実部とを嵌め入れたときに、上記一の化粧材の上記発泡樹脂層と、上記他の化粧材の発泡樹脂層とが接触しないように、上記雄実部及び雌実部のそれぞれ下方の発泡樹脂層の切削加工を行う。
このような本発明の化粧材の製造方法、すなわち、非発泡樹脂層の一方の面の発泡樹脂層を形成する工程、雄実部及び雌実部を形成する工程、雄実部及び雌実部のそれぞれ下方の発泡樹脂層の切削加工を行う工程を有する本発明の化粧材の製造方法もまた、本発明の一つである。
上述した多角形の少なくとも一の辺の上記非発泡樹脂層に雄実部を形成し、上記多角形の少なくとも他の一の辺の上記上記に上記雄実部を嵌め入れ可能な雌実部を形成する工程、上記雄実部と雌実部とを形成した非発泡樹脂層に発泡樹脂層とを貼り付ける工程を有し、上記非発泡樹脂層に発泡樹脂層を貼り付ける工程において、一の上記化粧材の雄実部と他の上記化粧材の雌実部とを嵌め入れたときに、上記一の化粧材の上記発泡樹脂層と、上記他の化粧材の発泡樹脂層とが接触しない位置に、上記発泡樹脂層を貼り付けることを特徴とする化粧材の製造方法もまた本発明の一つである。
本発明の化粧材は、装飾層、非発泡樹脂層及び発泡樹脂層を有し、非発泡層樹脂層の厚みの割合、及び、発泡樹脂層の圧縮弾性率が、それぞれ所定の値に規定されているため、耐水性及び断熱性に優れるとともに、耐荷重性にも優れたものとなる。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、この例によってなんら限定されるものではない。
(評価及び測定方法)
各実施例及び比較例で得られた化粧材について、以下の方法で評価及び測定した。
(施工品質)
図5(a)、(b)に示したように幅450mm、長さ900mmサイズの化粧材50a〜50dを、ウレタン系接着剤55を300mmピッチで塗布したモルタル上に4枚施工(1週間養生)した後に、5℃×3日間から40℃×3日間の環境放置し、下記項目を評価した。なお、各実施例及び比較例で得られた化粧材は、短辺及び長辺に雄実部と雌実部とがそれぞれ1組ずつ設けられている。
「段差」
◎:0.1mm以下
○:0.1mm超え〜0.3mm以下
△:0.3mm超え〜0.5mm以下
×:0.5mm超え
「突き上げ」
○:目視上判別不可
△:目視判別可だが軽微で目立たない
×:目視で容易に判別
「床鳴り」
○:人が踏んでも床鳴りなし
×:人が踏んだ際に床鳴りが聞こえる
なお、図5(b)に示したように、上記「突き上げ」とは、化粧材50bと50dとを嵌め合わせた際に、両化粧材の嵌合部が上に浮き上がることをいい、「床鳴り」とは、化粧材50bと50dとを嵌め合わせた際に、一方又は両方の化粧材50b、50dの外側端部が盛り上がる状態を意味する。
(耐荷重試験)
図5(c)に示したように、化粧材50b、50dの嵌合部の中心(雄実と雌実を嵌め合わせた部分の表面保護層面から確認できる境界部)に接する形状が1辺2cm角の正方形である金属治具51を置き、圧力が5kg/cmとなるように重りを加え、1週間放置し、重りを取り除いた直後の外観状態を以下の基準で評価した。
○:目視で金属製治具の跡を判別不可能
△:目視で金属製治具の跡が判別可能だが、軽微で目立たない
×:目視で容易に金属製治具の跡が判別できる
(線膨張係数の評価)
化粧材の各層から縦145mm、横300mmの直方体状の試験片を切り出し、恒温槽(エスペック社製ビルドインチャンバー、TBL−6E20W0P2T)を用いて0℃及び40℃に試験片温度を安定させた試験片の幅、長さに対し、中央及び端部から50mm中央側に入った箇所の計3箇所の寸法を、0.01mmまで読み取れるデジタルノギスを用いて測定する。
各温度、各箇所にて得られた幅、長さ寸法から寸法変化量を算出し、0℃での寸法値で除した値を寸法変化率:△Lとする。
上記で得られた△Lを、温度変化量:△Tで除することで各測定箇所における線膨張係数が得られ、幅3箇所における線膨張係数の平均値を幅方向の線膨張係数、長さ3箇所における線膨張係数の平均値を長さ方向の線膨張係数とし、いずれかにおいて大きい値となる線膨張係数を各層の線膨張係数とする。
(実施例1)
着色ポリプロピレン樹脂フィルム(厚さ;60μm、色;白系)に、グラビア印刷でインキ組成物(アクリルウレタン系)を用いて厚さ2μmの石目柄の模様層を形成した。
次いで、ウレタン系ドライラミネート用接着剤を用いて厚さ2μmの接着剤層を形成し、該模様層の上に透明ポリプロピレン樹脂フィルム(厚さ;80μm)をドライラミネートして設けた。
該透明ポリプロピレン樹脂フィルム上に、2液硬化型ウレタン樹脂を用いて厚さ1μmのプライマー層を形成した。そして、該プライマー層上に電子線硬化性樹脂組成物(アクリレート系)をグラビア印刷によって塗布量15g/m2で塗布して、塗膜を形成し、電子線を照射して該塗膜を架橋硬化させ、表面保護層(厚さ:15μm)を形成して、化粧シート(厚さ;160μm)を作製し、装飾層とした。
次に、非発泡樹脂層としてPP樹脂シート(厚さ;3mm)を用意して、上記化粧シートの着色ポリプロピレン樹脂フィルム(ベース樹脂層)と対向するように、該非発泡樹脂層と該化粧シートとを、ウレタン系ドライラミネート用接着剤を介してドライラミネートにて貼着した。次に、貼着したものをテノーナー機にて非発泡樹脂層に実加工し、本実を設けた。そして、発泡樹脂層としてEPS樹脂(発泡剤;ブタン(ポリスチレン樹脂100質量部に対して7質量部)、可塑剤;流動パラフィン(ポリスチレン樹脂100質量部に対して0.15質量部))を用いてビーズ法により作製した発泡樹脂層(発泡倍率;10倍、厚さ;9mm)を用意し、上記の化粧シートを貼着した非発泡樹脂層と発泡樹脂層とを、ウレタン系反応型ホットメルト接着剤を用いて貼着し、図1(a)のような化粧材を作製した。作製した化粧材同士を嵌め合わせた時の発泡樹脂層の隙間量は2mmであった。
(実施例2)
実施例1から非発泡樹脂層をPP樹脂シートからABS樹脂シート(厚さ;2mm)に、実加工を本実から相決りに変更し、発泡樹脂層の貼着を、実加工をした後から実加工をする前に変更した以外は、実施例1と同様にして化粧材を作製した。作製した化粧材同士を嵌め合わせたときの発泡樹脂層の隙間量は2mmであった。
(実施例3)
化粧材同士を嵌め合わせたときの発泡樹脂層の隙間量が0.5mmとなるように実加工の調整をした以外は実施例1と同様にして化粧材を作製した。
(実施例4)
化粧材同士を嵌め合わせたときの発泡樹脂層の隙間量が6mmとなるように実加工の調整をした以外は実施例1と同様にして化粧材を作製した。
(実施例5)
化粧材同士を嵌め合わせた時の発泡樹脂層の隙間量が10mmとなるように実加工の調整をした以外は実施例1と同様にして化粧材を作製した。
(比較例1)
実加工を行わなかった(実が無い状態の化粧材)以外は実施例1と同様にして化粧材を作製した。
(比較例2)
化粧材同士を嵌め合わせた時の発泡樹脂層の隙間量が0mmとなるように実加工の調整をした以外は実施例1と同様にして化粧材を作製した。
Figure 2017217519
本発明によれば、床鳴りの発生が抑制された化粧材を提供できる。本発明の化粧材は、フロアとしての床鳴りの発生や壁用や天井のパネル材としての軋み音の発生が抑制された化粧材に好適に用いられる。
10、20、30、100、200、300 床用化粧板
11、21、31、101、201、301 非発泡樹脂層
12a、22a、102a、102b、202a、202b 側面
12、22、32、102、202、302 発泡樹脂層
13a、23a、33a、103a、203a、303a 雄実部
13b、23b、33b、103b、203b、303b 雌実部
13c 嵌合部
50a〜d 化粧材
51 金属治具
55 ウレタン系接着剤

Claims (7)

  1. 発泡樹脂層と非発泡樹脂層とを備え、平面視多角形状の化粧材であって、
    前記多角形の少なくとも一の辺の前記非発泡樹脂層に雄実部と、前記多角形の少なくとも他の一の辺の前記非発泡樹脂層に前記雄実部を嵌め入れ可能な雌実部とを備え、
    一の前記化粧材の雄実部と他の前記化粧材の雌実部とを前記一の化粧材の前記発泡樹脂層と、前記他の化粧材の前記発泡樹脂層とが接触しない状態で嵌め入れ可能である
    ことを特徴とする化粧材。
  2. 前記一の化粧材の雄実部と前記他の化粧材の雌実部とを嵌め入れたときに、前記一の化粧材の前記発泡樹脂層と、前記他の化粧材の発泡樹脂層とが10mm以下の隙間を備えた状態で嵌め入れされている請求項1記載の化粧材。
  3. 雄実部の下方の発泡樹脂層の側面が、前記雄実部を有する非発泡樹脂層の側面よりも、平面視多角形状の中心側に来るよう配置されている、若しくは、前記雌実部の下方の発泡樹脂層の側面が、前記雌実部を有する非発泡樹脂層の側面よりも、平面視多角形状の中心側に来るよう配置されている、又は、前記雄実部の下方の発泡樹脂層の側面、及び、前記雌実部の下方の発泡樹脂層の側面のいずれもが、前記非発泡樹脂層の側面よりも、平面視多角形状の中心側に来るよう配置されている請求項1又は2記載の化粧材。
  4. 雄実部の下方の発泡樹脂層の側面が、前記雄実部を有する非発泡樹脂層の側面よりも、平面視多角形状の中心側に来るよう配置され、
    雌実部の下方の発泡樹脂層の側面が、前記雌実部を有する非発泡樹脂層の側面よりも、平面視多角形状の中心側と反対側に来るよう配置され、
    前記雄実部の下方の発泡樹脂層の側面と非発泡樹脂層の側面との距離が、前記雌実部の下方の発泡樹脂層の側面と非発泡樹脂層の側面との距離よりも大きい請求項1又は2記載の化粧材。
  5. 雄実部の下方の発泡樹脂層の側面と非発泡樹脂層の側面とが連続的に面を構成し、雌実部の下方の発泡樹脂層の側面と非発泡樹脂層の側面とが連続的に面を構成している請求項1又は2記載の化粧材。
  6. 発泡樹脂層と非発泡樹脂層とを備え、平面視多角形状の化粧材の製造方法であって、
    前記多角形の少なくとも一の辺の前記非発泡樹脂層に雄実部を形成し、前記多角形の少なくとも他の一の辺の前記非発泡樹脂層に前記雄実部を嵌め入れ可能な雌実部を形成する工程、
    前記雄実部と雌実部とを形成した非発泡樹脂層に発泡樹脂層を貼り付ける工程を有し、
    前記非発泡樹脂層に発泡樹脂層を貼り付ける工程において、一の前記化粧材の雄実部と他の前記化粧材の雌実部とを嵌め入れたときに、前記一の化粧材の前記発泡樹脂層と、前記他の化粧材の発泡樹脂層とが接触しない位置に、前記発泡樹脂層を貼り付ける
    ことを特徴とする化粧材の製造方法。
  7. 発泡樹脂層と非発泡樹脂層とを備え、平面視多角形状の化粧材の製造方法であって、
    前記非発泡樹脂層の一方の面の全面に発泡樹脂層を形成する工程、
    前記発泡樹脂層を形成した非発泡樹脂層の多角形の少なくとも一の辺に雄実部を形成し、前記多角形の少なくとも他の一の辺に前記雄実部を嵌め入れ可能な雌実部を形成する工程を有し、
    前記雄実部と雌実部とを形成する工程において、一の前記化粧材の雄実部と他の前記化粧材の雌実部とを嵌め入れたときに、前記一の化粧材の前記発泡樹脂層と、前記他の化粧材の発泡樹脂層とが接触しないように、前記雄実部及び雌実部のそれぞれ下方の発泡樹脂層の切削加工を行う
    ことを特徴とする化粧材の製造方法。
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